(委員長) | 岩崎 好陽 | ||
(委 員) | 指宿 堯嗣 | 白石 寛明 | 中杉 修身 |
平野耕一郎 | 本田 城二 | 安田 憲二 | |
芳住 邦雄 | 若松 伸司 |
(1) | 揮発性有機化合物の測定方法について |
(2) | その他 |
資料1 | 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物測定方法専門委員名簿 |
資料2 | 揮発性有機化合物の分析方法 |
資料3-1 | VOC分析方法を検討するための調査について |
資料3-2 | 感度特性調査結果 |
資料3-3 | 酸素干渉調査結果 |
資料3-4 | 水分影響調査結果 |
資料4 | VOC測定機の調査結果(まとめ) |
参考資料1 | 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について~検討結果~(揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会報告書) |
【大気環境課補佐】 定刻になりましたので、ただいまから第2回揮発性有機化合物測定方法専門委員会を開催いたします。委員の皆さんにはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
それではまず、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。お手元の議事次第に資料一覧を記載しております。資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、3-3、3-4、資料4、参考資料1、これが本日の全資料でございます。なお、委員のお手元には、その下に第1回の専門委員会の議事録を配付させていただいております。こちらにつきましては、既に議員の皆さんのご了解を得ておりまして、ホームページの方で公開してございます。配付資料については以上ですが、資料の不足がございましたらお申しつけください。
よろしいでしょうか。それではこれ以降の議事進行は岩崎委員長にお願いいたします。
【岩崎委員長】 どうもおはようございます。早速ですけれども議事に入らせていただきます。本日の議事次第にもありますように、議事は揮発性有機化合物の測定方法についてでございまして、前回の専門委員会では事務局から揮発性有機化合物の分析方法を検討するに当たって、分析器の調査を行っているとの報告がございましたが、本日は調査結果をもとに排ガス中のVOCを包括的に分析するには、どのような分析方法が適用できるかについて、ご議論いただきたいと思っております。
最初に事務局からこれまでの調査結果をご説明していただきたいと思います。
【大気環境課補佐】 それでは、揮発性有機化合物の包括的な分析方法につきまして、これまで調査をやってまいりましたので、その内容につきましてご報告をさせていただきたいと思います。
まず資料2をお開きいただきたいと思います。包括的な分析方法としては、検出器の原理の違いによって、3つの方法が考えられます。1つは水素炎イオン化検出器(FID)を使う方法。それから非分散赤外線型の検出器(NDIR)を使う方法。あと光イオン化検出器(PID)を使う方法があります。特にFIDにつきましては、試料をFIDの検出器に直接導入する方式がありまして、その中にはさらにFIDに至る配管を加熱する方法と配管を過熱しない非加熱の方法がございます。それからもう1つに、メタンを除外して、VOCを特定吸着させて、それをバックフラッシュして測定する方法がありまして、ここでは一応便宜的にそれぞれをFID1、FID2、FID3と表現をさせていただきたいと思います。
NDIRを使った方法には、酸化燃焼炉をつけてVOCを燃焼してから、検出する方法。PIDは直接PIDの検出器に導入する方法です。
分析原理につきましては、おおむね今まで触れたとおりですが、裏を見ていただきますと、その構成図です。図1はFID1、直接導入方式・配管非加熱の水素炎イオン化検出器の流路構成図でございます。試料ガスをおおむね毎分2リッター前後で吸引しまして、多い部分をバイバスして排出して、一部それを検出器に導入してFIDで計測する方法でございます。FID2の配管加熱型は、この配管を過程の配管、バルブを加熱してあるものでございます。図2はその検出器のFIDの例でございまして、燃焼空気水素と下の方から試料ガスを同時に導入しまして、燃焼の水素炎の中でVOCを燃焼させ、その際に生じる電流を検出する方式でございます。この特徴といたしましては、日本でも従来からこの方法は相当機器が出回っておりまして、全ての物質を把握することが可能であり、炭素に比例した応答が得られるといったような点が特徴でございまして、保守管理あるいは操作が簡単でありますけれども、物質によって感度の差が少しあるところがあります。
図3は、カラム分離方式の水素炎イオン化検出器(FID3)でございます。複雑な構造をしておりますけれども、吸入したガスを第1分離管という上のところにある管に導入いたしまして、メタンを通過させてVOCを捕集して、捕集後それをバックフラッシュして、検出器に導入して測る方法でございます。この特徴についてですが、FIDと同じような特徴を持つわけですけれども、カラムに起因する特徴が出てまいりまして、メタンを除く際に、メタン以外の物質もあわせて、低分子のものが除外されるとか、あるいは少し高濃度のものになると測定が難しくなるといったような問題があると言われています。
図4が酸化燃焼方式の非分散型赤外線分析器、NDIRの構成例でございます。これは、酸化炉、主に白金の触媒を使った酸化触媒管と、それから生ずる炭酸ガスを測る赤外線セルで構成されております。赤外線セルの方を2本用意することで酸化前のガスと酸化後のガスを測って、最初の試料中に混入している炭酸ガスを除く方法をとりますけれども、左側の図の方はセルが1つでして、これは交互に流量を切りかえながら試料ガスと酸化後のガスを入れることで、炭酸ガスの影響を除外する方式でございます。ちなみに今回テストしました、NDIR1という方法は左側の方法を使っておりまして、NDIR2は右側のセルが2つの方法を使っております。この特徴でございますけれども、二酸化炭素を測定することになりますので、それぞれのVOC成分物質を測ったときに出る、検出器に対する感度特性といったものの影響を受けにくい問題があります。それからこの機器につきましては、今回試作機で対応しておりまして、現在市販されていないことが問題点の1つでございます。
次に、PIDでございますが、3ページにPID検出器の構成例をつけてございます。試料ガスを導入しまして、赤外線を当てる形でイオン化させて、そのイオン量の量を測る形になります。現在市販されている機器は、7エレクトロンボルト、10エレクトロンボルト、14エレクトロンボルト前後のイオン強度を持ったランプがありますが、一般的には10エレクトロンボルトのものが流通しているところです。特徴は、イオン化しやすい物質ほど強い感度を示し、またイオン化しにくいものになると、感度を示さないものがあるといったようなところがございますけれども、一部市販器の中に防爆型等も市販されていまして、現場での使用ができるといったようなところが特徴かと思われます。
資料3-1をお開きいただきたいと思います。今回の調査でございますが、FID1、2、3、NDIR、PIDにつきまして、FIDについては5機種。FID1が2機種、それからFID2が3機種。それからFID3につきましては1機種。NDIRについては2機種を試作しました。それからPIDについては2機種で、これらのデータを表示してございます。
それで、調査対象物質でございますが、2ページに調査に使いました物質の一覧がつけてございまして、脂肪族炭化水素、環状アルカン、芳香族炭化水素、アルコール、アルデヒド等の含酸素化合物、ハロアルカン、ハロアルケン、フロン等のいわゆる含塩素化合物あるいは含フッ素化合物、含窒素化合物、複素環化合物で全部で45物質を選んでおります。この45物質につきましては、環境省がこれまで行ってまいりましたインベントリーの調査で、排出量の大きいもの、あるいは、その物質群の中で代表的なもの、あるいは、その物質群の中で、分子量の小さいものから大きいものといったような形を考慮しまして、45物質を選定いたしました。後ほどその検査方法についてはご説明いたしますが、それらのガスをどういうふうに調整したかでございますが、標準ガスとして容器で売っているものは、ガスを希釈するかあるいは容器に充填された濃度のまま、一方、標準ガスとして手に入れられないものにつきましては、液体を入手しまして、高温槽の中で一定温度をかけて蒸発拡散をさせ、拡散量を把握して濃度を計算して、それで既知濃度の試料ガスをつくってそれぞれの測定器で測定を行ったということでございます。
1ページに戻っていただきますが、調査の内容といたしましては、先ほどご説明しました、既知濃度のガスをつくって、感度がそれぞれのガスに対してどのように機器が示すか、それから一部酸素の干渉を受けるという指摘もありましたので酸素干渉の影響がどうか、また水分が混入している中での影響がどうかの調査を行いました。
ちなみに、一番最後の資料に参考資料をつけてございますが、参考資料をお開きいただきたいと思います。参考資料1は、これは調査の詳細事項を記載してございますが、まず2ページをお開きいただきますと、感度調査を行った際の装置の概要をつけてございます。これは、一番上のところで、精製空気。それから基準ガスとなるプロパン、あるいはメタンを入れてやると、混合した上でマニフォールドに引っ張って、このマニフォールドからそれぞれの測定器に同時に吸引しまして、測定を同時に行う形をやっております。まずサンプルガスについては、蒸気拡散をするラインを持っていまして、ここから蒸気拡散したガスを精製空気で希釈しまして、マニフォールドに引っ張っていく。それから容器で試験用の標準ガスが入手できるものについては、ガスボンベから引っ張ってやる形になっております。
17ページをお開きいただきますと、酸素干渉の調査を行った例をつけてございまして、精製空気を入れてやると、それから窒素ガスで希釈して、それぞれ任意の酸素濃度をつくってやって、そこにプロパンなり標準ガス等を入れてやって、あるいは蒸気拡散から入れてやって混合器で混ぜて、それぞれ酸素濃度の違うガスをつくって測定器に分配する方法を行っております。
21ページをお開きいただきますと、水分影響調査の方法が書いてございまして、水分影響調査の場合には、先ほどから使ってきたラインに加湿器を加えまして、加湿器から水蒸気を発生させまして、その水蒸気を希釈混合する中で、0%、30%、60%、80%といったような水分の濃度勾配をつくりまして、それぞれの機器で調査を行ったということでございます。調査方法は以上のように行っております。
資料3―2の感度特性調査結果にお戻りいただきたいと思います。このようにしてVOCの既知濃度ガスを作成いたしまして、これをそれぞれの機器がどのように感度特性を示すかということをやりました。感度は既知濃度のVOCのppmCに対して測定した機器のppmC濃度で割ると相対感度が出てくる。相対感度1になりますと、計測器が入れたVOCに対して正しく正確に計測できたということになります。その結果は次の別表1に示してございます。この別表1の数値はFID1は、2機種の平均値で示しており、FID2は3機種の測定結果を平均して示しております。FID3は1機種のもの、NDIRは2機種の測定結果、PIDは2機種の測定結果で、それぞれ調査に供しました機器の台数の平均値として示してございます。
まず、FID1は配管を加熱している測定機器です。それで、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素と環状アルカンを見てみますと、それぞれ0.8台から1.126で、炭素と水素のみの化合物につきましては全般的に高い感度を示します。
次にアルコール、アルデヒド、エーテル、ケトン、エステル等の含酸素化合物になりますと、ホルムアルデヒドにつきましては、感度は全く示しませんが、そのほかについては0.494から0.814くらいを示しました。私どもが入手していた情報では、メタノールは0.2くらい、エタノールで0.45くらいという情報でしたので、直接法の場合比較的感度が高かったという結果が得られています。次にハロアルカン、ハロアルケン、フロン、ハロ芳香族で、含ハロゲンの化合物になりますと、このように0.9から1.1の数値を示しまして、全般的に高い感度を示します。含窒素化合物、複素環、テルペンにつきましては、0.6から0.9になりまして、このように脂肪族系の炭化水素から、芳香族のいわゆる炭化水素類、それからハロゲンを含んだものについては、比較的高い感度を有しますが、含酸素化合物、それからヘテロの化合物になりますと、少し感度が落ちるという結果を得ております。
それからFID2(配管非加熱)についてはFID1とおおむね同様の結果が出ております。それで、FID3のようにカラムを通したものになりますと、同じ今まで感度を示した炭化水素類でも、0.2、0.3と感度が低下するものも出てきますし、アルコール類については、いわゆる含酸素化合物については感度は著しく低下するといったような結果が出てまいります。
NDIRは、全般的に化合物に対して高い感度を有しまして、ベンゼンの0.830が最低ですけれども、あとは1.0台を示しています。キシレンで1.108と出ますけれども、このように全般的に非常に平均して高い感度を示しています。
PIDは、感度を有するもの、感度を有しないものも多く非常にばらばらでございまして、主に芳香族系、あるいは二重結合を持ったもの、ケトン類のように外殻電子を持ったものは感度がありますが、その感度の出方には余り規則性がないという特徴を持っております。
別表2がその感度特性を円グラフであらわしたものでございまして、円の一番下が0、その次が0.5、その次が1、1.5、と相対感度を示しております。従いまして、相対感度1のラインのところに乗ってくれば、おおむね入れたものに対して計測値が正確に出ていることになるわけですが、上のFIDについては今ほど説明しましたとおり、非常に感度がよく出るところと、若干感度が下がる部分が出てくることになります。FID3のようにカラムを利用したものについては、物質の吸着特性ごとによって特徴が出てくることで、カラム特性が出てくる形になります。NDIRは、全般的に1のライン前後のところに乗ってくることと、ホルムアルデヒドも測れる形になります。PIDにつきましてはこのような形で、物質ごとの特性が極端で規則性がないと思います。
酸素干渉でございますが、VOC測定の場合には一般的には燃焼排ガスではありませんので、余り、酸素濃度の下がったものは排ガス処理した後等のもので、よくあるというものではございませんけれども、測定の可能性もございますので測ったということでございます。特に、VOCとして使用量の多い代表的な5物質について酸素濃度を変化させながら、測定した結果が以上のとおりでございます。酸素濃度が20.9%のところを100として、酸素濃度がそれぞれの割合のとき、どのくらいの割合で相対感度が出てくるかということを示しておりまして、PIDについては酸素濃度が少なくなるとイオン化効率が上がるということで、大きく変化します。
NDIRは、酸化炉に試料ガスのみを入れて酸化していきますので、試料ガス中の酸素濃度の多い少ないの影響を若干受けるということで、少し変動が出てくるということになります。
FID1,2は、おおむね酸素濃度が5%から10%のくらいのところで低減して、最大で20%くらいの増減影響が出てくることになっています。カラムを通したFID3の場合は酸素干渉の影響を受けないということですが、これは今回の検査結果ではこのように出てきておりまして、原因については不明と考えております。
FIDの酸素干渉等の影響も除外する方法は、JISでも、特に自動車排ガスの燃焼ガスを対象にしているFIDのところでは、ヘリウムベースの40%水素を使うという方法を使っておりまして、その方法についても検証いたしました。参考資料の24ページに検討結果が書いてございまして、特にプロパン、トルエン、それからイソプロピルアルコールという3種類のガスについて、FIDの機器でどのようになるかということを検討しております。この場合、丸で書いたところが純水素で測定した結果でございまして、ヘリウムベースの40%水素にすると酸素干渉の影響が少し改善されると、メーカーサイドの話では、酸素干渉の最大影響が20%くらいと言われていますけれども、いわゆるヘリウムベースの水素を絞ったような形でやる。あるいは試料流量を調整してやるというようなことで、10%くらいは改善が可能であろうと聞いております。
資料3-4は水分影響の内容です。これについても同様に、プロパン、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラクロロエチレンという代表的なVOCガスについて、25℃の相対湿度0%、30%、60%、80%という条件下で水分の影響の調査を行いました。その結果が下の図でございまして、相対湿度0%のところを100と表示して、それぞれどのくらいの感度のずれが出てくるかということをやっております。PIDの場合は水分の影響を幾つか受ける。FID1と2につきましては、余り影響は大きくないようです。NDIRについても余り強い影響は出てきておりません。NDIRの場合は、測定するCO2の波長帯のところで若干水分の干渉があると言われていますけれども、先ほどご説明しましたように、VOCを酸化する前の測定と酸化する後の測定を差し引きますので、水分の影響も除外されているというふうに考えております。FID3については、水分がカラムに吸着することによって、それがまた溶質素材中で溶質の成分に影響を及ぼしてくるということは前から指摘を受けているわけですが、若干の溶質の水分影響が出てくるということでございます。
以上、これまでの調査結果でございますが、総括した形を資料4に記載してございます。 FID1、2でございますけれども、この方法につきましては、脂肪族炭化水素、あるいは環状アルカン、芳香族炭化水素については、0.812から1.126くらいの相対感度を示す。アルコール、アルデヒド等の含酸素化合物、ただしこれはホルムアルデヒドを除いておりますが、ホルムアルデヒドの感度はほぼゼロに近いんですけれども、それ以外については0.494から0.846の相対感度を示す。ハロアルカン、フロン等の含ハロゲン化合物については0.821から1.126ということで、高い相対感度位置を示します。含窒素、複素環といったものについては、0.604から0.691ということになります。それで、酸素干渉については酸素の濃度によって感度の多少の変動が生じるわけですけれども、酸素干渉を除外するいわゆる燃焼ガスを変更する等の対応によって、少しは改善ができるということでございます。水分影響についてはおおむねないと考えられます。その他でございますが、国内でのこれまでの数十年の、四半期の実績とデータの蓄積がある。それから防爆型が外国のメーカーのものですけれども、1種類販売されている状況にあります。
カラムを使用したFID3でございますが、FID1、2に比べまして特に低くなる物質が増加します。酸素干渉としては余り影響は受けないはずですが、今回の調査では若干影響を示したところがございます。水分影響については少しはありますが、直接法と同等でした。環境分析を対象とした自動測定器はあるんですけれども、排ガス用のものとしては、これは今のところ市販されていない。
酸化燃焼方式の非分散型赤外線分析器(NDIR)については、ほぼすべての揮発性有機化合物に対して感度がありまして、相対感度も全般的に高い感度を示すということだと思います。酸素濃度の低い物質で若干感度の低下がありますけれども、これらについては、試料ガスにエアーで希釈する等の対応が考えられると思います。水分影響はほとんどないということでございます。しかし、現在まだ市販器がない状況にございます。
PIDですが、物質ごとの感度特性が非常にばらつきが大きいと、それから酸素濃度が上昇すると感度が低下する、それから水分によって感度が低下するといったような水分影響があることでございます。そのほかに防爆型の市販器が1機販売されておりまして、小型軽量でかなりPIDについては操作性のいい機械が出ているということでございます。
以上総括するとこんなところでございます。
あと参考資料について、簡単にご説明をしたいと思いますが、参考資料の1ページ、調査の概要。2ページが試料ガスの調整方法で、先ほどご説明したとおりでございます。3ページは今回試験に供した機器の緒元を書いてございます。機器の構造等は先ほどご説明しました。5ページは相対感度特性調査で、ガスの流し方をここに示しています。
7ページ、8ページには、各試験に供した各機器の相対感度を全部記載しています。9ページ、10ページ、11ページは、炭化水素類、含酸素化合物、含ハロゲン化合物、あるいは含窒素化合物といったように化合物ごとに整理いたしまして、その感度特性を整理してございます。
13ページ、14ページは各測定機器の感度特性を先ほどご説明いたしましたが機器ごとに表示しています。15ページの上から(7)、(8)がありますが、(7)のNDIRの1番につきましては、これは調査対象物質を全部測定できたんですけれども、NDIR2につきましては、これは参入した時期が遅かったため、調査できた物質と調査できていない物質が入っておりまして、円グラフ上空白になっているのは、これは調査できなかったことを示しております。平均値を出す際には、1と2の測定した物質、同時に測定したものはその平均値で示しています。
それから5番以降が酸素干渉の調査の方法と調査結果を示してございまして、19ページ、20ページに個々の機器がどのように酸素干渉が出るかをあらわしています。
21ページ、22ページは、これは今度は水分影響の内容でございまして、調査方法、調査結果の表を示しています。次の23ページ、24ページですが、燃料組成を純水素とヘリウムベースの水素に変えたときの感度差。それから、酸素干渉の状態を調べたときの感度の出方の違いについての調査結果をまとめたものです。
以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。大変な調査でこれだけでも、今まででもほとんどなされていなかったような、多成分の調査でございまして、調査も大変だっただろうと思います。今の説明に対しまして分析器ごとに、VOCの測定法が適用できるかどうかについて、議論したいわけですけれども、その前にただいまの説明全般に通して何かご質問があればいただきたいと思います。はい。指宿委員。
【指宿委員】 大変な調査で、時間もお金もかかったんじゃないかと思いますけれども。試験に使ったガスの濃度がちょっとわからなかったんですけれども、どのくらいの濃度を使ったのか。それが今回の規制に関連して、実際の排ガスの濃度を考慮して決められたのかどうかをお聞きしたいんです。
【岩崎委員長】 規制基準値はまだ決まっていないのでわからないのですけれども、どの程度の濃度レベルかということですがいかかでしょうか。
【大気環境課補佐】 ご指摘のとおり今回の調査では、排ガスレベルの濃度を考慮する必要があるということで、基本的には100ppmCくらいの濃度を調整することで、調査をしました。ただし、物質によっては高沸点のものになると蒸気圧が低くて100ppmCをつくりにくいものもございまして、それはつくれる限度ぎりぎりといったような形で、できるだけ高濃度のものを調整して測定しております。その点につきましては参考資料の5ページのところに記載してございまして、相対感度の測定レンジとしては100ppmCを基準とする書き方で入れています。7ページ、8ページの調査結果のところで、出てきたガスの濃度がどのくらいのガスを提供できたかで、表の中のガス濃度ppmに、それからガス濃度ppmC、ここに使用したガスの濃度が記入してございます。
【岩崎委員長】 そういうことです。はい、どうぞ。
【指宿委員】 相対感度ということで、下三桁くらいまで数字が乗っているんですけれども、実際には測定の精度とか誤差の問題があって、どこまで有効数字なのかが、重要だと思うんですね。それは実際の排ガスをはかったときに、その測定値がどれだけの誤差を持つものかも絡むので、そういう検討されたかどうかということをお聞きしたいんですけれども。
【岩崎委員長】 いわゆる、例えば繰り返し精度というような、あるいはここでは有効数字三桁で書いていますけれども。
【指宿委員】 そういった意味では、ずらずらと数字並べるのは余り意味がなくて、今の条件で、どういう測定をやったら、どういう誤差になっているか、それがやっぱり、ちゃんと出てないといけないんじゃないかなと思います。
【岩崎委員長】 その辺はいかがでしょうか。実際に実務は平野先生が中心になってやっていただきましたので、その辺のところの感触というか、測定値の持つ意味というか、その辺をどの程度に考えたらいいかについて、一言お話願えれば。
【平野委員】 実際繰り返し精度という形で、すべての物質をこの短期間では、ちょっとできなかったですけれども、秤量という形から、そういう形からすると、有効数値二桁は大丈夫だろうという感じは持っています。三桁はどうかなと。ただ計測自身の値は出た値ですから多分正しいんだと思うんですけど、今言った繰り返しだとか、希釈精度とか、トータルな精度になると確かに有効数字三桁は、難しいのかなと。それは何回もやらないといけないですよね。個別物質に対しての再現精度とかそういうことをやらないとちょっと無理かなと。ただ、現状として、天秤とか、そこから思っていくとそういうのを考えると二桁、一桁ではないというふうに感じておりますけれども。
【指宿委員】 具体的に何10%なのかという値が必要なのかなと。
【平野委員】 何10%と言いますと。
【指宿委員】 2桁だとしても。
【平野委員】 有効数字ですか。
【指宿委員】 いや誤差の方です。
【岩崎委員長】 誤差についてですけれども、多分これまた非常に難しい問題で、JIS自身もリニアリティやなんかで、2~3%の誤差は絶えず持っているわけですから、そういうのは当然入ってくる領域かなと思いますけれども、多分今回見てもらうと機種による差が出てくるところもあるわけですね。ですからその辺を見ると、実際に実務をやっていただいた平野先生の感触では、二桁くらいという感じじゃないかなというお答えですけれども。
【平野委員】 VOCをつくる再現精度はほとんどの物質は10%を超えることはないと思います。物質によっては5%とか1~2%とかありますけれども、10%を超えることはないようにはつくっております。
【岩崎委員長】 大分幅広い調査なんで、ほかの先生からも何かご意見、ご質問あれば。はい、中杉先生。
【中杉委員】 資料2のところのNDIRのところで、ちょっと聞き漏らしたのかもしれませんが、特徴のところで二酸化炭素を測定することになるので、FIDやNDIRの感度特性の違いによる影響を受けないと書かれています。これはどういう意味ですか。
【岩崎委員長】 資料2の特徴のところですね。
【大気環境課補佐】 はい。ここのところちょっと言葉足らずの表現になっておりまして、申しわけないのですが、例えばVOCそのものをFID、あるいはNDIRで測定しますと、それぞれVOCの測定器の検出器に対する感度特性が出てくることになるんですけれども、二酸化炭素に変換して炭酸ガスとしてはかることになると、余りNDIR検出器に対する感度特性は大きくは出てこないという趣旨でございます。
【中杉委員】 この表を見ると、NDIRのところにNDIRによる感度特性の違いによる影響を受けないという表現は非常にわかりにくい表現だと思いますので。
【大気環境課補佐】 訂正させていただきます。
【岩崎委員長】 多分ここで書かれているNDIRというのは、単独で波長をそれぞれはかるという意味なんでしょうね。そうだと思います。
【中杉委員】 それからもう1つですけれども、FIDのところで、炭素数に比例した応答を得ることが可能ということが書いてありますが、これは当然、NDIRについても同じことが言えるのではないかと。
【大気環境課補佐】 はい、ここのところは、「FIDやNDIRの」というところを訂正させていただきまして、「検出器の感度特性の違いによる影響を余り受けない」というふうに直させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中杉委員】 それからもう1つ。今申し上げたFIDのところに特徴として、炭素数に比例した応答を得ることが可能と書いてありますが、NDIRも同じ特性を有しているというふうに当然考えられるので、書き加えていただいた方がいいのかなというふうに思いますけれども。
【岩崎委員長】 今、中杉先生がFIDの方にそれは書いてあって、NDIRも当然そういう特徴を持っているはずなのに記載されていないということなので、それも入れておくということだと思います。
【中杉委員】 それともう1つですけれども。参考資料1のところの、表4.1、7ページ、8ページのところです。ここで、先ほどちょっとお話があった機種による違いというのを少し見てみると、NDIRは残念ながら両方はかられている物質が必ずしも多くないのですけれども、私のさっと見たところの傾向でいくと、FIDの中は、それぞれの機種の間で随分違いがあるものが見えているんですが、NDIRは、はかられているところについては差があるものは、ごく一部に限られているように見えます。そういうふうに判断していいのかどうか。これ全部がそろっているともう少しはっきりするんだろうというふうに思うんですけれども。
【大気環境課補佐】 FIDについては、それぞれの機器メーカーが市販している主な目的に合わせて、FIDの感度特性についての調整をやっている関係から、若干ばらつきが出ているということかと思います。それからNDIRについては、具体的にこの2機種の違いは、検出器の部分の違いもあるんですけれども、一番影響を受けるであろう酸化炉の部分の違いです。NDIR1の酸化炉は白金触媒。それからNDIR2も白金触媒だと思いますが、こちらの双方の違いは、触媒にかけた温度に違いがありまして、400℃台、それから600℃台ということで、若干温度が違っているというところが特徴かと思います。それで、温度を高くして相当違いが出てくるかというと、余り私は円グラフから見た限りでは大きい差は出ていないのではないかなと感じております。
【岩崎委員長】 ほかに何かご意見ございますでしょうか。
それではご質問がないようでしたら、それぞれの分析ごとの議論に入っていきたいというふうに思います。事務局から説明がありましたように、VOCを一括分析する方法として、今3つの方法が大きく提案されているわけですけれども、1つはFIDによる水素炎イオン化検出器を用いた方法。これは、メタンを除く方法も含めてでございますけれども。2番目は酸化触媒を用いてNDIR、赤外で測ろうという方法。3番目は、光イオン化検出器PIDで測ろうということの、大きくは3つの方法でございます。
各分析器は、VOCの特有の感度特性を持っているわけですけれども、また試料中の酸素濃度、あるいは水分の濃度に影響を受けるものも出てきているわけです。そのため、3種類の分析器について感度特性、酸素干渉、それから先ほどお話がありましたように水分の影響、それぞれ評価してどの分析器が最終的にVOCの包括的な分析に適用できるのか、ということをご議論いただきたいと思っております。
まず最初に、FID(水素炎イオン化検出器)について、ご議論したいと思います。先ほど説明にありましたように、FIDに直接導入式のFIDとカラムで分離するFID3に大きくは区別されるわけです。また直接導入方式のFIDに関しても、先ほどから話がありますように、加熱型のFID1と非加熱型のFID2という形で全体的に3種類の種類がございます。それぞれの方式も含めて、排ガス中のVOCの測定に適用できるかどうか。特に成分によっては含酸素のアルデヒドあたりに関しては、なかなか感度が低いこともございまして、そういう問題も含むわけですけれども、全体的なFID1、2、3、この辺についてご議論いただければと思いますけれども。何かご意見、あるいはご質問含めてお願いいたしたいと思います。はい、平野委員。
【平野委員】 一応、実験にかかわったときの印象を含めて述べますけれど。まず、カラム分離方式は事務局の方から説明がありましたように、中に使われているカラムの充填剤の問題で、なかなかこのまま直接使うのは現段階では難しいため、検討課題が残っているのでペンディングせざるを得ないのかなと思います。それからFID1(非加熱)と2(過熱方式)は現状のガス高濃度の中では、差が出るんじゃないかなという感じや印象を最初は持っていたのですが、余り差が出ないようですね。実際の現場ではどうか、まだ、いろいろデータをとってみないとわかりませんけれども、そういう形で、多分現場では非加熱も、それから過熱方式も使えるのかなという感じです。どちらがいいのかは、もうちょっと現場のデータを待たなきゃいけないと。
それから、もう一つは、あとFIDの構造的なものからくる感度の問題ですけど、配られた資料でもわかりますように、各メーカーで酸素濃度とか水素の助燃空気とかその比率とか、構造によって違うような感じなんですね。ですから、一応各メーカーの工夫次第によっては、何割、何%という形で感度を上げることができるのではないかという印象を持っています。現在はそれぞれのメーカーがそれぞれの目的に合わせてつくられたのじゃないかという形ですから、それをこういう形というものを示せば、FIDも使えるのかなという印象です。ただ、事務局が説明、実験の中でホルムアルデヒドのこともありましたけれども、初めから感度のないものは、原理的に無理なものは無理ですね。それはもう確実だと思います。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。FID3に関してはカラムを用いるため、ロスの問題が現実に出てくるんじゃないか。あるいは、FID3に関しては、環境サイドの測定器は市販されていますけども、まだこの発生源用は現場用ではまだ市販されていない問題も1つ絡むところでございます。FID1と2の差がないことで、平野先生のご指摘のように、現場データをとらえてくると違いが出るのかなという感じもします。私個人としては、どちらも新しい製品を使う場合には余り影響がないのですけれども、使っているうちに、配管でのいろいろな汚れやなんか出てくると、加熱型と非加熱型は多少差が出るかなという感じはいたしますけれども。今回の調査結果では、ほとんど差がなかったことも事実だと思います。
それから構造的な問題で、今のお話のように、メーカーの今後の努力という言い方はおかしいですけれども、酸素影響に関しても、感度の出ないものは仕方がないのですけれども、多少調整ができる範囲も将来的にはあるかなというご指摘だったと思います。
ほかに。はい、中杉先生。
【中杉委員】 ご質問させていただきたいんですが。今のメーカーの努力によって調整をしていくという話ですけれども、先ほどのご説明の中でメーカーによってそれぞれ目的によって調整をしている。どういうふうな目的で何をどういうところを調整しているのか。これは場合によっては、そこら辺が自由に幅になってしまうと数字を3~4割動かせるようなことになりかねないことになりますので、余り調整ができるということは、必ずしもいいのかどうかという逆の問題も出てきます。実際にはどういうふうなことで、どういうふうに調整をしていくのかということを教えていただければと思いますけれども。
【大気環境課補佐】 調整の件についてはメーカーの方からも、幾つか意見は聞いているんですけれども、やはりある物質の感度を上げると、ある物質の感度がまた別のところが上がってしまうことで、やはり感度調整はできないことはないんだけれども、そう簡単ではないと聞いています。それで、この部分のFIDの感度調整という問題は、極めて理屈があるものではなくて、例えば、水素イオン、燃焼空気の水素量を割合を変えるとか、あるいは燃焼ガスのサンプルに入れてある、サンプル量の量を調整するとか、電極位置を最適化するとか、いったようなことで若干動いてくるようなお話でして、それを規格化することもちょっと難しいところもございますので、ある程度のできる限界はあると思っております。
【岩崎委員長】 最終的にどうしても感度の出ない部分が出てくるわけで、それにつきましては、その補正というかそういう問題も、FIDの場合には考えざるを得ない部分も出てくると思います。
ほかに。どうぞ白石委員。
【白石委員】 全く同じ意見で、FIDはもともとメーカー間差もありますし、操作条件によっても感度は変わってくるということで、どうしても補正というものが必要になってくるのではないかと。補正の仕方もかなり難しいような気がするんですけれども、化合物ごとにいろいろな感度特性があり、しかもメーカー間差、あるいは機種間差もあるということで、何らかの考える必要がある。あるいは感度が出ないものに関しては、何か別個にはかるようなことも考える必要があるのかなというふうに思います。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。芳住先生。
【芳住委員】 ご議論の前提で、直接担当した平野先生にちょっと確認したいんですけど。FID自身の先ほどの表の4.1のガス濃度と書いてあるところの、測定検出限界というんですかね。この要するに1ppm以下のもう一つ下の精度は、十分出るわけですよね。メーカーによる差、それからもう既に議論をされている炎をつくるわけですから、炎の構造によって、差は出てくるわけでありますけど。少なくとも1つの機種に限ってみれば、ppmCでいっても、ppmでも同じでしょうけど、基本的には一緒なんでしょうけど。議論の前提としては、コンマ1の位の精度は十分信頼できると考えて議論を進めていいと思うんですけど、それはもう一桁ぐらいだって実験室レベルなら十分出せるというふうに考えていいんでしょうか。その前提がないと話が進まないかなと。
【岩崎委員長】 では平野先生お願いします。
【平野委員】 検出感度とか測定感度。感度自身は皆さんご存じのようにFIDは、非常にダイナミックレンジを大きくしてありますよね。ですから、少数以下とかそういうことには全然問題がないです。
【芳住委員】 ここに出ている測定値三桁の精度はいかがですか。
【平野委員】 測定時のイオン化で出てくるシグナルに大差はありません。ただ、絶対濃度が正しいかどうかとなるとちょっと別な問題ですよね。ですから、イオン化率とかそういうことは機器によって特性ありますから。
【芳住委員】 検出感度の見地としてはここに書いてある三桁の数字自身には問題がなく、その再現性および機種による違いがあるだろうという議論として理解いたしました。ところで規制の基準値が決まっていないので、議論を進めにくいわけですが、検出対象が数10ppmとして考えたときの精度を前提として、たとえば有効数字を二桁に持っていくという議論をしていくやり方が、ここでの検討内容としてはいいのではないかと思います。有効数字三桁で、検出する精度は十分あるけれども、現在の機種差等を考え、また、基本的にはVOCの排出を総体として3割減らそうというプロジェクト全体の目的の中で考えていかざるを得ないのではと思います。
【岩崎委員長】 芳住先生の意見のとおりだろうと私も思います。ここでは三桁あるいは四桁の数字が出ていますけれども、これは測定値の計算上から導かれているわけですけど、平野先生言われますように、ほかにもいろんなファクターが入ってくるので、数字の見方としては二桁くらいで見ておくのが、常識かなという感じもいたしますけれども。
【平野委員】 一点だけいいですか。
【岩崎委員長】 はい、どうぞ。
【平野委員】 今、委員長から言われたように、全体としてトータル誤差と測定感度とは違いますよね。それから物質ごとの。だからここであるのは、トータルで考えますから、トータルの形の中でやると一個一個の細かい精度はあっても、トータルすると誤差はもっと大きくなりますよね。だから二桁。三桁という論議は絶対にならないと思いますね。二桁になるか、一桁になるかということになるんだけれども。多分、プラマイ10%かプラマイ20%、そういう誤差で、中にきちっと入るかという体系じゃないと、こういう物質の多い中ではちょっと無理かなと。その辺の一個一個は、先ほど芳住先生から質問あったように、感度は十分三桁だろうが四桁だろうが十分ダイナミックレンジでとれますから、それは全然問題ないと思うんですよね。
【岩崎委員長】 指宿委員。
【指宿委員】 今の議論の流れでいいと思うんですけれども。だから規制するときに、排ガスのトータルのVOC濃度をどれだけの誤差ではかるかということですよね。それで、30%削減というんだから、プラマイ30%でいいのかとかね。そんなざっくりとした判断がないと、FIDにしろNDIRにしろ、どれを選んだらいいかというのがなかなか見えてこないと思うんですけれども。もう一つは、ホルムアルデヒドとか、かなり相対感度の低いのがありますよね。これが発生源によってすごくきいくる場合がありますよね。ホルムアルデヒドが結構たくさんあって、ほかのVOCが少ない。その逆のケースの場合にも、そういう意味では、個々の成分をある程度知らないと、精緻な規制がきちんとできない状況にもなるので、どういうFIDを選ぶかということがまずあるんでしょうけど、その後に実際にどういうふうに使うかということも、またこのデータは示していると思うんです。
【岩崎委員長】 わかりました。特に、焼付乾燥炉とか、塗装関係のそういうところで、アルデヒド類が出るところもありますから、そういうところの補正の方法ですね。これもまた検討する必要があるということだろうと思います。
ほかに何か。はい、若松先生。
【若松委員】 全く測定のことを知らないで質問をするのですが、この実験は1つ1つの成分についての実験ですよね。実際は複合ガスか、幾つかのものが混じって出てくるわけですので、そのいわゆる個々の一個一個の結果は、純粋に加成性はあるのか。もしそれであれば、このデータはそれだけで、もう十分なんですけれども、複合したものが幾つかあった場ときに、カラム分離とか過熱とか非加熱で、何か違う結果が出る可能性があるのか。その辺については検討する必要はないのか。あるのか。あるとしたらどういったことが考えられるのかあたりは気になるところなんですけれども、いかがでしょうか。
【岩崎委員長】 よろしいでしょうか。平野先生に全部お願いしていますけれども。
【平野委員】 物質によってはちょっと加成性が問題、可能性のあるものが考えられるものがあると思います。ただ、今まで、自分たちの、これ以外の実験からしても、加成性はFIDはほとんどありません。
【岩崎委員長】 特にFID3についてはカラムを使いますので、今若松先生ご指摘の部分は出てくると思いますけれども。
【平野委員】 FID3のものはカラム分離という形でちょっと問題があるので、それはちょっと抜かした方がいいと思う。FID自身の感度があれば加成性は十分あると思う。
【岩崎委員長】 それから先ほど、FIDの問題として、ヘリウムを入れた助燃空気を使うのがいいのか。40%水素がいいのか、あるいは直接100%水素で燃やすのがいいのかということで、酸素干渉に関して多少差が出ているという結果がございました。それで、これに関して酸素干渉が、水素ヘリウムの方が比較的少ないという結果が出ているわけですけれども、これに関しては、それで規定するかですね。いかかでしょうか。はい。
【指宿委員】 VOCの発生源を考えると酸素濃度がそんなに大きく動くとは考えられないですよね。それからさっきのトータルのFIDとしての誤差が幾つになるかわからないですけれども、そういうこと考えたら酸素による干渉なんていうのは、余りトータルの誤差には関与しないような気がするんですけども。そこさえはっきりすれば、ヘリウムだ何だと言わないで、単純な系にした方がいいかな、というのは私の感じですけれども、これは皆さん意見いろいろあるかなとは思います。
【岩崎委員長】 酸素ヘリウムにした方が多少感度的なものはよくなるというのは事実ですけれども、その分だけコスト的に高くなるとか、あるいはそこまでやる必要があるのかと。場合によっては、燃焼施設が少ないので、指宿先生が言われるように酸素濃度が余り低いところが少ないじゃないかと、あるいは場合によっては、そういう場合には少しエアーを入れて、2倍に希釈してはかるとか、対策は少しできるかなという感じはしますけれども。この辺ちょっと難しいところかもわかりませんけれども、何かご意見いただければと思います。平野先生いかがでしょう。
【平野委員】 指宿先生が言った、私もそのとおりだと思うし、それから最後に岩崎先生が言ったように、対処できますよね。燃焼排ガスでも濃度が濃ければ、エアーでダイリューションで希釈してから、測定するという形でやれば酸素濃度に対しての極端な変化に対しては、サポートできるんじゃないかと。そういうことを考えれば排ガスを直接にはかるという形で常に、自動車排ガスでやらなきゃいけない場合とは多少違うのかな。だから測定全体はシンプルな形で何かメソードとしてできれば一番いいんじゃないかなと考えておりますが。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。ほかに何かご意見ございますでしょうか。
今までのご意見をまとめますと、FIDに関しましては、FID1と2に関しては、加熱型と非加熱型では、それほど差がないんじゃないか。特に加熱型といいますと、相当価格的には倍近くなるわけじゃないかもしれませんけど、かなり高くなるので、今回の調査結果からは余り差がないので、加熱配管型を規定する必要はないんじゃないかという意見がございました。それから、含酸素化合物、特にアルデヒドなどでは、感度の低いものが多少出てくるわけですけれども。これに関しては適切な補正方法を何か工夫する必要があるかなということが1つだろうと思います。
それから水素ヘリウムに関しましては、今回の先生方のご意見では、そのために測定を水素ヘリウムで全部規定するほどのことではないのではないかという意見がございまして、これもまた、妥当な意見だろうと思います。
それからFID3に関して特に、メタン、非メタンを特に強調してはかる方法でございますけれども、これに関しては、先ほど平野先生からもありましたように、カラムでのロスの問題とか、発生源の測定器がないということで、今のところは少し適切ではないという感じに整理させていただきたいと思います。
それでは続きまして、NDIR。いわゆる触媒燃焼、非分散赤外分析計の組み合わせですが、このNDIRについてご意見をいただきたいと思います。
比較的調査結果はいい結果が出ているんですけれども、唯一市販されていないというのが、少し気になるところでございまして、この辺のメーカーの市販の状況を事務局の方でもちょっと調べていただいているようなので、一言お願いいたします。
【大気環境課補佐】 国内のメーカーの数社で、今のところ、このNDIRの酸化燃焼方式とNDIRを組み合わせた機器の開発を検討していると聞いております。
【岩崎委員長】 そういうことで、多分メーカーサイドとしては、前回この2機種で実験していますので、そういう意味で試作器はできているわけでございますので、製品化はそれほど遠くない時期といいますか、早急につくられるだろうという見込みはございます。
【芳住委員】 質問です。これも平野先生のところで、NDIRも含めて全て実施された結果なんですか。
ところで、個別の話ですが、印刷業界にとって重要なIPAに関してです。感度が1.125なっています。超えないはずの1を超えているのは、どう考えるのでしょうか。とにかく、この1.125は多過ぎと言えるわけで、他の炭化水素種は割引扱いなのに印刷業界だけは割増となり、このまま進められては困るという意見が出そうに思います。今回直ちに答えが出るわけではないでしょうけれど、検討の余地は十分あると思います。
【平野委員】 今回の場合、先ほどの芳住先生の指摘でもあったけど、標準ガスの精度となると、何回も繰り返してないので、それはちょっと心配があるんですけどね。ですから今回の実験はこうだ、という形で見ていただいた方がいいと思うんですけど。それから触媒のものも急遽こういう形でやったんで、100%じゃない場合もあるし、それから脱着の問題とかいろんなものがあって、一概にはそれが、これが理想的な数字と思われると。多分もうちょっとやると1に近づくかなという印象は持っています。
【芳住委員】 わかりました。ところで、この規制の対象物質は、基本的にはここに挙げたものが全部原則対象になるわけでしょうが、先ほどのFIDの含酸素化合物の補正についての議論においても、すべての含酸素化合物に補正係数を設定する必要があるのかという疑問が生じます。規制というのは行政の観点からやるわけですから、当然コストパフォーマンスを考えずにやるということはあり得ないわけです。そういう観点からは、発生源による環境負荷の大きいものを対象に限るという考えがあると思います。
【岩崎委員長】 本田委員何かございますか。今のIPAの問題も少し出ましたけれども。
【本田委員】 印刷業界から来ている者として、非常に心強いことをおっしゃっていただいたんですが、私はこれを見たときに、その以前の問題として現在市販されていないものをこのまな板に乗せて、あと1年たたずに規制をかけ始めようというときに、現実性があるのかなと。ただ、この円グラフを見ますとね、まるで作文したようにきれいに出ていて、だれしもこれに目を奪われてしまいますので、そこら辺が非常にジレンマと言いますか。できれば先ほどのIPAの話は、ちょっと別に置いておいて。当然このグラフを見れば、NDIRとなるんですが、それと実際の運用上、白金触媒を使っているということで、例えば私どもの業界では、シリコンを使った系統の塗布も結構ありまして、シリコン毒が現在使っている触媒脱臭装置の中で問題になっているというのもありまして、そこら辺で果たしてどの程度で、業種によっては随分短い間隔でこれを交換しなくちゃいけないとか、そういうものもあるかなと思って。それ以前にその現在開発中というところが、どうもひっかかりまして。ここで真剣に議論しても大丈夫なのかなという気がいたしました。
【岩崎委員長】 多分、CO2自身は、赤外分析計というのは既に市販されて、随分発生源でも使われているのは事実なんですけれども、そこに、今お話のように触媒を組み合わせて、特に有機シリコン系とか触媒毒になるようなものというのは、幾つかあるということで、その辺の対策が大丈夫かどうか。その辺のご指摘だろうと思います。やはりこれは何か、もし入れるにしても性能をきちっと規定するような作業がないとまずいのかなと。特にJISには赤外分析計の規定があるわけですけれども、それだけじゃちょっと済まないかなという、今のご指摘のように、プレフィルターをつけるとか何かいろんな対策があるんだと思いますけれども、そういうようないわゆる性能規定が、やはり今市販のものがないだけに不安になる部分もあるわけですね。
あと水分の影響を赤外のNDIRの場合は余り受けていないんですけど、これは除湿機でかなり落としているということなんですか。
【大気環境課補佐】 今回の機器についてその点を確認しました。NDIR1にだけについて確認していますが、電子クーラー等の除湿機はつけておりません。酸化炉の前後でIRではかっていますので、仮に二酸化炭素のバンドのところに水のバンドが干渉していても、差し引かれる形になっているということで、この形でも水分影響は出なかったというふうにNDIR1を試作したメーカーから聞いています。
【岩崎委員長】 なるほど。
【平野委員】 そのコメントに対してつけ加えますと、あくまでも一般的に差量ですよね。リファレンスの差量ですから、キャンセルの形になるんで平気かなと。極端な水分となれば影響があるかも。もう1つ、水分があれば当然固定のセルですから、水分分圧の分だけは少し下がります。だから考慮するんだったら、その水分の分圧分をどう補正するかだけですよね。
【岩崎委員長】 分圧分だけじゃなくて、赤外の場合には水分影響は発生源測定の際、非常にシビアになるケースがあって。特に今回の場合ですと、それをうまく差し引いているんで、そこがみそじゃないかと思いますけれども。特に燃焼排ガスの場合に、差し引いているのは非常に有効な場合が出てくるわけですから。ただ、今ご指摘のようにそういう濃度が高くなって、炭化水素の燃焼から水分が出てくる場合、機種によってそれぞれ違うんで何とも感度に関しては言えないんですが、それほど心配は要らないということですよね。
【平野委員】 あともう一個つけ加えれば、あくまでも測定値を下げて、触媒を使っていますよね。触媒の吸脱着という関係で全体を干渉する可能性はあります。その出入りの問題ですね。まあ水分もそうだし、そのガスにとって。ですから一番重要なのは、触媒のところをどうきちっとつくるかに思われますけどね、今回の場合。それが解決できればほとんどの物質に対して、見たような円グラフにほとんど近い形で得られるんじゃないかなというふうに思っています。ただ、現状としての形の中でそういう計測器が売り出されているわけじゃないですね。ただ、印象としては我々の試作品というのは、すぐ試作してできますから、比較的短期間に製品ができるかな、というのはこちらとしては予想していますけれども。
【岩崎委員長】 ほかに。指宿先生。
【指宿委員】 NDIRについてもFIDと一緒で、トータルの測定誤差がどれだけになるのかというのは、やっぱり見ていかなきゃならないと思うんです。細かい議論よりは、むしろNDIR、FIDと共通だと思うんですけれど、測定法として提案されているものが実際に使えるかどうかという必要な調査が何であるかを、この委員会でやはりきちっと議論しておいた方がいいんじゃないかなと思うんですね。例えば先ほどのFIDだと、トータルな誤差がもちろん問題ですし、それに対してあとFIDのとき言わなかったんですけれども、例えばハロアルカン類とかそういうものが、ずっと長期間はかることになるとFID自身の耐久性がありますよね、検出器の。そういうものがどうなのか。これは測定の頻度とかかわる話なんですけれども、そういうものも視野に入れて測定法を決めていかなければいけないと思うんです。同じことがNDIRにもあって、先ほどちょっと触媒毒の話がありましたけれども、これだって例えばフッ素とか塩素の入っているものをずっと使っていくと、もう触媒のところがかなりやられるかもしれないし、そういうことをやっぱりトータルに検討しておく必要があるだろうと思うんです。ぜひそういうことを決めて、例えば2年後に間に合うようなものをきちっとつくっておくということをしたいなと思うんですが。
【岩崎委員長】 特に今の指宿委員の指摘と絡むんですけれども、試料の採取方法ですね。連続でずっと測っていくのか、それともバッグサンプリングみたいに袋に取ってから入れるのか。バッグサンプリングであればそういう問題は余り起きないけれども、連続で把握する場合にそういう問題が生じてこないかという心配もあると思いますけれども。試料の採取方法に関しては、多分次回にまた少し詳しく皆さんと議論したいと思いますけれども。
【指宿委員】 それに絡んで、測定に必要な試料量ですよね。これもやっぱり絡んでくると思うんですね。
【岩崎委員長】 はい。それも含めて、その辺に関しては次回にまた議論したいというふうに思います。
NDIRに関しましては、本田委員からもご指摘のようにかなり、1に近いところで、ずらっと並んでいるということで。多分そういう意味で、特に問題の少ない原理だろうと思いますんで、原理的にはいいんだろうと思いますけれども、いかんせん市販品がまだないという不安は、やっぱりどこかぬぐえないところもありまして、この辺に関しましては、測定方法としてはいいんだけれども、やはり性能をある程度規定して、きちっとしたものをメーカーの方に統一されたものをつくっていってもらわなくては困るということもありますんで、今後その辺の作業が重要になってくるかなという気もいたしますけれども。
時間も大分過ぎてきましたので、NDIRに関しましては、そういうことから言いますと、すべてによい感度を持っているということは、当然今回の結果から言えることです。酸素濃度に関して多少結果が出ているんですけれども、これは先ほどのFIDと同じように酸素濃度の影響に関しては、別にいろいろ対応がとれますので、特に問題はないかなという感じはいたします。水分の影響に関しましては、先ほど平野委員からもご指摘がありましたように、差をとっているということで、相当高濃度の異常な値のサンプルじゃない限りは、ほとんど影響がないだろうということで、今回の実験結果からも水分濃度の影響に関しては、少ない形で出ているわけでございます。そういうことで、NDIRはVOCの分析計としては、非常に結果的にはいいものが出ているわけです。そういう意味で非常に実態に合っているかなという感じがするわけですけれども、いかんせん市販品がないということでございますので、今後その辺の内容の規定といいますか、要求性能をきちっと示す必要があるだろうということが大事なことかなと思いますので、その辺は、そういうことでこの検討委員会の結論という言い方はおかしいですけれども、その辺の基本性能、要求性能をきちっと明記していくということが大事かなという感じがいたします。
それでは最後に、光イオン化検出器、PIDですね。これに関して余り議論するようないい結果は出ていないんですけれども、これいかがでしょうか。はい。平野委員。
【平野委員】実験をした結果から、印象とを含めて言いますけど、PID自身は確かに事務局からも、それから皆さんからも見てわかるように、物質によってすごく感度が違いますね。ですから物質の選択性はすごくあるし、ものによっては感度がすごくよろしいわけですね。それからもう1つ、コンパクトですよね。ほかの機械から見ると。そういう面じゃすごく機動力があるのかなと。だから本来こういう形で、我々行政体が使えれば一番理想なんですけれども、何せ物質によっては、ほとんど感度がないものもあるし、今度は極端に高いと。そうするとやっぱり場所によっては、使えないところもあるわけですね。ただ、今回の対象となるような物質には、かなり感度がありそうなものもいっぱいありますね。そうしますと、そういう作業の実態、もしくはそれを調べるにはすごくいいのかなと。ですから、まず実態調査するためのトレンドというか、それを調べるにはいい機器かなとは思っているんです。だからそういう使い方として盛り込むのもいいかなと。ただこれによって、規制値が云々は、ちょっと現状として厳しいかなと。まあ、それぞれキャリブレーションが必要になると、標準ガスの問題等、いろいろと決めざるを得ないことがありますよね。ですからあくまでもそこの作業実態を調べる1つの方法論として、何か使えるんじゃないかなと思いました。
【岩崎委員長】 そうすると規制の方法というよりは、工場の自主管理か、そういう形には、事業所によっては有効に使えるだろうということですね。
【平野委員】 そうですね。まず一定、自分たちの実態を調べるには一番いい測定法じゃないかなというふうに思っています。
【岩崎委員長】 ほかにPIDに関して、ご意見ないでしょうか。はい指宿先生。
【指宿委員】 平野さんのご意見でいいかなと思うんですけれども。逆に芳香族炭化水素に非常に選択性が高いという性質を持っているわけですよね。それをうまく使って、特定の事業所については、使っていけるかもしれないなという印象を持っているんですけれども。恐らく何を規制の対象とするかという議論がこの後残っていると思うんですけれども。そういうときにこういう選択性の高い検出器を組み合わせることで、事業所によっては、メリットが出てくる部分があるのかなと思いますが、なかなか使いにくいものであるなという気はします。
【岩崎委員長】 今回は規制のためだけの検討会ではございませんので、今の工場管理というか、自主管理のためにはいろんな方法が出てきていいのかなと思います。特に簡易的には検知管等もありますし、それからセンサーを使ったようなものも、有機溶剤用に結構出されているものもございますので、そういうものは広く自主管理用には使えるということだと思います。
ほかにこのPIDに関していかがでしょうか。まあPIDに関しては、先ほどのデータがお示ししているように、物質ごとにばらつきが非常にございます。なかなか難しい問題を抱えているかなと、あとは酸素とか水分の影響もかなりありますので、そういうところでも大きな問題がありそうです。実際には非常に小型のもの、あるいは防爆型のものも出ているので、自主管理のための簡易な方法という言い方はおかしいですけれども、そういうものとしては十分使える事業所もあるんじゃないかと思います。そういう使い方としてまた検討すべきかなという感じもいたします。
そういうことで、その3つのFID、NDIR、PIDの方法について先生方のご意見をお聞きしたわけですけれども、さらに言い残したことじゃありませんけれども、3つの方法を振り返ってまた何かご意見があれば、いただきたいと思います。どうぞ本田委員。
【本田委員】 この場ではないと今おっしゃった、その自主管理の測定の方法なんですが。やっぱり我々産業界にいて、自主管理をするというときに、全く、こういうのもありますよぐらいの提示の仕方をされますとね、本当に今言ったように自分たちの工場で出ているのが、適正な装置で管理しているのか。例えば先ほどのイソプロピルアルコールではないですけれども、PIDですとほとんど感度がないというのが出ています。それで今印刷業界では水性化という方向に動いて、そこでは水性化と言いつつイソプロピルIPAを大量に使うわけですね。そんなときにPIDを持っていって、自主管理でやっていますといって全然出ませんでしたというんでは、マイナスの方向で出てしまいますのでやっている意味がないんじゃないか。自主管理とはいえ、できればこの測定の専門委員会の方で1つのガイドラインみたいなものを、例えばこの物質については感度がないけれども、こういうのがあるよ。あるいは、これについては、簡便な方法でいいよとか、そういうものをぜひ出してもらいたい。例えば自主管理をしていていいなと思っても結局最終的には、公定の機関とかそういう決められた測定器を使わざるを得ない。最初からそういう測定器を使ってやりたいというのが、本音ではあるわけです。そうすると二度手間にならないわけですから。ですから我々の希望としては、できるだけコンパクトで価格が安いもの。それで、我々が常に管理できるものというものが一番欲しいところですね。確かに精度がよくて、すべてはかれるのはもちろんいいのですけれども、我々がふだん管理できないとやっぱりちょっとそこのところ乖離が激しいと、ちょっとやってられないなというところがあって、ひとつぜひお願いしたいところであります。
【岩崎委員長】 ほかに、全体通していかがでしょうか。指宿委員。
【指宿委員】 FIDのところで1つ忘れてしまったんですが。FID1とか2の場合は、メタンも含めてはかってしまうわけですよね。FID3はメタンを除いて。まあ今回の規制VOC、メタン等は除外するという話になっていて、事業所によって、もしもメタンが結構出ていて、それと一緒にほかのVOCが入っているという事業所があると、FID1、2だけでは込みではかられてしまって、かなり大きな値になる。そういう面があると思うんですよね。ですから、どれを選ぶにしても、やっぱりその事業所の排ガスの特性というのが、きちっとある程度わかっていないと、これを使えばいいですよというふうに言えないと思うんです。細かいかもしれないんですけれど、そういうところもきちっと記述した、測定方法の提示じゃないといけないなというふうに思うんです。その辺を検討する機会はあると思うんですけれど、ぜひ忘れずにやっておきたいなと思います。
【岩崎委員長】 親委員会からも、この委員会において除外物質といいますか、適用除外物質に関してはここで検討するということになっていますので、それはまた次になるか、その次になるかわかりませんけれども、検討したいと思います。特にメタンが1つ例に挙げられていますので、FID1、2は特にそういう問題がひっかかってくるわけですから。NDIRもそうですけれども、それをどのように補正するかですね。その辺が出てくるところだと思います。特にメタンを多く発生するところというのは数少ないとは思いますけれども。
前回の委員会で欠席されまして、今回初めて出てこられた安田委員の方から何か。今までの議論の中でご意見いただければと思いますけれども。
【安田委員】 私の方はほとんど指宿委員と同じような意見を持っていまして、どの幅で誤差を認めるかということが、多分基本的な議論になると思うんですけれども。その場合に現場の実際の施設との関係でどうするかということが、多分一番大きな誤差になってくると思うんですね。今回分析を主体ということで、その議論をしないということなんですけれども、やっぱりそれを踏まえてやっていかないと、結構抜けてしまうのかなという気持ちは持っていますんで、その辺の議論はきちっとやっていただきたいなというふうに思っています。あとはおおむね同じような意見ですので。
【岩崎委員長】 先ほどの特にFIDに関して、感度補正の問題が、特に含酸素、アルデヒドなどで多く出ているということがあって、この辺の感度補正のやり方、方法に関して、何か先生方にご意見がありましたらお伺いしておきたいと思いますけども、特にFIDに関してですね。この辺いかがでしょうか。
平野先生。何か感度補正の考え方で何か、ご指摘されるところがありましたらお願いしたいと思います。
【平野委員】 物質についてこういう感度をという形を決めておけば、それ以内に合わせるという形でメーカーに出荷してもらって、それからユーザーが定期的に感度確認をするというような形であればある一定水準におさまるんじゃないかなと思います。感度のとる方法は1つの方法でとるという形ですが、何の物質で確認するかについてはこれから決めていくものじゃないかなと思います。例えば、IPAとか、芳香族のベンゼンならベンゼンとかそういう主なもので。そういうような方法もあるんじゃないかなと。
【岩崎委員長】 出荷時で確認して、機種の統一というか、感度を合わせていくということは、ユーザーも含めて、必要と思います。また実質的に例えばホルムアルデヒドならホルムアルデヒドが、どうしても感度が低く出るという場合、当然出てきますよね。そういう場合の1つの考え方として、そういうものを例えば何か別の方法で分析して、それに係数をかけて足すとかですね。そういう補正方法についてはいかがでしょうか。
【平野委員】 ホルムアルデヒドの場合はもうFIDではちょっと無理ですよね。アセトとかブチルとかになってくると感度は十分に得られてきますけれども、それであっても多分8割以上の感度を得るなどというのは、FIDでは無理なんで、その辺の比率が先ほどいったほかの方法によってわかっていれば、何かしらの方法で何%かけるというように。ただ最新の機器によって違いますよね。メーカーで感度特性は多分違うようになるんじゃないかなと。ですから、最初のスタート時にあくまでも感度確認をしてもらうということは重要じゃないかと。それによって、それが維持されていれば、感度補正ができる。それが保障できない限りは、やっぱり補正というのはなかなか、問題があるかなと。自主管理で全部補正したら、多分値の統一はできないんじゃないかと。ですからあくまでも出荷時に対して濃度確認をしてもらって、あとユーザーがそのずれに対して補正するという形であれば、何かしらできるというふうに思っています。
【岩崎委員長】 芳住先生。
【芳住委員】 ご説明のとおりで、非常にいいアイデアだと思います。ところで、対象物質を何にするかというおおよその目安を議論しておいた方がいいのではないでしょうか。事務局側では我が国の排出インベントリーからどういう物質を補正対象にすべきか、もし現時点でも把握されている主要物質の例があれば、ここでご説明いただけたらと思います。
【岩崎委員長】 事務局よろしいですか。今の、平野先生のご指摘で、プロパンだとか、IPAでもいいんですけれども、そういうものを1つの基準にしてということで、補正をしていくという、特に出荷時や何かに影響するわけですけれども。芳住委員の方から実際に規制の絡みというか、使用の実態というか、影響の大きいものを補正の対象にしていくことについて考え方があるかということでございます。
【大気環境課補佐】 今ほどのお話の中に、ちょっと2種類、補正という話があって、1つはFIDの感度特性が、機種間でばらつきがあるからそれを合わせられるか、というお話が1つあるわけなんですが。ここのところが1つとして整理する必要があるんじゃないかなと思います。ただ、先ほどもご説明しましたように、メーカー間で今、仮にそれをやるとしましても、なかなか、ある程度ノウハウの中でのやり方で、あるものを上げると、あるものが上がるとかいろいろあるので、そういうやり方にはちょっと限界があるのかなと思っています。それで、現実的にはやはり今ここで把握してきた感度特性というのが、私の今市販されている機器の把握した感度特性ではないかと思っています。私の方は、今仮に補正をするとすると、ここの部分はやはり1つは固定したものとして、考えてはいかがかなという考え方を持っております。
そして、2点目の物質ごとにどうするかというのについては、国内のインベントリーを見ますと、大体50物質くらいで、90%以上の排出量を持っているわけで、その中に今回の調査を行った中での含酸素化合物とか、感度がある程度低い物質がありますので、そういった使用量の多い物質、あるいはその中でFIDの特に感度の著しく低いようなものといったようなところを、補正するのが1つの方法ではないかなというふうには考えております。
【芳住委員】 具体的な物質名を幾つか挙げていただくとどのようなものですか。今の話の続きで。
【大気環境課補佐】 具体的にはこれというふうに、詰めた考え方を持っているわけではございませんが、例えば一例を挙げれば酢酸エチルが比較的インベントリーとしては高い位置にいるんですけれども、FIDの感度もたしか0.7を下回るような感度だったと思います。それからアルコール類の中では、例えば、ご指摘のイソプロピルアルコールとか、それからアセトンなんかも結構、排出量が多い割にはFIDの感度が0.6幾つくらいで低いというようなことで、これらが一例として考えられるかと思います。
【岩崎委員長】 そういうように特にFIDで、感度の低いものに関しては、特にエミッションの大きなものに関してある程度指定して、それを場合によってはガスクロなりガスマスなりで計測して、それを補正するような形の考え方とかですね。特に感度の低いものに関する補正をどうするかに関しては、多分いろいろなアイデアというか、いろいろな意見が出てくると思うんですけども。なかなか難しいところだと思います。これに関してはまた、後にもう一回議論をしたいというところもございますので、ここでご意見があればお伺いしたいと思いますけれども。最終的な取りまとめはかなり大変かなと思います。ただその必要性に関しては、先ほど指宿委員からもありましたように、アルデヒドを多く出しているような施設だとか、発生源によってはそういうところもございますので、そういう施設に関しては何らかのやっぱり補正が必要かなということは事実だろうと思います。その辺のところで、きょうはとどめておきたいと思います。まあ、必要性があるということで。中杉委員どうぞ。
【中杉委員】 多分、感度の特性による補正というのは必要だろうというふうに思うんです。何らかの。それをしないと事業者によっては、こちらの方法ということで、必ず別々に動きますので、それは何らかの形が必要だと思うのですけれども。そのときに注意しなければいけないのは、補正をするものを必ずやることになるのか、業種である特定の業種でということにするのか。そうすると、今度ある特定の事業所がその物質を使っているかどうかという情報をどうやって把握するのかですね、なかなか難しい問題がありますので、そこら辺のところをどういうふうに考えるのかというのも1つの課題ではないかなと思います。
【岩崎委員長】 そうですね。確かにご指摘のように、そのルールですべての施設にそれでやることになると大変な作業量になりますし、その辺も含めてですね、どのような形で補正していくのかということが課題になるんじゃないかと思います。
あとほかに全体を通して何かご意見ございますでしょうか。
大分時間もたってきましたけれども、本日のご意見では特に、NDIRに関しましては先ほどのご指摘のように、製品化されていないということがありますので、要求性能といいますか、性能規格というか、そういうものをきちっと明記してメーカーの方にそういうものをつくってもらわないと、なかなかでき上がったもので、はいどうぞというわけにはいかないなというご指摘だろうと思います。
それからFIDに関しましては、非常に今までも随分使われている機械ですけれども、物質によって、特にアルデヒドや一部のアルコール類、含酸素物質に関して多少感度が落ちるものが明らかにされていますので、その辺に対する補正の考え方が1つ大事かなと思います。この辺に関しましては、今までの先生方のご意見やこれまでの調査結果から、事務局の方に次回までに補正方法を検討してもらうということで、次回にまた委ねたいと思っております。
基本的には本日の議題はこれで全部終わるわけでございますけれども、事務局は本日の議論を踏まえまして、第3回の専門委員会にはFID及びNDIRによる分析方法の原案といいますか、たたき台になると思いますけれども、そういうものを検討していただきたいと思います。特にFIDにつきましては、先ほどから出ていますように感度補正方法について、具体的な案を用意していただければと思っております。
そういうことで、本日先生方から活発なご意見をいただいて、議論を進めてまいりましたけれども、最終的に本日の委員会に関しては終了したいと思います。事務局の方から何か連絡事項みたいなものございますでしょうか。
【大気環境課補佐】 本日は長い間のご審議をありがとうございました。本日の議事録につきましては各委員にご確認をいただいた上で、第1回と同じように公開をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。それから次回の開催ですけれども、一応10月末目途ということで日程調整をさせていただきますので、またよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。次回は10月末というころで、次回は今回の指摘がありましたFIDに関しての補正方法。それから先ほどもちょっとお話しましたけれども、VOCの採取方法も非常に大きな課題でございまして、その辺について特に議論を進めたいというふうに思っております。
それでは、予定の時刻に近づいておりますけれども、本日はこれで閉会にしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。