本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
自動車排出ガス専門委員会(第51回)会議録


1.日時

平成24年6月27日(水)10:00~12:25

2.場所

全国都市会館 第一会議室

3.出席者
(委員長) 河野 通方
(委員) 坂本 和彦 塩路 昌宏
大聖 泰弘 飯田 訓正
岩本 正和 後藤 新一
後藤 雄一 津江 光洋
土屋 賢次 牧下  寛
御園生 誠
(事務局) 粕谷環境省水・大気環境局総務課長
出口環境省水・大気環境局自動車環境対策課長補佐
西本環境省水・大気環境局環境管理技術室長
髙井環境省水・大気環境局環境管理技術室長補佐
加藤環境省水・大気環境局環境管理技術室排ガス係長
濱田環境省水・大気環境局環境管理技術室排ガス係
4.議題
中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会
「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)(案)」
5.検討資料一覧表
・中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会委員名簿
資料51-1 自動車排出ガス専門委員会(第50回)議事要旨
資料51-2 中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会
「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)(案)」
資料51-3 【参考資料】中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会
「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)(案)」
6.議事

【髙井室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会大気環境部会第51回自動車排出ガス専門委員会を開会いたします。
 まず初めに、前回オブザーバーとしてご出席いただきました、警察庁科学警察研究所の牧下交通科学部長が手続が終了しまして、正式に専門委員に任命されましたので、ご報告いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【牧下委員】 牧下でございます。よろしくお願いいたします。

【髙井室長補佐】 それでは、開催に先立ちまして、河野委員長よりごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【河野委員長】 河野でございます。座ったままで失礼いたします。
 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 さて、本日の審議内容であります、自動車排出ガス専門委員会(第十一次報告)につきましては、平成23年1月の第45回専門委員会以降、5回の専門委員会と18回の作業委員会、さらには環境省委託の検討会などで審議を進めてまいりました。
 この間、東日本大震災や本専門委員の杉山委員の急逝といった悲しい出来事がございましたが、それらを乗り越えて今日の日を迎えることができました。
 第十一次報告では、二輪車、ディーゼル重量車、ディーゼル特殊自動車への対策を提言しておりまして、言うなれば軽量車、中量車を除くすべての車両の対策と盛りだくさんの内容になりました。
 関係者におかれては、報告の取りまとめに向けて、ヒアリングなどにご協力いただきまして、ありがとうございました。この場をおかりしまして、お礼を申し上げたいと思います。
 最後に、本日の会議に当たりまして、事務局からのコメントが出てまいりましたので、私、気に入りましたので、ここで紹介させていただきます。
 本日は、報告案が修正で真っ赤になるほど、活発な議論をしていただき、事務局を苦しめていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 これが今日の事務局の覚悟でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  それでは、日ごろ、どうだったのかなというようなこともあるんでございますが、そういうことで進めさせていただきたいと思いますので、ご活発なご審議をお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【髙井室長補佐】 どうもありがとうございました。お手やわらかにお願いします。
 本日の会議は、公開とさせていただき、今回の議事要旨及び議事録については、委員の皆様のご了承を得た後、ホームページにて公開させていただきます。
 それでは、お手元の資料について確認させていただきます。
 まず、議事次第がございまして、専門委員名簿、そして資料51-1が、前回第50回の議事要旨でございます。
 そして資料51-2が、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)でございます。
 そして、資料51-3、こちらが第十一次報告の参考資料となっております。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、ここからの進行を河野委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【河野委員長】 それでは、本日の議題であります、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方の専門委員会報告について、事務局からご説明をお願いいたします。

【髙井室長補佐】 それでは、まず資料51-2でございますが、第十次答申以降、ご審議いただいてきました内容を報告書案として作成いたしました。1章ずつ読み上げさせていただき、ご審議いただきたいと思います。なお、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、資料51-2、1枚目が表が表紙でございまして、1枚おめくりいただくと目次がございます。そして、もう1枚おめくりいただくと、1ページはじめに、1章、はじめにとなっておりますので、こちらを読み上げます。
1.はじめに
1.1 我が国の自動車排出ガス規制及び中央環境審議会における審議の経緯
 我が国の自動車排出ガス規制については、昭和41年(1966年)にガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車に対する一酸化炭素(以下「CO」という。)の排出濃度規制を導入して以降、大気汚染状況、技術開発状況、海外の動向等を踏まえつつ、順次強化してきた。現在、ガソリン又は液化石油ガス(以下「LPG」という。)及び軽油といった燃料の種別ごとに、また、普通自動車、小型自動車、軽自動車、二輪自動車、原動機付自転車及び特殊自動車といった自動車の種別ごとに規制が実施されている。
 近年の自動車排出ガス低減対策に関し、以下に概要を述べると、平成8年(1996年)5月、環境庁長官より中央環境審議会に対して「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(平成8年5月21日諮問第31号)が諮問された。これを受け、中央環境審蟻会大気環境部会及び同部会に設置された自動車排出ガス専門委員会において審議が行われている。
 このうち、二輪自動車及び原動機付自転車(以下「二輪車」という。)に対しては、平成10年(1998年)10月から中央環境審議会による中間答申(平成8年10月18日中環審第83号)に基づき排出ガス規制が実施されている。また、平成18年(2006年)10月から第六次答申(平成15年6月30日中環審第126号)に基づき、平成18年規制が開始されたところである。
 ガソリン又はLPGを燃料とする普通自動車及び小型自動車(二輪車を除く。以下「ガソリン・LPG自動車」という。)に対しては、平成17年10月から第五次答申(平成14年4月16日中環審第20号)に基づく平成17年規制、いわゆる「新長期規制」が実施された。また、ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車(二輪車を除く。以下「ガソリン自動車」という。)の一部に対しては、平成21年10月から第八次答申(平成17年4月8日中環審第249号)に基づく平成21年規制、いわゆる「ポスト新長期規制」が開始された。さらに、バイオエタノールの普及を見据え、第十次答申(平成22年7月28日中環審第563号)に基づき、平成24年4月よりバイオエタノール10体積パーセント混合ガソリン、いわゆる「E10」対応ガソリン自動車の排出ガス規制及びE10燃料規格に係る自動車燃料品質規制が開始されている。
 軽油を燃料とする普通自動車及び小型自動車(二輪車を除く。以下「ディーゼル車」という。)に対しては、平成17年(2005年)10月から第五次答申に基づく新長期規制が実施された。また、平成21年(2009年)10月から第八次答申に基づくポスト新長期規制が開始したところである。さらに、ディーゼル車のうち車両総重量が3,500kgを超えるもの(以下「ディーゼル重量車」という。)に対して、第十次答申において、平成28年(2016年)から窒素酸化物(以下「NOx」という。)に係る許容限度目標値強化、世界統一試験サイクルであるWHDCへの排出ガス試験サイクルの変更、公定試験モード外、いわゆる「オフサイクル」における対策に係る世界統一基準であるOCEの導入、より高度な車載式故障診断(On-Board Diagnostics。以下「OBD」という。)システムの導入等が答申された。加えて、使用過程における対策として、第三次答申(平成10年12月14日中環審第144号)に基づき、平成14年規制、いわゆる「新短期規制」以降の車両に対して、従来より大幅に延長された耐久走行距離を設定している。また、第九次答申(平成20年1月29日中環審第451号)に基づき、ポスト新長期規制以降の車両に対して、従来の黒煙汚染度からオパシメーターによる測定に変更し、許容限度目標値を設定している。
 軽油を燃料とする特殊自動車(以下「ディーゼル特殊自動車」という。)に対しては、平成15年(2003年)10月から第二次答申(平成9年11月21日中環審第120号)及び第四次答申(平成12年11月1日中環審第193号)に基づき排出ガス規制が実施されている。また、平成18年(2006年)10月から第六次答申に基づき排出ガス規制を強化し、さらに第九次答申において、平成23年(2011年)及び平成26年(2014年)の二段階での強化並びに過渡試験サイクルであるNRTC(Non Road Transient Cycle)への排出ガス試験サイクルの変更等が答申され、これに基づき車種により平成23年(2011年)10月から平成23年規制が開始されている。
1.2 自動車排出ガス低減対策の必要性
 我が国においては、自動車排出ガス規制の強化等、種々の大気汚染防止対策が講じられ、大都市地域を中心に厳しい状況にあった二酸化窒素(以下「NO2」という。)及び浮遊粒子状物質(以下「SPM」という。)に係る大気汚染状況は改善傾向にある。一方、光化学オキシダント(以下「Ox」という。)に係る環境基準達成状況は依然として極めて低い水準となっている。将来的には、最新排出ガス規制適合車の普及により、自動車からの排出ガス総量は一定の削減ポテンシャルがあり、大気汚染状況については更なる改善が見込まれる。
 1.1で述べたとおり、二輪車については、これまでの答申によりかなりの排出量削減が見込まれる。しかし、ガソリン・LPG自動車に対して車両あたりの移動量で比較した排出ガス、特にOx生成に寄与するHCの排出量が高いことから、さらなる排出ガス低減対策が必要と考えられる。欧州においても同様の理由から二輪車の排出ガス規制強化が予定されている。
 自動車単体排出ガス低減対策は、新車認証時の公定試験モードでの排出ガス許容限度目標値を規定することを中心として進められてきたところであるが、特にNOx後処理装置が搭載されるディーゼル重量車では、使用過程でのNOx後処理装置の性能低下により、排出ガス量が増加する恐れがある。加えて、エンジン制御の電子化等により公定試験モードにおいて排出ガスが規制値を満足する一方、実走行を含む公定試験モード外の走行において燃費を改善する反面、排出ガスを増大させる車両が出現する可能性もある。
 さらに、ディーゼル特殊自動車については、DPFの装着により、粒子状物質(以下「PM」という。)が大幅に低減されており、使用過程時においてその性能が維持されていることをより適切に確認することの必要性が増加している。また、過渡試験サイクルとして世界統一試験サイクルであるNRTCを導入したところであるが、さらなる国際基準調和により開発費用の低減と開発期間の短縮を図る観点から、ブローバイガス対策や定常試験サイクルの追加を検討することが必要である。
 本専門委員会は、以上の事項を中心に検討を行い、2.、3.、4.のとおり自動車排出ガス対策を推進する必要があるとの結論を得た。また、5.のとおり今後の自動車排出ガス低減対策の考え方についても取りまとめた。
 以上であります。

【河野委員長】 ありがとうございました。
 章ごとに読み上げて、皆さん方のご意見をいただくということにいたしております。
 ただいまの第1章について、何かご質問・ご意見等ございましたら、ご発言ください。
 今までは、答申等の内容等というのをかなり詳しく「はじめに」というところで書いたような気がするんですが、今回はそれを参考資料のほうにまとめたというようなことになっておりますが、参考資料のほうもご参照していただきたいというふうに思いますが、事務局としては、そういうことでよろしかったですね。

【髙井室長補佐】 はい。今回、特に内容が盛りだくさんということもあるので、ちょっと詳しく書き過ぎると、読み上げがこの委員会内に終わらないということもあるんで、これぐらいのボリュームにさせていただきました。

【河野委員長】 資料が真っ赤になるまで苦しめていただきたいということですが、第1章はこういうことですが、後ほどでも結構でございますので、お気づきのことがあれば、ご注意・ご意見いただきたいというふうに思いますので。
 早速、では第2章に入ります。よろしくお願いします。

【髙井室長補佐】 それでは、3ページの26行目からです。
 2.二輪車の排出ガス低減対策
 2.1 二輪車の排出ガス低減対策の検討にあたっての視点
 2.1.1 二輪車産業の現状
 国内の二輪車産業については、近年、生産・販売台数共に大幅に減少しており、生産台数については、平成22年(2010年)の66万台であり昭和55年(1980年)の643万台に比べ10分の1の規模となっている。また、小型二輪自動車については、販売台数2.5万台に対し、生産台数は39万台であり、国内生産される車両を輸出している状況である。一方、第一種原動機付自転車については、販売台数23万台に対し、生産台数は9万台であり、海外生産された車両を逆輸入している状況である。
 世界の二輪車販売台数を見ると、平成22年(2010年)には5,400万台販売されており、年々増加している。このうち83%を中国、インド、インドネシア、ベトナムをはじめとするアジアが占めている。また、世界の二輪車販売台数のうち半数を日系企業が占めている。
 2.1.2 国連及び欧州における排出ガス低減対策の動向
 国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29」という。)においては、我が国も参画のもと、自動車の世界統一基準等の検討が行われている。二輪車の排出ガス対策については、平成17年(2005年)に世界統一試験サイクルWMTC(World-wide Motorcycle Test Cycle)を含む二輪車世界統一試験法が策定され、平成19年(2007年)にサイクルの修正を含む改正版が採択された。
 欧州においては、平成18年(2006年)よりUDC(Urban Driving Cycle)及びEUDC(Extra Urban Driving Cycle)を試験サイクルとしたEURO3が実施されており、平成19年(2007年)よりWMTCを試験サイクルとしたEURO3等価規制値が設定されている。また、欧州委員会より、平成26年(2014年)からのEURO4及び平成29年(2017年)からのEURO5による段階的な次期排出ガス規制強化が提案されている。EURO4及びEURO5では、WMTCを試験サイクルとすることとされているほか、EURO5からは燃料蒸発ガス低減対策及びOBDシステムの導入等も提案されている。
 アジアの新興国においては、欧州の最新排出ガス規制ではないものの、欧州の排出ガス規制を基にした規制を行っている。このため、今後、新興国においてもWMTCが導入されることが予想される。
 2.1.3 排出ガス低減対策の検討にあたっての視点
 2.1.1で述べたとおり、近年の販売台数の低下により、我が国の二輪車メーカ一は、国内専用として一層の排出ガス低減対策のための開発を行うことが困難な状況である。また、2.1.2で述べたとおり、欧州において、二輪車の次期排出ガス規制が提案されている。さらに、販売台数が急速に伸びているアジアの新興国においては、大気汚染が深刻化し、排出ガス規制が急速に強化されつつある。このような中、我が国の二輪車メーカーが世界最高水準の環境技術を維持していくことは、国際競争力を確保しつつ、新興国における大気環境改善に貢献する上でも有効である。
 一方で、排出ガス規制を強化すれば、二輪車メーカーには、これに対応するための技術開発費用が発生する。これまでの排出ガス規制の強化により、その規制値は低いレベルに達しており、規制の効果に比較して技術開発費用・工数(期間)が増大しつつある。したがって、我が国の大気環境を考慮し実態に即した排出ガス低減を確保しつつ、国際基準や諸外国規制との調和等により開発費用を軽減し、開発期間を短縮するという観点からも検討した。
 また、排出ガスは、排気管排出ガスと燃料蒸発ガスに分類されるが、二輪車の排出ガス対策として、これまで排気管排出ガスのみに対し許容限度目標値を設定し対策を進めている。しかし、排気管排出ガス規制の強化に伴い、燃料蒸発ガスの排出寄与率が相対的に高くなっている。さらに、使用過程においても、排出ガス低減装置の機能不良を管理することにより排出ガス値を維持することが重要となる。このため、本専門委員会では、次期排出ガス対策として、排気管排出ガス低減対策に加え、燃料蒸発ガス対策及びOBDシステムの導入についても検討を行った。
 加えて、第十次答申において、バイオエタノールの普及を見据え、E10対応ガソリン自動車の排出ガス低減対策及びE10燃料規格について答申され、平成24年4月よりE10対応ガソリン自動車の排出ガス規制及びE10燃料規格に係る自動車燃料品質規制が開始されている。このため、E10対応二輪車の排出ガス低減対策についても併せて検討を行った。
 2.2 排気管排出ガス低減対策
 2.2.1 現在の排出ガス低減対策技術
 最新の二輪車排気管排出ガス低減対策技術は、二次空気導入装置に加え、電子制御燃料噴射装置、三元触媒、酸素センサーによる理論空燃比フィードバック制御の採用である。これらの技術は、ガソリン・LPG自動車には既に普及しているが、二輪車における排出ガス低減対策技術としては、技術的な難易度が高い。
 例えば、三元触媒については、冷機始動時にエンジンに近いほど早期に活性化するため、四輪車ではエンジン直後に配置される一方、二輪車では前輪との干渉、車両傾斜時の路面への接触や周辺部品への熱害等の影響から、エンジン直後に配置できないものもある。特に、オフロードタイプ等の単気筒車の一部では、触媒はマフラーに配置され、コールドスタート時の活性化に時間を要する。また、四輪車ではセラミック担体が採用されているが、二輪車では振動への対策強化が必要な-方、担体防振対策のスペース確保が困難なこと等から、セラミックに比べセル密度が低いメタル担体が採用されている。
 さらに、インジェクター、センサー等排出ガス低減装置の各部品についても、サイズの制限等による小型軽量化に加え、低コスト化を図るためにシステムの簡素化、部品の共通化が求められる。例えば、酸素センサーについては四輪車用のものに比べ半分程度の重量となっており、-部車種には低コストのヒーターレスのものが採用されており、コールドスタート時の排出ガスは増大する。また、二輪車間において、酸素センサー、燃料ポンプ、燃料噴射インジェクター、水温センサー等、排出ガス低減システムのうちコストベースで30~80%の部品の共通化が図られており、四輪車との間でも、吸気圧力センサー、スロットルポジションセンサー等で部品の共通化が図られている。
 E10対応二輪車については、理論空燃比フィードバック制御により、三元触媒が適切に機能するよう空燃比等が制御されており、エタノール10%レベルの混合による含酸素率の変化で排出ガス量が大きく変化することはないと考えられる。
 2.2.2 世界統一試験サイクル(WMTC)の導入
(1)WMTCの導入
 平成18年規制では、一定の加速、定速、減速走行及び停車状態の繰り返しによる試験モードにより自動車排出ガスの質量を測定している。一方、平成18年規制への対応として現在の排出ガス低減技術として、二次空気導入装置に加え、電子制御燃料噴射、三元触媒、酸素センサーによる理論空燃比フィードバック制御等が導入されており、過渡運転の試験サイクルにより排出ガス性能を適切に評価することが適当である。
 日本、欧州、米国及びインドの実走行データを基に策定されたWMTCは過渡運転の試験サイクルとなっている。この試験サイクルは、市街地走行を想定したパート1、郊外路走行を想定したパート2及び高速道路走行を想定したパート3から構成され、エンジン排気量及び最高速度に基づく車両分類に応じ、パート毎の重み付け及びコールドスタート比率が設定される。
 WMTCの導入の検討を行うため、WMTCと同様の手法により国内の走行実態を基に国内実走行サイクルを作成し、WMTCと比較した。その結果、国内実走行サイクルでは、WMTCに比較して、パート1及びパート2ではアイドル時間割合が長く、加速時の加速度が大きいものの、WMTC策定にあたっては我が国の走行実態も考慮されていることもあり、全般に高い相関がある。また、WMTCと国内実走行サイクルで排出ガス試験を実施したところ、WMTCでの排出ガスが低減されれば国内実走行サイクルでも排出ガスが低減される傾向が確認された。
 各パートの重み付け及びコールドスタート比率についても、国内の走行実態と比較した。その結果、軽二輪自動車及び小型二輪自動車では、国内実走行に比べ、WMTCはコールドスタート比率が高くなっているが、HCの排出量の多いコールドスタート時への対策が重視されることとなる。また、小型二輪自動車では、国内実走行に比べ、WMTCではパート3の重み付けが大きいが、COの排出量が多い高速走行への対策が重視されることとなる。
 以上の結果に加え、国内の二輪車市場が縮小し、海外向け車両との開発共通化を進めていくことを考慮すれば、サイクルの策定にあたって我が国の走行実態も考慮されているWMTCを導入することが適切である。
(2)WMTCにおける現行規制等価規制値
 第十次答申における今後の検討課題として、二輪車の排出ガス規制に関し、現行の排出ガス規制と同等とみなすことができるWMTCベースの規制の導入について検討することが適当とされたところである。このため、二輪車の現行試験モード及びWMTCにより排出ガス量を計測し、等価規制値の検討を行った結果、2.2.3で述べる次期排出ガス許容限度目標値の適用開始までの間、以下の等価規制値を適用することが適当である。なお、総排気量が0.050?以下かつ最高速度50km/h以下の車両は、WMTCの対象外となっており、WMTC等価規制値は設定しないこととする。
 表については、読み上げは省略させていただきます。
 2.2.3 次期排出ガス許容限度目標値等
(1)適用時期
 欧州においては、平成29年(2017年)からEURO5の規制が開始される予定であること及び二輪車メーカーによる排出ガス低減技術の開発期間を考慮すれば、次期排出ガス許容限度目標値の適用時期は、EURO5と同時期の平成28年(2016年)末までに開始することが適当である。
(2)排出ガス低減技術の見込み
 許容限度目標値の検討にあたり、平成28年(2016年)末までに開発される技術として以下のような技術が見込まれる。
・燃料噴射制御の最適化(例:フィードバック制御領域の拡大により、空燃比がリッチとなる領域を抑制)
・可変動弁機構の採用(例:高回転域まで使用する大型スポーツバイク等での採用)
・触媒の大型化、大容量化
・触媒の早期活性化(例:点火遅角による排気温度上昇と排気流量増加)
・触媒の高効率化(例:排気管形状改良による触媒内のガス流れ均一化)
 (3)次期排出ガス許容限度目標値
 許容限度目標値の検討にあたっては、大気汚染防止の観点に加え、欧州及び新興国における将来的な規制への調和及び我が国の自動車関連産業の競争力を考慮した。
 1.2で述べたとおり、光化学オキシダントに係る環境基準達成状況は極めて低い状況となっており、光化学大気汚染の広域的な汚染傾向が認められる。自動車排出ガスのうち二輪車による寄与度は、平成18年規制適合車の普及により大きくなはならい傾向であるものの、ガソリン・LPG自動車に比べ、走行量に対する排出量は依然として大きい。また、四輪車と比較し、キシレン等、光化学オキシダントに寄与する物質の排出量は大きく、二輪車からのHC排出による光化学オキシダントへの寄与度は高い。
 これらの点を考慮し、かつ自動車メーカーの技術開発と商品性確保の観点から実現可能な中で最も挑戦的なレベルとして、別表のとおり次期目標値を設定することが適当である。
 別表については、後ろの27ページのほうに掲載しております。こちらについては、読み上げは、割愛させていただきます。
 9ページに戻りまして、13行目からで。
 なお、現行の規制では、原動機付自転車及び二輪自動車の二区分により許容限度目標値が設定されている。一方、次期排出ガス規制より導入するWMTCでは、エンジン排気量に加え最高速度による車両クラスに応じ、パートごとの重み付け及びコールドスタート比率が設定される。したがって、次期排出ガス許容限度目標値についても、WMTCの車両クラスの区分により設定することが適当である。
 また、E10対応二輪車については、E0からE10までのどの燃料が使用されても、二輪車次期排出ガス規制に適合させることが適当である。
 次期許容限度目標値をEURO5の規制値と比較すると、欧州との間で輸出入が多い小型二輪自動車に相当するクラス3の車両については、EURO5の規制値と一致しており、基準調和による技術開発コスト削減が期待される。一方、クラス1及び2の車両については、EURO5の規制値よりも厳しい値となっているが、欧州との間ではこれらクラスの車両の輸出入がほとんどないことから、技術開発コストへの影響は小さいと考えられる。
 2.3 燃料蒸発ガス対策
 燃料蒸発ガス対策については、ガソリン・LPG自動車に規制が導入されているのに対し、二輪車では導入されていないが、排気管排出ガス規制の強化に伴い、燃料蒸発ガスの排出寄与率が相対的に高くなっている。燃料蒸発ガスとしては、走行直後の駐車時において車両自体を熱源として排出されるホット・ソーク・ロス(以下「HSL」という。)、昼夜を含む長時間の駐車時において外気温を熱源として排出されるダイアーナル・ブリージング・ロス(以下「DBL」という。)、自動車の走行中に車両自体や道路からの輻射熱を熱源として排出されるランニング・ロス(以下「RL」という。)等が挙げられる。
 海外では、米国、中国、台湾、タイにおいて燃料蒸発ガス規制が既に実施されており、欧州でもEURO5より導入される予定である。このような海外での規制への対応により、燃料蒸発ガス対策として、HSL及びDBLをキャニスター内の活性炭に吸着させ、走行時に活性炭に吸着された燃料蒸発ガスを吸気負圧によりエンジン内に取り込む技術が既に確立されており、技術的な課題はないと考えられる。
 このため、燃料蒸発ガス対策を導入することが適当である。
 二輪車用の燃料蒸発ガス試験については、現在、カリフォルニア州試験法が世界で唯一確立されており、欧州でもEURO5からの燃料蒸発ガス規制の試験法として導入される予定である。カリフォルニア州試験法は、温度管理が可能なSHED(Sealed Housing for Evaporative Emission Determinations)室で燃料タンクを加熱し、このSHED室内のHC濃度変化により燃料蒸発ガス量を測定するDBL試験と、一定のサイクルによる走行直後に車両をSHED室内に配置し燃料蒸発ガス量を測定するHSL試験から構成される。なお、燃料蒸発ガス対策技術を導入することで、エンジン運転中にRLが発生することはないと考えられ、カリフォルニア州試験法ではRLの測定は行われていない。
 このうちDBL試験について、ガソリン・LPG自動車に対しては、1日の放置での温度変化による燃料蒸発ガスの排出を想定し24時間での測定を行っているが、二輪車のカリフォルニア州試験法では、1日の放置での温度変化を1時間に短縮し、ヒーターにより燃料タンクを加熱して測定を行う。このため、二輪車について、ガソリン・LPG自動車のDBL試験とカリフォルニア州試験法によるDBL試験の結果を比較したところ、結果は同等であることが確認された。
 また、我が国での車両使用実態から、実使用において駐輪でのエンジン停止状態のもののうち、大半は日中の温度変化を1回のみ挟むと考えられる。このため、DBL試験において、1日分のDBLを計測することが適当であり、燃料蒸発ガス対策についてはカリフォルニア州試験法と同様のDBL試験及びHSL試験を導入することが適当である。
 燃料蒸発ガスの許容限度目標値適用時期については、対策技術は確立されているものの、各車種に応じた仕様開発に係る期間を確保する必要がある。したがって、適用時期は、次期排気管排出ガス許容限度目標値の適用時期と同時期とすることが適当である。
 燃料蒸発ガスの許容限度目標値については、ガソリン・LPG自動車に係る許容限度目標値は2.0g/testであり、米国の燃料蒸発ガス規制及び欧州のEURO5の規制値も2.0g/testとしている。2.6で述べるとおり、許容限度目標値を2.0g/testとすることで、キャニスター装着により実使用時の燃料蒸発ガスの多くを回収すると見込まれる。このため、燃料蒸発ガスの許容限度目標値は2.0g/testとすることが適当である。
 また、E10対応二輪車については、燃料配管の材質をエタノールが浸透しにくいものとすること等によって、エタノールが10%混合された状態においても、許容限度目標値に適合させることが適当である。
 2.4 OBDシステムの導入
 ガソリン・LPG自動車では、電気系統の断線等による機能不良を監視するOBDシステムに加え、各種センサー等により排出ガス低減装置の性能劣化等を検出する、より高度なOBDシステムの技術が確立されている。
 二輪車でも、既に大半の車両で断線・ショートの判定及び運転者への警報を行うOBDシステムが確立されていることから、その装備を義務づけることが適当である。ただし、燃料噴射補正量監視による故障判定導入、外部通信コネクターのISO規格への対応、故障時警報灯の変更に関して開発が必要であり、その期間を確保する必要がある。このため、適用時期については、次期排気管排出ガス及び燃料蒸発ガスの許容限度目標値適用時期と同時期とすることが適当である。
 一方、排出ガス低減装置の性能劣化等を検出する、より高度なOBDシステムについては、ガソリン・LPG自動車のものと同等な機能が要求される場合、ガソリン・LPG自動車の技術の二輪車への展開には様々な課題があり、現時点では見通しが立たない状況である。したがって、二輪車に対し現段階でより高度なOBDシステムの導入を検討することは時期尚早であり、将来的に技術の見通しが立った段階で導入を検討することが適当である。
 2.5 次期排出ガス低減対策の評価
 環境省の試算によると、平成22年度(2010年度)の全国の自動車からの大気汚染物質の総排出量(排気管からの排出ガス)は、HCが9.6万トンと推定され、このうち二輪車は0.82万トン(自動車総排出量のうち8.5%)と推定される。
 これに対して、平成32年度(2020年度)の全国の二輪車からの大気汚染物質の総排出量(排気管からの排出ガス)は、平成18年規制適合車への代替による効果を含めると、HCは0.14万トン(自動車総排出量のうち5.3%)となる。今回の報告に基づく規制が行われた場合、更に約20%削減され、0.11万トン(自動車総排出量のうち4.2%)となる。
 また、平成32年度(2020年度)の全国の二輪車からの燃料蒸発ガスによるHCの総排出量は、0.43万トンと推定される。今回の報告に基づき燃料蒸発ガス規制を新たに導入する場合、約30%削減され0.30万トンとなり、次期規制適合車の普及により更なる低減が見込まれる。
 2.6 二輪車排出ガス低減対策の今後の検討課題
 本専門委員会は、平成28年(2016年)に実用化が可能と想定されている排出ガス低減技術に基づいて、2.2から2.4までの排出ガス低減対策を取りまとめた。一方、2.2で述べたとおり、一層の削減を可能とするためには技術的課題が残っており、将来的な技術開発により、更なる排出ガス低減対策を図ることが適当である。このため、次期排出ガス低減対策に係る技術動向や排出ガスの低減レベルについて、実態調査等を実施し、許容限度目標値の見直し等をはじめとする更なる排出ガス低減対策の検討を行う必要がある。
 欧州においては、平成32年(2020年)からのEURO6による規制強化も提案されているが、EURO4等による環境への評価を実施し、必要に応じ規制値・適用時期を見直すこととされている。2.1で述べたとおり、我が国単独で排出ガス規制を強化した場合に、二輪車メーカーは国内専用での開発が必要となり、一層の排出ガス低減対策のための開発を行うことが困難な状況となる。したがって、更なる排出ガス低減対策の検討にあたっては、UN-ECE/WP29において、実態調査等で得られた知見を積極的に展開し、国際基準の策定及び見直しに貢献するとともに、UN-ECE/WP29で策定される国際基準への調和についても考慮する必要がある。
 以上であります。

【河野委員長】 ありがとうございました。本章が一番長いということで頑張っていただきましたが、ただいまのご説明でご質問・ご意見等あれば、ご発言いただきたいと思いますが。

【髙井室長補佐】 先生、すみません。読み上げていて気づいたところがあるんですけど、11ページの10行目のところですね。「2.6で述べるとおり」と書いてあるんですけど、これは、「2.5」の誤りです。失礼しました。
 11ページの10行目で「2.6で述べる」とおりとあるんですが、次期排出ガス低減対策のところは2.5で述べておりますので、「2.5」の誤りでした。

【大聖委員】 よろしいでしょうか。

【河野委員長】 はい、どうぞ。

【大聖委員】 6ページの下のほうですけども、2.2.2というのがありまして、これ「WMTCの導入」と書いてあって、(1)にまた「WMTCの導入」と書いてありますので、導入、「(WMTC)の導入の検討の経緯」とか、何かそんな感じにしたらどうでしょう。

【髙井室長補佐】 はい、ありがとうございます。

【河野委員長】 まだありますか。はい、どうぞ。

【大聖委員】 8ページの下から3行目ですけども、触媒の早期活性化の中で、例として、「点火遅角による排気温度上昇」とある、そのほか、「排気流量増加」とありますが、排気流、これはちょっともう一度資料を当たってみていただきたいと思います。燃料噴射量の増量とか、残留ガスの増加というのは、普通排気温度を高くするのに使うものですから、ちょっとチェックして下さい。流量を上げても確かに温度は上がりますが、実際に、やられているかどうかの確認が必要です。

【髙井室長補佐】 はい、わかりました。こちらチェックさせていただきたいと思います。

【大聖委員】 よろしくお願いします。

【坂本委員】 少し誤植とか、そういったところで。まず7ページで、表のところと、それから本文中でささいなことなんですが、2ぽつの注のところの。

【髙井室長補佐】 先生、8ページです。

【坂本委員】 8ページ。これが違っています。統一されていないということ。それから、あといろんなところに「EURO5」とか出てくるんだけど、これは1ワードか2ワードかというと、2ワードなんですよね、多分。そうするとスペースが英語だったら空けるんだけれども、日本語だとどうするか。それで、いろんな資料のところでは、スペースが入っているのと入っていないのとが出てきているということで、どうするかはお任せします。
 それから、9ページの5行目の最後、「大きくはならない」。「な」が一つダブって入っている。
 それから、11ページの「別表のとおり」のところなんですが、これは別表がどこにあるかは示したほうが親切かなという気もするんですが、割とこういう感じのままやりますかね。だと、ここにも27ページのリットルがローマの字体が先ほどのところと合わせるかどうかで考えていただいたほうがいいかなということと。
 27ページで、やはり表の中に全角と半角の、56%とか48%というところだけは全角で、ほかは半角になっているという、多分ほかのところもあるんだと思うんですけど、たまたま気がついたということです。
 それから、11ページの11行目の「排出ガスの多くを回収すると見込まれる」ですかね。「回収できる」ですかね。できるじゃないかなと、日本語的にはね。
 それから、13ページへ行って、上から4行目の「積極的に展開し」なのか、得られた知見を。ちょっと見たときに、何か文章が日本語的にどうかなという感じがしました。
 以上です。

【河野委員長】 ありがとうございました。
 ほかにございますか。

【後藤雄一委員】 似たような細かい表現の問題なんですが、6ページの14行目、15行目のところが、「例えば」という後の文章として、なっており、なっており増大するという表現になっているので、ちょっと繰り返しになっているのがどうかなと。ご検討いただければと思います。

【髙井室長補佐】 検討させていただきます。

【塩路委員】 後ろの「ており」を省いたらいいんじゃないですか。

【飯田委員】 すみません。飯田から2点。
 まずは、7ページの12行目でございます。これは国内の走行実態を基に、国内実走行サイクルとWMTCの比較でございますが、12行目に「全般に高い相関がある」という表現をしているんですけども、第三者が読むと、多分、何の相関があるのというので、ちょっと読み取れないかなと思ったんで。

【塩路委員】 そうですね。前から読むと、サイクルとサイクルの相関と読み取れると思いますが……、この部分を見ただけでは解り難い感じでしょうか。

【飯田委員】 だから、これは気持ちとしては、二つのサイクルで国内にある車両、二輪車を評価したときに、サイクルの相関ではなくて、その測定結果に何かの相関……。

【塩路委員】 排ガス試験の評価については後ろに書いてあるので、だから、ここはサイクルとサイクルの速度・加速度の相関なんでしょうね。

【髙井室長補佐】 サイクルとサイクルの相関で、分析したのが後ろの参考資料で載せておりますが、参考資料の37ページですね。速度・加速度の分布比較を行って。

【塩路委員】 多分そうなんですよ。

【髙井室長補佐】 これがそんなには離れてないかなということで、高い相関があるということを意図しておりますので。

【飯田委員】 わかりました。

【塩路委員】 じゃあ「速度・加速度の相関に」とか、「両サイクルにおける速度・加速度の」と加筆すれば如何ですか。

【飯田委員】 速度・加速度の頻度かな、正しく言うと。

【塩路委員】 頻度かな、これ。分布ですからね。

【飯田委員】 分布だから、頻度といったらおかしいな。でも頻度ですよね。

【塩路委員】 うん、速度・加速度の頻度分布ですね。

【髙井室長補佐】 そうですね。使用頻度なんで。

【飯田委員】 プロットしたときに、その頻度分布ですね。速度・加速度の頻度分布。ただ、それをどう表現したらいいかなんですけども。

【髙井室長補佐】 両サイクルの速度・加速度、頻度分布について、全般に高い相関がある。

【飯田委員】 はい。それで、よくわかる。
 続いて、その2行下ですけども、国内実走行サイクルでも排出ガスが低減される傾向が確認された。これ「傾向」というふうに言わなくても、もう「低減されることが」というふうにもう言い切ってもいいかなと。

【髙井室長代理】 そうですね。試験結果からすると。そうです。

【飯田委員】 それから、すみません。もう1点は9ページでございます。9ページの7行目に、「また四輪車と比較し、キシレン等、光化学オキシダントに寄与する物質の排出量は大きく二輪車からのHC排出による光化学オキシダントへの寄与度は高い」という、そういう表現がございますが、二輪車と四輪車を比較したときに、要するに、ハイドロカーボンとして絶対量が大きいということと、それから、それはエバポとコールドスタートの部分のことを指しているんだと思うんですけども。
 この文章の意図は、その量を言っているんではなくて、いわゆる排出ガス中のハイドロカーボン中に含まれるキシレン等の低温酸化反応による。何というんでしょうね。オキシダントの生成というんでしょうか。それの率が大きいよということをここで言っているのか、そこがちょっとあいまいな表現になっているかなと感じました。

【髙井室長代理】 そちらについては、参考資料の40ページなんですが、40ページの下のほうにですね。PRTR物質のキシレン、3種類ございますが、そちらの軽乗用車と原付、あとは軽二輪、小型二輪との比較を載せております。割合として多くなっているかというと、必ずしも、多少多くなっているところはあるとは思うんですけど、有意に大きくなっているかというと、ちょっとそこまでは断言できないかなと考えておりまして。割合ではなくて、排出量、グラムとして、大きくなっているということを意図して、こちらは表現しています。

【飯田委員】 わかりました。意図はわかりました。ただ、現実問題として、生ガスのまま、いわゆるガソリン燃料の蒸発した、ガソリン燃料の成分として出ていくハイドロカーボンと、それから、いわゆる触媒を通ってテールパイプ、それから触媒で酸化されて、低級の炭化水素の形になって出ていく量で、同じカーボンでも寄与率は違うので、それで二輪車については、その蒸発分とそれから大昔の2ストロークエンジンで代表されるような生ガスの成分のテールパイプ、これらについても、絶対量として多いだけじゃなくて、寄与率も高いんですよという、そこを表現したかったのかどうかという質問だったんですけども。もうそこはあんまり細かいことを言わずに、要するに、ハイドロカーボンの量が多いという、そういう書き方でも結構だとは思うんですが。ありがとうございました。

【髙井室長補佐】 はい。

【飯田委員】 結論から言いますと、このままで結構ということで、今の意見としては、わかりづらいという。

【河野委員長】 ちょっと考えますかね。

【髙井室長補佐】 はい。

【河野委員長】 ほかには、いかがでしょうか。

【津江委員】 非常につまらないところで申し訳ない。6ページの3行目ですか、「冷機始動時」と、ここだけ冷機始動時で、あとは全部コールドスタートになっているような気がしますので、同じものであれば同じにして。

【髙井室長補佐】 はい。

【津江委員】 それから、12ページの7行目と10行目の括弧の中の「排気管からの排出ガス」というのは、これは排気管排出ガスという、前に定義をされていますけど、これと同じと考えてよろしいんでしょうか。

【髙井室長代理】 排気管排出ガス、そうです。はい、統一します。

【津江委員】 以上です、すみません。

【髙井室長補佐】 ありがとうございます。

【河野委員長】 大分、今日は事務局のご要望に応じて、苦しめておるようで。時間のこともありますので、次を紹介していただいて、遡っての質問もお願いするということで。では3.3のところを。

【髙井室長代理】 それでは、13ページの7行目からであります。
 3.ディーゼル重量車の排出ガス低減対策
 3.1 NOx後処理装置の耐久性・信頼性確保のための措置
 3.1.1 検討の背景
 NOxに係る排出ガス規制の強化に伴い、ディーゼル重量車では新長期規制適合車の一部の車種において初めて尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが導入され、ポスト新長期規制適合車ではNOx低減対策として本格的に導入されている。
 一方、環境省が実施している排出ガスインベントリ作成のための調査の中で、使用過程の尿素SCRシステム搭載新長期規制適合車において、新車の許容限度目標値に対しNOx排出量が大幅に超過していることが確認された。そのため、新品の尿素SCRシステム搭載時のNOx排出量と比較したところ、大幅に増大していることが確認された。
 本専門委員会では、耐久走行距離に至るまでの間は新車時の排出ガスレベルが維持されることを前提として排出ガス総量を推定し、それを基に排出ガス低減対策を検討している。特に、新長期規制以降NOx低減対策として導入された尿素SCRシステムについて、使用過程での排出ガス増大による大気環境への影響は大きいことから、尿素SCRシステムに係る耐久性・信頼性確保のための措置を検討した。
 3.1.2 使用過程の尿素SCRシステム搭載新長期規制適合車における排出ガスの実態
 環境省において、使用過程の尿素SCRシステム搭載新長期規制適合車を対象に、JEO5モードによるシャシダイナモ試験により、排出ガスを計測した。その結果、NOx排出量が規制値を超過しており、温室効果ガスである亜酸化窒素(以下「N2O」という。)及びアンモニア(以下「NH3」という。)も、新品の尿素SCRシステム搭載時に比べて大幅に増大していることが確認された。その原因としては、尿素SCRシステムの前段酸化触媒、SCR触媒、後段酸化触媒の未燃燃料由来のHCによる被毒が考えられる。
 そこで、触媒のHCによる被毒の解消を図るため、シャシダイナモ上で高速高負荷による一定時間の運転により尿素SCRシステムを昇温した後に、再度排出ガスを計測した。その結果、NOx排出量はやや低減するものの、依然として規制値を超過し、NH3排出量は低減する一方、N2O排出量は増大した。
 3.1.3 使用過程の尿素SCRシステム搭載新長期規制適合車における排出ガス低減対策
 3.1.3.1 HC被毒への対策
 新長期規制適合車において、排気ガス温度が高温とならない場合には、触媒のHC被毒により、尿素SCRシステムでの酸化還元反応に対し以下の影響を及ぼす。
・前段酸化触媒において、エンジン出口の一酸化窒素(以下「NO」という。)が十分に酸化されず、NO2が生成されない。
・SCR触媒において、NOに比べNO2が少ないこと及びHC被毒により、NO、NO2及びNH3による還元反応が十分に行われない。
・後段酸化触媒において、NH3が十分に酸化されず、N2Oが生成されない。
 このため、触媒のHC被毒を解消するには、使用過程車において尿素SCRシステムを定期的に昇温すること等による対策の実施が検討されることが望ましい。
 一方、ポスト新長期規制適合車では、PM規制値強化への対策としてDPF(Diesel Particulate Filter)が導入されている。DPFはPMの燃焼により再生するため、再生時の排熱により尿素SCRシステムの各触媒におけるHC被毒が解消されると考えられる。したがって、ポスト新長期規制適合車に対しては、現時点で対策の検討を行わないものの、同様の事例がないか、引き続き実態の把握に努めることとする。
 3.1.3.2 前段酸化触媒の性能低下への対策
 触媒のHC被毒解消を目的とした尿素SCRシステムの昇温後でのシャシダイナモ試験において、定常走行状態での前段酸化触媒後のNO2/NOx比が、新品のNO2/NOxに比べ低い傾向であることが確認された。また、NH3排出量は大幅に低減する一方、N20排出量が増大していることも確認された。これは、SCR触媒において、NOに比べNO2が少ないことにより、NO、NO2及びNH3による還元反応が十分に行われず、余剰のNH3が後段酸化触媒で酸化されていることが原因と考えられる。
 これは、前段酸化触媒においてHC被毒以外の原因により、酸化能力が低下していると考えられるものの、その原因は特定できていない。このため、性能劣化に起因する走行パターン等、前段酸化触媒の性能劣化の原因について引き続き調査を行った上で、前段酸化触媒の性能低下への対策を検討することが適当である。
 尿素SCRシステムは、平成28年規制においても引き続きNOx低減対策の主流となることが見込まれる。このため、原因究明に加えて性能劣化しない触媒の研究開発が促進されるよう、産学官により情報共有することが必要である。
 3.1.4 耐久走行試験法
 使用過程における排出ガス低減装置の性能維持のため、耐久走行後においても良好な排出ガス性能を確保することが求められている。認証時の耐久走行試験は、高速高負荷領域を中心としたエンジン回転モードで一定時間運転し、新車時からの排出ガス量の変化量を外挿することにより耐久走行距離での排出ガス量を評価するものとなっている。
 今回、尿素SCRシステムの性能低下が確認された事例は、いずれも車両走行距離が耐久走行距離を下回っていた。高速高負荷領域においては排気温度も高温であり、HC等により触媒が被毒することはほぼないと考えられるが、実際の車両では低速低負荷での市街地走行を中心とする用途のものも存在する。このため、3.1.3による尿素SCRシステムの性能低下の原因を解明するとともに、走行実態の中でも尿素SCRシステムにとって厳しい走行条件を考慮した耐久走行試験法の見直しを行うことが適当である。
 3.2 オフサイクルにおける排出ガス低減対策
 3.2.1 検討の背景
 自動車排出ガス規制は新車認証時に公定試験モードでの排出ガス許容限度目標値を規定することにより進めてきたところであり、累次の排出ガス規制強化により、エンジンの燃料供給系や燃焼系、排気後処理のシステムの性能向上のためさらに高度な電子制御化技術が導入されている。一方、運送用途に比較的長距離走行にも使用されるディーゼル重量車においては、車両使用者にとって運送費用低減のために低燃費のものが好まれる。エンジンの燃費とNOx排出量はトレードオフ関係にあるため、エンジンの電子制御化により公定試験モードにおいて排出ガスを許容限度目標値以下としつつ、実走行を含む公定賦験モード外の走行において燃費を改善する反面、排出ガスを増大させる車両が出現する可能性もある。
 公定試験モード外でも排出ガスを低減する必要性から、第十次答申では、平成28年(2016年)規制において、オフサイクル対策に係る世界統一基準であるOCEを導入することが答申されている。しかし、公定試験モード外における排出ガス低減装置の無効化機能、いわゆる「ディフィートストラテジー」を禁止する早急な対応が必要であることから、ディーゼル重量車を対象にオフサイクルにおける排出ガス低減対策の検討を行った。
 3.2.2 ディフィートストラテジーの適用禁止
 これまで、新車認証時に公定試験モードでの排出ガス許容限度目標値を規定することで排出ガス対策を進めてきたところであるが、これに加えて、ディフィートストラテジーと見なされる制御の適用は禁止されるべきである。しかし、エンジン等の保護のために排出ガスが結果として悪化するエンジン制御を禁止した場合、排出ガス低減装置の故障によりかえって排出ガス量が増大する恐れがある。また、エンジンオーバーヒートによる車両火災の防止等、車両安全確保のために必要と考えられる制御も存在する。さらに、エンジン始動時又は暖機過程時には、エンジン等の保議に加え、排気後処理用の触媒が低温で活性化しない等、意図的な保護のための制御以外の要因により排出ガス低減装置が有効に作動しない場合もある。なお、これについては、平成28年(2016年)規制からはコールドスタート試験が導入され、コールドスタート時の排出ガス低減対策も評価されることになる。
 このため、ディーゼル重量車の排出ガスを悪化させるエンジン制御をディフィートストラテジーとして定義し、その適用を禁止するとともに、エンジン等の保護及び車両の安全確保のために必要な制御、エンジン始動時及び暖機過程時にのみ必要な制御は、ディフィートストラテジーとみなさないことを明確に規定することが適当である。
 また、エンジンを保護すべき条件から外れても保護制御を解除しない場合は、排出ガスの増加をもたらすことが問題となる。さらに、保護制御が許容される条件は、通常発現しない運転条件の範囲でのみ認められるべきであり、その中でも作動は最小限となることが望ましい。このため、ディフィートストラテジーとみなさない制御について、その保護が許容される条件と、保護作動条件及び解除条件を明確にするとともに、これらの条件の範囲内であってもエンジンの保護等に必要な場合に限定することが適当である。
 なお、新たに開発される排出ガス低減技術により、保護すべき条件が変化する可能性がある。このため保護機能の出現頻度や新たな排出ガス低減技術等について情報収集に努め、必要に応じて条件の見直しを行うことが適当である。
 3.2.3 ディフィートストラテジー有無の検証のための対策
 ディーゼル重量車の認証における排出ガス試験においては、エンジン型式毎に標準車両諸元に基づき、加減速走行パターンから成るJE05モードをエンジン回転数及びトルクモードに換算した試験モードで、エンジンペンチにより排出ガスの排出量を計測する方法が採られている。一方、燃費については燃費基準への適合のための評価に加え、車両型式毎に燃費値を表示するため、定常運転におけるエンジンの回転数及びトルクの組み合わせと燃料消費量の関係を示すエンジン燃費マップを基に、車両諸元を入力することでJE05で走行した場合の燃費をコンピューター上で算出するシミュレーション法が採用されている。このように、排出ガス試験と燃料消費量試験は別々に実施されており、経済性の観点から低燃費の方が商品力が高いことから、排出ガス試験においては作動しないにもかかわらず、実走行やエンジン燃費マップ作成の際の燃料消費量試験において作動する制御が用いられる恐れがある。
 このため、燃料消費量試験においても燃費値と同様の手順でエンジン排出ガスマップを基に算出した排出量が、排出ガス試験の結果と大きく乖離していないことを確認することが必要となる。しかし、排出ガス試験結果は過渡応答の影響が大きく、定常試験の結果を用いたシミュレーションの値とは、仮に制御が同じであっても一致しない可能性が高い。したがって、過渡応答の影響が比較的少ない燃料消費量を指標に用いることとして排出ガス試験の実測燃費を測定し、同一車型におけるシミュレーション燃費と比較し、大きな乖離が無いことを確認することが適当である。このため、シミュレーション法による燃費に対する排出ガス試験での実測燃費値との乖離率が3%以内である場合に、排出ガス試験が成立しているものと判断し、その際排出ガスが規制値(平均値)以下でなければならないものとし、それ以外の場合については、ディフィートストラテジーが適用されているものと判断することが適当である。
 一方、ディフィートストラテジーの確認のための試験サイクルの追加については、仮に追加した場合でも、当該試験サイクルでは出現しないような制御に変更される可能性がある。このため、認証段階で追加試験を実施するのではなく、実路走行での排出ガス実態を基に検証を行うことが適当である。
3.2.4 オフサイクルにおける排出ガス低減対策に関する今後の検討課題
 ポスト新長期規制適合車においてNOx低減対策として本格的に導入されている尿素SCRシステムは、触媒温度により活性状態が敏感に変化する。また、SCR触媒が一定温度以下ではNOxの浄化性能が低いことや尿素水の結晶化による触媒損傷を防止する等の理由により、尿素水の噴射を停止する制御を行っている。また、シャシダイナモ試験での排出ガス試験の結果から、同一エンジンでも後処理装置のレイアウト位置により温度条件が変わり、排出ガス量が大きく異なることが確認された。このため、エンジンベンチ認証試験条件を後処理装置にとって使用実態の中でもより厳しい条件に変更することが望ましい。
 また、実走行において新車認証時の排出ガスレベルが維持されていることを確認する手法として、車載式排出ガス測定システム(以下「PEMS」という。)が考えられる。最近、欧州でも排出ガス規制強化にもかかわらず、実走行では排出ガスが低減していない事例が確認されており、その対策として2014年より適用される重量車次期排出ガス規制のEURO6において、PEMSを導入する予定である。PEMSによる試験法や許容限度目標値の設定、システムの測定誤差や校正等の課題はあるものの、我が国においてもPEMSを導入することについて検討することが望ましい。
 以上であります。

【河野委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。

【大聖委員】 すごく単純なことですみません。14ページの11行目3.1.3.1とありますけど、これは(1)でいいのではないかと思います。

【塩路委員】 その通りと思います。しかし、そうすると目次に入ってこないんですよね。

【大聖委員】 ええ。前にもね、8ページにも2.2.3のところで(1)(2)とある。

【髙井室長補佐】 そうですね。はい。

【大聖委員】 ですから、14ページの27行目を(2)という。ここまで目次に入れてもいいんですけどね。

【塩路委員】 (1)(2)についても、全部目次に入れたっていいかなと思うんですね。前のところも。

【飯田委員】 よろしいでしょうか。
 14ページ、16行目でございます。HC被毒への対策という項の中で、「SCR触媒において、NOxに比べNO2が少ないこと及びHC被毒により、NO、NO2及び」、アンモニアですね、「NH3による還元反応が十分に行われない。」という表現がありますが、これでも間違いではないとは思うんですが、NOとNO2が還元して、それでNH3はむしろ酸化をする、酸化還元の反応ですので、表現としては、例えば「NH3によるNO、NO2の還元反応が十分に行われない」という、そういう表現にされたほうがいいかなと思います。

【大聖委員】 ほかの箇所にも同じたしか表現があったかもしれない。

【飯田委員】 ええ。同じく、15ページの3行も同じ表現になっていますので、あわせてお願いいたします。

【岩本委員】 御園生先生も手を上げておられますが、先にやらせていただきます。今話題になっている14ページ辺りの触媒のことは、若干決め打ちし過ぎだという気がします。問題が明らかになった後の実際の経緯として、こういうことから検討を行ったということで、経緯を書かれるような感じでいいんじゃないかと思いました。つまりHCによる被毒というのは、もちろん起こっていると思うので、まずそこに焦点を当てて検討をしたと記載し、その結果こういうことがわかった、ただし、最終的には、ほかにもいろんな原因がたくさんありそうだから、そういうことも今後はやりましょうというふうに書いていただいたらいかがかと思うんですが。

【岩本委員】 もう一つ、細かい点。14ページの18行目で劣化によって窒素酸化物分布がどのように変化するかの記載はちょっとおかしい気がします。ごめんなさい。

【塩路委員】 今のは、HC被毒への対策についてのことを言われているんですね。

【岩本委員】 ええ。HC被毒はもちろんあると思うので、最初はそれを考えられたことは結構だと思うんです。それについてやったけれども、それだけでは満足に説明できないので、ほかもいろいろやりましょう、あるいはやる必要がありますというふうにまとめていただき、最後のところの今後の方針につなげるように書いていただくのがいいんじゃないかと思ったんです。最後の章が今後なので。

【塩路委員】 だから、HC被毒への対策というところの内容ではなくて、その前のHC被毒だというふうに決めているというところが問題だという、そういうご指摘ですか。

【岩本委員】 ええ。それだけに限定されているように見える点が問題だと思います。最初はそう考えられたのかもしれないんですけども、それだけではなかったということが後で出てくるわけですから。

【御園生委員】 おっしゃるとおりで、3.1.3.1、「HC被毒への対策」だけが出ているのが多分問題で、使用過程での劣化の原因についての解明と対策をHCを含め総合的に書くことが良いと思います。前回の議論でも申し上げたと思うんですけど、HCは原因の一つで、他にも硫黄とかリンの沈着もあれば、白金のシンタリングとか触媒の構造自身の変化も、多分どれも起こっていると思います。HCだけに決め打ちするとする根拠があればいいんですけど、多分前回の議論ではそれがないようでしたので、他の可能性もあることが分かるように書いたほうがいいと思います。

【髙井室長補佐】 そうすると、例えば、この3.1.3の(1)が始まる前に、排出ガスが増大している要因としては、HC被毒や前段酸化触媒の劣化等、さまざまな要因が考えられる。

【御園生委員】 だから、それが分かるような書き方が良いと思います。基本的には、岩本先生が言われたことと同じですけども、例えば、「HC、硫黄、触媒自身の変化などの原因が考えられる」とすれば、問題はなくなります。ご検討いただければ。

【河野委員長】 今のでよろしいですか。事務局としても。

【髙井室長補佐】 はい。

【河野委員長】 限定しなくて。

【髙井室長補佐】 限定しないように。

【河野委員長】 one of themでやって。

【髙井室長補佐】 例えば、今こちらに書いているんですけど、HC等による被毒への対策として、被毒が起これば、ここの三つのプロセスというのは、HCに限らずほかでも起こるわけですよね。ですので、「HC等をはじめとする触媒の被毒により」とか、そういうふうに表現を変えて、ここはちょっと22行目ぐらいまでは行きたいと。
 そのうち、そのHC被毒であれば、昇温によって解消することができるという。そこは事実だと思うんで、「このうち、HCによる被毒については」というところをこの21行目辺りに加えて、それで修正して、「HC被毒の対策としては、定期的な昇温措置が考えられると、ポスト新長期については、現時点では、対策については行わない」というふうなつながりにしてみてはいかがかと思いますが、よろしいでしょうか。

【大聖委員】 ちょっと、それよりもすみません。14ページの3.1.2で、要するに、HC被毒以外のことも言及されれば、これが前段になるわけですよ。

【髙井室長補佐】 そうです。はい。

【大聖委員】 だから、そこへ書かれたほうがいいのではないかなと思います。
 14ページの1行、2行目辺りで、HCによる被毒あるいはそれ以外の金属による被毒とかいろいろありますよね。あるいは高温による劣化とかね。そういったことをそこに言及しておかれたらいいんじゃないかと思います。それが実態を把握したということになるわけですね。

【髙井室長補佐】 はい。

【大聖委員】 と思いますけども。それから……。

【岩本委員】 ちょっとよろしいですか。今のご意見にちょっと補足で、私も14ページ目の2行目のところ、いきなり「HCによる被毒が考えられる」と一つだけ理由を書いてあることには賛成できないですね。

【大聖委員】 そうそう追加すればいい。

【岩本委員】 ええ。「いろいろ考えられる中で、HC被毒については、3.1.3でやった」というような書き方だったら、よろしいんじゃないかと思います。

【髙井室長補佐】 はい。

【岩本委員】 それから、追加ですが、もとの配布資料の14ページ目の18行目。現在はちょっと行が変わっていますが。「アンモニアが十分に酸化されず、N20が生成してしまう」、あるいは「N2が生成されない」、どちらかの表現が適切と思います。N20ができては困るので。「排出されることが望ましくないN20が生成してしまう」と書かれたかったんじゃないですか。

【髙井室長補佐】 いや、ここで意図していたのは、アンモニアスリップが起きているということを書きたかったので。そうすると……。

【岩本委員】 酸化されてN2になってほしいわけですね。とにかくそれが途中でとまっている。

【髙井室長補佐】 ええ。ただ、その前のステップで、結局……、というか、前のステップでアンモニアがまず消費されないので、アンモニアが消費されないアンモニアは結局全部N20になって……。

【御園生委員】 アンモニアが除去されないと書けばいいんですか。

【岩本委員】 はい。アンモニアがそのまま出てくる、スリップが起こるということと、酸化がうまくいかないという二つを一つに書こうと思ったから、ちょっと変な文章になっているんです。

【髙井室長補佐】 そうですね。十分に浄化されないと。

【御園生委員】 N20はN2より酸化されていますから、書き方を工夫したほうがいいんじゃないでですか。

【髙井室長補佐】 「NH3が十分に浄化されない」というふうに修正すればよろしいでしょうか。

【河野委員長】 岩本先生、それで、よろしいですか。今の議論で。

【飯田委員】いや、これどう言ったらいいのかな。

【岩本委員】 間違いではなくなったと思うんですが、それで、例えば現象がちゃんと説明できているかというと、ちょっとわからないですよね。つまり、アンモニアが酸化されなくてスリップしたという点と、反応が不十分でN20でとまってN20ができてしまったと書いたほうがはっきりすると思うんですね。

【塩路委員】 だから、具体的にどう直せばいいんでしょう。

【大聖委員】 だから、今、岩本先生言われたとおりで。

【塩路委員】 18行ですね。

【大聖委員】 アンモニアが……。

【塩路委員】 いや、それはよくわかるんですけどね。

【岩本委員】 「十分に酸化されず、スリップしたり」、スリップというのが使っていいかどうかわかりませんが。

【大聖委員】 今スリップという言葉はもう使っていますので。

【岩本委員】 それではそのまま使うことにし、「スリップしたり、N20まででとまったり」と書いてはいかがでしょうか。

【大聖委員】 そうですね。だから。還元に使われずにスリップをしたり、N20が生成されることがあるのです。それはアンモニアと実はNOが共存関係にあるとN20ができたりするのです。

【河野委員長】 御園生先生、いかがですか。

【御園生委員】 形式的に言うと、N2とN20では、N2Oのほうが酸化されているので、ちょっと違和感は残りますけどね。

【後藤(雄)委員】 すみません。今のここの表現の根拠となるデータは、参考資料の59ページの未規制物質排出量の上から二つ目の、下のこの図を見て表現していると思っていいんですか。

【髙井室長補佐】 はい。

【後藤(雄)委員】 だから、この棒グラフを見て、それを記載したという理解。

【髙井室長補佐】 そうですね。はい。

【後藤(雄)委員】 なんですよね。それの一番左がここに書いてある。一番左の棒のことを、ここに記載しているということですよね。

【髙井室長補佐】 ええ。

【後藤(雄)委員】 それで、アンモニアスリップが十分に酸化されないので、アンモニアがたくさん出るというのと、ほかに比べるとN20が少な目だと。そこのところで、これはされずとしたのかなと、理解したんですが、ちょっとそこの表現が誤解を受ける表現になっているなという。

【塩路委員】 この表現ならいいんじゃないですかね。

【大聖委員】 はい、それでいいと思いますけど。
 あとは、尿素SCRが機能するためには、NO2がある程度なければいけないという知識がない人がこれを読むと、何となく理解が難しいかもしれませんね。

【岩本委員】 前段触媒の役割ですね。書いていることがわかっていない方がどう感じられるかですね。

【塩路委員】 15行目にそれはもう既に含まれていますよね。15行目で、「N02が生成されない」ということが書いてあって。

【大聖委員】 いや、だけど、されないとどういう質のものが起こるかということを書いてないから。

【塩路委員】 ここのところをわかってもないといけないということですね、それは。

【岩本委員】 「N02の生成能力が落ちる」とか、そういう表現に変えれば少しはわかりやすくなりますが。

【髙井室長補佐】 あるいは、例えばSCRというのは、ここで出ていますけど、ここに原理のN0とN02に、アンモニアか。

【大聖委員】 そうですね。

【髙井室長補佐】 NOで酸化を抑える。

【大聖委員】 そうですね。N02もある程度共存していること、NOとN02がちょうどフィフティー・フィフティーの割合が還元反応にはいいのです。

【髙井室長補佐】 ええ。そういう表現での解説をここの後に。

【大聖委員】 そうですね。そうそう前のところでね。知識として書いておかれたらいいんじゃないですか。

【髙井室長補佐】 ええ。

【大聖委員】 ああ、これは専門家にとっては当たり前だと思っていることだからですね。

【河野委員長】 じゃあ、これは検討させていただくということで、どうでしょう。後藤委員何か。

【後藤雄一委員】 いや、最初言おうと思ったのは、先ほど皆さんのほうからご指摘があった14ページの2行目の「HC被毒による被毒が考えられる」という限定はまずいので、経緯を書くとしたら、「当初被毒が考えられた」と書いて、それで書いたほうがよかったなと。同じような内容なので。それは表現の範囲。

【塩路委員】 その次で、「そこで」と受けていますからね。だから、全体を見て文章をつくらなかったら、ちょっとややこしくないですか。

【大聖委員】 ここはでも前置きみたいなものですから、HC被毒だけじゃないということは、ちゃんと言っておいたほうがいいかもしれないですね。

【塩路委員】 いや、もうそこの一部で、そこでと書いてあるでしょう。

【大聖委員】 ああ、だから、そこは。

【塩路委員】 だから、そこら辺もちょっと考えないといけないという。

【大聖委員】 そうです。

【髙井室長補佐】 例えば、そこでというのを、いろんな原因があるんだけど、「ここのうち」とかですね。

【塩路委員】 多分そうでしょうね。

【大聖委員】 被毒。そうですね。

【河野委員長】 結局、読者は誰かということで。

【御園生委員】 読者が誰かということに関わるんですけど、私にとってはわかりにくい文章が少なくないという感じがします。例えば、私がわかりにくかったのは、16ページ19、20、21行の例のディフィートストラテジーのところですけれど、「しかし」から始まって「恐れがある」というところです。
 文の後半の「排出ガス低減装置の故障によりかえって排出ガス量が増大する恐れがある」というところですが、これは当たり前のことを書いているように見えます。

【髙井室長補佐】 はい。ちょっとわかりにくい表現で申し訳ないです。

【御園生委員】 故障すれば排出ガスが増大するのは当たり前だと思うんですけど。

【河野委員長】 このとおりでは、まずいですか。

【御園生委員】 排出ガス低減装置が故障すれば、排出ガス量は増えるのは当然ではないですか。

【塩路委員】 それこそ排出ガス低減のストラテジーの問題が絡んでいるんですよね、これ。後処理にどの程度頼っているかということにも関わっているから。多分、エンジン制御全体の話になる。

【御園生委員】 多分そうだろうと思います。

【河野委員長】 いや、でもそうか。この事実、これが理解できないということをおっしゃっているんですね。

【髙井室長補佐】 いや、まさに当たり前過ぎることを書いているんだと思うので。例えば、そうすると、「排出ガス低減装置の故障による排出ガス量増大を防止するために、一時的にはエンジン等の保護のための制御が必要となることがある」とか何かそういうふうに書いたほうがわかりやすいですかね。いいですか。

【御園生委員】 そのほうが皆さんわかるのではないですか。

【髙井室長補佐】 増大しますよね。

【御園生委員】 普通は増大するので。

【髙井室長補佐】 何かその増大を防止するために、一時的にエンジン保護のための制御を使っていいということを意図して書こうとしたんですけど。

【御園生委員】 そうなんですか。

【髙井室長補佐】 ちょっとそれを、もう少しダイレクトに書いたほうがわかりやすい。

【塩路委員】 思想的には簡単なことなんですよね。

【御園生委員】 禁止することによって排出低減装置が一時的に機能しなくなる。

【髙井室長補佐】 ええ。この保護が、現在使っていて、保護機能までも禁止してしまうと、結果として、エンジンの故障を導いてと。

【塩路委員】 それだったら、それぐらい軽い言葉で書かれたら。

【髙井室長補佐】 単純に、「排出ガス低減装置の故障を招くおそれがある」とか。

【塩路委員】 招くおそれがある。それだったら。いや僕、この「かえって」というところに非常に大きな意味があるのかなと思って。

【飯田委員】 というのもあるね。

【塩路委員】 全体の制御の話が含まれているのかと思ったんですけど、そんなに大したことないのでしたら、何も「排出ガスが増大するおそれがある」と書かなくても。

【髙井室長補佐】 一時的にエンジン保護のために排ガスが増大するんだけど、故障のほうがもうはるかに大きいので、それに比べれば。

【御園生委員】 つまり原因が、エンジン制御を禁止した場合、禁止することが原因で、結果、エンジンが低減装置の制御の不具合が原因で、排出ガスで増大したように見えてしまうんですね。そのため、「が起こり、かえって排出ガス量が増大する」、そういうことをおっしゃっているんですね。

【髙井室長補佐】 そうですね。

【塩路委員】 「かえって」という表現が、それだったら要りませんよね。

【御園生委員】 ええ。わかりました。ただ、この文章では多分わかりにくいと思いますね。

【髙井室長補佐】 そうですね。今こちらのように修正しまして、エンジン制御を禁止することにより、排出ガス低減装置の故障を招くおそれがあると。

【塩路委員】 排出ガス量が増大するおそれがあっても。

【大聖委員】 「排出ガス低減以降のこの装置の故障によって」というところの前に、要するに、「エンジンの保護装置を作動させないために」という言葉が直前にないからわかりにくくなっているんじゃないですかね。

【塩路委員】 でも、その前に「エンジン等の保護のために」と書いてあるから、その文章で受けているんじゃないですかね。

【大聖委員】 保護のためにというのは、禁止した場合にかかっているのですね。

【西本室長】 この前のところが長いので。

【大聖委員】 そうそう長いので、切ってしまえばいいわけです。

【西本室長】 したがってですね、ここは「エンジン等の保護のための制御を禁止した場合」といったほうがストレートです。

【塩路委員】 なるほど、それならすぐつながります。

【西本室長】 この間の「排出ガスが結果として悪化する」というのがあるんで、ちょっとわかりにくいのかなと。

【塩路委員】 ああ、そうか。ダブルになっていたのですね。

【西本室長】 これを取ってしまえば。

【塩路委員】 そうですね。

【西本室長】 前のところは全部禁止するといったんだけど、そのうち、この制御を禁止した場合はというほうが読みやすくなる。

【塩路委員】 「保護のための制御を禁止した場合」とする。

【大聖委員】 かえって、エンジンの故障を招くということですよね。

【髙井室長補佐】 はい。

【塩路委員】 なので、排出ガス量が増大するおそれがあると。

【髙井室長補佐】 はい。

【西本室長】 本当は、この部分がかえっての意味だったんですけど、ちょっと読みづらくなってしまって、そこは取ったほうがよろしい。

【塩路委員】 そうですね。丁寧にした結果……。

【河野委員長】 御園生先生、それでよろしいですか。

【御園生委員】 まだ意味がよくわからないところがありますが、今の説明を上手に書いて頂ければ結構です。

【河野委員長】 だんだん理解していただいているというふうに思いたいところでございます。
 時間もありますので、次へ行きたいと思います。お願いします。

【髙井室長補佐】 それでは、19ページの4.ディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策てでございます。
4.1 黒煙規制の見直し
4.1.1 C1モード黒煙試験の廃止
 平成23年規制に適合したディーゼル特殊自動車のC1モード(8モード)黒煙試験結果では、DPF等の排出ガス低減対策により黒煙汚染度は0%となっており、平成26年目標値以降も黒煙汚染度は引き続き0%となると考えられる。このため、規制合理化の観点からC1モード黒煙試験を廃止することが適当ある。
4.1.2 使用過程時における排出ガス許容限度目標値
 ディーゼル車については、ポスト新長期規制以降、使用過程時におけるPM排出測定方法を、黒煙汚染度からオパシメーターによるものに変更している。この測定方法により、黒煙汚染度では測定が困難な可溶有機成分(SOF)も含めた評価がディーゼル車と同様に可能となり、使用過程時の黒煙検査の高度化を図ることができる。このため、ディーゼル特殊自動車においても、平成26年目標値の車両からオパシメーターによる目標値を設定することが適当である。なお、定格出力が19KW以上56KW未満の車両については、平成26年目標値を平成23年度規制値(適用時期は平成25年(2013年)10月)から継続するため、オパシメーターへの変更については平成28年(2016年)末までに運用を開始することが適当である。
 平成26年目標値を達成した車両は光吸収係数が低くなることが考えられるが、エンジンが冷機状態で測定する場合に水蒸気の影響を受ける可能性があること、測定原理上NO2の干渉を受けること等から、排出ガス対策の効果、車検時の工数等を勘案し、光吸収係数0.5m-1とすることが適当である。
4.2 国際基準調和に向けた追加的排出ガス低減対策
 ディーゼル特殊自動車については、第九次答申に基づき、平成23年規制より過渡試験サイクNRTCを導入し国際基準への調和を図ったところである。一方、UN-ECE/WP29において、平成21年(2009年)にNRTCを含む特殊自動車世界共通試験法NRMM(Non Road Mobile Machinery)が策定がされている。このため、開発費用の低減を図る観点から、排出ガス試験法に係るNRMMへの調和に向けた追加的対策について検討した。
4.2.1 ブローバイガス対策
 普通自動車、小型自動車、原動機付自転車においてブローバイガスの大気開放が禁止されている。しかし、ディーゼル特殊自動車の中には、急傾斜の作業現場において使用されるものも存在し、このような車両の一部では、ブローバイガスの大気開放を禁止することにより、転倒時等に吸気側にエンジンオイルが混入しエンジンが暴走する危険性がある。このため、ディーゼル特殊自動車に対しては、ブローバイガスの大気開放の禁止規制は導入されていない。
 一方、米国においては、原則としてブローバイガスの大気開放を禁止するとともに、ブローバイガスを大気開放する必要がある車両については、排出ガス試験時に、排気管排出ガスに加え大気開放するブローバイガスも測定することを要件としている。またNRMMにおいても、同様の規制が規定されており、欧州において、NRMMと調和し、同様の規制を導入する見込みである。
 平成23年規制適合エンジンによりブローバイガスを排気管排出ガス中に混合し排出量を計測したところ、混合せずに計測した場合とほとんど差はなく、いずれも非メタン炭化水素(以下「NMHC」という。)の排出量は規制値を大幅に下回っていることが確認された。しかし、ブローバイガスは使用過程において、ピストンリングやシリンダライナの損耗により排出量が増大する可能性もある。したがって、原則としてブローバイガス排出を禁止することが適当である。ただし、ブローバイガスを大気開放する必要がある車両については、排出ガス試験時に、排気管排出ガスに加え大気開放するブローバイガスも測定することとし、両方合わせて許容限度目標値を適用することが適当である。また、適用時期は、平成26年目標値の適用時期と同時期とし、定格出力19KW以上56KW未満のものについては、平成28年(2016年)末までに開始することが適当である。
4.2.2 定常試験におけるRMCの追加
 NRMMでは、NRTCに加え、定常試験として定常サイクルのC1モード又はRMC(Ramped Modal Cycle)のいずれかの試験を行い、評価することとしている。我が国では、第九次答申に基づき、定常試験においてはC1モードのみを適用している。
 RMCは、NRTCと同様に、テストサイクル中に連続サンプリングにより計測するため、8つの測定ポイントでの排出ガス量を個々に計測した上で重み付け係数により排出量を算出するC1モードに比べ、排出ガス試験時間が短くなり、PM計測は測定誤差による影響が小さい。また、排出量測定に関し定常ポイントはC1モードと同じ点であり、測定点の移行間での排出ガス量が含まれるものの、C1モードでの各測定点の重み付け係数とほぼ同等である。
 平成23年規制適合エンジンによりC1モード及びRMCによる排出ガス試験を実施し、その結果を比較したところ、排出ガス量は同等と見なすことができることが確認された。このため、国際基準調和の観点からも、定常試験としてC1モードに加えRMCを導入することとし、排出ガスの認証試験時にC1モード又はRMCのいずれかの選択を可能とすることが適当である。また、適用時期は、平成26年目標値の適用時期と同時期とし、定格出力が19KW以上56KW未満のものについては、平成28年(2016年)末までに開始することが適当である。
 以上であります。

【河野委員長】 それでは、ご質問、ご意見をお願いします。

【牧下委員】 よろしいですか。20ページの4行目ですけれども、ブローバイガスの大気開放が禁止されているという車種をですね、この「普通自動車、小型自動車、原動機付自転車において」というふうに限定的に書いておられるんですけど、これに限定された話ではないのであれば、ちょっと書き方をかえてもらう必要はないでしょうかね。二輪車だとか、そういうものは。

【髙井室長補佐】 そうですね。冒頭の1ページの7行目とかでは、普通自動車、小型自動車、軽自動車、二輪自動車、原動機付自転車及び特殊自動車と、車種を一応これ全部網羅しておりまして、厳密に言うと、この二輪自動車というのが、小型自動車のうち小型二輪自動車ですとか、軽自動車のうち軽二輪自動車といったことで区分けされておりますので、法令上ですね。それでちょっと、二輪自動車というところは省略してしまったんですけど、この専門委員会報告書としては、厳密な法的な用語の区分けではなくて、わかりやすく小型、ちょっと軽が抜けていますけど、軽自動車と、あと二輪自動車というふうに入れたほうがいいと思うので、そのように修正いたします。

【河野委員長】 ほかにございませんか。

(なし)

【河野委員長】 では、ないようでしたら、時間もありますので次に行きたいと思います。
  はい、では5章をお願いします。

【髙井室長補佐】 21ページの16行目からです。
5. 今後の自動車排出ガス低減対策の考え方
5.1 今後の検討課題
5.1.1 乗用車等の排出ガス低減対策
 重量車を除くガソリン・LPG自動車及びディーゼル自動車については、UN-ECE/WP29において、我が国も参画のもと、世界統一試験サイクルWLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)を含む世界統一試験法WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)の検討が進められている。その活動に積極的に貢献するとともに、今後その進捗状況を踏まえ、現行試験サイクル(JC08モード)を見直し、WLTCを導入することについて検討する。また、今後、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向等を踏まえ、低燃費技術と排出ガス低減技術との両立に配慮した上で、必要に応じ新たな排出ガス許容限度目標値の設定について検討する。
5.1.2 特殊自動車の排出ガス低減対策
(1)定格出力が19KW以上560KW未満のガソリン・LPG特殊自動車
 ガソリン又はLPGを燃料とする特殊自動車(以下「ガソリン・LPG特殊自動車」という。)については、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向等を踏まえ、必要に応じ排出ガス規制の強化について検討する。また、現行試験サイクル(C2モード)を見直し、過渡サイクルを導入すること、及びブローバイガスへの対策について併せて検討する。
(2)定格出力が19KW未満及び560KW以上の特殊自動車
 現在、排出ガス規制対象となっていない定格出力が19KW未満及び560KW以上の特殊自動車については、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向、国土交通省の排出ガス対策型建設機械指定制度の効果、(一社)日本陸用内燃機関協会が実施している19KW未満の汎用ディーゼルエンジン排出ガスに関する自主的な取組の状況等を踏まえ、必要に応じ排出ガス規制の導入について検討する。
5.1.3 ガソリン重量車の排出ガス低減対策
 ガソリン重量車については、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向等を踏まえ、必要に応じ排出ガス規制の強化、オフサイクル対策、高度なOBDシステムの導入について検討する。
5.1.4 微小粒子状物質・ブラックカーボン対策
 平成21年9月に、微小粒子状物質、いわゆる「PM2.5」に係る環境基準が設定されており、現在、全国的な濃度状況を把握するための測定体制の整備が進められているところである。なお、平成22年では、自動車排出ガス測定局12局中、長期基準と短期基準ともに達成したのが1局(8%)であった。
 ディーゼル車やディーゼル特殊自動車から排出されるPMは、そのほとんどがPM2.5であるため、これまでの排出ガス規制等の対策の着実な実施が、PM2.5削減対策として有効である。
 一方で、粒径がナノメートルサイズの微小粒子の数や組成等が健康影響に関連が深いのではないかとの懸念が国内外において高まっている。欧州では、UN-ECE/WP29において我が国も参画のもと検討されているPM粒子数試験方法に基づき、自動車から排出されるPMの粒子数に着目した規制がディーゼル重量車を除くディーゼル車に対して平成23年(2011年)から導入され、ディーゼル重量車に対しては平成24年(2012年)末から開始される予定である。しかし、現在のPM粒子数試験方法では、測定技術上の困難性から、PM2.5にも寄与が大きいと考えられる揮発性の高い粒子は測定できないという課題がある。
 また、化石燃料の燃焼によって発生するブラックカーボンは、大気汚染物質であることに加えて温暖化を促進する物質と見なされており、国際的にもその実質的な効果と削減の必要性が議論されている。自動車からのPMのうち、ブラックカーボンであるEC(Elementary Carbon)の排出割合は大きく、国内のブラックカーボン排出量のうち、自動車起因のものが大半を占めるという見方もある。一方、最新規制適合のディーゼル車やディーゼル特殊自動車にはDPFが装着されており、DPFにより大半のブラックカーボンは捕集されると考えられる。今後、国内排出量の把握や対策についての検討が進められる予定である。
 したがって、まずは、これまでの排出ガス規制等によるPM低減対策を着実に実施することとし、今後、PM2.5に対する総合的な対策及びブラックカーボンの温暖化の効果と削減対策を検討する中で、自動車に必要な対策についても検討することが適当である。
5.1.5 その他の未規制物質対策
 自動車からの揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)対策については、HC又はNMHCを規制対象としているが、炭化水素系の物質により大気汚染への影響は異なる。このため、自動車から排出される未規制の有害大気汚染物質について、測定方法の開発及び測定精度の向上を図り、自動車からの排出量把握のための基盤を整備するとともに、得られた情報を基に必要な施策を講じるよう努めることが望まれる。その際、エンジン技術、触媒等の後処理装置の技術及び燃料・潤滑油品質等が自動車からの有害大気汚染物質の排出量に及ぼす影響についても併せて把握することが必要である。
 また、今後、VOCについて、工場・事業場等を含めた総合的な低減対策を検討することとなった場合には、その一環として、改めて自動車の排出ガス低減対策及び燃料規格のあり方について、その効果と課題を踏まえて検討する必要がある。
 さらに、自動車排出ガス低減対策の検討に当たっては、温室効果ガスである二酸化炭素(以下「CO2」という。)に加え、メタン(CH4)やN2O等が増大しないよう配慮する必要がある。
5.1.6 バイオディーゼル燃料による排出ガスへの影響
 地球温暖化対策として有効であるバイオ燃料については、2.5において検討したE10のほか、ディーゼル車に使用されるバイオディーゼル燃料もある。バイオディーゼル燃料には、バイオマスによる原料油脂からの合成方法により、脂肪酸メチルエステル(FAME)、水素化処理油(BHD)、ガス化合成燃料(BTL)等があり、脂肪酸メチルエステルは、近年、いくつかの地域を中心に、その利用が広がりつつある。
 一方、ディーゼル車は軽油の使用を前提に製作されており、排出ガス規制強化に伴い、これまでより高度な排出ガス低減技術が導入されているため、バイオディーゼルの性状及び混合率により燃焼特性が変化し、ひいては排出ガス低減システムの浄化性能にも影響し、排出ガス量が増大する恐れがある。
 このため、ポスト新長期規制に適合したディーゼル車にバイオディーゼル燃料を使用した場合の排出ガスへの影響を調査し、その結果を踏まえ、対策を検討する必要がある。
5.2 自動車排出ガス低減対策における国際基準への調和
 自動車排出ガス低減対策を進めるに当たっては、我が国の大気環境を考慮し、自動車走行実態等に即した対策を講じることが必要である。一方、自動車産業はグローバル化し、特に二輪車については顕著となっている中で、自動車排出ガス低減対策における国際基準調和は、排出ガス低減対策技術の開発に係る費用を軽減し、開発期間を短縮する方策の一つとなる。
 このため、2.6及び5.1.1をはじめとする自動車排出ガス低減対策の検討を進めるに当たっては、UN-ECE/WP29において進められている国際基準調和活動に積極的に参画するとともに、UN-ECE/WP29の検討状況、スケジュールを踏まえ、可能な限り国際基準への調和を図ることが望ましい。
5.3 関連の諸施策
5.3.1 総合的な自動車排出ガス対策の推進
(1)自動車NOx・PM法に基づく施策等総合的な自動車排出ガス対策の推進
 大気汚染が局地化するにつれ、全国一律の新車に対する排出ガス規制は、対費用の面からもその効果は小さくなる。したがって、大気汚染の比較的厳しい地域での特別の対策を実施することの意義がますます高くなるものと考えられる。そのため、今後は、自動車NOx・PM法に基づく車種規制、事業者排出抑制対策等を着実に実施するとともに、平成19年(2007年)5月の同法の改正により新たに追加された局地汚染対策等も含め、総合的な自動車排出ガス対策を実施することが重要である。
 また、交通量の円滑化、適切な交通量の抑制、道路構造や都市構造の改善等の排出ガスを抑制するために効果的な施策についても積極的に検討し、実施していくことが望まれる。
(2)適切な点検整備の励行、自動車検査による対策
 使用過程車全般について、今後とも、点検整備の励行、道路運送車両法に基づく自動車の検査(車検)及び街頭での指導・取締り(街頭検査)時における排出ガス低減装置の機能確認や燃料品質の検査等により、使用過程において良好な排出ガス低減性能を維持させることが重要である。
 また、高度なOBDシステムを活用した検査や抜取り検査(サーベイランス)の導入方策等の使用過程車に係る総合的な対策について、その必要性も含め早急に検討することが望まれる。
(3)エコドライブの推進
 CO2低減対策に加え、排出ガス低減対策の観点からも、急加速の抑制やアイドリング・ストップ等のエコドライブ(環境負荷の軽減に配慮した自動車の使用)は効果的であり、アイドリング・ストップ機能やエコドライブ支援機能付きの自動車の普及を促進する等、エコドライブの普及施策を推進することが望まれる。
5.3.2 自動車の特性に応じた環境性能評価法の開発
 自動車の排出ガス規制の前提となる排出ガス試験サイクルについては、現実に起こりうる多様な走行条件の中から、頻度の高い平均的な走行条件を反映している。
 一方で、重量車の中では、主に都市内を運行する路線バスや宅配車、塵芥車等、実際にはある特定の低速走行条件をかなりの頻度で使用する車種もある。それらの車種については、自動車メーカーは、JE05モードを前提とした排出ガス規制への適合に加え、その特定の走行条件においても優れた環境性能が発揮できるよう技術開発に努める必要がある。
 このため、そのような自動車の特性に応じた統一的な環境性能評価法を検討し、自動車メーカーが、この評価法を活用し、環境性能をアピールできる環境を整え、実際の走行条件に応じた環境性能に優れた自動車の普及促進を図ることが望まれる。
5.3.3 環境性能に優れた自動車の普及促進
 大気環境の一層の改善と地球温暖化対策の両面から、次世代自動車や低排出ガス・低燃費車等の環境性能に優れた自動車の普及を促進していくことが重要である。このため、環境性能に優れた自動車に対する税制優遇、補助、融資制度等の環境性能に優れた自動車の普及施策を継続的に推進していくことが望まれる。
5.3.4 大気環境の状況把握と改善効果の予測
 自動車排出ガス規制や総合的な自動車排出ガス低減対策の進展に伴い、これらの対策の効果の実態を的確に把握し、また、今後の諸対策の効果を予測することが、新たな施策を企画・実施していく上で、一層重要になる。その際には、PM(ブラックカーボンを含む。)、NOx、VOC等の排出インベントリの整備や、SPM(PM2.5を含む。)、光化学オキシダント等の二次生成のメカニズムの解明とそれに寄与する因子の把握も必要となる。そのため、排出源における各種対策により沿道等での大気環境の改善に及ぼす効果の把握体制の整備や、今後の諸対策による効果を予測する数値シミュレーションモデルの活用等に務めることが望まれる。
 以上であります。

【河野委員長】 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問お願いいたします。

【大聖委員】 最後の6行目の「活用等に務める」は努力……。

【髙井室長補佐】 はい、努力の努です。気づきました。

【河野委員長】 ほかは、いかがですか。

【岩本委員】 よろしいですか。最後の第5章の今後の進め方というか考え方のところで、何か5と5-1の間に全体的な方策といいますか、戦略みたいなことを書かれたほうがよろしくないですか。個別のことはずっと書いてあって、このエンジン、あるいはこの車種はこういうふうになると書いてあるんですが、全体の方向性が書かれていないように感じます。
 何を書くかなと考えたんですけれども、例えば参考資料の52ページに、発生源別のTHC、CO、NOxがまとめてございますね。随分前の委員会の資料ですけれども。例えば、やっぱり排出源が多いところから規制を進めるとかの大方針提示が必要なように思います。それから、これはうたっていいのかどうかわからないんですが、最終的には公平な規制になるようにするとか、何というか、環境省さん自体が個別の規制値を決めるだけじゃなくて、全体的な方針はどうするんだというのを打ち出されるべき場所じゃないかという気がするんですけど、いかがですか。
 例えば二輪は保有台数が非常に少ない。少ないけれども、全体に対する寄与率は数パーセントある。ということは、二輪のほうがまだたくさん出しているので今後の規制をどうすると書く必要があるように思います。

【大聖委員】 1台1台。

【岩本委員】 うん、1台1台見ると。

【髙井室長補佐】 単位走行距離あたりで。

【岩本委員】 申し上げたいのは、車種別にどんどん規制を強くしていきますという書き方ではなくて、最終的にはガソリン並みに全部なれ、例えばディーゼル特殊自動車も例外扱いしないと考えていらっしゃるのかどうかを示すべきだということです。

【塩路委員】 今の観点は、初めにというか、一番最初にうたっているつもりではないんですかね、これ。

【岩本委員】 いや、うたっていらっしゃるんであればいいんですけど。今回の報告書も一番最初には、規制の決まり方が書いてあるように感じたものですから。

【塩路委員】 その必要性とか、その後の。経緯はいいんですけど、その考え方みたいなものは、最初に書かれていませんでしたか。

【髙井室長補佐】 一番最初のところで、大気汚染状況、技術開発状況、海外の動向等を踏まえつつ、順次強化してきたと書いてあるので、その方針は基本的には変わらない。あとは、その公平なというのは、何が公平なのかというのが非常に難しいところかと思います。

【岩本委員】 難しいところがあるんですけれども、それをどうするかということですね。公平がいいというわけでは、もちろんないと思いますけれども。

【髙井室長補佐】 当然やっぱり、単位走行距離あたりから見て、公平という考え方もあれば、技術開発状況よっては、四輪車の技術を二輪車に適用することは難しいというのが、今回、専門委員会報告書でも述べておりますし。

【岩本委員】 例えば、先ほどの資料の52ページのNOxの排出量で、特殊自動車というのは3分の1ぐらい占めております。そうですね、現在のところ。

【髙井室長補佐】 はい。

【岩本委員】 台数から言うと、物すごく少ないのにこれだけ出ているわけですね。私も対策が難しいともちろん思いますが、難しいからといって放置しておけばどうなるという点も含めて、最終的には、環境省さんとして、もうEVならぬ何か電気的なもので動かして、ディーゼルエンジンを使用することはやめろという強い覚悟で規制をされるか。

【大聖委員】 それはやっぱり、技術的な難易度とか、利用する人の利便性とか、コストに配慮したものとか、生活、経済活動。

【岩本委員】 問題が残っているからこそ、そこら辺はきちんと書かなきゃいけないと思うんですね。そこら辺も配慮しつつ、やっぱり規制するならすると。

【髙井室長補佐】 ただ、時間も時間なので、非常に真っ当な議論を始めなきゃいけないようなことになってしまうんですが、私の考えだと、これはある程度、環境省としての今後のあり方みたいなものをやっているものなので、何かあまり一般的に書いてしまうと、あれもこれもというような話になって。だから行政上、確実にできるようなものというようなのが、何となく背景にあるのかなという、私、今までそうやってきたような気がするんですが。
 今おっしゃったような、インベントリの大小から決めていくということも、もちろん大事ですけれども、ほかにもまだ決めなくてはいけない喫緊の課題みたいなものがあったりすると、そっちに対応しなきゃいけないというようなことも、今までの経験から言いますと、そういうことも結構入ってきているわけなので。それについては、長期の検討課題のようなものにしていただくということで、この場はそういうことでおさめていただきたいというふうに思いますが。

【大聖委員】 ですから、岩本先生の言われたことはもっともなんですけれども、21ページの今後の自動車排出ガス低減対策の考え方のその後か、あるいは5.1の下に数量を入れたらいいのではないかと思いますね。

【岩本委員】 場所はそこだと思います。

【大聖委員】 そこに数行、要するに、それ以下の個別の対策がありますので、それの必要性について概観的にちょっと二、三行ぐらいがいいんじゃないかと。

【塩路委員】 でも、今のお話はもっと本質的な問題は、やっぱり一番前に言うべきじゃないかと。入れるとすればね。入れるとすればですよ。入れるのがいいかどうかというのは難しい。

【大聖委員】 だけど、低減対策の考え方と言っているわけで、別にそういう考え方というよりは、もう具体策を書いているのですね。

【塩路委員】 それは今後のね。だから、これまでもずっと同じ考え方でやってきているわけだから、今の話は。排出ガス寄与度の内訳を見ながら。で、いろんな技術動向とかみんなを勘案してやっているわけですから。書くとしたら、やっぱり一番前じゃないかな。

【飯田委員】 委員長が言われるように、確かにそこは、ごめんなさい、委員ご指摘のように大事なポイントだとは思うんですよね。ただし、いわゆる局所汚染というのが、ここにちゃんと書かれている。それから、環境省のインベントリ解析でも、全国レベルで集計していったものを都道府県別というふうに区域を小さくして、それで地域に対してどういう排出量があるかというのも、インベントリ解析でも新しい考え方を入れて解析していて。その中にまた車種別という、燃料別という種類の組み合わせとマトリックスについて。それで常に、何というんでしょう、局所的にも総合的にも、カテゴリー別にも評価を積み上げてきてはいるわけで。
 ただ、それを技術的な要因とか、海外の動向とか、それから非常に特殊性のことも考慮して、これらが組み上がってきておるので。そのとおりなんだと思うんだけれども、それをきちっと書こうとすると、頭に書かざるを得なくて。ただ、これからという形でそれを検討するというのか、そこをちょっと、腹を決めないと大ごとになるのかなと思います。
 ですから、今後のところにそれを含めるのか、それから塩路先生が言うように、本当にそれであればもう、そういうことでやっているんだからということで頭に書かなきゃいけないし。飯田のコメントとしては、そんなところです。

【塩路委員】 難しい。

【飯田委員】 難しいです。

【大聖委員】 でも、あまり大上段に言っちゃうと、本当にすべての環境について、とうとうと述べなきゃいけないんで、それは今回の趣旨ではないんですよね。

【大聖委員】 もちろん、そうですね。だから、やっぱり焦点はある程度決定して書くべきだと思います。
 ただ、ちょっと、繰り返しになりますけど、5章のところ、今後の自動車排出ガス低減対策の考え方と言っているから、考え方というよりは、追加的な今後の課題みたいなことですね。検討するべきVOCとかPM2.5ですね。

【髙井室長補佐】 そうですね。一応そういう、5-2は、対策を進めるに当たっての、本当に考え方なんですよね。国際基準の調和というところ。あとは関連の諸施策というのも、これも単体対策ではなくて……。

【大聖委員】 総合的な。

【髙井室長補佐】 対策ですね。難しいところで。

【河野委員長】 その時はやっぱり、事務局のほうでどう考えるかという何かあれがないと、今後のことをどうするかという話をやっているわけですから、事務局でどう考えるかというのをちょっと、紹介していただいて、こういう方針でやっていますというのを。まあ、今日、お忘れになったかもしれないので、また今度というのもあるのかもしれないけど、今わかる範囲で。岩本先生がおっしゃったのは、非常に重要なことだと思うんです。だから、インベントリだけじゃなくて、何か考えなきゃいけないことがたくさんあるんだと思うんですよね。

【西本室長】 今おっしゃられたお話を書くとすれば、5というのは5-1のところが課題の部分になるので、書くとしたらやっぱり、ご議論があったように、今後の技術開発の動向、それから国際的な動向、それから実際にその導入する立場の動向、そういったことを勘案して基準評価というのか、を進めていくと。引き続き進めていくというようなことを、この5-1のところに数行書くということができる範囲なのかなと思うんですけど。
 だから、ちょっと5-2との関係が。

【髙井室長補佐】 つけ加えて言うならば、この専門委員会が自動車単体対策の検討を行う場となっていますので、やはり、その総合的な対策のところまで踏み込んで意見するような場ではないかなというふうに考えています。この5-1の検討課題のところで各種単体対策を進めるに当たっての考え方か、それもこの専門委員会が設置されている間に、こういう対策をやっていこうというものを載せたいと思います。そんなに長期的ではなくて、比較的短期的なスパンで、こういうものをやっていきますというのを書きたいというふうに考えています。
 ちょっと、書きぶりについては事務局で作成して、委員長にご相談するということで、よろしいでしょうか。

【河野委員長】 いやいや。今おっしゃったようなことで、私は対応してきたんだと思うんですよね。この答申についてはね。
だから、長期的なやつをどうやって入れていくかというようなことも、もちろん考えていかなきゃいけないんでしょうけど、それはあれですか、環境省やらでは何か別の箇所でおやりになっているとか、そういうことはあまりないんですかね。

【髙井室長補佐】 電気自動車とか次世代自動車等の普及については、また別途……。

【河野委員長】 そういうあれですよね、将来の課題。

【髙井室長補佐】 2050年に向けたロードマップとかですね、そういうのはつくっています。

【河野委員長】 いや、だから我々、単体規制とかそこら辺に絡んでやっているけれども、全く窒素酸化物を出さないようなものもやるし、何をやるし。だからそこら辺のトータルの環境ということを考えるようなシステムはちょっと、あれですか、あるんですかね。

【大聖委員】 大気環境全体に対しては、環境基本計画が別にありますので、そっちのほうのが守備範囲です。ここではあくまで自動車排出ガスということに焦点を当てているわけですから、この5章の位置づけというのは、排出ガス対策に関連して将来課題になることと、それに加えて、総合的にやっぱり取り組まなければいけないことも含めて書いてあるので。そのことを5章の最初のところで断り書きのように書いておけばわかるのではないですかね。
 そうじゃないと、この報告書は何でもっと詳しくそういうことを書いていないのかという指摘を受けることになります。報告書はあくまで4章までが主要な部分なのです。5章というのは今後に残された課題といろんな、総合的に取り組まなきゃいけない事項を述べているわけです。

【髙井室長補佐】 そうですね。

【河野委員長】 ただ、何かこの報告書に出ている言葉って、非常に結構、今まで重要視している人が多かったわけですよね。環境省から出る文章ということで、それは必ず言葉が入っていればそれに伴う予算とか、そういうものがみんな絡んでいるわけなので、こういう言葉が出ている。じゃあ、それをどうやって実現するんですか、予算は幾らですかというような話になってしまうことが多いわけですよね。だから、そこは十分考えていかないとまずいんじゃないかなというのはありますね。

【大聖委員】 そうですね。それはそれぞれそういう意味で、環境省が取り組んでいる課題なのですね。

【河野委員長】 だけど、そういうことをトータルで何か考えておくということは非常に重要なので、そういう組織がないと、やっぱり環境省全体の環境に対する行政の舵がとれないんじゃないかなということを、私は先ほど申し上げたんですけどね。だから、それはさっきの法律、環境基本法とか、そういうところでしょうかね。

【大聖委員】 これは坂本先生の守備範囲ですね。

【坂本委員】 第四次環境基本計画の中でそういうもの全体を盛り込んで考えていくようにしているということですよね。

【大聖委員】 そうですね。

【坂本委員】 だから今、ここではやっぱり、ここで与えられたミッションの中の範囲で書くべきだろうと。そこをちゃんと議論をしようとしたら、もっと別の場にしないといけないだろうと思います。

【西本室長】 そういう意味では、先ほど書いている最初の5のところに、単体対策としては、今後も引き続き技術開発の動向、国際の状況等々を見ながら踏まえて、当面は以下のようなところを占めているというようなことを数行書くというのがまあ、まとまりとしてはよろしいと思います。

【大聖委員】 5と5-1の間ということですか。5-1の次ということですか。5と5-1の間ですか。

【髙井室長補佐】 今の場合ですと、5-1の次。

【大聖委員】 5-1の後。

【髙井室長補佐】 5-2との関係がありますので。

【大聖委員】 じゃあ、総合的なというのは、もう含まない。

【髙井室長補佐】 もし総合的な話を書くんであれば、5-3のところにもその自動車単体対策のほかにという書き方があるかと。

【大聖委員】 なるほど。

【西本室長】 あるいは5の下に、さらにその単体に絡む諸施策も進めていくというのをあわせて書くということでも。5-2もありますので、そこは5の後で少し文章を考えて、ご相談します。

【河野委員長】 ほかに何かございますでしょうか。ありますか、はいどうぞ。

【坂本委員】 23ページのElementary carbonは、Elemental carbonに修正をお願いしたいということでお願いします。
 それから、先ほどの18ページでEURO Ⅵがここだけ「採用する」じゃなくて立っていくと。
 それからあと、資料のほうについては、今日議論が全くないんですが、関係する話として、先ほど委員長とも話をしたんですが、環境基準がどのくらいで、それに対してどのくらいだというのがあったほうが、環境基準に対して相当濃度が高い場合と、それから平均値が近い場合とでは、それをやる対策なり姿勢なりも違うわけですよね。環境基準値そのものがいずれも書かれていないということ。
 それから出典が、27ページの出典はいいんですが、28、29で展覧会をやるような感じらなって。28ページ、29ページ。出展の変化。

【髙井室長補佐】 展覧会ですね。失礼しました。

【坂本委員】 それから、あと「各種メーカーヒアに基づく作成」もやっぱり、メーカーヒアリングとしてやったほうが、34ページあたりからいろいろありますけれども。全体少し要望、統一するぐらいの感じでちょっと見て、修正されたらいいかなと思います。お願いします。以上です。
 以上です。

【髙井室長補佐】 ありがとうございました。先ほど1点あったEURO ⅥのⅥがこのローマ字数字になっている点については、重量車についてはこのローマ数字で書くという、そういう決まりというか、欧州ではそういうふうな使い方をして……。

【坂本委員】 資料のほうもそうなっているからね。そういうルールで書くんだったら、それでいきましょう。

【髙井室長補佐】 はい。

【河野委員長】 参考資料、それから前の章も含めて、ご意見、ご質問があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【大聖委員】 それじゃあ、すみません。細かいですけど。5ページの下から3行目、27行目ですけれど、現在の何々技術とありますけれど、「排出ガス低減対策の現状」というふうに書いたほうがいいかなと思います。すみません、細かくて。

【河野委員長】 ほかに何かございますか。
 時間が過ぎてしまったので、申し訳ないんですが、この今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について、第十一次報告(案)、本日いろいろご意見をいただきましたので、それを踏まえた上、修正については委員長である私にご一任をいただき、取りまとめることとして、委員長だけというか、事務方と相談しながらというふうになると思うんですが、それで取りまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。今日、かなりご意見をたくさんいただいたんで、チェックしないとだめなんじゃないのとおっしゃる方がいらっしゃっても不思議はないぐらい、いろいろご意見をいただいた、内容はよろしいですか。

(異議なし)

【河野委員長】 では、一応そうさせていただきます。取りまとめることといたします。
 それでは、次に専門委員会報告(案)の今後の進め方について、事務局より説明をお願いいたします。

【髙井室長補佐】 今後、本日いただきましたご意見、ご指摘を踏まえまして、河野委員長とご相談の上、本第十一次報告(案)を取りまとめまして、1カ月間のパブリックコメントを実施します。パブリックコメントの期間終了後に、パブリックコメントの意見にもよりますが、現時点においては、先生方にはパブリックコメントの回答などについて、メール等でご覧いただき、専門委員会のパブリックコメントに対する回答とさせていただければと考えております。
 その後、大気環境部会を8月上旬に開催し、本第十一次報告を報告させていただきたいと考えております。
 以上です。

【河野委員長】 ありがとうございました。ということで、事務局から説明がありましたとおり、第十一次専門委員会報告(案)をパブリックコメントにかけ、パブリックコメントの回答については事務局で作成し、メールで皆様方にお送りするということにしたいと思いますが、とりあえずはそれでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【河野委員長】 じゃあ、そういうことで進めさせていただきます。
 本日の議題は、すべて終了したんですが、皆様方のほうから何かご発言があれば。
 ないようでしたら、事務局にお返ししたいと思います。

【高井室長補佐】 河野委員長、ありがとうございました。
 最後に環境省水・大気環境局総務課、粕谷課長よりごあいさつをさせていただきます。

【粕谷課長】 総務課長をしております粕谷でございます。局長の鷺坂も、ぜひここに参って審議状況を聞かせていただこうとしておりましたけれども、今、喫緊の課題であります、放射性汚染物質の除染の関係でちょっと飛び回っておりまして、残念ながら来られなかった状況でございます。かわりに私のほうからお礼のごあいさつをさせていただきます。
 本日は、本当に熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございます。二輪自動車、ディーゼル重量車、ディーゼル特殊自動車における排出ガス低減対策を柱とする十一次の報告を取りまとめいただきまして、本当にありがとうございました。この報告につきましては、当初予定されていた内容よりも大幅に審議事項が増えまして、専門委員会、作業委員会、さらには環境省委託の検討会などでも活発にご議論いただきました。本当に委員の皆様のご尽力には感謝申し上げます。
 本日こうして、ほぼ無事に報告書を取りまとめることができましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。自動車排出ガス低減対策につきましては、この十一次報告を取りまとめていただいたところでございますが、この中にもございます、尿素SCRシステムの耐久性、信頼性確保のための措置、世界統一排出ガス試験サイクル導入、許容限度目標値の見直しなど、まだまだ検討すべき課題があると考えております。
委員の先生方におかれましては、自動車排出ガス低減対策を初め、環境行政全般に対しまして、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますようお願いいたしまして、あいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

【髙井室長補佐】 本日は、長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。これにて終了とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。