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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
自動車排出ガス専門委員会(第42回)会議録


1.日時

平成22年4月23日(金)10:00~11:33

2.場所

東海大学校友会館 富士の間

3.出席者
(委員長) 河野 通方
(委員) 坂本 和彦 塩路 昌宏 飯田 訓正
岩本 正和 後藤 新一 杉山  元
西田  泰 野田  明 松下 秀鶴
御園生 誠
(事務局) 鷺坂 長美 水・大気環境局長
木村 祐二 水・大気環境局総務課長
岩田 剛和 水・大気環境局総務課環境管理技術室長
多田 善隆 水・大気環境局総務課環境管理技術室長補佐
江連 正人 水・大気環境局総務課環境管理技術室排ガス係
吉田 和史 水・大気環境局総務課環境管理技術室排ガス係
山本 昌宏 水・大気環境局自動車環境対策課長
牧野 充浩 水・大気環境局自動車環境対策課長補佐
立川 裕隆 地球環境局地球温暖化対策課調整官
4.議題
(1)ディーゼルトラック・バス等の挑戦目標値について
(2)E10対応自動車の排出ガス基準等について
(3)その他
5.配付資料
資料1 第十次報告(案)構成イメージ
資料2 ディーゼル重量車NOX挑戦目標値(次期排出ガス規制)について
資料3 E10対応ガソリン車の排出ガス基準等について
資料4 今後のスケジュールについて
参考 委員限り資料(委員のみ配付)
6.議事

【多田室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会大気環境部会第42回自動車排出ガス専門委員会を開会いたします。
 まず初めに、専門委員に変更がございましたので、ご紹介申し上げます。警察庁科学警察研究所交通科学部長でいらっしゃった石川博敏様のご後任として、西田泰様にご就任いただいたところでございます。

【西田委員】 本年4月1日付で科学警察研究所交通科学部長に任ぜられました西田です。よろしくお願いいたします。

【多田室長補佐】 本日は、大聖先生よりご欠席のご連絡をいただいております。また、後藤委員におかれましては、11時前に退出されるとのご連絡をいただいているところでございます。坂本先生につきましては、ご出席のご連絡をいただいているところですが、少々遅れている状況でございます。
 本日の会議は公開とさせていただき、今回の議事要旨及び議事録については、委員の皆様のご了承を得た後、ホームページにて公開させていただきたいと思います。
 それではまず、今日初めて出席させていただく環境省のメンバーをご紹介させていただきます。自動車環境対策課長の山本でございます。
 それでは、会議に先立ちまして、鷺坂水・大気環境局長よりごあいさつさせていただきます。

【鷺坂水・大気環境局長】 おはようございます。環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、専門委員会にご出席賜りまして、厚くお礼を申し上げます。また、日ごろから、特に自動車排ガス関係で環境行政にいろいろご指導いただいておりますことを、この場をおかりして厚くお礼を申し上げたいと思います。
 会議に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思いますが、ディーゼルトラック・バスの排出ガスの低減ということでございます。平成17年4月の第八次答申に基づきます、いわゆるポスト新長期規制、これが昨年の9月から一応開始されておるわけでございますけれども、いろいろマスコミ報道等でもされておりますが、今週、各メーカーより適合車の発表が相次いでおります。技術開発の成果が出ているのではないかと認識しているところでございます。
 さて、本日の委員会でございますけれども、ディーゼルバス・トラック等の挑戦目標値、それと、あと二つ目として、E10対応自動車の排ガス規制、排ガス基準、こういったことでございます。挑戦目標値につきましては、昨年7月の専門委員会におきまして、2016年以降の可能な限り早い時期に次期規制として導入するという方向が示されたところでございます。その後、各メーカーへのヒアリングなどを進めてまいりました。その結果を踏まえまして、次期規制の具体的内容について、本日、ご審議いただければと、このように考えているところでございます。
 また、E10対応自動車につきましては、地球温暖化対策として、バイオ燃料の普及を図るため、E10対応ガソリン車が市場に導入される環境を整備する、こういったことを目的にE10対応ガソリン車の排ガス基準、さらに、それに関連しますE10燃料規格のあり方、こういったことについて検討いただいているところでございます。自動車業界、石油業界へのヒアリングなどを進めてまいりましたが、本日、これらにつきましてもご審議をお願いできればと、このように考えているところでございます。温暖化問題ということでございますけれども、去る3月31日に私ども小沢環境大臣より、地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ、こういったものが提案されているところでございます。この中でもバイオ燃料の普及、その受け皿としてのE10対応ガソリン車の普及というのが柱として位置づけられております。大気環境への影響を得つつ、いかに早期にE10対応ガソリン車の市場導入を進めていくか、こういったことも重要であると考えているところでございます。
 いろいろと、なかなか難しい課題があるということは承知しておりますけれども、委員の先生方には何とぞよろしくご検討のほどをお願いを申し上げまして、私からの冒頭のごあいさつにかえさせていただきます。本日は、どうかよろしくお願いしたいと思います。

【多田室長補佐】 続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。
 まず、座席表がございます。座席表、1点修正させてください。まず、後藤委員の位置でございますが、岩本委員の方にずらしていただいて、西田委員の位置につきましても野田委員の側にずらしていただければと思います。おわびして訂正いたします。
 では、資料の確認に移らせていただきます。まず、座席表がございます。続きまして、ホッチキスとじの分厚い資料1部、議事次第が表紙になっているやつが1部ございます。そして、委員の先生方には委員限りの資料ということで、同じくホッチキスとじの資料をお配りしているところでございます。
 不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしゅうございますか。
 それでは、以降の進行を河野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【河野委員長】 河野でございます。本日は、委員の皆様にはお忙しいところ、ご出席いただきましてありがとうございました。東京では、昨日はすごく寒かったんですかね。今日はぼちぼち、一昨日が物すごく暖かかったというようなことで、こういうことも結構、環境なんかに影響を及ぼしているんだろうと思いますし、だから本委員会におきましても、何が起こるかわからないというところで対応していかなきゃいけないなというふうに思っております。今日はお話があるかもしれませんが、オキシダントが夏にいろいろ発生しているんですが、それにつきましても、こういう異常気象が関係してくるようなこともあるんではないかなと、個人的ですが、心配いたしております。
 今日は、先ほど局長からもお話がありましたように、挑戦目標値と、それからE10対応につきまして、主な議題で皆様方の活発なご発言を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。では、座らせていただきたいと思います。
 それでは、本日の議題に入ります。議題1、ディーゼルトラック・バス等の挑戦目標値についてということで、事務局の方からご説明をお願いします。

【多田室長補佐】 まず、議題に入る前に、全体の中での本日の専門委員会の位置づけを資料1、右下の方にページ振っております、1ページ目でございます。それに基づきまして、ご説明いたします。カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、説明をさせていただきます。専門委員会の先生方におかれましては、報告書第十次というふうになりますが、第十次の報告書をまとめていただきたいというふうに考えているところでございます。そのイメージが資料1でございます。では、簡単ですが、ご説明をさせていただきます。まず、1番目に、はじめにというのがございます。2番目で、ディーゼル重量車の今後の排出ガス低減対策、これがいわゆる挑戦目標というものです。その中には必要性だとか試験方法、規制値、あと、追加的な対策、評価というものがございます。3番目に、E10ということで同じく必要性だとか、その結果というところでございます。今後の課題といたしまして、今回、ディーゼル重量車の排ガス規制の方を検討していただきますが、それ以外をどうするかという課題の提示、NOX後処理装置導入に伴う課題、あと、未規制物質に関する課題、こちらの方、想定しているのは粒子の数の個数規制などの考え方についてどうしていくかというところでございます。あとは、燃料蒸発ガスに関する課題。今回、E10対応ガソリン車でございますけど、バイオディーゼル、ディーゼルにまぜて使う燃料について、どう考えるか。あと、国際調和、その他、新しい評価手法の開発等々を記述していきたいというふうに考えております。そして、関連の諸施策、おわりにというふうになってございます。
 それで、本日の専門委員会におきましては、2番目と3番目の内容について検討をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。ただいまのご説明に対して、何かご意見等ございますでしょうか。ご質問等ございませんでしょうか。今日は、資料1の2.と3.について、重点的に審議を行うということでございます。
 ご質問等ございませんようでしたら、資料の2について、ご説明をお願いいたします。

【多田室長補佐】 それでは、資料2、3ページ目でございます。ディーゼル重量車の挑戦目標値、次期排出ガス規制値について、ご説明させていただきます。
 まず、前回専門委員会を昨年7月に開催させていただいたところでございますが、そのおさらいをさせていただければと思います。前回専門委員会におきましては、五つ方向性を決定していただきました。今回、専門委員会においては、今後検討とされた事項について検討していただきます。五つの方向性についてご紹介させていただきます。
 まず、方向性1でございます。八次答申において提言されました挑戦目標値につきましては、ポスト新長期規制の次の規制として導入するというところを決定していただきました。具体の規制値は今後検討というふうになってございます。
 方向性2といたしまして、適用時期については2016年以降の可能な限り早い時期。具体の適用時期は今後検討というところでございます。青字で書いてあるとおり、本日、ここについて検討していただければというふうに考えております。
 方向性3、コールドスタート要件の導入というところで、今回の次期排出ガス規制におきましてはコールドスタート要件、エンジンが冷えた状態での排ガス要件というものを導入していきたいと思います。その重みづけの比率については14%を基本としつつ、規制値とセットで今後検討というふうにご提言いただきました。この基本としつつというあいまいな言い方にしておったところは、日本の走行実態を踏まえれば、コールドスタート、約14%というところでございますけど、一方で、自動車基準の国際調和を検討している国連の組織においては、コールド比率が10または14というふうになってございました、その当時は。10、14、どちらを選ぶかというのは、その国の検討によるものというふうにされておりました。しかしながら、国連においても、その10と14を統一させようという動きがあって、仮に10%になってしまった場合、日本としてどうするかという検討の余地を残すという意味で、基本としつつというふうに記述しておったところでございますが、その後、14%に統一されたところでございます。これについては、前回専門委員会で今後検討というふうになっておりましたが、もう国連でも14となった以上、日本で14以外を導入する理由というのがなく、14というふうにさせていただければというふうに考えております。
 そして、方向性4でございます。これが一番大きな決定ということかと考えております。次期排出ガス規制の試験方法につきましては、国連の方で策定されましたWHTCとするというところでございます。
 方向性5といたしまして、オフサイクル対策の導入。適用時期等は今後検討ということで、これについても本日、専門委員会の方でご検討いただければというふうに考えております。
 点線の四角で囲んであるところは、今回の検討の契機となりました八次答申の挑戦目標値に関する記述をコピー・ペーストさせていただいております。線を引いているところでございますが、挑戦目標値の意図といたしましては、さらなる技術の進展を期待するというところでございます。
 次のページ、お願いします。そして、挑戦目標値につきましては次期目標値、この次期目標値が09年規制、ポスト新長期規制を指します。NOXの規制値につきましては、0.7g/kwhでございます。その3分の1程度とご提言いただいたところでございます。これについては、必要に応じて目標値、達成時期を定めることとするというふうにご提言いただいたところでございます。
 それでは、規制値と適用時期についてご説明させていただきます。これから説明する結論の概要を、四角で囲んでいるところで概要を取りまとめております。まず、そちらの方をご説明させていただきます。一つ目の・でございます。排出ガス試験方法を国際調和いたしました。そして、排出ガス規制に伴う開発コスト・工数の低減を図った上で、NOX規制値をポスト新長期規制から4割削減、0.7グラムから0.4というところでございます。こちらの方、注意していただきたいのは、0.7というのは、あくまでエンジンが温まった状態での試験方法でございます。今回、コールドスタート要件というのを14%入れましたので、この0.7から0.4というのは見かけの数字以上の厳しさがあるということでございます。その次期排出ガス規制を実施するところでございます。適用時期については、2015年燃費基準の達成に向けた開発期間を確保するため2016年からということを基本としたいと考えております。ただ、制約の大きいトラクタ・小型車については、2017年・2018年にしたいというふうに考えています。
 最後に、ここはアピールのところでございますけど、この排出ガス規制の導入によって排出ガス試験方法は、まず、結果として欧州と同一のものになります。そして、新興国とも今後、同一のものとなる可能性があると。これによって日本自動車メーカーの開発コスト・工数が低減され、日本自動車メーカーの国際競争力の確保につながるということが期待できるかというふうに考えております。
 さらに、点線で囲んだ四角のところで、ディーゼル重量車の次期排出ガス規制、16年排出ガス規制の概要をまとめております。繰り返しになりますが、測定方法WHTC、コールドスタート比率14%、適用時期については2016年、トラクタ・小型車については、それぞれ遅らせると。規制値については、NOXについてポスト新長期規制からの0.7から0.4、約4割低減しているというところでございます。
 それでは、5ページで詳細の説明に移らせていただければというふうに考えております。まず、前回の専門委員会で排出ガス規制は実施するというふうに決定していただいたところでございますが、その必要性をおさらいとしてさせていただければというふうに考えております。NO2の環境基準については、未達成の測定局がございます。図表1で、未達成の測定局がある県をピックアップさせていただきました。網かけをした部分が未達成の測定局があるというところを示しております。そして、またNOXについてはPM2.5の原因物質の一つであるというふうに言われております。NOXについては、よくなっているというのは事実でございますが、この状況を見る限り終わりというわけではないということが言えると思います。
 2番目の○でございます。次は、ほかの車種との関係でございます。ドーナツ図があるかと思います。こちら、77万トンとなってございます。これは自動車から排出される年間の排出量につきまして推計したものでございます。こちらを見ていただければと思います。D重量車と書いているのが今回の検討の対象となるところの寄与度でございます。約61%ございます。ディーゼル特殊自動車、フォークリフトだとか建設機械のディーゼルの特殊自動車でございます。そちらが青の矢印でやったところでございます。こちらちょっと29%となってございますが、すみません、足し算をちょっと間違えてしまいました、26%というふうに訂正していただければと思います。トラック・バスより寄与度が低いディーゼル特殊自動車につきまして、前回の九次答申におきまして、2014年から0.4グラムというNOXの規制強化が予定されているところでございます。一言で言えば、ほかの車種も頑張っている状況でございます。トラック・バスもぜひ頑張ってほしいというところでございます。
 次のページ、お願いします。6ページでございます。続きまして、これは海外の状況でございます。図表3をご覧ください。これは日米欧のNOXの規制値の推移でございます。赤・日本、緑・欧州、青・米国というふうになってございます。日米欧とも年々、規制を強化しているという、そういう状況でございます。そして、2011年あたりを見ていただければと思いますが、米国については青のラインでございます。規制値については0.27という状況でございます。米国におきまして、なぜこういう日本・欧州と比べて厳しい規制ができるかというと、理由は二つございます。一つは、米国のトラックにつきましては、ボンネットタイプが主流だというところでございます。こちらの方は、特に米国についてはトラックの長さの制限とかがないので大きな制約なく、そういうボンネットタイプにすることができるというところでございます。ボンネットタイプになると、その分だけ後処理装置を大きいものを乗せることができます。そういうことで一つ有利な点がございます。もう一点が、米国の方、FTPモードと書いております。米国の排出ガス規制の測定方法でございますが、WHTCモードと比較して、排気温度が高い、すなわち後処理装置が活性化しやすい温度ということで有利な状況でございます。データによると、FTPモードでは後処理装置が機能する割合というのが、モード間で大体70%近くあるんですが、一方で、WHTCになると、それが約40%に下がるという、そういうデータもございます。ということで米国におきましては、こういう特殊事情というか、そういうものがございまして、こういう0.27という厳しい規制が導入されているというところでございます。
 じゃあ状況が同じ欧州と日本を比較いたしますと、EURO<5>ということで、欧州についてはNOX2グラムという規制が導入されているところでございます。一方で、日本におきましては赤のところでございますが、ポスト新長期規制といたしまして0.7グラムというところでございます。現時点においては、日本の方が欧州と比較して厳しい排ガス規制が導入されているという状況でございます。それが2013年になると、欧州はEURO<6>が入ります。こちらの方は0.4グラムという規制で、これが導入されて、日本が何もしないと欧州の方が厳しいという状況になります。そして、日本の自動車メーカーは欧州にトラック・バスを出している状況でございます。
 図表4、こちらの方は日米欧ではなくて、新興国の方に目を向けます。図表4につきましては、新興国の排出ガス規制の推移というものをまとめて、今後の予定というものをまとめております。中国からインドまで、基本的にはすべて欧州の規制をそのまま一、二世代前の規制でございますけど、引っ張っているという状況でございます。例えば中国を見ていただければ、EURO<2>、EURO<3>、EURO<4>と急ピッチで排出ガスの規制が強化されているところでございます。図表5の方で、地域別の商用車の販売台数の推移をまとめております。こちら見てただければ、中国、オレンジのラインでございますけど、右肩上がりという状況でございます。そういうことで、こういう新興国の市場というのは今後、重要になってくるというふうに考えております。その新興国において、中国も急ピッチで排ガス規制が強化されているという状況を踏まえれば、EURO<6>だとか、そういう規制が導入されるということは予測されているところでございます。
 そういうことで、日本の自動車メーカーにおきましても、欧州あるいはこれから厳しくなるであろう新興国への対応が求められる状況でございます。このような中、今回の規制というものは、国際競争力の確保というものにつながるのではないかという期待ができるところでございます。
 以上、規制の必要性ということで、大気汚染の状況ということで、NOXはまだ終わりというわけではない、他車種も頑張っている、あと、海外も着々と規制を強化していると、そういう状況の中、規制を強化することといたしました。
 7ページ目の(2)というところでございます。規制は強化するということにはなりましたが、とはいっても、これまで排出ガス規制というものは強化して、それにメーカーさんの方も頑張ってついてきてくださいました。正直申し上げまして、開発コストに比較して、効果というのは昔ほど薄れつつあるというのは事実かと思っております。そして、ますます地球温暖化対策というものが重要になってくると思います。ということで、排出ガス規制を強化しつつも、2点、考慮いたしました。2015年度燃費基準との達成を両立させるというのが1点目でございます。もう一点が、開発コスト・工数を抑えるという、そういうところでございます。そういう基本的な考え方のもと、結果といたしまして、その下の方の○でございます。排出ガスの試験サイクル、試験方法につきましては、WHTCを導入ということにいたしました。そして、適用時期につきましては、燃費基準を配慮いたしまして、2016年以降としたところでございます。特にWHTCの導入につきましては、将来、新興国とも試験方法を調和される可能性があり、日本メーカーの国際競争力に大きく資することになるということが期待できます。
 このように負担を軽減するという、そういう環境を十分に整えた上で規制値ということを検討いたしました。8ページでございます。(3)の規制値でございます。規制値を検討するに当たっては、2点、留意しました。まず、燃費の伸びしろは確保しておくというのが1点目でございます。あと、後処理装置への過度な期待は避けることに留意いたしました。もちろん後処理装置を否定するわけではなく、こちらの方は将来についても十分研究の余地がある重要な技術というふうに認識しておりますが、あまり過度な期待をし過ぎますと、温暖化物質のN2Oあるいはアンモニア、あと、耐久性の観点から、いろいろ問題が出てくる可能性もございますので、過度な期待は避けたところでございます。これらのことに留意いたしまして、作業委員会において検討していただいた結果、図表7にあるような結論を得たところでございます。図表7にあるとおり、NOXは0.7から0.4、あとについては据え置きという状況でございます。
 下の方に参考までに、そうした場合、どういう感じになるか、日米欧の比較をしてみました。欧州については、欧州独自のETCというモードで0.4g/kWh、これはEURO<6>でございますが、そういう規定が定められているところでございますが、今、欧州についてもEURO<6>からWHTCを導入するということは、もう法令化されております。現在、今、このETC0.4をWHTCに換算すると幾らになるかというのを検討中というところでございます。今、欧州の研究機関によれば0.44という数値が出されているところでございますが、これはコールド比率、あくまで10%の状況でございますので、欧州もコールド比率14%を踏まえて、今、検討しているというふうに聞いております。恐らく0.44より少しだけ上回るような数値になるというふうに考えております。というような状況で、日本につきましては燃費基準があるということで、欧州よりかは三年ほど遅れるというところでございますが、2016年からは欧州よりも少しだけではございますが、厳しい規制が導入されるという、そういう状況でございます。
 下から2番目の○でございます。NOX以外の規制物質について、どう考えたかというところでございます。こちらについては、八次答申の考え方と基本的に同じでございます。ノンメタンハイドロカーボンにつきましては、既に日米欧とも世界最高水準の規制が実施されております。さらに、その規制に対して実際の排出量は十分に低いレベルとなっているという、そういう状況でございます。COについては、大気汚染の状況が環境基準を大きく下回っていると。そういう状況を踏まえまして、これらについては据え置くということといたしました。ただし、据え置きといっても、コールドスタート14%を導入した上での据え置きというので、実質的に強化というふうになっている状況でございます。そして、PMについては、既にこちらの方も世界最高水準の規制となっていることから据え置くことといたしました。メーンのNOXについてはどうかというところでございますが、コールドスタート時の排ガス試験というものを導入した上で、0.7から0.4といたしました。その考え方といたしましては、まず、エンジンアウトの排出ガス量は概ね1.5を見込みました。後処理装置の浄化率は概ね75%ということで、1.5掛ける浄化率75%でございますので、1.5掛ける0.25ということで、概ね0.4というふうに見込んだところでございます。もちろんこれはあくまで0.4を考えるに当たっての根拠というところでございますので、高いエンジンアウト排出量を高い後処理装置で浄化していくという、そういう規制適合へのアプローチを否定するという、そういうわけではございません。
 では、その1.5というところを見込んだところでございますけど、エンジン技術について、どういう考え方かというところを9ページの上の方でご説明させていただきます。まず、背景といたしまして、現在、ディーゼル重量車につきましては低排出ガス認定制度、規制より、より低い排出ガスレベルのものを認定する制度が設けられております。新長期規制2グラムのマイナス10%ということで、NOXの基準値が1.8グラムというふうになっております。これにつきまして、NOX後処理装置なしで達成いたしまして、かつ既に2015年燃費基準というものを達成しているものも販売されております。確かに新長期規制というものはホットスタートベースでございますので、次期規制においてはコールドスタートが入ることを考慮いたしますれば、排出ガスには不利にはなるものの、今から六年あります。ということで、下に掲げるような技術の進展を見込むことによって、燃費の伸びしろも確保しつつ、エンジンアウト1.5グラム前後を達成することは可能であるというふうに考えました。見込んだ技術については、2段ターボだとかEGRとか燃料噴射圧の向上等、例えば新短期・新長期のときはDPF ポスト新長期のときはNOX後処理装置という大幅にそれぞれの排出ガスを低減する技術、ウルトラC的な技術があったんですが、次期規制においては、基本的にはもう既存の基準をさらに磨きをかけていくという、そういう状況になってこようかというふうに考えております。
 続きまして、後処理装置技術でございます。こちらの方は75%浄化率というふうに見込んだところでございますが、メーカーのヒアリングにおいては、これよりも高い浄化率をお示ししてくださったメーカーもいらっしゃいます。ただ、過度な期待をしない、避けるということで75%というふうに見込んだところでございますので、十分に対応可能ではないかというふうに考えているところでございます。
 それでは、0.4という規制値に対して適用時期がどうかというところを、(4)のところでご説明させていただきます。前回の専門委員会におきましては、2016年以降の可能な限り早い時期というふうにしていただいたところでございます。結論から言えば、2016年から実施というふうにさせていただいたところでございます。その根拠といたしましては、1番目の○からでございます。今回、国連、WP29で策定されましたWHTCを導入することといたしました。結果といたしまして、2013年から適用されるEURO<6>と同じ排出ガスの試験方法というふうになってございます。したがいまして、WHTCに基づく排出ガス低減技術というものは、2013年前後において十分蓄積されているのではないかというふうに考えました。とはいっても、我が国においては世界で今、唯一、重量車の2015年度の燃費基準が決められているところでございます。そういうような状況でございますので、直ちに単純にEURO<6>向けの低減技術をそのまま適用するというものは困難ではないかというふうに考えました。このため、2015年燃費基準の達成に向けた開発期間を確保ということで、また、開発スケジュールは輻輳しないようにということで、適用時期は2016年末までというふうにしたところでございます。
 重量車の中でトラクタ及び小型車、4ナンバー車でございますが、後処理装置の搭載に制約が大きいという状況でございます。後ほどご説明いたしますが、それらの車種につきましては、排出ガスの寄与度を見た場合、それぞれ10%以下でございます。このため、後処理装置のスペースの確保のための設計だとか、後処理装置の小型化という対応の期間を確保するため、トラクタの適用時期は2017年、小型車の適用時期については、さらに多様な後処理装置の開発が進められることを期待して2018年末までとさせていただいたところでございます。多様な後処理装置というところでございますが、ポスト新長期あるいは今回の規制というものは、NOX後処理装置、特に尿素SCRというものがあったからこそ実施できるものではないかというふうに考えております。そして、これからも尿素SCRというのは十分中核的な技術になり得るというふうに考えているところでございますが、尿素SCR以外のその他の後処理装置を開発しようというメーカーのチャレンジしようという、そういうところにも期待いたしまして、一年、さらに遅らせていただいたところでございます。多様な後処理装置、積極的にメーカーさんが開発してくだされば、その結果として後処理装置の低減技術というものはますます向上して、結果として環境によいものとなるのではないかというふうに考えているところでございます。ということで、小型車については2018年としたところでございます。
 小型車、4ナンバー車というところでございますけど、4ナンバー車から派生した1ナンバー車というものも考慮いたしまして、小型車という定義として、2018年末までに適用する車種というのは、車両総重量7.5トン以下のものとするという、そういう仕切りにさせていただいたところでございます。
 ちょっと補足的に、四角の点線で囲んだところをご説明させていただきます。トラクタについては、引っ張られる方、トレーラーとの連結時の長さというのが16.5mというふうに日本では決まっておりまして、次のページでございますが、非常にこの写真でもあるとおり、大きいエンジンの割には小さい車体という、そういう状況でございます。そういうことで、後処理装置の搭載というのが厳しいというところでございます。
 小型車、4ナンバー車というのは、こちらの下に書いてある長さ・幅・高さに、それ以下のものが小型車、4ナンバー車というふうに言われております。4ナンバー車の特徴といたしまして、まず、自賠責の保険料が安いというのと、サイズが小さいので、すいすい町中を走れるということで、非常にユーザーのニーズが高い車両でございます。こちらについてサイズが決まっておりますので、後処理装置の搭載スペースが非常に限られているという、そういう状況でございます。本来であれば、こちらの4ナンバー車をある程度救うという観点から言えば、この4ナンバー車で区切るというのが筋かと思いますが、一方で、この4ナンバー車から、例えば、じんかい車だとか高所作業車というものをつくって、結局、それが長さあるいは高さに適合、この長さ・高さ以下に入らなくて、結果として1ナンバーになってしまっている車両がございます。その車両も結果として救ってあげないと、2018年に遅らせたところも効果が意味がないものになってしまいます。ということで、車両総重量で区切ることといたしました。区切った根拠でございます。4ナンバー車をどこまで車両総重量を引っ張っているかといいますと、大体、8トンぐらいまで引っ張っているという状況でございます。本来であれば、8トンまで救ってあげたいところでございますけど、下の保有台数の割合のグラフをご覧ください。横軸が車両総重量、縦軸が保有台数というふうになってございます。7.5トンから8トンの間でぐんと保有台数が伸びております。こちらの方、特に中型のトラックの主力体というふうになってございまして、昔の免許区分、8トン以下まで運転できることになっているので、車両総重量の最大ということでこちらの方に保有台数が張りついているところでございます。ということで、8トンまで1ナンバー車で引っ張っているからといって、8トンまで救ってしまうと、意図しないものまで入ってしまうと、寄与度も大きいものになってしまうということで、7.5トンということで区切ることといたしました。すべては救えないですけど、大部分は救えるという、そういう状況でございます。
 11ページが寄与度でございます。2017年にいたしましたトラクタは赤丸で囲んであるとおり7.8%、車両総重量7.5トン以下の小型車につきましては8.2%と10%以下の寄与度でございます。あくまで適用除外をするわけではなく、一年遅らせるということで、大気汚染に関して大きな影響を与えないのではというふうに考えているところでございます。
 続きまして、12ページでございます。排出ガスの規制値と適用時期は以下のこれまでのとおりでございまして、次はオフサイクル対策の導入というところでございます。次期排出ガス規制の効果をより確実なものとするため、オフサイクル対策、試験条件以外での排出ガス対策というものを導入したいというふうに考えているところでございます。1番目の○でございます。次期排出ガス規制、非常に規制値については低いレベルになります。ということで、試験条件外で仮に高い排出ガスを出してしまうという、そういうことがございましたら、頻度は低くても排出ガスの低減効果というのは減じられてしまうという、そういう状況でございます。このため、次期排出ガス規制と同時にオフサイクル対策というものを導入したいというふうに考えているところでございます。オフサイクル対策といたしましては、既に国連の方で日本も参画のもと、世界統一のオフサイクル対策というものが決定しておりますので、まずはそれを導入することが適当ではないかというふうに考えております。WWH-OCEというものを、どういうものかというのを簡単にご説明させていただきますと、13ページでございます。図表10というところでオフサイクルの解説というふうにまとめさせていただいております。グラフ、図表がございますが、横軸がエンジンの速度でございます。縦軸がエンジントルクということで、これがエンジンの使われる範囲というところで、WNTEゾーンというふうに言われます。超えてはいけないゾーンというところでございます。そのWNTEゾーンを幾つかのグリッド、緑の薄い線で分けておりますが、その分かれた一つ一つをグリッドと言います。自動車の審査官が分けられたグリッドの中から好きなものをまず、任意のものでございます、三つ選びます。さらに、選ばれたグリッドの中から五つ、試験点をさらに任意で選択いたします。選んだ五つの試験点につきまして、試験手順というところに書いてありますとおり、1点から5点まで、定常試験をやります。2分間、定常試験をやることになっていますが、第1の試験点から第2の試験点まで移行するには、一たんエンジンをとめるわけではなく、1点から2点までずるずる運転しながら、引きずりながら移行します。ということで、その移行期間が最大20秒というふうにされていますので、定常の試験の時間というのは1分40秒ぐらいになります。そういう五つの点を定常で試験いたしまして、その平均の排出ガス量がある一定の限度値、WNTE排出ガス許容限度を超えてはならないというふうにされているところでございます。そのWNTE排ガス許容限度というのをどういうふうに求めるかというところでございます。式にあるとおり、WNTE排出ガス限度値イコールWHTC排出ガス限度値、こちらの方は日本におきましては0.4というところでございます。そして、WNTEコンポーネント、オフサイクルの上乗せ分ということでございます。その上乗せ分をどういうふうに計算するかというと、例えばNOXの場合でございます。WNTEコンポーネントは0.25掛けるEL、エミッションリミットでございますが、0.4でございます。0.25掛ける0.4で0.1にプラス0.1を足しまして0.2といたしまして、WNTE排出ガス限度値につきましては、0.4足す0.2ということで0.6。ということで、0.6を超えてはならないという、そういうのがオフサイクル対策というものでございます。一番の特徴は、任意の試験点が選ばれるという、そういうところでございます。ただ、1点、ちょっと残念なところは、WNTEゾーンでございますが、低回転・低負荷部分というものがWNTEゾーンのところには入っていません。こちらの方で、日本は低回転・低負荷部分の運転というのが多い状況でございますので、今後、市場に展開されるであろうWHTC対応車につきまして、その排出ガスの実態を調査いたしまして、低回転・低負荷、WNTEゾーンの中に入っていないところで排出ガスが多く出ているだとか、そういう実態が出た場合は、必要に応じてオフサイクル対策というものを見直していきたいというふうに考えてございます。
 12ページの一番最後の○のところでございます。今回の排出ガス試験サイクルにつきまして、WHTCを導入することといたしました。一方で、世界統一基準につきましては、WHTCとWHSC、定常サイクルでございます。こちらがセットでWHDCという世界統一基準となっております。世界的な流れはこういう状況の中、九次答申でまとめていただいた特殊自動車においても、トランジェントモード、過渡モードに加え、当面、定常モードによる規制も導入されているところでございます。このような状況を踏まえまして、日本といたしましても過渡モードを補完するという観点から、WHSCによる排出ガス規制というものも導入していきたいというふうに考えております。その適用時期・目標値については、WHTCと同じものにしたいというふうに考えているところでございます。
 最後になります、15ページのところでございます。高度なOBDでございます。使用過程時での個々の車両の排出ガス低減性能を保つために、高度なOBDを導入することとしたいというふうに考えております。OBDにつきまして、現時点においては機器の断線だとかによる機能不良を監視するOBDというものが導入されています。一方で、次期排ガス規制値というのは非常に低いレベルでございます。使用過程時においても、その想定した性能をきちんと発揮していただくために、性能の劣化というものを検知する高度なOBDを導入したいというふうに考えています。ただ、高度なOBDシステムというものを導入するには、検出項目だとか検出値あるいは評価手法というのを定める必要がございます。その内容によって適用可能時期というのが前後いたします。ガソリン乗用車につきましては、規制開始から3年後に導入しているという、そういう状況でございます。ということも踏まえまして、ディーゼル重量車の高度なOBDにつきましては、次期排出ガス規制から3年以内の可能な限り早い時期に導入するということが適当であるというふうにさせていただければと考えております。
 その他といたしまして、排出ガスの削減効果というものを取りまとめました。図表12でございます。平成19年度、2007年度のNOXの排出量54.4万トンというふうになっております。こちらの方は、先ほどいろいろお示ししたドーナツ図では77万トンとなっておりましたが、二輪車、特殊自動車を除いております。そういうところで54.4万トンでございます。それぞれの年限、平成32年・42年・50年において、次期規制がない場合と次期規制を実施した場合の排出ガス削減効果をまとめたところでございます。次期規制がない場合においても、車両の代替等によって十分低減がされていくという、そういう状況でございます。一方で、さらに次期規制を実施した場合におきましては、平成32年で12.9万トンということで、次期規制がない場合に比較して約9%で、平成32年ではそんなに多くはないんですが、42年・50年になると約4割削減されていくということで、一定の効果があるというふうに考えているところでございます。
 次の16ページでございます。こちらの方は参考までに図表13というところで、図表12に対応するドーナツ図、それが規制が導入されることによって、どういうふうに寄与度が変わっていくかというものをまとめたものでございます。
 それでは、17ページ、ご覧ください。八次答申における挑戦目標値との比較というところでございます。八次答申においては繰り返しになりますが、0.7グラムの3分の1程度と記述されたところでございます。では、今回の規制値はどうかというところでございますけど、コールドスタート比率が14%入ったというところでございまして、もう一概には単純に比較できないという状況でございます。コールドスタート対策はこれからまさにいろいろ検討しないといけない状況で、非常に厳しい対策でございます。ということで、単純には比較はできないんですけど、このような状況でございますけど、試みにどういうものかというものを、どれぐらいになるのかというのを換算してみました。WHTCのコールド比率14%に0.4というものを、JE05のホットスタートの排出ガス量に換算してみたところ、あくまで目安としてとらえるべきものでございますけど、0.26グラムというふうになりました。0.7の3分の1程度が0.23でございますので、概ね単純に規制値を比較しても3分の1程度になっているということが言えるというふうに考えております。さらに今回、コールドスタート、オフサイクル、OBDの導入義務づけというのがあります。あと、八次答申当時は2015年度燃費基準も策定されておりませんでした。それにも対応するということを考慮すれば、次期規制値については八次答申における挑戦目標値のレベルに十分達しているのではないかというふうに考えているところでございます。
 長くなりましたが、以上が排出ガスのところでございます。

【河野委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、委員の皆様方からご質問等ございますでしょうか。
 ちょっと私の方からよろしいでしょうか。3分の1というのは十分根拠があるといいますか、合理的に説明ができるということをかなり強調してお話ししていただいたので、皆さん、おわかりになるとは思いますが、あと、資料2の最初のページ、3ページですよね。ここで日本のコールドスタートの要件というのは、比率が14%というのは走行実態を踏まえてということだったですね。これが偶然、WHTCについては10%と14%とあって、これは偶然ということですよね、14につきましては。

【多田室長補佐】 結論から言えば、そういうことにはなります。

【河野委員長】 そうですよね。だから、14という数字が二つあるので誤解を受けるかなというふうに思いますが。
 それから、あとは7ページの中ほどに、今回の挑戦目標値の基準の策定に当たっては、燃費基準の達成と両立させというのがあって、これは十分に考慮したつもりなんですが、開発コストと工数をどのように抑えるかという説明になっておりますが、これはちょっと説明していただければと思うんですが、いかがでしょうか。

【多田室長補佐】 開発コストの低減というのは、何を結果として導入したかといいますと、WHTC、国連の決まったモードを導入したというところでございます。これまで例えば日本の自動車メーカーにおいては日米欧ということで、いろいろな排出ガス試験法がある中で、それぞれに対応していたところでございますけど、これが試験方法が1本になるところで、開発コスト・工数というのがかなり低減されるのではないかというふうに考えているところでございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。それから、8ページに、欧州・日本・米国の規制のことがいろいろ出ておりますが、米国が0.27というのを提案している原因として、ボンネット型なので大きさに制限がない、後処理装置の設置等に制限がないということと、排気ガス温度が高いということを言っておられましたが、これはこれでよろしいんですか。

【多田室長補佐】 はい、間違いないです。委員限りの資料となってしまいますが、10ページにそこら辺を書かせていただいているところでございます。写真があるとおり、こういうボンネットタイプで、これ、ほかにも米国のホームページを見たところ、ほとんどこういうボンネットタイプが売り出されているものの主流というところでございます。先ほど、後処理装置が機能する割合というところがございますが、こちらについてもデータをお示しさせていただいているところでございます。委員限りの資料としたのは、あまり米国との競争というのを表に出すというのもちょっとあれかなと思いまして、あくまで委員限りの資料とさせていただいたところです。

【河野委員長】 ありがとうございます。それと、あとは欧州の規制についても、WHTCに移行したとして規制値を換算すれば、0.44になるんだというふうにおっしゃっていましたよね。これはそのようでよろしいんでしょうか。

【多田室長補佐】 コールド比率10%で0.44というのは、もう既に欧州の研究機関より対外的には出ているんですけど、ただ、欧州も国連が14%にコールド比率がなりましたので、今、その0.44を14%になったことを踏まえて、どういう規制値になるかというのを検討しているというふうに聞いております。ただ、大きく変わることはなくて、若干、0.44にプラス0.0幾つぐらいプラスアルファされるという状況かなというふうに考えています。

【河野委員長】 そういうことで、日本も規制に対してさぼっているわけではなくて、最高水準の規制であるということをおっしゃっていただいたということであります。
 私の方からは以上ですが、ほかの委員の皆様方、いかがでございましょうか。どうぞ。

【岩本委員】 ちょっと教えていただきたいことがあります。今、先生が質問された7ページ目のところです。2015年度に燃費基準、これはもう決まっているので、それを配慮して2016年度から窒素酸化物規制を強化することでいかがでしょうかということですね。どちらも同時にやりなさいというのはきついから、わかる理屈だとは思うんですが、欧米の方の燃費基準はどうなっているんでしょうか。つまり、もっと燃費を下げろとか、日本と同じようになっているのですか。

【多田室長補佐】 現時点においては、具体にいつから燃費基準を導入するだとか、そういうのは全く決まっていない状況でございますが、検討している状況ではあるので、いずれかのタイミングで欧米とも燃費基準というのは導入されていくということになるかと思っています。

【岩本委員】 そうしますと、現状はいかがですか。つまり、例えば日本のトラックの方が燃費はすごくいいとか悪いとかというような比較はありますか。

【多田室長補佐】 技術的に見て、定量的にどうかということは申し上げられませんが、日本の自動車のトラック・バスの方が燃費基準がある状況を考えますれば、燃費対策をやっておられますので、燃費がいいのかなというふうに考えているところでございます。特に米国だとか0.27という、かなり厳しい基準が導入されていますので、ある程度、ちょっと燃費は犠牲にせざるを得ないのかなというふうに感覚としては考えているところです。

【河野委員長】 だから、挑戦目標値を決めるに当たりまして、日本は燃費基準があるというのが、技術的にはその方がいいということであるので。だけど、面倒くさいことは面倒くさいわけですよね、メーカーにとりましては。そこら辺をメーカーの方は非常に真摯に考えていただきまして、今回の基準というものの提案ができるということになりましたので、ここで感謝申し上げても余計なお世話だと言われるかもしれませんが、我々としては、どうもありがとうございましたと言うべきであろうというふうに思います。
 ほか、いかがでございましょうか。ないようでしたら、次の資料の3ですか、これもまた事務局の方にお願いしたいと思いますが、20ページですね。では、お願いいたします。

【多田室長補佐】 それでは、これまでとちょっとがらっと変わってしまいますが、E10対応ガソリン車の排出ガス基準等についてということで、資料3でご説明させていただきます。先生方、よくご存じかとは思いますが、検討の背景をちょっとおさらいさせていただきます。現在、エタノール、ETBEのガソリンへの混合上限ということは、排出ガスへ影響を与えない範囲ということで、含酸素率で1.3%というふうにしているところでございます。安全の観点から別途、エタノールの混合上限は3%というふうにされているところでございます。これが俗に言うE3レベルのものでございます。
 一方で2番目の○でございますけど、さらに混合濃度を上げたE10の普及に向けた取り組みが全国各地で実施されつつある状況でございます。ただ、E10につきましては、大気汚染防止・安全性確保という観点から、既存のガソリン車には使用することはできません。ということで、E10に対応したガソリン車、E10対応ガソリン車というものが必要になります。しかしながら、E10及びE10対応ガソリン車につきましては、安全・環境性能を検証した上で、燃料側・車両側の基準というものは整備されていない状況です、現状において。E10対応車が結果といたしまして、一般販売されていないと。では、今走っているE10対応ガソリン車はどうかというと、国土交通省さん及び経済産業省さんが、車・燃料の個別の認定を行って走っているという、そういう状況でございます。
 E10というのは、いろいろ供給の安定性とか経済性の確保ということで課題があり、関係省庁連携して、その課題を解決すべくやっているところでございますけど、まずはE10対応のガソリン車が市場に導入される環境を整えることというものを目的といたしまして、大気汚染防止の観点からE10対応ガソリン車の排出ガス基準、及びそれと密接に関連するE10燃料の規格について検討するというふうにしたところでございます。
 21ページでございます。E10対応ガソリン車の排出ガス基準ということで、これも排出ガスのときと同じように四角の囲みで概要をまとめております。ガソリンにエタノールがまざることによって論点は二つ、大気汚染防止の観点からはございます。一つが燃料の蒸発ガス、給油時だとか駐車時に蒸発する炭化水素というところでございます。もう一点が(2)ということで、自動車排出ガス、走行時に出る排出ガスというところでございます。
 では、まず(1)の燃料の蒸発ガスについてご説明させていただきます。緑の枠で囲っているのが、その課題というところでございます。ガソリンにエタノールを混合いたしますと、蒸気圧が上昇します。結果といたしまして、光化学オキシダントなどの原因となる炭化水素が給油所や自動車から蒸発量が増加するという、そういう課題がございます。また、エタノールが燃料配管から透過する、それによってHCの蒸発量が増加すると、そういう課題がございます。
 では、そういう課題を踏まえて、燃料側、自動車側はどういうふうにするかというところでございます。まず、燃料側でございます。E10の規格といたしましては、蒸気圧は現行のガソリンと同じとすると。基本的考え方は大気汚染状況を悪化させないという基本的な考え方のもとに、E3レベルと同じ対応というふうに考えております。その結果として何が発生するかというと、エタノールをまぜるガソリンにつきまして、蒸気圧を調整する必要がございます。ということで、一定のコストが必要となります。そういうような中でE10を普及させていくということで、別途こういう制度を用意いたしました。バイオエタノールの地産地消の取り組みを後押しする仕組みを今後でございますけど、検討していきたいというふうに考えてございます。例えば光化学オキシダントの大気汚染状況とかバイオエタノールの取扱量、あと代替措置、そこら辺を総合的に考慮いたしまして、あくまで地域限定で蒸気圧の緩和を認めると、そういう制度を今後、検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 自動車側の方でございます。燃料蒸発ガスの規制値は、現行ガソリン車と同じとするというふうにさせていただきたいと思います。蒸気圧は、もう結局、燃料側の方で調整をするというふうにした関係上、蒸気圧の上昇というのは考えなくてよくて、エタノールの透過について考慮する必要があるというところでございます。この結論に対して、メーカーはどういう対応が必要になるかというと、燃料配管をエタノールが透過しにくいものに変更する必要が生じてきますという状況でございます。
 続きまして、排出ガスの方でございます。エタノール混合による大気汚染上の課題ということで、エタノール、酸素分を含みます。それが混合されることによって、NOXなどの排出ガス量が変化する可能性がございます。悪化する場合もあるし、よくなる場合もあると思います。E10対応車というものは、E0からE10、エタノールの混合が幅がある燃料を使われることになりますが、E10対応ガソリン車の基準といたしましては、排出ガスの規制値は現行ガソリン車と同じというふうにしたいというふうに考えているところでございます。
 では、それぞれの内容について、詳細に説明させていただきます。まず、21ページの下の方の(1)で燃料蒸発ガスのところでございます。E10対応ガソリン車、E10を普及させていくというのは重要な施策だというふうに考えております。ただ、大気汚染の原因となる物質というものが増加することを避けるべきであるという、そういう基本的な考え方で検討を実施いたしました。
 22ページでございます。ガソリンにエタノールを混合した場合、蒸気圧が上昇し、VOCの発生量が増加します。E3レベルにおきましては、基材ガソリンの蒸気圧を調整することによって、ガソリン車と同じ蒸気圧規格に適合させることとしているところでございます。E3からE10になって、蒸気圧の上昇度合い、変わるかというと、ほぼ同等で大体7kPaぐらいの上昇でございます。ということで、E10といってもE3とやることは基本的には変わらないということで、E10においてもE3と同様の対応とするようにしたいというふうに考えております。
 ただ一方で、温暖化対策のためE10の普及、重要でございますので、蒸気圧、一律ガソリンと同じというふうに言い続ければ、なかなか普及はいたしません。ということで、下から2番目の○でございますけど、地域限定で蒸気圧の緩和を認める仕組みというものを今後、検討していくことが望ましいというふうに考えているところでございます。
 蒸気圧問題はそこで解決したところでございますけど、燃料配管からのエタノールの透過によってもVOCが発生いたします。環境省データということで、燃料蒸発ガスの排出ガス試験結果ということで、横軸にG車からF車までございまして、それぞれE0、E10の蒸気圧調整済、E10の蒸気圧調整無というデータをはかったところでございます。グラフがないのはゼロというわけではなくて、データがないというふうに理解していただければと思います。ちょっとG車はE10になっても減っている場合があってあれですけど、H車からF車につきましては、E0からE10、蒸気圧調整をしたやつについても増加しているという状況でございます。ということで、エタノールの透過というものは一定のVOC発生量に寄与があります。ということで、E10対応ガソリン車につきましては、燃料配管の材質をエタノールが透過しにくいものとすることによって、エタノールが10%混合された状態においてもガソリン車の燃料蒸発ガスの規制、2グラムという規制がございますが、それに適合させることとしたいというふうに考えているところでございます。
 23ページでございます。今回、こういうような結論で、地域限定とか、いろいろ新しいことも今後検討というふうに打ち出させていただきましたけど、今後、E10対応ガソリン車だとかE10の普及状況あるいは大気汚染の状況を踏まえて、これについては必要に応じて見直していきたいというふうに考えているところでございます。また、今後、VOC低減という観点から、自動車以外の部分についても総合的な対策、実施していくということになった場合は、その一環として、燃料側、自動車側の対策についても改めて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 続きまして、排出ガスについてでございます。こちらについても燃料蒸発ガスと同様の考え方で、大気汚染の物質が増加するというのは避けるべきというふうに考えているところでございます。ただ、最新のガソリン車におきましては、フィードバック制御と、あと、後処理装置の三元触媒が適切に機能するよう制御されております。ということで、エタノール10%の違いで排出ガス量が大きく異なるものではないというふうに考えております。データ上も実証されております。下の方にグラフがあります。CO、NOX、ノンメタンハイドロカーボンと、それぞれ車種変えて、E0、E10をはかった結果でございます。これを見ると、見事にE0とE10、きれいに重なるような感じでございます。ということで、E0及びE10を使用して排出ガス試験を実施したところ、ほとんど差はございませんでした。E10対応ガソリン車につきましては、E0からE10とある程度幅がある燃料を使用されることになりますが、E0、E10、どの燃料が使われてもガソリン車の規制に適合することは技術的に大きな障害はないというふうに考えます。このためE10ガソリン車につきましては、E0からE10、どの燃料が使用されてもガソリン車の規制値に適合させることとしたいと思います。
 ただ、その規制適合性をどういうふうに確認するかというところでございますが、繰り返しになりますけど、現行のガソリン車の排出ガス低減技術、三元触媒あるいはO2センサーでございます。あと、データ上も排出ガス量にほとんど差がなく、規制値に対しても余裕を持って現在は適合していると。グラフの方で規制値、赤線で引いておりますけど、余裕を持って適合していると。そういう状況を考えれば、E0からE10の中で、どれか1種類の燃料でガソリンの規制値に適合していれば、E0からE10すべてで規制値に適合していると考えても差し支えないのではというふうに考えたところでございます。
 23ページの一番下のところでございます。E10を使用した場合、アセトアルデヒドの排出量が増えるというふうに一般的に言われております。24ページ、あけてください。こちらアセトアルデヒドの排出量ということで、単位はミリグラムでございます。E0からE10になると、確かにアセトアルデヒドの排出量は増えております。その原因といたしましては、下の方に濃度線図がございます。緑のラインがE10を入れた場合の触媒の後のアセトアルデヒドの濃度で、黄色のラインがE0を入れた場合の触媒の後のアセトアルデヒドの濃度でございます。触媒が温まるまでのスタート当初において、アセトアルデヒドの濃度がE10については高い状況でございます。触媒が温まって機能してくれば、E0と同じような状況になると。最初のスタートのところの結果といたしまして、絶対値の排出量が増えているという、そういう状況でございます。とはいっても、横の方に水色でディーゼル車のアセトアルデヒドの排出量をお示ししていますが、それと比較して同等あるいは低いレベルというふうに言えるのではないかというふうに考えているところでございます。
 さらに、24ページの上の方でございますけど、排気管直後、確かに濃度、高くはなっているんですけど、排気管から拡散されることを考慮すれば、十分に低い濃度だと言えるというふうに考えております。
 では、どれぐらい拡散するかという度合いをちょっといろいろ論文、研究報告をまとめて、かき集めてきました。25ページでございます。排出ガスの拡散に関するデータというところで、1番目、これが一番リアルワールドの状況でございますので、一番、実態を反映しているかというふうに考えております。路上における追従試験です。写真がございます。対象車を走らせ、その後から計測車が後ろからついていくという、そういう試験をやって、その対象車から排出されるNOXの濃度がどういうふうになるかというのをはかったものでございます。走行条件といたしましては、20キロ、50キロ、80キロの定常走行、対象車と計測車の距離というのは速度によって違うんですけど、大体10メートルから100メートルの間というところでございます。データを見ていただければ、例えば20キロの定常走行の距離が10メートルのところでは、1,500倍にまで薄められるというものでございます。さらに10メートルじゃなくて、もうちょっと近い位置での拡散というのはないのというところで、2番目の簡易風洞による実車試験というところがございます。これについては、アイドリング時のCO2の濃度を計測機器の距離を動かしながらはかったものでございます。グラフがございます。横軸が排気管からの距離で、縦軸が希釈率というところでございます。こちら横軸はミリの単位でございますので、2,000ミリのところを見ていただくと、2メートルで大体100倍まで希釈されると。1メートルで50倍ぐらいまで希釈されるということで、すごい薄く希釈されるという状況でございます。1番目、2番目というのは、排気管方向の希釈でございます。では、横方向の希釈というものをちょっと探してみました。それが26ページでございます。こちらの方はちょっと残念ながら実車だとかを使ったデータがなかったところでございますので、20分の1の模型を使った拡散というものを計測した結果でございます。x方向が進行方向で、y方向が紙に突き刺すような、そういう方向だというふうに考えていただければ、ちょうど横方向というイメージですかね。z方向が高さ方向というふうに考えていただければと思います。濃度の線図が(a)(b)(c)とあります。これはx方向の排気管からの距離というふうに考えていただければと思います。例えば一番排気管から近い(c)の濃度線図でございますけど、大体、中心部が450ppmでございます。それが横方向に100ミリでございますので、20分の1ですから20倍しますと、2,000ミリでございます。要するに、横方向2メートルで大体、模型でございますが、10倍希釈されるという、そういう論文もございます。
 ということで、24ページに戻らせていただきますと、触媒が機能しない、一時的ではございますけど、高い濃度のアセトアルデヒドが出ますが、拡散だとかを考慮すれば十分に低い濃度ではないかというふうに考えているところでございます。そういうような状況でございますので、アセトアルデヒドに特化した規制というものは行わずに、現行のハイドロカーボンの規制の中でアセトアルデヒドの対策もやっていきたいというふうに考えております。ただ、とはいってもE10対応ガソリン車が今後、普及していけば、それはやはりどうなるかというのはわからないところでもありますので、普及状況とか大気汚染の状況を踏まえて、これについては必要に応じ、見直していきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。皆さん方からご質問をいただきたいんですが、私の方からとりあえず質問させていただきます。地産地消の件なんですが、これは光化学オキシダント等の大気汚染状況と関係するので、こういうことを考慮しながら検討を進めていくというお話なんですが、ここをもうちょっと詳しく説明していただければと思います。

【多田室長補佐】 まず、前提としていろいろ書きましたけど、必ずしも拙速にE10を普及させるために蒸気圧の緩和というのはするつもりはございません。例えば光化学オキシダントの状況ということで、すみません、ちょっと委員限りの資料の方につけさせていただいております、13ページでございます。例えばこちら、日本全国の地図がございまして、光化学オキシダントの注意報の発令の日数だとかがまとめられております。警報は21年度は出ておりませんので、注意報というところでございます。こちら見ていただければ、真っ白のところが注意報が一日も発令されていないところでございます。例えばE3の実証事業が行われている地域でも白いところがあると思います。例えば島だとか、そういうところであれば、広範囲のそういう汚染もなかなか影響はないというふうに考えられますので、そういうところにおいて光化学オキシダントのそういう状況だとか、あと、バイオエタノールの取扱量です。例えば100リットルとか、その程度の取り扱いで蒸気圧についてぎりぎりやるんですかという議論もあろうかと思います。あとは、代替措置と申しまして、例えばガソリンスタンドで給油時にHCを吸い取る装置、ステージ2だとか、そういうものの代替措置だとか、そういう状況を、本当一言で言うと総合的に勘案いたしまして、検討を進めていきたいというふうに考えています。委員限りの資料にしたのは、あくまでこれは今後の話でございますので、どこを念頭に置いているだとか、そういう変な誤解を招かないように、ちょっと委員限りの資料というふうにさせていただいたところです。

【河野委員長】 ありがとうございました。この資料は公開されているわけですよね。

【多田室長補佐】 はい、公開されていますので、非公開でも何でもございません。必要があれば、ここは出したいと思います。

【河野委員長】 それから、拡散に関するところを結構詳しくやっていただいたんですが、結局、アセトアルデヒドって非常に刺激臭というか、人間にとって不快な、私なんかはしょっちゅうそういう経験をしているんですが、いわゆる二日酔いの状態で、これにつきまして拡散に関するデータということで、車の後方の何メーターでどれぐらい薄まるかというようなことをデータとして出していただいておるんですが、これ大体、何倍ぐらいに薄めれば人体にあまり影響を及ぼさないというか、悪臭と感じないということはどうだったですかね。

【多田室長補佐】 この指標を出すのが適切かどうかというのは正直言ってわからないですが、一つ指標としてございますので挙げました。資料の方の例えば33ページ、あけていただければと思います。こちらの方、どういう試験条件かといいますと、コールドスタートでアイドリング放置、恐らく触媒の効きに対しては一番厳しい条件であろう試験でございます。それのアセトアルデヒドの濃度をE0とE10で比較したデータでございます。E0からE10になると、E10のI車触媒後と書いてあるところが80ppm近く、排気管直後出ているという状況でございます。では、この80ppmをどう評価するかというと、33ページのちょっと上の方に書いておりますが、日本産業衛生学会の許容限度、これ労働環境だとかの環境を決めているところでございますけど、50ppm、あるいはアメリカでは25ppmと、そういうふうに決められているところでございます。これに対して排気管直後では80ppmというところで超えているかと思います。ただ、先ほど言ったように、例えばもう1メートルで50倍まで薄まるということを考えれば、この濃度と比較しても十分低い濃度と思うので、この日本産業衛生学会の許容限度だとか、そこら辺が一つの指標になり得るのかなというふうに考えています。

【河野委員長】 ありがとうございました。どうぞ。

【岩本委員】 今、先生がご指摘になったことなんですけれども、50倍に薄まる。だけど、例えばE10車が非常に普及して、50台あったら一緒なんじゃないですか。ですから、そこら辺との兼ね合いになるんじゃないかということが一つある。それと、今、測定をされているのはアセトアルデヒドなんですが、これは測定がしやすいからということもあるんですけど、実際にはホルムアルデヒドも結構危険です。一般にアルデヒド類はアレルギー源なので、室内でも非常に規制されていますよね。少し注意深く対応された方がいいかなという感じはします。

【多田室長補佐】 先生のご指摘、承りました。資料にも書いてあるとおり、E10の普及状況を踏まえて見直していくというふうに書いておりますので、検討していきたいと思います。私どもとしては、むしろE10がたくさん普及して、見直さないといけないねという議論ができるようなことになることを期待しております。

【坂本委員】 全体のデータが示されているところで、やや一つの測定値なのか、何回かの測定値なのか、そういった点が一切ないから、これは全く全部一緒に見て、誤差範囲の話ですよということなのか、多少は今の、ややディーゼル車と比べたら同じぐらいだけども、E10の方がちょっとたくさん出るのか。そうすると、そういったデータの読み方によって今後たくさん増えた場合にどうなのかという解釈が違ってきますよね。そういった点が明確に出ていないということが少し気になります。それで、例えば30ページのアセトアルデヒドの測定値、E0とE10なんか見て、全体を見た場合には、やはりそれなりの排出量があるというのと、それから、だんだん触媒がよくなっていくと、まさに最初の短い時間における全体の寄与が大きくなってくるから、そういった点が全体の走行時間に対してどのくらいの寄与をするのかとか、そういった点も考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

【河野委員長】 それはあれですよね、たくさん使われるようになったら、その場合場合に応じて考えていかなきゃいけないということで、そういうことも考えながら進めるという、そういうふうにご意見いただいたということでよろしいでしょうか。

【多田室長補佐】 はい。

【坂本委員】 今の点については、だから全体に今後、データをまとめるとき、そういったことを考えて書いておくようにしないと、誤解を招くおそれがあるということです。

【多田室長補佐】 はい、わかりました。すみません、エラーバーとかもちゃんと記述するようにしたいと思います。アセトアルデヒドについては、エラーバーはかなりそんなに長くないので、このデータが一つの全体の傾向を示しているかというふうに考えております。ちょっと資料の作成に不備があったことはお詫びいたします。

【塩路委員】 同じようなことになるんですけれども、先ほど河野先生の質問されたことで、80ppmが50ppmとか、それぐらいの比較で、少し希釈すれば大丈夫というか、2分の1になれば大丈夫みたいなことなんですよね。それに対して物すごい、倍になるからということなんですけどね。いずれにしても、これは恐らく駐車場というか車庫の中のところを想定した場合に、危険性が増してくるような状況になるんじゃないかなと思うので、だから、そういうこともちょっと踏まえて、何か文章を考えていく必要があるかなとは思うんですけれども。
 ちょっと確認したいんですが、25ページのすごく希釈されるという2番の簡易風洞によるというのがありますよね。これなんかも、風量とか風速で恐らく風洞の全く違ってくると思うんですけれども、それは書いてありましたっけ。

【多田室長補佐】 風速まではちょっと、どれくらいの……。

【塩路委員】 風速というか風量でも多分同じみたいなものなんですが。言いたかったのは、そういうこともちょっと、ちゃんと記述しておいてくださいねということなんです。

【多田室長補佐】 わかりました。やっぱりそもそも自動車倉庫の中でずっとアイドリングするというのはあまりよろしくないところだと、E10でなくてもよろしくないというふうに思っていますので、ただ、アセトアルデヒドが増加するというのは事実でございますので、ちょっと今後、これから報告書だとかは議論していただくことになると思うので、そこの記述だとかを見ていただいて、ご審議いただければと思います。

【塩路委員】 当然そうなんですけれども、リスクがそれだけ倍増えるというふうに多分考えるべきだと思うので。
 それと、ちょっとこれ、22ページの蒸発ガスの排出量がでこぼこしていたり、ぼこでこしていたりしていますよね。これぐらいのアンビギュイティがあるのかなと思うんですが、この縦軸というのは、これはg/testですか。

【多田室長補佐】 失礼しました。g/testです。

【塩路委員】 下の方で、最後にガソリン車の蒸発ガス規制が2グラムと言われたのも、2g/testで、それは比較できるものなんですよね。

【多田室長補佐】 そのとおりです。

【塩路委員】 ですよね。じゃあ、その辺の話も少しここに含めといたらいいかなというふうに思うんですが。

【多田室長補佐】 わかりました。ありがとうございます。

【河野委員長】 さっきのアセトアルデヒドの件なんですが、25とか50とか。もし、それをかげるようなチャンスがあれば、ぜひ私、かいでみたいと思うんですが、委員の皆様方に全員オブリゲーションを出すというわけにいきませんけども、ちょっとそういうチャンスがあれば考慮していただきたいと思います。

【多田室長補佐】 わかりました。検討いたします。実はこの排出ガス測定をやるに当たって、研究者の方に測定をお願いしたんですけど、研究者の方に、E0とE10で、においとかどうだったということをヒアリングしたら、E0とE10で特にどっちが違うかというのはわからなかったという。三、四人に聞きましたら、そういう発言をおっしゃっておりました。本人は、自分は鼻がいい方だというふうにおっしゃっていたので、恐らく大丈夫だと思います。

【河野委員長】 ほかにご質問ございませんでしょうか。
 ないようでしたら、次の説明をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは、事務局の方、お願いいたします。

【多田室長補佐】 次は、今後のスケジュールということで、資料4の45ページでございます。今回、挑戦目標値とE10についてご審議いただきました。その結果を受けて、5月下旬に同じく専門委員会を開きます。今回の結論を踏まえた形で報告書をお示ししたいと思います。それを審議していただければと思います。いろいろご指摘、出ようかと思っていますので、6月中旬に同じく報告書を検討する専門委員会を開かせていただきたいというふうに思っております。パブリックコメントをいたしまして、大気環境部会(答申)という形に持っていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。このスケジュールにつきまして、何かご質問等ございますでしょうか。
 ないようでしたら、本日の議題につきましては、こちらでは以上ですが、皆さん方の方から格別なご発言ございますでしょうか。

【塩路委員】 まだ時間があったんで、さっき言い忘れていまして。ちょっと前に戻らせていただいて申し訳ございませんが、15ページの排出ガス削減効果という表がありますよね。結局、この規制を導入してどういう効果があるかというのは、環境行政で言えば大事だと思うんですけれども、この見積もりが総量ではなかなか、もちろん評価できないとは思うんですけれども、これはコールドとかモード変更が追加されたことによって、要はこの見積もりのやり方は、原単位掛ける台数で多分見られていますよね。台数は、もうずっと一定ということを仮定されているんですかね。

【多田室長補佐】 はい、残存率です。

【塩路委員】 残存率を見積もって、なるほど。

【多田室長補佐】 はい、過去の傾向とか。

【塩路委員】 それの外挿で求められているということですね。もう一つの原単位の方は、これは恐らくワーストケースの見積もりになるんじゃないかなと思うんですけれども、要はコールドとかモード変更を加えることによって、よりリアルワールドに近づいているという気がするんですよ。だから、そういう観点を少し何か文章にもというか、何か含ませて記述した方がいいかなと思うんですけれども、そこのところ、全然触れられていなかったのでね。

【多田室長補佐】 おっしゃるとおりだと思いますが、本当ならコールドスタート、オフサイクル、その他もろもろリアルワールドでは非常に効果があるというふうに考えておりますので、本当なら、その効果を何とか入れ込めればうれしいんですけど、ちょっとまだその手法というのがなかなか難しいものですから、そういうところも踏まえて、報告書の方にオフサイクルだとか、そういうコールドだとか入ったというところも報告書の方に書いていきたいというふうに考えています。

【塩路委員】 この試算結果が、ワーストケースになっているという、ワーストケースというのかな、もっと本当は下がっていくんではないかと、リアルワールドでは。そういうような何か気がするんですけれどもね。そういうことを記述いただければなと思ったんです。

【多田室長補佐】 ありがとうございます。わかりました。

【河野委員長】 貴重なご意見、ありがとうございました。今後の役に立てたいというふうに思っておりますが、ほかに何かございますでしょうか。
 ないようでしたら、今日の審議は一応終了ということで、事務局の方から何かあれば。

【多田室長補佐】 次回の専門委員会、繰り返しになりますけど、5月下旬を予定しております。議題といたしましては、本日ご審議いただいた内容を踏まえた第十次の専門委員会の報告案についてご審議いただければと思います。
 事務局からは、特にそれ以上はございません。

【河野委員長】 それでは、どうもありがとうございました。