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中央環境審議会大気環境部会
健康リスク総合専門委員会(第5回)議事録


1.日時

平成18年5月30日(火)13:30〜16:30

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席者
(委員長) 内山 巌雄
(委員) 浦野 紘平 香川  順 小林 悦夫
櫻井 治彦 中杉 修身 江馬  眞
大前 和幸 川本 俊弘 島  正之
中館 俊夫 松下 秀鶴 本橋  豊
横山 榮二
(環境省) 竹本水・大気環境局長
森谷総務課長
松井大気環境課長
松田総務課課長補佐
木田大気環境課課長補佐
(国立環境研究所) 松本主任研究員
4.議題
(1)
指針値算出の具体的手順の一部改定について
(2)
アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンに係る健康リスク評価について
(3)
その他
5.配付資料
資料1 中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿
資料2 指針値算出の具体的手順の一部改定について(案)
資料3 アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンに係る健康リスク評価について(案)
資料4−1 アセトアルデヒドに係る健康リスク評価について(案)
資料4−2 クロロホルムに係る健康リスク評価について(案)
資料4−3 1,2−ジクロロエタンに係る健康リスク評価について(案)
資料4−4 1,3−ブタジエンに係る健康リスク評価について(案)
参考資料1 有害大気汚染物質対策について(これまでの経緯)
参考資料2 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第7次答申)
参考資料3 諸外国におけるアセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンに係る健康リスク評価の概要
参考資料4 平成16年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果について
参考資料5 健康リスク総合専門委員会WGの検討経過について
6.議事

【松田課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会第5回健康リスク総合専門委員会を開催いたします。
 第5回の会議に先立ちまして、竹本局長からごあいさつ申し上げます。

【竹本局長】 水・大気環境局長の竹本でございます。
 委員の先生方におかれましては、大変ご多用のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。また、平素より水・大気環境行政にご支援、ご協力、ご指導をいただきまして、誠にありがとうございます。この場をおかりしまして御礼申し上げたいと思います。
 本日議題となります有害大気汚染物質対策につきましては、私ども環境省におきましても、最重要課題ということで取り組んできたところでございます。具体的には平成8年、大気汚染防止法改正をいたしまして、有害大気汚染物質対策を位置づけてきたところでございまして、以来、有害大気汚染物質234物質、優先取組物質22物質を定めましたところでございますが、その後も科学的知見の充実、環境基準の設定等、さまざまな対策・対応を充実させてきたところでございます。さらには平成12年、中央環境審議会第6次答申、また平成15年の第7次中環審の答申を踏まえまして、私どものこの政策の充実・強化に努めてきたところでございます。今後とも、この課題につきまして、私ども環境省も一生懸命取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 本日は、先程申し上げました答申に基づきまして、アセトアルデヒドなど4物質につきまして、健康リスク評価(案)につきましてお諮りをしたいと思っておりますが、どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げまして、私の方からのごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【松田課長補佐】 それでは早速ですが、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 まず、配付資料の資料番号ですが、資料1に委員の名簿がございます。資料2に行きまして、指針値算出の具体的手順の一部改定の(案)。資料3にアセトアルデヒド等に関する健康リスク評価の(案)と。資料4−1から4−4まで、4物質に係るそれぞれの物質ごとの健康リスク評価の(案)と。かなり分厚いものですけれども。その他参考資料1に有害大気汚染物質対策のこれまでの経緯。2に第7次答申。3に、1枚物ですが、諸外国等の4物質の健康リスク評価の概要。4に有害大気汚染物質のモニタリング調査結果の概要。5番目に専門委員会のワーキングの検討経過という資料を付けております。
 もし、この資料について、資料の不足がございましたら、事務局の方にお申しつけいただければと思いますが。
 特にないようでしたら進めさせていただきます。
 次に、新たに健康リスク総合専門委員会の専門委員にご就任いただいた委員の方々と、事務局の担当職員の紹介を行いたいと思います。
 まず、新たに専門委員としてご就任いただいた委員のご紹介です。
 まず、国立医薬品食品衛生研究所の江馬委員です。

【江馬委員】 江馬でございます。よろしくお願いします。

【松田課長補佐】 産業医科大学の川本委員です。

【川本委員】 川本です。よろしくお願いします。

【松田課長補佐】 兵庫医科大学の島委員です。

【島委員】 島です。よろしくお願いします。

【松田課長補佐】 秋田大学の本橋委員です。

【本橋委員】 本橋です。よろしくお願いいたします。

【松田課長補佐】 また本日、都合がつかず欠席されている委員は、佐藤委員、浅野委員、村田委員、及び永田委員の合計4名です。また、小林委員は少し遅れるという連絡を受けております。
 また、1,2−ジクロロエタンの健康リスク評価の際に、動物実験結果から有害性に関する評価値を算定する作業を協力いただいた、国立環境研究所の環境リスク研究センターの松本さんにも出席をいただいております。
 続いては事務局の職員を紹介申し上げます。
 私、総務課の課長補佐をやっております松田です。よろしくお願いします。
 竹本局長の隣が総務課長の森谷です。

【森谷総務課長】 森谷です。どうぞよろしくお願いします。

【松田課長補佐】 松井大気環境課長です。

【松井大気環境課長】 松井です。よろしくお願いします。

【松田課長補佐】 木田大気環境課課長補佐です。

【木田課長補佐】 木田でございます。よろしくお願いいたします。

【松田課長補佐】 続きまして、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですけれども会議の冒頭のみとさせていただきますので、マスコミの方がおりましたらご退席お願いします。
 それでは、これ以降の会議の進行は内山委員長にお願いいたします。

【内山委員長】 それでは、引き続きまして座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、皆さん、もうご承知のことと思いますけれども、環境行政に非常に多大な功績のありました常俊義三先生が4月17日に急逝なさいました。常俊先生のご功績をご紹介しながら、改めてここにおいでになる皆さんと哀悼の意を表したいと思います。
 常俊先生は、昭和47年から、中央公害審議会の専門委員として、我が国の公害行政に先駆的な功績を残してこられたということは、皆さんご存じのことと思います。その後、中央環境審議会専門委員、中央環境審議会臨時委員をずっとお務めになっていただきまして、この今回の健康リスク総合専門委員会のワーキンググループとしても非常に積極的にご参加いただきまして、私どもと一緒にこの今回の4物質の指針値、評価値を取りまとめたということでございました。先生は、特に当初から、硫黄酸化物に関する環境基準専門委員会のときからも積極的に参加しておられました。私ごとでございますが私は昭和57年にこの環境問題に参画いたしましたけれども、当時、大気汚染学会、現在の大気環境学会を中心としてご指導いただきましたし、つい最近では、三宅島の二酸化硫黄ガスがまだ出ているところに、どういうふうに基準を考えて島民に帰島していただくかというときにもいろいろアドバイスをいただきました。当時の大阪等の公害のときのご経験を踏まえて、特に今は当時と違って平均寿命が延びているから、そういうところも十分加味して考えてほしいというようなことをおっしゃっていただきましたのが、非常に心にいまだに残っております。本当に、改めて皆様と一緒に哀悼の意を表したいと思います。
 それでは、これ以後、議事に入らせていただきたいと思いますが、まず、この専門委員会も約3年間のブランクがありましたので、まず有害大気汚染物質に関する制度と経緯について、事務局から簡単にご説明いただいた上で本議題に入るのが適切かと思いますので、事務局から参考資料をもとに少しご説明をお願いして、新委員もいらっしゃることと思いますので、その辺、よろしく説明をお願いいたします。

【松田課長補佐】 それでは、お手元の資料のうちの参考資料1の有害大気汚染物質対策について(これまでの経緯)に基づきまして、簡単に説明をしていきたいと思います。
 この2番目の大気汚染防止法による有害大気汚染物質対策の部分からお話をしていきたいと思います。
 平成8年1月に、中央環境審議会が取りまとめました「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」中間答申を受けまして、平成8年5月に大気汚染防止法が改正されまして、低濃度ではあるけれども、長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある有害大気汚染物質に関する規定が置かれ、平成9年2月の施行通知に、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質と、特にその中でも詳細な調査や事業者の自主的な排出抑制努力を促進すべき優先取組物質が掲げられたところです。中央環境審議会(第2次答申)を踏まえて、その有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質としては234物質、優先取組物質としては22物質掲げられているという状況です。その後、優先取組物質のうち、十分な科学的知見が得られ、かつ環境中からの検出事例の多いベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンについて環境基準が告示されております。ジクロロメタン以外の3物質については、その排出源となる工場・事業所について、大気汚染防止法附則に基づく指定物質抑制基準が定められております。平成9年度からは、地方公共団体のモニタリングについて、指針に基づき、優先取組物質のうち測定可能な物質について測定をされているという状況です。また、事業者による自主管理につきましては、平成9年度から、「事業者による有害大気汚染物質の自主管理の促進のための指針」に基づきまして、長期毒性があると認められるような優先取組物質の12物質について自主管理計画が策定され、事業者による自主管理が促進されるようになりました。その後、中央環境審議会答申において、優先取組物質に関する環境目標値の設定、環境目標値の一つとなる指針値設定に関する考え方が示されているところです。
 第6次答申では、優先取組物質のうち、環境基準が設定されている物質以外についても、定量的な評価結果に基づいて環境目標値を定めることが適当であり、引き続き健康影響に関する科学的知見の充実に努める必要があるというふうに提示をされております。
 第7次答申におきましては、優先取組物質につきまして科学的知見の収集・整理を進め、このデータをもとに環境目標値を設定するため、数値の設定に必要となる有害性評価に関する定量的データの科学的信頼性や指針値の設定手順、指針値の性格、指針値の機能など、こういった諸事項をまとめた「今後の有害大気汚染物質に係る健康リスク評価のあり方について」が示されまして、その指針値算出の具体的手順に従いまして、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀、ニッケル化合物に係る健康リスク評価が示され、この結果に基づきまして各物質の指針値の設定がなされたところです。第7次答申のうち、指針値の設定手順の部分につきましては、後ほど指針値の算出の具体的手順の事項で説明しますが、参考資料2に第7次答申として添付をしております。
 その後、平成17年6月に、有害大気汚染物質排出抑制専門委員会におきまして、今後の有害大気汚染物質対策の基本的方向が示されまして、自主管理を始めたころと比較して全国的に濃度が改善されるなどの大きな進展も見られると、こういったことから、業界単位等ではなくて、自主管理計画を通じて確立された枠組みなどを活用して、個別事業者の自主的な排出抑制や地域主体の自主的な取り組みに移行することが適当だということが示されております。
 このような流れがあるわけですけれども、以上を踏まえた有害大気汚染物質の位置づけを示したものが別図として示されております。
 ここの全体の大きなくくりが、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質ということで234物質。その中でも、有害性が高いようなものとか一般的な環境で検出されるようなもの、そういったものが22物質、優先取組物質として指定されていると。その中にモニタリングの対象物質、自主管理物質、また環境基準、指針値で決められているもの。そこで今回、指針値の設定対象とする物質としてこの4物質、アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,3−ブタジエンということで挙げさせていただいているというところです。
 この他(別添)に、その経緯を簡単にまとめた資料がついております。
 まずはこの有害大気汚染物質の一連の流れについて、簡単にご説明申し上げました。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 ただいまのご説明で、何か特にご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【内山委員長】 それでは、今のはこれまでの流れということで、ご理解いただけたということでよろしいかと思います。
 続いて、議題に入りたいと思うのですが、今回の専門委員会を開催するに当たりまして、この健康リスク評価を行うこととなりました先程ご紹介のあったアセトアルデヒド、それからクロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンの4物質に関する評価文書について、原案を作成いたしますためにワーキンググループを設置いたしました。各物質ごとに、それぞれのご専門の先生方にお願いしまして、精力的に検討を進めてまいったところでございます。
 参考資料5に、そのワーキンググループで行っていただきました委員の方々の名簿と、それから開催状況に関する資料を付けてございますけれども、そのワーキンググループで取りまとめたものが資料4−1から4−4に示す評価文書(案)でございます。それを踏まえて、これを取りまとめるに当たりまして多少の従来の「指針値算出の具体的手順」に不明確な部分が出てまいりましたので、それに関して改定案を検討し、そして、この4物質に係る健康リスク評価の概要案を今回資料として提出した次第でございます。
 それでは、議題1の資料2、まず「指針値算出の具体的手順の一部改定について」、これが先程申しましたワーキンググループで評価書を検討するに当たって少しこうしたらいいのではないかということで、改定案ということで今日お示しするものです。
 まず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【松田課長補佐】 それでは、資料2に従いまして、「指針値算出の具体的手順」の一部改定について(案)についてご説明をしますが、先程、有害大気汚染物質の政策の経緯という部分について重複する部分もありますので、1ページ目に書いている部分については説明を割愛させていただきます。
 それでは、2ページ目からということなのですけれども、ここで「指針値算出の具体的手順」という部分について、これまでどういうものが設定されていたかというのを、またここでご説明を簡単にしていきたいと思います。
 その指針値の算出の具体的手順というのは、添付資料1、この資料2の添付資料1ということで、後ろのページを開きまして、5ページが前回の第7次答申の健康リスク評価のあり方ということなのですが、その中に、9ページに指針値の設定手順等というところがありまして、ここの部分で別紙の12ページ、指針値算出の具体的手順ということが書かれていまして、この手順に基づきまして指針値を算出していこうということになっております。ここの指針値算出の具体的手順につきまして、後ほどのリスク評価にも大きく関係をしてきますし、また、この点についても、どのような点が修正する案を提出したかという部分についてかかわってきますので、代表的な部分について紹介をしていきたいと思います。
 資料は12ページということですけれども、まず有害性評価につきましてですが、これは発がん性、発がん性以外の有害性別に定性評価・定量評価に関する文献を抽出しまして、そのうち最も信頼性が高い文献から得られたデータをもとに指針値を算出することとしております。発がん性と発がん性以外の有害性がともに算出が可能だという場合には、ともに指針値を算出するということになっております。
 指針値の算出は、疫学研究、動物実験ともにデータが得られる場合は、これは疫学研究の方から得られたデータに基づいて算出をすると。より妥当性があるという判断に基づいてこういうことになっているということです。
 また、具体的な算出方法ですが、発がん性について閾値がないという判断をされる場合には、平均相対リスクモデルなどを用い、閾値があると判断される場合や発がん性以外の有害性、こういったものにつきましては、NOAELなどに不確実係数を掛ける方法によるということとなっております。また、動物実験データを用いる場合は、諸外国で実施された評価例を参考に、最新の知見に基づき行うということで記述されております。
 指針値の算出に利用する曝露情報につきましては、原則として大気経由の曝露のみを取り扱うということとなっております。
 13ページに行きまして、一般環境大気に係る曝露評価につきましては、大気モニタリングデータを使用して行うということになっております。
 その総合評価として、有害性評価の結果得られる指針値と曝露の評価の結果を比較して現時点のリスクを評価すると。発がん性と発がん性以外の有害性ともに指針値が算出されるものは、低い数値を採用するということとなっております。
 今回、そのような指針値の算出の具体的手順について、一部改定をするという案を提出させていただいております。それは主に三つございまして、改定のポイントについて説明をしたいと思います。
 資料の2ページに戻りまして、まず一つ目なのですが、指針値と有害性に係る評価値の区別ということです。先程、私からの説明でも、最終的なリスク評価で決定を行う数値が指針値という話もありましたが、その計算をする途中の過程の数値も指針値ということで示されておりました。ただ、ちょっとこの点については計算の途中の過程ということですので、必ずしも最終的な指針値という意味合いではない。ということで、この途中過程の数値を、有害性に係る評価値という形で修正をするという案を一つ目として提示をしております。
 また、二つ目ですけれども、これは発がん性について閾値がないと判断される場合の有害性に係る評価値の具体的算出方法に関する記述の明確化ということです。具体的に言うと、これまで疫学研究の場合はベンゼンの例に倣い、平均相対リスクモデル等を用いるということで明確化されておりましたけれども、動物実験の方については、まだ前回の考え方では具体的な方法などは示されていなかったということがあります。今回、動物実験のデータにつきまして、全ての物質について適応可能な方法が確立されていないということなのですが、そういうことで、疫学研究と異なり原則のようなものは示せないということなのですけれども、アメリカのEPAでリスク評価手法として採用されているベンチマークドースを用いた低濃度直線外挿法、こういったものも例として出せるのではないかということで、こういったような例をもとに、諸外国等で用いられている手法を参考にして最適な方法を用いるということで、改めて記述を明確化しているというところです。
 三つ目ですけれども、これは、発がん性及び発がん性以外の有害性に係る評価値がともに算出可能な場合の有害性に係る評価値の具体的算出方法に関する記述の明確化です。この点については、具体的には発がん性と発がん性以外の有害性に関する評価の知見がある場合に、算出に最適なデータが、一方は疫学研究データ、もう一方が動物実験データの場合、こういった場合、疫学研究データがヒトの健康影響に関してより妥当性のある情報であるということも考慮して、比較検討を行い、その上で両方の有害性に係る評価値を算出する必要性がないというふうに判断された場合は、疫学研究データから算出された有害性に係る評価値のみをもって指針値と算出することができることとしました。
 こういった三つの点を見直したものが、この添付資料2に示しております。別添の2です。ここで修正した箇所につきましては、先程のポイントに基づいて修正をしているという状況ですので説明は割愛させていただきますが、この資料についての修正点という点については、説明としては以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 根本的なところではないのですが、実際にワーキンググループで作業を行う上で、こういうところはもうちょっと明確に書いておいた方がやりやすいということを含めて書き改めたという認識でございますけれども、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

【小林委員】 今のご説明いただいた点なのですが、参考資料5、いわゆるワーキンググループの検討経過に絡むのですが、要するにこの指針値算出の具体的手順の改正ですね、これについて、このワーキンググループで検討したということが記述されていないですね。これはワーキングで検討されたのであれば、検討したということを明確に書いていただいた方がいいんじゃないかなと。そうしないと、何かここの専門委員会で初めて議論したようなイメージを受けるのではないかなと思うのです。これはちょっと手順だけの問題でございますが。

【内山委員長】 はい、分かりました。
 今、ご指摘いただきましたので、どこかに、改定のための議論をワーキンググループで行って、そしてこの専門委員会にご提案しているという形をはっきり分かるように書いていただけますでしょうか。
 ありがとうございました。その他に、特にございますでしょうか。

【香川委員】 改定したことによって、改定前の指針にまで影響を及ぼしたかどうかは確認されたのでしょうか。

【内山委員長】 改定する前と何が違ってくるかということでしょうか。

【香川委員】 はい。

【内山委員長】 今回の作業を行っていく上でここはどうするんだということを、時々この具体的手順に戻って見ていきますと、ここを明確にしておいた方が、今後委員が変わっても同じような手順でできるのではないかということが趣旨だと思いますので、私としては、特にこれを変えたことによって以前と手順が変わってしまったという点はないというふうに思っております。
 何か気になるような。

【香川委員】 もっと具体的に言えば、過去に決めた値が。

【内山委員長】 それはありません。今まで最初から指針値と言っていたものを途中の間は評価値と言って、それから最後に指針値を決めようという、それは何をどの段階で指針値というかというだけの問題です。それから動物実験から外挿モデルを使ってやるというのが今回初めてでした。それまでは特にそれを指定していなかったものですから、それをこういうものがありますよということを明確に書いたということですので、この動物実験においてベンチマークドースからの外挿法等を用いて最適なものを行うというのは、従来はこれを使ってやっておりませんので、従来の指針値、基準値がこれによって変わってしまうということはないと思います。
 私からのご説明ばかりですが、何かワーキンググループの委員の方で追加することがございますか、よろしいですか。
 それでは、この件に関しましては、また、もし今日の後の方のご審議をいただく中で、これはどうなっていたんだということでまたお気づきの点があれば、また後にでもご意見を出していただきたいと思いますので、この件はこのくらいにしたいというふうに思います。
 それでは、その議論をワーキンググループで行ったという点だけをどこかに書き込んでいただけば、ご同意いただいたということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 それでは、次の今日の本論に入りたいと思います。アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンに係る健康リスク評価について行っていきたいと思います。
 まず、事務局から概要についてご説明をいただいて、その後、個々の物質についてさらに詳細な検討に入りたいと思いますので、まず事務局、よろしくお願いします。

【松田課長補佐】 それでは、事務局の方から、資料3のこの4物質に関する健康リスク評価の案についてご説明を申し上げます。
 まず、最初に検討経緯から説明します。
 今後の有害大気汚染物質のあり方を示した第6次答申におきまして、環境基準が設定されている物質以外の優先取組物質について、定量的な評価結果に基づいて環境目標値を定めることが適当であり、引き続き健康影響に関する科学的知見の充実に努める必要があるとされています。
 これまで環境省におきまして、優先取組物質につきまして科学的知見の収集・整理が進めてきて、第7次答申において、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びニッケル化合物に係る健康リスク評価が示され、これに基づき各物質ごとの指針値の設定がなされたところです。
 この他の優先取組物質のうち、環境基準が設定されていない11物質につきましても、環境目標値の設定が急務となっております。このため、環境省において、これらの物質の健康影響に関する科学的知見の充実を図っているところです。
 具体的には、有害大気汚染物質の環境目標値設定に向けて、準備段階ではヒトに関する研究、また動物を用いた実験的研究、その他のメカニズムに関する研究、曝露に関する調査研究について科学的知見の収集・整理を行い、その得られた知見をもとに、適切な用量−反応アセスメント手法の検討も行うなどの健康リスク評価作業を行っています。
 これらの知見の収集・整理を踏まえ、今回の検討におきましては、既にこの作業が終了したアセトアルデヒド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ブタジエンの4物質を対象とすることとしています。
 本専門委員会では、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの評価に関する専門の事項を調査するに当たり、これまで整理されてきた知見、これらの物質に関する専門家の議論の成果を最大限活用することとしました。
 すなわち、この4物質につきましては、平成14年度から16年度にかけて委託調査により取りまとめられた報告の他、平成17年には、この健康リスク総合専門委員会の委員で構成されるワーキング、これは参考資料5に添付しておりますが、新たな科学的知見の有無の確認や、その得られた知見をもとにリスク評価に関する議論が行われてきたことから、本専門委員会において、それらの成果を活用して健康リスク評価に係る検討を行っているという状況です。
 その次のページに行きまして、健康リスク評価手法について説明します。
 今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方を示した第7次答申におきまして、環境目標値の設定に当たって、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値、以下指針値といいますが、その算出に必要となる有害性評価に係る定量的データの取り扱いや指針値の設定手順等が示されています。
 この中で、今後、有害大気汚染物質対策を進めていく上では、以下の基本的考え方に立脚すべきと考えています。科学的知見を収集、整理し、常にアップデートするよう引き続き努める。科学的知見について、さらなる充実を要する状況にある物質についても、最新時点で得られている一定の条件を充足するデータをもとに、一定の評価を与える手法を導入する。
 この基本的考え方をもとに、定量的データの科学的信頼性について、以下のI、IIに該当するデータが得られる物質については、環境目標値の一つとして指針値を設定することとしております。なお、指針値の算出については、「指針値算出の具体的手順」、これは今回、先程、見直しについてお諮りをしたものですけれども、これに従って設定をするということにしております。
 あと、この科学的信頼性の分類の考え方についても、前回の第7次答申で示されております。
 それで、環境中の有害大気汚染物質に係る指針値の概要ということで、この4物質についての指針値の概要というものについて、それぞれ簡単に説明したいと思います。
 まず概要の骨格ですけれども、アセトアルデヒドを例に説明をすると、最初に発がん性と発がん性以外の有害性という部分で、まず発がん性につきましては定性評価の文章を整理しています。その上で閾値の有無についても精査をしています。そのうち定量評価に値するものがあるかどうかについて精査をしています。その次のページに行きまして、発がん性以外の有害性の定性評価と定量評価について精査したものを提出しております。そのうち、それらの二つの有害性に関する評価に関するデータについての定量的データの科学的信頼性ということについて示されております。その評価を踏まえて、指針値の提案ということで、発がん性に関するリスク評価、発がん性以外の有害性に関するリスク評価を行いまして、最後に指針値の提案ということで、その発がん性と発がん性以外の有害性のリスク評価の数値を見て指針値を決める構成になっております。
 後ほど、各物質についてのリスク評価につきましては、資料4−1から4−4に従いまして、ワーキングの物質の担当の委員の方に詳細に説明いただきますので、ここでは定量的データの科学的信頼性と、それと指針値の提案の部分について、簡単にお話をしていきたいと思います。
 まず、アセトアルデヒドについてですけれども、これについては、発がん性以外の有害性について、動物実験を用いた吸入曝露実験で量−反応関係を示す知見が存在しています。その中でも、量−反応関係を評価する上で十分なデータが存在し、かつ低濃度曝露実験でもあるAppelmanらの雄のラットの鼻腔上皮の過形成や化生の発生に関する定量的データが、相当の確度を有する数値と判断できるということです。しかしながら、その発現メカニズムやヒトへの外挿についてさらなる科学的知見の充実を要するという課題もありますので、そういった意味で定量的データの科学的信頼性IIに該当すると判断して、指針値を提案するとしております。その指針値の提案ということですけれども、発がん性以外の有害性に係るリスク評価という部分で、先程の知見の中でNOAELが提示されており、このNOAELの数値に種差や個体差、実験期間などの不確実係数等を考慮して有害性に係る評価値を算出したところ、48μg/m3と算出されたています。こういったことから、アセトアルデヒドの指針値については、年平均値48μg/m3以下とするという提案がここで書かれているというところです。
 なお、この他の物質も全て言えることですが、この数値自体は現時点で収集可能な知見をもとに提案をしており、今後の進展によっては、新しい知見の集積によって随時見直しをしていくということを下に書いております。
 次にクロロホルムですが、クロロホルムは8ページです。これにつきましては、発がん性及び発がん性以外の有害性について、それぞれ実験動物を用いた吸入曝露実験で量−反応関係を示す知見が幾つか存在しており、その中でも、曝露点が多数あって、量−反応関係が明確であり、最新のデータであるYamamotoらの発がん性及び発がん性以外の有害性に関する定量的データが、相当の確度を有する数値だと判断をするとされています。ただ、そういった有害影響の発現メカニズムについて、さらなる科学的知見の充実を要することから、定量的データの科学的信頼性IIに該当すると判断をして指針値を提案するということで書かれております。
 その指針値の提案ということですが、発がん性に係るリスク評価、発がん性以外の有害性に係るリスク評価、それぞれここに書かれている。先程のYamamotoらの定量的データを用いて、このNOAEL、LOAELの数値を参考に、不確実係数等を加味して、評価値はともに18μg/m3と算出をされました。こういったことから、両方とも18μg/m3という数値ですので、クロロホルムの指針値を年平均18μg/m3以下とすることをここで提案しております。
 次に行きまして、1,2−ジクロロエタンです。これにつきましても、12ページ、定量的データの科学的信頼性において、これも発がん性及び発がん性以外の有害性に関するデータ、ともに量−反応関係を示す知見が存在しております。実験動物を用いた吸入曝露実験ですね。その中でも、発がん性につきましては低濃度吸入曝露実験、Naganoらの研究の定量的データ、発がん性以外の有害性については、このCheeverらのラットの臓器への影響に関する定量的データが相当の確度を有する数値と判断をしております。ただ、両方とも有害性の影響の発現メカニズム、また動物実験ということですので、ヒトへの外挿についてさらに科学的知見の充実を要することから指針値を提案するということにしております。
 その指針値の提案ということなのですけれども、発がん性に係るリスク評価ということで、このNaganoらの定量的データを用いて、ラットの乳腺の腫瘍をエンドポイントとしてベンチマーク濃度を求めて、低濃度域に直線外挿をした結果、ユニットリスクが算出されると。その数値を10-5の生涯過剰発がんリスクに対応する大気中濃度として、1.6μg/m3という数値が算出されました。その一方、発がん性以外の有害性に関するリスク評価の数値ですが、NOAELを用いて420μg/m3という数値が算出されています。このようなことから、指針値としては1.6μg/m3と420μg/m3という数値ですので、低い方を採用するという先程のルールもありますので、低い方の1.6μg/m3という数値を指針値とするという提案をしております。
 次に1,3−ブタジエンについての資料です。定量的データの科学的信頼性に関する記述は16ページに示されていますが、疫学研究で量−反応関係を示す知見が幾つか存在しています。その中でも、規模が大きく、詳細な曝露評価を行っていて、共存物質等の適正な補正もしているDelzellらのSBR合成工場に関する研究を基礎として、量−反応関係を推定したスウェーデンのカロリンスカ研究所に関する定量的データが、相当の確度を有する疫学研究に基づいて算出された数値と判断をしております。ただ、この情報が最近収集したものであり、また、有害影響の発現メカニズムについてさらに知見を充実させる必要があることから、指針値ということで提案をするということにしております。
 指針値の提案ということですが、発がん性に係るリスク評価ということで、カロリンスカ研究所の定量的データを用いて、平均相対リスクモデルにより計算をしたところ、2.5μg/m3という数値が算出されたということです。
 一方、発がん性以外の有害性に係るリスク評価というところなのですが、雌マウスの卵巣萎縮をエンドポイントとする知見など、量−反応関係を評価できる知見があるということなのですが、その実験が行われた曝露濃度の範囲では、繁殖に影響を与える可能性が低いと。こういったことから、発がん性以外の有害性に係る評価値を算出する必要性は極めて低いのではないかということで、有害性に係る評価値について算出はしていないということです。
 今回、先程、具体的手順を一部手直しをした部分がございましたが、それは、この1,3−ブタジエンのリスク評価を検討するに当たって、明確にしなければいけないというところが出てきたというところです。こういったことから、1,3−ブタジエンの指針値は年平均2.5μg/m3以下とすることを提案しているということです。
 なお参考に、参考資料3として、諸外国の国際機関等の数値を添付しております。ここにWHOとEPA、それと、あと厚生労働省や日本産業衛生学会などの数値がここに提示されております。こういった形で、他の機関でも評価をされているという部分がございます。
 まずは、概要としては以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今概要をご説明いただきましたけれども、続いて各物質について、ワーキンググループで担当されました委員から詳細な追加説明をいただきまして、その後、また議論をしたいというふうに思います。大体1物質について10分程度でご説明いただいて、その後、曝露評価につきましては、4物質まとめて中杉委員の方から合計10分程度いただいて、大体1時間弱ぐらいでご説明をいただいて、それから各物質ごとにご議論いただこうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、アセトアルデヒドからということで、担当されました大前委員の方からご説明をお願いいたします。

【大前委員】 大前でございます。
 資料4−1をご覧ください。詳細な説明ということですが、10分くらいでございますので、必要な部分だけご説明申し上げたいと思います。
 まず代謝のところでございますけれども、3ページに代謝の図が載っております。これはエタノールからアセトアルデヒドを経て酢酸に至る代謝でございますが、アセトアルデヒドは真ん中に書いてある物質でございますけれども、これは主にヒトの場合はアルデヒド脱水酵素2型というのがメーンの酵素になります。その他に、サブの酵素といたしましてCYP2E1が関係をしております。
 それで、4ページをご覧ください。それの種差・個体差についてというところでございます。この代謝に関しましては、種差に関しましてははっきりしたデータはございませんけれども、人間については個体差が知られております。それは今言いましたアルデヒド脱水素酵素2型、これの遺伝子の多型によりまして、アセトアルデヒドを代謝する方と、それからしない方がございます。ここにあります*2/*2とか、あるいは*1/*2とか*1/*1とかというふうに書いてありますけれども、このALDH2の*1/*1の方、これはワイルドタイプの方ですが、この方は非常によくアセトアルデヒドを代謝する。逆に*2/*2の方はほとんど代謝をしないと。ヘテロの*1/*2の方は代謝をいたしますけれども、*1/*1ほどは代謝能がないというのが個体差でございます。この2という変異型を持っているのはモンゴロイドでございまして、10%から60%くらいの割合で変異型を持っております。日本人の場合、大体4割くらいの方がこの変異型を持っているというふうに言われております。すなわち、日本人の場合は、4割くらいの方がアセトアルデヒドを代謝する能力が弱いということになろうかと思います。それがポイントの一つでございます。
 それから、二つ目は5ページをご覧になってください。5ページの発がんに関する疫学研究でございますけれども、表2にずっと概要が書いてありますが、これをまとめて申し上げますと、今申し上げましたALDH2の変異型の方は、特に上部消化管が非常にクリアなのですが、そちらの発がんリスクが高いということが幾つかのケースコントロールスタディで示されております。その中身につきましては、この表2をご覧ください。
 それから、その次に動物実験でございますけれども、これは8ページをご覧ください。発がんに関する動物実験。この表3に載っているのがその実験でございますが、8ページの下の吸入実験の部分ですね、最初のWoutersenら、それから、その次の9ページの上の、同じようにWoutersenあるいはFeronという方々が発がん実験をなさっております。これを読みますと、濃度としてはコントロール数が750、1,500、3,000ppmというような非常に高い濃度でございますけれども、その濃度で鼻腔の偏平上皮、それから鼻腔の腺がん等、鼻の穴の上皮のがんが発生しております。これにつきましては、一応、量−反応関係があるということでございます。
 それで、9ページの上のWoutersenらのこの四角の中の下半分の方を見ていただきたいのですけれども、特に一番最後のところですが、吸入曝露で生じた過形成及び化生が腫瘍へと進行する可能性を示す強い証拠があったということで、この発がん実験は、あらかじめ鼻腔上皮の過形成あるいは化生を基礎、基盤としまして、それでがんができるのではないかというようなことでございます。
 それから、遺伝子障害性につきましては、次のところでございますけれども、原核細胞は結果の報告は一貫していないのですが、真核細胞の方はおおむね陽性ということで、遺伝子障害性はあるというふうに判断してよかろうかというふうに思います。
 それから、それの定量評価、国際機関の定量評価が11ページに載っかっております。表5に、その具体的な中身が載っかっておりますけれども、EPAは5μg/m3、それからWHOは11から65μg/m3ですが、それからEnvironment Canada and Health CanadaはTC05 86mg/m3等々の評価をしております。
 以上が発がんの点でございまして、発がん以外に関しましては、12ページからございます。この中で注意していただきたいのは、先程出てきましたAppelmanという方が得られた動物実験の結果です。16ページに載っております。16ページの一番上の四角の中でございますけれども、AppelmanらがWistarラットを使ってやった実験でございます。その濃度が0と150と500ppm。さっき発がん実験は750ppm以上でございましたけれども、この場合は、150ppmというのが一番低い濃度でやっております。この状態で上皮の変性を見ております。これが最後の具体的な数字の根拠になった実験でございます。
 それから、生殖発生毒性に関しましては、使えるような情報はございませんでした。
 それから、次の曝露評価は後ほど中杉先生の方の担当でございまして、最終的には総合評価というところで24ページでございます。
 今、少し説明をしたことをまとめますと、まず、アセトアルデヒドの代謝に対しまして個体差があるということ。しかも、日本人の場合は、代謝能が弱い方が4割くらいいるというのが一つのポイントです。従って、なかなかアセトアルデヒドを分解しにくい方がいるということで、残留時間も長くなるというのが一つのポイントです。
 それから二つ目は発がん性の有無ですが、発がん性はございます。ヒトのデータでは、先程言いましたケースコントロールスタディで、これはある意味ではお酒を飲んだ方ということから始まっておりますので、直接アセトアルデヒドを曝露した方のデータはないのですが、お酒を経由してアセトアルデヒドを曝露した方では、ケースコントロールでは、先程申しました代謝能が弱い方に特に上部消化管のがんが出ているということでございます。それから、閾値の有無につきましては、真核細胞で陽性でございますので、変異原性陽性でございますので、一応あるだろうというような判断でございます。
 それから、発がん性以外の有害性につきましては、さっきのAppelmanらにもございましたけれども、直接アセトアルデヒドに曝露される部位にあらわれているということでございます。
 それで、(5)番目の用量−反応アセスメントでございますけれども、用量−反応アセスメントにつきましては、発がん性につきましては、ここにあります二つの理由、ヒトの疫学研究では量−反応関係を示す知見が乏しいこと、それから動物実験では量−反応関係を示す知見が存在するものの、得られている知見はいずれも高濃度、750ppmが一番低い濃度ですけれども、その高濃度の曝露を行った場合で、閾値のある発がんメカニズムが推定されるものであることを考慮しますと、当該知見を発がん性に係る評価として用いることは適当でないというのがワーキンググループの方の判断でございました。
 それから、発がん以外の有害性につきましては、ここに幾つかございまして、一つ目は発がん以外の有害性に関するヒトの疫学研究については量−反応関係を示す知見がないこと、それから動物実験ではそれがございました。それから、ヒトと動物との代謝メカニズムに関しては、種差が認められるという明確な証拠はございませんでした。先程、代謝に差があるというのは、これは個体差の問題でございまして、種差に関しましては知見がないというようなことでございましたので、これらをまとめまして、具体的には、実験動物を用いた吸入実験の中から量−反応関係を評価する上で十分なデータが存在し、かつ低濃度曝露実験、とはいいましても150ppmというレベルでございますけれども、それのAppelmanらの雄ラットの鼻腔上皮の過形成、化生の発生に関するNOAEL150ppmをもとにしまして、用量−反応アセスメントをするのが妥当だろうというのがワーキンググループの結論でございます。
 以下、5番目の指針値の提案でございますが、今やったようなことを同じようなことが書いてありますので、重複しますので説明申し上げませんが、27ページの第2段落、「当該値の算出に当たっては」というところでございますけれども、先程申し上げましたAppelmanらの150ppmをNOAELといたしまして、カイネティクス、ダイナミクス、それから個体差、実験期間等の不確実性等を考慮しまして、合計5,600というような総合的な係数を考慮しまして計算をいたしますと、最終的には48μg/m3というふうになるということでございます。
 以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは次に、質問は最後にまた個別に行うことにいたしますので、資料4−2のクロロホルムにつきまして、川本委員、お願いいたします。

【川本委員】 資料4−2をご覧ください。説明の都合上、43ページの総合評価から説明をいたしまして、必要に応じて随時前の方に戻らさせていただきます。
 まず(1)代謝及び体内動態についてですが、低濃度曝露時にはCYP2E1による酸化反応が主であり、これによりホスゲンが生成され、組織障害や細胞死を引き起こします。これにつきましては、2ページの図1をご覧ください。こちらには代謝経路が書いてあります。クロロホルムからホスゲンが生成され、そして細胞障害が引き起こされます。これが毒性発現のメーンルートでございます。
 続きまして、また43ページにお帰りください。(2)種差・個体差について。クロロホルムは肝臓及び腎臓で代謝されますが、ヒトにおける代謝能が非常に低いです。3行目に10ppm曝露時のマウスにおける代謝速度と等しくなるためのヒトへの曝露濃度は、マウスの10倍以上であったと記載しておりますが、これについては33ページの表16のDelicら、Constanら、それからCalEPAにその概要が書かれております。クロロホルムは、それ自体で毒性があるのではなく、代謝産物が有害性を発現することから、クロロホルムのヒトに対する有害性の発現の程度はマウスやラットよりも弱いと考えました。
 再び43ページの発がん性をご覧ください。
 (3−1)発がん性の有無について。まず、ヒトに対する発がん性の情報は十分ではありません。一部の疫学データで塩素処理水による膀胱がんの発生を認めておりますが、クロロホルム以外の副産物が完全に無視できないため、それがクロロホルムによる直接影響であるとは断定ができません。しかしながら、その下に書いてありますように、動物実験では発がん性を示す十分な証拠があります。21ページの表9をご覧ください。これは過去に行われました発がん性に関する動物実験の一覧表でございますが、左の方、発がん性の結果というのを見ていただきますと、プラスと書いてあるところが発がん性が証明された実験でございます。以上の結果から、発がん性を示す十分な証拠があると考えました。
 続いて44ページに入ります。一行目に、発がんのメカニズムについては、多くの動物実験や変異原性試験などから、クロロホルムの代謝産物が肝臓及び腎臓において細胞毒性を発現し、その修復過程において細胞増殖に介する発がんが起こるとするメカニズムが強く示唆されていることと記載しています。先程の21ページ表9にお帰りいただきますと、右側に、細胞再生の証拠というのがあります。+(LI)というのが細胞再生があったということを示していますが、このように発がん性が認められた動物実験は、全て細胞の再生が認められています。また、発がん性が認められなかったものでも細胞再生があるということから、発がんのベースとして、細胞毒性に続く細胞の再生があったというふうに考えられます。
 続いて(3−2)閾値の有無につきましては、閾値が存在すると考えました。その理由として、まず変異原性試験が陰性、あるいは、あっても非常に弱いものであるということ。それから、先程申しましたクロロホルムの代謝産物による細胞毒性と、その修復過程における発がんメカニズムであるということが強く示唆されると。この2点から閾値がありと判断いたしました。
 続きまして、発がん以外の有害性ですけれども、これはページ29表14をご覧ください。これはYamamotoらの実験ですけれども、このように肝臓、腎臓の組織障害が起きております。また、28ページ表13に鼻腔の所見がありますけれども、このように鼻腔における骨肥厚(骨化生)、呼吸上皮化生などが認められております。
 再び44ページに戻りまして、(5)用量−反応アセスメントです。まずヒトの疫学研究を基本とした用量−反応アセスメントを行うことは困難であると判断いたしまして、動物実験データを基本とすることにいたしました。45ページに移りますが、その中でもYamamotoらのデータを重視いたしました。先程の21ページの表9に戻っていただきますと、発がん性が示された実験で吸入実験はYamamotoらの実験だけでございます。また、非発がん性の知見につきましては、35ページ表17を見ていただきますとお分かりのように、長期間で行われているのはYamamotoらの実験です。表17の動物実験は全て吸入の試験でございます。これを見ていただきますと、非発がんにおけるLOAELは5ppmということが分かります。Templinらの報告で、2ppmというLOAELがありますが、これは篩骨甲介の萎縮ということで、可逆性があると判断いたしまして、所見からは外しております。従いまして、Yamamotoらの鼻腔の所見5ppmをLOAELといたしました。次に、発がん性につきましては、ページ15の表6にYamamotoらの腫瘍発生率をまとめていますが、5ppmをNOAELとしました。
 そして45ページ、指針値の提案に戻りますが、先程申しましたように、発がん性に係りましては、YamamotoらのNOAEL5ppmを基礎といたしまして、それから不確実係数250、さらに補正を加えまして、総合的な係数1,400を用いて発がんに係る評価値を18μg/m3としております。
 また、発がん以外の有害性に係る評価値につきましては、先程のYamamotoらのLOAEL5ppmを基礎といたしまして、やはり同じように不確実係数250、これはLOAELからNOAELへの不確実係数も含んでおりますが、そして総合的な係数1,400を用いまして、発がん以外の有害性に係る評価値を18μg/m3といたしました。
 そして、両方ともに同じ値になりましたので、18μg/m3を指針値として提案いたしました。以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 では、次に1,2−ジクロロエタンにつきまして、本橋委員、お願いいたします。

【本橋委員】 それでは、1,2−ジクロロエタンにつきましてご説明申し上げます。お手元の資料の説明ですけれども、総合評価が30ページから37ページまでに書いてありまして、説明は大体これに沿って行わせていただきます。
 それでは、まず最初ですけれども、3ページをご覧いただきますと、代謝及び体内動態のことが出ておりますが、1,2−ジクロロエタンは二つの代謝経路がありまして、チトクロームP450で代謝される経路とグルタチオン−S−トランスフェラーゼ経路で代謝される経路があります。このうち特に遺伝子障害性に重要であるというのが、いろいろな文献からグルタチオン−S−トランスフェラーゼ経路ではないかというようなことが報告されております。
 それから、その次でございますけれども、4ページから5ページ目にかけて、発がん性に関する有害性評価のところでございますが、これはまずヒトに関する発がん性の評価を5ページから6ページのところでまとめておりますけれども、ここの中で特に重要であると思われるデータは、5ページの一番下にありますBenson&Tetaという1993年の報告がございますが、この彼らの報告によりますと、この1,2−ジクロロエタンの曝露により膵臓がん及びリンパ・造血器系がんのリスクが上昇するという報告がなされておりますが、その後の研究で、6ページ目のOlsenらの研究によりますと、同様のことを見ているんですけれども、必ずしも先程と違いまして、膵臓がん、リンパ系・造血器腫瘍が上昇していないというような報告もありまして、ヒトに関する疫学の報告というのは、現状では非常にまだ十分ではないということが分かります。
 その次に発がんに関する動物実験でございますけれども、ここでは幾つかの重要なデータがございますけれども、一つは6ページのところの冒頭に書いてありますけれども、National Cancer Instituteの1978年の報告がございまして、それは実は7ページの経口投与実験の概要ということで、7ページの上のところに概要が示されておりますけれども、この米国のNational Cancer Instituteのデータが多くの機関の定量評価に使われているところでございます。
 その次です、8ページを見ていただきますと、その後、この分野ではかなり精力的な研究が行われまして、特に今回私どもが指針値の算出に当たりまして採用いたしました重要な研究といたしましては、8ページの下のところのNaganoらの研究データでございますけれども、このNaganoらの研究データは、ここでラットとマウスについての詳細な研究がございますけれども、このNaganoらの研究で、用量−反応関係を持った腫瘍の増加というのが認められています。この8ページの下の具体的な表がございますけれども、この表でございますが、特に雌の腺がん、腺腫、線維腺種、これのデータからベンチマークドースを計算するということが行われております。これが動物実験のところでございます。
 それから、10ページにまいりまして、10ページで遺伝子障害性でございますけれども、1,2−ジクロロエタンの遺伝子障害性に関しては、多くのin vitroin vivoのデータがございますけれども、結論から申しますと、1,2−ジクロロエタンはin vitroin vivo、いずれの場合でも遺伝子障害性を有するというふうに判断できます。ということから、この1,2−ジクロロエタンについては閾値のない発がん物質であるということで、検討する必要があるだろうという結論でございます。
 それから、12ページにまいりまして、この発がん性に係る国際機関等の定量評価の概要というのを12ページの表5に示しておりますけれども、これまでの外国のデータでは、特にUSEPAですね、米国環境保護庁のデータでございますが、この定量評価は先程お示しいたしましたNCIのデータをもとにですね、1978年の、そこからユニットリスクを計算いたしまして、ユニットリスクが下から二つ目のところです、1.6×10-6というところでございます。それから、WHOの基準を見ていただきますと、WHOは同様のことでユニットリスクを計算しているのですけれども、3.6〜20μg/m3云々かんぬんというところがございますけれども、実はこのWHOのこの定量評価も、もとをたどりますとNCIの1978年のデータをもとにしているということで、諸外国の国際機関の定量評価は、このNCIの1978年のデータを主に使っているということが分かります。
 以上が国際機関の発がん性に関する定量評価ですが、発がん性以外の有害性評価につきましては、急性毒性・慢性毒性と詳細にデータがございますが、ここでは特に、時間がございませんので、慢性毒性のところのみ言及させていただきますけれども、20ページでございますが、この慢性毒性の曝露実験につきましては、吸入曝露実験で重要なデータといたしましては、ここに掲げてあるような幾つかのデータがございますが、Speaficoらのデータ、それからCheeverらのデータですね、それからNaganoらのデータがございまして、この中ではNaganoら、それからCheeverらのデータが重要ではないかというふうに考えているのですけれども、米国の方では、このCheeverらのデータをもとにNOAELを50ppmと評価しているということでございます。
 今回のこの発がん性以外の定量評価につきましては、私どももこのCheeverらのデータをもとにやるのが一番信頼性が高いのではないかということを、その算出の根拠としております。
 それから、23ページに行きまして、この発がん性以外のものに関する定量評価のまとめ、国際機関の定量評価の概要が、23ページの表10というところにございますけれども、ここではWHOのデータ、それからカリフォルニアのEPA、それからU.S.DHHSのデータがございますけれども、結構ばらついておりまして、NOAELについては慢性曝露実験から10ppmから100ppmまでばらついているということで、これはどの論文のデータを採用して計算するかということで、ばらついてきているわけでございます。
 以上が発がん性以外の国際機関の定量評価でございます。
 あと総合評価のところをもう少し補足して説明させていただきまして、30ページ以降でございますが、この辺のところは説明したところでございますので、32ページの指針値の提案のところについてご説明をしたいというふうに思います。
 ここに発がん性に係る評価値の算出の方法でございますけれども、ヒトの疫学研究では量−反応関係を示す十分な知見が得られていないため、疫学研究から発がん性に係る評価値を算出することは困難であるというふうに判断いたしました。この1,2−ジクロロエタンは閾値のない発がん性を有する物質というふうに判断いたしまして、具体的なデータとしては、我が国で行われたNaganoらの詳細な実験結果とその報告が有用であると、信頼性が置けるということから、このNaganoらのデータをもとにして、ベンチマークドース法を用いまして、低濃度域に直線外挿をしてユニットリスクを算出するという方法をとりました。その結果でございます。その結果につきましては、実は34ページから37ページまで、この発がんユニットリスクの算出方法が出ているのですけれども、これはちょっと、多分、私よりも松本氏の方からご説明いただく方がよろしいと思いますけれども、ここのところを参照していただきながら、このユニットリスクを算出いたしますと、具体的なユニットリスクとしては6.1×10-6という値が33ページの一番上に書いてありますけれども、そのようになります。その結果、10-5の生涯過剰発がんリスクに対応する大気中濃度としては、1.6μg/m3が算出されました。
 これが発がん性に関する評価値の算出でございますけれども、これともう一つ、ルールに従いまして発がん性以外の有害性に係る評価値はどうであったのかということで見ると、これにつきましては、どの論文をもとに算出するかということで依存してくるわけでございますけれども、私どもの詳細な文献の評価を行った結果、このCheeverら1990年の吸入曝露実験を用いるのが一番妥当であるというふうに判断いたしまして、このデータをもとに、NOAEL50ppmというところでございますけれども、これに総合的な係数を、480を用いて評価値を算出いたしますと、この発がん性以外のものに関する評価値というのは420μg/m3と算出されます。従いまして、この発がん性に係る評価値と発がん性以外の有害性に係る評価値を相互に比較いたしまして、指針値といたしましては、より低い方である1.6μg/m3以下とすることを提案するということで書かせていただいております。
 あと34ページから37ページのところに、実はベンチマークドース法を用いた算出法が出ておりますけれども、34ページのデータセットの選択のところで、先程のNaganoらのデータをもう一度ここのところで再掲をしておりますけれども、これにベンチマークドース法のソフトウェアを用いまして計算を行いますと、LEC10と書いてあるところが35ページのその値になるということでございますけれども、1次のモデルから算出したものは22.0752と35ページの1番、これはポイント・オブ・デパーチャーとして算出いたしまして、ベンチマークドースを計算いたしますということでございます。
 36ページから37ページ、動物実験からヒトへの外挿ということで、その外挿の手法が細かく書いておりますが、37ページの理論的な計算を行いますと、リスクのレベルは1.6μg/m3というふうに算出されるということで、この値を提案するということでございます。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 その34ページ以降、ユニットリスクの算出については松本先生にやっていただきましたけれども、何か追加することは。よろしいですか。じゃあ、また何か質問が出ましたら、そのときにお願いいたします。
 それでは、最後が1,3−ブタジエンということで、中館委員、お願いいたします。

【中館委員】 それでは、資料4−4をご覧ください。1,3−ブタジエンのリスク評価についてご説明をいたします。
 まず1ページ目、それから2ページ目、3ページ目に、物性、それから代謝、種差、個体差といったことがまとめてあり、4ページ目に代謝マップを載せてございます。基本的には常温で気体でございますので、経気道的に曝露されて、吸収された後、肝臓のミクロソーム中の酸化酵素系で代謝を受け、モノエポキシド、ジエポキシドという形になりまして、これが有害性のもとになる活性代謝産物であろうというふうに推定されております。
 基本的な経路に関しては、大きな種差等はないんですけれども、各経路の活性の強さには種差があるということが分かっておりまして、特にマウス、いろんなデータはヒトとマウスとラットがほとんどなんですけれども、マウスは、ヒトやラットに比べまして活性代謝産物であるエポキシドを高濃度で産生するということが推定をされております。
 続きまして有害性の評価、5ページに移りますが、まず発がん性、遺伝子障害性ということですが、(1)の定性評価ですけれども、ブタジエンに関しましては、職業性の曝露を受けたヒトの疫学データがかなりございます。これにつきまして、5ページ以降、6ページ中ほどからは表の形でまとめてございます。それから、その次のページ、8ページまで表の形でまとめてございますが、まとめますと、一つの報告を除きまして、職業性曝露を受けた集団では、リンパ造血器系の悪性腫瘍の死亡率の増加が見られるという共通の点があります。ブタジエンモノマーを製造するところの従業員と、それからラバーやレジン等のモノマーを使った合成過程での従業員で、若干、細かい型は違っておりますけれども、大きくリンパ造血器系の悪性腫瘍の増加という点では共通しております。また、例えば曝露年数の長い人とか、あるいは高濃度であろうと推定される職種の方でそのリスクが高いといったような、いわゆる定量的な関係を示唆する報告がほとんどであります。
 その中でも、さらにですね、この複数のデータの中で最も重要なデータとして後でも出てまいりますのが、7ページの表の一番下にあります。一番左に地名等が書いてありますが、UABコホートと書いたものが一番下にあると思いますが、これが次のページまで続いておりますが、最も大規模で重要なデータということになります。これは1万数千名の従業員、スチレン、ブタジエンラバーの従業員を最長40数年追いかけたという、レトロスペクティブ・コホートスタディでございまして、3,000名を超える死亡を観察しておりますので、かなり大規模な研究ということになります。
 これにつきましては、11ページから表が5、6、7とあるわけですけれども、この表5、6、7がこのUABコホートのデータということになります。詳細は省きますけれども、このように量−反応関係が見られます。これは各労働者に対して個人ごとに曝露を推定をして、その結果に基づいて、このような区分けをしてリスクを算出しているということです。また、共存するスチレンの濃度を補正する等のかなり細かい配慮もしたものでありますので、この量−反応関係というのは、かなり信頼性があるだろうというふうに考えられます。
 ただ、一つ問題点は、このもとのサマリーの表の方の8ページの方で書いてありますけれども、この曝露評価に関して、このUABコホートを行っているグループの中から、少し曝露評価が過少評価をしていたという訂正の論文がごく最近出ました。そういうことで、先程申し上げた11ページでも、実は表5と表6というのがかなり似通った形の表になっているわけですけれども、実は曝露の区分が随分最高濃度のところが大きく変わっておりますけれども、これは表5がいわゆるオリジナルの最初に報告されたデータで、表6の方は修正が加わった後のもの、つまり曝露の数値としては、ですから高い値が当てはめられた修正版のデータということになります。いずれも量−反応関係という点では認められておりますけれども、このあたりが後の定量評価のときにちょっと問題になるところということでございます。
 それから、次のページの動物実験でありますが、12ページですが、動物実験に関しましても、吸入曝露による大規模なスタディーが幾つかございます。詳細は省きますけれども、ラット及びマウスという複数の種で、また、マウスでは複数のストレインで腫瘍の発生増加が見られております。特にマウスではリンパ造血器系の腫瘍の増加が見られ、またマウスとラットでは種差がございまして、それは先程、代謝のところで申し上げた活性代謝産物の産生能の種差に合致する、つまりマウスの方がより腫瘍が多く発生するという、合理的といいますか、説明可能な結果が得られております。詳細なデータに関しても、その後に載せております。
 それから15ページに、遺伝子障害性に関して変異原性ということでまとめてございます。
 これもたくさん実はデータがございまして、その次のページに、16ページに表をまとめてありますが、これも本当にごく一部を載せただけですが、ブタジエン曝露労働者で、その末血で遺伝子障害が見られるとか、それから、もちろんin vitroの試験で、真核細胞、原核細胞を使った試験で変異原性が認められておりますので、遺伝子障害性に関してはありというふうに判断できると思います。
 次のページの定量評価でありますけれども、これについては、さらにその次の18ページに表をまとめてございます。
 そして、その中のさらに重要なものについては、20ページにリスク評価値等を含めて相互に比較できるような形の表をまとめてございます。これをちょっとご覧ください。いずれも共通している点は、先程申し上げたUABコホート、これを使って定量評価をしているという点です。これは全てそうであります。ただ、そうではありますが、先程、曝露濃度のことをちょっと申し上げましたが、一番左の米国EPA、それからその右のECHC、カナダですね、それから我が国の産業技術総合研究所、ここは曝露評価に関しては修正前の、オリジナルと書いてあるのはそういう意味であります修正前の曝露を使っていると。その後のこのSielkenさんという人は、これは研究者だと思いますが、それから一番最後のKarolinska Institutet、これは修正後の曝露データを使った評価であるということであります。それぞれいろんなやり方で評価を行っております。
 次に発がん性以外の有害性でありますが、21ページ以降にまとめてありますが、急性毒性、それから一般的な慢性毒性に関しては、ポジティブではございますけれども、今回の評価に関して特に大きな意味のあるものはないと思いますので、今回は省略させていただきまして、その次の23ページの生殖毒性のところをご覧ください。ここでは、先程もちょっと触れましたが、動物実験の発がん実験のところで申し上げたマウスの実験で、あわせて雌マウスの卵巣萎縮というのが起きるということが報告をされております。
 そのデータをその次の24ページの方に、表18というところにお示ししてございます。左側のところに9カ月、15カ月、24カ月、これは最長2年の曝露実験なのですけれども、曝露濃度もこのように複数の濃度があるわけですけれども、最長2年の曝露では6.25ppmという非常に低い濃度でも卵巣萎縮が観察されていると。ただ、一方では、9カ月ぐらいでありますと、200ppmという相当の高濃度でなければ見られないというような、そういうデータが出ております。
 これについては、そういうことで卵巣萎縮という影響があることはもう間違いないわけですけれども、一つは発がん実験という、がんが非常にたくさん発生した実験での臓器萎縮という影響をどう評価するかということ、それから高齢マウスの卵巣萎縮を生殖毒性と言えるかどうかといったような、そういった問題があろうかと思います。
 (2)の定量評価でありますが、この発がん性以外の影響に関しても幾つかの機関で定量評価が行われておりまして、その下に表19としてまとめております。米国EPA、それからカナダのECHCでは、やはり先程ご紹介をしました雌マウスの卵巣萎縮をエンドポイントといたしまして、ベンチマーク濃度等が算出されております。
 曝露評価に関してはちょっと省略をさせていただきまして、以上をまとめて総合評価の方でございますけれども、32ページをご覧ください。
 代謝及び体内動態については、それから(2)の種差・個体差に関しては、先程申し上げたとおりでございます。
 発がん性に関しましては、ヒトの疫学調査が存在をしておりまして、それがかなり結果が一致しており、また量−反応関係も認められます。また動物実験でも、そのヒトの疫学データをサポートするデータが得られております。これらのことから、発がん性があるというふうに判断できると考えます。
 次に閾値の有無については、先程申し上げましたように遺伝子障害性が認められますことから、閾値はないというふうに判断できると思います。
 (4)発がん性以外の有害性に関しましては、これは種々ございますけれども、最も重要なものは恐らく動物実験で観察された雌マウスの卵巣萎縮であろうと思います。これに関しては量−反応関係も認められておりますことから、これをどのように影響の大きさとして把握するかということが問題になろうかと思います。先程申し上げたような観点があろうかと思います。
 それを受けまして、用量−反応アセスメントでございますけれども、発がん性に関しましては、ヒトの疫学データがあり、用量−反応関係が認められるデータがございます。そして閾値はないと考えられますことから、これに関しましては平均相対リスクモデルをもって算定するということになります。従いまして、もとのデータはUABコホートのデータ、そして先程、表で申し上げましたカロリンスカ研究所の定量評価を使いまして、それを利用して、ページでいきますと36ページにこの詳細を載せてございますけれども、これまでと同様なやり方でユニットリスクを算出しております。
 エンドポイントは、ちょっと先程リンパ造血器系と申し上げましたが、UABコホートというのは白血病の死亡率増加ですので、白血病の生涯リスクに関しましては、ベンゼンで使ったものを使い、それからモデルは平均相対リスクモデルで、あとは職業性曝露から一般への補正、これも従来と同じことを行います。これによりましてユニットリスクを算出いたしまして、これが34ページにありますように1μg/m3当たり0.40×10-5というふうに出てまいります。これによりまして、一応、値といたしましては2.5μg/m3というのが、指針値といいますか、評価値として算出されるということになります。
 発がん性以外の有害性に関するリスク評価に関しましては、35ページに書いてありますように、一つは発がん性に関しましてヒトの疫学データを用いた評価が既にできるということ、それから卵巣萎縮というエンドポイントにつきまして、生殖毒性という意味からはちょっと弱いのではないかということで、ここでは算出する必要はないだろうというふうに判断をいたしました。その両方を受けまして、指針値といたしましては、発がん性の評価値に基づきまして2.5μg/m3を提案するということでございます。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは次に、先程申し上げましたように、曝露評価につきまして4物質、続けて中杉委員からお願いいたします。

【中杉委員】 各4つの資料にわたりますので、概略、どういうふうにしたかというお話をさせていただいて、少し簡単に説明したいと思います。
 基本的に曝露評価は、まず最初にどういうところから発生源があるかということを既存の知見と、それからPRTRの届出の結果、あるいは推定の結果をもとに少し議論をしております。
 実際には大気中の濃度が問題になるわけでございますけれども、それについては優先取組物質のモニタリングを中心に、それから敷地内について環境省が集めた信頼できるデータをまとめていただいたものを使っております。それで、最初に起源に絡んでほかの曝露経路が考えられるわけですけれども、それについてはいろんな知見を見ながら、大まかにどのぐらいの大きさの関係にあるかというようなことを整理させていただきます。
 最初に、資料4−1は、18ページから曝露評価ということで起源が書いてございます。アセトアルデヒドにつきましては、先程お話がありましたようにアルコールの代謝中間体であるということが一つ。それから、自然の起源としては、植物の中にも含まれているということがございます。それから、もちろん合成をしているわけでございますけれども、もう一つは燃焼によって生成するというのが大きな起源であるということで、19ページのところにありますように、PRTRの結果を見ますと、移動体、自動車の排ガス由来がはるかに大きくて、それに続いているのは家庭からで、家庭で接着剤等に使われていたものが揮散する、あるいは家庭での燃焼で出てくるというもので、大きな起源になってございます。
 大気のデータは、その次に入ってございますけれども、これは見ていただければということでございます。
 全体の曝露評価というところは、23ページあたりに大まかなまとめを入れてございます。22ページの下の表15が一応屋外大気からの曝露量ということでございますけれども、実際には、先程も大前先生からお話がありましたように、アルコールの代謝で出てきます。これが非常に大きな割合、ヒトへの間接的な曝露という意味では大きな割合を占めてございます。その他にたばこの燃焼でも生成しますので、それが大きな曝露になると。そういう意味では、全体としては食品を通じての曝露が大きくて、その次に室内空気の吸入による曝露が大きい。屋外大気は、それよりも小さいというふうな形の整理をしてございます。
 全体の曝露評価のところは、結果というまとめは26ページに入ってございまして、これは今のようなことを少し書いてございます。ここでは一般環境大気からの曝露ということだけ書いてございまして、ただ、ここで代謝酵素の活性の違いを考慮していただきたいということを一言書いてございまして、これは考慮していただいて、数字を決めていただいているというふうに理解をしてございます。
 アセトアルデヒドにつきましては、仮にこの評価値が出てきますと、これまでの結果を見て、一般環境といいますか、優先取組物質のモニタリングでは、それを超えている結果が得られたことはございません。
 続きまして、資料4−2のクロロホルムでございます。
 これは35ページのところに起源というのが書いてございます。クロロホルムは、基本的には自然起源というのは今のところは知られていないということで、化学的に合成して作られているもののほかに、ご存じのように水処理、飲料水処理等での塩素滅菌で生成するトリハロメタン、これが多くのものがクロロホルムでございます。その他にプールの塩素消毒ですとか、冷却水のスケール付着防止など、それからパルプの塩素漂白と、いろんなところで非意図的に生成するということがございます。
 36ページのところに全体のPRTRの結果を取りまとめてございますけれども、この結果で言いますと、大気への排出量が多く、大気からといいますか、届出が多くて、家庭からといいますのが、これは水道水を利用することによる影響ということになります。
 これらの結果を踏まえて、曝露の結果でございますけれども、それともう一つは、曝露の議論のところで、41ページのところに、水を使うことによる水道水中のクロロホルムが揮発して、それを吸入して曝露されるという経路が一つございます。その経路としては、お風呂でのシャワーによる曝露、それともう一つはプールで泳ぐときの曝露、この二つの曝露がございまして、それぞれの知見を少し整理してございます。食事からも曝露があるということで、それらを整理してございますけれども、水道水については、水道水の方でトリハロメタンの監視をしておりまして、その結果を踏まえて全体として整理をさせていただいたものが42ページのところでございます。
 クロロホルムにつきましては、屋外大気、室内空気、食事、いろんな経路から曝露されることになります。どの経路からの曝露が大きいかというのは、ケース・バイ・ケースというふうな判断で、水道水の水質も違いますし、それはいろいろ変わってくるだろうという判断でございます。それともう一つは、「クロロホルムを含んだ水を用いると」と書いてございますけれども、シャワーだとかプール、プールもどういう消毒をしているか、そのプールの屋内の環境をどうしているかということでも変わりますけれども、呼吸とか皮膚吸収によって、さらに大きな曝露を受ける可能性があるだろうというふうな整理をしてございます。
 これまでの優先取組物質のモニタリングの結果で整理をさせていただきますと、この指針値を超えた例は、これまでなかったというふうな整理になります。
 それから、資料4−3が1,2−ジクロロエタンでございます。
 今までお話しした二つの物質は起源が非常に多様でございますけれども、1,2−ジクロロエタンは、恐らく合成されたものがほとんどであろうというふうに考えて整理はできています。このあたりは、24ページのPRTR法の届出、推定の結果から見ましても、届出事業所からの、対象業種からのものがほとんどということになります。
 そういう意味では、比較的曝露量としては単純な形になりますけれども、全体のまとめとしては、29ページのところで整理してございますけれども、食事の測定した結果では余り大きくないと。水道水も余り大きなものが出てきてございません。ただ、地下水の汚染、ジクロロエタンが地下水を汚染している場合がございまして、その最大の汚染の濃度の地下水を飲むと仮定すると、大気よりも地下水、飲料水からの曝露がはるかに大きくなるということになるのですが、一般的には、そういうケースは稀であるということを考えますと、1,2−ジクロロエタンについては屋外大気、屋外大気が室内に当然入るわけですけれども、それから吸入するのが一番曝露が大きいだろうということになります。
 ちなみに、この指針値と今までの結果を評価しますと、基準を評価できるだけの頻度で調査した結果では必ずしもないということでございますけれども、この指針値を超えるケースが見られます。今回の中では、最近の測定結果で、指針値を超える結果が屋外大気の一般的なところで見られた唯一のものでございます。
 それから、資料4−4が1,3−ブタジエンでございます。
 これは26ページのところから曝露評価のところに入っています。まず、起源でございますけれども、合成をするというもののほかに、この1,3−ブタジエンも燃焼起源のものがございます。そういう意味で、たばこも一つでございますし、それから家庭からも出てくる、自動車からも出てくるということで、そこら辺のところは、26ページの下から27ページの上のところにPRTRの結果が入ってございます。この結果を見ますと、自動車排ガス由来が非常に大きいということになります。
 ただ、少し細かく優先取組物質の調査結果を見ますと、29ページの上の図3というのを見ていただきますと、平均濃度的には沿道の方が高いですが、高濃度地点という形で見ていくと、発生源の周辺のモニタリングポイントでの濃度が高い。ということは、そういう1,3−ブタジエンを扱っている事業所の影響も、高濃度という意味では一定の程度があるだろうというふうに考えた方がいいかと思います。
 全体のまとめが31ページのところに書いてございますけれども、基本的には呼吸が大きいだろうということでございますが、ちょっと30ページの方へ戻っていただいて、表25に外国の例でございますけれども、推定した結果がございまして、たばこを喫煙する場合には、それよりもはるかに大きな曝露を受けるだろうというふうな整理でございます。この1,3−ブタジエンにつきましては、最新のデータでは今回提案されている指針値を超える例はございませんけれども、過去の方にさかのぼって見ますと、少しそういう例が見られるというような状況でございます。
 概括でございましたが、以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 今、4物質についてまとめての曝露評価のご説明をいただきました。それでは、4−1に戻りまして、各物質ごとにそれぞれご議論をお願いしたいというふうに思います。まず、4−1のアセトアルデヒドに関しまして、何かご意見、ご質問ございますでしょうか。
 どうぞ、香川委員。

【香川委員】 教えていただきたいのですけれど、27ページの結論のところですが、まず、係数は5,600、1,000と5,600は、これは計算できますが、1,000に関しては、種差を10、個体差を10、実験期間を10としたのだと思いますけれども、他の物質では、具体的に書いてあるので、分かるのであればきちんと表示していただきたいということ。
 それから、代謝酵素活性の違いが、日本人で40%というと、ごく大ざっぱに言うと半分の人がそういう影響を受ける可能性がある。先程、中杉委員がそのことも考慮してほしいと言われたのですが、この27ページを見る限り、総合的な係数の中に代謝酵素活性の違いは入っていないのですね。最後のところに、不確実係数として発がんのおそれを考慮するとともに、代謝酵素活性の違いも考慮に入れたと書いてあるのですが、係数の5,600の中には、その説明が入っていないのですけれども。
 それともう一つは、このEPAの値の発がん、それから非発がん、これはレファレンスですが、かなり差がある。その違いは、もちろんもとのデータのとり方もあるのでしょうけれども、かなり違いがWHOとの間にもあるので、WHOはリスク換算、及びEPAもリスクの評価を入れている。入れているということは、発がんを評価しているからで、この委員会では発がん性に関してはリスク評価が十分じゃないということで評価していないようですけれども、その件について説明していただきたい。

【内山委員長】 では、大前先生の方から、ちょっとお願いできますか。

【大前委員】 不確実係数の中身、トータルで1,000というふうにやっておりますけれども、これに関しては、ここに書いてありますように、種差、個体差、実験期間及び発がん性をまとめて1,000ということで、中身はそれぞれ10・10・10とか、そういうような感じでは、ここではとらえておりません。先程の代謝の個体差ですか、それもあわせて、まとめて1,000ということでございます。
 それから、EPAの値が小さいというお話でございますけれども、今回、ワーキンググループでディスカッションしましたのは、恐らくEPAのこの5というのは発がん実験をもとにして、マルチステージモデルか何かで恐らくやったのだろうと思います。それでやれば5ということになろうかと思います。今回の48μg/m3というのは、発がんではなくて、鼻腔の上皮の変性のNOAELをもとにしまして不確実係数をこのように書きましたので、結果的には見た目10倍くらいの差になっておりますけれども、そういうことが、この5と48の違いということになろうかと思います。
 以上で三つお答えしたと思うのですが。

【香川委員】 代謝酵素活性の違いは、日本人の40%ですか、先程の話ではラットの実験の不確実係数1,000を計算する、その個体差のところは、これは乳幼児や高齢者等を含むという。でも、代謝酵素の活性は、もちろんこれはヒトの問題でしょうから、ここには入れられないのでしょうけれども、先程のお話ですと、個体差の中に代謝酵素活性の違いの考慮も入れたという説明と考えてよいのでしょうか。

【大前委員】 そのとおりでございます。
 それから、もう一つは発がんのおそれというところでございますけれども、これもそういう意味では、その代謝酵素の差というのも、この中にも若干入っているだろうというふうに思います。

【香川委員】 いや、代謝酵素の活性というのは非常に目立つところでしたから。

【内山委員長】 今、大前委員が説明されたところですが、ワーキンググループでも議論は随分いたしました。その中でいわゆる今まで個体差が10となっている中に、今回は遺伝子多型という考えも含めて、全てで10ということでいいのではないかという、最終的なワーキンググループの中では議論になったというふうに考えています。
 それで、大前先生、よろしかったでしょうか。

【大前委員】 たしか常俊先生がおっしゃったところだと思いますけれども、遺伝子多型も個体差の一部であるというようなたしか議論だったと思います。

【内山委員長】 今回の議論の中ではさらに、今まで言われている10に加えて、遺伝子多型による違いの不確実係数を入れるまでには結論はいかなかったと思います。10の中にそういうことも加味したという考えで、今回は妥当というふうに考えています。

【浦野委員】 実は私も同じところを質問しようかと思ったのですけれども、最初のお答えはまとめて1,000であるという非常にあいまいなご返事だったのですが、これはEPAも同じNOAELからして、曝露期間の調整で8.7と、これは約30分の1になっているのですけれども、今回はこういう調整は全然されなかったのか。また、これは17ページに書いてあるのですけれども、亜慢性と慢性曝露の外挿。これは多分、実験期間及び発がんのおそれを考慮した不確実係数という中に、一部、亜慢性・慢性の配慮もされているのだろうと思うのですけれども、EPAの場合の曝露期間等の調整と考え方の違いがあるのかということを1点。
 それから、個体差は、もうちょっと大きくとらえないと、このアセトアルデヒドについてはいけないのではないか。他の物質より、さらに個体差を大きく考えるべきだというふうに、私、個人的には思えるわけですが、それがなぜその個体差を、遺伝子多型を入れても10でいいという判断になったのか、もう少しご説明をお願いします。
 それから、このアセトアルデヒドの基準が、既にある室内環境の基準に何か無理に合わせているような印象を受けざるを得ないのですけれども、これについてさらに知見が豊富に調べられたので、それをもとにして少し変えてもいいのではないか。特に現実として実測値がこれを大幅に下回っていることもございますし、個体差をもう少し考えてもいいんじゃないかという気がするんですが、その辺、追加のご説明があればお聞きしたい。

【内山委員長】 大前先生、お願いします。

【大前委員】 答えられる範囲でお答えしますけれども、まずEPAに関しましては、EPAはあくまでも鼻腔がんのデータをもとにしておりますので、恐らくそのときにやられたマルチステージモデルだと思います。
 それからもう一つ、曝露期間がございましたけれども、曝露期間に関しましては、今回とったデータ、Appelmanらのやつは、全部で4週間という比較的短い期間でございますけれども、上皮の変性がないレベルだということで、今回、曝露の件に関しては、実は余り委員会の中では議論をしなかったんじゃないかというような記憶がございます。
 それから個体差に関しましては、これはもう考え方の問題でございまして、ワーキンググループは10にしましたけれども、これがもっととるべきだというようなお考えでしたら、それはそれなりに掛ければいいということだと思いますけれども、ワーキンググループは、だからそれも含めて10にしたということでございまして、先生のご質問に対するうまい説明というのは特にございません。そういうように考えてもいいだろうということだと思います。

【浦野委員】 17ページにEPAの考え方が書いてございまして、ここに曝露期間等を調整したNOAELという表現、それから、その下に亜慢性、要するに4週間の実験期間から慢性曝露の外挿、ここでまた10という、二つ別に書いてございますが、これについて、何かちょっと違いがどこにどうあるのか教えていただければと思うのですけれども。あるいは今回、そういう議論がされたのかどうか。

【大前委員】 すみません。今、ちょっと僕、勘違いをしておりました。EPAは発がん実験からモデルを使ってやったというふうに勘違いをしておりました。確かにこれを見ますと、今、先生がおっしゃるように不確実係数を使っておりますので、EPAも発がんに関しては閾値があるというような判断で、個体差等々で合計1,000ということを使っているということですね。これは慢性曝露の概数で合計1,000の不確実係数を採用していて。

【浦野委員】 1,000の、その前にですね、曝露期間等を調整したと、8.7というのが出ていまして、これで30分の1に既になっているのですね、270から。要するに150ppmと270mg/m3なんですけれども、そこが8.7に変わっているというのが、約30分の1になっているんですね。そこの考え方が、今回、こちらの方ではどういうふうな議論になったのかというのを、ちょっと補足をお願いしたいというのが先程の質問なのですが。

【内山委員長】 それに関しては、27ページに書いてあります断続曝露から連続曝露への補正5.6というところで、これは同じく、EPAと同じ考えで補正してあります。ですから、これは不確実係数と言わないで補正係数というふうに考えているのですが、それが実験によって5.6になったり8.幾つになったりすると思いますが、今回は5.6というのが加わって、トータルで5,600ということです。

【浦野委員】 5.6というのですけれど、EPAの方は8.7分の270という係数ですので、かなり5.6よりは違うような気もするのですが、これはこれでよろしいという考え。

【大前委員】 確かに先生おっしゃるようなことではあるのですが、委員会の中では特にその部分の議論をした記憶はないのですが、考え方としては、4週間という期間をどう見るかと。実験期間に関する不確実係数の10を採用するかどうか、あるいは影響等のことを考えましてこれでいいのかというようなことだと思いますけれども、今回見ているのは鼻腔上皮の方の影響ですので、どうでしょうね、慢性影響じゃないから余り考えなくてもいいんじゃないかという気はいたしますけれども。

【浦野委員】 17ページの、先程からも繰り返しになので、亜慢性と慢性の外挿、これは同じように考えられているのだろうというふうに思えるわけですけれども、その上の曝露期間等の調整というのは私も理解できなかったのでご質問したのですが、どうも明確ではないようですので。
 あと個体差についても、ここでぜひもう一度議論して、10のままで本当に皆さんいいと思われるどうかはご議論いただきたいというふうに思います。

【内山委員長】 中杉委員。

【中杉委員】 私自身、こういう解析の専門ではございませんけれども、アセトアルデヒドの議論の中で一つの考え方として、アセトアルデヒドはいろんな曝露経路があります。大気からの吸入による曝露経路というのは、必ずしも大きなメーンの経路ではない。鼻腔上皮の影響ということで、それについても、飲んだところからどうなるのかという話が議論としてありまして、それは呼気としてもう一回出てくると。その影響もあるだろうというお話もあったりして、余りここで過度に大きなあれをとることがどうなのかという議論はあったということではなかったのかなと。まとめて1,000と、今までのと同じ最大のあれをとればよろしいのではないかというふうな私は解釈をしておりました。

【内山委員長】 その他の委員の方はいかがでしょうか。遺伝子多型が一つの個体差の因子になるということが、だんだんこの頃は分かってはきていて、アセトアルデヒドはその代表的なものだろうというふうに考えて議論はしたつもりなのですが、それをさらに従来の、今回は従来の10の中に収めてもいいのではないかというワーキンググループの中の意見だったと私は感じております。いやもっと大きく、それだけ分かっているのだったら大きくとった方がいいというご意見がありましたら、何かいただけるとありがたいのですが、どうでしょうか。
 特にワーキンググループでない櫻井先生、松下先生あたり、何かご意見ございますでしょうか。

【櫻井委員】 不確実係数が1,000、ほとんど最大に近い不確実係数を使っているということ、さらに断続曝露から連続曝露への補正5.6、全てあわせて5,600で割り算しているわけですね。270という数字そのものの不確実性がもともとデータとしてはあるにしても、更に不確実係数を加えて、余り小さい数字にまで下げるということは、指針値として使うという目的から考えて、そこまでしなくてもいいというのが私の見方です。全体として5,600という数字が使われれば、議論されているようなご懸念への安全域は含まれていると考えます。

【内山委員長】 いかがでしょうか、その他に、先生方で。
 いかがでしょうか。今、もう少し増やすべきだというご意見と、それから、もう既に5,600、大体、指針値あるいは基準値を作るときには、1,000以上の桁になると、ちょっと不確実性が大き過ぎるというような感じで今まで作ってきましたので、最大、不確実係数を1,000にとって、それからさらに実験の補正係数を掛けているということで、これにさらに2を掛ければもう1万になってしまうよということで、議論の中でも、この10の中に、最大の中に含めてもいいのではないだろうかという結論だったと思うのですが。香川先生、よろしいですか。それで。

【香川委員】 係数5,600というのは、余りにも大きいのでびっくりしたということと、もう一つは、代謝酵素活性の違いを上の係数の中に、そういうことも考慮したということを何かちょっと付け加えていただいて。後ろに持ってくるのじゃなくて、前の方に。

【内山委員長】 分かりました。
 では、ここのところで、不確実係数としての発がんのおそれを考慮するとともに代謝酵素活性の違いも考慮に入れたというところを、代謝酵素活性も十分考慮したということが分かるような表現に少し変えさせていただいて、トータル5,600を考慮して48μg/m3ということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、また最後に後に戻ることもあるかと思いますが、一応、今日は全部検討しておきたいと思いますので、次に移りたいと思います。
 次はクロロホルムについてでございますが、クロロホルムについて何かご意見、ご質問ございますでしょうか。

【浦野委員】 クロロホルムの場合は、NOAELをベースにしないでLOAELをベースにしてやっておられて、それで種差、個体差を考慮して不確実係数250という数値が出ておるのですけれども、これはLOAELとNOAELの比を2.5ぐらいに考えたという、それで種差10、個体差10ぐらいが妥当というお考えなのか、先程と同じ質問なのですけれども、この中身がある程度ご議論されたものであれば、もう少し教えていただきたい。

【内山委員長】 川本先生。

【川本委員】 まず、発がん性につきましてはNOAELを使っております。発がん以外の有害性につきましてはLOAELを使いました。そして、LOAELからNOAELへの不確実係数ですけれども、全体の不確実係数250の中で、厳密にどれが幾らということはなかなか申し上げにくいのですが、限りなく10に近い不確実係数がLOAELからNOAELの間に使われたと私は考えています。

【内山委員長】 実は昨年の10月のワーキンググループの会合が終了しておりまして、その後、アスベスト問題等で半年経ってしまったので委員の先生方の記憶があいまいになっているところもあるのですが、私から補足させていただきますと、あのときの議論は、LOAELからNOAELが10ぐらいで、それから個体差が10ぐらいで、種差が2.5ぐらいではないかというふうに、種差が普通よりは小さくていいのではないかというふうに考え、議論されたと記憶しているのですが、それでよろしかったでしょうか。

【川本委員】 そのとおりです。

【内山委員長】 この一つの理由として、前に書いてありますように、クロロホルムはヒトよりもマウスの方、SDラットの方が非常に感受性が高いという、代謝の面でですね、それでそれが10倍ぐらいも違うかもしれないと。

【川本委員】 10倍以上違うという前提で。

【内山委員長】 10倍以上違うかもしれないと。人間の方が、代謝経路からいって感受性が低いのではないかということと、それからもう一つは、ここに出てきているのが鼻に対する影響、鼻腔ですね、鼻腔に対する影響をエンドポイントとしているので、それも少しマウスと人間ではヒトの方が感受性が低いのではないかというようなことです。ここで前回もご議論いただいたのですが、一つ一つ、何を不確実係数をいくつとしたかというのを書くべきだという議論は前からあるのですけれども、なかなかそこまで踏み込めなくて、今回も総合的に書いているのですが、大体、議論はそのようなところだったと思います。
 その他ございますでしょうか。

(なし)

【内山委員長】 そうしましたら、とりあえずクロロホルムはその他にご意見ございませんようですので、18μg/m3というのが指針値という提案ということにし、また後でお気づきの点があったら戻りたいと思いますが。
 3番目は、1,2−ジクロロエタンに関することですが、これに関していかがでございましょうか。
 江馬先生。

【江馬委員】 私もワーキンググループで評価に加わったのですけれど、結果的に1.6μg/m3という数値が出ていて、他の諸外国と比べると、WHOで3.6から20μg/m3、それから大気ガイドラインで700μg/m3と、非常にその差があって、あと先程、中杉先生から実際に指針値を超える値が検出されているということを伺って、この1.6で実効といいますか、実際の指針値として有効であるのかどうかというのが、事務局へ聞いたらいいのか、ちょっと分からないのですが、その点について、ちょっと教えていただきたいと思います。

【内山委員長】 事務局、よろしいですか。

【松田課長補佐】 少し的が外れたような回答になってしまうかもしれませんが、この1.6μg/m3という数値自体は、ワーキングの中で現在この1,2−ジクロロエタンで持っている科学的知見を考慮したら、Naganoらの研究によって、ベンチマークドースを用いて動物実験結果を外挿したら1.6μg/m3になったということで、こういう形で今回提示をしているということなのですけれども、この数値を仮に指針値として提示をしたとして、実際に今後の対策をどうしていくかという部分になるのですが、この指針値というのは、環境基準値とはまた性格の違う数値で、現在の健康リスク評価の中で考えられるベストな数値だというふうに考えています。
 この数値の目標としては、環境モニタリングの指標、又は事業者の自主的な取り組みの指標ということになるのですが、ここは地域の現在の1,2−ジクロロエタンの数値の状況を見て、指針値の数値に比較して、もし高いようなところがあれば、その部分について、どのような対策を考慮すればいいのかというのを別途考えていくということになるのではないかと思います。
 ということで、この指針値自体が、いわゆる規制値のような性格ではないので、実際に自主的な取り組みなりモニタリングなりの取り組みを組み合わせていただいて、この数値を何とか達成することを目標としていくということを考えておるというところです。

【内山委員長】 中杉先生の方から何かございますか。

【中杉委員】 私がコメントする立場ではないのかもしれませんけれども、1,2−ジクロロエタンの場合は、発生が届出事業所といいますか、はっきりしているところだけですので、それで超えているところもごく数は少ない、事業所のすぐ側というような話はまた別なのですけれども。そういう意味では、自主的に対応していただくこと、それからPRTR等で排出抑制の方向へ進んでいるということでございますので、他の、例えばアセトアルデヒドが全体に超えてしまっているなんていう話になると、この手は打ちようがないという話になるかもしれませんけれど、1,2−ジクロロエタンの場合は、比較的対応はしやすいという言い方をするとちょっと語弊がありますけれども、不可能ではないというふうに私は判断をしておりますが。

【内山委員長】 今回、1,2−ジクロロエタンは、初めて、まだ国際機関で評価していない我が国のデータを使って値を出したというところが非常に特徴だろうと思います。それで、その妥当性等についてもまたご議論があるかもしれませんが、バイオアッセイ研究センターの方にも非常にご協力をいただいて、生データまで見させていただいて、論文では分からなかった点も含めて非常にご協力をいただきました。以前に比べればもう雲泥の差があると思います。非常に情報公開をしていただいて、もとのデータも見させていただいて、最適なデータセットを使わせていただいたということになると思います。

【香川委員】 このユニットリスクの算出のところで、腺がん、腺腫及び線維腺腫をあわせて計算をされておりますけれども、腺がんだけに限って計算はされているのでしょうか。もしされていたら、腺がんだけで計算した場合と、この腺がん、腺腫、今回は腺がんと腺腫と線維腺腫、三つあわせているわけですけれども、上の説明で、腺腫は通常、線維腺腫と明確に区別できず、またこれらの腫瘍は良性腫瘍であるが腺がんに移行する可能性があるということなので、こういう文章を見ると、じゃあ腺がんだけに限って計算した場合と、三つあわせて計算した場合と、どう違いがあるか興味があるので。

【内山委員長】 もし、分かりましたら。

【松本主任研究員】 34ページの表を見ていただけば分かるのですが、腺がんだけのデータでは、40ppmの腫瘍が0となっていることから、ベンチマークドース法を使った方法ではモデルの適合性が悪くて、適当なユニットリスクが算出できません。腺腫と線維腺腫をあわせた方がいいという判断につきましては、そのバイオアッセイセンターの長野先生に伺いまして、病理の方の専門家ということで、特にラットでは腺腫と線維腺腫が区別しにくいというお話だったと思いますので、それをあわせて評価いたしました。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。34ページの表ですと、0が50分の1、10が50分の2、40が50分の0、160が50分の5というのが腺がんで、いわゆる生データということになりますが。

【香川委員】 確かに数は少ないので精度は悪くなると思うし、先程の40ppmは0なのでということですけれど、ベンチマークドースから計算するときに、例えば40を外しちゃうと致命的な問題が出てくるのでしょうか。

【松本主任研究員】 実際に腫瘍が出ていないデータをというか、やっていないのではなくて、観察していて0となっているものを外すことは多分適当でないと思います。モデルに合わない場合に、高濃度域のデータを外すという方法はあるみたいで、高い濃度のデータから外していくというやり方はあるのですけれども、160ppmを外さずに40ppmのデータだけを外すということは適当でないと考えます。仮に両方外してしまうと、0ppmと10ppmしかありませんので、これでは直線でしか判断ができませんので、やはりこの腺がんのデータだけでは難しいと考えます。

【内山委員長】 ここら辺の腺がん、腺腫、線維腺腫をあわせて今回評価する点に関しては、江馬先生にもご意見を一度伺ったと思うのですが、江馬先生の方から何かあわせることについての補足説明はございますでしょうか。

【江馬委員】 評価書にも記載されておりますが、明確に分離することができないということで、あわせて評価したということです。

【内山委員長】 よろしゅうございますでしょうか。一応、アメリカのEPAのキャンサーのリスクアセスメントガイドラインにも、動物の腫瘍は良性・悪性にかかわらずあわせて評価すると一応の原則にはなっておりますし、今回は腺種、線維腺腫は悪性に移行する可能性が高い、それから病理学的には区別がなかなかつきにくいということで、乳腺腫瘍として評価したということでございます。
 その他にございますでしょうか。

(なし)

【内山委員長】 それでは、1,2−ジクロロエタンはこのくらいにいたしまして、次の4−4の資料で、1,3−ブタジエンについて、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
 これも疫学的には非常に確度の高いものという評価をいたしましたけれども、今回は曝露評価が見直されて、まだ一つの研究所、あるいは一人の研究者からしか出ていないということで、恐らくこの曝露評価がもう少し、これでいいという見直しの修正案で固まってくると、もう少し指針値というよりは確度が高まってくるのかなという気もいたしております。今回は曝露評価の修正が出たばかりということで、指針値ということになっております。
 よろしゅうございますでしょうか。

(なし)

【内山委員長】 そうしましたら、一応、各物質についてご議論いただいたのですが、全体的に、この健康リスク評価全体に対して、また、あるいは今後の物質について何かご意見やご質問ございますでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

【小林委員】 専門的なところについては私よく分からないのですが、この報告書の中で、実は資料3をちょっとお開きをいただきたいのですが、資料3の2ページのところの健康リスク評価指標についてという解説があって、この中で、いわゆる科学的信頼性の分類ということでI、II、III、つまりIの場合は基本的に環境基準の設定の方向へ持っていく、IIの場合は指針を作る、IIIの場合はそれをある程度先送りをするということだと思うのですね。これについて、各物質ごとに、例えばアセトアルデヒドですと、4ページのところの(3)で定量的データの科学的信頼性についてという説明があるのですが、ここで初めの4行ぐらいがいわゆる信頼性が高いという説明があって、その後6行目ぐらいから、「しかしながら」ということで1行、信頼性に少し問題があるということでIIという評価をされているのですね。ここの文章で、本当にIIという評価が正しいのかどうか、ちょっと判断しかねるのではないかな。
 特に私気になりましたのが、この資料4の各物質ごとの評価説明の中で、ここの部分を全く記述されていないのですね。本来、私が思いますのは、どれでもいいのですが、例えば最後の1,3−ブタジエンのところですと、34ページの(6)曝露評価についてというところの後に、(7)として、いわゆるこれに関する説明がいるのではないかと。つまり、本来環境基準なのか指針値なのか、そうじゃないのかというのが、これは大変重要な判断になると思うのです。ここの記述が全く書かれていないので、その資料3の説明を、この資料を全部読まないと評価できないという部分があるので、できたらここに総括的にもう少し詳しい説明を入れていただいた方がいいのではないかなという感じがするのですが、いかがでございましょうか。

【内山委員長】 ありがとうございます。
 事務局でどうでしょうか。確かにこれはリスクアセスメントの評価書ということですので、そこまで書き込むべきかどうかというのがちょっと、それを指針値とするか基準値とするかは、マネジメントの問題だという気もするのですが。
 中杉先生。

【中杉委員】 ワーキングのときの議論で、私の記憶が正確でなければ訂正いただければと思うのですが、基本的には、今回のワーキングは指針値にするかどうかを決めるのであって、基準値にするかどうかということを決める議論ではないという判断をしていますから、そういうデータの見方も、そういう見方をしていると。ですから、基準値にするなら、もう一回やり直すんだという整理をして我々議論したように記憶しているのですけれども。ですから、あえて、そういう意味では、これは基準値にするべきだとか、そんなことは一切、今回は評価できていないというふうに私は解釈していますけれども。

【内山委員長】 前回のときも、たしか松下先生から塩化ビニルでしたかね、これ以上のもう疫学データは今後出てきそうもないのだから、その疫学データがこれで確実なものであるといえば、基準値にしてもいいのではないかというご意見がたしか最後にあったと思います。ですから、この委員会でこれはもう基準値にすべきだということでもし出てくれば、またそこで新たな基準専門委員会を作ってということになろうかというふうに私もちょっと考えていたのですが、事務局の方、そういう考えでよろしいですか。

【松田課長補佐】 はい。

【内山委員長】 ですから、前回のときは松下先生がおっしゃった、それから小林先生も、今回の評価でこれはもうこれでいいんじゃないかと。改めて基準値を前提としてもう一回評価したらどうかというご提案があれば、またそこでということになろうかと思うのですが。

【小林委員】 いや、ちょっと、すみません。そういういわゆる環境基準にしろと言っているわけではなくて、逆に言いますと、資料3の(3)に定量的データの科学的信頼性という、ここの文章のくだりですね、これは誰が保証するんですかと。という部分が、本来ならば、ここのところで、アセトアルデヒドの部分ですと、各項目別に全てについて健康リスク評価、各物質ごとのところに繰り返し詳しく説明がされているわけですね。にもかかわらず、この科学的信頼性のこのくだりだけがないというのはなぜなのでしょうかということなのですね。

【松田課長補佐】 ワーキングを開催したときは、先程、中杉委員の方からもお話があったとおり、そもそもここの今得られている知見を踏まえれば、指針値を設定できるかどうかという前提の中で議論するというところで、定量的データの科学的信頼性という部分について、IかIIかIIIかという部分が、ここのワーキングの中では、そもそもIになるということはなかなか想定しにくい中で作ったということもあって、入っていないということだったのですね。
 ただ、今回、専門委員会の報告を作るに当たって、ここの科学的信頼性の部分につきましては、参考資料2に付けておりますけれども、第7次答申の8ページのところに付いておりますけれども、定量的データの科学的信頼性という部分が示されておりまして、専門委員会の中で、この三つの分類の中でどういった形で分類されるのか、また、その分類される理由というのは一体どういうものかというものについて、やはりお示しをする必要があるだろうというふうに考えまして、事務局の方でワーキングの議論を踏まえて、今回、こういう形で概要の方に付けさせていただきました。
 ただ、今回、三つの分類のうちのIIに該当するということなのですけれども、疫学研究の場合、動物実験の場合ということで、さまざまな課題があるということで、いずれも何らかの理由があってIIに該当するというようなことだということですので、そういった理由を付して、またワーキングの委員の方にも再度相談をさせていただきまして、その内容を踏まえたものが今回の概要ということになっているというところです。
 そういう部分で、後ろの方の資料4−1から4−4に入っていない理由としては、もともと、そもそも環境基準にするまでの熟度というか、そこまでの信頼性というものはないけれども、そのスタートとして、指針値として検討するのであればどうかというところからスタートしたということですので入っていなかったと。ただ、概要の中では、今回、第7次答申でも、こういうことで分類をどうするかという話もありましたので、ワーキングでの議論なども踏まえて今回付けさせていただいたというところです。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。今後検討させていただいて、事務局を通してですね。

【小林委員】 ちょっと記述をですね、少し配慮しないと、結局、概要書といいながら、報告書に書いてないことが概要書に書いてある。その概要書に書いているところの判断は、じゃあ、この専門委員会が判断したということなのかということになるわけですね。以前の検討のときも、松下先生の方からご意見があったときに、環境基準を作るに見合うだけのデータがそろっているのであれば、環境基準設定についての何か進言をすべきではないかというご意見もあったのです。そこまではこれはいかないのだという評価をしたのだということであれば、やはりそういうことはきちっと記述しておく必要があるのではないかなと思うのですが。

【内山委員長】 非常に重要なご意見をいただきましたが。

【中杉委員】 先程、私が申し上げたことのもう一度同じになるのですけれども、この指針値を検討するに当たって、基準値に該当するかどうかという概念での検討はしていない、そこまでの信頼性を、そこまであるかどうかということの議論はたしかしていないと思うんですね。ですから、指針値として設定するのに十分かどうかということは言えますけれども、それ以上のことは、実際にはこの作業の中ではしていないということですので、多分書けない、個々の物質について。基本的にはそういうふうに私は解釈して、最初、ワーキングのときにそういう議論を最初の方でしたというふうに記憶しておりますけど。

【浦野委員】 この資料3の2ページの一番下ですけれども、「2に示すとおり定量的データの科学的信頼性の分類を行い」と書いてあるわけですね。だから、分類をもう行って、IIに該当するという前提で、その上で適切な指針値の設定の検討を行うこととしたという形になっているので、もう検討したことになっている、分類をしたことになっているはずで、それを議論していないという意見はちょっとおかしくて、やはり「分類を行い」ということで、一応、それなりのデータはあるけれども、まだ不十分な部分があるという判断をして指針値の検討に入ったということですから、それはそれできちっと2ページのところに、上記のIIに該当すると判断した上でということだと思うので、ここに書くか、あるいは、その4の方に書くかどうか、やっぱり明記をしないといけないんじゃないかというふうに思います。

【中杉委員】 そういう意味で言えば、この資料3の方のこの記述が誤りである、こちらの方を修正すべきだと私は考えますが。そういう議論は、基準値Iに該当するかどうかという議論をしたという記憶は私はないのですけれども。最初からそういう話で事務局にもお尋ねをして、今回は指針値に該当するかどうかを議論して、必要であれば、また別途精査をして、信頼性を精査して、基準値を別の委員会で検討するというご説明を受けたように私は記憶しておるのですが。

【内山委員長】 事務局の方は、それでよろしいのですね。

【松田課長補佐】 そうですね。

【内山委員長】 そうしますと、確かに資料3の方ではご指摘のあったような点も書いてあるのですが、私の考えとしては、議論しているうちに、これは基準値にすべきかどうかというところまでは、頭の中では大体考えてはいると思うのです。具体的にですね。ですから、先程申しました一番可能性の高いのは1,3−ブタジエンですが、それも今回は曝露評価の修正が出て、またそれが一つで評価が固まっていないと。今回はこの修正された値で評価するけれども、まだ固まっていないという議論もあったと思いますので、それで今回は指針値だろうなという、頭の中ではそういうことで考えております。
 これが指針値なのか、あるいは基準値にできるかどうかという議論は、確かにそういう面では、最終的にこれをどうしようかというところの議論は全くしていないということはあると思います。今ご指摘のあった中で、例えばこの委員会でこの指針値の今日はご提案をしたわけですが、それは、私どもは指針値にすべきか環境基準にすべきかというところまでは確かに議論していない。大体、議論しているうちに、これは指針値で提案していいだろうなということは確認しておりますけれども。それで、この専門委員会なりで、これは基準値としてもデータがそろっているというふうにご判断いただく、あるいは結論をいただければ、また事務局の方でしかるべき環境基準専門委員会等でご議論いただくことになると思います。

【松田課長補佐】 もしIに分類するというふうになったときに、Iになったらすべからく環境基準というわけではなくて、環境基準又は指針値ということになっておるのですけれども、ここの部分につきましては、もしIに分類するとなれば、環境基準専門委員会の場で、別途、この物質について環境基準にするかどうかの検討を、この委員会とはまた別の場で議論をいただく必要が出てくるということになります。

【内山委員長】 ですから逆に言うと、この概要の記述で今回は指針値ということで、この委員会で議論していただいたということにしてよろしいのでしょうか。
 前回の松下先生のご意見のときの結論はどうだったかはちょっと覚えていないのですが、その後で検討するということになっていたのかどうかはもう一回確認いたしますけれども、この委員会で、もう少しこういうところが確認できれば、あるいは、もう少しこのようなデータが出てくれば、基準としてもう一回検討してもいいのではないかということであれば、またそういう場を作って検討したい。
 今日のところは、この資料3の概要に書いてあることは、こういう点で今回は指針値としたいということも一緒にお認めいただいたということにしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【小林委員】 この件については特に問題はございません。
 ただ、今申し上げたように、いわゆるワーキンググループの概要はそれですというと違うということで、その辺だけは少し明確にしていただいた方がいいと思います。

【内山委員長】 はい、ありがとうございます。

【浦野委員】 そういう意味では、ワーキンググループの報告書の方に小林委員は何か書くというお話がありましたけれども、それをあえてしなくても、そのワーキンググループの検討結果をこの委員会で十分見て判断をして、この概要の2ページの一番下の今「分類を行い」というのをですね、この委員会として分類を行い、IIに該当するという判断をしたということが明確になっておれば、それでもよろしいような気もしますが、いかがでしょうかね。

【内山委員長】 事務局、今のでよろしいでしょうか。
 そういうことで、この資料3のこの書きぶりのところで、少し、この委員会でそういう結論にしたということが分かるように、少し修正をさせていただきたいというふうに思います。
 他にございますでしょうか、全般に関して。
 中杉先生。

【中杉委員】 基本的には今の整理であれなんですが、ワーキングでは、少なくともIかIIかという議論を表立ってはやっていない話なので、ここで議論をしていただいて、もしあれだったら、ここで議論して、これはIに該当するのではないかということを残しておかないと、また前と同じように次の段階へ進めないというふうに思いますので、この概要書は概要書として、ここでの議論でそういうふうなものを、あと附帯みたいなことで、もしあれだったら付けるということがあってもおかしくはないというふうに思いますけれども。私はちょっと専門ではございませんので、そこら辺のところの判断は何ともしかねますので、ご専門の先生のご意見をいただければと思うんですが。

【内山委員長】 いかがでしょうか。大前先生。

【大前委員】 ちゃんと理解できていないのですが、2ページの今おっしゃったI、IIの問題なのですけれども、この基本的な考え方は、「定量的データの科学的信頼性について以下のI、IIに該当するデータが得られる物質については、環境目標値の一つとして指針値を設定する」という、そういうことなのですよね。だから、Iだから環境基準になるという話では全然なくて、あくまでも指針値を作るに当たって今回その委員会だったわけですけれども、このIもしくはIIのデータがあったということにすぎないのではないですか。Iだと環境基準に該当する云々かんぬんとは全く別の問題ですよね。

【中杉委員】 多分、大前先生が言われるとおりなのですが、それじゃあ、誰が環境基準としての検討を始めるかということを誰が言い出すかという話で、それは事務局が言われるのか、あるいはここの健康リスク総合専門委員会の段階で、それが確度があるからということを残してもいいのではないかということで、そういう意味で申し上げたんです。それが十分この場で検討できる時間がないということであれば、今のままだろうというふうに思いますし。

【内山委員長】 これは事務局の方で少しそこら辺を考えていただけますか。もう一つ上の、大気環境部会に最終的に報告することになりますね。

【森谷総務課長】 先走ったような、今後の予定ということで申し上げてしまいますけれども、これについては、いずれにしてもパブリックコメントを経る必要があると思っておりますので、そこでの意見がどうであったのかというのを一度皆さんにも専門家として見ていただく必要があるだろうと思っております。ですから、単に議論を先送りというつもりで言っているつもりはないのですけれども、もう一度お集まりいただかざるを得ない状況があろうかと思います。
 今の論点については、科学的信頼性がIかIIかということだろうと思いまして、行政的な判断で、さらにマネジメントとして、科学的信頼性は高いけれども環境基準を設定する実際上の必要性はないというようなものも、それは実濃度が問題ないというもので出てくるかもしれませんので、もう一つそのファクターがあるのだろうと私は思っております。
 それから、説明が後になって恐縮ですけれども、ワーキングの方は資料4−1から4−4のペーパーであると。それを今回いろいろご議論いただいて、多少何か文章を内山先生とお話させてもらって変えた方がいいのかなというところはあったかと思いますけれども、一体のものとして、科学的な確実性というのでしょうか、先程ご議論のあったところも、この場で先生方の科学的な信頼性ということで意見の共通認識がいただければというふうに思っているところです。

【内山委員長】 では、今のようなことで進めさせていただきたいと思いますので、また最終的にはこのパブリックコメントの後でもう一回こういう議論の場があるかもしれませんし、それから、さらにその上での大気環境部会の方でのまた議論もできると思います。今回は、概要のところに、健康リスク総合専門委員会でこのIIという判断をしたということが分かるように、ちょっと記述を変えさせていただいて、それがさらにI、それからさらに環境基準を設定すべきかどうかというところは、もう少し事務局の方でも手順を考えていただきたいというふうに思いますので、本日のところはこの辺にしたいと思うんですが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 そうしましたら、最後に各物質ごとにつきましてご意見をいただいた中でまとめてみたいと思います。1番目のアセトアルデヒドにつきましては、遺伝子多型を考慮した結果ということが表面にもう少し分かるように少し修文をいたしますが、結果としては、NOAELを270mg/m3として、総合的な係数5,600で割って、48μg/m3を指針値として提案する。
 それから、クロロホルムにつきましては、動物実験で閾値のある発がん性及び発がん性以外の有害性を指標として、それぞれNOAELが25mg/m3、それからLOAELが25mg/m3で、総合的な係数1,400で割って、両方の値とも18mg/m3ですので、その値を用いる。
 それから、1,2−ジクロロエタンにつきましては、動物実験データを用いて、閾値のない発がん性物質としてユニットリスクを6.1×10-6といたしまして、10-5に当たるリスクに換算して、1.6μg/m3とする。
 それから、1,3−ブタジエンにつきましては、疫学研究を用いて、閾値のない発がん性物質としてユニットリスクを0.4×10-5として、これを10-5のリスクに換算して、2.5μg/m3と。
 以上のようなそれぞれの値で提案がありまして、この委員会においておまとめいただいたというふうにいたします。あと細かい表現につきましては、先程申しましたように、私と事務局の方でまた修文させていただき、微調整をして取りまとめたいというふうに思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【内山委員長】 では、本日の議題はこれで終了ということで、その他について、事務局の方からよろしくお願いします。

【松田課長補佐】 本日は、ありがとうございました。
 委員長からもお話がありましたが、修正すべき部分も出てきたと思いますので、その点については修正をしていただいて、先程、森谷課長からも話がありましたが、今後、パブリックコメントの手続をとらせていただきたいと思います。事務局といたしましては、6月中下旬にでもパブリックコメントを行いまして、1カ月ほど期間をとっていきたいと思います。その後、パブリックコメントの結果と、これを踏まえた報告をまた次回の専門委員会でご議論していただきたいと思います。
 次回の専門委員会の開催時期については、恐らく8月の中旬以降になろうかと思います。また、その点については日程調整等行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 では、ちょうど時間も近くなりましたので、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうも長時間ありがとうございました。
 事務局から、その他ございますか。

【松田課長補佐】 本当に本日は長時間にわたってご審議、ありがとうございました。
 本日の議事要旨及び議事録については、各委員にご確認いただいた上で、公開することとさせていただきます。
 以上です。

【内山委員長】 では、どうも本当にありがとうございました。