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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
石綿飛散防止専門委員会(第2回)会議録



  1. 日時  平成24年7月20日(金)10:00~12:20
  2. グランドアーク半蔵門 光の間
  3. 出席者
    (委員長)浅野 直人  
    (委 員)青島  等浅見 琢也稲垣 隆司
     内山 巌雄圓藤 陽子大迫 政浩
     大塚  直神山 宣彦小林 悦夫
     近藤 充輔島田 啓三谷口 靖彦
     外山 尚紀内藤  恵中橋 博治
     本橋 健司森永 謙二山﨑 淳司
    (プレゼンター) 土屋  浩(一般社団法人JATI協会)
      永倉 冬史(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)
      本山 幸嘉(日本アスベスト調査診断協会)
      亀元 宏宣(株式会社EFAラボラトリーズ)
    (環境省) 鷺坂水・大気環境局長
      加藤総務課長
      山本大気環境課長
      倉谷大気環境課長補佐
      栗林大気環境課長補佐
      村井大気環境課係長
      磯崎大気環境課係員

  4. 議  題
    (1)
    解体現場、大気濃度調査等に関する現状と課題等の情報収集について
    ア 一般社団法人JATI協会
    イ 中皮腫・じん肺・アスベストセンター
    ウ 日本アスベスト調査診断協会
    エ 株式会社EFAラボラトリーズ
    (2)
    その他
  5. 配付資料
    資料1委員名簿
    資料2中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会ヒアリング対象者(案)
    資料3一般社団法人JATI協会提出資料
    資料4中皮腫・じん肺・アスベストセンター提出資料
    資料5日本アスベスト調査診断協会提出資料
    資料6株式会社EFAラボラトリーズ提出資料
    (第1回専門委員会配付資料)
    参考資料1特定粉じん排出等作業に関する現行の大気汚染防止法の概要
    参考資料2石綿に関する法令等
    参考資料3石綿飛散防止対策に係る主な論点(案)
  6. 議  事

    【倉谷大気環境課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会(第2回)の会合を開催いたします。
     委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
     私は本日の司会を務めさせていただきます環境省水・大気環境局大気環境課の倉谷でございます。よろしくお願いいたします。
     本日は慶應義塾大学の武林委員がご欠席とのご連絡をいただいております。また、大迫委員が若干遅れてご到着となる模様でございます。本日の出席状況につきましては、ご連絡をいただいている委員の皆様につきましては、委員20名中19名出席の予定ということでございまして、定足数でございますので、過半数に達しているということでご報告をさせていただきます。
     引き続きまして、手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料1から6、それから、第1回の会議資料から参考資料をつけさせていただいています。また、外山委員のほうから、新聞記事1枚ですけれども、資料の追加でご用意をいただいているところでございます。
     マスコミの方におかれましては、写真撮影につきましては、恐縮ですが、会議の冒頭とさせていただいております。冒頭の委員長のごあいさつまでということで、ご協力をお願いしたいと思っております。
     それでは、これ以降の議事進行につきましては浅野委員長にお願いしたいと思います。

    【浅野委員長】 おはようございます。早朝からお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
     今日は第2回目でございますが、今日から3回にわたってヒアリングをいたします。多くの方々のご意見をお聞きし、検討すべき論点に関する問題点を把握していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
     議題の1、解体現場、大気濃度調査等に関する現状と課題等の情報収集についてとなっておりますが、今申し上げましたように、本日と8月9日と8月27日の3回にわたりまして、14団体及び個人の方からご報告をいただくということでございます。
     まず、ヒアリングの全体の概要について、事務局からご説明をいただきます。

    【栗林大気環境課長補佐】 環境省の大気環境課、栗林でございます。私から、資料2の説明をさせていただきたいと思います。
     前回の第1回の専門委員会の後、委員の皆様方に事務局としてヒアリングを受けていただきたいという方についてご案内させていただいたところ、こういう方からもご発言いただいたほうがいいのではないかというご意見をいただきまして、それで、委員長からのお話にもありましたように、今日を含めて3回、予定ですと2回でしたけれども、1回追加させていただきまして、また、ヒアリングを行っていただきたいという方も数名、数団体増やせていただいて、14人の方からご発言いただくという形をとりたいと思っております。
     1ポツにあります本日につきましては、これから、(1)の建築物の解体現場における現状と課題等についてということで3団体様から、それから、(2)米国の石綿飛散防止対策の制度及び分析手法等についてということで1団体の方からご説明いただくということです。それから、8月9日、8月27日ということで、ここに記載させていただいております皆様方からご発言をいただくということです。今、3ポツの(3)にあります建築物の解体における発注者の対応というところで、こちらにつきましては、今、事務局で検討させていただいているところでございますので、決定次第、委員の皆様にはご案内させていただきたいと思っております。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 ただいまヒアリングについての予定をご説明いただきました。何か特にご意見はございませんでしょうか。──よろしゅうございますね。
     それでは、事務局の説明どおりに進めさせていただきます。
     本日は第1回目ということでございますが、建築物の解体現場における現状と課題等についてと、アメリカのアスベスト飛散防止対策の制度と分析手法等についてという二つのテーマについてのヒアリングをしたいと思います。
     今日は、お忙しい中、ヒアリングに応じてくださいました5名の方には本当にありがとうございます。あらかじめ事務局からお願いをいたしておりましたように、限られた時間でございまして、まことに申し訳ございませんが、報告は15分でおまとめいただくということでお願いいたします。その後、委員の中からご質問をお出しいただいて、お答えいただくということにしたいと思いますが、限られた時間の質疑・応答ということになりますので、大変恐縮でございますが、ご質問はまとめてお出しするということにいたします。1問1答の形式をとるととても時間がかかりますので、全部質問をまとめて差し上げまして、それについて後でお答えいただくという形をとりたいと思います。なお、本日お答えをいただけないことについては、後日、書面でお答えをいただいても一向に構いませんので、時間についてはどうぞよろしくご配慮をお願いいたします。
     全部のご報告をいただきました後、最後に15分程度の時間を残しておりますので、その時間に全体を通じての質疑応答ということ、意見交換もできればと思っております。いずれにいたしましても、本日は12時30分までという会議の予定でございまして、たびたび申し訳ないのですが、会議の時間は皆さんの共有財産でありますので、私はどんなことがあっても時間には終わるという会議運営方針でございまして、多少民主的ではないという批判もありますけども、お許しいただきたいと思います。
     それでは、早速でございますが、まず、一般社団法人JATI協会の浅見様と土屋様からご説明いただきたいと思います。

    【浅見委員(JATI協会)】 おはようございます。JATI協会の浅見でございます。前半部分は私が、あと、後半は土屋からご報告いたします。
     まず、いただいた題目が建築物の解体現場における現状と課題等についてということですが、まず、当協会の状況を簡単にご紹介したいと思います。旧日本石綿協会で、今年の4月1日に公益法人制度改革によってJATI協会と名称を変えております。主な活動ですけれども、これは、協会名を変えたときからではなくて、それ以前からですが、過去に使用された石綿製品を安全に処理する技術に関することを今の主な活動としております。今日の話につきましても、このようなスタンスで行っていきたいと思います。まず1点が、石綿含有建材、石綿含有材の解体等に伴う適正な処理方法の研究と普及、あとは、石綿有無の診断に係る人材の育成、今は、この二つを中心に行っております。
     そういうことを全体として考えてみますと、解体作業においては、労働者の曝露防止と石綿粉じんの大気への飛散防止についてですが、これが、現状の話を聞きますと、やはり問題があると思います。この点につきましては今後非常にレベルアップしていくということが必要だと思っております。このような現状を考えますと、やはり、今回のテーマにもございますように規制強化が必要だと、これは法制化が必須ということではなくて、とにかく何らかの規制によって強化をしていくことが必要であろうということは考えております。
     以下、今日の後のお話は、全体的には、第1回の主な論点に沿って、その内容をちょっと、かなりあちこち飛びながら話をすると思いますので、まとまった形ではないのは申し訳ないのですけれども、先ほど申し上げました論点につきまして、全体像をなるべく網羅できるような形で資料を作成したつもりです。
     あと、協会の今の加盟している会社の中で、特に、吹きつけの処理を行っている会社が幾つかあります。そこで感じていることですけれども、今、当協会の各会社は、石綿に関する知識を生かして適正な処理工事を実施していると自負しております。特に、今ここで、協会で行っているシステムにおきましては、お互いの会社がやっているその除去を相互に監査するということが一つのポイントとなっております。監査の回数について、まだ少ないというようなご意見もあるかもしれません。また、同じグループ内であるという指摘もあるかもしれませんが、お互いに監査をしてレベルアップをしていきましょうというようなことをやっています。そういう意味で、監査というものは一つの方策かなとは思っております。
     あと、吹きつけ等の除去におきましては、除去を行う事業者には資格制度というのはございません。ただし、資格ではありませんけれども、建設技術審査証明という制度がございますが、この認定を受けておりますけれども、それが第1の技術的な基盤として、評価をするに当たって役に立つのではないかとは考えております。これで100%いいかどうかというところは、まだいろいろご意見ある方もいらっしゃると思いますけれども、まず、一つの足がかりにはなるのかなと思っております。
     建設技術審査証明というものをご存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明いたします。これは建設技術審査証明協議会のホームページより引用してまいりました。新しい建設技術の活用促進に寄与することを目的としてということで、こういうこと(注:資料3、4枚目)が書いてあります。この中に、石綿の処理技術を審査証明事業として認めているところが幾つかあります。現在の概要、登録状況ですけれども、一般財団法人の日本建築センターで78工法、これは、除去と封じ込め、吹きつけと、レベルで言いますと、レベル1とレベル2のものがございます。あと、一般財団法人のベターリビングでも6工法。その他でも、最近また増えてきまして、一つの工法ができています。ただ、ちょっと、全部調べ切れるかどうかというのはありますので、その他としてここにはまとめております。今、80以上の工法が登録を受けております。
     では、ここから変わります。

    【土屋(JATI協会)】 では、発表者を変えさせてもらいます。JATI協会の技術員をやっております土屋と申します。よろしくお願いいたします。
     まずは、発注者による配慮ということで、用語なんですけれども、施主だったり元請だったり、二つはどちらが発注者なのだろうということが。お施主さんは建築についてあまり知らないというのが、大体普通の一般の建物の考え方だと思います。ここで、石綿則の第8条で、石綿等の使用状況を通知するよう努めなければならないということで、今までの経験値の中では、大型ビル、不動産会社とか、大きいところの発注主というのは、建築及びアスベストに関する知識というのは十分持っておりまして、発注する際も、ゼネコンさん、元請さんに出す際にも十分な注意を払っていると思われます。ただ、中小ビルとか戸建住宅、一般の方たちは非常に知識がない中で、改修工事とかをやるときに、それほどアスベストに関する注意というのはできていないのではないかと考えております。ゆえに、このような発注者に責任を持たせるのであれば、しっかりとした説明がさらに必要ではないかと考えております。
     受発注における問題と対応ということで、クボタのショック以降、適正な処理工事を行う技術がないのに受注する除去業者が非常に増えております。解体工事と改修工事、それぞれフィールドが違う中で、どのように工事を行えば安全なのかという技術がない業者も多く見受けられております。あと、今現在、解体・大型工事も非常にある中で、低額、短工期での受注というものも見受けられております。このような中、適正な処理工事ができる業者に適正な価格、納期で注文することが必要だと考えます。適正な処理工事ができる業者というのは非常にあいまいなんですけども、先ほど浅見が言ったように、処理業者、一つの考え方として、建設技術審査証明制度の認定を持った会社ということも一つの切り口であると思います。あと、職人さんというよりは、現場の管理責任者が多分一番この工事のキーマンになると思いますので、処理工事全体を計画から工事途中、工事完了までしっかりとした管理ができる会社が適正な処理工事ができる業者と考えております。
     一番大事なのがこの事前調査だと思うのですけれども、法律とか石綿則とかは、既に工事の開始前に事前調査をして、発注者は元請に通知しなさいというところはあるのですが、この部分がちょっとあいまいで、あいまいというよりは、できていない部分が多々見受けられる場合が多いかなと考えております。どうしても文面だけでうたっている部分がありまして、実際、工事が入ってから調査というか、出てきてしまったとか、解体しないとどうしてもその部分が見分けられなかったとか、吹きつけは、表面で見えている部分は誰が見てもわかるのですけれども、隠ぺいされている部分の調査というのが十分にできていない場合があるのかなと。そのために、どこでうたっていくか。本来は解体する前に日本の建物の調査が全部終わればいいのですけれども、なかなかそれもできないと思います。実際、工事が始まるときにやるのですけど、そこに十分な時間と費用がかけられるようなシステムが必要なのかなと考えております。
     今回、大防法で、義務づけの考え方なんですけども、今、資料を環境省さんからいただいた旧の中でも事前調査の義務づけとあるのですが、多分、石綿則と同じ規則で、紙の上で事前調査してくださいねという話だと、今、石綿則でもこれをうたっていますので、現状と特には変わらないのかなと考えております。今回のこの義務づけは吹きつけだけなのか、それとも、石綿含有、成形板ですね、レベル3と呼ばれるものにも規制していくのか、逆にここの部分が論議の点だと考えております。
     それと、あと、実際、大防法で、今、技術員でもみんな話しているのですけども、どの点で取るのが一番有効なのか。例えば、30階建てぐらいの建物で、25階で工事しているのにもかかわらず、敷地境界、グラウンドラインで測定していくとか、それに、ここにも書いたのですけど、敷地境界での測定にどのような意味を持たせるのか、作業における曝露の監視ということであれば、建物によって敷地の4点を取っていくということが意味があるかないかというのは、ぜひ論議していただきたいと思います。ただ、隣人に対してという考え方であるのであれば、グラウンドラインの測定も必要なのかなという意見がありました。
     それと、あと、作業終了後の作業場内の測定ということで、今回、多分、測定の基準を決めていくと思うのですけども、仮に、総繊維で1リットル当たり10ファイバーということをもし規制で決めた場合に、10ファイバーいかなければ法律は問題ないのでということにもしなってしまったら、作業の前が、例えば、0.5で測定圏外だということにも関わらず、作業後が5ファイバーでも法律違反ではないので、その部分もぜひ論議していただければと思います。
     測定の場所なんですけども、敷地以外に、作業中には、一番漏えいというか、考えられる分としては、セキュリティーゾーンの出入り口、集じん・排気装置の排気口の付近、これ以外にも、いろんな建物の状況によってウイークポイントはあると思いますので、測定場所というよりは、工事場所によりいろんな要件があると思うのですが、まず、ここの部分は外せない測定部分と考えております。

    【浅野委員長】 あと2分でお願いします。

    【土屋(JATI協会)】 測定方法に関しましては、総繊維というのと石綿繊維のどちらで行うかなんですけれども、一般的にはなかなか理解されていないので、業者だけの理解ではなくて、一般の方たちにも理解できるようにしていただきたいと思います。
     あと、測定の頻度なんですけれども、工事前のブランクの測定をリアルタイムモニターで考えた場合には、工事前も必要と考えます。それと、あと、リアルタイムモニターを用いるときには何をはかっているのかというのは、リアルタイムの機械によって多分変わってくると思いますので、その部分のまとめも必要と考えております。
     あと、測定業者は、ここに書いたように、信用を置けるところに出していくと。それと、将来的には、測定は分離発注が一番理想的かなと考えております。
     あと、先ほどと同じなんですけども、レベル3でも非常に粉じんが舞うレベル3がありますので、飛散防止という観点から、大気汚染防止法でも、ぜひレベル3の届け出を、義務づけということではないのですが、今、川崎市とかでは義務づけしていますので、どのような問題があるか、仕事量が増えて、全然環境対策係が回れないのかということも、実際の状況を参考にして、今後の課題にしていってもらいたいと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、初めに申し上げましたが、ご質問はまとめて差し上げようと思いますので、ご質問のおありの方は、恐縮ですが、ちょっと札をお立ていただけますでしょうか。ほかにはいらっしゃいませんか。
     それでは、先に札を上げられたのは外山委員ですね。

    【外山委員】 3点ほど質問をしたいと思います。
     今日、私が配付した資料、新聞記事があります。これは一昨日の毎日新聞ですけれども、貴協会と関連するアスベスト診断士に関して、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会など4団体で、私たちもこれに入っているのですが、厚生労働省に対して、事前調査に関して、アスベスト診断士を登用するというような通達を出していますが、それを撤回するように申し入れをしております。その中で、記事の2段目になりますけれども、旧石綿協会は、石綿を社会的に拡散させた経緯があるのに、調査で利益を得るのはモラルに反するということが書かれています。そういう批判もあるということで、この記事に関してコメントなり反論なりがあったらお願いしたいということと、モラルに反するということは結構重い投げかけだと思いますので、これに関してどうなのかなという意見をぜひいただきたいというふうに思います。
     2番目ですけれども、記事とも関連しますが、アスベストの除去なり管理なりにはいろいろな関係者が生じてきます。施主さんですとか、除去業者ですとか、測定分析をする者たちが出てきます。その中で、利益はいろいろ相反するということがあります。例えば、貴協会のように、過去に有害物の汚染に関与してしまったものが、その回収で利益を上げるということは排除すべきだという考え方もあると思いますし、また、有害物を除去しようとする者は、調査をしてしまうとそれに影響してしまうので、除去の部分と調査の部分は分けるべきだという、利益相反を禁止するという考え方が重要になってくると思うのですけれども、貴協会でそのような具体的な規定のようなものがあったら、ぜひ紹介していただきたいということが2点目です。
     それから、3点目ですけれども、いろんな経験が事故の現場でおありになると思うのですが、アスベストの管理ですとか除去の場面で、リスクコミュニケーション的に、つまり、関係者の協議ですとか話し合いによって、よりよい経験ができた、グッド・プラクティスですね。よい事例がもしありましたら、そういったことも紹介していただきたいと。
     以上3点です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 一番最初のところです。石綿の解体とか除去、封じ込め工事、これについて、認定登録の、優秀な、粉じんが発生しないような工法があるというお話でした。2枚目のスライドのところで、78とか、6工法とかありますけども、実際に日本で行われている解体とか封じ込めの業者の中で、こういった認定されるような技術というのがどれぐらい浸透しているのでしょうか。日本全体で行われる工事件数の何割ぐらいがこういった認定工事で行われているのでしょうかということなんですが、もしわかったらお願いします。

    【浅野委員長】 よろしゅうございますか。
     それでは、内藤委員、どうぞ。

    【内藤委員】 恐れ入ります。2点ほどお伺いしたい点がございます。
     先ほど、レジュメの5ページでは、施主さんのほうでは、発注者の石綿に関する知識、あるいは、意識の幅が広く、この知識がない方もあるので、知見のない者に対して、言うならば、配慮義務というものを負わせることはいかがかということをお書きでありますが、この点は、例えば、労安法によるような形の元方といいましょうか、ここの資料でいう元請事業主に全面的な責任をひとまず負わせるということについてのご意見はいかがということが1点。
     第2点といたしましては、その下の部分でございますが、適切な処理工事ができる業者に、これは6ページ目になりますが、適正な価格、納期で注文をするということをご主張でありましたが、では、適正な工事ができる業者というものについては、何らかの形での認可制というか、求めていらっしゃるのか、その点についてのご意見をお伺いしたいと思いました。
     以上です。

    【浅野委員長】 ほかにございませんか。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 私のほうは質問というわけではないのですが、JATI協会というのは、アスベストに関しては技術的には日本でトップの協会としてうたっておられると思うのです。そういう意味からいきますと、今日の説明の中では、後のほうが全部そうなんですが、問題提起ばかりが書いてあるのです。問題提起ではどうにもならないのです。ですから、もし、トップの技術があると言われるのであれば、どうすればいいのかを全部提案していただきたいのです。それについて可否を議論するということが一番いいと思うのです。そういう意味で、今日ここでというわけにはいかないと思うのですが、できたら、できるだけ早い時期にそれを文書にして、例えば、法律上はどうなのか、技術的にはどうなのか。それから、一番の問題点は、事前チェックができないということが一番大きな問題なんです。気がついたときには工事が終わっているということが一番多くあるわけですが、こういうものについてどうすれば一番いいのかについて、文書で提案をしていただければ一番いいのではないかなと思うのですが、よろしくお願いしたいと思います。

    【浅野委員長】 ただいまのはご質問ではなくて、要望ということでございます。
     では、今出されましたご質問について、どうぞお答えいただければと思います。

    【浅見委員(JATI協会)】 では、ご回答いたします。
     まず、初めの、外山委員からございました診断士についてですけれども、あと、2番の除去の利益ということも関係してくると思いますが、まず、診断士の制度といいますか、協会の認定ということで行っていますけれども、利益を上げるのはどうかということですが、利益はそれほどありません。
     それと、あと、2点目、除去の利益相反ですけれども、これは、考え方として、調査と除去です、その辺りを分離するという考えは当然あると思います。今、土屋からも話がありましたけれども、分析についてですが、同様に、調査と除去は別にするというような考えもあるかと思います。その辺りは、最後の小林委員からのご意見もございましたけども、文書でというところまでは考えていませんでした。この委員会の中でいろいろとご提案していければなと、今日は、そういう意味で、まず問題提起をして、委員会の中でいろいろと意見をということを考えておりました。そういうことで、今の外山委員のご提案、ご質問に関しましても、私は、分離するということはいいと思いますけれども、また委員会の中で議論していければと思います。
     あと、もう1点、リスクコミュニケーションの例ですけれども。

    【土屋(JATI協会)】 協会の中で、月1回、お互いに物件を出し合って、今、3番目の外山委員のアスベストの管理のところですけれども、JPI工法というのですが、月1回、それぞれの会社が物件を出して、それを他の業者がみんな見てというのが、監事が現場視察をするのですけれども、そこで、他社のいい点、逆に、悪い点をお互いに指摘し合って、他社のいいところをもらえるというのを、ここもう何十年もそれでやってきているのですが、そういった意味で、お互い切磋琢磨して、工法プラスいいやり方というのを、常に各社で共有できるようになっております。

    【浅見委員(JATI協会)】 実際の除去開始前に地域住民への説明会ということも行っておりまして、その中でもいろんな意見が出てきて、それも、各工事、各社にも、今のような話で展開されていると思います。
     以上、外山委員からのご質問の、まだ十分ではない点があるかと思いますけれども、一応、ご回答としたいと思います。
     あと、近藤委員からの審査証明の割合ですけれども、これはちょっと、どれだけ調べようがあるのかなということがございます。協会としては、まだ把握しておりません。そういう意味で言うと、恐らく、大防法に対しての除去の届け出があって、そのうちの審査証明を受けている会社がどのくらいあるのかということを確実につかめれば、割合が出てくるかもしれません。ただし、審査証明を取っているところが、またさらに下請とか、そういうのを入れてやったりしている例もあり得ますので、そこまでいくと、実態がどれだけ把握できるのかなという感じはいたします。そういうわけで、回答になってないかもしれませんけれども、協会としては把握していないということで、ご勘弁願いたいと思います。
     次は内藤委員からのご質問ですけど、発注者と元請との関係ですが、現実的に言って、これは協会というよりも私の個人的な考えですけれども、責任の有無を明確にするという点で言うと、事業者の責任を強くするのはいいかと思います。ただし、今でも、石綿則第3条の事前調査というのは、発注者ではなくて、実際は元請の義務と考えていいと思いますので、それを厳格に適用していけば、元請の責任になってくるのかなということを感じます。
     あと、適正な処理とか業者のことですけれども、これも、大防法でいいます特定建築材料とそれ以外の工事も両方あると思います。特定建築材料につきましては、特に、吹きつけに関しましては、先ほど審査証明事業で言った八十幾つ、この全部が完璧かどうかというところは置いておいて、ある程度の手法はありますけれども、特定建築材料以外、あるいは、特定建築材料の中でも、吹きつけ以外のものに対してどれだけ──そういう指標もほとんどないような状況かなということを感じます。特に、特定建築材料以外ですと、一般住宅、戸建住宅ですね、その解体工事になってきますと、どれだけ事業者があるのかも、ちょっと私もよくわかりませんし、そういうことで、力量的にもどこまでが適切なのか。適切にやるということをどれだけわかっているのかなという業者もまたあるのではないかなと思っています。

    【浅野委員長】 ご質問の趣旨はちょっとそれと違っていて、さっきのご発表の中で、適正な処理ができる業者に適正な価格、納期で注文することが必要だという、そういうご説明に対して、それならば、そういう適正な業者というものについて認可制のようなものでも設けるというご主張なのでしょうかという質問です。

    【浅見委員(JATI協会)】 わかりました。簡単にその後をまとめますと、認可制度、特に、吹きつけとか特定建築材料のほうはまだ認可制ができると思います。それも可能だと思いますけれども、それ以外のものについては認可制ができるかどうかということが、数の問題から言って、ちょっと心配なところではあります。もちろん、認可、法的にいろいろ問題はあるかと思いますけども、きちんとした業者を示すという点では、何らかの形であることは、私はむしろ賛成でございます。
     最後、先ほど申しましたけれども、小林委員からのご意見につきましては、委員会の中でご提案していきたいと考えております。
     以上でございます。

    【浅野委員長】 それでは、どうもありがとうございました。
     続きまして。

    【外山委員】 すみません、よろしいですか、誤解があった点について。

    【浅野委員長】 そうですか。ちょっと簡単にお願いします。

    【外山委員】 2番目の私の質問ですが、利益相反に関して意見を求めたのではなくて、現状でどうであるかということをお話しいただきたいという趣旨です。

    【浅見委員(JATI協会)】 現状ですか。現状、要するに、調査と解体等の工事で。

    【外山委員】 そういう規定があるのか、ないのか。なければ、ないということで結構です。

    【浅見委員】 それは今のところはございません。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     どうもありがとうございました。
     では、続いて、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉様にご報告をいただきたいと思います。

    【永倉(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)】 ご紹介いただきました永倉です。
     私どもの中皮腫・じん肺・アスベストセンターというのは、アスベストに関するさまざまな相談などを承っておりまして、被害者の相談なども多くあります。最近の被害者の相談の中では、非常に若い40歳ぐらいの人が中皮腫と診断されたと。小さな子どもを残して、これからどう生きていったらいいかわからないというような、非常に深刻な例も増えています。そういうアスベストの被害が若年齢化している。それと、あと、どこで吸ったかがわからないという人が増えてきているという印象を強く持っております。そういう意味で、私たちの今日のヒアリングということ、被害者の立場、もしくは、そこで働く労働者の立場からの意見を反映させたものと私は考えておるところです。
     そういうことで、被害者の観点から言いますと、予防の重要性、どうやったら少しでも吸わないでいられるか、そういった予防の重要性、そこからリスクコミュニケーションの実現というのは非常に重要な課題だと思っております。いろいろなところで私は業者の説明会とか行政の要請などをしてきていますが、行政と業者間のリスクマネジメントというのは、もう限界があると思っております。そこに被害になり得る市民とか労働者の声が反映されなければ、いつまでたっても、法律はどんどん強化されるにしても、その法律が守られていかないという現実がどこまでも続くだろうというふうに思っております。
     時間が限られておりますので、資料のほうを見ていただきたいと思うのですが、1から9までざっと挙げてみました。
     1は、2005年クボタショック以降のアスベスト対策工事の現状、これは概観を記したものです。aからdまでですが、aをざっと読んでいきます。
     2005年のクボタショックを機に、公共事業のアスベスト除去が急増しました。アスベストの除去の経験のない塗装業者さんなどが数多く参入して、およそ10倍のアスベスト除去業者を名乗る業者が出てきたという現状が2005年に現出しました。2005年は、全国の学校を含む公共施設のアスベスト調査が全国的に一斉に行われたわけです。ただ、これは調査だけに終わらずに、調査をすると、出てくると除去しなければならないという非常に悪循環がそこで生まれまして、それに伴って、一斉に日本中でアスベストの除去業務が始まりました。2005年、2006年の夏休みを中心に、学校のアスベストがどんどんやみくもに除去されていったわけですけれども、石綿作業主任者講習を受けただけの未経験業者が除去工事を行った。このことで、実は全国的に飛散事故が発生していると私たちは考えております。この実態調査を、まだ記録がある、記憶があるうちに、ぜひ一度やる必要があると考えております。佐渡の両津小学校、これはマスコミなどでも報道されましたが、この漏えい事故などは氷山の一角であって、実は、全国的に学校施設でアスベストの飛散事故が起こった可能性が非常に高いと考えております。
     それから、2007年以降、公共事業が急速に減少して民間の工事の割合が増加してくる、その中で競争が激しくなって、工事単価がどんどん下落していきます。圧縮されていったという経緯があります。アスベスト対策工事の工事単価が下落するに従って、安全対策を維持するに満たない金額での受注、平米当たり1万5,000円とか、そのくらいかかる工事が、数千円から、最近では工事単価が平米当たり3,000円とか、そんな価格にまで下がっていると聞いております。そこで、ゼネコン入札の大規模解体工事に先行するアスベスト除去工事などでは、下請、孫請など二次、三次の業者が工事単価を圧縮され、安全な工事が確保できないという声をあちこちから聞いております。
     2番目、工事単価を下げるために、実際にどんなことが行われているのか、これは、電話で受けた相談で、実際にその人にお会いして、お話を伺ったり、写真を見せてもらったり、現場に行ったりして我々が確認した事例なんですが、養生シートを、規定のものではなくて塗装用の薄い、白いものですけれども、破れやすいもので代用しているケースがある。それから、負圧除じん機、これはレンタルのものを使うのです。レンタルのものを使って、フィルターを交換せずにそのまま使い続けて、レンタル屋に返してしまう。それから、作業者の防護服、これは使い捨てのものを使わなければいけないのですが、それを使い回す、または、破れやすい安いものに変えてしまう。それから飛散抑制剤、これがなかなか厄介なものなんですが、1缶数千円から数万円もかかるものですけれども、最初は使う。ところが、行政の検査が終わると、1缶800円程度の白ペンキを使うように具体的に指示されたと、そんなことでいいのでしょうかという人と直接話をして、写真も見せてもらっています。これは誰も気がつかないそうです。それから、防じんマスクを要求したら、事業所に廃棄されてあったマスクを拾って、これを使えよと言われたということです。それから、これはちょっと事例が違いますが、マスクフィルター、これは交換しなければいけないことになっていますが、その交換を行わないという事例です。それから、これは頻繁に行われているようですが、作業者の特殊健康診断書が偽造されているというケースです。これは、名前を書きかえて、健康な人の診断書をコピーして、そのまま提出するということが実際に行われていると聞いております。それから、本来必要な作業人員を減らしてしまう。工事期間を短縮することで工事費用を安くするということです。レベル3の手ばらし作業、湿潤化して手でばらすことが義務づけられていますが、バールで突っついて破砕してしまう。手間のかからない作業に切りかえて工事期間を短縮するということが行われているというふうに、これは内部告発です。
     それから、3番目、除去業者が未熟であることによって危険な工事が現出していると。これは、一つには、養生シートをテープで躯体に密着させ、貼りつけるということについては、日数がかかり、手間がかかり、技術が必要だということなんですが、それができていない業者が多い。このことで、負圧除じん機を稼働することによって中が陰圧になって、シートがはがれてしまうと。そうすると、粉じんが出て、そこから大量に漏れてしまう、そういう事故が結構ありますよという話です。それから、事前のアスベスト調査が不十分で見落としがある、これは、先ほどからちょっとお話があったケースだと思います。
     4番目、行政の立会い検査時の偽装、これも頻繁に行われていると聞いています。a、b、cと三つ挙げましたが、一つは、大規模なアスベスト除去工事というのは、通常、連続で複数の工区を重なって持たれます。労働基準監督署や自治体の立ち入り検査は最初の工区の点検しかしないために、最初だけ点検用のきちんとした工区をつくって、以下の工区は安価な養生シートなどで代用するというケースです。それから、事業者は工事の準備が整ったことを労働基準監督署、自治体に連絡して、そのタイミングで両者が同時に点検するということ、これは一般的にこうなっているようなんですけれども、そのために、こちらでも「検査用の工区」がつくられて、同時点検が終わると、その後は抜き打ちでの検査はないということで、自由に工事ができてしまうということになります。それから、養生の設置など、不十分な未完成部分をわざと見せて、これは確信犯なんですけども、労基・自治体の調査のときに、すみません、これからきちんとやりますというようなことを言いながら、いわば、満足な検査をやったというふうな印象を与えて、きちんとやっておいてくださいよという指示を受けて、その後は、まあ行政はやって来ないということを見越した工事が行われていると聞きます。これはかなり複数の業者から聞いているところであります。
     それから、5番目、これも衝撃的な話で、測定業者の客観性の問題で、これも実際に私どものほうに相談があったケースです。アスベストの粉じん濃度の測定者から直接の通報があって、濃度測定値を書きかえたと連絡がありました。分析を行った本人からの相談で、測定値を10分の1に書きかえるように上司から指示され、書きかえたのですが、その人は技術者としての良心の呵責がぬぐえないというものでご相談があり、匿名でもいいから、ぜひそういう事例を一般に知らしめてくれというお話をさせていただきましたが、後に連絡がとれなくなったということです。こういったことは、もしかしたら氷山の一角で、広く行われている可能性もあるのかなと思います。
     そんなことがある中で、事例を、二つほど挙げました。
     一つは、これは東京都の都営住宅供給公社、JKKの発注工事なんですが、都営下丸子2丁目アパート27号棟スーパーリフォーム工事、これは、天井にひる石が吹きつけてあるのですけれども、これに無認可の飛散抑制剤を吹きつけて、その後、養生・セキュリティールームの設置を行わずに内装の撤去を行って、天井の貼りつけ工事を行う。これは囲い込み工事です。その天井貼りつけ工事の際には、飛散抑制剤でひる石はもう固めてあるので、これはもう安全だという認識で、ドリルで穴を開けて天井板を固定するという工事が住民に説明されて、現在、行われています。これは、石綿障害予防規則6条違反のおそれがあるということで、大田労働基準監督署と大田区に、そのことについていろいろ話を、工事を安全なものにしてくれという要望をしているところなんですが、両者ともその工事を認めてしまっているということで、当該アパートの住民が、現在、労働基準監督署、あと、大田区、それと、東京基準局に内容証明で通知書を送って、抗議及び申し入れ、この工事に関する説明をしてくれということをやっております。
     それから、bとして、旧新宿厚生年金会館解体工事に伴うアスベスト除去に関するリスクコミュニケーション、これは非常によかった事例なんですが、これについては、経緯はいろいろありますが、厚生年金会館に隣接する保育園のお母さんたちが、その保育園で保育されている子どもたちがアスベストを吸うのではないかということで、子どもたちの安全性をめぐって、新宿区に、この解体工事を安全なものにしてくれと要請したもので、区がその要請を結果的に受け入れて、NPO、私たちのところを、区が立ち入り検査をするときに一緒に立ち入りを認めようという業務提携、業務契約を結びまして、中の調査を、NPOがリスクコミュニケーションの一環として調査を行ったところが、この事前の調査で漏れていたものが後から随分見つかってきたと。そのことで安全性が非常に向上し、保育園のお母さんたちも安心できる解体工事に結びついたという事例であります。
     それから、7番、アスベスト除去業者からの意見、これは技術的蓄積のある、古くからアスベスト除去業をやっている人たちで、その人たちは、今、仕事にありつけないのです。ちゃんと安全な仕事をしようとすると、工事単価が提示されたものではどうしてもやれないということなんですが、その人たちからお話を聞くと、アスベスト除去業者のライセンス制の導入が必要であろうと、これは、誰でも石綿講習を受けることによって石綿業者となってしまうような現状ではだめだと。やっぱり、何らかのきちんとしたライセンス制が必要だと。それと、第三者(NPO)と行政の的確な監視監督、抜き打ち検査などが必要であろうとおっしゃっておりました。
     そういった流れの中から、結論として、8番、7点をとりあえず挙げました。違法な工事の罰則・罰金の強化、これは、抑止力という意味合いを持たせなければ、ほとんど意味がないと。現状では意味がない。違法な工事の直罰化、つまり、工事をちゃんと直しなさいではなくて、違法な工事があったらすぐに、その違法な工事があったということで罰則を科して罰金を徴収すると、そういうふうな直罰化が必要であろうということです。それから、アスベスト除去工事の分離発注、これは、この委員会でも何度もお話しされている点だと思います。それから、工事発注者の責任の明確化、これも、ちょっとあいまいに言っていますけれども、どうしたらいいかはわかりませんが、少なくとも、工事発注者の責任の明確化というのは重要なポイントであります。それから、アスベスト業者のライセンス制、測定業者の客観性の担保、それから、抜き打ちの立ち入り検査が必要であると、この7点を挙げました。
     9番として、それぞれの理由を若干挙げています。a、bについて、罰則の強化、直罰化については、事業者はアスベスト工事のプロである。それを立ち会う行政、自治体職員というのは、実はいつもアマチュアなんです。2年、3年で異動してしまうから、いつもアマチュアがプロの工事を監視するという構造になっている。それから、工事のごまかし、手抜きは直接利益につながってしまうということがあります。それから、抑止力としての廃棄物処理法違反は、これは、罰則3億円という32条があるのですけれども、それに近い罰則がないと、なかなか抑止力としてきかないであろうと。それから、機械的に適用される直罰の適用。これは、法的罰則というのが適用されないと、業者は実は甘く考えているというのが現状です。それから、c、d、fです。除去業の分離発注、工事発注者の責任の明確化、測定業者の客観性の担保については、汚染者負担の原則、これは、建物所有者は発がん物質を管理しなければならない責任があるということが原則です。その上で、適切な除去を行わせる責任、漏えいさせた場合は直接問う仕組みが必須であって、そのために調査、解体工事、アスベスト除去工事、測定を分離して発注し、管理する必要性があるということです。それから、eにつきましては、アスベスト除去業者のライセンス制です。これは、除去業、測定業のライセンス制または登録制と、それと、違反によって資格停止になるということが前提になっていなければ、これは意味がないであろうと思います。それから、g、抜き打ちの立ち入り調査が必要という点については、アスベスト除去業は証拠が残らない事業であると。手を抜けば、それだけ業者は利益を得るという構造になっておりますので、抜き打ちの立ち入り調査をして、いつでも安全な工事をやっているということの確認が必要であると思いました。
     以上、私のほうからの意見、現状のご紹介というふうになります。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ご質問、ご意見がおありの方は、どうぞ名札をお立てください。──よろしゅうございますか、今はお一方だけですが。ちょっとお待ちください。ほかにいらっしゃいますか。今、3人が手をお挙げになりました。ほかにはご質問はございませんか。
     それでは、外山委員、それから内藤委員、そして、近藤委員の順番でお願いします。

    【外山委員】 一つだけお願いします。リスクコミュニケーションのよい事例について聞こうと思ったのですが、もう既に書かれているので、永倉さんの立場から見て、リスクコミュニケーションの重要性というのでしょうか、立場の違う人たちが協議をして、対策を決定していくということの重要性辺りについて、お話しいただけたらと思います。

    【浅野委員長】 内藤委員、どうぞ。

    【内藤委員】 今回のご報告を伺いまして、これらは、恐らくは、労働という現場におけるところの労働安全衛生法、及び、その諸規則によってコントロールされているところと理解しております。そちらの行政罰をもって、使用者に対して規制をしている分野であるわけですが、貴センターのただいまのご報告から伺いますと、8、結論のところにありますように、現行の罰則等では軽過ぎる、あるいは、足りないというご意見でございましょうか。その点についてのご見解、もしくは、その抑止力強化ということについてのご意見をいま少し賜りたいと思います。

    【浅野委員長】 近藤委員、どうぞ。

    【近藤委員】 9番目の理由のところのc、d、fのところですけれども、汚染者負担の原則ということで、分離発注する、あるいは、管理するというのは、発注者がやるべきだというご意見なんでしょうか。これは、実際的には、元方事業者が責任を持つということではだめなのでしょうか。

    【浅野委員長】 ほかにございませんか。
     それでは、今のお三方から質問が出ましたので、お答えいただきます。

    【永倉(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)】 まず、外山委員のリスクコミュニケーションの事例ということですが、旧新宿厚生年金会館は非常にうまくいった事例の一つだと思います。そのほかにも、実はいろいろ、リスクコミュニケーションということで、江東区のほうのあるお風呂屋さんの解体工事の件とか、大田区のほうのマンションの解体工事などで、住民と業者との説明会に我々が参画して、業者の了承を得て立ち入り調査を行って、アスベストの確認を行って、よりよい工事になったという事例はほかにもございます。そういうことで、手間もかかりますし、いろいろ議論も出ますし、時間もかかるということがありますが、そのことで、リスクコミュニケーションを実践することで、よりよい工事になることは間違いないと私どもは思っています。ただ、それを誰がどのようにやるか、これをなかなか法制化するということは難しいのかなと思いますが、これはぜひとも、ある一定の要件を示すことで実現できるような、それがどこでも行えるようなものにしていってほしいと思っておるところです。
     それから、内藤委員のほうからの罰則の問題ですね。罰則が現行法では足りないのかということですが、現実的には、違法な工事の罰則というのは、ほとんど今、適用されていないのです。例えば、労働基準監督署が、自治体の環境課みたいなところが立ち入り調査をして、これはちょっと違うじゃないかというようなことで指摘はするけれども、指摘の根拠としての法文の罰則・罰金というものはありますが、それが実際に適用されていない。このことが、その業者にとっては、今、どうせ適用されないのだというところに意識としてつながっていると私は考えています。そういうふうに考えますと、やっぱり、罰則を大きくすること、また、直罰化することで抑止力を働かせるということが必要だということが私の現時点の意見であります。
     それから、もう一つ、c、d、fのところですね。発注者だけに責任を持たせるべきかというと、やっぱり、事業者と発注者とのバランスというものもあるのかと思います。ただ、現状では、発注者がほとんど責任を問われていないという法体系になっています、配慮義務だけです。そういう現状で言うと、発注者がいつも隠れてしまって、私たち業者の工事説明会でも発注者が出てこない。ほとんど出てきません。このことによって、工事の費用について、なかなかその事業者が、安全な工事をしようという費用を発注者に出させるという方向に議論が向かわないのです。ですから、そういう意味では、発注者と事業者双方がリスクコミュニケーションに参画するようなことが実現すれば、その中で、工事費用が安全な費用、事業者が安全性を高めるような工事に結びつくと考えておりますので、これは、事業者、発注者の両者に対して責任が分担されるべきだと考えております。
     以上です。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     予定時間よりもまだ少し余裕がございますが、追加的にご質問はございますか。──よろしゅうございますか。
     それでは、特にご質問がないようでございますので、どうもありがとうございました。
     それでは、続きまして、日本アスベスト調査診断協会の本山様からご発表いただきたいと思います。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 ただいまご紹介いただきました日本アスベスト調査診断協会、幹事長、本山でございます。一般社団法人九州アスベスト調査診断協会の協会長もさせていただいております。
     それでは、このチャンスをいただきまして、本当にありがとうございます。建築物の解体現場における現状と課題等について、ふなれな点がございますけれども、真摯にご報告をさせていただきたいと思います。
     まず初めに、私たちは、新たな被害者をつくらないためにという合い言葉で、この数年間、活動をやってまいりましたし、研さんを積んでまいりました。阪神・淡路大震災等の教訓を生かして、今後、全国各地で想定されている、大規模災害におけるアスベスト飛散曝露防止対策を検討してまいりました。具体的には、平常時におけるアスベスト飛散防止対策について、災害が発生する前に各地域にて対策を講じる必要性を訴え、3年前より活動をしております。
     アスベスト含有建材についての高度な知識を持つ我々、ここまで言い切ってしまうと、のぼせている感じがありますけれども、勉強させていただいておりますが、アスベスト診断士有資格者には、建築施工管理技士、建築士、不動産物件管理者、設備施工経験者、それから、作業環境測定士など、多くの専門分野のメンバーがおります。これらの専門家の知識と情報を共有し、精度の高い調査診断を行っていくために、全国組織を立ち上げております。それが日本アスベスト調査診断協会で、通称NADAというような表現をしております。
     建築物の解体現場における現状について、羅列的にちょっと挙げてみました。時期的なことや地域的な場合があるかもしれませんけれども、分別解体が行われていない事例が見受けられます。事前調査後に新たに吹きつけアスベスト・石綿含有建材が見つかり、手抜き工事、石綿含有建材の不法投棄、所有者、発注者と施工業者間などに問題が起きている。施工前調査では、予算、工期等がないがしろにされやすいと思っております。石綿含有建材等の調査診断を急ぐために「みなし」が多用されて、所有者、発注者の費用負担増や、最終処分場の埋立区分不足にもなると考えています。石綿含有建材の作業計画書作成確認が行われにくいために、施工上の問題が発生していると思います。これは事例ですけども、最近は鉄骨造、鉄筋コンクリート造の解体工事が増加しており、3階以上の建物では、床の開口部よりアスベスト含有建材を投下する事例を目にするケースもありますし、1階、約3メートル投下するだけでもかなりの破損は免れないのに、特にひどいケースでは、5階から1階へストレートに投下する事例も見受けられると報告も受けております。ある解体現場では、事前調査でみなし建材となっている天井材の解体で、天井材が床に細切れに散乱していて、軽天バーにビスが残っていました。明らかに、バールを使用して、手作業で天井材を撤去したものと思われる解体が行われています。
     これからご報告をさせていただく事例の中には、どうしても解体が手ばらしができない、この部屋の天井材は岩綿吸音板で、皆さんご承知のとおり、二重張りでございますので、手ばらしのできる施工にはなっていないということで、それは後ほどまた写真でお見せさせていただきます。
     全国の建築物の解体現場の事例でございます。こちらのほう、結婚式場の解体が事前調査なしで、近隣住民の苦情などで行政指導が行われまして、一時工事が中断した事例です。ロックウールと思われる吹きつけ材と、レベル3の成形板が混在する現場、この現場は、本当に含有していたとするならば、吹きつけ材がロックウールを含有していたとするならば、除去の工法に関してもかなり難易度が高いものになったのではないかなと想像されます。ちなみに、このロックウールには含有しておらないという報告書が出ております。
     それから、同じ現場です。この現場の中で、解体後の再生クラッシャランがつくられて、レベル3の押出成形板は粉々になって、粉じんは舞っているはずだということで、もちろん、これはただ単に写真を撮っただけではありませんで、地元の労働基準監督署とご相談をさせていただきながら、あれは成形板のはぎれじゃないかということもかなり強くお話しして、行政にお願いしたという状況でございます。下のほうの写真は分析の結果表でありますし、解体等の作業に関するお知らせは入っていないという看板が下げられていたということの写真です。
     二つ目ですが、看板には含有なしというような掲示が出ておりますけれども、実際的には、分析をさせていただきましたら、含有しておりまして、この状態で、もちろん地元労働基準監督署とお話をさせていただいたところ、現場においでいただいたようですけれども、この翌日、雨の降る中、撤去されてしまっていました。
     続きまして、こちらの例も、初めは、足場等の設置が見えますので、解体が始まるのかなと思っておりましたところ、外壁の一部を解体して、内部のほうを分別解体されている間は、こういう掲示物は一切なくて、一般の目には何をやっているのかがわからない状況でありました。分析結果表というのは、実は、ここに赤い丸がありますけれども、ここにロックウールが吹かれている現状で、これを分析しましたよという結果を掲示してあるのです。実際はこの二つしか掲示していないので、この状態ではいかんともしがたいので、その旨、地元労基にもご確認をさせていただいて、労基からの指導があったやに聞いております。
     これは、先ほど言いました、天井材と同じつくりの部屋です。これは、手ばらしがこういう状態で、例えば、部屋を隔離するわけではないのですが、より安全のための簡易隔離と、表現があまり適切ではないと思いますけれども、こちらのように、作業計画を立てるときに成形板の重要性を訴えるために、労働基準監督署と打ち合わせをさせていただいて、このような飛散抑制剤をふりながら簡易隔離をして除去をするというやり方の提案をさせていただいております。この場面におきましては、粉じんの濃度を測定して、飛散抑制剤をふらなければ非常に危険なのだということの、我々もデータを欲しいということで、一度空気中濃度を確認させていただいた写真です。
     それと、この二つにおきましては、飛散抑制剤を、結果的にはこういう状況の部分に出くわしたものですから、こういう解体の仕方はだめですよということをご指導申し上げる中で写真を撮ることができましたので、これは皆さん方にお見せしたいと思いまして、二重張りになっていて、岩綿吸音板がタッカーでとまっているという現状です。この石膏ボードは不燃番号2015という材料でございますから、石膏ボードには含有していない。しかし、タッカーで、接着剤でとまっているものですから、どうしてもこういう解体の仕方をせざるを得ないので、出入り口にビニールでとめて、そして、とめてというか、完璧に目張りをするという意味ではなくて、空気の出入りを非常に少なくするという意味で、飛散抑制剤をふりながら解体をするという提案をこの場所ではさせていただいて、より安全を目指してくださいということのご指導をさせていただいております。
     こちらは、ホテルの解体の写真でありますけれども、一見すると、普通に行われている解体のように見えるのですが、この業者さんにちょっとお伺いをして、機械室に吹きつけられた岩綿なんかはなかったのかと、配管なんかもなかったのかと話をさせていただきましたところ、掲示してあるとおりですというようなお話をいただいて、でも、私どもにはそれ以上の権限も何もありませんので、注意喚起をするのにとどまりますけれども、こういったことも我々としてはデータとして集めて、意識を高めているというところでございます。
     それと、こちらは、ビルの解体の現場において、看板表示もありませんでしたし、分別解体も行われていないという現状が見える現場です。ここのアップを、ここに写真を大きくさせていただいていますけれども、これだけで、分別解体が行われていないというような証拠写真というふうに思います。これも行政のほうに確認申し入れをさせていただきましたし、労基とも打ち合わせをして、安全にいくようにということでのお話をさせていただいております。
     こちらの写真を見ていただきますと、東北のほうの写真であるということはもうわかられると思いますので、復興活動における途上のこういう石綿飛散のおそれのある状況であったということで、非常に残念な解体状況ではないのかなと考えております。
     こちらのほうは飛散抑制剤です。水でも可、湿潤化というふうにありますけれども、これはとても飛散抑制がされている、湿潤化されている写真には見えない。この2カ所のバックフォーの粉じんというのは、分別解体もされないまま、RC造の建物、もしくは、一部S造の建物をぐちゃぐちゃに壊している写真、そして、マスクをつけていない作業員がいるということで、このマスクの着用状況というものも非常に、マスクという品物がないということの現状があったやに思います。これは昨年の8月の写真でありますが、こういう状況で、N95をつけていらっしゃる方もマスクをつけていない方も現場的にはあったということで、非常に残念な状況ではなかったかなと思っております。
     そして、これもやっぱり同じように、分別解体ができていない、そして、この現場においては、飛散抑制のための散水も実施できずに解体されているという現状でございます。そして、石綿則・大防法の掲示が見当たりませんよというお話をしたら、吹きつけ石綿が除去された段階で掲示を外しておりますとおっしゃるので、それは法律違反ですよと。きちっと最後まで、解体が終わるまで掲示してくださいというお願いをさせていただいております。これは、マスクは、法律に沿うRL3を薦めたと書いておりますが、実際的には、通常の風邪引きさんマスクをはめておられて、私たちの姿を見たらマスクを取りかえられたという現状があったので、そういうことで、何かしらの動きを見せれば解体業者の方々も意識が変わるということで、住民、それから、私たちもともに安全の意識を高めて、そういう解体現場を見るということが大事なことではないかなと思っております。
     それと、この写真におきましては、この部分が1階の部分です。2階はそのままなんですけど、1階はこの部分がアップで、この写真になるわけですが、よく見ましたら、ここにロックウールの吹かれた跡が見えまして、ロックウールの吹かれた跡があって、手前のほうだけを解体しているとはどういうことかと考えたら、分析をせずに解体をしているので、もし入っていたら大変なことに、逆だと思うのですが、工期が延びる、それから、金額が上乗せになるということで、恐らく、慌てて解体をしたのではないかという想定を私がしたのです。言われたわけではないのですけど、そういうような感じを受けた現場です。それで、この分析におきましてもさせていただきましたが、含有せずの物件でございましたので、一安心といえば一安心なんですが、こういう工事が横行しているのでは困ったものだなと考えております。
     看板の状況です。これは、一つの現場ですので……

    【浅野委員長】 恐れ入りますが、時間がもうそろそろ来ておりますので、急いでおまとめください。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 はい、ありがとうございます。
     作業所内の養生の状況も入れておりますが、適切な養生かどうかということの問題提起をしたかったと思っております。これは現場の内部での養生状況でありますけれども、アモサイトの含有現場でマスクをつけない下請の代理人がいたり、N95のマスクをはめていたりという現場でございます。
     それで、我々が提案というふうに考えておりますのは、事前調査の徹底、分別解体の徹底等の実施ということで、事前調査とその時期を、所有者、発注者が解体、改修等の計画を立てるときが望ましいのではないかと。所有者による発注前の調査を大防法にて、そして施工前調査を石綿則にて、ダブルで確認することが望ましいと考えています。そして、石綿事前調査を、石綿に関し一定の知見を有し、的確な判断ができる者に調査をさせることが本当に大事である。そして、その者は発注・所有者側でも施工・除去側でもない者が望ましいのではないかと思っております。
     2番目、所有者、発注者の費用負担増や最終処分場の埋立区分残量の軽減のために、的確な石綿含有建材等の調査診断の実施を行うことにより、みなしの石綿含有産業廃棄物が減り、一般産業廃棄物にての処分等での処分を増やすことにつながるのではないかと。
     そして、3番目に、石綿含有建材等の作業計画書の確認を行うということで、石綿含有建材の作業計画書の確認及び解体途中の写真の提出及び完了の書類の提出をして、この建物がどういう形で解体していったのかということを確認できるシステムが必要だと、しかも、これを全レベル共通でやるべきだというふうに考えております。
     以上、報告と我々の意見を出させていただきました。ありがとうございました。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまのご報告に対してご質問がございましたら、どうぞお願いいたします。
     いかがでございますか。お一方だけ手を挙げておられます。
     それでは、外山委員、どうぞ。

    【外山委員】 幾つかお願いしたいと思います。
     初めは、JATI協会さんと同じで、これは私が配付した新聞記事ですが、この中で、私たちとしては、アスベスト診断士の登用を、厚生労働省に対して撤回してくれという申し入れをしました。申し入れの中で、旧石綿協会が認定しているという表現がありますけれども、この辺りも含めて、あるいは、モラルに反するという点も含めて、反論ですとかコメント等がありましたら、ぜひお願いしたいというふうに思います。
     それから、もう一つも、先ほどの質問と同じなので、詳しい説明は省きますが、やはり、利益相反ということが、除去をやったり調査をやったりということは企業家の中でも出てくると思うのですが、そうしたことを禁止するような規定があるのかということが2点目。
     それから、貴協会に登録するための条件は何かということです。
     それから、あとは、診断の精度を担保するための方法はあるのかということ、チェックをする方法、あるいは、標準仕様ですとか、マニュアルですとか、そういったことがあるのかということをお聞きしたいと思います。
     それから、もう一つ、最後、これも同じですけど、リスクコミュニケーションの面で、特に、住民ですとか地域の方ですとかという立場の違う方と協議をしてうまくいったような事例がもしあれば、お話しいただきたいと思います。
     以上です。

    【浅野委員長】 ほかにご質問はございますか。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 質問の内容としては、先ほどの外山委員の内容と全く一緒になるかもわからないのですが、診断士の資格を持っておられる方が、いわゆる認定の問題があるというふうに言われているのですけど、では、診断士の認定についてどうしたらいいのかについて、何かご提案があったら、教えていただきたいと思います。

    【浅野委員長】 ほかにございませんでしょうか。
     それでは、ただいまのご質問に、どうぞお答えいただければと思います。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 外山委員のほうからの1番のこのコメントですが、私どもはびっくりしたといいますか、驚いておるところでございます。独自の、後ほどの質問とも重なってくる部分がありますけれども、認定していただいたアスベスト診断士という資格を取って、自分たちのいかに知らないかということが、やはり得意分野、不得意分野というものがございますので、私たちは協会をつくり、自分たちの情報を共有して、それから、その調査の手法というものも、どれが一番、どういう形が一番いいのかということで、一つの提案をして、それを重ねて研さんをしていくというシステムを、名前的にはダブルチェックシステムと内々では言っているのですけれども、そういう研修を、各協会、年に1回、もしくは、2回というようなことで研さんを積んでいるところでございまして、こういうお話でアスベスト診断士のお名前を出していただいて、自分たちが研さんする時間をつくっていただいたことに関しては大変ありがたいというふうに思っておりますし、より一層気合を入れて頑張って、こういう間違いを絶対に起こさないシステムづくりというものを今後つくってまいりたいと思っております。
     それから、登録の条件ということでございますけれども、基本的には、今申し上げましたダブルチェックシステムという我々独自の調査方法、重ねて調査をする。確認をする。一次スクリーニングで主任調査員が書面調査しましたものを、協会審査員がチェックを入れるということで確認をする。そして、現地に入る前に、書面調査からでき上がりました、ピックアップができましたワークシートを持ちまして、今度は現場に入ります。その現場に入るときには、例えば、この部屋ですと、床、幅木、腰壁、壁、天井、そして、懐というものの確認をさせていただいて、アスベストの含有物はどうなのかということのデータを一部屋一部屋つくりまして、それを現場に持ち込む。その段階で、もう既に、例えば、こういう岩綿吸音板でありますと、16年以前ですと含有物の可能性があるということになりますので、そういったもののデータは絶えず持っているので、つけて持っていく。そのとおりの材料かどうかの確認をするということで、現場に持ち込みまして、2次スクリーニングにおきましては、それが本当に設計図書どおりに使われているかということの確認を主任調査員と現地調査員が調査をしまして、協会審査員が、またチェックされたとおりになっているかということの確認をする。
     そして、最終的に報告書を仕上げるわけですが、それも、主任調査員が主になってやりましたものに関して、協会審査員がもう一回目を通して、写真、各部屋の写真とサンプリング状況でありますとか、調査をやっているときの状況でありますとかという写真を、全室の確認をさせていただいて、報告書をお持ちしてご説明を申し上げるというシステムでございますけれども、そのような形の研修会をやらせていただいて、その研修会に参加しておる者で、我々とすれば、もう少しその成果の確認というのはするべきだろうという論争をしておりますが、今のところは、講習会を受けてされている方を登録という形で検討を先に進めているところであります。

    【浅野委員長】 4番目の質問は、診断をするときの精度をどうやって担保しておられるかということですが、今のお話ですと、要するに、研修会という形でのメンバーの間の診断技術については、できるだけ向上を図るということ。それ以上に、何か診断の精度担保のためにマニュアルがあるとか、あるいは、何らかのスタンダードをつくっているというようなことがあるのかというのが、多分ご質問の趣旨だと思います。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 ありがとうございます、すみません。
     今、スマホとかコンピューターにいろんなソフトがありまして、ドロップボックスというようなソフトとか、エバーノートとかいうソフトがございますので、そういうソフトを活用して、我々のNADA特有の、みんなが共有して見られるドロップボックス、つまり、外部のハードディスクを持って、誰でもアクセスができるようにしております。IDパスワードは必要ですけれども。それの中に入っているデータを自分のコンピューターに取り込んで、新しければ新しいという表示が出ますので、取り込んで、エバーノートに入れていって、それがあるかどうかを検索して確認するというシステムを今つくっておりますので、そういったもので、全国各地の、北海道から九州までのメンバーが検索をして、これは新しいデータだということを、ある部分においては、そういったものをみんなで共有しようと。もちろん、それが本当なのか間違っているかということもありますので、そういったものは絶えず確認をさせていただいている状況にあるというふうに思います。マニュアルというものは、つくりたいと思っておりますけど、今のところ、まだそこまではいっておりません。
     リスクコミュニケーションに関しましては、確かに、違ういろんなご意見をお持ちの方々と、こういう協議の仕方をやれれば大変にありがたいと思っておりますが、私たちのやっております活動、それから、調査の手法というものをご説明させていただく機会をいただきますれば、その機会を活用させていただいて、そういう方々といろんな意味での連携をさせていただくと、より一層安心・安全であるという調査システムになっていくのではないかと思っておりますので、そういうチャンスをつくりたいです。今、例としてはございません。
     一応、以上、お返事とさせていただきたいと思います。
     小林委員さんの診断士の……

    【浅野委員長】 診断士制度があるわけですが、診断士の資格の認定をしていくことについて、何か具体的なご提案がないかというご質問だったと思います。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 ありがとうございます。
     私どもも、自分たちで絶えず満足しておるわけではありませんで、JATI協会の資格の生みの親でございますので、いろんなご意見を出させていただいております。研さんをする場所、それから、更新研修をする場所の中で、こういった研修ができませんかとかいうようなことをお話しして、JATI協会さんでできないようであれば、我々独自でそういう研修の機会をつくるとか、実際のオン・ザ・ジョブでの建物は、自分のところの資産除去債務みたいな話になりますので、簡単に扱っていいよと言うビルのオーナーさんはおいでになりませんけれども、そういうお話をさせていただいて、実際の訓練というものをしていけたら、より一層メンバーにきちっと伝わっていくというふうに考えて、今、そういったことも思っております。

    【浅野委員長】 あと、外山委員からのご質問の2番目です。お答えがまだ漏れていると思うのですが、協会として調査を行うという業務と、その後の除去という業務を行う場合に、同一の人がやらないようにといったような倫理規定的なものがないかどうかという質問があったと思います。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 ありがとうございます。すみません、漏れました。
     私ども調査診断協会は協会で調査をやります。ですから、第三者的立場で動かなければいけないということで、協会での除去とか調査以外の仕事というものは、基本的に、コンサルティングはぜひやっていけたらなと思っていますが、まだまだ我々には実績が足りませんので、まだそこまでには及んでおりませんけれども、できるだけ基本的には調査診断しか行わないということで、今、協会内部ではきちっと統一をしているところでございます。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     外山委員、よろしいですか。──よろしゅうございますか。

    【小林委員】 1点だけ確認というか、お聞きしたいのですが、この課題1の中の一番下のところに、発注・所有側でも施工・除去側でもない人がいいというふうに書いてあるのですが、実際に、今、協会に入っておられる診断士で、そういう完全な第三者的な立場の方と、こういう業者に所属している方の比率というものはどうなのかというのが1点。
     それから、もう一つは、第三者になっている方が、それだけで自立できるだけの事業量があるのかどうか、できたら教えてほしいのですが。

    【浅野委員長】 では、今の2点、簡単にお願いいたします。

    【本山(日本アスベスト調査診断協会)】 事業量はございません。
     それから、協会内部として、この考え方というのは、自分たちが調査したものにおいては絶対に除去をやらない。つまり、その人が関与したものについては除去はやらないという、除去業者の方のパーセンテージを出したわけではないので、はっきりわかりませんけど、二、三割の方は除去業者さんかなというふうに思いますけれども、各協会によってパーセンテージが変わりますので、そういった一つのルールは、やはり明確に今後していかなければならないのかなと思っております。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、参考になるお話をいろいろありがとうございました。
     では、本日のご報告の最後でございますが、株式会社EFAラボラトリーズの亀元様からご報告をいただきたいと思います。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 EFAラボラトリーズの亀元です。私たちのラボと、あともう1社、コンサルをやっているEAIという会社はアスベスト工事の監視の仕事をしています。今日は、そこでの得られた知見と、お客さんが外資さんで、アメリカの法規制の観点でいろんなことを指示されるので、そういったところから得られた情報も含めて、アメリカでどんなふうにしてアスベストの法規制が強制されているかという点についてお話ししたいと思います。
     まず、現場でお施主さんとかいろんな人たちと話した話のちょっと気になった言葉というのを、これは全部事実の話です、ピックアップしてきました。お施主さんの言ったことで、みんな除去業者が雇った分析会社がエアモニして、工事中は全部「不検出」の結果が出ると。行政に届けた完了報告書も問題なく受領されるのだからと。もし、30年後、隣の人が中皮腫になっても、行政に出された報告書は問題がないのだから、その因果関係を証明できないでしょうと。
     元請さんが言ったことです。調査で見つからない、イコール、アスベストはないのだからねと、そういった話です。ほかにもあるのですけれども。
     解体業者さんが言ったことです。レベル3の専門除去業者というのは聞いたことないよと。大体おれら解体業者がやっているんだよねと。あと、産廃の積み出しのときに、建物のゲートが開くのですけど、今の産廃の積み出しでゲートを開けて、建物内の空気がやっときれいになったねと、そういう話です。
     あと、アスベスト除去業者さんたちが言った言葉です、今度の行政の担当はちょろいよと。あと、これはフィルター、除じん機でアスベストが漏れた事例なんですけど、おれたちの調査会社は空気測定結果がNDだったと言っているのだから、漏れるわけがないのだよと。
     あと、環境測定調査分析会社さんが雇われていた業者さんが言ったことです。あまり高いデータを出したら、仕事が来なくなるからねと。
     いろいろあるのですけど、日本の現状というのは、お施主さんが頂点に立つ利益相反関係の構造というふうに私たちは見ています。先ほどから利益相反関係の話がちょっと出ていますけど、どういうことかというのをもう少しきちっとしたいと思うのですが、非常にわかりやすいのは、アスベストの粉じんが外に出て、人々の健康に被害を出さないようにしなければいけないという義務を守るプロフェッショナルな考え方と、いや、安くやろうとか、早くやらなければいけないという個人的な利益、その両方が拮抗する状態、それが利益相反という感じです。
     あと、ちょっと失礼かもしれないですけど、ここで今度、法規制を、先生たちが、きちっと国民の健康被害を出さないようにするということを考えていらっしゃるのですが、ここできちっとした法規制をつくらなければいけないという義務と、いや、法規制で厳しくするのはたいへんだから、適当なところでそこそこに。これもある意味コンフリクト・オブ・インタレスト、利益相反という考え方です。とにかく、そういったことというのは非常によくあるので、ここで気をつけなければいけないということをちょっとお話ししたいと思います。
     この構造は、お施主さんを扇のかなめみたいな形にして、お施主さんは神様だと。その下に元請さんに安く早く。元請さんは責任施工だという形で頑張っておられるのですけど、元請さんの下に解体業者さん、除去業者さん、大気測定業者さん、廃棄物運搬処理業者さんといらっしゃるのです。全部、早く安くというプレッシャーがかかっています。アスベスト建材調査をやるところは、アスベスト建材は少なくという、そういったプレッシャーがあります。実際、私たちが立ち会ったところで、意図して取らなかったのか、見落とされたのかはわからないですけど、採取されないといった状況がありました。あと、先ほどの分析会社さんもそうですけど、低い値を出せというプレッシャーが非常に強いという状況です。
     これから、アメリカでどんなふうにして強制力がある法律が施行されているかということをお話ししたいと思います。アメリカのアスベストの法規制というのは、Asbestos NESHAPとAHERAという二つの法規制があります。この中でいろいろ書き出していますけど、それについて個々に説明したいと思います。
     Asbestos NESHAPというのはEPAがつくった法律ですので、EPAは一般国民の健康に影響を及ぼす有害な空気汚染物質の曝露を防ぐという、ある意味、環境省の大気汚染の担当の部署と一緒の状況なんですけど、そういったことを規制している。大気汚染防止の観点から、一部、その労働環境みたいなところ、除去業者さんがやることも含めて、大気汚染発生源規制の立場からかなりのところまで強制する仕組みになっています。
     Asbestos NESHAPというのは、アスベストを取り扱う活動の中で、繊維飛散を最小にすると、その中で重要な話というのは、成形板も入っているということです。成形板の話では、研磨、破砕、切断、削り取り作業はアスベスト粉じんを発生させると。1970年の当時からそういったことを見ているということです。
     ここで重要なのは、大部分がお施主さんとオペレーター、元請さんとか管理者の責任の行動規定ということを述べています。例えばなんですけど、お施主さんまたは元請さんは、解体工事についてはすべて、また、改修工事については、80メートル以上の長さ、15平米以上の面積を超えるものについては、必ず行政に届け出をしなければいけないということがあります。そのときには調査をしていなければいけないという前提条件もありますけど、そういった届け出の義務があります。それと、日本は、解体・改修工事と同時にアスベスト除去工事というのが行われています。そういったことがないようにするということが条件としてなっています。
     次に、AHERAのほうの話をしたいと思うのですけど、これは、もともとは、子供の学校でのアスベスト曝露を低減するために、アスベスト建材調査と管理、または、対策工事を遂行するように、随分前なんですが、1986年につくられた法律です。AHERAの中で特徴的なのは、日本だと、アスベストの対策、イコール封じ込め、囲い込み、除去の3つなんですけど、実際問題限られた予算で、すぐにアスベストが除去できるわけではないし、たくさんの学校があるし、地方の教育委員会がそれを実行していくのですけれども、その中でも、5番目の、アスベストが飛散しないように、建材をよい状態に保つというオペレーション・アンド・メンテナンスという考え方を出したことです。この考え方が、1986年のころから、アスベスト含有建材が使用されているビルの建物所有者たちに広まってきました。さらにこれにより、解体とか改修工事直前にアスベスト調査をやるのではなくて、事前に調査をするという流れが出てきています。
     AHERAの中で特徴なのは幾つかあるのですけど、資格研修、法律の中でアスベストの工事または調査、また、関連作業をやる人たちは資格研修をやりなさいということで、何日間の講習をどの人から受けなければいけないということが規定されています。1987年にEPAが州政府にそういったことを要求して、六つの資格コースがあります。1クラスは25人以下。たくさんいると、きちっと教育できないということです。あと、実地訓練があります。クローズドブックで、100問または50問試験で、70点以上が合格です。毎年、州政府はリフレッシュコースをやらなければいけないし、3年ごとの資格更新試験をやらないといけないです。
     次は、六つの資格の内容ですけど、これらの認定資格保有者たちは、アスベストの作業をやるためにコミットしている人です。だから、安く、早くとかのコンフリクト・オブ・インタレストはない人たちです。アスベストの調査をきちっとやると。アスベスト関連業者さんというのは、そういうコミットメントで作業をしたり対策工事を行うと。また教育コースですが、アスベスト対策業者さんと、その監督者さんと、それぞれ5日間とか4日間とか、アスベスト建材調査者さんは3日間、アスベスト管理計画者、建物の中にアスベストがあるときに、それをどういうふうにマネジメントしなければいけないか、対策の優先順位をどう考えるかという、そういったことが合計5日間のコース。あと、アスベスト対策計画を実際につくられる人、3日間の対策現場検査と対策設計実地訓練です。あと、対策工事監視者。これは、ビルオーナーを守るために、その代理として、アスベスト対策業務が計画どおりに、安全に、かつ、法を遵守して行われているかどうかを監視する人です。これも5日間です。この対策工事監視者たちが、これから述べますけど、クリアランスサンプリングというのを行います。
     また、それの研修を受けた後、認定をしていくわけなんですけど、これで、各州政府、国も含めてですけど、登録していくわけです。いろんな事故があるということを想定して、事故をバックアップするために、保険に入って登録します。専門家が間違って判断したとき用に、1ミリオンダラー、8,000万円ぐらいの専門事業者賠償責任保険です。あと、除去業者さんも、飛散させた場合用に、この対策請負業者賠償責任保険をもって登録しなければいけないという形になっています。
     そして、州政府は、違法行為とか、資格を変なふうに使ったりとかした場合は、取り消しをします。あと、罰金もあります。州政府間の相互運用、これは、1986年にこういう法律が施行されたわけなんですけど、当時はすごく大変だったわけです。国が言っていて、それを50の州政府が受け入れなければいけなくて。国のほうは、その中で、州政府間と相互的にコミュニケーションをして、規制のときにどういうふうなペナルティーを出したらいいのかとか、実際、どういう頻度で現場に行ったらいいのかとか、対策技術、分析技術等いろんな最新情報を共有し、具体的に、行政官、専門家、調査会社さん、いろんな人が検討するナショナル・アスベスト・コンフェレンスですか、NACという略ですけど、そういったことをプロモーションしました。あと、国と州政府でデータベースを管理して、違反者については違反歴も管理できるようにしていました。
     また、利益相反の関係ですけど、先ほどのお話も出ていますが、クリアランスサンプリング会社は、アスベスト対策工事の会社から直接受注してはいけないということです。アスベスト対策計画を策定した者は工事を行ってはいけないと、こういったものです。あと、お施主さん、または、元請さんに利益相反関係がどうやって排除するかということで、認定業者さんの経歴をチェックしなさいと、こういったことは簡単にできると思うのですけど、あと、3社間入札をやりなさいと。これはガイドラインレベルの話なんですけど、最近の過去三つぐらいのプロジェクトについて、前の発注者にリファレンス、評判を聞いてくださいとか、とにかく、契約書の中に利益相反関係がないということを保証する項を追加しなさいとか。クリアランスサンプリングは後で話します。
     規制する側と規制される側の関係ですけど、アメリカは、国、州、市、郡、それと、さっきの規制されるビルオーナーさんとか、許可を受けた除去業者さん、調査会社さんです。特徴はいきなり訪問です。工事現場の届け出が出ているのですけど、規制間がいきなり行くということが特徴になっています。
     あと、罰金の話をちょっと。当初の法規制の中では1日2万5,000ドル、20万円弱で、間違いがあるとか違反が見つかると、それが直せるまで、毎日、毎日かかってくる。最近は1日3万7,500ドルとか、EPAのリージョン4のエリアですけど、そこではそういった罰金も出てきています。
     2011年のAHERAの方の関連するタスカの強制執行予算というのは、EPA全体で4億円ぐらい、これはアスベストだけではないのですけど、そういった法執行を強制する予算をとっています。また、カリフォルニアは、2002年の罰金の総額が8,000万円だったとか、そういった形で、非常に厳しく罰金というものをやっています。あと、罰を受けた会社とかそういったものは、必ずニュースレターに出て、EPAのいろんなリージョン、または、州政府のウェブページに出ています。
     グーグルでアスベストとバイオレーションと入れると、こういうものがどんどん出てきます。これは2007年の事例なんですけど、最近でも、2012年のニューハンプシャー州のものなんですが、880万円の罰金という形です。何の罰金かというと、解体工事の届け出なし、アスベストの調査なし、アスベスト建材(屋根材、pタイル)を除去せずに解体、適切な湿潤化なし、養生シートなし、アスベスト廃棄物適正梱包・ラベルなし。しかも、除去業者さんは、今、破産申請中なんです。でも、ニューハンプシャー州は、それでも罰金を徴収するということを、裁判所から罰金徴収許可をもらう予定でしています。
     皆さんに配付した資料の後ろのほうにニューヨーク市の20ページに及ぶ罰金リストというのを添付していますけど、非常に執行しやすい、わかりやすい罰金リストです。虚偽の記述とか虚偽の文書とか、あと、ニューヨーク市環境部の立ち入り調査……

    【浅野委員長】 恐れ入ります。予定の時間を大分過ぎております。大変興味深いお話なので全部やっていただきたいのですが、一応公平ということがありますので。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 すみません。
     では、分析調査の話に入りたいと思います。
     AHERAのクリアランスサンプリングですけど、これは、日本とちょっと違って、除去シートを撤去するかどうかというのを判断するものです。アスベスト事業者さんをこの工事現場から解放するかどうかということをやる判断ですが、まず、除去工事が終わったら、とにかく養生シート内の完全掃除をやります。それで、雇われた工事監視官が入ってきて、取り残しのアスベストがないかとか、ぬれた布で表面をふき取って、ほこりがつかないかということを確認します。ここで、目視の段階でだめだったら、もう一遍やり直しということです。あと、クリアランスサンプリングは、養生シートの中と外で最低5サンプルずつ取って、アグレッシブサンプリング、ブロワーとファンを用いて養生シート内の空気を攪乱して、採取しています。それで、中と外の差がなければ解放、そうでなければ、また再度掃除というやり方です。
     AHERAサンプリングの中にはPCMの話も出ています。これは小規模な施設について言っているのですけど、そこはPCMだと、最低、養生シート内で5サンプル取って、全サンプルが0.01ファイバー/cc、10本ファイバー/リッターです。そのときには工事会社を帰してもいいと、養生シートを撤去していいという形で運用しています。
     これからまとめですけど、これはお願いしたいことです。所有者(発注者)の責任規定というのを、ぜひこの会で検討していただきたいと思っています。先ほども言いましたけど、扇型のかなめの頂点に立っていますし、お施主様は神様だという考え方から、法はやはり神様だという形に持っていってもらいたいと思います。
     あと、アスベスト関連業者の許認可登録です。違反者は仕事ができないと。違反者個人名付きのデータベースをつくるとことです。
     三つ目ですけど、先ほどのコンフリクト・オブ・インタレストです。これは、幾ら法律をつくっても、いろんなガイドラインをつくっても、ここの部分が抜けていると、不適切な結果または不十分な結果になる。最悪の場合は違法になる。ここのコンフリクト・オブ・インタレスト規定というのを絶対につくってもらいたいと思います。
     あと、罰則です。解消するまで工事をストップする。行政が執行しやすい罰金リスト。ある意味、それは教育的な抑止効果のある形でみんなが見る、見られるようにしておくということです。
     あと、5番目、レベル3建材というものも養生シート・除塵機でちゃんとやらなければいけないです。先ほどの業者さんが言っていましたけど、解体工事現場の産廃車両ゲートが開いたときに、レベル3建材の破砕で、出てきたアスベスト粉じんは道路に出ていきます。そこの道路というのは一般の人たちが歩いていますね。そういった状況を防いでもらいたい。またセキュリティーゾーンの前のサンプリングとか、そういったことをやるということを考えるのだったら、同時にレベル3建材を養生シートなしでやったりとかすると、何のアスベスト繊維をはかっているかがわからなくなってきます。
    最後、クリアランスサンプリングです。クリアランスが終わらなければ養生を撤去しない、テナントが居る中の工事では大事です。あと、アスベスト除去工事を他の工事と一緒にやらないということです。
     以上です。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまのご発表に対してご質問、ご意見がございましたら、お出しください。どなたかご意見、ご質問はございませんか。
     それでは、大塚委員が先だと思います。その後、森永委員、お願いいたします。

    【大塚委員】 大変興味深いお話をありがとうございました。
     1点だけちょっとお伺いしたいのですけども、最後のところで言われた所有者の責任についてですが、これは私も認めたほうがいいと思っているのですが、先ほど来、少し議論がありましたように、元請業者の責任との関係をどうするかということはちょっと問題があると思うのですが、これについて何かお考えがおありでしたら、教えていただきたいところがございます。
     以上です。

    【森永委員】 ちょっと細かい話で申し訳ないのですけども、28ページの上のAHERAのクリアランスサンプリングのPCM分析は、小規模工事の場合に適用して、基準値が0.01ファイバー/㏄ということなんですが、それ以外はすべてTEMで分析をしなければいけないという理解でよろしいのでしょうかということと、TEMの場合の基準値は何か書いてあるのでしょうか。あれば教えてください。
     以上です。

    【浅野委員長】 では、どうぞ、お答えをお願いいたします。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 大塚委員の所有者の責任なんですけど、繰り返しいろんなところにNESHAPもAHERAも書いてあるのですが、先ほど来、所有者はあまり専門的知識がないからということで、どういうことを懸念しているかというと、所有者が解体または改修工事をやろうと思った瞬間、アスベストがないかどうかをまず見なければいけないので、アスベストの調査会社さんが入るという、それぐらいはわかるのです。所有者さんは、それは義務だと思ってアクションする。出てきたら、今度は対策計画を出さなければいけないという仕組みになっているので、それもわかるのです。そういったことで、所有者さんがそこでやって、対策計画ができたら、今度は元請さんを探さなければならない、工事業者さんを。そういう形で所有者さんがどんどんインボルブしていくという状況があります。最初から面倒くさいので、コンサル会社さんというのを雇うというケースもあります。そのときには、コンサル会社さんが変なことをしたら、所有者さんはコンサル会社さんを訴えられるように、そういう契約書を結んでいます。コンサル会社さんは、先ほども言いましたけど、100万ドル、8,000万円の保険を持って専門的に対応しなければいけない。もし変なことをしたら、そこで訴えられるということになります。飛散事故で工事をとめなければいけない。1週間とか1か月とか事業が遅れたら、そのときの賠償金を出せとか、そういった話につながるようなシビアな関係の契約書を結んでいます。
     あと、森永先生のPCMの話とTEMの話ですけれども、PCM、1985年当時ですが、TEMは高かったということと、PCMはすぐに結果が出るということで、TEM、PCM、あと、同時にSEMも検討されていたのですが、結局AHERAの中で採用になったのはTEMとPCMです。0.01本/cubic ㏄、10本/リッターという基準は何で出てきたかというと、これは全く健康リスクと関係ありません。当時のPCMの定量下限値が10本/リッターという考えです。当時は、正規分布をするとか、いろんな定量下限値を計算するときに、トラベルブランク、ラボブランクも含めて計算していくのですけど、そういった形でその数値になっています。最近は、ポアソン分布をしていくという考え方もあるし、いろんなところで検討されていて、もっと下限値を下げられると思うのですけど、実際、アメリカでは、1985年以降、下限値を下げる検討について力を入れてやっていないという状況です。また、さっきは、AHERAの話をしたのですけど、この0.01fibers/cubic ㏄という数字は、民間建物のクリアランスサンプリングにも使われている州が多いです。
     よろしいでしょうか。

    【浅野委員長】 TEMの場合には基準があるのかという。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 そうですね、TEMの話です。TEMは、基準というものはないです。5サンプル以上、養生シート内と外で測って、結果にz-検定で有意差があるかどうかということを見るという形です。

    【浅野委員長】 森永委員、よろしゅうございますか。
     中橋委員。どうぞ。

    【中橋委員】 ひとつ質問というよりもご意見を伺いたいのですが、今、アメリカの方が、例えば、自分の家を解体しよう、改修しようとしたときに、すぐアスベストのことが頭に浮かぶというお話が今ありましたが、それはなぜでしょうか。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 やはり、何回も何回もいろんなところでアナウンスしているし、法令のガイドラインとか、いろんなところで広報活動というものを、EPAにしても、州政府にしても、やってきたことが非常に大きいと思います。あと、それに関連して、業界団体さんもそういった配布資料というのをつくってこられています。

    【浅野委員長】 よろしゅうございますか。
     内山委員、どうぞ。

    【内山委員】 二つお聞きしたいのですが、結果が出るまで養生シートは外さないということですが、その結果は大体どのぐらいで出ているのか、1日なり2日なり3日なり。今のサンプリングは、すべて養生内外は、外はバックグラウンドとして、それよりも同じ程度という意味だろうと思うのですが、除去中の屋外は測定義務はないのでしょうか。外すときだけ、養生シートを外したら外に出ていかないということだけを規定していて、作業中は、これだけの養生をすれば出ていかないのだというような考え方なんでしょうか。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 すみません、最初のほうの質問は何でしたか。

    【内山委員】 最初は、結果が出るまで何日ぐらいかかりますかと。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 86年当時は、PCMは1日でした。あと、TEMの分析結果が1週間から2週間という。だけど、今、アメリカの分析ラボとかに行くと、検体の納期の表示なんですけど、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間であります。だから、現実は、1日以内、数時間以内に出しているというのが現状だと思います。TEMの方は、サンプルを受け取ってから一晩で出すという動きも、今、標準的に行われている、クリアランスサンプルについてはそういったことをやっているようです。
     それと、AHERAとかNESHAPの中では、特にAHERAですけど、クリアランスサンプリングのときに、作業中のというのは規定していないのですけど、州政府はこれを受けて州政府のガイドライン、日本でよく言う上乗せとか横出し規制みたいな感じで設けているところというのは、作業中のサンプリングをするということもあります。ちょっと今は詳しい情報を持っていないので、もしご必要であれば調べて、後でご提供させていただきたいと思います。

    【浅野委員長】 よろしいですか。
     神山委員、どうぞ。

    【神山委員】 AHERAのTEMの分析についての質問ですけれども、TEM分析は私も随分長いことやっていて、TEMで分析結果を出して評価できれば理想的だと思います。当初は1週間から2週間かかっていたとのこと、これはリーズナブルだと思いますが、今は1日以下でできるようになったというのは、どういう方法の開発が行われたのか、もしご存じだったら教えていただきたい。それと、今、アメリカでTEM分析をきちんとできることを示すライセンスか、サーティフィケーションがあるのか。そしてそれが可能な測定機関が何社あり、大体幾らぐらいでやられているのかを教えていただけたらと思います。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 今のご質問は調べなければいけないので、後でお調べしてから、皆さんのほうに出したいと思います。

    【浅野委員長】 では、どうぞよろしくお願いいたします。
     大塚委員。

    【大塚委員】 スライドの15のところのお話でちょっとお伺いしたかったのですが、利益相反の話をしていただいて、大変参考になると思いましたが、スライドの15の、例えば、アスベスト建材の調査者について、研修プログラムを実施しているところは、これは州が自分でやっているのでしょうか。どういうところがこういうことをしているのか、調査者に関しての資格を認定するのは州自体なのか、別の機関か何かがやっているのかというのをちょっと教えていただけますか。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 試験については州、または、認定された試験機関です。その試験機関も、国のほう、または、州のほうで認定されなければいけないというものです。あと、登録は、その認定結果と、また、所々の必要書類ですね。つい最近、州でどんなふうに登録しているのだろうと思って、テキサスのものを見たのですけど、アスベスト除去業者さんは、保険とか、さらに作業手順書SOPを出しています。だから、建物内に入るところから建物から解放されるまでの、SOPそれを細かく出してくださいとか、そういった要件がありましたね。そういった書類を出して、州政府でチェックする人がいて、オーケーだったら登録というような形になっています。

    【浅野委員長】 ありがとうございました。
     それでは、これで4人の方のご報告と質疑応答を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
     それでは、まだ若干時間がございます。ただいまの4名の方からのご説明、全体を通して、ご質問、ご意見、あるいは、コメントなどがございましたら、どなたからでも結構です。お出しいただけますでしょうか。

    【大迫委員】 一連の話題提供で大変理解が進んだのですけども、今の方々にさらに追加的に何か質問させていただきたい場合に、事務局のほうにお送りしたら、可能な範囲でまた回答していただけるような形はとれるのでしょうか。

    【浅野委員長】 今でも構いません、まだ時間がありますから。

    【大迫委員】 今といいますか、今思いつかなくても……

    【浅野委員長】 後でということですか。

    【大迫委員】 それでは、1点だけちょっと。

    【浅野委員長】 まず、では、今、思いつくことを言ってください。

    【大迫委員】 では、1点だけ追加的に、ごめんなさい。
     最後の亀元さんのほうにということなんですが、アメリカでアスベスト対策をやっている場合に、こういう調査からこういったシステムを動かし、十分な対策をとっていくことによって、どれぐらいのコストが発生するのか。それが、日本での今の現状とアメリカを比較した場合に、一概には比較できないかもしれませんし、何かノーマライズしなければ比較はできないかもしれませんけども、大体の相場として、かなり高くなる、それをきちっと発注者がコストがかかるものとして支払う状況になっている、そういったところの状況をお聞かせいただければと思います。

    【浅野委員長】 それでは、亀元さん。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 コストが非常にかかるというのは確かです。すみません、年代は、90年代の中ぐらいだったか、ちょっとわからないのですけど、全部のアメリカ国内でアスベストの違反業者、1年間で8,000件あったというのが90年代のデータであったと思います。それで、その辺のことは非常に私も興味があって、いろいろ確認していたのですけど、罰金のお金というのは、もちろん国に一部は渡さなければいけないのですが、州政府が州政府で罰金を徴収するというのは、それをまた予算に使うということもあるわけです。だから、罰金も法執行の予算の一部になっているし、さらに、州政府自体は法を守るということで、それに幾らかの予算をつけてやっていると。とにかく、予算を一杯持っているのは、サンフランシスコのベイエリアとか、ロサンゼルスの、カリフォルニアのほうのエリアとか、あと、ニューヨーク市とか、そういったところは予算をたくさん持っているし、インスペクター、規制官たくさんも持っています。そういった形で予算をとって執行する、また、それだけペナルティーを。

    【浅野委員長】 大迫委員のご質問の趣旨は、多分、制度の運用のコストというよりも、実際の当事者の負担という趣旨のご質問ではなかったかと。ではないですか。

    【大迫委員】 はい、そうです。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 すみません。オーナーさんは、罰金を払うということ、違法行為はオーナーさんも対象になってしまうということで、それについては、違法行為をしてはいけないという意味で、お金がかかるということは理解しています。だから、日本の今の現状の、安くどんどんお金が下がっていくという構造的な問題は、オーナーさんの責任というのを強くする形で、オーナーさんが適正なコストを認識されていくという形で解消できるのではないかと思っています。

    【浅野委員長】 これは、また議論をさせていただくテーマなのかもしれません。
     ほかに全体を通じてのご意見はございますか。

    【本橋委員】 一つお伺いしたいのですが、一番最後の方、最後のアスベストの対策で、オペレーション・アンド・メンテナンスといいますか、あってもすぐ工事をしなくていいというか、ウオッチして、大丈夫なように見るというのは、私も非常に大事だと思うのです。ただ、日本の場合は、騒ぐとわあっとやって、アメリカでもAHERAのときはあったと思うのですけれど、AHERAのときとか、その後の工事の除去とか、アスベスト・アベイトメントワークの割合というのが日本と比べてどうかとか、定時的に着実にやっているのか、それとも、一過性に多くやってだめなのかとか、そこら辺のところで何か知見はありますか。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 AHERAとかの制定のときには、80年代はアスベストの除去工事なんかが一杯出てくるという。その後はある一定レベルまで下がってきたということはあります。80年代にいろんな人が検討していった中で、OMプラン、オペレーション・アンド・メンテナンスプランというものがAHERAの中で概念として提案されていたので、グリーンブックというEPAのガイドラインがあるのですけど、その中でも出ています。よく言われる例で、テロで壊されたニューヨークセンタービルはすごいアスベストの含有の建物だったのですが、空き室率が全然ないぐらいにきちんと管理されていた建物でした。アスベスト除去工事というのをお金をかけて対策するというのは、解体のときはしようがないですけど、改修工事のときは必要なことだけをするという、お施主さんに対してもお金の負担をかけない形が一般的です。同時に、使用中にアスベストを飛散させるようなところがないかどうか、インベントリー調査という言い方をするのですけど、そういったことをきちっとやるということがOMプランの中で、特に、コマーシャルビル、オフィスビル、商業ビル、事業用のビル、倉庫とかも含めて、そういったビルを所有しているオーナーさんは把握するということをしています。それも、1回ではなくて、テナントさんが出ていったときとか、何回にも分けてインベントリーをしっかりしていく。その調査結果を基に優先順位を決めて除去工事をしていき、最後、解体工事をするときには残っているものをという、そういうコストを分散する形で動いています。

    【本橋委員】 ありがとうございました。

    【浅野委員長】 よろしゅうございますか。
     ほかにご意見、ご質問はございますか。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 意見と、国に対しての質問をちょっとしておきたいのですけども、意見としては、今日お伺いして、特に2点重要だと思ったのは、一つは、所有者の責任と請負業者の責任の関係を考えて、両方に責任を負わせる必要があると思いました。先ほどのお話を聞いて、所有者は全体的な、統括的な責任のようなものを負っていて、恐らく、請負業者は、自分のおやりになるところの、より専門的なことについての責任を負うということなのかなというふうにとりあえず考えていますが、さらに考えていきたいと思います。
     それから、利益相反に関して、非常に重要だということも、今日、特に認識しましたが、これに関連して、国にお伺いしておきたいのは、さっき外山委員が提出された新聞記事がございますが、JATI自体がどうかということは、私はちょっとよくわかりませんけども、JATIが仮にアスベストの診断士の資格認定をしていく上で、何か不十分なことがあった場合には、この業務を委託することを取り消すことはあるのだと思うのですが、その辺についてはどういう仕組みになっているか、教えていただければありがたいと思います。

    【浅野委員長】 これは直接には環境省の所管ではないと思うのですが、今の段階では、答えられないなら、また後で調べて。

    【栗林大気環境課長補佐】 今の段階ではちょっとお答えできませんので、確認してしたいと思っております。

    【浅野委員長】 ほかにございませんでしょうか。
     小林委員がお先でしょうか。その後は、今。

    【神山委員】 永倉さんからの発表の最初のところで、クボタショック以来、除去が相当大きく、盛んになって、漏えいが発覚するのは氷山の一角だというお話の関連で、たしか、記録のあるうちに実態調査をすべきというふうな主張をされたと思いますが、記録のあるうちに実態調査をというのは、具体的にどういうことをお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。

    【永倉(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)】 具体的な調査のスケジュールとか調査方法を考えているわけではないのですが、一つには、佐渡の両津小学校でアスベスト漏えい事故があったということがあって、その委員会の中で、除去工事を行った除去業者が、塗装屋さんがにわか除去業者になって飛散をさせてしまったという結論に達しているということで、同じようなことが全国にあっただろうということが予測できるという程度の話です。具体的にこれからどういう調査をすべきかということではないのですが、やはり、今のうちにそういったことについては情報を集めて、きちんと記録を残しておく必要があるのではないかという意見です。

    【浅野委員長】 要するに、学校のアスベスト除去が一斉に行われたということに関してということでしたね。

    【永倉(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)】 そうです。

    【浅野委員長】 よろしゅうございますか。
     それでは、小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 2点ございます。
     一つは、先ほどから議論になっております所有者の責任規定の件なんですが、これは、アメリカの場合、こういうふうな規定というのはほかの法律でも一般的であるのかどうか、これが特殊なのかということを一つお聞きしたい。日本でもというふうに書いてありますが、土対法で所有者の責任と書いてあるのですが、同じように、兵庫県では、いわゆる廃棄物の不法投棄についても、投棄者の責任だけではなくて、投棄された土地所有者の責任というのを条例で明記しているのです。こういうことが今後必要だと思っているのですが、アメリカではこれが通常なのかどうかということを一つお聞きしたいと思います。
     それから、二つ目は、今日の議論の中で、労働安全に関する議論と環境汚染防止に関する議論が混在して入ってきているのです。この審議会としては、やはり、環境汚染防止のほうに重点を置いて、法律改正もそういう視点になっていくと思うのですが、この辺の整理をしていただかないと、大分労働安全のほうに偏ってしまう可能性があると思うので、その辺はいかがなのかなということです。

    【浅野委員長】 わかりました。後の点については、前回も私が申し上げましたし、これからの議論の整理の中では、事務局に十分整理をさせます。
     前半について、それでは、亀元さん。

    【亀元(EFAラボラトリーズ)】 アスベスト以外で有名なのは。土壌のスーパーファンド法で、所有だけでなく銀行とか投資家まで責任がどんどんあります。向こうのコンセプトというのは、罰金の話もですけど、民民のほうの訴訟が起きるのです。特に、アスベストは億単位で、事業者がアスベストを曝露した被害者から訴えられて、そのときに、ビル所有者さんも訴えられるし、建設した工事会社さんも訴えられるし、調査会社さんも関係していればですが。あと、建材メーカーさんもその中のリストに入っていきます。そういう感じで民民の訴訟になって、何億円というお金が取られる。オーナーさんはそっちの抑止力も大きいです。だから、そういったことに巻き込まれないという意識があります。
     以上です。

    【浅野委員長】 どうもありがとうございました。
     他の法令がどうなっているかは、むしろ大塚委員が調べてくださると思いますので、いずれまたデータを出していただけることになろうかと思います。
     さて、今日は実態についてもかなりいろいろとお話を伺うことができて、これはなかなか容易なことではないということもわかってまいりましたし、それから、アメリカのお話はよくわかるのですが、日本のこれまでの建設業とか解体のような場所でのある種の取引慣行みたいなものというのはあるでしょうし、何となくゼネコンさんなり何なりにお任せすれば全部やっていただけるので、発注者としては、それから後はどうやろうと、やってくださいよみたいな雰囲気があるわけです。そういう実態と、理想的にあるべき姿をどうするのかということの間にかなり距離がありそうですから、これからその辺は、我が国で受け入れられる、かつ、また、理想的な仕組みがどうであるのかということは、かなり議論しなければいけないだろうということがわかってまいりました。どうもありがとうございました。
     今日は、4人の方には、長時間、大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。これからの私どもの議論の中で十分に参考にさせていただきたいと思います。
     それでは、特に何かございませんでしょうか。
     ございませんようでしたら、その他に移りたいと思います。
     事務局からお願いいたします。

    【倉谷大気環境課長補佐】 本日は、長時間にわたってのご審議をありがとうございました。
     本日の議事録につきましては、各委員にご確認をいただいた上で公開するということにさせていただきたいと思っております。また、次回の開催につきましては8月9日、午前中ということで予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
     事務局からは以上でございます。

    【浅野委員長】 それから、先ほど大迫委員からご要望がございましたが、今日おいでいただいた4人の方に、今日、この場では質問が特に出てこなかったけども、後で考えてみたら、これも聞きたかったというようなことがあろうかと思いますので、環境省の事務局からまたご連絡を差し上げますから、どうぞ適宜応対いただけますようにお願いいたします。
     それでは、本日はこれで散会いたします。どうもありがとうございました。