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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
健康リスク総合専門委員会(第10回)
議事録


1.日時

 平成22年5月31日(月)9:30〜11:34

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席者
(委員長) 内山 巌雄
(委 員) 浦野 紘平 圓藤 吟史
大前 和幸 川本 俊弘
小林 悦夫 島 正之
田邊 潔 寺本 昭二
中杉 修身 中館 俊夫
松下 秀鶴 村田 勝敬
本橋 豊
(環境省) 鷺坂水・大気環境局長
山本大気環境課長
中野大気環境専門官
木村総務課長
上田総務課長補佐
4.議題
(1)
健康リスク総合専門委員会の進め方について
(2)
有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストの見直しについて
(3)
優先取組物質の見直しについて
(4)
ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について
(5)
その他
5.配付資料
資料1 中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿
資料2 健康リスク総合専門委員会の進め方について
資料3 有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストの見直しについて
資料4 優先取組物質の見直しについて
資料5−1 ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【概要版】
資料5−2 ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【評価書本体】
参考資料1−1 有害大気汚染物質対策について
参考資料1−2 現行の有害大気汚染物質に係る物質リスト(第二次答申抜粋)
参考資料1−3 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申)
参考資料2−1 有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストの見直しに係る参考資料
参考資料2−2 優先取組物質の見直しに係る参考資料
参考資料2−3 有害大気汚染物質に係るリストの見直し等に関する検討会の検討経過について
参考資料3−1 有害大気汚染物質対策について(これまでの経緯)
参考資料3−2 今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(第七次答申及び第八次答申)
参考資料3−3 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)(別添2抜粋)
参考資料3−4 諸機関によるヒ素等の健康リスク評価の概要
参考資料3−5 平成20年度大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)
参考資料3−6 健康リスク総合専門委員会WGの検討経過について
6.議事

【山本大気環境課長】 おはようございます。大気環境課長の山本でございます。
 定刻となりましたので、ただいまより第10回健康リスク総合専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、ご出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 本日の出席状況でありますが、委員19名中、現時点で10名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数でございます過半数を達していることをご報告させていただきます。
 開催に当たり、鷺坂水・大気環境局長よりごあいさつ申し上げます。

【鷺坂水・大気環境局長】 水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は、大変朝早くから、また、お忙しい中、専門委員会にご出席賜りまして、委員の皆様方には大変ありがとうございます。また、先生方には日ごろから大気環境行政、いろいろとご指導・ご鞭撻いただいております。また、ご協力いただいておりますことを、この場をお借りして厚くお礼を申し上げたいと思います。
 有害大気汚染物質対策ということでございますけれども、平成8年に大気汚染防止法が改正をされました。低濃度であっても長期間曝露することによって健康影響があるという、そういったものにつきまして、今後大気汚染防止法の改正後、科学的知見の充実のもとに、そういった人の健康影響の未然防止を図っていこう、こういう考え方に基づいて対策を推進しているところでございます。
 現在、専門家の皆様方のご助言をいただきながら、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質というものを234物質抽出させていただいておりまして、そのうち22物質を優先取組物質として選定をして、事業者の自主的な削減の取組、あるいは自治体の環境モニタリングの実施、そういったことを推進しているところでございまして、国といたしましても、この優先取組物質20物質につきまして、順次、事業者の自主的取組の指針となるような数値ということで、科学的知見が非常に多いものにつきましては環境基準を、そうでないものにつきましても指針値という形で数値目標を設定させてきていただいているところでございます。
 本日でございますけれども、これまで集積されましたいろいろな最新の科学的知見に基づきまして、あるいは一方では化学物質の排出につきましてはPRTR制度というものがありまして、これらにより、先ほど申し上げました有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質の物質リストの見直しを行うということも本専門委員会の目的の一つとしてさせていただきたいと考えております。
 そして、なお、現行の優先取組物質につきましては、これまでベンゼン等5物質の環境基準を設定しておりますし、また、残りの物質のうち7物質、アクリロニトリル等7物質につきましては指針値を設定させていただいているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、順次こういった指針値も定めていきたいということで、このうちヒ素及びその化合物についてのリスク評価につきましても、本専門委員会においてご議論いただければと、このように考えているところでございます。
 そういうことで、本専門委員会における皆様においていろいろ活発なご議論を期待しているところでございます。
 なお、今国会でということでございますけれども、今年の5月10日に大気汚染防止法の一部改正法が公布されております。この改正はご案内であろうかと思いますけれども、近年多発しております事業者におけるばい煙の排出測定データの改ざんといいますか、あるいは超過基準事例、こういったものを受けまして、最近の大気汚染防止体制が少し弱くなっているのではないか、構造的に変化しているのではないか、こういった問題意識からそういったところをもう少してこ入れしていこうと、こういうことを目的とし、今回大気汚染防止法の改正が公布されておりますので、その法律に基づきまして環境省としてもしっかり取り組んでいきたいと思いますが、有害大気汚染物質対策につきましても、さらに進めていきたいということでございます。
 いずれにいたしましても、本日、専門委員会の皆様における今後の取組あるいは環境省の取組に対するいろいろなご助言・ご指導を賜りますよう、また、活発なご議論をいただきますようお願い申し上げまして、私からの冒頭のごあいさつにさせていただきます。本日はよろしくお願いしたいと思います。

【山本大気環境課長】次に、お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。
 まず、資料1として、中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿。資料2として、健康リスク総合専門委員会の進め方について。資料3として、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストの見直しについて。資料4として、優先取組物質の見直しについて。資料5−1として、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【概要版】。資料5−2として、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)【評価書本体】。裏をめくっていただきますと、あとは参考資料ということで、1−1から1−3、また、参考資料として2−1から2−3、次に参考資料3−1から3−6までございます。資料の不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただくよう、お願いいたします。
 次に、新たに本専門委員会の委員にご就任いただいた委員の方々のご紹介を行います。
 初めに、専門委員にご就任いただいた委員のご紹介です。
 大阪市立大学大学院医学研究科教授の圓藤吟史委員でいらっしゃいます。
 次に、独立行政法人国立環境研究所化学環境研究領域上席主席研究員有機環境計測研究室長の田邊潔委員でいらっしゃいます。
 次に、財団法人残留農薬研究所理事長の寺本昭二委員でいらっしゃいます。
 また、本日はご欠席でいらっしゃいますが、臨時委員として独立行政法人関西労災病院勤労者医療総合センター・産業中毒研究センター長の圓藤陽子委員、専門委員として桜美林大学リベラルアーツ学群基礎数理専攻教授の片谷教孝委員に、それぞれご就任をいただいておりますのでご報告いたします。
 それでは、これ以降の進行につきましては、内山委員長にお願いいたします。

【内山委員長】 おはようございます。今日は本当に朝早くからお集まりいただきましてありがとうございました。今日は大きく三つ議題がございますので、限られた時間ではありますけれども、活発なご議論をお願いいたしたいと思います。
 それでは、まず、議題1、健康リスク総合専門委員会の進め方についてということで、これをまず最初にご説明いただいて、その後、今日の大きな議題に入りたいと思いますので、よろしくどうぞお願いいたします。

【中野専門官】 大気環境課の中野と申します。
 それでは、私の方から、今後の健康リスク総合専門委員会の進め方についてご説明申し上げます。座ってご説明いたします。
 資料2をごらんください。健康リスク総合専門委員会の進め方でございますが、基本的にこちらにお示しさせていただいたとおり、今専門委員会につきましては全3回の開催を予定しているところでございます。本日が第1回目、第10回健康リスク総合専門委員会ということで、議題といたしましては、今申し上げております進め方のほかに、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しについて、それから、優先取組物質の見直しについて、さらにはヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について、こちらをご議論いただければと存じます。
 それから、第2回目になりますが、7月2日金曜日、場所はまだ決まっておりませんが、時間は15時半からでございます。こちらの議題につきましては、有害大気汚染物質の今後の排出抑制のための対策のあり方について、それから、今回の専門委員会で宿題となったご指摘事項につきましてご議論いただきたいと思っております。
 それから、最後の第3回目でございますが、7月30日15時半からということでございまして、こちらにつきましては、できればこちらで専門委員会の報告書案を取りまとめたいと思っている次第でございます。
 また、その後でございますけれども、8月以降におきましては、こちら専門委員会でご議論いただいた内容につきまして、大気環境部会においてもご審議いただき、最終的にパブリックコメントを実施させていただいて、最終的な取りまとめを10月を目途に行わせていただきたいと考えているところでございます。
 私からのご説明は以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。ただいま事務局から今後の健康リスク総合専門委員会の進め方についてご説明がありましたが、何かご質問・ご意見ございますでしょうか。今日を含めて大体3回の専門委員会を予定しておりまして、今日の2、3、4の議題について、もし、今日何か宿題が出たら次回も検討するというような予定を組んでいただいておりますが、何かございますでしょうか。よろしいですか。

(異議なし)

【内山委員長】 それでは、このような形で進めさせていただきたいと思います。
 続きまして、議題1−1の有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しについてということで、事務局からご説明をお願いいたします。よろしくどうぞお願いします。

【中野専門官】 それでは、私から引き続きまして、議題1−1についてご説明をさせていただきたいと思います。
 まずは、参考資料になりますが、参考資料1−1をごらんください。参考資料1−1につきましては、現在の有害大気汚染物質対策のスキームについて簡単にまとめさせていただいてございます。有害大気汚染物質対策につきましては、ご案内のとおり、平成8年の大気汚染防止法の改正によって導入された仕組みでございまして、まず、有害大気汚染物質の経緯といたしましては、大防法第2条第13項に規定してございまして、「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの」と定められているところでございます。
 また、大防法におきましては、対策の枠組みも規定してございまして、基本的には「科学的知見の充実の下、未然防止策として実施すること」ということを基本方針といたしまして、事業者、それから、国あるいは地方自治体に対する役割分担というものを法律で明文化しているところでございます。
 さらに具体的な対策につきましては、これまで中央環境審議会の答申などを踏まえまして、施策を展開しているところでございまして、具体的には健康リスクにより物質を大きく3種類に分類して対策を進めているところでございます。3種類につきましては、一つは有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質ということで234物質を。それから、そのうち優先取組物質として22物質を。さらには、その優先取組物質の中でも指定物質として3物質、こちらは人の健康被害を防止するために排出や飛散を早急に抑制しなければならないものとしてベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンを定めているところでございます。
 また、それぞれの健康リスクに基づいて行政の取組、あるいは事業者の取組などが進められているところでございまして、ポイントを申し上げますと、優先取組物質につきましては行政の中では国が環境基準値や指針値を策定しておりますし、あるいは地方自治体におかれましては、全国的なモニタリングというものを全国約300から400の地点で実施させていただいているところでございます。
 また、指定物質につきましては、国による指定物質抑制基準ですとか、あるいは都道府県による事業者への勧告ですとか報告徴収ができることとなってございますし、事業者におきましては基本的に自主的取組による排出抑制というものを創意工夫のもと行っていただくというのがこの有害大気汚染物質対策のスキームとなってございます。
 続きまして、資料3をごらんください。資料3につきましては有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストの見直しについて素案を取りまとめたものでございます。
 まず、1.の経緯につきましては、今、お話しさせていただきましたとおり、平成8年度の制度化以降でございますけれども、特に平成12年の中央環境審議会の答申、こちらは私ども便宜的に第六次答申と呼んでございますが、こちらにおきまして有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストにつきましては、PRTR対象物質、化管法の対象物質との整合性を考慮した見直しを行うことが適当であるとご提言をいただいたところでございまして、この答申に基づきまして、これまでも本専門委員会においてご意見をちょうだいしているところでございますが、今般、物質リストの見直し案につきまして、皆様方にご議論いただきたいと考えているところでございます。
 ここで、参考資料2−3をごらんください。参考資料2−3につきましては、有害大気汚染物質に係るリストの見直し等に係る検討会の検討経過ということをまとめてございますが、昨年の4月に本専門委員会でご了承いただきましたとおり、この物質リストの見直しに関しましては中杉委員を中心といたしまして、本日ご欠席ではございますが、片谷委員にもご参画いただいた、専門家による検討会を昨年6回ほど開催をさせていただき、素案を作成させていただきました。委員の構成につきましては、この参考資料2−3の裏面をごらんください。全部で8人の委員の方にご参画いただきまして、本素案、それから、次の議題でございます優先取組物質の見直しに係る素案につきましても、こちらでご検討をいただいたところでございます。
 それでは、資料3の方に戻りまして、資料3の1ページ目をごらんください。
 1ページ目、2.以降は、この物質リストの見直しについて具体的な記載をさせていただいてございますが、まず、2.1の基本的な考え方につきましては、一番下の「また、」から始まる段落に記載しておりますが、このリストにつきましては平成8年第二次答申におきまして長期毒性を有することですとか、大気汚染の原因となり得ることを科学的に明らかにすることは実際上困難を伴うものが多いが、未然防止の見地から一定の割り切りを行って、こういった物質に該当する可能性がある物質を広く選定することとされてございました。
 続きまして、2ページ目をごらんください。2ページ目の一番上の段落でございますが、今般の見直しに当たりましても、今申し上げました基本的な考え方を踏襲いたしまして、有害性を有しており、かつ、一定の曝露性があり、大気経由での健康影響の可能性がある物質というものを選定させていただいたところでございます。
 また、「一方、」以降の段落、2段落目以降でございますが、第六次答申のご提言ですとか、あるいは前回の4月の専門委員会でご確認いただいたとおり、今回のリスト見直しに当たりましては、同じく人の健康に係る被害の未然防止を目的としてございます化学物質管理法の対象物質との整合性にも配慮して見直しを行わさせていただきました。また、この段落の一番下、「ただし、」から始まる段落でございますが、物の燃焼等により非意図的に生成される物質につきましては、ダイオキシン類以外の物質については現行の化管法対象物質には含まれていないような状況でもございますので、諸外国における規制等を参照し、今回のリスト選定に当たっては別個に検討選定をさせていただいたところでございます。
 さらに具体的な選定基準につきましては、2.2以降に記載してございます。基本的には今申し上げた考え方を踏まえまして、2ページ下から次のページまで記載してございます(1)から(4)、いずれかの要件に該当する物質を今回有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質リストとして選定をさせていただきました。
 具体的には、一番最後のページ、12ページをごらんください。12ページ、こちらが今回の物質リストの見直し案の選定の概要を示したものでございます。基本的に物質につきましては先ほど申し上げましたとおり、有害性と曝露性のいずれの条件もクリアするものを選定してございます。有害性の条件につきましては、この資料左下の点線枠囲みで「7つの有害性クラス」と書いてございます。基本的にこちらに該当するものを有害性の基準とさせていただきましたが、これは化管法の対象物質の選定基準でございます九つの有害性クラスのうち大気経由で吸入摂取することにより発現する有害性の項目のみを選定したものでございまして、除外された項目につきましては化管法の九つのクラスのうち生態毒性とオゾン層破壊物質のクラスであり、この結果七つのクラスとさせていただいたところでございます。
 それから、曝露性につきましては、真ん中の(1)から(4)までにそれぞれ散りばめて記載してございますが、基本的に過去10年間において大気中で検出されているか、化管法に基づく大気中への排出量の届出があるものを原則とさせていただいてございます。ただし、化管法の届出につきましては、一番下の(注)と記載しているところにございますとおり、平成20年に化管法対象物質が見直されてございまして、新たに化管法第一種指定化学物質に選定された物質は現時点では排出量等の把握ですとか届出がなされてございません。ただ、今回未然防止の観点からまいりますと、こうした物質につきましてはすべて大気中への排出の届出があったものと取り扱わさせていただいたところでございます。
 さらに、今申し上げた二つの曝露の条件に該当しなくても、化管法第一種指定化学物質の選定基準と同様に、製造・輸入量が年間100トン以上であることも要件とさせていただきました。
 なお、曝露データがなくとも、物の燃焼等により非意図的に生成されるものにつきましては、基本的に曝露性があるのではないかというふうに判断をさせていただいたところでございます。
 以上の基本的な考え方に基づいてそれぞれ選定した物質をこのページ、順に上からご説明させていただきますが、まず、化学物質管理法の対象物質562物質を二つの条件で選定をさせていただいてございます。
 一つは、一番上、(1)の(ア)でございますが、七つの有害性クラスに該当する物質であって、過去10年間に大気中からの検出例があったものが81物質選定されてございます。さらに、(1)の(イ)でございますが、同じく曝露の条件が化管法に基づく大気中への排出量の届出があったものが129物質選定されてございます。
 それから、次、(2)の条件でございますが、こちらは現行の234物質リストのうち、化管法対象物質ではない物質が99物質ございまして、こちらも有害性、曝露性の条件を検討した結果、(2)の(ア)でございますが、有害性クラスに該当する物質であって、過去10年間に大気中から検出されたものが11物質、それから、製造・輸入量が年間100トン以上であるものが1物質、さらに有害性クラスに該当するものであって、物の燃焼等により非意図的に生成されるものが12物質選ばれてございます。
 さらには、(3)番の条件でございますけれども、化管法の対象物質あるいは現行の234物質リストに載っていない物質でも、諸外国における規制等の対象となっている物質のうち物の燃焼等により非意図的に生成される物質であって、七つの有害性クラスに該当する物質を選ばす物体でございまして、こちらが12物質選定されてございます。
 さらに、一番下でございますけれども、旧234物質リストに含まれているもの、あるいは化管法対象物質であって、七つの有害性クラスに該当しないものでございましても、製造・輸入量が非常に多く、広く大気中から検出される可能性があり、大気を経由して人の健康影響の可能性がある物質について未然防止の観点から選定させていただいてございまして、こちらに該当する物質が1物質ございました。
 また、こういった条件に合致するものであっても、除外する物質が幾つかございまして、これは一番下の除外物質の四角囲みに記載してございます。基本的に二つの条件に該当するような物質は今回有害大気汚染物質の定義を勘案いたしまして除外することといたしました。
 一つは、大気汚染防止法の規制対象物質でございまして、例えばばい煙に含まれておりますもの、典型的にはカドミウムとか鉛がございます。あるいは特定粉じんとなっております石綿に関するものは既に発生源に対する規制がございますので、除外をさせていただきました。それから、主として短期曝露による健康影響が問題とされる物質として、専ら農薬として使用されている物質でございますとか、大気中で容易に分解するものにつきましては、こちらも除かせていただいてございます。
 こちらにつきまして、詳しくは、特に農薬につきましてはその除外した理由を参考資料2−1の2ページ目の(b)に記載してございます。念のため、すみません、参考資料2−1の2ページ目をごらんいただきますと、こちらに専ら農薬として使用されている物質の除外というものが一番下の(b)のところに記載してございますが、端的に申し上げますと、農薬につきましては四つの理由がございまして、一般的に長期間にわたり継続的に曝露することは考えにくいとさせていただきました。
 一つ目は、基本的に農薬取締法に基づいて登録の段階で人や環境への安全性に係る審査が行われていること、二つ目につきましては、農薬を使用する方が遵守すべき基準も定められていること、あるいは、三つ目の理由として農薬の使用に際する施用方法なども定められていること、あるいは農薬の製造拠点、製造工場でございますけれども、こちらからの大気への届出排出量も微量でございまして、発生源が限られているということが見込まれることから、こういった専ら農薬として使用されている物質については除外をさせていただきましたものの、他用途があるような物質、例えば農薬以外に塗料ですとか顔料ですとか、有機合成材料として使われているような他用途があるような物質につきましては、こちらはそういった用途での曝露というものは考えられるので、今回の新しいリストには採用させていただいてございます。
 また、除外された専ら農薬として使われているものにつきましても、基本的に化管法での届出排出量は管理できますし、あるいは農薬の使用による飛散リスクの評価ですとか管理手法につきましても、環境省の同じ水・大気環境局の農薬環境管理室ですとか、農水省におきましてその評価の検討ですとか、あるいは市街地等における農薬の使用に関する適切な指導等がなされているところでございまして、そういったところの状況というものをこちらではまた当面の間確認をさせていただくような対応をさせていただきたいと考えているところでございます。
 それから、最後に選ばれた物質につきまして、247物質で個別の若干留意点をご説明させていただきたいと思います。資料3の4ページ目に、すみませんが戻ってください。
 資料3の4ページ目でございますが、二つ目の段落、2.(3)に該当するものは次の12物質と書かれてございますが、こちらに記載してございます12物質が化管法の対象物質でもなく、現行の234物質リストにも載っていないのですが、諸外国の規制の対象等になっており、物の燃焼等により非意図的に生成される物質で、有害性のクラスに該当するもの12物質でございます。
 それから、一番下、2.の(4)に該当するもの、これが有害性クラスは該当しないけれども、製造・輸入量が大量で、大気中への曝露を考えると未然防止の観点から選定させていただいたものでございますが、キシレンとなってございます。キシレンを選定した理由につきましては、化管法の第一種指定化学物質では、生態毒性クラスに該当するものとして選ばれてございますが、日本産業衛生学会ですとか米国産業衛生専門家会議における作業環境許容濃度の勧告がなされておったり、あるいは厚労省が定めております室内濃度指針値が設定されている物質でございましたので、さらにそういった状況である中、我が国における製造・輸入量も年間100万トンを超えているというふうに多い物質でございますので、大気を経由して人への健康影響の可能性があると考えて未然防止の観点から今般選定をさせていただいたところでございます。
 結果的に、資料には記載してございませんが、現行の234物質から247物質に変わった詳しい内容といたしましては、旧234物質から106物質が除外をされました。そして、その代わりに新しく118物質が追加されたところでございます。除外された106物質の内訳でございますが、基本的に過去10年間の曝露データを踏まえまして、曝露の基準に合致しなくなったものが72物質ございました。これの中には、現行の優先取組物質にも含まれてございましたアスベスト様繊維を含むタルク、それから、クロロメチルメチルエーテルも含まれてございます。このほか、有害性の基準につきまして、旧234リストの中では、例えば急性毒性があることを理由に選定されておりましたり、あるいは当時諸外国の規制対象となっていることをもって選ばれていた物質がございましたが、最新の知見に基づきまして有害性の基準に今回合致しなくなったものが、そういった中で32物質ございました。さらにこれに加えて無水マレイン酸と無水フタル酸につきましては旧リストには入っておったんですけれども、さらに精査いたしますと、大気中で容易に分解する物質であったということでございましたので、その2物質も除いて全部で106物質が旧リストから除かれた物質となってございます。
 それから、234引く106プラス118は、正確には246になってございますが、実際のリストが247となってございますのは、物質群の数え方のルールを若干化管法の数え方を見ながら整理をさせていただいたものでございまして、整理のルールにつきましては後ほどごらんいただきたいのですが、参考資料2−1の6ページ目に詳しく記載をさせていただきましたので、ごらんください。
 最後に、参考資料2−1の後ろの方にはA3の紙で別表1と別表2というものをつけさせていただいてございます。別表1につきましては、基本的に今回採用された247物質の関連するバックデータをあいうえお順から物質リストを並べて記載をさせていただいてございます。
 それから、別表2につきましては、今回検討対象とした結果、新リストには加わらなかった物質をすべてこちらもリスト化をさせていただいて、バックデータつけさせていただいてございます。こちらちょっと順番がちゃんと整理されていなくて恐縮ですが、基本的に化管法の対象物質であって、かつ234物質にも該当するようなものが最初から順番に並んでおりまして、その後は片方の物質リストにしか選ばれていないようなものといった順番に並んでございまして、若干物質の順番が見にくいところは申しわけありません。
 以上が、資料2に関します私の説明でございます。ちょっと資料が入れかわり、立ちかわりで大変申しわけありませんでしたが、以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。今日お示しいただいております素案を取りまとめていただいたときには、先ほどご説明がありましたように、中杉委員を中心としました専門家会合を行ったということでございますので、中杉先生の方から補足説明がありましたら5分程度でよろしくお願いいたします。

【中杉委員】 事務局から詳しく説明いただきましたので、特段補足説明はございません。
 ただ、一つだけ、キシレンについては最初淡々と基準で選んでいったときにキシレンが外れてしまった、これがどうしたものだろうという議論をしまして、生産量、化管法の放出量ですか、トルエンに次いで2番目に大きいということと、それから、やはり全く影響がないわけではないということで、加えておくべきではないかということで、(4)でそういうジャンルを一つつくりました。ほかも検討したのですが、結果としてキシレンだけがそれに該当するという判断でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局、それから、中杉先生の方からご説明のありました有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しについてということで、資料が大変多うございますので、どこからということはなくて結構ですので、ご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いいたします。
 松下先生は初回の有害大気汚染物質の選定に最初から携わっていただいたのですが、何かご意見はございますか。

【松下委員】 我が国の大気汚染状況はかなりよくなってきたと思うので特に意見はありませんが、厚生労働省が室内汚染で13物質ぐらい規制していますよね。それは全部このリストに載っかっていると理解してよろしいのでしょうか。

【内山委員長】 事務局の方から、よろしいですか。

【中野専門官】 すみません、ちょっとこちらは今そちらとの比較というのをすべてしておりませんでしたので、別途次回までにはご説明させていただきたいと思いますが、基本的にキシレンにつきましては今お話しさせていただいたとおり、いろいろ諸条件を勘案して入れさせていただきましたが、室内汚染と、それから、大気環境汚染とは基本的に考え方を、選ぶときにおいては別として考えてございまして、基本的に大気中の曝露とそれから有害性の観点で今回は選定をさせていただいたところでございます。

【松下委員】 室内汚染物質の大部分は外気から入ってくるものですし、一般的な日常生活での室内滞在時間は非常に長いわけですから、健康影響の観点から、室内汚染状況についても一応見ておいていただきたいと思います。

【内山委員長】 ありがとうございました。これは確認を次回のときにさせていただきたいと思います。もし、抜けているもので、これはやはり有害大気汚染物質に入れた方がいいということであれば、また入れていただくか検討していきたいと思いますが。そのほかに何かございますでしょうか。

【小林委員】 ここで議論する話ではないとは思うのですが、ここでありますと220程度の物質について情報を収集するという作業が今後ずっと続くわけですね。そうしますと、相当の作業量となると思いますし、また、これの基準、もし基準を決めていくとしても、せいぜい年間に3件から5件ぐらいしかない。そうしますと、50年も60年も先までかかるということになってしまうわけですね。そういう意味から、ちょっと作業手順という視点から、この200物質程度を、例えばその中で今先に優先的に検討しなければならないものというのを40〜50とか、30ぐらい選んでおいた方が作業効率はいいのではないかなという感がするんですけど、いかがでございましょうか。

【内山委員長】 これは次の議題にも関係してくると思いますが、よろしいでしょうか。事務局の方。

【中野専門官】 すみません、実は今回は議題に挙げてございませんでしたが、次回皆様方にご議論いただこうと思っている議題の中では、この物質リストに基づいた国、それから、自治体、それから、事業者のそれぞれの取組の基本的な考え方ですとか方向性というものを皆様方にご議論いただきたいと思ってございます。その中で、特に国の役割として我々現時点で考えてございますのが、今、小林委員からもご指摘がございましたとおり、特に200数十物質という物質をリストアップさせていただいた後をどう考えるのかということについて、それについては国がある程度体系的な調査なりを進めていくべきであろうというふうに考えてございます。
 具体的に申しますと、特に優先取組物質となっていない234物質、例えば現行でいきますと234引く22物質、212物質につきましては、特にリスト化がされた後の取組というのは余り体系的ではなかったのではないかということは過去の専門委員会でも委員からご指摘をいただいたところでございまして、そちらにつきまして、今、小林委員からご指摘があったとおり、健康リスクの多寡等に基づいてその200数十物質についてもさらに国の方で優先的に調査等を進めるべきものというものを選ばせていただいて、その優先順の中で国が予算をとって必要な調査等を体系的・継続的に行わせていただきたいと考えているところでございます。もし、差し支えなければそういった方向性も含めて次回のご議論の中でもご意見を賜りたいと思っている次第でございます。

【内山委員長】 わかりました。中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 委員会の中で、ワーキングの中でもそういう議論をさせていただきました。次回、ご説明いただきますけれども、基本的には有害性の情報についてはこの有害大気独自で必要といいますか、有害大気も必要に応じてやる必要もありますけれども、化審法、化管法でこれからどんどん有害性情報を集めて評価をしていくことになりますので、そういうものを活用しながらということになるかと思います。

【内山委員長】 ありがとうございました。とりあえず基準なりガイドラインをつくっていくのはこの後の議題の優先取組物質のときに議論していただいて、それに漏れた中での200数十物質、これはまた今、事務局の方から説明があったような方向で行きたいということだろうと思います。これはまた次回も含めてご議論いただければと思います。ありがとうございました。
 次にいかがでしょうか。浦野先生。

【浦野委員】 一応のルールはこれで妥当だと思いますので、3ページ(4)でキシレンを選んだのは一種専門家判断ということになろうかと思うのですが、キシレンが生態毒性で化管法の対象になっていて、作業環境の許容濃度もあるけれども、今回の対象にはならなかったということ、吸入毒性が比較的弱いということかと思うのですけれども、そういうものを入れた考え方を少し整理して、今後こういう専門家判断をどうするかの参考にしたほうがよいと思うのですが。先ほど中杉委員からキシレン以外についても一応検討したけれども、キシレンだけが残ったというご説明があったのですが、その辺、どういう考え方で、どのぐらいの物質を検討してキシレンが残ったのかと、ちょっと補足のご説明があれば。

【中杉委員】 むしろ私がちょっと言い過ぎたかもしれません。キシレンが残ってしまったということでどうしようかということから始まっています。キシレンとそれに該当するぐらいの生産量があるものがあるかという観点でほかを見ましたけれども、結果としてはそれに該当するものはまあないだろうという判断です。

【浦野委員】 ということは、基本的に一応のルールで決めたけれども、そのほかに漏れがないかチェックするのは生産・輸入量が非常に大きいものを一応スクリーニングにかけて、その中から毒性、先ほどあった作業環境とか室内環境とかそういうものもあるということで選んだということですね。何かその辺を少し整理してほしい。例えば海外でもベンゼン、キシレン、エチルベンゼンとか、そういうものは大体規制がありますよね。そういう海外で規制があるということも含めて、どういうルールでこの専門家判断をするのか、(4)は最終的に専門家判断的になりますので、ある程度の考え方を整理しておいた方がよいのではないか。専門家の指摘があったとか、パブコメで指摘があったでもいいですけれども、何かしら考え方を整理していけばいいかなと感じます。

【内山委員長】 わかりました。事務局何かよろしいですか。もう少しそこのところをどのように考えていくのか、はっきりわかるような記述にしてほしいということでありますが。

【中野専門官】 わかりました。基本的にはコンセプトとしてはやはり有害性の該当性と、かつ、国内での大気での曝露性の観点でございますから、そこの範囲内が条件として入るように、かつ、今、ご指摘いただいたような部分を含めてもう少し整理をさせていただきたいと考えてございます。

【内山委員長】 そのほかにございますでしょうか。
 それでは、資料も膨大ですので、すぐに全てを理解するのは難しいということもあるかと思いますが、また、次の優先取組物質の方のご議論をいただきながら、少しまた戻ってもいいと思いますので、とりあえず見直しの方については議論をここまでといたしまして、次の優先取組物質の見直しについてというところに行けるかと思います。優先取組物質の見直しについてということのご説明をお願いして、それを少し議論したいと思います。事務局の方、では、よろしくどうぞお願いいたします。

【中野専門官】 それでは、引き続きまして優先取組物質の見直しについてご説明させていただきます。資料4をごらんください。
 資料4につきましてでございますが、1.でまず経緯を記載してございます。こちらも基本的に234物質リストと同様でございますが、平成8年に22物質を優先取組物質として定めてございますが、その後、平成12年の中央環境審議会答申、いわゆる第六次答申におきまして優先取組物質につきましてはPRTR制度による情報や最新の科学的知見をもとに見直すことが必要とされたところでございまして、こちらも過去専門委員会でもご意見をちょうだいしたりしてございましたが、今般、これについての見直しの素案というものを取りまとめさせていただいて、皆様方のご議論をいただければと考える次第でございます。
 具体的には、「2.優先取組物質の見直しについて」以降に記載してございますが、まず、2.1の基本的な考え方につきましては、基本的に優先取組物質につきましては、平成8年の通称第二次答申におきまして有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの中から物質の有害性の程度ですとか、あるいは我が国の大気環境の状況等にかんがみまして、健康リスクがある程度高いと考えられる有害大気汚染物質を選定することとさせていただいているところでございます。今般の見直しに当たりましても、その考え方を踏襲させていただきまして、我が国の大気環境目標値でございますとか、諸外国あるいは機関の大気環境保全政策の中で利用されております目標値と比較して、一定程度を超える濃度で検出されている物質または発がん性などの重篤な影響を有し、一定の曝露性がある物質というものを基本に選定をさせていただいたところでございます。
 具体的な選定基準は2.2から記載してございまして、2ページ目をごらんください。
 2ページ目の(1)から(3)の条件を設定させていただきまして、今般物質を選ばせていただいているところでございます。
 順にご説明いたしますと、まず(1)でございますが、こちらは我が国の大気環境において一定の値を超える濃度で検出されている物質を優先取組物質とさせていただくという考え方でございまして、大きく(ア)(イ)の二つ条件として整理してございます。(ア)が我が国の大気環境目標、すなわち環境基準ですとか、それから、指針値ですね、こちらに比較して、その値の10分の1以上の値で国内で検出されているような物質は優先取組物質とすべきというふうに整理をさせていただきました。
 さらに(イ)でございますが、今度は国外ですね。諸外国及び機関における大気環境保全政策の中で利用されている目標値、こちらが例えば複数の機関で設定されている場合は、その平均的な値として幾何平均をとらせていただいて、そちらと比較して10分の1以上の濃度で国内で検出されているといったものを対象といたしました。この際、我が国の大気環境目標が設定されていない物質として条件を検討してございますので、今般、諸外国、機関として選ばせていただいたものは五つございます。一つ目がEUの目標値、それから、二つ目がイギリスの大気環境目標、それから、三つ目はオーストラリアの大気環境監視基準、それから、四つ目はニュージーランドの大気環境指針値、それから、五つ目はWHO欧州地域事務局のガイドライン値ということでございます。
 例えば、そのほかに大気環境保全政策の中で利用されている目標値ということでございますと、例えばアメリカの環境基準などがあったりするのですが、こちらは基本的に対象となっている物質は既に我が国においても排出抑制の発生、ばい煙などに取り込まれている物質でございましたので、こちらのリストには入ってございません。さらに、特に五つの外国機関とさせていただいたり、あるいは幾何平均をとったということにつきましての説明を、詳細を参考資料2−2の方で記載してございます。お時間をいただいて、こちらをご説明させていただきたいと思いますが、参考資料2−2の3ページをごらんください。
 3ページ、(2)採用する基準値等の考え方でございますが、基本的に国内外の基準値等につきましては、大きく二つの目的に分かれて定められているのではないかと私どもの方では考えました。その二つの性質でございますが、一つはこの本文1行目、i)で記載してございますが、大気環境保全政策の中で利用されているような基準値等目標値などがあるということでございます。こちらをもっと詳しく申し上げますと、例えば一定の目標値を超える場合に、行政が何らかの施策を講じるというような判断基準を行うために設定されているような数値でございます。
 それから、もう一つは、本文2行目ii)でございますけれども、一般環境ですとか発生源あるいは汚染地などにおける大気中の有害物質のリスク評価に利用されている値ですとか、それに関連するような値というものが二つ目の性質としてございます。こういった目標値としては、例えば我が国の環境リスク初期評価において、例えば参照としているような値でございますとか、あるいはアメリカの総合リスク評価システムに掲載されたような値もそうでございますが、こういった値につきましては基本的に物質のリスクの多寡を判断するような基準として設けられているような数値でございます。
 今般の優先取組物質の選定に当たりましては、基本的にこの物質に選定されますと事業者の自主的取組を推進したり、さらには地方公共団体における常時監視ですね、全国的なモニタリングの対象となっていくようなものですとか、あるいは私どもが指針値を定めたりするような物質、基準値を定めたりするような物質でございますので、そういったもろもろの対策をとるというようなことになりますと、今回比較するべきはi)の大気環境保全政策の中で利用されている値というものが適当であろうというふうに判断をさせていただきました。
 さらには、基本的に一つの物質について複数の機関で目標値を定めている場合につきまして、その取扱いの仕方をこのページの真ん中辺、「また、」以降の段落で記載させていただいております。かなり技術的なお話になってございますが、簡単に申し上げますと、まず、複数の基準値が一つの物質であった場合につきましては、基本的にその後の作業として選んだ基準値の10分の1の値を国内の曝露データと比較するという作業を行いますことから、基本的に選ぶ基準値というものは、複数あった場合は平均的な値をとるのがよかろうというふうに考えてございまして、その平均をとる場合ですけれども、例えば算出平均をとるですとか、あるいは中央値をとるという考え方もございますが、今般そもそもnが、母集団となる値が数が2から4とか、最大でも5しかないということと、あるいはそれぞれの基準値、各国の基準値の間で桁が異なる場合もあることから、基本的に幾何平均を採用することが適当ではないかと考えさせていただいて、そのように整理をさせていただいてございます。
 このほか、大気環境保全政策の中で利用されている値ということになりますと、今回選ばせていただいた五つの国、機関のほかに、オランダの目標値も基本的にそういった使われ方をするような性質でつくられている目標でございますが、こちら基本的に不確実性を考慮した無毒性量などにさらに機械的に100分の1を掛けるなど、例えばアメリカの総合リスク評価システムなどで使われているような値をそのまま採用するなどの措置を講じておりますので、ちょっとそちらは今回のほかの採用する諸外国の目標値の考え方からすると若干異なるのかなということを考えまして除かせていただいたところでございます。
 まず、採用する基準値の考え方については以上でございまして、続いて、4ページ目でございますが、(3)番、採用する曝露データについて、上の方で説明させていただいてございます。
 今、私が申し上げた諸外国等の基準値のうち、目安となるような基準を定めて、それの10分の1の値と比較する国内の曝露情報につきましては、基本的に有害大気汚染物質モニタリング調査結果あるいは化学物質環境実態調査結果のうち、基本的にワーストケースとなります最大値をとらせていただきました。こちら、基本的に最大値を採用させていただきましたのは、例えば、98パーセンタイル値ですとか、平均といったものも使うということも考えられるのですが、既存のモニタリングデータとしては数が10数個しかないようなデータもございまして、なかなかそういった統計的な処理などをするということも難しいと考えまして、今般は最大値であるワーストケースを採用させていただいたところでございます。
 それから、その曝露データ、最終的に海外の諸外国の基準あるいは国内の基準の10分の1とするということでございますけれども、こちらこの資料の5ページ目の(5)番、選定基準というところに記載をさせてございますが、基本的に選定基準の中で10分の1をするのは、現行の優先取組物質の選定基準につきましても安全を考慮して基本的に10分の1濃度を超えているかどうかというところを優先取組物質の対象とさせていただいたところでございまして、基本的にその考え方を踏襲させていただいたところでございます。こういった形で、まずは一つ優先取組物質の選定基準というものを考えさせていただきました。
 それから、資料4の2ページ目にお戻りください。資料4の2ページ目、今までご説明したのは(1)の細かいご説明でございますが、続いて、(2)の条件でございますが、こちらは従来から重篤な有害性がある物質についての基準でございます。重篤な有害性は、これまでの優先取組物質では発がん性のみを対象としてきたところでございますけれども、今般化管法における特定第一種指定化学物質の有害性の選定基準を踏まえながら、重篤な有害性の範囲を若干広げさせていただきまして、発がん性、それから、変異原性、生殖毒性で人に対して影響があるようなものにつきましてを重篤な有害性と定義づけさせていただいておりまして、こちらに該当するような有害性を持っておりまして、かつ、(ア)と(イ)にございますとおり、曝露性としては過去10年間において大気中から検出されているような例がございますとか、あるいは化管法に基づいて大気中への排出量の届出があるといったものを基本的に優先取組物質として選ばせていただいたところでございます。
 それから、(3)の条件は、今、申し上げた(1)(2)の条件に該当する物質以外の物質につきましても、基本的に現行大防法の附則第9項の規定による指定物質、これは冒頭でご説明させていただいた優先取組物質の中で最も早急に対策を講じなければならないというカテゴリーに入っております物質でございまして、現行ではベンゼンとトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンが選ばれているところでございますが、このうちテトラクロロエチレンにつきましては、基本的に(1)の基準にはもう、(2)の基準もそうなのですが、現行では該当しないような曝露性、有害性の状況となってございます。そこで、このテトラクロロエチレンの扱いをどうするかということを事務局でも考えさせていただいたのでございますが、基本的にこれまで指定物質にあるいは優先取組物質に設定されたことによってテトラクロロエチレンの曝露の状況というものは低減化が図られてきた部分も少なくともあるのではないかと考えておりまして、これを今般の見直しですぐに優先取組物質からも外して全国的な監視対象からも外すということをすると、この後どうなるのかということを考えたときに、単純にこのまま曝露量が減っていくのか、あるいは化学物質の使用量というものは常に変動してございますので、また増えるということもあり得るのではないかと考えまして、当面今回の見直しにおいては、このテトラクロロエチレンにつきましても引き続き優先取組物質とさせていただきたいと考えているところでございまして、基本的に原則指定物質として指定されている物質につきましては、今回は基本的に優先取組物質として継続して監視対象にさせていただきたいと考えているところでございます。
 基本的にこの三つの条件に合致する物質が新たな優先取組物質と考えてございまして、この2ページ目、2.3の本文1行目に記載してございますが、基本的にこの選定基準により選定された物質は、全部で25物質となります。
 3ページ目をごらんいただきたいのですが、基本的に25物質、22物質から差し引くと3物質が増えたような形になりますが、実際には先ほどの議題でアスベスト様の繊維を含むタルクとクロロメチルメチルエーテルの2物質は曝露性の観点が主になってございますが、こちらの観点から対象物質から外れてございますので、優先取組物質につきましてもその2物質が外れてかわりに新しく5物質が加わることになります。この5物質につきましては、3ページ目の表にまとめた5物質でございまして、上から順にトルエン、塩化メチル、それから、クロム及び三価クロム化合物、それから、ベンゾトリクロライド、それから、2−ブロモプロパンの5物質でございます。特にここでご留意していただきたい点としては、真ん中のクロム及び三価クロム化合物でございますが、これまで優先取組物質につきましては、六価クロムが選ばれてございました。六価クロムにつきましては、特に重篤な有害性がある物質として優先取組物質に選ばれておったものでございますが、今般さらに先ほどで申しますと、(1)の条件に該当する物質としてクロム及び三価クロムが選ばれたところでございます。
 こちら、まとめて一つの物質群、クロム化合物としてリスト化することも考えたのでございますが、やはり有害性の質というものが六価クロムとこのクロム及び三価クロム化合物では違うということを踏まえますと、それぞれの評価を考えたときに別々にリストアップした方がよろしかろうということで整理をさせていただいてございます。ただ、皆様方もご案内のとおり、現行、クロムの測定、モニタリングデータにつきましては、こちらの真ん中の列にございますとおり、総クロムでしか分析できないような状況になってございまして、これについては引き続き我々状態別の測定法については過去からの宿題となってございますけれども、こちらの宿題については引き続き私どもの方で解決に向けて取り組んでまいろうと思ってございますが、当面モニタリングについては総クロムとして分析せざるを得ないのですけれども、有害性の観点から、質の観点から六価クロムとそれからクロム・三価クロム化合物は分けて優先取組物質ではリストアップさせていただきたいと考えているところでございます。
 それから、ベンゾトリクロライド、2−ブロモプロパンにつきましては、今般重篤な有害性に該当する物質で、かつ、PRTRの届出データで大気への排出量があるという物質として選ばせていただいたところでございますが、ご覧のとおり、PRTRの届出データだけを見ますとかなり少ない物質となってございます。一方で、製造・輸入量は247物質の選定条件と考えますと、やはり製造・輸入量が年間100トン以上のような物質となってございまして、特にこの取扱いについては私どもも皆様方のご意見をいただきながら、最終的に優先取組物質と選定させていただきたいと考えているところでございます。
 最終的な物質リスト25物質については、4ページ目、最後のページに一覧表にまとめさせていただきましたので、こちらをご参照いただければと思います。私の説明については以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。それでは、また、先ほどと同じように、中杉委員から補足説明があればよろしくお願いいたします。

【中杉委員】 2点だけ補足しておきたいと思います。1点は、曝露データが最高値を使ったということでございますけれども、これは実際にはモニタリングデータというのは必ずしも排出源のそばでとられているわけではないということも含めて、やはり最高濃度を採用するべきだろうということで最高濃度を曝露の方に採用しております。
 それから、もう一点、最後、ご説明のありましたベンゾトリクロライドと2−ブロモプロパンにつきましては、ワーキングの中でも優先取組物質に選ぶ必要があるのかという議論がありました。ただ、そこら辺のところの判断は、この専門委員会の方でしていただく必要があるんだろうということで、ワーキングの段階では一応優先取組物質のリストの載っけておいた方がよろしかろうということで、そういう整理をさせていただいております。

【内山委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明にご質問、ご意見ございますでしょうか。大前委員、どうぞ。

【大前委員】 この優先取組物質というのは、我が国の大気環境の状況等にかんがみ、健康リスクがある程度高いと考える有害大気物質を選定するということで選んでいるわけでございますけれども、今、それを選ぶ方法として、2ページの、例えば(1)の(ア)ですと、大気環境目標、環境基準もしくは指針値の10分の1をとっているということでございます。しかしながら、よく考えてみますと、環境基準あるいは指針値をつくるときは既に遺伝子に支障がある影響であれ、ない影響であれ、十分低い値としてとっているわけですよね。そうすると、これの10分の1をとるということは、すなわち、何か自己矛盾で、十分低い値をとっているにもかかわらず10分の1以下と健康リスクが高くなっているという、そういうような自己矛盾を起こしていると思うんですよね。したがって、僕はちょっとここの部分の考え方がよく理解できないんですけれども。

【中杉委員】 そこの考え方というのは前がそういうことだったということもあるのですが、なぜそういうことになっているかというと、テトラクロロエチレンのところで少しお話があったように、生産・使用量、環境への放出というのは随時変動していくだろうということで、10分の1を超えている場合は将来的にこのまま推移していくであろう、何の対応もしていかないと超えてしまうのではないか、そういうこともあり得るだろうということで、取組をしていただいている物質として挙げておく必要があるんじゃないかということで優先取組物質にしたと。これは前のときもそういう考え方で整理をしたというふうに思っておりますけれども。

【浦野委員】 ちょっと中杉委員のお答えに補足をさせていただきますが、このリストにあるたくさんの物質ですね、必ずしも十分モニタリングを今までされているわけではないんですね。ですから、測定数が非常に少ないものもある、そういう意味で最大値を使ったというのもあるし、10分の1という視点も入っていて、10分の1のレベルで検出されているものは一応予防的に見ておこうという考え方なのです。現時点で日本の基準値や指針値とか、海外の指針値の10分の1にするのは自己矛盾だということにはならないというふうに理解しております。

【大前委員】 この基本的な考え方が健康リスクがある程度高いと考えられる有害物質を選定するという、それの考え方に立っているわけなので、データがたくさんある、ないかということはあるのでしょうが、判断の中にあるでしょうけれども、その環境基準あるいは指針値を、そのものは既に健康リスクは低いということで決めた値だと思うんですよね。したがって、やはり僕は矛盾があると思います。今、おっしゃったように、数が少ないからあるいはこれから使用量の変動があるからということで、将来的には環境基準あるいは指針値を超える可能性もある、それはそのとおりなんでしょうけれども。

【浦野委員】 ちょっと表現の解釈だと思うのですけれども、健康リスクがある程度高いと考えられるというあたりを、本当に高いと考えているのかという、あるいはそういう可能性があるという理解、リスクも可能性ですけれども、そういうところだと思うんですね。

【内山委員長】 多分、大前委員のご質問は、2ページの(1)の(ア)というのは、もう既に優先取組物質にリストアップされていて、これまで環境基準とか指針値をつくってきた物質を今回の新しい見直しで維持するかどうかというときの項目ですよね。ですから、それをこの表現にすると、もう既に十分リスクの低いところで指針値なり環境基準を決めてきたのに、さらにそのまた10分の1以上あるのだったらまだ優先取組物質に維持しておくというのはちょっと自己矛盾があるのではないかということだと思います。、もうこれは従来の優先取組物質をさらに今回の見直しでも落とさないで維持するというような表現でもいいのかなという気もしますけれども。中杉委員、どうでしょうか。

【中杉委員】 もう一つは、今、浦野先生の方から補足をしていただきましたけれども、大気のモニタリングというのは今のモニタリング地点を多くのところはそうですけれども、大体は発生源から1キロぐらい離れたところが発生源周辺としてモニタリングされていると。そういう意味でいくと、発生源に近いところはそれよりも多分10倍以上高い濃度の可能性があるということだろうというふうに考えます。そういうことも含めて、これはそういう、これ自体は入っているのだからということなんですけれども、これの判断としては先ほど言いましたように、テトラクロロエチレンについてこれが該当してみると、入らなくなったということで、結果として最初から入れているんだから、そのままにしておけばいいんだよという話ではなくて、一応見直しをしてみたということでございます。表現が適切でなければ修正したいと思いますけれども。

【内山委員長】 わかりました。テトラクロロエチレンをこの(1)の(ア)の基準を満たさないからもう一回見直してまた入れると、これはそれでいいと思うし、私もそういう考えでいいと思うのですが、この(1)の(ア)のところがこの表現からだと、何かもう既に十分低いところで決めているのに、それの10分の1だったら、まだ何かリスクが高いんじゃないかというふうにとられてしまうと、矛盾があるのではないか。ですから、これは使用量とか、その増減がある、あるいは優先取組物質に取り上げてガイドライン等を決めた効果でもあって下がってきたのかもしれないので、これはそのまま維持するというような形の表現にしてもいいのではないかというのが多分、大前委員の先ほどおっしゃった意味だと思うのですが。

【浦野委員】 表現はやはり大前委員のおっしゃったように、もう少し正確にというか、誤解のないように書く必要があると思うのですが、実は私ども大気の測定をいろいろやっておりまして、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン関係ですけれども、大手企業さんは塩素系溶剤をかなり使用をやめていまして、かなり減っているんですけれども、それが中小・下請にかなり回っていまして、中小・下請が住宅地に近いところで大量の塩素系溶剤を使っている事例がかなりありまして、私ども測定をして異常に高い数字、もちろん環境基準を超えている数字を検出しております。大気濃度が高い原因を探したらそういう工場が近くにあったという事例もありますので、もう一切考慮しなくていいよという形にするのには私は今のところ賛成できないので、この処置はよいというふうに思っております。

【田邊委員】 今の議論と関係があるんですが、既存の優先取組物質については濃度が下がってきたけれども、引き続き監視の必要があるというのはよろしいのですが、優先取組物質を選ぶときは、候補物質から選んでくるという観点でいくと、先ほどから測定が十分ではないという状況で選びますので、これぐらいの安全マージンを見ておかないと、たまたま例えば20カ所か30カ所はかっても、最大値は把握できていませんので、これら二色の趣旨の書き方をする必要があると思います。これは、(ア)はぜひとも残した方がいいと私は思います。

【内山委員長】 わかりました。それは、そのようにします。

【浦野委員】 別の件ですけれども、この選定理由はそれらしく妥当だと思うのですけれども、ただ、こうやって選んだものでこの表の下二つ目のようなものですけれども、特にベンゾトリクロライドなんかの届出データが異常に少ないんですね。取扱い量が100から1,000トンあります。これは原料に使われているからあまり出ないという理由もあるんですけれども、それにしても異常に少ない。逆に言うと、PRTRの届出が正しく行われているのかという疑問も出てくるという状況があります。
 その一方で、こういう非常に特殊な物質で、少量しか出ていないとすると、取り扱っている事業所あるいは排出している事業所が全国でほんのわずかしかない可能性があると。そうすると、それを優先取組物質として国が指定して、優先的にいろいろなモニタリングをしたり、いろいろな対策を全国に指示をする必要があるかという議論が当然あると思うんですね。ですから、こういう選び出しをした中から極端に少数の事業所で取り扱われているものは除くというルール、それは個別に関連の自治体、関連の企業に指導をするということでよいのではないか。、無視していいということではなくて、取扱いを少し別にするというルールが必要ではないかなと思う。以前にもそういうような議論はあったと思うので、皆さんのご意見あるいはその情報があれば聞かせていただきたいと。

【中野専門官】 すみません、今の浦野委員のご意見に対して補足の情報をご説明させていただきますと、今、問題となっておりますベンゾトリクロライドと2−ブロモプロパン、それぞれPRTR届出データの大気への排出量が、年間の合計が記載してございますが、PRTRデータを個別に参照いたしますと、事業所数も既にわかるので、そこで私どもが調べたところをご説明いたしますと、まず、ベンゾトリクロライドについてはこちらは平成20年の届出は2事業所から届出がなされております。いずれも事業者は化学工業と分類されてございまして、1事業者が0.8キログラム、もう1事業者が0.1キログラムの届出量となってございます。
 それから、2−ブロモプロパンでございますが、こちらは届出をいただいている事業者が3事業所でございまして、1事業所は精密機械器具製造業、それから、残りの2事業所は化学工業となってございます。こちらの内訳は、精密機械器具製造業の方が180キログラム、残りの化学工業が20キログラムと7.4キログラム、それぞれそういった届出量となってございます。

【内山委員長】 そういう少ないところから出ているものをどうするかというご議論だと思いますが、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 先ほどもご説明しましたように、ワーキングの方でも浦野先生が言われたような議論が出てきて、そうするべき方向ではないかということではあったのですけれども、一応ワーキングの段階で数量、選定基準を決めてしまうよりは、この辺のところは少し科学的な根拠ではなくて、政策的な判断もあるので、この専門委員会でしていただく必要があるだろうということで、ここで議論をお願いをしているという次第でございます。

【内山委員長】 それでは、これをどうするかというのはここでの宿題、議論ということだということですが、浦野先生はいかがですか、先ほど少しお話しいただきましたが。

【浦野委員】 先ほど小林委員からもご意見がありましたけれども、この240ぐらいの物質と5というか、既にあるものも入れれば25の優先取組というのでいくのか、もう1段階、先ほど50とかおっしゃいましたけれども、優先1、優先2、あるいは優先3というような分け方もあって、優先取組に該当するような物質ではあるけれども、事業所はもう2だとか3だとか、場合によっては5以下であれば、それは全国的には取り組まないで、国及び関連自治体、事業あるいは関連業界で減らしていく努力をするというふうな取扱い、いいかえると取扱いとの関係で優先取組を一律一つのカテゴリーで入れるのか入れないかを考える必要があるかなと思います。
 それから、この資料を見ますと、2−ブロモプロパンはPRTRデータが平成13年度6.6トンぐらいあったものがずっと減ってきて、19年度0.7で、20年度が0.2に急減しているんですね。ですから、業者さんはそれなりにかなり努力をしているんじゃないかという感じもあるので、それを今から優先取組で積極的に指定する必要があるかという議論もあるので、優先取組候補物質としてはこれでいいのですが、それをどういう取扱いをするかという議論は必要かなというふうに思います。

【小林委員】 私、先ほども申し上げたのは、実はこの優先取組物質が25ぐらいですが、それでは、それ以外のやつの200なんぼが同じラインで議論するのかということから、できたら今、浦野委員から言われたように、大体の数は幾らにしろ、この優先取組物質より対策としては低いけれども、監視だけはきちっとやるという物質を、例えば40とか50選んでおくというのがどうなのかなというのをちょっとご提案させていただきたいというのが一つなんです。
 それから、もう一点ですが、私、この議論の中で一つだけ気になっていますのは、いわゆる選定基準を決めて、自動的にこの選定基準にひっかかれば優先取組物質に入れていくという考え方が一つあると思うんですね。今回議論しているのは、それをベースにして基準を決めたのではなくて、その基準というか、それを指標にして今回25物質を決めましたという形。そうすると、この25物質以外のもので、何か緊急的な問題が起こった場合、委員会を開かなければ、いわゆるこの物質に採用されないということになるわけで、そういう視点からいくと、選定基準を決めてしまう、これにひっかかれば自動的に追加していくんだという考え方も一つあるのではないかなという気がしますが。

【中杉委員】 優先取組物質以外のその他物質ですけれども、これについてどう取り扱うかというのはワーキングの方でも議論をしました。そのときに今、ご提案があったような形で、順番に幾つかのカテゴリーをつけて何々、リスト群をつくって分けていくという考え方もあったのですが、これは物質群をつけるとそのたびに物質群を動かすということ自体が非常に煩雑になりますし、また、今みたいな議論で変えなきゃいけないということになる、その他の物質については全体一つのグループとしてある優先順位を決めて環境省のモニタリングなり有害性の情報を集めていただく、そういうリストをつくる優先順位を、まさに基準をこういうふうな考え方でどうかということで決めていって、それに基づいて環境省の方で順次やっていただくということが必要だろう、そういう判断で別な次のカテゴリーというのを設けるのをやめましょうという判断にさせていただきました。これは次回説明をいただきますけれども。
 そういうことも含めて考えると、そういうことをやって、環境省モニタリングや有害性情報を集めたときに、次にどうするかというのは、今回議論していただいたもので、大体それに該当するものがあれば順次今度は含めていくというような形になっていくんだろうというふうに私は解釈していますけれども。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、次の議題もあるので、この有害大気汚染物質に関しては大体このぐらいにしたいと思うのですが、1番目の有害大気汚染物質リストの見直しに係る方は、一つご質問がありましたので、次回までに整理していただきたいと思います。
 それから、優先取組物質の見直しについては、今、幾つかご議論なりご意見が出ましたので、次回までに少しまた資料をまとめて議論のたたき台のようなものを少しまとめていただいて、次回もう少しご議論を続けたいと思いますが、よろしいでしょうか。それで、また、膨大な資料ですので、目を通していただいて、今日ご質問いただけなかったところでもご質問なりご意見がございましたら、1週間ぐらいを目途に事務局の方にお知らせ願えればまたそこで対応したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきますので、次の議題に移りたいと思います。
 次の議題は、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価についてということでございます。先ほど局長のごあいさつにもございましたように、有害大気汚染物質につきましては、平成9年以降、環境基準ですとか、指針値を決めてきたところでございますが、こちらにつきましては本専門委員会、ワーキンググループを設置して評価作業を進めてきているというところです。今回はヒ素に関する評価結果についてまとまったということですので、まず、事務局の方からご説明いただいて、その後にまた委員の方から追加説明をお願いしたいと思います。それでは、事務局の方、よろしくお願いします。

【上田総務課長補佐】 それでは、総務課の上田でございます。ご説明させていただきます。
 資料は5−1と5−2、それから、参考資料3−1から3−6という塊でご説明させていただきます。
 まず、参考資料3−1をちょっとおめくりいただけますでしょうか。参考資料3−1がこれまでの経緯についてでございますが、端折ってご説明させていただきます。参考資料の方、すみません、ページ番号を打ってございませんが、2枚ほどおめくりいただきますと、別図というのが2枚目の裏側にございます。ここで現行の有害大気汚染物質(234物質)、それから、優先取組物質(22物質)について、これまでどういう状況であるかというのが図で示してございます。これまで環境基準4物質、それから、指針値7物質定まってございまして、その他測定できないものとか、あるいはダイオキシン特措法で別途対策するものを除きますと8物質がまだ評価が済んでいないものということでございまして、これにつきまして精力的に作業を進めてきたというところでございまして、そのうちのヒ素につきまして今般取りまとめましたということでご報告させていただきます。
 それから、参考資料3−6をごらんいただきますと、先ほど内山委員長からも少しご説明がございましたワーキンググループを設置させていただきまして、これまで精力的にご議論いただきました。ワーキンググループ自体内山先生に座長をお願いいたしまして、裏面に名簿がついてございますが、これまで検討をしていただきました。それで、この参考資料3−6の表側にヒ素及びベリリウムというのがたくさん出てきておりますが、ベリリウムを並行で進めてきておりますけれども、実はベリリウムにつきましては今、国際がん研究機関IARCの最新のリスク評価書が間もなくまとまるという情報がございますので、それを待って評価を取りまとめるということで、今ペンディングになってございます。ですから、ベリリウムも終盤に近づいておりますが、そういう外因的な要因がございまして、今のところちょっとペンディングという状況でございます。
 なお、これからご説明いたしますヒ素については、圓藤吟史先生に中心となって評価書をお取りまとめいただいております。
 それでは、参考資料5−1と5−2に戻りまして、まず、5−2本体の方で構成だけざっと流させていただきます。
 5−2、かなり大部になってございます。ヒ素は昔から知られている有害物質でございますので、相当の論文数がございまして、圓藤吟史先生が本当にいろいろお世話いただきまして本当にありがとうございます。5−2が評価書本体で、5−1がその要約版という形になってございます。5−2は1ページ目からまず基本的事項から始まりまして、どういう化合物がありますというところから始まりまして、それから、5ページからが健康影響評価ということで、発がん性、遺伝子障害性の定性評価というところから始まります。ここでいろんな論文のレビューをいたしまして、発がん性につきましては本当に経口曝露も含めまして、相当いろんな論文がございますので、かなりページ数は費やされていると。それから、28ページからが発がんの今度は定量評価になります。これもまた定量評価に使えるものというのもやはりかなりあるということでございまして、特にこれも後ほどご説明しますけれども、銅精錬所でのコホート研究が非常に定量評価に使えるということで、それを中心に書かれてございます。
 それから、35ページからが発がん性以外ということで、やはり35ページから定性評価、それから、41ページからが定量評価ということでございます。
 それと、43ページからが曝露評価ということで、大気中でのモニタリング状況、検出状況なども、例えば45ページあたり、45ページの下の図3で今の日本国内での平均濃度の方を示させていただいていますけれども、こういった状況も示させていただいております。
 49ページからが総合評価ということで、これらの文献レビューを踏まえましてどういう評価をするかということも議論しております。
 それから、54ページからが実際に、では、指針としてどういうものを提案するかという結論をお示ししております。この4.と5.をまとめたのが要約版になってございますので、本日はそのエッセンスである要約版、資料5−1でご説明させていただきます。
 それでは、資料5−1をごらんいただきたいと思います。1ページ目は経緯でございますので、ちょっと飛ばさせていただきまして、2ページ目をおめくりいただきますでしょうか。下の方で、3.指針値の概要についてというところがございますが、こちらからご説明させていただきます。
 2パラグラフ目で「なお、」というのがございますけれども、ヒ素のうちでも、ヒ素もいろんな化合物がございますが、どれを対象とするかということでございますが、大気中ではやはり無機化合物が粉じんとして舞うというのがやはり一番大きいということでございますので、基本はそれをもとに健康リスク評価をうたったということでございます。
 それから、3ページ目にまいりまして、発がん性でございます。ヒ素化合物は昔からよく知られた発がん性がございまして、ヒ素化合物曝露はそもそも発がん性は明らかであると。それから、吸入曝露については特に肺がんの明らかな証拠があるということでございます。
 それから、[2]で閾値の有無でございますけれども、遺伝子障害性、発がん性につきましては閾値がある、ないで評価方法は違ってまいりますが、遺伝子障害性を示す証拠があるということで、閾値がないという一見判断になるかと思うのですが、遺伝子変異を伴わないようなメカニズムを示唆する証拠もあるということで、ここでは閾値の有無につきましては判断をすることは困難でありますと。ただし、発がん性には閾値がないと仮定をして算出するのが妥当であるという判断をさせていただいております。
 発がん性につきましては、ですから、閾値がないと仮定をして算出するということでございますが、その定量評価に用いるデータにつきましては、[3]でございますけれども、人の疫学データとしまして、銅の精錬所の三つのコホート研究で肺がんの死亡につきましてかなり定量的なデータがあるということで、これを用いてアセスメントを行うということでございます。
 下から3行目、「なお、」というところでございますけれども、今、申し上げた3コホートというのは職業曝露でございますが、職業曝露以外のものにつきましては、例えば非鉄金属精錬所などの近隣地域等における幾つかの研究で一般住民、地域住民のがん死亡リスクの増加というのが示唆される論文は幾つかございますが、いずれも、例えば交絡因子の調整が十分でないとかといったようなことで、定量評価に用いるにはちょっと不十分だということで、今回はそれは用いてございません。
 4ページにまいりまして、発がん性以外の有害性でございます。発がん性以外につきましても、ヒ素は昔から知られた有害物質でございますので、いろんな有害性がございます。急性毒性で、例えば消化器、神経系あるいは呼吸器系、それから、慢性でも呼吸器粘膜、慢性疾病、気管支炎といったものが報告されてございますし、生殖毒性につきましても数は少ないのですが、限定的ではありますが、幾つか示唆される証拠があるということでございます。
 「しかしながら、」というパラグラフの一番最後の方でございますけれども、吸入曝露による発がん性以外の有害性については、特に低濃度曝露領域では定量的なデータがなかなか得られないということでございまして、発がん性の方で評価ができますので、無理にこちらは発がん性以外で評価をしなくてもよいということで、発がん性以外につきましては評価は行わないという判断をワーキンググループでしていただいております。
 次に、定量的データの科学的信頼性についてでございます。これは科学的信頼性があれば環境基準、一定の制約があれば指針値というところでございまして、その判断でございますけれども、人の発がん性について十分な定量的データが存在し、科学的信頼性については相当な確度となるということでございますが、疫学コホート研究などでも大気中の濃度を実測しているのではなくて、尿中のヒ素濃度ではかっているということで、経口曝露の影響が否定できないということでございまして、それから、労働者が装着しているマスクの装着の効果というのが非常に大胆な仮定を置いたりしているということもございますので、やはり関係は明らかでございますけれども、不確実性は存在するということでございます。ですので、科学的信頼性に一定の制約があるということで、環境基準ではなくて、指針値を提案ということでございます。
 それから、(4)で指針値の提案についてということでございます。ここは経口曝露との関係、吸入曝露と経口曝露との関係について議論しております。ヒ素につきましては、大部分が食品や飲料水の摂取による経口曝露からでございます。特に日本人ですと海藻類を非常にたくさん食べますけれども、そちらからの摂取も少なくないということもございますし、日本国内では例えば井戸水でも検出されるということがあって、もちろん井戸水は飲用指導などをしておりますけれども、そういったことで経口曝露というのは必ずございます。それとは別に吸入曝露で、指針値を設ける必要があるか、あるいは経口曝露との関係をどう見るべきかというところを議論しております。
 5ページ目にまいりまして、吸入曝露では肺がんが特に顕著であると。一方、経口曝露では多臓器にがんが発症しますけれども、肺がんはその一部、肺がんも実はあるんですけれども、多臓器にがんが発症するということで、曝露経路によって発がんの様相がかなり異なっているということがわかっております。ですので、発症メカニズムの違いにはちょっと不明な点もございますけれども、少なくとも高濃度の吸入曝露の条件下では肺がんの発症というのは疫学的に明らかであると、関係が非常に強いということでございますので、様相も異なるということでございますので、吸入曝露につきまして肺がん過剰死亡をエンドポイントとして指針値を設定するというのは妥当ではないかというご判断をいただいております。
 なお、ご承知のことと思いますけれども、飲料水につきましては水質の環境基準がヒ素でございますし、水道水質基準もヒ素はございます。それから、食品につきましても別途評価が進んでいるというふうに伺ってございます。
 発がん性に係るリスク評価でございますけれども、銅精錬所の三つのコホートにつきまして、ユニットリスクを求めまして、そのユニットリスクの幾何平均をとって、統合ユニットリスクとして、それを10−5生涯過剰発がんリスク、つまり、生涯で10万人に1人肺がんで死亡する方が増えるというリスクを仮定をして、その濃度であれば十分に安全性が確保されているということで、その濃度に対応する濃度を求めまして、それが6.0ng−As/m3という値になってございます。なお、ここでちょっと補足させていただきますと、Anacondaコホートというのがここに出てまいりますが、三つのコホートのうちの一つでございます。Anacondaコホートにつきましては、実はもとにした論文にユニットリスクがそのまま記載されてございませんでしたので、このAnacondaコホートにつきましては論文に値がないものですから、独自にユニットリスクを算出しなければいけなかったということでございます。残りの二つのコホートにつきましてはもともとのユニットリスクに記載がございましたので、それを使っているということでございます。
 [2]で発がん性以外につきましては算出しないということでございます。この発がん性と発がん性以外で低い方をとるというルールがございますので、6.0はその後指針値の提案ということでございます。
 現状のモニタリング調査結果とも比べますと、[3]の二つ目のパラグラフでございますが、大気環境中濃度は過去10年間おおむね横ばいでございます。日本の全国平均で大体2ng−As/m3ぐらいででこぼこしております。今、この6.0という提案値になったとすると、それを超えているところというのは発生源周辺、要するに非鉄金属の精錬所のようなところの周辺で超過している地点が幾つかございます。それから、一般環境あるいは沿道に整備されている測定局でも1地点ずつですけれども、指針値を超過している地点がございます。もちろん科学的不確実性がございますので、これは知見の集積に伴い、必要な見直しが行われなければいけないということでございます。
 資料5−2につきましては、ちょっと先ほど独自にユニットリスクを算出したというところについて少し補足して説明をさせていただきます。
 56ページになります。資料5−2の56ページをちょっとお開きいただきたいと思います。
 56ページからが評価書の別紙になってございまして、ヒ素及びその化合物に係る発がんユニットリスクの算出についてということで、その中ほどにある(1)Anacondaコホートというのがまさに独自に算出したというところの記述になってございます。Anacondaコホートにつきましては、実は経年的にいろんな論文が出されておりまして、そのうちの一番新しいものがLubinらによる2000年の論文でございます。これを採用するのがよかろうと、一番新しいものをやはり採用するのがよかろうということでございますが、残念ながら、このLubinら2000年の論文にはユニットリスクそのものが書かれていないものですから、それはちょっと算出しなければいけないということでございます。そのすぐ下に平均相対リスクモデルを用いた定量的評価というものがございまして、数式が書いてございます。その数式のうちのP0、P0というのは生涯リスクのバックグラウンド値ということで、生涯でどのぐらいの方が肺がんで亡くなるかというバックグラウンドの値でございますけれども、その値がちょっとうまいデータがなかったので、それにつきましては57ページの方にまいりまして、P0について適切な数値が与えられておりませんので、これにつきましてLubinらの報告から全死因期待死亡数を分母として、それから、当該疾患、この場合は肺がんですけれども、肺がんの期待死亡数を分子として、その近似値としてP0を求めたというやり方をしてございます。それが最も科学的には適切だろうという判断をワーキンググループでいただいております。
 それを用いまして求めた結果がAnacondaにつきましては、ユニットリスクは1μg/m3当たり4.1×10−3という値になってございます。これを根拠にして、6.0という値を幾何平均をした上で求めているということでございます。
 それともう一点だけご説明いたします。一番最後の79ページをちょっとごらんいただきたいんですけれども、79ページがヒ素及びその無機化合物の有害性評価・法規制等の現状につきまして列挙してございます。そのうちの(2)に大気に関する基準ということで、主なところが幾つか述べられてございます。WHO欧州事務局でユニットリスクを求めておりますのと、それから、U.S.EPA(米国環境保護庁)でもユニットリスクまでは求めてございます。それから、EUでは実は一応目標値というのはEU指令で設定されておりまして、まだ有効にはなってございませんが、PM10の中の、つまり、粒子状物質の中の含有量としてたまたまですけれども、同じ値でした。6ng/m3という値を設定してございます。
 事務局からの説明は以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。それでは、おまとめいただいた圓藤委員の方から追加説明がありましたら、よろしくお願いいたします。

【圓藤委員】 上田補佐の方から詳しく説明していただきましたので、補足するとしますと、ヒ素は発がん性があることについては十分わかっているわけでありますが、この指針値の値に該当するような濃度でもって、あるいはそれの少し上の程度でもって障害が出ているとか、あるいは過剰発がんが認められるというふうなデータはございません。したがいまして、高濃度曝露をした銅精錬所の労働者のコホートをもとに外挿をするという手段を使わざるを得ないということであります。
 外挿するに当たっての条件が幾つかあろうかと思います。一つは、ヒ素の発がん性をどのように考えるのかというのがあろうかと思います。遺伝子障害性の事実があります。と同時に、遺伝子発がん障害作用とここでは書きましたけれども、エピジェネティックな作用あるいは細胞質での変化のようなものが認められるということで、ヒ素の発がん機序に関しましては、ここだと限定して一つにまとめることはできない、幾つかの作用が複合して起こっていると考えるのが現在の知見であろうかと思います。
 それから、もう一つ条件として考えておかなければならないのは、無機ヒ素曝露でもってがんが起こるというのははっきりしているわけですが、無機ヒ素そのものが細胞の中で作用して発がん作用を起こしていると考えるよりも、無機ヒ素の代謝されたもの、例えばジメチルアルシン酸あるいはそれの類似物質、あるいはそれのラジカルになったような物質に発がん性があるのではないかというのが学会での議論のところであります。
 閾値の有無に関しては、確定したものはございません。閾値はないという考える者もおれば、閾値があると考える者もいるというレベルであります。閾値はないと考えるならば、一つの方法としてユニットリスクという考え方でもって外挿をするというのも一つの方法であろうと思います。また、閾値はあると考えていくならば、LOAEL、最小作用量というところから外挿をしていくという考え方もあろうと思います。国際機関においてもその最小作用量から外挿するというのもあれば、ユニットリスクで求めていくという機関もあるというところであります。また、最近では、ベンチマークドーズとして求めていくという考え方も生まれております。
 どれが一番いいのかというのは議論の余地があるところでして、まだ決着がつくレベルではございません。しかしながら、規制していく立場からすると、このような中から選択していくのが妥当であろうということで、ユニットリスクで求めていくのをこの委員会では採用していきたいというわけであります。
 それから、ユニットリスクにおきましても10−5の生涯過剰発がんリスクとして求めてきましたが、10−5というのは果たして妥当なのかというような議論があろうかと思いますが、従来この数値を使っていますので踏襲しています。
 それから、ヒ素の発がんに関しましては、大気からの曝露、すなわち呼吸性の場合は経気道曝露をする場合があります。それによる障害です。それから、飲料水からの曝露というものもございます。世界で一番多いのは飲料水からの曝露でありまして、それによる影響というのは非常に大きいものがございます。我々日本人にとりまして、どちらの方が大きいのかと考えますと、飲料水からの曝露あるいは食品からの曝露の方が明らかに大きいのでありますが、大気からの方を全く無視していいのかというとそうではないであろうということで、大気からの指針値づくりとなっております。食品からの曝露につきましては、現在食品安全委員会の方で「自ら評価」として評価をしていくという作業を初めておりますので、そちらの評価を待ちたいと思いますが、大気からのに関してはそれを待たずに進めていってはいかがかと思っております。
 食品からの曝露に関しましても、日本人は多様な食事生活をしておりますのでその評価は難しく、また、食品曝露によってこれだけの被害を受けたという記述は世界にもほとんどございません。ほとんどは飲料水、無機ヒ素を多く含む飲料水を曝露した地域の人たちにがんが多発した、ヒ素中毒が多発したという証拠が多数ありますので、飲料水のヒ素濃度と摂取量を勘案して曝露評価に使っている、それを食品の場合にどう外挿するのかということで、検討している次第であります。
 資料の3.4にございますように、その一番下にヒ素及びその化合物とありますように、私どもは6.0ng/m3という数値を提案しておりますが、各国の機関が必ずしも一致してその値を出しているわけではございません。各国においてそれぞれ、各機関においてそれぞれのばらつきがあります。どれが妥当であるのかというのは一概に言い切れないものがあります。もとになりましたデータにおきましても、仮定の上での数字というのがございまして、例えば高濃度曝露をしている人たちは保護具を着用しているだろう、していた、その保護具による90%は捕集されたのではないかという仮定のもとに10分の1という数字を掛けたりしておりますので、それが妥当かどうかは現場検証しない限りわからないし、それはもはや過去のものでありますので、そのデータを信用せざるを得ないであろうというふうな仮定がございます。そういうふうなことで、各国による数字がこのように少しのばらつきがあるということでございます。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。今、事務局及び圓藤委員の方からヒ素及びその化合物に係るリスク評価の概要、実際の指針値の提案の具体的な数字までご説明いただきました。何かご質問、ご意見ございますでしょうか。

【浦野委員】 ヒ素の場合は、食品、飲料水からの摂取が主なわけですけれども、ダイオキシンなんかの場合は摂取経路それぞれを考えて、それぞれの摂取割合で割算してそれぞれの媒体からの指針値、基準値というものを考えているわけですね。ヒ素の場合は、そういうことはされない、ほかの大気基準値等もほとんどそうなんですけれども、揮発性有機物みたいなのは大気経由がほとんどで、飲料とか食品からあんまり入ってこないという前提にあると思うんですが、ヒ素の場合はそういうわけにいかないと。ただし、発がんの形態が明らかに違っていて、吸入は肺がんで、ほかは違うというようなことなのか、何かしらそういう考え方の整理が必要かな、あるいはそうされているのであれば教えていただきたいと思っております。

【内山委員長】 圓藤委員、よろしいですか。

【圓藤委員】 それは非常に議論があったところでございます。曝露経路によりまして、発がんの起こる部位が微妙に違うということであります。大気、経気道曝露の場合は肺がんが非常に顕著である、ほかのがんのリスクが小さい。それに対して飲料水からの曝露におきますと、皮膚がんが一番大きくあらわれて、尿路系の腫瘍もある、もちろん、肺がんもあるということで、今回の曝露に関しては大気の指針をつくる以上は最も障害が強く出る肺がんに焦点を当ててリスク評価をしていくということであります。
 浦野先生がおっしゃった部分、非常に重要ですが、それはトータルとしてヒ素をレギュレーションしていくという作業が必要であろうと思いますし、それは食品安全委員会の方が審議しておりますので、その結果を待ってでないと難しいのではないかと思っております。したがいまして、大気の方を先行するならば、飲料水からの曝露に関して今回は考慮せずに経気道曝露での影響を見ていくということに絞ったというところでございます。

【内山委員長】 事務局の方から、そのあたりがどこかに書いてあるというところをちょっと報告書等でわかればご指摘いただけますか。あるいはそれで不十分であればもう少し説明を加えていただけますか。

【上田総務課長補佐】 先ほどの資料5−1の中で少しだけご説明をさせていただきましたけれども、4ページから5ページにかけてがその辺の議論でございます。それで、4ページの一番下の(4)指針値の提案についてというところで、大部分が、つまり経口曝露ですと。もちろん経口曝露でもがんを初めとするさまざまな症状がありますと。吸入曝露では肺がんが明らかでありまして、経口曝露では膀胱がん、皮膚がん、肺がんなどが認められて、多臓器にがんが発症するということですが、曝露経路によっても発がんの様相は異なっているということをここで記載させていただいております。すみません、先ほどちょっと舌足らずでございました。

【内山委員長】 本文の方ではどこになりますか。

【上田総務課長補佐】 本文の方ですと、54ページになります。資料5−2の54ページで、指針値の提案についてというところからでございますが、大体要約版とほとんど同じことが書いてございますけれども、大部分が経口曝露ですと。吸入曝露では肺がん、皮膚がん、経口曝露では膀胱がん、肺がん、皮膚がんなどが認められ、多臓器にがんが発症しますけれども、曝露経路によって発がんの様相は異なっているというところでございます。

【内山委員長】 浦野先生、よろしいですか。

【浦野委員】 この問題は非常に悩ましい、難しい問題で、当面、大気の指針値としてこういう値を出すということは、私はそれでよろしいかと思っております、結論的に言うと。ただ、ある人が発がんするということを考えれば、経口でも肺がんもあり得るわけですから、そういう意味で言うと、本質的にはトータルとしての発がんリスクで、考えるのが本来の姿であるけれども、大気と水あるいは食品というのは別々にそれぞれで10−5を考えているケースが比較的多い。しかし、WHOの飲料水のガイドなんかの場合は、飲料水中の摂取割合がこのぐらい、あるいは食品からの摂取がこのぐらいとかいうのも計算されています。それをやるとより厳しい方へすごく動くわけですね。現実的に非常に安全過ぎるような状況になるということもあるかもしれない。当面は、こういうことで指針値として暫定的に定めるということも、将来的にはもう少しこういうことも検討していくというような考え方がどこかに書いてあった方がベターかなと思うのですが皆さんがどうされるか。

【中杉委員】 ほかの物質についてはそういう議論もあり得るのかなと思いますけれども、ヒ素については非常に悩ましいところがあって、食品から入ってくるのは大部分有機体のヒ素で、そのヒ素、有機体のものと無機体のものをどういうふうに考えるかという議論をここで始めてしまうと、この辺のところは全体が崩れてしまう。今は大気の疫学の調査の結果からこういうふうな影響があるからということで認めざるを得ないだろうと思うんですね。ほかの物質についてはまた別な議論があるんですけれども、ヒ素については特に浦野先生が言われたような議論をするのは非常に難しいと私は考えております。

【浦野委員】 難しいのは十分承知していますし、食品は海藻その他有機ヒ素も多いというのはわかるのですが、飲料水は必ずしも有機ヒ素ではないんですね。無機ヒ素もかなりあるわけで、その辺はいろいろ議論があるので、課題はあるけれども、当面こうしますというようなことがきちっと説明されていた方がいいかなという感じでいます。

【内山委員長】 わかりました。何か事務局からご意見ありますか。本文ですと54ページのところに、先ほど概要でお話しいただいたことが大体そこに書いてありますが、さらにそこに今おっしゃられたようなことを少し追加するかということになるかもしれませんが、いかがでしょうか。

【圓藤委員】 54ページの指針値の提案についての最後、「なお、飲料水の摂取によるヒ素への曝露による健康影響については既に別途評価が行われ水質基準が設定されており、食品についても別途評価されつつある」とありまして、現在、食品安全委員会で「自ら評価」として作業を始めております。ただし、その作業は私も入っておりますが、膨大な作業になっていくだろうというふうに思っておりまして、作業に取っかかっておりますが、まだ方向性が見えてこないレベルです。また、そちらの方はユニットリスクという考え方をとるべきか、いや、別に、例えばベンチマークドーズという考え方がEFSA(欧州食品安全局)とかがし出しておりまして、それらの考え方を採用するのが妥当なのかというレベルからスタートしておりまして、大気のここでの指針づくりと整合性がとれるかどうかもわからないという段階だと思います。
 したがいまして、現時点で将来の方向性というのを決めづらい点がございまして、現時点としてはこのユニットリスクの考え方でもってこういうような仕方をするというのでやむを得ないのかなと思っております。ただし、将来的には統一したリスク評価の仕方というものになっていく可能性はありますので、その時点でまた修正していく、改正していくという作業は必要であろうというふうに認識しております。

【内山委員長】 事務局はよろしいでしょうか。

【上田総務課長補佐】 まず、WHO欧州事務局はヒ素の評価を行ってございますが、WHOでの大気に係る評価は少なくとも肺がんで個別に評価をしているということでございます。ダイオキシンの場合とやはり違いますのは、ダイオキシンはたしか生殖毒性がエンドポイントだったかと思いますけれども、どの経路からでも同じような作用を及ぼすという前提のもとで恐らくアロケーションをしていたんじゃないかと存じます。ヒ素に関しましては、当面は様相が、エンドポイントが違う、経路によってエンドポイントが違うということでこういう評価をするのかなというふうに考えてございます。
 指針値につきましては、もちろん資料5−1でも5−2でも同じように書いてございますが、将来的には科学的知見の集積に伴って必要な検証を行わなければならないというのが必ず題目で入っていますけれども、ここである程度それを受けてはいるのかなというふうに考えてございます。ただ、経路ごとの見直しが必要であるというところまで踏み込んで書くのかどうかというのはまさにご判断をいただきたいと思います。

【内山委員長】 ありがとうございます。そうしましたら、今、ご議論いただきましたところは、そこの提案する自体の6.0ng/m3というところに関しては特に大きなご異論はなかったというふうに思います。それで、先ほど浦野委員からお話がありました、飲料水あるいは食品からの曝露の方が大きいところで、大気を何で決めるかというところの表現をもうちょっと工夫したらいいのではないかということでしたので、とりあえず当面はこういう大気を先行して決めるというようなことで、先ほど圓藤委員もおっしゃいましたように、また事務局の方から出ましたように、もう少しはっきりわかるような表現をこの54ページあたりに少しつけ加えられればいいのかなというふうに考えますので、大筋のところはお認めいただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
 それで、これに関しても本文は80ページという非常に大部な報告書でございますので、また、見ていただいて、もし気がつかれるようなところがありましたら、また、事務局の方にメールでも結構ですので、お知らせいただきましたら、次回までに少しその辺のところを議論したいというふうに思います。
 今回は基本的にはこの報告書の提案の数値のところまでお認めいただいたということにさせていただきたいというふうに思いますので、よろしいでしょうか。

(意義なし)

【内山委員長】 ありがとうございました。そうしましたら、今日、ちょうど11時半までということで、時間になりましたので、議題5のその他ということで、事務局から何かありましたらお願いいたします。

【山本大気環境課長】 本日は長時間にわたりまして、ご審議どうもありがとうございました。本日、議事要旨及び議事録につきましては各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
 次回の委員会は、先ほどご説明しましたが、7月2日金曜日、3時半から5時半に開催予定でございます。会場はまだ未定でございますので、決定次第、またご連絡させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

【内山委員長】 よろしいですか。それでは、どうも今日はありがとうございました。これで終了いたします。