(委員長) | 岩崎 好陽 | ||
(委 員) | 指宿 堯嗣 | 白石 寛明 | 中杉 修身 |
平野耕一郎 | 本田 城二 | 芳住 邦雄 | |
若松 伸司 | |||
(環境省) | 小林環境管理局長 | ||
福井審議官 | |||
鷺坂総務課長 | |||
菊池総務課長補佐 | |||
関大気環境課長 | |||
成田大気環境課長補佐 | |||
中野大気環境課長補佐 | |||
春名大気環境課長補佐 | |||
長坂大気環境課長補佐 | |||
吉川大気環境課長補佐 |
(1) | 揮発性有機化合物の測定方法について |
(2) | その他 |
資料1-1 | 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物測定方法専門委員名簿 |
資料1-2 | 中央環境審議会大気環境部会の専門委員会の設置について |
資料1-3 | 中央環境審議会大気環境部会の専門委員会の運営方針について |
資料2-1 | 大気汚染防止法改正の概要について |
資料2-2 | 揮発性有機化合物(VOC)排出抑制討論会「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について~検討結果~」の概要 |
資料2-3 | 中央環境審議会「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について」(意見具申)の骨子 |
資料2―4 | 本専門委員会における検討事項とスケジュール |
資料3-1 | VOC測定方法を検討するための調査について |
資料3-2 | VOCの測定方法検討の方向性について |
資料4-1 | VOCの除外物質を検討するための調査について |
資料4-2 | VOCの除外物質検討の方向性について |
参考資料1 | 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について~検討結果~(揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会報告書) |
参考資料2 | 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申) |
参考資料3 | 大気汚染防止法(抄) |
参考資料4 | 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制制度の実施に当たって必要な事項について(諮問) |
【長坂課長補佐】 ただいまから第一回揮発性有機化合物測定方法専門委員会を開催いたします。
本日は安田委員よりご欠席とのご連絡をいただいておりまして、全9名中8名の委員にご出席いただいております。委員の皆様にはお忙しい中お集まりいただきましてどうもありがとうございます。議事に入りますまでの間、私が進行を務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
まず、第1回の専門委員会の開催に当たりまして小林環境管理局長よりごあいさつを申し上げます。
【小林環境管理局長】 おはようございます。管理局長に7月1日付で参りました小林でございます。よろしくお願いいたします。また特に本日は大変暑い中、昨日も観測史上一番ということでありますが、今日も同じような気温になるかと思いますけれども、大変暑い中お運びいただきましてありがとうございます。
この揮発性の有機化合物につきましては、御案内のとおり光化学スモッグ、光化学オキシダント、あるいはSPMといったようなことの原因になるということで、その対策が強く要請されているところでありまして、そういう意味で大変時宜を得たというか、ことしも早速光化学オキシダントでもいろいろ被害が出ているということでございますけれども、大変国民の関心の高いところでございます。ぜひこの専門委員会でまとめていただきたいというふうに思っております。
また、昨日も実は同じ専門委員会で、兄弟の専門委員会がございますけれども、排出抑制の方の専門委員会が開かれまして、岩崎先生初め御出席いただいた先生がいらっしゃいますけれども、大変活発な議論が闘わされたわけであります。それは恐らく、このVOCのことでありますけれども、初めてでありますが、その自主的な削減の取り組みと、そして法規制といったものを組み合わせるということが大気汚染防止法上明示的に書かれております。そうした制度をどうやって動かしていくのかというところで本邦初演といいますか、そういうところがございます。自主的取り組みは本当に大事で他の分野でもちゃんと行われているのですけれども、制度としてそれが組み込まれるということは大変画期的なことでありまして、このことに関しても大変関心が高い。「何だ、その自主的取り組みだって言ったらうまくいかないのか」ということになりますとこれは大変いけないわけでありまして、そういう意味でちょうど時節柄関心が高いこともありますし、制度的にも関心が高い、こういう重要な課題を担われての専門委員会でございます。いろいろご苦労をおかけするかと思いますけれども、ひとつよろしくご指導のほどお願いをいたします。
大変簡単ではございますが、お願いをいたしましてあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【長坂課長補佐】 次にお手元の配布資料をご確認願います。お手元に、1枚目に議事次第がございますが、裏に配付資料の一覧が載ってございます。そちらの資料の右肩に資料番号が振ってございますので順にご確認ください。資料1-1、1-2、1-3、2-1、2-2、2-3、2-4、3-1、3-2、4-1、4-2。本資料はここまででございまして、テーブルの席には参考資料の1として冊子が置いてございます。それから参考資料2、参考資料3、参考資料4で以上でございます。資料の不足がございましたらお申しつけください。
それでは、本日は第1回の検討会でございますので、委員の方々と事務局の担当職員を紹介させていただきます。
まず委員長には、中央環境審議会議事運営規則第9条第2項の規定に基づき、部会長から東京都環境科学研究所参事研究員の岩崎好陽委員がご指名を受けております。
また、揮発性有機化合物測定方法専門委員会に所属していただく委員の方々につきましては、中央環境審議会令第3条第2項及び第6条第2項の規定に基づき、お手元の資料1-1にありますとおり既にご就任いただいております。
それでは本日ご出席の委員の方々をご紹介させていただきたいと思います。
社団法人産業環境管理協会の指宿委員です。
国立環境研究所の白石委員です。
横浜国立大学の中杉委員です。
横浜市環境科学研究所の平野委員です。
共同印刷株式会社の本田委員です。
共立女子大学の芳住委員です。
国立環境研究所の若松委員です。
そして先にご紹介させていただきましたが、元神奈川県横須賀三浦地区行政センターの安田委員が本日はご欠席ということでございます。
続きまして、本検討会の事務局を務めさせていただきます、環境省環境管理局のメンバーをご紹介させていただきます。
まず、最初にごあいさつさせていただきました、小林環境管理局長です。
福井審議官です。
鷺坂総務課長です。
同じく総務課の菊池補佐です。
それから大気環境課大気環境課長、関でございます。
大気環境課成田補佐です。
同じく大気環境課中野補佐です。
同じく大気環境課春名補佐です。
同じく大気環境課吉川補佐です。
それから、私、司会を今務めさせていただいております長坂と申します。よろしくお願いいたします。
次に、議事に入ります前に専門委員会の設置について事務局より説明させていただきます。揮発性有機化合物測定方法専門委員会につきましては、平成16年7月1日に開催されました中央環境審議会大気環境部会におきまして、中央環境審議会議事運営規則第9条第1項の規定に基づき、その設置並びに調査事項が決定されています。資料1-2をごらんいただきたいと思いますが、こちらに示しますように、本専門委員会におきましては、揮発性有機化合物の測定方法に関する専門の事項を調査いただくということになっております。
また資料の1-3にお示ししますように、専門委員会の運営方針につきましては中央環境審議会大気環境部会において、会議の原則公開及び公開した専門委員会の会議録は公開するものとすることとの決定がなされております。今回の第一回揮発性有機化合物測定方法専門委員会につきましては、事前に岩崎専門委員長にご相談し公開で開催する事といたしております。なお会議録につきましては、各委員ご確認いただいた後、公開する事となります。
それでは、これ以降の会議の進行は、岩崎委員長にお願いいたします。
【岩崎委員長】 それでは議事に入らせていただきます。各委員の先生方暑い中本当にありがとうございました。実りある委員会にしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
議題1は揮発性有機化合物の測定方法についてということですが、まず去る5月に成立しました改正大気汚染防止法の概要、これまでの経緯、そして本委員会における検討事項とスケジュールについて事務局の方から説明をお願いいたします。
【成田課長補佐】 それでは改正大気汚染防止法の改正についてご説明いたします。資料2-1をごらんください。
まずIということで、改正の経緯からご説明申し上げます。今回の大気汚染防止法の改正でございますが、2月3日に第13回中央環境審議会大気環境部会が開催されまして、この中央環境審議会の大気環境部会の議論を経まして、2月3日に中央環境審議会から環境大臣に対して意見具申がなされております。それから、この意見具申を受けまして政府内部で調整を経た上で3月9日に大気汚染防止法の法案を閣議決定いたしておりまして、翌日に法案を第159回国会に提出いたしております。この国会に提出された後でございますけれど、衆議院、それから参議院での審議を経まして、それぞれ衆議院、参議院とも全会一致で、かつ附帯決議ということで、宿題事項など特段なしに政府原案どおり5月19日に成立いたしております。そしてこの成立を受けまして5月26日に平成16年法律第56号ということで大気汚染防止法の改正法が公布されております。
続きまして2番目、改正大気汚染防止法のVOC排出抑制制度の概要でございます。今回のこの測定方法の委員会でご議論いただくことに大変かかわり深い話ですが、まずVOCの定義からご説明いたします。法律上のVOC揮発性有機化合物の定義ですが、大気中に排出され、または飛散したときに気体である有機化合物ということで、非常に広く定義いたしております。これは中央環境審議会の意見具申で包括的に排出抑制の対象とするということで提言をされておりますので、法案の方においてもこのように幅広く定義いたしております。ただし、この有機性化合物の定義でございますけれど、その後括弧書きで浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除くというふうに書いております。
今回のVOC規制ですが、既に先生方ご承知のとおり、今回のVOCの排出抑制制度というのは、浮遊粒子状物質SPMとオキシダントの生成の防止ということを目的といたしておりますので、そういった観点からSPMとオキシダントの生成の原因とならない物質は政令で除くということといたしております。このような包括的な定義でございますから、例えば諸外国や地方公共団体の条例のように、例えば沸点で何か除いたりだとかそういったことは特段いたしておりません。あるいは、対象となる物質を列挙するという方法を取らずに、基本的には包括的に定義をした上で関係のないものだけを除いていくというそういう定義の仕方をしております。
続きまして、規制対象施設でございますが、これは法律上は揮発性有機化合物排出施設というふうに定義されております。これは工場または事業場に設置される施設でVOCを排出するもののうち、その施設から排出されるVOCが大気の汚染の原因となるものであって、VOCの排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要なものとして政令で定めるものということといたしております。今回のこの規制対象施設でございますけど、規制だけでなくて今回は自主的取り組みも踏まえまして排出抑制を図っていくということでございますので、この施設を定める政令は事業者が自主的に行うVOCの排出抑制のための取り組みが促進されるよう十分配慮して定めるというふうに法律上明記されております。
続きまして、今申し上げましたベストミックスにつきまして施策等の実施の指針ということで、VOCの排出抑制に関する施策その他の措置は排出規制と自主的取り組みとを適切に組み合わせて、効果的な排出・飛散の抑制を図ることを旨として実施されなければならないということで法律上ベストミックスを明記いたしております。
続きまして規制の内容でございます。規制の内容ですが、まず規制対象となる施設、揮発性有機化合物排出施設に対しまして排出口における濃度規制ということで規制をいたしております。その規制対象施設につきましては都道府県知事または政令で定める市の市長に施設の届け出義務をかけております。そのほか、排出基準の遵守義務、その遵守義務に従わない場合の改善命令、それから、排出基準の遵守をみずから確認するための濃度の測定義務というのも規定しているところでございます。それから規制だけでなくて今回ベストミックスということで法規制だけでなくて、自主的取り組みで排出削減を図っていくということでございますので事業者の責務についても明記いたしております。また国民の努力についても明記いたしております。
それから最後に緊急時の措置ですが、これはいろいろな大気汚染物質について法律上で定められておりますが、現行で頻繁に利用されているのは、オキシダントについてです。例えば先週火曜日からきのうまで八日連続で関東地域において、まあ地域はいろいろございますけど、関東地域において八日連続でオキシダント注意報が発令しているという状況があるのですが、そういった形で一般の人に、オキシダントが発生しているということを周知させるとともに、大気の汚染をさらに著しくするおそれがあると認められるものに対しましては、現行ではNOxの排出の減少について協力を求めていくということですが、今回の制度によりまして、さらにVOCについても排出・飛散の量の減少について協力を求めることができるようになっております。
法律の概要は以上でございます。
【長坂課長補佐】 続きまして、法改正に至る経緯についてご説明させていただきます。資料の2-2をごらんください。揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会の検討結果の概要でございます。
まず経緯でございますが、平成15年、昨年の9月17日中央環境審議会第9回大気環境部会におきまして、事務局の環境省に対し、「VOCの排出削減について、有識者の意見を聴きつつ、早急に検討し、次回の部会でその成果を報告する」よう指示がございました。これを受けまして、この検討会9月29日に第1回が開催されまして5回の検討を経て12月9日に結果の取りまとめが行われたということになります。
その検討結果の概要でございますが、まず「はじめに」におきまして検討会設置前の経緯等に言及。II、背景といたしまして、昨今の浮遊粒子状物質、光化学オキシダントに係る深刻な大気汚染状況や、これまでの国の取り組みについて言及。III、VOCの排出抑制の在り方についてというのが本論でございますが、まず1番目に、浮遊粒子状物質と光化学オキシダントの生成メカニズムについてまとめてございます。
次のページに参りまして、2番目にVOCの排出実態ということで、気候変動枠組条約に基づく日本政府の報告によりますと、我が国の年間VOC排出量は、平成12年度において約185万トンということ。それから我が国では、溶剤を中心とした固定発生源からの排出が多いことが特徴だということが書かれております。
3番は、VOCの排出抑制の必要性。固定発生源から排出されるVOCがSPM生成における寄与割合の約1割を占めていて、固定発生源から排出される原因物質の中では、最大の寄与割合であるということ。それから少し下に行きまして、我が国では、自動車から排出される炭化水素の排出規制及び一部の自治体における固定発生源に係る排出規制以外には、VOCの排出規制は実施されていないということが書かれておりまして、排出抑制の必要性というものが書かれてございます。
4番目が、VOC排出抑制のための法制度の必要性ということで、大気環境の状況や、自動車NOx・PM法の基本方針「平成22年度までに浮遊粒子状物質の環境基準をおおむね達成」という目標を踏まえますと、VOCの排出削減は、一定の期間の間に確実に行われることが必要ということ。そして、排出者の間での公平性の確保も必要。そして諸外国では欧米各国のみならず、韓国及び台湾でも、法規制を実施している。これらのことをかんがみれば、我が国においても、法律に基づき固定発生源からのVOCの排出を規制することが必要ではないかということが書かれてございます。
5番目に、VOCの排出抑制の枠組みでございます。事業者における対策の自由度や行政面での実効性を考えますと、排出口における濃度規制が適当と書いてございます。排出口以外の開口部からの飛散・漏出、それから野外作業に伴う飛散等の場合については、こちらについても排出抑制対策が必要ということですが、これらの場合には、情報提供など事業者の取り組みを促すための施策、低VOC製品の開発、使用を促す施策を講じるべき、それから事業者の側でも、製品の低VOC化などの取り組みを推進すること、自主的な取り組みをすることなども必要だということが書かれてございます。
6番目、排出抑制の対象とするVOCの範囲、定義でございますが、こちら先ほどの法律の定義の説明と内容的にはほとんど同じ考え方だと思いますが、この二次粒子及び光化学オキシダントの生成メカニズム、それから別のVOCへの代替の可能性、生成能を一律に決めることの難しさ、事業者や行政が測定を行う際の負担を考えますと、この規制対象となるVOCは包括的にとらえ、排出口からガス状で排出される有機化合物と定義するのが適当。ただし、メタンなど光化学オキシダント、浮遊粒子物質双方の生成能がないと認められる物質は、個別に対象から除外するということで、この考え方がそのまま法律の方に行っているような感じと考えてよろしいかと思います。
7番目に排出濃度基準を定めるに当たっての基本的考え方ですが、排出抑制の目標や基準を定めるに当たっては、業種ごとの排出抑制技術の開発状況について十分に調査・検討を行い、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めると書いてございます。
8番目にVOC排出規制の対象施設を選定するに当たっての基本的考え方。公平性及び実効性の観点から、VOCの排出が多く、排出抑制技術が開発されている施設を規制の対象とするという考え方が書かれてございます。
9番目、VOCの排出規制を行う地域ですが、環境基準達成状況が全国的に低い水準で推移していること、それからVOCの移流、未然防止の観点を考慮して、全国を対象に規制を行うということ。
10番目にVOCの測定法でございますが、VOCの定義、測定コストにかんがみ、包括的に測定できる測定法を採用。現時点では、FIDを用いた炭素換算で全VOCを測定するのを基本とするのが適当。今後さらに、正確で、かつ、実行可能な測定法について調査・検討を進めるべきということが書かれてございます。VOCの測定方法専門委員会ではまさにここの部分をご議論いただくということになりますので、ここの辺については後ほど詳しくまたご説明させていただきます。
最後4番目、今後の課題といたしまして、浮遊粒子状物質等の生成メカニズム、低VOC塗料等の開発、技術情報の提供、新しい測定法への配慮等々の今後の課題について言及がなされてございます。
こちらの検討会の結果というのを踏まえまして、資料の2-3の方になりますけれども、中央環境審議会「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について」の意見具申というのが平成16年の2月3日の大気環境部会において取りまとめられてございます。
こちらでは先ほどの検討会の報告を踏まえまして、議論がなされまして、資料2-3を骨子とする意見具申が出されております。
1番目にVOCの排出抑制の必要性ということですが、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントに係る大気汚染の状況は依然として深刻。そして、自動車NOx・PM法の基本方針では、平成22年度までに環境基準をおおむね達成という目標を設定していること。オキシダントについては、注意報等がしばしば発令されておりまして、これを一定程度改善することが当面の課題であること。自動車排出ガスについては、昭和49年以来、炭化水素の排出規制を数次にわたって強化してきたこと。そして欧米各国でも、90年代半ばまでには、VOCを法で規制しているということ。以上のようなことから、このVOC排出抑制の必要性というものが書かれてございます。
このVOCの排出抑制の目標と時期ですが、VOCの排出総量を3割程度削減するということが一つの目標として掲げられております。目標の達成期限といたしましては、NOx・PM法の基本方針の目標を勘案いたしまして、平成22年度を目途とするということでございます。
3番目に、VOCの排出抑制制度でございますが、法による規制と事業者の自主的取り組みとを適切に組み合わせた手法により、効率的にVOCの排出抑制を実施するということで、このベストミックスという考え方がこの意見具申の中で示されたということになります。法規制は基本的シビルミニマムなものとするということです。すなわち、一施設当たりのVOCの排出量が多く、地域環境への影響も大きい施設に、法規制を適用すると。具体的には以下の6種類の施設類型を念頭に置いているということで、六つの類型が書かれてございます。
[1]塗装施設とその塗装後の乾燥・焼付施設、[2]化学製品製造における乾燥施設、[3]工業用洗浄施設及び洗浄後の乾燥施設、[4]印刷施設及び印刷後の乾燥・焼付施設、[5]VOCの貯蔵施設、[6]接着剤使用施設及び使用後の乾燥・焼付施設という六つの類型でございます。
規制方法につきましては、排出口における排出濃度規制を適用するとともに、施設の設置を自治体に届け出る制度を設けるという内容でございます。そして、規制対象以外からのVOCの排出については、事業者の自主的取り組みによる創意工夫を尊重して、費用対効果が高く、柔軟な方法で排出削減を行うということでこの意見具申が取りまとめられてございます。
これまでの経緯につきましての説明は以上でございまして、引き続きまして、資料の2-4、本専門員会における検討事項とスケジュールをご説明させていただきます。
まず1番の検討事項でございますが、まず、改正大気汚染防止法のVOCの定義というのが先ほど成田の方より説明させていただいたとおりでございまして、大気中に排出され、または飛散したときに気体である有機化合物(浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除く)という定義でございます。まさにこの定義の内容そのものをこの測定方法専門委員会でご検討いただくということで排出ガス中のVOCの測定法、それから、ここから除く除外物質についての検討を行っていただくということでございます。
こちらにつきまして、別紙と書いてございますが裏面になります。裏面に専門委員会での政省令検討事項というのがございますが、昨日行われました排出抑制専門委員会との仕分けも含めて整理をしてございます。
測定方法専門委員会で行いますのは、二項目ございまして、一番上のVOCの除外物質というものと、下から二番目の測定関係でございますが、測定関係につきましては基本的にはVOCを包括的に測定する方法というものを、この測定方法専門委員会でまさに専門的な事項としてご議論いただくわけでありますが、測定方法に付随する頻度等というものがございますが、この頻度等というのは、実際にどのくらいに、一年間に一回とか、どれくらいの割合で測定をする必要があるか。あるいは、その例えば排出口がたくさんあった場合に、どういったところではかるべきか、こういった内容につきましては事業の実態をよく熟知した方がたくさん委員になっておられる排出抑制委員会の方でご検討いただきまして、こちらの測定方法の専門委員会では、まさに測定方法そのものをご検討いただくという整理でございます。
表に戻りまして、2のスケジュール(案)でございますが、この法規制の部分を円滑に実施するに当たりまして、法規制の対象となる事業者が法規制に対応するための措置が、どういう措置が自分に一番適しているかということについて十分検討して準備するための期間というのを確保することが必要でございます。
大気汚染防止法の改正法は本年の5月26日に公布されておりまして、施行は公布後2年以内の政令で定める日とされているところであります。事業者の準備期間を1年程度と見込みますと、平成17年の春ごろまでには結論を得ることが必要であると考えまして、この下の表にあるようなスケジュールにより審議を進めたいと考えております。そういうことで一番下の3月ですね、3月あたりに大気環境部会に諮って答申をいただくということを一つの目標として全部で6回程度のご検討をこの専門委員会でいただきたいと考えているところであります。
検討事項とスケジュールにつきまして以上です。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見あるいはご質問ありましたらよろしくお願いいたします。
【指宿委員】 測定法と絡むと思うのですが、排出基準で濃度を規制するというふうになっているわけですけれども、VOCの場合に非常に、間欠的にたくさん出たりですね、あるいは出なかったりと、そういういう高低の問題があると思うのですが、排出基準としては、どこの濃度で排出基準とするのかというのが、どういうふうになるのかというのがあって、それに対応する測定方法というのが必要になると思うのですけれども、その排出基準についての考え方をもしこの時点で決まっているなら教えていただきたいなと思ったのですが。中で議論していく内容かも知れないのですけれども。
【岩崎委員長】 事務局の何かそれに関してありますか。
【成田課長補佐】 排出基準の考え方ですが、まさにこれから、こちらの測定方法ではなくて、排出抑制の専門委員会の方でご検討いただく話だと思うのですが。現行の例えば、ばい煙の規制のことを申し上げますと、ばい煙についても、例えば今、指宿先生がおっしゃったように間欠的に出るというものがございまして、そういったものは現行の法制上の整理といたしましては、一工程の平均の量をとると、そういう扱い方をいたしております。そういったものが、今回、VOCに対して当てはめられるかどうかは、今申し上げましたように排出抑制専門委員会の方でご議論いただくことだと思いますが、そういったことも、ひとつ現行法というのをお考えにいただいて、排出抑制専門委員会の方でご議論いただくべきだと事務局の方では考えております。
【岩崎委員長】 頻度については先ほどの説明がありましたように、別の排出抑制の方の専門委員会の方で検討するということで、多分測定する試料採取時間とか、要するに何分とるかとか、そういうところは多分この検討委員会でも議論できる場ではないかと思いますけれども。
【指宿委員】 工程ということで、一工程という言い方、ある排出施設にとってどこが一工程かというのは恐らく業界の方が一番ご存じだと思うのですけれども、それをカバーできるような測定方法をやっぱり準備しないといけないのではないかなと思っていますので、そういったところを議論できればと思っているのですが。
【岩崎委員長】 多分最終的には、頻度の方は排出抑制の方でやるということで、採取時間に関しては、この検討委員会でいろんな実態調査やなんかを踏まえて、また議論できたらと思いますけれども。
説明の範囲が非常に広い、事務局からの説明でしたけれども、何か、ご質問があったらよろしくお願いいたします。
【平野委員】 VOCの定義なのですけれども、大気中に排出されたときが、ガスという飛散物となっていますよね。だけれども、燃焼だとか温度によって、ガス化の場合と、それから粒子化の場合もありますよね。その辺はっきりしないですよね。だから、全体がガスとなっても、温度との関係があるので、それから最終的には粒子状物質と、それから、高濃度の生成と考えると、その辺のあいまいさ。本当にあいまいで、全体を含むのかということをはっきりしないと、測定に全部関与してくると思うのですよね。だから、どこの範囲までというか、全体に、個人的な意見としては全部含めばいいなと思うんだけど、ただ計測として考えるとなかなか難しいところがあるので、その辺をきちっと定義される必要があるのではないかなというふうには個人的には思っていますけど。何かそういう考えが環境省にあるのかなというような、もしくは、排出規制の方で何かそういう論議されたのかということをちょっと教えてほしいなと。
【成田課長補佐】 その法律上の定義の話ですが、今回のこのVOC、中央環境審議会の大気環境部会、あるいはその前段階の排出抑制の検討会の段階におきまして、包括的に排出抑制を図ると、その排出抑制を図る理由というのは、非常に多くのVOCがオキシダントあるいはSPMの生成にかかわっている。それから、まさに今回測定の関係にも絡む話なのですが、除外をする物質をたくさんとればとるほど、測定も大変になってくると、そう言った事情なども考えまして、包括的に定義すべきというのが検討会、それから中央環境審議会の段階で提言されております。それを踏まえまして、今回大気汚染防止法の方におきましても非常に包括的な形で、気体状の有機化合物というふうに定義いたしておりますので、今、平野先生がおっしゃったように、確かに温度によっていろいろ対象となる物質は変わってくるわけですが、ただ、その燃焼に伴ってその温度が高いときには普通の状態であれば、液体状のものでも今回の大気汚染防止法の定義では排出抑制の対象になるということになってまいります。今回あくまでも国会を通った法律の文言というのは、このような広い定義でございまして、あえて除外しなければいけないのは、先ほどもご説明申し上げましたとおり、SPMそれからオキシダントの生成能の無い物質のみを除くというそういう法律上の定義になっております。
【平野委員】 もう一点なのですけど。生成というのは反応とかが伴いますよね。それから、粒子を含むと、粒子化というのは生成だけではなくて自分自身で凝縮した粒子がありますよね。それから吸着して粒子は成長すると。そういうのまで生成というのは含むのかどうか。そうすると、基本的に粒子というふうな形になると、余り除外というのはなくなってしまいますよね。ほとんど吸着という形で粒子生成というのは成長していきますから。
だから光化学の反応となると多分反応活性とかという形の中で、制約があるのかもしれないけど。だから、その辺をきちっと粒子の吸着を含めた粒子化ということを基本に考えれば、余り除外というのは出てこないのかなと。それから、計測法もなんかいろんなものが決まってくるのではないかなと思うのですけどね。
【成田課長補佐】 今回、この法律上の定義の方は特にその光化学の反応というふうには限定しておりませので、浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならないと言っておりますので、広くその、今先生のおっしゃったような粒子化も含めたものでございまして、光化学反応に限っておりませんので、どちらかというとこの生成というのは、非常に広く解釈すべきとそういうふうに考えております。
【指宿委員】 今の平野先生の質問、非常に測定方法に大事だと思うのですが。その排出口から、排出されるVOCの濃度という定義になっているので、排出口における条件が規定されないといけないと思うのですよね。例えばそこが常温であるのか、あるいは40度くらいになっているのか。逆にいうと排出口の温度が40℃であって、そこから気体として出るものはもうすべてVOCであるというふうになっているのではないかなと思うのですが。そうしたときに、では測定方法として、どういうサンプリング方法を使って測定器に持っていくかという、そこがもろに濃度にかかわってきてしまうので、まず排出口の条件というのを第一優先にするだという前提をみんなが理解しないと、測定方法自体が非常にわかりにくいものになってしまうと思うので、そういうところをきちんと議論をして決めるということをしたらいいのではないかなというのが私の感じなのですけれども。
【中杉委員】 先ほどからのご議論ですが、私も排出抑制検討会で議論しましたので、そこら辺のところの話はですね、多分VOCの定義というのは、一応こういうふうにしましょうという話にして、実際はそうは言いながら測定法でそこら辺のところ全部カバーできる、ぴったりカバーできるようなものはなかなかないだろうと。だからそういう意味ではある程度は抜け落ちるものも出てくるだろうしというふうなことは少し想定した上で議論している。今、指宿先生が言われた話は、基本的には、排出口から外へ出る、そのときの温度が高い場合にはある温度にして測るということ自体は、これはおかしな話でね。実際それは出てしまうわけですから、逆にいえば温度を下げれば排出抑制ができるというのでは、これは対策にならないわけですね。だからそこら辺のところは、測定法のところはサンプリングの方法を当然決めなければいけないですけれども、その日の温度がどうのこうのという議論は要らないのではないかなというふうに私は思ってはいるのですけれども。要するに、ある温度で出て行けば、それは環境中に入ってからどうなるかということは少し変わりがあるかとは思いますけれども、挙動には。外に出すという意味ではそこのところは余り、何度ぐらいで捕集してという話ではないんだろうというふうには私は解釈しているのですけれども。
【指宿委員】 私の言っているのはですね。排出口から出るものをVOCと言っているので、ですからそこを正確に測れるような測定方法を決めるのがいいのではないかということなのです。そこでプラスに測ったり、マイナスに測ったりということがないようなことをぜひ決めていきたいなという、そういうことです。
【岩崎委員長】 多分発生源の場合には非常に排ガス温度が高いということで、煙突ではガス状になっているけれども、外に出ると少し固体になってしまうというのが数多くあるわけで、それを煙突のガス状の部分で測定してしまうと非常に上乗せになってしまうという可能性があるのではないかというご心配だと思うのですが。確かに。
【指宿委員】 余りそこを言っているわけではないです。やっぱりVOCの定義としたからには、そこをきちっと測れるような測定方法にしないとまずいだろう。VOCの場合にはそんなに高い温度で出るというのは余りないですよね。乾燥焼付で出てきたら50とか100度くらいまで行くかもしれないのですけど。塗装段階だったらほぼ常温で出てきてしまう。そういう温度の変動もあるのですよね、排出口のところで、排ガスの温度が。ではそれをきちっと平均的に測るんだったら、サンプリングのときに何度の条件で、そのサンプリング管を保つかどうかということも絡んできているので、そう簡単ではないなと思いつつも、その辺、公平感があるような測定方法をつくりたいなという提案です。
【岩崎委員長】 環境省から出されている資料2―1にも、大気中に排出され、また飛散したときに気体である有機化合物ということではっきり定義しているわけですから、極端なこと言うと、これ後で議論することでしょうけれども、よく加熱配管で全部持ってきて、温度下げないではかる方法がありますけれども、そういう方法と温度を下げてから測る方法とかいろいろございますので。その辺で指宿先生言われるように測定方法の選び方が、やはりこの定義に基づくと検討しなければならないということですね。
ほかに何か、ご意見ございますでしょうか。
【本田委員】 VOCの除外物質の決定に当たっては、粒子状物質とオキシダントの生成の原因とならない物質というふうにあるのですが、産業界を代表して言うと、例えば私の関係するところではグラビア印刷というのがあって、有機溶剤を大量に消費しているのですが、それの一つの解決法として水性グラビアというのがあります。ただ水性グラビアといいましても実際にはアルコールを数10%含んでいると。その場合ですね、今までよりはかなり改善するのですが、ただ、ここでいうVOCには該当してしまうと、そういうような今までのVOCの排出はかなり改善するんだけれども、なおかつここでいう定義に乗っかってしまうような改善方法を何とか救うというのは、ここの場では議論の対象にならないのでしょうか。ここら辺は抑制委員会との連携も必要かなということもちょっと考え、あと頻度についてもですね。ということもあって、そこら辺も考慮の対象になるのかならないのかというのもちょっとお聞きしたいなと思いまして。
【関大気環境課長】 法律上は、対策の観点から除外物質を決めるのではなくて、SPMとオキシダントの生成に関係ないものは規制の対象ではないということでありまして、その関係ないというのがどの程度関係ないとするのかということはご議論いただく必要があると思っております。
もう一方、今のお話ですけれども、昨日の排出抑制専門委員会でもご議論されまして、実際に規制対象の施設を決めて規制基準を決めるときに、どういうレベル、どういう考え方で決めるのか。一言でいうとBAT、ベスト・アベイラブル・テクノロジーで達成できそうなレベルを個々の分野ごとに考えて行きましょうという大きな方向性は出たわけではあります。その中に単に処理装置をつけるだけではなくて原材料を転換する、今の水性グラビアに転換するというのも多分そういうことだと思います。当然油性グラビアに比べてアルコールが入っていても排出口から出る濃度は相当程度低くなると考えておりますので、そういう中で、現実的なさまざまな対策が意味があるような形で規制基準を決めるべきであるという大きな方向が出されております。具体的にはそれぞれの分野ごとにこれから検討を進めるようになっております。
【岩崎委員長】 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
それではありがとうございました。これまでの議論はただいま事務局からの説明がありましたとおりでありまして、本委員会においてはVOCの測定方法及び除外物質について中央環境審議会の意見具申や、昨年度開催されましたVOCの排出抑制検討会における議論の結果等を踏まえまして、さらに専門的な議論を深めて一定の方向性を出すということでこれから議論を進めたいというふうに思っております。
それでは次に、本専門委員会におけるVOCの測定方法とVOCの除外物質についての議論を進めていくことになりますが、まずはこれらの二つの事項について検討を進めていくための検討の方向性について事務局より説明をいただきたいと思います。
それでは、まずVOCの測定方法の検討の方向性について事務局から説明をお願いします。
【長坂課長補佐】 それでは資料3-1と3-2をご説明させていただきます。まず資料3-1でございますけれども、VOC測定方法を検討するための調査についてということで、現在事務方の方で行っている調査についてご説明をさせていただきます。
まずこの調査の目的といたしましては、このVOC、包括的な定義でございますが、この法律上の定義されているものが、平成15年度のVOC排出抑制検討会では、「VOCの測定方法は、個別の物質ごとに測定する方法でなく、包括的に測定できるものを採用することが適当である。・・・したがって、現時点では、FIDを用いた炭素換算で全VOCを測定するのを基本とするのが適当であるが、今後さらに、正確でかつ、実行可能な測定法について調査・検討を進めるべきである。」とされてございます。これを受けまして、水素炎イオン化検出機、FIDでございますが、これを主体として、VOCを包括的に測定することが可能とされている測定機の各種VOC成分物質に対する感度特性を調査し、公定法を検討するための基礎情報を収集するということ、その他付随情報等の調査を行ってございます。
具体的にどういった調査をやっているかといいますと、2、分析方法(1)の調査対象機器ですが、大まかにA、B、C、Dと四つの機種区分の機種の調査をやってございます。
この測定機Aは、試料ガスを直接FIDによって測定する方法ということで、5機種。そのうち配管過熱方式2機種と配管非加熱方式3機種を対象といたしております。
測定機のBは、いわゆるノンメタンハイドロカーボン、非メタン炭化水素の測定機でございます。試料ガスからメタンを除いて、残ったガスをFIDによって測定する機種、1機種。
それからCは、試料ガスをPID、光イオン化検出機によって測定する方法。これは2機種。
Dは、試料ガスを酸化して二酸化炭素としてNDIR、非分散形赤外線分析計で測定するもの、こちらは2機種ですが、試作機ということでこれはちょっと市販されている機械ではないということです。その他のものは基本的には市販されている機械になります。
これらのものを対象といたしまして、裏面の方ですが、調査対象物質として、いわゆる有機化合物、幅広いものに対して感度特性を見ているということになります。調査内容といたしましては、試料調整装置を用いて調整した(2)の物質の濃度が既知のガス、これをそれぞれの調査対象機種で測定して、[1]から[3]の調査を行って、測定器の特性を把握するということで、[1]として、感度特性調査、既知濃度のVOCガスを測定しまして、各測定機がVOC成分に対してどの程度の感度を有しているかというのを調査いたします。それから[2]として、酸素干渉の調査として、酸素濃度が異なるVOC成分ガスというのをつくりまして、これを測定して、VOC測定に与える酸素の影響を調査するもの、それから[3]として、水分影響調査、水分濃度の異なるVOC試料ガスをつくって、これを測定して水分影響の調査をするというものです。
ここまでが分析機械の調査でございまして、3番目として試料採取方法の調査でございまして、(1)として、試料採取装置の検討ということで、試料採取装置の構成を検討するということ、それから採取装置の材質ですね、基本的には、バックを使って捕集するという方法を想定しているわけですが、このバックの材質によってVOCの吸着があるのかどうか、こういったようなことを調査するというものでございます。(2)として試料採取時間の検討ということで、先ほど話がありましたが、いわゆる工程によって変動するというようなこともございまして、こうした変動する排出状況に対応できる試料採取時間等の検討を行うということ、こういった内容について調査を進めておるところであります。
そして、資料の3-2でございますけれども、VOCの測定方法検討の方向性についてということで、VOC検討会の方の検討結果で、この測定方法に関しまして何点か記述がございまして、論点ごとにそこに抜き書きをさせていただいておりますので、これをちょっと読み上げさせていただきます。
まずは、測定方法そのものの論点につきましては、「測定法を決めるに当たっては、測定しようとする物質の定義に含まれるものが適切に測定できる方法を選択する必要がある。VOCに関しては、6において、排出規制の対象を包括的に定義したところであるので、この定義に含まれるVOCが適切に測定できる方法を検討する必要がある。
また、VOCは非常に多種に及ぶことにかんがみ、排出抑制対策を行う事業者や地方公共団体がVOCの個別物質をすべて測定するのは、煩雑であり、かつ、コストが膨大になるということにも配慮する必要がある。
このため、VOCの測定法は、個別の物質ごとに測定する方法でなく、包括的に測定できるものを採用することが適当である。
この場合、現段階においても、全炭化水素測定器法、非メタン炭化水素測定器法など水素炎イオン化検出器(FID)を用いた既存の測定法により、ほぼすべてのVOCを包括的に測定することは可能であると考えられる。
したがって、現時点ではFIDを用いた炭素換算で全VOCを測定するのを基本とするのが適当であるが、今後さらに、正確でかつ、実行可能な測定法について調査・検討を進めるべきである。」
それから、簡易測定法ということについても記述がございます。
「なお、測定法を決めるに当たっては、排出濃度基準に適合しているかどうかを正確に把握するための公定法をまず定めることが必要であるが、事業者における自主的な測定を促すため、使用するVOCの種類が明らかである場合の日常管理など、状況に応じて簡易な測定方法を行うことができるようにすることも検討することが必要である。」
それから、試料採取方法です。
「また、サンプリングの場所や手法によって測定値は変化するため、VOCのサンプリング方法についても検討することが必要である。特に、VOCが排出される工程では、バッチ式の操業が行われるなど、常に平均的な濃度でVOCが排出されるとは限らない状況が多いことにかんがみ、サンプリングの平均化時間についても、今後、十分に検討することが必要である。」
というのがVOC検討会の検討結果ということで、測定方法の方向として示されてございます。これに基づきまして今後の測定方法、検討の方向性についてご議論いただければと思います。以上です。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして何かご質問あるいはご意見ありましたら、よろしくお願いいたします。
【中杉委員】 VOC測定方法を検討、調査ということで、二つあって、分析方法と試料採取方法とあります。分析方法は、試料を標準化するといいますか、調整したガスについて測定されるみたいですけれども、試料採取の方法は、これは実ガスについてやられるのでしょうか。
【中野課長補佐】 試料の採取の方法の、まず試料の採取装置の構成については、これは実際上、文献等の調査で組んでいきたいと考えております。それから、試料採取の材質等の内容については、これは実ガスというよりは、それぞれの調整したガスを使って吸着特性等を調べるという形で行っております。
【中杉委員】 さっき指宿委員からご指摘のあった部分については、多分調整したものではなくて、実際のガス、それも千差万別なのでどこまでできるかですけれども、少しそんな先ほどの議論になりそうな部分についてですね、何か検討できる材料を用意していただけるとありがたいな。
【中野課長補佐】 このほかにですね、こちら今ご紹介しました内容のほかに、実際上500施設くらいでの排ガスの実際上の排出実態調査も並行して行う予定でおりますので、そちらのデータで検討ができるものと思っております。
【岩崎委員長】 今ご説明ありましたように、現場調査をこれから数百施設について行うということで、またその情報をこちらにもまた入れていただきたいと、この検討委員会の方にもですね、そのように思いますけれども。
【指宿委員】 個別の排出源の特徴をこう、つかめるような調査を、調査の解析というのですかね、そこをしていただきたいなと思うのですけれどもね。
【中野課長補佐】 ご指摘の内容は多分排出の変動の内容かと思いますが、ということでよろしゅうございましょうか。
【指宿委員】 共存する、例えば水分にしても、先ほどちょっと議論があった温度にしても違うと思うのですよね。だからそのところがちゃんとわかるような調査結果の提出というのですかね、みんなで考えるということをしていただくといいのではないか。恐らく、結果次第によってはですね、測定機は同じなのだけれども、サンプリングの条件とかなんかは、排出源ごとに変えた方がいい場合もあり得るのではないかなと思うのですよね。ですから、その辺のところ、公定法を決めるというのはなかなか、そういう意味で排出源ごとにサンプリング条件はこうだよというふうに決められるかどうかよくわからないのですけれども。少なくともサンプリング条件が排出源ごとにかなり違うということがわかってきたら、やっぱりその部分は考慮して決めた方が実態がきっちりと把握できると思うのですよね。
やっぱり目的は排出量の把握と、それの削減効果をきちっと測定によって確認するということなので、結果はまだわかりませんけれども、その辺のところを想定した調査をぜひやっていただくといいかなと思うのですが。
【岩崎委員長】 多分発生源の調査の方では水分量なんかもはかると思いますので、そういう情報もまた入れていただければと思います。
【芳住委員】 その今までのご議論すべて納得しうるものと思います。一方ではVOC規制全体の考え方というのは、環境負荷というものをどう捉えるかにあると思えます。別の視点ではですね、つまり環境負荷に対して、負荷の大きいものと小さいもの、それぞれに応じて規制のあり方を考えていくということも必要だろうということです。必ずしも環境負荷が大きくないものに対しての規制の実態においてと排出規模の大きなものと同様に扱い、すべてに同じ精度を要求して、厳密な測定を必ずしも求めていく必要があるという気もしなくはないわけです。全体として排出抑制をする中で、どこまでやったら効果的であり、また我が国の排出寄与全体において、大きいものについての取り残しがないか、規制残しがないという言う視点がとりわけ重要であると思います。比較的寄与の小さなものについて同じレベルでの精度を要求していく必要があるかということもあわせて考えていくべきと考えます。その幾つかご議論あるとおりでありますが例えば、高温の排出口から出てくるものをどれほど厳密にはかるかということもそうした見方から検討する必要があると思います。全体の寄与の中で、特別な排出口であるということが認められるならば一定の抑制効果を期待しながら高度の厳密性を求めずに測定せざるを得ないケースもあるのではないかというふうにも思われます。
【岩崎委員長】 ほかに何かご意見。どうぞ。
【中杉委員】 今の芳住先生のに少し絡むのですけれども、簡易測定法というのがありますよね。これ自体は公定法の中にはなじまないだろうと思うのです。ここに資料3-2で挙げられている、ちょっと気になったですが、これについても何らかの検討をしていくのかどうか、まあこれは自主管理ですから自由におやりくださいという話でこういうことが書いていたのですが、ここで何かそれについての検討をするのかどうか。今、芳住先生の言われた話もちょっと絡んでくるのかなと思います。多分、大変だというところは、規制の対象から、裾切りというようなところももちろん考えていくので、あんまり測定法、公定法みたいなところに、多様なものというのはつくるとまたおかしくなるのかなと私は思うのですが。それにも絡んで、特に簡易測定法というのは挙げておられるのはどういう趣旨なのかなという、この検討会での検討の範疇に入っているのかどうかだけ教えていただければと思います。
【岩崎委員長】 事務局の方からお願いいたします。
【長坂課長補佐】 測定法につきまして、VOC検討会の記述を引かせていただいているわけなのですが、本専門委員会では、まず3月を目標に議論いただきたいのは、やはり公定法でございまして、簡易測定法については、まず公定法ができてからでないと議論できないものだと思います。この簡易測定法については、排出抑制関係の検討会の方でも、まずその政省令の内容を決めた後に自主的取り組みの方向性、あり方等について、また議論をするということになっておりますので、そういうもの等を含めまして、公定法が終わった後にまた議論される内容であると考えております。
【平野委員】 とらえ方だと思うのですよね。公定法はきちっとしてないというのですか、公定法で一つの方法でやらなければいけないというのは、これは当たり前のことなのですけれども。簡易法としては、現場の、現在公定法でなくてもトレンドをとるとか、とりあえず、その実態を知るというのだったら、そのものをやらないと現場ですぐわからないですよね。それから、手持ちのやつだとか、そういうものも含めた形で、簡易で、まあ簡易という言葉がいいかどうかわからないですけど、そういうとらえ方でやらないと、実態調査だとか、現場の実態をとらえるには、いろいろな方法が出てくると思うのです。だからそういうものも含めた形で“簡易という”とらえ方がいいと思うのです。
この前の話でもPID等いろいろ出てきますね。それから半導体センサーだとかいろんなものが使われて現場を測定すると、まずその、自分たちの実態を知るということで、とりあえず簡易というのも、並行と言わなくても、その中に含めながら論議すべきではないかなと個人的に思っております。公定法をきちっと決めるということはもう前提ですけれど。だからそこを次の段階と言われていると、おくれおくれになっていってしまうのではないかなというのは思っておりますけれど。
【関大気環境課長】 繰り返しになるかもしれませんけど、今回はベストミックスということで、規制的な措置と自主的な取り組みを両者相まって、全体として排出抑制を図っていこうということであります。規制的な措置の対象以外のところは自主的でやってくださいという法的な割り切りになっております。そういう意味で、まず、期限が切られております法的な措置の部分についてご検討いただいて、自主的なものは名前のとおり自主的でありますから、国がああしろこうしろと、義務としてもちろん言うわけではありませんけれども、自主的な取り組みが、より進みやすいようにお手伝いできることを、情報の提供等も含めて、こういうふうにやったらどうでしょうかというふうな周辺部分について二つの専門委員会でご検討いただきたいと考えています。その中の重要なことの一つが、従来からご指摘されていただいておりますように、簡易なことでも事業者の方が、こういう場合だったらこんな簡易な方法で、みずからの排出の状況を把握できるというふうな、情報を提供していくことが自主的な取り組みの促進につながるという観点から、ぜひ一区切りつきました後にご検討いただければと考えております。
【岩崎委員長】 よろしいでしょうか。
【指宿委員】 こういう法規制が入ると、公定法で測定して、そのデータを報告するという義務が生じるわけですよね。今回の場合に、そういう意味でいうと測定の頻度というのはすごくきいてくるかなと思うのですけど。例えば頻度が高いとなると、排出源の事業者は、ここで公定法で決められた装置を購入してですね、それで、かなりの頻度で測定して報告しなければいけないのか。あるいは、例えば月に一回サンプリングして測定する、それが環境計量士がやって、それを公のデータとして報告するということであれば、その事業者は特定の分析計を持たないで、依頼して分析してもらうという方法をとれるわけですよね。だけど実態からいうと連続的に測定してもらった方が排出の監視という意味ではいいかなと思うのですけれど。その辺、やっぱり頻度と測定方法の組み合わせというのは、事業者にとってはかなり重要なファクターではないかなとは思っているのですが。その辺は排出抑制の方の委員会ではまだ議論はされていないのでしょうか。特にその頻度についてですね。両方でこう、排出抑制の方で検討するという話になっているのですけれども。
【関大気環境課長】 測定法のうち、頻度は抑制専門委員会で、それ以外はこちらというふうに分けさせていただきました。もちろん先生ご指摘のように両者すごく密接な関係にございますので、相互に少し領域を侵すような議論になっても構わないと思っております。頻度について具体的な議論は昨日されておりませんけれども、考え方としては、事業者に意味のない負担にならないようにということと、その頻度が高ければ高いほど排出の実態はわかりますので、そういうニーズとどこで折り合いをつけるかということかと思っております。当然、簡単であれば頻度が多くても負担になりませんし、大変な測定であれば頻度が多いと大きな負担になりますので、どういう測定法に落ち着くかが、どの程度の頻度が現実的なのかということと密接にかかわると思います。その辺もこの場でご議論いただいて、排出抑制専門委員会の方に私ども事務局が伝えさせていただくということにさせていただきたいと思っております。
【岩崎委員長】 今の測定方法の方向性についての議論はこれでよろしいでしょうか。
それでは、次は除外物質の検討の方向性について事務局から説明をお願いいたします。
【長坂課長補佐】 それでは、資料の4-1と4-2をご説明させていただきます。まず資料4-1はVOCの除外物質を検討するための調査についてでございますが、調査の目的といたしましては、改正大気汚染防止法のVOCの定義。この定義において、浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除くとされている部分について、検討するための基礎的データを得るということでございます。
まず文献調査ということで、個別VOCごとの光化学反応性等について文献調査を行いまして、この浮遊粒子状物質の生成能及びオキシダントの生成能、こういったものに関するデータを集めてこれを整理したいと考えております。
それから、検証調査ということでございますが、文献調査だけでは補えない、足りない部分等ございました場合には、この調査対象物質といたしまして、いわゆる光化学反応性が低いとされているメタン、それからこのフロン類等がございますが、ここから物質を選定いたしまして、この光化学反応性調査ということで、日本国内の大気環境状況下でのシミュレーションというのを行ってみまして、個別のVOCごとのオゾン生成能というのを計算してみたいと考えております。
それから、資料の4-2になりますけれども、先ほどの測定法と同じようにVOCの除外物質についての考え方につきまして、VOC検討会結果の記述から抜き書きをしてございます。上の4行の部分ですけれども、「排出規制の対象となるVOCを包括的にとらえ、かつ、排出口濃度規制との整合性を考えると、排出規制の対象となるVOCは、排出口からガス状で排出される有機化合物と定義するのが適当である。ただし、上記のように定義した場合、メタンなど光化学オキシダント、浮遊粒子状物質双方の生成能がないと認められる物質も含まれることから、このような物質は、個別に対象から除外していくことが必要である。」と書かれてございます。
下は、その参考としてですね、これに至る、これは今、結論の部分のところの抜き書きでございますが、それに至るまでの記述が書いてございますので、ご参考までに載せてございます。
除外物質の調査と、検討の方向性については以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の除外物質についてのこれからの方向性についてのご説明ですけども、何かご意見ございましたら。
【平野委員】 これは規制の除外ということで、測定の除外ではないですよね。というのは、規制の除外だったら測定しない場合、混合物がありますよね。その場合だと両方測らないと出てこないですよね。その場合だと両方測って差っ引くということになると、測定では除外というのは基本的にはすごく、もしそういう形でやると測定法というのは、なかなか確立できないと、旧来の形の分離分析の形だけしかできなくなりますよね。そういうことに対してのきちっと、規制対象物質か測定の除外かというのは、やっぱりきちっと考えなければいけないのではないかなと。
【関大気環境課長】 法律の定義のところに書いてございますように、今回の改正大気汚染防止法が排出抑制の対象とするVOCという、その定義から除く物質ということでありますので、当然定義から除かれましたら測定からも除かれますし、規制の対象からも除かれます。最初に、VOCとはこういうものですという定義があって、その定義に従って、規制対象物質もありますし、それの測定もありますので、両方除かれるというものであります。仮に除かれたとしたときに、測定でも除く必要がございまして、法律でいうVOCというのを過不足なく測る方法というのが正しい測定法となります。もちろん、例えばメタンが除外物質だとすると、メタンを測らない一括測定法であってもよろしいと思いますし、除くものを個別に測って、全体から引き算をすることで定義に合ったものを算出するというふうなこともあるかもしれませんし、そういう点につきましてもぜひご検討いただければと思っております。
【平野委員】 ちょっと加えると、現在の非メタン系、ありますよね。環境の場合でやると、非メタンという形がきて、メタンは。両方測って初めて非メタンが測れるというような考えでよろしいのかなと。そういう考えでよろしいのですか。
【関大気環境課長】 除外物質を検討いただいて何も除外しなくていいという結論であれば、FIDなり、今議論になっておりますものですべてが測れるとみなせるということであればそれでよろしいかと思いますし、仮に除外する必要があって、自動的に機械の中で除外されて測れるのであればそれでよろしいのではないかと思います。そうでなければ、混合して測ってしまうものであれば、別途除外するものについて、どういう測定法を用いてそれを特定して、計算上差し引くのかということが必要になるのかなと事務局は考えております。
【岩崎委員長】 この除外物質に関しては非常に難しい問題もあってですね、必ず、例えばメタンであればメタンを測らなくてはならないものなのか。それでその値を少なくとも引くべきなのか。そういういろんな問題が出てくると思うのですね。あるいは、施設によってはもうメタンはほとんど大気環境レベル以下きりないということが明らかになっているような施設に関しては、それはもう省略するということもあるでしょうし。それはまた、測定法も対象施設やなんかの具体的なことも出てくると思いますけれども、それも含めて検討しないとなかなか難しいかなと。すべてが、例えばフロン類なんていう難しい問題が出てきましたけれども、フロン類の定義をどうするかということもあって、各成分をHFCまで含めて全部はかってですね、それを差し引くというのは、非常に大変な作業になるわけですから。やっぱりフロン類が出るような施設というのはどういう施設なのか、そういう施設に関して特に寄与率が高いものの施設が明らかになっていれば、そういうものに関して測定を検討していくということも踏まえて、これから少し議論していく必要があるかなというように思います。
【中杉委員】 多分ですね、除外物質というのは、差っ引く方法でいくと、これとこれは対象ですよと、それは測らなければいけないということは必ずしもなくてですね。差っ引かなくてもいいわけですよ。差っ引かなくても基準がクリアできていればそれはそれで構わないわけで、これとこれはということで指定されたら、自分のところはこれは超えているとなったらそれを測っていただいて差っ引けばいいと。その他のもろもろは。だからその差っ引ける対象物物質は何であるかということをここではっきりさせておけば、例えばいいと。測定法という中でやるとなるとそういうふうにはいきませんけれども。そういう方法でいいのではないかなというふうに私は思いますけれども。
【芳住委員】 今の中杉先生のご発言に賛成なのですが、基本的には、発生源側からの申告を待って除外規定を適用するという考えで十分なのではないでしょうか。コストパフォーマンスというものをこういう規制においても当然考慮する必要があると思います。先ほどの簡易測定法なるものについても基本的には排出抑制をするための方策のひとつとして位置づけられるべきと思います。ご承知のとおり、厳密な測定装置というのは非常に高価なものでありますから、それに準じて許容度をどう設定していくかということを考えながら、全体の目的であるVOCを我が国の環境において従来に比べて抑制していくという基本的な考え方から簡易測定を活用すべきと思います。除外物質の選定においても、反応シミュレーションの実際の大気環境系での適用可能性について完全な意味での大気化学のプロセスを必ずしもここで十分議論する必要はなくて、端的に言えば発生源側の救済という目的をもって考えていくのがいいのではないのでしょうか。この後何回かある当会議で、同様の議論がまた出てきそうですが、それを全体の排出抑制をいかにコストパフォーマンスを上げながら実施することが肝要と思います。もちろんその中で公平性というものを無視はできないのでありますが、厳密性を追求するとなかなか前へは進めない危惧があります。この専門委員会の日程全体を拝見するとパブリックコメント等あって、それぞれの業界の関連の方からのご意見も聞くようにできているように理解しておりますが、これまで述べました観点で基本的には進めるのも私としてはいいのではないかと思います。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。どうぞ中杉委員。
【中杉委員】 多分、除外物質はですね、かなり、まあデータの確からしさはどうかという議論はまたありますけれども、ある一定の尺度でオゾン生成能なり粒子の生成能なりの、あるデータに基づいてやらないとこれはもう、しようがないですね。どのくらいかというその数字でどこかで敷居を用いないと必ず不公平な話が出てきますし、理解ができない話になるので、それをどのくらいにするかというのが一つの重要な議論になりますけれども。ある、今回試験をやる人間を集める、それで大体この数字はこのくらいだと、そうするとどこら辺までであればというのは、これはシミュレーションなんかも少し含めながら考えていくのでしょうけれども。あるところですぱっと切らないとしようがないのではないかと。そうしないと多分、非常に混乱が生じてしまう話になってしまうというふうに思います。そういう意味で、それを一つの線として示しておけば今度新しい物質についてですね、こういう物質を使っているけれども除外してほしいということは、事業者の方からデータをそろえて出していただくということも当然考えられるわけですよね。そんなことも将来的には考えて、それをそのまま事業者の方のデータの結果をそのまま採用するかどうかはともかくとして、そういうふうなことを将来的に考えていくという余地は残しておくべきだろうと思いますけれども。一応今回はそういう意味では検討できる範囲のものを検討して、どのくらいにしても、あるレベルより生成能が以下であればそれは除いていくと。とりあえず今回の検討の中での除外物質としてはこれとこれとこれであるというふうな整理の仕方で仕方がないのかなというふうに思いますけれども。
【平野委員】 これは、私はやっぱり測定しないと。除外するにしても、法的規制から除外は全然異論がないのですよ。だけど、測らないとわからないですよね、どのくらいか。だから最低限の、数はこれから決めるとしても、測らなければ、いろんな方法があると思うのですよね。報告もあるか、第三者が測るとか、いろいろ決めなければいけないことがあるのかもしれないけれども、測るということは、最低限一度は測らなければ、除外物質にしても測る必要があるのではないかなと。だから、それだけでないとなったら初めから除外で何も測らなくていいのかもしれないけれど、そうとは限ってないですよね。そういうことも含めて、何かしらの方法というのは、除外物質は、ここ、測定法ですからね。測定法についてやるのだったら、何かしらの方法を示してやるということもやはり、混乱を招かないことではないかなと。それから、法的にそれに対して証明しなさいとかそういうこととは別問題だと思うのですよね。測定とは。
【白石委員】 そういう意味では光化学反応性の調査をなされるみたいなので、それもいわゆるテストメソッド。あるいは、何らかの基準化した文書として、テスト法をつくっておくべきではないかなという気がしますけれども。それで例えばメタン、あるいはフロンなりの何らかの判定基準なりを設定しておくことが必要ではないかという気がしますけれど。
【若松委員】 除外物質を検討するに当たって、オゾン生成能という言葉がここにありまして、それを参考にするということが提案されているのですけれども、どういった尺度でこれを見るかということでかなり答えが違ってくるのですね。例えば、日最高オゾンで見るのか、それともオゾンのレベルを上げる量として見るのかで全く答えが違ってくるし、どういった時間範囲で、それを見るのか、例えばヨーロッパでやっているような長距離輸送的な二日も三日もたったようなそういったものを見るのか。それとも朝の発生源が昼間に及ぼす寄与を見るのかでもかなり答えが違ってくるのですね。だから、多分、対象とする物質について、いろんなことをやったにしても恐らくそれはいかようにも使えるような結果が出てくるだけでしかないので、その結果をどう使うかという議論の方が大事だと思うのです。もちろん、そのいろんな物質についてシミュレーションをやって検討してみるということは、一つの情報としてやってみた方がいいと思うのですけれども、恐らくその、そういった中で、これは、このレベル、この物質以下であれば、オキシダントについても、SPMについても影響ありませんよということを明快に線を引くということは、尺度として、どの尺度をとるかを決めない限り多分無理だと思うので、そこは、そういった程度のものだというふうにちょっとあらかじめご理解いただきたいなというのが一つです。
もう一つは、もしある公定法が決まって、その公定法がその物質について、その測定の感度がもしないとすればですね、それは全く、その測定法でやればいいわけですよね。だからそういったことも一つはあるなという気がしますので、それはむしろ多分この後、いろんなこれまでの基礎実験のデータが出てくると思うのですけれども、そういった中で、この測定法でやった場合に、この物質についてはこれくらいの、または100%その物質を測れているのか、その物質があってもその測定法としてはほとんど感度がないのかなどの議論が必要でしょう。なおかつ、実際どういったものが出ていて、工程としてどういった作業が行われているかといった実態と照らし合わせながらベストチョイスを考え、ではこういったものに収れんしていこうということが多分決められていくと思うので、今、ここでこうするということは、ちょっと今日の段階では多分決めない方がいいという気がしますので、少しデータを見てから議論したいなと思います。
【本田委員】 今の若松委員の発言でですね、ちょっと意を強くするというか、その一つの物質に対する光化学オキシダント発生能というのが一義的には決められないという、そういうふうにお聞きしたのですけれども。ぜひですね、この検証調査対象物質を、抑制委員のその六つの小委員会の方から幾つか候補を出して、先ほど私がちょっと言ったのは、その水性グラビアに対するアルコール類ですね。こういうものを一つ入れていただいて、それが果たしてそれ以外の物質と明らかにオキシダント生成能が今言ったその2~3日たった後の生成能も強いしという、明らかに抑制した方がいいという結論が出ればまた別ですけれども、そうでないとすれば先ほどのいわゆるベストミックスということからも含めて、そういう小委員会から、この物質については対象除外に検討をしてくださいというのをこちらに挙げていただくのも一つの方法かなというふうに思うのですが、いかがなものでしょうか。
【関大気環境課長】 先ほど申し上げましたように、除外物質は、若松先生ご指摘のように科学的な割り切りであるということかとは思いますけれども、あくまでも法律が規定しておりますのは、原則すべての物質はVOCであり、生成能がないと証明されたものについては例外的に除きなさいということです。つまり証明されない限りは原則すべてVOCということで取り扱いましょうという趣旨であります。もちろん世の中で大量に使われている物質については、私どもよりも進んでおります欧米でいろんなデータがございますので、文献調査の中で、かなりの情報は得られると思っております。そういう中でメタンと類似性がありそうなものについては、シミュレーション等で調査する必要があると思います。しかし、その物質を使用している使用していないという観点から選定するというのはちょっと観点が違うのかなと考えております。
【中杉委員】 きのうの排出抑制の方の委員会でも少し議論になったのですが、自主管理をされているということをどう評価するということなのですけれども、自主管理をされていれば基準はクリアできるはずだというふうに考えるべきで、自主管理されているから基準を緩める、それを考慮して基準を緩めるというような形はおかしいのではないかというそういう議論をさせていただきました。
それからもう一つ先ほど若松先生が言われた話が非常に重要なポイントだと思いますが、これはオゾン生成能がある程度低い、粒子生成能が低いといってもFIDで、まあFIDになるかどうかわかりませんけれども、想定する測定法で、余り感度が高くないものが当然、中に含まれるわけですね。そういうものについてまた、除外物質として入れて差っ引くと、過剰に差っ引くことになりますので、そこら辺のところも少し考慮して、FIDでいくと全部がとれない、ある種のものは感度が低くなってしまう。それがたまたま両方の生成能が低いというならば、それはそのままでいいではないか、その方法としては採用することは合理的ではないかという判断になるかと思いますので、そういうところも少し考えながら、除外物質というのを選定していく必要がある。単に若松先生が言っていただいたとおりで、オゾン層、生成能が低いから除外物質だと単純にはならないのだと思います。
【岩崎委員長】 ほかに何かご意見ございますでしょうか。
【指宿委員】 先ほどあったように、今日その、除外物質を決めるとかというのは、とても無理な話ですし、特にオキシダント生成能に関しては、結構文献がたまっている状況ではあるなと思うのですけど、浮遊粒子状物質の生成能というのはまだ全く闇の中というかね、数でいっても十数物質しかエスティメートした値がないという状況があるのですよね。この除外物質の条件というと浮遊粒子状物質とオキシダントの生成能、何か両方が成立しないと除外できないというそういう書き方になっていてですね、そういう意味ではどこで除外するかという科学的知見がやっぱり少し、というかかなりSPMについては不足しているという状況だと思うのです。ただアメリカあたりでは、やっぱり光化学オキシダントの生成能ということで、例えばエタンを一つの基準にして、それ以下の生成能だったら規制から除外するとか、かなり思い切った、私ちょうどアメリカに20何年前に留学していたら、そのときにそれこそトリクロロエチレンですとか、パークロロエチレンのオゾン生成能があるかどうかという研究がやられていて、で、ほとんどないという結論を出して、それがアメリカの規制に反映されているのですよね。だからそういう意味で、例えばここに書いてあるフロン類というのはやはりそういう観点では外した方がいいという、そういう考え方もあると思うのです。まあここは日本ですから、日本として持っている知見、それから調査すれば得られる知見という、その辺を議論してこの委員会として検討するのがいいのではないかなと思って、なかなか難しいとは思うのですが、ある程度常識的なところがあるのではないかと思うのですよね。何でフロンがVOCの、VOCでは完全にあるわけですけれども、オゾン生成能とか浮遊粒子状物質生成能ということで考えるとこれはすごく低いなという感じは私自身は持っているのですけれども、そういうのをやっぱりみんなでぶつけ合って決めていくという話かなと思うのですが。
【岩崎委員長】 ただ特定フロンだとするとですね、それが今のこの規制にかかるような濃度で排出されるような施設が実際あるのかですね。
【指宿委員】 フロンについては、特に特定フロンではなくてHFCとかCFCだとかHCFCとか、そういうものだと思いますね。あるいはそれに関連する物質。塩素が入っていても使われている物質もあるわけですよね。そういうところはやっぱり、冷静に見ていくという必要性があるかなとは思うのですけれどね。
【岩崎委員長】 この辺、測定方法等も含めてですね、なかなか難しい面もあってですね、HFCからHCFCまですべての項目を測ってですね、やるのか。あるいは工場側の使っているものの実態を出してもらって配慮するのかですね、その辺も含めて。
【指宿委員】 工場側の実態をきちっと見るというのはすごく大事だと思いますね。では本当にHFCとほかのトルエンみたいな溶剤が混在して出ている事業所というのがどのくらいあるのかとかね、そういうのはやっぱり調べた方がいいといいと思いますね。事業所の方で知っている部分があると思うのですが。
【岩崎委員長】 その除外物質に関しては、各先生方皆同じだと思いますけれども、数多く指定してしまうとですね、後が非常に大変になるということもあって、本当に効果的なというか、実態に合ったあれできちっと設定していかないといけないという難しさがあると思うのですけれども。それはまた今後、この検討委員会でさらに深めていきたいと思います。
【平野委員】 これ、浮遊粒子状物質というけれど、これ、最近のウルトラファインまで含むわけですよね。超微粒子まで。特に、これ、二次生成とか扱っていますよね。扱うということは、光化学の関係で。だから、余り今のウルトラファインの超微粒子までは、余り。データが不足しているのは国内もそうですけれども。基本的にはほとんど、光反応とかオキシダントの反応とかというのは、そっちの方が。それから人の影響に対して、そっちの影響が強いというふうに最近は言われているわけですよね。そういう中のことを含めているのかなというのを確かめたい。ただ一般的に、現状の、今までの浮遊粒子状物質でやるとちょっと解決。生成に対して“あれ”ちょっと違うのかなと。実際、計測に行って、計測法を変えると極端にそういう超微粒子が増えていますからね。現状として、そういうのが、間接的に、こういう光化学の原因になる。それからアメリカのデータを見ても、アメリカなんかは、こういう40度近くになると、めちゃくちゃオゾン濃度が高いですよね。アメリカなんかも一所懸命対策しているけどちっとも下がらないという現状。比較的日本も同じような状況になってきているし、だからその辺も含めた形で考えても、考えて、VOC全体を考えなければいけないのかなと思っているのですけれどね。だから除外物質を何にするかというのも、それにもすごく関係しているのかなと。それから文献も、かなりきめ細かくちょっと収集しないとなかなか難しいのかなというようには個人的には思っています。
【若松委員】 それはすごく大事な課題ですが、多分今、カバーできる範囲ではないでしょう。SPMの環境基準は重量で決められておりますが、今お話の超微粒子、ナノ粒子はほとんど、重さは重くないけれども、個数とかその毒性がありそうだという話が今問題となっており研究が始められたところです。VOCの寄与もあるらしいということも幾つか示唆されているという研究結果もありますので、それは情報としてぜひ集めておいてですね、環境省としてそれは蓄積をしておいていただくというのはぜひすべきだと思うけど、それが今直接、この今回の測定法とかですね、そういったものの議論にすぐ反映するレベルではないなという気がしますので、そこはちょっと分けて考えるべきと思います。そこまで含めてしまうと恐らく来年3月までに測定方法は決められないでしょう。明らかにこういった問題があるということはきちんと示しながら、そこは情報としてちゃんと集めておくということは私はぜひすべきだと思うのですけれども、余り範囲を広げてしまうと、いつまでたってもエンドレスになってしまうので、若干割り切りが必要かなという気がします。以上です。
【岩崎委員長】 ありがとうございました。それではVOCの除外物質については、これまでの議論の中で示された方向性を踏まえまして、今日出されている資料4-1の結果を参考にしつつ検討していくということで進めてまいりたいと思います。
そういうことで本日の議論というか審議は、ほぼこれで終わるわけでございますけれども、そのほか事務局から何か連絡事項ございますでしょうか。
【長坂課長補佐】 本日ご審議いただきどうもありがとうございました。なお本日の議事要旨及び議事録につきましては各議員にご確認をいただいた上で公開するということとさせていただきます。以上でございます。
【岩崎委員長】 それでは、予定の時刻より少し早目でございますけれども、本日の議題についてのご議論はすべて終了しましたので、本日はこれで終わりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。