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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
石綿飛散防止専門委員会(第3回)会議録



  1. 日時  平成24年8月9日(木)9:59~12:58
  2. 場所  法曹会館 高砂の間
  3. 出席者
     (委員長) 浅野 直人    
     (委 員) 青島  等 浅見 琢也
    稲垣 隆司 圓藤 陽子
    大塚  直 神山 宣彦
    小林 悦夫 近藤 充輔
    島田 啓三 武林  亨
    谷口 靖彦 外山 尚紀
    中橋 博治 本橋 健司
    森永 謙二
    (環境省) 鷺坂水・大気環境局長
      加藤総務課長
      山本大気環境課長
      倉谷大気環境課補佐
      栗林大気環境課補佐

  4. 議  題
    (1)
    解体現場、大気濃度調査等に関する現状と課題等の情報収集について
    ア 一般社団法人日本環境測定分析協会
    イ 社団法人日本作業環境測定協会
    ウ 小坂 浩 氏(元兵庫県立健康環境科学研究センター)
    エ 社団法人全国解体工事業団体連合会
    オ 社団法人日本建設業連合会
    (2)
    その他
  5. 配付資料
    資料1委員名簿
    資料2中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会ヒアリング対象者
    資料3一般社団法人日本環境測定分析協会提出資料
    資料4社団法人日本作業環境測定協会提出資料
    資料5小坂 浩 氏 提出資料
    資料6社団法人全国解体工事業団体連合会提出資料
    資料7社団法人日本建設業連合会提出資料
  6. 議  事

    【倉谷大気環境課補佐】 ほぼ定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会の第3回の会合を開催いたします。
     委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
     私、本日の司会を務めさせていただきます環境省水・大気環境局大気環境課の倉谷でございます。よろしくお願いいたします。
     本日は、京都大学の内山委員、国立環境研究所の大迫委員、早稲田大学の山﨑委員がご欠席とのご連絡を受けております。したがいまして、本日の出席状況でございますけれども、委員20名中17名の委員の方にご出席をいただいているところでございます。定足数の過半数に達していることをご報告させていただきます。
     引き続きまして、お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料1から資料7まででございます。また、外山委員の方から追加の資料のご提供をいただいているところでございます。資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければというふうに思います。また、マスコミの方におかれましては、カメラ撮り等につきましては冒頭のみということにさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
     それでは、以降の議事進行につきましては浅野委員長にお願いいたします。

    【浅野委員長】 おはようございます。早朝からお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日でこの専門委員会も3回目になりますけれども、前回からヒアリングを続けておりまして、8月にはもう1回ヒアリングを行うということになっております。前回の7月20日には、建築物の解体現場における現状と課題について、あるいは、解体現場大気濃度調査等に関する現状と課題等の情報収集についてご説明をいただきました。大変貴重な資料をいただきましたし、現場の状況がわかって、これはなかなか大変だなということもわかってきたわけでありますが、本日は、主に測定分析に関してのお話を伺うことになっております。
     この度、第3回目までを含めて、ヒアリングをどなたからするかということが確定したようでございますので、最初に、事務局から、ヒアリングの全体について説明をいただきたいと思います。

    【栗林大気環境課長補佐】 環境省大気環境課の栗林でございます。
     資料の2をご覧いただきたいと思います。本日、2ポツにございます5名の方からプレゼンテーションをいただいた後、8月27日には、同じく5名の方からプレゼンテーションをいただくことになっております。この度、(3)にございます建築物の解体における発注者の対応ということで、森ビル株式会社様からプレゼンテーションを行っていただけることになりましたので、ご報告します。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 それでは、ヒアリングについては以上のように決定いたしましたので、ご了承いただきたいと思います。
     それでは、本日は、資料の2にありますように、石綿の環境濃度測定、建材中の含有量測定及び精度管理に関しての現状と課題につき二つの団体とお一方から、また、建築物の解体現場における現状と課題について2団体から、それぞれご説明を伺うことにしております。
     ご意見をおきかせくださる皆様には、今日は、お忙しい中、お越しいただきまして、誠にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。事務局が既にお話し申し上げていると思いますが、ご説明は15分でお願いいたしまして、その後、15分ほど委員からご質問を差し上げることにしたいと思います。
     なお、時間が限られておりますので、一問一答の形をとりますと時間が足りなくなるおそれがありますので、最初に、質問をお持ちの委員から一わたり質問を全部出していただきます。その上でまとめてお答えをいただきたいと考えております。もし時間が余りましたら、追加の質問も出るかもしれません。質問のうちで、本日お答えが難しいものがありましたら、後日また書面でいただくということでも構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、早速でございますが、まず、一般社団法人日本環境測定分析協会の豊口敏之さんからご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 日本環境測定分析協会から参りました豊口と申します。よろしくお願いいたします。
     私のほうからは、建材中、大気中のアスベスト分析の現状と課題ということで、実際に測定分析をしている私たち分析機関の側からの、今感じていることですとか実情を整理した形でお話ししたいと思っております。本日お話しする内容としましては大きく三つございまして、一つは、建材中のアスベストの含有量の分析について、二つ目は、大気中のアスベスト分析について、三つ目は、実際に我々が分析する事業者の精度管理についてということで、大きくこの三つについてお話をさせていただきます。
     まず最初に、建材中のアスベストの含有量分析ですが、実際に建物の含有量調査をする場合には、ここに書いてありますように、事前調査をして、設計図書ですとかいろんな情報から建築材料の種類や施工年、施工部位、こういったもので、まずは、書類ですとか情報から整理して、アスベストが含まれているか含まれていないかという判断をします。そのストックが終わってから、判断ができていない不明なものを目視調査や分析調査とするという形になりますので、実際には、対象となるすべての建材を分析しているわけではなくて、こういった事前調査を設計して管理している方々の判断で、どの部分を分析するかとか、調査するかということが決まっていくというのが実情でございます。実際に、アスベストの含有建材の使用と時期ということで、こういった国土交通省で出されている資料ですとか、いろんなものを見ながら、それぞれ参考にして選んでいる状況でございまして、かなりこれだけたくさんの種類の建材がいろんな部位で使われているということもございまして、実は、事前の調査ですとか、いろんな建物調査をするに当たって、こういった建物ですとかいろんなものの知識がない事業者が調査してしまうと、調査の漏れがあったりとか、あとは、判断のミスがあったりといった事例が起きているというのも実情でございます。実際に、こういった情報が今はたくさんありますので、比較的参考にしながら、いろいろな調査をいろんな事業者ができるようにはなっていますが、こういったものが出る前の平成17年、18年ぐらいの、アスベストの分析ですとか調査依頼がかなり多かった時期には、正直、こういった知識がない人が建物の調査をして、サンプリングをして分析をするというような事例があったということも実情としてあるところでございます。
     実際の分析の中身についてなんですけど、建材中の石綿の含有量の分析法というのは、実は、平成8年から20年の間に何回か改定が行われております。お手元の資料3の後ろのほうに、A3で別紙1というものが、こういった形で横に比較表がついていますけど、平成8年から20年、現行のJIS法への改正に当たって、途中で基準値が1%から0.1%へ変わったこともございますし、分析法も、徐々に改定されて改善されていったということがございますので、こういった過去の分析と今の分析で、実は、分析値ですとかいろいろな判断の相違が出てきているということが、実際の現場で起きている問題の一つでございます。過去の建材中のアスベスト分析における問題点というものは、今お話ししたように、いろんなアスベストの含有量というものは、規制値の改正に伴って分析法が何回か変更されてきていますので、現行のJIS法が公定法として定められる以前の分析手法、特に、X線回折法での評価についてはいろいろな問題点とか課題も多く、実際には、過去の調査において適切な判断ができていない事例が、実は散見された時期があるということが実情であります。
     あわせて、これはいろいろなところでも話題とか問題になっていますけども、当時は、使用記録や輸入実績から、国内で主に使用されていたクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの3種類のみを測定されているケースがほとんどで、実際には、その後の調査でそれ以外のアスベストが検出されたということがございますので、先ほどのいろんな分析法の変遷をご説明した中の正編部分では、ほとんど二、三種類の鉱物しか分析されていなかったというふうな問題もございます。実は、この3種類の鉱物を測定していた時代にも、トレモライトですとかアクチノライトが検出した事例というのはあるのですが、そういったものの取り扱いをどうするかということで、やはり、分析業者と発注する側の事業者さんの間でアスベストありとみなすかどうかというやりとりが多くあったということも実情でございます。
     こういったいろんな問題を踏まえて、現行のアスベスト分析の方法として、公定法として、2008年にJISのAの1481という規格で分析法が出されています。これは、実際にいろんな建材を分析するときには、今、各分析機関ともこの方法をベースにやっておりますけども、X線回折法と位相差・分散顕微鏡、この二つの分析法でアスベストの有無を判定して、必要があれば、アスベストを含有しているものについては含有量分析を実施していくという流れです。実際の分析、こういった流れになっていますけども、実は、一般の建材と吹付けバーミキュライトの分析が二つ分かれていまして、これを分けてそれぞれ分析することによって、幾つかの課題が出てきているということも実際のところでございます。
     こちらの分析法の詳細につきましては、お手元の資料の、先ほどの別紙1の次に別紙2というものがございますけども、実際の作業の流れですとか判定基準をもう少し具体的に記載したものがこちらの表になっております。X線回折分析は、こういったX線回折装置で、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト、こういったその鉱物特有のこういった回折線のピークを実際のサンプルと比較して、アスベストの有無、あるいは、定量をするという形でございます。位相差・分散顕微鏡は、それぞれのアスベスト鉱物の屈折率の差を利用しまして、それぞれの鉱物ごとに、こういった形で浸液という薬品を使って屈折率の差を色で見ながら、形と形状を判断するという形で定性分析と計数を行うという流れになっております。
     アスベストの含有の有無の判定ですけども、こちらにつきましては、X線回折法と位相差・分散顕微鏡法の組み合わせで実施します。X線回折法では、アスベストと同じようなピークが確認された場合に石綿と判断すると。顕微鏡回折の場合は、それぞれの鉱物ごとに、3,000粒子中石綿が4繊維以上検出された場合には石綿含有と判定するという流れになっています。この二つの組み合わせで判断するのですが、X線回折と顕微鏡の両方で検出された場合は、当然、含有ありと判断します。ただ、実際のX線回折で、アスベスト以外の鉱物が同じような位置にピークを出すこともございますので、そういった場合には、実は、アスベストの顕微鏡での観察結果で繊維がないことが確認された場合には、アスベストなしと判断するということで、どちらかというと、判定自体は、顕微鏡での判断ですとか判定が優先されるというふうなルールになっております。こちらの詳細も、別紙2のほうに、定性分析の部分でアスベストのあり、なしの判定をするところにフローとして記載しておりますので、そちらをご覧いただければと思います。
     こういった現行のJIS法の課題としましては、X線回折法では、今お話ししたように、アスベスト以外の鉱物でもアスベストに似た回折ピークを示すことがありますので、例えば、蛇紋岩とか緑泥石とかカオリン鉱物はクリソタイルと同じような位置にピークが認められると。また、タルクは、アモサイトやクロシドライトと同様なX線回折角の付近に回折ピークがあるので、こういった疑わしい、紛らわしいものとの区別で注意することがあると。そういうことがあって、最終的に、アスベストの有無の判定というのは位相差・分散顕微鏡による判断が優先されるのですが、こういうルールがあるというところであっても、実は、分析する分析機関によって技術レベルの差とか技量の差があって、適切に評価できない機関があるというのも実際のところでございます。
     あと、実際の分析をするに当たって、JISに規定されているとおりの分析をした場合に、鉱物特有の屈折率の違いを利用して顕微鏡回折をするのですけど、実は、アスベスト鉱物の一部、トレモライトですとかそういった角閃石の鉱物については、本来、繊維状粒子ではない形のものもあったりして、そういったものの扱いをどうするかというところが、実は分析機関によってまちまちで、繊維状でなければアスベストとして判定していない機関もあれば、形がJISの規格に基づいた形での判断基準の中に入っている場合には、アスベストありと判定しているところという形で、分析機関によってこういった細かいところへの判定がまちまちだというところが、実は課題として現在あるところでございます。
     あと、分析法としまして、こういった建材の分析、一般的なもののほかに、吹付けバーミキュライトの分析については別途規定がされております。こちらは、定性分析のX線回折分析において、バーミキュライトが主成分として含まれた場合の手法として記載されているのですが、こちらは、塩化カリウムの溶液で処理した後のピークを、標準品のトレモライトですとかクリソタイルのピークと比較して、その大小で含有を判定するというやり方になっております。ただ、こちらの方法につきましては、実際に0.1%の含有量の評価をするのに、クリソタイルの標準品自体が0.8%、トレモライトが0.5%含有のものと比較しているということもあって、分析している側からすると、本当に0.1%の含有を評価できるのだろうかという疑問がちょっとあるのと、もう一つは、このやり方、実はX線回折分析のみでの評価になっていますので、アスベストに近い位置でピークがあるものというのは、アスベスト以外の非繊維状の鉱物もアスベストであると誤認してしまう可能性があります。ですから、実際には、作業としては、こういったJISでの規格以外にも顕微鏡観察での確認をしなければいけないとか、そういうことが必要になってくるのですけれども、結構、この部分で繊維の有無の確認をせずにアスベスト含有と判定してしまう分析機関も多いということが事実でございます。
     こういった課題等につきましては、いろいろなJISの回折の書籍ですとか、あとは、毎年作業環境測定協会さんが実施しているようなフォロー研修なんかで、いろんな新しい情報提供が実はされているのですが、例えば、JISの本文に書かれていないということもあって、一度説明されたことがなかなか皆さんに周知されていないとか、分析担当者がかわるたびに、それぞれの判断だとかいろいろなやり方がぶれてきているということもありますので、こういった課題を改めて整理して周知するということも必要ではないかなというふうに感じております。吹付けバーミキュライトの分析の事例としてはそういったところが課題となって、問題となって、判断がぶれるということが事例としてあるという状況でございます。
     こういったアスベストの建材中の含有量の分析の課題ですけれども、大きく分けると、私どもが感じている課題としては大体三つあります。一つは、事前調査における試料採取箇所の選定ですとか採取箇所数、あと、採取法が適切かどうか。実は、JIS法には何カ所からどのぐらいずつ取りなさいという規定があるのですが、建物全体を見たときに、どういう取り方をしたらいいかという細かな規定がされていないということが実情でございます。採取者の判断が不十分だったり、現場の状況によって適切な採取ができていないケースもあって、こういったことが、実は、後の分析をするときに大きく問題になってくるということもございます。実際に適切な判断をするに当たっては、当然、アスベストに関する知識も必要なんですけども、採取する人間にも建築物に関する一定の知識のベースがないと、きちんとした判定ができないということが実情かなと思います。
     あと、実は、いろんな調査を我々が受託するときに、費用的な問題があって、幾らまでしかお金が出せないということで、結局、必要な地点数とか箇所数を採取できていないケースというものもあります。もう一つは、実は、採取者、お客さんが採取して、我々のところに分析サンプルだけが送られてきて分析するというケースもありますので、そういった場合には、分析機関の側では、正直、適切な採取ができているかどうかということが判定できないということが実際のところでございます。あとは、適切な分析機関が分析しているかどうかということで、実際には、価格の安い業者へ依頼しがちだったり、工事業者が関連企業に分析依頼をしているケースも多いです。あと、装置とか設備があれば誰でも報告書を出せますので、通常は、こういった濃度を出すものとか規制のかかるものというのは、作業環境測定機関や計量証明事業所がやるのですけれども、そういったところでなくてもいいということがございます。そういうこともあって、分析機関の技術レベルの確認が必要であると。あと、調査・分析会社の技術レベルは十分かというと、実際には、その知識が本当に十分かどうかというところにも疑問が残るところがありますし、分析法をきちんと理解しているところと理解できていないところがあると。あとは、十分な技術を持った技術者が分析していることがちゃんと担保できているかということで、そういったところを注意しながら業者を選んでいただくということが必要になってくると思います。あと、結構多いのは、分析を分析会社が再委託をしている場合というものも調べるとありますので、こういった場合には、分析を再委託している先の管理がきちんとできているかということも重要になってくるということでございます。
     続きまして、大気中のアスベストの分析についてですが、こちらは、主に作業環境、室内環境、環境大気、あとは、まれにですけど、いろんな処理をするときの排ガスですとか、そういったものについて、我々は石綿の空気中の測定を実施しております。基本的には、ここに書いてありますように、試料をろ紙捕集して、そのろ紙を前処理して分析をするという流れが基本になっております。測定自体は、位相差顕微鏡法と分析走査型電子顕微鏡法、分析透過型電子顕微鏡法、こういったものがメーンになっておりまして、現行では、環告の93号のような法律である、位相差顕微鏡と生物顕微鏡の併用だとか、分散染色法というものは今はあまり使われていないということが実情でございます。
     こちらは大気中のアスベストの分析法の一覧になりますけども、対象ですとか、いろいろな測定の目的によって、微妙に実際の採取方法とかルールが違ってきています。ただ、基本的に、分析法としては、どれも位相差顕微鏡での判定というものがメーンになって、必要に応じて、電子顕微鏡ですとか、その他の方法を併用していくという流れになっております。
     これは実際の解体現場の処理作業での石綿濃度測定についてですけども、これは国土交通省さんが出されている資料で、我々は、特に、法律とかいろんなところでの定めとか規制がない部分については、こういった各省庁さんで出されている情報をもとに、現場での採取地点ですとかいろんなものを決めながら調査をしているというのが実際のところでございます。
     実際のアスベストの大気分析については、現状は、環境省で出されているアスベストのモニタリングマニュアル(第4.0版)で測定することがほとんどです。こちらは、最初は位相差顕微鏡で総繊維を確認して、総繊維が1本以上を超えた場合には電子顕微鏡でアスベストを同定するという流れになっています。
     実際の採取のイメージは、空気をポンプで一定流量引っ張って、ここのホルダーのところにフィルターがセットされていますので、ここのろ紙に附着したものを対象に分析をします。こういった形で採取したろ紙の一部を、まず、位相差顕微鏡法による分析をして、計数をして、必要に応じて次のステップでほかの分析をするという流れになっております。この分析については、マニュアルに繊維の計数方法が記載されているのですが、例えば、総繊維の測定については。

    【浅野委員長】 時間は15分ということですので、少しお急ぎください。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 わかりました。
     測定においては、実際にその計数ルールが微妙に機関によって違ったりすることがあって、全部の繊維を計数しているところ、あるいは、それ以外の、要は、疑わしい繊維のみ、アスベストと疑わしいものだけを計数しているところがあったりということで、当然、こういった差が出てくるということが実情でございます。
     マニュアルとかJISに判定法を示されているけども、分析機関ごとに解釈や判定ルールの詳細に違いがあって、結果が異なる要因となっていたりとか、あとは、分析者の経験・能力が結果に与える影響が大きい。あとは、使用する顕微鏡の性能や操作方法による微妙な違いが繊維の判定に影響を与える可能性があるということで、そういったもので、位相差顕微鏡での総繊維分析においては、こういった課題を克服するために、やはり、技術者の技能レベルをきちんと評価して、継続的に確認していく仕組みが必要だということでございます。
     ここから先は、お手元の資料で、スライドと配付資料の別紙4ということでお配りしてありますので、こちらについては概要だけ説明させていただいて、内容については後で見ていただければと思います。

    【浅野委員長】 すみません、公平ということがありますので、大事だと思いますけど、お一人だけ長いご説明時間を認めるわけにいきません。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 わかりました。
     最後になりますけど、解体現場の迅速分析法ということで、こちらのモニタリングマニュアルに四つの方法が記載されているのですが、実は、これは、日環協のホームページに記載されている別紙3として添付しているものを整理したのですけども、アスベストの分析は、どんな中身をどんな機関ができるかというもので、こういった迅速分析ができる機関というものはまだ非常に少ないです。そういったことがあって、迅速分析については対応できる分析機関が少ないですとか、ここに書かれているような課題があるということが実情でございます。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございます。
     それでは、大変重要な報告であったと思いますが、ご質問が多々あろうかと思います。大変恐縮ですが、ご質問をご希望の方は名札をお立ていただけませんでしょうか。今、大塚委員が先にお立てになりました。では、大塚委員から、質問を差し上げます。

    【大塚委員】 とても興味深いご報告をありがとうございました。
     スライド23についてちょっとお伺いしたいのですけども、価格の安い業者に依頼しがちだとか、いろいろな問題をご指摘いただきましたが、正当な対価が得られるような形にするために、もし何かご提案があれば教えていただきたいということと、逆に、分析機関のほうがこの値段と言ったら、そのまま払ったほうがいいとかというわけにも多分いかないと思いますので、その辺も含めて、もし何かご提案があったら教えていただきたいということが1点。
     それから、24のスライドについての分析の再委託の場合の話が載っていますが、分析の再委託はあまりしないほうがよいということであれば、禁止するとかということも考えられなくはないと思いますけども、その実現可能性について教えていただきたいと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 それでは、小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 すみません、ちょっと現場を離れてしまっているので、不案内とかがあって申し訳ないのですが、問題点の一つは、分析機関、分析技術者が分析しているかという、これを問題点として指摘されているのですが、現在のところ、分析機関とか分析技術者に対するグレードについて、分析協会のほうではチェックをされているのでしょうか。要するに、認定をするとか、そういう作業をするというお話を以前に聞いたことがあるのですが、実際に、今、やっておられるのかどうかということが一つ。
     それから、分析業者の一覧表が書いてあるのですが、この一覧表については、協会として、いわゆるここだったら絶対に問題ないという認定の上でこのリストをつくられているのか、単に登録をされているだけなのか、その辺をちょっと教えてほしいのですが。

    【浅野委員長】 神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 今と同じで、スライド57の一番最後の説明の、即対応可能な分析機関数というものは、ホームページで出しているものはどういう基準で数が集計されているかという質問で、今の小林委員のものとオーバーラップしていたかもしれません。
     もう一つは、建材中のアスベスト含有量分析の課題で、これは、分析法をきちんと理解しているかというのは一番イロハのイなんですけども、これは、協会とかそういうところで、将来、きちっとした管理をしていくような計画があるか、あるいは、それが可能かどうか、その2点をお願いいたします。

    【浅野委員長】 外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 一つ目は、私の配付した資料で、毎日新聞、裏側の朝日新聞と、それから、もう一つ、毎日新聞の記事があります。共通しているのは、日本のアスベストの建材中の分析方法のJIS方法が、国際標準であるISO方法と、定義も含めて大きく異なっているという点が指摘されている問題です。私も、実際にやってみると、定義も違いますし、結果も大分違ってくる可能性が高いのかなというふうに感じていますけれども、こうした問題に関して、やはり大きな問題だと思うのです。日本には外国資本の建物もありますし、外国人の方も働いているという中で、こういった問題が起きてきているということに関して、協会としてどのようにお考えなのかということと、あとは、対策というか、対応というか、何か考えていらっしゃるのか、あるいは、実際にやられているのかという辺りをお聞きしたいというのが1点目です。
     2点目は、分析なり測定なりに関して、ライセンス制なり登録制なりということをしたほうがいいというふうにお考えなのかどうかという点、2点についてお聞きしたいと思います。

    【浅野委員長】 ほかにございますか。──よろしゅうございますか。
     それでは、今のご質問に、どうぞお答えいただきたいと思います。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 まず、一番最初のご質問で、価格の安い分析業者に依頼しがちだということですけども、こちらにつきましては、実は、解体をするに当たって、その調査費用を見込まないで積算されている事業者さんというものも中にはいたりしますので、当然、予算の都合で安いところに出されるというような事例が多いということが実情でございます。ですから、同じ分析でも、5万円でやるところもあれば、3万円でやるところもあれば、1万円でやるところもあるというような状況でございます。あと、一般的な価格ですけど、こちらについては、分析機関の言い値というよりも、ある程度公的なところで目安になる価格というのを表示していただくのがいいのではないかなと思っております。
     次に、再委託についてですが、こちらについては、実際、総繊維の分析をする位相差顕微鏡での再委託というのは少ないのですが、その先に電子顕微鏡の分析をしなければいけない場合に、分析走査型電子顕微鏡ですとか分析透過型電子顕微鏡を持っていない分析機関さんが多いので、その部分は、やはり外部に委託せざるを得ないという状況があると思います。こういった部分については、きちんと管理して外部への委託をすると。私の個人的な意見としては、基本になる採取ですとか総繊維のところについては、原則としては、きちんと資格を持った自分のところでやった上で、必要に応じて外部に出すと。外部に出すときは適切なルールのもとに管理するということが必要になってくると思います。
     あと、分析技術者のグレードをチェックしているかどうかということですが、こちらは、現状では、私どもでは、先ほどご紹介したような繊維の計数に関しては、ある程度技術レベルを向上するというふうなプログラムを実施していますが、後から説明される作業環境測定協会さんのほうでやられている精度管理、クロスチェックの中での評価、こういったものを利用させていただいて、適切な技術者がいるかどうかという判定をする一助とさせていただいているというのが実情でございます。
     あと、ここでご紹介した分析機関数の一覧ですけども、こちらは、細かい技術認定をしたというわけではなくて、この協会に参加している計量証明の事業所・機関に対してアンケートを行って回収した中身でございます。ですから、技術レベル云々ということではなくて、実際にそういう作業をしているかとか、そういった装置を持っているかどうかということを整理したものでございます。
     あと、分析法の理解に関してで、こういったところについては、定期的にアスベストに関するそういった精度管理、技術向上のプログラムを実施したりですとか、その都度、必要に応じた講習会やセミナーという形で実施をしているという状況でございます。
     最後、ISO等の海外の分析法についてですが、現行のいろいろなルールの中では、我々分析機関は、当然、定められているJIS法での分析をベースでやっていかなければいけないというものがございます。あと、ISOですとか、そういったところでの考え方との違いですが、ここでご紹介いただいた新聞報道が出た後に、いろんなお客さんから、JISは大丈夫なのかとか、ISOで分析してくださいとかというご依頼があるのですが、実は、我々分析機関の側で、こういったISOだとか偏光顕微鏡での分析をする準備がまだ十分にできていないというのが実情でございます。あと、いろいろと先ほどご説明させていただいた中で、現行のJIS法でも、きちんと中身を理解して分析をしていくと、十分にアスベストの判定はできているということがございますので、現状では、こういったJIS法とあわせて、ISOですとかそういう情報をもとに、いろんな分析法のいいところを組み合わせて判断していくしかないのかなというふうな状況でございます。
     ただ、こういったISOを含めた海外の規格の動向もありますので、そういった情報提供ですとか、あとは、今後のことを踏まえたいろんなトレーニングとして、私ども協会のほうでは、ISOとか偏光顕微鏡の分析に関するセミナーという形で座学での説明をしたりとか、昨年度からは、実際に偏光顕微鏡を使って、専門家の方にいろいろ講師をしていただいて、指導をいただきながら、希望者はまだそれほど多くはないですが、大体20~30名の規模で実技の講習をしているというふうな状況でございます。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 外山委員からのご質問はもう1点ありました。測定業者についてライセンス制を設けるというような考え方についてはどう思われるかということですが。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 こちらについては、やはり必要になってくることだと思います。あとは、個人に対してのライセンスと、分析事業者とか機関に対するライセンス、片方だけでいいのか、両方必要なのかということは少し考えていかなければいけないかなと思っております。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     では、神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 今、外山委員から毎日新聞の記事をもってコメントがありましたので、それに対して私のほうからコメントしたいと思うのですけれども、JISが欠陥ということで、こういう新聞記事になると、豊口さんですか、非常に今、業界に混乱が生じているようだというような、まさにそうだと思うのです。私自身は、この記事が欠陥だとはっきりと言いたいと思います。
     つまり、JISでずっとスタートしているものは、X線回折と光学顕微鏡の組み合わせでアスベストを定性・定量をしていると。繊維状は顕微鏡で計数して、先ほど説明のあったとおりです。ところが、ISOのほうは顕微鏡一本で建材中のものをはかると。ですから、感度と精度という面で言えば、たまたま繊維が見えたということで、感度がいいときもあるかもしれませんけれども、含有率が1%以下であるとか0.5%と、非常に含有率が低くなってきたときには、見た、見ないという判定では信頼の置ける結果がなかなか出にくいという面があります。そういうところを、X線回折では大量の試料量で平均的な量を出しているということで、信頼性が非常に高くなる。ただし、繊維の形態が見えないので、顕微鏡で繊維の形態を確認するという組み合わせですので、顕微鏡一本で分析するか、値段が高いかもしれませんが、X線回折装置との組み合わせのどちらがいいかというふうな話になれば、一長一短がそれぞれあると思います。こういう一方的な記事が出ますと、現場で混乱するのは当たり前ですし、私自身はこのワーキングに出ていまして、取材を一切受けておりませんので、こういうふうな結論的なこと、X線回折だけで有無を判断しているがごとくの記事を書かれますと、これは事実と反しますので、そういう意味で訂正をしておきたいと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。ちょっとここでディスカッションを始めてもしようがないのですが、でも、外山委員は何かご発言があると思うのですが。

    【外山委員】 神山委員はISOの委員会に出られているということですが、ISO法に賛成票を入れられていると思いますが、もしJIS法に自信がおありになるのでしたら、ISO法に賛成を入れるべきではなかったのかなと思います。

    【神山委員】 ISOのほうに賛成、日本が賛成投票しているというのは、ISOの簡易法という意味で、ISOの考え方は一つの哲学ですから、簡易に安くポジティブに、陽性が検出されたら、その建材はアスベスト入りだという判定をする、そういう目的の方法として終始一貫しているわけです。途中からJISのISO化ということで、後からワーキングに入れてもらったような形になっていますが、JISそのものを入れていくということになると、X線回折と光学顕微鏡で、両方ないとできないということで、ISOのワーキングのほうでは、一切それは受け付けないと。つまり、パート1で繊維の確認ができたもの、それを、パート2の従量法による定量、あるいは、パート3のX線回折による定量と、そういうほうに回すのだと。パート1で繊維が検出されなかったものを、パート3、X線回折でそれを確認するとか、そういうつなぎを提案いたしましたけれども、一切それはだめだというふうなことで、そういう意味では、彼らのISOの哲学は終始一貫しているわけです。ですから、それはあってもいいだろうと。つまり、建材の、どのぐらいかはわかりませんが、顕微鏡で見て、ありという判定をする、そういう目的に使うということに限るのであれば、それはそれで哲学が一貫しているという意味で賛成です。ただし……

    【浅野委員長】 先生、わかりました。ちょっと……

    【神山委員】 では、これはこのぐらいにしておきます。

    【浅野委員長】 それでは、どうもありがとうございました。
     次に、ただいまのお話にもありました精度管理に関してですが、社団法人日本作業環境測定協会の米山玲児さんからご説明をいただきたいと思います。

    【米山(日本作業環境測定協会)】 ただいまご紹介いただきました日本作業環境測定協会の米山でございます。よろしくお願いします。
     私からは、弊協会で実施しております石綿クロスチェック事業の概要ということでご説明をさせていただきたいと思います。
     初めに、この辺りはここで改めてご説明するお話でもないので、皆さんご承知のことでございますけれども、私どものクロスチェック事業を進めるに当たって、このような経緯が過去にございました。その中でも、私どもは、平成17年度から厚生労働省の石綿分析機関能力向上事業が始まりまして、弊協会が委託を受けまして、能力向上事業を平成21年度までやらせていただいたということがございます。その中でどういうことをやったかというのは、そこの下のポツですけれども、建材中の石綿含有分析方法に係る講義講習会と実技講習会というものを実施してまいりました。
     そういったことを委託で受けてやってきていた中で、こういった状況がございました。建材製品中の石綿含有率の測定や、解体・改修に係る空気中の石綿濃度の測定につきましては、測定を実施するという分析者もそうですけれども、分析機関、そういったものが、何らかの免許登録ですとか、そういった届け出という制度が特段、今もそうですが、ございません。ということはどういうことかと申しますと、分析機器ですとか設備、そういったものが確保できれば、実際にそれを業として請け負ってやるということが可能であるという状況です。
     先ほどお話ししたような委託の中で講義講習、実技講習を実施して、技術情報ですとか、そういったことを周知して、図っておりました。それで、図っているというのは、21年度で委託事業は終了したのですけれども、私どもは、引き続き独自事業としまして、このような能力向上事業というのを続けて、今現在もやっております。21年度まで終わって、講義講習、実技講習を実施した後は、その後、平成22年に講義講習会を行いまして、23年度につきましては、特段新たな情報等の知見が得られませんでしたので、その時期は特段何もやっておりませんけれども、24年度、今ちょうど、そういったことの情報について、当該講習を実施している状況でございます。
     こういったことで委託事業を17年からやってきていたのですけれども、最後の丸印のところにありますように、情報提供してきてはおったのですが、必ずしも、分析機関の行う分析精度を保証するというところまでのものではないということが正直なところでした。それで、私どもでは、作業環境測定士の免許登録の際に行います登録講習というものを実施しております。その中で、粉じん項目に関する測定士の場合は、その中の、講義講習も含まれるのですけれども、実技講習の中で石綿分析の計数分析という項目が含まれておりまして、そういったものを、ずっと測定士を育成しながら、ずっと経験を持ち合わせていたものですから、こういった石綿分析を、いわゆる石綿則にあわせて事前調査をやらなければいけないということで、急に石綿の分析をやらなければいけないという需要が増えたわけです。そういった方々に対して、適切な教育というか、技術レベルをもう少し担保していただくことが必要ではないかということを考えました。
     ちょっと話が前後しますけども、委託で請けていたときの講習会の能力向上事業の参加状況がこちらの表になっております。5年間やっておりますけども、講義講習会のほうは延べ数で参加者数が3,201名、参加機関数が262機関。実技講習会のほうは2日間とありますが、こちらは42回やりまして、参加者数が962名、参加機関数が859機関となっております。この2日間というのはJIS法に基づいた説明になっておりますので、石綿のその計数分析の講習を1日、それと、X線回折の分析に関する講習を1日という形でやっておりました。それで、平成20年からは実技講習会1日間というのが表の中にありますけども、こちらは、従来の2日間の講習にプラスして、その年度で前後して新たな知見が得られました、バーミキュライトの分析です。先ほどのプレゼンの中でもお話が出ていたと思うのですけれども、そういった分析法の新たな知見が増えましたので、20年度からはその講習を1日プラスしてやっていたというような状況でございます。
     こちらのパワーポイント、先ほど私のほうでご説明したのとちょっと重複するかもしれないのですけれども、そういった能力向上事業をやっていく中で、分析技術者の方のレベルがまちまちなところも多々ありましたものですから、技術向上のために何かをもう少し考えなければということで、クロスチェックの実施ということを検討いたしまして、進めるということにいたしました。これは平成18年度から実施しております。事業の内容としましては、その項目です。赤丸の[1]番の建材中の石綿含有率測定の項目、それと、[2]番の計数分析の項目ということで、2項目を実施しております。
     概略でございますけれども、対象者としましては、[1]建材中の石綿含有率測定の項目につきましては、作業環境測定機関等、その他分析機関に所属し、JIS法に即した分析業務に従事している、または従事する予定の方ということにしております。これも、今までJIS法に規定されているようなX線装置を使って建材中の石綿含有率を分析するというようなこと、例えば、作業環境測定士の育成の教育の中でも、こういう項目は全然なかったものですから、経験を有している方という者はやはり少ないと考えられましたので、従事する予定の方も含めてクロスチェックの対象者としております。それと、[2]の計数項目につきましては、測定機関に所属する第1号登録というのは粉じん項目で、先ほどもお話しした石綿の計数分析を行うという資格を持っている測定士になりますけれども、その測定士、または、作業環境その他の空気中石綿濃度の計数分析に従事した経験を有する方という形で対象を絞っております。
     参加の方法ということですが、私どもは年に1回クロスチェック事業を実施していますので、年に1回参加していただくような形になります。実施している項目ごとにAからB、Cまでのランクをつけて、難易度をつけて実施しておりますが、初めて参加する場合というのはCランクから、つまり、一番易しいランクです。そこからやっていただくことにしております。中には、経験を有している方がいて、私はAランクからやりたいとか、そういう方もいらっしゃるのですけれども、やはり、これは、後で出てきますそのランク認定というような形でやってきておりますので、そこまでの段階を経ているかということを確認させていただかなければなりませんので、一番下のランクからお願いしているということです。Cランク合格後、次に参加する場合は、飛び級で例えばAに行きたいとかいう方があれば受け付けておりますし、その次のBに行くという形で、いずれかを選択していただくということをお願いしております。合格機関の認定ですけども、Aランクは3年間、一度認定されれば、3年間認定期間を設けております。B・Cランクは2年間ということにしております。その年度に、例えば、今回受けましたということで、クロスチェックを受けましたけれども、残念ながら不合格になった場合というのは、再試験、再クロスチェックを受けることにしております。この場合、レベルアップ講習会というものを再クロスチェックを受けるまでの間にやっております。不合格の方に対しての教育です。どうしてだめだったか、そういったことをマンツーマンで講義なり、実際に顕微鏡を使って実技をするとか、そういったレベルアップ講習をやっております。基本的には、それを受けていただいて再試験を受けていただくということなんですけれども、同じ不合格でもいろんな状況があります。全く全然だめで、技術レベルがなくてだめだという場合もあると思いますし、ある程度技術レベルはあるのですけれども、何らかの要因で、ちょっとした誤差で不合格になった、そういった方は、わざわざレベルアップ講習会を受けなくても、自分でだめだったところをすべて認識できるというような方は自分で判断して、再試験だけを受けますというような方もいらっしゃるので、そういったことは選択可能にしております。
     先ほどお話ししましたランクづけについてなんですけれども、建材のほうと計数のほう、すべて三つのランクをつけております。単純に説明しますと、難易度の話なので、建材の分析についてはX線でその分析をするという形なんですけれども、Cランクにつきましては、当たり前なんですが、Aランク、Bランクと比較しますと最も石綿含有率が高いサンプルを配付しております。具体的には、X線分析法のみで定性・定量をやって結果を出していただいて、それがどうであったかということをチェックしております。Bランクにつきましては、石綿含有率がCランク、Aランクとの中間に当たる含有率のサンプルです。その中で、やっていただくことはCランクと若干違います。これは、よりJIS法に基づいた方法が加わっているのですけれども、X線の分析と位相差顕微鏡の両方で定性分析を行っていただいて、その結果に基づいて定性・定量を行って結果を出してもらって、チェックをするということになっています。Aランクですけれども、石綿含有率が最も低いサンプルでございます。やっていただく内容につきましてはBランクと同じですけれども、含有率が非常に低いものですから、X線による定性・定量というのが難しくなっているというようなサンプルでございます。
     2番目は計数分析ですけれども、Cランクにつきましては、単一繊維の試料を計数させて、計数する対象となる繊維状粒子を正しく認識して、計数できたかを判定するというサンプルでございます。Bランクにつきましては、形態の異なる複数の繊維が存在する試料を配付して、計数対象の繊維かどうかというのを正しく見極める能力をチェックしているのがBランクになります。形態の異なる、例えば、繊維状のものでも、真っすぐの棒状のものですとか、あと、曲がったものですとか、そういったものがありますので、そういったものを複数まぜたものということでございます。Aランクにつきましては、単一繊維のサンプルでございますけれども、特に、計数対象となる判断です、そこの部分の認識がきちんとしないと難しい。つまり、最後のところに書いてあるとおりで、長さと幅、幅の比ですか、そういったものの計数の約束というものがありますが、そこの本当にぎりぎりの付近、そういったものの繊維状粒子を顕微鏡で見ていただくというような形で、非常に難易度が高いものになっております。
     配付資料ですけど……

    【浅野委員長】 すみません、あと3分でお願いします。

    【米山(日本作業環境測定協会)】 建材のほうは二つ配っております。こういった形で粉体を袋に入れて配っております。計数のほうは、アスベストを発生させたフィルターに処理をして、スライドグラスを配っております。スライドグラスは、リロケータブルカバーグラスをつけて、その円の中の繊維の数をはかっていって、50視野を全部はかってくださいというようなことにしています。
     評価方法は、こちらにあるような、私どものほうで設置しています委員会で、実施方法ですとか評価内容を評価しております。評価方法ですとか標準値の決定方法、細かいのですけれども、出してきていただいた報告書に対して、こちらに書いてあるような網目をチェックして、これが正しく満足しているかどうかということをチェックしております。
     標準値の決定方法ですけども、これは、アスベストの分析で、非常に経験のある分析者、これは私どものほうで事前にトレーニングをさせていただいた人たちなんですけれども、そういった方々に実際に測定をしていただいて、それらのばらつきですとか、実際の結果を確認しまして、そこからこういった範囲の中で合格範囲というのを決めております。計数分析のほうも同様に、経験豊富な分析者9名の方に、配付した試料を全数検査していただいて、標準値を決定しております。
     資料のほうで、ちょっと見にくいのですけれども、これは、受けた方にイラストを描いていただきます。一つ一つの視野に対してどこに繊維があるというイラストを描いていただきます。それに対して、標準分析者がこれをチェックしまして、見落としていたものに対しては、ここにもあるよと書いていって、この紙を保存しておきます。これは、先ほどお話ししたレベルアップ講習のときに、間違えていたところを認識してもらうために、教育のために使うような形になっています。
     合格基準ですとかそういったものはここに書いてあるとおりで、こちらは計数分析です、やはり、標準分析者が分析したものに対して、あるばらつきが出てきます。その標準分析者のレベルそのままを合格範囲に与えてしまうとちょっと厳しいので、それを少し膨らませた形の範囲で合格基準にしておるというような形でございます。
     これは参考です。標準分析をしている方々の、2名のパートナーシップで標準分析をしていますけれども、各ランクの試料でどのぐらいの変動があるかというのが、これは参考でございます。
     すみません。表題が4回から6回となっていますけど、今まで、過去6回やっております。こういった形で各項目に参加者がいて、合格率が出ております。こちらは計数分析のほうでございます。
     こちらは石綿クロスチェック事業とランク取得者と分析機関数ということで、一番下のところが具体的な数ですけども、現在、187機関の方の中で、AからCのいずれかのランクをお持ちの分析者が所属していると。計数項目につきましては、208機関の中で344人のAからCのランク、いずれかのランクを取得している方が所属しているというような状況でございます。こういったランク認定者は、私どものホームページでお名前と所属先を出しておりますので、分析を頼むなどというときに私どもに問い合わせがあったりしますので、こういったものをご紹介して、選定をお願いしているところでございます。
     まとめ、最後ですけども、こういった形での認定制度を個人に付与しておりますが、これはあくまでも通過点で、現時点では分析者にランクを与えていますけれども、最終的には、ランクの問題ではなくて、正しくちゃんときちんとできるということが必要でございますので、石綿を分析するのに大変なAランク認定者になったということで、技術レベルが大分上がったというようなことが確認できれば、私どものほうでもいろんな方面から信頼を得るということも大事なんですけれども、米国で行われているような認証制度に移行して、そういったことが進められれば、石綿の分析の精度管理というものはもっと固まっていくのだろうなということで、私どもも、今、検討を進めているところでございます。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 米山さん、どうもありがとうございました。
     それでは、ご質問がございましたら、どうぞお出しください。いかがでございますか。ほかにいらっしゃいますか。それでは、外山委員、近藤委員、小林委員、この順番でお願いいたします。
     先ほど、神山委員から若干誤解された面があると思うので、ちょっと言い方を変えますが、JISが悪いということではなくて、ISO法が先月正式に発効したという、神山委員も賛成されて発効したという中で、日本の分析方法と国際標準とで違ってきているという問題が出てきているということです。それに関して協会としての対応ですとか考え方がおありでしたらお教えいただきたいということが1点目。
     ほかにあと二つあるのですけれども、建材の製品中のアスベストの分析に関してお聞きしたいのですが、私も貴協会の会員で、クロスチェックも参加させていただいているのですけれども、やられているのは定量の分析に当たると思うのです。問題は、間違いやすいものをどうやって見分けるかということで、定性の部分が非常に重要だと思っています。定性のほうを間違えてしまうと、直接曝露事故になってしまうということですので、定性の部分のクロスチェックというのは、今はやられていないのですが、やる予定があるのかということと、難しさもあるのかと思いますが、その辺りの今後の考え方というか予定というか、そういうものがあったらお教えいただきたいということ。
     気中濃度の計数の分析に関してですけれども、先ほどの豊口さんのお話では、豊口さんのところでは、一本一本の繊維に関して、あり、なしを確認しているということですが、貴協会のほうでは総数のみで確認しているということですので、その辺りは、個々の繊維の有無をきちんと確認していかないと正確なクロスチェックにはならないのかなというふうに考えているのですけれども、それも大変手間がかかって難しい部分もあるのかもしれませんが、その辺りのお考えなりご意見なりがありましたら、お聞かせいただきたいという、以上3点です。

    【浅野委員長】 近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 資料のスライド22に、Aランク、Bランク、Cランクと合格者数が書いてあります。合格率は必ずしも高くないと思いますが、一旦合格した人の技術力の維持といいますか、継続性といいますか、たまたま1回は合格したのだけれども、また二、三年たってやってみたら、また合格しなかったとか、その辺の変動とか、あるいは、技術力の持続性はどのように担保されるのでしょうか。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 2点ありまして、一つは、先ほどからやっている検定、そういうことによって登録された方のお名前が公表されているのですが、こういうものを発注者側にどうやってPRしていくかということが一番重要だと思うのですが、これについてどのような努力をされているのかということが一つです。
     それからもう1点は、問題の発注者なんですが、受注をされている側から見て、発注者というのは、解体とか工事をされる施主の方が多いのか、それとも、解体等を受注した、いわゆる解体業者のほうからの発注が多いのか、どちらなんでしょうか。

    【浅野委員長】 これは何についてというご質問ですか。

    【小林委員】 分析依頼です。その依頼をされる発注者がどちらなんですかということなんです。

    【浅野委員長】 最後の点は、ひょっとすると、お答えの範囲には別にしたほうがいいかもしれませんけど、とりあえず、まず、今までの委員からのご質問にお答えいただけますでしょうか。

    【米山(日本作業環境測定協会)】 それでは、まず、外山委員のご質問ですけれども、ISOとの関係につきましては、今日いただいた資料なんかも拝見しますと、今後、何らかのそういった調整があり得るということであれば、私どもがやっているクロスチェックの内容にもそういったことを反映する必要が当然あると思いますが、現状はJIS法に基づいたものということでやっておりますので、今後どうなるかということは、まだ私どものほうでははっきりしたものは決まっておりません。
     それと、X線のほうですけれども、クロスチェックです。これはちょっと私の認識が、説明不足と申しますか、これは、送られてきた試料に対して定性をやっております、やっていただいているはずです。つまり、粉体の中には、クリソタイルをまぜているものですとか、アモサイトをまぜているものとかと、種類を分けております。それを全くブラインドで送っていますので、まず、アスベストの中で、例えば、クリソタイルであるかアモサイトであるかというようなことを、X線なり定性をお願いして、それに対して定量分析の結果を出していただいているというような段階を踏んでおりますので、そのようになっていると思っています。
     それと、計数のほうですけれども、これも最終的に、総数が合っているかどうかということを判断基準にしております。最後のほうは私の時間配分が悪くて説明不足だったのですけども、お手元の資料です。スライドナンバーで言いますと14番なんですけども、配付した資料は、こういう計数の試料、番地がわかるようなリロケータブルのカバーグラスをかぶせた試料にしています。それで、各視野の中で何本あったのかとか、どういう形態のものがあったのかというのを、参加した方にはイラストで描いていただくようにして、回収させていただいているのです。それで、視野数の中でどういったものが自分は見えていて、例えば、レベルアップ講習なんかに来た場合はですけども、自分が見えていなかった、見落とした繊維なんかがここにこうあるでしょうというのを、実際に試料を使って見直すと、やっぱりありましたねとか、そういったことの教育をしております。
     それと、Cランクに関しましては、50視野にて最終的な総繊維の数が合っていたかどうかということを合格判定の中で用いているのですけども、Aランク、Bランクになりますと、50視野数えていただいた中で、総繊維が合っていればいいというわけではなくて、そういうことはなかなかないと思いますが、例えば、たまたまその試料が総繊維数が100本の試料だったと。全然めちゃくちゃな判定基準で、全然見えてない人が適当に計数したら、最後に100本になったということもあり得ないわけではないのです。ですから、そうなった場合に、それが同じランクでいいのかという問題がありますので、Aランク、Bランクにつきましては、リロケータブルの各50視野で25視野以上が標準分析値と一緒になって、各視野ごとに標準値というものを出していますので、25視野以上が合致して、なおかつ、総繊維数も合致したものがランク認定ですよというような形で、難易度も違いますし、その評価も厳しくしてやっているというような形でございます。
     それと、合格者の継続性についてですけれども、確かに、ご指摘のとおり、変な話、たまたま受かって、その間、例えば、B・Cランクですと2年間、Aランクだと3年間という認定期間を設けています。そういった悪い方向で見ますとそういうことになるのですけれども、一度技術レベルを担保していれば、例えば、これは人間の目で、特に、計数分析も人間の目で見るというような形ですので、それがどういうふうな形で担保されているかということは非常に重要だと思うのですが、少なくとも2年、3年ぐらいの間であれば、一般的な企業の状況と違うかもしれませんが、例えば、人事の配置とかで変わってしまって、ランクは取ったのだけれども、分析の業務をしなくなってしまった人がいつまでもAランクだと困るので、今のところは2年、3年ということで、またこの議論があって、ランクの認定の期間を短くするとか長くするとか、いろいろあると思うのですが、現状は、そういったことで、適当な時間としては、B・Cであれば2年、Aランクであれば3年間程度に切っておかないと、いつまでもAランクが続くとか、そういうことはあまりよくないだろうということで考えております。
     それと、発注者へのPRですが、これは、私どもは、一つは、今ご紹介したように、ホームページで掲載させていただいているということと、あとは、各種講習会です。分析の技術ですとか、情報を提供する講習については、特に、対象者が分析機関ですとか、そういった方々なので、あまり効果はないのですけれども、例えば、私どもから環境省に共催をお願いしまして、建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策に関係する講習会をやらせていただきましたが、そういったところで、各自治体の方々ですとか、あとは、工事業者の人ですとか、そういった方々を対象に、講習会で人集めをさせていただいております。そういった中で付加的にこういうお話もさせていただいていますので、多少なりともPRにはなっているかなと思っています。それ以外にも、何かたくさん考えなければいけないことはあると思うのですけども、現状はそういう状況です。
     それと、施主、発注者、その分析評価に関しましては、私どもも把握しておりません。申し訳ございません。

    【浅野委員長】 豊口さん、何か今のことで。

    【豊口(日本環境測定分析協会)】 発注者に関しまして、まず、建材の含有量分析については、実際に所有者の方が今使われているかどうかを確認するようなケースもございますので、直接の建物の所有者さんからのご依頼で分析があるケースもありますし、工事を請けた大もとの請けた方だったり、解体業者だったり、ばらばらです。気中の測定については、大体その建物の工事全体を請け負った方から、企業さんからいただくか、場合によっては一番末端の、実際に解体をされている事業者さんからいただいたりと、結構ばらばらの状況でございますので、一概にどこからもらうというふうなことは、ちょっと言いにくい状況ではございます。

    【小林委員】 すみません。両方の協会にお願いしたいのは、問題は、今後、アスベストの工事をチェックをするのに、施主側に重点を置きたいということが今問題になっているので、発注者が施主、受注を請けた工事業者、それから、実際にアスベストを除去する事業者、そういうところがどういう比率で発注されているのかを、できたら調べていただきたいのです。それによって今後の対策の仕方が変わってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

    【浅野委員長】 それでは、本橋委員、どうぞ。

    【本橋委員】 もし調べるのでしたら、その割合だけではなくて、発注の仕様書がどうなっていたかということ、そちらのほうが基本的に重要です。あと、入札がどんな条件だったかということもあるかもしれませんが、ぜひそれを……

    【浅野委員長】 わかりました。これは、今回の専門委員会の範囲内でどこまでできるかはわかりませんが、いずれにせよ、どこかでちゃんと仕様をそろえるという必要がありそうですから、事務局にも少し考えてもらうことにしましょう。
     それでは、どうもありがとうございました。
     では、続きまして、小坂 浩さんからご説明をいただきたいと思います。小坂さんは元兵庫県の研究センターのスタッフでいらっしゃった方です。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 ただいまご紹介にあずかりました小坂です。兵庫県の研究センターにいたときに携わっておりました解体現場でのアスベスト飛散監視調査について、結果についてと、それから、その調査において気づいた今後の課題ということについてお話をさせていただきたいと思います。
     兵庫県では、1995年の阪神大震災における復旧活動の際のアスベスト飛散が問題化しまして、1996年に、アスベストの吹付けのある建築物の解体改修について届け出をするという条例改正がありました。その条例改正に伴って、私のいましたセンターで、県管轄地域の工事での濃度測定を始めたわけです。当初は、当時ありましたアスベスト製品製造工場の敷地境界濃度というものがあったものですから、敷地境界で測定をしていたのですけれども、それでは実効性がないということで、アスベストの除去工事をやっている区域内から空気が出てくる集じん機の出口と、それから、作業者の出入り口、そこにおいて測定をするということを始めました。さらに、当初は、サンプリングをした後、センターへ持って帰って計数をしていたのですけれども、それでは工事が終わってしまうというふうなケースもありましたので、測定の実効性を高めるために、現場に顕微鏡を携行してオンサイト分析をするということを始めました。規制なんですけれども、県の規制はありませんので、当時あった敷地境界の10本/Lというものを目安として、それを超えた場合、行政担当者が工事の中止を指導するということにしていました。1997年には、兵庫県に1年遅れて大防法が改正されて、全国的に届け出の義務化があったわけです。
     これは県が管轄する地域、白い色の部分ですが、青いところは環境汚染防止法上の政令都市ということで、県が関与できない地域です。方法ですけれども、捕集方法は47ミリのフィルターということで、アスベストモニタリングマニュアルに準拠しました。捕集時間なんですが、これがちょっと重要で、長くやっていますと、飛散がある場合には外へどんどん漏えいしますから、できるだけ迅速に測定を行わなければならないということで、作業開始で30分間サンプリングをして、すぐに現場で試料を調製して、濃度を計数して結果を出すということをしていました。測定したのは、先ほど言ったように、集じん機出口とセキュリティーの出入り口です。判定基準なんですけれども、位相差顕微鏡を使いますから、形態しかわかりません。結果的には、アスベスト特有の形態で最終的に判定をするということにしていました。
     ただ、アスベストというのは、こういうふうに、これは電子顕微鏡写真ですけれども、繊維が束になって、単繊維が束になって飛散するのですが、これはクリソタイル、アモサイトですが、この構造的な特徴から、工学的特性を調べてアスベストと非アスベストを分別するという方法があるのですが、今、発表している調査では、全部形態判定によりました。
     アスベストというのは特徴的な形態をしておりまして、クリソタイル特有の曲率を持った繊維です。こちらにあるのはロックウールです。これが、実際に飛散した、アモサイトの位相差顕微鏡像です。これも非常に特有な形態をしていることがわかります。この薄いものも細いアスベスト繊維です。
     それで、1997年から2006年までの10年間の結果をここにまとめておりますが、今のお話ししているで結果に関しては、既に大気環境学会等で発表済みのものです。
     表を見ていただいてわかります特徴の一つは、クボタショックのある前は、年間この程度の届け出件数だったのですが、──届け出のあったところは全部調査に行っていますので。──クボタショック後、急増いたしまして、それが一つの大きな特徴です。ですから、私は個人的に、これ以前について、かなり無届けのそういう工事があったのではないかと推測しています。10本/Lという基準に対して、それを超えた件数ですが、2004年までは件数が少ないもので、まとめてありますけれども、全体の20%で、10本/Lを超える漏えいがありました。2005年、2006年については年度ごとにやっていますが、2005年については10%の漏えい、2006年については4%ということになっています。
     これからは具体的な漏えい事故の事例です。
     これは山間部の倉庫なんですけれども、周辺に民家ももちろんあるところです。ここでどういうことが起きたかといいますと、アスベスト吹付けに全く気づかずに解体工事を始めたところ、これは2004年の調査なんですけれども、2004年の秋というのは台風が11月ごろまで来た年でして、台風が来たので工事を一旦中止して、台風が過ぎ去った後、現場へ行くと、天井板がはがれて、そこからクロシドライトの吹付けが露出していたということで、工事業者が慌てて届け出を出して、私たちが調査をしたということです。これは5,000平方メートルというクロシドライトの吹付けなんですけれども、非常に広いので、区画を区切ってやっていました。この向こう側に集じん機があるのですが、ここでは、集じん機の出口で、リッター当たり160本を超える飛散がありまして、それが全部外へ出てしまいました。建屋の屋外、外側でも測定したのですが、外でも12本/Lが検出されました。
     これはある工場の解体工事なんですが、この建物の天井、鉄骨のはりにクリソタイルが吹き付けてあるということで、それの除去工事が行われていました。これが除去工事の現場です。ところが、工事が始まって測定しますと、アモサイトが検出されました。それは9月12日のことなんですが、この室内で130本/Lという高濃度のアモサイトが検出されました。工事はすぐ中止されて、再開するに当たって、工事の現場監督の方がもう一度測定してみてくださいと言うので、私が行って、この中で測定すると、やはりまだ90本/Lという濃度が残っていました。さらに、8日後に行ったところ、それでもまだ17本/Lということで、なかなかアスベストというのは沈着しないということなんですけれども、結果的には、この工事現場は2カ月間閉鎖されて、その間に室内空気の浄化作業が行われて、11月に解体が済みました。
     これがこの現場で検出したアモサイトです。形態で判定していますので、それがアスベストであることを確認する必要があるのですが、それは偏光顕微鏡なり、あるいは、電子顕微鏡を私たちは持っていませんでしたが、他の自治体の機関にお願いしたりして、確認分析についてはできる限り努めていました。この現場から出てきたこの繊維はアモサイトであるということが確認できました。室内に飛散したものですから、この工事の場合は、こういう大型の集じん機を設置しまして、これはブロアーです、これはHEPAフィルターです。こういうものを6台設置して、1週間それを動かし続けて室内を浄化して、私どものほうからアスベストがないことを確認した上で解体工事が行われました。
     これは文化ホールなんですけれども、こういうところにアスベストを飛散させると取り返しがつかないということで、非常に気をつけるべきことなんですが、この天井裏でクリソタイルの除去工事がありまして、その集じん機で排気する場所がああいう建物にないのです。舞台のそでのほうへダクトで排気をしていたのですけれども、そこでクリソタイルが──これもこれもこれもクリソタイルです。──検出されて、それは5本程度だったのですが、残念ながら、そういう飛散があったという事例です。
     次に、吹付けアスベストの届け出の種類ですけれども、1997年から2004年までの間は、このような比率でクリソタイルが半分強、残りがアモサイト、クロシドライトということだったのですが、2005年、2006年についてはクリソタイルがおよそ70%、角閃石系アスベストの除去工事が30%ですか、その程度でした。
     この次が問題なんですけれども、ところが、飛散するアスベストの種類といいますと、このように、アモサイトが非常に多かったのです。この原因は、結局、私は今でもわかっていませんが、ほかの自治体の方々とよくお話をしていたのですが、やはり、ほかの自治体の方々の調査でもアモサイトが多いということを言っておられましたので、我々のところだけの特徴ではないというふうに考えています。
     10本/L以上の飛散の率というのは、先ほどお話ししましたが、実際にはそれ以下の飛散もあるわけで、集じん機の出口とセキュリティーの出口での実測値の濃度別頻度をグラフにしますと、集じん機出口では1本/L以上の飛散のあった、1本/L以上を検出した例が全体の48%でした。セキュリティー出入り口ではさらに増えまして、全体の約60%で1本/L以上の飛散があったということがわかりました。
     まとめですけれども、2005年に検出が急増したと。我々の調査に行ったところは、先ほども言いましたように兵庫県の一部ですから、都市部は全部政令都市になっていますので、省かれています。ですから、調査したのは全体の20~35%ということです。漏えい件数は先ほど言ったとおりで、原因は集じん機の整備不良です。それから、負圧不足によるセキュリティーからの漏えい、あるいは、作業者の不用意な出入りによる漏えい等があったというふうに考えています。
     次ですが、除去を終了した後、除去区域には残留アスベストがあるわけです。それを完全にきれいにした上で養生を撤去する必要があるのですけれども、現状では、そういうこととされている規制もありませんので、されていないというふうに私は考えています。たまたま公的な建物で、これは、機械室のあった、クロシドライトの吹付け除去工事の後、養生撤去前に、その室内の濃度測定をさせてもらう機会がありまして、調査をしたわけです。そうすると、やはりクロシドライトが、これはそのときに出てきたものですけれども、検出されまして、このときは、養生撤去前は7本/L程度のものがありました。残念ながら、それに関しては行政側も何も言えないので、そのまま養生が撤去されて、それは建物の中に飛散した可能性もあるわけです。
     ですから、私としては、これは一つの課題ということですけれども、除去後の室内濃度測定は義務化すべきであるというふうに考えています。海外ではそれが実施されておりまして、測定の方法も徹底しています。この写真のように、ブロアーでわざとほこりを立てて、取り残しアスベストとか、あるいは、室内に沈着したアスベスト、それらをほこりを立てて濃度を測定するという、攻撃的なサンプリングというか、アグレッシブ・サンプリングと呼んでいますが、そういう方法でやっています。ですから、日本でやる場合にも、ぜひそういう方法を参考にしていただきたいと思います。
     次に、二つ目の課題は測定データの精度管理です。これは、先ほども話がありましたけれども、測定データ、位相差顕微鏡法というのは非常に精度が悪い方法というふうに、WHOの測定法にも書かれています。WHOの方法では、位相差法は包括的な精度管理が行われている場合に限り信頼できるというふうに書いてありまして、精度管理がぜひとも必要だというふうに私は考えています。ところが、海外では、1970年ぐらいからやっているのですが、この精度管理に大変苦労していることが、文献をチェックしますとわかります。その問題点は、各分析者が同じスライドを見るにしても、同じ視野を計数できないことが一つ。つまり、基準値が決められないということがあるわけです。もう一つは、決められませんから、出てきたデータ、計数値の中央値を基準にしたりというふうなことをしているわけです。
     それと、もう一つ、報告者が計数した繊維数の総数を報告するのですが、それでは正しい計数技能の評価ができないということになります。それを説明しますと、例えば、これが計数する視野であったとします。正確には、この黒い2本の繊維がこの視野にあったと……

    【浅野委員長】 すみません、15分をもう過ぎておりますので、ちょっと後は簡潔にお願いいたします。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 わかりました。ところが、計数している人は、この2本を見落として、こちらで2本あったというふうにする場合もあるわけです。そうすると、報告値は2本ですから、この視野が正しかったということになるのですけれども、実際は見落としと数え過ぎで、4本の間違いがあるということになるわけです。そういうことをチェックする方法として、こういうリロケータブル・スライドというものが海外で開発されまして、日本環境測定分析協会では3年前からこの方法を使って、計数技能向上プログラムというものをやっています。
     その効果ということですが、1回目の分析が終わると、結果と同時に、正解値とスライドをもう一度分析者に返します。そして、自分の間違ったところを見直してくださいということで、1視野ごと、1繊維ごとに見てもらうわけです。そうすると、2回目の試験では、この低い点数の人が減って、高い点数の人が増えているという効果も表れています。これは2009年の1回目ですけれども、2011年、昨年度も同じような結果が表れています。計数技能の向上には、こういう方法が必要であろうというふうに考えています。
     以上です。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ご質問がございましたら、どうぞお出しください。ほかにいらっしゃいませんか。それでは、外山委員、神山委員、大塚委員、そして、最後に本橋委員、この順番だと思いますが、ご質問をお願いいたします。

    【外山委員】 二つお願いしたいと思います。
     迅速な測定で、作業場、アスベストの除去の現場の監視をされたという趣旨だと思うのですけれども、位相差顕微鏡法で分析をされていますが、この委員会ではリアルタイムモニターという方法も検討に挙がっているのですけれども、位相差顕微鏡とリアルタイムモニターの関係といいますか、リアルタイムモニターでも、瞬時にわかるという利点があるということもあるので、検討されているのですが、その辺りのお考えというか、リアルタイムモニターが実際に使われるのかどうかという辺りのお考えがどうかということが1点目です。
     それから、ちょっとごめんなさい、先ほどの質問とも関連するのですが、皆さん、後ろのほうまでのプレゼンが十分にできなくて、説明をしていただきたいのですけれども、精度管理です。気中濃度測定の精度管理に関して、35枚目のスライドで、このやり方ですと、1本1本の繊維を確認しているということで理解していいのかということと、あと、先ほど米山さんに質問したのは、日測協ではここまではやられていなくて、視野ごとの本数を数えているという違いがあるというふうに理解をしていいのかということです。つまり、こちらのほうは、数え過ぎと見落としがあると、プラスマイナスゼロになってしまうのではなくて、マイナス2になるという考え方でやられていると思うのです。その辺りの違いを理解できるようにご説明いただきたいというのが2点目です。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     それでは、神山委員。

    【神山委員】 私の質問は、今の精度管理のところで、内容は、日測協でやられているものも、日本環境測定分析協会でやられているものも、全く同じだろうと。多分、今の数え過ぎとか数え落としというのは、視野ごとにやっていますから、全く同じでやられているという解釈をしているのですが、3年ぐらい前ですか、どのくらいの受講者がいて、合格基準はどのように設定して、合格者は何人ぐらい出ているかという、そういうデータがもしあれば、教えていただきたいです。

    【浅野委員長】 これは質問の相手が違いますか。今のは小坂さんに対するご質問ですか。

    【神山委員】 36枚目のスライドでプログラムというのは、日本環境測定分析協会の繊維計数技能向上プログラムというページがありまして、これは2009年からやられているということなので、もしわかっていたら、データをお願いします、大ざっぱで結構です。

    【浅野委員長】 わかりました。米山さんにお答えいただきます。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 スライドの30の除去後の室内濃度の測定というのは、おっしゃっていただいたように、とても重要だと思いましたが、これは、海外というのは欧米で全部やっているのかとか、あと、誰がやるかですけど、行政がやるのか、あるいは、第三者機関とか分析機関の方がやるのか、その辺を教えていただければありがたいと思います。

    【浅野委員長】 本橋委員、どうぞ。

    【本橋委員】 工事のところなんですけれど、幾つというか、一つだけ。スライド10、それから11、12なんですが、大気中にクロシドライトが飛散されたということになっていますが、特殊な例だと思うのですけど、確認ですが、私の認識に間違いがなければ、最初は気づかずに、鉄板屋根の裏側に吹付けアスベストがあったことが途中でわかったと。わかった後は労基に届けて、施工計画書を出して、そのとおりにやって、中は負圧に管理して、湿潤で除去して、労働安全もとって、それをちゃんとやった上で、これだけ集じん排気口からまた出て、建物、外気にも出たというふうなことをご説明なさっているわけですか。ちゃんとした工事なのかどうかということをちょっと知りたいです。

    【浅野委員長】 わかりました。
     それでは、ただいまのご質問に、お答えいただける範囲でお答えください。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 最初の質問のリアルタイムモニターについてですけれども、実は、私は、1985年の大気モニタリングが始まって以来、アスベスト測定に関わっているのですが、当時は環境庁ですが、1991年にリアルタイムモニターを導入するということを考えられたことがありまして、それの実地のアスベスト製品製造工場でリアルタイムモニターという位相差顕微鏡法の比較試験というものに私も参加をいたしました。それは3年間続いたのですけれども。私は、その当時、リアルタイムモニター、自動測定器があれば、面倒な顕微鏡観察なんかはしなくて済むのでいいなというふうに考えていて、今もそうは思っているのですが、そのときの試験では位相差顕微鏡法とリアルタイムモニターの相関が全くなかったので、当時の環境庁は導入を断念されました。私は賢明な判断だったと思っております。
     それでは、現在はどうなったのかということなんですけれども、リアルタイムモニターが実際に使われれば楽になっていいなということは今でも思っていますが、当時から、原理等についていろいろ勉強もさせてもらって、現在考えていることは、今現在、日本で市販されているリアルタイムモニターは原理が二つあるのですけれども、どちらについても、実際の実証試験がやはり不足していると。その原理が原理どおり機能しているかどうかということも含めて、やはり、そういう実証試験が不足しているというのが私の感想です。
     それでは、この実証試験がどうしてできるのかということになるのですけれども、光散乱粒子径というのは非常に精度のいいものがありまして、それは、例えば、ポリスチレンラテックスの単分散の0.3ミクロンの粒子とか、そういうものがありますから、それを基準にやりますと、精度はかなり評価できます。ところが、アスベストに関しては、そういうものがつくれないわけです。ですから、実証試験をする場合に、それ自体も大変難しいものになると私は考えておりまして、どのように実証試験で精度を確認したらいいのかということは、私自身、今、わかりません。ただ、実証試験が欠けているということについてはそう感じておりますので、導入するとしたら、そういう実証試験を確実にした後にされなければならないというふうに考えています。
     次に、精度管理の件のご質問ですけれども、日環協でやっています精度管理については、参加者が報告したチャートがありますが、それの1本1本の繊維について、基準と合っているかどうかということを全部参照します。ですから、おっしゃったように、1本1本の繊維についての分析者の判別能力を判定しています。
     次に、合格者云々というご質問でしたけれども、日環協でやっていますこのプログラムは、文字どおり技能向上プログラムでして、合格・不合格ということを目標にしているものではありませんので、合格とか、そういうものはありません。しかし、我々がやっているのと同じ方法が既に現在、アメリカ、イギリス、カナダ、イタリア、スペイン等でこういう精度管理試験が試行され始めているということなんですけれども、そのときにはスコアというのを出すのですが、見落とし、数え過ぎ、その二つの足したものを誤差としてスコアを出すのですけれども、スコアが60点以上の人を一応proficient、熟練者というふうにするということの基準を海外ではつくっていますので、もしその評価をするとしたら、そういうことになるのかなと、国際的な評価基準というものを採用したらいいのかなというふうに思っています。
     除去後の測定は誰がするのかということですけれども、海外では民間の分析会社がやっていると思います。ただ、海外の場合、罰則がきついものですから、いいかげんな測定はできないということと、いいかげんなことをやっておれば非常にきつい罰則を受けますので、例えば、アメリカなんかの場合、飛散させると懲役10カ月とかいう記事もを私は見たことがありますし、そういう罰則がありますので、分析会社もいいかげんなことはできないということになっているだろうと思います。

    【浅野委員長】 多分、ご質問の趣旨は、「誰がやるかという」ご質問は、発注をするとという、そういう意味ですね。誰が実際にその分析をするかという質問ではなくて、除去後の測定というのは、誰がその測定の主体として責任を負わなければいけないのだろうかという質問だったと思うのですが。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 それは、発注者、あるいは、そこはちょっと私はわかりませんけれども、その工事業者か、それはわかりませんが。

    【大塚委員】 リアルタイム分析をされたところと、除去後の分析をされるところは同じですか、あるいは、別ですか。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 海外の場合ですか。

    【大塚委員】 ええ、海外です。最初のリアルタイム分析をされたところと、除去後の分析をされるところは同じですか。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 多分、それは一緒ではないかと思いますが、そこまでは詳しくわかりません。

    【浅野委員長】 では、最後のご質問についてご回答をお願いいたします。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 最後の質問ですけれども、実は、ちょっと私は間違っているかもしれないのですが、今話しました倉庫のクロシドライト飛散ですが、あれは2004年の工事だったのです。今おっしゃった、その当時、もう既に、やっぱり労基に報告しなければいけなかったのでしょうか。石綿障害予防規則ができた後、報告義務ができたのではなかったでしょうか。だとすれば、これは労基等には報告していません。ただ、我々が調査に行ったのは、県条例があったために、県に対して届け出があったので行ったのだというふうに私は理解していますが、私が間違っているかもわかりません。

    【本橋委員】 報告は必要だったと思います。その前にも、建築センターからアスベスト飛散防止の技術指針が出ています。それを参考にすれば、届け出はしたと思いますし、指針に従った工事を行えば、このようなことにはならないと思います。例えば、スライド12を見ればわかるのですが、これは大空間ですよね。これは大空間の中を養生してやっているのだと思うのですけれど、この空間の負圧を担保しようと思ったら、負圧除じんというか、集じん排気装置は多数必要ですし、リッター当たり163本というのはすごい数字で、養生の外でもマスクをつけていなくてはいけないぐらいで、私は驚いているのですが、これが何でこうなったかというのは、多分、工事がずさんだったからだと思うのですけれど、それがどういう理由か。これだと、届け出て、届け出にある施工計画が認められているなら、その施工計画通りに実施していないということになります。原因ががよくわからない。アスベスト濃度は出ているのはわかったのですけれど、私は建築技術者ですから、本当にこれが今まで出されている技術指針に従って、労働基準監督署で施工計画が認可された工事なのかどうかということを知りたい。

    【小坂(元兵庫県立健康環境科学研究センター)】 一応、外観というのですか、非常に広い面積がありましたので、細かく分けて養生区域をつくっていたのですけれども、高さが非常に高いですから、先ほどの写真をご覧になってもわかりますが、リフトみたいなものを持っていって除去しているわけです。こういうことをやっていました。飛散したのは集じん機から出たところがメーンだと思うのですが、これは集じん機の整備不良だというふうに私は考えています。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     それでは、どうもありがとうございました。
     では、あと、2団体からお願いをしておりますが、建築物の解体現場における現状と課題についてということでございまして、まずは、社団法人全国解体工事業団体連合会の出野政雄さんにお願いいたします。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 ただいまご紹介を賜りました全国解体工事業団体連合会の出野と申します。お手元の資料とパワーポイントを使いながら、今日はこういう内容でちょっとお話をさせていただきたいと思います。
     まずは、日本の解体業界というのはどんな業界かと、ご存じでない方が多いというふうに聞いておりますので、そこら辺りの総論を少し話させていただいて、その後、各論として、石綿関係で解体業界がどういう状況にあるのかということについてお話をさせていただきたいと思います。
     これは飛ばしてもいいようなところなんですけれども、日本の建設業界の建設投資額、平成3年、4年当時は84兆円ぐらいに対して、今現在は約40兆円、震災の復興特需ということで、二、三兆円、今現在は少し増えておるという状況なんですが。その中で、解体業界がどのくらい、この建設業界の地位といいますか、位置を占めておるのかと、そういう話でございます。
     これは除却統計といいまして、建築基準法の15条というところに、10平米以上の解体は事前に届け出が必要と、こういう規定があります。そのデータなんですけれども、平成2年から20年、若干減っております。もちろん、バブルのときには結構仕事が多かったのですけれども、その後、ずっと仕事が減りました。現状は少し下げ止まった状況と、こういう傾向です。ただ、これは傾向だけということで、相対的な話で、絶対量は全然──全然と言ったら語弊がありますけれども、──当てにならないということを、ちょっと頭の片隅に置いていただきたいと思います。要するに、解体業者、あるいは、建設業者に聞きますと、この届け出率はどのくらいか、もちろんはっきりわかりませんが、私の想像では、恐らく半分ぐらいではなかろうかと。もうちょっとあってもいいでしょうけど、そんな感じがしております。ですから、実際には、この倍近い仕事量があるのではなかろうかと、これは想像の範囲で申し訳ないのですけど、そういう感じがしております。
     次にこれは住宅の戸数、それから、空き家率。住宅のストックはずっとたまり続けております。これがいずれ解体に回ると。寿命は大体、木造で約30年、RC棟造で約40年と言われております。もちろん、家を100軒建てて、そのうちの50%、半分を解体する、これを寿命と言っているわけですけども。もう一つは、空き家率がどんどん上がっておると。もちろん、少子高齢化という問題もあるのでしょうけど。この空き家もいずれ解体に回るであろうと、こういう状況です。
     建設の仕事量全体はずっと減っておりますけども、その中の割合として、維持修繕工事、リニューアル工事はどんどん増えておると。絶対量はそんなに増えておりませんけども、割合としてはどんどん増えておると、こういう状況です。
     そういう中にあって、解体工事の市況、業界がどういう状況にあるのかといえば、こういう状況です。(1)、(2)、(3)と分けておきましたけども、解体工事の単価の現状、これは皆さん方のご想像どおりです。今現在、非常に安くなっております。全部説明する時間はとてもないので、少し飛ばしますけども、最終的に、[8]、木造、非木造ともに平米単価で大体1万円前後。全国的に見ても、ざっくりしたところ、そういう状況になっております。昔で言う坪単価で3万円から4万円と、こういう状況です。
     これは、建設リサイクル法ができた当時には分別解体、再資源化の義務づけということで、結構値段が上がった、単価が上がったと、そういう状況がありましたけども、今日現在、10年たちまして、元へ戻っておると。むしろその前よりも安くなったのではなかろうかと、そういう状況になっております。
     それから、(2)は市場規模ですけども、これは正式な統計はありません。理由は、解体工事業という業種がないものですから、国にも統計がないと。推測するしかないと、こういう状況なんですけども。そのうちの一つが、先ほどありました除却統計、ここから推測をしますと、大体2,500万平米ぐらいが毎年解体されておると。それに平米単価1万円を掛け算すると、単純に2,500億円程度と。実際には、届け出率を考えると倍近いであろうということを考えると、大体5,000億円程度の市場であると言えます。バブルの当時は大体1兆円ぐらいではなかろうかという話をしておりました。大手のスーパーゼネコンの売り上げが1兆円を超していますから、それに比べれば、かなり小さい市場と、こういう業界でございます。
     (3)で、今後の予測ということでは、先ほどからデータがありましたように、住宅のストックが多いとか、あるいは、更新期に入っているとか、そういう理由がたくさんありますので、今後、解体工事としては、[4]にありますように、今後10年から20年、これは私の当てずっぽうな数値です、20年か30年かはわかりませんけど、要するに、近い将来とか近いうちには、解体工事はそんなには減らないであろうと。そんなに増えるとは申し上げられませんが、そんなに減ることはないであろうと、そういう状況にあるということでございます。
     そういう解体工事を施工している業者、これはどういう業者かという話なんですけれども、これは、大きく分けまして、法律上2種類ございます。建設業の許可で解体工事を営業する業者と、建設リサイクル法の登録で営業する業者と、2種類ございます。どこで分けているかといいますと、建設業の許可というのは500万円というすそ切りがあります。500万円未満は許可が不要と。その許可が不要な業者について、建設リサイクル法で登録制度をつくったと、そういう2階建ての構造になっております。ところが、法律上は、建設業の許可で解体工事を営業する業者、これは建設業者といいます。解体業者といいません。建設リサイクル法の登録で解体を営業している業者、これを解体工事業者というと。ということで、一般国民の意識からはかなりずれています。皆さん方が解体業者、解体業者とおっしゃっている業者は、法律上は恐らくほとんどが建設業者だと思います。そこら辺りの誤解がないように、よろしくお願いしたいと思います。
     (3)では解体業者の内実ということで、ちょっとお恥ずかしい話ですけども、ほとんどが中小、特に、零細業者が多いと。私どものアンケート等では、1社平均、従業員が10人かそこらだと、そういう感じです。ですから、そういう業者にどのくらいの強制力をもって適正な仕事をさせるかは、結構大きな問題・課題だと思います。
     二つ目です。地方ほど兼業者が多いです。解体工事だけで飯を食う、これはなかなか大変なことなんです。ですから、地方に行くほどそれは多いのですけども、都市部、東京・大阪辺りは専業者がもちろん多いです。ただ、我々の推測では、専業者は大体五、六%、大めに見て1割で、ほとんどは兼業者です。ですから、一般の土木、建築、あるいは、産廃の処理業をしながら解体もやると、こういう業者です。ですから、解体に特化していませんので、解体についての認識、適正な解体工事をやるとか、そういう動機づけとか、そこら辺りにちょっと問題があると、そういうふうに認識しております。
     それから、三つ目です。高層ビルの解体が最近増えております。都内でもたくさんやっております。ところが、ああいう高層ビルの解体というのは、ほとんどゼネコンの独壇場です。一般の解体業者は手が出せません。技術的なレベルの問題があると思いますけれども。そういう高層ビルみたいな高度な解体工事、これはスーパーゼネコンさん、大手のゼネコンさんがやっておると、こういう認識をお持ちいただきたいと思います。ということは、大手のスーパーゼネコンもある意味建設業者であって、なおかつ、解体工事を営業する会社である、解体業者でもあると、そういうことをご認識いただきたいと思います。
     それ以外の一般的な解体工事は、従来の解体業者と新規参入業者がやっております。それほど難しくない解体工事です。ただ、建設業は仕事量が減っておりますので、一般の土木建築業者が解体のほうへ新規参入をすると、そういう状況がございます。そういう業者が入り乱れて仕事をしています。まぐさ場状態、草刈り場状態という状況でございます。ですから、そういうことから想像するとどういう状況が発生するかは、皆さん方のご想像にお任せします。
     その下は、低価格発注。過当競争になりますと、どんどん発注価格が下がります。そういう低価格発注によりゼネコンの名義人制度も崩壊しています。昔は、大手ゼネコンにはこういう解体業者と、大体決まっておったわけです。そういう信頼関係でずっとつながっておったわけです。ですから、そういう信頼関係が生きているときは、変な施工はしないとこういうことがあったのですけども、現状はそういうシステムが崩れておると。大手のゼネコンさん辺りでも、生きるか死ぬかというような状況がございました。今でもそれに近いのでしょうけども。そうしますと、下請は安ければ安いほどいいと、そういう状況になりますので、昔の仁義はなくなってしまうと。安ければいいということで、てんでどこの業者かわからないような下請業者も使ってしまうと。そういう業者にきちんと施工させることができるかどうか、管理ができるかどうかと、そういう問題も現在抱えておるということです。
     下から三つ目は重層下請構造、解体工事はその末端です。どのくらい重層か。この間、靖国神社の付属施設の解体工事の例がありましたけれども、7次下請ぐらいの業者が実際に施工しております。上のほうに6社ぐらい入っているわけです。一番上の会社が元請さんで、どのくらいの金額で仕事をとったかわかりませんけども、末端の解体業者は、これも私の想像の範囲で申し訳ないですが、恐らく3割、4割、下手すれば、もっと低い金額で実際の施工をしておると、そういう状況です。ですから、そういう業者に適正な施工を強制する、かなり難しい面もあるかと、そういう問題も抱えております。
     あと、下から二つ目は、単価下落による経営状況の悪化です。過当競争をして自分の首を絞めて、結局は自分の会社をつぶしてしまうと、そういう業者が最近散見というよりかは、かなり増えております。ほとんど毎月というぐらいに我々の会員の業者も倒産をしておると、そういう状況です。
     最後に、不良不適格業者。解体業界は、皆さん方もご承知のとおり、不良不適格業者が結構いるということで、そういう業者が市場を荒らすといいますか、業界のレベルを落としておるということもありますので、ここら辺りも大きな問題として我々は抱えておるということでございます。
     では、解体業者が全国にどのくらいいるのか。今まで申し上げましたように、正確にはわかりません。わかりませんけど、NTTの電話帳で調べますと、大体1万2,000社から1万3,000社です。建設業の許可業者というのは、ピーク時は60万社、現在は50万社を切っております。どんどん業者は減っていますけども、解体業界に限っては、むしろ増えています。何を表しているのか。これは、解体業界は仕事がありそうだと、そういうことで新規参入をされる方が増えておると、こういうことかと思います。その中にあって、私どもは全解工連と申しますけども、こういう連合会をつくって、全国的な活動をしております。この辺りは省略をさせていただきます。
     メインの事業は、上から二つ目ですかね。解体工事施工技士という資格制度を20年前につくりまして、何とか解体業界のレベルを上げたいということで、20年間努力をしております。現在、1万6,000名ほどこういう資格者を抱えております。この資格者をぜひ解体工事の現場に配置していただきたいと、こういうお願いを20年前からずっとやっております。国土交通省も、そのうちそのうちと、近いうちにと、近い将来にと、そういう話をいただいておりますけども、今日現在まで、まだ実現はしておりません。少しずつ各自治体にもご理解をいただいて、こういう解体現場にはこの資格者を置きましょうと、そうすれば、結構勉強している技術者ですから、信頼ができるということで、結構話は進んでおりますけども、まだまだ全国一律というところまでいっていません。そういう状況でございます。
     ということで、我々はこういう課題を抱えながら現在やっていますが、その中の一つに、石綿含有建材、アスベスト問題があります。ただ、逆に言いますと、我々の課題はアスベストだけではないと。それ以外の課題もごまんと抱えておると。その中の一つにすぎないと。悪い言葉で言うとそういうことです。ですから、意識としてはそれほど高くはないと。皆さん方には失礼な話かもしれませんけども、そういうふうに感じております。
     解体工事をやるためにはどういう法令、どういう法律を守らなければいけないのか、周辺の法律はたくさんあります。もちろん、建設業法とか労働基準法とか、そういう基本的な法律は除いて、各論的にはこういう法律により、解体業者には規制がかかるわけです。解体業者がこういう法律を全部理解してやっておるのかと。私が言うのも申し訳ないのですけれども、恐らく、大部分の解体業者は、我々の連合会の組織率は1割しかございません。ですから、残り9割は、私がアウトローと言ったら怒られますけれども、9割は我々の組織ではない方。我々のメンバーは全国の解体業者の1割にすぎない。では、その残りの9割の方はこういう法律をきちんと勉強して現場に入っておるのかと。それは調べようもありませんけども、非常にあやしいところがあると、こういう状況です。
     この中で、石綿に関係があるのは安衛法、それから、石綿障害予防規則です。それから、建設リサイクル法、廃棄物処理法、最後に書いて恐縮ですけど、大気汚染防止法と、こういう法律に基づいて石綿の処理をやっておると、こういうことでございます。
     ここからは各論に入りますけども、石綿含有建材の除去作業について、こういう法令を解体業者がどのぐらい今まで守ってきたかと。現状はどうなっておるのかと。はっきりしたことはもちろんわかりませんけども、私も20年この業界におりますが、私なんかが全国を回って、業者の話を聞いて、それをまとめたらこういう感じだと、そういう報告でございます。安衛法に関してはこういう状況です。あと5分しかないので申し訳ないですけども。ということで、後で時間が少しありますので、もし質問がある方は、また後ほど質問していただきたいと思います。要するに、安衛法が昭和46年からあります。その中に石綿も入っていました。解体業者がそれをどのくらい認識しておったか。ほとんど認識していなかったというのが結論です。
     それから、2番目は石綿障害予防規則、平成17年に特化則から独立して、分かれてできました。その当時は、クボタ事件に代表されますように、非常に報道が盛んで、これは一般国民も注目をして、解体業者も、これはまずいぞと、そういう雰囲気ができました。できましたけども、末端の業者に周知が不十分と書いておきましたが、末端の零細業者まで、では、具体的に我々は何をやればいいのかというところまでの周知、啓発、普及ができたかどうかは、非常に疑問があると思っております。
     [2]、また皆さん方の耳を汚す話で申し訳ないのですけども、今日現在、どうなっておるのかと。私の認識では、かなり熱気が冷めてきたと。石綿か、17年当時は相当騒いだけど、あまり大したことはないのかなと。摘発もないし、とっ捕まったやつもあまりいないしと。そういうことで、かなり関心が薄れてきた、そういう状況にあると感じております。
     それから、[3]は行政による指導や摘発。今も申し上げましたけども、ゼロとは言いませんが、非常に少ないということで、業者の危機感が徐々に緩んできておると、そういう状況です。
     特に[4]、成形板、続に言うレベル3です。こういう成形板についての規制、これは、皆さん方ご承知のとおり、規制が非常に緩い。かなり軽視する傾向があると。大したことはないやと、こういう傾向にあるという感じがしております。
     それから、最後の(3)は建設リサイクル法です。建設リサイクル法も、これは、特定建設資材といって、リサイクルが目的、立法趣旨の法律です。ですから、石綿をどうこうしようということは内容に入っておりません。メインの特定建設資材に石綿がくっついている場合にはそれをどけろ、除去しなさいと、そういう規定が少しあるだけで、石綿対策にはほとんどなっていません。

    【浅野委員長】 すみません、時間が大分過ぎています。16枚目か17枚目に飛んでいただけませんか。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 失礼しました。
    あと、廃棄物処理法、それから、大気汚染防止法、特に大気汚染防止法はもう少しお話をしたいところではありますけど、ここに書いてあるような状況だということです。
     大気汚染防止法の解体業者に対する規制内容は、釈迦に説法ですから、省略をいたします。
     最後に、意見としまして、我々のメンバーは約1,500社いますけれども、我々は優良業者と自負しておりますので、基本的なスタンスとしては、合理的な範囲内で規制を強化していただきたい、不良不適格業者を排除していただきたいと、これが我々の基本的なスタンスでございます。ですから、どんどん合理的な範囲で規制を強化。強化をするだけではなくて、どんどん摘発をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
     ちょっと時間がないのであとは省略をしますけど、お手元の資料をご覧いただいて、質問があれば、質問をしていただきたいと思います。
     お話ししたい内容は結構あるのですけれども、最後に、(6)辺り、最後だけちょっとお話をさせていただきたいと思います。業規制、それから、第三者の管理、除去完了検査、罰則の強化、これはその他の部分に入るかもしれませんけども、業規制はやっていただきたいと。解体工事業という業種すらないと。石綿除去工事業なんという業もないと。吹付石綿の除去を誰がやっているのかはよくわからないというのが現実です。もちろん、一般の建設業者もやるでしょう。それから、普通の建築業者以外に、塗装屋さんもやっています。下手すれば、造園屋さんでもやると。誰がやっても、法令上はあまり問題がない。作業主任者と特別教育、そして、廃棄物処理の特管物管理責任者がいれば、そのくらいで誰でも仕事ができると、こういう状況です。ということで、そこら辺りをもうちょっと厳しくしていただきたいと思います。あと、優良業者認定制度、この辺りも活用して、優良業者を伸ばす、不良不適格業者を排除する、そういう方針でぜひお考えいただきたいと思います。
     [2]、第三者による事前調査が理想的だと思います。解体業者が自分で事前調査をして、石綿はありませんでしたと、これは信用できるのかと、そういう問題がありますので、理想的にはそうですけども、現実的にはかなり難しいであろうとは思います。これは建設業界の元請、下請制度、これがある以上、それ以外の理由もありますけども、かなり難しいと。今、CM方式とか、あるいは、解体確認制度、これはまだできていませんけども、こういうものができればもう少し進むのではなかろうかと思います。
     要するに、新築の場合には築確認制度というものがあります。非常に厳しいです。建築基準法に合っているかどうかの審査があります。ところが、解体するときには何もないのです。これは、解体するときにちゃんと事前措置をしたかどうか、そういう公的な確認が全くない、そのまま行われているというのが現状です。ですから、玄関はしっかりつくるけども、トイレはどうでもいいよと、そういう思想が日本人にはある、まだ残っておると。そこら辺りの認識を変えないと、いつまでたってもよくならないと、こういう話でございます。
     あと、[3]で完成検査、これも先ほど話題がありましたけども、解体工事が終わった後の完成検査、石綿除去が終わった後の完成検査、これも理想的だと思います。ただ、これは、行政事務量の費用対効果を考えたら、あまり現実的ではないというふうに考えております。
     できたら、建設リサイクル法から廃棄物処理法、石綿則も含めて、ここら辺りを統合して新しい制度をつくっていただきたいと思います。法律がばらばら、多岐にわたっているということで、末端の解体業者は何を勉強していいかがよくわからないという状況にありますので、できることならば、石綿処理特別措置法とか新しい法律でもつくっていただいて、一本化していただいて、今まである法律は全部、一時施行を停止すると。新しい特措法で石綿処理は全部やると。100年も200年もやる話ではないですよね。あと何十年かの話ですから、そういう形できちっとやっていただければもう少し進むのではなかろうかと、これは私の勝手な意見でございます。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、大分時間がオーバーしておりますので、質問はあまり多くは受けられませんが、何かございますでしょうか。
     では、大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 率直な話をいただきまして、ありがとうございました。
     細かいところまでは今すぐ質問ができないので、申し訳ないですが、スライド9で解体工事の施工の技士資格制度というものを運用していらっしゃるのですけども、この中で、石綿に関しての技能というものがどの程度入っているかということをちょっと教えていただきたいということでございます。
     以上です。

    【浅野委員長】 それでは、その点をどうぞ。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 この事業の中で、解体工事施工技士という資格制度を20年間やってきたと。その中に石綿関係の話がどのくらい出てくるか、あるいは、試験問題としてどのぐらい出てくるかという話なんですけども、残念ながら、胸を張って言えるような状況ではありません。もちろん、ゼロではありません。内容的には、二本立ての試験でございまして、択一式試験と記述式試験、まず1本目は四枝択一式、マルバツ試験です。これが50問。その50問の中に、解体工事の現場施工関係プラス法律、先ほどから何回も申し上げておりますけども、たった50問の中にこういう法律を全部入れるわけです。その中に石綿関係をどのくらい入れられるか、押して知るべしという状況です。お恥ずかしい話ですけども、すみません。
     これは民間資格としてやっていますので、これを国家資格にでもしていただいて、国の管理のもとに、50問ぐらいではしようがないだろうと。200問ぐらいにしろということであれば、もっと石綿関係の勉強をきちっとやらせて、それをたくさん問題として出す、これが可能になると思いますけども、我々の力量としては、この辺りが限界とは言いませんが、近いという状況でございます。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     ほかにご質問はございますか。では、近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 解体工事に石綿対策をするとしないで、工事の全体的な規模にもよると思いますけども、大体コスト的にはどれぐらい違うのでしょうか。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 平均して平米単価が1万円という話をしました。これは石綿がない場合の話です。石綿が入っている場合には、もちろん単価は上がります。レベルの1、2、3、要するに、吹付けとか、あるいは、保温材、断熱材、耐火被覆材、こういうものが入っていると、これは結構上がります。ただ、現状としては、解体工事をさらに分離して、解体工事は解体業者に発注、石綿は石綿を専門に処理する業者に発注と、大体分ける傾向にあります、特に、しっかりした建設業者の場合です。ただ、末端のほうで解体も石綿処理も一括して請けてしまうという場合にはよくわからないというのが実情です。この辺りもお恥ずかしい話で申し訳ないですけども、積算見積をきちんとやると1億1,500万円、ところが、実際に仕事をするときには、それの半値八掛けではないですけども、実際には非常に低い金額になります。
     では、どこかで経費を削らないといけないということがありますので、正確に石綿の除去にはこのぐらい金がかかると、こういうことはなかなか言えません。レベル1、2ですと結構お金がかかる。これは具体的な話ですけども、鉄骨造の倉庫の解体で、中に吹付け石綿がたくさん入っていたという場合に、解体工事が600万円で、吹付け石綿の除去工事に2,000万円使ったと、こういう話も聞いたことがあります。これは例外的な話かもしれませんけども、そういう例もあるぐらいです。
     レベル3のほうは、先ほど申しましたように、それほど認識が高くないというか、法律の規制もあまりないということがあって、これはそんなには高くないと思います。これは憶測で申し訳ないですけども。ですから、天井とか床とか、こういうところにアスベスト含有建材があると、もちろん、量にもよりますよね。たくさんあれば、もちろん影響するのでしょうけども、少しぐらいしかないという場合であれば、そんなには単価に影響していないというのが現状でなかろうかと思います。ただ、仕様によります。廃棄物の処理費というのは非常に大きな割合を占めるのですけども、全部管理型に持っていけとなると、結構上がります。法律では、現在は安定型でもいいということになっています。ですから、安定型でもいいということであれば、それほど処理費は高くないと。ところが、仕様によっては、特に、公共工事辺りでは、管理型の処分場に持っていけということになります。そうしますと、安定型の大体3倍、4倍になるということがあるので、処理費について考えると、結構影響力はあると。あまり答えになっていないかと思いますけども。

    【浅野委員長】 ということは、つまり工程そのもののコストよりも、取った後の物の処理の費用が大きくきいてくるということでしょうか。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 レベル3についてはそんな感じがしております。

    【浅野委員長】 一般の。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 レベル1のほうは、除去作業についても、もちろん手間暇、金がかかりますけども。

    【浅野委員長】 平均的にはこのぐらいのコスト、工事が必要だということがわかれば、幾ら実際に取っているかということは別にして、常識的にはこのぐらいの費用がかかるだろうという推計はできるわけですね。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 そうです。

    【浅野委員長】 では、小林委員。

    【小林委員】 実は、阪神大震災のときにアスベストのあるものを発見して、それを全部公費解体で、県なり市が費用を負担したのですが、アスベストのないものを1とした場合、アスベストがあると見つけられて公費解体した場合、費用的に安くて大体倍、多いものですと3倍、4倍になりました。ですから、ないと言って、いわゆる民間がやられる場合、ないと言ってやるとはるかに費用が安くなってしまうというのが一番大きな問題だと思います。

    【浅野委員長】 ありがとうございます。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 それは特に吹付け石綿の場合です。

    【浅野委員長】 外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 大体の感じでいいのですけれども、レベル3に関して、法律がきちんと守られている割合がどのぐらいなのかという辺りはいかがでしょうか。

    【浅野委員長】 大ざっぱにということで結構です。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 レベル3そのものの規制法というのはほとんどないと言ってもいいような状況なんです。ですから、どのくらい法律を守っているかと言われると、なかなか明確な答えができないというのが実情だと思うのですけども。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     どうもありがとうございました。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 ありがとうございました。

    【浅野委員長】 それでは、最後になりますが、社団法人日本建設業連合会の川口正人さん、それから、青島 等委員、お二方にご説明いただきたいと思います。

    【青島委員(日本建設業連合会)】 日建連の青島です。スライドに基づいて説明をしていきたいと思います。15分という時間なので、できるだけ重点の項目だけを説明していきたいと思います。
     建設時から建物の解体までの一連の流れとして日建連の会員構成会社が関与しております維持管理については、平成17年のクボタショック以来、国土交通省から、1,000平米以上の建物管理者に対して、吹付け石綿があるかないか、それから、吹付けのロックウールがあるかないかの調査の依頼が建物管理者に来ました。28万件というような数値が、各建物のオーナーに調査の依頼が来まして、日建連の会員のほうにその辺の問い合わせ、それから、調査についての依頼がありました。それから、増改築、解体時にも、日建連の会員の業者に対して石綿対策についての依頼がございます。石綿といっても、耐震補強、あるいは、増改築に伴っての補強の場合と、先ほど解体さんの出野さんがおっしゃったように、建築物自体を更新する、解体して新築する場合と、2種類ございます。
     その中で、石綿の対策問題について、飛散ということを考えますと、建物の使用時の飛散、これは、粉じんの飛散、吹付け石綿が劣化しての飛散、ロックウールの飛散、それから、使用されている煙突での飛散ということが考えられます。今回テーマとなっている建築物等の解体等の作業における石綿粉じんの飛散ということで、四角く囲ってある部分のことが論点となっています。その他、建築物以外についても、工作物とか土木構造物、それから、トンネル、埋め立て廃棄物とか、過去に使われていたというものもございます。これは今回の論点と外れるので。
     次に、その中で、論点の1番として、立入権限の強化についてのお話です。これについては大変重要なポイントだと思います。先ほどの不適格業者、あるいは、不法な業者を取り締まる点については、有効な立入検査をして指摘する、摘発する必要がございます。現在も養生完了時の検査が行われているのですけど、やはり、数が限られるということで、全数立ち会いはしていないようです。今後、立ち会いをするということに有効的な方法として、一つ目は、特定粉じんの排出作業場の立ち会いということで、実質的に建築主が、あるいは事業主が検査を行っているのですけど、それをもとに、検査記録を見た上で立ち入るということです。それから、二つ目は、特定粉じんの排出届けがない建築物に対して、解体の中で石綿含有建材が使われている、吹付け材が使われているおそれのある工事に立ち入る方法です。それから、三つ目の事前調査の義務づけについては、既に石綿障害予防規則のほうで規定がされております。それから、建設リサイクル法についての規定がありますので、その内容について連絡調整して記録の共有をすれば可能かと思います。
     二つの方法の最初の部分について、案を説明します。住民、市民からの通報、あるいは、施工状況から見て、石綿の飛散の可能性があるという物件について、現場に立ち入りをすると。これは、その場合について、右側のほうは、細かく進めないとどういう方法になるかがわからないのですけど、リアルタイムではかる方法、あるいは、公定法と書いてあるのですが、これは、今検討している方法、サンプリングして結果を出す方法について、飛散した場合は、すぐに工事をとめて対策をとるという方法でございます。この場合は所轄の官庁です。労働基準監督署、警察署、それから、市の環境部署との連携が必要かと思います。それから、今問題になっている発注者の役割ということで、まだこの図は事業者ということで、元請とか直接解体する業者を対象としております。
     二つ目の点で、解体改修工事に特定建築材料使用のおそれがあるかないかについて判断をする。情報を収集する。それから、いきなり現場に行っても、知識を持った人が同行しないと、どこにアスベストが使われているかどうかというのはわからないと思いますので、資格を持った専門家が必要だと思われます。右側のサンプリングです。建物に入ってサンプルを取るということは、資産に触れるとか、民法上の問題とか法律上もいろいろありますので、規定を新たに定めて立入検査をするような方法が必要かと思います。それから、この場合も、立ち入るときは、所轄の官庁、それから、警察署とかが、不法な業者は立ち入らせないよとか、立入検査員に身の危険が生じる場合もありますので、事前で不法な者が予測される場合については、警察署の立ち会いのもとに現場に入るということも必要かと思います。
     次に、敷地境界等における大気濃度測定の義務化についてです。これについては、今の論点の方法に対して、ほぼそれに従うということになっております。ただ、全国で、現状でも大気濃度測定は行われております。要綱、あるいは、条例で測定の義務づけがある自治体もございます。地方の特殊性がある場合とか、地域の上乗せ基準というのは、それも採用していかれたらいいと考えております。測定敷地境界の問題と、それから、測定結果の評価についても、専門委員会でこれから協議をして、それに対して実施するということになるかと思います。
     次に、試料採取についてです、これについても、専門委員会でこれについて協議をして、それについて行うと。元請の解体工事と大気汚染濃度測定の分離発注、基本的には賛成と書いてあるのですけど、「基本的には賛成」を消してください。この文面を消していただいて、これを「分離発注することが必要と思われる」というふうにお願いいたします、現状も行われていると思います。それから、最後の、大気濃度測定の結果を報告する。「みだりに公表しない」、これも消してください。ちょっと文面が不適切な文章なので。
     それから、次に、工事完了報告書、これについて、やはり、公表という問題がありまして、公表されると、建物管理者に不具合が起きるという場合もございます。資産の価値の低下とか、風評による顧客の離れという問題がありますので、公表については配慮した方法が必要かと思います。除去、封じ込め、囲い込み、それから、検査済証については、検査する組織とか人員の確保、それから、教育、その他関係官庁との共同のもと必要と思われます。
     発注者による配慮については、建設業としての考えとしては、現状、大気汚染防止法の18条の19に配慮義務がございます。これは注文者の配慮ということですけど、やはり配慮義務があるので、その規定の中でさらに規定を強化するということが必要かと思います。ただ、石綿についての発注者の義務化責任強化では、そこまでのことは日建連では、いろいろな意見があります。
     次に、法令の徹底と透明性については、このスライドのとおりでございます。
     次に、レベル3と言われている特定建築材料以外の石綿含有建材の除去については、分別、廃棄物、レベル3の解体改修工事について、それから、石綿含有建材、解体さんの出野さんの話にあったように、まだまだ現状把握ができていない。あるいは、ちょっと最後に、課題としてこの三つについては出ますので、そこで案を出したいと思います。レベル3の建材の有無のお知らせ看板については、看板表示を、現状では届け出のある作業所です。これは、レベル1、レベル2について、表示をすることが大気汚染防止法で規定されております。ただし、レベル3、あるいは、建材があるないの調査をしていないという場合は、表示をするのですけど、これについては指導となっておりますので、レベルの3についても法に規定をしておかないと、徹底されていないということです。現場によっては、全くその看板自体が見当たらないというのがございます。近隣向けに対する看板については以上です。
     それから、次に、第三者に関する管理をすることについて、アスベスト除去後の完成検査、これについては、大気汚染防止法だけではなくて、その他の省庁間で連携が必要かなと思います。それから、事業主責任として、計画実施、それから、完成の検査をしております。そのほか、検査をするとなると、基本的にはそういう組織、検査済証をもらって管理すればいいと思いますけど。
     それから、規制面での飛散防止対策が必要と思われるということで、これについては、主に、使用中の煙突から飛散している状況が見受けられるということで、これについても何らかの規制が必要かなと思われます。
     最後に、課題についてまとめますと、石綿の飛散についてのいろいろな測定、あるいは、立ち会いに行って、すぐそこの場で建材類へのアスベストの含有の有無がわかるという方法が、今、開発途中、あるいは実験で出ているいろいろのものがございますけれども、さらに技術的な開発が必要かと思います。それから、あと、気中濃度の測定についても、リアルタイムモニターについてもそうですし、それから、負圧の管理、隔離養生の管理状況確保、それから、前室、集じん排気装置についても技術の開発が必要かと思います。
     それから、2番目にマル適マークというものがありまして、優良ビルディング登録表示制度があると。これは、吹付けロックウールで露出している部分に対して対策しているとか、それから建物の中は、アスベストについては除去して、別の非アスベスト建材で対策をしているというような。優良ビルディング表示制度の中に採用して、同じようにアスベストに対してビルは快適だというものを表示する方法です。
     三つ目は、レベル3の解体等の作業においてのデータ集めです、あまりデータがないということなので、大気粉じん濃度の解体方法についても、あるいは、湿潤化すれば飛散しないのか、少なくなるのかということの実証をし実態調査をすることによりデータ集積することです。
     それから、4番目に、補助金事業や公共団体の発注工事については、石綿対策工事と環境濃度測定の発注者直接契約、分離発注を後試行したらいかがかと思います。

     それから、5番目に、長期継続的な石綿対策工事の技術者の育成ということで、この5点をご提案したいと思っております。
     以上で説明を終わります。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまのご発表に対してのご質問、ご意見がございましたら、どうぞお出しください。お二方が手を挙げておられますが、よろしいですか。それでは、外山委員からどうぞ。

    【外山委員】 10枚目のスライドの4ポツの発注者による配慮についてという、一番最後のところがちょっとわかりづらかったのですけれども、先ほどの全解工連さんのほうでは、発注者、注文者、あるいは、施主さんの責任強化ということが言われているのです。やっぱり、発がん物質を管理するという責任が生じてくるので、この部分は少し強化していく必要があるのかなと思っているのですけれども、この部分は新規に規定するまでもないというのは、配慮の範囲内でいいというふうにお考えなのか。それとも、罰則も含めて強化すべきだというお考えなのかという辺りを、もう一度説明していただけたらと思います。

    【浅野委員長】 大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 2点ありますけども、今の点と関連するのではないかと思いますが、スライド10のところで発注者による配慮の話が出てきますが、今までのヒアリングで結構問題になっていたのは、発注者が──発注者というか、施主ですけど、施主が費用負担をちゃんとされていないことがいろんなことに影響しているという話があって、そこの義務づけとか工夫をしないといけないのではないかということがあったのですが、一般的な配慮義務はもちろん今あるわけですが、その点についてどうお考えかということを一つお伺いしたいと思います。
     それから、9のスライドは、報告を公表しないとかという話は、一方でこういうのがあると思うのですけども、他方で、あまり十分でないようなことをされている場合に、公表するということが必要な面もありますので、そんなに簡単な話ではないと思うのですが、公表の必要性についてどういうふうにお考えになるかということです。あるいは、場合によっては、そこにまだ石綿が舞っているようなことがある場合だと、人が近づかないほうがいいとかということもないわけではないと思いますけども、その辺についてどうお考えかということをちょっとお伺いしたいと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 先ほどからありました届け出の関係なんですが、いわゆるアスベストがあります。先日もフロンで同じようなことがあったのですが、あるという届け出を出して工事施工をすると、これはもう問題はないのですが、あるにもかかわらず、ないという認識のもとで、届け出をされない、これが一番大きな問題なんです。そういう意味からいくと、先ほどからちょっとご指摘がありましたように、建築基準法と同じように、建物の建築に対する届けと同じように、解体に関する届け出をすべてしてもらう。その上で、その中にアスベストの有無をきちっと書いてもらう。例えば、建築リサイクル法でもアスベストの有無について書く欄はあるのですが、たしか、あれは法律上の義務ではなくて、届け出の中に書いてあるだけで、あそこに、あるのにもかかわらずなしと書いても、罰則規定がたしかなかったと思うのです。ただ、問題は、行ってみてあったときに、いや、調査のときはありませんでしたと言われてしまうとどうしようもないという問題がある。その辺の問題を含めて、やはり、それに対する届け出に対する罰則規定というのをきちっとつくる必要があると。
     ただ、それの逆のジレンマなんですが、行政側がそれをチェックするだけの人手がないということが本音でございまして、建築基準法でも、データ管理に対するチェックがなかったと大騒ぎしたのですけど、同じように、もし実際に届け出をされると、それだけの人材確保をどうしてやるのかという問題が次は出てくるというジレンマはあると思いますが、その辺について、もしお考えがあったら教えてほしいと思います。

    【浅野委員長】 それでは、中橋委員、どうぞ。

    【中橋委員】 大変場違いな質問かもしれませんが、日建連さんは、いわゆる所属の企業数とか、そういったものを当然おわかりだと思うので、ちょっと教えていただきたい。というのは、先ほどの解体のほうの業界の話で、出野のほうから、業界団体に入っているのは多分1割以内だと、そんなデータもあると思うのですけれども、例えば、その辺のデータは建設団体としておわかりなのでしょうか。簡単に言うと、日本で行われている建築工事、建設工事、どのぐらいのものをカバーされているのかです、これは、いろんなことをやる上に当たって結構大事なことかなというような気もしますので、おわかりになりましたら教えていただきたいと、かように思っています。

    【浅野委員長】 ほかにございますか。
     それでは、4人の方からご質問がございました。どうぞ。

    【青島委員(日本建設業連合会)】 まず、1番目の、外山委員からの注文者の配慮、発注者の配慮義務の範囲についてでございます。これについては、今、大気汚染防止法で規定がございます。その規定をそのまま守ることが必要かと思っております。新たに義務をつける前に、今の法律があって、その法律の中の規定で運用ができればと私は思っております。
     それから、2番目の大塚先生のお話で、費用の負担の問題がございまして、この費用負担については、日建連として、建設業者としては、発注を受けたときに、建物全体、アスベストの対策工事について技術提案をし、その提案のもとにコストを決め、それから、安全上、競争でそういったものを提案して、元請として受注しているので、適正な値段で受注をしているということになっております。ですので、費用の面に関しては適正な発注者からの取り決めによるということでございます。なお、先生は法律の専門なので、建設業法上も、そういった契約書の中にきちっとうたわれて、契約を結んでいるということになります。
     次に、公表の部分ですけど、これは、元請とかゼネコンのものですと、工事に伴って守秘義務を結ぶということもございます。そうなってくると、元請だけの判断ではなく、建物の管理者、あるいは、発注者との協議となってきますけど、不法の施工がされた、あるいは、法を犯したとなれば、それの公表はやむを得ないと考えております。
     あと、日建連のシェアについては、私が調べて、後日連絡をいたします。
     それから、小林委員のお話で、届け出のある、ないという問題は、事前調査をして、漏れたとか、故意に漏らしたと。あるのはわかっていたのだけど、専門家が見ればわかるのですが、あるいは、技量がなくてわからなかったとか、いろいろのものがあるかとは思いますけど、その辺の立ち会い時であやしいものについては、まず、事前調査をした結果の記録を出す、備えつけるということになっていますので、誰がどうしてそうしたのか、一次調査で図面ではかる、それから、あやしいものは分析したという、その辺のプロセスを見て判断するということが必要かなと思っております。

    【浅野委員長】 小林委員、今のお答えでよろしいですか。

    【小林委員】 一番お聞きしたかったのは、先ほどちょっとありました建築基準法では、建築するときには建築確認の届け出を全部するわけです。同じように、解体についてもすべて届け出はさせるというふうなことをもし行政側が考えた場合、業界としてはどう思われるかということです。

    【青島委員(日本建設業連合会)】 関連法で、建設リサイクル法が、80平米以上の物件に対してリサイクルの届け出があるので、解体についての規模、用途に関係なく届け出を出せということになれば、それについては対応は可能だと思います。ただ、先ほどの解体の出野さんのお話のように、50万社から60万社ある業者がどのようなものを出せるのか、届け出について出すことができるのかということは、ちょっと今後検討が必要かと思いますけど、そういった書類を出す、事前調査をして解体の計画書を出す、どこに出すかということもまた一つあると考えていますが、それも仕組みとしては大変いいと思っています。ただ、運用をどういうふうにするかということだと思います。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     ほかにご質問がございますか。浅見委員、どうぞ。

    【浅見委員】 先ほどから話題になっています発注者の配慮についてですが、石綿則の場合は、発注者ではなくて注文者にかかってくるということです。つまり、元請さんにもかかってくるという規則になっています。それで、これについて、私が問題だと思っているのは、罰則がないことです。この辺りに注文者、元請に対しての配慮義務が係っていることに対して、罰則をかけるということは日建連さんとしてどうお考えになりますでしょうか。
     以上です。

    【青島委員(日本建設業連合会)】 配慮義務なので、今は罰則、あるいは、規定がないということなんですけど、今の規定をさらに厳しくということになれば、それについては日建連としては反対はしません。ただ、今の規定の内容の法文というのは、石綿障害予防規則でもそうですので、注文者に対してどうなのか。例えば、どういうふうにしくみをつくるかということです。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     規制外で飛散対策が必要と思われるということで、15枚目にいろいろ挙げておられるのですが、当専門委員会の検討とかなり関係がありそうだなと思って伺ったのは、使用中の煙突というのはまさに大気汚染防止法にかなりつながりそうなんですが、これは、こういうご提案をなさる背景事情というのでしょうか、あるいは、事実を把握しておられて、こういったことがあるのでしょうか。

    【川口(日本建設業連合会)】 まず、使用中の煙突の件でございますけれども、現状、私どもが施工をいろいろとしているときに、建物の調査等を行って煙突を拝見することが非常に多うございますが、そういった中で、普通のところの建材と比べまして、煙突というのは高温にさらされるとか、それから、風雨にさらされ、外に一番近いところにあるというようなこと。それから、ボイラーなんかですと、寒冷地ですので凍結・融解といったようなプロセスです。建物の中に使われている状態に比べますと、いささか、かなり過酷な条件下にあるものが多いということでございます。新築時については健全な建材であったものが、劣化が進みやすいといったようなのが煙突の断熱材というものに該当するのかというふうな観点から、使用中の煙突につきましては、当然、ボイラーをたきますと煙突の中に空気が流れて外に出ていくという、排気系のその一つのルートになりますので、大気への飛散というようなリスクが存在するのではないかというようなことでございます。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     よろしゅうございますか。
     それでは、どうもありがとうございました。

    【青島委員(日本建設業連合会)】 中橋委員からの先ほどの質問の内容がちょっとわかりましたので。日本全体の建設業数は50万社ということで、その中の日建連の会員の団体会員は400社ということになっております。シェアとしては0.8%です。

    【浅野委員長】 400社。売上高のシェアは。

    【青島委員】 それはまた後で報告します。

    【浅野委員長】 数だけ言うと50万社中400社。ただし、事業の総量から言うとかなりの量、そのように別の場所では伺っております。
     ただいまはどうもありがとうございました。4団体とお一方からご説明をいただきましたが、先ほどから、この中でも議論がありましたけども、本日のご発表を受けて、さらに追加的なご質問なり、あるいは、委員の中での意見交換ということがありましたら、若干時間がございますので、追加のご質問等を含めてお出しいただけますでしょうか。
     一番最初に出てまいりましたJIS規格の話です。外山委員がお話をされて、神山委員との間で応答がありましたけど、その点について、ほかの方のご意見はございますか。本橋委員、どうぞ。

    【本橋委員】 ここでその分析のことを言うのではないのですが、私が感じているといいますか、建物のユーザーを見ますと、ご承知のように、アスベスト建材はずっと前は5%で、1%、0.1%、それから、トレモライトとか新3種も入れるということで、まじめな建物のオーナーは、その都度何回も高い分析のお金を払っているのです。それは当然なんですけれど、そこのところを考えるときに、技術的に正しい分析であっても、それが実際の調査者がどのくらいの精度で分析できているのか、その方法がどのくらい長く有効なのか、また判断が変わることがあるのかということも考慮に含めて定義を決めていただきたい。多分、そう思っていらっしゃる方も多いのではないかということで、そういうコメントを述べさせてもらいます。

    【浅野委員長】 なるほど、ありがとうございます。今日のお話を聞いていて、何となく、素人は、ちゃんと今まではかって調べているのだから、それであるかないかということは明確になっただろうと思っていたら、意外とそうでもないということもわかってきたようです。

    【本橋委員】 ついでに言いますと、だから、0.1%になったときに、某新聞は何と書いたかというと、調査してたのにアスベスト建材がまだこんなに残っていると。それはそうなんです、アスベスト建材の定義が変わってきたわけですから。定義というのは非常に大事で、建物のオーナーにとってみれば、0.1%を超えるか超えないかで10倍程度の金がかかるか、そうでないかが決まるわけですから、そういう観点はあると思います。

    【浅野委員長】 それと、さっきのお話を伺っていて思ったのですが、細かく詳細に調べるべきかどうかということについては、まず最初の段階で把握するためには少々粗っぽくてもいいのだろうと思うのだけど、そこで一番問題なのは、あるのに、ないという答えのほうにぶれる場合が多いのはまずいでしょうね。反対にないのに、あるかもしれないというほうが多いのは、あまり問題はないのではないかという気がします。もちろん、コストなんかを考えたら別ですけど、ただ安全サイドで考えると、丁寧に調べてみて、まあ、やっぱりありませんでしたね、よかったですねというのは、それはそれで構わないわけです。これは調べなくていいですよと言ったものの中に意外と危ないものが残っているなら、これは大変な問題だろうというふうに思ったのです。多分、外山委員はそういう意識で発言されたと思うのですけど、何か補足はありますか。

    【外山委員】 方法云々ということを今日議論したいわけではなくて、国際的な標準と食い違ってますよと。これはちょっと重大な問題なのではないですかということを言うために、この資料をお出ししているだけで。

    【浅野委員長】 その点については、神山委員からのコメントがありましたね。それはそれで一応了解ということですか。

    【外山委員】 私自身は、やはりISO法のほうがすぐれているとは思いますけれども、費用の面でも会員さんの面でもすぐれているとは思いますが、今日はそのことを言わんとするために来たのではないということです。

    【浅野委員長】 どうぞ。

    【神山委員】 今、浅野委員長がおっしゃったことはそのとおりでして、あるものがないというふうな判定になった場合が一番リスキーなわけで、例えば、含有率が高いときはポジティブ、陽性に分析するのは比較的容易ですけれども、現在のように、0.1%以上が含有建材で、分析結果によって相当な金額の違いが出るなんということになりますと、やはり、1%以下のところの精度を高める必要があるということです。ですから、見て、あるという陽性に出るところの判定については、非常に安い価格でできるISOというのはメリットがあると、そういう意味で評価しているわけですが、それでは、ISOの方法で検出されなかったときに、その分析者が、本当にこれは0.1%以上ないのだというふうに自信を持って言えるかどうかという、そういうバリデーションデータまで含めたものの表示があれば、我々はいわゆる定性でも定量的な定性という意味合いで言っているわけですけれども、そういうところが担保されていればいいのですが、あくまでも、ISOの哲学というのは、リスクの高いところを簡易に評価する方法ということに徹底しているようでして、そういう意味では評価できるということです。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     どうぞ。

    【外山委員】 その話になってきたので、一言だけ言わせていただきますが、JIS法で0.1%がわかるということも、全く何の実証データも何もないということだと受け止めます。

    【浅野委員長】 もう一つ、今日話題になりましたのは、多くの方のご発言の中で、解体業者の資格についてはきちっとやるべきだろうということがかなりあったわけですが、それと、最後の日建連のご発表の中で、発注者の問題についてちょっとコメントがあって、少しやりとりがありましたが、この点については、さらに何かご意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。大塚委員、何かご発言がありますか。

    【大塚委員】 現在、それでうまくいっていないのに、そういうご発言がたくさんヒアリングであるのに、その点についてご認識がどうなのかなというふうには思いましたけれども、それ以上伺っても平行線になるかなと思って、伺いませんでしたが。まず、施主の費用負担をしっかりするためにどうするかというのは極めて重要な問題だと思いますので、先ほどのヒアリングの方はもういらっしゃらないですよね。僕はちょっと出野さんにお伺いしたかったのですけど、いらっしゃいますか。

    【浅野委員長】 ええ、いらっしゃいますよ。

    【大塚委員】 出野さん、もし何かお考えがあったら教えていただけますか。施主に費用を負担させる……

    【浅野委員長】 施主にきちっと費用を払わせる。だから、発注者という言い方をした場合には元請の方が発注者になったりというようなことが出てくるのだけど、本来のオーナーさんのところにきちっと返っていくという仕組みが……

    【大塚委員】 施主が結局払わなければ、元請も払えないわけですからということです。

    【浅野委員長】 何かお考えがあればということですが、いかがでしょうか。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 すぐには具体的な方策は出てきませんけども、発注者責任、それから、元請責任、これは法令によってかなり使い分けてあるのですよね。例えば、廃棄物処理法というときには発注者は全く出てこない。施主、すなわち、元請責任だけですね。ところが、フロンとか石綿になると発注者が登場する、そういうところがあるのですけども、これは私の個人的な感覚かもしれませんが、もうちょっと発注者責任を強力にしてもいいのかなという感じはしますね。受益者責任といいますか。

    【浅野委員長】 昨日、フロンの排出抑制策の検討をしましたが、同じような問題があるようですね。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 そうですね。

    【浅野委員長】 でも、最初のオーナー、所有者というところまで行かなければいけないのではないでしょうかね。

    【出野(全国解体工事業団体連合会)】 そんな気がしますね。

    【浅野委員長】 島田委員、どうぞ。

    【島田委員】 その問題なんですけれど、今、石綿則でも注文者の配慮規定があるのですが、これは配慮規定なので、これに罰則をつけようとすると、何を義務づけるかという、何をという部分が非常に重要になってくると思うのです。その議論を抜きに、配慮ではなくて責任強化だというのをきっちり、そればっかりやることについてちょっと問題があると思います。もう一つは、発注者もピンキリなわけですよ。大手の不動産会社でありますとか、こういった工事発注を常時やっている発注者もいれば、町場の併設住宅で、鉄骨造2階建てで耐火被覆を使っている建物の工事発注者もいらっしゃるわけです。実は、そちらの発注者のほうが圧倒的に数から言えば大きいわけです。そういった方々と発注者そのものを層別しないことには、義務づけの話の内容が変わってくると思うので、そこのところを十分配慮してご検討を進めていただきたいというふうに思っております。
     以上です。

    【浅野委員長】 ほかにご意見はございますか。大塚委員。

    【大塚委員】 今のお話はそれでいいのですけど、配慮規定の話はもうちょっと一般的な配慮の話だと思うのですが、特に、前回の議論とかで重要だと思ったのは、最初の施主が費用負担をしないと、お金がもともと出てこないので、どうしても、あまり十分でないような解体を石綿に関してしてしまうという、極めて重要な、ものすごく一般的な問題があるということですから、責任とかというといろんな責任がありますけど、費用負担の問題が特に重要かなと、施主に関しては思われるのではないかと思います。

    【浅野委員長】 ほかに何かご意見、コメントはございませんか。小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 同じような話なんですが、結局は、いわゆる解体を発注する、建物所有者に対してどれだけの責務を負わせるかということが最大の問題なんです。これはアスベストだけの問題ではないと思うのですが、いろんな建物を解体するに伴って起こる環境汚染問題、それから、内部における作業環境問題を含めて、建物の解体に関する法律を別途つくる必要がある。その中にいろんな法律をチェックするということがやっぱり重要だと思うのです。そういう意味で、建物所有者に対する責務というものをきちっと押さえていく必要が。これは以前も同じような議論をしたのですが、そんなに知識のない建物所有者にそこまで責務を負わせるのかという問題はあったのですが、逆に言うと、それぐらいの責務を持って建物は所有すべきであるということだろうと思うのです。そういうふうなことを、ここだけの問題ではないのですが、何か提案として、これをどこの省庁が管理するかという問題があるのですが、できたら、そういうことをぜひお願いしたいなと。
     私がいます兵庫県では、例えば、私が担当したのは、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法なんかを担当していたのですけど、それの届け出が出てくるときに、その届け出を出す者に対して、それに関連する法律、例えば、水質汚濁防止法にしても大気汚染防止法にしても、何かをするというときにいろんな法律が関与するのですが、その関与するリストの一覧表をつくって、その届け出者にお渡しして、それを全部チェックして、各法律を全部クリアしていますねということを確認するやり方をしていたのですが。それから、例えば、建築基準法で、建物の建築確認をするときも同じようなことを建築部局がやっているのですが、そういうことが重要だろうと思うのです。そういうことを何か指導でできないかな。それと、今申し上げた、建物の解体に関する特別法をつくる必要性があるというふうに思いますが。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。この専門委員会の役割ということを考えると、どこまで取り上げるかという問題はありますが、しかし、意見を述べることは幾らでもできると思います。

    【青島委員】 非常によくわかるのですけど、それで、提案で、最後に、四つの面に、例えば、アスベストの対策工事をするときに補助金を出しますよね。その工事のときに分離発注するとか、例えば、公共工事の耐震補強をするとかいろいろ、それだけのアスベストではなくて、それに付随した耐震の工事、内装の工事、それから、例えば、今回の地震のように、天井の復旧工事とか、いろいろの補助金が出ていると思います。それについてサンプルをとって、分離発注の試行をされたらということでお願いしました。いろいろの問題が出ると思いますね。安衛法の問題とか、それから、業法の問題とか、その辺も出てくるかなと思いますので、ちょっと試行したらということで提案をしました。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。昨日、産業構造審議会と中央環境審議会の合同の会議があって、こちらはフロンの回収の問題だったのですけども、さきほどの申しましたが、全く同じ問題ですね。ですから、同じことをそれぞれ全然違う審議会で勝手にやっているというのは異常だなとも思われるわけです。出野さんとある意味では意気投合して帰ってきたようなところがあるわけです。
     いずれにせよ、本日もまた前回と同様、いろいろな情報を得ることができて、大変有益だったと思います。
     では、時間になりましたので、最後に、議題の4、その他について事務局からお願いいたします。

    【栗林大気環境課補佐】 今後のスケジュールについてご説明させていただきます。
     次回、8月27日に第3回目のヒアリングを行った後、9月19日に大気環境部会で本委員会等の中間報告を行わせていただきたいと思っております。そこでは、これまでの次回も入れた3回のヒアリングの概要、それから、これまでに委員の皆様から出された意見等を整理して説明させていただきたいと思っております。つきましては、大気環境部会に報告する資料につきまして、委員長一任とさせていただきたいと考えているところでございます。また、大気環境部会後に、ヒアリングの概要、それから、委員の皆様から出していただいた意見等を踏まえまして、事務局のほうで本委員会報告骨子案として整理させていただきまして、9月26日の第5回専門委員会でご検討いただきたいと考えております。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 ただいま事務局からご説明をいただきました。次回、もう一度ヒアリングをいたしますが、その次の専門委員会よりも前に大気環境部会が開かれますので、中間報告をしなければいけないのですが、ヒアリングをやりましたということのご報告と、そこで出てきた問題点を整理して、こんなことを今後議論したいと思うということを部会に報告するつもりでおりますので、部会への報告については私に内容のご一任をいただけますかと、こういうことでございますが、よろしゅうございますか。

    (異議なし)

    【浅野委員長】 特にご異議がないようでございますので、報告はそのようにさせていただきまして、その上で、第4回のヒアリングが終わりました次の専門委員会では、この委員会の報告をどういう方向で、どういう内容のものを報告に盛り込むかということについては、事務局が骨子案をつくりまして、ご提示をするということにしたいと思っております。
     それでは、特に何かご発言、ご意見はございますでしょうか。──よろしゅうございますか。

    (なし)

    【浅野委員長】 では、本日は、4団体及び1名の方には、大変お忙しい中、長時間、当専門委員会のヒアリングにご協力くださいましてありがとうございました。いただきましたご意見は、当専門委員会の報告をまとめるに当たって十分に活用させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
     委員の皆様方も、本日、長時間ありがとうございました。本日の専門委員会は以上で終わらせていただきたいと思います。
     最後に、事務局からご報告がございます。

    【倉谷大気環境課長補佐】 本日は、長時間にわたってのご審議ありがとうございました。議事録につきましては、各委員にご確認いただきました上で公開をさせていただきたいというふうに思っております。特になければ、以上で閉会とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございます。

    【浅野委員長】 では、本日はこれで散会いたします。ありがとうございました。