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■議事録一覧■

中央環境審議会第24回大気環境部会議事録



  1. 日時 平成20年4月11日(金) 14:00〜16:18
  2. 場所 全国都市会館2F大ホール
  3. 出席者
    (部会長) 坂本 和彦  
    (委員) 浅野 直人 佐和 隆光
    (臨時委員) 伊藤 桂子 岩崎 好陽
      内山 巌雄 浦田 隆
      浦野 紘平 太田 勝敏
      香川 順 小林 悦夫
      櫻井 治彦 佐藤 信彦
      塩路 昌宏 篠原 善之
      大聖 泰弘 新美 春之
      松原 純子 小柳 正治
      若松 伸司  
    (参考人) 新田 裕史  
    (環境省) 水・大気環境局長 大気環境課長
      水環境担当審議官 総務課長
      総務課課長補佐 環境管理技術室長
      大気環境課長補佐  

  4. 議事
    (1)
    微小粒子状物質健康影響評価検討会報告について
    (2)
    その他
  5. 配付資料

    ・中央環境審議会大気環境部会 委員名簿

    資料1 微小粒子状物質健康影響評価検討会報告書(抜粋)
    資料2 検討会報告における今後の課題
    資料2−1 欧米における粒子状物質に関する動向について
    資料2−2 微小粒子状物質の曝露関係に係る取組の状況
    参考資料1 微小粒子状物質健康影響評価検討会報告について(お知らせ)
    参考資料2 大気汚染に係る環境目標値設定状況
     
  6. 議事

    【総務課長】皆様、お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第24回の大気環境部会を開催いたします。
     本日は、委員総数36名のうち、20名の方のご出席を予定しておるところでございます。また、議題1として用意しております微小粒子状物質健康影響評価検討会の報告に関連しまして、坂本部会長のご指示を受けまして、検討会の疫学ワーキンググループ長としてこの報告作成の作業に携わっていただいた国立環境研究所の新田先生にご出席をお願いしております。ご紹介申し上げます。
     それでは、まず初めに、事務局、環境省を代表いたしまして、竹本水・大気環境局長よりごあいさつを申し上げます。

    【水・大気環境局長】水・大気環境局長の竹本でございます。本日は、大気環境部会の先生方におかれまして、大変ご多用のところご参画をいただきまして、まことにありがとうございます。本日の議題となります微小粒子状物質の件でございますが、かねてより国会でも審議の中で取り上げられるなど、大変各方面関心の高い事項でございます。私ども環境省としても、この件について大変重要な課題であると、しっかり受けとめてまいりたいと思って臨んでおるところでございます。
      本件につきましては、健康影響評価検討会、昨年の5月より内山先生を座長として精力的にご検討をいただきまして、この4月の初めにこの検討会の報告を取りまとめていただいたところでございます。また、詳しくはその議論の中で、今後の進め方等につきましても大所高所から、また、幅広くご審議いただければ大変ありがたく存ずる次第でございます。いずれにしましても、私ども環境省といたしまして、この課題、今後ともしっかりと臨んでまいりたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくご指導のほどお願いを申し上げまして、私からの冒頭のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    【総務課長】申しおくれましたが、私は事務局を担当しております、水・大気環境局の総務課長をしております岡部と申します。
     本日、ご出席いただきます委員の先生方につきまして、お手元に大気環境部会の座席表をお配りさせていただいております。これをもちまして、ご紹介につきましては、恐れ入りますが省略をさせていただきたいと思っております。
     次に、お手元にお配りしております資料のご確認をお願いいたしたいと思います。議事次第の紙をごらんください。その下半分に配付資料のリストを設けております。配付資料としまして、今申し上げた委員名簿のほかに、資料1といたしまして、微小粒子状物質健康影響評価検討会報告書(抜粋)でございます。資料2、検討会報告における今後の課題でございます。資料2-1、欧米における粒子状物質に関する動向について。それから、資料2-2、微小粒子状物質の曝露関係に係る取組の状況でございます。それから、参考資料1といたしまして、微小粒子状物質健康影響評価検討会報告について。報道発表用のお知らせの分でございます。それから、参考資料2といたしまして、大気汚染に係る環境目標値の設定状況でございます。
     それから、お手元に、委員の方々に書類封筒を用意しております。この中に微小粒子状物質健康影響評価検討会の報告の全文を入れさせていただいておりますので、必要に応じ、参照いただければと思っております。
     ただいま申し上げました資料に関しまして、万一資料の不足がございましたら、事務局にお申しつけいただければ幸いでございます。
     それでは、報道関係者の皆様おられましたら、恐れ入りますが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
     それでは、これ以降の会議の進行につきましては、坂本部会長によろしくお願いいたします。

    【部会長】それでは、皆様、今日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。
     早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
     本日は、微小粒子状物質健康影響評価検討会報告、これにつきまして、内山委員や事務局からご説明をいただいた後、今後の取り組み方針等について議論させていただきたいと思います。
     それでは、微小粒子状物質健康影響評価検討会報告について説明を伺いたいと思います。本検討会の座長を務められていた内山委員から、報告の方、よろしくお願いいたします。

    【内山委員】微小粒子状物質健康影響評価検討会の座長を務めさせていただきました内山でございます。私の方から、資料1の微小粒子状物質健康影響評価検討会報告の概要につきまして、まずご説明させていただきたいと思います。
     本検討会は、浮遊粒子状物質の中でも粒径の小さい微小粒子状物質につきまして、国内外の知見を踏まえまして、微小粒子状物質の呼吸器系や循環器系などの健康影響に関する評価について、専門的な検討を進めることを目的といたしまして、平成19年5月29日に第1回会議を開催した後に、合計11回に及びます熱心な審議をいただきまして、資料1の報告を取りまとめたところでございます。
     健康影響評価の作業を行うに当たりまして、曝露、毒性、疫学の3つのワーキンググループを設置いたしました。これらの各ワーキンググループから、まずおまとめをいただきまして、そこから得られました知見を統合して、疫学知見から示された結果が、毒性学的知見から想定される影響メカニズムによって支持できるかなどの定性的な有害評価を行ってきたところでございます。この中には、我が国で平成11年から計8年間にわたって行ってまいりました微小粒子状物質曝露影響評価調査研究、これは昨年に報告書を出させていただきましたが、このコホート調査、あるいは15年にわたりまして続いてまいりました大気汚染に係る粒子状物質による長期曝露影響調査によるコホート調査、これは現在も継続中でございますが、この中の10年間をまとめた資料等、我が国のデータも用いて評価を行ったところでございます。
     報告書は、お手元にありますように、全編で約600ページに及ぶものになりましたので、本日は、その中の第1章の目的と背景、それから第7章の知見の統合による健康影響評価、それから第8章のまとめ及び今後の課題という章の抜粋を資料1としてお示ししているところでございます。
     微小粒子状物質の健康影響につきましては、これまで申しましたさまざまな国内外の疫学知見から、粒子状物質において以前から認められております呼吸器系への健康影響が微小粒子状物質においても同様に見られる。また、新たに微小粒子状物質による循環器系ですとか肺がんの健康影響も認められたということでございます。ただし、今般の評価におきましては、我が国の疫学データがございましたので、それと比較いたしましたところ、欧米と我が国における生活習慣等の違いによります、特に、循環器系疾患の疾病構造の相違というものにかかわる違い、あるいは微小粒子と、それからその残りの粗大粒子の影響の判別の困難さですとか、粒子状物質以外のガス状の共存汚染物質等の影響等の判別というような不確実性の多いもとで行われてきたところでございます。これにつきましては、不確実性をできる限り少なくするために、課題に係る知見の集積について一層今後も努める必要があるということも、同時にこの報告書の中で示させていただきました。
     しかしながら、総合的に評価をいたしますと、微小粒子状物質が総体として人々の健康に一定の影響を与えているということは、疫学知見並びに毒性知見から支持されるということが示されて、これが結論となっております。また、大気中粒子状物質の曝露に関して観察される相対リスクというものが、他の曝露要因と比較しまして必ずしも大きいものではございませんけれども、大気汚染というものが避けられないリスクであること、あるいは広く一般の方々に同様の影響を与えるというような公衆衛生の観点から見ますと、微小粒子に係る健康影響を軽視することはできないということから、今回の検討で判明した微小粒子に関するさまざまな影響について、検討会といたしましてはさらに定量的な評価に関する考察を進める必要があるということを書かせていただきました。
     その一方で、定量的な評価に関しまして、微小粒子状物質がさまざまな成分で構成されていること、それから、地域によって大気環境中の粒子成分が一定ではない、あるいは変動するなどということから、疫学知見に基づきまして、閾値の存在の有無を明らかにすることはなかなか難しいと当面結論するに至りました。この結論は、これまで閾値があれば無毒性量等を用いること、あるいは、閾値がなければ許容リスク、あるいは耐容リスクまで低濃度に外挿するというような方法がとられてきたところでございますが、この閾値の存在の有無が明らかに今のところできないということになりますと、これまで採用してきた定量的な評価手法をすぐにそのまま採用することはできないということを意味することになります。そこで、環境目標値の設定等を行うためには、リスク評価に係るこれらの手法につきまして、さらに十分に検討を行わせていただきたいというところを提言させていただきました。
     また、曝露分野に関しましては、測定法の精度の改良ですとか、微小粒子の生成機構などの曝露情報の整理に関する課題も記述したところでございます。これらの今後の課題につきましては、また後でご議論いただくことになるかと思いますが、これらの課題については、なるべく早急に解決しなければならない問題と、さらに今後長期間にわたって情報収集等を努めて新たな知見を得ていくというものがあると思います。
     以上が主な内容でございますが、本日出席いただいています疫学ワーキンググループ長を務めていただきました新田先生にも、疫学に関する評価について補足説明をいただきたいと思います。さらに、その後、事務局の方からまた説明をお願いしたいと思います。
     最後になりましたけれども、この報告書をまとめるに当たりまして、各ワーキンググループ長、あるいは検討会委員を初めといたしまして事務局の方々に大変なご協力をいただきまして、短期間ではありますけれども、このような報告書をまとめることができました。改めてこの場をおかりして御礼を申し上げます。
     それでは、新田先生、説明をお願いいたします。

    【新田先生】国立環境研究所の新田でございます。微小粒子状物質健康影響評価検討会の中で、疫学ワーキング長をさせていただきました。その中で、微小粒子状物質の健康影響に関する疫学知見の全体的な取りまとめを担当させていただいておりました。ただいま、内山先生の方からご説明がございましたが、疫学知見を中心として、その評価方法の基本的な方針、それから、具体的な疫学知見の内容に関しまして、追加で補足的にご説明させていただきます。
     まず、微小粒子状物質の健康影響に関する評価におきましては、我が国並びに欧米を中心として諸外国で多数の疫学知見が存在をしております。それらの疫学知見の中には、微小粒子状物質への短期的な曝露による影響並びに長期的曝露による影響、その両者に関する知見がございます。健康影響といたしましては、呼吸器系、循環器系など、さまざまな指標が検討されてきておりました。疫学研究の最も重要な特徴は、現実の世界における大気汚染物質への曝露と、それに引き続く健康影響の関連性を検討し、評価できることであるというように考えております。一方、このような疫学研究は基本的に観察研究でありますので、因果関係の推論には多くの制約がございます。不確実性が必然的に伴うことになります。そのために、疫学知見に基づく大気中微小粒子状物質の健康影響評価に当たりましても、不確実性を十分に考慮して結論を導かなければならないということになります。
     このような場合の疫学知見の評価方法としては、一般的にここ数十年にわたりましてHillが示した因果的な推論を行うための基本的な手順というのが広く採用されております。ここでも、お手元の報告書の第6章の方に、詳しくその評価の観点に沿った記載をさせていただいておりますが、Hillの観点には幾つかのポイントがございます。まず、関連性の強さがどの程度か。それから、関連性の一貫性がどの程度か。それから、曝露と引き続く健康影響の時間的な関係がどのようなものであるか。原因の方が結果よりも必ず先に来ていなければならないと、そういう意味での時間的関係でございます。それから、量反応関係。もう一つは、自然の実験ということで、先ほど申し上げましたように、疫学研究は基本的には観察研究でございますが、何かの人為的もしくは自然の条件で曝露量が大幅に変化するというようなことがあって、それに伴い健康影響が改善したり、また、非常に悪化したりというようなことがまれに発生いたします。そのようなことを、疫学では「自然の実験」と呼んでおりますが、そのようなことは疫学の知見におきまして因果推論する重要な資料というように考えられております。
     それから、他の知見、生物学的な知見等に整合性、妥当性があるかどうか。それから、このような知見がいろいろな生物学的な知見以外の、例えば曝露情報等々の知見と照らし合わせて整合性があるかどうかというようなことがHillの観点に含まれております。それからもう一点、Hillの観点には含まれておりませんが、曝露と健康影響指標との間に示された関連性が偶然、もしくはバイアス、もしくは交絡因子の作用を受けている可能性がないかということを、頑健性、ロバストネスと呼んでおりますが、そのような観点から、さらに詳細に検討をいたしました。その結果、疫学知見の主な評価の内容でございますが、まず微小粒子状物質への短期曝露と死亡に関する世界各国の多数の研究、100、200というオーダーでございますが、多数の研究において日単位の曝露、場合によっては数日遅れで死亡との間に関連性が見られていること、これらの研究には我が国における研究も含まれております。
     また、これらの知見では、リスク推定値には対象地域間でばらつきは見られるものの、関連の方向性については頑健性があり、一貫性が認められたこと。微小粒子状物質への長期的な曝露と死亡に関する幾つかのコホート研究と呼ばれるものがございます。その中で、微小粒子状物質と全死亡、さまざまな死因を合わせた死亡、それから呼吸器、循環器系の死亡及び肺がん死亡との間に関連性が見られると報告をされております。我が国におきましても、コホート研究において浮遊粒子状物質と肺がん死亡との関連性が認められておりました。
     微小粒子状物質への短期曝露とその他の健康影響の指標に関しましては、医療機関への呼吸器系疾患、もしくは循環器疾患による入院、受診との関連性が、これも世界各国で多数の研究がございます。また、米国のユタバレーにおきましては、先ほど申し上げました自然の実験というカテゴリーに該当いたしますが、疫学研究で観察された入院数の増加と大気中微小粒子物質との関連性が報告されておりましたが、これが気道ないし肺の炎症によるものであることが、ヒト志願者における実験及び動物実験の両者によって裏づけられておりました。
     さらに、微小粒子状物質への短期曝露と循環器系の症状及び機能変化との関連に関しましても多くの知見がございます。また、長期的な曝露と循環器系疾患の発症並びに死亡との関連性を示す、米国における大規模なコホート研究による知見もございました。さらに、微小粒子状物質の短期曝露等呼吸器症状並びに肺機能変化に関する疫学研究では、研究デザイン、それから、調査対象者が一様でないために結果にややばらつきが存在いたしますが、関連性を示唆する多くの知見があり、呼吸器系疾患による入院、受診に関する知見との整合性も認められております。
     さらに、微小粒子状物質への長期曝露と呼吸器症状、肺機能低下につきましても、発症との関係は明確に示されておりませんが、肺機能の低下と呼吸器症状、有症率の増加に影響し得ることが示されておりました。
     このような疫学知見を総合的に評価いたしまして、疫学ワーキンググループでは微小粒子状物質への曝露がこれらの健康影響の原因の1つになり得ることが示されているというように判断いたしました。
     以上でございます。

    【課長補佐】それでは、事務局から今の報告、内山先生、新田先生の報告に関して、補足説明を資料に基づいて行いたいと思います。
     それでは、資料1の報告書抜粋を取り出していただければと思います。
     最初に、1番の目的及び背景ですが、最初に内山先生の方から説明をいただいたので要約だけお話をしますと、昭和48年に粒径10μm以下の粒子を浮遊粒子状物質として定義をして、我が国では総合的な大気環境保全施策を進めてきました。近年、その中でも2.5μm以下の微小粒子、こういったものの健康の影響が懸念されて、欧米でこういった微小粒子状物質の環境目標値を設定する動きが出てきております。こういった動きを受けまして、環境省では1999年、国際シンポジウムを東京で開催をして、その後、ディーゼルの排気微粒子のリスク評価検討会報告をまとめまして、さらに、微小粒子状物質の曝露と健康影響との関連性を明らかにすることを目的とした微小粒子状物質の曝露影響調査研究、これを平成11年度から18年度にかけて、曝露、疫学、毒性学、こういったものについての研究を実施してきたと。その結果については、平成19年7月に取りまとめをして、公表しておりまして、またさらに国内の調査研究だけではなくて、国内外の既存の調査研究の文献レビュー、こういったものも行ってきたというところです。さらに、この微小粒子状物質の長期曝露による死亡の影響の知見、これが海外でもACS研究やハーバード6都市研究なども見られるということもありまして、現在も追跡調査を実施している大気汚染に係る粒子状物質による長期曝露影響調査、こういったもののデータを活用して、粒子状物質の長期曝露影響の推定を行ってきております。こういった科学的知見、情報を踏まえまして、この微小粒子状物質健康影響評価検討会で評価の作業を進めてきたということでございます。
     次のページにいきまして、2ページ目の1.2.検討体制でございます。表の1.2.1を見ていただきますと、本部会でも内山先生に座長をお願いしたということ以外に、今ご説明いただいた、新田先生に疫学ワーキング長及び親検討会に、あとは高野先生に毒性学のワーキング長と、それとこの中身のとりまとめ、また、坂本部会長には曝露ワーキング長をお願いいたしまして、この取りまとめに協力をいただいております。また、香川先生、佐藤先生、若松先生、この3人の先生にも参画していただいていると、こういうことでございます。また、1.2.2の方には3分野のワーキンググループを示しております。こういった非常に多くの先生方、疫学、毒性学、曝露に関する先生方に評価の作業をお願いしてきたということでございます。
     それで、評価文書の構成ですが、非常に大部なものでございまして、この資料自体は第1章と第7章、第8章ということでございますが、この非常に分厚い方の報告書の中の構成も含めて申しますと、第1章では目的や背景というものですが、第2章では粒子状物質の物質的な特性、化学組成、生成機構など、基本的な所見に関する情報、あとは測定方法に関する情報を紹介しております。第3章では曝露情報ということで、現在の濃度がどうか、また、粒子状物質の排出インベントリーや、また成分の組成の推計、個人曝露の推計などの情報を紹介しております。第4章では、粒子が体内に入った後にどのような挙動をするのかという、沈着及び動態という部分についての情報を紹介しております。第5章では、毒性学の研究を用いまして、粒子状物質、微小粒子状物質が体内に入ることによって呼吸器や循環器系など、そういった器官などに応じてどういった影響が生じ得るか、実験の知見をもとにある仮説、影響を及ぼす仮説を紹介して、その仮説に関する確からしさを見るという評価を行っていただいております。第6章では、疫学研究についての知見の整理ということで、先ほど新田先生からご紹介のあったとおりです。第7章では、この第2章から6章までの知見を統合して、粒子状物質の大気、体内中の挙動、適切な粒子のカットポイント、影響メカニズムの検証、また有害性の同定と、こういった総合的な評価の作業を行っております。それで、最後に第8章に、内山先生からも御説明がありましたが、まとめと今後の検討課題と、こういったものを示していただいておるということでございます。
     それで、次のページを開いていただきまして、7番の知見の統合による健康影響評価でございます。この第7章というのは、先ほどもお話をしたとおり、第2章から6章まで整理をしてきました粒子状物質の特性、曝露評価、生体内沈着及び体内動態、こういった3つの知見を用いて、粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理を行うと。また、適切なカットポイントについて整理をしております。あとは毒性学の知見から考えられる影響メカニズムを検証するとともに、また有害性という点において、疫学知見において整理された評価が毒性学知見と整合しているのかどうかという評価。それと、さらにこれらの評価とこの疫学研究の知見の整理に基づく評価を統合した上での有害性の同定について整理をしております。
     それで、7.1の粒子状物質の大気・体内中の挙動に関して、かいつまんでご説明いたします。7.1.1で粒子状物質の特性でございます。ここでは、物理化学的性質、測定方法の主要なポイントについて整理をしています。特に、ポイントとしてご説明をいたしますが、粒子の種類においては、ものの燃焼などに伴って排出される一次発生粒子、それと、硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化水素など、ガス状物質が光化学反応などを通じて粒子化した二次生成粒子がある旨記述しております。その質量濃度につきましては、約6μm付近、それと約0.3μm付近にピークを持つ二峰型分布を示しております。表面積、これは次のページをめくりまして、図の7.1.1を見ていただければと思いますが、この図に沿って説明をしておりますが、表面積濃度分析では、約0.2μmのところにピークを持つ1つの山を持つ分布となります。また、個数濃度分布では約0.01μmのところにピークを持つ一山分布を示しているということです。また、こういった粒径分布を持っているのですが、その中でも大きい粗大粒子というものについては、機械的な破砕や磨耗、こういったような物理的な原因で微細化をして発生すると、こういうことでございます。その一方、微小粒子ですね。微小粒子につきましては、燃焼に伴って発生する場合、また気体からの二次生成によって発生する場合と、このような形で、発生する要素が少し異なるということも示しております。
     また、7-2ページ以降のご説明ですけれども、粒子状物質の発生源、これは人為起源と自然起源に大別をされまして、人為起源につきましては工場等の固定発生源、それと自動車の移動発生源、こういったものがあります。自然発生源については、土壌粒子、海塩粒子などがございます。また、越境移流する代表的な粒子状物質として黄砂が挙げられるということを述べております。また、粒子状物質の大気中の滞留時間に関する記述も示しております。特に、蓄積モード、これは蓄積モードというのは0.1μmから1μmの粒子については拡散や重力沈降の影響を受けにくいということで、粗大粒子や超微小粒子と比較して滞留時間が最も長く、数週間の寿命を持っているということなど、大気中の動態について、時間的・空間的な変化の特徴を述べているところでございます。
     それでは、その次のページにいきまして、測定方法についてご説明をいたします。今PM2.5について標準測定法で定められている方法、これは米国EPAでFRMということで固定法化されているものはフィルター法ということでございます。フィルター法による質量濃度測定のみであるということでございます。それで、PM2.5測定の技術自体はこの秤量測定法のほか、自動測定法としてTEOMという方法、後はβ線吸収法、または光散乱法と、こういった方法がそれぞれございまして、自動測定機の開発が今も活発に行われているということを述べております。
     ただ、その一方、課題としてはPM2.5の測定機はまだ改良の途上にあって、低濃度域の測定精度の確認、こういったものが必要であること。あとは、フィルターが吸湿をしやすいということで、高温多湿の我が国の夏季において誤差を生じやすいという問題があること。また、気温や成分にもよりますけれども、試料採取時において加温するときに半揮発性物質が揮散をすると。こういったような誤差も生じるということで、正確な濃度を測定するためには、さらに測定機器の改良、データの蓄積、こういったものが今後の課題として整理をされております。
     その次の7-5ページにいきまして、曝露評価の整理でございます。曝露評価の整理としては、大気環境の現状、発生源の種類、モデルによる大気濃度の推計法、ヒトへの曝露様態の主要なポイントについて整理をしております。
     大気環境の現状としては、環境省は平成13年から18年にかけまして、PM2.5の50度の加熱方式、先ほど言ったTEOMという自動計測器で連続測定を実施しております。この傾向を見る限りでは、いずれも自排局で顕著な濃度低下が見られて、都市の一般局では、初期には減少していますが、最近は横ばい傾向。非都市部の一般局では全体にわたって横ばいという結果でした。また、発生源影響につきましては、大気中微小粒子の評価を行うためには、一次粒子の排出量を把握すると。また、大気中粒子の約半分を占める二次生成粒子の原因となる前駆物質に関する排出量を把握する必要があることが述べられております。
     また、各種発生源からの排出量を把握する方法、これは7.1.2の部分ですけれども、排出量実態調査による調査方法と、原単位法による方法があります。これらの方法の特徴を記述しております。これが7.1.2.2の、7-5ページから7-6ページについて記述しておりますが、まだ我が国の排出インベントリーにつきまして、次のページにいきまして、その推計にはこれまでの調査対象外の発生源データの整備、新しい車両の排気組成に関する情報収集、また植物起源のエミッションインベントリーの整備などの課題が示されているということでございます。
     モデルによる推計、これは7.1.2.3のところですが、これは発生源の寄与推定、寄与濃度の推定に当たり使用される指標、シミュレーションモデル、それとレセプターモデルについての特徴を紹介しております。
     それでは、その次のページにいきまして、7-7ですが、ヒトへの曝露様態ということで、実際に微小粒子が、人への健康影響を見るに当たっては、個人曝露の情報というのが大気中の濃度と関連しているのかどうかという部分が大事になってくる訳ですが、ここの中でいろいろな調査研究の知見を用いまして、環境大気濃度、家屋内濃度、それと個人曝露量との関係、こういったものについての観察をした上での評価というものが書かれております。国内でも微小粒子状物質曝露影響調査研究を行っておりますが、そういった調査研究や他の調査研究においても、この微小粒子に関していうと、屋外濃度と屋内濃度、個人曝露濃度について相関があると、こういったようなことが示されております。
     また、次のページにいきまして、米国の調査によってもPM2.5、この蓄積モード粒子のあたりの粒子につきましては、粗大粒子に比べて屋内に侵入しやすくて、屋外濃度との差も小さいということもありまして、そういったような結果も含めて、PM2.5の環境濃度というのは個人曝露濃度の代替使用として適しているということがこの中で示されているということでございます。
     それで、次の7.1.3、沈着及び動態の整理ということですが、これは体内に微小粒子が入った後の挙動について示しております。主に粒子が気道へ沈着する機構としては、慣性衝突、沈降、遮断、粒子荷電及び拡散といういろいろなメカニズムがあると。また、それが粒子の大きさや形状などによってそのような機構が変わり得るということが書かれております。また、粒子もさまざまな粒径があるということですが、粒子の大きさによって、その沈着する部位、上気道領域、気管支領域、肺胞領域といったような部位に、いろいろな部位に沈着するということが変わり得ると、こういったようなことがモデルなどで推計されるということがここで示されております。ここで示されている点としては、沈着率の観点から、なかなかその粒子サイズ域を明確に区別するカットポイントを見つけるということは容易ではないこと。また、吸湿性によって気道内の粒子が膨張することで沈着パターンに影響を及ぼすと、こういったことも整理をされております。
     その次のページにいきまして、適切なカットポイントということでございます。7.2ですが、これは世界各国で行われてきた粒子状物質の基準の設定、また、多くの研究者による粒子状物質の健康影響に関する影響において、この粒子状物質の定義をする必要があること。そこで空気力学径によりカットポイントを設定して、対象とする粒径範囲と、こういったものを特定してきたと、こういうことでございます。これは、大気中の挙動ももちろん粒径によって変わり得るということもございますし、気道内に流入した体内の挙動、こういったものも変わり得ると、こういうことで粒子の粒径がヒトへの健康影響に関して重要な要素となるということでございます。
     我が国では、従前より10μm以上の粒子を100%カットする浮遊粒子状物質の基準を設定してきたと。この理由は、粒子の体内挙動に関する当時の医学的知見に基づくものだということでございます。その一方、米国ではさらに2.5μm以下の粒子についての基準も追加をしていると。これは、こういった粒径2.5μm以下の粒子に関する知見の存在、または微小粒子、粗大粒子の発生源の相違、体内の挙動の相違というものを見てということでございます。今般、微小粒子状物質の健康影響評価の作業を行うに当たって、先ほどから述べていました粒子状物質の特性、曝露評価、沈着及び動態、毒性学研究や医科学研究に関する知見の整理を行ってきましたが、これらの知見を踏まえまして、粒子の物理的・化学的要素、曝露データ、吸入粒子の生体内挙動、科学的知見の蓄積等の検討材料を提供して、微小粒子や粗大粒子に関する粒径の適切なカットポイントを検証しました。
     こういった視点から見ると、7-14ページを開いていただければと思います。毒性に関与し得る微小粒子、これは人因発生源からの排出ガスに多く含まれ、制御がより容易であること、また微小粒子のうち、蓄積モード粒子は大気中に長期間滞留して、一定地域内ではより均一に存在していくと。また、屋内にも侵入しやすいということで、微小粒子の大気環境測定結果はヒトへの曝露量として見ることができること、また粒径の大きさによる体内の沈着は複雑で、明確なカットポイントを示すことは困難ではあるけれども、微小粒子は肺胞流域にまで侵入しやすいこと、また、多くの健康影響に関する研究論文、測定データというものは、PM2.5と扱い、科学的知見が蓄積されていること。このほか、構想等の条件でもPM2.5は微小粒子の大半を補修することができると、こういったようなことから、粒子状物質に関する微小粒子と粗大粒子の間のカットポイントは、欧米と同様に2.5μmとすることは妥当であるというようにされました。
     また、今回の検討においては、それから大粒子について10μmを越える粒子は上気道領域で捕捉されますけれども、10μm以下の粒子は下気道領域や肺胞領域での沈着率が高く、粗大粒子を含めた粒子状物質のカットポイントの上端を10μmとする従前の知見とは変わりがないことも確認はされております。
     その次のページにいきまして、影響メカニズムでございます。影響メカニズムにつきましては、実験的な研究、ヒト志願者や動物実験の知見を用いまして、呼吸器や循環器などの分類に沿って、それぞれの障害の仮説の確からしさの評価を行っております。こういったことで、下の方の7-15ページの7.3.1の呼吸器への影響の部分ですけれども、この影響を来すと想定されるメカニズムということですが、これは気道や肺に炎症反応を誘導し、より高濃度な曝露の場合、肺障害が生じる。また、2つ目としては、気道の抗原反応性を増強し、喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させる。また、呼吸器感染の感受性を増加する、こういうことが挙げられております。
     また、次のページにいきまして、循環器系への影響を来すと想定されるメカニズムです。7-16ページです。循環器系への影響というのは、いろいろな経路が考えられると。直接肺組織を透過して欠陥や循環器に直接影響する。または呼吸器内に存在する知覚神経終末を刺激して自律神経に変調を来す。あとは、呼吸器内の炎症反応、サイトカインなどを発生して循環器の方に悪影響を与えることとか、または血中成分の変化によって血液凝固が促進される、こういったようないろんなプロセスが生じるということですが、その移行経路はまだ特定されていないと。その一方で想定されるメカニズムということですが、呼吸器系の刺激や自律神経機能への影響などを介し、不整脈など心機能に変化が生じやすくなる。また、生理活性物質や過酸化物の増加などを起こし、血管系の構造変化を促進する。あとは血小板や血液凝固系の活性化、血栓形成の誘導などを介して血管の狭窄性病変を起こしやすくして心臓に悪影響を及ぼすと、こういうようなことがひとつあり得るということです。
     その次に、免疫への影響ということで、これも呼吸器系への影響につながるということで検討しております。肺胞マクロファージの持つ殺菌能を低下させ、インターフェロン産生を抑制し、感染感受性を高める。また、さまざまな粒子状物質がアジュバンドのように作用すると、こういうような評価をいただいております。
     また、発がん影響につきましては、多くの毒性学の知見によって、DEPやDEP以外の燃料燃焼由来粒子につきまして、変異原性遺伝子障害性の存在が強く示唆されると。ただ、その一方、これらの成分以外の知見は不足しているということでございます。その一方で、実際に都市大気の微小粒子というものについての発がん性の全体としての実験的根拠が不足はしておるということですが、暴露情報から見て、都市大気の微小粒子を構成する成分としては、こういったDEPや燃料燃焼由来粒子を含むことから、少なくとも部分的に発がんに関与するということが示唆されているということでございます。
     このほか、粒子成分、粒径、高感受性共存汚染物質の相互作用のメカニズムについて記述をしております。
     それで、その次のページにいきまして、有害性の同定でございます。有害性の同定につきましては、先ほど新田先生の方から、後半部分の有害性の同定の総合的な評価についてはご説明いただきましたので、前半の生物学的妥当性や整合性に関する評価を中心にご説明をしたいと思います。疫学知見においての評価と先ほどの影響メカニズム、毒性学的な知見からの影響メカニズム、こういった疫学的な知見の結果が動物実験やヒト志願者による毒性学の示された影響メカニズムによって指示され得るかどうか、こういったものについて評価をするというのが生物学的妥当性や整合性に関する評価でございます。
     それで、呼吸器系への影響ということですが、かいつまんでご説明しますと、7-19ページでございます。疫学研究で得られた入院及び受診、肺機能の低下、呼吸器症状の増加などの影響は、毒性学研究から想定される気道や肺への炎症反応誘導、気道の抗原反応性の増強、呼吸器感染の感受性の増大によって基本的に説明は可能であると。ただし、疫学研究で示された呼吸器系疾患に関する死亡増加につきましては、主々の病態の増悪に伴うものと解釈できるが、直接的な死因を推定することや、死亡に至るまでの生体反応の過程を説明することは、現時点では困難とされております。
     また、疫学知見で見られた呼吸器系の影響は、PM2.5だけではなくてPM10でも同様の結果が見られ、また、数は少ないですが、PM10-2.5、これは10μmから2.5μmの間の粒径の粒子という意味ですが、その影響を示唆する知見も存在しており、疫学調査で観察された指標の関連性が微小粒子領域に存在する粒子のみの影響を示すものであると明確に結論づけることは困難とされております。
     その次にいきまして、循環器系への影響ということですが、これにつきましてもかいつまんでご説明をしますと、一般大気環境で行われた、疫学研究で得られた心拍数の増加、血圧値の上昇、血中フィブリノゲン濃度の上昇、心電図に関する変化など、種々の結果については毒性学研究から想定されるメカニズムによって基本的に説明が可能であると。また、疫学研究で得られた死亡増加の結果につきましては、不整脈、心筋梗塞、冠動脈疾患などにより、重篤な場合は死亡に至る過程は基本的に説明可能である。ただし、先ほど内山先生や新田先生からもご説明がありましたが、粒子状物質の循環器系への影響を検討する場合には、欧米と我が国の循環器系疾患の疾病構造の相違に留意する必要があるということが、ここの中にも記述をされております。また、粒径による影響につきましては、循環器系への影響につきましては、PM2.5だけではなくPM10でも同様の結果が見られているということですが、PM10-2.5の知見は少ないということ。そのため、現時点では粗大粒子の影響を現時点で判断するということは困難であるということがここで示されております。
     また、次、肺がんでございます。肺がんにつきましては、先ほどもご説明したとおり、微小粒子の中にDEPや燃料燃焼由来成分が主要成分として含まれていると。こういったことを踏まえれば、疫学調査で得られた微小粒子の長期曝露による肺がん死亡リスクの増加の結果につきまして、こういったDEPや燃料燃焼由来成分による発がん性を有すると考えられる物質の関与は否定できないということが書かれております。ただ、その一方で微小粒子というのはさまざまな成分で構成されて、粒子成分は変動するということを踏まえれば、発がん性に関する閾値の存在を明らかにすることは困難であるとも書かれております。
     また、粒径及び成分でございます。微小粒子というのが一定の健康影響を与えるというのは、疫学知見、毒性学知見から示されていると。その一方、微小粒子の影響に比較して、粗大粒子については健康影響が示唆されるものは知見が少ないと。そういうことで、毒性学研究からは、微小粒子と比較する形で粗大粒子の影響を示す研究が少ないものを、一概に粒径の大きさによって毒性が決定されるものではないということが示唆されるということが書かれております。また、成分に関する影響については、人為起源のさまざまな成分を微小粒子は含み得るということですが、まだ現時点では特定の成分が健康影響と関連する明確な証拠はないというような形で整理をしております。
     次に、共存汚染物質の影響ということですけれども、共存汚染物質というのは、主にガス状汚染物質ということでNO2やSO2のようなものを対象にしておるということですが、これらのものについては共通の発生源を持っていて、大気中の挙動に類似性が見られる場合が多いこと。実際に粒子状物質濃度が高ければNO2も同様に高いというような場合もあること。このため、疫学知見ではなかなか両者の区別を見ることが難しいという部分があり、また、NO2などで言うと毒性的に刺激作用を持つというようなこともありまして、なかなか特性的な作用でも区別することが難しい場合もあること。そういうことから、疫学研究において粒子状物質、ガス状汚染物質の影響というのを区別するのは大きな困難があるということで書かれております。
     また、感受性が高いと予測される集団ということですが、健常者による知見以外に、実際に疾患を持っている方の知見、または高齢者の方とか小児の知見というのもいろいろあるわけですけれども、それらを見てみると、虚血性心疾患などの心血管系疾患患者の方やCOPDや喘息などの呼吸器系疾患患者でリスクが増加することは報告されていること。また、脆弱性が高いと示唆される高齢者、小児においても、リスクは増加することが報告されていること。これらの知見は毒性学知見でも知見が限られるもののほぼ支持されていると、こういうことでございます。
     それで、その次のページにいきまして、ここから先は有害性の同定ということで、細かい個別の評価につきましては、先ほど新田先生からご説明をさせていただきましたが、大気中の粒子状物質の曝露が人々の健康に対して有害性があるか否かの判断につきまして、趣旨の曝露指標と健康影響指標による結果をもとに総合的に評価した結果に基づいて行うこと。こういった評価の過程で、個々の知見の持つ確実性が相互に補われることで、個々の知見の単なる積み重ね以上の評価を可能にするものという考えで評価をいただいております。それで、個別の評価についてはここに書かれているとおり、先ほど新田先生からのご説明があったとおりですが、総合的に見ると、不確実性、我が国と欧米による循環器疾患の疾病構造の相違、共存汚染物質の問題、粒径の問題の不確実性も存在しますが、総合的に評価すると、総体して人々の健康に微小粒子状物質が一定の影響を与えていること。これは、疫学知見、毒性学知見から支持されると結論されるに至っているということで、ここでまとめています。
     その後、まとめ及び今後の課題につきましては、先ほど内山先生の方から冒頭でご説明をいただきましたので、構成だけご説明をしますが、最初にどのような形で調査・審議を行ってきたか、どういった国内外の知見を用いて検討を進めてきたのか、また、ワーキンググループに応じてどのような課題に取り組んで、どういった評価を行ってきたのか、この点についてのワーキンググループで作成した知見を統合した上での調査を行ってきたこと。こういった検討の進め方について冒頭で書かれております。
     また、それ以降につきまして、この8-1の下段の方につきましては、先ほどからご説明をした第7章の部分についてのまとめ方につきまして、ここで記述をしておるということでございます。
     それで、8-2ページにいきまして、今回の健康影響評価の作業を通じてという部分で、疫学のいろいろ見られた知見というのを紹介しております。その上で、従来SPMというのは呼吸器系に対して直接的であり、呼吸器への影響を主たるものと考えてきていたこと。これまでの考え方というのが書かれていまして、今般、微小粒子状物質に着目して定性的な評価の検討を進めてきたが、呼吸器系への影響については微小粒子領域に存在する粒子のみの影響を示すものであると明確に結論づけることは困難だったが、これまでも認められてきた健康影響が微小粒子状物質においても見られたこと。また、新たに循環器系や肺がんの影響指標との関連について、これらの影響が見られたということでまとめられております。
     これらの評価についての不確実性につきまして、下のこの3つのパラグラフで代表的なものが書かれていまして、最初のパラグラフで循環器疾患に関する我が国と欧米の違い、また2つ目の部分で粗大粒子の影響も否定できないという部分、また、その次の段落で共存汚染物質の影響についての区分が困難な場合が多いこと。こういう不確実性のもとで行われてきたと、このような不確実性を少なくするために課題にかかる知見の集積に一層と努める必要があるという形でまとめております。また、曝露の部分につきましても、課題について測定法の課題、曝露情報に関する課題もそこで示しております。
     しかしながら、こういった不確実性の存在にかかわらず、総合的な評価ということで、一定の影響を微小粒子が与えているということを、この「しかしながら」以後、ここで書かれております。これについては、先ほど内山先生からご説明があったとおりですので、割愛させていただきます。
     また、閾値の問題については、なお書きということで8-3から8-4に書かれておりまして、この点についても先ほど内山先生の方からご説明がございましたので、これも割愛させていただきます。
     以上、補足説明でございます。

    【総務課長】事務局からの補足説明は、以上でございます。
     ここで、議事の途中で恐縮でございますが、本部会の委員の皆さん方の出席状況についてお知らせ申し上げます。予定しておりました20名の方々の委員全員、席におそろいでございますので、お知らせ申し上げます。失礼いたしました。引き続き議事の進行をよろしくお願いします。

    【部会長】今お話ございましたように、予定の皆様においでいただいたということでございますが、続きまして、今、内山委員、それから新田ワーキング長、それから事務局の方から検討会の報告について説明をいただきました。この説明につきまして、今後の課題、これにつきましては、今後の取組方針という形で、後ほどご議論いただきますので、まず、ただ今報告をいただきました内容について、ご質問等ございましたらお願いをしたいと思います。いかがでございましょうか。内山委員からの説明、それから新田ワーキング長からの説明、そして事務局からまず1章で背景、それから2章から6章、7章全体の知見の整理、それから8章という形でまとめの説明をいただきました。
     浅野委員、どうぞ。

    【浅野委員】全く素人ですので、こういう報告書を読ませていただくといささか分かりにくい点があります。こういう専門領域での言葉の使い方として、「示唆される」という表現がとられる場合に、端的に言って、どういう可能性があるとか、確実であるとかと、いろんな言葉的な表現がある中で、示唆されるというのはどの程度の確実さの場合に示唆されるという言葉が使われるのか、なかなか分かりにくいのでお教えいただけませんでしょうか。

    【部会長】事務局の方からお願いいたします。

    【新田先生】疫学の立場から申し上げます。疫学でもそのあたりの解釈に関しましては、個々の研究者で当然幅があるということをご承知いただければと思いますが、曝露と影響の間に関連性が見られたという1つの論文の中で示唆される、というような場合には、一番弱い表現に近いものというように考えております。

    【部会長】そのほか、ご質問ございましたら、お願いいたします。どうぞ、大聖委員。

    【大聖委員】ここではあまりナノパーティクルという言葉は使われていないのですけれども、最近、我々、ナノパーティクルの健康への影響ということが指摘されるケースの報告に接します。例えば、胎児の脳の発育への影響ですかね、そういったものへの懸念というのが指摘されて、大人でも脳に対する何がしかのインパクトがあるというようなことも言われていますけれども、その辺の調査の結果はいかがでしょうか。

    【部会長】お願いします。

    【課長補佐】今、ナノ粒子に関連して脳への移行についての大聖委員からのご質問がございましたが、この4番ということで、こちらの机の上にある生体内沈着及び体内動態という、こちらの方の封筒の中にある資料に一部紹介をしております。ちょっとお待ちください。
     ここの4-21ページに書かれておりますが、同位体炭素を用いた36nmのナノ炭素粒子について、これが脳への移行について観察した知見というものが1つ紹介されております。これが神経軸索内を移動して、大脳などに移行するということが示唆されるということが1つの知見で示されておるというところですけれども、この脳神経系への移行につきましては、検討会上でも議論がございましたが、さらに知見を充実した上で脳への本当に移行というのがどういったものがあり得るのかというのを評価すべきではないかということで、まず、ひとまずは今後さらに知見を充実させていこうということで書かれてあるということでございます。ということで、吸入粒子、特に小さい粒子が実際に心血管系作用に、特に超微小粒子が直接的にどのように移行していくのか、この点についてはいろいろな経路が考えられるのですけれども、その経路の部分の特定に関する調査研究については、その手法の精査も含めて十分な検討が必要だという形でまとめられているということでございます。

    【部会長】ありがとうございました。佐和委員、お願いします。

    【佐和委員】私はもともと統計学を専門としていましたので、感覚的には、これまでのお話の大筋は大変よくわかるのですが、仮説検定で、いわゆる帰無仮説が棄却されないということは何を意味するかというと、要するに、証拠不十分で釈放を意味します。そこでお尋ねしたいのは、「証拠不十分」というのは、データがまだ不足しているため確たることは言えないということなのか、それとも個体間のばらつきが非常に大きいために、十分なデータを集めても確たることが言えないのか、二通りが考えられるのですが、そのいずれなのでしょうか。

    【部会長】お願いします。新田先生か、内山先生か。

    【新田先生】私の方からお答えさせていただきます。
     まず、微小粒子状物質の健康影響に関する疫学知見に関しましては、もちろんいろんな健康影響指標を取り上げて曝露との関係を見ておりますので、その健康影響指標によってデータの知見の数には違いがございますが、基本的にはデータが少ないため、疫学知見が少ないために判断が難しいということの部分は少ないというように思います。個々の疫学研究それぞれの持つ、先ほど環境省の方からご説明ありましたが、例えば共存汚染物質との影響を区別するのがなかなか難しい等、疫学研究固有の問題のために判断が難しいという部分の方が、ですから、ご指摘の後者の部分の方が大きいというように考えております。

    【佐和委員】関連してもう一つお尋ねしたいのですが、曝露というときに、縦軸に瞬間的な曝露量をとり、横軸に時間をとりますよね。そうしますと、縦軸で見て瞬間的な曝露は微量であっても、長時間曝露し続けられれば、相対的に多量の曝露を短期間に受けたのと影響が同じなのか、それともやっぱり生体ですから、一種、代謝のようなものがあって、微量なら代謝という機能のおかげで、長時間、曝露されても大丈夫なのか、そのあたり教えていただけませんか。

    【部会長】お願いします。

    【内山委員】それは物質によって恐らく違うと思います。例えば急性影響が主なものと、慢性影響、あるいは微量であっても長期であれば問題になってくるもの、それから両者がある場合と、いずれもあると思います。ですから、曝露量といったときに、いわゆる用量といった場合には曝露量×時間というような積の形で表すような場合もございます。それから、スパイク曝露といいまして、短時間でも高濃度があって、あとは低いようなスパイク曝露というようなものが入った方が、同じ用量でも影響がある場合もありまして、その物質によってあながちどちらがどうということでは言えないだろうと思います。特に発がん性に関しまして今問題になっているのは、微量であるけれども長期間曝露された場合には、特に遺伝子障害性といいますか、遺伝子に直接作用を及ぼしてくるような発がんのプロセスを持っている物質に関しては、微量であっても長期間曝露されることによって発がんする確率というものは当然高くなってくるという考え方でありますので、物質ごとによってまた判断しなければいけないものだと思います。

    【部会長】よろしいでしょうか。
     浦野委員、どうぞ。

    【浦野委員】主に2点、ご質問と若干意見を申し上げさせていただきます。
     1つは、SPMあるいはPM10ないしはPM2.5という、これは、定義ははっきりしているわけですけれども、実際の測定方法上はいろいろ問題がございまして、本当にそこでカット、ちゃんと50%できるか99%できるかというのはかなり微妙なところがございますので、その辺、疫学その他の毒性学的な評価をしたときに、測定方法とか測定値の意味を、どこまでお考えになったのか、あるいは国によって違うかというのが1点目の質問です。
     それから、もう一つは2.5μm以下というところですけれども、実はどこまでを粒子とみなすのか、どこからがガスでどこから粒子かというのは昔と今と定義が大分変わってきたりしていまして、あるサイズのろ紙なり何なりでカットできるものは粒子で、抜けたものはガスというような評価になっているわけですね。ですから、実はかなり小さい方まで粒子はあるわけなので、そこら辺のところをどういうように考えたらいいかというのは、もう一度確認をしたいというのが1つです。
     それから、もう一点は、8番の結論のところですが、例えば8-4のところ、あるいは、まだ説明されていませんけれども、今後の課題のところにも同じ文章が出てくるわけですけれども、多成分の非常に複雑なものを、これだけ知見をまとめたのは大変高く評価できるわけですけれども、その結論として、閾値の存在の有無を明らかにすることが難しいと。これは大変ごもっともだと思います。しかし、もともと単一成分についても閾値のある場合、ない場合、両方とも、一応健康影響の評価は今までしてきているわけですね。文章で言いますと、この結論は単一汚染物質について閾値の存在の有無を仮定したヒトへの健康影響について検討を進める従来の定量方法はできないという趣旨だというように思うんですね。だから、閾値があるのだという方法が適用できないというんじゃなくて、閾値がない場合のものも、この場合はそのまま適用できないという意味だというように理解をしてよろしいんでしょうか。

    【部会長】最初の方につきましては、新田先生の方がよろしいでしょうか。それからあと、2番目の質問につきましては、環境リスク評価に係る手法に係る十分な検討についてという形で、後の方のところで少しご質問にお答えつつご議論させていただきたいというように思います。
     それでは、最初の方につきましてお願いします。

    【新田先生】世界中の疫学研究、PM2.5に関してはございますが、測定法はその研究によっていろいろ、さまざまなものが採用されております。ですから、測定自身にも誤差が含まれて、それを前提に疫学知見の評価を行っているということになろうかと思います。ただ、疫学知見におけます健康影響指標の方の測定と申しますか、評価の誤差の大きさと曝露の方の測定値の誤差という両者を考えますと、今回、疫学知見の評価において曝露の測定に伴う誤差がこの結論に与える部分は、全体としてはそれほど大きくはないのではないかと。疫学知見の評価の上では考えております。

    【部会長】それから、今の測定法のところでどのくらい下まで測定しているかというお話があったと思いますけれども、これについては、数nmまでフィルターのろ過捕集であれば測定できるというように思います。これは、そのほかの方法から考えますと、そういった形まで測定できる。ただし、実際にフィルターとか、そのフィルターの捕集効率をチェックする場合には、もう少し大きい粒子を使っていますので、保証値としては、例えば、0.何ミクロンのものが99%の捕集効率ですよという形で出てはございますけれども、別の測定装置を使って検証すれば、例えばテフロンろ紙だとか、石英ろ紙だといった場合に、かなりのところまで測定できる。ただし、じゃあ、その下が測定できなかった場合、質量にどのぐらい影響するかというと、これは余り、粒子が非常に小さい場合には質量が小さいですから、質量のところには余りきいてこないということで、仮に小さい方があったとしても、先ほどの質量と、それから影響のところを見るところには、そう大きくそこがきいている、というようなことはないのではないかというように思います。
     そのほか、何か。はい、どうぞ、小林委員。

    【小林委員】2点ありまして、1点はお尋ねですが、この資料の7-5のところに大気環境データの現状ということで、平成11年から18年まで環境省で調査をしたというようにお書きいただいているんですが、ここのデータの原本というか、報告書はどのようにすれば見られるのか。できたら、測定方法とか精度について少し興味があるので、お教えいただけたら。見せていただけたらというのが1点です。
     それから、もう1点は、先ほど佐和先生の方からご質問があった、いわゆるリスクとかデータ処理の関係でご質問があったときに、内山先生の方から性状とか化学成分によって大分違うというご返事があったのですが、今回、検討しようとしているのは、PM2.5という物理性状の方の視点から検討が進められていて、それといわゆる毒性とかいう化学物質場の評価とが両方書いてあるんですが、実際に今回検討しようとしているのは物理的性状の方から追求しようとしている場合、それをどの辺まで整理をするのかなというのがちょっと気になったのですが。

    【部会長】そうしましたら、私の方から最初の報告がどこにあるのかというのは、今回の例えば抜粋の資料をごらんいただきますと、抜粋の1ページ目の真ん中辺に、平成11年度より調査を開始して、平成18年度にかけて8年間にわたって何々と書いてありますけれども、粒子状物質曝露調査検討という報告書が平成19年7月に取りまとめ、公表されているという形で書いてございまして、これは環境省のホームページに確かございますね。
     それから、その2点目の方は……。

    【内山委員】ご質問ありましたように、PM2.5のような微小粒子状物質の影響を見るときに、当初から粒子状の化学成分ですとか性状ですとか、それからその周辺に付着しているあるいは吸着しているような化学成分の違いによって影響が違うのではないかというのがずっと議論されてまいりました。今回もその点について、粒径だけではなくて、化学成分の違いによって何か疫学調査なり毒性学的な知見で違いが認められるのだろうか、あるいはこの中のこの成分が主な有害物質だということが同定できるのだろうかということも随分評価いたしましたけれども、結局、この中の本文を見ていただきますとわかりますように、どれが特段にどの影響に関与しているということははっきりわからないというのが現状でございます。従って今回PM2.5を、いわゆる粒径成分、粒径の大きさから見た混合物として見る、見ざるを得ないと思います。そうしますと、どういう手法で定量的なリスク評価をやっていくかというのが、今までのものとはちょっと違った手法をとらざるを得ないのではないかということで、また後でご議論いただくことになろうかと思います。

    【部会長】簡潔にお願いいたします。

    【佐和委員】簡単なことですが、英語の場合、例えば留学生の推薦状を書いたりするとき、アウトスタンディングと言えば100人に1人の割合だとか、エクセレントといえば10人に1人だとか、そういう数値の表現が対応しています。同じように、IPCCの第四次評価報告書の中でも、very lilelyであるという表現があったのですが、その意味するところは「90%以上の確からしさである」とのことです。ですから、日本語でも、先ほどの浅野委員のご質問にも関連することですが、言葉での表現に数字を対応させるという習慣を植え付けるよう努力していただきたいと思います。

    【部会長】これは要望として承ってよろしいですね。ありがとうございました。
     大分いろいろご質問をいただきましたけれども、時間の関係が押してございますので、もう一つのところに移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
     それでは、今後の課題に関する取組方針について、これに皆さんのご議論をいただくために検討会報告の8、まとめと課題、これを抜粋する形で整理した資料を用意してございます。この資料に基づき、事項ごとにご討議をいただきたいと思いますが、まず資料2について改めて検討会報告における今後の課題及びこれに関する補足的な資料を使いまして事務局から説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

    【課長補佐】それでは、事務局から今後の課題及び補足資料の欧米の動向の説明について行います。
     まず資料2について、こちらの方から読み上げます。まず定量的リスク評価に係る手法に係る充分な検討についてということですが、これは資料1の方からの抜粋でございますが、今回の検討で判明した微小粒子に関する様々な影響について、さらに定量的な評価に関する考察を進める必要がある。なお、閾値の問題を付言すると、微小粒子状物質は様々な成分で構成されるとともに、地域によって大気環境中の粒子成分が変動することから、疫学知見に基づいて粒子状物質への曝露による閾値の存在の有無を明らかにすることは難しいと本検討会は当面結論するに至っている。この結論は、閾値の存在を仮定したヒトへの健康影響の有無について検討を進める定量的な評価手法を採用することは厳密にはできないことを意味する。したがって、環境目標値の設定等を行うためには、本検討会における種々のエンドポイントに関する有害性の同定に関する評価や、信頼性のある国内外の知見を踏まえ、リスク評価にかかる手法について充分に検討を行うべきである。
     次に、秤量測定法や自動測定法に関する測定精度の改良について。曝露評価の分野に関して、以下の点に課題があることが示されたので、これらの課題についても十分に検討を行うべきである。2番、日本は米国と異なり湿度が高い環境にあり、正確な濃度測定を行うためには、秤量測定法や自動測定法に関する測定精度の改良に関する取組みを行う必要がある。
     3番、微小粒子の生成機構や大気中の組成解明及び多岐にわたる排出源の把握に関する情報の整理について。微小粒子の生成機構は、一次生成のみならず光化学反応による二次生成や東アジアからの越境輸送も考慮する必要があり、また、排出源も多岐にわたる。定量的評価には、微小粒子の生成機構や大気中の組成解明及び排出源の把握に関する情報の整理を行ったうえで、現時点における曝露評価を実施する必要がある。
     その裏にいきまして、4番、その他です。今般の評価は、以上に述べた多くの不確実性、これは抜粋でございますので、注書きにまとめたものを記述しますと、我が国と欧米における生活習慣等の違いによる疾病構造の相違、微小粒子と粗大粒子の影響の判別、他の共存汚染物質の影響等の下になされてきたところであり、これらの不確実性をできる限り少なくするため、以下に代表される課題に係る知見の集積に一層努める必要がある。
     1つ目ですが、一般環境下において、微小粒子状物質曝露により呼吸器系、循環器系疾患により死亡に至るまでの過程の解明に関する検討。微小粒子状物質の健康影響に対する共存汚染物質の寄与又は共存汚染物質による相互作用に関する検討。我が国と欧米の循環器系疾患のリスクファクターと疾病構造の相違に着目した微小粒子状物質の循環器系への影響の相違に関する検討。粒径の大きさや特定の成分に着目した健康影響に関する検討。微小粒子状物質の健康影響に対する高感受性群に関する検討。
     こちらが資料2でございます。
     それで、続きまして、補足的な資料として「欧米における粒子状物質に関する動向について」の資料もあわせて説明いたします。
     まず、米国の基準ということでございますが、最初、初めに(1)番、大気環境基準の位置づけについて書かれておりまして、これがクリーン・エアー・アクトに基づきまして連邦政府が大気環境基準を設定することとされていると。この基準は全国一律に適用される基準で、汚染物質の濃度がこの基準値を超える場合には、基準達成のために排出物質を削減する努力が要求されると。なお、この対策の主たる責任は州や地方政府にあるということです。
     2番目に、粒子状物質に係る大気基準の設定・改定経緯ということですが、かいつまんでご説明をすると、当初、米国の基準はTSPということで、全浮遊粒子状物質ということでしたが、1987年にPM10を指標とした基準に変更され、次いで1997年にPM2.5を指標として基準が加わり、2006年9月に見直しを行ったということでございます。この1997年のPM2.5についての基準が新しく導入されたということですが、これについては基準設定の妥当性についてEPAが産業界から提訴され、一旦敗訴したものの最高裁判決でEPAが勝訴して、新しく基準を設定することが認められていると。その一方で、当時の大統領はEPAの長官に対して、こういった不確実性についていろいろな議論があったということもありましたので、科学的知見のレビューを行うという指示を行ったこと。その上で、EPAは2004年にクライテリアドキュメントということで科学的知見のレビューを行いまして、これに基づいてスタッフペーパーを作成して、その後、EPAは環境基準の改定というのを、公衆の意見受付等も経て行ったということでございます。
     これで、基準につきましては2006年9月に改定したということですが、従前からあったPM2.5の24時間平均基準を強化してPM10の平均基準を廃止したということですが、その内容としては、(3)の資料でございます。1997年にPM2.5とPM10の基準、それぞれ24時間平均と年平均の基準があるということですが、それが2006年の基準改定で、年平均のPM2.5の基準は変更ないということですが、24時間平均の基準は強化されたと。PM10の年平均の基準がなくなったと、こういう形でございます。
     次にいきまして、WHOの部分ですが、WHOの大気質の指針です。
     これの、そもそもの位置づけからご説明しますと、途上国を含めた世界各国を対象に、バックグラウンドとなる情報を提供することで、世界中の国が様々な状況で公衆衛生の保護に必要な大気質を確保するための対策をとることを支援することを目的として作成をしております。その一方、各国が様々な基準を策定すると。これは健康リスクや技術的実現可能性など、経済的な問題などによって異なり得るものであり、これらの要因は大気質管理の進展レベルなどに左右されると、こういうことで各国はガイドラインと異なる独自の基準を設定することを妨げるものではないとしております。WHOはそのような意味での大気質指針の多様性を認識しているということで、特に各国政府が政策目標を立てる際、この大気質指針を法定基準としてそのまま採用する前に、国内独自の状況を慎重に考慮すべきであることを認識した上でのものであるということが示されておるということです。
     この設定経緯でございますが、まず1987年に、欧州地域を対象として、WHOとして最初の指針を作成したということでございます。粒子状物質については二酸化硫黄との共存曝露に対しての大気質指針を定めたと。その後、さらに改定作業を進めて、欧州の大気質指針の改定版を作成したと。ただ、その一方で、この中では粒子状物質について、大気質指針は示されなかったということでございます。その後、2000年から2004年にかけて、WHO欧州事務局では、後ほど説明するEUの欧州委員会の要請に基づきまして、欧州における大気汚染と健康影響についてのレビューを行いまして、粒子状物質に関する大気質指針の改定が必要と考え、そこでWHOとして初めて世界全体を対象とした指針を策定するということになったということでございます。そこで、2006年10月、大気質の指針についてエグゼクティブサマリーを2006年10月に出しまして、さらにその後、グローバルアップデートの要旨、これは本編の文書は2007年の3月に出されましたが、このようなことで大気質指針が新たに設定されたということです。
     この改定で、次のページにいきますと、大気質指針というのが一番右にありますが、暫定目標1、2、3というものが設けられまして、その死亡リスクの削減の形に応じてこのような暫定目標というものも定めているということです。こういったことで、4段階に分かれた形の基準というのが、24時間平均と年平均で基準がそれぞれ設定されているということです。
     次に、EUでございます。
     EUについては、EU指令のもとで大気環境基準が設定されるということですが、その指令達成のための実施形態・方式は加盟国の選択に任されていること。現在、PM2.5について、欧州委員会が2005年に濃度の環境基準を新たに提案して、現在理事会、議会において討議がされているということです。濃度上限には許容限界があわせて示されておりまして、これは後ほど説明しますが、環境大気中濃度が濃度上限と許容限界を超える地区がある場合は、そのEU加盟国はその地区について濃度上限を達成するための計画を定めなければいけないという仕組みになっております。EUは、今までの検討状況ですが、従来は浮遊粒子の環境基準を二酸化硫黄との共存曝露に対して定めて、その後1999年にPM10の基準を作成している。その後、2001年にカフェプログラムというものを発表して、これはWHOの欧州事務局とも連携をとりながらさまざまな作業を行いまして、それで2004年12月に最終決定をして、PM2.5の基準を設定することを勧告した。このような形で、先ほどもご説明したとおり、2005年にPM2.5の環境基準の案を提案している。または、その一方で、今もまだ欧州議会と理事会の間で、この基準案について議論して、現在もまだ基準の設定はなされていないところですが、今もまだ議論が続いているということでございます。
     次のページにいきまして、EUの基準ですが、2つの基準ということですが、ヒトの健康保護のための限界値という部分、これはいわゆる濃度基準値が定められていまして、また、曝露削減目標ということで別途濃度基準とは別に、曝露を削減する目標というのが定められているということです。この限界値につきましては、特に改定提案のPM2.5の20%という部分を見ていただくとわかりますが、この基準値、25μgプラス25掛ける100分の20を足した数値ですね、これについて、この数値を超過した場合は、30ですか、30を超過した場合は計画をつくらなければいけないというような形で、基準値プラスその許容限界に応じた形の取組みということが特徴だということでございます。またあわせて20%の削減目標というものが別途定められているということで、EUはEUの手法というか、このような目標値を今、現時点での案という形にしているということでございます。
     以上です。

    【大気環境課長】大気環境課長でございます。資料2-2に基づきましてご説明申し上げます。
     資料2-2は、資料2の最初の一枚目に記載された、今後の課題の2番目の測定精度の改良、それから3番目の排出源の把握に関する情報の整理に関連するものであります。主に測定法に関するものであります。
     資料2-2の1ページですが、PM2.5の測定法に関しましては、平成12年度に、PM2.5に関する調査を行う場合の参考として活用されることを目的として、暫定マニュアルというものを作成しました。それで、その後平成19年に改定しておりますが、この暫定マニュアルに記載されております測定法としては、2ページ目に参考として示しておりますけれども、大きく2つに分かれておりまして、1つがフィルター捕集による方法、もう1つが自動測定機による方法ということであります。
     1番目のフィルター捕集による方法は、そのフィルターの上に粒子状物質を捕集し、それを1μgまで測れるような精密な天秤で測定して、その質量を求めて、試料大気の吸引流量で除することにより質量濃度を求めるというものでありまして、基本的にこの方法はアメリカで標準的な測定法とされているものであります。
     それで、2番目の自動測定機による方法でありますけれども、先ほど申し上げましたフィルターの方法は、24時間空気を吸引して測るということを原則としておりまして、1時間ごとに天秤で測っていくということは実質的に不可能でありまして、そういった意味で1時間値を効率的に測定するという上では自動測定機が必要となるという観点で、暫定マニュアルには3つの種類の方法について記載されております。
     1つは、TEOM、「テオム」と呼ばれている方法です。これは、円錐状の振動素子に固有の振動数を与えておりまして、振動素子の先端のフィルタカートリッジに粒子が捕集されると、これら粒子の質量増加により振動数が減ることを利用した測定法であります。それで、3ページ目でありますけれども、2つ目はβ線吸収法による方法で、粒子状物質にβ線を照射した場合に、その質量に比例してβ線の吸収量が増加するということを利用して測るものであります。3つ目は光散乱法でありますけれども、これは直接にその質量を分析する方法ではないのですけれども、粒子状物質に一方から光を照射した際の、光の散乱量を測定して質量濃度を間接的に測定するものです。この間接的に測定するために換算するために、別途実際の質量濃度をはかってその換算係数を求めておく必要があるというものであります。これらが暫定マニュアルに書かれている、今使われている測定方法であります。
     1ページ目に戻っていただいて、測定法に関する取組みの2番目といたしまして、国設局におけるモニタリングをあげております。私ども、現在開発途上にある自動測定機を少しずつ国設の測定局に増やしていきまして、基礎的なデータを集積しているということであり、今後ともその追加を進めていきたいというように考えております。
     3番目が、各種測定法による並行測定ということで、自動測定機の開発は開発途上でありますけれども、今後、実際に利用していく自動測定機の指標などを検討するための基礎データを得るために、現在、国内で流通している測定機を同一場所で並行して動かし、その比較をするといったことを現在行っているところであります。それで、この結果を踏まえまして、フィルター捕集による測定法や自動測定法に関する測定精度の改良のために、そういった性能の評価を行っていきたいというように考えております。
     以上が測定法に関するものでありまして、次に、今後の検討課題の3番目で、曝露状況、微小粒子の生成機構などについても今後検討する必要があるということであります。私ども、今年度の予算で関連する調査研究を行うことにしておりまして、4ページ目でありますけれども、平成20年度の予算で、ここにお示ししたような調査研究を行いたいと考えているものであります。
     1つはモニタリングの試行ということで、先ほど国設局におけるモニタリングについてご説明いたしましたけれども、さらにそれに限らず、他の一般局、自排局にも自動測定機を置いて試験的にモニタリングをしていくということを考えております。2番目が、発生源インベントリー調査ということで、発生源ごとの排出量データの収集、推計を行って、インベントリーとしてまとめたいということ、それから3番目が、成分分析あるいは粒径別の分析ということで、PM2.5を構成する成分濃度を把握すると。これは今後のシミュレーションモデルの構築や施策の検討に資するということで、基礎的なデータとして集めたいというように考えているものであります。
     それから、4番目がシミュレーションモデルの構築ということで、将来の状況を予測するためにも、現在の状況を再現できるようなモデルを構築して、それを使って将来予測をするということを考えております。
     ほかに、自動車から排出される粒子状物質に係る実態調査ということで、粒径別の排出重量の調査及び成分分析等を行うというように考えているものであります。
     以上でございます。

    【部会長】ありがとうございました。ただいま、資料2につきまして、検討会報告における今後の課題、これの説明をいただきました。その後、資料2-1、2-2で関連するところを補足して説明をさせていただきました。それでは、ただいま検討報告に示された課題、これの事項ごとに取組方針についてご審議をいただきたいと思います。
     この、まず1の定量的リスク評価手法の検討について議論いただきたいと思いますが、先ほど、浦野委員から質問がございました。それに関連する説明をさせていただいて、ご意見をいただきたいというように思います。
     お願いします。

    【内山委員】浦野先生が先ほどおっしゃった閾値の有無の存在を明らかにすることは、これは今までの知見の収集からは難しいということで、その後の「この結論は」以下にまとめております。従来の大気汚染の環境基準の決め方としては、閾値の存在を仮定して決めてきておりますので、浮遊粒子状物質あるいはそのほかのガス状物質の大気環境基準も閾値の存在を仮定して、ヒトへの健康影響をもとに決めておりましたので、それをそのまま使えないということでございます。
     あと、有害化学物質に関しては、化学物質1つ1つに関しましては、それに閾値があるないかということをまず同定して、それで遺伝子障害性があるなしを便宜的に判定して閾値の有無をまず確定して、それぞれのまた評価法があるということです。しかし先ほども小林先生のご質問にもお答えしましたように、今回の場合は複合物質として取り扱うということで、個々の化学物質、いわゆる発がん物質ということではございませんし、それからまたエンドポイントを何にするかということで、それによっても評価が違ってくるので、そこら辺のところを少し勉強させていただきたいと思います。できないと言っているわけではなくて、こういう物質に関してどういう評価をとったら一番合理的に基準が決められるんだろうかということを少し検討させていただきたいという趣旨でございます。

    【部会長】ありがとうございました。
     どうぞ、この今、1のことに関連しまして、こういったことで今後検討をしていきたいということでございますけれども、皆さんの方から、これに関連してこんなことも行うべきだとか、何かございますでしょうか。はい、どうぞ。まず、浦野委員、お願いします。

    【浦野委員】趣旨はよくわかっておって、この検討をすることは非常に重要だと思うのですが、私が伺ったのは、従来のものは比較的単一成分を対象にして基準が決められていると。そういうものに対して、閾値がないものについてもそれなりの検討が従来からもされていると。ですから、それはそのまま適用するのは、複合成分については難しいという趣旨であるのかというのをご質問したのと、それから、やはりこういう複合汚染物質も、今後、大気に限らずですが、環境基準や測定方法、あるいは毒性学的な検討をしなきゃいけないということが順次起こってくる可能性がある。そのときに新しい方法論というのをいろいろ考えなければいけない。そういう意味で非常にいい例だというか、大事な例だと思っておりまして、今、内山先生のご説明だと、従来は閾値の存在するものしかやってこなかったかのようにもとれたのですけど、そういうわけではないですねということです。

    【内山委員】今申し上げたのは、いわゆる古典的な大気汚染物質で環境基準が決められている物質に関しては、一応今までの評価文書を見てみますと閾値があるということを仮定した決め方になっております。従来のものはすべて疫学データをもとにして決められておりますが、疫学データからは無毒性量というのはなかなか求められないので、このぐらいの影響があったというところで、あとは閾値があると仮定して大体決めているのが従来の方法だろうというように私は思っております。平成6年以降に決められました有害化学物質に関しては、有害大気汚染物質に関しては閾値のないものに関しての新たなリスクという考え方を取り入れたものでありますので、今回はどこの辺でそれを融合させていくのか、あるいはまた違った考え方をしていくのか、あるいはさらに合理的な考えをまとめていくのかというところで、少し検討していきたいなというように考えております。

    【部会長】小林委員、お願いします。

    【小林委員】先ほどのご質問の継続的になりますが、このリスク評価をやっていただいている中で、やはり先ほど申し上げたように、物理性状と化学性状との関係で、今回は物理性状的に規制をやっていく、また、リスク管理をやっていこうというように理解をしているんですが、ただ、やっぱりPM2.5というのは地域汚染になるわけですね。全国平均的な規制とか管理ということではなくて、地域管理というようになった場合に、発生源というのは、業者等は同一かもわからないのですが、いわゆる化学物質等については地域で相当大きな特性が出てくるわけです。それで、その地域における特性のあるものを全国平均的に規制することが妥当なのかどうかという点については、少しご議論いただければと思うわけです。ただ、これは逆のご意見になりますが、と言いながら、これ、余り突っ込んでいくと迷路に入ってしまうおそれがあるということで、やはり欧米が今検討し、研究されて基準を決めているわけですが、その辺との整合もうまく図りながら、余り迷路に入らないである一定の線でやはり、妥協するという言い方は悪いかもわかりませんが、一定の結論を出して、それなりに適切な対応をしていく。そういう意味からいくと、調査研究と議論を並行してやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

    【部会長】どうぞ。浅野委員。

    【浅野委員】同じことを言っているか、違うことを言っているかよくわからない面もあるのですが、今日のご報告を伺っていて、前から気にはなっていたのですが、PM2.5が何らかの意味で死亡率を上げるとかという問題があるということに関しては、定性的には解ったと思われるわけです。そこで、定性的にわかったのであれば、やはり、被害者救済というような観点の議論は無理であるとしても、公衆衛生の観点から何らかの対策をしなきゃいけないということは、方向としてははっきりしてきたというように思うわけです。そのときに、在来の環境基準を決めて、何々規制法を動かしてという手法が、うまくきく場合ときかない場合というのがあるだろうと考えられます。それで、後の3にも関連はするわけですが、報告書の本体を拝見しますと、国設局での測定の数字なども出ていますし、それから、インベントリーの試算の結果もあります。ある程度わかるわけですけども、やはりこれは原因がきわめて多岐にわたる。メカニズムがきわめて複雑である、ということがわかったわけです。そうすると、ますます在来型の単一物質について何かを議論する場合につかわれてきた政策手法・法制度技術ではうまくいかないのではないか。外国の環境基準が日本の環境基準と同じとも思いませんし、日本の場合の従来の環境基準の発想を、ものによっては変えなきゃいけないということが出てくるのだろうと思われます。先ほど、浦野委員もおっしゃいましたし、我々もこれまで有害化学物質なんかについても、リスクレベルで環境基準を決めるということをやっているわけです。これはある意味ではこれまでの環境基準の発想を変えたということになる訳ですが、ここらで環境基準という言葉がいいかどうかも、もう一つ考えなきゃいけないと思うんですけれども、何らかの政策のターゲットを決めなきゃいけないということはあるわけでしょうから、それはもっと在来からのパターン化されたものじゃないものを新たにとり入れるということも含めて、そうすると、小林委員がおっしゃるように、妥協とおっしゃったんですけれども、むしろ科学的には妥協かもしれないけれども、政策的にはそれで十分だというような、そういう到達点というのがありそうな気がいたします。ですから、これについてはサイエンスの世界できっちり検討をいただくとか、あるいはどういう評価をしたらいいのかという研究は、ぜひここに示されている方針どおりにおやりいただきたいと思いますけれども、一方では政策を考えるときにどうするんだということも、少しこの部会でも議論しなきゃいけませんし、事務局も少しその観点からの勉強をしていただかなきゃいけないんじゃないかと思います。
     そして、後の方の、時間がなくなったので、ついでに3まで述べてしまいますと、これは何らかの対策をどういう形で講じるかということを考える場合に、極めて重要です。やはり公平性とかバランスとか、いろいろ考えなきゃいけませんから、どこかの原因、発生源だけを叩いてそれで済ませてしまうということは、必ずしもフェアではない。おまけに越境汚染も考えられるなんていう、こういう状態ですと、やらなきゃいけないにしても、政策のたて方というのはかなり複雑に考えなくてはいけなくなる。この辺のところの前提としても、発生源、排出源の把握といったようなことに関する情報をしっかり取っておかないと、なかなか最終的には決定に際して合意を得られないということが起こってしまう。だから、3については、私は、極めて重要な研究テーマだと考えます。

    【部会長】ありがとうございました。今の点につきましては、今回、こちらの方で今まとめてこういったことをやるべきだということをやってほしいという要望、それからもう一つは、先ほど来、粒子状物質の場合には、個々の物質ではなく、混合物とかいろんなことがあって、そういったところを判断する場合に少し政策判断も含めて考えるようなこともやっていくべきだろうと、そういうお話だというように思います。ありがとうございました。
     続きまして、そういたしましたら2番目に入らせていただきたいと思います。じゃあ、簡潔にお願いいたします。申しわけありませんが。

    【松原委員】リスク評価と閾値にかかわることでちょっと発言させていただきたいと思います。閾値というのは、人間が有害物質に対してどこまで耐えられるかという1つの限界をあらわす値だと思うんですね。ですから、そういう閾値の実質的な意味を考えますと、先ほどの内山委員のご発言ですと、確かに現実には測定データから閾値を定めるということは、濃度を低くしていっても何人かの敏感な人が必ずある種の反応を示すものですから、明確に閾値を設定するということは、モデル的にも統計学的にも非常に難しいので、閾値がないという、厳密にはできないというご報告も納得がいくわけですけれども、しかし、先ほど浅野委員からもありましたように、現実的な問題というのがあるわけです。それで、閾値がないということにしますと、基準値をどんなに低くしても、しなければ何もできない、政策決定できないということになってしまうわけですね。ですから、私は、そういった現実と、それから人間の防御体制の両方を考えますと、カーブのあるところから下がっていくけれども、あるところから下は何か特殊な人の集団で多少の反応する人がいるというような、カーブを厳密に見るとそういうような変曲点があるかもしれないですね。そういった、割と現実的であり、かつ綿密な見方をしませんと、単に閾値があるかないかということだけで話を進めていきますと、一般の人にも非常に不安を与えますし、また、政策決定的にも難しいと思いますので、こういった医学的な実質、実態をよく見た上でリスク評価をしていただきたいというように思いましたので、一言発言させていただきました。

    【部会長】ありがとうございました。今、これは先ほどの意見と同様に、今後考えていくときにそういったことも考えて欲しい、そういうことでよろしゅうございましょうか。ありがとうございました。
     佐和委員、ございますでしょうか。

    【佐和委員】時間があんまりないようなので、2に入ってもよろしいでしょうか。

    【部会長】もう2に入っていただいて結構です。

    【佐和委員】まずアメリカの第三次改定を見ますと、PM2.5については24時間平均と年平均がごらんのとおりになっているわけですね。他方、EUの方の2005年の改定提案と比較してみますと、PM2.5についてはアメリカの方が厳しいですよね。他方、PM10についてはヨーロッパの方が厳しい。こういう差異の背景には、例えば自動車の問題などがあるのですか。

    【部会長】これは事務局の方から。

    【課長補佐】まずは、EUの方につきましては、このPM2.5の基準につきましては、私の知るところではWHOの情報をもとに、当初からこのカフェプログラムの中で基準値案を検討してきたということですが、この欧州理事会と議会の間で、いろいろと各国の利害調整等もいろいろ考慮してこのような基準値になっているというような経緯があるということだと思います。これがまず1つございます。PM10につきましては、従来からこのような形で、24時間平均が50、年平均が40ということでなっておるのですけれども、この点につきましては、24時間平均の数値につきましては、この評価方法というのが90%値、この注意書きの4番の年間の超過回数が35回を超えてはならないということが書いてあるのですが、どうもこの評価方法が、アメリカはいわゆる換算すると98%値ですが、EUは90%値と、こういう部分で、基準値の数値の絶対値はこのような数値になっているんですが、超過回数を超えてもいいという部分の、回数を増やしてもいいという形で整理をしているようだというように考えております。
     あとは許容限界というものも設けていまして、この基準値が、例えばPM10、24時間平均は50ということですが、ここに許容限界というのは50プラス50掛ける100分の50ということで75というのが許容限界だと。この許容限界というのを超えるとその地域で計画をいろいろつくって対策を講ずるというような形になっていまして、どうもEUは単純な濃度基準ということだけではなくて、いろいろと複雑な条件をつけた上での基準だろうと。これはEUのやり方だろうなということで見ているということでございます。

    【佐和委員】超過が年1回を超えてはならないという資料がありますが、年1回以上を禁止しているのですか。1回ならいいということなのですか。

    【課長補佐】戻りますと、米国の方は、超過が年1回を超えないことというのは、1971年のTSPとPM10、それと1997年のPM10ですね、このPM10の24時間平均が150という数字ですけれども、これについては超過が年1回を超えないことというようにされていると。その一方で、PM2.5につきましては24時間平均値の98%、3年間平均値が基準を超えないことということで、98%値で見ること。さらに、直近の3年間の平均値が基準値を超えないということで、これもまたその評価方法が少し微妙に指標によって変わっていると。これは、それぞれの国がその基準の達成という部分のところをどのような形で評価をするのかということが、それぞれの国によって違うということだろうなと。それが何でそのようになっているのかというところまではちょっと詰め切れてはいないという部分でございます。

    【部会長】ありがとうございました。どうぞ、浦野委員、お願いします。

    【浦野委員】2番ということは測定法の件でよろしいですね。測定法を詳細に検討するのは大いに結構だと思うのですが、その理由が何か湿度が高いということだけ書いてありますが、実は3番、4番とも絡んできますけれども、基本的に先ほど坂本先生がおっしゃったように、重量には小さいところは余り効いてこないわけですけれども、実は毒性には効いてくるとか、あるいは発生源の状態によってはその粒度分布がかなり変わってくるという問題がある。粒径というのは非常に大事なファクターなわけで、組成、あるいは発生源、毒性、いろんなところに絡んでくる。それが3番、4番とも絡んでくるということで大事ですけれども、ろ紙というのは宿命的に、時間がたつと目詰まりしてきて最初よりも細かいものまでとれてくるという問題点が必ずあるわけなので、その辺のところも意識して物を考えないと、属性とかあるいは発生源の特性とかを見る、あるいは測定方法の違いを見ると。1時間ごとでやるか24時間捕集するか、あるいは光散乱のような、連続的に重さは直接測らない方法を考えるとか。むしろこれは粒径とか形状まである意味では見えるものなので、その辺の測定法の特徴を十分考えて、単に湿度というものの補正をどうするかという問題だけじゃない視点でご検討いただきたいというように思います。

    【部会長】ありがとうございました。今の点につきましては、先ほど、大気環境課長の岩田さんの方から説明した中にそういう調査項目も既にやっている部分がございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
     そのほか、今、資料の2のところまで行ったわけですが、2ではよろしいでしょうか。はい、どうぞ、小林委員、お願いします。

    【小林委員】この測定法の精度の改良という点でぜひお願いをしたいのは、正確な濃度測定をするということは必要ですが、これを追っかけていったために、結局測定機が高価になってしまって、逆に地方自治体の負担が大きくなってしまう。それで、結局測定がなかなかできない。現実に地方自治体の財政困窮の中で、いわゆる環境調査、いわゆる環境関係が大分削られつつあるのですよね。そんな中、大変苦しい状況にあるということがありますので、そういうところから、そういう高価な測定機を設置しろということになってくると、またいろんな問題が発生するということから、正確な濃度測定も必要ですが、できたら直接測定法だけじゃなくて間接的な測定法、傾向をつかむという方法でも、少し簡易な測定法をご検討いただく。そうしないと、ここでいくらいい測定方法が開発されても、実際に実用化が難しいということが起こりますので、ぜひそれをお願いしたいのが1点です。
     それから、もう一点は、これはここで議論する話ではないとは思いますが、先ほど大気課長さんの方からご説明あった、いわゆる20年度の調査研究の内容の部分ですが、もう既にご存じだと思うんですが、最近、随意契約問題等々があって、ほとんどがいわゆる価格競争、入札ということになっているわけですが、そのために、実際に分析業界というのは相当のダンピングが起こってしまっています。逆に、それによって精度管理が本当にできているのかという問題点があちらとして発生しているわけですね。実際の精度管理がうまくやられないままデータが出てきて、そのデータだけで議論が進んでしまうということから、ぜひ発注に当たって、発注先の業者がちゃんと精度管理ができているのかどうかについて、きちっと評価をしながら発注をぜひお願いをしたいということでございます。

    【部会長】ありがとうございました。今の最初の方のものにつきましても、要望ということで今後考えていくときにやらせていただければというように思います。
     それでは、3番目、その他というところでもう少々時間をいただいて、もしご意見があればお伺いをしたいと思います。岩崎委員、どうぞ。

    【岩崎委員】3番目のところに関係すると思うのですけれども、資料の2-2に、4ページの20年度の調査研究内容ですけれども、発生源のインベントリー調査というのが出ております。非常に重要な、大事な調査だと思うのですけれども、測定法自身が非常に発生源の場合には一般環境と比較して難しいということがございます。幾つかやられている事例もありますので可能だと思いますけれども、一般環境の場合には成分濃度を把握してシミュレーションにも生かそうということがあるわけですけれども、発生源のインベントリー調査のところでは成分濃度が書かれていません。これは次年度にまたやるのか、将来ぜひ成分関係も押さえておく必要がどうしてもあるだろうというように思います。多分、測定法でカスケードインパクトや何か使えばサンプルが採れると思いますので、将来的には是非、成分もある程度のものは調べておいて欲しいという気がいたします。
     以上です。

    【部会長】ありがとうございました。
     どうぞ。

    【大気環境課長】先生、ありがとうございました。ご指摘の発生源における成分分析につきましても、私ども、できるだけ実施するよう努力していきたいと考えております。

    【部会長】ありがとうございました。
     そのほか、はい、どうぞ、小柳委員、お願いします。

    【小柳委員】今回、さまざまな知見が出てまいりました。資料1の中に、呼吸器系に関するさまざまな検証・検討がされたということでありますが、最近、特に東アジア圏からの浮遊物質の飛来が問題になっています。日本は非常に高温多湿の自然環境であることを考えますと、1つは皮膚への付着による健康被害ということを想定しなくて良いのでしょうか。影響があるような気がするのですが、どこまで影響するかしないかというところが、今回の検討の中に記載されていないようですが、その点をまず1点お聞きしたい。
     もう一点は、実際的に、この浮遊物質によって影響がある地域というのはある程度限定されてくるわけですね。そういう時に、様々な対策を考えるということでありますが、その対策についても、例えば飛来浮遊物質の粒径によって、例えばマスクの仕様も含めた対応策を広報するとか、あとは皮膚を出さないだとか、具体的な対応策があるかと思います。とりわけ九州地区では影響が甚大だということになっていますので、そういう地域においては防御対策が必要と考えます。また、測定機を設定するということですが、測定機を設定した結果、基準も含め一定程度それに属するような警報を出すところまで考えておられるのかどうか、その2点をお聞きしたいと思います。

    【新田先生】第1点のご質問に関しまして、お答えさせていただきます。
     これまで諸外国を含めて、微小粒子状物質に関して、粘膜への刺激等の知見は若干あるかと思いますけれども、いわゆる皮膚に対して付着した場合に影響が出るというような報告は、ちょっと私、承知しておりません。

    【課長補佐】あとは、毒性学における知見におきましても、皮膚に対しての影響という部分については、その点については確認をしていないということでございます。呼吸器や循環器や免疫、あとは脳への神経とか生殖器とか、いろいろなエンドポイントについての実験について行われておるのですが、その点、皮膚等についての知見というのは、この評価の中では知見として入れていなかったと。入れていないというか、見られていなかったということでございます。

    【内山委員】よろしいでしょうか。追加してよろしいですか。

    【部会長】はい、どうぞ。

    【内山委員】皮膚への影響に関しては、先ほど大聖先生からお話ありました、ナノ粒子になると、多少、皮膚に関する研究報告もございますが、まだこれからだろうと思います。ただ、微小粒子としては、先生おっしゃいましたように、疫学研究あるいは動物学研究でも、まだはっきりした報告はないというように思っております。

    【部会長】はい、どうぞ、伊藤委員、お願いします。

    【伊藤委員】この問題に関してというよりも、全体的なことでちょっと教えていただきたいと思うのです。アメリカでは相当以前からこの2.5の環境基準が決まっているようですが、これを決めることによって、アメリカ社会ではどのような環境的なメリットみたいなものが現在までに報告されているのでしょうか。もし、そういうことを聞かせていただけたら、大変ありがたいと思います。

    【部会長】お願いします。

    【課長補佐】PM2.5につきまして、米国で1997年に基準を設定されたときには、短期影響の死亡に関する知見に基づいて基準を設定したということだったのですが、その後、いろいろ裁判等もあって、最終的にはEPAが調査はしたのですが、もう少し知見を追加しなければいけないということで、以前は呼吸器系への影響が中心だったのですが、微小粒子によって循環器系への影響というのがあるのではないかという知見がいろいろ出てきたと。そのような面でPM2.5の基準を設定する際には、従前の呼吸器だけではなくて、循環器という部分についても広がったと、こういう健康影響があるんだということが、この基準改定に伴ってひとつ明示できることになったのではないかというように思います。ただ、対策の部分につきましては、先ほどPM2.5の基準についての訴訟等のやりとりもあったということもありまして、具体的にPM2.5の基準設定によって、対策は今進められているかどうかという部分については、その点についてはまだ対策は具体的に詰められているとは承知しておりません。

    【水・大気環境局長】ただいまの点につきまして、伊藤先生のご指摘、大変重要でございまして、我々、これまでも勉強して情報を整えてまいりましたが、今の時点で、さらに厳密な意味で先生のご指摘の点も踏まえて、さらに現地に職員を派遣しまして、より詳細に、いろんな面で学ぶ点、また、さらには情報を共有するべき点もあろうかと思いますので、今後の話になりますけれども、そういう方向も今、我々としては考えているところでございます。

    【伊藤委員】ありがとうございました。

    【部会長】ちょっと補足いたしますと、すぐ対策ということではないのですが、対策の前段に相当する、例えばエミッションインベントリーとかそういったものについて、今回のPM2.5の基準が決まってから相当に進んでいる状況がございます。そういう意味では、その次に行くためのステップが進みつつあるという部分もあろうかと思います。
     お願いいたします。

    【新美委員】多少関連するかと。相当貴重なリサーチもなされて、だんだんとどの様な対策がとられるべきかということもはっきりしてくるだろうと思うのですが、その場合、ぜひお願いしたいと思いますのは、特に日本の隣国ですね、米国もいいのですけれども、例えば中国だとか韓国だとかいう国とは直接的関係が大きいものですから、この問題については。そういうところとのやはり情報交換、あるいは場合によると啓蒙活動とか、そういう機会を増やしていただく必要があるのじゃないかと思いますので、ぜひお願いいたします。

    【部会長】ありがとうございました。今のお話は、3番のところにもそういったことで情報をとって考えていくというようなことが書いてございますので、やはり今後もそういったところについても注意をしてやっていただきたいというように思います。
     大分時間も押してまいりましたので、大変恐縮でございますけれども、ここでこの検討会報告における今後の課題につきましては、意見を打ち切らせていただきたいというように思います。それで、今日いただきました意見につきましては、科学的知見の収集、整理など、基礎的な作業、こういったものが必要だというように考えます。それから、先ほど幾つかありましたように、PM2.5が米国で基準が設定されて、そういったものがどのようにその後活かされて動いているかと、そういったところについても情報等々を整理して、今後環境省の方で今回の課題のまとめ作業を進めていただきたいというように思います。
     それで、本件につきましては、今後の作業状況の進展につきまして、事務局である環境省から本部会に報告をお願いするという形にしたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。それから、この課題について、報告の時期、これについて環境省の方がちょっとどう考えているかお伺いをしてみたいと思います。お願いします。

    【総務課長】ただいまの坂本部会長のお話にありましたとおり、この会議で議論された課題につきましては、科学的知見の収集、整理など基礎的な作業が必要だということはおっしゃるとおりだと思います。また、本日、各委員の先生方のご意見を踏まえまして、方法論上の整理でございますとか、あるいは関連する検討事項の整理と、こういうこともあろうかと思います。一定の作業期間を要するものと思っております。他方、その重要性から、これらの課題につきましては、私ども、早急に取り組んでいかなければならない、そういう課題であるというように考えておりますので、当面、年内を目途に、作業の経過ないし結果を本部会にご報告させていただきたいと考えております。

    【部会長】ありがとうございました。ただいまお話がございましたように、事務局においてこの課題について鋭意取り組んでいただき、年内を目途に、部会において改めて報告をいただきたいというように思います。
     大分予定の時間を過ぎてしまいましたけれども、最後に事務局から何か連絡事項などございましたらお願いいたします。

    【総務課長】特にございません。

    【部会長】それでは、司会の不手際によりまして、ちょっと15分ほど過ぎてしまいましたけれども、最初の説明を皆さんにおわかりいただくために、多少時間を使わせていただいたということで、ご容赦いただければありがたいと思います。ご協力どうもありがとうございました。これで会議を終了させていただきます。