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中央環境審議会第12回大気環境部会議事録

   
 
  1. 日時   平成16年1月26日(月) 9:58~12:05
     
     
  2. 場所   ホテルフロラシオン青山 芙蓉の間
     
     
  3. 出席者 
     
    (部会長) 池上 詢  
    (委員) 浅野 直人 鈴木 継美
    (臨時委員) 天野 明弘 伊藤 桂子
    伊藤 賛治 岩崎 好陽
    内山 巌雄 浦野 紘平
    太田 勝敏 加藤 勝敏
    北野  大 河野 通方
    小林 悦夫 鈴木 道雄
    関沢 秀哲 只木 可弘
    常俊 義三 中杉 修身
      中野 璋代 新美 春之
    松波 正壽 満岡 三佶
    横山 長之  
    (説明員) 栗本  駿 田保 栄三
    西村 文宏  
       (五十音順)  
    (環境省) 環境管理局長 審議官
    総務課長 大気環境課長
    大気環境課課長補佐 調査官
    自動車環境対策課長 環境管理技術室長
    大気生活環境室長 ダイオキシン対策室長

  4. 議題
     
  5. (1) 揮発性有機化合物の排出抑制について
    (2) その他


  6. 配付資料
     
    中央環境審議会大気環境部会委員名簿 [PDF (48KB)]
    資料1 VOCの排出抑制の方法について [PDF (69KB)]
    資料2 VOCの排出抑制-法規制の場合の概要(案) [PDF (101KB)]
    資料3 VOCの排出抑制-法規制と自主的取組のベストミックスの場合の概要(案) [PDF (83KB)]
    資料4 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に関する大気環境部会意見集約案(議論のたたき台) [PDF (107KB)]
    資料5 VOCの削減効果算定に用いたシミュレーションモデルについて [PDF (271KB)]
    資料6 主なVOC排出抑制対策技術とその費用 [PDF (34KB)]
    資料7 ケミカル・マネージメントサービスについて
    1/2 [PDF (433KB)] 2/2 [PDF (443KB)]

     
  7. 議事

    【総務課長】おはようございます。まだ少し定刻には間がありますけれども、出席委員の方おそろいになりましたので、ただいまから中央環境審議会第12回大気環境部会を開会したいと思います。
     本日は委員総数33名のうち21名のご出席をいただいておりますので、定足数であります過半数に達しております。
     なお、前回同様伊藤賛治委員、只木委員、新美委員につきましては、代理の方に出席していただいております。
     それでは、初めにお手元の配付資料の確認をお願いしたいと思います。
     まず議事次第、それから名簿等の後、資料1といたしまして、VOCの排出抑制の方法について。それから資料2といたしまして、VOCの排出抑制-法規制の場合の概要。資料3といたしまして、VOCの排出抑制-法規制と自主的取組のベストミックスの場合の概要。資料4といたしまして、VOCの排出抑制に関する大気環境部会意見集約案(議論のたたき台)。資料5といたしまして、VOCの削減効果算定に用いたシミュレーションモデルについて。資料6といたしまして、主なVOC排出抑制対策技術とその費用。資料7といたしましてケミカル・マネージメントサービスについてでございます。
     そのほか、本日石油業界における自主管理案、それから大気環境部会の満岡委員の方からこの部会に対する意見書とその参考資料とが提出されております。万一、資料の不足等がございましたら事務局にお申し出願いたいと思います。
     それでは、これ以降の会議の進行につきましては、池上部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

    【部会長】おはようございます。それでは早速審議に入らせていただきます。本日は前回の議事録がまだできておりませんので、これは次回まとめてになるか、あるいはそれ以降になるかわかりませんが、今回は省略させていただきます。早速議事に入らせていただきます。
     議事1は、揮発性有機化合物の排出抑制についてということでございます。前回の1月13日の当部会におきまして、大体まとまった意見として2つのことが言えるかと思います。VOCの排出抑制の必要性と緊急性については、部会全体として合意されたと思います。2番目としまして、しかしながら法規制で対応するのか、事業者の自主的な取り組みにゆだねるのかといった問題など、方法論につきましてはまだ議論が残っているという状況かと思います。そこで、本日は前回の議論の取りまとめの際に申し上げましたとおり、議論もかなり深まってまいりましたので、そろそろ意見集約の段階に入る必要があると存じます。特に2月3日の大気環境部会で、当部会として意見を取りまとめることが必要でありまして、時間も限られてきました。そこで、私の方から事務局の方に、これまでの議論も踏まえて、法規制か、自主的取組にゆだねるかの二者択一だけではなくて、両者を視野に入れたVOCの排出抑制のあり方についての案を作成するようお願いいたしました。本日は、この案も含めて資料を事務室の方で用意しました。
     まず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。どの資料もお互いに関連が深いものですから、まとめてご説明をお願いします。

    【大気環境課長】それでは、事務局の方から資料の全体をまとめてご説明させていただきます。
      まず資料1、VOCの排出抑制の方法について、をご覧いただきたいと思います。これまでの議論を踏まえまして、A.法規制(排出濃度規制)の場合、B.自主的取組の場合、C.法規制と自主的取組の組み合わせの場合、の3つについて事務局の方で整理させていただきました。まず全体を述べさせていただきまして、資料の2と3がそれぞれAとCのやや詳細なものでありますので、そちらをご説明させていただきます。
      まずAの法規制でございますけれども、それぞれにつきましては環境基本計画において環境政策を実施する上での政策手段として法規制、自主的取組、両者の組み合わせのベストミックスというのが位置づけられておりまして、法規制につきましては一番上の○にございますように、「生命や健康の維持のような社会全体として一定の水準を確保する必要があるナショナル・ミニマム的な性格を持っている事項を中心に引き続き活用する」と、こういうふうな位置づけになっております。これを踏まえますと、現在のVOCが原因となって発生いたします大気汚染、SPMの汚染及び光化学オキシダントの汚染というのは、一刻の猶予もならないような状況になっておりまして、確実に排出削減を図るという観点から、法規制というのが望ましいのではないかという議論がされてきたところでございます。
      特に諸外国で見ましても、欧米諸国、あるいは近隣の韓国、台湾等におきましても、固定発生源からのVOCというのは、法でもって罰則つきの規制が既に10年近く実施されているところでございます。また、このVOCの規制の目的でありますSPMとオキシダントにつきましては、既に30年近く環境基準が設定されておりまして、さまざまな努力がなされてまいりましたけれども、まだ十分な水準に達していないというところであります。もちろん、これまでにVOC以外のSPMにつきましては、固定発生源、移動発生源それぞれからの煤じん、粒子状物質の排出が法で厳しく規制されてまいりました。また、オキシダントの関連におきましても、移動発生源からの炭化水素、VOCと同じものでございますけれども、これにつきましても段階的に規制が強化されてきたところでございまして、現在原因物質で残されておりますのは、固定発生源からのVOC、これをどうするかという状況にございます。そういう観点から考えましても、法規制が妥当ではないかというのが、VOCの排出抑制検討会等を中心にまとめられた意見でございます。
      続きましてBの自主的取組でございます。この自主的取組というのは環境基本計画において事業者等がみずからの行動に一定の努力目標を設けて対策を実施する施策と位置づけられておりまして、有害大気汚染物質の取組におきまして、自主的な手法が用いられてきたところでございまして、これはいわばきちんと管理された中で管理をすると、こういった形の自主的取組かと思います。有害大気汚染物質におきましては、ここに整理させていただきましたように、11物質について削減の成果が上がっているというふうに評価されておりますけれども、その一方でVOCのように200から300物質あるようなもの、あるいは発生源が多様なものについて、同じ手法で確実な削減ができるかについて、この部会でも、困難ではないかというご指摘があったところでございます。また、全体として日本全体の排出量のどれだけ捕捉できて、どういうふうに削減できるのかということが明らかでないと、なかなか評価も難しいというようなこともございましたし、地域との関与をどういうふうに考えるのかについてもご指摘があったところでございます。
      それから、続きましてCの法規制と自主的取組の組み合わせでございますけれども、前回の当部会におきましても、組み合わせのご指摘もございましたけれども、私どもAの法規制の案、Bの自主的取組の案、それぞれオール・オア・ナッシングではなくて、適した分野というのがあるということを重々考えまして、Cのいわば自主的な取組、企業の努力と、規制という公権力、行政の力を合わせて最大限効率的な取組の方法がないものかということで、こういうものをさまざまな方のご意見も参考にさせていただきながら、取りまとめたところでございます。
      まず最初の○にございますように、環境基本計画におきまして、そもそもその環境政策、政策手法の議論の中で、ここにございますように「政策のベスト・ミックスの観点から個々の政策手段を適切に組み合わせることによって、相乗的な効果を発揮させる」という基本的な考え方が述べられております。この基本的な考え方に立ち返りまして、VOCの固定発生源からの排出の対応を踏まえますと、法規制で対応する必要がある分野には法規制を適用し、その他につきましては自主的取組で排出抑制を図るということで、両者の組み合わせによる、より効果的な対応が可能ではないかというふうに考えたところでございます。
      もちろんこの場合には、自主的な取組が促進されるようにさまざまな支援措置等々を講じることが当然でありまして、そういう前提の上に基本的には自主的な取組に重点を置くという観点から、法規制というのは抑制的に限定的に対応するということができるのではないかということであります。この場合に、具体的には法規制というのは1単位当たりのVOCの排出量が極めて多いもの、大規模な発生施設につきましては、環境への影響も大きくて、社会的責任もその分当然多くなりますので、そういうものにつきましては法できっちりと義務として削減していただき、それ以外のさまざまな発生源からの排出につきましては、事業者の方がそれぞれ現場の判断で投資計画等も勘案しながら、最も費用対効果が高くなるようなことを工夫いただいて、全体として我が国で必要とされるVOCの削減を図っていくと、こういうことが考えられるのではないかと考えております。
      当然、その場合には我が国で一体どの程度VOCを削減すればいいのかということの合意が必要になりまして、これは後ほど案をご紹介させていただきますけれども、これまでの議論では、例えば3割程度現状から削減すると、SPMにつきましてもオキシダントにつきましても大きな改善効果が期待できるのではないかなということでありますので、いつまでに3割、ということが合意できれば、大きなものは法規制で取り組むといたしまして、それ以外のさまざまな発生源からは事業者の自主的取組とし、全体をレビューいたしましてこれで仮に効果がうまく上がらないという場合におきましては、両者のミックスを見直すということで対応できるのではないかなというのがCの案でございます。
      続きまして資料2に移らせていただきます。資料の2は、先ほどの表のAの法規制の場合の概要を少し丁寧に書いたものでございまして、これは既に説明もさせていただいておりますけれども、現在の大気の規制法であります大気汚染防止法の仕組みを念頭に置きまして、排出口における濃度規制を固定発生源のVOCについて適用しようとするものでございまして、施設を届け出していただきまして、その施設ごとに排出基準というのを設けてそれを担保しようというものでございます。1ページ目の2の定義、これも既に議論がございましたように、排出口において気体状の有機化合物をVOCと定義することによって合理的な定義になるというふうに考えておりまして、どういう施設を対象にするかというのが3.でございますけれども、前回の部会で示させていただいた6つのカテゴリーについて、具体的に施設を特定するという考えに立っております。
      それから2ページ目でございますけれども、排出の濃度基準はそれぞれの施設ごとに業態等を考えて公平性を担保できるように、あるいは新設・既設に分けて対応の難しさ等を考慮して、そういうことをさまざまなここに書いておりますようなことを勘案いたしまして、施設ごとに排出濃度基準というのを定めるものでございます。当然その基準の確保におきましては命令あるいは罰則等で担保されるというものでございます。
      それから3ページをご覧いただきますと、これは法規制によりましたときのVOCの削減のどの程度削減できるかという試算でございまして、全体として3割、2014年までに削減するという前提のもとに書かれたものでございます。下の円グラフをご覧いただきますと、現状の固定発生源からの我が国のVOCの排出量は円グラフの真ん中の丸にございますように、現在150万トンございます。その内側から2つ目の渦巻きをご覧いただきますと、排出形態別に見ますと70%が建屋系から排出されておりまして、残りの30%がいわゆる野外の塗装等の開放系になっております。この法規制は排出口の濃度規制でございますので、そういうことを考えますと、原理的には最大で建屋系でございます全体の70%を捕捉できるということが言えると思います。
      ただ、従来の環境規制の例に倣いますと、一定規模以上の小さな施設につきましては、裾切りということで規制の対象としての義務を免除いたしておりますので、従来の経験から勘案いたしますと、全体の7割のうち全体の2割程度については、恐らく裾切りの対象になるであろうというふうに私ども推測しておりまして、そういたしますと今回法規制中心で対応するA案におきましては、VOCの排出量の捕捉率で見ますと、全体の50%、裾切り以上と書いてあります約半分が法規制の対象として捕捉されると。こういう排出につきまして排出基準を設けて削減をしていただくということでありまして、私どもの見積もりでは法規制対象の半分の排出について全体として2割の削減、それ以外の開放系、あるいは裾切り未満の方についても義務ではございませんけど、努力義務といたしましてさまざまな支援措置も加味いたしまして、全体として1割、合計全体で3割程度の削減が可能であり、こうすることによってSPMとオキシダントの大気汚染の目覚ましい改善が期待できるんではないかなということでございます。
      それから続きまして資料3でございますが、これは資料1の表のCと書きました法規制と自主的取組のベストミックスの場合の概要を書いたものでございます。1.で先ほど申し上げましたように、環境基本計画においてベストミックスを探っていくということが基本的な方向として書かれておりまして、次の○にございますように、法規制の必要が当部会において主張されました一方で、自主的な取組の実績や有効性ということのご指摘もございました。こういうことを十分勘案いたしまして、それぞれ両者の持ち味を十分生かしたベストミックス、相乗効果をねらうことが可能ではないかというのがこの案でございます。
      2.に具体的な考え方を書いてございますけれども、その1ページの一番下の○をご覧いただきたいと思いますけれども、規制の対象となる以外のさまざまなVOCの排出につきましては、事業者の自主的取組による創意工夫を尊重いたしまして、それぞれの事業所ごとに最適と判断される方法でVOCの排出抑制に努めていただきまして、これによって費用対効果が高く、柔軟な方法で排出削減が行うことが可能になると、このような考えでございます。それから2ページ目の一番上の○でございますけれども、先ほども申し上げましたように、その一方で一施設当たりのVOCの排出量が多い、規模の大きな施設につきましては、地域の環境への負荷も大きく、影響も大きいことから、当然社会的な責任も大きくなりますので、法規制で排出抑制を進めていただくということであります。したがいまして、法規制の対象施設というのは地域における排出量の削減が特に求められる施設、すなわちVOCの排出量が多い主要な施設に限定し、排出施設を網羅的に規制の対象とすることはしないというのが、このCのベストミックスの考え方であります。
      こういたしまして、2.の一番下の○、2ページの上から4つ目の○でございますけれども、この前提といたしまして、すみません、上から3つ目の○でございますけれども、2014年までに3割程度削減するという大きな枠組みの中で、4つ目の丸でございますけれども、仮に、削減目標に照らしましてVOCの全体の排出削減が十分でないような事態が生じた場合には、それぞれ定期的に取組状況をレビューいたしまして、法規制と自主的取組の組み合わせを見直すということで対応できるという保障措置もございまして、ベストミックスというのが成立するんではないかなというふうに考えております。
      3.4.はそれぞれ今申し上げましたことをやや丁寧に書いたものでございまして、それぞれ事業者の努力と行政の力をうまく組み合わせることによって、最も効率的なVOCの削減を図ろうというのがこのCの案でございます。
      それから、資料4に移らせていただきます。資料4は本大気環境部会におけるVOCの排出抑制の議論の取りまとめ、意見集約案のたたき台でございまして、最も重要なこれからご議論いただきます排出抑制の方法についてはすべてブランクになっております。それ以外につきましては、おおむねこれまでの議論で合意いただいていることを書かせていただきました。1ページの1.というのはこれまでVOCの取り組みの経緯を書いたものでございます。それから2.の背景につきましては、SPMとオキシダントの推移、状況等を評価いたしまして、2ページ目になりますけれども、この改善というのが当面の大きな課題になっているということを書かせていただいたものでございます。それから2ページ目の大きな3.VOCの排出抑制の必要性ということでありますけれども、これにつきましても前回までの当部会の議論で排出の抑制が必要であるということは、部会全体として合意いただいているものと思いまして、その議論を整理したものでございます。
      それから3ページ目でございますけれども、4.として、ではどうやってそのVOCの排出抑制を図るのかという排出抑制の制度の設計、仕組みでございますけれども、これは全体としてブランクで、本日の議論を踏まえまして素案を作成させていただきたいと、このように考えております。それから5.の削減の目標と時期でございますけれども、前回の部会で削減割合ごとにSPM、オキシダントの改善効果の予測シミュレーションの結果というのを提出させていただきまして、ご議論いただきまして、完全に意見が集約されたわけではございませんけれども、私どもの事務局としての案といたしましては、3割程度全体でVOCを削減すればSPMに対してもオキシダントに対しても相当の改善効果があるということがございます。それからいつまでにということは、特にSPMにつきましては、平成22年までに環境基準をおおむね達成するということが国の公約でございまして、それに向けて環境政策を実施していった立場から、平成22年をめどといたしまして、おおむね3割全国で削減するということを、当部会の最終的な取りまとめに入れてはどうかという案でございます。それからその次の6.は留意事項で、さまざまなこういうことを実施するに当たって当然留意すべきことがございますので、これも議論を踏まえて最終的に記載させていただきたいと、このように考えているところでございます。
      それから続きまして資料5でございますけれども、資料5、VOCの削減効果算定に用いたシミュレーションモデルについてということでございまして、シミュレーション、どういう手法で将来予測して、効果を算定したわけでございますけれども、改めて用いましたシミュレーションについて、モデルにつきまして整理させていただきました。3つから成っておりまして、1ページの○が3つございまして、シミュレーションモデル、どういうモデルを用いたのかと、2点目はシミュレーションの精度をどう確保したのか、3点目はその改善効果はどうであったのかということでございます。2ページをご覧いただきますと、2ページ以降にシミュレーションモデルの概要を示しておりまして、簡単に申し上げますとSPMにつきましては定常型のモデルを用いておりまして、これはNOxやPMの総量削減計画等々に使用したものと基本的に同じのものでございまして、年平均ベースで現況をモデル化して発生量を変化させることによって、将来の姿を予測するものでございます。
      それからこの表の2ページの右の欄でございますけれども、オキシダントにつきましては非定常モデルというのを用いております。具体的には3ページ以降に概要を書いてございますけれども、特にモデルの内容のところで非定常モデルで汚染物質の濃度予測をする場合に、光化学反応、粒子化反応等による二次生成粒子をどう見るかというのが極めて重要でございまして、これはCBMモデルという、カーボン・ボンド・メカニズムというモデルを用いまして推計しております。このモデルにつきましては、非定常モデルの右の欄の一番下の使用実績にございますように、アメリカ各州、あるいはEPA等でこのモデルを用いて、既にさまざまな実際的なオキシダント対策に活用しておりますので、そういうものを参考に利用させていただいたと。日本でも東京都やJCAP、JCAPというのはジャパン・クリーン・エア・プログラムということで、財団法人の石油産業活性化センターが実施しております大気環境のためのプログラムでございますけれども、こういうところでも用いられておりまして、化学的には現在とり得るこういう予測手法の中で最善のものだというふうに位置づけられているものでございます。詳細は省略させていただきます。
      それから1ページに戻っていただきまして、こういうシミュレーションモデルの精度につきましては、2つ目の○でございますけれども、SPMにつきましては「浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル」を用いまして、それに基づきまして実測結果との照合をし再現性の評価を行っておりますし、オキシダントにつきましては米国EPAが定めております性能評価指標に基づきまして、予測値と実測値の再現性の評価が行われておりまして、きっちりこういう裏づけのもとに使用されたものでございます。それから3点目の1ページ目の一番下の○でございますけれども、削減効果、改善効果につきましては、前回もお示ししましたことを改めて別紙3、9ページとしてつけさせていただいております。
      なお、一言つけ加えさせていただきますと、このモデルは当然こういうふうなモデルでございますので、基準年におきます現況再現において、基準年の環境濃度、例えばオキシダント濃度等において、他の地域から流れ込んできたものも当然その現状としてすべてのみ込んだものでございますので、他の地域、他県、あるいは外国から来たものというのも、それも視野に入れてモデルというのができておりますし、発生源につきましても人為的発生源のみではなくて、VOC、自然的な発生源もございますので、そういうものも組み込んでモデルを構築いたしまして、そうした中で将来人為的なVOCがどの程度減れば、環境濃度がどうなるかということを試算したものが、前回お示ししまして今回別紙3でついておりますそういう結果でございます。
      それからもう1点、この部会でもたびたび引用されました地球的なオキシダントのバックグラウンドが増加しているんではないかというふうな議論がございまして、その中で大気環境学会の会長であります秋元先生の論文が議論になりましたので、私どももご本人と連絡をとらせていただきました。その結果、秋元先生のご主張というのは、途上国において産業開発が進んでおりますので、NOxやVOC等の汚染物質が当然排出が増加しておりますので、大気は国境がなくて地球上をグルグル回っているということで、バックグラウンドとしてのそういう汚染物質濃度、オキシダントを含めて濃度が高くなっていると、そういう観点から国際的な取り組みが必要であるということでございます。
      ただ、先生の論文の中にも当然書いておりますけれども、先進国、日本等の大都市において極めて高濃度のオキシダントが発生している。これにつきましてはその地域の原因物質の排出が最も寄与しているものであって、そういうことの対策を国際的なバックグラウンドの議論と混同してしまうことは、大変本意ではないというご指摘を私ども聞いております。それから、最近名前が秋元先生が正しくて、秋山大気環境学会会長という、そういうペーパーが何かご本人のところにも伝わっているようで、何でこんなことが起こるのか不思議だということを漏らしておりました。
      それから、次、資料6でございますけれども、主なVOCの排出対策技術とその費用について簡単にまとめたものでございまして、まずVOCの対策につきましては過去10年ほどアメリカ、ヨーロッパの国で法規制によってさまざまな対応がとられておりますので、実用化技術というのは既に出尽くしているというのが私どもの基本的な認識でございまして、また当然のことですけれども、我が国におきましても一部の大都市を中心とした自治体で、条例によってVOCの排出規制が実施されておりまして、排出源については対応をとられておりますので、既に多くの実績があるというものでございまして、その中から幾つかの代表的な対策技術とその費用というのをまとめたものがこの表でございます。もちろんもっと詳細なものがございますけれども、実際にやっておられるもののごく一部を抜き出させていただいたと、こういうものでございます。
      それから最後になりますけれども、資料7でございますが、ケミカル・マネージメントサービスということで、突然こういうものが出てくるというご印象もあるかもしれませんけれども、委員からのご指摘で特にアメリカにおきましてビジネスモデルを変更することによって、ウィンウィンの取り組みが進んでいるということにもっと注目すべきではないかというご指摘もいただきまして、資料として出させていただきました。これは特に自動車や半導体において、アメリカで現在盛んに行われているということでございまして、例えば自動車におきましては塗料を売る側と、自動車側の買う側のそういう従来型のビジネスモデルを、自動車1台当たりの塗装をするというサービスに置きかえて契約を結ぶという、契約行為を変更することによって、化学物質の使用量削減に向かう経済的なインセンティブを与えるビジネスモデルということで、かなり広く浸透しつつあるというものでございまして、参考の論文を資料としてつけさせていただきましたので、後ほどご参考にしていただければと思います。
      事務局からは以上でございます。

    【部会長】ありがとうございました。ここでご意見とか質問があろうかと思いますが、前回この部会のご審議の中で、産業界の方に自主規制案でやれるんだという、それをプレゼンテーションしてくださいという宿題を出させていただきました。それに従いましてきょうおいでの新美委員の代理の方、栗本さん、資料も出していらっしゃいますので、ご説明いただけませんでしょうか。

    【栗本説明員】それでは、お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、「石油業界における自主管理案」というペーパーで、簡単にご説明をさせていただきます。まずお断りしておかなければいけないわけですが、これはとりあえずこういう案が考えられるということでありまして、まだ前回のこの部会での部会長からのご指示を受けて、そんなに時間がない中でまとめたものでございますので、まだ石油業界としてこれが業界としてのコンセンサスに基づいたものだということではないことを、ご承知おきいただきたいというふうに思います。改めてこの辺、今から申し上げる案に沿った中で、仮に自主管理でやるということになった場合には、改めて業界挙げて、これはしかるべく行政に対してお約束をさせていただくということになろうかと思います。
      裏側をご覧いただきたいと思います。まだ環境省さんが考えられている法規制が具体的にどういうふうになるのか。例えば濃度規制ということをおっしゃっているわけですが、濃度規制において各6つの排出源が提示されているわけですが、それぞれの排出源においてどういう規制をされるのか、技術的あるいは行政的に可能なのかどうかといったあたりが、まだ見えてこない中ではございますけれども、とりあえず1つの我々としての想定を、この法規制の方の欄には書かせていただいております。それに対して自主管理としてはこういうことをやりますということを書いてあるわけでございますが、まず法規制の方はとりあえず我々の排出源といいますのは、ガソリンタンク、あるいは原油タンク等のベーパープレッシャーの高い液体、油を貯蔵したタンク。ここに基本的にはフローティング・ルーフタンクという、いわゆる浮き屋根タンクでございますが、を使っております。浮き屋根タンクの場合は、ほとんどベーパーロスはございません。
      ただ一部の輸送場、あるいは製油所の一部のタンクにおきましては、まだいわゆる固定屋根式タンク、いわゆるドーム型のタンク、屋根をかぶせたタンクでございますが、これを使っているところがございます。我々の排出源はこのタンクから油の液面が受け払いによって液面が上下することによって、その空間部のガス、あるいはほとんどがエア、空気なわけでございますけれども、これが排出口を通じて出入りすると。液面が上がるときにはそのタンクの空間部にある気体が外に排出される。それで液面が下がるときには外のエアを、空気をそのタンクの中に取り込むということで、圧力のバランスがとられているということでございますが、今回法規制されるとなったときに、いわゆる濃度規制ということが言われておるわけですが、基本的にはその固定屋根式タンクの上に、屋根の上にベントというのがございまして、ここがいわゆる通気口になっているわけです。この通気口を通じてガスが、あるいはエアが出入りするということで、濃度規制ということになりますと、ここの排出口からの排出ガスの濃度が規制されるということになろうかと思います。
      ただ、その濃度規制に対応する形で濃度をコントロールする、あるいは濃度規制の規制以下にするということになりますと、その排出口から全部出入りするエアを、あるところに持ってきて処理をするということが必要になるわけでありまして、基本的にはこれは非常に莫大な金がかかるということで、現実的ではございません。したがいまして、我々としては仮にそういう規制がかかった場合には、排出口をなくそうということで対応する。といいますのは、先ほど申し上げました固定屋根タンクを全部浮き屋根タンクに変えようということが現実的な対応になるかなというふうに考えます。仮に排出口においての濃度規制がかかった場合でも、我々の対応は、これは濃度規制そのものに対して直接濃度を下げるということではなくて、今申し上げたような物理的な構造を変えると、タンクの構造を変える。要は排出口をなくすという対応をとることになろうかと思いますが、その場合に仮に先ほどのお話でも裾切りがあるということを言われたわけでございますが、我々としては仮に1,000キロリッター以下のタンクについては、これは裾切りをしてもらえるだろうと。これはベンゼンの規制が1,000キロで裾切りがされております。そういう中で、とりあえずベンゼンが1,000キロなら2,000キロという議論もあろうかと思いますが、あるいはもうちょっと多くてもいいということもあるのかもしれませんが、とりあえず1,000キロということで考えさせていただきますと、その固定屋根式タンクを全部フローティング・ルーフタンクに変えるということになりますと、削減率でVOCの削減率23%、対策費は業界全体で82億円ということがあらあらの試算で算出をされております。
      一方で、いわゆるそういう濃度規制ではなくて、VOCをとにかく減らそうよということで、我々が自主的にやるということになった場合には、上の欄の右側に書いてございますが、基本的には既設、いわゆる1,000キロリッターというのは非常に小さいタンクに属しますけれども、その小さいタンクの対応をするということにおいては、あんまり効果がよくないということがございまして、我々の自主的なVOCの削減という観点から考えましたときには、基本的には大型タンクでやろうと。大型タンクの中でそういったタンクがあれば、それはフローティング・ルーフ、浮き屋根式のタンクに変えようということは1つの案として考えられます。
      もう一つは、ローリーの出荷設備というのがございまして、これは排出口規制にはなじまない設備のものでございますけれども、ローリーの出荷設備というのが当然ございます。これは製油所、輸送所にございます。現在都市部では既にこれは条例に基づいて、いわゆるもう随分前になろうかと思いますが、ハイドロカーボン・エミッション対策という規制において、都市部ではもう既にこれは設置を済んでおりますが、地方においてはまだ未設置のところがございます。前回も地域の問題ということがあったわけでございますけれども、これはそういう意味では地方の対応になろうかと思いますが、ローリーの出荷設備に対して排出削減を行うということが効果的かなということでございまして、その場合の試算としましては、自主管理、下の欄でございますが、VOCの削減率は24%になるかなと。対策費としては52億円ということでございまして、VOCトン当たりの費用としましては、法規制がどうなるか、いわゆるこれは1つの想定ではございますけれども、このケースにおいては66万円/トンだと、自主管理案におきましては40万円/トンのコストがかかるというようなことで、試算をしております。
      ざっと以上でございます。

    【部会長】日にちが少なかったんで、意見が、案がまとまっていないというのが、それはもう当然のことだと思います。どうもありがとうございました。
      ここではできるだけ多くの委員の方からのご意見をいただきたいと思いますが、これまでちょっと産業界のご発言が多かったものですから、最初にできれば中立委員の、中立委員といったらおかしいですかね。どうぞ自由にご発言いただきたいと思います。

    【浅野委員】満岡委員のご意見も先ほど配られましたので、拝見をした上での発言をさせていただきたいと思います。環境基本計画の中で環境政策の目標が決められた場合に、それを実現する手法を掲げたわけで、もうご存じのとおりだと思いますが、その中に自主的取組というのが入っているということもよく知られていることです。もともとある政策を実現しようという場合に、最も理想的な方法を言えば自主的にみんなが行動をとってくれて、目的が実現できるのが一番望ましいわけですね。それをほっといただけではうまくいきませんから、何らかの形で加速し、促進するのが政策実現手法というものです。
      ですから、自主的取組というふうに環境基本計画の中に書きましたのは、少し事務局ペーパーを見ても不明瞭な点があるわけですが、これ勝手にやりたいことをやりなさいということを環境基本計画に書いたわけでは全くございませんで、ある種の社会システムとなっているようなもので、その効果についても検証可能であるというようなものを「自主的取組」というふうに書いているわけです。ですから書き方としては、今になってみると自主的取組の大きなもの、広義の自主的取組とそれから社会システムの制度としての自主的取組という書き分けをしておかなきゃいけないのに、それをやらないで自主的取組と書いてしまったところに、ちょっと誤解の種があったのかなと反省をしておりますから、次の第3次環境基本計画ではその部分は書き直すことになるだろうと思います。
      どういうのが社会的システムであるかということは、一々繰り返しませんけれども、例えば産構審などでいろいろやっています省エネの話であるとか、温暖化対策の話であるとか、この手の話というのは業界が一方的にこうやりますと言って、「ああ、そうですか」といって、それで済ましているわけじゃないわけで、結果については全部産構審に報告が出てきて、そこでみんなが見て、「いいね」とか「悪いね」とかということをやるシステムになっているわけですし、そういうところにのらないものでも、例えばある種の企業では自分のところの環境報告書の中に全部オープンに出されるとか、あるいはちゃんと第三者にチェックしてもらうとかということをやっておられるわけで、そういう前提の中での自主的取組を、少なくとも環境基本計画は評価しようということにしていたと。このことを忘れちゃいけないわけですね。
      それから、自主的取組と直接規制の中間のところに枠組み規制という考え方を取り入れていることも、たびたび申し上げて恐縮ですが、強調しておかなきゃいけないことです。満岡委員が書いておられます有害大気汚染物質規制というのは、実はまさにその枠組み規制でございまして、決して自主的取組じゃないんですね。といいますのは、法律の中に少なくともこういうことをやらなきゃいけないということは書いてあるわけです。そして具体的にどうするかということに関しては、さっきの石連のお話にもありましたが、これともかく効果を上げりゃいいんだから、それは自分たちでやってくださいね。結果的に附則のところで5年たってチェックをしてうまくいかなきゃもう一回考え直しますよということになっているわけで、大きい枠組みのところではちゃんと法律に書いてある。しかも附則の中には基準まで国が示すということが書いてあるわけです。ここまで下げてくださいねというお願いはしっかりしますよ、それは法律で書いていることですから、国会の議を経て国民の総意として出したものである。これが有害大気汚染物質の規制のやり方で、これはまさに枠組み規制ということになるわけです。
      有害大気汚染物質についての満岡先生のお書きになったもので、VOCとの違いということで書いておられるのは、なるほどと思う面もあるわけですね。有害大気汚染物質は直接人の健康に有害作用する。VOCは間接的である。その辺の違いがある。直接的なものであっても、自主的管理でやっているじゃないかというのがどうもこのご主張の趣旨である。3ページのペーパーの意味ではないかなと思って読んだわけなんですが、ただ有害大気汚染物質は2つあのとき枠組み規制ということでよろしいと考えた判断理由があります。1つは取り扱っているところはかなり大きなところで、そこでちゃんとやっていただくと、大概効果が上がるであろうということが1つの根拠でありました。それからもう一つの根拠は、これはあくまでも個々の物質を追っかけてって、それでその濃度についてもチェックをして、把握できるんだからこれでいいんじゃないかということであったわけです。
      ところが今回のVOCは、ご承知のところでありますけれども、ある種の物質群を取り扱おうということになりますから、この点は明らかに有害大気汚染物質のときとは考え方を変えなきゃいけない要素があるということです。
      物質群を取り上げるということの意味はどういうことかといいますと、例えば悪臭防止法で、前は一つ一つの化学物質に基準を設けて悪臭の規制をやっていたわけです。そうすると現場の自治体で苦情があって出かけてって、空気をサンプルで取ってきて分析すると全部基準以下なんですね。だけど実際はくさいわけです。それでどうにもなりませんから、法改正をして嗅覚測定法というのを入れまして、実際人がかいで臭いものは臭いんだということにしたわけですね。余談ですが、そのときにウナギのかば焼きもひっかかりますかと私質問したら、ひっかかるということだった。「におう」というのが要件ですから、ウナギでも香水でも全部ひっかかるんだそうですが、それは地域指定かなんかでうまく逃げりゃいいことだから、まあいいでしょうと言って、何とか通しちゃったのありますけれども、これをやったのは結局個々の物質レベルまでおろしていって基準を幾らつくってもうまくいかないようなものがあるので、それはもうちょっとアバウトにやらざるを得ないということのあらわれだったと思います。
      同じようなことをもう一つ先例がありますのは、水道原水でトリハロメタンが問題になったときに、これもトリハロメタンそのものを抑えるということはできないんで、要するに排出口から出てくるものはそれと別のものですが、原水の中で特に水道の浄水池で塩素か何かまぜると変わってしまうと。だからトリハロメタン生成能という物差しで規制をかけようということにした。物質そのものはトリハロメタンを生成する生成能があるものは全部規制しましょう。個々の物質が何であるかはもうこだわりませんでやっていますので、そういう今までの立法の先例から見ても、VOCのようなものについてはVOCという1つの群で取り扱っていく。仮に大気汚染防止法の中にこういう1つの新しい枠組みができるということは、これは意味があることだろうと。有害大気汚染物質対策について新しい枠組みをつくったことは、私、大防法が非常に先進的でよかったと思って、随所で評価していますし、業界がおやりになって大変効果を上げたということも評価して歩いているわけですが、VOCに関してもそういう意味では新しい枠組みを大防法の中に入れるということの意味は十分あるんではないかなという気がいたします。
      それで、直接規制でありますけれども、直接規制というのは、じゃあ、全面的にいいのかというと、必ずしもそうではないだろうと。きょうの事務局が出された整理の仕方の中でも、書いてはいるけれどもA、B、Cとあって、Cというのが出てきている理由は、やっぱり先ほどの石連のお話を聞いていてもそうなんですが、法規制というのはどうしても行為をくっきり特定してこれをやめなさいという方法しかできないもんですから、どうしてもかたいんですね。ですから、うまく効果を上げることができる道があっても、そこがうまくいかない場合があるということです。ただ注意をしなきゃいけませんのは、実はしばしば私どももそういうことを言い続けてきたんですが、最近ちょっと話が変な話になるんですけれども、飛行機に乗りますと以前と違って携帯の電源を切れというアナウンスが、切らないと法律に触れますよというアナウンスに変わっているんですね。1月15日から航空法改正で、これ違反すると罰則がつくようになったんです。だから「罰せられることがあります」とアナウンスするんですけど、じゃあ、罰せられることになりますということになったからみんなスイッチを切るのかといったら、そんなもの自分の乗っている飛行機が落ちるのは嫌ですから、大概まともな人間は切っていたわけですね。ところが中にひねくれ者がいて、おれは言うこときかんというやつがいて、スチュワーデスが困るもんだから、しようがない法律をつくったということなんですから、これは法律というのはもともとそんなもんで、本来みんなおとなしく自主的にやってくれるんだけれども、どうしても言うこときかないばか者がいるから、それは罰則をつけなきゃいかん。
      これは経済産業省所管の法律の省エネ法だろうと、温暖化の法律であろうと、みんな同じ手法ですね。よくよく見ますと実によくできているわけです。基本的には自主的にやってください。基準は外枠としてガイドラインは決めますけれども、あとは自主的にやってくださいよ。しかしガイドラインに沿わない人に対しては指導勧告をして、それでも言うこときかなかったら命令をかけて、命令にも従わなかったら処罰ですというふうに書いてあるわけですね。ところが寡聞にして私は省エネ法で処罰された人がいるとは一度も聞いたことはないんですけれども、経済産業省でお話をしても、この法律は本当に処罰的にはほとんどないと。ただやはりフリーライダーがいることは否定しがたいことだから、フリーライダーで本当に困るやつとまじめにやっている人との間の差別化をしなきゃいけないから法律をつくる。実際に、では事業者はガイドラインに従って、それよりもっとやった方がいい。もっとやった方がいいというのをもっとやると、そこがトップランナーで褒めてもらって、いずれそれしかもう売れなくなるというふうにもなるよ。だからいろんなことがあるわけですね。
      だから、実は直接規制というものがあるから、そこで全部下どまりで終わってしまうということでもないわけで、本来やらなきゃいけないとみんな思っていることをやるわけですね。フリーライダーがいたら困るというところについては、直接規制をかけるということにある種の意味があるだろう。そうすると要は直接規制といっても、これをやればそれでよろしいということじゃまずいわけで、もっと大きな目標を達成してくださいねということを、やっぱり社会全体の合意としては決めておいて、それはやっぱりやれる人はどんどん一生懸命やってください。だけど本来やるべき人で全くやらない怠け者がいたときには、それはミニマムここのところは罰則をかけても言うこときいてもらわなきゃだめですねということになるんだろうと思います。
      要するに直接規制というのはどういう基準をつくるか、それから直接規制を入れ込むための大きな社会的な枠組みをどうするかということを抜きに、直接規制だけの議論をやるからおかしくなるんだろうと思うんですね。さっきの石連のお話を聞いていても、ほかに方法があるんならそれでちゃんとやればいいわけですね。それをやっちまえば少なくともある種の規制はもう免れてしまうということがあるわけですから、どうもさっきのお話を聞いていても多少納得がいかないのは、法規制があると法規制の線にとまってしまうというのは従来の我が国の公害規制の経験から見ても、ちょっとよくわからないところがあるし、もしこういうやり方が自主的管理でできて、この方がより効果的なものであるということが立証できたら、それの言うこときかない人に対する規制をつくればいいわけですから、そこはいろいろ規制といっても現在排出口規制と環境省が言っているのが唯一であるとも思えないような気がするんですね。
      だから、そういう意味ではきょうCというのが出てきたのは非常にいいことだなと思っていますので、これで具体的に目標をみんながしっかり合意をしてどういうことをやろう。それから、どうしてももともと裾切りというのはつかわざるを得ないわけですから、裾切りのところについても取り組める方法をきちっと考えよう。そして大きいところについてはやっぱりある種の法的な枠としては強目のものをつくっておかないと、有害大気の場合とは若干様子が違うというところから言うと、こういうことになるんではないかと。ちょっと長くなりましたが、そんなことを感じている次第でございます。

    【部会長】ありがとうございました。C案の具体的なバックグラウンドの説明をしていただいたような感じになりますが、そのほかのご意見。どうぞ。

    【北野委員】過去2回ほど欠席しまして、十分議論を理解しているかどうか不安なところがございます。また今回のVOCからのオキシダントなりSPMの生成のメカニズム等についても、必ずしも専門でないので的外れかもしれません。
      私一番心配しているのはやっぱり、浅野先生、法律の専門家に対してこういうことを言うのは失礼かもしれませんが、私はやっぱり規制をかけるということはそれなりのやっぱり根拠がないといけないと思っています。国民の権利を抑えるわけですから。そうしたときに現代までの知見が果たして規制をかけるに十分な知見になっているんだろうかという、先ほど先生、トリハロメタン生成能のお話しされてましたけど、これVOCからのこういうSPMなりオキシダントの生成というものが、今までのちょっとデータを私ぱっと見た限りでは必ずしもまだ十分ではないような気がしてしようがないんですね。私はそういうデータを見ましたときに見たんですが、そうしたときにはどうするか。
      資料5でシミュレーションのお話があって、特に別紙2で制度についてさらっとお話しいただいたんですが、私これちょっと内容よく存じ上げないで何とも理解しがたいんですが、実際に本当にある排出量を下げたときにどれだけオキシダントが減ってきたとかという、その辺の検証を果たしてここでしているのかと。要するに、このシミュレーションの制度というのはどの程度のものやっているのかというのがよくわからないんですね。私が最後に言いたいのは、やっぱりもちろんVOCを減らさなくちゃいけないことはもう事実ですし、私としてはやっぱり特に法的規制をかけると、例えば今裾切りもあるし、それから非対象業者も出てくる。
      そうすると、そういうところにやっぱりVOCは減らしていこうというインセンティブが減ってくるんじゃないかという、そんなことが考えられて、私の最後の提案というのはやっぱりとにかく今業界にお願いして自主的な努力をしていただくと、自主管理していただくと、それはきちんと情報として公開すると、国民が監視していく。その間にぜひ実証的なデータを積み重ねていくと、それで進んだらどうかなと。やっぱり法的規制をかけるにはやっぱり3年ぐらいかかるでしょうし、自主管理ならもうすぐという感じもできますので、最終的に私は法的規制は反対しているんじゃないんですが、今すぐ規制をかけるには、少し時期尚早かなという、感じた意見でございます。ありがとうございました。

    【部会長】ありがとうございました。ちょっとお待ちください。天野さん。

    【天野委員】よろしいですか。「自主的取組」とか「自主管理」という、「自主」という言葉がよく出てきて、このミックスの中にもそれがまざっているという表現があるんですが、実は環境省の中でこういう自主的取組という政策手段に関して、小さい検討会をつくって検討したことがありまして、そういう議論の中で国際的にもいろんな種類の違ったものがあって、それをある程度整理した方がいいだろうということで、きょうのお話の中でもいろんなタイプが出てきておりますけれども、一般的に大きく分けますと3つぐらいの種類があって、1つは「協定」という言葉は使うんですけれども、これはもう民間の事業者同士が協定をするだけで、ある意味で民間主導の一方的な宣言的な取り組み。ですから公的な機関が一切かかわりのない取り組みです。
      それから2つ目は、これは米国の環境保護庁なんかよくやる手法ですが、政府があるやり方を決めて公開して、それに賛同する事業者はそのとおりやってくださいという形で、これはパブリック・アグリーメントというふうな言い方をしておりますけれども、ですから民間の主体と政府とが何か協議をして決めるというんじゃなくて、政府が一方的に決めたものに民間の人が自主的に参加するというので、今回はそれではないと思いますが。
      3つ目でこれはヨーロッパで多く用いられ、カナダの例なんかがありますけれども、政府と民間の事業者とが交渉して政策のやり方を決めていって、両者が合意したところで実際の政策が実施されるというので、ネゴシエーティッド・アグリーメントという言い方をしますが、交渉による協定。
      恐らくきょうの事務局から出されたCというのがそれに当たるというふうに私は理解するんですね。ですから、この場合にはもちろん事業者も入るでしょうし、それ以外の関係者も入るでしょうし、それとあるいは地方政府、中央政府と、そういうあたりで内容を詰めて政策手法を決めるというわけですが、経済学の方ではそういう決め方が政府だけが決める直接規制、あるいはそれ以外の経済的な手法に比べてどういうメリット、デメリットがあるのかという検討がよくされておりまして、目的について交渉するということはまずメリットはないだろうと。ですから健康とか安全とかに関しては国が責任、あるいは地方自治体が責任を負う事柄ですから、それをコスト等見返りに交渉するということはまずないだろうと。
      ですから、もしそういう交渉が行われて、それが大きな社会的な意義を持つとすれば、これは前回のここでのご議論でも出ましたけれども、費用の面でむだな費用をかけないで一定の公的な目的が達成できることを、お互いに情報を出し合って交渉するというところにメリットが認められるんじゃないかということで、それ以外の点であればそれほど交渉の対象にはならんじゃないかというふうなことが、かなり学会なんかでは議論されているわけです。ただそのときにそういう交渉がやはり社会の人々の目に見えないところで行われてしまったんでは、やはり透明性もありませんので、そういう交渉をするんであればちゃんと透明性のあるやり方で、しかも目標は社会的に決めるわけですから、その決めた目標が実現できないような状況がないかどうかをチェックをして、そのチェックの仕方によって当初の目標が達成できないということがわかれば、協定の中身を見直すというふうな手順を踏んだ、そういう政策効果に対する歯どめをかけることによって、単なる直接規制とか単なる経済的手法だけではできないような効果を発揮することができる。そういう点にメリットがあるだろうというふうなところが、大体私は学会の定説ではないかというふうに思っておりますので、そういう形でもしお考えいただけるんであれば、私は結構ではないかというふうに考えております。

    【部会長】ありがとうございました。貴重なご意見ありがとうございました。浦野委員。

    【浦野委員】私、従来から自主管理だけではやはり地域や事業者、業種によって不公平さがどうしてもかなり大きな格差が出ることを懸念して発言をしてまいりました。しかし一方で、直接規制は公平性の点ではよろしいし、シビル・ミニマム、あるいはナショナル・ミニマムの担保をするという意味では必要なことだというふうに思いますけれども、ただこのVOCというのは非常に物質も多様ですし、発生源も非常に多様でありますので、対策技術もあるいは測定法も一律の考え方ややり方だけでは非常に対応しにくい、難しいこともございますし、北野委員がおっしゃったように、直接規制だけだと今度はそれだけ守っていればいいという、逆にインセンティブが減ってしまうマイナス面もないわけではありません。従来からの業界の方々の意見、あるいは有害大気汚染の実績等を踏まえますと、やはり現場の実態をよく知った事業者さんの自主管理もあわせて活用するということは、効率的なVOC削減にとってはかなり有効になり得るということで、今まではどちらかを選ぶというような議論が多かったんですが、今回初めて組み合わせという議論が出てまいりましたので、適切な組み合わせをしていくということができれば、一番効果的なVOC削減につながるのではないかというふうに私も思っております。
      ただ、先ほど浅野先生がおっしゃったように、前回の資料の4-2ですけれども、環境基本計画に載っている自主的取組手法の政策手法としてのきちっとした位置づけというのがやはり必要であるということは思っております。具体的なことは繰り返しになりますので申し上げませんが、何となくの自主管理というのではやはりぐあいが悪いということで、この辺今後十分詰めていければ、特に自主管理の欠点、法律だけでの欠点というのを両方を補い合うのがどうするか、あるいはそれを全体として国民が見て理解ができて、納得できるような形にぜひ早急に合意をつくってまとめ上げられていければというふうに思っております。
      以上です。

    【部会長】お待たせしてすみません。満岡委員、お願いします。

    【満岡委員】すみません、強要をいたしまして。しかし私今回意見書を出させていただいたんで、それを中心にいろんな方々のいろんなご意見が出てきているんだろうというふうに思います。したがって私の意見書についても簡単に一わたり説明をさせていただければというふうに思います。まずそれが第1点です。それから2番目には、じゃあ自主管理ということについて今まで有害大気だ、ベンゼンだとやってきた、こういう点について情報をオープンにするとか、地域とのかかわりだとか、そういうこともございましたので、そういうことも含めまして若干補足説明をさせていただきたいと、こんなふうに思います。
      それでまず私の意見書で簡単に言いますけれども、規制的措置はできるだけ限定的に用いるべきであるというふうに思っています。これはいろんな方々、意見が出ていましたように、前回の資料4-2につけていただいています環境基本計画においても、そういう趣旨のことが書かれているというふうに思います。そういう意味で、今回このVOCの排出削減というものを図らなければならないということは、私どもとしてもいささかの異存もないわけですが、本当にこのVOCの削減を図るに際して、必然的な目標といいましょうか、強い目標がある場合に限定して採用されるべきであって、さらにその導入に当たってはその効果や費用、そして技術的対応可能性、こういうようなことをやはり十分検討を行った上で、規制的措置が一番いいんだということで、そういう判断になればやはり規制的措置になるんだろうというふうに思いますが、今回そういうことであるんだろうかというふうに思っております。これが第1点目です。
      それから2点目は、人為的なVOCの排出がSPMだとかオキシダントだとか、そういう濃度に本当にどの程度寄与しているのか、あるいは影響しているのか、まだまだ私自身定量的に不明解な部分もあるんではなかろうかと、そういう段階で罰則つきの規制的措置というのが本当にいいんだろうかと。むしろ不適切なのではないかということを2番目に述べています。その理由につきましては、その下に書いてございますので省略いたしますけれども、しかしながら次の2ページに前回も申し上げましたように、確かにVOCというのはいろいろ気流の問題であるとか、あるいは自然発生源といいましょうか、樹木からの排出もあるわけで、そういうことも含めてシミュレーションはなされてるんだというふうに出ておりますけれども、しかし平成3年から14年までのわずか11年、わずかといいますかこの11年間で3割は減少をしているわけですよね。しかしその同じ期間に光化学オキシダントの注意報の発令日数だとか、そういうものはむしろ増加していると。
      そういう事実こそが、やはり不確実性なんじゃないのかなというふうに思ってます。一体シミュレーションで3割削減すればこうなりますということが書かれて、これからの3割については書かれているんですが、過去の状況というのはどういうふうに再現性といいましょうか、そういう点ではっきり解析的に物が言えるのかなという点が、まだ釈然としないといいましょうか、確実性というふうに言えるんだろうかというふうに思います。こういう不確実性のもとに、対策として罰則つきの規制的措置を導入するというのはいかがなもんかなというのが私の考え方であります。
      先ほど「秋元」先生のこと、私ミスプリで「秋山」先生と書いてしまいましたけれども、これは確かに「秋元肇」先生のことでありまして、コメントがありましたので、省略をします。
      それで、有害大気汚染物質の対策も自主管理で行ってきているわけですね。これによく似ているのが今回のVOCの排出抑制だろうというふうに思います。ですから有害大気汚染物質、ベンゼンとその他のVOCについて平成8年に改正された大気汚染防止法に基づきまして、これも産業界が勝手気ままに自主管理をやってるわけではございませんで、やはりある一定の法的枠組みのもとに事業者の自主管理ということで、平成8年でしょうか、このときにいろいろ先ほどの環境基本計画と直接規制だとか自主規制だとか、あるいは枠組み付き規制だとか、そういうことがいろいろ論議されて、それで初めてこういうふうに自主管理でいこうというふうになったわけですね。で、同じ範疇なんですよ、VOCと有害大気は。人の健康なのかそれとも間接的健康なのか、そういうことでありまして、同じ範囲のものであります。したがいまして、有害大気では人の健康に直接に作用し、もっと確実性も高いというものに対しても罰則規制ではないわけでありまして、今回はしかし罰則規制でVOCの抑制を図りたいと、こういうところに私は法的な面から見ても、何かバランス感覚が少しどういうふうに考えたらいいんだろうというふうに思っております。
      私どもが考えています自主管理というのは、何も法的枠組みの一切ない自主管理、これが自主管理であるということを申し上げているわけでもありません。これは有害大気でもある枠組みのもとにやってきていると。したがってインセンティブも働いているということだと思います。それから少なくとも規制を導入するに当たっては、やはり我々としてはまだ未検討で申しわけないんですけれども、費用対効果についてやはりそれなりにどういう設備にどういう費用をかけてどうすればどの程度削減できて、それが全体的にどういう位置づけになるんだということは、やはりはっきりさせていきたいなというふうに思ってます。ですから最初からこの施設だよというような限定版で何か規制を、C案についてもそういうふうなことのようでございますけれども、そういうような限定つき対策といいましょうか、対象を決めてやっていくというのは、インセンティブが本当に働くのかなと。ですから規制導入の可否を決めるということに関しては、やはりそういったことまできっちり検討して規制をしていくと、そういうことがこの委員会の、私は課せられた責務ではないのかなというふうに思います。
      次に、自主管理についてなんですが、これは前回も資料が出てきていますので、補足的なところだけを申し上げたいんですけれども、平成8年5月に大気汚染防止法が改正されたことによりまして、環境省とそれから経済産業省の指導によりまして、有害大気汚染物質12物質についての自主管理が実施されるということになりました。第1期が平成9年から11年、第2期が平成13年から15年ということで、今第2期になっています。自主管理をご理解いただくために、あえてベンゼンについて申し上げますと、ベンゼンにつきましては第1期の自主管理の状況、自主管理をやった第1期の状況でいろいろご評価をいただいたわけですね。環境省、経済産業省等。
      そのときに問題になりましたのが、確かに削減されているけれども、ベンゼンについては地域レベルの改善が不十分ではないのかねと、こういう話がありまして、そういう評価をいただいています。したがいまして第2期につきましては、特にベンゼンにつきましては5地区を特別にレベル、ベンゼンの地域としてのレベルが不十分だというふうに思われる5地区を選定しまして、地域自主管理を実施してきているわけです。きょうお配りしています資料は、そのときの資料でございまして、最後のページにベンゼンの濃度がいろいろ書いてございます。それで発生源周辺というところを年次別にずっと見ていただきますと、ベンゼン濃度については平成何年かな、9年かな、半減しているわけですね。ですから私自身はまあこれはベンゼンだけじゃないのというご意見あるかもしれませんけれども、しかし自主管理というものはそういうことで随分効果を上げてきているんではなかろうかなと。
      もう1点、あえて申し上げたいのは、地域に対してもそこの資料に書いてございますように、5地区につきましてはベンゼンに関するいろいろなデータを公表しています。それを地域の行政に説明し、行政がまたそれを取り込んで何とかだよりと、室蘭だとか、あるいは茨城県の鹿島の神栖町であるとか、そういうところはまたそこからホームページなり何なりで地域に連絡をしている。公開している。そういうことを現実にやってきているわけでございまして、目標であるとかその実績であるとか、それがどういうふうに行われたかというようなことは、地域に公表しているわけでございます。
      自主管理のよさを別な面からいいますと、今回のベンゼンのようにまず自主規制で、それは法的枠組みがあってですが、自主規制でやってみると。やればやったでさらに次の問題点が出てくるわけですね。今まで見えなかったところがまたクリアになると。したがってベンゼンのケースのように、こういう地域はまだレベルとして不十分だねというところが第2次として手が打てると、こういうサイクルアップというんでしょうか、そういう効果もあるんじゃないでしょうかと、こういうふうに思います。
      現在、それじゃ自主管理ということでVOCにかかわるようなところをどういうふうにやっているかでございますけれども、化学物質284物質について今、日化協としては取り組んでいます。これはPRTRに基づくVOC的な物質と、それから日化協が特に定めているハイプロダクション・ボリュームに基づく化学物質、これも入れまして284物質について削減を実施しているところであります。ただ、この削減はある基準に基づいてやりなさいというところに残念ながらまだ至ってません。しかしながらその効果は1997年からそういうことで、その他の物質についても自主管理で削減しましょうねと、削減していきましょうということで、各社が独自にやっておりますが、12万トンが2003年では6万8,000トンになってます。ですから、こういう取り組みを私はこれからのVOCについても、やはり続けていく。そのときにより目標を持って、もっと業界としても体制的に進めていくと、そういう方法論はあるだろうというふうに思っています。
      以上なんですが、今回のじゃあVOCと固有の有害物質と取り組みが違うんじゃないかと、物質群としてのVOCをとらえるべきだろうということに関しては、私どももVOCを1つの枠組みの中で自主管理として1つの群として、こういう管理はできるというふうに思います。大きな目標を持ってやっていくということもありますし、それからこのC案、多少含めますと、排出量の大きいところということは自主管理ができるところなんですよね。そこに対して法的規制をするんだよと、これはまた何かいささかちょっと非常に理解に苦しむというふうに、逆に思います。
      長くなりますので、大体以上の点申し上げさせていただきました。

    【部会長】どうもありがとうございました。今ちょっとだけ私の方から質問させていただきますが、今いろいろな方からC案という事務局の案を出していますが、それが嫌で、やっぱり自主管理だけにしなさいという、そういうご意見でございましょうか。そうではなくて、両方で成果を上げていけばいいと私は思いますが。

    【満岡委員】ここに書かれているC案というのが、これはもっと吟味する必要があると思いますね。ただやはり自主管理というのは、私の申し上げているのは、全くの自主管理だよということを申し上げているわけではありません。やはり法的枠組みなり何なり、それができないときにはどうするんだと、自主管理が、そういうときのバックアップだとか、そういうことが何か考えられるような、そういう自主管理だと。

    【部会長】ですからC案が存在して出だしてきたという感じをいたします。それからもう一つだけご発言の中で、ベンゼンは全く自主管理だとおっしゃっていたのは、これはちょっと私の理解と違っていまして、これは自動車用のガソリンに対しての削減ということを法律的に決めました。それがもとになっているわけですから、自主管理のみではないと思うんですが、それはどうですか。

    【満岡委員】だからそれもあれですよね。おっしゃるとおり、我々でもベンゼンはつくったりやっているわけですね。ですから……。

    【部会長】ですから全く自主管理だとおっしゃるのはちょっと。

    【満岡委員】いやいや、だからある枠組みの中でやっているということでありますよ。すべてそうです、今のやつは。

    【部会長】わかりました。中杉委員お願いします。さっきから何回も手を挙げてくださってる。

    【中杉委員】どうも。先ほど浅野先生が先に発言された意見に、私は全く賛成でございますけれども、それからいろいろご議論が出たので、あえて発言をさせていただきます。
      今、部会長から言われたベンゼンの規制をしていないのか、全く自主管理かという話に関しては、固定発生源についてはもうベンゼンは排出抑制をやっている。満岡委員は自主管理だから減ってきたと言われるけれども、その裏には規制がある。排出抑制があるということは間違いない話。これは罰則は必ずしもついていないですけれどもそういうふうな形でやっている。ですから、前回も申し上げましたように、その裏にないものというものとあるものというものでは、排出削減に対して環境濃度の対応というのは全然違ってくるというのが1つのあれです。ですから私は自主的に自主管理のみで濃度が下がっている、勝手に下がっているというふうには認識しておりません。ただそうは言いながら、両方まぜてやるということは非常に、この報告書自体もそういうことは言っていないだろうと思うんです。有害大気については一部のものについてはそういう排出抑制をやって、そのほかについては排出抑制をかけないで自主管理をやっているというふうな形で動いているだろうと思いますけれども、VOCの場合はそうはいかない。物が1つずつまとめてみなきゃいけないと。そういう意味でどっかの部分について対応できる部分については排出抑制、規制をやっていってというふうな形だろうというふうに思います。
      それからもう一つ満岡委員のご発言の中で少し気になりましたのは、限定的な対策にしないというお話でしたけれども、これも前に私申し上げておりますけれども、濃度規制にしたということは、オプションをいろいろとれるような形にしようということで濃度規制にしたというふうに解釈をしております。それからもう一つは、自主管理というふうな話でございますけれども、このVOCの場合はほかのものと形が違います。それから従来の自主管理というか有害大気汚染の自主管理についても、いろいろ問題点が指摘されています。それらを踏まえた形で今度のどういう形になりますか、議論していかなきゃいけないんでしょうけれども、それを反省した上での自主管理の、組み合わせる自主管理も、そういう反省をした上でつくり上げていただきたいというふうに思っております。

    【部会長】ありがとうございました。それでは常俊委員。

    【常俊委員】先ほど「間接的な影響」という言葉を使われましたけれども、オキシダント、SPMというのは既に現実的に被害がある。健康被害がある。環境基準をオーバーすれば健康被害が出てくるということを前提条件に考えなきゃいけないと。そうすると、オキシダント、浮遊粉塵のもとになるVOCをどう考えるかと。先ほど不確実性という話が出てまいりました。その中に秋元先生の、事務局から秋元先生の説明があって、国際的な協力が必要であろうということがありました。逆に言えば国際的な協力の必要があるというのはグローバルの問題としてとらえざるを得ないと。日本だけの問題でなくて、既にげたがはかされている。げたがはかされているとすれば、まずげたを考えた上で国内対策をもっと強化しなけりゃ人体影響は防げないだろうと。不確実性というものをどうとらえるかという問題であると。
      そうすると、現実的に対応できるのは国内の対策をどう進めていくかということが前提条件になるわけ。単にどこのところをどうするか、自主規制か法的規制かという問題じゃなくて、先に人体影響がある。人体影響を未然に防止するとするならば、できるだけ早急に効果的な対策をとらざるを得ないと。先ほどから自主管理に任せるとかということがありますけれども、やはりここは法的な規制をもって、一定の環境基準を達成するという目標を設定しなけりゃ先へ進まない。今まで化石燃料を伴う人体影響というものがいろいろありましたけれども、事件が起こってから対応策をとる、この対応策がいかに苦労していかなことになったかというのは、皆さん方よくご存じですから、そうするとそういう事態を招かないためには、事前にできるだけ可能な規制をひいていくというのが原則であると思います。そうすると、やっぱりある程度自主規制に頼るんじゃなくて、法的規制を入れるのではないか。先ほどの議論がありましたように、法的規制だけでやると枠を外れたのは自由になるということになれば、法的規制と自主規制とを組み合わせていくというC案が妥当ではないかというふうに考えます。
      以上です。

    【部会長】ありがとうございました。ちょっとすみません、河野先生、先ほど手を挙げていたんじゃない。ちょっと早く退席されたいともおっしゃっていましたし。

    【河野委員】きょうC案というのが提案されて、結論的には私はこれベストミックスというふうにおっしゃっているんですが、現状でベスト・ナウということで、ベター・ザン・ナッシングとは言わないんですが、前向きな発展があったということで評価はできるんじゃないかというふうに思います。
      ただ、私は移動発生源の方でいろいろ規制等をやってまいりましたが、これは自動車メーカー、それから石油メーカーの方のご努力というか、これも自主的にかなりやっていただいているというふうに私は思うんですが、そういう協力があって初めて国際的、世界で一番厳しい規制というのをやってまいりました。もうご承知のように、そういう単体規制だけではなかなか環境改善されないという状況の中で、このVOCの審議に参加させていただいておるわけですが、やっぱり車の方では考えておりました国際協調とか、それから今環境グローバル化しているというようなこともありますので、日本だけそういうもんがないというのも、いかがなもんかなというような気もいたしております。特に移動発生源の方は国際的なもんで、これは日本の技術力、技術陣が非常に立派であるということから、そういういいものができていくというのが背景にはございますが、VOCの方でもそういう背景があって、もっと頑張っていただければできるんじゃないかなというふうに思います。移動発生源の方からしますと、ちょっと何かいろいろあるかなとは思いますが、一応C案ということで、そこら辺をスタートしていただけるということで、これだったら移動発生源だけをいじめているというような片手落ちにはなりませんので、そこの辺は評価したいというふうに思います。
      以上です。

    【部会長】ありがとうございました。今、三方から手が挙がっていまして、次に進ませていただきますが、松波委員。

    【松波委員】規制の方向については、先ほど移動と固定両方必要だろうと思いますが、そういう視点では大事だと思いますが、なお科学的知見といいますか、規制の必要性についての努力も要ると思いますが、今ここで1つの視点として問題の認識の差が出ていますのは、私は自動車の経験で申し上げますと、先ほど事務局の説明で実用化技術は出尽くしているというご認識のご発言がございました。規制をやるという以上は、必ずや厳しい方向へいかなきゃいけないわけでありますから、目標を定め、そして技術開発に努力をし、それを評価し、実行に移すという、自動車での貴重な経験がございます。そういう意味で手続的な面を仕組みの中に入れていただいて、規制をされるということはやっぱり大変なことですから、それの実現に向けた努力の仕組みも配慮していただく。
      特にこの大事なことは、僕、固定発生源はちょっと常識がないんですが、一番何といっても技術開発で大事なのは、技術の種があるかどうか、あるいはどうしたら育てられるか、芽を大きくできるか、それも連続の技術か不連続の技術か等々いろんなアプローチがあろうかと思いますが、いずれにしましても目標が出て開発に当たる方が挑戦的にチャレンジしてやろうというような意欲のわくような仕組みが、僕は大事じゃないか。そうしてどういう規制、あるいは自主的なことをやるか。したがって私の個人的な意見は、3つ目の方式が1つの方法かな。特に影響力の大きいのは先ほど自主規制でもいいじゃないかとおっしゃいましたが、目標値の決め方、規制の決め方によって必ずしもそうならない思いますから、影響力の大きいところから優先度を上げて、いろんな手続をとられるということが妥当な措置ではないかな、こんな感じがいたします。

    【部会長】ありがとうございました。太田委員。

    【太田委員】私はちょっと交通の方から見ておりまして、きょうのお話いろいろ伺ってたんですが、結論的にはやはり今までの自動車交通にかかわるいろんな大気汚染の問題等の経験を踏まえると、やはりミックス型が一番いいだろうと思います。ただ、そのミックスのときの枠組みのレベルですね、これでちょっと私疑問といいますか、余り議論されていないなと思いましたのは、やはり最後はそれぞれの地域の人の健康の問題ということで先ほどご指摘がございましたけれども、それを担保する仕組みですね。その中で確かにこの固定発生源と同時に移動発生源と、両方を踏まえたやはり1つの基本的な環境基準達成計画みたいなものと組み合わせないと意味がないだろうと思います。少なくともそのレベルにうまく参加できるための仕組みを固定発生源の方でもきちんとやってほしいという意味の枠組みですね。
      そうなりますと、今まで東京都等のいろんな環境基本計画等で関連していますと、やはりこの全国の30%ということで、本当に担保できるのかというのは非常に疑問です。そういう意味からいいますと、地域レベルでの枠組みについての考え方も整理する必要があるだろうと思います。少なくとも知事レベルに任せるとすれば、そこでプラスアルファあるいはマイナスアルファが逆にあってもいいと思いますね、地域によっては。ほかの、要するに、交通の条件が全く違いますので、やはり公共交通その他の状況、あるいは排出源の中身がそれぞれ違うと思いますから、そういったことを含めて地域レベルでの枠組みがある程度動かせる、そういう種類のことを踏まえた検討をぜひお願いしたいと思います。
      以上です。

    【部会長】ありがとうございました。ただVOCというのは割方広い範囲に拡散して害が出てくるというところもありますので、今おっしゃったように都道府県だけに任せていいかどうかというのは、ちょっと疑問がありますね。そこら辺はまた事務局でご検討いただく。
      それから、続きまして鈴木委員。

    【鈴木(継)委員】私の申し上げたかったことは太田委員がおっしゃったこととほとんど同じなんですけれども、ベストミックスという考え方を導入して、それを具体的にやってみようじゃないかというふうに踏み出したという意味で、私はC案が出てきたことは大変いいことだと思うんですが、何がベストであるかということについては、これは非常に大きな問題になるだろうと思います。
      それから議論の中でまずいなと思いながら伺っていましたのは、規制ということと自主ということが対立する概念のごとくしばしば扱われるというのが、第1のまずいなと思うことで、そんなもんではないはずでありまして、あれは協調して物を考えていくために出てきたのがベストミックスの考え方。
      さっき太田委員がおっしゃったように、実は地域というのをどの単位にするか、部会長おっしゃったように非常に難しい問題でありますけれども、それぞれの中で個別の地域性を考えてベストは何であるかというの。それがはっきりしてこないと太田委員は枠組みとおっしゃいましたけれども、その辺のところが具体化してこない。私のように環境、どっちかというと保健、ヘルスサイドの人間からいいますと、重要なのは実は排出口における濃度ではなくて、一般に我々が吸入している大気の中の濃度であるわけでありまして、そっち側の方にはるかに問題があって、その観測を続けていって、そのデータが出てきたときにそれをはね返して、具体的に地域の有害化学物質管理のシステムにのせてやらなきゃいけないわけです。そのフィードバックシステムがきちんとできていないと何やってんだかわからないということに相なるわけでありまして、実はオゾンの問題にしろ何にしろ、その辺のところで何を図ってどういうボディーに持ち込んで、さらに対策を進めるかという、そこのところの仕組みづくりがきちんとできてなかったあたりが問題なんだろうと、私はそう思っております。
      ですから広い意味での地域性を考慮した上でのベストとは何であるか、その場合に規制的とか自主的とかいうことじゃない、もっとほかのことも考慮に入れた上でベストは何であるか、ベストミックスは何であるかという議論をすべきだというのが私の感じです。

    【部会長】どうもありがとうございました。まだご発言になっていない方。短いんですか。

    【常俊委員】はい。今保健という話が出ましたけれども、オキシダント、粉塵は我が国の人体影響に基づいて環境基準が制定されている。先ほど問題になりましたベンゼンは、職業曝露からリスク値を考えて選定している。片方はリスクを考えた、片方は現実の問題を考えたと、同じような人体影響といいながら、現実に既に起こっている問題につながってくるというのを「間接的」という言葉を使われましたけど、つながっている事実も、やはり無視して議論はできないだろうというふうに思います。

    【部会長】ありがとうございました。さっきから新美委員の手が挙がっているんですけど、まだ発言されていない方。加藤委員。順番にいきますから。

    【加藤委員】前回申し上げた意見とほぼ同じようなことを言わせてもらいますけれども、今回ベストミックスという折衷案というとちょっと失礼ですけれども、両方合わせたような考え方が出てきた。これ考え方自体は非常によくわかりやすいとは思うんですが、私が前回申し上げたのはむしろステップ論というやり方を言いました。先に自主規制をとにかく始めて、そしてじっくり検討しながら法規制をやっていったらどうか、こういう意見を申し上げたんですが、これ多分北野委員と同じような意見だと思います。
      問題は、先ほど浅野先生のお話を聞いてよく理解できたんですが、自主規制の中身が問題だと思うんです、現実問題としてはですね。ですからそのときに、この資料の3の一番最後のところに、「実態や自主的取組の内容を熟知する者の参画を得て」と、こういう文章がありますけれども、ぜひ国の機関として専門機関があるわけですね。経済産業省があるわけですから、そこと十分連携をとってやるべきだと、これからの具体的な議論はですね。ぜひそのことを申し上げておきたいと思います。

    【部会長】ありがとうございました。それでは次に手のお挙げになった関沢委員。

    【関沢委員】一言だけちょっと申し上げたいと思うんですが、C案がよいかどうかという以前の問題として、このC案に書かれている思想、考え方、こういったものをちょっと整理し直した方がいいんではないかということを感じるわけです。有害大気のこれまでのあり方についていろいろ過去の経緯を見ますと、結局最終的には国内外に参考となる基準があるけども、科学的知見の調査が必要で、大気環境保全上注意を要する物質については自主管理を基本とすると、こういうことが本筋だということが整理されているわけですが、こういった流れというのはこれまでに既に定着していて、今回もこうした方向で整理をされるということが基本ではないかと思うわけです。だから自主管理を経ずに、やっぱり規制に逆戻りするというようなことがないように、思想はやっぱりはっきりさせておくということが必要かなと。
      今回の新しい提案、このC案は規制と自主管理との組み合わせということですが、これは先ほど来縷々いろいろご指摘がありますように、データその他の不確実性もいろいろありまして、そういった意味では初めに規制ありきという考え方ではちょっと問題があるんではないかと。むしろ同じ効果を発揮する場合には、事業者の創意と工夫が生かされるよりコストの安い対策、費用対効果を考えた自主管理というのがやっぱり初めにありきではないかと思うわけでございます。こういった物の考え方というものをまず、このどうもC案を見ると、必ずしもそういう感じじゃなくて、どっちが主体が置かれているのかというのは余りはっきりしないような気がするわけですが、その辺をよく整理された上で、やっぱり最終判断をすると、こういうことが必要なんじゃないかと、こういう感じがいたします。

    【浅野委員】ちょっといいですか。さっきコメントのときにちょっと言い忘れたことがあるんですが、実は今、関沢委員からご発言があって、ちょっとこれは大変な誤解だな思ったわけです。というのは234物質、物質名が挙がったんですよ。そして緊急にというので26挙がってきたんですよ。一つ一つ環境基準をつくってから規制をやっていったら、多分1物質に2年かければ40何年かかるな、234物質、100年以上かかるな、これとてもだめだなというんで、それでああいう議論になったということです。ですからちょっと今度の場合はそれとは違うんじゃないかと私は理解していますので、前回の有害大気については、ベンゼン、ベンゼンってあれはたまたま成果がうまく上がっているからベンゼン以下のことが上がっている。26大体うまくいってはいるんですけれども、背景にそれだけのものがあったということがあって、それで在来方式は全くだめですというのがもともとの発端だった。これだけはちょっとコメントしておきます。

    【関沢委員】ただその243物質すべて規制かけないとVOCが減らないかどうかということは、そういうことはないんじゃないかと思うんです。

    【浅野委員】いやいや、VOCじゃなくて有害大気です。

    【関沢委員】有害大気。

    【浅野委員】はい。そのときはその健康影響があるというのが出てきたんです。

    【部会長】すみません、今のご発言はもう少しよく、まだどちらか決めかねていらっし ゃるご意見ですか。Cじゃないんですか。

    【関沢委員】ちょっと後で……。

    【部会長】わかりました。今のご意見のほかに小林委員、お願いします。

    【小林委員】私の方からは結論だけを先に申し上げますと、このC案でまず私はいいというふうに思っております。ただ何点か問題点がありまして、1点は資料4の議論のたたき台の3のところで、VOCの排出抑制の必要性のところについて、この必要性についてまだいろんな委員の方からご意見が出ておるわけでございますが、ここのところは認識した上でのC案だと。それでここをまだ必要性があるとは言えないということから規制をしないんだという発想であれば、これは問題がある。そうじゃなくて必要性があるということをベースにしてC案を認知するというふうにご理解をいただきたい。
      私自身が自主的取組について一番問題を醸してますのは、基本的に見てこの自主的取組の内容がよくわからない。きょうも2つの意見が出ておりますけど、これにも具体的にじゃあ、業界として自主的取組をどうするんだという、具体的なことがほとんど書いておられない。検討がないというふうに言われますが、こんだけ問題になっている中で検討していないはずがない。相当の議論はされてると思うんですね。そういうものがこの委員会の中で示されないということについて、大変な不透明さを感じると、そういう意味から私は不審を持っているということをまず申し上げたい。そういう中で、自主的取組をきちっとやっていただけるんであれば、このC案というのが必要ではないか、大変いいんではないか。
      これについても、まず地域的な枠組みというのをきちっと抑えていただく。この地域的というの私申し上げておりますのは、行政区域での地域ではなくて、一定の範囲を持った広域的なグループとしての地域的な枠組み、これが要るんではないか。この規制と自主的取組を組み合わせた中での、それを管理するためのこれは第三者機関という言い方ではなくて、当事者を含めたパートナーシップ型の、どういうんですか、検証機関を地域ごとに置いていただく必要があるんではないか。ベンゼンのときも一番初めのスタートはそういう形ではなってなくて、問題になって地域的な取り組みが始まったということでございますので、この轍を踏まないようにベンゼンのときに行われた手順を十分考えた上での自主的取組を組み合わせた、そういう規制が必要ではないかなというふうに思っております。
      以上です。

    【部会長】どうもありがとうございました。次に内山委員、お願いします。

    【内山委員】私は常俊委員と同じように健康の面から主に有害大気汚染物質に取り組んできたわけですが、もう既にこのベンゼンの規制をつくったときの有害大気汚染物質対策を取り入れようとして、初めてアメリカとかヨーロッパの方をお呼びして、大気環境学会が有害大気汚染物質の今後対策についてどうあるべきかということが、もう既に10年前に国際会議を行って、それ以後は環境庁も非常にターニングポイントとして未然防止ということに力を尽くし始めてきたんですが、1つはベンゼンとか有害大気汚染物質の場合には、リスクの考え方、先ほどおっしゃいましたようにリスクの考え方、まだ現実には大気中の濃度では被害は起こっていないかもしれないけれども、ある程度の発がん性のリスクがあるので、それを未然に防止していこうというのが非常に大きな問題である。
      その当時にそこから初めて環境大気汚染物質対策に対して未然防止の考え方が初めて取り入れられてきたんだというふうに、非常に環境行政にとってはターニングポイントだったわけです。もう一つ、そのときにはもうアメリカは既にVOCに関して7030運動というのをたしかやっておりまして、もうそのときに有害大気汚染物質の話はしてくださいましたが、発がん性物質に関しては我々もそのとき全くの勉強する立場だったんですが、もうそのとき既に1990年にアメリカでは空気清浄法が改正されていて、もう354物質がリストアップされていて、失礼しました、289物質がリストアップされていて、その中にもVOCがもう7030、70%、30%に削減するんだと、そのときの根拠はやはりその当時、10年前からSPMとそれからPM10とそれからオキシダントを非常に重要視したVOC対策もそのときからとられていて、私どもはその年からもう既に逆に我が国では発がん物質と同時に、もう既にSPMとオキシダント被害というのは実際にあるもので、健康影響があるものだから、それも同時に取り組んでいただきたいということは言ったんですけれども、当時は発がん物質からまず取り上げると。
      しかもさらにそれを未然防止と包括的枠組みの中で取り入れていくということが非常に重要視されてた時代でしたので、VOCは逆にこの10年間余り環境省が熱心にやってくださらなかったという方が、私の健康影響からやっている者からすれば、やっと少なくともこういうところで取り上げていただいたということで、遅いぐらいに今思っているわけで、むしろここで結論になるんですが、どうしてもできないのであればCというミックスであると思いますけれども、もうそれで例えば1つの論拠として法律をつくっていれば、数年後になるからということであれば、自主規制はすぐに始めていただいてもいい。
      もう既に本当は10年前にアメリカ等でやっていたときからもう自主規制としては、自主管理ということでは取り上げるべき問題であって、今あと3年後、4年後に法律がなるから、それまで待っていられないから自主規制がというのは、ちょっと本末転倒ではないかなと。しかもベンゼンと同じように、ベンゼンは当時はガソリン中のベンゼンが一番問題になっていましたので、移動発生源からもやってきて、そして残ったのが結局地域として高いところが残ってきてしまう。それは工場からの排出量がどうも主だということで、今、炭化水素に関しても自動車が非常に厳しい規制をやってきていただいて、そしてあと10%ぐらいが固定発生からだというところになってきているので、もう本当はこれはリスクの観点からではなくて、実際に起こっていることに対する規制管理というふうにとられた方が、私は健康の面からやっていますと、もうそれが10年間遅かったなという感じがしております。

    【部会長】ありがとうございました。まだご発言になっていない方、岩崎委員。

    【岩崎委員】私は地方で各工場に指導をするという言い方はおかしいですけれども、そういう経験の方から少しお話しさせていただきますと、やはり自主管理だけではなかなか改善が難しい場合が結構ございます。やはり最終的には規制というものがやはり必要であるという考え方を持っておりまして、そういう意味からいうと規制1本という感じもあるんですけれども、実際にはこのVOCに関しましては発生源の形態が非常に複雑だと、あるいは規模もいろいろの点もあるということからいいますと、1つの排出口の濃度規制だけで1本ですべてがうまくいくとはなかなか思えないところも多いわけです。ですからそういう意味からいうと、今回出されましたC案は非常にいい方法だと思っているんですけれども、その使い分けとか境をどこにやっていくか、そこに1つの難しい点はあると思いますけれども、実質的にはやはりC案で行かざるを得ないんではないかというふうに思っております。

    【部会長】ありがとうございました。先ほど手が挙がっていました、中野委員。

    【中野委員】すみません。専門家ではないのですけれども、各業界におかれましてはおのおの自主的に取り組んでいてくださって、本当にうれしく思っています。そうした中で国際的にもこのような問題は関連してくると思いますけれども、まず国民的な立場から、国民の健康ということをまず第一に考えた上で、裾切り20%未満のところにもいろいろと考えていただけたらと、そのように思います。そうした意味でもこの3つの中ではC案がいいのではないかなと、そのように思います。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは田保さん。

    【田保説明員】業界での自主取組はよくわからないというお話もいろいろありましたが、我々自工会としましては、検討会の際もいろいろご説明をさせていただいていますが、過去VOC削減には自主取組ということでかなりの効果を上げてきておりますし、これがA案、B案、C案あるどれにしても、自主取組というのは継続してさらに進めていくつもりでおります。ただ我々の取り組みは排出口の濃度というのではなくて、VOC排出の原単位というもので管理しております。それは塗装の単位面積当たりのVOCの排出量という形で、これはヨーロッパにおける自動車の規制なんかとの国際協調という面でもその形でされておりますし、そういう技術のヨーロッパにおける技術と日本における技術を融合させるというような意味からも、そういう管理が必要だと考えております。
      ですから健康被害という場合でも、結局大気がどうかということが問題でして、言ってみれば個々の排出口の濃度がどうかというのだけでは決まらないところがあるというのは先ほどからも指摘されているところですし、そういう意味で我々のこういう自主取組の原単位というもの、そういうものも今後それをベースに我々は費用対効果のいいものから、それぞれ現場の状況に応じて取り組みを進めていくわけでございますので、そのあたりがぜひ阻害されるようなことがないように、今後も進めていけるということで現場の技術者も含めた細かい議論というものを、今後継続してやらせていただきたいと考えております。

    【部会長】ありがとうございました。それでは局長が発言を求められてますので。

    【環境管理局長】すみません。委員のご議論によりまとめていただくということであるのでありますけれども、きょう出しました資料のA案、B案、C案といいますか、3つについて、そのCの思想はどうなっているのかという非常に重要なお尋ねがありましたので、そこはちょっと申し上げておかないとご議論のベースが合わないと思いましたので、ちょっと発言させてください。
      それで、私どもはいろいろな状況から法規制の導入をしてもいいのではないだろうかということで、そういうことも考えつついろいろ議論をしていただきたいという問題提起をいたしました。それに対しては自主管理を抑止とする考え方もありました。それぞれ双方議論をしていきますと、いろんな論点がたくさん出てまいりまして、非常に有意義な議論が深められてきたんだと思うんですが、先回そういう二者択一だけではなくて、もう少しいろいろな考え方がないかということで、ここにお出ししている資料としてはそこは割に淡々とA、B、Cということで、Cのベストミックスという考え方もありますということを書いておりまして、それは議論の素材として提供していると、こういうことでございます。
      しかしながらCで行く場合の思想はどうかということになりますと、例えば環境管理局としてどう思っているんだねということを申し上げなきゃいけないと思いますので、実は前回のご議論の後もいろいろ私も悩みまして、それで事前に関係各方面にも、じゃあそういうCみたいな議論というのは、これは企業の努力とそれから行政の対応と両方が相まってならなきゃならないわけでありますので、そういう面では関係各方面にもいろいろこういうことは考えられるんだろうかということでご説明をさせていただいたところでございました。私の知る限り、1つの解決案として一定の評価もいただいていますし、せっかくだからもう少し詳しく書いたらどうかというご意見などもいただいて、資料としてはきょうお出ししていると思っています。
      ただ、私の気持ちとしてはこのCの案につきましては、まず事業者の自主的な取り組みを評価し促進するといいますか、平たい言葉では尊重しと、それでそれぞれの立場での自発的な対応を促進するということを念頭にはいたしまして、しかし基本的シビル・ミニマムの点だけは法規制を導入すると、こういうことに私どもも、これは従来の私どもの環境管理局の頭の中とは大分違っていますが、この際踏み出して考えてみたらどうだろうかという気持ちが強くなってきています。その2つは多分今まで似たようなものがあるかもしれませんが、そういうことではっきり踏み出していくというのは今日的な新しいありようでございました。多分前例だとか、やった経験がないところでございますから、いろいろ詳しいところはわからない、不安だというところはもちろんあると思います。
      だからうまく言えばA案とB案のいいところが入っているんだとも言えるし、それはあげつらおうとすればA案とB案の悪いところを全部並べてそれぞれあるじゃないかと、両方言えるわけですから、要は両者産業界と行政でどう努力を合致させていいものをつくり上げていくのかということに、これから踏み出すのか踏み出さないのかということではないのかなと思っております。そういうことですので、ちょっといささか抽象的ではございますが、しかも恐らく今このC案の説明はそこまで私の今申し上げたような気持ちは書き込んでいないと思いますから、必要があれば書き込まなきゃいけないんですが、まず事業者の自主的な取り組みを評価促進すると、それぞれの立場の自発的対応をやっていただくということを念頭に、基本的シビル・ミニマムの点だけは法規制を導入する。
      その内容についてはここに書いてありますように、よくよくその関係の方々と意見交換して相談して、全体としていいものをつくり上げていくというようなことではないか。そう思い切ってみると非常に画期的なものになり得る可能性がありますので、もしそのような合意がなされるのであれば、私としてはその精神に沿って、誠心誠意そういう新しい道に踏み出していくような努力については最大限いたしたい、こういうふうに思っております。思想についてのお尋ねですので、ちょっと割り込んで申し上げさせていただきました。

    【部会長】どうもありがとうございました。今、伊藤委員が手をお挙げになっていますので、お願いします。

    【伊藤委員】それでは、特に新しい考え方ではありませんが、健康にかかわる大気汚染の現状や、それから今から15年ほど前、1990年ぐらいから取り組まれている世界の情勢を考えたときに、国際社会の一員としてのやっぱり日本のあり方があるんじゃないかなというふうに思います。それからいろんなご意見の中で、いろんなSPMにしても光化学スモッグにしても、地域のやっぱり特性がある。それを今の地方公共団体ではなくて、その地域地域のベストミックスのあり方、これが深められるということはとても大事なことであろうと思います。
      それから各業種が非常にさまざまだということですので、このC案でいくという場合もいろんなやり方が恐らくあるんだろうと思います。これが深い議論の上でいい方法がとられることを期待いたしております。
      以上です。

    【部会長】ありがとうございました。さっきまだ手を挙げていらっしゃった方がいるんですけど。

    【栗本説明員】私はまだ意見申し上げてないんですが。

    【部会長】はい。じゃお二人。

    【栗本説明員】すみません。先ほど自主管理案をご報告はさせていただきましたが、私、意見は述べさせていただいておりませんので、改めて申し上げさせていただきたいと思いますが、そもそも自主管理を主張する立場として、改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、我々に好きなようにやらせてくれということでは決してございません。先ほどベストミックスという言葉が出ておるわけですが、いわゆる規制と自主管理をどう組み合わせるか。我々のイメージとしましては、規制は要は自主管理をどういう形でやるんだと。あるいはそれをどう報告するんだと、そういった自主管理の枠組みを法律で規制するということは、何らかの自主管理を推進させるという意味においても担保として必要だろうという意味で、ベストミックスがあり得るかなと。
      先ほどの、いわゆる現在の、先ほどご説明あったC案でございますが、言ってみればC案はA+B、先ほどまさに局長がおっしゃられたとおりでありまして、要はどっちなんだと、何をどうやるんだというところが、これから先ほど意欲的なご発言いただいた中でどういうふうな形をご提示されるかを見る必要があるかなという気はするんでございますけれども、基本的にはA+Bという形なわけでありまして、我々は基本的にはその自主管理をやるという意味においては、A+Bというのは決して違うわけですね。いわゆる自主管理でやらせてくれということと、A+Bは全く違うという認識でおるわけです。
      じゃあ、改めて自主管理をこれからやっていくについて、今申し上げましたように何らかの法的な担保は必要であろうと。で、一方で先ほど来何人かの委員の方が言われたわけですが、私はA+Bじゃなくて、自主管理をさらにステップ、先ほどステップというご発言がございましたですけれども、ステップでやるんだというのが我々としては妥当じゃないかなと。といいますのは、そもそもこのVOCの問題というのは、人体に影響があるというのはもう重々、我々は定性的に影響があるということは重々わかっておるわけでありまして、どうやってそれを減らすんだと。しかも効果的な減らし方というのはどうなんだという中で、きょうの資料に中にはございませんけれども、最もVOCの排出が多いのは塗装業界でございます。
      基本的に問題の解決というのは、最も影響の大きいところを攻めるのが、これが順当な攻め方であるわけでありまして、例えば私はこれ強調するつもりはございませんが、石油業界はVOCの排出の中で環境省のデータですと5%でございます。5%のところをどう攻めるんだと、攻めて一体どういう効果があるんだと。塗装業界で大体4割ぐらいだったかなというふうに覚えておりますが、そこのところに対して一体じゃあどういう網がかぶせられるんだと、いわゆる技術的な意味において規制をどうかけるかという意味において、どういう実効がある規制のかけ方があるんだろうと。先ほど環境省さんの資料2の円グラフがございましたですけれども、これを見ても明らかなわけでございますけれども、ほとんどは規制ができない。要は3割しか規制ができないじゃないか。これはすべてに規制をかけるけれども、3割の歩どまりだということでは僕はないんだろうと思うんですね。規制をかけれるところが3割なんだというふうに読んだ方が、多分これは正しい、実態に近いんじゃないかなという気がするんですが、要は6カ所の排出源を想定した中で、そこに規制をかける。それが私は3割なんだろうと。
      したがってこんな不公平な、要は現在のVOCの排出が一体どういうところから出ていて、それに対してどう規制をかけるんだということに対して、非常に、言ってみれば照準の悪い鉄砲で撃つというような形の中で、その3割という数字を出されているわけですけれども、この辺のいわゆる論理的な、あるいは定量的な理屈づけが非常にあいまいな中で規制をするということ自体が、その実効性が疑われるといいますか、問題じゃないかなというふうに考えているところです。
      したがって最後になりますが、長くなりましたが、要は基本的なステップで本当に削減をしていった中で、本当にどれだけの効果があるのかということを確認しながら、最終的に規制が必要であれば規制をやるというのが順当な考え方じゃないかなというふうに思いますので、改めてちょっとお時間いただきました。

    【部会長】要するにC案は取らない、B案だけしか言わないと、こういう……。

    【栗本説明員】いえ、もうちょっと複雑な。

    【部会長】もうちょっと複雑な。ちょっと、そうしたら関課長から。

    【大気環境課長】すみません、一言だけ訂正をさせてください。資料、多分誤解だと思いますけれども、3割かけるんではなくて、3割が開放系でかからないという、逆でございます。建屋系が7割で7割が法の対象で3割しかかからないというわけじゃなくて、3割はかからないということです。

    【栗本説明員】いや、それは技術的な意味において多分3割ぐらいしか、要はすべてもう対象の排出源に対して規制をかけた結果の歩どまりが3割だということではなくて、基本的には排出しているところに対して3割分ぐらいのところしか規制がかからないぞと、これはテクニカルな技術的な規制の技術論の中で多分3割ぐらいしか規制ができないだろうと。要は開放系が全くだめだというのは、これは物理的に技術的に多分無理なんだろうと思うんですね。
      あるいはあと塗装業界、その他非常に排出量の多いところは、例えば中小企業は多いとか、そういう不公平、あるいは抜け道がいっぱいある中で、この規制をかけたことによって本当にVOCが減るのかというところが問題だなというふうに言っているわけです。

    【浅野委員】規制だけでやるという話をしてるんじゃないわけですから、ちょっとその辺はもうちょっと次回に、これもうきょう時間ないから整理をして議論させていただかないと、ちょっと今のは僕は納得できないです。時間の延長があったらもうちょっと何か言いたいです。

    【部会長】ちょっともう時間が来ていますのであれですね。まだ手を挙げていらっしゃる方でご発言のなかった方、鈴木委員。

    【鈴木(道)委員】結論だけ言いますと、先ほど局長からもお話がありましたように、このC案で進めていただいて結構だと思います。ただ先ほど来もご発言もありましたけど、この削減による環境基準の達成につきましては、地域ごとにいろいろあると思いますから、その評価方法、あるいは測定方法について今後こういった削減を進める上の評価ということで、きちっとフォローしていただくようにお願いしたいと思います。
      以上です。

    【部会長】ありがとうございました。時間が来てますんですが、はい。

    【満岡委員】今の新美委員の代理の説明員の方からもお話ありましたけど、このC案について私先ほどやはりこのC案というのはどういうことかなと、このベストミックスというのを、やはりもうちょっとよく考える必要があるなというふうに感じてます。C案にいくにしてもですね。
      それはなぜかというと、そもそも自主管理能力のあるような大量の設備を持っているようなところ、こういうところを法規制するわけですよね。ですからこれ自主管理できるところだというふうに自負してしまえば、自主管理をしたがって否定していると、法規制でいくんだと、こういうことになって、そのほかのところを自主管理しようと。そもそもここの委員会というか検討書のところでは、そもそも自主管理では不公平があるんで、広く法規制でやるという思想のもとにこの案ができているのかなという点を考えますと、ややこれちょっと矛盾していないかなと。私はこれ、CはA+Bなわけですね。すなわち大きいところは、はい規制ですと、そのほかのところは自主管理ですと、これA+BでAとBが融合しているわけではないように思うんですが、したがって私はやはり自主管理というものをどう考えるかということと、その自主管理を法的に何かしていく、そういう法というものがあって初めてA×Bというんでしょうか、ミキシング、融合したA・B案だというふうに思います。そのことだけ1つ言わさせていただきました。

    【部会長】ありがとうございました。いろんなご意見が出ましたんですが、大体ベストミックス、先送りみたいなところもあるんですが、議論がある程度まとまっているんじゃないかというふうに感じます。法規制でも自主的な取り組みでもそれぞれ実績や長所がありますが、両者を適切に組み合わせてより一層の排出規制ができる、そういうところを生かすということが1点と、それから自主的取組を促進する観点からいいますと、自主的取組の状況をよく勘案しながら、法規制は最小限、基本的なものにとどめる、こういったことが必要かと思います。
      それからもう一つありました自主的取組による排出削減が十分でないとしましたら、見直しがあってもよろしいし、それからさらにできれば、できればというか必ず達成しなきゃいけませんが、2010年度までに3割程度の削減をすることを目標にしたいということになります。これに対して、なお自主的取組のみによる方がいいんだという強いご意見もあったことも承知いたしました。ですから次回最終的な議論を行いますが、それに対して今のような線でもう少しC案をベースにした方向で、事務局の方でも考えていただくということで、最後に西尾局長からご発言をいただきます。

    【環境管理局長】随分議論を重ねさせていただきましたので、実はやっぱりこれは産業界も一生懸命取り組んでおられるし、私どもはしかし健康影響ということからやむにやまれずにお願いをしていると、その両方の考え方が食い違っているものではないと思いますので、きっとその解決ができるのだと思っております。そういう面では思い切って、きょうは議論の素材ということでありますが、私としては思い切ってCの方式を提示し、その内容をよくしていく。それから物の考え方として、自主管理でこれだけやってきたことをよく、まず尊重するというところからスタートして、全体の仕掛けを考えたらどうかと、こういうご議論もありますが、そういう工夫を大いにしつつ、企業の努力と行政の努力を相まって問題を解決できる新しいアプローチ、そういうものを高らかに唱えることができれば非常にいいわけでございますので、もう少しこのC案で少し敷衍したものをお書きして、次回にはご議論いただきたい。その中でもうそれはどうしてもだめだというようなことがなければ、ぜひそこの議論をしていただきたいな。一方では国民の健康被害ということがございますので、そういう敷衍したもので次回にはぜひ部会でのご判断をいただきたいというふうに思っております。よろしくお願い申し上げる次第でございます。

    【部会長】それでは定刻の時間を過ぎてしまいましたが、これで審議を終えたいと思います。次回は今局長がおっしゃったようなことで、最終的な素材をつくっていただきまして、それについての審議をしたいということでございます。本日はこれで終了しますが、事務局の方から何か連絡はありますか。

    【総務課長】次回の大気環境部会でございますけれども、正式なご案内は追って送らせていただきますが、2月3日火曜日、また午前10時から行いたいと思いますので、よろしくお願いします。

    【部会長】それでは本日の会議、どうもありがとうございました。ご審議のほどありがとうございました。これで終わります。