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中央環境審議会大気環境部会
健康リスク総合専門委員会(第2回)議事録


  1. 日時  平成15年5月29日(木)9:30〜12:30

  2. 場所  経済産業省別館10階1014号会議室

  3. 出席者
    (委員長)内山 巌雄
    (委員) 浅野 直人  鈴木 継美  浦野 紘平
    香川  順  小林 悦夫  櫻井 治彦
    常俊 義三  中杉 修身  永田 勝也
    大前 和幸  佐藤  洋  中館 俊夫
    松下 秀鶴 村田 勝敬 横山 榮二
    (環境省)環境管理局長
    総務課長
    大気環境課長
    総務課課長補佐(総括)
    総務課課長補佐(環境基準担当)
    大気環境課課長補佐(未規制物質担当)

  4. 議題

  5. (1) 今後の有害大気汚染物質による健康リスクの評価のあり方について
    (2) 優先取組物質の検討状況について
    (3) その他

  6. 配布資料
  7. 資料1−1  中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿
    資料1−2  前回議事録(委員限り)
    資料2−1  今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(案)(総論)
    資料2−2  個別の優先取組物質について(案) 
    資料3−1  アクリロニトリルに係る健康リスク評価について
    資料3−2  塩化ビニルに係る健康リスク評価について
    資料3−3  水銀及びその化合物に係る健康リスク評価について
    資料3−4  ニッケル化合物に係る健康リスク評価について

       
  8. 議事

    【立川課長補佐】 定刻をやや過ぎてしまいましたが、ただいまから中央環境審議会大気環境部会第2回健康リスク総合専門委員会を開催いたします。
    それでは、お手元の配付資料のご確認を、お願いいたします。
    最初に議事次第というものがございますが、この一番下に配付資料という欄がございますので、この一覧に沿ってご案内申し上げます。
    まず一つ目、右上に資料1と書いてありますけれども、中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会の委員名簿、A4、1枚紙がございます。それから資料1−2と右肩にございますが、中央環境審議会大気環境部会の前回の第1回健康リスク総合専門委員会の議事録の案がございます。なお、この資料1−2につきましては、現段階では委員限りとさせていただいております。それから資料2−1といたしまして、今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(案)(総論)というものがございます。それから資料2−2といたしまして、個別の優先取組物質について(案)というものがございます。それから資料3−1といたしまして、アクリロニトリルに係る健康リスク評価について(案)というものがございます。それから資料3−2といたしまして、塩化ビニルに係る健康リスク評価について(案)というものがございます。それから資料3−3といたしまして、水銀及びその化合物に係る健康リスク評価について(案)というものがございます。それから資料3−4といたしまして、ニッケル化合物に係る健康リスク評価について(案)というものがございます。
    以上が本日の会議の資料でございますが、資料の不足、ございませんでしょうか。もしもありますようでしたら、事務局の方にお申しつけください。
    それでは、これ以降の会議につきましては内山委員長にお願いいたします。

    【内山委員長】 それでは、早速ですが始めさせていただきます。
    きょうはお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。きょうは盛りだくさんの議事が組まれておりますので、予定は12時半ですが、少し延びるかもしれないことをお許し願いたいと思います。効率的な議論をお願いいたします。
    まず、資料1−2の前回議事録、委員限りでございますが、お持ち帰りいただきまして、修正いただく点がございましたら6月5日までに事務局の方にご連絡いただければ、確定した後に公開させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
    早速議事に入りますが、まず議題の1は今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方についてということでございます。議論に入ります前に、この資料1−2でございますが、総論部分について、私の方からちょっとこれまでの経緯をまとめさせていただきたいと思います。
    前回の専門委員会で、指針値をつくるべきであるという点では、皆さんの意見も、おおむね一致したと考えております。また、これまでの有害大気汚染物質対策の経緯、課題を踏まえまして、科学的信頼レベルによる分類あるいは指針値の必要性、位置づけ及び活用方法について、前回の専門委員会におきまして皆様方からいろいろなご意見をいただきました。そこで、まずこれらの意見をメモの形で事務局に整理をしていただきました。その上で、物質ごとの数値の作業に先立ちまして、物質ごとに指名させていただきました担当委員と議論いたしました。この議論を事務局に整理していただきまして、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」という今回資料にお示ししたものをまとめて、案をつくっていただきました。このように物質担当の委員の意見も踏まえまして事務局において整理させていただきましたのが、この表の資料でございます。また、要約版として1枚紙の資料を用意いたしました。
    本日は物質ごとの各論について、できるだけ時間を割いてご議論いただくということにしておりますので、この総論の資料は事前に事務局より各委員にお届けしてご意見を頂戴するという形式をとらせていただいております。また、これにご提出いただいたご意見を反映して、きょうの資料が出てまいりました。ということで、これについては時間的制約がございますが、事務局にまず読み上げていただきまして、その後でまたこの場でご議論をいただきたいと考えております。
    それでは資料について、事務局の方からよろしくお願いいたします。

    【高橋課長補佐】 それでは、資料2−1について読み上げさせていただきます。
    読み上げる前に、この報告書の中で、「である」という表現と、最後に「ではないか」という表現がございますが、この「ではないか」という表現のところは一つの論点になるだろうというところで、事務局であえて「ではないか」という言葉にさせていただいております。きょうのご議論を踏まえてご了承いただければ「である」という表現に変えたいと考えております。
     それでは、座って読み上げさせていただきます。
     資料2−1、今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(案)(総論)。
    1.背景。
     1.1 今後の有害大気汚染物質対策のあり方を示した第6次答申(平成12年12月)において、次のとおり有害大気汚染物質に係る今後の検討課題が提出されている。(この答申に至るまでの経緯は(参考)参照)。「現在のところ、優先取組物質のうち、ベンゼン等3物質(注:現在は4物質)について環境基準が設定されている。他の優先取組物質(18物質)についても、定量的な評価結果に基づいて環境目標値を定めることが適当であり、引き続き健康影響に関する科学的知見の充実に努める必要がある。環境目標値については、環境基本法の環境基準とすることを含め、その設定がより促進されるべきである。」。
     1.2 優先取組物質のうち12物質については、現在、事業者による自主管理計画に基づいた排出抑制対策が進められているところである。
     1.3 これまで、この答申の前後を通じ、環境省においては、優先取組物質について精力的に科学的知見の収集・整理を進めてきた。
     1.4 今般、上記答申から一定期間経過していることも踏まえ、整理されたデータをもとに、有害大気汚染物質による健康リスクの評価に関する専門の事項を調査する「健康リスク総合専門委員会」において審議を行い、その結果をとりまとめたものである。

    2.有害大気汚染物質に関する課題。
     2.1 優先取組物質に係る科学的知見については、現時点で整理されたデータをみると、最も知見が充実しているとみられる物質でも、データの信頼度は、かなりの確度の信頼性を有するものの、さらに科学的知見の充実を要するレベルにとどまっている。環境大気以外からの曝露についての考慮が必要であるが、結論が得られていないなどの状況にある。
     2.2 一方、優先取組物質のうち測定が可能な19物質については、モニタリングが全国的に平成9年度から行われているが、4物質について環境基準が設定されている以外には、参照できる数値が示されていない。このため、これらの物質に係るモニタリングについては、WHO欧州地域事務局の大気質ガイドラインなど国際機関等の評価指標を参考として行っているものの、的確な評価をする上で困難性があるとの実施自治体等からの意見がある。また、土壌の浄化作業を行う場合の大気環境の管理のための客観的な基準の設定について検討を進めることが求められている。
    以上のことを踏まえ優先取組物質について、科学的知見が得られたものについては、環境目標値の設定が急務となっている。
    3.今後の環境目標値の考え方。
    (1)収集、整理された科学的データの状況。
    (データに係る基本的考え方)。
     3.1.1 有害性評価に係る定量的データは、主に疫学研究と動物実験から得られるが、疫学研究は、ヒトから直接得られるデータであることは重要度が高く、これまで環境基準の設定に当たっては、原則として疫学研究などヒトのデータに基づいて設定されてきているところである。
     3.1.2 一方、ヒトのデータがない場合は、動物実験のデータをヒトへ外挿することにより値を算出するのが一般的である。しかし、動物実験の場合、定量的データが比較的豊富に得られていても、現時点では、それをヒトに外挿するには不確実性が高い場合が多く、動物実験データに基づく値の算出は慎重に行うべきである。このため、動物実験データから算出する場合は、以下のような条件を備えたものに限られるべきではないか。
    ・観察された有害影響の発現メカニズムがヒトと共通であることが、ある程度の確度をもっていえること。
    ・ヒトの外挿手法が妥当であること。
    (収集整理されたデータの科学的信頼レベル)。
     3.1.3 健康リスク評価に当たり、有害性評価については、次の表のように定量的データの科学的信頼レベルに分けて評価を行う必要があると考えられる。
    別表、定量的データの科学的信頼レベル。
    I.環境基準の設定に必要な科学的信頼レベルの疫学研究又は動物実験から得られたデータに基づいて算出された数値。
    【表記方法】I。
    II.科学的信頼レベルがIに至らないものの、相当の確度を有する疫学研究又は動物実験から得られたデータに基づいて算出された数値であって、以下のいずれかの点においてさらなる科学的知見の充実を要するもの。
    a:疫学研究による場合。曝露に関する情報及び交絡因子の調整等。
    b:動物実験の場合。観察された有害影響の発現メカニズムの解明及びヒトへの外挿手法。
    【表記方法】IIa,IIb。
    III.動物実験のうちIIbの水準に達しない動物実験から得られたデータに基づいて、ヒトへの外挿により算出された数値(IIbの水準に達しない要因としては、例えば、観察された有害影響の発現メカニズムのヒトとの共通性、ヒトへの外挿方法があげられる)。
    【表記方法】III。
    (注)これ以外に定量的評価に適さないデータが存在する。
    (これらのデータの活用)。
    3.1.5 前記2の課題に的確に対応するためには、このような科学的知見についてさらなる充実を要する物質のうち、別表の整理のIIa又はIIbに該当するものについては、最新の定量的データをもとに、リスクに係る一定の評価をした上で指針となる数値を示していく手法を導入する必要がある。また、環境大気以外からの曝露についてなお検討を要する点で課題が残る場合についても、同様に指針となる数値を示していくことが可能と考える。
    なお、別表の整理のIに該当する物質については、必要に応じ環境基準の設定について検討されることとなる。
    (2)「指針値」の設定。
    3.2.1 健康影響に関する科学的知見の更なる充実を図ることという答申を受けて、今後、有害大気汚染物質対策を進めていく上では、[1]科学的知見を収集、整理し、常にアップデートするよう引き続き努めていくとともに、[2]科学的知見についてさらなる充実を要する等の状況にある物質についても、最新時点で得られている一定の条件を充足するデータをもとに、一定の評価を与えていく手法を導入する、という基本的考え方に立脚すべきではないか。
    3.2.2 この基本的考え方のもとで、環境基準の設定について検討すべき物質があるかどうか検討を加えつつ、上記(1)のデータの制約も考慮すると、データの信頼レベルが上記(1)のIIa又はIIbに該当する物質及びIに該当する物質のうち環境大気以外からの曝露についてなお検討を要する物質を対象として、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下単に「指針値」という。)を設定してはどうか。
    (注)外国の例では、この指針値に該当するものとして、WHO欧州大気質ガイドラインなどがある。
    (3)指針値に係る留意事項。
    3.3.1 基本的には長期的曝露による有害性を未然に防止する観点から検討されるものであることから、指針となる数値を短期的に上回る状況があっても、直ちに人の健康に悪影響が現れるような性格のものと解するべきではないと考えられる。
    3.3.2 有害性評価に係るデータの制約からみて、暫定的な性格を有するものと判断すべきであり、新しいデータや知見の集積に伴い、随時、見直していく必要がある性格を有する。
    3.3.3 指針値はこのような性格を有するものの、リスク低減の観点から、このレベルが達成できるように排出抑制に努めるべきレベルとして理解することが妥当ではないか。ただし、大気モニタリング結果が指針値を下回ったとしても、さらに可能な限りの排出抑制の努力が望まれることに注意すべきではないか。
    (4)指針値の設定手順。
    3.4.1 指針値の算出の具体的な手順は、別紙のとおりとすることが適当である。
    別紙につきましては、7ページになります。7ページの方を、先に読み上げさせていただきます。
    7ページ、別紙、指針値算出の具体的手順。ここで下線が引いてございますのは、前回、この別紙を提出いたしましてご議論いただき、意見が出たところについて修正したところでございます。
    1 有害性評価。
    (1)環境省が実施している大気環境基準等設定調査で得られた知見に基づき、発がん性(遺伝子障害性を含む)、発がん性以外の有害性別に定性評価に資する文献を抽出、整理し、定性評価を行う。
    (2)次に、これらの文献から定量評価に資する文献を抽出し、そこから得られる定量的データが別表の信頼レベルのどれに対応するデータかを整理し、信頼性が高いデータに基づいて指針値を算出する。なお、発がん性と発がん性以外の有害性がともに算出可能な場合は、発がん性、発がん性以外の有害性ともに指針値を算出する。
    (3)指針値の算出は、原則として別表の科学的信頼レベルI又はIIに相当するデータから算出することとする。この場合、疫学研究及び動物実験ともにデータが得られる場合は、疫学研究から得られたデータに基づいて算出することとし、動物実験からしかデータが得られない場合であって、吸入曝露実験とそれ以外の曝露実験からデータが得られる場合は、原則として吸入曝露実験から得られたデータを重視する。
    (4)具体的な算出方法は、発がん性について閾値がないと判断される場合はベンゼンの例に習い、平均相対リスクモデル等を用い、閾値があると判断される場合や発がん性以外の有害性についてはNOAEL(No Observed Adverse Effect Level、無毒性量)等に不確実係数をかける方法によることとする。この場合、諸外国において実施された信頼できる評価例があるときは、これを参考にすることとする。
    (5)指針値の算出において利用する曝露に関する情報は、原則として大気経由の曝露のみを取り扱うこととする(ただし、他の経路の曝露について、その評価が既になされている場合は、これを活用する)。
    なお、他の経路を考慮することが極めて重要な場合には、不確実係数の考え方を援用することについて検討する。
    (6)別表の信頼レベルIに相当するデータが得られる物質であって、環境大気以外からの曝露についての考慮を特に要しない、又は、考慮のあり方の検討が別途なされている物質については、算出された数値は取り敢えず指針値として位置付け、さらに専門的かつ多面的見地からの検討のため、環境基準専門委員会における審議に付す。
    2 曝露評価。
    (1)評価に使用するデータは、環境省が実施している大気環境基準等設定調査で得られた知見に基づき実施する。
    (2)一般環境大気に係る曝露評価は、大気モニタリングデータなどを使用する。また、発生源の周辺環境に係る曝露評価は大気モニタリングデータ及び信頼性の高い文献から得られた数値のうち最も高い数値を使用する。
    3 総合評価。
    (1)有害性評価と曝露評価により得られた数値とを比較して現時点におけるリスクを評価する。この場合、発がん性、発がん性以外の有害性ともに指針値が算出される物質については、低い方の数値を採用する。
    (2)定量的データが別表の科学的信頼レベルIIIに相当するデータ(「参考情報」)しか得られない物質の評価方法については引き続き検討を要する。
    もとのページに戻っていただきまして、4ページでございます。
    4ページの(4)指針値の設定手順、3.4.2、化学物質の生産量、種類は年々増加していることから、諸外国において実施された信頼できる評価例がある場合はこれを活用するなど、科学的合理性のあるデータが新たに得られた場合には、順次、迅速に指針値を設定、改訂していくことが求められる。
    3.4.3 また、個別事例において優先取組物質以外の物質が問題となる場合や、PRTR制度によって大気への排出量が有意に大きい物質が優先取組物質以外の物質である場合なども想定される。このように優先取組物質以外の物質で指針値を算出する必要が生じる場合、これに迅速に対応できるような配慮が必要である。
    4 指針値の性格からみた活用方法。
    (1)活用に係る基本的方向。
    4.1.1 指針値は、環境基準に比べて、不確実性が比較的大きいことから、環境基準のように大気中濃度がそれ以下であれば健康上問題が生じないレベルとして設定することは困難である。指針値はこのような性格を有するものの、人の健康に係る被害を未然に防止する観点から、科学的知見を集積し、評価した結果として示すものであり、現に行われている大気モニタリング・事業者による排出抑制の評価指針として、その取組をより適切なものとする観点から以下のような機能が期待される。
    (指針値の機能)。
    ・大気モニタリングの評価に当たっての指標。
    ・事業者による排出抑制努力の一つの指標。
    なお、このほかの機能については、指針値の性格を踏まえつつ具体的に検討する必要がある。
    4.1.2 以上の機能は互いに独立なものではなく、相互に関連しあいながら最終的には有害大気汚染物質の大気からの曝露による健康リスクの低減に資するものであると考えられる。
    4.1.3 なお、次のような最近における有害大気汚染物質対策の現状と照らし合わせてみると、この機能が発揮される環境は整っているものと考えられる。
    ・大気モニタリングが全国自治体において約300地点で実施されており、環境基準が未設定である物質について、何らかの評価指標が求められていること。
    ・自主管理計画に基づく事業者による排出抑制努力が払われており、成果が上がっていること。
    ・大気汚染防止法の有害大気汚染物質に係る排出抑制努力の責務規定及び新たに導入されたPRTR制度により化学物質の排出実態の把握が進むことなどにより、事業者の化学物質に対する意識は大きく変化しているものと考えられること。
    (2)具体的活用方法の検討。
    4.2 当専門委員会は健康リスクの評価を行う場であり、上述のような指針値の活用に係る基本的方向を示すこととするが、具体的活用方法・施策については、今後、有害大気汚染物質の排出の抑制に関する専門の事項を審議する場である排出抑制専門委員会において具体的な検討がなされる必要がある。
    5.今後の課題。
    (科学的知見の収集、整理)。
    5.1 今回定める指針値は、相当の確度の信頼性を有する有害性評価に係る調査研究から設定したものであるが、さらなる科学的知見の充実を要することから暫定的な性格を有するものと判断すべきであり、新しいデータや知見の集積に伴って、随時、見直していく必要がある。
    5.2 優先取組物質のうち、今回、指針値を示し得なかった物質については、今後、事務局において科学的知見の収集、整理に努めるべきであるが、この作業が順調に進むことを前提に、早期とりまとめを目指すことが望まれる。
    5.3 今回の作業では定量的データの科学的信頼レベルIIa又はIIbのものについては指針値を設定し、それ以外のものについては今後さらにデータの収集、整理を行うこととし、今後の検討に委ねた。
    (指針値の設定が困難な物質に係る取扱い)。
    5.4 また、今後の作業を通じても人の有害性評価に係る定量的データが動物実験からしか得られず、そのデータが指針値の算出に用いられるデータの水準に達していない物質(定量的データの科学的信頼レベルIIIのもの)が残ると見込まれる。このようなデータについても、有害性に関する相対的な程度を把握するための一定の参考となる情報である。したがって、これを「参考情報」として数値の根拠を含めて(複数ある場合もあり得る)示していくことには意義があるのではないか。

    【内山委員長】 ありがとうございました。
    それでは、これについてご議論いただきますけれども、先ほども申し上げましたとおり、きょうは個別物質についての議論を主として行いたいと思っておりますので、また、これはあらかじめお配りしてご意見もいただいて修正も踏まえておりますので、本日の議論は30分ぐらいにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    【浅野委員】 名称のことが前回かなり論議されたのですが、その議論を踏まえて適切な名称を考えていただいていますので、このペーパーで私は大体いいのではないかと思っておりました。
    今、拝見してみて1カ所、気になるところが出てきました。ほとんど「ではないか」と書いてあるところは余り問題がないと思っていたのですが、2ページの動物実験データのところです。単にロジックの問題にすぎないのですが、「定量的データは、」というのが最初に出てきて、3.1.1です、ここで言っている定量的データというのがIレベルのことだけを指している定量的データという意味合いで使われているとすれば、3.1.2のところの「限られるべきではないか」というのも意味があるのですけれども、後の方ではIIというのが出てきて、IIのbというのがあるわけです。そこでもデータが出てきますし、後の方でも「外国のデータで信頼すべきデータがあれば」というような言葉が出てきますから、「定量的データ」という言葉が、どうも後の方ではIの場合だけではなくてIIの場合を含めて使われているという可能性が大きいですね。そうすると、「限られるべきではないか」と言い切ってしまうと、環境基準の設定という場面ではこれでいいのですけれども、IIの場合はちょっとそこがおかしくなりはしないか。
    もし、「限られるべきである」という言い方を残すのであれば、どういう場合に限られるべきだということにするということになりますけれども、それよりも、ここはふんわかと全体を書いているという、そういう感じでありますので、むしろ後の方に出てくる「より信頼性の高いデータとして評価すべきだ」という表現で十分足りるのではないかと思うのです。つまり「限られるべきだ」と言い切ってしまわないで、それは、より信頼性の高いデータだと評価をするのだということにしておけば、IIのbのところの話ともつながるような気がしたのですが、そういう理解は間違っていますでしょうか。事務局の方で、ちょっとお考えいただきたいのです。もし、私の理解が間違っていれば訂正します。

    【内山委員長】 事務局、よろしいでしょうか。

    【高橋課長補佐】 指針値を設定するための定量的データという意味で、3.1.1と3.1.2、両方を使っておったつもりなのですけれども。

    【浅野委員】 そうですか。では、IIのbの場合も、あえてこういう表現だということでいいわけですか。

    【高橋課長補佐】 はい。

    【浅野委員】 「外挿方法が妥当であること」と言い切っておいて、それで外挿方法にさらなる科学的知見の充実を要するものがIIのbであるということの間に矛盾はありませんか。妥当であるというのがIレベルの妥当性とIIbレベルの妥当性と二つ、両方妥当であるという、下の丸ポツで表現してしまうことになりますでしょう。それでいいなら、それでもいいのですが、しかし何となく気にはなるのですけど。

    【高橋課長補佐】 そうですね。少し工夫したいと思います。

    【内山委員長】 そのほかに。

    【小林委員】 よろしいでしょうか。7ページの指針値算出の具体的手順のところですが、これの1の(2)、データの整理のところで、「そこから得られる定量的データが別表の信頼レベルのどれに対応するデータかを整理し、」、ここで先ほどの資料、2ページの別表の定量的データの科学的信頼レベル、ここのI、II、IIIで整理をし、というふうに書かれておきながら、その後で「信頼性が高いデータに基づいて指針値を算出する」と書いてあるのですね。データを整理した段階でI、II、IIIに整理をされてしまったとしたら、次の「信頼性が高いデータ」というのは何を示しているのかIIならIIというふうに示してしまった方が後の整理が楽なのではないかと。ちょっとその辺、気になるのですが。

    【内山委員長】 今おっしゃったのは、まず信頼レベルがどこかで分けてしまっているのだから、それの中でまた信頼性が高いデータというのがちょっと矛盾するということですね。

    【小林委員】 別表の手順という具体的な手順を書きながら、その前のデータの整理のI、II、IIIというのが全く使われていないのです。ですから、これを分けたのはなぜなのだろうということになってしまうわけです。

    【高橋課長補佐】 こちらは報告書等、分類調査等をする際の具体的な作業手順を想定して流れをつくったものでございますから、この辺のところはちょっと混乱しているところもあるかもしれません。再度、ここも検討いたします。

    【内山委員長】 香川委員。

    【香川委員】 3ページのところです。3ページの3.1.5の一番下のところ、「なお、別表の整理のIに該当する物質については、必要に応じ環境基準の設定について検討されることとなる」というところです。IもIIaもIIbも、最初に指針値を出し、いきなり環境基準の設定をするわけではありません。だから、この別紙の指針値算出の具体的手順の7のところにも、「(3)指針値の算出は、原則として別表の科学的信頼レベルI又はIIに相当する、データから算出する」となっているので、3ページのところは書きかえる必要があるのではないかと思います。
    それから5ページのところの4.1.1です。「指針値は、環境基準に比べて、不確実性が比較的大きいことから、環境基準のように大気中濃度がそれ以下であれば健康上問題が生じないレベルとして設定することは困難である」。私は、ここの文章は全部削除した方がいいと思います。これは誤解を与えます。ここの文章は3行目の「指針値は」で「このような性格を有するものの」というのを取ってしまって、「指針値は、人の健康に係る被害を未然に防止する観点から」というふうにした方がいいのではないかと思います。
    以上です。

    【内山委員長】 事務局、何かお考えはありますか。

    【高橋課長補佐】 先生、もう少し、誤解を与える理由というのをご説明いただければ。

    【香川委員】 「指針値は、環境基準に比べて不確実性が比較的」、これは私は事前に意見を述べさせていただいたのですけれども、環境基準は、不確実性が少ないデータに基づいて決められているのかというと、決してそうではないと思うのです。環境基準は、有害性のプライオリティーに基づいて決められるのであって、科学的な知見が不十分であっても非常に有害性が高いとか、あるいは環境中に濃度がかなり高く検出されるとか、放っておくと公衆衛生上よくないというときに、より規制力の強い環境基準に持っていくのであって、環境基準を決める前には必ず指針値を評価するから、いきなり環境基準を決めるわけではないです。ですから、ここの2ページのところのIのところも、これはこれで直っていると思うのですけれども、後のところは少し整合性がとれていない。環境基準だって、不確実性は結構大きいわけですから。この文章でいくと、環境基準というのはかなり科学的な知見が充実されていて決められたものであるけど、指針値はそうじゃないのだという印象を与えますので。要するに、指針値と環境基準というのは私は全然違うものだと理解しています。そうすると、これを普通の人が読んだときに、指針値は、それ以下でなければ健康上問題が生じるのかというふうにもとられる可能性があります。そうではないと思うのです。それで、ここは私は、むしろ取ってしまって、わざわざこんなことは書く必要がないのではないかと思うのですけれども。

    【内山委員長】 これは環境基準と指針値をどういう性格でつくるかという最初の議論に戻ってしまいそうなのですが、前回までのご議論では、一応環境基準をつくるまではいかない、ある程度まだ議論が続いているものについて、少し不確実性は残るけれども指針値として示そうではないかというような議論で来ていたと思うのですが。ほかの委員のご意見はいかがでしょうか。

    【櫻井委員】 大体、香川委員と同じような意見で、例えば指針値の場合は不確実性が大きいから不確実係数もたくさんかけているということであります。あくまで予防的に未然防止という立場で低めにとっていると思うのです。ですから、このようにそれ以下であれば健康上問題が生じないレベルというような、評価的な言葉は入れない方がいいというふうに感じます。

    【内山委員長】 なるほど、指針値…。そうすると、今…。

    【笹谷総務課長】 それでは、その辺、表現の仕方も含めて若干誤解を招くようですので、表現の仕方、今の香川委員、櫻井委員のお考えを頭に置きまして、表現ぶりについて工夫したいと思います。

    【永田委員】 よろしいでしょうか。今の話は結構重要なのではないかと思います。先ほどお話があった、指針値をまず決めて示して、その後で環境基準―その中からですね―なるものが出てきます。そういう考え方の話になってくると、ここに書いてある指針値の書き方って相当注意しないと、暫定的だとか、不確実性の話だとかといろいろ書いてあるので、そういう物質ももちろん取り上げてはいるのですけど、そうではないものも含めて考えていくのですよという話になってくるのだと思うのです。そうすると随分変わってくるのではないかなという気がしていますので、今の点、事務局の方で少し見ておいていただいた方がいいのではないでしょうか。
    それから、ちょっと細かい話で恐縮なのですけど、2ページ目の頭のあたりで、3のところに入る前の文章です。「科学的知見が得られたものについては」と書いてあるのですけど、前の方で科学的知見のレベルをいろいろ議論しているわけで、何か、この書き方だと非常に大ざっぱな形になっているなと。一定レベルに達した科学的知見があるものについてという話になってくるのだと思うので、ちょっとここのところは気になる表現ですし、それからその上の土壌浄化の話だけが書いてあるのですけど、これは確かに重要な話かもしれませんけど、それ以外のもの、例えば農薬の話だとか、いろいろ出てくるのではないかなと思いますので、これも余り断定的にというか、これだけだという書き方ではなくて、「など」とかいうような言葉を入れてもらっておいた方がいいと思うのですね。
    それから4ページ目のところで、指針値の設定手順のすぐ上の文章なのですけれど、ここに、思想的にわからないわけではないのですけれど、「さらに可能な限りの排出抑制の努力が望まれることに注意すべきではないか」という文章が入っているのですけれど、これまでも幾つかの物質については先行的にいろいろ取り組みをし、環境基準が設定されているものはそれをクリアするような努力をし、それ以外のもの、指針値があるようなものにもそれに対して対応してきたわけですけれど、そういう中で、できるだけ相対的な評価の中でこれからも取り上げていかなくてはいけない物質を含めて、総体として下げていく努力、それぞれの健康影響に対してリスクを下げていく努力が必要だろうという話なので、何かこれ一つの物質に注目して、それだけを極端に下げていこうとかという話ではないのだろうと思うのです。ここの文章だけを読むと、何かそんなような表現になっていってしまうのではないかなという気がしますので、ちょっと書き方を工夫してもらった方がいいのかなというのが4ページ目のところです。
    それから8ページ目で総合評価というのが出てくるのですけど、これは先ほどの具体的手順ですか、ここの中で、総合評価の1番目の文章の中に有害性評価と曝露評価、それでリスクを評価すると書いてあるのですが、この「リスクを評価する」というのはどういう意味なのでしょうか。「この場合」と書いてあって、その下の方ではそれぞれ出てきた指針値の低い方をとりますよというだけが書いてあって、ここで改めて評価して指針値を決めていくという話なのでしょうか。そういう意味では曝露評価からそんなに問題がないと結論が出たものは指針値は決めないのだという話になるのですか。それと先ほど出てきたような、できるだけこういうものも低減させていく、あるいは一定の目安みたいなものが必要なのですよということの議論と、地方自治体が計測したような、例に対して比較する対象として、その話とを比べていくと、結局はみんな指針値というものを出していくのだろうと思うのです。この「リスク評価」というのはどういう意味なのかというのを、ちょっと教えていただけませんか。

    【内山委員長】 一つ一つ答えていると大変なのですが。

    【笹谷総務課長】 まとめて。永田委員の話、いずれもちょっと詰めが十分ではないところをご指摘いただきまして、大変ありがとうございます。
    最初の農薬もあるのではないかという、土壌のことに…。

    【永田委員】 土壌だけではなくて、いろいろなものがあると思うのです。

    【笹谷総務課長】 土壌だけを書くという意図はありませんで、これが特に重要だということで書いたものですから。そこは例示的に整理できるかどうか、内部的に検討させていただきたいと思います。
    それから4ページでいただきました、「さらに可能な限りの排出抑制の努力が望まれる」というところの整理の仕方につきましては、一般論を書いているつもりでございますので、そこについては先生がおっしゃったような、ある物質だけに特定の議論にならないよう表現の仕方にやはり工夫が要ると思いましたので、ちょっと引き取らせていただければと思います。
    それから、最後のところの8ページの総合評価というところの「リスクを評価する」という表現ですが、これは表現の問題でありまして、端的に言えば結果の数値を決めるということです。ここで改めて評価するのではなくて、上の評価を全部整理したものの結論を出すという以上の意味はありません。何か、改めてここでリスク評価を再度行うような印象が出ているようですので、ここはちょっと専門家とも相談しまして、表現の仕方について工夫をするということにしたいと思います。
    その他の点につきましても、ご指摘を踏まえまして対応可能かどうか、次回までに少し内部的な調整をさせていただければと思います。

    【内山委員長】 どうぞ。

    【鈴木委員】 櫻井委員がおっしゃった話を伺っていて、ちょっと気になったのですけれども。不確実性が高ければ高いほど係数が大きくなっていって、どんどん小さな値が出てくることになるわけです。だからNOAELに不確実係数からくる、割り算するというような単純にその手法をアプライすると、とんでもない論理矛盾が起こるのではないかと。要するに、わからないものほど低い数字になってくるという、次第にゼロを目指すことになるような論理の構築になってしまいかねない。だから、それは実際に操作するときに何か考えないといけない問題ではないかと思ったのですが。

    【内山委員長】 よろしいですか。

    【櫻井委員】 若干の違いはあると思うのですが、基本的には鈴木委員のおっしゃったことで、私の先ほどの表現はちょっと不十分だったかと思っています。それほどの違いはないですね、実際には。

    【内山委員長】 先ほどの香川委員の環境基準をつくる前に必ず指針値があるとおっしゃったのですが、それはちょっと意味がよくわからなかったのですが。指針値をつくって環境基準を今までつくってきたとおっしゃったのは。

    【香川委員】 どこの国もいきなり環境基準を決めているわけではないですよね。データベースに基づいてNOAELを評価したりとか、それにある程度の安全係数を掛けたりして、ガイドライン値を出しているわけです。いわゆる指針値を出して、そして、その指針値に基づいて、欧米ですと、経済的な、社会経済に与える影響とか技術的な問題とか、これは政策的なことを考えて環境基準にしていくわけで、したがって、4ページの3.2の「外国の例では、この指針値に該当するものとして、WHOの欧州大気質ガイドラインなどがある」と書いてありますけれども、このWHO欧州大気質ガイドラインの原本を見ていただくと、その総論の中にガイドラインからスタンダード設定の手順というのがちゃんと書いてあるのです。わざわざこういうものをここに書くのであれば、やはり国際的にも理解できるようなものにしていただきたい。
    それから我が国も従来、今まで環境基準を設定して、大気の場合、NO2とか、そういったものも、まず指針値的なものを出して、それに基づいて環境基準専門委員会が環境基準を設定しているわけです。SO2とか、今我が国で5つ決められている大気汚染物質については、NO2以外は環境基準専門委員会が環境基準値というのをいきなり出してしまっているわけです。それを当時の公害対策審議会が採択しているという形になっていて、委員会もたしか「環境基準専門委員会」という言葉を使っていたと思います。それはよくないというので、NO2のときには環境基準専門委員会ではなくて、判定条件等について〜という長たらしい名称の委員会になっていて、指針を出しているわけです。指針を出して、その後、環境基準に設定しているわけで、いきなり環境基準をつくっているのではないと思います。
    ですから、例えば、後でここに出てきているニッケルとか水銀とか、こういうのも今はいわゆるクライテリアドキュメントで、指針値を出すまではこれは純粋に科学的な作業、サイエンティフィックなエバリュエーションであって、環境基準は私は違うと思うのです。そこをはっきり区別していないから、ここの資料の2−1は一部直っていて全体的に見るといろいろと不整合が出てきて、いろいろな方の意見が出てくるのだと思うのです。だから環境基準と指針値というのは、これは私ははっきり区別すべきだと思います。そうでないから、データの質がIについたものについては環境基準を決めるとかというような文章がまだ一部残っていたりしているので、そこをきちんと区別すべきだと思うのです。データの質がきちんとしているから環境基準をいきなり決めるのではなくて、データの質はきちんとしていても、委員会では指針的なものを決めて、そしてそれを環境基準にするかどうかというのはまた別の話だと思います。

    【内山委員長】 多分、そういうニュアンスで書いておられるのですよね。ですから、この指針値も、ここで決めるのではなくて、多分もう一つ上の中央環境審議会のところで、これは指針値としますという、もうワンステップあると私は解釈していますが、それでよろしいですね。

    【香川委員】 ですから、そう…。

    【内山委員長】 ですから、この指針値は環境基準にまでステップアップできるのではないかという判断は、またそこでしていただくのではないかと思うのですが。そういうことで、ただ、今まで専門委員会が出していたものと、それからここの指針値が混同されないように、最終的にはもう一つ上の審議会で、環境基準専門委員会のところで、これは環境基準にするにはもう少しこのレベルが上がらないとということで、そのまま指針値にしておこうとか。

    【香川委員】 いや、ですから環境基準を…。これ、時間ばかりとってしまって申しわけないのですけれども。

    【内山委員長】 これ、ちょっと収れんしておかないと、全然修文ができないと思いますので。

    【香川委員】 私が言いたいのは、環境基準を決めるときに、この文章でいくと、2ページのIに相当するデータが得られないと環境基準の設定が難しいというニュアンスになっているわけです。それで、IIa、IIbについては指針値を決めるというふうになっているわけです。私は、そうは思っていないのです。IIa、IIbであっても、その物質が非常に公衆衛生上対策を要して、指針値だけではなくて、もっと規制力の強い環境基準にして規制していくということだって起こり得るわけですから、環境基準と指針値というのをはっきり区別していないから、こういう議論が起こってくるのだと思うのです。あくまでも、ここで決めているのは指針値なのであって、データの質がIだから環境基準を決めるとか、そういうものではないと思うのです。データの質がIであっても、指針値をまず専門委員会で科学的な評価に基づいて決めるべきだと思うのです。

    【内山委員長】 おっしゃることはわかります。いわゆる環境基準はマネジメントが多少入っている。ここは、リスクアセスメントまでの段階のものを指針値という段階でお考えになっていて、それをさらに、重要性ですとか、曝露の重大性ですとか影響の重大性、あるいはその他の実現性を加味してマネジメントの段階でつくったのが環境基準だと。ですから、指針値と環境基準はつながるものではなくて全く別のものだというふうにとらえた方がいいのではないかというご意見。

    【香川委員】 ええ。別のものと言ったって、結局、環境基準を出す前に指針値を科学的な作業に基づいて決めるべきなのであって、先ほど言いましたように、3ページの3.1.5の「なお、別表の整理のIに該当する物質については、必要に応じ環境基準の設定について検討されることとなる」というのも、何かおかしくなってくるわけです。

    【横山委員】 ちょっといいですか。香川先生のおっしゃることは部分的には正しいのですけれども、香川先生がおっしゃっているガイドからガイドライン、それから環境基準という流れは、それはそのとおりだと思います。実際問題としてベンゼン以降の環境基準専門委員会が出している報告はガイドでございまして、環境基準の答申はしておりません。そこのところは、ちゃんと環境基準専門委員会がガイドを出し、それを環境審議会で審議していただいて、環境省に上げて、環境省が環境基準を設定するという流れに、現在なっております。
    それと、香川先生がおっしゃっているいわゆる指針値と、ここで言っている指針値は少し違うというふうにお考えになった方がよろしいのではないかなと僕は思っておりますけれども。
    以上でございます。

    【松下委員】 ここで言われる指針値は、確かに今、横山先生が言われるように、香川先生が言われた指針値とは違うと思います。これは行政対応のために指針値をつくって行政が対策をやりやすくするというものだと思います。
    ちょっとお願いなのですが、ここで、Iに対応するものは原則として環境基準専門委員会の方に回すように書いてあります。ただし、その中で、4ページの3行、4行ですが、「Iに該当する物質のうち環境大気以外からの曝露についてなお検討を要する物質」も指針値の対象とする、と書いてある。一方、6ページのところには「今回の作業では定量的データの科学的信頼レベルIIa又はIIbのものについて」ということだけ書いてあるのですが、Iに属するものも一部入るのではないかなという気がします。その辺、ちょっと直していただけた方がいいのではないかと思います。

    【内山委員長】 それでは、中杉先生、もう少しちょっと。

    【中杉委員】 今の議論なのですが、私もここで言っている指針値というのは必ずしも環境基準前提というわけではないと思います。ここで書いているのは、この総合専門委員会で指針値を決めるときの委員会としての意見ですので、多分ここは、「なお」以下のところです、「検討されることとなる」というような、断定的に決めていますが、「ことが望まれる」という話だろうと思います。指針値の中で我々はいろいろつくりますけれども、その中でIのものについては環境基準専門委員会の方で基準としてやることを検討してくださいということを、ここで委員会の意思として表明しておくということで、そういうふうな表現であれば誤解がないのかなと思いますけれど。

    【香川委員】 ちょっと、本当に時間をとって申しわけないのですけれども、これ言葉の定義がもうごちゃごちゃになってしまっているのです。1ページのところ、1.1のところです。「環境基準が設定されている」と。それで、「定量的な評価結果に基づいて環境目標値を定めることが適当であり、引き続き、健康影響に関する科学的知見の充実に努める必要がある。環境目標値については、環境基本法の環境基準とすることも含め、」と。だから、横山先生がさっきおっしゃった指針値は環境目標値的なことを言っているので、そうすると環境目標値という言葉があるのだったら指針値は私は、横山先生がおっしゃったのは、環境目標値イコール指針値のことをおっしゃっているような。

    【浅野委員】 ではないです。

    【香川委員】 いや、指針値だけれども…。

    【内山委員長】 ですから環境目標値として、それを環境基準にするかどうかを決めていく。今回は環境目標値ではなくて…。

    【香川委員】 横山先生がおっしゃっているのは、ここで決めている指針値は、私の言っている指針値ではなくて環境目標値に近いような指針値を言っているのだとおっしゃっているのだと思うのです。そうすると、これを読む人は…、「環境基準」という言葉が出てきて、次に「環境目標値」という言葉が出てきて、それでまた「指針値」という言葉が出てくる。その前後の定義が、はっきりここで示されていないのです。

    【浅野委員】 示されていないというよりも、この最初の1ページのところは、前に我々が審議会で出した答申をそのまま書き写しにされているのです。環境基準を全部の物質についてつくることは無理だろうと考えたものですから環境目標値をつくってほしいと書いたのであって、環境基準までいけるものは環境基準にしてください、そうでないものについても何かなきゃいけませんねと言ったものの、そこで指摘しておいた何かなきゃいけませんが今までほったらかしになっていたので、今回それが出てきたということです。
    4ページに書かれている言葉は前回の議論を踏まえた表現だと思うのですが、「環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値」、こういう、割合に上手な表現になっていると思うのです。それを「指針値」と略していますから、略した途端にそれがサイエンスの世界の言葉になってしまって話が混乱するのですが、もともとこれは略語であって、正式名称は環境中のリスクの低減を図るための指針となる数値。だから、その「指針となる」という表現の中に、今、横山先生がご指摘になったような、包括的な広い意味での環境目標値ということが出てきているということだと思います。
    環境基準の中でも人の健康に係る被害を未然に防止する観点からの環境基準は従来からサイエンスをベースにしてやってきたと皆が考えてきています。政策的考慮をかなり働かせて基準値を定めるのは生活環境に係る環境基準であったという理解があります。ただ、そうはいうものの、ベンゼンのときにいみじくもはっきりしましたけれども、リスクレベルで考えなくてはいけないようなものになるとサイエンスだけではもうどうにもなりません。あのときは目をつぶって10−5で手を打ってしまったわけですが、そういう環境基準が入ってきていることも事実であります。しかし、閾値があるものについては今までちゃんと閾値できちっとやってきたということを役所の方も考えていますし我々も考えていますから、人の健康に係る環境基準であれば、やはりここに書いてあるような表現。この「健康上問題が生じないレベルとして」という表現は、ちょっと表現を考えた方がいいと思いますけれども、生活環境のところでの政策的な考慮というのと、人の健康に関しての環境基準への考慮というのは、かなりやはり質を異にしてきたと思います。
    公害対策基本法は人の健康については、もともと67年の制定当初からも一切経済との調和を認めていなかった。生活環境は経済との調和を認めるという、最初からそういう約束事の中で動いてきていますから、それから言いますと、指針値が環境基準の設定のときに人の健康に係る被害を防止するために維持・達成されることが望ましい基準というところまではっきり言えるかどうか、やや疑わしくても、それについての目標を決めましょうという話をしているという流れであります。全体に、これだけの短い文章だけですべてを語り尽くすことが難しいのであれば、外に出すときはもっと丁寧に説明する文章をつくる。とりあえず、これは我々の整理のためということでありますから、今のような理解が大体大方の理解であるならば、それを前提にして議論を進めていけばいいのではないかと思います。

    【香川委員】 いずれにしても、ここの定義をきちんと。

    【内山委員長】 わかりました。根本は、お考えになっているところは大体委員の間で一致していて、その定義の問題あるいは指針値という言葉がひとり歩きするときの従来の環境目標値との違い、それから環境基準ができるときの流れというのをもう少し整理すれば、皆さんの合意が得られるのではないかと考えております。
    常俊先生、何か。

    【常俊委員】 浅野先生が今言われたとおりだと思うのです。そのために第1回の会議でリスク指針値をどう見るかという議論があったのだろうと思うのです。その中で今の議論というのは言い尽くされているのではないかと。あとは表現は言葉の問題で、どう提言するかということに尽きるのではないかと思いますけれども。

    【内山委員長】 わかりました。大体予定しておりました10時半ぐらいになってしまいましたので。きょうの議論は根本的なところではなくて多少文言の、あるいは文章のまだ不十分なところがありますけれども、基本的なところでは合意をいただいたというふうに思ってよろしいかと思います。あとは細かい字句の修正等もご指摘いただきましたので、それにつきまして事務局に整理をしていただいて、次回の専門委員会にもう少し修正したブラッシュアップしたものをご提出したい、印刷していただきたいというふうに考えておりますが、事務局、それでよろしいですか。
    どうもありがとうございました。それでは、本論。

    【高橋課長補佐】 どうもありがとうございました。それでは、ちょっと整理の方に入らせていただきますが、先ほど最初に申し上げましたように、これは論点の整理という観点から「…ではないか」というようなトーンでまとめているところがありましたが、きょうの議論があった部分については、少しそこに補足をしながら「…である」というふうに整理する文章にいたしたいと。また、議論がなく大体コンセンサス形成であろうと思われる部分につきましては、「である」という形にした報告書のスタイルにするべく整理をさせていただければ。そういうことで、委員長、よろしいでしょうか。

    【内山委員長】 はい。それでは、そういうことで進めさせていただいて、次回のときには細かい点の修正でなるべく仕上げたいと思っております。
    それでは、次に議題2として優先取組物質の検討状況についてということに進みたいと思います。
    これは各論部分になるわけですが、この各物質に係る作業について、これまでの検討の経過報告を私の方から、まずさせていただきたいと思います。
    第1回のこの専門委員会におきまして、委員の皆様のご了解を得まして、物質ごとの評価作業をお願いする担当の先生を決めさせていただきました。有機化合物につきましては大前、中館、両委員、それから無機化合物につきましては佐藤、村田、両委員、曝露評価につきましては中杉委員ということで決めさせていただきました。担当の先生方と事務局といろいろ連絡をとってやっていただきまして、精力的に作業を、短い期間でございましたが、非常にご苦労をいただきまして作業を進めていただきまして、節目節目でこれらの担当委員に加えまして、常俊先生それから横山先生にもご参加いただきまして、4月から5月にかけて、私も出席いたしまして都合3回の打ち合わせを実施いたしました。
    1回目は専門委員会で議論となりました事項の論点を整理いたしまして、先ほどご審議いただいた総論の枠組みもこの委員会で整理をいたしました。また文献のレビューを行って、主な文献を持ち寄っていただきました。2回目は物質ごとに担当の先生方からご報告をいただきまして、指針値の設定に向けて考え方の整理を進めました。3回目は文献整理を整えながら、各物質の指針値設定に係る基本的な枠組みを構成してまいりました。
    以上の作業の流れにつきましては資料2−2に状況を整理しておりますので、後でご覧いただければと思います。また、先生方からいただいた物質ごとの資料の要約も資料2−2にまとめてございます。
    このような作業経過を経まして、物質ごとの担当の先生方の手で各物質の文献レビューと、それから分析に係るレポートを整理していただきまして、本日はこの資料として各先生方にご報告をこれからさせていただきたいと思います。
    また、資料では空欄になっておりますところで、各担当の先生方から報告の最後に指針値の案としてご提示いただきまして、また皆さんにご議論していただければと思っております。
    それでは、進め方といたしましては、担当委員から各物質につきまして大体10分ぐらいで説明していただいて、4物質、きょうは提示されておりますので、40分ぐらいで説明いただいて、その後、曝露評価をまとめて10分ぐらいご説明いただき、その後で各物質ごとに15分ぐらいずつご議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
    では、まず有機化合物のアクリロニトリルから報告していただきたいと思います。まず大前委員、よろしくお願いいたします。資料は3−1。

    【大前委員】 資料は3−1でございます。やりました作業は、1998年の時点で当時の、多分、環境基準専門委員会のレビューワークがほとんど終わっておりまして、案という形での資料が残ってございました。あと、私がやりました作業は98年、当時の案の段階までは妥当ということで、それ以降の文献につきまして評価をいたしました。したがって、それ以降の文献で足した分だけをご説明を申し上げたいと思います。
    資料3−1の5ページをごらんください。5ページの上の文章、「以上、」というところからでございますけれども、「アクリロニトリルがヒトに対して発がん性を有する」というこの疫学的なデータの追加の文に関しましては、前の専門委員会と同様に、ヒトに対する発がん性を客観的に示す証拠は挙げられていないという追加の報告が幾つかございました。
    具体的には、例えば9ページをご覧ください。9ページの「米国の8工場」というふうに書いたBlairの報告、1998年となっておりますけれども、この1998年のBlairの報告は前の専門委員会の報告で既にございまして、さらにMarshという方が2001年にこのBlairさんのやつを再評価して、結果は同じであったというような点。それから、次の10ページをご覧ください。10ページの米国のLimaのBPC、これはBritish Petroleum Chemicalだと思いましたけれども、これと同じようにMarshさんが99年にやったことで、肺がんの有意な増加はなかったということで、疫学的な知見に関しましては99年以降、前の委員会と変わったことはございませんでした。
    それから、次に発がんに関する動物実験でございますけれども、前の専門委員会の時点までは、ラットのデータはあったのですが、マウスのデータがございませんでした。10ページの下から4行目、「マウスでは、」と書いてございますけれども、このデータがこの間につけ加えられたデータです。これはNTPが強制経口投与をやりました実験結果を発表しているものでございまして、これによりますと、雌雄で前胃のpapillomaとcarcinoma、それから雄ではHarderian腺種・がんが量依存的に増加している。雌では、卵巣の良性・悪性のgranulosa cell腫瘍及び肺胞・気管支腺種・がんが量依存性はなかったけれどもequivocalに発生したというような結果が追加されております。この結果から、以前はラットのデータしかなかったのですが、マウスがつけ加えられまして、ラット、マウス両方でアクリロニトリルに関しましては発がんがあるというような結論になっております。
    この2点が私がやった作業でございまして、その結果といたしまして最終的には24ページの総合評価というところになるわけでございますけれども、この総合評価につきましては、以前の結局この総合評価が変わるような新しい知見といいますか、それは特になかったということで、前のままの総合評価になっております。
    25ページでございますけれども、「アクリロニトリルの慢性影響に関するデータを中心に、種々のデータから総合的に判断すると、量−反応アセスメントの基点となるNOELを1.15」、これは前と同じでございます。不確実係数につきましては、「一般的な不確実係数の考え方を参考に、労働環境におけるデータを用いて、一般環境における数値に換算するための係数」、この部分がどういうふうに考えるかというのが議論のあるところでございましょうが、一つは一般環境には労働環境と違い高感受性者が存在すること。多分、これで不確実係数が10ということになると思いますけれども。それから2番目が労働環境と一般環境では曝露時間及び曝露の状況が異なること、それから三つ目がNOELは一つの報告から総合的に判断されたものであり、また可能性は小さいもののヒトの発現性を完全に排除できないことという、この三つの条件といいますか、それでトータルとしての総合的な係数を1,000にするのか100にするのか、ここら辺はいかようにも考えられるのではないかと思います。
    例えば一般環境と労働環境の差というのは、通常は10をとるというのが一般的だと思いますが、この物質の場合は蓄積性があるわけではございませんので、曝露年のことに関しては余り考える必要がないだろうという立場に立ちますれば、労働環境と一般環境のところの不確実性係数は10ではなくて5でいいだろうということになるでしょうし、それから、最後のNOELのところでございますけれども、報告は一つでございますけれども、自覚症状という非常に、ある意味では軽微といいますか、そういう話でございますので、その程度の影響でしたら10じゃなくても、5でもいい、あるいは2でもいいというような考え方もできると思います。したがって、最終的には100から1,000の間のどこをとっても、そんなに大きな矛盾はないのかなと。したがって、もし100から1,000の間をとりましてアクリロニトリルの指針値を算出するとすれば、NOELが1.15ミリグラムでございますので、例えば100で割りますと丸めまして10、あるいは1,000で割りますと丸めまして1というような、こういうような形になるのではないかと思います。
    以上です。

    【内山委員長】 ありがとうございました。
    それでは次に、先ほどの予定ですと4物質続けてということにしておりますので、次が中館委員の塩化ビニル。

    【中館委員】 それではご報告いたします。
    具体的にやりました作業は、今、大前委員がおっしゃったことと同じでありまして、多分98年ぐらいだと思いますけれども、前回のある程度まとめられた素案というものがございまして、そこを出発点にしまして、それ以降約5年間の新しい文献を収集いたしまして必要なことを変更するというスタンスで作業を行いました。総合的に申し上げますと、新たな知見というのは、もちろん文献はございますけれども以前からのものを変えるような大きな変更はない。以前から見られた知見を補強するといいますか、確実性が少し上がるような形の、そういったことでございました。
    資料3−2で事務局の方でまとめられましたものを中心に簡単に全体をご説明いたしますと、1ページ目は、下の方に代謝・体内動態。塩化ビニルに関しては、動物、ヒトともに吸収、代謝、排泄がある程度わかっておるようでございます。特に発がん性が問題になりますけれども、そのメカニズムといいますか、どういう形で体の中で代謝されて発がんに至るかということがある程度わかってきているようでございます。
    それから2ページに行きまして有害性の評価になりますが、まず発がん性ということで、(1)定性評価。その下に主要な論文のSummaryがずっと出ております。それで、そのまとめが6ページにございますけれども、素案のレベルからこの疫学の部分で変わった部分といたしましては、Wardさんという方の、これは前の素案にも載っておりますけれども、ヨーロッパでの大規模コホートの継続研究といいますか、観察期間を延ばした研究が新たに出ていたということで。ただ、これも結果的には前までのデータを補強する形の、特に大きな結果の変化はないというものでございました。従いまして、このまとめに書かれていることはほぼ素案と同じなのですけれども、定性的には塩化ビニルはヒトに対しては発がん性を有すると結論してよいだろうということでございます。
    それから、動物実験の発がん性のデータが、その後、経口、それから吸入といった形で7ページ、8ページ、9ページと続いております。それで、やはりまとめが11ページに出ておりますが、動物実験でも、経口でもそうですけれども吸入実験も行われておりまして、しかもマウス、ラット、ハムスター、複数の動物種で発がんが認められるということで、動物においても発がん性を有するという結論でございます。
    それから遺伝子障害性がその下にございますけれども、これもin vitroの実験、それから in vivoの実験、あるいは作業者の検体を分析いたしましてその遺伝子の変化等を見た研究等がございまして、これもまとめが13ページに載っておりますけれども、遺伝子障害性を持つというふうに結論できるということでございます。
    これらに基づきまして、一応(2)定量評価ということですけれども、先ほどの指針値の進め方にございましたように、この定量評価になるわけですけれども、疫学的な研究である程度量−反応関係を評価できるものがございますので、それを抽出したのが13ページ以降、抽出された論文が同じように概要が載っております。
    そして、さらに15ページ以降、上から、最初は表のようになっていますが、その後、Nicholsonら(1984)、ここ以降が量−反応関係を評価できるものに対してそれぞれユニットリスクが算出されております。これは私どもがしたということではなくて、WHOでありますとか、あるいは研究者が算出した値が公表されています。これが、それぞれについて記載がしてございます。
    抽出した論文について、ずっとその記述がございまして、17ページ、上から1段落目までが最後の、Simonatoらというところまでが抽出した論文と、そこから算出されるユニットリスクがそれぞれ書いてございます。その次の段落で、一応これらを評価いたしまして、発がんに関して、特に肝血管肉腫を中心といたしまして、肝・胆道系のがんというのが塩化ビニルモノマーに関しては非常に特異性の高い健康影響であるということで、これに着目いたしましてユニットリスクを算出するのが妥当であろうというふうに判断いたしまして、そういたしますと複数の研究、ちょうどその段落の中ほどのところにありますが、Nicholsonら(1984)、Equitable(1978)とかFoxら(1976)、それからSimonatoら(1991)、この四つの研究の値がその下に書いてありますように大体オーダーが一致している。それが3.64×10−7から1.1×10−6ぐらいで非常にオーダーが一致しているということで、これに基づいて、一番この段落の下の行に書いてありますけれども、疫学研究の場合は多少曝露評価に不確実性があるということを考えますと、一番最大値に近いところというところで大体1×10−6程度を判定したらどうだろうかというふうに、この辺が適当なような感じがいたします。
    それから、あと動物実験も行われております。疫学がある場合は動物は10ということでよろしいのだと思うのですが、その下の段落は動物実験のことを書いてございますけれども、動物実験に関しては実際の実験データは過去のものでございます。1980年代に行われたものについて新たな解析をしまして、ヒトへの外挿の方法が少し進歩しているようでございまして、そのあたりを書いた論文が新しいものがございました。ただ、それに基づいて算出されたヒトへの推定のリスクというのが、肝血管肉腫に対しては、吸入についてはやはり1.1×10−6といった値が、このClewellという人ですね、報告されておりまして、ヒトのデータと非常に合っているというふうに数値上は考えられるということでございます。
    それから、あとEPAのことが書いてありますが、EPAでは今ユニットリスクとして4.4×10−6という値をとっておりますけれども、これは肝血管肉腫以外のいわゆる良性の病変も考慮に入れた動物実験のデータからの外挿ということでございまして、先ほど私が申し上げたのとちょっと違うのはそういうことでございます。
    それからあと、その次のページからは発がん以外の影響のことについてまとめてございますけれども、一応発がん以外のことに関してはNOAELが一番最後の段に出ていると思いますけれども、発がんに比べますと大分値的には大きな値になってしまうということで、今回は発がん性に着目した指針値ということを考えてこれをつくらせていただきました。
    あと、曝露評価に関しては後ほどということですので、最後に調べました総合評価のところで今私が申し上げたことがまとめてあると思います。発がん性についてはあるということですね。ヒト、疫学、動物ともにあるということになります。それから、発がん性以外にもこれらのことが認められるということでございます。それから、閾値に関しては遺伝子障害性を持つということで、先ほど申し上げるのを忘れましたけれども、閾値なしの総体平均リスクモデルでユニットリスクを算出しております。量−反応関係の評価の結果、先ほど申し上げたように、疫学データに基づきますと大体1×10−6ぐらいのユニットリスク値が妥当なのではないかというふうに判断できるのではないかと思われます。
    以上でございます。

    【内山委員長】 ありがとうございました。塩化ビニルモノマーは閾値がないというふうに考えて、ユニットリスクで求めて提案していただいたということになります。
    それでは次に資料3−3、無機化合物の中の水銀及びその化合物について、佐藤委員、お願いいたします。

    【佐藤委員】 経過は先ほど大前委員がおっしゃったように同じなので、これは健康影響評価小委員会で出した報告書につけ加えるような形で作業を進めました。
    有機化合物とちょっと違うところは、金属の場合には何が問題なのかという、化学的な形態が何を対象とするのかというところを考えなければいけないのがちょっと違うところです。そのために、2の有害性評価というところに何を目標として対象としてやるのかというようなことが書いてあって、水銀及びその化合物の場合には、特に大気からの吸入曝露を考える場合には水銀蒸気であろうというようなことを、まず限定してあります。
    発がん性については水銀蒸気の場合にはないという評価が国際的にも認められているようですし、データ的にも出ておりませんので、そういう意味では発がん性はないという前提で作業を進めてあります。
    主要論文については、ほとんど前回の作業のときと同じでございました。ここでは主に中枢神経系への毒性を中心に定量的な評価を行っております。幾つか1980年代から90年代に研究があるわけですけれども、これを見ますと、大体その辺が4ページに書いてあるのですけれども、どこを見ていただくのがいいでしょうか。総合評価の13ページ以降を見ていただければいいかと思うのですけれども、中枢神経系の毒性が問題であるというようなことで、14ページに、これまでのデータを総合的に判断するとLOAELに相当する気中濃度は大体20μg/m3前後に存在すると考えることが妥当であるというような結論が得られました。データを見ますと14から26ぐらいまでばらつきがあるのですけれども、そういうようなものを全部まとめてしまうと20くらいなのかなという感じです。そこから、この場合には閾値があるということなので、不確定係数を出してきて指針値を算出するということになりますけれども、この場合に労働環境におけるLOAELに相当する気中濃度を使っているというようなこと。
    それから動物実験なのですけれども、新生児というか、生まれたばかりの子供が水銀蒸気に対して高感受性であるというようなことを考えたり、あるいは労働環境から一般環境への外挿ということで考えまして、不確定係数としては500ぐらいを用いることが適当であろうというふうな結論になりました。そうしますと指針値としては、14ページの真ん中より下に書いてありますけれども、0.04μg/m3であろうというふうになるかと思います。
    この作業をしている中で一つ追加した文献で、労働環境なのですけれども、NOAELというかNOELというか、影響ないというようなのを2μg/m3で出しているような論文がありまして、それは論文に言及しているところは4ページの下から3分の1ぐらいのLangworthの論文なのですけれども、それから考えてみても、NOAELとLOAELを使うときの不確定係数の違いを10くらいだと見るとすれば、ここから出しても  0.04、2μg/m3から出して不確定係数を50とすれば0.04ぐらいになって大体一致するのではなかろうかというようなことですけれども、データとしてはLOAELに相当するものの方が数的にありますので、そちらから算出するということで 0.04μg/m3を数値として出しました。
    以上です。

    【内山委員長】 ありがとうございました。
    それでは、最後にニッケル化合物について、村田委員、お願いいたします。

    【村田委員】 私の方は、1999年までにまとめられておりましたデータに2000年以降のデータをつけ加えた形で案を書いております。
    金属であります水銀と同じように、ニッケルでも化学形態によって毒性が異なるということで、これは3ページ以降にそのことについては書いておりますけれども、結局出てくる発がん性あるいは細胞免疫毒性とかいろいろなものにつきましても、化学形態で異なる、と。ただし、今までのを見ていますと金属ニッケルではないということで、今回のタイトルにもありますように、ニッケル化合物ということでお話をさせていただきたいと思います。
    そして、まず新しく見つかった論文なのですけれども、定性評価で発がん性、しかもヒトにおける発がんということで、7ページにございますGrimsrudというのでしょうか、中ほどにございますけれども、2002年にこの論文が出ました。そして、今まで水溶性ニッケルについて多少EPAとかWHOとかで意見が分かれておりましたのですが、それについて後で申しますけれども、この論文では水溶性ニッケルの曝露量と肺の発がん発症率の間に明確な量−反応関係があるということで、この化学形態の発がんへの関与が推定されたということが新しくつけ加えられた事実でございます。
    そして、また動物実験における発がん等をまとめたものが11ページになります。これらを見ますと、ニッケル精錬作業者の呼吸器のがんというのは、どうもニッケル化合物で起こっていると、疫学的に起こっていることは確からしいという結果が出ております。ただ、動物実験の吸入曝露では肺がんを引き起こす可能性を示す証拠は二、三ありますけれども、これについては確実な証拠と言えない状況にあるというのが、まずここまでのまとめでございます。
    次に遺伝子障害につきましては13ページにまとめがございます。下の方ですけれども、in vivoの作業者での研究ではニッケル化合物の曝露に帰することのできる明確な結果は得られていないというのが結論でございます。ただ一般に変異原性を示さないといいながらも種々の培養細胞の形質転換を引き起こすことが報告されているというような状況でございます。
    そして、14ページになります定量評価でございます。この中ほどに1)米国EPAによるリスク判定というところがございますが、その中で「EPAは水溶性ニッケルを発がん物質として分類していない」というのが1992年までの結果でございます。しかしながら、先ほど言いました2002年の結果がございますので、これについては水溶性ニッケルを発がん性物質とするというような可能性もありそうだということが言えそうでございます。
    そしてEPA、それから次の2)WHO欧州ガイドライン、これらを見ますと、大方のユニットリスクが2.4×10−4ないし4×10−4というものが数値として出ているということでございます。
    そして、次に発がん性以外の有害性につきまして調べましたところ、新しく出ておりますのは19ページでございます。3)の動物実験(経口曝露)による評価の一番最後、Haberらは、というところが新たに出ていた論文でございます。そして吸入曝露による評価ということで、19ページの一番最後、やはりHaberらの論文でございますけれども、ここでもBenchmark Dose法(ヒト等価濃度)を用いてやったものがございまして、これでやると0.17μg/m3というのが出ているということでございます。
    そして最終的に、24ページをごらんください、総合評価でございますが、以上の結果からいきますと、少なくともニッケル精錬所で働く労働者において肺及び鼻腔がんが起こるということは疫学研究で明らかである。ただ動物実験については、確かかどうかについてはまだわからないと。これらの問題点をきちっと整理いたしますと、下から7行目ぐらいに書いてありますけれども、「ニッケル精錬所以外ではヒトの発がんに関する報告がない」のだ、「発がんに関連するニッケル化合物の化学形態が決定されていない」、そして「ニッケル化合物間に相互作用が考えられ」ていると。そしてまた、「ニッケルの精錬過程においてラテライト鉱では少量のクロムを含み、その他の鉱石(硫化鉱、砒化鉱)では砒素の混入がありうる」と、ただし、疫学の研究の中では、それらの砒素だとかクロムについてのデータはございません。また精錬過程の中では硫酸や亜硫酸、これらは当然あらわれることですので鼻腔がんに関連している可能性もあろうということなのですが、そのような状況で三つの選択肢を考えてみました。
    一つは、この五つの問題点にもかかわらずニッケル化合物の発がん影響をかんがみ、一般環境にニッケル精錬所から与えられたデータを外挿するというもの、それから発がん性研究に疑義があるということであれば、動物実験から算出された非発がん毒性の水溶性ニッケル化合物の値を用いることも可能かもしれない。そして3番目のスタンスとしまして、2003年までにEPAはニッケル化合物について「発がんあり」と言っているのですけれども、経口吸入による指針値というようなものは定めていないというので、これに我が国も同様に従うというやり方の三つが考えられるということでございます。ただ、私としましては、安全性の観点においてニッケル化合物を一つのグループとして扱い、最も重篤な影響が出た化学形態の場合の結果に従って評価すべきではないかということをお勧めしたいなというか、考えております。
    それと、後で中杉先生の方からおっしゃられると思うのですが、曝露評価の値と現在考えているところの指針値との間に大きな落差があるかどうかということも、また一つの問題点になると思います。それらを勘案しましても、この精錬所という特殊な環境下で、しかも発がん性のデータから得られた0.025μg/m3というような数値がございますが、それを指針値として一般環境に外挿することが現段階で問題があるとは思えないというのが今回の私の結論でございます。

    【内山委員長】 ありがとうございました。今の0.025というのは、これはユニットリスクで求めた値。

    【村田委員】 はい、そうです。

    【内山委員長】 ユニットリスクからですね。ですから、ユニットリスクを4×10−4として、10−5以下の現在我が国で行われている環境基準でとられているリスクレベルに抑えると0.025μg/m3、こういうことでよろしいですね。ありがとうございました。
    それでは、次に中杉委員から4物質についての曝露評価について、ご説明をお願いしたいと思います。

    【中杉委員】 4物質でございますが、どういうまとめ方をしたかを見ていただきたいと思います。アクリロニトルと塩化ビニルが有機化合物でございまして、それから水銀とニッケルが無機化合物ということで、ちょっと形態が違いますので、それぞれお話をしたいと思います。
    有機化合物についてはアクリロニトリルのところで例示的に見ていただければいいのですが、21ページからでございます。大体こんな全体的評価の書き方にしてございます。
    最初に汚染物質の起源がどういうところであるかというのを、一般的に言われていることと、それからPRTRの情報が出ていますので、それを入れ込んでおります。ただ、PRTRについては届け出事業所については媒体ごとの排出量が出ていますので、そこについては大気中に幾らというのが出せるのですが、届け出以外については一応媒体ごとには公表されておりませんので、これは全体として大きな流れとして見たときに全体の比較がどうなるかということを少し整理をしようと考えています。
    それから、あと大気のモニタリングですけれども、これは基本的には過去に環境省で何回かやっているものがございます。いろいろなところでやっているものがございまして、アクリロニトリルですと黒本と言われる調査で何回かやっております。それから、今の有害大気汚染物質モニタリング調査の前に未規制大気汚染モニタリング調査というのが行われています。その結果と合わせて、最後に22ページのところからは有害大気汚染物質モニタリング調査の中でやられたものを、例えば表の8では経年的な変化を、表の9では一番新しい年度の地点属性別のデータを示しております。少し地点属性別にデータを整理して考えておりますが、アクリロニトリルの場合なんかは一般環境と整理をされている中でも結構高いのがあるということでございます。
    それから23ページの方には頻度分布をそれぞれ見て、これを見ていただくと、発生源周辺がやはり高いけど一般環境でも高いところが出てくるという整理をしてございます。
    23ページのところの(3)発生源周辺というところでは、その有害大気汚染物質モニタリング調査で発生源周辺に整理をされたものをもう少し過去から見て、どのぐらいの濃度が過去にはあったかということを見て議論をしてございまして、その後は環境省の方で調べられた環境省・地方公共団体が実施した敷地境界での調査の結果を整理をしてございます。
    それで23ページの後段の方から曝露評価ということで、これも仮にでございますけれども大人15m3、子供6m3という数字を入れまして、どのぐらい曝露されるかということを、総量と体重別に、それぞれの一般的な環境での平均値、それから発生源周辺での最高値というようなことで、ここで整理をしてございます。
    24ページのところからは一応ほかの媒体についても整理をしてございまして、食事の調査は環境リスク初期評価の方でアクリロニトリルとか塩化ビニルとかはやっておりますので、その調査結果、それから飲料水については残念ながら見つけることができませんでしたので表流水の調査を仮にという話と、それから、もう一つありますが地下水の調査がございますので、その検出最大値を飲むと、という仮の形でございますけれども、このぐらいになるという整理をしてございます。
    塩化ビニルも大体同じような形態で整理をしてございますので、少し省略をさせていただきまして、次に資料3−3の水銀の方に移りたいと思います。
    基本的には同じような形で整理をしてございますけれども、最初に水銀については起源と環境中での形態というものを少し整理してございます。これは以前の報告書でまとめていただいたものでほとんど問題ないだろうということでございますので、大体それに基づいて整理をしてございまして、先ほど佐藤先生の方からお話があったように、大気中の水銀については水銀蒸気が大部分であろうというふうな整理を、前の取りまとめの報告書のをそのまま採用してございます。
    それから大気のモニタリングにつきましては、過去の国設大気測定局のデータを踏まえながら一番新しい有害大気汚染物質モニタリング調査の結果を、11ページの表の3が経年変化でございます。それと12ページの方に地点属性別の評価と、それから分類を入れてございます。
    発生源周辺につきましては一応入れておりますけれども、発生源周辺の中で高いところというのは水銀が検出された地点にPRTRの報告があるかどうかというのを少し見ておりますが、これは報告がないところもございますので、文章としては修正した方がいいかと思います。それから発生源の敷地境界ではどのぐらいかという濃度を入れていますけれども、それは基本的に有害大気汚染物質の過去の調査で出てくる最高濃度とほぼ同じぐらいの濃度レベルであるということになります。
    それから水銀の曝露評価につきましても、これも先ほどと同じように呼吸量のまず閾値を入れまして、測定結果から曝露量を入れまして、あとは食品については前に調べられているものをそのまま設けておりますけれども、一番最後のところに若干水銀曝露の化学形態別のことを少し議論してございます。これも前の報告書からの引用でございまして、大体大気からは無機水銀でよかろうという、判断・整理にしてございます。
    それから、少し厄介なのがニッケル化合物でございます。村田先生の方から、少し化学形態という話がございました。資料3−4の20ページから、ニッケルの曝露評価のところでございますけれども、一番最初にニッケルについては全体としてどんな曝露起源があるかというのを少しまとめたものがございますので、自然起源のものと人為起源のもので、Environmental Health Criteriaから引っ張ってきまして、入れてございます。
    その後がPRTRでございますけど、PRTRは実際には届出外が少しございます。これは、ニッケルの場合にはPRTRの方でニッケルとニッケル化合物と二つ分けて届け出が出ておりますので、そのような整理をしてございます。一般的なところではどんなところから出るかということなのですが、先ほどの石炭とか燃料油の燃焼というようなところが結構全体として大きいのですけれども、PRTRでは必ずしもそこら辺のデータがございません。これは多分届出外で推計ということになるのだろうと思うのですけれども、そこで大気へどのぐらい出ているかは少しわかりません。
    それから化学形態について、大気の中の化学形態がどうだというデータが残念ながら見当たりませんでしたので、21ページの3段落目ぐらいからは排出源についての化学形態についてHealth Criteriaかの中にかなり詳細に情報がありますので、それを整理してございます。これと、実際には発生源とを絡めながら化学形態、大気中にはどんなものだろうかという類推をしようと考えたのですが、なかなかそうはうまくいかないということで、恐らく化学形態としては無機態、それから金属化合物、それぞれあると。化合物の中も水溶性のものと、それから水溶性でないもの、吸収率が大分違うと思いますけれども、それが両方あるということになるのかなというふうに思っております。
    22ページからは大気のモニタリング結果で、同じような形で整理をして、過去の国設大気局での測定結果、それから有害大気汚染物質モニタリング結果を同じように整理をしてございます。
    それから23ページのところは発生源周辺ということで、これも同じように有害大気汚染物質のモニタリング調査結果の発生源周辺と、それから環境省の方で調べられた発生源周辺の敷地境界の濃度というようなものを少し整理をしてございます。
    最後にニッケルの曝露評価ということで、ほかの媒体についても入れてございますけれども、残念ながら水銀とニッケルにつきましては、水銀の場合は、蒸気ですと蒸気はかなり大気からの吸入が多いだろうということです。ニッケルの場合には、全体量で見ますとやはり大気からの吸入は余り多くないということでございますので、最後、ちょっとこういうふうな整理をしてございますけれども、全体としては大気は少ないだろうということでございますが、ほかの経路の曝露に上乗せされるというような形で健康リスクを高めることになるだろうと。この辺のところは媒体全体を評価するという形で、どうするのかということが少し議論になるかと思います。一応現段階ではこんなふうな取りまとめをさせていただいております。

    【内山委員長】 ありがとうございました。
    それでは今4物質の説明が各委員から、それから曝露評価に関しては中杉委員からご説明がありましたが、当初の予定ではあともう一つ、ヒ素についても候補に上っておりました。本日は資料としてお出しできなかったのですが、この経緯につきまして私の方から簡単に説明させていただきます。
    砒素につきましても、担当は金属の方ですので佐藤委員、それから砒素につきましては非常にご専門でいらっしゃる常俊委員にもご協力いただきまして、この間、先ほども申し上げました期間に精力的に文献整理ですとかレビューを行ったのですが、その結果、参考とし得る国際機関のものとしてWHOの欧州事務局が1987年に一つユニットリスクを出している。その10年後の1997年のガイドラインで、この1987年のものを改訂して出しております。異なるユニットリスクを1997年に出しているということで、この二つのガイドラインの値の97年のときにどのようにして変わったかという経過が、これまでに手元に得られている情報だけではなかなか判断がつきにくい。そしてその値は非常に重要な違いがあるということで、担当委員等の間でオリジナルな論文にさかのぼって検討する時間をもう少しいただきたい、必要であるというふうな判断で、きょう、砒素に関する指針値の提案はできませんでした。担当の委員との打ち合わせで、大体砒素についてこのような状況でございますが、環境省の方で何かご意見、ご説明はございませんでしょうか。

    【高橋課長補佐】 環境省としましては、先生方のご議論を踏まえまして、WHO欧州地域事務局におきまして、1987年それから1997年、二つの報告書の間で異なるユニットリスクを採用しております、その背景、また考え方につきまして、さらなる情報を収集しまして、先生方に改めてご精査いただけるようにお願いしたいというふうに考えております。このように精力的に情報収集を行いたいと考えておりますけれども、きちんと詰める作業が今後もございますので、少々作業が今回おくれるのもやむを得ないかなというふうに考えているところでございます。

    【内山委員長】 ありがとうございます。
    それでは今回、そういうことで非常に、指針値でありますけれども、十分な議論をして皆さんにご審議いただきたいということで、もう少し、今も続けてこれからも作業をしていくということでしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    それでは、ただいまの説明で、大体1物質15分ぐらいずつでご議論いただきたいと思います。
    まずアクリロニトリルなのですが、アクリロニトリルに関しましては、25ページのところで不確実係数の総合的な係数として、もう一回確認いたしますが、100にするか1,000にするかというようなところを多少皆さんで議論していただきたいということもありました。もう一度、100、1,000の総合的指標としての違いを、ちょっと確認をお願いいたします。

    【大前委員】 説明申し上げます。25ページの上から5行目、丸ポツが三つございますけれども、一番上の丸ポツは「一般環境には労働環境と違い、乳幼児、高齢者などの高感受性者が存在すること」。これは個体差ということで、これは一般的にはやはり10をとるというのが今までの慣例だったと思います。
    それから二つ目が、労働環境と一般環境では曝露時間、曝露の状況が異なること。この曝露時間に関しましては、1日8時間、週40時間、それから30年、40年という、そういう期間を想定しておるわけでございますけれども、それを単純に計算しますと大体10近くになると思いますが、この物質の場合は蓄積等のことを考える必要が全然ないと思いますので、30年、40年というのを例えば80年に引き延ばすというような、そういう係数は要らないのではないかというふうに考えますと5くらいですし、やはり必要だということになりますと10ということになると思います。
    それから三つ目の点ですが、「NOELは1つの報告から総合的に判断されたものであり、また可能性は小さいもののヒトの発がん性を完全に除外することはできないこと」という、ここの点ですけれども、これもNOELの報告は自覚症状がないという、そういうNOELの報告でございますので、影響としては非常に軽い影響であるというような観点で考えますと、10は要らない可能性が大きい。2くらいでもいいのではないかということで、もし2番目で5、3番目で2をとるのでしたら10×5×2で100ですし、やはり全部10だというふうに考えられるのでしたら10の3乗で1,000になるということです。100から1,000の間のどこでとるのかということだと思います。

    【内山委員長】 とりあえず、この点も含めましてご議論いただければというふうに考えますが。
    櫻井先生、どうぞ。

    【櫻井委員】 この不確実係数を幾つとるかというところなのですが、労働環境から一般環境への外挿ということで、今まで10をとっているケースも多いけれども、この場合には蓄積性がないという点から考えると10まではとる必要はないだろうという大前委員のお考えには、私もそう思います。
    それで、後ほど水銀の方も出てくるわけですけれども、水銀の場合との整合性なんかも考えなきゃならないと思うのですが、水銀の場合はアクリロニトリルに比べれば若干生物学的半減期、長いのではないかと。そうすると、水銀で10をとるのか、とらないのか。それより小さい数字をとるような感じになっているのですけれども、そういう点から考えると、この場合、アクリロニトリルについては労働環境と一般環境の、単純に週40時間ということで168分の40、大体4というような感じかなという気がしております。
    それで、あとNOELと、それから発がんの可能性というところで幾つかの不確実係数、NOELだから要らないという考えもあるかもしれませんが、一つの報告というようなこともあって幾つか入れるとしたら、ここで2.5か、あるいは5かというような感じで、トータルとして100分の1か200分の1か、どちらかなという感じでおります。

    【内山委員長】 水銀のあれが出ましたけれども、佐藤委員、水銀のときは労働環境からの。

    【佐藤委員】 水銀の方の14ページを見ていただければいいと思うのですけれども、一つ一つのファクターについて今のように細かく議論するというのはなかなか難しいのだと思います。ただ、労働環境から一般環境における指針値を出すときに水銀で考えたのは、曝露の時間、つまり1日8時間、それから週に5日ということが主なわけです。櫻井先生から、ただいま蓄積性とか、あるいは生物学的半減期のお話が出たのですけれども、これ、就業している期間をどこにとるかというのは、どれくらいにとるかという問題もあるかと思うのですけれども、いずれにしても生物学的半減期、日のオーダーですから、年で考えるとどういう曝露であってもサチュレーションを起こしてしまいますので、就業期間のことは余り考えなくてもいいのだろうというふうに思うのです。むしろ、例えば遺伝子障害性なんかがあるようなものについては繰り返しの曝露でリスクが上がるのだろうと思いますので、そういうときには考えた方がいいのだろうというふうに私は思っていたのですけれども。ですから、そうしますと労働環境から一般環境における指針値を算出するときに、日に8時間が24時間、それから週に5日が7日で、たしか4.いくつぐらいになるのですね。だから、丸めて5ぐらいなのかなという感じなのですけれども。
     以上です。

    【内山委員長】 浦野先生、どうぞ。

    【浦野委員】 私、医学的なことは素人なわけですけれども、一般的に考えて、作業環境というか、労働者のデータそのものが、健康な成人男子が働いている―男子ではなくても成人が働いている、と。そういうことと、それから非常に問題が、何らかの症状なり、嫌だというような人は、その職場から外されるのが通常なのです。そういうことを考えると、健全な成人の作業者で、しかもそこの場所で長く勤められた方―勤められるというのは可能性としてですね、具合が悪くなるとやめるとか、配置がえをするということのない―ということを考えると、私はかなり、一般の人全般を見ていった場合に、もう少し悪い安全係数を見るべきだというふうに思っております。それは、ですからNOAELと見るのか、健全な男性も含めたLOAELと見るのかという問題です。作業環境の問題というのは、なかなかそういう意味では難しい。LOAELと見るというのにはちょっと若干疑問点があるかもしれませんが、母集団自身がかなり健全な成人男子を中心に物が考えられている。そこを乳幼児、高齢者というところにいきなり、それだけで10倍だけでいいのかという問題が、私はちょっと疑問を感じるのですが、その辺について各先生のご意見はいかがでしょうか。

    【佐藤委員】 今の浦野先生がおっしゃるとおりだと思います。今、5とか10とか言っているのは、恐らく曝露の違いに対する係数の問題であって、それから先、感受性とか、あるいはその人の健康状態を含めたもので申し上げている数字では私はないというふうに思っているので、さらにその先に不確定係数を掛けるのが、今、先生がおっしゃったようなところを考慮することだろうと思います。あくまでも曝露の継続時間の違いを今は申し上げた一般環境への曝露に持ち込むときの不確定係数だというふうにご理解いただければと思うのですけど、それでいいですか、櫻井先生。

    【櫻井委員】 一応分けて考えるとしたら、曝露だけについて考えればどうだろうということを今議論しているわけなのですが。
    私がさっき生物学的半減期云々と言ったのは、労働環境と一般環境で曝露が連続であるか断続であるかという違いがありますので、毎日の断続と連続、それを考えると、そこで少し生物学的半減期の効く部分が出てくる可能性があるなという気がしております。それを正確に計算したり実験したデータを、ここに持っているわけではございませんが。そういうわけで労働環境の曝露と一般環境の曝露を10分の1にしておけば、まあいいだろうと。一般的にですね。普通、時間だけで言えば4分の1なのだけれども、10分の1にするというところはそういう要因も考えていると思うのですが。ただしアクリロニトリルの場合には、恐らく非常に早いので、そういう断続、継続の違いは考えなくてもいいかなと私は思ったのです。水銀の場合は、ちょっとそれも考慮した方がいいだろうと。ただ、10分の1までとるかどうか、そこまではわかりません。

    【浦野委員】 ちょっとご質問なのですが、よろしいでしょうか。
    今、非常に早いとおっしゃったのは、例えば8時間労働をして翌日また8時間労働をする、16時間、間があくわけですが、その間に回復するというような理解、あるいはそれが回復する、しないというふうな理解のレベルの半減期という議論ですね。

    【内山委員長】 ですから今、5なり4という値が出てきているのは、曝露時間だけを考慮した不確実係数である。ただし、私の感覚では、発がんの場合は、これにさらに就労期間を40年間、普通15、6歳から、55〜60歳まで働く、一般環境の方は生涯暴露であるという、そこにもう一つ計算をすることが入ってきますが、このアクリロニトリル、それから水銀の場合は、たまたま発がんを指標としておりませんので、それは一般環境に、要するに生涯曝露に労働年数、そちらのものはここに入っていないので5から4という形に。
    それから、労働者と一般の方の個体差は、そのほかの乳幼児、高齢者などの高感受性というのは、その間に青年期の労働をしている方のような健康な方との差ということで、これを10をとっていますので、青年期の非常に健康な間働くというところは10。さらに、最近では乳幼児ですとか胎児で、非常にまたもう少しそこで明らかになった感受性の違いがあれば、さらにそこに5なり10を掛けるという形で、それが証明されていない限り個体差は10の範囲でおさまるだろうという考え方だと思いますけど、よろしいでしょうか。

    【櫻井委員】 それから、もう一つ追加させていただきますと、発がん物質の場合は、分子の数を全部考えてarea under the curve みたいに面積でやってしまいますけれども、そうでない場合は閾値がありますので、それを考えると4分の1あるいは10分の1というような、そのあたりの曝露の評価から言えば、やや安全サイドにいっているのではないかと私は思っております。閾値以下であれば、継続曝露しても影響はないということもあるわけですので。

    【浦野委員】 ちょっと確認なのですけれども、非常に短時間に影響が回復をするという場合には、むしろ労働者のデータはある程度安全になっていて、むしろ24時間暴露する方に対しては安全係数を大きくとらなければいけないということになるのですよね。作業者は短時間曝露で回復をする、しかし24時間の曝露をされていると回復しないということになりますから、むしろ寿命が短いものの方は24時間曝露の場合に安全係数を大きくとらなければいけないという議論になりませんでしょうか。
      蓄積性という意味で、もっとロングレンジで10年20年という話は、また別の話として。作業者は16時間で回復をする、しかし一般の人は回復できないということになれば、断続曝露の方が安全側になっているわけです。安全というか、影響を受けにくくなっているわけですから、一般の方は厳しくとるという形にならないでしょうか。

    【櫻井委員】 それは、結局血中濃度の問題だと思うのですけれど、一定の濃度を曝露していると、こういうふうに上がっていって、こう下がりますね。それで、断続曝露を繰り返していって、16時間で出切らない場合には、少しやはり蓄積してだんだん上がっていきますけれど。それと連続曝露、それを4なら4で割った場合、連続曝露でいってもだんだん上がってくるけれども、そこのところはどうでしょうか。それで一定のレベルを超えたところでのみ影響が出るわけですので、それほど心配ないというふうに私は感じますが。

    【浦野委員】 そうですね。

    【内山委員長】 先生、例えばそのほかに、今は用量に直してしまっているわけですけれども、そのピーク、単純にある程度の濃度を超えたときに影響が出る物質というものもあるので、そこら辺はまた単純にいかないという、物質、物質のケース・バイ・ケースなのですが、そういうことが特に証明されていないものに関しては時間的なものだけでならしてしまって、用量が同じになるような不確実係数をとっているというふうにご理解いただければというふうに。

    【常俊委員】 よろしいですか。今の話は累積曝露量で評価するか、あるいは濃度レベルで評価するかという問題に尽きてくるのではないでしょうか。発がん性の分は累積曝露で見た方が割合わかりやすくて、発がん物質の問題、イニシエーターとして働くかプロモーターとして働くかの問題があります。ただし、イニシエーターとして働くなら、まさにどのぐらいのピークがあるかということになるでしょうけれども、その辺が、プロモーターかイニシエーターかによって物の考え方が変わりますけれども、がんの場合は累積曝露で見た方が割合わかりやすいというところが現時点で起こってくる問題だろうと思います。
    それから、さっき言われました乳幼児に対する影響というもの、これは老人、乳幼児に対する影響というのはロンドンのスモッグ事件で明らかなように、もう子供、老人が弱いのは当たり前だと。ただし、残念ながら、私ども疫学が本職ですけれども、疫学の上でそうしたらどれだけのリスクを見なきゃいけないかという計算はちょっとできにくいのではないかという気がします。あくまでもアビトラリーに、恣意的に、そういうことを論じた論文が2、3ありますけれども、みんなアビトラリーと。これぐらい見込んでいいのではないかと、恣意的に、科学的にこうだからこうしなくてはいけませんというリスクの評価というのは、現時点では非常に難しいような気がします。そうすると、どこまでの係数を掛けるかというのは、まさにアビトラリーという言葉が適当になるのではないかという気がします。

    【内山委員長】 ありがとうございました。
    それでは、大体15分たったのですが、アクリロニトリルに関しては、NOELに関しては1.15mg/m3というのが、これはそれ一つしかないということで、これを採用する。そして、あとが問題になっているのですが、不確実係数の総合的な係数として、大前委員の方からは100から1,000ということでご提案いただいたのですが、今のお話ですと個体差は10ぐらいを考えればいい。それから労働環境は4から5を考えればいい。そして、最後のNOELの報告が一つであるということと発がん性も完全に除外することができないということで、またこれが櫻井先生は4から5ぐらいということなのでしょうか。そうすると、5、5、10を掛けると250ということになりますが、どうでしょうか。大前先生、何かご意見があれば。

    【大前委員】 いえ、特に意見はございませんけれども、考え方として、発がんの問題は、これは今のところ証拠がない。ですけれども、ないというのはゼロかという議論ですと、ゼロというのはだれも言えないことでして、それを若干今考えられて、委員長が4くらいとおっしゃいましたけれども、そのぐらいということで僕はいいのではないかと思いますけれど。250でも僕はいいのではないかと思います。

    【鈴木委員】 今、発がんの話で、証拠は何もないわけですか。それとも、何かがあるのですか。

    【大前委員】 先ほど言いましたように、ラット、マウスはございます。それからヒトに関しまして、疫学は今のところしっかりでき上がっていないと。

    【鈴木委員】 動物実験上の証拠はある、と。

    【大前委員】 はい、あります。

    【鈴木委員】 それなら結構です。

    【内山委員長】 ほかに、何かご意見はございますか。

    【浦野委員】 4.65ですね…。

    【内山委員長】 ですから、不確実係数が250とすると大体4μg。そうすると、安全で、端数が出たときは大体下を丸めていますので、4μg/m3というぐらいのところになるかと思うのですが。実際数値を出してみるとちょっと違うのではないかというような、感覚的に。どうでしょう。大前委員、よろしいですか。

    【横山委員】 ちょっと発言があります。

    【内山委員長】 横山先生。

    【横山委員】 今、それぞれのご専門の方からご発言がありまして、私、その方の特別な専門家ではないので、そのご意見は受け入れなきゃいかんとは思いますが、ただ、顧みてみますとアクリロニトリルと同じような、例えばトリクロロエチレン、それからテトラクロロエチレン、それからジクロロメタン、それぞれ環境基準が設定されますけれども、その環境基準専門委員会で討論したときは、ほとんど同じようなデータで、ただし、この場合はほとんどがLOAELでございました。ここで使っているNOAELではございません。LOAELでございましたが、ほとんど同じようなデータを使って不確定係数は1,000を使ってガイドを出しております。私、記憶がもし間違っていたら、あのときの委員の方から訂正してほしいのですけれども、多分あのときは労働時間を一般環境の生涯曝露に変えること、それから子供や大人の感受性が高い者がいること、それから必ずしも発がん性が否定できないこと、ということをもとに、LOAELから1,000を使ってガイドを出しました。今、これ、拝見いたしますと、大体同じなんですよね。ただしNOAELです、これは。出発点がNOAELですから、当然LOAELとは違うでしょうけれども、そこら辺のことを考えると、一概に250という数値がどうなのか、ちょっと僕はもう少し検討してみるあれがあるのではなかろうかと思います。

    【内山委員長】 あのときは、特に1,000で、何をどうするということまでは、総合的ということで、やはり考えて出てきたと思うのですが。

    【横山委員】 たしか、いろいろ論議がありましたけれども、個別には数字は、もちろん佐藤先生が作業委員をおやりになっていたのですけれども、個別には。全体のまとめは、たしかそうだったと思います。

    【内山委員長】 ですから、逆にそれに合わせると100ということになりますでしょうか。ですから、あのときの、当時、ちょっともう一回見てみないと、LOAELからNOAELに換算するのも10と考えていたのか大体5ぐらいだろうと考えていたかによって違うと思うのですが。そうすると、これはNOAELですから、もし10と考えていれば100、それをとってしまいますから100になる。

    【横山委員】 ただ、これはこの報告書にもはっきり書いてございますように、NOAELの1.1というのはわずか1報告なのです。従来のLOAELはかなりの数のデータから判断してLOAELを持ってきたと思うのですけれども、ここで書かれている1.1だというのは一つの報告だけで。その周辺のいろいろな疫学報告、それから動物実験を総合的に考えて、その1報告を利用したわけですけれども、果たしてそこら辺のところが。僕も、それ以上のことはわかりません。これは、はっきり言って、どういうふうに判断したらいいのか。ただ、ちょっとひっかかりますね、これは。ということです。

    【内山委員長】 はい。

    【横山委員】 ひっかかるなんていうのは、極めて非科学的なことなのですけれども。

    【内山委員長】 そうしましたら、ここは大体10、5、5ぐらいではないかというご意見もあって、それから、前に環境基準を決めたときは10、10、10のような感覚で1,000ということが多かったので、ここは次回のときに委員等でもう一回ご議論いただいて最終的に報告させていただくという形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。大体100から1,000の間ということにはおさまると思うのですけれども、最終的にはもう一回、ここで結論を出さずに、もう一回議論したいと思います。

    【浦野委員】 ちょっとよろしいですか。
    今、横山先生のおっしゃったのは、どういう方向のご議論、厳しくするべきか緩くすべき方向、どちらでご発言していただいたかよくわかりませんが、結局NOAELとLOAELの差を、内山委員長さんがおっしゃったようにどう見るかということで、10にするのか5にするのか。5にすれば200になりますね。それで、今、本来しっかりしたNOAELであれば10でいい。しかし、横山先生がおっしゃるようにデータ数が少ない。だとすると5だとか、場合によっては3という可能性もありますね。そうすると、大体結果としては250ぐらいのところへ来るのではないですか。ですから、結論としては、もうここら辺で許してもいいのではないかという気もしないでもないのですが、いかがでしょうか、皆さん。

    【横山委員】 いや、ですから、もちろんそれでもって、一応結論を出されることは結構だと思うのですけれども、もう一回委員会があるわけですから、それまでにもうちょっと考えて勉強してみたいと私は思っております。

    【内山委員長】 わかりました。そういうことですので、6月、次回もう一回あります。きょうで絶対決めなければいけないというところではありませんので、大体皆さんの感覚的には250ぐらいということはわかりましたので、そこら辺でもう一回、最終的に検討させていただきたいというふうに思います。
    その次に、塩化ビニルモノマーですが。

    【佐藤委員】 委員長、水銀を先にやっていただいた方がいいのではないですか。考え方が同じですから。ユニットリスクじゃない方で先にやっていただいた方が、水銀を。今はアンサー・トゥー・ファクターでいきますから、水銀を先にやっていただいた方が多分議論の整合性がとれると思うのですが。

    【内山委員長】 では、不確実係数のところで少し関連しているということは水銀だというご指摘がありましたので、次に水銀及びその化合物ということで続けてやっていただきたいと思います。
    先ほどですと、LOAELに相当する気中濃度が20μg/m3で不確実係数を500と考えて0.04μg/m3というご提案でした。もう一つ、非常に低いNOAELが出ている2μgとするものをとりますと、これは労働環境から一般環境に外挿するということで50を不確実係数として0.04と、大体同じになるのではないかというご提案だったと思いますが、これについていかがでしょうか。

    【櫻井委員】 全体として妥当なのではないかなと感じております。この9ページに、上二つパラグラフ、一つはWHO、一つはUNEP―EPAですか、同じようなことをやっているわけですね。WHOの場合は、20μg、LOAELからスタートして個体差に10、これはみんな同じです、NOAELからLOAELに3、それから曝露のあれは1日8時間、40時間で処理していますので4分の1ということで、この場合はNOAELからLOAELは3でトータルで100ぐらいになっているのです。100分の1、20から0.2になっている。
    一方、下のEPAですか、これは25からスタートしていますけれども、不確実係数は、個体差10分の1は同じで、職業曝露から一般環境に5から10、それからLOAELを使うことで5から10、両方合わせて50を使っているのです。結局500になっているのです。私も大体いい線ではないかなと思います。職業曝露から一般環境への曝露、先ほどはアクリロニトリルの場合には時間だけで4から5ぐらいということですが、それよりももうちょっと多目な数字を使ったとして、LOAELからNOAELは10までは使わないけれども両方合わせて50という感じになっています。いい線ではないかなというふうに思っております。

    【内山委員長】 全体としては500で、内訳を考えていくと、今、櫻井先生あるいは佐藤先生がおっしゃったような感じではないかというふうに思いますが、そのほかの方のご意見はございますでしょうか。

    【浅野委員】 大体これぐらいだと思います。

    【内山委員長】 では、これは皆さん、大体このぐらいのところではないだろうかということですので、不確実係数を500ということで、LOAELを20μgから出発いたしまして指針値をまとめるということになりますと、0.04μg/m3ということになると思います。
    では、次に塩化ビニルに戻りたいと思いますが、塩化ビニルそれからニッケルはユニットリスクで求めてありますので、塩化ビニルはユニットリスクが1×10−6、そして10−5の生涯リスクレベルをとると10μg/m3ということで提案されておりますが、これに関していかがでございましょうか。ご意見はないでしょうか。
    これ、大分以前の環境基準をつくろうかというときに大分議論されていて、それからその後に追加で出てきたものを検討した結果、それほど従来のものの結論と相違はないということで、大体ユニットリスクのオーダーとしても、どの報告を見ても一致しているということで、一番1×10−6というものを採用されていると。そして、我が国の環境基準の生涯リスクレベルが10−5以下ということですので、10μg/m3ということです。よろしいでしょうか。
    (な し)

    【内山委員長】 それでは、本日のところはこれで提案させていただきます。
    それで、最後はニッケルということで、ニッケルは最後のところで三つの選択肢があるというご提案をいただきました。そして、その三つの中で最終的には1の選択肢ということで、「上述の問題点にもかかわらず、ニッケル化合物としてのヒトへの発がん影響を鑑み、一般環境にニッケル精錬所から得られた」疫学データを用いて、これもユニットリスクが4×10−4というものを用いまして、10−5生涯リスクレベルといたしますと、0.025μg/m3ということで提案をいただいております。
    何かご意見なりご質問はございませんでしょうか。
    佐藤先生。

    【佐藤委員】 その1番を選択することで私もいいように思うのです。というのは、実は、きょう見せていただいたのですけれども、21ページに一般大気中にも水溶性のニッケルがあるのではないかということが、上から3分の1ぐらいですか、パラグラフで「人為起源で大気中に排出される」というところから始まるところに、フライアッシュの中のニッケルあるいは石炭の中のフライアッシュの中のニッケルの中で水溶性のものがあるのだということがあるとすると、水溶性のものが職業暴露においても発がんと関係しそうなデータも出ているので、それがどれくらい確からしいかというのは若干議論はあるかと思いますけれども、安全性というか、それを考えると1番を選択するということでいいような気がするのですけれども。

    【内山委員長】 では、中杉先生。

    【中杉委員】 今の有害大気汚染物質のはかり方自体が全体をとらえていますので、そういう形で安全サイドを見るなら、それで。これは、今回のあれが有害大気汚染物質のモニタリング結果の評価にかかわるという意味では、こういうふうにするのが妥当かなというふうに思いますけれども。

    【内山委員長】 そのほかに、よろしいでしょうか。
    常俊先生。

    【常俊委員】 佐藤先生がおっしゃったように、やはり1番でいいのではないかという気がします。保留条件としては亜硫酸ガスとかという問題が出てまいりますけれども、これは砒素の場合でも、いろいろな金属物質の場合に亜硫酸ガスと共存したときにという話がしばしば出てまいります。本体を変えない、まさに気道のクリアランスの障害、上部気道の障害ですから、入ったものが粘液になりますから、発がん効果が倍加してくるだけであって、発がんそのものに対する一つの上部気道にダメージを与えて発がんを容易にするというだけの効果ですから、これは量−反応関係を見るときに、げたを履いているか、げたを履いていないかという話でありますから、余り気にしないでいいのではないか。そうすると、この成績を用いられるのが、今の段階では一番適当ではないかと思います。

    【内山委員長】 ありがとうございます。
    大前委員。

    【大前委員】 これは前のワーキンググループのときから申し上げたのですけれど、やはりこのニッケル精錬所のデータを使ってニッケルのこういう指針値を出すのは何となく抵抗がございまして、発がん、確かに鼻腔のがん、それから肺がん、数字は高いのですけれども、鼻腔のがんなんかですと、やはり今おっしゃった硫酸とか亜硫酸とか、そういうのの可能性が大きいだろう。それから肺がんですと、やはり砒素のことがどうしても否定できないわけですので、本当にこれで、このデータを使って、精錬所のデータを使ってニッケル化合物としての指針値を出すのが妥当かどうかというのは、僕は非常に疑問に思います。僕の意見としては3番の立場が今のところいいのではないかと、もう少しクリアになるまで、いいのではないかという気がいたします。

    【内山委員長】 その三つのチョイスのうちの、大前委員は精錬所から出ている曝露評価を用いて、それから疫学評価としては精錬所のみのデータであるので、指針値を出すのは厳しいのではないかなというご意見だったと思いますが。

    【大前委員】 それから、もう一つ、いいですか。

    【内山委員長】 はい。

    【大前委員】 もう一つなのですが、水銀の場合は幸い水銀蒸気ということで、単体といいますか、1化合物で話が終わってしまったのですけれども、この場合はニッケル化合物ということで、ありとあらゆるニッケルが―ゼロ価のニッケル以外を含んだもの全部になってしまいます。そうしますと、この委員会として、こういうタイプのものはどういうふうに扱うのかということで、やはり一度どこかで整合性をとっておかないとよくないのではないかと。そこら辺の検討を、これは後日でございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

    【内山委員長】 中杉先生。

    【中杉委員】 大前先生が言われる懸念、十分あるのだろうと思うのです。私自身も、これ中には大気中の化学形態がよくわからないものも両方ありそうだという話で、そういうことを申し上げたら、今の有害大気汚染物質のモニタリングの結果を見る目安として見るのであれば、今の形で数字を置いておくのがいいのではないか。
    ただ、基準にするとかというような話になりますと、これはえらい話になるので、それはもう、ちょっと今の段階ではとても無理だと思いますけれども、3番目の判断ということになりますが、一応目安として置くのであれば、これを採用してという一つの目安という、そういう意味合いで私はいいのではないかというふうに思っております。

    【浅野委員】 同じようなことなのですけれども、これだけデータが十分でないということであれば、これが直ちに環境基準とか規制というのにつながらないということがこの報告から明瞭ですね。しかし、現実に沿道での測定データを見ると大体0.0021から高いところで0.26というのが出ていますから、そうすると、このぐらいのところが目安だということであれば、何らかのアクションを起こさなくてはいけないという行政のアクションなどの参考にはなると思うのですね。これは、あくまでも個々の排出口を見ているわけではない。一般環境という前提で見るのなら、こういうものがあっても悪くはないと思う。環境基準と同じような発想で、これができたら直ちに大変だということではないと思います。中杉委員と今私が言ったことは記録にとどめていただいて、事務局もこれができたらすぐまたこれで厳しい直接的規制をやるなんて考えなければ、それでいいのだろうと思います。

    【鈴木委員】 すぐ規制をやらないという立場で今作業をしているのだと私は思っていますけれども。
    ただ3番をとってしまって、そうするとニッケルが全く消えてしまうわけですよね。そうすると、ニッケルの問題に関する関心が…、もっとエンカレッジしてもう少し調べたいわけですよね、いろいろなことを。都市のがんのコホートをずっと追いかけている仕事の中で、それぞれの都市の中でのニッケルの濃度で妙なところが高かったりなんかしていて、それが関係あるかないかなんて議論も実はあるわけなので、そういうことを考えると3にしなくてもいいのではないかなと。むしろ、指針値なのだから1でもいいのではないかなというふうに私は思うのですけれど。

    【内山委員長】 多分、大前委員がおっしゃられたことも事実としてあると思いますので、24ページの総合評価のところで、そこら辺は大分苦労されて書いておられることだろうと思いますので、しっかりそこら辺のところは記述をしていただいて、もう一つ、環境基準における指針値として、大気中の今測定されているもののある程度の削減ですとか発生源周辺での指針とするべきものという意味で提言できたらというふうに思いますけれども。

    【大前委員】 指針値というものの性格が今おっしゃられたようなことでございましたら、あってもいいかなと思いますけれども。でも、我々がやってきた作業というのは、やはりサイエンティフィックな評価をしてきた作業だというふうに認識しておりますので、そこから出てきた数字ではないというのを、指針値だからいいということで使うのは、何となく、まだそんなに納得がいっているわけではございません。1番を採用されることに関しては賛成いたしますけれども。

    【内山委員長】 ありがとうございます。
    では、中杉先生。

    【中杉委員】 もう一つ、先ほど大前委員がニッケル化合物と言われましたけど、実はニッケル及びニッケル化合物の測定法から考えますと、どういうわけか、いろいろな配慮があってニッケル化合物という名前になっているのだと思うのですけれども、そういうことで、環境省―我々もそうなのかもしれませんけれど、測定法を毒性の評価の方と合わせて少し見直すことは考えたらいいのではないかなと。例えば水溶性のニッケルの問題であれば、それなりのはかりようは幾らでも考え得るだろうと思いますので、そこをもう少し含めて検討していく。これは、とりあえずこの形で数字は置いておいて、さらに今度は基準なんかに検討しようとすると、そのようなことも含めて検討する余地があるのではないかと思います。

    【佐藤委員】 先ほどの大前委員のご意見なのですけれども、私も初めにこの健康影響評価小委員会かなんかで作業をしていたときのやつだと、やはりサイエンティフィックにはある数値を出すのは無理だろうというふうに思っていたのです。だけれども、今回、村田先生にいろいろつけ加えていただいた中で、7ページのGrimsrudというのですか、コホートを追いかけ続けていたデータで「水溶性ニッケル曝露量と肺がん発症率の間でのみ明確な量−反応関係が認められ」たというのは、これをちょっとやはり重きを置いて見たいなと。前のレポートでも水溶性が臭いぞという話がずっと出ていたのですけれども、きちんとした証拠としてはなかなか書けなかったのですね。それにこういうデータが出てきたということと、それから先ほど申し上げた21ページに環境中にも水溶性のものがありそうだぞというところで少し考え方を変えてもいいのかなと思ったので、全く精錬所のデータから非現実的に出したとは私は思っていないのですけれども。大前先生も非現実的に出したというふうにはおっしゃってはいないのだろうと思いますけれども、少しサイエンティフィックな価値がつけ加えられたので出してもいいだろうと、そういうふうに私自身は考え方を変えました。

    【内山委員長】 ありがとうございました。

    【鈴木委員】 大前さんの言われた後の方の問題について、ご指摘は非常に重要なポイントだと思うのです。中杉さんもお答えになったけれども、要するにいろいろな化学物質、形態をとっているときに、それをどう扱うかという。逆の問題がダイオキシンのときにあったわけでしょう。非常にたくさんの異性体があるやつを、まとめてどう扱って、それでいいかという問題が出てきて、結局、最初何とか無理やりまとめ上げたけど、今になってみれば、逆にばらして、もう一遍特徴ある異性体群ごとに問題を整理し直さなきゃいかんよというような、そういうような方向になってきたわけですけれど。ニッケルとか水銀なんかの場合には、逆にものはそれぞれ違うのから入っていって、束にしていいかどうかというのは後で考えるみたいなのが筋だと思うのですけれども、そういう点から言うと、ちょっと一般原則みたいな形でどう扱うかというのは、そう簡単に言えないのではないかなと思います。常にこう扱わざるを得ないというわけではなくて、この化学物質群についてはこう扱いましょうみたいなことになるのではないかと。
    ちょっと、これは注文なのですけれど、水銀のところは「水銀とその化合物」という言葉で書いてはあるのだけど実は水銀蒸気の話しか書いていないので、それだったら「水銀蒸気」とだけ書いてくれた方がさっぱりするなというのが私の注文なのですが。

    【佐藤委員】 ちょっと言い訳めくのですけれども、これを書いていたときは「水銀蒸気」で書いていて、私も先ほどこれタイトルを見たら「水銀及びその化合物に係る」と書いてあるので、ちょっとこれまずいなと思って。実は、先ほどの議論で大前先生が言い始めた話で、これは本当は水銀と、水銀蒸気と言った方がもっと正確なのかもしれないけど、それにかかわる指針値だというふうにしていただいた方がいいのだろうと思っているのです。「その化合物」というのは、やはりとっておいた方がいいのではないかなという感じがしています。

    【香川委員】 通常、こういうのを出すとき、この基準、指針値に関して評価するときの測定法もつけると思うのですけれども、それがついていれば、今の問題がかなり解決できると思うのですが、測定法はどうなるのですか。

    【内山委員長】 今はもう監視項目というか、モニタリング項目に入っていると、環境省から。

    【中杉委員】 実際には有害大気汚染のモニタリングをやっている、そのデータを、先ほど言いましたようにそれを評価するという、それがどのぐらいのレベルにあるかというのを見ることになりますので、そういう意味では今やられている測定法だと考えます。
    ニッケルの場合は、そういうことでいきますと、恐らくニッケル金属もあればつかまえてしまうという測定法で今は測定をしている。
    水銀の場合もメチル水銀は、それはちょっと難しいですね。恐らく、ほとんど大部分が水銀蒸気であろうということで。水銀及び水銀化合物というような形で測定値が出ていますけれども、それもほとんどは水銀蒸気だろうと思い込んで今は指針値の議論をしているのだろうと、多分リソースのような形で議論をされているのだろうと思っております。

    【高橋課長補佐】 今の「水銀及びその化合物に係る」という題名でございますけれども、こちらは内容を読んでいただけると水銀蒸気というのは明らかなのですが、私どもの方で整理をしました有害大気汚染物質のリスト、そこでは一応水銀及びその化合物というふうな名称、それからニッケルについてはニッケル化合物という名称になっていまして、それをそのまま使っております。これについてどうするか、内部でも検討したいと思いますので、ちょっとお時間をいただきたいと思います。

    【松下委員】 今の数値以外の問題として、これは私の意見ですが、塩化ビニルに関する健康リスク評価を見ますと、疫学データはしっかりしているし、それから、この前の指針の方にIに該当する物質であって環境大気以外からの曝露についてなお検討を要する物質でもない。とすると、ここで一応指針値を決められた後は環境基準専門委員会の方に回すようにすべき物質ではないかなと。または、先ほどの書いてあることからすれば、最初から環境基準専門委員会にかけるべき物質ではなかったかなと思うのですが、ご考慮いただきたいと思います。

    【高橋課長補佐】 基本的には、流れとしては、大もとは直接は下がっていないのですけれどもPRTRで初期評価をやっておりまして、そこである程度スクリーニングされたものをこちらに載せる。ただ、有害大気汚染物質の方がPRTRよりは先行しておりますので、既に載せてしまってあるというものがほとんどでございます。一つ、そのような大きな流れがあって、もう一つ、有害大気汚染物質を環境基準で抑制するということでやってきたわけですけれども、なかなか知見がそろわないということで、今回この指針値ということで。とりあえず、指針値という形で置いて、それである程度これが環境基準ということにできるのではないかというようなものがあれば、その他のものも必要性に応じてということですけれども、環境基準ということも考えていくという、全体の流れはそういうふうな流れを考えております。

    【松下委員】 この塩化ビニルに関して言えば、疫学データでもこれ以上出るというのは非常に難しいと思うのですね。労働環境の、昔、非常に劣悪なときに一生懸命やられた仕事なのですよ。それから、ほとんど経気道ですから、これ以上のデータはちょっと出るとは思えないから、一応、やってほしい。できたらそういうふうにしてほしいというのが第1点。
    第2点は、これは全体に通じることなのですが、今、世界中にいろいろなデータが飛び回る時代ですから、今言われた審議のほかに、国際的なレベル合わせということも非常に重要なことになりますので、そういう国際的な基準値がどうなっているかということも、行政的に配慮されてご判断いただけたら有難いと思っております。

    【内山委員長】 ありがとうございました。この点に関しましては担当委員の間でも大分問題になった、議論をしたこともございますので、ぜひ前向きの方向で、今、環境省のお答えにもありましたように、私どもとしてもそういう方向を十分配慮しながら進めさせていただきたいと思います。

    【小林委員】 すみません。総論の部分になるのですけれど、先ほどから個別案件で議論をされてきて、その議論の中で指針値とは何ぞやというのがだんだん見えてきているのですが、この総論の中でやはり1項目挙げて、指針値の性格とか、指針値の―活用方法というのは書いてあるのですが―性格をもっと詳しく、こういうふうに扱うのだということをお書きいただいた方がいいのではないかな。数字が出てしまいますと数値がそのままでひとり歩き、必ずします。数値が出て、それを超えると規制をしようという話に必ずなります。規制には直ちにいかないということが今お話の中であったのですが、そういうことも含めて、やはり指針値の性格というのを詳しくお書きいただいた方がいいのではないかなと思いますが。

    【内山委員長】 わかりました。先ほどのご議論の中でも、大分そういう言葉のあいまいさとか解釈のあいまいさが問題になっておりましたので、これは、またぜひ事務局の方も、もう一回ご検討いただいて、誤解のないようにできたらと思いますが、それでよろしいですか。
    それでは、大体時間どおりおかげさまで進みまして、本日、いろいろご意見、ご質問をいただきました。各物質の指針値につきまして、収れんしたものとそうでないものがございますけれども、これ、一応確認のためにまとめておきたいと思います。アクリロニトリルにつきましては、疫学研究を用いて発がん性以外の有害性を指標としてNOELを1,000μg/m3にするところまではご同意いただいたと思います。そして不確実係数100から1,000ということでご提案いただいた中で、大体250ぐらいではないかというご意見もありましたが、従前の環境基準を決めたときの不確実係数等との関連もあって、もう一回、これは次回までに再検討したいと思います。
    それから塩化ビニルに関しましては、疫学研究を用いて閾値のない発がん物質としてユニットリスクを1×10−6といたしまして、これを10−5の生涯リスクレベルに換算して10μg/m3ということで、議論は収れんしたと思います。
    それから水銀及びその化合物につきましては、疫学研究を用いまして発がん性以外の有害性を指標として、NOAELとして20μg/m3をとり、不確実係数500で割りまして0.04μg/m3。
    それからニッケル化合物につきましては、疫学研究を用いて閾値のない発がん性物質としてユニットリスクを4×10−4といたしまして、これを10−5の生涯リスクレベルに換算して0.025μg/m3という値に収れんしたというふうに認識いたします。
    したがって、おおむね以上の方向で作業をさせていただきまして、担当委員におかれましては、必要に応じて本日提出された資料に本日の議論を踏まえて修正を行って、最終的に次回の専門委員会にご報告したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
    これで、きょう予定しておりました議題、すべて終わりました。そのほかの議題、何か事務局の方からございますでしょうか。

    【高橋課長補佐】 本日のご議論を踏まえまして、担当の先生からもご指導を受けながら、事務局として作業を進めてまいりたいというふうに思います。
    第3回目の開催につきましては、6月10日を予定しております。第3回目の6月10日の専門委員会で中間的な取りまとめができればというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

    【内山委員長】 それでは、本当にきょうはどうもありがとうございました。
    あと、何か事務局の方から一言。

    【立川課長補佐】 本日は長時間にわたって、どうも、ご審議ありがとうございました。
    本日の議事要旨及び議事録につきましては、第1回目の議事録と同様に各委員にご確認していただいた上で公開することといたしております。
    なお、第1回目の議事録につきましては、冒頭申し上げましたとおり、6月5日ごろまでに事務局にご意見をお寄せいただけたらと思います。
    どうもありがとうございました。

    【内山委員長】 どうもありがとうございました。