本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
 微小粒子状物質環境基準専門委員会(第3回)
 会議録


1.日時

平成21年3月27日(金)13:30〜15:48

2.場所

弘済会館 4F 梅

3.出席者

(委員長)
内山 巖雄
(委員)
安達 修一、香川 順、加藤 順子
 工藤 翔二、坂本 和彦、佐藤 俊哉
 関澤 純、祖父江友孝、高野 裕久
 武林 亨、田邊 潔、椿 広計
 富永 祐民、内藤 季和、新田 裕史
 平木 隆年、丸山 浩一、溝畑 朗
 横山 榮二
(環境省)
白石水・大気環境局長
早水大気環境課長
岡部総務課長
松田総務課課長補佐
        

4.議題

(1)
疫学知見や毒性学知見に基づく定量的評価について
(2)
その他

5.配付資料

資料1長期曝露影響による疫学知見の評価について
資料2短期曝露影響による疫学知見の評価について
資料3毒性学知見による用量−効果関係について

 
参考資料微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方について

6.議事

【岡部課長】 皆様、大変お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから第3回の微小粒子状物質環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、年度末のこのお忙しい時期にもかかわらずお運びいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の先生方の出席の状況につきまして申し上げます。現時点で16名の先生方にご出席をいただいております。定足数でございます過半数に達していることをご報告させていただきます。
 次に、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に、配付資料の一覧を記載してございます。読み上げます。資料の1番、長期曝露影響による疫学知見の評価について。資料の2番、短期曝露影響による疫学知見の評価について。資料の3番、毒性学知見による用量−効果関係について。参考資料、微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方についてでございます。それに加えまして、今の資料の右側に、恐らく先生方のお手元に置いてある資料が若干ございまして、ここのリストには書いてございませんが、20年11月に大気環境部会の微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会でまとめていただきました報告書、それから、その生の形での毒性学知見の論文集など、それから疫学知見の論文集などということも、お手元にファイルの形で入れさせていただいてございます。それから、加えまして、今追加で配らせていただいているものがございます。これは大気汚染にかかる粒子状物質長期曝露影響調査報告書を今お配りさせていただいております。この資料につきまして、来週ホームページ上に掲載をさせていただく予定としております。
 ただいま申し上げました資料の不足等ございますれば、随時事務局にお申しつけいただければ幸いだと思います。よろしくお願いします。
 もしマスコミの方がいらっしゃるようでしたら、カメラ撮りは恐縮ですが、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力方よろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降の進行につきまして、内山委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

【内山委員長】 それでは、年度末のお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。早速、第3回の専門委員会を開催させていただきたいと思います。
 きょうの議題は、疫学的知見や毒性学知見に基づく定量評価についてと、こういうことでございます。前回の会議におきまして、健康影響や曝露情報に関する作業会合を設置させていただきました。それぞれの作業会合において検討をお願いしてきたところです。きょうの専門委員会におきましては、健康影響に関する作業会合において検討を重ねていただいて、長期、短期曝露影響による疫学的知見の評価について整理していただいております。それからまた毒性学での分野におきましても、これまでに実施した毒性学にかかる文献レビューの成果をもとにいたしまして、特に低濃度領域における微小粒子状物質の用量−効果関係を中心として作業会合でご議論いただいて整理していただいております。きょうはこれから、これらの資料についてご説明いただきまして、それぞれの事項について議論していただければというふうに思います。
 それではまず、作業会合において中心となって資料の整理をいただいた新田委員から、資料1につきまして、長期曝露影響による疫学知見の評価についてということをご説明をお願いしたいと思います。大体30分ぐらいでよろしくお願いいたします。

【新田委員】 それでは、私の方から、作業会合での現時点での議論を踏まえて、疫学研究の抽出の考え方、それからそれを整理したものに関して、資料1に基づいてご報告をさせていただきます。
 まず、「疫学研究の抽出の考え方」に関しましては、ただいまお話がありましたように、微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会の報告書において、既にその考え方が示されております。定量評価を実施するに当たって、その対象とすべき長期の影響の疫学研究の抽出に関しては、以下の点に留意することということで、何点か示されております。
 基本的に前向きコホート研究を優先する。幅広い曝露濃度が観察されて、高感受性を含むような一般集団を対象にして実施された研究を重視する。それから、個々の疫学研究の質を評価した上で疫学研究を抽出すると。それからもう一つ、定量的リスク評価において重要な曝露評価に関しても、その内容が示されております。今回曝露評価に関しましては、微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会報告では、適切な大気汚染物質の測定、空間的、時間的な変動を反映する曝露評価というような表現でしたので、さらにその要件を具体化をして、作業会合において議論をいたしました。
 1ページの一番下の方にその点を示しております。調査期間、もしくは観察期間全体の長さのうちの相当期間のデータが示されていること、それから微小粒子状物質の実測値の場合には、測定方法が明示されていること、及び測定局と対象者居住地域との距離など空間代表性に関する情報が示されていること。推計値による場合には、PM2.5実測値との相関性など、その妥当性に関する検討が十分に示されていることということで、具体的に曝露評価に関して、前専門委員会で示された内容を少し具体化した上で作業をいたしました。
 2ページには、具体的な「定量評価における疫学知見の分類」ということで少し説明を加えさせていただいております。微小粒子状物質の定量的リスク評価手法においては、抽出された疫学研究について、曝露量−反応関係の信頼区間に関する検討に基づいて、健康影響が確からしいとされる濃度水準を選択するという方向が示されております。また、曝露量−反応関係の信頼区間に関する検討によって健康影響が生じることが確からしいとされる濃度水準を見出すことが困難であった疫学研究については、健康リスクの明確な上昇が見られる濃度水準を検索することとされております。
 基本的に疫学知見で示されている内容に関しまして、その後、少し検討をした結果を書いております。
 通常、疫学研究では大気汚染物質の健康影響の大きさを示す場合に、大気汚染物質の単位濃度あたり、例えば10μg/m3というような単位濃度当たりのリスク比という表現をしばしば用いております。これは濃度−反応関係が対数をとったスケールで、相加的でかつ線形であるということを仮定したものですけれども、またこの表現では、濃度−反応関係に閾値が存在しないということを暗黙に前提としております。ただ、微小粒子状物質の場合には、閾値の有無については判断できないという前提に立って定量的リスク評価を行うことは、「微小粒子状物質の定量的リスク評価手法について」という報告書の中において示されているとおりでございます。
 基本的に、濃度−反応関係の傾き(リスクの比の大きさ)と濃度範囲に関する情報は、ほとんどすべての疫学知見において示されているわけですけれども、濃度−反応関係の形、形状を推測できる情報が示されているもの、もしくは統計学的な信頼区間を示した知見は限られております。一方、濃度反応関係の形状を推測できる情報が示されている場合であっても、疫学知見の選択の条件、先ほど1ページで示しましたような条件に完全に合致しないために、参考情報にとどまるものもございます。
 そこで、以下の検討では、先に述べました疫学知見の抽出にあたっての留意点を考慮した上で、二つの分類で検討をいたしました。一つは、濃度−反応関係の傾き(リスク比の大きさ)と濃度範囲に関する情報を持つ疫学知見については、一覧表及びサマリーの図として示しております。本日は、資料としてサマリーの図を示しております。
 2番目は、濃度−反応関係の形状を推測できる情報が示されている疫学知見について、その形状に関する図をお示しして、それぞれの知見の内容を解説いたしました。
 なお、現時点では、個々の知見の質、濃度−反応関係に関する情報から見て抽出しております。したがいまして、エンドポイントの重症度に関する重み付けは行っておりません。
 それでは具体的に、疫学知見ごとの内容に関しましてご説明させていただきます。
 5ページ、6ページ、7ページに図を示しております。5ページは長期曝露影響に関する疫学知見のうち、全死亡に関するもの。6ページは、図の2でございますが、心肺疾患と書いてありますが、基本的に心血管疾患と呼吸器系の疾患による死亡をあわせたもの。研究によってはそのうちのどちらかのみを示しておる研究もございますが、ここではあわせてお示ししております。
 それから7ページ、図の3は、肺がん死亡に関する知見をまとめたものでございます。
 図1の中に、二つございます。上の図は、先ほど申し上げましたように、疫学知見の解析においては、リスクの大きさの対数をとったものが線形であるという仮定を置いた解析をするのが普通だということで、リスクの大きさの対数をとったものを傾きとして、直線の傾きを決めて、そのそれぞれの研究に関して、対象地域の濃度範囲を、その線分の長さで示しております。それから各知見における対象地域の濃度範囲の平均値、もしくはその中心の点にマークをつけております。下の図は、それぞれの平均値における各疫学知見で示されておりますリスク比と、その95%信頼区間を示したものでございます。上と下の濃度のスケールが少し違っておりますが、下の方は、平均値もしくは濃度範囲の中心の濃度のところにリスク比と、その95%信頼区間を示したということでございます。
 まず、このような情報を持つ疫学知見に関してです。言うまでもなく、1ページに示しましたような条件に合致するということで、作業会合の方で、現時点の考え方として、お示ししております。
 まず、米国の6都市研究。6都市研究も、その後拡張研究というものも示されております。それから、ACS研究。米国のがん協会の研究でございます。そのACS研究に関しましても、拡張研究というものが示されております。それから、3ページの後半部分にWHI研究と書いておりますが、これも米国のWomen's Health Initiativeという研究でございます。この研究は、心血管疾患死亡と発症率に関しての知見が示されております。
 それから、3ページの一番下の段落でございますが、AHSMOG研究、これは米国カリフォルニアのSeventh Day Adventistという集団の追跡調査でございます。男女別々の結果を示されておりまして、男性においては全死亡、冠状動脈疾患死亡、肺がん死亡の結果が示されております。図の中では、一部AHSMOG(male)のみ書いている部分がございます。それは、原著で示されている情報が男女で異なっているということがございます。
 4ページ目には、日本の調査でありますいわゆる三府県コホートの結果とそれからヨーロッパの幾つかの研究の濃度範囲を示しております。図の1、2、3を見ていただきますとおわかりのように、図の3の肺がん死亡に関しましては、肺がんのみをエンドポイントとした研究が幾つか行われていることもございまして、ここで取り上げている調査の、疫学研究の数は、全死亡、心肺疾患死亡に関する知見よりも少し数が多いということがあります。
 図1から図2、3を見ていただきますと、濃度範囲、図1は、すべて米国における調査ということでございます。それからもう一つ、ここでは書いておりませんけれども、それぞれの調査が行われた年代に違いがややあるということがございます。例えば米国の6都市調査は、1974年からスタートしておりますし、ACS研究はその少し後という、AHSMOG研究もかなり古い時代からのフォローアップがされておるということでございます。これが、まずリスクの大きさ、PM2.5単位濃度当たりのリスクの大きさと対象地域の濃度範囲に基づいてまとめた図となります。
 引き続きまして、先ほど申し上げました2番目の分類に当たるもの、8ページ以後でございますが、濃度反応関係の形状を推測できる情報が示されている疫学知見ということでご紹介をさせていただきます。
 まず、ACS研究をここで取り上げております。ACS研究の中には、オリジナルの、初めに発表された研究、それからそれに基づいて再解析をされた報告研究、それから拡張研究というものがございます。
 ACS研究に関しましては、既に何度か定量的リスク評価検討会でも報告させていただきましたので、その概要に関しましては、詳細は省略させていただきますけれども、まずACSのオリジナル研究は1982年に開始されて、もとの対象は120万という非常に大規模なものでございます。その中から、微小粒子の濃度と硫酸塩の濃度が関連づけられた対象者に限った解析結果が示されました。微小粒子状物質に関しましては、50の都市の約30万人に関する解析結果となっております。そのオリジナルの研究に関しましては、実は濃度−反応関係の形状を推測できる情報は、もとの論文には示されておりません。当初の研究では、PM2.5の濃度に関しましては、1979年から1983年の平均値を用いておりました。拡張研究は、オリジナルの追跡期間を98年まで拡張しております。大気汚染のデータも追加したものを報告しております。その中に、9ページにございます図の4の結果が示されております。これはA、B、C、Dとありますが、全死亡、それから心肺疾患死亡、肺がん死亡、その他の原因による死亡という四つに関しまして、横軸にPM2.5の濃度と、縦軸に相対リスクの対数、それを平滑化した濃度−反応関数として示しております。
 次のページをごらんいただきますと、それぞれ点がプロットされた散布図がございます。これは、再解析の結果の報告書の方に出ている図でございます。基本的に、この各地域の濃度と相対リスク、この図の5の情報に基づいて平滑化した線として、拡張研究では図の4のような平均的な線と、その95%信頼区間が示されたというふうに理解できます。この図の4は、米国におけるPM2.5の環境基準と、さまざまな場面で引用されている図でございます。米国のEPAでは、この図からPM2.5濃度が12ないし13μg/m3より高い濃度範囲では、PM2.5濃度と相対リスクに関連性が認められ、それより低い濃度では信頼区間が拡大して、不確実性が大きくなったというそういう評価、報告をしております。
 次に11ページ、米国の6都市研究関係の中で示されている濃度−反応関係の形状を推測できる情報に関しましてご説明をさせていただきます。
 6都市調査におきましても、オリジナルの研究、それからその再解析、拡張研究が報告されております。まず、オリジナル研究として示された6都市におけるPM2.5濃度と死亡率の比、ハザード比に関しまして図の6に示しております。この図の6は、オリジナルの論文に基づきまして、事務局の方で各地域における信頼区間の幅を追加した図として示しております。平均的なリスクの大きさは、非常にPM2.5と直線的な関係にあるというものでございます。
 それから図の7は、拡張研究として示されたものです。オリジナルの研究は、約平均15年から16年の追跡期間でしたけれども、それをさらに7年から8年追跡したという研究になっております。図の6のオリジナルの研究に比べますと、少しリスクの推定値の直線性が崩れているというような見方もできますけれども、PM2.5と死亡率の比に関しましては、優位な関係を示すという報告がされております。図の7でございます。この図の7に関しましても、拡張研究の論文に基づきまして、事務局で整理して書き加えたものでございます。
 それから図の8は、やはり拡張研究の報告書に示されております。それぞれオリジナル研究に相当する時期と、その拡張研究に相当する時期、赤がオリジナル研究に相当する時期、前期、それから青が後期のみ、別々のリスクの推定値を示しております。この図のもと自体は、拡張研究の論文に示されておりますが、ここでは色分けをして示しております。
 なお、図の7に関しまして、PM2.5濃度は、拡張研究においては実測ではなく、6都市調査においても、PM10濃度等からの推計で行われております。この図の7で示されておりますPM2.5の平均値は、前期の実測値、後期の推計値をあわせて全期間の平均値としての濃度でプロットしております。
 引き続きまして、14ページに移りまして、WHI研究、Women's Health Initiative研究に関しましてご紹介いたします。
 この研究は、米国における閉経後の女性のコホート、約6万5,000人のデータを用いたものです。基本的に、調査スタート時点で心血管疾患の既往歴のない対象を選んでおります。調査は1994年から98年に参加者をリクルートして、平均約6年間の追跡を行った結果として示されております。冒頭に申し上げましたように、ただいまご紹介しましたACS研究、それから米国の6都市研究に比べて、新しい時期からスタートしているということがわかります。この研究では、心血管疾患に関する発症と死亡と、両者をこのコホートの中で調べているという特徴がございます。ACS研究、6都市研究の場合には、基本的にはエンドポイントは死亡のみということですけれども、このWomen's Health Initiative研究の場合には、発症も、両者観察をしているということでございます。
 図の9は、まず死亡との関係を、PM2.5濃度との関係を示した図、論文に示されているものでございます。この図は、PM2.5濃度が11のところをリファレンスとしてこの図を描いたというふうに論文で述べられております。同じく16ページの図の10は、死亡ではなくて、発症との関係を見た図でございます。この図もやはり、PM2.5濃度11のところをリファレンスとして図を描いたというふうに書かれております。
 それから、17ページに図の11がございます。これは、もとの論文のオンラインのサプルメントの中に含まれている図でございます。きょうはちょっと文献にそこまで明示していなかったかと思いますけれども、この図の11は、オンラインのサプルメントに載っている図でございます。横軸に、各対象者が居住する地域の濃度と、縦軸にハザードレシオを、最も対象地域の濃度が低いところを1とした場合のハザード比をプロットした図でございます。
 引き続きまして18ページ、19ページに、我が国の三府県コホートの結果から肺がん死亡、男女計、それから男女別の地域ごとのリスク比と、地域のPM2.5濃度の関係を示した図を上げております。この三府県コホートにおきましては、PM2.5濃度はSPMから推計した濃度ということでここで示しております。最も濃度の低い宮城・対照地区を1とした場合のハザード比と、95%信頼区間として示しております。なお、三府県コホートにおきましては、10年の追跡結果と15年の追跡結果、両者が示されておりますが、ここの図は15年の追跡結果、横軸も15年の全体の平均として示しております。三府県コホート研究の報告書によりますと、男女計及び男性ではPM2.5濃度とハザード比の関係が見られたというふうに報告されております。
 20ページ以降は、カリフォルニア子供調査ということで、基本的に子供の肺機能とPM2.5の関係の解析した結果が示されております。この研究では幾つか報告がございます。まず、基本的に12の南カリフォルニアの地域で調査が継続して行われたわけですけれども、21ページの図の14は、初期に報告された第1コホートと呼ばれる1993年にスタートしたコホートで、それを4年間追跡した結果。それから、図の15は、第2コホートと呼ばれているもので、1996年に開始して、やはり同様に4年間追跡した結果、それのFEV1.0(1秒量)の成長とPM2.5の濃度との関係を、地域別にプロットした図になっております。
 それから図の16は、図の14に相当する第1コホートをさらに追跡して、8年追跡した結果を示しております。1秒量の低値群の割合という形で論文に示されております。この第1コホートを8年追跡した結果に関しましては、図の14、図15に相当する図は示されておりません。
 以上、死亡、一部心血管疾患の発症、それから最後は肺機能ということで、冒頭に申し上げましたように、長期曝露影響に関しましては、前向きコホート研究の結果を優先するということで、現時点はそれに限定して、しかも濃度−反応関係の形がある程度推測できるような情報が示されている知見ということで幾つかご紹介をさせていただきました。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございます。新しい知見を含めて、それから5ページ以降の新しい図をご説明いただきました。何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
 議論の前に1点、13ページの図の7の説明ですが、これは追跡期間を長くしたので、追跡期間は74から1998でよろしいですか。91と書いてありますが。1ページの一番上のところに図の説明がずれ込んでいますが。

【新田委員】 そうです。すみません。

【内山委員長】 そうですね。上の図6のオリジナル研究が1991年までの追跡で、図7の拡張研究は98年までの追跡ということになります。そこだけ訂正をちょっとしてください。
 何かご議論、ご意見、ご質問ございますでしょうか。

【新田委員】 実は、ACS研究に関しましては、ごく最近再拡張の論文が報告されております。現在その論文の内容に関しまして検討しているところでございます。現時点で、きょう申し上げた結果を大きく変えるものはないというふうに判断しておりますけれども、必要に応じてこの専門委員会で再拡張、ACSは非常に重要だというふうに私自身考えておりますので、必要に応じてその再拡張、ごく最近出たものに関しましても、必要に応じて検討に加えていきたいというふうに思っております。

【内山委員長】 ありがとうございます。再拡張というのは、追跡期間をさらに後ろにまで……。

【新田委員】 再拡張の期間は2年ほどです。

【内山委員長】 作業会合に加わってくださった先生方からの追加でも結構ですが、武林先生、特によろしいですか。
 椿先生は何か、ページ5以下の図のあらわし方について何かご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

【椿委員】 全体的な印象を取りまとめる段階にはないんですけれども、これは以前も指摘したかと思うのですけれども、非常に重要な引用対象になっている図の4というものに関して、特に、恐らく図の4のCの部分というものの、先ほど説明があった信頼区間の拡張や何かということなんですけれど、この図の4の下の横軸にある、いわゆるひげのようなものが、微妙にちょっとずつついているのが、横軸にある10とか15というところに小さな線が出ているのが、これが実際に観測されたポイントなんですよね。先ほどの12μg/m3以下のところというのは、比較的観測がスパースになってしまっているというのが見てとれるのではないかと思うのです。米国ですらこの部分というのは余りデータがとれていないために、スムージングをした結果、信頼区間が大きくなっているんですよね。一見、この12μg/m3以下ですと、急激に回帰直線が減少しているように見えるんですけれども、信頼区間がこういう形に開いていることからして、実はそれよりも高濃度の領域に見える、少し傾きが寝ているという状況と本当にこれが優位にこんなに下がったかどうかということは、統計的には特に強く言えないので、この絵自体の見方というのは非常に慎重に見ていただきたいというのが私の考えなんです。
 ただ、こういうこと自体がほかの、先ほどありましたように、新田先生にありましたように、拡張した今後のいろいろなデータの追加において、この低濃度群がもう少しふえてくると、いろいろな意味で現在の印象というのを補強してくれるんじゃないかというふうな印象を持っているんですけれども。

【内山委員長】 ありがとうございます。何か新田先生、コメントはございますか。

【新田委員】 椿先生の最後のコメントに関してですけれども、ACS研究もほかの研究も同様に、長期の追跡研究ということで行われておりますので、基本的に米国においての微小粒子状物質濃度のトレンドとしては低下傾向にあるということで、濃度の横軸のとり方によっては低いところがふえてくるということはあるかと思います。ただ、それの点が全体として、濃度がシフトするというだけで、点がふえるということではございませんので、どこまで追跡した結果においての低濃度領域での信頼性、不確実性の議論を、より現時点よりも進めることができるかどうかということに関しては、なかなかちょっと期待するのは難しいのではないかと私自身は思っております。

【内山委員長】 そのほかにいかがでしょうか。富永先生どうぞ。

【富永委員】 18ページから三府県コホートのデータが紹介されておりますが、ここでは口頭でのみ、肺がんその他のイベントの追跡期間15年データであるというご説明がありましたが、図の説明と本文ではそのことが出ておりませんので、それは重要でございますから、含めていただきたいと思います。あわせて、10年と15年のデータセットがありますけれども、ここでは15年データのみを示された理由は何でしょうか。観察期間が長いからというだけでしょうか。

【新田委員】 先ほど冒頭で申し上げましたように、まだ作業会合の議論が完全に煮詰まっているという状況ではございませんので、現時点で一番期間の長い情報のみ選んで、きょう資料としてお示しさせていただきました。今後どの期間、曝露期間とその影響をあらわすリスクの大きさ、どの曝露期間をとるべきかということに関してはいろいろ議論がありますので、その点の選択によって、どの程度この濃度−反応関係の形が変わるか、もしくは確からしいとされる濃度水準の目安の判断が変わるかというようなことを議論いただけるような資料を、今後この専門委員会の方に作業会合の方から提出していきたいというふうに思っております。

【富永委員】 できればACS研究、6都市研究みたいに、両方の図が示されている方が、より客観的に比較できると思いますので、今後そのようにお願いしたいと思います。

【内山委員長】 ありがとうございます。それでは、6都市もACSもオリジナル、拡張というように並んでいますので、三府県も10年、15年という形で並べて書いていただければと思います。
 そのほかによろしいでしょうか。
 私の方から一つ。WHI研究で、11μg/m3を基準とするというのは、それは何かやはり根拠があるんですか。

【新田委員】 具体的には書かれていなかったかと思います。ただ、図の9、10にも示されておりますが、PM2.5の濃度の頻度分布が書かれておりますので、必ずしもピーク濃度には対応しておりませんが、平均濃度とかその中央値とか、そういうことを目安にして11というリファレンス、参照する濃度を決めたのではないかと推測しております。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。そのほかございますか。
 では、もう一つ私の方から確認させてください。6ページの図2の心肺疾患の死亡に関して、先ほど新田先生がおっしゃったのは、心疾患と呼吸器疾患が一緒になったものと、それから心疾患だけのものがあると。呼吸器疾患だけのものというのはこれには入っていないと考えていいですか。

【新田委員】 今回整理したものの中では呼吸器疾患だけの死亡のものは、肺がんを除くものですが、含まれていなかったと思います。

【内山委員長】 そうですか。はい。そうすると、心肺疾患と書いてあって、心血管系だけのものと心血管系と呼吸器疾患を両方あわさったものの死亡をとったものがこの中に含まれていると。わかりました。
 そのほかに何かよろしいでしょうか。
 そうしましたら、毒性学の方をやっていただきますので、その後また……。短期の方をまず疫学研究に続けてやっていただきますので、またそれとも兼ねあわせてご質問いただきたいと思います。
 その前にもう一つ、今の長期のものは、ほとんどが平均化時間としては1年のものを用いていると考えてよろしいですよね。

【新田委員】 調査期間はご承知のように数年から10数年、長いもので20年近くになります。基本的にはその全体の平均として示されておりますが、長期影響の場合には、基本的な評価の単位としては年単位で考えて、各長期影響の結果として各論文に示されているということかと思います。

【内山委員長】 わかりました。そうしますと、もしこれからさらに考えていく場合には、年平均化時間というのは、年平均1年を単位とするというふうに考えていくのが、従来からの疫学データを生かすという意味では妥当かと思いますが、それについても何かご意見なりご質問がございましたらあれですけれど、もしよろしければ年平均、平均化時間は1年ということで今後の作業を進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは引き続き短期の方をまたご説明していただいてご議論いただきたいと思います。よろしく、ではお願いいたします。

【新田委員】 それでは、資料の2に基づきまして、先ほど長期曝露影響に関する疫学研究の評価についてということで作業会合の議論の現時点でのまとめをご報告させていただきましたけれども、資料2では、短期曝露影響に関しての整理をご報告させていただきます。
 まず、疫学研究の抽出の考え方は、基本的には長期影響と変わるところはありません。データの質、解析手法が長期影響とはやや異なりますけれども、基本的な抽出の条件というものに関しましては大きく異なることはございません。
 1ページに、長期の場合と同じように曝露評価に関する要件を定量的リスク評価検討会の報告書で示された内容を少し具体化したものを書いておりますが、この点に関しましても、長期影響の方と大きく変わるところはございませんけれども、短期影響の場合には、まず、1ページの一番下でございますが、日単位等の平均化時間に対応した十分な数のデータがあるということ。ちょっと表現を変えております。ここは、例えば米国におきましては、微小粒子状物質濃度の測定が3日置きとか6日置きとか間欠的に行われている例があって、それに基づいた解析がありますので、調査の対象期間が即データの数に対応しない部分があるということで、十分な数のデータという表現をとって、実質的には十分なデータがあるという意味では違うところはございません。
 2ページのところの実測値と推計値の関係に関しましても、全く同じような考え方でここでお示ししております。
 それから、長期影響とやや異なる点、次にございますが、2ページの2段目のところですけれども、疫学知見の抽出におきましては、短期影響研究に関しましては、それぞれの報告の数は長期影響よりもたくさんの数の報告がございますけれども、これも定量的リスク評価検討会で議論されたことでございますが、より広い曝露濃度範囲をとることが可能で、同一研究デザインで行われているということで、都市ごとリスクの評価が可能である複数都市研究を重視する。しかも、エンドポイントの確実性を考えて、死亡・入院・受診に関する研究を重視するというふうに書かれておりますので、現時点の取りまとめは、死亡・入院・受診に関する複数都市研究をまず取りまとめて、きょうそれを中心にご報告させていただいております。
 2番目に、定量評価に関する知見の分類の説明をしております。ここは長期影響とは異なりまして、基本的に濃度−反応関係の形状というようなものを示した知見は非常に少ないということがございます。それぞれの地域における単位濃度当たりのリスクという形で示されているものがほとんどであるということです。ただ、繰り返しになりますけれども、定量的リスク評価検討会の議論、報告でありましたように、短期影響に関する濃度水準の検索に当たっては、24時間平均値の年間上位パーセンタイル値を考慮するということで、長期平均濃度と短期平均濃度の統計的関連性を検討するということとされております。その観点で今回も、できる限りそれぞれのもとの論文、報告に当たってデータを整理いたしました。
 まず3ページ目に、具体的な疫学知見に関しての記述をしております。短期影響に関しましては先ほど申し上げましたように、報告の数としては、非常に膨大な数の報告が全世界からされております。ただ、そのうちのかなりの部分は、粒子状物質であっても、PM10に関するものであったりいたします。PM2.5の具体的な実測、推計を示して解析したものは、それほど多くはございません。その中でさらに複数都市研究というと、限られたものということになります。
 まず米国の6都市、これは先ほどの長期の6都市に相当するような地域での短期影響に関する結果が示されて、幾つか、二つ、当初の報告、それから粒子状物質のさらに元素分析を行った経過ということで、具体的な内容に関しましてはページの6とページの7にその概要をお示ししております。6ページには、六つの都市の長期的な平均濃度と短期的な変動から推測した単位濃度当たりの日死亡のリスクの上昇ということで、先ほど、類似の図が長期影響でも出てまいりましたけれども、意味するところはかなり違ったものとなっております。横軸は各6都市の長期平均ということで大きく変わりませんが、縦軸のリスクは、それぞれの地域における日死亡のリスクということでございます。
 それから、7ページの方の単位濃度元素分析をした結果に関しましては、まだこの図を具体的に示しておりませんけれども、この6都市の結果がございます。それから、米国において、ノースキャロライナ州の七つの郡での心血管系死亡による、やはり複数都市研究、それからカリフォルニア州の9の郡における結果がございます。
 それから、4ページでご紹介しております、詳細はきょう、ここでご説明はちょっと省略させていただきますが、既に多くは昨年、一昨年公表いたしました健康影響評価検討会報告書等に記載されている知見がほとんどでございます。カナダの8都市の研究、カナダの12都市の研究、それから米国の27の都市の研究等がございます。それから、我が国における解析といたしましては、微小粒子状物質曝露影響調査において実施した、我が国20地域の研究の結果が報告されております。資料でいきますと15ページ、16ページにその内容と地域別の日死亡のリスクのプロットが示されております。16ページの図は、報告書に基づきまして図をプロットしたものでございます。20地域のそれぞれの全体の長期の平均値と、それぞれの地域で推計された日死亡のリスク、上は全死亡のラグ1、つまり前日の濃度に対する死亡との関係、それから下は、呼吸器疾患で同じようにラグ1日、前日の濃度との関係ということで示しております。
 それから、ここまでは日死亡に関するものですけれども、4ページの後半以降には、入院・受診をエンドポイントとした複数都市に関して少し記載をしております。前回の専門委員会で、米国で長期の影響としてメディケアのデータに基づく解析をご紹介いたしましたけれども、ここでは、メディケアのやはりデータを用いて、短期の影響ということで入院・受診との関係を、全米の204の郡で行った結果が報告されております。この関係の同じデータを使った研究報告が複数出ております。基本的に濃度との関係を示したもの、その季節変動等を示したもの、その他の修飾因子に関して示したもの等でございます。これも前回報告いたしましたけれども、その他フランスにおいても、六つの都市での入院との関係の報告がございます。そのほか、死亡・入院・受診以外にも短期影響に関しましてはご承知のように循環器系、呼吸器系、さまざまな研究報告がございます。曝露影響調査で我が国での結果におきましても肺機能、特にピークフローとPM2.5濃度の関係を示した研究があるということで、基本的には前回専門委員会の基本的な方向性に従って、入院・受診・それから死亡を優先して検討するとともに、その他のエンドポイントに関しての単一都市研究に関しましても、濃度−反応関係に関して検索していきたいというふうに思っております。
 以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。短期影響につきましても、メディケアのデータは2008年以降に出たものと、新しいものということで、それも含めてご説明いただきましたが、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 特に対象者で65歳以上に限っているものとそうでない全人口といいますか、それを対象としたものがありますが、それによっては何か違いがあるというか、やっぱり65歳以上の高齢者はハイリスクと考えてよろしいんですか。そういう傾向だけでもないということでしょうか。

【新田委員】 推定されている日死亡のリスクの大きさのばらつきを考えますと、傾向としては年齢の高い群でリスクが大きいということはあるかと思います。ただ、全体的なリスクの推計のばらつきの中で、先ほどご紹介しましたいろいろなリスクの大きさを修飾する因子があって、当然年齢はそれの中の重要なものであるということと考えておりますけれども、他にもいろいろな要因素がありますので、その他の要素も含めて判断をすべきかなというふうに思います。個々の論文でいろいろな要因子を含めて解析してある知見というのは少ないというのが現状ですので、現時点で明確にどの要因が一番リスク比に、もちろんPM2.5濃度以外に何が重要かというようなことをきちっと整理するというのはやや困難な面があるのかなというふうに感じております。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。それから、前から問題になっているPM2.5以外の共存の汚染物質を調整したものとそうでないものも、というかここに書いていないものもありますが、その点はいかがでしょうか。

【新田委員】 今回PM2.5の結果だけお示ししております。個々の知見によっては、いわゆるシングルポリュータントモデルというそれぞれ単一の汚染物質を入れたリスクの推定値のみを示している論文と、複数の共存汚染物質を同時に解析モデルに投入して、マルチポリュータントモデルと呼ばれているような結果、両者を示して比較しているものもございます。これは個々の論文によって、かなり取り扱いが違うということもありますので、定量的リスク評価において、一概にどちらかに限定して議論するということも難しいのかなというふうに思っております。

【内山委員長】 ほかにいかがでしょうか。香川先生、工藤先生あたり何かご意見。

【香川委員】 最後に。

【内山委員長】 はい。よろしいでしょうか。
 そうしますと、また今ご説明いただいた中ではやはり、平均化時間というのは全部24時間平均という、1日平均ということで短期は見ているということでよろしいですか。

【新田委員】 ほとんどが24時間平均を用いると。もちろん時間単位の解析が皆無ということではありませんが、定量的評価として取り上げて議論できるということについては、やはり24時間平均の平均化時間のものを短期影響の場合に今後は限定して議論してもというか、疫学知見に基づくということであれば、そうせざるを得ないのかなというふうに思っております。

【内山委員長】 そうしますと、今ご説明ありましたように、短期曝露影響の平均化時間、濃度測定データから平均値を出す期間というのは24時間、1日ということで今後考えていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 特にご意見がないようでしたら、1日ということで今後考えていきたいと思います。
 それでは、また最終的に、総合的にご議論いただくとして、続いて高野先生から資料3に基づいて、毒性学的知見について少しご説明をいただいて、それでまたご議論いただいた後に総合的に議論ということにしたいと思います。
 高野先生、よろしくお願いいたします。

【高野委員】 それでは、低濃度曝露における用量−効果関係を示す毒性学的知見について、作業会合で検討いたしましたので、その内容をご紹介させていただきます。資料3をごらんください。
 先ほど来お話がありましたように、リスク評価手法専門委員会報告におきまして、ヒト志願者、それから動物実験に関する毒性学の知見による用量−効果関係も考慮する必要があるというようにされておりましたので、これを受けまして、微小粒子状物質健康影響評価検討会報告において評価の対象といたしました毒性学知見と、2007年4月以降に出版された毒性学知見を対象に、一般大気環境の濃縮粒子を用いたヒト志願者実験及び動物実験を中心に、毒性学知見において比較的低濃度領域、これは300μg/m3以下でありますけれども、ここにおいて用量−効果関係が見られていると考えられる知見を抽出いたしました。ここでご注意いただきたいことは、一般大気環境の濃縮粒子を用いておりますので、日々変動する大気環境の粒子を濃縮しておりますため、曝露濃度を制御して用量−効果関係を見るという点につきましては限界があるということにご留意いただきたいと思います。また、ヒト志願者実験及び動物実験ともに曝露期間は比較的短期間である研究が大半でありまして、得られている結果は疫学研究で見られる短期曝露影響に対応するものが多いということにもご留意いただきたいと思います。
 それではまず、2に示してありますヒト志願者実験の結果であります。比較的低濃度、300μg/m3以下のCAPs曝露をいたしまして、健常の志願者における研究というのは、同一研究グループの一連の研究が公表されております。これはGhio、Holgate、Harder、Huangの研究でございまして、38人の健康な非喫煙者、18歳から24歳を対象に、間欠的運動下で2時間、ノースキャロライナのChapel Hillの環境大気を6倍から10倍に濃縮いたしまして曝露を行っております。平均は120.4μg/m3で、PM2.523.1から311.1μg/m3にわたっております。これを低濃度群、中濃度群、高濃度群と対照群の4群に分けて検討を行っておりまして、低濃度群は47.5μg/m3が平均値、中濃度は107.4、高濃度は206.7という状況です。曝露の前後に肺機能検査、それから血液検査、曝露後に気管支鏡検査を行っております。
 結果でございますけれども、まず肺機能検査に関しましては、CAPs曝露の影響は見られなかったということでありました。しかし、CAPs曝露後に気管支肺胞洗浄を行いまして、この中の好中球を調べてみますと、これが濃度依存性に増加しているということがきれいに示されております。これがFigure4に示されております。次のページにございます。Quartile1、2、3、4といいますのは、濃度が右に行くほどふえていくということで、縦軸が好中球の比率、あるいは数ということでございます。
 そして、このときに同じく、末梢血液中のフィブリノーゲン値の上昇というのも観察されたということが述べられておりました。ただ一方、気管支肺胞洗浄液中の炎症性のタンパクでありますサイトカイン、あるいは気管支生検組織中の炎症細胞の数等にはCAPsの影響は見られなかったということも述べられております。その他成分量と好中球数の相関に関しまして硫酸塩やFe等と、フィブリノーゲンの増加と銅、亜鉛、バナジウム等との関連が報告されておりました。
 同一研究グループで、もう一つ20人を対象とした研究が行われておりまして、これも非喫煙者18歳から40歳、間欠的運動下のCAPs曝露2時間を行っております。CAPsの平均値が120.5μg/m3で、範囲は15から357.6ということでございました。15人にCAPsを曝露しております。この実験におきましては末梢血液中のフィブリノーゲンの増加とCAPsの曝露濃度に正の相関が認められたということが述べられております。
 以上におきまして、健常人に対する比較的低濃度のCAPsの急性曝露は、濃度依存性に軽度の肺の好中球性の炎症を誘導するということが示されました。
 また、一部の研究手法により、若干の差異はございますけれども、末梢血中のフィブリノーゲン量が増加し、濃度依存性が観察された事例もあるという報告がございました。
 3ページの図2には、フィブリノーゲンの末梢血液中の増加量と粒子状物質の濃度の相関というグラフが示されております。
 それから、3番の動物実験でありますけれども、これもCAPs自体を用いた報告は数多く出てきておりますけれども、用量と効果の検討まで踏み込んだ論文はまだ少ないという現状がございます。中でもLeiさんでしょうか、これは黄砂の時期に行った研究でありまして、ラットにモノクロタリンという物質をうちまして、肺高血圧を惹起して、その状態下にCAPsを曝露するというものです。黄砂の時期ということで、対照群でも126.5μg/m3、それから低濃度曝露群で315.6、高濃度曝露群では684.5というCAPs粒子状物質を曝露しております。6時間、途中で動物が死んでしまったり、また機械の調子が悪くなったということで、高濃度曝露では4.5時間で終了しておりますけれども、末梢血液中の白血球数、あるいは気管支肺胞洗浄液中の総細胞数、好中球数、総タンパク数、LDH(lactate dehydrogenase)の濃度、IL−6の濃度が用量に依存して増加するという結果が得られております。IL−6というのも炎症性のタンパクサイトカインでございます。
 それから、Kobzik et alでございますけれども、これはアレルゲンを用いた喘息のモデルマウスに、CAPsとオゾンの曝露を行っております。そしてCAPsの濃度といたしましては、高濃度63.3〜1568.6、低濃度は1.6〜133.1μg/m3であります。アレルゲンで感作した後に、3週間後からCAPs及びオゾン、あるいは正常空気を曝露すると。CAPsに関しましては1日5時間3日間という曝露を行っております。この結果でありますけれども、まずCAPsの濃度及び3日間の累積曝露量に依存して、Penhという指標でありますが、これは気道の過敏性の一指標とお考えいただきたいと思いますけれども、こういった指標のベースラインの値ではありますが、増加が認められるということが述べられておりました。
 それから、もう一つCAPsとオゾンの複合曝露時には、CAPsの濃度に依存した肺気流抵抗値の上昇、気道反応性の亢進が認められたということが述べられておりました。そしてここにおきましても、CAPsの成分と効果の関係が述べられておりまして、イオウの濃度、あるいはオゾンとの複合曝露時には、ケイ酸アルミニウム濃度とのPenhと、Penhの増加との相関が認められたということが述べられておりました。
 以上、数は余り多くありませんでしたが、このような報告がありましたので紹介させていただきました。

【内山委員長】 ありがとうございます。これは、今最初にお話しいただいたように、比較的低濃度のPM2.5を曝露した実験というふうに考えてよろしいですか。きょうまとめていただいたのは。

【高野委員】 比較的低濃度という、この比較的というのが何に対して比較的というところもございますけれども……。

【内山委員長】 300μg/m3以下で用量−効果関係が見られた知見が、この今きょうお示しいただいたもの。

【高野委員】 CAPsを用いた実験でも、そのケースによりましては23.1とか、かなり低い粒子濃度も含まれておりますので、比較的低濃度という表現をさせていただいております。

【内山委員長】 それで、あと文献を見ると、特に新しい年号のものはないんですが、大体2004年ぐらいまでのものですね。2007年、8年では、こういう低容量のものは余りなかったというふうに考えてよろしいでしょうか。

【高野委員】 用量−効果関係までを見た論文がなかったというようなとらえ方が正しいかと思います。

【内山委員長】 それでは何か、ご質問、ご意見ございますでしょうか。
 工藤先生どうぞ。

【工藤委員】 CAPsの吸入のときに、BALの細胞の変化と、それからもう一つはサイトカインの変化について見ていると思うんですけれども、一つは、オリジナルの方を見ますとBronchial Lavage、要するに気管支洗浄と、それからBAL、Bronchoalveolar Lavage、気管支肺胞洗浄という、これは同じときにやっているんですか。
 これは曝露から18時間……。

【高野委員】 一度であったと思います。

【工藤委員】 一度ですか。ちょっとこの手技がよくわからないんですけれども、結果が違っているんですよね。それで、Bronchial Lavageの方は、Neutrophilの上がり方がより強いというか、そういうことと理解していいんでしょうか。

【高野委員】 一応結果からは……。組織上は差はないと……。

【工藤委員】 そうですね。これは、テーブルの4のところですね。これはBronchial Lavageで……。

【内山委員長】 先生、もとの文献。

【工藤委員】 もとの文献……ごめんなさい。これは、こちらの配られた毒性の2のところです。毒の2と書いてある。

【内山委員長】 傍聴席にはないですね。申しわけありません。委員限りの原文の、オリジナルを用意しておりますので、よろしくお願いします。

【工藤委員】 これは、Neutrophilが上がるというのは、要するに好中球を誘送させるサイトカインで一番関連するのはIL−8だと思うんですけれども、このIL−8との関連が出てこないとちょっと困るなと思うのですけれども、これで見ると、確かに気管支洗浄の方は、好中球は濃度依存的に少し上がってはいるんではないかと思いますけれども、これはテーブル4のところですね。それでテーブル5を見ても、これはIL−8は、エアーの吸入のときは54.3で、それでその次の低濃度、中濃度、高濃度がありますけれども、114、104、90と上がって、濃度依存的に上がっているわけではありませんけれども、やはり曝露したときにぽんと上がっていますよね。だからそういう意味ではそれなりに意味があるのかなというふうに思うんですが。それからBronchoalveolar Lavageのこの方法については、気管支洗浄とどういうやり方が違っているのかがわかりませんけれども、むしろ肺胞の方を反映しているから、逆に気管支の方は余り反映していないというふうに考えていいのかもしれない、そういうふうに理解しますけども、いかがでしょうか。

【高野委員】 原文の984ページのあたりに、……。確か、に……。

【工藤委員】 テーブル4、5が気管支洗浄で、テーブル6、7が気管支肺胞洗浄なんですね。ですから、気管支洗浄の方はやはりそれなりの意味があるデータというふうに思ったんですけれども。
 あと、ディスカッションの中でも言っているように、テーブル7の濃度が上がった方がIL−8の濃度が下がっているのが理解が難しいというふうに書いてありますけれども、それは確かにそのとおりだと思うんですけれども。ただ、逆に気管支肺胞洗浄のところでのエアで既に非常に高いものですから、むしろこのこと自身がよくわからないというふうに思っています。したがって一番信頼するのはやはり気管支洗浄の部分かなというふうに思いますけど。

【高野委員】 そうですね、はい。

【内山委員長】 その結果の解釈が一つと、それからBLとBALですね。気管支洗浄液と気管支肺胞洗浄液、その手技は、ここにちらっと984ページのところのBronchoscopy with lavageというところで、最初の20ccがどうもBLで、残った、後から出てきた50をBALという、alveolarまで行ったものというような感じで書いてありますが、はっきりした手技は書いてありませんが。

【高野委員】 あと、動物実験上は、他の粒子を用いた実験ですけれども、IL−8等のケモカインが余り動かずに好中球が出ているケースがありまして、恐らくそれは補体系ですとかリピッドメディエーター系が関与している可能性があるのかなということもございますので、その辺の検討はないので、PGは一つありましたけれども、その辺の可能性も考慮できるかなという気はいたします。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。では高野先生、少しBLとBALが、もう少しちょっと原文を当たっていただいて、その違いとか、それの意味がわかりましたら、少し書き加えていただければと思います。
 そのほかにございますでしょうか。

【新田委員】 同じ研究に関してちょっと確認したいところがございますが、この曝露2時間と書いてありますけれども、その後低濃度群、中濃度群、高濃度群でそれぞれ濃度があるのは、CAPs曝露ですから、外の濃度に依存して濃度は変動して、その2時間の平均値が高濃度群では例えば206.7とかと、そういう理解でよろしいでしょうか。

【高野委員】 これは日をかえて曝露を行っておりますので、結果的に曝露が終わった後にこの方たちを低濃度群としようというふうに分けているんだと思います。ですから、例えば1日1人、違う日にまた1人の方、次の日にはまた1方というふうに、そうすると、結果的にいろいろな濃度で曝露した方がおられますよね。それを低濃度、中濃度、高濃度というふうに一まとまりにして比べているというふうに理解できると思います。

【新田委員】 そうしますと、ここで高濃度群、例えば206.7、±19.2で10人というのは、10人の全体の2時間曝露の平均が206.7で、±でその10人の中のばらつきがこの範囲だったという、そういう理解でよろしいでしょうか。

【高野委員】 そういう理解です。

【内山委員長】 そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。そうしましたら全体を通じて長期曝露、それから短期曝露の疫学、それから低濃度曝露における用量−関係を示す毒性学知見ということで、作業会合でのまとめを中心にご報告いただきました。何か全体を通してご意見なりご質問はございますでしょうか。
 香川先生どうぞ。

【香川委員】 まず、呼吸器系の疾患が独立して評価されていません。心肺系ということで。これは、できれば呼吸器疾患の評価を長期曝露のものもしていただきたいと思います。ご承知のように、アメリカのクライテリア・ドキュメントをみ直していますが、独立してrespiratory diseaseは評価していますので、していただきたいと思います。
 もう一つは、この委員会でも最初susceptibilityとvulnerabilityと二つに分けて評価することを確か述べられていたと思いますが、そのvulnerabilityの中に、いわゆる、脆弱性の中の一つとしてより高い濃度の曝露を受けている人が入っています。どういう人かと言うと、これは沿道に住んでいる人たちが一番クローズアップされるわけですから、この環境基準の前のリスク評価のときですか、同じことを言いましたが、新田先生が、いや沿道の汚染は微小粒子を評価するには適切じゃない、というニュアンスのことをおっしゃったと思うのですが、私はそうは思いません。なぜなら、今大都会の大気汚染の、特に東京なんかは、指標汚染物質によって変わりますが、6割から7割、場所によってはもっと排気ガスが占めているわけですから、当然疫学調査をやれば、そういったものを評価していることになると思うんです、結果的には。それで、より高い濃度の曝露を受けている住民の、いわゆる日本でいろいろ行われてきた沿道調査というのは、長期及び短期曝露を評価する上で、エンドポイントとしてどんなものがあらわれてくるかというのを評価するのには非常にいい調査手法だと思うんです。ですから、欧米でも数年前から、このtraffic related air pollutionのhealth effectの研究が数多く出てきています。特に沿道からの距離別で評価したものを重視して評価し出しています。沿道からの距離別のデータというのが日本にもありますし、ただ残念なのは、日本の場合は余り浮遊粒子状物質の評価をしたというのが少ないんじゃないかと思いますが、最近の欧米の調査はそういうことに重点を置いてやっていますので、それ関係の文献の紹介が今回ありませんので、入れていただけたらと思います。
 それからもう一つは、職業性集団のものは、意識的にこれは除かれていますよね。でも欧米では、職業曝露というと、いわゆる職場での曝露をすぐ思い浮かべるけれども、そうじゃないんだと。例えば、ディーゼルに曝露を受けているようなトラックの運転手とかそういった人たちは、結果的には地域の大気汚染プラス職業性に少し曝露を多目に受けているということで、特に自動車排ガスの健康影響を評価する上では、そういった自動車を取り扱い、あるいは運転しているような人の集団の健康影響調査というのは、地域住民の健康影響評価をする上で極めて重要であるという認識に立って評価が進められていると思います。だから、職業性曝露というと、通常すぐ職場の非常に限定されたところを考えて、だから必要ない、あるいは地域住民が曝露するよりも非常に高い濃度を受けているから必要ないという考え方で除外されてきていたと思いますが、少なくとも自動車排気に関した職業性曝露というのは、地域住民の健康影響評価をする上では、参考になるということで、積極的にそれを取り入れて評価しようという動きも出てきいおりますので、考えを改めると言ったら言い過ぎかもわかりませんが、取り上げていただけたらと思います。以上です。
 あと、この先のことなんですが、きょう疫学とこの毒性の知見の紹介がありましたが、この後どういう方向で進まれるんでしょうか。その進め方について私ちょっと意見があるのですが、前もってそちらの方の意見を聞かせていただけたらと思います。

【内山委員長】 これは後で事務局の方から、今後のスケジュール等についてご説明していただいて、前半の方のご意見について。

【新田委員】 まず、呼吸器系を独立して評価ということに関しては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、呼吸器系だけの例えば死亡、それから発症とかを示している長期の前向きのコホートの研究が非常に少なかったということでまとめてお示ししましたけれども、基本的に別で評価すべきということであれば、作業会合でもそのような検討をしたいというふうに思います。
 それから沿道調査に関しましては、これは作業会合で議論しておりませんので、私の見解ですけれども、今回のこの場での議論は、PM2.5に関するものだというふうに理解をしております。ですから、今回の取りまとめでも、PM2.5の濃度が示されているもの、曝露を推計できるようなデータがあるものに関しましては、沿道調査であっても排除していないつもりです。ですから、例えばきょうちょっと本文中には具体的に書いておりませんでしたけれども、ちょっとまだ若干きょうの資料も不十分なところがございますが、資料の1の7ページの図の3の肺がんの死亡のところでお示ししました判例を見ていただきますと、Dutchと書いてるオランダのグループの報告に関しましては、これは沿道を中心とした研究での報告でございます。ちょっと整理の関係で全死亡、その他の疾患に関するところまで複数の論文の中でエンドポイントをいろいろ挙げておりますが、例えば心血管疾患に関する結果が出ているものでは、PM2.5の濃度が示されていなかったとかいろいろ、まだ完全に全体の研究の状況を整理できていないということで、肺がんだけをここで出しております。ですから私としては、PM2.5の濃度が具体的に示されていれば沿道調査だから排除すべきとか、実際作業上しているということはないというふうに思いますし、それも含めて評価していきたいと思います。
 ただ、沿道だけ特別に、今回のこのPM2.5の環境基準専門委員会として、PM2.5の健康影響を見るときに沿道だけ特別に何か評価すべきかどうかに関しましてはちょっと議論した上で、そういう必要があるということでしたら作業会合の方にこの専門委員会の全体の方針としてお示ししていただければ、それに従って作業を進めたいと思います。
 職業曝露に関しましても、私の見解はちょっと香川先生とは違うところがございますが、この専門委員会の方針として全体をお示ししていただければ、それに従って作業を進めたいというふうに思います。

【内山委員長】 今の香川先生のご意見も、ここで、本委員会で今回まとめていただいたのは、PM2.5の濃度が示されたものであって、それで信頼性の面から前向きコホートをやっているものというのが主に中心に、それで定量評価ができるものという観点で、そこから何か定量的なものを出そうという観点でまとめさせていただいていたので、職場、それから沿道というふうに限ってはいないわけなんですけれども。

【香川委員】 ですからそういう視点ですと、沿道の調査はかなりちゃんとPM2.5も距離別にはかったデータで健康影響評価して、そして特に心血管系への影響とかそういったものが、かなりの数の報告が出ていると思いますので、このオランダの一つだけじゃないと思うので。

【新田委員】 PM2.5を直接はかっているものはそれほど多くないというふうに考えておりますけれども。

【香川委員】 これは私の意見です。現に、今米国の研究機関が、このtraffic related air pollutionの健康影響評価のモノグラフをつくっていて、そこでPM2.5の評価もするように、かなりデータは確か蓄積されて評価していると思いますけれども。

【内山委員長】 わかりました。その点はもう一回今回の条件ですね、疫学研究の抽出の考え方に沿って、もう一度ちょっと見させていただいて、それでそれが十分それだけでまとまるものがあればちょっと考えさせていただくということでよろしいでしょうか。
 それから職業曝露については、これもPM2.5という形でやったものというのは、ディーゼル、いわゆるディーゼルトラックの運転手ですとか、ディーゼル車の機関車の運転手というような職場のあれはあると思うのですが、PM2.5を測定した職場の職業集団というのでコホートでやった研究は余り見たことがないと思うのですが。

【香川委員】 数は多くありませんけれども、ディーゼルのクライテリア・ドキュメントというのは、我が国でももうかなり前ですし、EPAもかなり前で、その後PM2.5とかそういったものをはかって評価した研究というのは、幾つか出ていると思いますけども。

【内山委員長】 わかりました。ただ、そういう高濃度でやった……、高濃度と言うかどうかわかりませんが、それの一般環境の10、15、20というところよりは、高濃度から今度低濃度に外挿するという作業が必要になりますね。もしそういうことから何かを出そうと思えば。

【香川委員】 そこが、過去の職業性曝露の集団となるとそうですけれども、例えばトラックの運転手とかそういったものの人たちが、地域住民、あるいは沿道に住んでいる人が曝露を受けるのと比べて、外挿しないといけないほど高い濃度に曝露されてはいないと思うのです。それで、何人かの人たちは、そういった職業集団のものも、この地域住民の健康影響を評価する上で非常に参考になるから、ちゃんとそれも評価すべきじゃないかという意見がかなり出てきていることは確かです。

【内山委員長】 新田先生、何かご意見ありますか。そういうことの観点で少しまとめるということに関しては。

【新田委員】 私も、PM2.5、微小粒子全体の影響をどう見るかという一連の、これまでの議論からして、定性的評価と呼んでいたようなものの中では、もちろん沿道のものも取り上げておりましたし、一部そういう職業的な曝露のものも取り上げた上で評価をしてきたかと思います。今回、定量的評価の中で、リスク評価検討会の報告書で、一般集団でというようなものを考えてやるというような方向は了解されたというふうに私は理解をしておりましたので、実際上PM2.5を測定している職業集団の長期のコホートは、私自身はちょっと今すぐ頭に思い浮かぶ疫学研究はちょっとありませんけれども、もしあれば参考として、この専門委員会の中でお示しして、議論の資料とするということに関しては別に、より広く科学的知見を収集して議論すべきだろうという基本的な方針は当然ありますので、そのような方向で考えるべきかなというふうに思います。

【内山委員長】 加藤先生、どうぞ。

【加藤委員】 確かに交通関連の研究ですとか、その健康影響の研究ですとか、それからディーゼルでヒト曝露研究などもありますし、そういう研究の中には非常に興味深いものもたくさんあるという感覚はあるんですけれども、そういうものが定量評価のときに、目安を見つけるための参考になるかというふうに考えると、やはりなかなか難しい。私も勉強不足なので、今新田先生がおっしゃっていらっしゃったみたいに、もう一度見直せばあるのかもしれないんですけれども、ちょっとそういうふうには私も思い当たってはいないんですね。じゃあそれを全部無視するかどうかというところはちょっと何とも言えない。定量評価というところではやはりなかなか難しいんですけれども、因果関係の評価多少定性的に支持するというものはあるのかなという感じは持っています。それをこの報告書の中で、どこまで取り入れて報告書をつくっていくかというところは、まだ十分の議論をしていないのかなという気もするんですけれども、いずれにしましても、定量評価の出発点として使うのに資するようなものとしてはちょっと、私の現在の頭の中では難しいような感じは漠然と持っております。

【香川委員】 私の言葉の不十分のせいでしょうが、この先どう進めるかという中で私はそれを言おうと思っていたのですが、今もその話が出ましたので言いますけれども、もちろんこの沿道にしても職業性にしても、定量評価で何か閾値的なものを、今回のに役立つほどのデータは余りないんじゃないかと思います。でも、このデータをもとに、今度因果関係の評価をしていかないといけないわけです。今回のは疫学及び毒性で、こういった影響がありますよということですけれども、この先どうするんですかという質問の答えを得てから、私は先ほどのことを言おうと思っていたのですが。

【内山委員長】 わかりました。この専門委員会の報告書としてどういうものをまとめて、それで目安といいますか、基準値のもとになるものを求めていくかということをどういうふうにまとめていくかということも含めて、事務局から説明してください。

【松田補佐】 事務局の方からご説明をいたしますが、これまでの微小粒子状物質についての取り組みとして、昨年4月に健康影響評価検討会の報告をまとめていただいておりまして、この中において、当時の疫学知見、毒性学知見、PM2.5だけじゃなくて、PM10などの粒子状物質についての知見を踏まえた健康影響という部分について評価をいただいていると、こう考えております。健康影響評価検討会報告がまとめられた以後の新しい知見というのも当然あると思いますので、その点は前回のこの専門委員会でご紹介いただいたということで、健康影響評価検討会のまとめられた報告を前提として、最近の知見も含めた形で、微小粒子状物質の健康影響を整理していただき、報告の中に反映していただきたいとは考えております。ただ、基本的にはこれまで定性的な評価ということで審議を健康影響評価測定において大分長い期間でまとめていただいたということもございますので、この評価を前提にしていただきたいということで考えております。
 それで、今回の審議会におきましては、第1回の専門委員会においてもお話しをいたしましたが、微小粒子状物質の環境基準の、設定について中央環境審議会に諮問しているということでもございますので、先ほどお話しをした微小粒子状物質の健康影響、定性的な評価の内容も踏まえた上で、具体的にどのような知見を用いて定量的評価を行うのかが主要な評価法であると考えてます。その点評価手法についてはリスク評価手法委員会においてまとめられているものを使ってということになろうかと思いますが、この手法を用いて、具体的にどのような知見を抽出をしていくのかと。その抽出をした知見、及びそれぞれの知見による評価の内容を踏まえまして、またかつ毒性学の知見もあるということですけれども、さまざまな知見について総合的かつ包括的な評価を行った上で環境基準の設定に当たっての指針値を見出すための検討というのを行っていただきたいというふうに思っております。
 その意味で言うと、今後これらの、本日新田委員の方からも報告がありました、こちらの方の定量評価に関する作業というのをさらに進めていただきまして、さらに今後環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討というのを作業会合、本専門委員会で行っていただきたいと思っております。
 またあわせまして、環境基準の評価方法など、環境基準の設定に当たっての指針値以外に環境基準の構成要素もございますので、この点についても審議をお願いしたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【内山委員長】 ですからきょうは、その部分の中の定量的評価ということでご審議いただいているということです。

【香川委員】 わかりました。私の意見は、定量的評価という中身なんです。それで、ご承知のように、EPAなんかが今進めているのは、もっと積極的に心血管系、呼吸器、死亡、それからその他もろもろの各項目に、地域住民の健康を保護するという視点から立ったときに、例えば死亡の過剰はやっぱり防止すべきだとか、心血管系疾患の罹患がふえるのは防止すべきだといったときに、今持っている知識で因果関係がどのところまで言えるかというので、ドラフトの中で示されているのは、例えば心血管系に関してはPM2.5の短期曝露は原因となり得るとはっきり書いているわけですね。それ以外は原因となりそうとか、示唆的とか、いやそういったことを評価するにはまだデータが不十分だというので、より具体的に評価している。過去のクライテリア・ドキュメント、あるいはスタッフペーパーでは、基準を決めていろいろなことを進めていくときに説得力が余りない。それで、今データがかなり蓄積されているから、因果関係をもっと積極的に評価して、例えば原因となると評価されたものに関しては、これはもう積極的に環境基準を決めるときにより厳しい姿勢で評価するとか、それから原因となりそうと判定したものも積極的に取り入れるかどうかというのは、今一番議論になっているところで、この委員会も、定量的な評価とかと言うんですけれど、何か私、因果関係のところまでははっきりおっしゃっていないようなので、時代がそういう方向に動いていっているので、この委員会も、私は科学的には極めて大事だと思うんです。ですからEPAが今回出している第1回のドラフトにしても、あのやり方は、いろいろな団体が非常にいい仕事をしていると高く評価しておりますから、私もそれは当然だと思うので、この委員会も、ぜひ因果関係を踏み込んで、この毒性とかいろいろなデータ、そのときにこの沿道のデータとか職業性の評価、例えば3都市で見られている、あるいはほかで見られている肺がんの影響が出てきたときに、その因果関係を評価するときに、もうちょっと高い曝露で受けている職業集団ではこういうことが見られているから、かなり原因となりそうと、あるいは示唆的という段階なのかという評価をすることによって、その基準的な値を提示するときに説得力が違ってくると思うんです。そこを私は言いたかったんです。

【内山委員長】 わかりました。貴重なご意見ありがとうございます。
 関澤先生、どうぞ。

【関澤委員】 香川先生のご意見とちょっと違ったところで最初はコメントしようと思っていたんですけれど、お話ししているうちに少し関連があるなと思いながらお聞きしました。私は実は、高野先生のご報告についてちょっとコメントをさせていただこうと思っていましたが、結局、毒性試験というところからは何が得られるかということで、定量的な低用量での試験ではもちろんありませんので、カットオフのクライテリア、カットオフなところまでは持っていけないと思うんですが、その重要性というのは、メカニズムの考察というところにあると思うんです。ちょっと香川先生のコメントに戻りますと、比較的高濃度でお仕事上何らかの理由で曝露される可能性のある人にどういう疾病や症状が見られているかということを知ることによって、メカニズムとかの考察が十分可能なデータが得られるかもしれないと思います。動物実験からは、もちろんそういったところがむしろ重点なので、そこでどういったことが見られたか、あるいは見られなかったか。ここでご紹介いただいたのは、比較的低濃度領域において用量−効果関係が見られていると考えられる知見について紹介すると書かれているんですが、ほかにしっかりした信頼性のおける研究で見られなかった、あるいは必ずしも定量的な用量−効果関係でなくても、何かの濃度で何らかの特徴的な症状が見られているというのも、メカニズムの考察においては逆に重要かなと思うので、そういった研究はどういうふうに扱われたかということをお聞きしたいのが一つ。
 それからもう一つは、2番目は細かいことになりますけれども、私は前に毒物、劇物の指定の手法についての検討会に属していて、吸入試験データの扱いについてかなり網羅的に検討したことがあります。その場合は動物で、比較的高濃度で曝露した場合の実験なんですけれども、動物の場合は鼻部曝露と、チャンバーに入れてやる試験が大きく分けてありますが、この、きょう紹介された人のを見てみますと、チャンバーに入れておられるのが幾つか見られました。チャンバーに入れたときの問題点というのは幾つかあって、単に高濃度に曝露したというだけじゃなくて、特に粒子状物質については、そこの中で運動などをすると、当然汗をかきます。それで、汗が湿気に、全体に影響してきますし、そうするとそこに微粒子が吸着してしまうということで、濃度が変わってしまうという問題があります。そういった実験上のいろいろ限界というか、問題点というのもはっきり書かれた上で、実際曝露された濃度とはかっている濃度とにずれが出てきている可能性がありますので、そういった問題点と、それから当然健常なボランティアをお使いだと思うんですけれども、一般環境で曝露されている方で、実は症状が出てこられるのは、先ほどもご指摘のあった高齢者とか、ほかの疾患を既に持っておられる方がどうしても感受性群になると思うので、あくまでボランティアの健常者を使った試験から得られることは、必ずしも実際の一般環境でセンシティブな方とは違ったことしか見られない場合がありますので、そういった限定と、それから実験上の問題点もはっきり指摘した上で、毒性試験からは、この定量的なカットオフについて議論する上で、メカニズム上どういったことが指摘できるのか、あるいはネガティブな試験結果でもよろしいですが、どういうことがないと言えるのかというようなことを、明瞭に何か結論としてまとめていただければありがたいかなと思いました。

【香川委員】 チャンバー内で入ってきた物質が変化するということは、今行われている例えばEPAのチャンバーではそういうことは起きないと思います。非常に大きいチャンバーで、換気量もかなり大きいですから、そういう心配はないと思います。
 それから、健康者だけじゃなくて、最近はリスクがある糖尿病患者を曝露してどうかとか、それから喘息の患者を曝露したりとか、慢性閉塞性肺疾患と診断のついた人はどうかとかというのも結構やられておりますので、チャンバーに関しては関澤先生のご心配になっているところはかなり少ないんじゃないかと思います。

【内山委員長】 あと、ちょっと誤解されているところがあると思うんですが、きょうお示しいただいたのは、定量評価に用いられるデータを見せていただいたので、先生が今おっしゃった前半の方は、前回までの健康リスク、これは全くこの報告書に載らないというわけではなくて、すべてこの前回までの定性評価のものを載せて、それで今やっているのは定量評価のチャプターだと思っていただければいいと思うんですが、それでよろしいですね。
 ですから、当然今おっしゃった因果関係を示すような、メカニズムを示すような動物実験なり人のボランティアの実験もそこに載って、さらにその次に、じゃあどういうものを使って定量評価しましょうかというときに、疫学はきょうお示ししていただいたものが中心になる、それから動物実験、人のボランティア実験はきょうのものが参考になるだろうというところをきょうご議論いただいているということだと思いますが、高野先生、それでよろしいですね。

【高野委員】 今それを申し上げようと思いました。基本的にお示ししたかったのは、ドースリスポンスは認められると。ただ、その有意差が認められるのはかなり高い濃度でございまして、実際一般環境におけるような濃度では有意な変化ではない。ただ、一応ドースリスポンスの下の部分にはかかっているというようなことを申し上げたので、いろいろなあと高感受性群等の報告に関しましては、以前の報告でまとめさせていただいております。

【内山委員長】 佐藤先生、何か、よろしいですか。
 ありがとうございます。それからチャンバーの方は、今香川先生が補足していただいたように、ただ、このきょうお示しいただいたのは健常人だということですので、そこのところのディスコンサスはちょっと入れていただくということもあるかもしれません。
 坂本先生どうぞ。

【坂本委員】 少し書き方を考えていただきたいのは、三府県コホート研究のところについてですけれども、PM2.5を推定したわけですよね、この場合に。SPMから。そうすると、それについてどの程度の地域による信頼性があるかというのが、やはりこの最後にまとめるときには、これをどういった形で使うかのときには考えなければいけないことになりますので、多分濃度の違うところで、比もかなり違うのではないかと思うんです。そういったところについての少し統計的なものを書き加えた上でどうだということにしておいていただければ、その後解釈するときに、使いやすいというふうに思います。よろしくお願いします。

【内山委員長】 わかりました。それは書き加えていただきたいと思いますので。
 そのほかにいかがでしょうか。
 新田先生。

【新田委員】 香川先生の先ほどの前の方のコメントの議論に戻ってよろしいでしょうか。
 私もアメリカでの現在の微小物質の健康影響、健康リスク評価の現状に関しては、香川先生がおっしゃられたとおりだと思います。今までもそうでしたし、現状でも、米国におけるそういう検討が進んでいると、少なくとも我が国よりも進んでいるということはある程度認めざるを得ないのかなというふうに思います。ただ、健康影響評価検討会での報告書の中の結論で、微小粒子状物質一定の影響を与えることが示されたという結論になっております。私は、ここでは明確に米国のような因果関係に関してのランキングのようなものに対応した表現にはなっておりませんが、causal、もしくはlikely causalという、それに相当するものだろうというふうに理解しております。ですから、現在の定量、今ここで専門委員会での役割として求められているPM2.5の定量的評価において、個別のエンドポイントごとに因果関係に関してこの場で評価をしなければ定量的評価ができないというふうに私自身は考えておりません。ですからいろいろなエンドポイントを全体で見れば、米国でもそれぞれのエンドポイントでcausalのものもあり、likely causalのものもあり、sufficientのものもあり、suggestiveのものもありという状況ですから、その中で、まだ米国においてはドラフトの段階で、現在定性的な評価をしているという状況だと思います。ですからそれがどのように定量的評価につながっていくかというのは、少なくとも米国においても私自身はまだ見えてきていないのだろうと思います。例えばcausalと、もしくはlikely causalという因果関係を評価したエンドポイントのみで定量的評価を行うのか、もしくはsuggestiveであっても、より低濃度で影響を示す可能性をsuggestするようなものを重視するのかというような、そういう点の考え方はもちろん米国でも見えてきていないのではないかなというふうに思います。ですから、私は、今回この場でエンドポイントごとに因果関係の評価をするという方向は、将来は当然そういう方向が出てくる可能性はあるというふうに思いますけれども、今それをやるとすれば、議論は1年前、2年前に戻るということになるのかなというふうに思います。ですから、全体としてcausalないしlikely causalであるという前提で定量的評価をこの専門委員会では行っていくのが役割というふうに私自身は理解しておりました。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。大体そのような形で。ですからこの前の、このステップで進んできたところではそういう結論を一応出していて、定量評価に進んできていると。それぞれで、そのときは一番死亡が今のところは確実的なエンドポイントではないだろうか。ですが、ただし日本の環境基準を考えると、死亡ということではなくて、維持することが望ましいというようなものを、そこを出発点として、少しそこからまず見つけていこうというのが定量的な、まず観点の始まりということで、きょうのところでも一番最初に書いていただいたのは、それを出発点とすると、数値を検討するときの出発点とすることが適当というところが前回までの結論になっていますので、香川先生のおっしゃることも含めてまとめてはいきたいとは思いますけれども、今現在進んでいる方向はそのようなことだというふうに、今、新田先生がおっしゃったような、香川先生もそれほど違ったことをおっしゃっているのではないのではないかと思います。ですから今回も、ちょっとこの会の進め方が、私の不手際で申しわけないのですが、きょうはその定量的評価を行うときに、どういう長期曝露、それから短期曝露、それから毒性学での用量−反応関係が明らかになっていて、信頼性のおけるものはこういうものがあると。そこで、前回のお示ししたACS研究等では幅が広がっていくところというような観点だったのを、もう少し中点をとったり、傾きを視覚的にも少しわかりやすく、あるいは数値的にわかりやすく例としてお示ししていただいたというのがきょうの段階だと思います。これをもとにしてまた次のステップに進みたいということになると思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、大体きょうの資料についてのご議論は出尽くしたということになると思いますので、少し時間は早いですが、きょうのところはこのぐらいにさせていただいて、きょうまたいろいろ宿題等、ご検討のことも出ましたので、これをもとにまた作業会合でご議論いただいて、次の、次回専門委員会にまたご報告いただきたいと、こういうふうに思います。よろしいでしょうか。
 では、事務局の方で何かございますでしょうか。

【岡部課長】 皆様、本日は熱心なご審議、ご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。なお、本日の委員会の議事要旨及び議事録につきましては、各委員の先生方にご確認をいただいた上で公開をする扱いとさせていただきたいと思います。
 次回の専門委員会の日程につきまして申し上げます。4月16日の午後4時、16時から、虎ノ門パストラルのミントという部屋で開催いたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【内山委員長】 それでは、どうもありがとうございました。