平成24年6月7日(木)14:00~16:02
三田共用会議所 3階 大会議室
井上 祥治 | 浦野 紘平 |
岡崎 誠 | 桐明 公男 |
小林 悦夫 | 千本 雅士 |
土井 潤一 | 中杉 修身 |
奈良 恒雄 | 二瓶 啓 |
早瀬 隆司 | 福山 丈二 |
細目 一成 | 森田 育男 |
資料1 | 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会名簿 |
資料2 | 揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて(案) |
資料3 | 揮発性有機化合物排出施設の届出状況について |
資料4 | 平成23年度環境保全功労者等の表彰について |
資料5 | 平成22年度VOC排出抑制に係る自主行動計画の概要について |
資料6 | 揮発性有機化合物(VOC)排出抑制導入支援に係る検討業務について |
資料7 | 今後の揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策の在り方について(諮問) |
資料8 | 揮発性有機化合物排出抑制に関する大気汚染防止法の概要 |
資料9-1 | VOC排出量推計結果について |
資料9-2 | 光化学オキシダント注意報の発令状況及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況等 |
資料9-3 | 光化学オキシダントに関する今後の取組について |
資料9-4 | PM2.5の環境基準達成状況について |
資料10 | 平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告(抜粋版) |
資料11 | VOC排出抑制に関する今後の取組について |
資料12 | 中央環境審議会大気環境部会(第33回)の議事要旨について |
資料13 | 今年度の揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の進め方について |
委員提出資料 | 「今後の揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策の在り方について」ならびに今後の揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の進め方に関する意見 |
6.議事
【栗林大気環境課補佐】 定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の第15回会合を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私は、本専門委員会の司会を務めさせていただきます環境省大気環境課の栗林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、法政大学の後藤委員、それから東京都の寺田委員からご欠席、また、浦野委員から若干遅れるという連絡を受けております。
したがいまして、現在の出席状況でありますけれども、委員17名中14名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数であります過半数に達していることをご報告させていただきます。
ここで、本専門委員会の開催に当たり、山本大気環境課長よりごあいさつ申し上げます。
【山本大気環境課長】 環境省大気環境課長の山本でございます。本来ですと局長の鷺坂がごあいさつ申し上げるところでございましたが、福島原発に関わる除染問題の対応で、急遽用務が入ってしまいまして、こちらに参上することができなくなりました。かわりまして私があいさつをさせていただきます。
本日は、岩崎委員長を初め、委員の皆様方には大変お忙しい中、当専門委員会にご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。また、VOC排出抑制の対策を初め、大気環境行政全般にわたりまして、日ごろより多大なご理解と、ご支援を賜っておりますこと、深く敬意と感謝を申し上げたいと思います。
特にVOCの排出抑制につきましては、後ほどこの議題として挙げています22年度の確定作業ということがございますが、44%の削減が実現できているという状況でございます。3割削減といった当初の目標を大幅に上回る成果を上げましたことも、ひとえに、本日ご参集の皆様方の多大なご尽力のたまものと深く感謝申し上げる次第でございます。
本日は、議事として三つ考えております。
一つが、今申し上げました平成22年度の排出量の関係の確定作業でございます。これは例年のルーチンの作業でございます。
二つ目が、4月20日付で、中央環境審議会の方に私どもの大臣から、今後のVOC対策のあり方ということで諮問を出させていただいております。それが大気環境部会に付議されておりまして、それにつきまして、皆様にご審議を賜るところでございます。これにつきましては、昨年度の作業で、既に次期VOC対策のあり方検討ということで取りまとめていただいておりますので、これを踏まえまして、そのご議論をいただきますとともに、また私どもが、平成17年度にVOCの関係の通知を出した際に、その通知書の中でこういった目標が達成した場合におけるいろいろな、さまざまな事業者の皆様方の負担軽減についてということを検討するよう盛り込んでおりますので、それらについてのご議論を賜ればと思っております。
三つ目としてでありますが、今特に東日本大震災の復興財源を初め、非常に国の財政事情が厳しい中で、既定の予算見直しというのがかなり迫られております。その中で、このVOC対策のフォローアップを今後も引き続きやっていくわけでございますが、ぜひ、そういった今までのいろいろなフォローアップのための質を落とすことなく、いかに効率化を図れるかということで、またご議論を賜ればと思っている次第でございます。
今日お願いしたいのはその三つの議題でございます。どうぞ、本日はよろしくお願いいたします。
【栗林大気環境課補佐】 引き続きましてお手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料の不足等がございましたら事務局にお申しつけいただきますようお願いいたします。
なお、委員の皆様におかれましては、ご発言いただく際、お手元のマイクのスイッチがございます。それを押していただきますと赤いランプがつきますので、スイッチを入れてからお話しいただければと思います。
それから、マスコミの方でカメラ撮りされる方がいらっしゃれば、恐縮ですけれども、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いします。よろしいでしょうか。
それでは、これ以降の議事進行は岩崎委員長にお願いいたします。
【岩崎委員長】 どうも皆さん、暑い中ご出席ありがとうございました。
今、課長からも話がありましたように、30%の目標はかなり大幅に更新したということでございますけれども、本日その確定もございますので、4時までよろしくお願いいたしたいと思います。
最初に、VOCのインベントリについてでございますけども、VOC排出インベントリ検討会を設置して作業を進めていただくことをこの専門委員会としても了承しているところでございます。浦野委員初め、業界関係の委員の方々も参画していただきまして、インベントリの把握方法を中心に検討が行われてきたところでありまして、今回、23年度の報告書(案)が提出されました。23年度の報告書(案)は、22年度の排出インベントリをまとめたものでありますので、目標年が非常に重要な値になるということでございます。これについてまず議論したいと思います。
最初に、このインベントリについて事務局から説明をお願いいたします。
【栗林大気環境課補佐】 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。
VOC排出インベントリにつきましては、VOC排出抑制対策の進捗状況を把握する上で重要な位置を占めておりますことから、この排出抑制専門委員会に、ご確認も含めてお諮りするものでございます。専門委員会でのご意見は今年度のVOC排出インベントリ検討会において反映させてまいりたいと思っております。
VOC排出抑制対策の進捗状況を把握するために、昨年度までに実施した排出量推計の方法を踏まえて、平成22年度分の排出量を中心にして推計を行いました。
それでは、お手元の資料2の、2枚めくっていただきまして1ページ目でございます。
1ポツとしまして、VOC排出インベントリ推計の枠組みでございます。
(1)としまして、推計対象年度は平成22年度ということで、目標年度である平成22年度の推計を行いました。
次の、推計対象地域でございますけれども、全国におけるVOC排出量の推計を行いまして、平成19年度の推計分から都道府県別排出量の推計を行っておりまして、昨年度、都道府県別排出量の推計精度の向上を行いました。
3番目としまして、推計対象とする発生源の範囲につきましては、次の2ページ、裏面でございます。表1に書いてあるとおりでございまして、例年と同じ対象範囲でございます。
続きまして3ページ目でございます。(4)番の推計対象とする物質につきましては、発生源ごとに製品等に含まれると考えられる102種類のVOCを対象としております。
5番目の、推計対象とする業種でございます。発生源ごとにVOCの取扱方法等から判断しまして、日本標準産業分類の業種分類により整理いたしました。
6番目の推計における有効数字の考え方でございます。VOC排出インベントリでは、有効桁数を示すことなく、年1トンという単位での表示を行ってきております。
次に4ページ目をごらんいただきたいと思います。
2ポツ、検討会における主な検討内容と結果でございます。昨年度の調査におきましては、それ以前に抽出した優先検討課題より残件を整理しまして、これら残件について文献調査、それからヒアリング・アンケート等を行いまして、解決についての検討を実施しております。
主な検討の概要と結果につきまして、下の表2に示しております。大きく二つございまして、一つは都道府県別の推計方法の改善ということでございます。こちらは、平成22年度のVOCの排出インベントリ、それからPRTR届出大気排出量、すそ切り以下排出量、こういった資料等から配分指標の改善を行いました。
下の段でございます。国内の全規制施設事業者へのアンケート調査による規制対象施設からのVOC排出量の推計でございます。こちらは自治体の方、あるいは業界団体の方の多大なるご協力をいただきまして、大気汚染防止法に基づく届出事業者等へのアンケートを実施しまして、その結果から、規制施設からのVOC排出量の推計を行っております。こちらは後で、参考資料のところで概略を説明させていただきたいと思います。
次の5ページ目でございます。VOC排出インベントリの推計結果でございます。
まず一つ目として、発生源品目別の排出量の推計結果についてです。
この表3.4の一番下、右下を見ていただきますと、平成22年度の推計で79万219トンということで、平成12年度比44.2%の削減ということで、目標としておりました3割程度削減を大幅に超える削減という推計になっております。
この推計を行うに当たりまして、推計精度向上を行いました。そちらは7ページに、表3.2ということで取りまとめております。ここで、幾つか変更点等についてまとめておりますけれども、その中で主なものをご説明させていただきます。
まず上から二つ目の燃料でございます。こちらについては、当然のことながら温度によって蒸発量というのが変わってくるということでございますけれども、これまでは、日本全体の平均気温、こちらを用いて算出しておりました。当然のことながら北海道と沖縄とでは年間の平均気温も違います。地域の状況も違うということで、都道府県ごとの県庁所在地の平均気温を使って算出を試みたということでございます。
一つ飛びますけれども、工業用洗浄剤につきましては、イソプロピルアルコールの装置からの漏えいに関する東京都さんのデータを特別ご提示いただきまして、その結果、従来は60%で算出しておりましたけれども、これを45%と改めまして、こちらで計算させていただいております。
次の、ドライクリーニング溶剤についてでございます。こちらにつきましては、平成20年度までは、石油メーカー6社のクリーニングソルベントの数値を用いておりますけれども、21年度につきましては石油業界に合併があって、きちんとした数字が出なかったというふうに聞いております。したがいまして、22年度につきましては、これまでの石油メーカー6社のクリーニングソルベントの量をベースに、それと関係のあります日本クリーニング用洗剤同業会さんの洗剤出荷量、これが比例の関係にあるということがわかりましたので、その量を用いまして平成22年度のクリーニングソルベント使用量というものを推計させていただきました。
資料5ページにお戻りいただきますと、今申し上げましたドライクリーニング溶剤のところでございます。平成21年度、それから22年度をごらんいただきますと、22年度が1万トンぐらい増加しているように見えますけれども、これは21年度の推計の方法と22年度の推計の方法が違うということで、今申し上げましたように、平成22年度の推計方法と同じ考え方で、ちなみに、計算しますと平成21年度におきましても2万4,000トン強ということで、ほぼ22年度の推計値と同じようになります。
このことにつきましては、申しわけございません。表3.1の下に改めて付記しておきたいと思っております。
続きまして8ページ、物質別VOC排出量の推計結果、この表をごらんいただきますと、それぞれの年度の合計値につきましては、先ほど説明した表と同じでございます。この表で、昨年度どういう改善をしたかということでございますけれども、一つは、一番上の段の炭化水素系というところ、中段ほどに、110019番という物質コード以下が6けたの物質コードになっております。この6けたの物質コードにつきましては、これまでその他というところを1100番の方に入れておりましたけれども、それぞれの物質につきまして年間3,000トンを超える排出量という推計になっておりますので、改めて項目出しをさせていただいたということでございます。
同じような物質がアルコール系のブタノール、それから、下のほうに行きまして、その他の単体溶剤の二硫化炭素でございます。そのほか、下から2段目に石油系混合溶剤の欄がございますけれども、これまで工業ガソリン2号からソルベントナフサ、それから、飛びましてその他という分類でございましたけれども、新たに印刷インキ用高沸点溶剤、それから塗装用石油系混合溶剤、こちらの方が、その組成がわかりましたので、この石油系混合溶剤の欄に改めて追加して記載させていただいております。こういう点を昨年度改善させていただきました。
続きまして11ページ、業種部別のVOC排出量の推計結果でございます。こちらにつきましては、ごらんいただいたとおりでございます。裏面のところに、これまでの表に関連するものと同じくグラフの方を掲載させていただいております。
13ページでございます。(4)番、都道府県別排出量の推計結果についてでございます。こちらにつきましては、VOC排出量に地域の実態が反映されるように配分指標設定の根拠を明確にしまして、業種によって配分指標を変更する必要があるというご意見を昨年度いただきまして、改めて検討したところでございます。
この数値につきましては、自治体別に数値が記載されておりまして、幾つかの県におきましては平成21年度や、その前の年度に比べて排出量が増加していると推計されているところもございます。自治体におきましては、この数値がひとり歩きすると問題があるという考えもございますので、この表3.6につきましては、あらかじめ自治体にメールで送付させていただきまして、これでご了解いただいているという数値でございます。
15ページに飛んで、恐縮でございますけれども、こちらに都道府県推計のための配分指標を記述しております。一昨年から変更した部分につきまして網かけで示しているところでございます。この中で、15、16、18の業種コード、それから19以降の網かけしている業種、これにつきましては、実態に沿うであろう指標を考えまして配分指標にさせていただいたということでございます。 特に、PRTRの届出量だけでは中小企業の動向がとらえ切れないという観点で、PRTRのすそ切り以下の推計量比を加えた。あと、工業統計を利用していたものにつきまして、工業製品の売上高などで評価されるものであって、VOCに反映されにくいということがございます。なるべく化学物質を扱っている量ということで、PRTRの届出排出量の比を使っているところもございます。
また、燃料小売業につきましては、先ほど説明させていただきました都道府県ごとの平均気温を使って算出しまして、それを積み上げているということでございます。
ページが前後して申しわけございません。13ページをごらんいただきますと、例えば東京都、それから神奈川県につきましては、住宅着工面積が建設工事業に反映されているのですけれども、その比率が他県よりも活発であったということ、それから、愛知県の場合には輸送用機械の比率が他県と比べて、平成22年度は活発であったというデータから、前年度に比べて排出量が伸びているという結果になっております。また、福岡県につきましては住宅着工と輸送用双方が関与しているのではないかというふうに考えているところでございます。
以上が、都道府県別の排出量の推計結果でございまして、本文の最後になります17ページをごらんいただきたいと思います。
VOC排出インベントリにおける今後の課題ということで、表4にまとめております。こちらにつきましては、今年度も排出インベントリフォローアップということで継続していきたいと思っております。ここに大きく四つの課題がございますけれども、この課題を踏まえて、今年度もさらに精度を高めるべくインベントリの推計作業の方を進めていきたいと思っております。
続きまして、18ページをごらんいただきたいと思います。
参考資料ということでございます。VOC規制対象施設の排出量調査、大気汚染防止法の取扱分類別VOC排出量の把握ということで、こちらにつきましては、自治体さん、それから業界団体さんのご協力をいただきまして、自治体に届け出がされている全事業所にアンケートをとらせていただきました。回収率が4割程度ということで、かなり高い回収率であったというふうに思っております。アンケートにつきましては20ページにございますように、表3ということでアンケート票の例を示させてもらいましたけれども、なるべく簡素化して、皆様方から回答していただきやすいように作成したものでございます。
21ページをごらんいただきますと、排出量のアンケートからの推計結果ということで、資料の方を整理させていただいております。22ページ目でございますけれども、規制施設からのVOC排出量削減率の推計結果ということで、表7で取りまとめさせていただいております。全種類施設平均で60.6%の削減率という推計結果となっています。
次の③規制施設とそれ以外の施設からのVOCの排出量比についても推定してみました。表8、それから図3にありますように、平成22年度では、規制施設からの排出量が21.6%、それから平成12年度では30.5%だったと推計しております。その他、このアンケートをいただきまして、いろいろな情報をいただけました。
最後に、25ページをごらんいただきたいと思います。⑤番として、規制施設の排出への対策・種類でございます。業界の皆様方に、排出抑制に関して多大なるご努力をしていただいていると認識しておりまして、表11には規制施設に対するVOC排出への対策、それから種類ということで、種類を三つアンケートで掲げさせていただいておりますので、このような表になっております。
粘着等用乾燥施設、それからグラビア印刷用乾燥施設で回収装置導入の比率が5割を超えているというような状況で、それぞれ取り組んでいただいていると認識しております。
私からは以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。いつもの年であれば、ここでインベントリ検討会の座長をしている浦野先生にお話を追加してもらうのですけれども、今日はまだお見えでないようなので、また来ましたらお話を聞くとして、今の事務局からの説明に関しまして、何かご意見、ご質問等はございますでしょうか。
【小林委員】 一点だけ。5ページの表3.1の発生源コードの331工業用洗浄剤というところなんですけど、これは7ページの331工業用洗浄剤の説明の中で、今までは排出率を60%にしていたものが、22年度では45%にした。
つまり、これだけ落ちたという説明をされているんですが、6ページの図を見ますと、21年度に比べて22年度はふえているんですね、数字が。ということは、これは、21年度までの60%の数字を使うと、相当ふえたことになるんですかね。これでいいんでしょうか。
【岩崎委員長】 いかがでしょうか。この工業用洗浄剤というのは、全部アルコールが占めているのですか。それとも、塩素系とか、ほかのものも入っているのですか。
【栗林大気環境課補佐】 工業用洗浄剤において、まず排出物質につきましてはアルコール、イソプロピルアルコール、そのほかエーテル系のもの、それからトリクロロエチレン等そういうものすべてを含めて算出しております。
イソプロピルアルコールですと、平成21年度が7,400トン、それから平成22年度が5,500トンということで、約1,800トンぐらい下がっている。
【小林委員】 そうではなくて、今申し上げているのは5ページのところの資料で、21年度と違って22年度はふえていますよね。排出量が60から45に下げたという説明が7ページにあるにもかかわらず、使用量がふえたということなんですかということです。
わからないなら、調べて次回以降に。
【土井委員】 インベントリに直接関わっていないので正確ではないかもしれないです。
実は、洗浄剤で平成12年以来、一番大きいウエートを占めていましたのは塩素系溶剤なんです。したがって、平成12年度の段階でも、IPAというかアルコール系洗浄剤というのは非常にわずかなパーセンテージだったのです。
一方で排出係数というものがあります。その排出係数をここの7ページのところで、今年度についてはこういう排出係数の新しいデータが見つかったのでと修正なさったと思いますので。構成というか、加重平均から言えば、この7ページの部分は、余り大きな影響はないと思うのです。
ただ、私は平成21と22年の全体像が、絶対数としてエミッションが増えていっている理由というのは、検討会に出ていなかったというのはおかしいのですけれども、そこのところの説明は、私の方ではできませんです。
【小林委員】 7ページの説明をその辺に書かないと、いかにも、これでいくと排出量が、さらなる対策をしていると書きながら、排出量がふえているというのはおかしいですよね。何かその辺、きちっと説明をされないと。
【岩崎委員長】 今、土井委員からも説明していただきましたけれども、工業洗浄剤の中でのアルコールの比率が少ないので、全体的には多少上がった。その辺の説明を、7ページの工業洗浄剤のところの最初の方にでも入れておいたらいかがでしょうか。
【栗林大気環境課補佐】 ありがとうございます。
【岩崎委員長】 今、浦野委員がご出席になりました。今ちょうどインベントリに関して、事務局から終わって質問をいただいているところなので、浦野委員のほうから何かつけ加えることがありましたらよろしくお願いします。
【浦野委員】 今の件は再度精査しなければいけませんけれども、実は21年度は、かなり景気が落ち込んでいて、工業洗浄部門は特に落ち込みが大きかったということもあるのではないかと思っています。
ですから、イソプロピルアルコールのせいではないけれども、全体として21年度は、かなり洗浄用途は落ち込んでいるのではないかなという感じはします。この辺、洗浄関係の方はいかがですか。
【土井委員】 そこのところは、インベントリで直接当該のところにタッチしていなかったので申しわけないのですけれども、全体的な景気動向というものが工業洗浄剤というのは生産工程のプロセスには必ずあるというようなプロセスですので、絶対的な量が、つまり生産量全体が増えれば、当然それに伴ってというのはあると思います。
それ以上のことは申しわけないです。コメントできません。
【岩崎委員長】 浦野委員よろしいでしょうか。はい。
ほかに、このインベントリに関しまして何かご質問、あるいはご意見はございますでしょうか。
【早瀬委員】 東京から少し離れたところにおりまして、ちょっとピントのぼけた質問になるかもわかりませんけれども、私は今回この報告を受けまして、非常に削減が順調に行っているなということで喜んでいるのですけれど、私自身は、今回自主的取組とのベストミックスということで取り組んでこられたということで、自主的取組ということに非常に関心があるのですが。
今回、これだけ削減がうまくいった、いろいろな要因があるだろうと思うのですけれども、自主的取組の部分で非常に効果があったのかなというような気がしているのですが、今後、有害物質の関係だとか化学物質を考えたときに、今回のこの経験というものが、他の物質のコントロールにおいて、普遍的に有効に使えるのかどうかというあたりについて、今回取り組んでこられた環境省さんと経済産業省さんに、ちょっとご意見を伺いたいなというふうに思うのですけれども。
【植田室長】 自主的取組の実績については後ほど、これは数値的なものになってしまいますけれども、個別の資料でご説明させていただくということになっております。
今日、後ほどの資料ですが、こちらは数値が主でありまして、具体的にどういうことをやっていたのかという中の方は、今日は概要版ですのでありませんが、そちらの方は経済産業省のホームページにも出ておりますので、公表資料としてありますので、個々の業界で具体的にどういう取り組みをしたのか、個別具体的な技術的なもの、またオペレーション的なもの、そういう記載がございますので、それをごらんいただければと思います。
そこでも整理をしてありますように、排出量、量としては確かにずっと着実に減ってきたということもありますし、一方で、今日も資料には出ていないのですけれども、原単位の方も下がっている業界が多いということ、それを支えるというか、その理由として具体的にどういう取組をしてきたのか、これはオペレーション、あと技術に関わること、あと先ほどの資料でも具体的な取組内容というものが、定性的なものでありますけれども紹介がありましたが、そういった取組が着実に講じられてきた。これは産業構造審議会の方でも報告され、審議されておりますけれども、その点については評価されているというところでございます。
【栗林大気環境課補佐】 この排出インベントリの推計結果からも出ていますように、非常に大気汚染防止法の特定施設も含めて事業所の方におかれましては、自主的取組という観点から総合的に対策の方をしていただいていると認識しております。
我々も環境サイドの分野でございまして、それで各自治体さんの方が中心となって事業所の方の状況等を確認したり、必要によっては指導等、この後で説明させてもらいますけれども、そういうところもありましたけれども、これだけ進んでいるということにつきまして、また感謝申し上げたいと思っております。
【岩崎委員長】 多分この対策のためには産業界も動いていただかなければならないし、地方自治体を通して、アウトサイダーへの指導だとか、いろいろなこともあるでしょう。44%というのは非常に難しい値と思いますけど、皆さんの努力でここまで成し遂げられたのだと思います。この原因と評価に関しては、また何か一度検討する必要もあるかなと。
早瀬先生言われるように、ほかの有害物質、あるいは化学物質にも、こういうことが適用できるのかどうか、そういうことも含めて、新しい試みだろうと思いますので。特に、一般環境濃度が、VOC濃度が減っているということもかなり重要なことかなと思っていますので。
【中杉委員】 早瀬委員のお話に絡んでですけれども、基本的には大気の観点からいくと排出量は大きく減っている。これは実態的にどういうふうな形で出るかというのが一つの問題で、PRTR的に見ると、PRTRの大気、水への排出というのは減ってきているのです。その一方で減っていないのは廃棄物なので、やはりこのVOCについても、大気で減った、それはどこへ行ったのだろう。分解をしてしまうとか、あるいは使用料を減らしてしまうということであれば、もともと減ってしまうのですけれども、そうではない大気へ出すのだけを抑えたという形になると、それではそれはどういうふうに適切に処理されているかどうかということを一回、詰めていく必要があるのだろうと。そこら辺をしないと、ほかの化審法、化管法なり、そういうものとの絡みで有害物質についてもどうだということを考えると、そういうことも含めて議論をしていかなければいけないだろうというふうに思います。
【岩崎委員長】 業種によってもいろいろ違うのでしょうけれども、業種によっては蒸発量を減らしたり、回収量を減らしたりということはいいのでしょうけれども、今、中杉委員が言われたように、それが廃棄物の方に回っていったりとか、そういう問題も個々に検討する必要があるのではないかというご意見だと思います。
【小林委員】 今の関連なのですが。私はPRTR法が施行されるときに、単なる排出量だけを届出するのではなくて、その企業の使用料を届出しろと言ったことがあるのです。実際に、環境省がPRTRの施行前に、モデル事業というか試行事業で、兵庫県でやったことがあるのです。使用料と排出量を全部届けていただくことをやったことがあるのですが、結構これはおもしろかったのです。
それを申し上げたのは、結局は使用量の方は生産に影響が出ると、いわゆる企業秘密に関わると言ってどこかの人に反対されてつぶれたのですが。
それはそれでいいのですが、興味本位だけでお聞きするのですが、単に、興味本位だけだというだけで理解していただきたいのですが。
11ページ、21のなめし革のところですが、22年度極端に落ちているのです。これは何なのでしょう。21年までは大して変わらない数字がずっと並んでいて、22年だけが極端に落ちているんです。
【栗林大気環境課補佐】 申しわけありません。詳細を確認して皆様にご報告したいと思います。
【早瀬委員】 できれば、13ページなのですが、長崎県なのですけれども、20年度から21年度のところで急に、21年度、22年度と半分ぐらいになっているのですけれども、ここもちょっと理由がわかったら聞きたいなと思うのですが。後でも結構です。
【岩崎委員長】 各都道府県別のデータというのは、そういうところがたくさん見受けられていて、多分、統計の取り方だとか、係数の掛け方や何かで難しい点があるのではないかと。浦野先生いかがですか。
【浦野委員】 なめし革の件は、インベントリの会議でも議論になって、特定の事業所がある程度出していて、そこが大きく変わったせいだというふうにたしか確認したと思っていますけれども、後でその辺もう一度確認してもらえますか。
それから都道府県別の割り振りは、15ページから16ページにかけて、割り振りの仕方が書いてあるのですけれども、従来とかなり変えています。
というのは、従来というか昨年度は、仮にやってみた段階で、その出た数字に、おかしいという意見が随分出てまいりまして、今年度はそれを見直したという形で、今年度の方は、昨年度よりかなり信頼度が上がっている。
それで、特に増えたところについて、こんなに増えたということで、異議ありませんかいうことを主要な自治体に伺ったら、それは問題ないという回答がありまして、比較的、今年度は精度が上がった。特に、工業統計調査を使うのかPRTRの排出量の届出の比率を使うのかで結構大きく変わっているのですけれども、全体の排出量に対するPRTR届出排出量の比が、ある程度以上大きければPRTRの届出の比で割ってもいいのではないか。それがかなり小さい、要するに届けていない中小のところがたくさんあるところは、工業統計の方で補正するとか、そういう組み合わせを相当変えております。推計方法が、この網かけは変わったところですけれども、かなり大きく変わっているということで、昨年度のものとは余り比較にならない。
裏返して言うと、昨年度のデータも今のやり方でやり直したらどうなるかとか、あるいは、昨年度だけじゃなくてもっと前の方もこういう形でやり直してみたらどういうふうに変化しているのですかというのは、またやってみる必要があるかと思っています。
【岩崎委員長】 ほかにいかがでしょうか。
【中杉委員】 個別のところの変化というのは、これはいろいろな要素があって、一つ一つ挙げて議論していると大変なので、全体として40%、これは44%でしたか。この数字がそのとおり44%かどうかというのはまた議論があるのですけれども、大幅には下げているということを理解していく必要があるだろうと。
でも、個々のものについては、それぞれどうしてこうなったのかというのは、それぞれのところで議論をしていかなければいけないのだろうという、そういうふうな形で、余り一喜一憂する話ではない。例えば業種ごとで言えば、この業種が今度増えてしまったと。では、何で増えてしまったのだろうかというのを詰めてもらって、その業界で少し議論をしていただく必要があるのだろうというふうに思います。
もう一つあれですけれども、表3.1を見ていただくと、小さいところなので余り問題にならないのですが、数字が毎年ずっと変わっていないというところがあって、ここら辺はどうして、粗い推計しかできないのでこういうふうになるのかなというのがあるのですが、本来、毎年、毎年変わらないというのはあり得ないことなので、少しそこら辺のところは、そういうふうな推計手法が余り変えられないと、基礎となるデータも余りきっちりとれないのでこうなってしまっているのだろうというふうに思うのですが、そこら辺のところをもう少し、全体量を見る上では、余り大きな要素にならないのですけれども、もう少し今後の改善課題として検討していただければというふうに思います。
【浦野委員】 細かいことを言うと切りがないのですけれども、発生源品目別に見たときに、例えば食料品というのは、実は統計データが、ほとんどちゃんとしたものがない。これはもう、割と決まった数字でずっとやっているので、余り変化が出てこないというところになりますが、ほかは、それなりの経時変化というか年度変化がとれるような数字を使っているので、それなりには変化してきていると理解していただいて、それでトータルが44%減っているということです。
【中杉委員】 具体的な例を挙げると、量は少ないのですけれども、327番の光沢加工剤というのは18年からずっと同じ数字が並んでいるとか、それから335番の表面処理剤(フラックス等)についても17年から同じ数字がきれいに並んでいるのです。
多分、この辺のところは、今、浦野先生が言われたように基礎となるデータが把握しにくいことでそういうことなのだろうと思いますけど。
【浦野委員】 今回どのぐらい精査するかという議論で、余り小さいところは追求しないという考えで来ましたので、620がどう変化するかという点は深く議論はしていないのです。
ですから、100幾つとか600幾つとか80幾つとかいうところで若干自動的に変わる部分もありますけれど、変わらないところについても、余り小さいところは追求しないという方針でやってきました。
【中杉委員】 今後の課題としていただくのでということで申し上げているのと、もう一つ、それぞれの業界といいますか、それぞれのセクションでは、やはり努力をしていただくのを、努力の結果が見える化とか、下げなければいけないんだというふうに考えるとか、そういうところで、こういうのは意味がある数字になると思いますので、今の段階ではほかにやることがたくさんあるということで、そこまで手が回らないのだろうというふうなことで理解しますが、将来的には少し検討していただければということで申し上げました。
【浦野委員】 あとは排出量が減った分、廃棄物に行っているのではないかという議論がありますけれども、PRTRデータを見ても、やはりトータルで減っています。
ただ、これは8ページを見ていただければわかるのですけれども、絶対量としてきいているのはトルエンとキシレン類及びエチルベンゼン、この3成分ですごく減っているのです。これはPRTRも減っていますし、インベントリも減っています。ですから、4割減った、減ったといっても、具体的な中身を見ると、このトルエン、キシレン、エチルベンゼンというあたりが相当量、使用量も減っているし、排出量も減っているし、廃棄量も減っているという点で、すごく全体に寄与しているという形になります。業種別に見たときに、それが全部反映されてくるし、地域別に見たときにもそれが反映されてくるという形になっているというのが事実でございます。
【岩崎委員長】 ほかにご意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、このインベントリの23年度報告、22年度のデータですけれども、これに関しましては、先ほど一点ご指摘がありました。IPAの説明のところの、7ページの工業用洗浄剤の前のところに、1、2行、わかるようにIPAだけではないと、その記述を書き込むということで、そこを修正したいと思いますけれども、それで、このインベントリ検討会からの案であります23年度報告をこの専門委員会でも了承して認めたということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【岩崎委員長】 ありがとうございます。それでは、そういうことにしたいと思います。
座長を務めた浦野先生ありがとうございます。
続きまして、次の議題になります2番目の、VOCの排出抑制に関する取組について事務局から説明をお願いいたします。
【村井大気環境課係長】 私、環境省の大気環境課の村井といいます。私の方から説明させていただきたいと思います。
それでは、資料3の方を開いていただければと思います。
こちらは、めくっていただきまして裏面の方に、環境省が自治体さんから情報をいただきましたVOCの排出施設の届出件数を整理しております。平成22年度におきましては、施設としましては3,552、工場といたしましては1,131と、前年度、平成21年度に比較いたしまして61施設減少している状況でございます。
その下に円グラフがございます。こちらは、その横にある九つの表、九つの施設ごとに割り振ったものでございまして、前年と占める割合としては変わっておりません。
全体の構成としましては、届出の状況といたしましては以上でございます。
その次のページからは、細かいところとなっておりまして、自治体さんの届出の状況、それと、施設ごとの自治体さんへの届出の状況ということで、こちらをつけさせていただいております。こちらにつきましては、環境省のホームページからも見ることができることとなっておりますので、ご参考までにしていただければと思います。
それと、最後に、この資料3の一番最後のページに、自治体さんが行っております規制関係の事務状況でございます。
一番下の方に数字がいろいろと並んでおりますが、その上のF、G、H、こちらの方が、いわゆる、何か不具合、不適切な事例があったというところにつきまして処分したというところでございますが、こちらにつきましては、平成18年度から続いておりますが、ずっとゼロといったところとなっております。
その下の方につきましては、行政の指導の施設数ということで、いろいろと指導をすることがあるということで実態の数が上がっておりますが、特段不具合はないとなっておるところが自治体さんから得た情報でございます。
資料3につきましては以上でございます。
よろしければ、次に、功労者表彰の件につきましてご説明したいと思います。
次の、資料4につきましてご説明いたします。
環境省が、昨年度環境保全功労者等の表彰についてということで、ホームページで公表いたしました情報でございます。昨年度24年1月18日に大臣表彰を行っております。
こちらにつきましては、中ほどの枠の中に書いておりますが、新たに環境対策に係る模範的取組表彰といったところでVOCの表彰を行いました。平成22年度までは、私どもの局の方の表彰という制度でございましたが、平成23年度からは、大臣からの表彰という形で制度を改めております。
こちらにつきまして、表彰といたしまして、VOCの表彰をされたところにつきましては、その裏面のページにございますが、表の2段目、トーホー加工株式会社さん。功績といたしましては、グラビア印刷での多量に使用する有機溶剤、こちらの回収装置、それと処理装置の開発と導入、それと再資源化などを図っておりまして、VOCの削減に大きく貢献されました。また、インキとか機械・フィルムメーカーなどの関連業界も含めた横断的なこの装置の普及啓発に尽力されたということで、結果的に国全体のVOC削減の目標達成にも大きく役割を果たされたということで、こちらは模範的取組の表彰をいたしたところでございます。
また今年度につきましては、昨年度と同様、表彰制度、大臣からの表彰といった形で進めるべく、今作業を進めております。予定といたしましては、本年の7月に募集を始めまして、年末を目途に大臣の表彰を行うということで進めてまいりたいと思っております。
こちらにつきましては以上でございます。
【岩崎委員長】 続きまして、資料5については植田室長の方からよろしくお願いします。
【植田経済産業省環境指導室長】 経済産業省環境指導室長の植田でございます。
資料5でございますけれども、3月26日に産業構造審議会産業環境リスク対策合同ワーキンググループというものが開催をされておりまして、この資料は、その場で報告したものでございます。
産構審のワーキンググループにおきましては、毎年、業界団体等からVOCの排出状況ですとか取組状況について報告をいただいているわけですけれども、その内容について審議し、評価しているというものでございます。この資料につきましては、平成22年度の排出実績等を示したものであります。
1ポツのところにございますけれども、数としましては、43の業界団体等から40件の自主行動計画の提出ということになっております。
続いて、2ページ目でございますけれども、VOCの排出量です。この22年度の実績報告を集計しました結果、排出量はこの表とグラフのとおりとなっております。図1にもございますけれども、12年度の排出量51.8万トンに対して、22年度が22.7万トンということで56%の減ということになっております。
続いて、ページが飛んで5ページでございますけれども、3ポツとありますが、この削減についてです。今申し上げたとおり、平成22年度は12年度比で56%減となっているということであります。22年度までに12年度比で3割削減と、この目標に対してそれを上回る削減率で抑制対策が進んだと、このような評価をされているというところでございます。
中ほどには参加団体数、参加企業数がございます。適宜ご参照いただければと思います。
また、下半分には、先ほどもありましたが、環境省さんのインベントリの調査との比較という表もつけてございます。これも適宜ご参照いただければと思います。
以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。
続きまして、資料6につきまして栗林補佐からお願いします。
【栗林大気環境課補佐】 それでは、私の方から、VOCの排出抑制対策を支援するためのパソコン用ソフトEVABATの試験運用についてという、昨年の8月に報道発表させていただきましたこの資料について、説明させていただきたいと思います。
このEVABATにつきまして、この取組につきましては、昨年の排出抑制専門委員会でもご報告させていただきましたように、今日お見えの産洗協の土井委員のところと、それから東京大学におきまして、産業洗浄分野における中小事業者がVOC排出抑制対策の効果、それからコストを検討できるソフトというものを開発したということで、環境省も後押しをしたというものでございます。
こちらにつきましては、1ポツにありますように、このEVABATというものについて、自社の状況に応じて投資可能な、無理のない範囲で最も効果の高い対策を検討するためのものということで、塩素系の洗浄剤を使用している中小事業者をユーザーとして想定しておりまして、入力項目につきましては、ここに書いてあります設備の条件、作業条件、投資条件、こちらを入力しますと、出力としまして洗浄現場の個々の条件に合わせて、さまざまな排出抑制対策の効果、それからランニングコスト等を自動的に計算するというものでございます。
裏面に2ポツとしてソフトの申込方法等に書かせていただきまして、その下に絵で条件入力の画面の例、それからアウトプット、出力画面の例について掲載させていただいているところでございます。
私からは以上でございます。
【岩崎委員長】 EVABATに関して、東京大学と一緒に開発しました産洗協の土井委員、補足説明を何かお願いします。
【土井委員】 ご案内のとおりでございまして、実は一昨年度に、本来は実はこれはウェブ版を目指しておりました。無料でということを前提にした。
ただ、ウェブ版まで一気にいくにはという財政的な問題がメーンなんですけれども。しかし、一定のご支援もいただきながら、現実の事業者さんに使っていただけるレベルまでは来たと。そこで、試験運用を1年やろうという、だから暫定という話は暫定なんですね。
ただ、具体的には、いわゆるお試し版と我々は呼んだんですけれども、体験版のようなミニ版を配布、これは無料配布ですけれども。
それから、当然のことですけれども、本体側をお使いいただくとなれば、現場でお使いいただくわけですから、今まで見たことのないということも含めて、アドバイザーを、つまりアドバイザー制度みたいなものの延長線上のものを我々が組織して具体化すると。同時に、逆に言えば、それでデータバックしていただければ、シミュレーションソフトですから、ある意味では、データとして全体の精度を上げようと、こういう意味で、1年間ということで、実際は実はこれは8月ですので、現実的には9月から3月いっぱいまで1年間やらせていただきました。
それと同時に、今現在も私どものホームページに同じような掲載をしております。ただ、取組の内容が、これはご提供するという姿勢は全然変わっていないんですけれども、すぐに現場に行ってアドバイザー的位置を確保しながらというところまでは、なかなかストレートにいかないものですから、私ども内部の技術委員会を通じて、間接的というとおかしいんですけれども、サポートをさせてもらうシステムは現在も動いております。
ただ、残念なことに、こういう表現がいいかどうかですけれども、この場では、やはり、44%が象徴するように、かなり取組が進行した後の今の時間帯なんです。したがって、去年も実はそういうことを実感したんですが、自治体さん側のセミナーで化学物質管理なんかのセミナーの中で、EVABATの紹介を入れてあげようということで、新潟県を始めてとしていろいろ、大阪もそうなんですけれども、やっていただいて、それは聞いていただいた方は、これはなかなかおもしろいという反応は事実あるんです。ただ、それでじゃあ、すぐにうちの現場でといって、ぼんぼん手が挙がってくるかというと、今は実はそういう状況にはありません。正直言いましてVOCに関しては。
ただ、我々は、実はもともと化学物質のリスク削減プログラムの開発でやっていますので、東京大学がつくっていただいたといいますか、ベースになっていますプラットホームは、すべての領域に使えるという表現がいいんでしょうか、たまたまデータベースが私どもの産業洗浄の、そういう意味では塩素系の溶剤というデータベースを入れておりますので、ほかのデータベースを入れれば、それはシステムとして動くということが大前提で、プラットホームは有効でございますので、有効というのはおかしいんですけれども、もともと確立されている、ある一定のレベルには来ているということは、もう確信を持っていますので、皆様方で、また違った分野でご案内いただいて使っていただければ、素地になればと思って、今後、産洗協としては産洗協のこのEVABATをしっかりと守ってといいましょうか、展開をしていくつもりですけれども、皆様方にそういう用途があるようでしたら、また、ご連絡いただければじゃないですけれども、ご活用いただきたいと思っています。
以上です。
【岩崎委員長】 どうも、ありがとうございました。
ただいまの資料3から6までの内容につきまして何かご質問、あるいはご意見等はございますでしょうか。
【奈良委員】 一つ、興味本位で恐縮ですけれども、経済性評価とランニングコストの表が出ていますが、償却期間が下に張りついているのは、投資が全く要らなくて、すぐ初年度からメリットが出て、すぐにでもこれが対応可能ができると。ほかの例は27年と25年かけないともとがとれないと、そういう極端なのが出ている感じがしたのですけれども、この辺はどうなんでしょうか。
【土井委員】 私も正直言って、このグラフは初めて見るみたいなところがあって、例として余り適切じゃないなと思って先ほど見ていたんです。
ポイントは、例えば、エンドオブパイプの技術だけではなくて、ふたを閉めるとか、風を、カーテンじゃないですけれどもビニールで囲うことによってという、個々の対策技術の定量評価をしまして、そして入力作業をしていただいたらそれがクロスしていくということで、二つを重ねたら、さらにこういう効果が出るとか、そういうことをやっている評価がここに出てくるというのは、まずそうなんです。
ご指摘の話は、例えば、1,000万の予算がありますから、それをやりましょうとなったら、エンドオブパイプのガス回収装置を入れれば、当然、回収量は多いですよね。つまり、削減率は高くなるんです。ところが、そのもとのパイが、例えば、トリクロロエチレンが月10本を使っているところだったら回収率はカーブとしてすぐ回収できることになるんです。2本しか使っていないところであれば、そのカーブはもっと寝ちゃうわけです、回収のカーブは寝ちゃうんですね。そういうのを個々のところでやると、一般論ではなくて。その場の、その機械の、その状況の中でどうなるかというのが目指したところなんで、それを、これで表現を受け取ってもらえというのは、ちょっと難しいなと思いながら、ご質問いただいたんで助かりましたというんですか、追加的にお話しさせていただいて、ありがとうございます。
【岩崎委員長】 また、いろいろ動かしてみて、ご意見がありましたら、産洗協が窓口のようなので、また、よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。
【福山委員】 資料3の最後の9ページの表なんですけれども、立入検査の結果について一覧表でまとめられていますが、命令というようなきつい行政指導はないんですけれども、勧告というのが3ないし4%ぐらい、立ち入りした事業所の中には見られているんですけれども、この中身として、もう少し詳しく教えていただけたら。
例えば、6業種のうちで、どういう業種のものがこういう勧告を受けるような業種が多いのかとか、あるいは、規模的にはどうなのかとか、その辺、わかれば教えていただきたいと思ったんですけれども。
【岩崎委員長】 資料3の最後の9ページ、立入件数は一番上の方にあって、一番下の方に勧告その他行政指導の施設で幾つかの数字出ていますけれども、その中身、業種による違い、そういう意味ですね。わかりますか。
【栗林大気環境課補佐】 これは、毎年、大気汚染防止法の施行状況調査ということで自治体からアンケートを回収しているところなんですけれども、今おっしゃられた規模的なものに対する個々の回答というものについては整理しておりませんので、大きい規模ものがどうだとかというのは、情報は持っておりません。
一番最後の勧告その他の行政指導件数ということで、勧告となると、ある程度、文書的なもの、行政指導の中でもちょっと強目かなという印象はあるんですけれども、例えば22年度で35件とかあります。中身の詳細は個々には把握していないんですけれども、いわゆる行政指導的なもの、口頭での指導というものが多かったと思っております。
【福山委員】 わかりました。
【岩崎委員長】 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【岩崎委員長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、今年度の揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の進め方ということで、事務局から説明をお願いいたします。
【栗林大気環境課補佐】 それでは資料7から順次説明させていただきたいと思います。
まずもって、今年度の当専門委員会にお諮りしたいのが、資料7にあります諮問に対する答申案をつくっていただくということでございます。
資料7から資料10につきましては、5月18日に開催されました大気環境部会、こちらの方で説明させていただいた資料そのままでございます。
まず、資料7をごらんいただきますと、4月20日に環境大臣から中央環境審議会あて、「今後の揮発性有機化合物排出抑制対策の在り方について」という諮問をさせていただいております。
諮問の理由のところを読み上げますと、揮発性有機化合物の排出抑制対策は、大気汚染防止法に基づく排出規制と事業者の自主的取組を適切に組み合わせることにより取組が進められてきた。その結果、「VOCの排出抑制の在り方について」における目標を達成する見込みであると。今日、このインベントリについてはご承認いただいたところでございますので達成したということになります。
このような状況を踏まえまして、今後の揮発性有機化合物排出抑制対策の在り方について意見をいただきたいということでございます。
この諮問文を見ると、また新たな規制強化かというふうにとらえられる方もいらっしゃると聞いておりますけれども、後で説明しますけれども、事務局側の考え方としましては、今のベスト・ミックスという制度は継続する。削減の目標というのは新たに設定しないということをベースにご議論いただきたいと考えております。
続きまして、資料8でございます。
ご承知のことと思いますけれども、揮発性有機化合物排出抑制に関する大気汚染防止法の概要でございます。この大気汚染防止法の改正が行われたのが平成17年でございまして、当時、SPM、それから、今もそうですけれども、光化学オキシダントに係る大気汚染の状況が深刻だということで、緊急に対処することが必要だったということで改正が行われました。
内容については黒丸二つに掲げたとおりでございまして、現在の法体系としましては、2ポツの上の方にありますベスト・ミックス手法により排出抑制を実施する。それから下段の法規制の概要としましては、施設の届け出。施設につきましては一番下段にあります大きく6施設に分かれます。施設につきましては排出基準の遵守が義務付けられまして、その排ガスの濃度の測定記録というものも義務付けられているというものでございます。
さらに、資料の9-1をごらんいただきたいと思います。先ほど説明させていただいたとおり、VOCの排出量の推計結果につきましては、22年度で44%ということでございます。
次の資料9-2でございます。VOCの排出抑制というのは、光化学オキシダント注意報の発令状況の低減、それからSPMの環境基準の達成という二つの大きな目標がございまして、資料9-2にありますように、光化学オキシダントの状況につきましては、当初見込んでいた約9割程度まで注意報発令レベルを超えない局数の割合が上昇するということとは相当の乖離があるといったものが、図2に示したとおりでございます。
また、図3には、光化学オキシダントの昼間の日最高1時間値の年平均値も徐々に上昇しているというところでございます。
次の裏面でございます。浮遊粒子状物質の状況につきましては、図4に書いてありますように、平成16年度以降、自動車NOx・PM法の対象地域における環境基準の達成率が上昇しまして、ほぼ100%になっているということ。それから、図5にあります浮遊粒子状物質の年平均値につきましては、年々低減傾向にあるということでございます。
この評価につきましては、特にVOCが削減されたことによりますSPM濃度がどのくらい低減したのか、寄与度につきまして、なかなかそれを解明するのは難しい状況でございます。
ただ、一つの試みとして、今現在、過去の件、常時監視のデータ、それから地域特性等を、地域特性というのはNOx・PM法の対象地域、それから都市以外のところというような地域特性を区分して、今どのくらい評価ができるのかどうか、データを整理しております。その結果につきましては、第2回の専門委員会のところでご紹介させていただきたいと思っておりますが、今の状況ですと、なかなか評価が難しいなというような状況でございます。
【後藤大気環境課長補佐】 続きまして、今のようにVOCはかなり減ってきているんですけれども、光化学オキシダントが濃度が増加傾向にあるというようなことでございますので、昨年度、光化学オキシダント調査検討会というものを設けまして、今後の調査検討のあり方について検討を行っておりまして、報告書がまとまっておりますので、内容を説明させていただきます。
資料9-3をごらんください。
資料9-3の1枚目の真ん中辺の1ポツのところにありますけれども、光化学オキシダント調査検討会の報告書の概要でございます。
まず、光化学オキシダント濃度についての現状についてですが、検討会ではこのように報告しておりまして、全国平均では漸増傾向にある。ですけれども、例えば、夏季のうち一定範囲の気象条件で抽出した日における経年変化を見ると――夏季のうちの一定範囲と言いますのは、風が弱かったりとか、日照が強かったりとかというオキシダント濃度が高くなりやすいというような条件を抽出した日でございますけれども――このような日の経年変化で見てみますと、高濃度のパーセンタイル値が平成17から平成18年度を境に低下傾向へ転じた地域が多く存在しており、VOC等の対策効果の発現を示唆する傾向も確認されているというふうに考えております。
また、この概要の紙には書いておりませかけれども、一方で平成18年以降、初めて光化学オキシダント注意報が発令された地域が九州、四国や日本海側で見られるなど、これまで注意報が発令されていなかった地域で高濃度の光化学オキシダントが現れており、近年、高濃度の光化学オキシダントの出現地域が変化している傾向が見られることだったりとか、あと、九州地域で春の環境基準超過濃度の出現率が増えてきていることなどを、東アジアからの越境輸送の影響を受けていることが可能性として考えられることが指摘されております。
このようなことも踏まえまして、今後の調査研究のあり方について、(2)にありますように報告されております。
大きく三つからなっておりまして、一つ目がモニタリングデータの多角的解析による現象解明を進めるということです。二つ目が、排出量が特に大きい植物起源VOCを始めとした原因物質の排出インベントリの精緻化を図るということです。それから、三つ目が、シミュレーションの高度化を図ろうということでございまして、この三つを説明するのに一番都合がいいのが2枚めくってもらって裏の資料9-3の最終ページのところに、今後の調査研究の在り方(全体像)という絵がありますので、これを使って今後の調査研究のあり方を説明いたしますけれども、まず、モニタリングの充実、データの多角的解析ということで、現象の解明のためのモニタリングデータの多角的解析を行っていきたいというふうに考えております。これはオキシダントだけではなくてNOxとかVOCとか気象とか時間帯とか、いろいろなものも加味した解析を行っていきたいというふうに考えております。それから、VOCを始めとしたモニタリングの拡充を行いたいと。
排出インベントリの精緻化といたしましては、植物起源VOC排出量の精度向上、それから未同定VOCのオキシダント生成寄与の把握を行いたいと思っております。
それから、シミュレーションの高度化としまして、実測データによるオキシダント濃度の再現、VOC環境濃度の現況再現の検討などを行いまして、トータルでオキシダント濃度に関する現象解明を行っていきたいというふうに考えております。
資料9-3の1枚めくって戻っていただきまして、1枚目の裏になりますが、今後の対応につきましては、平成24年度以降に中央環境審議会において今後の施策について審議を行っていきたいというふうに考えております。
また、②ですけれども、実態解明のためのインベントリ精緻化、モニタリングの再構築については、必要な組織体制を整備し、関係機関との調整などを行いながら実施していきたいというふうに考えております。
それから丸の三つ目ですけれども、4月に閣議決定されました第四次の環境基本計画におきまして、光化学オキシダントについては広域大気汚染や気象条件の変化などの影響を大きく受けやすい注意報等とは別に、環境改善効果を適切に示す指標について検討を行い、結論を得ることを目指すということになっておりますので、この辺の検討というものを開始したいというふうに考えています。
オキシダントの報告書の内容はこのようになりまして、詳しくはホームページに載っておりますので、そちらをご確認ください。
続いて、資料9-4で、PM2.5の環境基準の達成状況についてもご報告したいというふうに思います。
PM2.5につきましては、平成21年9月に環境基準が設定されておりまして、その後、事務処理基準だったりとか、常時監視マニュアルの改訂を行うとともに、成分分析に関するガイドラインだったり成分分析マニュアルの策定とかを行ってきたところでございます。このたび、この前の2月に、初めて質量濃度の自動測定の常時監視の結果が公表されておりますので、その環境基準の達成状況を報告させていただきます。
平成22年度の環境基準達成率でございますけれども、一般局では年間を通しての有効な測定を行った局は34局ございまして、そのうちの11局、32.4%で環境基準を達成しておりました。また、自排局につきましては、有効局数が12局のうちの1局が達成でございまして、8.3%で環境基準を達成していました。
今のところ、有効測定局はかなり少なくなっております。全く存在しない自治体もありますので、こういうふうな形で測定局数が十分でないというふうに認識しておりますので、全国的な評価を行うことは、まだまだ難しいと思っておりますけれども、多くの地点で環境基準が達成されていないというふうに推測されますので、PM2.5対策は大きな課題であるというふうに認識しております。
下の地図を少しごらんいただきたいんですけれども、この地図をごらんいただきますと、白丸が環境基準達成局でございまして、黒い四角や三角が環境基準非達成の局です。地図を見ると西の方に黒い印が集っていまして、東の方では比較的達成をしている局が多いというふうになっております。これは、まだ測定局数は少ないですけれども、越境の大気汚染がこういうところからも見えているんじゃないかなというふうに少し考えているところでございます。
PM2.5の環境基準達成状況につきましては、以上でございます。
【岩崎委員長】 ありがとうございました。
続いて、資料10についてお願いします。
【栗林大気環境課補佐】 それでは、資料10、平成22年度に検討していただきました次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループの報告ということで、先ほども申し上げましたように、これは昨年度のこの専門委員会でも報告させていただきまして、専門委員会でご了承いただいている内容でございます。
このワーキンググループの検討につきましては、まだ平成22年度の排出インベントリの推計値が確定する前に、特に平成23年度以降、対策について空白があると、その間、どういうふうにしていったらいいかということでご議論いただいたと認識しております。
下の方にありますけれども、報告の中では①番として、新たな削減目標を設定せず、現在のVOC排出抑制制度は継続する。それから、VOC排出状況については引き続きフォローアップするということで、黒丸にありますように、排出インベントリの把握、それから、一般環境におけるVOCを構成する各成分の濃度測定も継続するということでございます。
このたび、改めて平成22年度のインベントリの推計値が確定いたしましたので、中央環境審議会にお諮りしたというものでございます。
以上でございます。
【岩崎委員長】 ありがとうございました。
続きまして、資料11について、これは植田さん、よろしくお願いします。
【植田経済産業省環境指導室長】 資料の11でございます。こちらも先ほどと同様に3月26日に産業構造審議会の産業環境リスク対策合同ワーキンググループで審議をして了承されたというペーパーでございます。
趣旨は、ただいまご説明のありました資料10と同様でございます。例の3割目標、これは大きく超えて達成をできたということ、そして、その要因としては、取組主体である産業界の努力というものが非常に大きかったということが書かれています。
そして今後の取組内容として、下に1、2と書いてありますけれども、削減目標としては、新たな削減のための数値目標の設定は必要ないのではないかということ。引き続き法規制、自主的取組を組み合わせた現在の排出抑制制度、これが継続をされる必要があるのではないかということ。
そして、2ポツとしては排出状況のフォローアップですが、これは産業構造審議会においての話ですが、業界団体ごとの自主行動計画、実績報告の枠組みを活用して、今後も産構審のワーキンググループにおいてフォローアップを行っていきたいと。こういう内容でございます。
以上です。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。
続きまして、資料12、先日行われた大気環境部会の議事要旨についてお願いします。
【栗林大気環境課補佐】 資料12でございます。特にVOCに関連した部分につきまして議事要旨ということでまとめさせていただきました。
一つ目の諮問の検討範囲等についてということで、この諮問の検討事項に光化学オキシダントとかSPM等については入っていないということで、VOCの排出抑制対策の在り方についてご審議いただきたいと思っています。
この排出抑制対策というものにつきましては、大気汚染防止法に規定する固定発生源を対象としたものということで、移動発生源については除いているということでございます。
三つ目の丸でございます。この諮問を超えたご意見が出てきた場合、場合によっては新たな専門委員会の設置の提案というものも考えられるといった発言もございました。
次に、VOC排出抑制のメリットと課題ということで、VOCの排出抑制対策は順調に進んでいて、作業環境等に対してもよい影響を与えてる。一方、アウトサイダーの問題など課題も多いというご指摘がございました。
次に、光化学オキシダント対策につきましては、国際的な取組も必要だろうということ。それから、昨年度検討させていただきました光化学オキシダント調査検討会報告書がございますけれども、この中で対策効果の評価というところをがさらに充実させる必要があるというご意見もいただいております。
次に、VOC対策と光化学オキシダント、それからPMの関係につきまして、今回のVOC排出抑制対策、こちらにつきましては、光化学オキシダント、それからPM対策をねらった形で実施してきたということなんですが、明確に対策の効果を評価する形がとられてこなかったというご指摘もいただいております。
それから、VOC対策につきましては、光化学オキシダント、それからPM2.5など全体を考えた形での今後の対策が進められる方向にいくことを期待するというご意見もございました。
最後に、今後の検討課題ということで二ついただいています。オキシダント、それからVOCは、別々の委員会で検討するのではなくて一緒の形で検討していかないと、最終的な対策、効果にはつながらないだろうということと、それから、光化学スモッグの発生メカニズムが以前と比べて大きく変わっているということから、越境問題というものも取り上げられる中、大防法23条に基づく緊急時の措置の内容についても、今後、あわせて検討していただきたいといったご意見もいただいております。
以上でございます。
【岩崎委員長】 ありがとうございました。
続きまして、資料13について説明をお願いいたします。
【栗林大気環境課補佐】 続きまして、私の方から資料13を説明させていただきたいと思います。
ここは今回のポイントになるかなと思っております。今年度の揮発性有機化合物、この専門委員会の進め方の案でございます。
事務局としましては、これから説明します2項目について検討いただきたいと思っております。
この専門委員会につきましては、今回を含めまして3回開催したいと思っておりまして、この項目を取りまとめて、今年12月ごろ開催予定の中環審大気環境部会に報告させていただきたいと思っています。
1ポツの本年度の主な検討項目でございます。
(1)番、諮問に関する検討ということで、大きく二つ掲げさせていただいております。在り方ワーキングの報告書にもあります、新たな削減目標は設定せず、現在のVOC排出抑制制度は継続ということについて、事務局としてはこの方向で今後も進めさせていただければと思っているところでございます。
イとしまして、事業者の負担軽減の在り方、これも先般、平成17年度の通知にありますけれども、例として自主検査回数の軽減というのがうたわれておりますので、負担軽減の在り方についてもご議論いただければなと思います。
それから(2)番としまして、VOC排出状況のフォローアップでございます。二つございまして、VOCの排出量、インベントリの把握について、今後、把握の頻度、それから体制ということで、これは排出インベントリ検討会を開催させていただきまして、それでご議論いただいているわけなんですけれども、この体制についてご意見等をいただければと思っております。
それから、一般環境のモニタリングについてでございます。現在、全国52地点で測定をしておりまして、一昨年までは毎月測定していたんですけれども、今年度はちょっと予算の関係もございまして、四半期ごとに測定させていただいております。今後、測定濃度につきまして、より効果的、効率的な測定方法を進めていきたいと思いますので、ご意見いただければなと思っています。
2ポツのスケジュールでございます。今日の専門委員会におきまして、12月頃に報告する報告の素案作成に向けた、これら1ポツに検討項目を掲げてありますけれども、それぞれ方向性について整理していただければと思っております。
(1)のアであれば、こういうような方向性、排出抑制制度は今後も継続するという方向でいいんじゃないかといったような整理をしていただければというのと、第2回専門委員会における検討のため、どんな情報が必要なのかご提示いただければ、第2回に向けて整理していきたいなと思っています。
第2回の専門委員会を8月ごろ開催しまして、そこで報告書の素案の検討をしていただきまして、その後、中央環境審議会の大気環境部会で中間報告をさせていただきたいと思っています。
第3回の専門委員会を10月ごろ開催させていただきまして、報告書(案)の検討をして報告書を取りまとめて、12月ごろ、中央環境審議会の大気環境部会に報告したいと考えております。
以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。
本日は、この専門委員会の委員の方から別に資料が出されていますので、その説明を奈良委員の方からよろしくお願いします。
【奈良委員】 お手元の資料につきましてご説明させていただきます。
この資料でございますけれども、日本製紙連合会様、石油連盟様、日本自動車工業会様、私ども日本化学工業会の共同での意見書ということで作成させていただきましたので、本日は少しだけお時間いただきまして、その要点について簡潔に私の方で説明させていただきます。
意見書の内容は全部で六つの項目からなりますが、要点につきまして少しご紹介いたします。
1番目の内容でございますけれども、こちらは事業者に対します負担軽減を改めてお願いさせていただくものでございます。これまでの成果、それから検討結果を踏まえまして、本年度の主要な検討項目の一つに事業者の負担軽減という進め方を事務局様の方からご提案いただいたところでございますので、ここにつきましての補足説明は省略させていただきます。
それから、二つ目は緊急時の事業所の施設のいわゆる負荷下げにつきまして、必要な検討をお願いさせていただきたいというものでございます。これも大気中のオキシダント濃度が著しく増加して光化学スモッグ注意報だとか警報が発令された場合に、行政様の方からVOC排出施設を有しております工場に求められる、いわゆる負荷下げ、こういったことを通じての排出削減の実施につきまして、現状を踏まえまして何らかの配慮、見直しというものを真剣に検討していただければと考えております。
また、加えて、いわゆる大気汚染防止法の枠組みの中での法規制施設で排出基準を遵守するために、既に対策を打っている施設等につきましては、そうした対象から、例えば除外する、外すと、そういった優先的な措置について検討してみるということも考えていただければと思います。
それから、3点目でございますけれども、これは光化学反応性に関する物質ごとの知見を有効に活用することで、効果的、効率的な取組の実現に向けまして、今後、よりめりはりの効いた進め方を検討していただきたいという趣旨でございます。
それからまた、当該VOCが例えば有害大気汚染自主管理物質に相当するものである、あるいはPRTRの法の対象物質にも該当するといった場合につきましては、VOC規制の在り方につきまして、少しまた違った面でそこに関して検討を加えていく必要もあるのではないかと考えております。
それから、裏の方にいきます。4点目でございますが、排出口での排出濃度を実測するということにかえまして、計算値の利用を積極的に活用させていただきたいということへの賛同意見でございます。その場合、算出濃度の予測の信頼性を担保するといったことで、当該施設で、例えば複数の排出口が散在する場合には、最低排出口の1カ所で実測するなどして、そうした実測データを取り込みながら計算値で代用していくということにつきまして、広く関係者で意見を交わしながら、環境省様の方にもこういった形での代行を普及していくということにつきましてもご理解をいただきたいと考えております。
それから、五つ目でございますけれども、ここは少し総論的な話になりますけれども、大気汚染の改善といった大命題に照らして、工場、それから事業所以外からのVOC排出が支配的になっているといった現状を踏まえた場合、今後はそれをどのように整理、理解して、日本の政策に反映させていくのかという点につきまして、今まで以上に真摯かつ真剣な議論が必要であるということを繰り返させていただくものでございます。
それから、最後に6点目でございますが、これも先ほど事務局の方からもご発言されていましたけれども、第四次環境基本計画に示されておりますとおり、環境改善効果の適切な指標検討に今後速やか着手して結論を得るということに賛同させていただくものでございます。早期の実現を要望させていただきます。その場合には、産業界としても協力を惜しまないということでございます。
以上でございます。
【岩崎委員長】 どうもありがとうございました。
ただいまの、随分資料が膨大になりましたけれども、資料7の諮問についての資料から先ほどの委員が提出されました資料まで含めて、これからの時間で少しご議論を活発にしていきたいと思います。ご質問、あるいはご意見、いかがでしょうか。
【浦野委員】 今後の専門委員会の進め方、資料13については後で意見を述べさせていただきますが、まず、委員提出の資料、今ご説明いただいたもの。私も大部分は賛成でございます。
ただ、ここで3番目のところに書いてある「他の規制などによって取り組んでいる物質を除外する」という記述があるんですが、「この他の規制など」というのは、例えばPRTRがそれに入るとなると、ほとんどの物質が入ってきてしまう。「規制など」と書いてあるんですが、規制値があるものというか、規制がされているものというか、これはどういう趣旨で書かれているのか。
【奈良委員】 先ほど申し上げましたとおり、有害大気汚染物質の自主管理物質に指定されている物質だとかPRTR対象物質を具体的には意図しているものでございます。 要はそちらの方は直接的な健康ハザードがあるということで、かねてから事業者は対策を講じておりますけれども、それとはまた別にVOCであるという観点で見た場合に、こちらはハザードそのものは、いろいろ相乗効果で光化学スモッグ物質なんかの要因であるということだけれども、間接的だということで、同じ枠組みの中で、これがごちゃごちゃでとらえられてきますと、整理ができなくなってしまいます。もう一遍、皆さんで知恵を出し合って、片一方では、ハザードという面で押し込まれている物質もあれば、VOCという切り口で見ると、それ自体のハザードはない物質もあるわけですから、その辺のところ少し検討していく必要があるということを言いたかったわけでございます。
【浦野委員】 この文章だと、PRTR対策というのは規制の一種だとすると、私は規制とは全く思っていませんけれども、それを対象から除外する必要があると、はっきり書いちゃうと、いろいろ問題があるんですが、そういうものをさらによく検討してほしいと、そういう意味ですね。
【奈良委員】 そういうことです。
【浦野委員】 除外も含めて検討する必要があるという理解で。
【奈良委員】 除外という言葉ですと、言葉尻で誤解もされますので、その辺はそういうご理解で。
【浦野委員】 そういう趣旨だと、除外できるものは除外してほしいと、そういう趣旨だと。はい、わかりました。
【中杉委員】 今の浦野先生のご質問にあった絡みの部分なんですけれども、これは多分、実態的に言われることはわかりますけれども、やろうとすると非常に難しい。
それぞれ別々な観点からの規制になって、規制というか自主管理も含めて、それぞれの両方を満たさなきゃいけないですね。一方だけを満たすと、一方が満たされないことが起こりますので、どうしても重なってしまう。
ただ、実態的に二重の負担にならないような仕組みは当然考えるべきだろうと思いますけれども、除外するという話には、多分、議論としてはならないんではないかというふうに私は一つ考えています。これは、また議論させていただければと思います。
それから、全体のところで一つ質問させていただきたいんですが、資料9-3で、光化学オキシダント調査検討会の報告書が出ました。ここでいろいろ今後の課題として挙がってきているものがあります。これはどういうふうに扱われるのかということが非常に重要なポイントになるだろうと思うんです。これがタイムスケジュール的にどういうふうな扱いになるのか。多分、今のこの専門委員会の検討のスケジュールからいくと、現状の知見で何か議論をしようと、新たな知見が出てくるのは、それまでに多分出てくることはないんではないかというような気がするんですが、そこら辺のところを考えた上での議論をどうするのかということを、少し事務局の方にお尋ねをしたい。
これは、現状のままでというと、実は最初のVOCの規制をやっているときと余り変わらなくて、あのころの議論に少し加えられると、越境の負荷があるねということが、あのころから議論になっていましたけれども、もう少し強く出てきたということなんですが、それをどういうふうに考慮してというところまでの情報は、今、得られていないわけです。
そういう意味でいくと、今回の報告書というのは、多分、余り前と変わらないというか、事業者側の負担をいかに軽減するかというところの話が中心になってくるのかなというふうな理解をしています。
そういう意味でいくと、光化学オキシダント調査検討会で議論された課題といったものが解明をされるのか、いつになるのかわからないですけれども、そのときに、もう一回見直しを、最初から議論してしまうと、そこまで言ってしまうと、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、それを結論が出たところで、もう一回改めてやるというふうなことでいくと、資料10の去年やられた次期VOC対策在り方検討会ワーキンググループで暫定的にどうしましょうというふうな検討をされて出された案が、今回のたたき台の中心になると、そういうふうに解釈してよろしいですか。
私の解釈は、もう少し踏み込んだ形で、光化学オキシダント調査検討会の報告書の課題についても早急に何らかの検討がなされて知見が出てきて、それを踏まえて議論をすることになるのかどうか、そこら辺のところは環境省の方としてはどういうふうにされようしているのか。
【小林委員】 関連で。今の中杉委員からのご質問なんですが、これについては、事務局側の見解というよりは、私自身はこの委員会として、こうしたらどうですかという提案の方がいいと思うんです。「事務局がこうします」とは、なかなか言いづらいだろうと思います。
そういう意味からいきますと、資料12にあります、いわゆる前回の大気環境部会の議事要旨の中に大体集約されていると思うんですが、いわゆるVOCの排出抑制については、今までの報告書にありますように相当効果があった。それなりに目的は達したということになりますので、そういう意味では、あと2回の委員会でほぼ目的は終了ということだろうと考えます。
ところが、その後のフォローアップをどうするかという問題、それから、以前から気になって問題になっていますVOC対策とPM2.5の問題、それから光化学オキシダントの関係はどうなんだ。その辺の中で、光化学オキシダントが下がらないということについて、もう一度、原因究明をやっていく必要性があるということから、光化学オキシダントを下げるためにはPM対策とかVOC対策を含めてトータル的に、もう一度検討をやり直す必要がある、見直す必要があるんじゃないか。そういう意味で、今後の検討課題のところにありますように、おのおのの委員会で検討するんじゃなくて、全体を一つのものにして検討するということが重要ではないかなというふうに思います。
そういう意味から、新たに専門委員会を立ち上げるということが重要かなというふうに考えますが、いかがでしょうか。
【中杉委員】 私も小林委員の言われるとおりだろうと思うんですが、今回は、一応これをどうしていくか、この枠組みをどうしていくかということの答えを出さなきゃいけないわけですね、10月までに。そうしたときに、恐らくは、今、小林委員が言われたような形になるんだろうけれども、今の資料9-3の部分が非常に重要に話になる。そこについて、さらに何か環境省で検討され始めて、今回議論する中に資料を提供いただけるのか、いただけないのかということが私の趣旨です。さっきも申しましたように、多分それは難しいだろうなと。だから、小林委員が言われたような話で、じゃあ、どういうふうにやっていくというところも含めて、今回の報告書といいますか、答申の中に書いていくのかなというふうに思うんですけれども、最初にそれだけ確認しておきたいということです。
【山本大気環境課長】 両委員のおっしゃるとおりです。だから事務局としては、今回、光化学オキシダント調査検討会のこの部分については、内部的には事務局がいろいろとやるにしても、恐らくまずこれは大気環境部会の方でもともとご議論いただいて、ある意味ではこちらの専門委員会の方は、いただいたミッションをまず着実にやっていただいた上で、もしも、過程の中でさっき言ったご提案があれば、専門委員会の方からも、このようなご議論があり、ご提案がありましたということを大気環境部会に報告して、そして大気環境部会の方で、こういう方向で次のステップに進むべきという形で、それを受けて、今、小林委員がおっしゃったような、必要であれば新たな専門委員会を発足させてというような流れになろうかと思います。
ですから、両委員の今おっしゃるとおりの形で、この専門委員会を進めたいと思います。
【浦野委員】 私も同じような意見ですけれども、ちょっと物事を整理して、まず、こちらに諮問されたものがありますので、諮問されたのはあくまでもVOCの固定発生源に対して、今後どうしますかなんで、それはそれでまず答えを出す。
それで、資料13が、ここから議論だと思うんですけれども、13に主な検討項目というのが書いてございまして、新たな削減目標は設定せずと。これは前からそういう議論になっていますし、排出抑制制度は継続しますと。これは去年の専門委員会とか経産省も含めて、ある程度合意されているというふうに思いますし、自主的に取組がそれなり成果を上げて、これからも、ある程度の効果が期待できるという前提に立てば、こういう形になるだろうということですが、ただ、目標を全く設定しないというのが永久に続くのか、いずれまた目標を設定せざるを得なくなるのかもれない。当面これで私はいいだろうと思います。業界からのご要望もありましたけれども、測定の回数というのは、私は劇的に減らしてもいいんじゃないかと。
ただし、それにかわる何かを、例えば設備がちゃんとできて、ちゃんと稼働している、それなり除去率が得られていて、濃度がある程度以下になるということがわかっているものを、わざわざ測定するよりは、こういう装置でこれだけ削減できているということを確認いただければ、測定はそんなにしなくてもいいだろうと思いますので。この業界の意見も含めて軽減をしてもいいだろうと思います。
それから、もう一つ、排出状況のフォローアップですけれども、ここに排出量の把握の頻度及び体制と書いてあるわけです。体制はとにかくとして、頻度というのは、今は1年に1回くらいインベントリをとっているわけですけれども、これを例えば3年に1回とか、5年に1回とすると、業者さんはPRTRその他もみんな年度でやっているわけなので、3年ごとに急に詳しいのを調べさせられても対応できないので、むしろ1年に1回という頻度はそのままにして、そのかわり内容を簡略化する、例えば先ほどのように重要な項目、物質数とかに限るとか、内容を軽減する、事業者の負担を軽減した形で排出量の把握をしていく。特に、先ほども話がありましたけれども、非常に少量の物質とか、非常に少量しか出していない業界まで、同じレベルで全部議論するのは非常に負担だろうと思いますので。
その辺を見直す、内容を有効なものに軽減していくということで、やはり頻度は1年に1回ぐらいの方が私はいいのではないかという個人的な意見です。これは、いろんなことが1年ごとに、行政もそうですし、企業も1年ごとにいろんなことをデータをとっているので、そういうことがいいと思います。
それから、一般環境の濃度測定は、これは余り少数をやっても余り意味はないので、回数を減らすかわりにコンポジットサンプルにするとかの工夫が必要です。長時間捕集をするとか、いろんなやり方があるので、検討する余地があると思っています。
それはそれで、今は諮問に対する解答なんですが、一旦こういうものが決まると、排出抑制専門委員会として今後何をやるかというと、そんなにやることは多くない。一方で、資料8の大気汚染防止法の変遷のところの最初のところに書いてあったように、オキシダントとか浮遊粒子状物質が余り改善されていなくて、緊急に対処する必要があったと、こういうふうに書いてあるわけですね。ところが、それ以後もオキシダントが改善したかというと改善していないわけですから、大汚防の改正のときの発想というのは、実は余り改善されていないと。それで、今度はフォローアップも例えば何年かに1回になるとか、自主的な取組だけにお任せして、3年に1回とかとというのでは、やっぱりオキシダント対策としては不十分だというふうに思うんです。
そういう意味では、私の提案としては、ここの揮発性有機化合物排出抑制専門委員会というのを発展的に解消して、例えば、光化学オキシダント抑制対策専門委員会のようなものに改組する。VOCの測定とかフォローアップも一部の業務としてそこに持ってもらう。ほかのもの一緒に対応して、どうやったら効率的にオキシダント対策がとけるか。
オキシダントの環境基準達成率ゼロ%というのを環境省は放置しているというのは変な話なので、それなりの検討をする専門委員会を立ち上げるべきだということを、この専門委員会として書いた方が私はいいと思っています。
以上です。
【岩崎委員長】 ありがとうございました。
大臣からの諮問に関しては、これからのVOCの排出抑制のあり方みたいなことを問われています。光化学オキシダントの解決、いわゆる23年度に開かれた光化学オキシダント調査検討会の課題をそこで全部解決するということではない。それはかなり大きな仕事でありまして、各委員から出ていますように、抑制専門委員会で移流から植物起源を含めたこの課題を検討することは到底できる範囲じゃございません。それはそれとして、抑制に対してあと2回の委員会を通して進めていくということと、そういうものの解決を目指して、どういうことをやっていったらいいのかというのを、また、本日に限らずご意見いただいて、その出口を見ていくことも大事かなと。
これは大気環境部会の方で、評価の問題について幾つか委員から出ていましたので、そういうことも重要になってくる課題だろうと思います。
ほかに何かご意見はございますでしょうか。
【早瀬委員】 委員の提出資料を見せていただきまして、この中で例えば2番だとか4番なんかは施設によってよくやられている施設と、それとそうでない施設というのが出てくるような問題が混じっているなという気がするんですが、自主的な取組をやるに当たっては、よくやられているようなところと、もっと褒める仕組みをつくって、よくやられているところにはそういう便宜を図ってもよいというような仕組みを考えていくことも、これから自主的取組の中で重要なんじゃないのかなと。取り締まるだけじゃなしに信頼関係をつくる。信頼関係ができているところに対しては、それなりの配慮があっていいんじゃないのかというふうな気がしますけれども。
【岩崎委員長】 わかりました。
ほかにいかがでしょうか。
【小林委員】 今、言われた件はもっともだと思うんですが、大体、日本の法律というのは規制をする、悪いことをするのを取り締まるためにつくるのが法律なんです。ですから、いいことをする人に対して、それを緩和するとか、免罪するという規定は、大体法律にはないんです。
ですから、今、ご要望いただいた内容について、実際に大気汚染防止をできるのかどうかというのは少し検討しないと、例えば、いいことをやっているところについては外しますというのは簡単にはいかないと思うので、余り安易にそれはやろうということにはならないということだけは覚悟していただく必要があると思うんです。
例えば、測定頻度についても、いいところは頻度を下げるけれどもというようなことは、現実上は無理だと思うんです。いいってだれが判断するのという話であって。また、そこでは認定制度が出てくるわけです。
また、認定制度という話になってくると、認定する人間の利権にかかわってしまうという問題があって、また、これはたたかれるおそれがありますので、この辺、よほど慎重に検討しないといけないと思います。
【岩崎委員長】 先ほども除外装置で、ついているところは測定の免除という話ございましたけれども、除外装置がきちっと正常に稼働しているという確認がどういうふうにとるかによって、できれば、そういう手間は省いていきたい、測定の手間は省いていきたいという感じはしますけれども。
ほかにいかがでしょうか。
【浦野委員】 今の点ですけれども、測定は例えば年2回やるとか、そういうふうに書いてあるわけですけれども、具体的には、もし、それにかわるきちっとした情報提供がされれば、それでもいいというふうなやり方はできると思うんです、法律上も。法律というか政令か省令かわかりませんが、その段階で。
測定2回だと、それにかわるもの、信頼できるかわるものが在ればかえてもいいというぐらいのことはできるんじゃないかと思うので、少なくともそういう措置は、できるならした方がいいというふうに思っています。
【岩崎委員長】 そういう議論も、この抑制専門委員会で少し議論したいところだと思いますので、また、あと2回ございますので議論させていただきます。
ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。大分終わりの時間に近づいてきましたけれども。
それでは、そういうことで、事務局として、今いただいたご意見をまた整理して、これからの進め方に役立てていきたいというふうに思います。
それでは、最後に、議題4、その他についてでございますけれども、事務局から何かございますでしょうか。
【栗林大気環境課補佐】 本日は長時間にわたってのご審議をありがとうございました。本日の議事要旨、それから会議録につきましても、各委員のご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
【岩崎委員長】 よろしいでしょうか。
(はい)
【岩崎委員長】 本日の議題はすべて終了しましたが、各委員から特に、何かこれだけ言っておきたいというようなことがありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の会議はこれで……。
【二瓶委員】 すみません。簡単にやります。
VOCは、お知らせがあったように、報告ございましたように、かなり大幅に減ってきている。これは非常に喜ばしいことではあるんですが、いわゆるオキシダントについて何ら改善していないというのは非常に残念なんです、取り組んだ側として。
これについて、やはり、何らかのまとめを、この排出抑制専門委員会の報告の中に簡単に入れてほしいなと。こういうことで取り組んで成果は上がったが、残念ながらこうであったので、根本的に何らの対応が必要であるという中身になるのか、あるいは、どうするのかは別にしまして、今まで議論があったような、それこそ本格的にオキシダントの原因についてどういう研究をしていくかというようなことを、具体的なアイデアがあれば折り込んでも、もちろん結構なんですが、今のところ、どうも余り期待できそうもないんですけれども。
そういう大きな問題があることを前提に産業界の努力は多とするところであるみたいな、何かほしいんです。そうじゃないと励みにならないんですよ。一生懸命やっているんだけど、お金を使ってやっているんだけど何だったんだという話になっちゃいますから。
【岩崎委員長】 23年度の光化学オキシダント調査検討検討会でいろんな議論があり、いろんな意見も出されました。また、そこで課題がいっぱい出ましたけど、これだけ努力してVOCを減らしてきたのにどうなんだということは、産業界を含めて、そういう意見が出てくることは当然だと思います。それをこの抑制委員会の方としては、どういう形で入れるか、入れ方が難しいんだと思いますけれども、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、本日の会議はこれで閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。