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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
石綿飛散防止専門委員会(第5回)
会議録



  1. 日時  平成24年9月26日(火)9:59~12:55
  2. 場所  経済産業省別館 1028号会議室
  3. 出席者
     (委員長) 浅野 直人  
     (委 員) 浅見 琢也 稲垣 隆司
    内山 巌雄 大迫 政浩
    大塚  直 神山 宣彦
    近藤 充輔 島田 啓三
    谷口 靖彦 外山 尚紀
    内藤  恵 中橋 博治
    本橋 健司 森永 謙二
    山﨑 淳司
    (環境省)  小林水・大気環境局長
       加藤総務課長
       大森大気環境課長
       倉谷大気環境課長補佐
       栗林大気環境課長補佐
       村井大気環境課係長

  4. 議  題
    (1)
    これまでに開催された専門委員会における要望・質問について
    (2)
    石綿飛散防止専門委員会における今後の対応策についての指摘・提言等について
    (3)
    その他
  5. 配付資料
    資料委員名簿
    資料要望事項に対する資料
     2-1大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業への立入件数等
     2-2自治体における石綿飛散防止に係る法令適用範囲及び条例の制定状況
    (石綿飛散防止専門委員会(第1回)提出資料修正版)
     2-3建設リサイクル法に基づく届出情報の共有状況
     2-4社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会(第6回)配付資料(抜粋)
    資料ヒアリング内容に関する質問に対する回答
    資料石綿飛散防止専門委員会における今後の対応策についての指摘・提言等

    外山委員提出資料
    (大気環境部会(第35回)配付資料)

    参考資料1石綿飛散防止専門委員会の検討状況
    参考資料2大気汚染防止法の概要(石綿関係)
    参考資料3平成24年度に確認された石綿の飛散事例
  6. 議  事

    【倉谷大気環境課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会の第5回の会合を開催いたします。
     委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
     私は、本日の司会を務めさせていただきます環境省大気環境課の倉谷でございます。よろしくお願いいたします。
     本日は、日本建設業連合会の青島委員、それから、労働者健康福祉機構の圓藤委員、ひょうご環境創造協会の小林委員、慶應義塾大学の武林委員がご欠席とのことでご連絡をいただいてございます。したがいまして、本日の出席委員につきましては、委員20名中16名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数の過半数に達していることをご報告させていただきます。
     ここで、委員会の開催に当たりまして、小林水・大気環境局長よりご挨拶申し上げます。

    【小林水・大気環境局長】 おはようございます。本日も、大変お忙しいところ、幅広い専門委員の先生方にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。また、日ごろから、大気環境行政の推進につきましては、いろいろな面でご尽力いただいておりまして、これにつきましても改めて御礼を申し上げます。
     今日は第5回の石綿飛散防止専門委員会ということでございます。4月20日に中央環境審議会に諮問させていただいてから精力的にご検討いただいておりまして、既に4回の専門委員会において、先生方、また、外部の識者の方も含めてヒアリングを行っていただきまして、いろんな情報収集をいただいたというふうに考えております。
     この石綿の問題は、大気環境行政のいろいろ課題がある中でも最も重要な課題の一つというように心得て、我々も勉強を重ねているところでございます。今までの間に七つの論点ということで、制度的なものからかなり科学的、あるいは、実務的なものまでを含めて、順次議論を整理してきていただいていると承知をしております。先週の19日には、大気環境部会にも審議の経過をご報告いたしまして、いろんなご意見をいただいたところでございます。いよいよこれから具体的な論点を整理していただいて、また、方向性も出していただければと思っておりまして、できましたら本年中にはおまとめいただければありがたいということでございます。
     本日もさまざまな観点からいろんなご審議をいただければ思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

    【倉谷大気環境課長補佐】 引き続き、お手元の配付資料でございます。議事次第の中ほどに配付資料一覧をつけさせていただいてございます。資料1、委員名簿、資料2は四つの資料に分かれておりまして、資料2-1から2-4まで、それぞれホッチキスどめで分けてございます。それから、資料3、資料4。また、本日、外山委員から資料の提出をいただいておりますので、そちらの資料を配付させていただいています。また、参考資料としまして、大気環境部会で配付しました資料から、参考1から3までつけさせていただいてございます。不足等がございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。
     マスコミの方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りにつきましては会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。
     それでは、以降の議事進行につきましては浅野委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

    【浅野委員長】 おはようございます。今日も早朝からお集まりいただきまして、ありがとうございました。
     先ほど局長のご挨拶にもありましたが、今日で5回目ということになります。これまでヒアリングを重ねてまいりまして、今日から内容の議論を委員の間で行うということになりますので、よろしくお願いいたします。今日はできるだけ率直に皆さん方のご意見を伺うということを考えましたので、平素よりも時間を少し長目に考えております。、もちろん、早く終われば早く終わりたいと思っておりますが、1時までということにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     先ほど局長のご挨拶にもございましたが、先日、大気環境部会がございまして、そこで当専門委員会の検討状況について報告を申し上げました。大気部会に提出いたしました資料は参考資料の1から3までということでございまして、本日お手元にお配りをしております。当専門委員会の委員で大気環境部会の委員を兼ねておられる先生方はどんな報告をしたかをご存じだと思います。ここで改めて報告内容を繰り返すということは、時間もございませんので、いたしませんけれども、ヒアリングを行ったこと、そこでどういうご意見が出たかといったようなことを中心にご報告申し上げました。
     それでは、本日の議事に入りたいと思います。まず、これまでに開催されました専門委員会でご要望や質問などをいただき、あるいは情報提供のご要望をいただきました事項について、ここでまとめて事務局から説明をいただきたいと思います。
     では、資料の2-1からまとめて説明をいただきまして、その後、ご質問、ご意見などを承りたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

    【栗林大気環境課長補佐】 環境省大気環境課の栗林と申します。まず、私のほうから、資料の2-1から2-4について説明させていただきたいと思います。資料2-1から2-4につきましては、これまで委員の皆様から、こういうような情報があったほうがいいのではないか、あるいは、資料についてこういうふうにつけ加えたほうがいいのではないかといったご要望等をいただきまして、それを踏まえて作成したものでございます。
     まず、資料の2-1をご覧いただきたいと思います。こちらは、大気汚染防止法、あるいは、自治体で制定しています条例等に基づく特定粉じんの排出等作業、そういう現場への立入件数をまとめたものです。
     表1をご覧いただきますと、まずは、大気汚染防止法に基づく届出状況はどのくらいなのかといったものを過去5年間、18年から22年度まで一覧にしたものです。平成22年度でいきますと1万件を若干割り込んでいるような状況で、その推移を示したのがその下の図の1でございます。9,851件となっています。
     それに対しまして、下の表2にあります立入検査の件数でございますけれども、一番下に、特定粉じん排出等作業というマルで囲んだところ、ここをご覧いただきますと、平成22年度で6,362件ということです。この件数の中には、同じ現場に複数回行った件数も含まれておりますので、ご承知おきいただければと思います。単純に割ると大体7割弱ぐらいですけれども、実際の現場に行ったのは、それよりも若干下回るのではないかと推測しております。
     次のページ、2ページ目以降につきましては、各自治体の立入実施数というのを左欄から2番目のところに掲載していまして、立ち入りの結果、いろいろな行政処分等をしたものを、それぞれ自治体ごとに掲載しているものです。
     それから、5ページをご覧いただきたいと思います。表の4としまして、平成21年度、これが下段です。それから、上段の22年度、2カ年分ではありますけれども、大気汚染防止法に基づく届出以外、条例とかその他のものを発端にしまして立入調査等をしたもの、それを一覧にしたものです。①条例等の規定によるもののほか、②計画によるものということで、これは、合同パトロールなり、あるいは、単独のパトロール、それを計画している自治体は多くあります。それに伴って現場を確認したものです。それから、③、これは、住民の方から通報をいただいて、それで現場に向かったというようなものが掲載されています。22年度ですと計2,300件ほど、それから、21年度ですと計1,447件ほどということになっております。幾つかの自治体に、条例に基づく届出数、それに対して立入件数をどのくらいの割合でやったのかを伺いました。電話で簡単に聞いたのですけれども、ほぼ100%に近い立ち入りをしているところ、一方、特に立ち入り、条例に基づく届出、全て行くというわけではなくて、機会を捉えていくというようなところで5割程度の立入状況というところもありまして、さまざまです。
     ちょっと見ていただきたいのは、③のところ、その他、通報に伴う立入現場確認のところで、それに伴って、Cのところで大気汚染防止法の違反が見つかったというものが平成22年、上段では5件、下段では4件。その内容では届出違反、結局は未届けで作業をしていたというものが見つかっているということですので、こういうような大気汚染防止法に基づく届出のないところもやはり注視していく必要があるのだろうなと考えております。
     資料の2-1は以上でして、次に、資料の2-2をご覧いただきたいと思います。A3横長の資料です。
     これは、第1回の専門委員会で提示させてもらいました自治体における条例の制定状況を取りまとめたものですけれども、委員の方から、その上段に、大気汚染防止法及び石綿に関係する法令等の規定を書いてもらいたいというご要望がありまして、1ページ目にそれを入れております。
     法令としましては、大気汚染防止法、それから、中段にあります安衛法・石綿則、それから、一番下にあります建設リサイクル法、この三つについて、各項目について概要を整理させていただいております。
     事前調査につきましては、ご存じのとおり、大気汚染防止法では規定がございません。一方、石綿障害予防規則では、全ての解体工事について規定がありまして、義務対象者としては事業者になっております。建設リサイクル法では、この右にあります、届出の欄にありますレベル1、2、3について、特定建設資材、これはコンクリートなり木材、アスファルト、コンクリートを用いた建築物等に係る、次に書いてある工事、その一つとしましては、床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体、それから、請負金額が1億円以上の建築物の修繕、模様がえ等の工事、並びに、請負代金が500万円以上の建築物以外の工作物の解体等工事について、事前調査、付着物等の有無の調査をすると。これは、義務対象者としましては、対象工事、建設工事の受注者または自主施工者となっています。
     次に、届出です。大気汚染防止法につきましては、いわゆるレベル1、2につきまして、特定工事を施工する者が届出をするということになっております。一方、安衛法、それから、石綿則につきましては、レベル1の耐火建築物、それから、準耐火建築物で石綿が吹きつけられているものにつきましては、計画届ということで、安衛法に基づく届出が。その他のものにつきまして、ここに書いてあるものにつきましては作業届ということで、石綿則に基づく届出が必要になってきます。建設リサイクル法につきましては、先ほど言った建築物につきまして、対象建設工事の発注者、または、自主施工者が届出を行うという形になっております。建設リサイクル法につきましては、発注者、自主施工者が届出を行っているというところが一つのポイントなのかなと思っています。それから、次の濃度測定につきましては、これらの法令等には規定はございません。
     次の作業基準です。大気汚染防止法では、ご存じのとおり、掲示板の設置、隔離、前室の設置、負圧の管理、それから、集じん・排気装置の使用等々が規定されておりまして、石綿則におきましても、これと同じような規定のほか、作業者の曝露防止という観点から、呼吸用保護具、作業衣の着用等が規定されております。建設リサイクル法につきましては、付着物の有無の調査、その他対象建築物に関する調査なり、分別解体の計画の作成等が規定されているというところです。
     立入検査につきましては、いずれの法令等にも規定があります。括弧内に書いてある建築物に対して立入検査ができるという形になっています。
     最後、その他につきまして、特に、議論になっています注文者の配慮についてですけれども、これにつきましては各法令等に規定があります。また、罰則につきましても規定がなされているというところでございます。
     裏面からは各自治体の条例の制定の内容について記載したもので、これは第1回の専門委員会で説明させていただいておりますけれども、例えば、大阪府さんで届出のところ、左から三つ目のところ、レベル3と書いてありまして、石綿含有成形板、これは、修正前は建築物の面積ということでちょっと誤植がありましたので、それを修正させていただいたのと、同じく、大阪府さんのところ、右から二つ目、立入検査のところでは全ての解体工事に立ち入りできるということで、前回、表記があまりよろしくなかったということで、修正をさせていただいております。

    【浅野委員長】 兵庫県も同じですか。

    【栗林大気環境課長補佐】 はい、兵庫県も同じです。兵庫県、3ページ目の立入検査のところについても同じ表記にさせていただいています。
     修正事項は以上でございます。
     続きまして、資料2-3をご覧いただきたいと思います。環境部局と建築部局、それから、労働関係との情報の共有の必要性ということが言われていまして、ここでは、建設リサイクル法に基づく届出情報というものも一つ重要な情報だということで、実際、環境部局が建設リサイクル法に基づく届出の情報の共有状況がどの程度であるのか、これを都道府県、それから、大気汚染防止法に規定します政令市、合わせて129自治体に照会した結果をまとめたものです。
     ここで、2段目にあります59の自治体が建設リサイクル法の情報を共有しているということで、その下にあります共有の情報内容としましては、建リ法の届出のあった全てのものを情報共有しているというのが24。それから、その中で、付着物あり、これは吹付け材ですけれども、付着物ありと記載された届出のみ共有しているのが26、その他9自治体ということになっています。
     活用方法の例としましては、特定粉じん排出作業に関する届出を確認、あるいは、指導するためのものということで46。それから、合同パトロールに使うというものが8、苦情対応が5ということになっています。
     一番下に情報共有の必要性ということで欄を設けてありますけども、共有すべきというのが47、必要に応じて共有というのが9ということになっています。未回答の自治体もありますので、合計が59にはなっていません。一方、共有していないという70自治体の中でも、共有の必要性なしというご回答をいただいた自治体が9ありました。
     資料2-3は以上でございます。
     最後に、資料2-4です。こちらは国土交通省さんから資料の提供をいただいておりますけれども、こちらは公開の場で、部会で説明がなされた資料でして、ホームページにも掲載されている資料です。国交省では、建築物調査者の育成方策としまして、社会資本整備審議会アスベスト対策部会、同ワーキンググループで、調査に係る新たな資格制度を検討中と聞いております。それの関係する資料です。
     3ページをご覧いただきたいと思います。建築物におけるアスベスト対策の経緯ということで整理されていたものです。ご存じのとおり、平成17年にアスベストが社会問題化しまして、国としましては、アスベスト問題に係る総合対策ということで、関係閣僚による会合決定がなされました。それを踏まえまして、建築物におけるアスベスト対策としましては、建築基準法の改正、それから、民間建築物のアスベスト調査の推進、並びに、アスベストの調査・除去等への支援ということが推進されてきました。このうち、中段にあります民間建築物のアスベスト調査の推進につきましては、昭和31年ごろから平成元年に施工された民間建築物のうち、延床面積1,000平方メートル以上の建築物27万棟を対象に調査が行われてきたという経緯があります。それに対しまして、平成19年12月の総務省勧告で、1,000平方メートル未満の民間建築物、それから、平成2年以降に施工された民間建築物の把握方法の検討等が求められたということで、国交省におきましてアスベスト対策部会が再開されまして、アスベスト対策ワーキンググループを設置しまして、民間建築物の調査の推進方策等が検討されてきたということです。21年6月の部会におきましては、マルの二つ目にありますように、今後のアスベスト実態調査を進めるに当たって、まず、本格実施のための環境整備を行うことが重要ということで、建築物調査者の育成等について先行的に検討するということで、ワーキンググループで引き続きその後も検討されたと聞いております。
     次の4ページをご覧いただきたいと思います。アスベスト対策部会のこれまでの検討経緯と今後の課題についてということでの取りまとめられた資料です。ここでは、前回、平成21年に部会で報告された内容、それから、中段に、今月開催された部会での報告内容、それから、一番右側が今後の課題(案)という構成になっております。
     上段の調査の前提というところで、石綿含有建材の飛散性調査ということで、ここでは、平成20年度の飛散性調査では有意な石綿の飛散は確認されなかったということで、引き続き飛散性調査が実施されまして、平成21年度から23年度の飛散性調査の結果についてご報告があったと聞いております。
     今後の課題としましては、引き続き飛散性調査を実施すると。必要に応じて建築基準法の規制対象の追加というものも検討課題と聞いております。
     それから、中段の調査・分析のところです。調査対象の全体像の把握ということで、調査対象となる建築物は約280万棟、これは、延べ床面積1,000平米未満、それから、平成2年度以降のものというものも含めると、約280万棟と推計されるとされています。その建築物の解体は平成40年前後にピークが訪れるというふうに推計されているということで、この情報も踏まえて、我々環境サイドとしましても、今後、より一層建築物の解体現場での飛散防止対策を推進していかなければいけないと認識しているところです。
     続きまして、調査の優先順位の考え方ということです。建築時期が古い建築物から優先的に調査する。及び、未成年が長く滞在する建築物、災害時に緊急利用が求められる建築物を優先的に調査するという考え方がご報告されています。
     それから、その下の調査の実施方法の考え方です。専門技術者の活用による詳細調査を実施する。吹付け石綿等のみならず、保温材等を含めたレベル1、レベル2を対象として含有分析を必須とするというご報告があったということです。
     今月の報告内容としましては、建築物調査者の育成プログラムということで、建築物石綿含有建材調査者育成プログラム(案)の作成、それから、講義、実地研修により構成される模擬講習会の実施結果についてのご報告があったということです。
     それから、その下、調査のモデル事業により得られた知見としまして、新三種等調査モデル6事業、飛散性調査モデル1事業の実施結果についてのご報告、それから、石綿含有吹付けバーミキュライトについて有意な石綿の飛散は確認されなかったというご報告があったということです。
     今後の課題としましては、新たな資格制度の創設、それから、資格者が調査を行うこと等を国庫補助の要件化とするという課題が挙げられるということです。
     続きまして、ちょっと飛びますけれども、資料の7ページをご覧いただきたいと思います。これは平成21年度の部会の資料ですけれども、2番の民間建築物におけるアスベスト使用実態調査の優先順位ということで資料が掲載されています。この建築時期としまして、吹付けアスベスト等については、昭和46年に特化則が制定されて以降、順次法令による規制が強化されてきたと。それから、業界による製造中止等の自主的な取組が行われてきたということで、昭和46年以降の特化則の制定以降、8ページをご覧いただきますと、平成元年には、業界の自主規制によって、吹付け石綿(湿式)の製造中止、平成7年には含有量1%以上のアスベスト吹付け作業の原則禁止、18年には0.1%以上の製造・使用を全面的に禁止ということ、そういう経過がございます。ここでは、その下にありますこれらの制度改正等を踏まえて、次のとおり優先順位を設定することが考えられるということで、第1優先として建設時期が昭和50年までである建築物、第2優先として51年から55年、第3優先として56年から平成7年、第4優先として8年から18年と資料でまとめられています。この考え方もぜひ参考にさせていただければなと思っているところです。
     それから、資料の10ページ、先ほど簡単に説明させていただきましたけども、民間建築物の年度別解体棟数の推計です。このグラフにありますように、平成40年にピークになるのではないかという推計がありますので、今後また解体建築物の棟数というのは増えてくるという推計になっております。
     続きまして、12ページ、これも平成21年の部会での資料ですけれども、ここで、アンケートが完了されていまして、1の(1)にあります大防法の届出のあった事業者、それから、2番目としまして、社団法人建設業協会さん、それから、3番目としまして全国アスベスト適正処理協議会の中からリストアップしていただいたというものでして、ちょっと注目したのは、13ページ、(3)番に、これは2007年度ですけども、社員や売上高等に関する状況ということで、上からポツとしまして4番目です。ここで、単独の除去等工事の割合が90から100%というのが多くて、全体の2割を占めると、解体工事、改修工事とあわせて行う割合は0%が多い、全体の3割を占めるという情報。それから、その下の、石綿含有分析のためのサンプリングを自ら行う割合は0%が多くて、全体の4割を占める。一方、90~100%という回答も約1割を占めるということです。これは、12ページにありますけれども、大防法の届出があった中で一部リストアップしたというものですので、除去等業者の全体像を十分に把握できていないこと等に十分留意する必要があるというのが、12ページの2番目のところにも書いてありますが、参考となる情報なのかなと思っております。
     それから、15ページをご覧いただきたいと思います。建築物調査者の育成プログラムについてという資料です。マルの三つ目です。これまでの経過を踏まえて、平成21年度より、建築物の通常の使用状態において、石綿含有建材の有無の調査を行う建築物調査者の育成に向けた具体的な方策の検討を行い、平成22年度までに、アスベスト対策ワーキンググループにおいて、育成プログラムの講義に用いるプログラムテキスト(案)を作成したということです。その下にありますように、平成23年度にはテキスト(案)を用いて講義、実地研修、発表会・講評により構成される4日間の模擬講習会を都内で2回開催したと。その概要についてが、①講義、テキスト(案)を用いて4講座、合計11時間45分で構成される講義を実施。実地研修として、実際の建築物について、受講者がグループ当たり2時間の模擬的な調査を実施する、これは1日。3番目としまして発表会・講評ということで、実地研修で受講者が作成した現地調査報告書の発表、講師による講評、これを1日間やられたという内容です。
     16ページのマルの二つ目です。模擬講習会終了後の受講者からの意見・要望を踏まえて、建築物調査者が社会的に期待される役割というものを考慮して、23年中に、アスベスト対策ワーキンググループにおいて、「その他石綿含有建材(成形板等)の調査」、「建築物の石綿対策に係る関係法令」に係る内容のテキスト(案)への追加等の作業を集中的に実施して、最終的に次のテキスト(案)を作成したということで、第1講座としては建築物と石綿、調査の目的と調査者の役割、第2講座として建築一般、図面の読み方、情報入手、第3講座として現場調査の実際と留意点、第4講座として建築物石綿含有建材調査報告書の作成、第5講座としてその他の石綿含有建材の調査、あとは、巻末資料という構成のものを作成したということです。
     最後です。45ページ、一番最後のページをご覧いただきたいと思います。今後の検討課題ということで1ページついておりまして、マルの一つ目にありますように、今後の民間建築物の石綿実態調査を進めるに当たり、引き続き本格実施のための環境整備を行うことが重要と。建築物調査者の育成のため、建築物石綿含有建材調査者育成プログラムによる新たな資格制度を創設すると。将来的には、国交省が定める要件を満たす公正・中立な民間の第三者機関が講習を実施し、調査者の資格を付与する。
     次に、建築物の調査・除去等に係る国庫補助に当たっては、調査者の資格を付与された者が調査を行うこと、除去等の工事完了後の検査を行うことを要件化するということで、調査・除去等の質の確保・向上を図ることとするといったような今後の課題が掲げられているということです。
     ざっとで申し訳ございませんが、私からの説明は以上でございます。

    【浅野委員長】 それでは、ただいま、これまでに資料を探してほしい、あるいは、情報を提供してほしいという委員のご要望がありました件について、事務局からこれまでに資料等が入手できた範囲で、ご説明を申し上げました。
     なお、ヒアリングの追加の質問については、この後、資料3にもとづいていただいた答えをご報告いたしますので、とりあえず今までのところで、何かコメントなりご意見なりご質問なりがございましたら、お出しくださいませんでしょうか。
     外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 ありがとうございました。
     国土交通省のアスベスト調査の資料ですけれども、アスベスト対策部会の資料、資料2-4になりますが、それについて若干補足といいますか、したいと思うのですけれども。この中に、量が多いので省かれているのかなと思うのですけれども、別紙の3というのが実はありまして、その中に、モデル事業というのをやってきている、その報告があります、アスベスト除去ですとか、そういったものに関して、補助金をつけて行われて、モデル事業の報告があって、実は、その中に19の事例が報告されているということなんですが、ここを実は注目していただきたいなと思っていたのですけれども、その19の事例の中で、監督署ですとかの是正勧告を出さざるを得なかったものが2件ありました。これは1割ですね、10%。それから、委員の皆さんがその現場を視察したりする中で、マイナーな修正というのでしょうか。養生が破れているですとか、負圧がよくできていないとか、そういう現場での修正が可能なものというのが19件のうち13件あったのです。それは68%に上るということになりまして、重要なのは、是正勧告に至るものが1割ぐらいあって、それ以外に、マイナーなそういう修正点というのがたくさん出ているということにぜひ着目していただきたいなと思っています。大防法の立入調査の報告もありましたけれども、その中で、6,300件ほど立入調査があって、その中の1.8%に行政指導を行っていますが、これは恐らく最悪に近いケースだと思うのです。ですので、それ以外に、こういう6割、7割ぐらいで、是正勧告まではいかないけれども、修正をすれば事故を防げる、あるいは、除去業者さんの技量が上がるような、そういう事例はあるので、この部分に実は注目していただきたいなというふうに思いました。ですので、こういう、今日は省かれてしまいましたけれども、このモデル事業の報告書は本委員会にとっても非常に貴重な情報源ではないのかなというふうに思います。やはり、そういうものを踏まえて、アスベスト、石綿建材調査士というものが、今、試験的に運用されているということです。本委員会の中でも、そういったものをぜひ活用していけるのではないのかなというふうに期待しているということです。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     ほかにご質問、ご意見はございますか。

    【本橋委員】 今の外山委員の意見はそのとおりなんですけれども、私はアスベスト対策ワーキングとアスベスト部会に入っているので、一言言いますと、モデル事業の説明をしていなかったと思うのですが、国土交通省の人がいたら、ぜひ補足してほしいのですけれど、モデル事業はある程度難しい工事が対象です。障壁等があってうまく養生できないかもしれないとか、技術的に難しく、今までの施工マニュアルにも指針にもあまり書いてないようなところをモデル事業でやってみて、注意点、改善点を検討するわけです。ですから、外山委員の述べた比率は、ちょっと高い目にはなっていますが、そういう事情も勘案してほしいという、その説明をしたかったのです。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     国土交通省の方がいらっしゃって、何かコメントはありますか。──よろしいですか。
     それでは、ほかにご質問、コメントがございましたら。いかがでございましょうか。ご質問、あるいは、ご要望をお出しになった委員の方はよろしいですか。
     では、谷口委員、どうぞ。

    【谷口委員】 資料2-2で、法律関係について事前調査などをいろいろまとめていただきました。どうもありがとうございます。
     それで、石綿障害予防規則とか、それから、建設リサイクル法で事前の調査があるのですけれども、これが大気汚染防止の観点から有効な内容になっているのかどうかということは、一つ確認できたらなと思います。それで、感想で結構なんですけども、それぞれの法律の事前調査というものが、大気汚染防止の観点からどの程度活用できるかというコメントをいただければと思うのですが、よろしくお願いします。

    【浅野委員長】 この点は、事務局に今答えてほしいと言っても、答えにくいと思います。むしろ我々が検討すべき内容かもしれません。ただ、現行法がどこら辺に限界があるかというのを私もちょっと考えてみたのですが、また折があれば、現行法はこういうところが限界だということは、私なりに分析をしてみた結果を申し上げたいのですけども、やはり、それぞれの法律の目的が違うということは決定的に大きい。谷口委員がおっしゃりたいことは、多分そうだと思うのです。ですから、他の法令にこういうものがあるから、もうこれ以上やる必要はないというような議論にならないのではないかということだろうと思いました。おっしゃるとおりだと思います。労安法は、あくまでも、労働者の安全保護のために、労働者を使う者に対して義務付けている。それから、建リ法のほうは、どちらかというと、解体したものが適正に処理されるかどうかということに着目をしているわけですから、それが大気中に飛散して一般環境を汚染するかどうかについての関心は直接にはないわけですね。とすると、それらの法律でどう言っていようと、大防法は大防法の世界があるはずだと思います。ただ、無駄な重複は避ける必要があるので、他法令で使えるものは使えばいいけれど、ない部分はちゃんと補わなければいけないということをおっしゃりたいのだろうと思います。私も全く同じことを考えていましたので、大気環境部会でも同じようなことを申し上げたつもりです。よろしいですか。
     ほかにございませんでしょうか。特にございませんか。
     それでは、このテーマについては報告をお聞きしたということにいたしまして、先に進ませていただきたいと思います。
     では、次に、これまでに14団体、あるいは、個人の方々から、解体現場や大気濃度調査等に関する現状・課題の情報収集ということでいろいろとお話を伺いました。大変有益なお話を伺うことができたと思っておりますし、今朝方、私は早く起きまして全部の資料に改めて目を通してみたのですが、なかなかすごい資料が集まったものだと改めて感じた次第でございます。ヒアリングに際して時間が若干少なかったということもあって、さらに追加のご質問があればということでございました。委員の先生方から追加のご質問をいただき、それらについてヒアリング対象の方々からご回答をいただきましたので、これらについて事務局から説明をいただきたいと思います。

    【栗林大気環境課長補佐】 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。これまで3回ヒアリング、プレゼンを行わせていただきまして、いろいろご質問もいただきました。それに対しまして、各プレゼンターの方から改めてご回答いただきまして、ありがとうございます。ご回答いただいたものにつきましては、ここにまとめさせていただいておりますので、私のほうから説明させてもらいたいと思います。
     順番は、プレゼンをしていただいた方の順番に整理させていただいております。
     まず、第2回の専門委員会で、JATI協会への質問があった内容です。前身である日本石綿協会は、石綿禁止以前はクリソタイルの管理使用を推奨してきた。管理使用は適正に行われてきたか。また、管理使用が適切に行われてきたことを示す根拠、指標などがあれば提示してほしいということで、この質問の趣旨としましては、本委員会で議論されているアスベスト調査と関連して、JATI協会が創設、運営、養成しているアスベスト診断士が、アスベスト調査を適切に行い得るかどうかという点について尋ねたいということでございます。
     回答につきましては、1にあります、まず、JATI協会についてということで、2段落目ですけれども、旧日本石綿協会の一部の事業を継承した上で、アスベストによる二次災害の防止を目的に新たな定款を定め、この4月1日に新たに発足した一般社団法人だということでございます。2にありますように、クリソタイル管理使用関連の質問については、日本石綿協会の一部事業をJATI協会さんは承継しているということで、かわって回答するという形になっております。旧日本石綿協会さんは、昭和50年代に石綿による健康障害問題が世界的に取り上げられるようになって、石綿の安全使用を行うためにどのようなリスク低減措置をとる必要があるか、こういうことを中心に活動されてきたと。で、その協会の役割は、石綿の安全使用を推進するためのリスク低減措置、それから、指導と啓蒙活動が主だということで、会員企業にこれらの措置を強制できる立場にはなかったと。次のページに行きます。石綿製品を利用する企業に対しては石綿関係法規、対策等の周知に努めてきたということで、旧日本石綿協会が関係官庁に協力して実施してきた施策の概要は次のとおりということで、詳細な説明は省かせてもらいますけども、(1)番から(3)番まで書いてあるとおりです。また、参考としまして、アスベスト診断士について、その制度の仕組みから講師、受講資格、研修内容、それから、4ページ目に行きまして、アスベスト診断士の更新研修、それから、診断士の団体、その他ということで回答をいただいているところです。5ページ目の上には、受講者と、それから、最終的な合格者、合格率が一覧になっているものです。
     続きまして、5ページ目、EFAラボラトリーズさんへの質問です。TEM分析の結果が1日で得られるという説明がありまして、その方法というのはどういうものか。米国において、TEM分析に関するライセンス、または、認証プログラムはあるのか。米国内にはどのくらいの測定機関があり、おおよその費用はどのくらいかといったご質問です。
     まず、一つ目の分析機関の認定プログラムについてでございます。AHERAが施行されたとき、AHERAは分析機関のPLMによる建材サンプル分析と、TEMによるクリアランスエアサンプル分析機関の認定プログラムをNVLAPとしてNISTに立ち上げるよう要請したということで、TEMによるクリアランスエアサンプル分析機関認定プログラムの内容は、NIST、ここに書いてあるNIST Handbook、ここに細かく示されているということでございます。それから、2012年7月現在、米国では79のTEM分析機関がNVLAPの認定を受けているということです。それから、PLMによる建材サンプル分析機関認定プログラムの内容はNIST Handbookに細かく示されていて、2012年7月現在、米国では221のPLM分析機関がNVLAPの認証を受けているということです。また、州で独自の認証プログラムを持っているところがあるということです。
     次のページ、6ページをご覧いただきたいと思います。TEM分析の一日納期についてのご質問に対する回答です。NVLAP認証を受けた大部分のよい評判のある分析ラボ、現在、24時間以内の分析サービスを提供しているということです。AHERAのTEM分析は、アスベストを捕集したフィルターからそのままTEMグリッドを作成し、測定する直接法というものを用いているということで、この直接法によるTEM分析によりますと、1200リットルの吸引空気量のサンプルを3時間以内で分析することができるということで、MCEフィルターのサンプルを直接法により2時間以内で前処理する。よくトレーニングされたTEM分析者は、それを1時間以内で分析するということで、3時間以内で分析することができるということだそうでございます。
     次、7ページ、TEMクリアランス分析の値段についてでございます。吸引空気量が1200リットルで、付着粒子量が少ないサンプルであれば、一日分析で1サンプル当たり100ドルと聞いているということです。ただ、特別に吸引量が少ない、高濃度のエアサンプルを分析する場合は追加で費用がかかるということでして、ちなみに、AHERAの分析方法を検討した1985年のSilver bookには、1サンプル当たり200ドルから600ドルと記載されているということです。TEMによるエアモニタリングサンプル分析が開始された1970年代当初は、直説法による前処理等がまだ正式に採用されていなかったということで、1サンプル1000ドルほどであったというふうに聞いているということだそうです。
     続きまして、EFAラボラトリーズへの質問です。石綿除去等作業中における屋外での大気中の石綿濃度測定は義務付けられていないのかということです。工事中のエアモニタリングの例として、ニューヨーク州のエアモニタリングの規定を紹介しています。アスベスト対策工事プロジェクトにつきましては、8ページの表1のように作業フェーズ分けされておりまして、その下の表2には、アスベスト対策工事の大きさによってバックグラウンドエアサンプリング、工事前エアサンプリング、クリアランスエアサンプリングについて、細かくサンプル採取地点の規定が設けられているという状況にあります。例えば、表の2、Table2のちょっと黒塗りしたところ、大規模アスベスト工事または大規模管理対策工事エリアにつきましては、フェーズ1、これはアスベスト工事の対策前ですね。このバックグラウンドエアサンプリングについて必須。それから、その後のフェーズ2、対策工事中につきましても必須となっているというようなことです。それにつきましては、9ページ目にも、それぞれ工事の規模ごとに、各フェーズにおいてどういったモニタリングが要求されているか否かというものが表になっているという状況です。
     続きまして、10ページをご覧いただきたいと思います。第3回の専門委員会でご質問のありました日本環境測定分析協会、それから、日本作業環境測定協会さんへのご質問です。分析の発注者の比率が施主、それから、受注をした工事業者、石綿除去業者でどのような割合になっているのか、できたら調べてほしいということで、これは、今後、その分析の分離発注という議論の一つの参考資料になるのかなという観点でのご質問だったと思っております。これにつきましては、今現在、データは持ち合わせていないということですけれども、これは民間の分析機関にアンケートをとるなりして情報を収集する必要がありますので、調査が可能であれば第6回の専門委員会でご報告したいということで、我々も、この二つの協会さんのほうに情報収集が可能かどうか、可能であれば第6回、次の専門委員会で間に合うように情報をいただければということでお願いしているところです。
     次の質問です。日本作業環境測定協会への質問です。位相差顕微鏡法による石綿気中濃度測定の精度管理について50視野、及び、1視野当たりの計数繊維数により評価しているという報告があったと。これは、日本環境測定分析協会による個々の繊維の計数の可否を確認する方法とは異なるように思うということで、精度管理と分析者の技能向上のためには、個々の繊維の長さと幅が計数基準によっているのかどうかを問うことが重要と思うけれども、いかがかと。将来、個々の繊維を評価する方法を採用する予定があるのかといったご質問です。これの回答につきましては、今、Aランク、Bランク、Cランクということで、Aランクが一番技術が高いというものですけれども、Cランクについては、50視野の計数値を標準値と比較して、±20%以内であれば、ランク認定と判定しているということで、極端な例としましては、各視野の計数対象繊維の認識が間違っていても、たまたま50視野の計数値が標準値と合致したと、プラスマイナスがたまたま合ってしまったということで、Cランク認定と判定されることも考えられないことではないと。一方、A及びBランクについては2段階の判定を行っているということで、一次認定としてはCランクと同様の比較で一次判定を行うと。次に、二次判定として、視野ごとの計数値が標準値に対して±1本である計数視野が25視野以上であれば、一次判定結果とあわせてランク認定と判定しているということです。視野内のどの繊維を計数対象としたかということも確認しているという状況だそうです。
     11ページをご覧いただきたいと思います。以上のとおり、日本環境測定分析協会による個々の繊維の計数の可否を確認する方法とは判定基準等が若干異なっているということでありますが、クロスチェックの実施内容、それから、判定方法等が大きく異なるものではないと考えているというご回答でございます。
     続きまして、日本作業環境測定協会への質問です。当該協会の精度管理では定性分析も含まれているが、定量分析に主眼を置いたものと思われる。今後さまざまな共存成分を含めた定性分析を主眼に置いた精度管理を実施する予定があるかというご質問に対する回答です。定性分析技量の熟練が重要という点はご指摘のとおりと。前の質問同様、クロスチェック実施内容をより適切なものとなるように検討していきたいと考えているというご回答でした。
     続きまして、日本建設業連合会への質問です。ヒアリングのときのご説明では、日本建設業連合会の会員の団体会員は400社で、そのシェアは0.8%ということだったということで、売上高のシェアはどうかというご質問です。これにつきましては、団体は、昨年度合併しまして、現在141社となっている中の調査を48社を対象に行って、それから推計したということです。昨年度分は仮の計算ということですが、23%前後の売上高のシェアになるというご回答をいただいています。ただ、ここの下に書いてありますように、日建連の参加企業数は団体会員数を含めた400社とご回答があったと思いますけれども、団体会員の参加法人300社は日建連の会員という捉え方にはなってないということで、現在、141社ということで、そういう修正のコメントもいただいているところです。
     続きまして12ページをご覧いただきたいと思います。第4回の専門委員会で森永委員、それから、村山様への質問があったものです。お二方のご説明で、オランダ保険審議会によるリスク評価値が両者で異なるということで、一方ではクリソタイルが1リットル当たり28本、一方では0.028本ということで、ちょっと確認していただきたいというご質問でした。森永委員からご回答をいただきまして、1リットル当たり0.028本が正しいというご回答をいただいております。
     それから、同じく村山様への質問で、オランダの報告例に関しまして、TEMによる濃度測定の際のサイズについて、石綿繊維のサイズについてのご質問でございます。これに関しましては、オランダの報告書では、位相差顕微鏡と透過型電子顕微鏡の間での測定結果の換算係数を2としているということで、オランダの国立公衆衛生環境研究所では、この換算係数の根拠として、対象とするアスベスト繊維の長さ5マイクルメートル以上で、長さと径の比が3対1以上という記述があるということで、この報告書ではこれらを前提に構成されているものと思われるというご回答をいただいております。
     最後でございます。これも村山様へのご質問で、オランダでのリスク評価の際の喫煙の影響の考慮についてというご質問に対しての回答でございます。オランダの報告書では、一般に、アスベスト曝露と喫煙との間の肺がんの発症の影響は相加的な効果、それから、相乗的な効果の間であるとされている。一方、最近の研究では、両者の関係は相乗的な効果かそれ以下であるという結果も出されているということを示した上で、評価を行う実務的な理由から、両者の相乗効果を前提にリスク評価が行われているということが記述されているということだそうです。それで、この報告書では、喫煙との関係を相乗効果として捉えた上で、リスク評価の対象とする疫学調査を絞り込む条件の一つとして使用されている情報の質を上げており、その中で、調査対象者の喫煙歴に関する情報が十分得られていない調査は、リスク評価の対象から除いたものと思われるというご回答をいただいております。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまのご質問、ご回答をいただいたという内容の説明でありますが、これについてご質問、ご意見がございましたら、お出しください。
     外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 最初のJATI協会への質問、私が出しました。生意気な質問で恐縮ではあるのですけれども、2010年に中皮腫で亡くなっている方が1,258名という発表が先日ありましたが、これが今後20年間にわたって増え続けるという研究も発表されているという中で、JATI協会が、あるいは、旧石綿協会が管理使用ということで使われてきたわけで、それが、例えば、1975年から管理をしているから、その40年後である2015年からは中皮腫の上昇が減るであろうとか、あるいは、減るであろうとか、そういうような客観的に示すような証拠というか、あるいは、第三者のそういう調査チームなりをつくって、そういうことを検証しようということをされるのであれば、JATI協会が今やられているアスベスト診断士というものもきちんとアスベストが管理できると考えられるという趣旨で質問したのです。ですので、そういうことをやられているのか、あるいは、これから考えられているのか。もし考えられていないのであれば、ぜひそういうことをやられたらどうかというふうに考えています。
     以上です。

    【浅野委員長】 わかりました。
     ほかにございますか。
     神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 5ページ目のEFAラボラトリーズへの質問に関連してですが、私の質問に対して詳細に調べていただきまして、ありがとうございます。TEM一日納期についてということで、このご回答ではまだちょっと疑問が残るのですが。フィルターにサンプリングした以降で3時間以内ということですが、これはどういうマニュアルになっているかによって時間は相当違ってきます。つまり、大きいものだけ、例えば長さ5ミクロン以上で、幅が0.3ミクロン以上であるとかというものだけをさっと見るというケースと、もっと細かいものまで含めて、あるかないかをチェックするのか、正確に計数するのかで時間は相当変わってきます。ですから、マニュアルの内容次第ですが、これが簡易にあるかないかを調べるだけのものなのかという質問です。それから、これに関して、上のほうを見ますと、25社ぐらいがTEM分析機関として登録されているとあるのですが、各機関は電子顕微鏡を何台持っているのかという質問です。1台であれば、1台が1サンプルを占めてしまえば、仮に5サンプル、10サンプル来たときには、それの掛け算になってまいりまして、1日納期が満たされなくなる。1サンプルが来たときだけに1日納期が達成されるというただし書きがつくのかどうかということです。その二つの追加の質問です。

    【浅野委員長】 これは、事務局、どうしましょうか。

    【栗林大気環境課長補佐】 EFAラボラトリーズに、今回、こういうご質問がまたあったということを紹介させてもらって、ご回答いただける分につきましては、また紹介させてもらいたいと思います。

    【浅野委員長】 ほかにございませんか。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 事実の確認で恐縮ですが、資料の3の、さっきのJATIに対する4ページのところですけども、7のその他の最初のところですが、アスベスト診断士資格の剥奪というのは定められているけれども、現在、いらっしゃらないということですが、誤診断とか虚偽の診断結果の行為を行ったという認定も1件もないというふうに考えてよろしいわけですね。ちょっと確認させていただければと思います。

    【浅野委員長】 この点は、浅見さん、誤診断の……

    【大塚委員】 そういうことがなかったということか。

    【浅野委員長】 誤診断がなかったということ、そういう意味かという。

    【浅見委員】 誤診断があったかどうかというところまでの確認はしておりません。全くなかったかということの確認まで行っておりませんが、今のところ、誤診断等、虚偽とか誤診断があったということで問題になったことはないと。少なくとも協会には連絡は来ていないということでございます。

    【大塚委員】 わかりました。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     誤診断があったかなかったかというのは実際わからないわけで、だから、これで資格剥奪処分というようなことが問題になるのは、常識で考えても、1回やったらもう資格剥奪などということにはなるはずがないだろうと思うので、やっぱりそれが悪質であり大きな問題になったとか、あるいは、もうほとんど故意に近い重過失による誤診断であったとかというような場合ではないかと想像をするのですけども、そういう想像でよろしいのでしょうか。

    【浅見委員】 今の委員長のご質問と趣旨がちょっと違うところがあるかもしれませんけども、アスベスト診断士に関しての規定とか、決めごとが当然ありますが、その中に、こういう問題が起きたときには剥奪するとか、そういうことは記載してございます。ただ、現状、こういう誤診断等が原因によって、そういうことをしたことはないというところです。

    【浅野委員長】 ほかにご質問、ご意見はございますか。
     神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 すみません、もう一つだけ質問を忘れていました。12ページの真ん中辺のオランダの報告に関して、TEMによる濃度測定の際のサイズについて質問したのですが、TEMは長さと幅を規定しないと測定できませんので、この幅はどういう幅以上を計測して、例えば、この換算係数2になったのかということで、幅に関してご回答をいただいていないみたいなので、もしわかれば、ご回答をいただきたいと思います。

    【浅野委員長】 この回答では、長さと径の比ということになっていますが、径というのは幅と同義ではないかと私は思って読んだのですけど。

    【神山委員】 径の比というのは、アスペクト比で3対1以上なんですが。

    【浅野委員長】 ええ、比がわかれば。

    【神山委員】 幅は、0.01ミクロンでも0.001ミクロンでも、細かいものは結構あるのです。そこまでを含めて計数すると膨大な数になります、TEMで計数した場合は。幅も、例えば、0.2ミクロン以上とか0.3ミクロン以上と、普通、PCMを仮想したサイズでの測定方法というのをやる場合があるのですが、それでも、PCMと透過電顕というのはあまり一致しないのです。ですから、その辺が。要するに、まず、基本的にTEMで計測するときに、長さ、幅、そして、アスペクト比は3対1以上と、これはいいのですけれども、幅のデータがないので、教えていただきたいということです。

    【浅野委員長】 では、村山先生に、今の点について再度、データがあればということでおたずねください。

    【栗林大気環境課長補佐】 はい、照会させてもらいます。

    【浅野委員長】 ほかにございませんか。よろしゅうございますか。
     それでは、この質問事項については、さらに委員から追加のご質問がありましたので、ご照会の上でお答えをいただければお答えいただくことにしたいと思います。
     それでは、外山委員から、東日本大震災の被災地における状況報告の資料をご提出いただきましたので、ご説明いただきたいと思います。

    【外山委員】 すみません、表にパワーポイントの資料があると思うので、そちらをご覧ください。何かというと、石巻市で、私たちは去年の12月から集中的にアスベストの調査をしてきました。
     その中で、1ページ目の下の写真のような建物を、これは12月14日ですけど、見つけました。2階建てで鉄骨造です。片側の壁がご覧のとおりに落ちているという状態になっています。
     そして、次のページです。2ページ目の上のほうの写真ですと、これはちょうど反対側の壁なんですけど、ここも落ちていて、吹付けが露出していると。下の写真です。これはアモサイトの吹付けです。ちょうど吹き抜けるような構造になっていて、風が吹くとアスベストが飛散するおそれがあるということと、あとは、3ページ目の上の写真をご覧いただきたいのですが、これは、クロシドライトの青い吹付け材が飛散というか、散乱しているような状態、これはかなり多数、十数個ぐらい、握り拳大のものも含めて落ちていたという状況で、クロシドライトとアモサイトのある建物というのは珍しいと思うのですけれども、1階がアモサイトで、2階がクロシドライトという、そういう吹付けの施工のされ方をしていたようです。それで、いずれにしても危険な状況なので、これに関しては、石巻の保健所、それから、労働基準監督署、石巻市にもお話をしまして、こういう状況になっているということで、周辺の散乱しているものを拾い集めていただいたり、あとは、シートを貼ってもらったりというようなことで、飛散防止対策をやっていただくということをしていただきました。
     3ページ目の下に、私たちが行った濃度測定の結果があります。対策する前にはかって、やはり若干ですけれども、顕著ではないですが、一番近いところで2.3ファイバー/リットルということで、これは角閃石系のアスベストが確認されたということで、若干飛散しているのかなという状況でした。
     それが、次のページに行きまして、4ページ目の上段ですが、これは3月ですね。ちょうど国際労働衛生委員会の会長さんが視察をしたときに行ってみますと、除去工事が行われていて、周りが全部覆われて看板が立っているということで、吹付けアスベストの除去工事が行われたということです。ところが、8月になって、この建物が解体されるということで、8月30日に私たちが行きました。8月20日から解体工事が開始されて、大体3分の2ぐらい終わっているような状況でしたが、よく見ると、5ページ目の上の写真ではわかりませんが、少し拡大すると、クロシドライトの破片がやはりたくさん落ちていると。これは大体1センチぐらいの塊、真ん中、わかりますね。青黒い感じのものがあると思いますが、クロシドライトの吹付けの破片が落ちているということです。
     次のページも同じですが、真ん中より少し下のブロックがありますけれども、その上に二つクロシドライトの塊、下のほうは3センチぐらいの長さでしょうか、そういったものが落ちている。
     さらに、その下の写真、6ページの下の写真ですが、そこは、鉄骨が左上に見えますが、その下にアルミのフレームがあります。そのアルミのフレームの下に、これは20センチぐらいあるのでしょうか、アモサイトの塊が落ちているということで、次のページも同じです。7ページ目の上も、左側の鉄骨の右側にアモサイトの塊が、これはもうかなり大量に落ちていると。7ページの下の写真は、鉄骨の吹付け材、アモサイトの吹付けが残っているというような状況です。これは大変だということで、要は、吹付け材が適正に除去されないまま解体工事を進められてしまった事例だということで、すぐに監督署と石巻市にお知らせをして、工事をとめていただいて、関係者で善後策というか対策を協議していただいたということがあります。一応、今は、9月4日に環境省と厚生労働省の被災地のアスベスト対策合同会議というのがありまして、そちらで視察をしたときには、固化剤がまかれていて、上にブルーシートが張られていて、飛散しないような対策がとられているということで、今後は、上に建屋をつくって負圧養生をして除去するというような対策をとらざるを得ないということになっているということです。
     石巻市では、私たちが見つけた非常に危険なものはここだけだったのです。1カ所だけでした。何とかここを抑え込んでくれれば、あとはそれほど心配は要らないという話をしていたのですけども、ちょっと残念ながらこういう結果になってしまったということなんですが、私が思うに、これは、たまたま運悪くここで起きてしまった特別な事例ということではなくて、やはり、原因と背景ということを考えると、どこでも起こり得るということだろうと思います。原因としては、除去業者が取り残したということが直接の原因ですけれども、例えば、除去業者の技能が足りなかったのではないかということも原因の一つかもしれませんが、現行法の中では、除去業者はライセンスもありませんし、登録制度もありませんから、誰でも今日からでもアスベストの除去ということを始めることができる、そういう技量証、保証するものが何もないというのが現状ですし、もしかしたら、除去業者の方が意図的に手を抜いたかもしれないということも考えられると思います。だけれども、現状では、解体されてしまう建物は、証拠は何も残りません。そうすると、きれいにアスベストを何日も何人も手間をかけてとるということをせずに、手を抜けば抜くだけ除去業者はもうかると、利益になるという構造が一貫してあります。
     さらには、例えば、監督省庁の監視が不十分だったのではないのかということも言えるかもしれませんけれども、これはやはり完成検査です。除去後にきちんと100%アスベストがとれているということの完成検査をしなければわからないのですけれども、事実上、日本では、今、完成検査をやられているところというのはないと思います。養生検査ということで、除去の開始前に養生とか設備がきちんと整っているということを確認する検査はやられていますけれども、完成した後に適切にとられているという検査は行われていないですし、そういう技量というのでしょうか、その方法も確立していないという状況です。そんなこともあって、除去業者さんもついつい手を抜いてしまうということがあるかもしれません。なので、やはり、日本中のどこでも起こり得る典型的な事例なのかなということと同時に、思うに、除去業のライセンス制なり登録制なりということの必要性ですとか、完成検査の重要性ということがこの事例から導き出されるのかなということで、今日、お時間をいただいて報告いたしました。
     以上です。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     これは、除去業者さんと解体業者さんが別人格ということを確認できていますか。

    【外山委員】 別です。

    【浅野委員長】 何かご質問がございましたらどうぞ。
     近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 今のお話で、石綿の残された建物の割合といいますか、幾つの建物を見て回られて、その中でこういう石綿がずさんだった建物が何件あったかというのを、教えていただきたいと思います。

    【浅野委員長】 どうぞ、お願いします。

    【外山委員】 石巻市では、アスベストの除去で私たちが見たのはここだけです。

    【近藤委員】 1カ所だけですか。

    【外山委員】 1カ所だけです。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     たまたまその前に、さっきのお話で3月8日に視察があったということがあったので、フォローアップをされたということですか。これがわかっていて、3月8日に……

    【外山委員】 長い経過があって、去年の12月からずっと注目をしていて、いろいろやりとりもあって、除去が3月にされて、解体工事、除去したまま、しばらくそのままの状態で、8月の恐らく20日と聞いているのですけれども、20日から建物自体の解体工事が始まったという状況です。

    【浅野委員長】 わかりました。
     ほかにご質問、ご意見はございますか。いかがでございますか。──よろしいですか。どなたもご発言はございませんか。こういう実態があるということは大変大きな問題であるというご指摘であります。ありがとうございました。
     それでは、次の議題に移りたいと思います。石綿飛散防止専門委員会における今後の対応策についての指摘・提言等ということでございますが、これまで、ヒアリングの中、あるいは、第1回に自由な意見をお出しいただきました。それらも含めて、出されましたさまざまなご意見を論点ごとに整理をいたしました。それを、先ほど申しましたように、19日に開かれました大気環境部会では経過報告ということで報告申し上げましたが、本日は、さらにそれを詳細なものとして取りまとめていただきまして、整理をしていただきましたので、これについて、まず事務局からご説明をいただくことにいたします。その後、この取りまとめをめぐって自由に意見交換をしていきたいと思います。
     では、よろしくお願いいたします。

    【倉谷大気環境課長補佐】 それでは、ご説明をいたします。今ほどの委員長のほうからご紹介がありましたとおり、先日9月19日の大気環境部会に、これまでの専門委員会の検討状況のご報告をしております。参考資料1以降の資料でご紹介をしておりますけども、これまでの検討状況、論点ごとにどういったポイントがあったかということを簡単にご紹介しているので、それに対するご意見も頂戴したところでございます。本日の資料としましては資料4をご用意しておりますけども、これまでの論点に対しまして、特に、今後の対応策についてのご指摘、ご提言等を中心に、これまでの議論の中から、事務局で、それぞれの論点に関連するものをまとめて整理をしたものでございます。完全に全て網羅的に拾い集められているかどうかというのはございますけれども、これをもとに、またご意見等を頂戴できればというふうに思っております。
     1ページ目のところですが、資料の構成ですけども、これまでの検討の経緯、それから、石綿の飛散防止対策の強化ということで、各論点についてのこれまでのご指摘等、それから、今後の検討課題ということで、イメージとしては、今後報告をまとめる際の構成に近いイメージで並べさせていただいてございます。
     続きまして、内容ですけども、2ページ目から3ページ目にかけまして、検討の経緯ということでございます。2ページ目は、これまでの経緯、開催状況等で既にご覧いただいている資料でございますが、3ページ目の上のところで、ストーリーといいますか、骨子(案)ということで書いてございますけども、平成7年の阪神・淡路大震災による倒壊ビルの解体等に伴う飛散問題を受け、大気汚染防止法を改正ということで、現在の制度、特定粉じん排出等作業の事前届出、それから、作業基準の遵守等の規定が置かれたということでございます。その後、平成17年には、新聞報道、いわゆるクボタショックを受けまして、大気汚染防止法等の改正をしてございます。括弧の始まりがちょっと抜けてしまっておりますけども、内容としましては、規制の対象となる特定建築材料の追加、規模要件の撤廃、作業基準の改正、また、工作物についても義務付けということで見直しが行われてございます。その後の状況としましては、地方公共団体から大気濃度基準の設定、大気濃度調査の義務化に係る要望をいただいていると。また、近年、建築物の解体現場等におきまして、集じん・排気装置の排気口等から石綿が飛散される事例、また、そういったものが事前調査が不十分である事例といったものが確認されている。また、東日本大震災の被災地等でも、除去工事での飛散事例が確認されている。こういった状況を踏まえまして、本専門委員会において審議をいただいているという状況をまとめさせていただきたいというふうに考えてございます。
     3ページ目の中ほど、2番、石綿飛散防止対策の強化以降は、これまでに議論されました内容をもとに、主な論点、それから、今後の対応策についてのご指摘等、一般環境への飛散防止の観点、それから、その他法令にも関連するものということに分類をいたしまして、事務局で整理をしてございます。
     まず、一つ目の論点、立入権限の強化及び事前調査の義務付けということに関しまして、問題認識を、これまでの資料に書いてあるものを再掲させていただいております。
     具体的なこれまでの指摘でございますけど、4ページのところ、点線の枠内で囲って、それぞれの論点ごとに書かせていただいております。
     まず、一つ目としまして、それぞれ関連するところもございますが、一つ目としまして、立入対象の定義に関連するものといたしまして、これまでの委員意見としましては、おそれ規定で立入検査を実施することとした場合、工事の一時停止命令の基準等、こういった現場での判断が難しい部分があるので、その検討が必要であるという指摘。また、特定粉じん届けの届出のない物件について立ち入りをするという場合、建設リサイクル法の届出の活用が考えられるということと、一方で、物件数が多いので、それだけのマンパワーがかけられるかどうかというのが運用上の問題になるのではないかというご指摘もいただいてございます。
     また、ヒアリングの中で、行政機関の立入権限については、届出ですとか緊急性を要件とせず、必要なものについては全て認めるというような考え方もあるのではないかというご指摘もいただいてございます。
     また、関連いたしますが、事前調査の義務付けの要否ということでございます。大気部会の意見としましては、これまで届出が出ていない現場で立ち入りができないと、こういった現場での問題について、立入検査のあり方についても検討が必要であるというご指摘。また、事前調査により把握された飛散リスクの大小に応じて行政が対応できる仕組みが必要であるというご指摘をいただいてございます。
     これまでの委員会の中での意見としましては、そういった状況認識のもと、建築基準法に基づく建築に対する届出と同様に、解体に関する届出を全てしてもらって、その中でアスベストの有無を書いてもらうということも考えるべきではないかということ。また、事前調査に関しては、大防法のところで、大防法の世界の中でどこまで踏み込むかどうかということについての検討が必要であると。また、事前調査については、他法令、石綿則ですとか、建設リサイクル法との関係の整理が必要であるというご指摘もいただいているところでございます。
     また、5ページのほうへ参りますが、自治体からの意見としましては、事前調査に関しまして、幾つか意見を頂戴しております。事前調査の実施、結果の報告、また、解体現場での事前調査結果の掲示といったものが必要ではないか。また、調査結果についての現場での確認方法ですとか記録等についての規定が必要ではないかとこういったご指摘もいただいております。
     ヒアリングの中でのご意見、また、事例等につきましては、米国での事例、また、条例で立入検査、事前調査を全ての建築物に対して認めている自治体の例ということについてもご紹介をいただいてございます。また、建設リサイクル法での届出の関係、工事の発注者、それから、受注者の事前調査に対する意識の向上というのが必要ではないかということ。また、大気汚染防止法の事前調査の義務付けと石綿則、建設リサイクル法の関係についてのご指摘もいただいているところでございます。
     また、立入検査時の建築材料の収去権限といったことについてもご指摘をいただいております。
     また、その他、主に関連するものとしましては、立入検査や事前調査を効率的に行うために、台帳等の整備による情報共有といったものが課題になるのではないかというご指摘をいただいているところでございます。
     続きまして、二つ目の、敷地境界における大気濃度の測定の義務化及び測定結果の評価に関するこれまでのご指摘でございます。頭のところにこれまでの問題認識を書かせていただいておりますが、具体的なご指摘は6ページからでございます。測定義務の規定場所等に関連いたしまして、これまでいただいております意見で関連するものとしましては、ばい煙発生施設、特定粉じん発生施設、大気汚染防止法での規定がございますので、その関係の整理が必要ではないかということ。また、大気濃度測定の義務化ということと、作業基準の遵守の徹底をさせるということ、このそれぞれの規定の関係について検討すべきというご指摘をいただいているところでございます。
     また、自治体からの意見としましては、自主検査の実施の規定が適用される解体工事の要件、規模等を明確化すべきではないかというご指摘もございます。
     ヒアリングの中では、条例に基づく敷地境界基準として、10本/リットルと規定されているケース、また、使用面積等が一定以上の工事について届出を求めていると、そういった例のご紹介をいただいてございます。ただ、周辺住民の健康リスクの低減の観点から、一定規模以上の工事についての測定義務化といったものが必要ではないかというご指摘もいただいているところでございます。
     また、濃度測定未実施の場合の罰則規定ということについても、同様に、未実施の場合の罰則規定が必要ではないかというご指摘をいただいているところでございます。
     また、大気濃度測定結果の評価方法につきまして、作業管理基準としての考え方、また、健康リスクの考え方、両方からご意見を頂戴してございます。委員からの意見としましては、リスク評価、それから、過去の中環審答申の考え方の整合につき検討が必要ではないかということについてのご指摘をいただいてございます。また、海外でのリスク評価が具体的にどのような測定法に基づいているかということもあわせて確認すべきというご指摘を頂戴したところでございます。それから、具体的な内容につきましては、次のところ、7ページのほうに参りますけども、リスクアセスメントの考え方、マネジメントでの考え方の整理ということのご指摘。
     また、ヒアリングの中でのご意見等としましては、敷地境界基準10本につきましては、96年の答申の考え方から、基準の妥当性についての検討が必要ではないかというご指摘、また、これに対応する濃度としては、0.1本というオーダーの値というのが考えられるのではないかというご紹介をいただいてございます。また、米国EPAでの考え方のご紹介、また、これらとあわせまして、管理のための目安を考える場合には、リスク評価における不確実性の考慮、空間的時間的特性、また、中環審答申との整合性を踏まえて、こういったリスク評価等を管理のための目安の設定、それぞれについての検討が必要であるということでご指摘をいただいております。
     続きまして、大気濃度測定が基準値を超過した際の対応につきまして、調査義務での測定、また、立入検査での測定があった場合に、調査結果が異なった場合の対応方法を明確にする必要があるというご意見、また、自治体からのご意見としましては、特定建築材料の使用の有無が判明するまでの間に工事の一時停止命令等の規定を置くことが必要ではないか、こういったご意見もいただいております。
     ヒアリングの中では、事例としまして、環境濃度測定が1本を超えた場合には石綿の飛散があったというふうな解釈で行政指導を実施されているというようなご紹介もいただいてございます。
     続きまして、8ページに参りますが、3点目、大気濃度測定に関する試料採取及び分析に関するこれまでのご指摘でございます。
     枠内に参りますが、大気濃度の測定方法に関連しまして、部会でのご意見という中では、関連するものとしましては、管理に当たっては、総繊維ですとかリアルタイムモニターなど、迅速な分析が有効ではないかというご指摘。また、現在の測定方法を整理し、測定の目的に応じ、どういった方法を優先させるのかの検討が必要ではないかと。また、大気濃度測定の判明までの時間について、先ほどもご指摘がございましたけども、1日で結果が判明するような方法が採用できるかどうか。また、結果が判明するまでの間、作業を停止させるといったことも含めて検討が必要であるといったご指摘でございます。
     自治体意見でも、簡便、迅速な測定方法が必要であると、こういった観点からのご意見をいただいてございます。
     また、ヒアリングの中では、現在のリアルタイムモニターにつきましては、実証試験が不十分な点があるのではないかといったところについてのご指摘もいただいてございます。
     大気濃度の測定場所につきまして、これは、現在のサンプリングにつきましては、養生シートを外すときに外に出ていかないということを前提とした考え方になっているのではないかということで、除去中の屋外の測定義務の必要性の検討が必要ではないかというご指摘。それから、排気口の出口で総繊維の測定をして、中の管理状況を把握するとともに、敷地境界での測定をあわせて見るというような考え方もあるのではないかというご指摘もいただいております。
     大気濃度の測定対象物質につきまして、これもいろいろな意見をいただいてございますけども、罰則の適用に当たっては、石綿繊維の正確な分析が必要ではないかというようなご指摘もいただいてございます。また、海外でのリスク評価がどのような測定法に基づいているのか、こういったところについても関連するところのご指摘かなということで記載させていただいております。
     もう1点、測定の関連といたしましては、測定の信頼性の確保についてということで、いろいろと意見を頂戴しております。
     測定分析事業者の登録制度の要否ということにつきましては、部会の中でも登録制度の必要性について検討が必要ではないかというご指摘。
     また、自治体の意見の中におきましても、分析業者の認定制度の必要性等についてのご意見をいただいております。
     10ページのほうに参りますけども、ヒアリングの中でも幾つか関係するご指摘をいただいてございますが、適切な分析機関、分析技術者が分析しているかということが重要であるということでのご指摘、また、電子顕微鏡での分析の場合に、外部に再委託するということも多いということで、外部再委託の際の適切なルールのもとに管理するということも必要ではないかというご指摘もいただいております。また、除去業、測定業のライセンス制等についてのご指摘、また、例としまして、土壌汚染対策法ですとかダイオキシンの取組の例ですとか、また、正当な対価が得られるように公的な目安となる価格を表示するというようなこともご指摘をいただいてございます。
     また、第三者による精度管理の要否ということにつきまして、部会の中でも、測定データが不正確だと対策がとられないというような問題が生じるということ。このため、データ偽造ですとか不正確な扱いに対しては罰則等の検討が必要ではないかというご指摘もいただいております。
     ヒアリングの中での意見、事例等といたしましては、測定データにつきましては、位相差法の測定については、精度管理をしっかりと行うということが前提となっているということで、こういった精度管理が非常に重要ではないかというご指摘もいただいております。また、日本環境測定分析協会さん、それから、日本作業環境測定協会さんのそれぞれのプログラムの内容等についてのご紹介もいただいてございます。また、そういった分析機関ですとか登録者の公表、紹介への状況等についてもご紹介をいただいたところでございます。
     11ページのほうに参りますけども、それぞれの精度管理については、ある程度両方の協会、同じ基準に近い形で行われているのではないかというようなご指摘もあったかというふうに承知をしております。それから、環境測定分析協会のプログラムの同様の方法での精度管理が海外でも試行されているということで、そういった国際的な評価基準も活用することが考えられるのではないかというご指摘もいただいております。
     また、試料の保存義務及び試料の提出に関する権限に関してのご指摘、また、大気濃度測定の結果の報告の義務に関するご指摘もいただいているところでございます。
     また、測定に関連しましては、発注者が解体工事と大気濃度測定を分離発注することの要否について、部会の中でも、利益相反関係にある工事施工者と調査者を分離して発注することが重要であるというご意見をいただいております。
     ヒアリングの中でも同様のご意見をいただいておりますけども、米国での例、また、こういった必要性についてということでご紹介をいただいてございます。また、元請が発注する際に解体工事、大気濃度測定を分離発注するような取組は、現状もある程度行われているのではないかというようなご紹介もいただいたところでございます。
     続きまして、12ページのほうに参ります。四つ目の発注者による配慮につきまして、これもさまざまな形でご意見をいただいたところでございます。
     発注者の配慮規定の拡充の要否ということにつきましては、委員からのご意見としましては、関連するものでは、発注者の配慮について、現状、罰則がないということは問題ではないかということ。それから、特に、最初の施主が費用負担をしないと必要な経費が出てこないということで、不十分な取組になってしまう、そういうことは重要ではないかというご指摘もいただいてございます。
     また、発注者の責務規定の位置付けの要否ということで、これも関連するご指摘でございますけども、部会の中でも、個人や小規模事業者を含む発注者に一定の義務を負わせるのであれば、受注側の事業者からの説明義務等も求めることが必要ではないかと、こういったご指摘もいただいたところでございます。また、他法令等の関係の考慮とあわせまして、環境の観点からの必要性を議論する必要があるというご指摘。また、発注者に過度な責務を負わせるよりも、既存の法令の遵守、また、専門知識を有するべき施工業者への指導というのがまず優先されるべきではないかという意見も頂戴しております。また、発注者が適切な対策のための費用を負担することが必要というようなご指摘も同様にいただいてございます。
     また、委員からのご意見ということにつきましては、配慮規定に罰則をつけるというような議論もございますけども、そもそも、何を義務付けるかという部分が重要であるといったご指摘。また、業者につきましても、発注者はさまざまで、大手のところから小規模なところまであるということで、そういった点についての配慮、発注者そのものを層別して検討する必要があるというご指摘もいただいております。
     13ページのほうに参りますけれども、所有者の責任と請負業者の責任の関係を考えて、両方に責任を負わせることが必要ではないかと。それぞれ、包括的な責任ですとか専門的な受託範囲での責任、こういったものを負うのではないかと、こういったご指摘もいただいております。また、所有者の責任につきましては、日本でも、土壌汚染対策法でのケース、また、条例においても、不法投棄等につきまして、投棄された土地所有者の責任を明記している例があるというご紹介もいただいております。また、同様のご指摘がありますので、発注者という言葉を明確に定義する必要があるというようなご指摘もいただいてございます。現在も、関係する法令等で、若干それぞれ異なった定義がされているところもございますので、こういった点も踏まえたご指摘ということかと思います。それから、下から二つ目のところでございますけども、これまでの関連する法令での責務の確認した上で検討するということのご指摘。また、建物所有者が必ずしも知識が十分でないというご指摘がありますけども、一方で、そういった知識も持った上で責任を果たすべきであると、こういったご指摘もいただいているところでございます。
     ヒアリングの中でのご意見等につきましては、米国での事例、米国では、こういった違反につきましては、行為者以外にも所有者ですとか関係する業者等が責任を負うというような事例があるということでご紹介をいただいております。こういったものが所有者も含めた関係者の取組の抑止力といいますか、インセンティブになっているということでのご指摘があったかというふうに承知しております。
     14ページのほうに参りますが、発注者と事業者とのバランスも考える必要があるというご指摘もいただいております。先ほども類似のものがあったかというように思っております。それから、下のほうに参りますが、発注者責任、それから、元請責任、これは法令によって使い分けられているということでのご指摘。また、その他ですね。米国での例、関係する法令等についてのご紹介等をいただいてございます。
     最終的に、一番下のところでございますけども、適切な処理工事をできる業者に対して適正な価格、納期で発注をするということが必要ということでご指摘をいただいてございます。
     15ページのほうに参ります。5番目の法令の徹底と透明性の確保についてのご指摘、これまでのご指摘でございます。
     一つ目のアスベストの飛散防止対策の重要性についての周知ということにつきましては、これは今までのところでも関連するご指摘がございましたけども、委員の中の意見としましては、国民や発注者(施主)、いわゆる建築物の所有者に対する制度の周知、啓発というのが重要というようなご指摘をいただいております。また、国民への啓発活動をさらに強化するということで、監視、通報等の役割を期待することもできるのではないかと、こういったご指摘もいただいております。
     また、特定粉じん排出作業である旨の掲示、作業公開等につきましてですけども、ある程度住民からの通報といった視点も重視をする、取り入れるということで、第三者が管理するという視点を入れることが必要ではないかということですとか、また、対策が十分でない場合に、そこに人が立ち寄らないような注意喚起をする必要があると、こういったケースもあるのではないかというご指摘をいただいております。
     また、ヒアリングからのご指摘の中では、こういった近隣への周知等を行っている事例ですとか、また、次のページのほうに参りますけれども、施工者に対外的な掲示板を義務付けるべきではないかというご指摘。なお、石綿則等の掲示等の整合の留意が必要ではないかというご指摘がございました。また、近隣住民に対する現場の公開ということについては安全面からの考慮が必要ではないかというご指摘がございました。
     6番目でございます。特定建築材料以外の石綿含有建材を除去するに当たっての防止対策ということでございます。
     これにつきましては、現在、特定建築材料ということで規定されているもの以外について、届出ですとか作業基準の設定が必要かどうかということについてご意見をいただいております。大気部会の中でも、把握が困難な特定建築材料以外の建材についての対応が課題ではないかというご指摘もいただいております。
     自治体の意見の中では、こういった特定建築材料と現在規定されているもの以外につきましても作業基準を設定するということが必要ではないかというご指摘がございます。
     ヒアリングの中でも、下のほうに参りますが、石綿含有成形板(レベル3)の工事について、届出を義務付けている自治体の例のご紹介もいただいてございます。また、こういった調査対象の中でも、届出にない石綿含有成形板が見つかるといったケースもあるということで、こういったケースの対策も必要ではないかというご指摘。また、実際の石綿含有建材からの飛散状況を把握した上で、可能性があるものについては作業基準を設定することが必要であるというご指摘。また、費用対効果から、これは対象となるものが多いということかと思いますけども、届出は不要とし、通報、立入検査での対処ということが考えられるのではないかというようなご指摘もいただいております。
     17ページのほうに参りますけども、委員からの意見としまして、成形板の除去の作業基準の検討に当たりましては、石綿則等との整合性に留意すべきというようなご指摘。また、工事件数が多いということを踏まえた指摘。また、レベル3に関して、作業基準等を定めることで廃棄物への移行、混入を防止できるのではないかと、こういったご指摘もいただいています。また、使用中の煙突など、これ以外にも規制外で飛散対策が必要なものについて検討が必要というご指摘もいただいております。
     また、自治体の意見、ヒアリングの中でも、こういったものを対象にした取組についてのご紹介をいただいているところでございます。
     続きまして、18ページのほうに参りますが、七つ目、最後になりますけども、その他ということで、これまでの論点でも関連するところもございますが、幾つかご指摘をいただいているところをご紹介いたします。
     まずは、アスベスト除去後の完成検査の要否ということにつきまして、先ほども関連のご意見をいただいたところでございますけども、完成検査・完了報告制度の実施主体ですとか、また、関係法令との関係を含めて検討が必要であるということについてご指摘をいただいております。
     また、自治体からのご意見ですとかヒアリングの中でも、こういったものについての取組の例。また、完成検査は理想的であるけども、行政の事務量を考えると難しい面もあるということで、実現性の高い制度について検討が必要というご指摘をいただいてございます。
     それから、事前調査、事前調査に基づいた工事等につきまして第三者が管理することの要否ということにつきまして、これは、ヒアリングの中で、米国での例ですとか、また、事前調査の実施機関や特定工事業者に係る制度について、国レベルでの検討が必要というようなご指摘もいただいたところでございます。
     19ページのほうでございます。罰則の強化及び違反した者への対応(公表等)についてということで、これまでの委員会の中では、現在、罰則が弱いので、罰則の強化を図るということは重要ではないかというご指摘。また、技術、知見を有しない解体業者を排除するための対策ということが必要ではないかという考えもご指摘をいただいております。
     ヒアリングの中でも、米国の例等のご紹介がございましたけども、その中でも、資格認定登録者ですとか違反者、こういったもののデータベースを作成されていると、こういった例がございました。また、罰則強化には合理性があるけども、実際に適用がなければ有効でないということで、こういった運用面でのご指摘もいただいたところでございます。また、営業許可、資格者についての規制ですとか認定制度等についてのご指摘もいただいております。また、解体工事連合会での資格制度についてのご紹介もいただいたところでございます。
     それから、その他としまして、これは、主に、関連する法制度との関連についてのご指摘が、前のほうでも出てまいりましたけども、労働環境、建築の各制度をうまく組み合わせて、一体的に働く仕組みということについての検討が必要ではないかというご指摘を、部会、また委員会の中でも頂戴しております。また、環境汚染防止に重点を置いた議論が必要であるというご指摘は、先ほどもご紹介したとおりでございます。
     それから、20ページのほうですけども、関連する指摘の中では、水質汚濁防止法ですとか大気汚染防止法などの届出の際に、事業者に対して関連する法律のチェックリストをつくって、そういったものの確認を行っていると、こういった取組もあるということでございます。こういったものも参考になるのではないかということでご紹介をいただいてございます。
     また、自治体の意見の中、ヒアリングの中でも、こういった関連する情報を共有して、効率的な運用を図っていくということについてのご意見をいただいているところでございます。
     以上、駆け足でございましたけども、これまで、特に今後の対応等に関連する意見を事務局のほうで整理をしたものでございます。また、今日の意見をいただきながら、さらに整理をしてまいりたいと思いますけども、とりあえず、本日ご用意しました会議資料のご紹介でございます。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     これまでに出されましたヒアリングの質疑応答を通じていただいたこの委員会委員のご意見、また、大気環境部会でも、部会委員から幾つか注文を受けました。あるいは、ヒアリングの対象者の方々からもご意見などをお出しいただいて、これを整理してもらったものです。整理の枠組みは、最初に皆さんにご了承いただいた論点に沿って整理をしていただきましたけども、私の判断で、大防法の改正というのが主にこの専門委員会の仕事でありますが、この事柄は必然的に労働安全の問題等にも当然関係がありますから、双方に関係があるような問題、大防法の固有の問題としてとりあえず考えることができる問題と、整理をしないと混乱が起こると思いましたので、そういう観点から整理をしていただきました。
     本日これからの議論の進め方ですが、ご異論もあるかもしれませんけども、よく、こういうときには1について、2についてと順にご議論いただくやり方もあるのですが、これをやりますと、複数の箇所について発言をしたい人は発言しにくいし、委員それぞれが重点的に関心をもっている場所が違うということもございますので、あまりそういうやり方はよくないのではないかと思います。最後に事務局が骨を折ってご指摘について項目別の整理をすれば済むことですから、どなたがどこについてご発言されようと構わないと思います。
     それで、今日は、お願いでございますけれども、ぜひ今後の整理のためにということで、必ずお一人1回はご発言をいただきたい。そうしますと、計算上は1人4分ぐらいはお半なしをいただける計算になります。そこで、今から3分ほど休憩をいたしますので、4分でお話いただくことを、お考えおきいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
     すみません、実はちょっと今電話がかかってきたものですから、それが休憩の本当の理由でございます。

    【倉谷大気環境課長補佐】 少々休憩をとらせていただきたいと思います。
    (休憩)

    【浅野委員長】 それでは、お待たせしました。申し訳ございません。
     どなたからでも結構でございます。さっきのような趣旨でございますので、どの場所ということを特に特定してということはございません。お気づきの点がございましたら、ご意見をお出しくださいますようによろしくお願いいたします。いかがでございますか。ありがとうございます。最初に手を挙げていただくと、後がやりやすいと思います。
     島田委員、どうぞ。

    【島田委員】 絞りまして、事前調査について発言をしたいと思います。事前調査は、やはり、大防法として義務付けをする必要があるというふうに思います。これは建リ法でも石綿則でも義務付けにはなっておりますけれど、大防法で立入権限を拡大するというか、あれをするためには、事前調査を義務付けることによって立ち入りを明確にするということをするのが望ましいというふうに思います。
     その場合は、前提として、事前調査を義務付けるのであれば、全ての石綿含有建材ということが対象になるというふうに私は思います。ですから、レベル3も含めてというふうに考えたほうがいいと思います。これは、法律の規制対象を、何も届出までレベル3を義務付けろと言うつもりはさらさらないのですけれど、事前調査の対象としてはレベル3まで含めたほうがいいのではないかというふうに思います。
     それと、誰に義務付けるかということなんですけれど、これは元請に義務付けるべきだというふうに私は思います。これは、建リ法も元請に義務があります。石綿則も、元請ということではなくて事業者ということなんですけれど、統括管理責任ということで、事実上、元請がやっていることが多いものですから、私は元請がいいと思います。発注者に義務付けというお話がありましたけれど、これは、ここにも書かれてあるように、小規模発注者までそれを全うできるかどうかという問題があるのと、他法令との整合から考えると、私は元請であるべきではないかというふうに思います。ただし、発注者が調査をすることを否定するわけではなくて、石綿則にもありますように、発注者が調査したものは、そういう情報提供をきっちりと受注者に提供すべきだということを明確にすることと、あわせて、費用負担を発注者にきっちり責任を負わせることが必要なのだろうというふうに思います。
     それと、事前調査結果の担保なんですけど、これはぜひ公表すべき、掲示という形で対外的に示すべきかと思います。今、現行の大防法で特定建築材料の掲示は外向きに出されることになっていますけれど、実は、レベル3の外向けの掲示がほとんどないと。ほとんど条例の世界で規制をされているのですが、全国的に言うと、これは厚生労働省から通知は出ているのですけれど、その通知レベルでは、レベル3の掲示、屋外向け、外向けの掲示がないので、やっぱり、そういう事前調査と、それに基づく結果の外向けの掲示というものを義務付けるというのがいいのかなというふうに思います。石綿則の中で事前調査結果の掲示が義務付けられていますけれど、安衛法の世界ですので、基本は作業員向けにということなんですね。指針の中で外向けにという表現はありましたけれど、屋外向けに開示するということからすると大防法の姿になるというふうに思います。
     今日はこの1点だけ。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。島田委員と議論を始めたくなってしまったのだけど、やめておきましょう。
     今、ご意見をいただきました。
     では、神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 今のご意見の連続みたいなものですけれども、先ほどの資料の4で言いますと、11ページから先ぐらいが関係するところになるのですが、見出しとしては、発注者が解体工事の大気濃度測定を分離発注することの要否ということで、測定業者の客観性の担保のためには、現状、これはやはり、分離発注を徹底しないと、いろんなものが発生する懸念がありますので、これは大事なことだろうと思います。
     ただ、これを理解するのは、建設業界の方はいざ知らず、ちょっと難しいところがあって、事務局にまた負担をかけることになるのかもしれませんが、ここのところで使われている言葉だけを見てみましても、所有者であるとか請負業者であるとか、発注者、元請、除去後業者、それから、解体業者、そして、事業者という言葉も出てきたり、いろいろな言葉が出てくるので、これは、法律用語で使っている場合と現場用語で使っている場合と、いろいろあると思いますので、用語集じゃないですが、ちょっと整理していただければと。

    【浅野委員長】 わかりました。その点も、私が大気環境部会で同じことを言ったつもりです。
     稲垣委員、どうぞ。その後、本橋委員お願いいたします。

    【稲垣委員】 まず、事前調査については、島田委員が言われたのと私はほぼ同じ意見でありますので、その部分は割愛しますけど、ただ、届出の義務者、これは先ほど請負業者と言われましたが、あくまでも私は発注者であるべき。これは、アスベストの……

    【浅野委員長】 持ち主ですか。

    【稲垣委員】 持ち主です。これは、あくまでも、その持ち主が全てそういうものに対しての責任は持つべきだ。ただ、持ち主というのは専門家ではありませんので、そういうものについては、その請負業者等がそういうものはきちっとやって、名前を書くときには、きちっとしたその所有者が持つというのは僕は大変必要じゃないかな。ほかのいろんな届出も大体そうなっているのです。例えば、建築基準法の届出をやるにしても、家を建てかえるときに、現実的にはそんな細かいことはわかりませんので、請負業者が全部書いたやつを確認して届け出するというようなものはありますので、そういうことが必要じゃないのかなというふうに思っております。
     それと、測定の登録については、アスベストの測定というのは、先ほど来、各先生が言ってみえますように、大変難しい面があろうかと思います。とりわけ、今後、排気口の測定をどうするんだということになってくると、これは大きな問題であります。ちょっと書いてありますけれど、私も、若いころ、ずっといろんな測定をさせていただいておりますが、発生源の測定ということになると、まず、整流のところをきちっと探さなければいけない。乱流してないところを探さなければいけないとか、あるいは、等速吸引をきちっとやらなければいけないとか、いろいろ非常に難しい面もあろうかと思います。したがいまして、そのきちっとした登録とか、あるいは、認証とか、そういうような制度というのはきちっと確立していく必要があるのではないかというふうに思います。
     それと、発注者、所有者の責務というのは、いろんな届出にしても、そのお金、費用を出すにしても、これはもう、やはり、持ち主の責任というのは大変僕は重要だと思いますので、きちっとそこを明確にしなければいけないのですが、何にしても素人なものですから、例えば、費用を負担しなさいというと、言いなりになってしまうという面があるのではないかなと思いますので、例えば、家電リサイクル法なんていうのは、ある程度こういうものを処理するのには幾らぐらいかかるよと、それができるかどうかはわかりませんけれど、何かそういうものを行政サイドなり第三者が明確にするようなことをやらないと、やることは大変必要ですが、安易にやることは反対でありますので、その辺を整理してからではないかなというふうに思います。
     まだほかにもありますけれど、とりあえず今日はそういうことで。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、本橋委員、どうぞ。

    【本橋委員】 私は、事前調査の話と濃度測定の話の二つ、4分だとそんなものだと思うのですけれど。
     事前調査は、島田委員が言ったように、やるのがいいのですが、私が恐れているのは、そうだね、やったほうがいいね、元請責任でということになりますと、実際の実務を考えてみますと、どういうふうに事前調査を行うか。今でも厚生労働省でやっているのですが、レベル1はちゃんと分析します。アスベストがあると言ってもともかく分析させます。ほかのものについて、レベル2とレベル3をどういうふう事前調査をするかが現在でも非常に統一されていません。分析を全部させるとしたら、膨大な金がかかります。それをどういうふうに負担するのか。あるいは、過去の記録や材料リストだけで見るといっても、ホームページを見ると国土交通省と経済産業省の作成したリストはちゃんとあるのですけど、実際にここに使ってあったこの塗料が、そのうちのどれに当たるかという記録は殆どと言っていいくらい残っていないのです。ゼネコンの人たち、元請の人たちはある程度、経験により施工時期等で推定できますが、事前調査の精度や丁寧さは人によって大変異なっているのが実態です。いろんなレベルがあるので、事前調査方法を誰もがわかるように決めない限り、無理です。今までのお知らせ看板を見る限り、かなりいい加減に有無を表示していると思います。よく実際に考えて事前調査方法を検討しないと、すごく厳しいことにもなるし、全然事前調査を実施した効果のないようなことにもなる。よく考えて頂きたい。
     それから、濃度なんですけれど、今、いろんなリスクアセスメントとかがありますが、今、大防法では決めていないです。根拠もよくわからない。リットル10本というのを敷地境界でというのが地方の条例で出ています。ただ、それをもし義務付けるとしたら、測定方法は何で、どういうふうにはかってということを決める必要がある。例えば、すぐとめるとしたら、直ちに濃度が出ないといけないわけですね。顕微鏡の方法ではそれができません。工事が終わってから濃度が出るのでしたら、それは次の工事への教訓になると思います。お金を出して濃度測定することを義務づけるなら、それがどう生かされるか、なぜ必要なのかというのをちゃんと明確に言えるようにしないと、発注者か施工者か知りませんけど、お金を出すほうもなかなか納得がいかないと思うのです。これは結構難しいことだと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     私はあまり途中で口を挟まないほうがいいと思うのですけれども、例えば、土対法の最近の改正では、一定のものについては履歴調査を義務付けるというようなことをやっているのです。それで終わりという場合があるのです。ですから、例えば、この場合、専門家としてのご意見をまた後ほど伺いたいと思いますけども、どの年代くらいまでだったら、例えば、直近10年ぐらいなら、よほど悪い人でない限りは違反をしないであろうとか、それから、任意にやっていたのだから、この辺はちょっとよくわからないなとか、この辺りは相当危ないなとか、時期的にランクを分けて、その調査の密度みたいなものを変えるという仕掛けはあるような気もするのですが、そういうようなものはどうなのでしょうか。それを全部調べろと言われても無理だということはおっしゃるとおりだと思いますが。

    【本橋委員】 国土交通省の資料がありますね。これに出ていますね、5%とか1%、0.1%、新三種が入ったときというようにアスベスト有無の基準は変遷しています。それから、どんな構造種別の建物にどの程度あるかが推定されています。それに、リスクアセスメントから言うと、小さい子供の多い小学校や幼稚園等が調査の優先順位が高くなると思います。ただ、事前調査がそのレベルで危険性がどの程度あるかを判断するというのは、大ざっぱには、統計的には、判断がつきますが、それと個別現場の安全性は全然違う話で、統計で予想できないと私は思います。

    【浅野委員長】 そうですか。

    【本橋委員】 優先順位は認めますけれども。

    【浅野委員長】 実際にちゃんと調べてくださいというのを悉皆的にやってくださいと言わないで、これは必ずもう全部調べてくださいと。これは危ないと思うときには調べてくださいとか、そういう濃淡をつけるということはあり得ませんか。

    【本橋委員】 私が言いたいのは、そういうふうに優先順位を決めてアスベストの事前調査をしたとします。分析結果は、いろいろな手法でだされます。第三者の調査がいいと思います。吹付け材料は分析すると思いますが、石綿則で決められているので。しかし、レベル3程度では、私は一級建築士です。設計時の記録を書面審査したけどアスベストはありません。私は、結構施工経験があります。みたところアスベストは含まれていません。などというのが多分多いと思います。どういう基準でどう調べたかというのがわからない限り、結果の信頼性は低いのです。

    【浅野委員長】 わかりました。
     次は、大迫委員、どうぞ。それから、谷口委員。まず、大迫委員からどうぞ。

    【大迫委員】 個別具体の論点に関して、また後ほど時間があればお話ししたいと思いますが、今回、極めて網羅的かつ多様な論点出しがある中で、ちょっと今後の議論をしていく際のその基本的な部分の考え方について、もう皆さんは合意があって、私の中での確認の意味かもしれませんが、私の疑問をそのままお話ししたいと思います。まず、やはり今回のその法律間の関係に関しては、それぞれの法律が目的も違うわけでありますし、対象も違うわけでありますから、役割分担をして、全体としてきちっとアスベスト飛散防止対策が網羅的にやられるということが重要だという理解の下で、大防法の役割をきちっと認識するということかと理解しています。そういう意味で言うと、個々の法律を組み合わせて全体として網羅性が本当にあるのかという部分に関しても、若干ほかの法律に踏み込む部分はあるかもしれませんが、理解としては最初にやっておきたいと思っています。本来は、特措法みたいに一元化されたような法律ができれば一番やりやすいのでしょうけど、今のこの枠組みの中でやるということの前提の上での議論だということの確認になります。
     それから、もう一つは、基準に関してなんですけども、大気汚染防止法ということで目指すべき大気環境基準というものの想定もあるかと思うのですが、それは望ましい基準ということで一般的には理解されるわけですが、望ましい基準というものを決めるのかどうか。それを10のマイナス5乗で決めるのか。それは一般環境大気ということで、それに対してどういう管理、監視の考え方を持っていくのかということ。それから、今行われてきている敷地境界というものは規制基準という理解でいいのかということを明確に理解しておかないと、ちょっと議論がしにくい。さらに、さまざまなスクリーニング法とかを考えると、それはあくまでも、作業基準の中の作業管理濃度として決めていくべきものなのかどうかということです。その場合にも、アスベスト除去作業のケースと、それから、解体作業のケースと、また、そのはかり方とかはかる場所とか、あるいは、管理濃度の考え方とかも違ってくると思いますので、そういうところの濃度基準に関して、きちっと整理した上で議論しないと、混乱するのではないかということがあります。
     それから、どのレベルまで規制するかということに関しては、私はちょっとまだ実態として理解を十分していないところなんですが、現実的な部分、コスト合理性とかのことも含めた情報が、もしかしたら、私が不勉強なだけかもしれませんが、十分出ていないのではないかということもありますし、例えば、ダイオキシンの特措法であるとか、これまでも、いろんな化学物質対策をかなりのコストをかけてやられてきたわけですが、そういった他のリスク管理のこれまでの環境行政との並びで考えたときに、アスベスト対策があまりに不備があってもいけないし、また、あまりに過度であってもいけないしというところの議論が、ちょっと今の段階ではしにくいなということがあります。
     それから、あと、発注者への配慮に関しても、それぞれこれまでの法律によっても、発注者へどこまで配慮、義務化すべきか、強制的な手段で何かしらやっていくのかというところの考え方も違っていると思うのですが、廃棄物処理法もそうですけども、不法投棄が減少はしていますがなかなか根本的になくならない、適正なコストが支払われないということであります。先ほどの稲垣委員さんのほうからも、確かに、標準的コストというある程度の見せ方は必要なのでありますが、規制法という観点においては、全体としては、受益者がきちっとコストを支払っていくのだというところの全体の方向性を確認しておかないといけないかなというような思いでいます。ちょっと抽象的な部分の意見ばかりでしたけども、その点だけは申し上げたい。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     これは、今、大迫委員がおっしゃったご意見の中で、特に、あまり今まで認識していなかったのですけど、恐らく、100%完全に抑え込むということを考えたら、ものすごい仕組みになってしまうのですが、土対法もそうですけど、やっぱり、リスクマネジメントという観点でどこまでできるのかという議論をしていけば、結構バランスのいい議論ができそうな議論ができそうな気がするのです。その点をご指摘いただけたと思って、感謝しています。
     それでは、谷口委員、どうぞ。

    【谷口委員】 今までの意見の中で、私の思っているようなことの発言が随分あったので、ちょっと毛色の違うことを申し上げたいと思います。
     今回のこの委員会は、大気汚染防止法を最終的には改正していくのだという前提で議論しているので、こういうことになっているのだろうと思うのですけども、これから、例えば、平成40年ではおよそ10万棟の解体があるということで、解体件数がどんどんこれからウナギ登りの状態ということです。したがって、この改正後の制度が今よりも倍の処理件数が出てくるので、そういうことを見通した上で、現場で、あるいは、これに関係する人たちが円滑に対応できるようになっていないといけないのではないかなと思うわけです。
     そう考えたときに、例えば、資料4の中で、おそれでもって立入検査できるようにすればどうかという考えがあるのですけども、これも、そのおそれがあるかどうかという判断基準を、もうかなり簡単なもの、現場ですぐわかるものというふうにしていかないと、なかなか難しかろうと。あるいは、実際にその立ち入りでもって何らかの命令を出さないといけないといったときには、その担当者が現場ですぐ本当に命令を出せるのかと。それを一旦持ち帰って、役所の中で意思決定をして、命令ということになると、どうしても時間が出てくると。そうすると、いわゆる命令ではないけれども、現場の担当者がちょっと待てよという運用、こういったものもセットにしないとなかなか大変ではないかなというふうに思うわけです。ですので、ぜひそういう視点も含めていただければというふうに思うのが1点でございます。
     それと、もう一つは、当然、この建物の所有者なりが何らかの責務を負うということになると、専門的な知識がないわけですから、それをサポートすると。これだけの解体件数が出てくるわけですから、この制度全体をサポートするという視点がどこかに要るだろうと思うわけです。ですので、これは、私から、先月、8月27日でしたか、発表をさせてもらったときにも申し上げましたけれども、やっぱり、役所と届出者だけの関係ではなくて、それ以外に、例えば、資格を持ったいろんな専門業者ということもあるでしょうし、その中には、ひょっとしたら、NPOの専門家だとかいうのも出てくるだろうし、そういったものをどうこの制度の中に組み込んでいくのかというのも議論いただければいいのではないかと思っているということです。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、次は、浅見委員にお願いいたします。浅見委員、内山委員、それから、大塚委員と、この順番でお願いします。

    【浅見委員】 まず、事前調査と発注者の責任については、今までお話がありました島田委員、稲垣委員とほぼ同じでございます。ただ、発注者の範囲をどこまで考えるかというのは、大きなビルと、事業として貸しビル業をやっているような方にはかなりのこういう認識を持っているとは思うのですが、一般の戸建住宅のオーナーですね。普通の一般の方までは、こういうことを処理することは非常に困難であろうということを考えますと、やはり、元請といいますか、その受注者に発注者に対する相当の説明責任を持たせて、その上で費用負担をさせるというような形が必要になってくるのかなと思います。同時に、石綿の有無の調査をするということになりますので、その分、施工前までの期間も当然かかってくると、そこも含めて施主、発注者に対しての説明が必要になってくると思います。
     もう1点ですけど、分析と、あと、濃度基準ですが、やはり、濃度基準を定める前には、皆さんは当然お考えだと思いますけれども、分析方法をしっかりしなくてはいけない。分析方法は、位相差顕微鏡とか、電子顕微鏡とかいうこと以外に、どういう場所でいつ採るかということがまず必要になってくるということです。それで、特に、吹付けの除去をやっているときは隔離されているわけですけれど、その周囲でまた別の工事をしていた場合、そちらからの粉じんが入ってくる可能性があります。専門的というか、もっと厳しい言い方で言うと、粉じんの発生源を特定しなくてはいけない。それを、下手してしまうと、吹付けのところからは出ていないのに、他から来たもので罰則その他がかかってくるという可能性もあるということで、その辺りの周辺まで何らかの方針を示さないと、業者として何か罰則が来たときに、厳しい、納得できないことになる可能性も出てくるということがあると思います。
     あと、最終的に、先ほど外山委員からの事例紹介でございましたけれども、やはり、最終検査です。これをどういう形でやるかということもいろいろ考えられると思いますけれども、最終的な検査を、特に、公平な立場の人が何らかの形でやるということも必要だと思います。これは、具体的にどういう条件でというところまでの細かい意見は今のところ確定しておりませんけれども、何らかの形で最終的な検査が必要になってくると思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     内山委員、どうぞ。

    【内山委員】 私は、リスクのことを少しお話し申し上げたいと思うのですけれども、現在、敷地境界10本/リットルというのが一つの目安として使われているのですが、これは前にもお話ししたかもしれませんけれども、有害大気汚染物質の発がん性物質に関しての基準なりガイドラインをどうやってつくっていこうかというときの優先取組リストを上げるときに、ほかの法律で決められているものは取り上げないということが大前提でしたので、アスベストもできたのが1989年で、半定量的なリスクの考え方が始まったころかなということではあったけれども、敷地境界として10本/リットルということが決まっているので、改めて大気環境基準、あるいは、ガイドラインの検討はしないというのが、最初からの環境省、あるいは、委員会での示された方針でしたので、結局、アスベスト繊維を含むタルクもつくらずに終わってしまったということがありました。
     敷地境界の意味を、森永委員がこの間お話しいただきましたけれども、その当時のアスベストの工場というのは排出口規制はできないから、面からいろいろ出ている、あるいは、屋外で作業しているところもあるということで、工場の外に出さないでほしいという意味での工場敷地のところで10本に抑えてくださいという考え方で、当然、工場敷地境界というのは20メートルから50メートルぐらいの緩衝地帯があって、一般の人が居住しているという考え方があったと思っています。ですから、これを今現在の室内に用いたり、それから、解体現場で、すぐ隣に居住地がある、あるいは、歩道があるという場合に適用するのはやっぱりおかしいのではないかというのが一つあります。
     それから、もう一つは、この10本というのは、当時、これ以後はクロシドライトは使わない、製造しないということが前提で、クリソタイルを対象とした基準だったということもありますので。ところが、現在、解体する中にはクロシドライトという非常に毒性の強いものも含まれているので、こういう意味からも、やはり10本/リットルを守っていればいいということではないのではないかと思うのです。
     あと、7ページにアメリカの例が書いてありますけど、これは、クリアランス基準として10のマイナス4乗以下ということだろうと思いますので、これは、0.9本/リットル以上であれば、10のマイナス4乗以上のリスクがあるのだから、取りなさいという規定であって、10のマイナス4乗以下であればいいという意味ではないので、誤解されるのではないかと思いますが、そういう意味で、クリアランス基準として10のマイナス4乗以上の場合にはすぐ除去しなさいということだろうと思いますので、0.9本/リットルでいいと言っているわけではないと思うのです。
     あともう一つ、アメリカの場合は、影響を受ける人数によって10のマイナス6乗から10のマイナス4乗の範囲でやる場合があるのですけれども、日本の場合は、環境基準は10のマイナス5乗と、どこであろうと、影響を受ける人数が少なかろうと多かろうと、全国統一基準で10のマイナス5乗以下ということの考えですので、そうしますと0.1本以下ということになるのですが、先ほどから問題になっているように、測定の精度ですとか、それから、結果が出るまでの時間ですとか、いろいろ難しい面があるので、なかなかそれから、10本/リットルと決まっているものを、では、新たに何か数値を決めましょうというと、また1年、2年、そこでかかってしまう、あるいは、決まらないかもしれないということがあるので、ここをどうするかという評価基準ですね。これを超えたら、例えば差し止めるとか、工事をストップさせるというのを、どこの基準に持っていくかというのは非常に難しい問題だろうと思います。
     それで、この間、委員会のヒアリングのときに申し上げた神奈川県でしたか、横浜か川崎でしたか、いわゆるバックグラウンド濃度より高い場合には、そこで漏れていると考えるというような現実的なものが一つにはある。それが大体、今、バックグラウンドといいますか、都市部では0.1本から、高いところで0.2~0.3本というところですので、それが大体、今現在、10のマイナス5乗ぐらいのレベルですので、それを新たに解体工事によって周辺の環境を押し上げないというふうに考えるのも一つの方式かなと、私はこの間申し上げたところで。実際に、これをまた、10本/リットルに変わる値を見つけようとか、訂正しようとか、あるいは、解釈を変えるというのを、大防法の中でまた規定するのは非常に時間がかかってしまうのではないかなという気がしております。
     もう一つは、完成調査はぜひやっていただきたいと思います。これは、事前調査、それから、こういう種類の測定はいろいろ議論されて、これまでも条例等でやっておられるところなんですが、では、本当に取り切れたのか。それから、もう解体、養生を取っていいのかどうかということは、あまり今まで完全にやられてこなかったのではないかと思うのです。大体、これまでの例ですと、室内で除去して落ちつくまでに大体1週間ぐらいかかるのではないかというデータであると思います。ですから、終わった、すぐに養生、終わりということではなくて、ある程度の建物の中で舞っているものが沈降して、それをさらに拭き取って、除去して、養生を取っても大丈夫となるには、本当は1週間ぐらい必要だというふうに言われておりますし、この実測のデータもあると思うのです。そうなったところで初めて本当の解体除去を始めるというのが本来の姿だろうと思うのです。ですから、完成して、養生を取って、オープンにして解体を始めても大丈夫というところには、やはり、除去終了調査というものを、ぜひこのシステムの中に入れていただきたいというふうに思います。
     アメリカは訴訟の国ですので、システムとしては非常に合理的にできていると思いますので、それを見ながら、日本でいろいろ、できないところもあるかもしれないので、そこら辺を参考にされたらいいのかなというふうに思います。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 どうもありがとうございます。
     2点ほどちょっと申し上げておきたいと思いますけど、1点目は、既に書いてあることについて申し上げておくだけですが、事前調査義務について、島田委員から前向きのご発言がありましたが、私も必要だと思っております。さらに、既にここに書いてあることですけども、例えば、8ページにある測定結果が判明するまで次の作業に進まないということ、これはアセスメントも同じような考え方をしているわけですが、非常に大事だと思いますし、それから、18ページに出てくる第三者が工事を管理するような方法、これはちょっとコストがかかるかもしれないのですけども、非常に重要ではないかと思います。アメリカの対策工事管理者のような者が全体の工事を監視するというようなことができるということが非常に大切なのではないかと思っております。
     それから、二つ目ですけども、先ほど来、発注者と元請業者との責任の関係についてのご議論がありましたので、私なりの考え方を申し上げておきたいと思いますが、前回もちょっと申し上げようと思ったのですけど、すみません、非常勤講師で東北大学に行かなければいけなかったので、途中で失礼しましたが、確かに、行政庁が、あるいは、国が、アスベストを使うことについて、建築確認の形で許可をしていたと言えなくもないわけですが、許可というのは行政上は非常に最小限、最低限のものなので、結果的に、今回の解体によってアスベストを排出する可能性があるということはある種の原因行為をするという、環境汚染の原因を出すということにもなるので、元請業者はもちろんなんですけども、発注者も含めてある種の原因者という位置付けを、環境法の原則との関係ではすることになると思っております。もちろん、建物の所有者は受益者でもあるという面もあるわけですが、どちらの面からもアプローチすることは可能ではあると思いますけども、土壌汚染とちょっと違うところは、土壌汚染は既に汚染が発生している可能性もあるわけですので、そこに汚染があるということ自体が問題だと思いますけども、建物の場合は、まさに解体をすることによって汚染が発生するわけですので、解体をするというところに着目すると、発注者もまさに原因者である、汚染者であるという位置付けができるのではないかと思います。
     そういう意味では、発注者と元請業者の関係というのは、実は、まとまって、一体として考えていいところがあると思うのですけども、従来からご議論があるように、発注者自身は別に専門的な知識を持っているわけではないので、基本的には費用負担が主であるということになると思います。ただ、稲垣さんがおっしゃったように、発注者に表に出てきてもらったほうがいいのではないかとか、あるいは、自らの責任をよく自覚していただいたほうがいいのではないかというふうに考えれば、届出義務を発注者にやらせるということは十分あり得るのではないかと思います。
     それから、額についてですが、費用負担をいかに適正に行わせるかということは非常に重要なポイントで、私自身はまだ考えなければいけないと思っているのですが、先ほど、稲垣委員がご指摘になったように、額の明確化というのはできるだけやっていったほうがいいと思いますけども、ただ、これは廃掃法でも前から問題になっていて、結局できていないように、独禁法との関係とかがあるので、その辺に気をつけながら、できるだけアバウトな形でもいいから、何かを出していくということではないかと思います。
     それで、今申し上げたのは環境法の原則との関係での発言であるわけですが、確かに、今の建設リサイクル法との関係では、発注者の責任を今よりもちょっと重くする可能性がある、建リ法よりも重くする可能性があると思います。これは、建リ法自体をどうするかという問題が将来発生する可能性もあると思いますけども、とにかく、今回扱っているのは石綿の話であって、健康被害に関係するものだということは、やっぱり全体的に見て念頭に置いておかなければいけないことかなと思っておりまして、まず、それを念頭に置いて物事を考えていく必要があるのではないかと思っております。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     発注者、所有者の責任という言葉を使うと、自分で調べろと言っているように聞こえるのですけど、そうじゃなくて、調べるのはちゃんとプロが調べればいいのです。プロに調べることを義務付けるというのが、法的にはそれを責任と言っているのであって、何か、そこら辺に少し誤解があって、責任という言葉を使うと、自分でやれといわれても、そんなことは無理だろうという話になるのですが、お金を出して注文するのは幾らでもできるわけですから、そのことを稲垣委員や大塚委員が言っておられるのです。この辺は、ほかの異なる意見と対立するように見えるけど、実はそんなに対立してないということをちょっとコメントしておきたいのですが。
     近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 まず、事前調査ですけども、これは石綿則等に入っておりますので、大防法としても、こういう条文は必要だなというふうに感じます。その事前調査を誰がやるかということですけども、本来は発注者がやるべきだろうと思いますが、発注者はいろんな知識がないということになりますと、それをサポートする、事前調査ができる調査機関といいますか、それを登録して、インターネット等で役所等、あるいは、都道府県等が一覧表で示すといった仕組みが必要ではないかと思います。そのときに問題になりますのは、よくわからないけど、じゃあ頼んでみようかといって測定したけども、石綿が含まれていなかったといった場合に、費用だけがこの発注者といいますか、建物の所有者にかかってくる。それについて何らかのサポートなり補助なりをしないと、なかなかうまくいかないのではないかなというふうに思います。ですから、現実的には、経験豊かな元請事業者が事前調査をやるというところが妥当なところではないかなという感じが今のところはしております。
     それから、測定に関してですけども、測定の目的、敷地境界等、あるいは、排気装置の排気口等ですが、基本的に、目的というのは、作業基準の確認とするべきです。漏えいの有無があるかどうかの確認ということでやるべきじゃないかと。健康リスクということを明らかにするための測定をやるということになりますと、その場合には、少なくとも24時間の長期曝露の基準ではなく、非常に短時間の一日、二日で終わる、長くても1週間等で終わる作業であるということを念頭に置いて、評価基準というものをきちっと定めていくということが必要じゃないかと思います。
     それから、測定法に関しても、厳密な意味での石綿を測るのか、あるいは、簡便法なのか、あるいは、総繊維数といった簡便な方法で、その漏えいの有無を確認していくということが現実的な対応ではないかなというふうに思います。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     一時停止というような話をするときに、厳密な調査をやっていたらものすごく時間がかかってしまって、その間全部とめるなんというのはとんでもないという話もあるでしょうから、やっぱり、最初のスクリーニングは少し簡単にやって、場合によっては、白になったらおめでとうございますと言えばいいような面もあるわけでしょう。その次の第2ステップの段階できちっとできればいいというような考え方がありそうな気がしますね。
     外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 私は2点だけ。10ページ目ですか、測定分析業者のライセンス制または登録制ということがあるのですけれども、測定のほうが書かれているのですが、除去業者のライセンス制、あるいは、登録制ということも、ぜひ必要ではないのかなというふうに思います。ライセンス制というと非常にハードルが高いように思われるかもしれませんけれども、とりあえず登録制にしておいて、登録だけをして、自治体が名簿を管理するなりして、何か問題を起こせば取り消せるというような形でもいいですから、除去業者に対する技量の保証をするための、そういった登録制度というのはぜひとも必要なのかなというふうに思います。
     もう一つは、私は、NPOの立場から言いますと、やはり、届出のあった工事に関して、自治体が何らかの形で公表するということが重要なのかなと思います。先ほどの大防法の立入検査の報告でも、通報があって見に行ったというようなケースもありますので、そういった情報を広く開示していくということも重要なのかなと思います。
     以上2点です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、森永委員。

    【森永委員】 私は、まず、現実的な問題から言うと、吹付け石綿の対応を優先的に考えてほしいなと。特に、1%以上を石綿と定義したときまでは、やはり吹付け石綿を考えるべきだと思います。所有物、所有者の責任というのは、どこでも吹付け石綿については所有者に対して義務付けられると思います。それから、吹付け石綿については、やはり、どこに使っていたかということは事前に登録をして、それをどこかが把握しておくということが私は必要だと思います。
     それから、スレート建材での問題なんですけど、これは、実は、オーストラリアや韓国でも、かなり個人住宅にも使われています。特に、韓国は、セマウル運動で石綿スレートを積極的に家に使ってきたという経緯がありますから、オーストラリアや韓国の例も見ながら、アスベスト含有建材についてはもう少し時間をかけて検討したほうがいい。とにかく、吹付け石綿については1987年のときに大騒動になりましたけども、そのときは、まだ劣化もそうひどくなく、エンクロージャーの対応もできたと思うのですが、今はもう、そういうものはほとんど劣化していると考えていいと思いますので、まず、私は吹付け石綿だけを優先的に議論して対策をとって、それで、アスベストの問題を、やはりもう少しみんなに周知徹底するのがいいのではないかと思います。
     それから、測定の問題ですけども、私は、リスクで測定の値を決めるというのは、工事からの飛散ということを考えると適切でないし、そういう考え方で規制値を考えるのはあまりよくないと思います。川崎市のような、何本あれば飛散したと考えて対応するというのは、それは測定の誤差や下限値の問題とあわせて検討して決めればいいというふうに思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     中橋委員、どうぞ。

    【中橋委員】 私は、解体業界からこうやって委員に出させていただいて、場違いな発言が多いかと思いますが、今までのヒアリングを聞いていて非常に気になった、私だけかもしれませんが、日本を代表するディベロッパーさん、それから、日本を代表するゼネコンの団体さんがお話をされた。そして、最後にいつも感じたのは、コスト、工期に影響することは、何か後ろ向きな発言をされております。その辺が、先ほど来のお話の、では、お金は誰が出す、それをどうやって決めるというような部分に必ずいくと思うのです。それで、確かに、発注者といいましょうか、持ち主は素人さんで、幾らお金がかかるかはわからないと。だから、やっぱり、ディベロッパーさんなりゼネコンさんに問い合わせが行くのは当然だと思うのですけれども、ディベロッパーさん、ゼネコンさんがどうも後ろ向きで、あまりお金をかけたくないとか工期をかけたくないという発想がそもそもあれば、なかなかこの話は前へ進まないのかなと、そんな気がいたしております。
     それで、ヒアリングのときにアメリカの例をお聞きしましたけれども、アメリカの人は、自分の家を解体する、改修する、そのときにすぐにアスベストのことが頭に入っていますよと、こういったお話も聞いて、何で日本人とこれだけ違うのだろうと、そんな気がいたしますが、やはり本当に、何といいましょうか、世論づくりと言うと大げさですけども、この問題は国民一人一人の意識改革がかかわる問題かなと、ちょっと先が長いなという、そんな感じもいたしておりますので、それだけです。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、内藤委員が先だったと思います。それから、山崎委員でした。どうぞ、内藤委員。

    【内藤委員】 ありがとうございます。恐れ入ります。
     既に多くの委員からご意見をいただいたことの焼き直し、同じことになると思いますが、まず、3ページ目から4ページ目にかけて、事前調査の義務付けと申しますものに関しましては、ぜひこれを義務付けの形で、それは、例えば法律をつくって来年からというのでは非常に難しいということであるならば、周知徹底させるある程度の期間を置く等の配慮をして、将来的に必ず事前調査の義務付けというものを入れるべきではないかというふうに考えます。
     その際に、先ほどから何人もの委員からご意見がありましたが、発注者の側の責任なのか、あるいは、元請といいましょうか、事業主のほうの責任なのかを明確化する必要があります。これは、ただいまの中橋委員のほうからのお話にもありましたように、最終的なコスト、わかりやすく言えば、お金を出す義務とでも言うべきものがあるならば、将来的には発注者の側に責任があるのだということをどこかで明確化しておいて、そのかわり、知識、経験等がその発注者には不足している危険性、可能性があるということを鑑み、全体の調査とか、あるいは、それについての除去作業についての依頼等は、これは元請事業主に、コントロールをさせるということが可能なのではないかというふうに考えました。
     それに関しては次に、資料11ページの辺りでしょうか、大気部会での意見等という文章が下から3分の1ぐらいのところにございます。工事の施工者と調査者を分離して発注ということ、これは非常に重要なことであろうと思いました。つまり、これは私自身がきちんと理解できていないのかもわかりませんが、調査に当たる事業主と、除去に当たる事業者と、そして、解体をする事業者という、多分その3段階になるのかなと思ったのですが、その3段階はお互いに、嫌な言い方をしますと、同一事業主がかかわるというよりは、その3者を分離することによって、公平性といいましょうか、客観性を担保するということが必要ではなかろうかというふうに感じております。
     ただ、その際に、私が心配いたしましたのは、ある解体を請け負う、あるいは、もしかしたら、その解体後、新しく巨大なビルディングを建てるような、そういったゼネコンといいましょうか、そこが全体の責任を負う元請になったときに、嫌な言い方をしますと、バーゲニングパワーが違いますので、イメージとしてはそれより小さな事業主であろうところの解体事業主、あるいは、除去作業をする事業主が、いわば一体化してしまう、あるいは、当然、その元請の意向によって左右されてしまうということがあってはなりません。そのために何らかの形で、10ページにあるような非常に客観的立場にある第三者によるところの、全体のプロセスを通しての精度管理といいましょうか、それを求めたいと思うのです。果たしてそれが何年後に実施できるか、今すぐできる問題ではないのかなとは思いますが、将来的な私が考えたイメージといたしましては、先ほど、どなたでしたでしょうか、谷口委員かどなたかからのお話にあった、専門的な知見を有する専門家というものを何らかの形で取り込みまして、例えば、行政のもとに第三者委員会のようなものをつくりそこが、そういった調査といいましょうか、事前調査等についての届出等を全部一貫してコントロールできるような、そういったやり方を将来的に考えてみるのはいかがだろうかというふうに感じました。
     最後になりますが、これは16ページの一番上の行になりますが、石綿則のほうで、厚生労働省等では、当然、中で働く労働者のために石綿障害等を予防するための掲示板云々を考えるわけですが、この施工者に対外的な掲示板を義務付けるべきであるとの意見があります。加えて厚生労働省等の掲示板との整合性に留意すべきというようなことが16ページの一番上に書かれております。これについて、どのような形式の、どのような書式のものにするかということまでは、私は特に意見があるわけではございません。ただ、原則としての考え方は、中で働く労働者であろうと、あるいは、外にいらっしゃる近隣住民であろうと、その方々に健康被害が及ぶ危険性のある物質が存在するかもしれないという情報は、オープンにするということを大原則にする、それが必要であろうというふうに感じております。
     まとまりのない話でしたが、以上でございます。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、山崎委員、どうぞ。

    【山﨑委員】 すみません、今までももう随分出ている話ですけども、基本的な測定方法の話なんですが、やはり、マニュアルの整備が必要ではないかというふうに思っています。というのは、ただ新しいマニュアルをつくれという話ではなくて、今、幾つかのところからマニュアルが出て、恐らく、その中で、これが一番使いやすいということで使われているようなものが現状だと思います。ですから、今あるマニュアルも含めて全て見直して、ベースとなるようなものを整備する必要があるのではないかと。その中でもサンプリング方法と測定方法を見直すと。今までの話に出てきましたけど、やはり、迅速測定と、それから、しっかりした定性・定量測定とはやっぱり違うので、迅速測定については、すぐその場での飛散した現場で誰でもはかれて、すぐにストップできるというふうな方法が必要かなと。ただ、ここにも、今回もありましたけど、自治体さんである程度工夫はされていますが、例えば、リアルタイムモニターとか。ただ、あくまでも、測定方法は、あまり熟練者を想定したものではだめだと。というのは、熟練者でないと見えないとか、そういうものではだめということで、ある程度の訓練をというか、講習を受けて、ちょっと練習した者であれば誰でも同じような値ができるというふうな方法をまとめてみる必要があるのではないかというふうに思います。同時に、精度管理というのが必要かなということです。
     サンプリングにつきましてもケース・バイ・ケースというお話もあるのですが、例えば、隣接の解体現場の話とか、あと、場所が高いとか低いとか、そういう文書もあると思うのですけど、それも、できるだけ融通性のあるようなサンプリング方法をちょっと見直しておく必要があるというふうに思います。あと、測定方法につきましても、例えば、今決めて、すぐに、半年、1年後に新しい方法が出てくる可能性も十分ありますので、ある程度融通性がきくような形で決めておくというのが必要だなというふうに思いました。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。今日は、全員にご発言をいただきまして、誠にありがとうございました。
     最初にご発言になった何人かの方がほかの人の話を聞いて、私ももうちょっと言いたいということがあれば。島田委員、何かありますか。

    【島田委員】 ちょっと誤解があるようなので、訂正をしておきますけども、私は、事前調査を義務付ける必要があると。それで、事前調査の対象として、レベル3を含めて、成形板を含めて考えるべきだと。それは、結果として公開というか、外部に開示すべきだという話を申し上げたわけで、その後の届出とか規制内容まで、全部一律にレベル3を対象にすべきだというふうには考えておりません。
     それと、もう一つは、成形板等を事前調査の対象にしたときに、実は、これは浅見委員のほうが詳しいと思うのですけれど、スレートと、それから、住宅の化粧屋根スレートとサイディングと、もう一つの何か、その三つぐらいで全体の4分の3近くを占めるのです。ですから、ものすごいアスベスト製品、含有製品はあるのですけれど、まずは、そのレベル3についても、全体の7割、8割ぐらいを押さえれば、全然世の中で変わってくるのではないかと、そこのところを一つ補足したいと思います。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     前のほうの発言者ということですと、あと、神山委員、稲垣委員、ありましたらどうぞ。

    【神山委員】 それでは、一言だけなんですが、先ほど、発注者、あるいは、元請が、11ページ一番下で、解体工事と大気濃度測定を分離発注することは必要で、現状も行われていると。これは実際に行われているようですけれども、この間、韓国に参りましたら、韓国は、やはりこれがきちっとされていて、法文、法律の文章にもなっているようで、アメリカで利益相反関係になるものの除外規定と上に書いてありますが、そのようなものを取り入れて、いいとこ取りかもしれませんが、実際にそうやっているということを聞きました。やはり、これは、まず、最低でもその辺の整理をきちっとしていく必要があります。そのとき、解体業者が大気濃度測定を発注するということは最低でもきちっと分離するということで、そのときに、解体業者が元請とどういう関係にあるかということもまた大きな関係性が問われてくると思います。最低でも、解体業をやる方からの濃度測定依頼というのは避けるべきだという考えを持っております。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     稲垣委員、何かございますか。

    【稲垣委員】 一つだけですけれど、先ほど大迫先生とか浅見先生が言われたように、敷地境界の基準をつくるときの罰則というのは本当にきちっと整理しておかなければいけないのかなというふうに思いました。やっぱり、排気口規制については、これは罰則をつくってもいいと思いますけれども、敷地境界については、今までに大防法の中でもなかなかない規定ですので、難しいなというふうに思っております。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     敷地境界基準そのものがけしからぬと大気部会で発言があって、ちょっと、幾ら何でも、現行法でそう書いてあるものがけしからぬと言われたのでは、制度をつくった者としては困ったなと思ってはいるのですけども、でも、さはさりながら、浅見委員が言われたように、工事が競合して行われているような場合の問題というのは確かにありますね。もともと大気環境部会でご発言をなさった業界は、ちょっと誤解しておられるようにも思います。ベンゼンの規制の話のときに敷地境界線基準はどうかと言われて、私も反対したことがあるのです。それは、ベンゼンのように、工場の中から出るものもあれば、自動車から出るものもある。それなのに、工場のほうだけにつけ回すようなことになるのはおかしいから無理だと言ったことを多分覚えておられて、ああいうご発言になったと思うのですけど、アスベストの場合は、もともと出るところが決まっているわけだから、外にはないというふうに私は思ったのです。しかし今日、浅見委員のお話を聞いていて、ちょっと認識を変えましたので、それはまた、そういう場合はどうするのだという、マニュアルの世界か、あるいは、何かの世界での話かなというふうに思っていました。
     それでは、大体予定の時間でございます。ご協力いただきまして、1時までには終われそうでございます。
     それでは、その他について事務局からお願いいたします。

    【倉谷大気環境課長補佐】 その他として特に用意しているものはございません。今回いただきました意見を踏まえまして、論点につきまして再度整理をいたしまして、次回の委員会に案として整理をしたいと思っております。まとめ方につきましては、また委員長ともご相談をさせていただきたいと思います。

    【浅野委員長】 それでは、次回は中間報告案ということで、今日のお出しした紙に、さらに今日のご意見などを踏まえながら、もう少し整理したものが出てくるというふうにご期待をいただければと思います。その際、今日、事務局には負担をかけるけどという、ちゃんと留保つきではありましたが、言葉の使い方は丁寧にというご注文にはしっかり応えてください。
     それでは、本日はこれで終わりたいと思います。
     では、あとは、事務局、お願いいたします。

    【倉谷大気環境課長補佐】 本日は、長時間にわたってのご議論をありがとうございました。本日の議事録につきましても、また各委員のご確認をいただきまして、公開することとさせていただきます。本日は、特にございませんでしたら、以上で終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。