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■議事録一覧■

中央環境審議会平成20年度 循環型社会計画部会(懇談会)議事録


〈開催日時〉

平成20年10月23日(木)15:10~17:00

〈会場〉

ホテルメトロポリタン山形 4F「霞城」

〈議事次第〉
  1. 開会
  2. 議題
    第2次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況について
    1. 地域における循環型社会づくり
      [1]
      レインボープラン
      (市民と行政との連携による循環システム)
      [2]
      食品トレーリサイクル新庄方式
      (福祉施設等との連携による市民リサイクルシステム)
      [3]
      金山町・菜の花プロジェクト
      (幼稚園発、持続可能な町づくり)
(配付資料)
資料1-1 長井市/レインボープラン推進協議会 発表資料
資料1-2 株式会社ヨコタ東北(P&Pトレーリサイクル研究会)発表資料
資料1-3 学校法人金山学園めばえ幼稚園
(かねやま新エネルギー実践研究会)発表資料
(参考資料) ※委員のみ配付 ○会議終了後回収
参考資料1 中央環境審議会循環型社会計画部会委員名簿
参考資料2 循環型社会形成推進基本計画 ※○

○循環型社会推進室長
 ただいまから、シンポジウムに引き続きまして中央環境審議会循環型社会計画部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
 ここ山形におきまして、明日には3R推進全国大会という式典、3Rについての環境展、それから循環型社会形成に関する会議などが集中的に行われることを踏まえまして、循環型社会計画部会としては3回目になりますけれども、こうした行事と同時開催の形で行わせていただきます。
 本日の循環型社会計画部会の開催に当たりましては、会場の手配をはじめといたしまして、準備にご尽力いただきました大会実行委員会や、その他山形県の関係者の皆様、それからヒアリングにお越しいただきました皆様方に厚く御礼を申し上げます。
 本日は地域における循環型社会づくりといたしまして、山形における先進的な、優れた取組をご発表いただきます。まずはそれぞれの立場でご活躍されている方々をご紹介させていただきます。
 最初に長井市レインボープラン推進協議会会長の江口様でいらっしゃいます。江口様には市民と行政との連携による循環システム、レインボープランについてご発表をいただきます。
 続きまして株式会社ヨコタ東北環境教育チームリーダー柴田いずみ様でいらっしゃいます。柴田様には福祉施設などの連携による市民リサイクルシステム、食品トレーリサイクル新庄方式についてご発表いただきます。
 最後に学校法人金山学園めばえ幼稚園の園長の井上様からご発表をいただきます。井上様には幼稚園発の持続可能な町づくりとしての金山町菜の花プロジェクトについてご発表いただきます。
 さて、本日の配布資料につきましては、クリアファイルに入れていただいている資料の中に配布資料一覧がございます。もしも配布もれなどがございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
 それでは、以降の進行につきましては、崎田委員の方にお願いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○崎田委員
 それでは議事に入らせていただきます。今日は部会長の武内先生、そして部会長代理の浅野先生のご都合がつかなかったので、私、崎田が代理で進行を務めさせていただきます。
 この山形で大変多くの方が傍聴に来ていただきまして、私ども委員がいま背中を向けて、後ろを向いておりまして大変申し訳ございませんが、こういう形で環境省中央環境審議会の循環型社会計画部会を始めせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆さんもよろしくお願いいたします。
 それでは、今日はこの山形で、地域における循環型社会づくりということでお話をしていただきたいと思うのですが、今までの室長のお話などにもありましたように、大変大きな視点で低炭素社会、生物共生、そういうすべての視点を持ちながら持続可能な社会をつくるという、そのような中でその具体像を私たちの足元の地域から、地域性、そして資源性を活かしながら循環型を作って行く、こういうことが大変重要だと言われております。この山形の中で先進的にお取組みの3つの団体の皆さんから今日はお話を伺わせていただきたいと思っております。
 進め方なのですけれども、各団体15分程度ということで、大変短くて申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
 その発表の後に委員の皆さんからご質問などを発していただき、そしてお答えいただく。そうしてお3方順々にそうやっていくというように進めて行きたいと思います。そしてせっかく会場に大勢お越しいただいておりますので、その後、会場の皆さんからも質問などをしていただければありがたいと思っております。
 では、お待たせいたしました。最初に長井市のレインボープラン推進協議会会長の江口様からということで、どうぞよろしくお願いいたします。

○長井市レインボープラン推進協議会
 ただいまご紹介いただきました、長井市からやって参りました江口と申します。レインボープラン、レインボー、虹でございます。虹のプランになりますが、「虹」というのは始まるところから終わるところまで橋のようになっていますね。「レインボープラン」というのは、今、そして未来をつなぐ懸け橋というふうな意味合いもございます。
 本来でありますと、レインボープランはいろいろな方が視察に見えられます。約1時間ほどのパワーポイントを毎回使うのでありますが、今回は15分に短縮バージョンで作って参りました。ちょっと言葉足らずのところもあるかもしれませんが、どうぞご容赦ください。
 まず、長井市の紹介から少し始めます。人口約3万人でございます。一番下の自主財政26%、これが一番気になりましてですね。せんだって北海道のある町が財政破綻いたしましたが、長井市もその町の背中がすぐ見える位置まで来ておりまして、非常に行財政につきましては厳しい状況でございます。レインボープランというのは、こういった3万人ほどの街、そして農地、市街地と分かれておりますが、周辺地帯の農村地帯の約4千世帯、中心市街地5千世帯、こんなふうに分かれております街で興ったプランでございます。
 始まりは昭和63年、当時の長井市の市長さんが、長井市民有識者、いろいろな産業界関係者の方を集めまして、97名の方が集まった長井市デザイン会議というのが発足しました。その中から出来上がってきた議論の1つに、長井の食、農業、産業、こういったところへの不安が叫ばれたわけです。そこから生まれてきたのがレインボープランです。
 長井市は一次産業が非常に少のうございます。そして後継者不足ということも昭和63年当時には大きな問題でありました。現在、担い手の農家の方の平均が65歳ぐらいになりましたでしょうか。もうすぐ離農される方々がどっと増えてくる時代に入ります。そんな中で農業者が非常に憂えた時代が昭和63年でありました。まだバブルが崩壊するちょっと前のあたり、まだバブルの尻尾に地方もすがっていたような時代でありました。
 レインボープランでありますが、簡単に要約すれば、生ごみを資源として活かそうというプランなんでありますが、これはゴミ処理事業ということではないんです。生ごみを当初から資源として考えました。同じ市内から出る生ごみですね。これを周辺部、村にある田畑にすき込んでいく。そこから生産された農作物、お米とか野菜とか果樹、それを東京に出すのではなくて、東京の大田市場に持って行くのではなくて、長井のまず消費者がそれを食するという、地域の中で、まちとむらが連携して台所から出る生ごみを資源として活用して、そして地域のコミュニティーを再生していこうという、そういった事業でもあります。
 よく、視察にみえる方々は農業の振興プランの先進事例として視察に見える方も多うございます。けれども私たちがお話しするのは、これは街づくりのプランであるのだということを声高く叫んでおります。そして生産者と消費者がともに土に関わっていく、食と農に生産者、消費者ともに関わっていくという事業でもあります。これは後ほどまたご紹介しますけれども、今までは消費者というのはスーパーマーケットから生鮮野菜等を買いますけれども、どこからやって来たものか分からなくても、値段を見て求めるというのが多うございました。同時に、生産者も地元に消費者がいるにもかかわらず、一括集荷、あるいは流通の機構、市場の機構に乗っかって大都市に向けた生産態勢を整えておりました。流通でございます。
 同じ地域に住まいをしている者でありながら、消費者にとってみれば目の前にある畑のものが食べられないという非常に不幸な時代がありました。生産者も同じ地域に住む消費者に、消費という形で支えてもらうことなく、大消費地に向かって物を流通していたという時代があったわけです。そこへのちょっとした疑問が私たちもありました。
 それからこの事業は市民から立ち上がったプランではあるんですが、行政を巻き込んで行きました。今までいろいろな行政の施策は、上から行政側がプランを練って、これを市民に下ろしてきて、市民がそれを評価し、それをまた行政側が施策を実行に移すということでありましたけれども、レインボープランの場合は長井の市民が行政を動かしたと言ってもいいでしょう。最初のブランの立ち上げは3人の発想でありました。たった市民3人です。
 でも、いくらいいアイデアでも、3人の発想だけでは行政は動くはずがありません。ですからこの3人がいろいろな方々に声を掛けて、商工業者、教育関係者、産業界、あと病院関係者、医療従事者、いろいろな方々、各界各層の方々に声掛けをして、そして大きなチームをつくって議論を練り上げ、そして1つの形にしたものを行政に提案申し上げたという経緯がございました。大きな市民の声のうねりとなったこのレインボープランにより、行政もそれに参加せざるを得ない、あるいは行政も一緒に推進していこうという気運が生まれたわけです。これは住民自治の1つの表れでありましたし、行政とともにということを理念の中でうたっておりますが、これは今で言う協働の街づくりの本当のはしりだと思っております。
 生まれた背景を先ほどちょっとご説明しましたけれども、土が弱っているということがありましたですね。これは化学肥料、農薬等の効率的な生産という背景があったのでございましょう。ずっと戦後ケミカル農業への移行がありました。結果、農地が非常に弱ってきたということを、農家の方々が実感しておられました。そして食への不安があります。今でこそ中国からいろいろな物がやってくる時に、どうしても消費者は不安を感じてしまうという現実がありますけれども、昭和63年当時、もう既に消費者の方々は食への不安がございました。これは、果たしてケミカル農業で作られた作物は安全なのかということはもちろんですけれども、先ほども申し上げましたけれども、目の前にある作物が食べられないという流通機構への不安というのもありました。不信と言ってもいいかもしれませんがありました。
 それから当時焼却ごみを燃やしております焼却場の炉、焼却炉の老朽化が問題になりまして、これをなんとか炉を延ばしたい、先ほどの市の財政の状況から見ましても、焼却炉の延命というのは必要であると。そういう時に果たして何を燃やしているかと考えた時に、生ごみという殆ど水に近いようなものを大量の経費をかけて燃やしているという現実がありました。この水を燃やすということをやめて、炉の延命をしようということがあったわけです。それから農業にこだわっている地域の農業リーダー、それから町興しを願っている地域の方々の地域に対する非常な愛情と申しましょうか、これから地域をどうやって誇り高い地域にしていくかという、いろいろな議論がありましたけれども、その方々のリーダーたちの働きが非常に大きかったのであります。
 そして本当に声高く言わなければいけませんけれども、女性グループの活躍ですね。お母さん方の活躍です。生ごみの分別ということになりますと、お母さん方の非常な活躍の場であります。そういったお母さん方、女性グループの活躍、決心ですね。地域に対する女性グループの力を発揮するんだという決意、決心というものが大きく関係しておりました。
 レインボープランには3つの循環がございます。「地域循環」。ここの中にも2つがありまして、先ほど来、話し合われておりますが、物質的な循環がございますね。生ごみを資源として活用しようとする物質循環であります。有機質資源として活用するということでありますし、もう1つはまちとむら、人と人をつないでいこうという循環なのです。
 実は、資源循環というのはいろいろな産業界でももちろんやられています。ところが人と人がいかに循環していくか、回していくかということが、本当はこれからの地域、特に地方においては大事なんだろうというふうなことを考えております。支え合って暮らしていける地域というのが、本当に地域が小さくなればなるほど必要なことだろうと考えております。
 2つ目は「ともに」というものであります。協働の街づくりということでありますけれども、これは行政主導に住民が参加することではなくて、先ほど申し上げた住民が行政側に提案したことを、行政も汲んでくれて、それによってともに議論をして、そしてともに決定をして、ともに自治をしていく。行政マンも同じ市民でありますから、同じ生活者の立場に立てば課題の克服というのはそんなに難しくないということを実感して参りました。
 それから3番目、「土はいのちのみなもと」という言葉を理念に掲げております。これは土の中にいる微生物がすべての生命の根源であるというところ、微生物が排出したおしっこ、うんちみたいなものですけれども、それがビタミンであったりミネラルであったりするわけです。これは水質にも影響を与えますし、もちろん土壌や作物にも影響を与えます。この土の微生物の働きを無視しながら今までずっとケミカルな農業をやってきたということがありました。すべてにおいて山から流れてくる水も、これは実は豊富な山の腐葉土の中を通って来て、微生物たちがその水の中にたくさんミネラル、ビタミンを放出してくれるわけです。そうした水の影響を考えましても、結局は基をただせば土の中にある微生物ということになります。ですから「土はいのちのみなもと」ということをキーワードの1つ、理念の1つにしております。
 システムを簡単にご紹介いたします。まちの消費者が出しました生ごみ、これを水切りします。堆肥にする場合は水というのは大敵でありまして、いかに水切りをして量を軽くするかということが問題ですが、家庭の中で水切りをしていただいた生ごみを、コンテナでごみの収集所、これは週に2回収集いたしますが、市内約220カ所ほどございます収集所、その中で約30世帯に1カ所ほど収集所あるんですけれども、10世帯に1個ほどの割合で70L入る大きなバケツを用意いたします。そのバケツの中に水を切った生ごみを入れてもらうということですけれども、これを収集の委託業者が回収いたします。
 そして堆肥センターで約80日かけて発酵させて堆肥にいたします。この中には各家庭から出る生ごみ、それから稲作農家から無償で提供してもらいます籾殻があります。これは水分調整剤としての籾殻です。そして畜産農家からの家畜の糞尿を入れています。これ全部混ざったものが80日かけて発酵してコンポストに生まれ変わるわけですけれども、これをJAの購買部の協力で各農家、そして一般市民の方々も家庭菜園などを行っていますから、市民の方々もお買いになる場合がございますが、ここで販売されて、農家が野菜や米などを作ります。これを先ほど言いましたけれども、大都市へ流してやるのではなくて地域で消費します。これが地域の中で循環を進めているレインボープランの特徴でもございます。ですから決して農業振興ではないんですね。農業の所得向上のためのプランではないのです。ここのところが一時期、生産者の方々にもひんしゅくを買った時代があったようでありますけれども、今では生産者の方々にも地産地消という言葉が盛んに叫ばれております。生産者の方々も地元の方に食べてもらいたい、食してもらいたいという思いが近年ますます強くなって参りました。
 中央地区に5千世帯ございます。周辺地区約4千世帯、長井市全体では9千世帯余りであります。中央地区の方の生ごみを周辺地区、ここは殆ど田圃、畑なんですね。ですから、「市内全域から生ごみを集めないの?」というふうな話もよく質問としては受けるのでありますけれども、収集コストが莫大であります。収集所が点在しています。ここをずっと車が回って集めるのも大変なんでありますが、もともと周辺地区は農村地帯ですから、生ごみを家庭の中で処理して畑に戻していたということがございます。ところが中央地区に関しましては、住宅の密集地です。ここでは戻す土地がありません。生ごみを各家庭で堆肥に変えても戻す土地がないということがございました。それで中央地区で集まった生ごみを周辺地域で堆肥にして返してやるというまちとむらのつながり、循環ということもレインボープランでは提唱しております。
 これは水切りペールに生ごみが入っていますが、これは各家庭でこのような状態で水を切って、内側がざる状になっていまして、これを、冬で寒いんですけれども、ごみ収集所に集めます。このごみを集める時に、各家庭で何を食べたか分かってしまうんですね。収集する時に黒いごみ袋で集めたらいいか、などという議論もされたようでありますけれども、主婦の方々は、いや、この方がいいんだと、この方がコストも掛からないし、手間暇は掛かったにしても、こっちの方がいいよと。一番この方法がよかったのは、この中に金属片でありますとか、変なごみが入らなくなったんですね。というのは、いろいろな人の目がここに注がれます。あなた昨日なに食べたの?、から始まって、そんな時に近所の話し合いの中で、収集所の話し合いの中で、食べたものを見せっこするわけですよね、極端に言えば。そうしますと変なものは入れられない。堆肥にならないようなものは入れられなくなります。それでごみの選別の精度が格段に上がりました。年間1千トン集まっている生ごみの中で金属片は約40kgほどしかありません。小さなスプーン、誤って台所の三角コーナーに落としたスプーンとか、そんなものが多うございます。約4%ほどの金属片しか入っていない。この分別の精度というのがレインボープランの成否を分けていると言ってもいいかもしれません。
 委託業者が運びます。先ほど申しました堆肥センターで処理したものを土に戻す。これで育つ。これはホウレンソウでしょうか、こんなふうな、簡単に言えば循環なんでありますが、波及効果も出ています。これは年間1千トンの生ごみを焼却せずに堆肥に変えることによって、5千世帯の生ごみの殆どが田畑に返っている、ということが挙げられます。
 そして環境保全型農業の意義を明確にしたという、先ほど申し上げました土ということを皆さん、市民の方々が勉強するようになりました。土の意義、土が持っている力というものを勉強するようになりました。
 まちづくりへの市民の参加が促進された。これは先ほど申し上げましたけれども、市民からいろいろなプランを立ち上げて行政の方にも申し上げる、提言するということも可能だなということを、市民の方々も実感として感じるようになりました。
 市民の食と農業、まちとむらが近づいた。これに関しましては、先ほど申し上げましたけれども、まちの市民が出した生ごみが周辺部に回るということでありますから、消費者と生産者のつながりがこれで明確になったということであります。
 環境学習、地域学習への貢献ということでありますけれども、これは子供たちの小学校、中学校、高校も含めて、教科書、副読本などにレインボープランというのが盛んに取り上げられました。それを使って学校教育の中でも地域の中の食ということでありますとか、環境でありますとか、そういったことを日ごろから勉強するようになっております。
 あと、異業種間の連携による商品づくり。これは野菜とかお米を使った商品開発ですね。あとは飲食店でありますとラーメンとか、もてなし料理にもレインボープランから出来上がった作物は貢献しております。
 それから環境保全に与えた影響。これは可燃性ごみ、生活系でありますけれども、可燃ごみの約3割が焼却に回らずに堆肥に変わったということであります。これは結果としてこうなりました。実際、どのぐらいの生ごみが集まるかというのは、いろいろ実験もしてきた経緯はあったんですけれども、実際、今でも年間約 900トンから 1,000トン集まっております。可燃性のごみというのは、若干最近少なくなって参りました。どういうわけでしょうか、やっぱりリサイクル、いろいろな環境への配慮をした生活が一般化したこともあるかもしれません。可燃系のごみが少なくなってきたんですけれども、まだそれでも3割ぐらいのごみが減ったと。これはレインボープランがスタートしてからの思わぬ副産物と言ってもいいかもしれません。
 海外への拡がりがあります。これはいまタイのカラシン県ポン市というところでは、レインボープランもそうですが、地産地消の農民市場というのが町中で展開されております。そしてブアカオ市というところではレインボープランという名前で、やはり飲食店と各家庭から出る生ごみを集めて堆肥化して、それを地域の農産物の生産に活かしているということがございます。タイではケミカル農業が一般的でありまして、殆ど化学肥料をアメリカから買い、そして農家の方々も、農家でありながら自分が食べるお米がなくて、すべて輸出に回しているという状況がございました。農家の豊かさ、農村地帯の豊かさとは何かということをタイではレインボープランを通して学んだのだと思います。地域の在り方ということをタイでも考えて、今ではレインボープランという名前でタイの国でも拡がっております。
 レインボープランをともに支え合う地域づくりということを標榜しております。単なる循環型社会づくりということではなくて、資源循環ということではなくて、誰が地域を支えるか、地域の誰が誰を支えていくのかということを実感できる地域づくり、そんなことを考えながら進めております。「思いやりとやさしさの地域づくり」ということです。
 学校教育にこんなふうに活かされております。給食にも、今レインボープランから出来たお米が全量学校給食に入っております。
 2つのNPOができました。これは生産団体なんですけれども、生産を消費者の方々が手伝っていこうということです。消費者がボランティアとして圃場で作業をして、野菜、米等を作っています。このNPO法人・レインボープラン市民農場というのができました。そして消費者に直接届ける、野菜やお米を届けるということで、レインボープラン市民市場「虹の駅」というNPOもできました。ほかにもレインボープランの野菜は現在地元資本のスーパーマーケットのインショップ、あとは農協の直売所等でも販売されています。少しずつ認証マークがついた野菜やお米が市民の方々の食卓に上っております。
 少々長くなってしまいました。これで終わります。

○崎田委員
 ありがとうございます。もともと15分というのが大変なお願いで申し訳ございません。委員の皆さんからのご質問、取り敢えずご質問のある方、ちょっと挙手というか、合図をお願いできますか。
 それでは皆さんおありのようですので、横山委員の方から順に、質問を全部言っていただけますでしょうか。そして最後、全部聞いてからまとめてお答えいただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○横山委員
 2点ぐらいお願いしたいんですが、まず1点は今度の新たな循環計画で地域循環圏という言葉が出てきたわけですが、まさに江口さんのお話なさったのは、その地域循環圏の非常にいい例だと思いますけれども、この基本計画の地域循環圏のことについては、なんかお考えがありますか。ちょっと変な質問で申し訳ないんですが。それからなぜ成功したかというのを私もずっと考えていたんですが、長井市の規模とか人口とか、あるいは取り組んだ方々の熱心さとかいろいろあると思うんですが、江口さんは何が成功の秘訣だったと思うかということです。以上です。

○崎田委員
 ありがとうございます。それでは桝井委員、お願いします。

○桝井委員
 大変感銘深いレインボープランのお話を伺い、大変これは面白いということを改めて思いました。このお話を伺っておりますと、最初からこれはごみ処理事業でもないし、農家の所得保障でもないんだと。要するに最初はよく、この手の話では横文字が出てきて、あるいは役所の方が実験的な循環型をやるというような形で始まるのが多いんですけれども、これはまさに中核が最初は市民の3人の方が始められ、なお基本的なコンセプトが土だと、まず土がいかに大事かというところから始まっているところですね。私、ここのところでやはり、最初の3人の方の、かなり哲学的なものがあると思うんです。ここの始まりのところが非常に重要なんで、ここのところがどのような形で土という形に思われたのか。しかもバブルがはじけようとしている、そういう皆がバブルに躍っている時にこのような考えを持たれた3人というのはどのような方々で、どのような思いでやられたのか。ここは非常に重要なことで、今この時代になって、ますますその重要性、あるいは新しさが私は注目されるべきではないかというふうに思います。
 もう1つは、それだけここまで「まちとむらがともに進む」という形をやって来られて、いろいろNPOを作ったり、最近はしておられるわけですが、恐らく新たな、非常に難しい問題を抱えておられるのではなかろうかと、その辺を率直にお話しいただければありがたいと思います。

○崎田委員
 はい、ありがとうございます。それでは庄子委員、お願いします。

○庄子委員
 私も大変素晴らしい、いい進め方で、これまでやって来られたということで感心して聞いておりました。特に循環型社会形成推進基本計画の今後の課題を、このレインボープランがすべてクリアしているように思います。今後もこの形で進めていただきたいと思います。1つだけお聞かせいただきたいことは、これを進めるに当たっては、各階層の人の参加が必要ではなかろうかと思うんですね。そういう点では、どのような階層の方がこれに参画されていますか。特に街の方ですね。多分各階層の方々がこれの推進の役割を果たしているのかなと思いますので、それをご説明いただけますか。以上です。

○崎田委員
 各お立場というようなことでよろしいですね。はい、ありがとうございます。佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員
 では1点だけ。この仕組みの中で堆肥センターが果たす役割というのが非常に大きいと思うんですが、そのコストと言うんですかね。そこのところが実際に販売価格でどのぐらい埋まっているのか。逆に農協さんの方で買ったものが農家の方へ売っていると、その関係の中でコスト的に本当に回っているのかどうかというのをお聞かせいただければと思います。非常にいい取組だと思います。

○崎田委員
 はい、ありがとうございます。それでは坂本委員と江口委員、質問をシンプルにお願いします。

○坂本委員
 坂本です。私も子供の頃は京都の田舎で育ちましたから、昔は生ごみは全部そうやって畑に持って行っておりましたけれども、私、いま練馬で住んでいるんですが、自分でコンポストみたいなものを、小さな庭のところに置いて、そこで出来たものは庭木にやったりしているんですけど、この地域では中心部はそういうものがないとしても、周辺の人はやっぱり個人的にそういうことをやっておられるんじゃないかということが1つと、それからいま佐々木委員からコストの面が出ましたけど、どんな組織で、いくらぐらいで売って、それでどうなっているのかとか。それからコンポストというのは、どんな形でどうやっておられるのか。非常にシンプルな、タイなんかでやっているような同じコンポストと同じやり方をやっておられるのか、その辺、お金の面がどうなっているのかということをちょっと教えてもらえればと思います。非常にいい取組だと思います。東京でいろいろ議論してますが、具体的にはやっぱりこういうことをやらなければいかんと思います。ありがとうございました。

○江口委員
 ちょっとお伺いしたいことは、レインボープランというのは何回か来て聞いてるんですけれども、非常に元気がいいと。その協議会のエネルギーの源泉は何なのかと。そして2つ目に、この広域的な循環系をつくる上において、長井モデルというのが山形県でどのぐらい普及してるのか。あるいは同様に、他県でもってレインボープランを具体的に取りあげたところがあるのかどうか、その辺のところをちょっとお聞かせください。

○崎田委員
 ありがとうございます。江口さん、全員がいま質問をさせていただきましたが、まとめてポイントでお答えいただいてかまいませんので、5分程度でおまとめいただけると大変ありがたいのですが。よろしくお願いいたします。

○長井市レインボープラン推進協議会
 まず3人の方がスタートだったと申し上げましたけれども、2人は農業者、もう1人は教育関係の方でありました。ですから土を憂えた方と、子供たちの未来を憂えた方がスタートだと思います。そして一番問われますコストの問題です。これは市が運営しておりますコンポストセンターは年間約3千万以上の経費を掛けているんですね。具体的には今ちょっと時間がありませんので申し上げられませんけれども、コンポストを販売した収益というのは2百万にも届かないぐらいの収益です。プラマイするとどうか、となりますよね。そうすると赤字であるから、これは早くやめなさいという議論も。今までそういうお叱りもいろいろな方々から受けて参りました。ところが、生ごみを燃やさないということを考えますと、ごみを約1千トン燃やさなくて済みました。1トンあたりの焼却費用というのは、いろいろな試算にもよるんでありましょうが2万5千円とか3万円ということも聞きます。仮に3万円を掛けないでプラス1千トンということでは3千万円、ここで燃やさなくて済んだということになりますね。そうしますと実際のコンポストセンターのランニングコストは掛かっておりますが、焼却せずに済んだ費用をプラスしますとそんなに大きなマイナスではない。このマイナスを、長井市に約9千世帯ございます、計算しますと9千世帯で1世帯年間約千円弱ぐらいのご負担なんですね。さて、1世帯千円弱の負担というのは、子供たちの未来へのプレゼントとしての考え方、そしていま生きている方々へのプレゼント、生命への考え方ですね。そういったことのメッセージ性を考えますと1世帯千円弱のご負担というのは、果たして大きなご負担なのかということになります。
 ほかの道路でありますとか、いろいろな公共施設の建物でありますとか、すべて税金が投入されてコスト、維持経費に掛かっているわけですが、これを長井市民がみな払っておりますね。レインボープランのこの考え方、理念に共鳴してくだされば、1世帯千円弱のご負担というのは決して高いものではないということを申し上げてご理解をいただいている次第です。

○坂本委員
 それはあれですか。市民からちゃんと取るわけですか。千円の負担というのは市民から・・。

○長井市レインボープラン推進協議会
 いえ、取っていません。税金がそこに使われているということですね。

○坂本委員
 市はそれをきちっとフォローしているということですか。

○長井市レインボープラン推進協議会
 そうです。
 それから協議会のエネルギーとおっしゃいましたけれども、私自身、農業者ではございません。私は漆塗りを生業としております。それこそマイ箸を作っている当事者なんですけれども、やっぱり環境とか教育とか、そういった方面に関心が高い市民が多いのだと思っております。そして自分の労苦を厭わないでまちの将来を議論するというのが好きな人間と言ったらちょっと語弊がありますけれども、積極的な市民が多いということだと思います。これは先人たちもそうであったようです。自力で、自分のお金を投資して山に道を作ってみたり、そんな先人たちも多かった。そんな風土がもともとあるかもしれません。
 ほかの地域でもレインボープランということを、レインボープランではないんでありますが、生ごみを堆肥化して、それを畑・田圃にまいているというところがございます。長井がレインボープランに取り組む前の先進事例もたくさんございました。宮崎県の綾町でありますとか、栃木県の野木町でありますとか、岩手県の紫波町、いろいろなところに私たちも視察研修に行かせてもらいました。まだまだ元気な地域がたくさんあります。ただ、長井の場合は農業振興ではなかったということが、意外と長続きをした原因ではなかったかなと思っています。つまり、収益が上がるか上がらないかで切り捨てられてしまうプランではなかったということですね。もうちょっと遠い未来まできちっとした哲学、理念、思想まで含めたものを私たちはメッセージとして持っているということであります。

○崎田委員
 あと、課題と地域循環圏についてのご意見など。

○長井市レインボープラン推進協議会
 課題につきましては、農業の振興策ではないということを申し上げておりながら、やはり農業者の協力というものが絶対的に必要であります。ですから農家の方々の意識をどうやってこれからもずっと向上、醸成させていくか、あるいは消費者の方々、やっと長井でもマイバックを持って買物をするというふうになって参りましたけれども、消費者の方々の消費意識、地域のものを買おう、地域の農家の方々を支えようという、そうした意識をこれからどうやって醸成させていくかということが課題ではございます。もう1つは何でしたっけ。

○崎田委員
 先ほど地域循環圏というような、これから考え方を明確にしようということで大森さんがお話されましたけれども、どういうふうにお感じになったか。

○長井市レインボープラン推進協議会
 いま長井の街、3万人の街であります。周辺部にも小さな町がたくさんございますが、それがすべて連携ということにはなかなかいかないんだろうと思っています。市町村合併の話ももちろん進んでおりますけれども、では行政規模が大きくなればすべてこういったリサイクルも規模が大きくなっていいかと言うと、システム的には可能かもしれません。けれども、そこには住まいする人、あるいは生産する人、消費する人の顔が見えてきません。ですから自分の生活圏ということをやっぱり基本単位にしながらつなげていく、同じ自己完結型の生活圏を少しずつ増やしていくということが、結果的には持続可能な地域づくりにもつながっていくんだろうと思っています。これは私の私見でありますけれども、そんなふうに思っています。

○崎田委員
 本当にいろいろとありがとうございます。なお、これは循環基本計画、第二次循環基本計画というのが今年の3月に見直されて出来たんですけれども、今後、これのきちんと運用に向けて皆さんのご意見を参考にさせていただきたいというふうに思ってやっております。どうもありがとうございました。

○長井市レインボープラン推進協議会
 ありがとうございました。

○崎田委員
 どうもありがとうございます。本当に素晴らしいお話のエッセンスということでお話しいただき、意見交換をさせていただきました。
 それでは株式会社ヨコタ東北の方から、皆さんのご活動と、そして何か今の課題とかご提案とかあれば、まとめてお話しいただければ大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○株式会社ヨコタ東北
 皆様こんにちは。新庄市にございます株式会社ヨコタ東北の柴田と申します。
 本日はこのような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速でございますが、市民・福祉施設の連携による食品トレーリサイクル新庄方式についてご説明させていただきます。
 まず、当社について簡単にご説明させていただきます。当社はお豆腐の容器をメインといたしました食品プラスチック容器の成形メーカーでございます。昭和54年に創業いたしまして、各種の食品容器を製造・販売して参りました。しかし、家庭ごみの3割とも4割とも言われますのが食品トレーでございます。先ほど長井市さんのレインボープランのご紹介をいただきましたけれども、家庭ごみの大半を占めているのが生ごみ、そして私どもなどが製造しております食品トレーではないかと思われます。
 ごみになりがちな食品トレーをどうにか回収してリサイクルできないものか、環境について、また環境保全に貢献していきたい、企業としてもごみを製造している企業であっては未来はないのではないかと、そういった思いがございまして、平成15年5月に社会福祉法人の山形県手をつなぐ育成会「友愛園」、そしてNPO法人「たんぽぽ作業所」、そして当社の3者によってP&Pトレーリサイクル研究会を結成いたしまして、平成16年11月から食品トレーリサイクル新庄方式をスタートさせました。
 この事業の具体的な内容でございますけれども、それまで焼却処分されていました使用済みトレーを回収しまして、再生原料に戻すというふうな事業でございます。その事業に携わっているのが障害を持った皆さんということになります。資源の地域循環と同時に、障害者の方々が環境保全という大変重要な課題に参加することによって、誇りを持った社会の一員になっていただくということ、それから就労機会や収入を得て生活の自立を図るというのがこの事業の最大の目的でございます。
 この新庄方式というトレーリサイクルに大きく関わっておりますのが、当社が開発いたしました「P&Pリ・リパック」という製品でございます。是非こちらをご覧いただきたいと思いますが、これが当社が開発いたしました「P&Pリ・リパック」という製品でございますが、角を折り曲げますと、聞こえましたでしょうか、パキッと折れまして、こちらをちょっとつまみますと、最上部の薄いフィルムがこのように簡単に剥がれるようになっております。トレーでも、缶でも、ペットボトルでも同じでございますけれども、リサイクルするためにはきれいな状態で回収させていただかなければなりません。ただ、きれいな状態にするというのは、なかなか毎日忙しい生活の中では面倒だというふうなことが、どうしても消費者の方にはあって、ついポイッとごみにされがちなものではないかと思います。
 当社のこの「リ・リパック」は、汚れはフィルムに付着していますので、剥がしたフィルムだけがごみになりまして、剥がし終えたトレーはきれいな状態で回収することができます。その剥がし終えたトレー本体の、これしか厚みはございませんけれども、真ん中の部分に社会福祉施設さんで製造いたしました、障害者の皆さんが一生懸命働いて製造してくださった再生原料が使われております。
 障害のある方がこの事業に参加していただくきっかけになりましたのは、当社の社長が、かねてから障害者の自立支援というのが重要な社会課題であると考えていたからです。全国には 655万人の障害を持った方がいらっしゃる。国民の5%が何らかの障害を持っているというふうに言われておりますけれども、その中で知的障害を持っていらっしゃる方が45万人というふうに言われております。この事業に参加してくださっております知的障害者の方は、比較的軽度の方でいらっしゃるんですけれども、特性としまして大変仕事に対して根気強く当たるというふうな特性を持っていらっしゃいます。このリサイクルの作業と言いますのは、比較的軽作業で、安全性が高いというふうな作業でもございます。それで是非この障害者の皆さんにこの事業に携わっていただけないか、そうすることで自立への一歩につなげてほしいと、そういった思いからこういった新庄方式という食品トレーリサイクルをスタートさせました。
 では新庄方式の仕組みと役割についてご説明させていただきます。こちら、簡単にトレーの仕組み、リサイクルの仕組みですね。トレーの流れに沿って資料を配らせていただいておりますけれども、まず地域住民の皆さん、消費者の皆さんということですが、スーパーからお買い求めになられました食材を使い切っていただいた後に、家庭から使用済みのトレーを、またスーパーさんに買物に行くついでにお持ちいただきます。当然、きれいな状態にしてお持ちいただくということが条件でございます。当社のトレーであればフィルムを剥がしていただいて、他社さんのトレーも回収対象でございますので、他社さんのトレーであればきれいに洗った状態でスーパーさんの出入り口に設置してあります回収ボックスにお持ちいただきます。スーパーマーケットでは、回収箱を点検、そして袋交換を行ってトレーをまとめて保管しておきます。このスーパーマーケットから回収しておりますのがNPO法人の「たんぽぽ作業所」さんです。
 「たんぽぽ作業所」では、回収いたしまして選別作業を行っています。この選別というのがなかなか手間が掛かりまして、作業としては大変な作業でございます。と言いますのも、全体の1割はごみが交じっているんですね。例えば私どもの製品でありませんでも、他社さんの製品であっても混ぜてリサイクルできると申し上げたんですけれども、ペットが混ざっているもの、それから塩ビが混じっているものは、最近はあまり塩ビの混じってる食品トレーというのは少ないかと思いますが、ペット製品はまだまだ、一概には言えませんが、卵のパックですとか、それからフルーツトレーなどには数多く使われているかと思います。そういった塩ビ、ペットが混ざっているもの、それから当然汚れがひどいもの、それから例えば陶器ですとか、お茶碗のようなものが、本当にこれは絶対無理だろうというような鍋のようなものとか、そういったものも稀に交じってくるというふうに、たんぽぽさんから報告をいただいております。
 それからペットボトルですね。それからスチール缶、アルミ缶、牛乳パック、こういったものもスーパーさんの回収ステーションには、それぞれ別々に回収箱を設置しておりますけれども、市民の方が1つの回収ボックスにまとめて入れてしまうというふうなこともまだございまして、交ざって回収されてくることもございます。たんぽぽさんでは、ペットボトル、それから缶、スチール、アルミ両方ですけれども、牛乳パック、紙パック、そういったものはリサイクル業者さん、産廃業者さんの方にお渡ししているということで、ごみにはなっていないんですけれども、全体のごみが1割、ペットボトルなどを含めた、そういったリサイクルに回せるものが1割というふうな現状でございます。
 このたんぽぽさんでは、現在、利用者の方が10名この選別作業に携わっていらっしゃいます。色別に仕分けをいたしまして、スーパーさんの店舗ごとに計量しまして、社会福祉法人の山形県手をつなぐ育成会「友愛園」に運びます。この友愛園さんでは、トレーをリサイクルマシーンにかけまして、再生原料のペレットを製造しています。友愛園さんの場合ですと、この事業に携わってくださっておりますのは7名の園生の方です。先ほど申し上げませんでしたけれども、このたんぽぽさんの場合ですと産業廃棄物の収集運搬の許可を受けております。友愛園さんの場合は、産業廃棄物の処分業の許可を受けております。友愛園さんの場合は、土地・建物は新庄市が提供しておりまして、リサイクルマシーンは当社が無償で提供させていただいております。
 この友愛園さんで作っていただきました再生原料を当社、ヨコタ東北が買い取らせていただきまして、多かれ少なかれ全量買い取らせていただく契約をさせていただいております。そして当社の先ほどご紹介させていただきました、こういった「リ・リパック」などの、いろいろな製品がございますけれども、本体の真ん中に使用させていただいているということでございます。スーパーさんをはじめ、各種の全国のイベント会場、本日は全国からのお客さまということでございますけれども、山形は日本一の芋煮会というイベントが行われます。日本一の芋煮会をはじめ、県内でもさまざまなイベント、そして全国のイベントや大学生協さんなどでご使用いただいております。
 この新庄方式の特徴でございますけれども、収集と選別、また再資源化のペレット化作業に障害を持っていらっしゃる方々が携わっていらっしゃるというのは今申し上げた通りなんですけれども、市民の方、トレーは回収できなければリサイクルできないわけでございますので、いかに回収できるかというのが一番のポイントでございます。市民の方にご理解をいただいて、お持ちいただくというのが一番のスタートでございますので、市民の方のご協力と、それからスーパーマーケットと行政のご協力を得て新庄方式というものは運営させていただいています。また回収できるトレーの種類が多いというのも、ちょっとお話が同じになってしまうかもしれませんが、当社のトレーであればこのように剥がすタイプのもの、他社さんのトレーであればこのように色、柄物、インスタントラーメンのカップなどもございますが、こういったものも混ぜて処理することができます。先ほど申し上げましたようにペットが混じっているもの、塩ビが混ざっているものは駄目だと。ちなみに銀トレー、金トレー、紙シールが貼られているものなども対象外でございます。
 この新庄方式は平成16年11月にスタートいたしまして、もう間もなくまる4年になります。現在、新庄市をはじめとしまして8市町村の人口11万人の地域で、スーパー11店舗から回収しております。稼働当初の4年前は1カ月の回収量が約 2,500kgでございました。4年経過しました現在はその倍になりまして、およそ 5,000kgということで回収量が増えております。
 また、新庄市、最上町では小学校でトレーリサイクルに取り組んでおりまして、子供たちが登校します時に家庭から出ました使用済みトレーを持参しております。近所の、例えば老人世帯にも、おじいちゃん、おばあちゃん、トレーない?というふうに声掛けいたしまして、トレーを回収してくださっています。老人世帯のおじいちゃん、おばあちゃん方からは、子供たちの笑顔を見るのも楽しみの1つになったなんてことで、地域のコミュニケーションにもつながっております。子供たちは新庄方式に参加しながら、体験学習によってごみと資源の違いというものを学習しています。
 また、P&Pトレーリサイクル研究会では、店頭での回収量の増加、それから回収の徹底に向けてPR活動を行っております。また、当社では、こちらにございますけれども、見学施設を設けておりまして、資源の大切さ、またリサイクルの必要性を子供さんから大人の方まで見学して学んでいただけるようにということで、このような見学施設がございます。山形県の環境学習支援施設の団体にも認定いただいております。年間 3,500名様の見学者をお迎えさせていただいておりまして、子供たちがその中の3分の1でございます。地元の子供さん方ですと、毎年3年生、4年生で見学というふうな例も大変多くございまして、社会科の総合学習の時間ですとか、それから遠足等で見学に来ていただいております。また、明日、明後日、25日には今回この3R全国大会のエコツアーの方も企画をいただいておりますので、是非ご参加いただければというふうに思っております。
 ではちょっと時間の方も迫ってきているかと思いますが、新庄方式は現在、私どもの地域だけではなくて、京都府の舞鶴市、それから神奈川県の横浜市、そして三重県の四日市、今年5月からは愛知県の東海市でも稼働しております。5府県、8施設で参加いただいております。福祉施設では以前に比べまして、後ほどご質問をいただくのではないかと予測いたしますけれども、工賃がおよそ2倍、この作業に携わっていただく前に比べまして2倍の工賃を支払っていただけるようになっております。例えば、愛知県の東海市の場合ですと、現在、10人の方がこの作業に携わってくださっておりますが、1カ月の工賃が8万円から10万円になっております。今年7月に私もちょっと視察にお伺いいたしましたけれども、本当に活き活きと、これは私ども地元新庄方式のたんぽぽさん、それから友愛園さんも同じなんですが、誇りを持って活き活きと作業に携わってくださっております。こういった収入を得ることによって自立への一歩につながるというふうなこと、一歩前進して障害者の方にとっては大きな励みになっているというふうな、大変うれしいお話も私どもの方にいただいております。
 こうした取組が評価されまして、このように2006年にはアメリカの気候保護省、昨年は朝日新聞社の企業市民章、今年はソーシャルエコビジネスの環境大臣賞。明日表彰式ということで功労者団体の環境大臣賞も今年頂戴させていただくことになりました。これらを励みに、限りある資源を子供たちに残して行けるように、それから障害者の就労機会の拡大と自立支援のために、私どもは環境を通して地域社会とともに歩んで参りたいなと考えております。このたびこの山形で3R全国大会が開催されたことを機に、このシステムが全国に拡がることを期待しております。
 本日は大変ありがとうございました。これで終了させていただきます。

○崎田委員
 ありがとうございます。山形の芋煮会でも確かこちらは活用されたということで、委員の皆さんでご質問のある方はちょっと合図をお願いします。
 では、坂本委員と横山委員ということでお願いいたします。

○坂本委員
 坂本です。豆腐のパックということでやっておられるということで、これは福祉の関係、環境省の事務次官をやっておられた炭谷さん、あの人との関係でやっているんですか。そうじゃなくて、違いますか。炭谷さんがですね、先般、いろいろ私の方で講演会やってもらった時に、豆腐のパックを作る人たちと、それから福祉、その障害のある方たちと言うんですか、そういう人とのセットでやるということで、非常に熱心に勧めておられて、舞鶴がやり出したというのも、あの辺の豆腐屋さんの関係もあるんでしょうかね。

○株式会社ヨコタ東北
 炭谷前事務次官様にも、当社にもご見学においでいただいたことがございまして、環境福祉学会でも事例紹介ということでさせていただいたことがあるんですけれども、この新庄方式というふうな取組を高くご評価いただいておりまして、私どもとしましても大変お世話になっております。是非、この取組を全国に拡げられないかということで、いろいろなお力添えをいただいているところでございます。

○坂本委員
 そうですか。まあ、そういうふうなことをちょっと聞きましたので。頑張ってください。

○株式会社ヨコタ東北
 ありがとうございます。

○崎田委員
 ありがとうございます。それでは横山委員、お願いいたします。

○横山委員
 私も環境と福祉をつなぐということに大変興味を持つと言うか、感心しました。それでですね。子供たちもいろいろとこの問題に関与しているというか、環境学習とか環境教育の問題でこういう取組を通して学んでいると思うんですが、その子供たちが、障害者が加わってやっている試みだということに、どういう反応を示しているんでしょうか。それを教えてくれますか。

○崎田委員
 ほかにありますか。では桝井委員、お願いします。

○桝井委員
 せっかくそこに映っておりますので。受賞で映っておりますのでお伺いしたいんですが、2006年ですよね。この日本に先駆けてやはりアメリカの方が早くこの業績を見て賞をいただいておられるようですが、この気候保護賞ということの意味ですよね。何と言いますか、この循環型社会というか、こういうふうな活動はですね、地域循環を含めて。これは気候、要するにCO2 を含めて気候変動問題になかなか数値化されないような感じが多いんですけれども、実は非常に貢献している部分があると私は思うんですが、これはアメリカ側の環境保護局、NPOを活かして、この業績に気付き、この受賞に至られたのか、簡単にご説明いただければと思います。

○崎田委員
 ほかにご質問は。では庄子委員が最後にお願いいたします。

○庄子委員
 大変素晴らしいと思いました。教えていただきたいことは、私自身経団連の廃棄物リサイクルの責任者として、京都議定書から10年間務めてきましたが、何せ産業界で一番困っておりますのは1万個作れば1万個のリサイクルがあるということです。このリサイクルアメニティの立ち上げにはどれくらい掛かって、ここまでヨコタ東北はこられましたか。

○崎田委員
 どれくらいというのは、コストのお話ですか、時間の話ですか。

○庄子委員
 時間的なものと、それからコスト計算というのは、やはりヨコタ東北は企業ですから、そういうものに関してもあると思います。それらをどのくらい掛けておやりになったのか教えていただきたいと思います。

○崎田委員
 それではお答えの方、よろしくお願いいたします。

○株式会社ヨコタ東北
 分かりました。では、最初に子供たちが障害者の方が参加するということに対してどんなふうにということでありますが、やはりリサイクルの先進国を例に挙げましても、スウェーデンですとかブラジルのグリチバシなんかもそうですけれども、特にスウェーデンなどでは小さい頃から、4歳からリサイクルについて学ばせていると。それは家庭でも学校教育においても、分別に対してものすごく徹底して指導している、教育している。読み書きを覚える前からリサイクルだというふうな、そんなお話もお伺いしております。子供たちのリサイクルというのは大事なんだよというふうな、自然を守ることにもつながるんだというような、そういった意識を高めるというのが、大人になってからではなくて、小さい時からそういった意識付けをするということが一番大事なのではないかなというふうに思います。それにプラスしまして、障害を持った方も、それからそうでない方も、同じ社会の一員なんだというふうなことを、やはり小さい時から、ちょっと障害があって、ちょっと言葉がこうだ、ああだということではなくて、一緒に働いて、一生懸命働いている姿を子供たちに見せるというのが、閉鎖的ではなくて、逆に開放して、子供たちに見ていただくというのが、本当の意味での教育なのではないかなというふうに考えております。子供たちの反応というのは、そうですね、どうしても社会科の授業の時には私どもの方の工場に見学に来ていただいておりまして、私どもの工場には障害を持った者はおりませんので、実際に子供たちの反応というのは間近で見ているというふうに断言できないんですけれども、大して子供たちが一歩引いているというふうなことは全くないかと思います。
 また、どのくらいの時間ですとか、コストが掛かったかということでございましたでしょうか、時間的にはこのP&Pリサイクル研究会と言いますのは、先ほど申し上げました福祉施設、2施設とも私どもと三者によって結成されているものでございますが、新庄市、行政が大きく関わってくださっております。ただ、この新庄方式をスタートさせます時に、一体私どもの11万人の地域で、どのぐらいのトレーが集まるんだろうと、集められるんだろうと。まず小学校を回収拠点にして、実際集めてみようじゃないかというふうな、モデル事業と言いますか、実験を行いました。それを行いたい、調査したいというふうなことがあったんですが、なかなか経費が必要になりまして、その必要経費のこともあって、行政には県から補助が下りませんので、民間、そういう補助金の受け皿として民間で立ち上げたと、リサイクル研究会を立ち上げたということでございます。ただ、申し上げたいところは、書類申請ですとか、産業廃棄物の処分業の許可、商品運搬の許可もすべて、書類申請などは新庄市の行政の方がいろいろとご指導くださいまして、許可をいただくことができました。
 そうですね、福祉施設さんの形態と言いますか、規模の大きさにもよるかと思いますが、新庄方式の場合ですと2年半ぐらいで確立しております。コスト的なものと申しますが、採算が合うかどうかということかと思いますが、友愛園さんも、たんぽぽさんも採算は合っております。潤っております。ただ、たんぽぽ作業所さんの場合は、いま11店舗、人口11万人の地域から回収しているトレーというのは、1カ月に 5,000kgと申し上げた通りなんですけれども、それだけではまだちょっと足りないところです。ただ、私どものこの食品トレーを扱ってくださっておりますスーパーさんが5店舗ございますが、そこと契約しまして、発泡スチロール製の大きな箱、魚箱、市場などでよく使用されるような、ああいったものの処理の委託料を契約していただいております。そういったこともありまして採算は合っていると、利益を得ているということでございます。
 友愛園さんの場合は、新庄方式のその 5,000kgの回収量のほかに、平成18年度の環境省さんのエココミュニティー事業というのがございまして、地域拡大のために、同じ山形県の中で鶴岡地区というところがございます。そこでも回収のモデル事業を行いまして、現在も継続して行っております。そこから約 2,000kg、毎月回収されて参ります。ただ、やはりそれだけでは実際のところ、まだ採算が取れていると言い難いところがございまして、私どもの工場で出ました端材、トレーを生産した余りものを友愛園さんの方にお持ちしまして、原料にかえていただいておりますので、十分潤っているということでございます。

○崎田委員
 ありがとうございます。すみません、素晴らしい活動のお話に、時間ばかり申し上げて申し訳ありません。いろいろな補助事業とかモデル事業などをうまく活用されて、いま整備されているというふうに理解させていただいてよろしいわけですね。

○株式会社ヨコタ東北
 はい。

○崎田委員
 はい。ありがとうございました。あと気候保護賞のお話がありましたが、何かひとこと言っていただければ。

○株式会社ヨコタ東北
 そうですね。環境保全効果ということになるかと思いますが、ライフサイクルアセスメントというふうなことになるかと思いますが、環境負荷がどのぐらい低減できているのか、というふうなことなんですけれども、東京大学の安井研究室というところがございまして、そこに依頼いたしまして分析いたしました結果、回収率60%の場合で廃棄物の削減率が60%、CO2 の削減率が50%、エネルギーの削減率が30%というふうな結果が得られております。そういったものを、ちょうどつくば市の方にございます機関の方に私どもで報告いたしまして、それでアメリカの環境保護局の方にそういった連絡をいただいての受賞ということでございます。

○崎田委員
 はい。どうもありがとうございました。皆さん、拍手でお願いいたします。

○崎田委員
 やはりパイオニアとしていろいろ非常にしっかりとそうやってデータを取ったりとか、いろいろやっていらっしゃるというのを伺いまして、ご活躍いただければと思います。
 それでは最後のご発表をいただきたいと思っております。ご準備をお願いしたいと思います。学校法人金山学園 めばえ幼稚園園長の井上様からです。よろしくお願いいたします。

○学校法人金山学園めばえ幼稚園
 皆さんこんにちは。めばえ幼稚園の井上です。
 私の方からは幼稚園の活動と、かねやま新エネルギー実践研究会、任意団体ですけれども、こちらのご紹介をさせていただきたいと思います。お手元の資料にちょっと写真を追加して参りましたので、大きい画面に注目してください。
 まず幼稚園ですので幼児教育が中心となりますが、子供たちがどんな環境で遊んでいるのか、これ裏山が4千坪ありまして、山ひとつが幼稚園になっています。裏山にはいろいろな実のなる木があって、クワとかキイチゴとかですね。この真剣な眼差しは、その食べ物を探しているんですね。今ですとクリ、もう終わっちゃいましたが、ヤマグリなんかも手でむいて、生で食べています。杉林も一部残っていて、ここでは大きなネットを張っていましてネットスロープ、30mぐらいあるんですが、ここでゆらゆら遊んでいます。この裏山でお店屋さんごっこなんか、日常の活動も裏山を活用してやっています。これはお店屋さんですね。
 それから、これはお父さん方が裏山の下草刈りとか、遊具づくり。この杉は幼稚園の杉を伐って、それでログハウスを建てていただいて、このテーブルなんかも幼稚園の横の山の神様からもらって来た木ですね。それをスライスして、お父さん方、いろいろな特技があって、大工さんがいたり、山仕事は得意ですので、こういうことで参画していただいています。
 これは子供たちの遊び。がらくた工作ですね。段ボールとかお菓子箱とか牛乳パック、ある意味、これはリユースですね。こういうもので、これは山車を作っているんです。金山は金山祭りと言って 250年以上の歴史のある祭りがあって、新庄の山車パレードと同じですね。こういう地域文化に根ざした遊びというのを大切にしています。
 次に食農教育です。これは田植えですね。お父さん、お母さんも一緒に入ってもらっています。なぜかと言うと、いまテレビのコマーシャルで運動会とかでよくビデオ撮りしますね。あれになっちゃうんです。お父さん、お母さん来ても、自分はやらないで、子供たちがやっているのをビデオばかり撮っているんです。これじゃ駄目だということで、お父さん、お母さんも一緒に田圃に入って、尻尾取りやったり、手つなぎやったり、綱引きもやります。前はそりもやりました。とにかく泥で遊ぶ。先ほど江口さんの話の中で、土は生命の源というお話がありましたけれども、本当に土は汚くないんだよ、土がなければ生きていけないんだということを身体で感じてほしい。それはお父さん、お母さんも一緒に、泥に足を入れた時に指と指の間からニュルニュルッと土が入ってくる、あの感覚を共有してほしい。そしてそのことをお家に帰って一緒にお話してほしいんです。そういう意味で一緒に入ってもらっています。
 最後は味噌樽のお風呂で汚れを落とす。この田圃はカモ農法で完全に無農薬、無化学肥料で育てています。取ったお米は天日で干して、昨日、一昨日ですかね、これもち米なんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に餅つきをしていただきました。
 幼稚園にはいま馬が2頭いて、この馬のお世話しているんですけれども、馬の糞を集めて、これが堆肥となって幼稚園の田畑で作物を作る。これが小さなレインボープランだと思っていただければいいんですけれども、野菜くずなんか給食センターとか、いろいろなところからもらって来て、それをなるべく飼料、動物の食べ物も自給しようということで、殆ど買っていません。近くから得る。そしてそれを土着の微生物で発酵して堆肥化して回していく。こういう食べ物の循環を園の中で再現しています。
 これはどういうことかと言うと、われわれの生命、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして子供たち。この人間という生命をつないでいく種の保存という縦のつながりと、人間だけで生きて行けないんだよ、生命のつながりの中で生かされているんだよという、生命の横のつながりですね。縦は種の保存、横は種の多様性とバランス。このことを幼稚園の環境の中に再現しているということです。
 そして最後は環境教育。これは幼稚園を卒園した小学生を対象にやっています。千葉県の我孫子市から約40名、バス2台で子供たちを受け入れて、金山の子供たち10数名、合わせて子供たち60名で毎年4泊5日のキャンプをやっているんですけれども、ここで最上川のいかだ下りをしてみたり、川に行って遊んでいます。それと併せてポニーを使って乗馬教室をやっています。これは近くのNPOで神室ファームという大変素晴らしい環境のところがありまして、ここに馬を連れて行って、子供たちと一緒に乗っています。
 この幼稚園から神室ファームに行くまでの8kmの道のりがまた素晴らしくて、ここを子供たちと一緒に馬を連れながらお散歩するわけです。これは治療的乗馬というのは、これはホースセラピーと呼ばれるもので、心や身体に障害のある子供たちが、馬に乗ることによってほぐされていく。そういうことですね。これも山形県で取り組んでいるところがありますけれども、今後、ここに力を入れていきたいなというふうに思っています。
 このようにめばえ幼稚園は幼児教育を中心に食農教育、環境教育の3本柱で取り組んでいるわけですけれども、もう少し大きな拡がりを持たせたい。もう少し循環型社会を分かる形にしたいということで、かねやま新エネルギー実践研究会というのを立ち上げました。この会は、子供たちの未来のために循環型社会を実現させようよという、大変大きな目標なんですけれども、こういう目標で立ち上げました。
 何をやっているかと言うと、まず平成15年に立ち上げて、新エネルギービジョンを策定いたしました。これは芸工大の三浦先生、その研究室の皆に金山の町を歩いていただいて、バイオマスがどれぐらいあるのか、今エネルギーをどうやって使っているのか、それをもし使ったらどういうシナリオになるのかというのを考えていただきました。これ作るのに約10万円だったんですね。この翌年、NEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構独立行政法人から補助をもらって新エネルギービジョンを作ったんです。そしたらコンサルティング会社に数百万円払っているんですね。その翌年もまた数百万円払っているんです。もったいないと思いました。本当にやる気のある人に頼めば、お金は要らないんですね。
 それと同時に取り組んだのがBDFと菜の花事業です。BDFというのは、簡単に言うと植物性の油からネトネトした部分を取り除くと、サラサラした大体軽油に近い燃料になるということです。特徴としてはCO2 が増えない。黒煙が3分の1、硫黄酸化物が殆ど出ない。ディーゼル車にそのまま使える。こういう特性があります。
 うちの幼稚園では年間約 4,000L、経営的には30万ぐらい削減されて、CO2 は約10トン削減したという計算になります。これは全国どこでもやられているんですけれども、菜の花プロジェクト。菜の花から天ぷら油を取って、使い終わった油を回収してBDFを作る。そして車を走らせる時にCO2 を排出するけれども、そのCO2 は田畑で菜の花が生長する時に吸収するので増えないという考え方です。
 このナタネ油を商品化したわけですけれども、この商品化は中学生、地元の金山中学校の中学生5人の女の子と一緒にやりました。商品名とかパッケージ。この体験をまとめた作文が国土交通大臣賞をいただいて、この体験というのがすごく子供たちによかったなというふうに思っています。これは最初の売り出し日ですね。いらっしゃいませ、などと言っているわけです。小学生は菜の花環境学習。4つの小学生、毎年3時間ずつもらって環境学習をわれわれの手で行っています。
 最後に先進地視察なんですけれども、2年前にスウェーデンに行きました。この女性が日本女子大学の浅野さんと言って、われわれの実践を日本保育学会とか環境教育学会とか野外教育文化学会、いろいろな学会で発表してくれて、その成果を持ってスウェーデンのウプサラ大学に留学したんです。彼女がいるうちにわれわれも環境先進国のスウェーデンに学ぼうということで教員全員で行ってきました。これはウプサラ大学の教育学部長ですね。こういう人の話とか、ベクショー市、脱化石燃料 100%を目指しているベクショー市の環境政策を学んだり。もちろん幼稚園、これは森の幼稚園と言って、園舎を持たない幼稚園です。毎日森に行くところ。これは地域熱供給ですね。木質バイオマスで地域に熱を供給する。こういう現場を見てきました。
 これが縁で昨年1月に持続可能なスウェーデン協会の代表者とか、スウェーデンエココミューンの代表者が金山に来て講演をしたり、環境教育の勉強会をしたりしました。そして昨年の秋、ちょうど今ごろですね。オパーレン幼稚園という幼稚園の先生方が来て、金山でこれからどうやって一緒にやっていこうか話し合って、これからの環境教育をテーマに空気というものをテーマにして、一緒に共同研究しましょうと決まりました。
 1年間研究してきた成果をもとに、今年の8月、あちらに行ってわれわれの研究を発表して、環境先進国であるスウェーデンに行ってわれわれの成果を発表するということに、最初はすごくためらいがあったんですけれども、とてもよく受け入れてくれて感動してくれました。その成果をこういう冊子にまとめて、広く皆さんに読んでいただきたいなと思うんですけれども、学ぶことばかりじゃないですね。われわれも発信しなければいけない。そういうことを強く感じました。そこでわれわれは、このような形で幼稚園とかねやま新エネルギー実践研究会を通して、金山町というのを持続可能な町にしていきたいなと、本当に小さな取組ですけれども、そんなふうに思っています。
 その中心にあるのはやっぱり生命のつながりなんだろうと思います。この視点を持ちながら活動を続けていきたいなというふうに思っています。子供たちの未来に対して、私たち大人は本当に重い責任を持っているというふうに考えています。活動の内容は、このホームページに載せておりますので、興味のある方は是非ご覧ください。以上で発表を終わります。ありがとうございました。          

○崎田委員
 井上園長先生、ありがとうございます。本当に心を育てて、生命を育ててくださっているという形でうれしく伺いました。ありがとうございます。
 それでは委員の皆さんで、ご質問されたい方、ちょっと合図を。はい、横山委員、お手が挙がりました。

○横山委員
 ありがとうございました。めばえ幼稚園全体が環境教育、環境学習の現場になっているということだと思い感心しました。そこで伺いたいのは、そういうところで教育を受けた園児たちが、他の通常の園児たちとどう違うのか、どんなふうにお考えになっているかということと、それから園児だけではなくて、園児の父母にもいろいろな影響を与えていると思うんですが、それについてはいかがでしょうか。

○崎田委員
 ほかにご質問は。では江口委員、お願いします。

○江口委員
 私はウプサラ大学に何回か行きまして、それから環境省もあそこにあったかと思いますけれども、市全体が、ウプサラ市全体が循環型社会になっているものですから、大学の先生の研究も進んでいるんですが、いいところに着眼なされたなと。向こうから相当レスポンスあったんでしょうか。ウプサラの方から。日本の循環型社会に、あるいは幼児教育についての反応があったかどうか。

○坂本委員
 大変いい環境と言いますか、私は子供を東京で育てたものですから、幼稚園にも3人やりましたけど、こんな山も何もないし、まさに新宿の真ん中でしたから、そういうところで育った子供というのは将来どうなるのかという感じもしますけど、こういう循環的な自然の中で育つ子供たちというのは、本当に立派なことを、子供の時からそうやってやるというのは大変大事なことだと思いますし、ひとつそういう人たちがどういうふうに育っていくのか、そのフォローもしてもらいたいし、もっと田舎と言ってはあれかもしれませんが、こういう自然の豊かなところで子供たちをどう育てるかというのは、これからの大きな課題だと思いますので、もっと進めてほしいと思いますね。ありがとうございました。

○佐々木委員
 1つだけ。本当に素晴らしい取組で、夢のような、なんか私の心もはずんできたんですが、この活動を持続させていく課題というのは何でしょうか。

○崎田委員
 それでは、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは井上さん、いま子供の心への影響、そして父母への影響。そしてスウェーデンとのつながりのお話。そして活動の持続性のお話。その辺をお答えいただければと思います。

○学校法人金山学園めばえ幼稚園
 子供への影響というのは、よく言われるんですね。数値で表せとか言われるんです。
これ実際に研究した方がスウェーデンにいらっしゃって、同じような規模の幼稚園で、同じような保護者の知的レベルがあって、一方は田舎、一方は都市で。ここでその知的な能力とか、身体能力を比較していった時に、明らかに自然の中で遊んでいた子供の方が数値が高かった。そういう実際のデータがあります。われわれとしては、そういうことをどこかの幼稚園や保育園と比較してやりたいとは思っていないんです。それは何でもかんでも数字にしないと証明できないような、そういう社会風潮そのものがよろしくないと思っているんです。そんなことは長い時間接していけば、子供の違いというのは分かるんですね、感覚で。そういうことを言うと数値で出せと言われちゃうんですよ。そういう考え方が駄目だと思うんです。保護者に対しては、こういう情報ですね。なるべく同じ情報を得られるように情報発信を常にするようにしています。ですから、今めばえ幼稚園は一見変わった教育、特異な教育だなと思われるかもしれませんけれども、めばえ幼稚園に入れている保護者で、それに対して違和感を持っている方はいらっしゃらないというふうに思っています。
 ただ、外から見ると、なんで田圃で泥だらけになっちゃうのか。あんなことをさせて意味ないんじゃないか。数値で出してよと。そういう社会そのものに疑問を感じるんですね。ですから保護者はすごくいい反応で、一緒に作業もしてくれます。
 ウプサラは私たちが行った時に、すごく意気投合して、こんな地球の裏側なのに、すごく感覚が合うねということで、あちらの先生が自治体に申請して、研究費をいただいて、われわれの幼稚園にわざわざ来てくれたんです。そしてその研究はやっぱりレポートにまとめて、自治体に出したり、幼稚園の中の環境委員会、保護者が入っている環境委員会でそのレポートを発表している。是非、われわれにもう1回来てほしいということで今年行ったんですね。ですからすごく向こうの反応もよくて、ああそうか、やっぱりこういうことに関心のある人というのはすごく感覚が合うんだなというふうに思いました。
 持続させていく上での課題なのですけれども、いま園児数60名で、ほぼ経営は赤字です。そういうことで園をどう維持していくかということが緊急の課題でありまして 、それはいま町の方と話し合っているところでございまして、幼稚園と保育園、1園ずつしかなくて、公立保育園とわれわれの幼稚園しかないんです。でも12年前から一緒に運動会やっています。公立と私立が一緒に運動会をやっているって、これは全国的にも珍しいんですね。ですから、そうした積み上げがあるので、僕は一緒になっても問題ないんじゃないかと思っています。

○崎田委員
 ありがとうございます。是非、地域循環圏というキーワードの中で、持続可能な経営を図っていただければ大変ありがたいと思っています。どうもありがとうございました。

○崎田委員
 それでは会場の皆様、お3方からのご発表をいただきましたので、是非質問したいという方、ちょっと手をお挙げいただけますでしょうか。
 お1人手が挙がりました。お1人でよろしいでしょうか。
 よろしいですか。はい、それではお願いします。

○会場
 恐れ多い部会のメンバーを前に質問するのは非常に恥ずかしいんですが、仙台市から参りました山口と言います。レインボープランさんにご質問したいと思います。スライドのシステムの中で農家さん、これは申請して認定をするというふうに、協議会がするという形になっていますが、この農家さんの参画の状況、要するに認定待ちで、参画したい人がたくさんおるかどうかということが1つと、もう1つは増えてきますと、これに供給する堆肥が多分足りなくなるんじゃないかと思うんですが、その辺はどんなふうにお考えか、そこだけお聞かせいただけませんでしょうか。

○崎田委員
 はい。それでは江口さん、よろしくお願いいたします。

○長井市レインボープラン推進協議会
 ありがとうございます。参加農家の数ですけれども、19年度で見ますと農家数が、認証を取ったレインボープランで栽培したという認証を取っている農家は約20戸ほどございます。実は栽培に関しまして、大体20戸ぐらいで推移してきたところがございます。1時期40戸ぐらいの時もありましたけれども、ここはやっぱり、なかなか所得に直結していないということがありまして、あと高齢化ですね。担い手の方がだんだん高齢化して行って、新しい畑作なり米なりというのが生産意欲がわかなかったということがありました。しかしながら、昨年の認証を2つに増やしました。というのは特別栽培に準じた認証と、あとはとにかくコンポストを入れれば、それで地域を循環しているということの証ですからそれも認証しようということで、慣行栽培であってもコンポストが入っている圃場であれば、これも認証しようということで、2つの認証を昨年度から設けました結果、栽培品目が増えて参りました。県が奨励しています特別栽培には乗らない作物ですね。栽培基準がまだ確立していないような作物でも、生産者の方々は多品種少量ということで作りたいという方々がたくさんいらっしゃいました。そんなことで生産の品目が増えて参りました。コンポストの量は最終的には、これは私の私見でありまして恐縮ですけれども、生ごみを出さない暮らしというのが本来ベストな暮らしです。生ごみに頼っているこのレインボープランというのは、いずれ破綻してもいいと私は個人的には思っているんですが、その時にやはり周辺を見回しますと有機的資源はたくさんあります。例えば国交省が刈っています1級河川の土堤の草等も、今年から少しずつ地域に還元されるような格好になったそうでありますが、あとは山で採れますいろいろな枯葉ですとか、たくさんございます。そんなものもこれからは資源として活用していく時代なんだろうと思っています。
 ただ、その前に生産者の方々が地域の資源を使いながら、地域にまた還元していくんだという、そういう考え方が生産者に生まれていて、定着していれば地域にあるどんな資源を使ってもレインボープランはちゃんと地域をつなげていくプランであると、そんなふうに思っています。

○会場
 ありがとうございました。

○崎田委員
 はい、ありがとうございます。それでは会場の皆さんからはお1方だったので、どうもありがとうございました。
 それでは委員の皆さん、ちょっと皆さんにというのはちょっと時間があれですが、何かひとこと、これだけは伝えておきたいというのがありましたら。よろしいですか。
 はい、ありがとうございます。
 それでは本当に3人の皆様、どうもありがとうございました。今回、皆様からいろいろいただいたお話、そして課題など、今回の第2次循環基本計画、これの今後点検をきちんとやっていくにあたって、参考にさせていただくようにして行きたいと思います。内容に関しては事務局の方でまたきちんとまとめていただくようにいたします。
 お三方、本当にありがとうございました。
 どうもありがとうございます。それでは一度事務局にマイクをお返ししまして、今後の予定などをお話しいただければと思います。

○循環型社会推進室長
 活発なご議論、大変ありがとうございました。事務連絡だけさせていただきます。次回の予定になりますけれども、大変近くなって恐縮ですけれども、次回は10月29日(水)の午前9時半から東京において循環計画部会を開催することを予定しております。詳細は後日事務局の方からご連絡をいたします。

○崎田委員
 はい。どうもありがとうございます。今回、山形の方に伺いまして、いろいろご準備いただいた山形の皆様、そして会場の皆様、ありがとうございます。いろいろ伺いまして、今回地域の資源を活かす時に、多くの方のつながり、それをきちんと活かしていらっしゃるということ、そして資源の循環の環をつなぐだけではなく、そこにやはり生命のつながりであったり、心が本当に皆さん素晴らしく輝いていらっしゃって、豊かに育っているという、環境を視点にして地域が育っていく、これが地域循環型の大変重要なところだというふうに強く感じました。これからもご活躍いただきたいと本当に心から思っております。
 今日は山形の地で開催させていただきましてありがとうございました。

○循環型社会推進室長
 では、これにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上