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■議事録一覧■

中央環境審議会
第75回循環型社会計画部会


〈日時〉
平成24年10月11日(木)13:00~15:02
〈場所〉
全国都市会館 3階 第1会議室
議事次第
  1. 開会
  2. 議題
第三次循環型社会形成推進基本計画について
(配付資料)
資料1次期循環基本計画に盛り込むべき事項
資料2第三次循環型社会形成推進基本計画骨子(案)
(参考資料)
参考資料1中央環境審議会循環型社会計画部会委員名簿
参考資料2中央環境審議会循環型社会計画部会関係条文
 ※ 以下の参考資料は委員のみ配付、○がついているものは会議終了後回収
参考資料3第74回循環型社会計画部会(平成24年9月19日)議事録
参考資料4第四次環境基本計画 ○
参考資料5第二次循環型社会形成推進基本計画 ○
参考資料6第二次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第4回点検結果について○
参考資料7平成24年版「環境白書」 ○

午後1時00分 開会

○循環型社会推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会循環型社会計画部会を開催いたします。
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 まず、事務局から委員の出席の状況をご報告させていただきます。見山委員、森口委員は今遅れておりますけれども、本日は、予定では13名の委員の方にご出席いただく予定となっております。定足数の12名に達しますので、あらかじめご報告させていただきます。
 本日の配付資料でございますが、議題の下に配付資料一覧がございます。配付漏れ等ございましたら、恐縮ですが、事務局にお申しつけください。
 それでは、以降の進行につきまして、武内部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、これから議事進行を務めさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 前回の部会におきましては、第三次循環基本計画の構成と指標の考え方について、皆さんからご議論をいただきました。本日は、いよいよ第三次循環基本計画の骨子についてご審議いただきたいと思います。審議に入る前に、前回の部会で皆様方に提出をお願いした次期循環基本計画に盛り込むべき事項について、事務局から簡単に説明をお願いいたします。

○循環型社会推進室長 それでは、事前に提出された意見について、資料1をもとにご説明させていただきます。
 まず、森口委員から2点いただきました。
 1点目が、資源生産性ないし物質の効率的利用について明示的に取り上げることということで、国際的に、特に欧州において、資源生産性の向上をより本格的に政策の方向性として取り上げる状況が見られるため、世界に先駆けて計画に取り入れながら、その後の具現化でおくれをとることのないようにする必要がある。仮に政策手段として書けることが限られるとしても、目指すべき循環型社会のイメージの中に明記してほしいという意見でございます。
 2点目といたしまして、循環利用における放射性物質の管理の徹底として、福島第一原発事故を踏まえ、循環利用される資源への放射性物質の混入を抑制するための管理策を殊さらに徹底する必要がある。これまで築き上げてきた循環利用、循環型社会への支持が、放射性物質問題で瓦解しないよう、循環させないように制御すべきものはしっかりと管理、制御するという方向性を明示することが必要であるという意見でございます。
 横山委員から3点、意見をいただいております。
 まず問題認識といたしまして、東日本大震災が発生し、原発事故も起こったことを強く意識したものにする必要がある。「大震災と原発事故に向き合う循環基本計画」を売りの一つにしてもいいのではないかということでございます。
 1点目として、地域循環圏の形成を被災地復興と結びつけるとして、地域循環圏の形成を打ち出すことにしていますけれども、被災地でも復旧・復興に当たって地域循環圏を形成していけるような手だてを考える。さらに、環境未来都市も地域循環圏形成の有力候補として位置づけてはどうかという意見でございます。
 2点目としまして、温暖化対策と低炭素社会形成を強力に援護する内容にするべきであるということです。「原発ゼロ」政策で再生可能エネルギー開発の必要性はますます高まっている。次期循環基本計画ではバイオマス系循環資源などの利用を前面に打ち出して、温暖化対策と低炭素社会形成を強力に援護する内容にすべきである。取組指標として「廃棄物発電の取組状況」を加えるということで前回提示させていただきましたけれども、温水プールなど廃棄物焼却の熱利用施設の設置状況も加えてはどうかということです。
 3点目として、除染で出た汚染廃棄物などの対策にもきちんと言及すべきとして、除染で出た汚染廃棄物や放射能で汚染されたがれきなどについて、最終処分場の建設を含めた処理・処分の方向性をきちんと打ち出す必要があるというご意見をいただいております。
 吉川委員から3点いただいております。
 まず、「第5章 国の取組」に盛り込むべき事項として、循環型社会を目指すためには、事業者の主体的な取組に加えて、政府による政策的支援や、法制度のきめ細やかな見直し・運用改善などの環境整備が不可欠であるということ。さらに、過度な手続規制や経済実態に合わない規制を導入することによって、規制遵守に真面目に取り組む事業者だけの負担が増えることにならないようにすべきである。この点を盛り込むべきという意見をいただいております。
 2点目として、指標及び数値目標に関することでございますが、こちらは計画に盛り込むべきかどうかは別として、その設定根拠を明示して議論すべきであるということでございます。
 3点目は、中央環境審議会での進捗状況の評価・点検に関連しまして、第三次循環基本計画では、その計画そのものについて、それが妥当なものであったかどうか、評価の対象とする旨の記述を盛り込むべきであるという意見をいただいております。
 説明は以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 横山委員と吉川委員、何か追加的にコメントはございますか。

○吉川委員 審議の中でやります。

○武内部会長 よろしいですか。
 横山委員も。

○横山委員 私も結構です。

○武内部会長 よろしいですか。
 ということで、ご意見を承ったということで、次に進めさせていただきたいと思います。それでは、第三次循環基本計画の骨子についての説明を事務局よりお願いいたします。

○循環型社会推進室長 それでは、資料2をご覧ください。今回、計画の骨子ということで提示させていただいております。体裁としては、計画本文の粗々なイメージの形をとっておりますけれども、その趣旨は、計画案としましてはまだ十分に練られていない部分もありますので、議論のたたき台としてご審議いただく観点から、骨子という形で提示させていただきました。
 まず、目次をおさらいさせていただきますと、「はじめに」の次に、第1章として、現状等、その中で現状及び中長期的目標と課題について記述しております。
 第2章が、循環型社会形成の中長期的なイメージです。
 第3章は、循環型社会形成のための指標及び数値目標としておりますが、本日の骨子にはこの内容は含まれておりません。次回提示予定でございます。
 第4章は、各主体の連携とそれぞれに期待される役割として、第1節では各主体の連携、第2節で各主体の役割を取り上げています。
 第5章が、国の取組ということで、まず取組の基本的な方向についてお示しした後、第2節の中で、まず国内における取組として、「質」にも着目した循環型社会の形成として、5点取り上げております。1点目が、2Rの取組がより進む社会経済システムの構築、2点目が、使用済製品からの有用金属の回収、3点目が、水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進、4点目として、有害物質を含む廃棄物等の適正処理システムの構築、5点目として、災害時の廃棄物処理システムの強化としております。第2項が、低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組、3項が、地域循環圏の高度化としております。4項で、循環分野における環境産業の育成として、廃棄物等の有効活用を図る優良事業者の育成、廃棄物発電設備など廃棄物処理・リサイクル施設の整備推進、3点目として、静脈物流システムの構築を取り上げています。第5項が、廃棄物の適正な処理です。不法投棄対策等及び最終処分場の確保について取り上げております。第6項として、各個別法の対応を取り上げる予定ですが、こちらは次回に案文を示させていただきたいと思っております。第7項が、環境教育等の推進と的確な情報共有・普及啓発でございます。
 第3節として、国際的取組を取り上げる予定ですが、こちらも案文は次回に回させていただいております。
 第4節が、東日本大震災への対応。1点目として、災害廃棄物の処理、2点目として、放射性物質に汚染された廃棄物の処理を取り上げております。
 第6章が、計画の効果的実施として、第1節が、関係府省間の連携、第2節として、中央環境審議会での進捗状況の評価・点検、第3節として、個別法・個別施策の実行に向けたスケジュールの確立としております。
 それでは、「はじめに」以下、説明させていただきます。
 まず「はじめに」ですが、こちらでは現状と課題を概括することとしております。
 まず、大量生産・大量消費型の経済社会活動が大量廃棄型の社会を形成し、それが環境保全と健全な物質循環を阻害する側面を有していること。我が国は、循環型社会を形成することを目指して、循環基本法に基づいて循環基本計画を策定し、関連施策を総合的かつ計画的に推進してきたこと。その結果として、これまで、3Rの取組進展、個別リサイクル法の整備など、または国民の意識の向上などによりまして、第二次循環基本計画で定められた目標については順調に推移していること。
 他方で、東日本大震災が起こりまして、大規模災害発生時においても円滑に廃棄物を処理できる体制を平素から築いておくことや、安全・安心をしっかりと確保した上で循環資源の利用を行うことなど、新たな課題が浮き彫りとなっていることを記述しています。また、東日本大震災を契機として、足下からの循環型社会づくりが求められているという認識も示しております。
 さらに、世界に目を転じますと、世界規模で資源制約が強まると予想されている中で、循環型社会の形成に関する政策課題は、廃棄物等を量の側面のみから捉えて埋立処分量の抑制を図っていくというステージから、廃棄物等を質の面からも捉え、それらを貴重な国内資源として一層有効活用したりするなど、資源の利用効率を高め、天然資源の消費を抑制するという新たなステージに進んでいると言えるのではないかと記述しております。
 国際分野では、アジアを中心とした発展途上国では、廃棄物の急激な増加に直面しておりますので、我が国のごみ問題やリサイクルに関する豊富な経験と知識を共有して、地球規模の循環型社会の形成に率先して貢献していくことも必要であるという認識を示しております。
 その上で、「第三次循環基本計画」は、これらのさまざまな情勢変化に的確に対処し、国内外における循環型社会の形成を政府全体で一体的に実行していくため、定めるものという位置づけを示しております。
 第1章、現状等でございます。第1節で現状を概括しております。
 世界においては、2050年の世界全体の廃棄物発生量は、2000年の2倍以上となる見通しであること、また世界全体で資源制約が強まると予想されること、国連環境計画の資源パネルでは、経済活動当たりの資源利用の削減、資源利用に伴う環境影響の低減という、二つの意味においてデカップリングが必要であるという認識を示しております。
 また、我が国からの循環資源の輸出量は10年間で3.4倍に増えていることや、E-wasteなどのごみが不適正に処分されて、環境汚染を引き起こしている事例も発生しているということも見ています。
 さらに、国内では、我が国の物質フロー全体を見ると、新たに投入される天然資源の量は減少して、循環利用される物質の量は増加して、省資源型の社会への移行が進みつつあるということで、特に循環利用率、最終処分量については、国民や事業者の3Rの取組等によりまして、目標を既に前倒しで達成しているという状況にあります。
 他方で、優先順位がリサイクルよりも高い2Rの取組が遅れるなど、廃棄物等から有用資源を回収する取組も十分に行われているとは言えないという状況もございます。
 また、東日本大震災や福島第一原発事故を契機として、今後はより一層、安全・安心を重視した循環の実現を図っていく必要があると記述しております。
 まとめといたしまして、我が国における循環型社会の構築に向けた取組は、引き続き、天然資源の投入を抑え、廃棄物等の発生の抑制と廃棄物の適正処理を確保するとともに、資源確保や、安全・安心の確保など循環の質にも着目した取組をも進めるべき段階に入ってきているとしております。
 2では、指標面から進捗状況を見ております。まず物質フロー指標ですが、こちらは全体としては順調に進んでいるという中で、4ページの下の部分でございますが、土石系資源投入量を除いた資源生産性については、平成12年度と比べ約17%上昇していますけれども、77万円/トンという平成27年度目標までにはまだ開きがあるということを示しております。
 (2)として、取組指標について見ております。国民の意識・行動の変化について見ると、98.4%の人がごみを少なくする配慮やリサイクルを重要だと意識して、そのうち86.8%の人が実際にそのような行動を実施しているということです。
 その中で、1人1日当たりに家庭から排出されるごみの量については、平成21年度で約550グラムということで、平成12年度比で20%削減するという目標を立てていたことに対しては、まだ15.9%と達成できていない状況にあります。
 循環型社会ビジネスも広がりを見せておりまして、ビジネスの市場規模で見ると、約38.8兆円、雇用規模は約99万人と推計されている状況にあります。
 容器包装の排出抑制状況についても、軽量化が進んだり、レジ袋の辞退率が上昇したりと進展が見られる一方で、リターナブル瓶の使用量は減少傾向が続いています。
 各個別法について見ると、資源有効利用促進法や家電リサイクル法、自動車リサイクル法などでは、目標を既に達成しているという状況にあります。また、容器包装リサイクル法についても、実施している市町村も着実に増加していますけれども、容器包装の種類ごとに見ますと、例えば紙製容器包装では35.8%と、まだ低い状況にあります。食品リサイクル法については、食品循環資源の再生利用等実施率について見ると、全体では82%と高くなっておりますけれども、外食など、川下に行くに従って実施率が低下しているという状況にございます。また、家庭の生ごみについては、再生利用が進んでおりません。
 第2節では、中長期的目標と課題を取り上げておりまして、1として、中長期的目標を掲げております。こちらは、4月に閣議決定しました環境基本計画の循環部分に中長期的な目標というパートがございまして、それを基本的に踏襲する形になっております。
 3点ございまして、まず1点目は、廃棄物等について、発生の抑制、適正な循環利用の促進、循環利用が行われない場合の適正な処分が確保されることで、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される循環型社会を形成するという基本原則を示しています。
 2点目では、今後、世界全体で資源制約が強まることに加えまして、東日本大震災を契機として安全・安心が確保された循環の流れを構築することが一層重要となっていることを踏まえて、循環の量に加えまして、2Rの取組がより進む社会システムの構築、循環資源の高度利用と資源確保、安全・安心の確保等の循環の質に着目した取組を進めるべきということを記述しています。
 3点目としては、循環型社会づくりを低炭素社会づくり、自然共生社会づくりと一体となって相互に相乗効果を発揮する形で推進し、地域の実情に根差し、地域コミュニティの再生や地域経済の活性化にもつながる、地域主導型の循環型社会を形成する。これらを中長期的な目標としております。
 具体的な課題として、以下で示しております。
 まず、2Rの取組がより進む社会システムの構築としまして、2R、すなわちリデュース、リユースを可能な限り推進することが基本とされなければならない。このため、生活やビジネス等社会経済のあらゆる場面において、2Rの取組を推進する余地がないか改めて検討し、可能な限り2Rを社会システムに制度として組み込んでいくことが求められる。容器包装の削減やリターナブル瓶の使用などに加えて、生活全体においてリデュース、リユースを推し進め、家庭ごみについても、国民のライフスタイルの変革などによって、さらなる取組を進めていく必要があるとしています。
 食品ロスについても、その削減に向けて、食品関連事業者や消費者が一体となって取り組む必要があり、商習慣の見直しや食育などを通じた意識改革等によりフードチェーン全体で食品廃棄物等の発生抑制を進めていく必要があるとしています。
 また、健全なリユース市場の構築と拡大についても課題としております。さらに、2Rを始めとする3Rの取組効果や循環利用された行方が消費者に明確に伝わるようにして、ライフスタイルの変革を後押ししていく必要についても課題としております。事業者においても、長寿命化や省資源化など、2Rを目標とした製品づくりやサービスの提供が求められるとしています。
 2番目として、循環資源の利用・資源確保を挙げています。循環資源の利用については、品質の低下を伴うリサイクルが行われることが多く、リサイクル費用の低減も大幅には進んでいないという現状認識を示した上で、グリーン・イノベーションを推進し、環境改善を達成しつつ競争力のある循環分野の環境産業を育成していくことにより、環境負荷と経済成長のデカップリングを進めることが重要であるとしています。再生品等の品質を向上させながら、動脈産業と静脈産業が一体となって3Rに取り組む必要があるとしています。具体的には、小型家電リサイクル法の着実な施行や、バイオマス系循環資源等のエネルギーへの再資源化や廃棄物発電等の熱回収の一層の推進などが重要としています。また、分別・回収された循環資源がどのように活用されているのか消費者にしっかりと情報提供を行って、環境負荷が少なく、高品質で高付加価値のリサイクルを行う事業者が社会的に評価され、支持される社会的基盤をつくっていくことも課題としています。
 3番目として、安全・安心の確保を挙げています。東日本大震災で生じた廃棄物の中間処理・最終処分については、できるだけ迅速に処理するとともに、放射性物質によって汚染された廃棄物についても安全に処理することが重要であるとしています。
 PCB廃棄物については、一刻も早い処理完了に向け、処理体制の充実を図る必要があるとともに、アスベストについては、今後処理基準等を強化していくとしておりまして、法令遵守の徹底を図る必要性について挙げております。
 これらを踏まえまして、大規模災害発生時においても円滑に廃棄物の処理を実施できる体制の整備や、有害物質をしっかりと処理しつつ利用を行うなど、リスクコミュニケーションの充実にも配慮して安全・安心の取組を強化する必要があるという課題を示しております。
 4点目は、地域循環圏の高度化と循環型社会・低炭素社会・自然共生社会づくりの統合的取組を挙げております。まず地域循環圏づくりについては、地域の経済・文化等の特性や地域に住む人と人とのつながりに着目し、適正な規模で循環させることができる仕組みづくりを進め、その構築事例を積み重ねていくことが重要であるとしています。全国的には、地域づくりに向けた各種の取組が進められていますので、これらと統合的に地域循環圏づくりを推進することが効果的であると考えられ、そのような観点から適切な支援のあり方や地域循環圏の概念の高度化について検討する必要があるとしています。
 また、再生エネルギー固定価格買取制度の導入なども踏まえ、地域レベル、全国レベルでこの3つの社会の統合を推進していく必要があると記述しています。
 地域循環圏は、安全・安心が実感できる循環型社会、低炭素社会、自然共生社会の統合の実践の場としても重要であるという認識も示しております。
 第2章は、循環型社会形成の中長期的なイメージを示しておりますが、これは二次計画に引き続いて記述しているものです。この中長期的な社会の年限としては、2030年ごろをイメージしておりまして、そのころに例えば次のようなイメージで代表される循環型社会の形成が期待されるという観点から、記述を行っております。
 第1節として、自然の循環と経済社会の循環を取り上げております。中段ですけれども、我が国が目指す循環型社会は、従来の大量生産・大量消費型の経済社会活動から大きく転換し、自然界から取り出す資源と自然界に排出する廃棄物の質と量を持続可能なものとするバランスのとれた社会生活が営まれる社会であるとしています。そこでは、一旦自然界から取り出した枯渇性資源はストックとして経済社会でできるだけ長く有効活用されるとともに、再生可能資源はその再生可能性の範囲内で活用される。こういう社会をイメージしております。
 第2節では、3R型のライフスタイルの定着を取り上げております。足るを知ることにより、リデュースが進み、使い捨てではないリユース製品に価値を見出すようなライフスタイルが定着すること。地域に軸足を置いて、自然と共生したゆとりのある暮らしが定着していくこと。また、物の面では、あらゆる物が健全なリユース市場を通じて、次なる所有者に引き継がれていく。あるいは、人手と時代を経たことが新品に劣らない価値を生み出す。このようなイメージをしております。さらに、修理や維持管理などのサービスに対する需要が高まるとともに、カーシェアリングやシェアハウスなど、物を共有することが所有形態の一つとして定着し、共有を通じた人と人とのつながりに新たな価値観が見出されること。これらのことを通じて、21世紀初頭に比べ、1人当たりの天然資源消費量は大幅に減少するといったイメージを挙げております。
 第3節では、安全・安心の確保の観点からイメージをしております。そのような社会では、有害物質を含む廃棄物を適正に処理する体制が整備されていること。リサイクル原料についても、有害物質の混入状況に関する基準が守られ、安全・安心なリサイクルが行われていること。さらに、大規模災害時においては、例えば廃棄物焼却施設などについては、熱や電気などのエネルギー供給センターとしての役割も果たす。このようなこともイメージしております。さらに、廃棄物の不法投棄や不適正輸出はほとんど見られなくなり、モラルの高い優良な事業者が効率的な廃棄物処理を行っているといったイメージを持っております。人々の安全・安心に対する理解が進んで、行政や事業者、市民間で適切に情報共有がなされていることもイメージとして挙げております。
 第4節では、資源消費が少なく、エネルギー効率の高い社会経済システムの構築を見ております。化石燃料や鉱物資源など自然界での再生が不可能な資源の使用量を最少化するとともに、付随して消費される水資源についても必要最小限となっているということです。さらに、木材やバイオマス系循環資源の利活用が促進されています。加えて、再生可能エネルギーを中心とした未利用エネルギーの利用が進んで、エネルギー自立・分散型の地域づくりが進んでいます。都市について見れば、公共交通機関と自転車、徒歩を基調としたコンパクトシティの実現によって、低資源・低エネルギー消費型で中心市街地ほど活性化した都市が再生するというイメージを挙げております。交通分野では、公共交通機関自体のエネルギー効率がさらに向上すること。さらに、循環資源の広域的かつ効率的な静脈物流システムが普及していることも挙げております。
 第5節では、地域循環圏の高度化の観点から見ております。地域循環圏が重層的に形成され、低炭素社会や自然共生社会とも統合された持続可能な地域づくりが進んでいると考えております。地産地消の循環が形成され、エネルギー自立型の地域づくりが進むとともに、コミュニティビジネスとして地域のさまざまな主体による地域資源を生かした物品の製造やサービスの提供が盛んになって、それが高齢化社会を支え、助け合う地域コミュニティの活性化にもつながっているとしています。また、大都市では、徹底した資源回収や、再資源化できないものの焼却処理・熱回収が効率的に行われて、エコタウンなどのリサイクル産業集積地内での相互連携によっても効率的な循環資源の利用が進んでいるとしています。さらに、東日本大震災の被災地を含めまして環境未来都市が成熟して、地域循環圏の優良事例として、全国各地へ波及しているとイメージしております。
 第6節では、経済活動における3Rの浸透を見ております。そこでは、排出者責任や拡大生産者責任が徹底されているとともに、企業経営やものづくりにおいても資源生産性の概念が一般化して、環境配慮設計などの考え方に基づいて、家電を始めとするあらゆる製品で省資源化が進んで、また省エネ性能等とのバランスもとりながら、長寿命製品の割合が高まっているとしています。廃棄物処理産業について見ますと、付加価値の高い製品の原材料やマテリアル、エネルギー等を有効活用する産業として、より高度に進化・発展しているというイメージをしております。さらに、金融についても、3Rに取り組む事業者が資金調達において有利な状況となっているとしています。
 国際貢献については、P、ペンディングということで、次回に回させていただきたいと思います。
 第3章で、指標及び数値目標を見ることとしておりますが、こちらも、案文の提示は次回に回させていただきたいと思っております。
 第4章で、各主体の連携とそれぞれに期待される役割を見ております。まず、各主体の連携として、循環型社会の形成のためには、各主体が連携・協働して問題の解決に向けて取り組む必要があるという認識を示した上で、国及び地方公共団体の施策の策定から実施に当たっては、各主体が緊密にそこに連携して参画できるような配慮をすることが求められるとしています。
 第2節で、各主体の役割をそれぞれ見ていっております。まず国ですが、他の関係主体とのパートナーシップの育成を図るということ、それから国全体の循環型社会形成に関する取組を総合的に進めることを大きな役割としています。
 地方公共団体については、地域循環圏の形成など地域における循環型社会の形成を推進していく上で中核としての役割を担っておりまして、各主体間のコーディネーターとして重要な役割を果たすということも求められていると考えております。具体的な役割としては、例えば、廃棄物の分別収集の徹底、違法な廃棄物処理を行う者に対する指導等、バイオマスなどの循環資源の地域内での活用推進、一般廃棄物処理の有料化などによる廃棄物の減量化、環境教育・環境学習の場の提供、グリーン製品・サービスや地産商品の推奨や情報提供、廃棄物事業者、リユース・リサイクル事業者の指導・育成などがあると考えております。さらに、廃棄物会計の導入や公表を通じて、自治体における廃棄物処理コストの見える化についても、重要な役割として記述しております。
 国民については、循環型社会づくりの担い手であることを自覚して行動するとともに、環境負荷の少ないライフスタイルへの変革を進めていくことが求められるとしております。具体的には、ごみの減量化や分別排出の実施、廃棄物の適正なルートでの排出、容器包装の削減、食品廃棄物の削減、レンタル・リース・中古品の積極的活用、再生品の優先的な購入などが役割として挙げられております。
 NGO/NPO等についてですが、その役割としては、地域住民のライフスタイルの見直し支援や、地域における環境保全活動、コミュニティビジネスの推進、環境教育・環境学習の実施など、自ら循環型社会の形成に資する活動の担い手となることに加えまして、各主体の連携・協働のつなぎ手としての役割を果たすことも期待されるとしております。
 大学等の学術・研究機関については、まず客観的かつ信頼できる情報を提供することで、各主体の具体的な行動を促すことが役割として期待されています。さらに、各主体の連携・協働のつなぎ手としての役割も期待されると考えております。
 事業者については、3つに分けて記述しております。まず製造業者、排出事業者等については、排出者責任を踏まえて、不法投棄等の不要な社会コストの発生を防止することが求められること、拡大生産者責任を踏まえて、廃棄物となった後の適正な循環的利用・処分への取組も必要であるとともに、消費者との情報ネットワークの構築なども求められているとしております。具体的な役割としては、環境配慮設計の徹底、使い捨て製品の販売自粛、簡易包装の推進、レジ袋の削減、リサイクルの推進、資源・エネルギー利用の効率化、グリーン購入・グリーン契約などの取組を挙げております。また、個別の事業者に加えて、事業者団体の取組も重要であると考えておりまして、資源生産性などの目標を事業者団体として設定することや、業種ごとに明確な目標を設定することで、事業者全体の取組をより深化させていく役割が期待されると考えております。
 廃棄物処理業者の役割ですが、まず有用資源を積極的に回収して循環利用していく役割を担っております。さらに、優良認定を受けた処理業者が積極的な情報発信を行って、そのような業者が優先的に選択されていくということも期待されます。国際的には、アジアを始めとして、廃棄物処理技術の高度化に貢献していくということも役割と考えております。
 金融機関・投資家については、循環型社会づくりにつながるプロジェクト・活動に対する投融資等を積極的に進めることが期待されるとしております。
 第5章で、国の取組について取り上げております。まず第1節で、取組の基本的な方向を示しております。
 国内の取組については、循環の質にも着目し、以下の取組を進める必要があるとして、[1]以下を掲げております。まず、排出者責任に基づくリサイクルや適正処分の徹底、それから環境配慮設計のさらなる推進など、拡大生産者責任の徹底を図るとともに、関係主体が連携・協力して3Rを推進する体制を一層推進していくことが、施策として重要と考えております。[2]ですが、廃棄物等を貴重な国内資源として捉え、資源確保の観点を強化すること。[3]として、有害物質の適正な処理や、廃棄物処理体制の強化などの安全・安心の観点から取組を強化すること。[4]として、低炭素社会、自然共生社会との統合的取組を進めること。[5]として、地域コミュニティの再生や地域経済の活性化にもつなげるため、地域循環圏の高度化に向けて、適正な規模で循環が行われるような仕組みづくりを進めること。[6]として、グリーン・イノベーションを推進し、循環分野における環境産業の確立を目指すこと。さらに[7]として、各個別の廃棄物リサイクル法の運用・見直しに当たっては、循環基本法を踏まえるとともに、この計画において定めた中長期的目標の達成に資するよう、排出者責任・拡大生産者責任の徹底、2Rの推進、有用資源の回収、安全・安心の確保など、この計画で定めた基本的方針に従って、総合的かつ計画的に見直しなどを行っていくことを挙げております。
 国際的な取組の基本的な方針については、次回に回させていただきます。
 第2節として、国内における取組の具体的な施策について掲げております。まず、「質」にも着目した循環型社会の形成ですが、(1)として、2Rの取組がより進む社会経済システムの構築を挙げております。
 2Rの意義などを記述した上で、具体的な施策として、[1]以下ですけれども、社会経済システムとして2Rを推進すべく、国民・事業者が行うべき具体的な2Rの取組を制度的に位置づけることを検討する。[2]として、「3R行動効果の見える化」として、リサイクルも含めて、3R行動とその効果をわかりやすくまとめ、きめ細やかに情報提供する。それから、3R行動効果の結果を簡便に販売促進や環境報告書への記載などに活用できるようにし、取組実施のインセンティブとしていくことを挙げています。[3]ですけれども、2Rの取組を進めるためには、川上の事業者の積極的取組が必要になりますので、これらの環境配慮設計などを行っている事業者が社会的に評価される仕組みづくりについても進める必要があるとしております。[4]では、リユースを主要な循環分野の環境産業として位置づけるための環境整備を進める必要があるとしておりまして、具体的には、盗品販売など不正行為防止のための法令遵守体制が徹底されること、リユース品の性能保証など消費者が安心してリユース品を利用できるような環境整備を推進することを挙げております。
 (2)として、使用済製品からの有用金属の回収を見ております。
 こちらも具体的な取組内容を22ページのほうで見ていただきますと、まず[1]として、今回成立した小型電子機器等リサイクル法に基づいて、できるだけ多くの地域が参加し、主要なリサイクル制度として定着すること、そのために国として積極的に制度の意義と効果を普及啓発して国民的な取組機運の醸成を図るとともに、多くの地方公共団体に参加していただけるようにその支援を行っていく必要があるとしています。[2]では、レアメタル等に関しまして、本年9月となっておりますけれども、10月、昨日このレアメタルに関する「中間とりまとめ」がまとめられまして、その中で、回収量の確保やリサイクルの効率性の向上に向け、着実に取組を進めていくということを施策として挙げています。[3]では、拡大生産者責任の理念に基づきまして、製品設計段階の取組や、関係者間で有用金属の含有情報の共有化等を推進する必要があると思っております。また、広域でのリサイクルを念頭に置きまして、廃棄物処理法の広域認定制度等も一層適切に活用していくことを挙げております。[4]では、有用金属を回収し、リサイクルするための新技術の研究・開発支援を挙げています。
 (3)として、水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進について見ております。その視点として、素材の性質に応じてリサイクルの質を向上させ、使用済製品を原料として用いて同一種類の製品を製造する水平リサイクルが広く行われるようになれば、持続可能な資源活用の一層の推進につながると考えておりまして、水平リサイクルのような高度で高付加価値なリサイクルを定着させることを目指して取組を進めていく必要があるとしております。
 ただ、この際の留意点として、リサイクルを行うことで、かえって必要なエネルギー量の大幅な増加などの環境負荷を招かないよう、ライフサイクルアセスメントの観点を重視するとしております。
 具体的な施策としては、[1]として、循環資源を供給する産業と循環資源を活用する産業との連携を促進するとともに、消費者への普及啓発を推進するとしています。さらに、リサイクルの高付加価値化、費用の低減に向けた新技術の研究・開発を支援すること。廃掃法の適正な運用を図りながら、静脈物流コストの低減を図るための取組を検討することなどを挙げております。
 (4)として、有害物質を含む廃棄物等の適正処理システムの構築について挙げております。
 具体的な施策について、24ページの[1]ですが、アスベスト、PCB等の有害物質を含む廃棄物については、適正処理が確保されるよう、処理体制の充実を図ること。化学物質を含有する廃棄物等の有害性の評価や、適正処理に関する技術の開発・普及を行うこと。水銀に関する条約の国際交渉の進展を踏まえ、水銀を含有する製品等が廃棄物になった場合の適正な管理、処分等のあり方について検討を進めること。リサイクル原料について、国際的動向も踏まえ、有害物質の混入状況に関する基準の策定、効果的な管理方法の構築等を行い、安全・安心なリサイクルを推進すること。さらに、埋設農薬などについても対応していくこと。市町村において処理することが困難な適正処理困難物について、関係者の適切な役割分担のもとで処理体制が構築されるよう、検討を進めることなどを挙げております。
 (5)として、災害時の廃棄物処理システムの強化を見ております。
 こちらでは2点挙げておりまして、まず、東日本大震災における災害廃棄物処理の対応について、反省点を含め、しっかり分析するとともに、それを踏まえ、災害の被害規模のステージに応じた対策をとれるよう、現行の震災廃棄物対策指針を全面的に見直し、新たな指針を策定すること。[2]として、大規模災害発生時に、災害廃棄物を速やかに処理することができるよう、広域的な協力も含め、地方公共団体間の連携、民間事業者等との連携、仮置場の確保を促すことなどを挙げております。
 以上が「質」に関する取組ということでございます。
 2として、低炭素社会、自然共生社会との統合的取組を見ております。
 先に「生物多様性国家戦略」が閣議決定されましたけれども、これらも踏まえて、3つの社会づくりを統合的に進めていく必要があるとしております。
 具体的な施策として、[1]以下でございます。3Rの取組を進めることによって、なお残る廃棄物等については、廃棄物発電の導入等による熱回収を徹底すること、それから廃棄物部門由来の温室効果ガスの排出量のより一層の低減とエネルギー供給の拡充を図ること、さらに焼却施設や産業工程から発生する中低温熱の業務施設等での利用を進めること、これらによって低炭素社会への取組にも貢献するとしております。[2]として、バイオマス系循環資源等の原燃料への再資源化や、廃棄物発電等の熱回収への活用を進めることを挙げています。[3]で、具体的にバイオマス活用推進基本計画が定められておりますので、これに基づくバイオマス資源の利活用を促進することとしております。また、森林・林業につきましても、森林・林業基本計画に基づいて対策を進めることが、3つの社会の統合につながるとしております。さらに、[5]ですけれども、今後、大量に太陽光パネルや風力発電などが再生可能エネルギー活用の観点から導入されていくと考えられますけれども、これらについては、一定の時期で使用済みになりますので、その使用済みになった後のリユース・リサイクルや適正処分についても円滑に進めるための検討を行うことを挙げています。さらに、資源採取時において生物多様性への影響を低減する観点からも、資源の効率的使用や長期的利用を進めることにより新たな天然資源の消費の抑制を図る等を挙げています。
 3つ目が、地域循環圏の高度化です。これまで、第二次循環基本計画に基づいて、ガイドラインの整備やモデル事業の実施などを通じて取組を進めてきましたけれども、今後は、これらの取組を一層発展させる形で、全国各地において地域循環圏づくりを具体化させていく必要があるとの観点から、3点挙げております。まず、各地域において低炭素社会や自然共生社会形成の取組、地域振興や地域活性化の取組、また東日本大震災からの復興に向けた取組などが進められておりますけれども、これらと連携することにより、既存の地域づくりの取組の一部に循環型社会づくりの視点を盛り込むことを挙げています。そのために、地方公共団体や地域の事業者、NPO、市民、また必要に応じて環境省地方環境事務所を始めとする地方支分部局などが連携・協働して、各地において地域循環圏づくりの具体化と高度化を図るとしています。[3]ですが、国において連携すべき取組として、例えば、各地域における廃棄物処理計画、エコタウン事業、地球温暖化対策推進法に基づく地域の地球温暖化推進計画、バイオマス事業化戦略、あるいは緑の分権改革などがあると考えておりまして、これらと統合的な取組を進めていくことを施策として挙げております。
 [4]はバイオマス戦略について述べておりますけれども、29ページに移りまして、[6]として、東日本大震災による住民意識の変化や経験等を踏まえて、東北地方において、地域の循環資源を最大限に利活用した復興の取組を支援し、全国的なモデルとなる地域循環圏づくりを促進すること。これらをサポートする観点から、[7]として、地域循環圏形成推進ガイドラインの普及と拡充を図るとともに、地域循環圏づくりに活用できる地域資源の賦存量調査や地域における物質フローの整備支援、地域循環圏形成に関する先進事例の収集や提供、地域循環圏づくりに係る助言体制の整備等を推進するとしております。
 4番目は、循環分野における環境産業の育成でございます。
 まず、廃棄物等の有効活用を図る優良事業者の育成でございます。具体的な施策は、30ページに挙げておりますが、産業廃棄物処理について、優良事業者が社会的に評価されるよう、優良産業処理事業者認定制度・熱回収施設設置者認定制度の普及や、優良事例の情報発信を強化すること。廃棄物等の適正な処分の確保等を図るため、電子マニフェスト等の情報技術の一層の活用を図ること。さらに、循環資源を用いた再生品等の品質、安全性を高めていくとともに、そのブランド化等によって競争力強化を図っていくことなどを挙げております。
 (2)として、廃棄物発電設備など廃棄物処理・リサイクル施設の整備推進を挙げております。具体的には、31ページを見ていただきますと、[1]として、循環型社会形成推進交付金制度を活用し、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進すること。高効率ごみ発電施設の早期整備、廃棄物発電の高効率化に向けた方策の検討、民間事業者が行う施設整備の促進などを通じて、廃棄物発電等の熱回収の高度化を図るとしております。
 (3)として、静脈物流システムの構築を挙げております。ここでは、施策として、静脈物流の拠点となる港湾をリサイクルポートに指定し、広域的なリサイクル関連施設の立地を推進するとともに、官民連携の推進、港湾施設の整備など総合的な支援を講じるとしておりますけれども、まだこれ以外にも施策というものはあると思っております。
 それから5番目として、廃棄物の適正な処理を挙げております。まず、不法投棄対策等につきましては、[1]として、廃棄物処理法を適切に施行しつつ、平成22年改正の効果を検証し、その結果を踏まえ、同法の改正を検討する。さらに、毎年5月30日から1週間を不法投棄監視ウィークとしておりますけれども、この普及啓発活動や監視活動等を行うこと。それから、産業廃棄物の不法投棄に関するホットラインの運用や、不法投棄現場への専門家の派遣なども引き続き行っていく必要があると思っております。それから、既に起こってしまった不法投棄事案に対しては、廃棄物処理法に基づいて財政支援を実施するとともに、平成9年以前のものについては、引き続き産業廃棄物特別措置法が改正され延長されましたので、それに基づいて財政支援を行っていくとしております。また、[6]として、不用品回収業者の取り締まりについても強化していく必要性を挙げております。
 (2)最終処分場の確保ですが、最終処分場の残余年数については、廃棄物の最終処分量の削減などによって近年上昇傾向にありますけれども、一般廃棄物については、自ら最終処分場を確保していない市町村が多く、新たな立地は困難な状況にあって、特に市町村単位での設置は難しいケースも多い状況になっております。このため、3Rの取組を徹底し、管理すべき施設の数を減らし、その上で、最後の受け皿として、広域的に最終処分場の整備を進めていく必要がある。こういう認識を示した上で、具体的な施策としては、一般廃棄物の最終処分場については、残余容量の予測を行いつつ、引き続き必要となる最終処分場を継続的に確保すること。産業廃棄物の最終処分場については、民間整備を基本としながら、必要がある場合には、廃棄物処理センター等の公共関与による施設整備を促進することを挙げております。
 6の個別法については、次回に譲らせていただきます。
 7として、環境教育等の推進と的確な情報共有・普及啓発を挙げております。
 まず、環境教育等の推進ですが、平成23年6月に成立した環境教育等促進法に基づきまして、あらゆる場で環境教育・環境保全活動等を総合的に推進すること。学校教育においては、改訂した学習指導要領に基づき、循環型社会の形成の推進に関する分野をも含めた環境教育を一層推進することとしております。3Rに関する情報共有と普及啓発に関しては、まず循環型社会の形成に関する最新データ等の情報提供、循環型社会形成推進基本計画の周知、循環型社会の形成に向けたさまざまな取組事例の情報発信等を行うこと。さらに、さまざまな3R行動の意義と効果を「見える化」して、情報面から各主体による一層の取組を促していくこと。また、循環型社会に関する指標について、そのさらなる改善に向けた取組とともに、その裏づけとなるデータの改善・整備を並行して推進することを挙げております。
 第3節は国際的取組ですが、これは次回に譲らせていただきます。
 施策の最後として、東日本大震災への対応を挙げております。まず、災害廃棄物の処理については、マスタープランに基づいて、原則として平成26年3月末までを目途に中間処理・最終処分を完了すること。さらに、大量に発生した災害廃棄物や津波堆積物については、海岸防災林の再生など復旧・復興事業の一環として活用していく。そして、できる限りその再生利用を図り、地域における循環型社会の構築に貢献していくとしています。また、被災地で処分できないものについては、被災地以外の施設を活用した広域処理を促進するとしています。さらに、災害廃棄物特別措置法が昨年成立しておりますけれども、これに基づいて、市町村から要請があって、かつ必要があると認めるときには、国が当該市町村にかわって災害廃棄物の処理を行うこととしております。
 2番目が、放射性物質に汚染された廃棄物の処理です。こちらは、放射性物質汚染対策特別措置法に基づきまして、適正かつ安全に処理を進めるとしております。
 最後のなお書きですけれども、今回の震災と原発事故由来以外の放射性物質を含む廃棄物の処理をどのように今後恒久的に位置づけるかについては、現在行っている廃棄物処理の実施結果も踏まえながら、十分に検証した上で、検討を行うとしております。
 第6章、計画の効果的実施でございます。まず、関係府省間の連携については、連携をしていくことはそのとおりですけれども、それを書いた上で具体例として、例えばバイオマス資源利活用や、アジア各国における循環型社会の形成支援など、複数の府省が関連する政策分野について、関係府省間の連携を特に密にして、常日ごろから本省レベル、地方支分部局レベルにおいて情報交換を行って、緊密な連携のもとに施策を推進するとしています。
 第2節は、中央環境審議会での進捗状況の評価・点検です。毎年度、進捗状況の評価・点検を行うとしています。
 第3節では、個別法・個別施策の実行に向けたスケジュールとして、これは別に行程表を示すこととしております。
 すみません、大分時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上で説明を終わります。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして、委員の皆さんからご意見、ご質問を承りたいと思います。時間があと1時間ということでございますが、第4章まで、それから5章、6章、この2つに分けてご意見、ご質問を承りたいと思いますので、最初に第4章まででお願いいたしたいと思います。
 浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 「はじめに」の中で、今のステージから次のステージということが5番目のパラグラフに係れているのですが、少々気になりますのは、廃棄物を量の面から捉えて埋立処分量の抑制を図っていくステージから次のステージとなっていますけれども、この記述は、少なくとも循環基本法を制定する前のステージの話だという気がします。後のほうでは、この循環基本計画ができて、これだけの成果を上げていますと書いてあるわけだから、その記述と矛盾する点もあるような気がする。もう少し何とかできないか、さらに次のステージという記述はもちろんこれでいいのだけれども、その前のステージの記述は、バージョンが少し古い。バージョンアップすべきではないかと思います。
 それから、今回は、中長期目標が出てくるわけです。今の説明を聞きまして理解できたのですが、たしかに、環境基本計画に中長期目標が出ているので、これを本計画にも入れなくてはいけない。中長期の目標を書き込むという点は第四次循環基本計画で行われており、この点は従来とは少し違うということです。そこで、これをこの環境基本計画にも位置づけておかなくてはいけないわけですが、それにしてもこの書き方は唐突な感じがします。というのは、普通は課題があって、こういう課題を受けてこれが目標なのだ、こうなるのだけれども、いきなり目標が出てきて、それから課題となっているわけです。しかも書き方をみると、6ページのこの部分は、課題を設定すると書いてあるのですが、課題というものは設定するものではなくて、存在するものだから課題であって、それを創設するようなものではない。中長期目標はトップダウンで環境基本計画として決められているからしようがないというのでしたら、それでいいのですけれども、せめてここの見出しを例えばこんなふうに直したらどうか。「中長期的目標と取り組むべき課題」とする。そして、「これらを踏まえた私たちが目指す循環型社会の形成に向けた中長期目標と取り組むべき課題は、以下のとおりである」というぐらいの表現ならまだ何とかなるのではないかと思います。ここは、これではおかしいという気がしました。
 それから、第2章ですが、これもまた前回の第二次計画でも少し落ちつきが悪かった点ですが、そもそもここに書かれているイメージというものを計画の中に書いた理由は、第一次循環基本計画をつくったときに、循環型社会というものが全く世の中に知られていないので、それを皆さんにわかってもらうためにわかりやすく書きましょうと言うことになって、何々をすべきであるとしないで、こうなっていますといった書き方をしてみたわけです。その元ネタは、生物多様性国家戦略の第2版バージョンなのです。そこには100年後の日本の国土ということでとてもいいイメージが描いてあり、これはすばらしいな、この真似をしようではないかと言ってつくったのが第一次計画の循環型社会のイメージでした。けれども、どうもあまりにも情緒的過ぎたので、よくないなと。第二次計画では、ああいう書き方は少し変え、どちらかというとこうなっています、こうなっていますという書き方ではなくて、少しいろいろ書いて、何とかぐちゃぐちゃとなったのですけれども、今度の第三次計画の素案を見ると、また何か先祖返りしてしまっていて、こうなっていますみたいな書き方になっているのですけれども、これも唐突な感じがします。一次計画は少しまずかったという反省に立って、二次計画では少しトーンダウンしているわけですから、その経過を踏まえると、三次計画でまたもとに戻るのはよくないので、もう少し何かしてほしい。語尾を整理して工夫していただかないと、これでは何だかよくわからない。
 それから、イメージというのだったらもっと短くすればいいのですけれども、こんなにごちゃごちゃ書いたら、かえってイメージが湧かないのではないでしょうか。強いてイメージを入れる必要がないかもしれないので、だったら思い切って「方向性」などと書いたほうがよっぽどいいので、この際「イメージ」という言葉から卒業しても一向に構わないと思います。これは一次計画をつくったときの反省を踏まえてというか、生物多様性がすばらしかったので、ついつい引きずられてしまったのだけれども、生物多様性で考えている100年後の話とこちらの循環計画でいう10年後では話が全然違うから、やっぱり書きづらいなという気がしてきたので、二次計画ではトーンダウンしたのです。その経過を踏まえると、繰り返しますけれども、この書き方全体を工夫したほうがいいという気がします。
 4章までのところで、あと私の気がついた点は、「見える化」という言葉が出てくるのですけれども、例えば廃棄物処理コストの「見える化」、こんなところでわざわざ「見える化」という必要があるのだろうか。私は「見える化」という言葉はもともと大嫌いで、見えないことはよくないということを言外に含んでいますから、これは視覚障害者に対する差別的な表現だと思っています。だからこういう言い方はやめてほしいと思っているのですが、いつの間にか定着してしまったようです。これはもともと産業界筋から出てきた言葉で、やったことがすぐ定量的に数字で示されて、やったことがぱっとわかるといったニュアンスだったのかなという気もしたのだけれども、少しこういう言葉の使い方は制限をしたほうがいいのではないか。何か全部「見える化」になってしまっているのですけれども、例えばこういう取組をすれば効果がありますみたいなこと、こんなに効果があるのだよといったことについては、もう温暖化でも既にやっていますから、「見える化」という言葉でいいのですけれども、廃棄物の処理コストを示すとか、こんなことは「明示する」と言えば済むことで、わざわざ「見える化」などと言う必要はないのではないかという気がします。  それからもう一つは、17ページですが、ほかの箇所もそうですが、「不法投棄等」と書いてあります。しかし、これは「不法投棄・不適正処理」と書いたほうがいいような気がします。つまり、実態はかなり不適正処理が多い。ですから、「不法投棄」というと、何か意図的に違法行為をやるといったイメージがあるのですけれども、そうではなくて不適正処理が行われてしまっていますから、ここはせめて初出の箇所を「・不適正処理」としておいて、あと文脈の中では「不法投棄等」でもいいと思いますけれども、ここはそうしていただきたい。
 といいますのは、後の第5章の部分でも時間があれば発言しようと思っておりますけれども、今アスベストが使われている建物解体時にアスベストが飛散していることが問題になって、大防法改正をやろうという議論をやっているのですけれども、実際に解体して廃棄物になればアスベスト廃棄物ですけれども、解体するまでは廃棄物になっていないわけです。それをちゃんと適正に扱っていただいて、適正にアスベスト廃棄物にしていただかなければいけないのですが、それができていないという問題があるわけです。だから、そういったことを意識しながらこれを読んでいますので、「不法投棄」だけではまずいという気がします。費用をちゃんと負担してくれという話は、その点でも出てくる話です。これはぜひ入れていただきたい。こういうことです。

○武内部会長 酒井委員、お願いします。

○酒井委員 どこに入れていただくのがいいのか、少し迷いながら発言しているのですが、いわゆる循環ないしは廃棄物管理における知的財産のあり方という点について少しテークノートしておいたほうがいいのではないかということでの意見でございます。
 今、浅野先生から、第2章のイメージの中の第6節、経済活動における3Rの浸透あたりかなと思っていたのですけれども、イメージの段落で、あまりぐちゃぐちゃはよくないというご意見がありましたので、ぜひ座りのいいところに入れていただきたいのですが、いわゆる権利の尊重と、それから柔軟な運用のバランスというのが非常に大事な点になると認識しています。権利ばかりどんどん知的財産のほうを推進していくという意味でもなく、うまく共有するところはしていくという視点でのポイントをぜひ書き入れていただきたいと思います。国際的な取組は次回とおっしゃいましたが、今後こういったいわゆる知的共有財産をどうアジア圏域で共有していくかという視点にもつながっていく話だと思っておりますので、ぜひご検討ください。

○武内部会長 ありがとうございます。
 崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。17ページまでの段階ですと1つだけ申し上げたいのですが、例えば9ページの課題のところに安全・安心の確保という項目があります。これまで循環型社会をつくる中の、特に廃棄物処理施設の整備に関しては、地域の各主体の参加とか連携・協働による取組によってその地域で処理施設を確保していくなど、そういう取組の中でようやく連携・協働がこの分野で根づいてきました。こういう計画の中心にも連携・協働というのが最初に出てくるような形になったのですが、最近の安全・安心の確保のための放射性廃棄物の分野が入ってきたことで、適正処理というか、リスクコミュニケーションとか、地域の主体ときちんと信頼関係をつくっていくことの大切さとか、安心・安全のところの最後にでも、もう一回言葉を入れておいたほうがいいのではないかなということがこのごろ気になっております。この分野ではそれだけ発言させてください。よろしくお願いします。

○武内部会長 佐々木委員。

○佐々木委員 ありがとうございました。12ページの安全・安心の確保というところで、大規模災害時においてというくだりがあるのですが、今回の東日本大震災のときにも、実際のインフラというか、廃棄物処理施設のハード面では、それほど大きな障害はないのですが、実際にほとんどのところがとまりました。それは何かというと、停電なのです。電気が来ないので、施設は、継ぎ手が緩んだとか、そういう点検で動くのだけれども、電気が供給されない。ということになると、麻痺した場合において運転できるというと、自家発のような設備がなければならないわけで、この書き方ですと、確かにインフラがだんだん復旧された中で役割を果たすのですが、これは誤解されるのかなと思って読んでおりました。実際に、大体岩手・宮城ですと、3日間ぐらいの停電で復旧してくると、廃棄物処理施設も動いた、それで実際に電気などを送ったりすることができたというのですが、そこのところは少し書きぶりを考えたほうがいいのではないかなと思います。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。
 佐和委員、お願いします。

○佐和委員 まず、11ページの第1節の真ん中あたりに、「我が国が目指す循環型社会は」云々とありますが、この文章の意味がわかりにくいのではないでしょうか。つまり、「自然界から取り出す資源と自然界に排出する廃棄物の質と量を持続可能なものとするバランスの取れた」という一文が、その言葉が何を意味するのかが私にはわかりかねるし、「以下のような社会生活が営まれる社会」と書いていますけれども、以下の2つのパラグラフを見ても、どんな社会生活の営みなのかについて具体的なイメージが湧いてきません。この部分は修文されたほうがいいと思います。
 それともう1点は、次の2カ所です。1つは14ページの第6節の最後のところに「金融においても」云々という表現がございますね。それから、同じようなことが、18ページの[3]のところで金融に関してのコメントがありますが、金融機関に対して、そうした行動を促すインセンティブをどのようにして与えるかについて、もう少し突っ込んだ議論が必要だと思います。
 それから、3Rを取り込んだ循環型社会の構築は、経済成長とどう関連するのかについて、プラスの面とマイナスの面とを具体的に提示すべきではないでしょうか。例えば資源の輸入が減るとか、今後、資源価格の高騰が見込まれるから、レアメタル等のリサイクルをやれば、GNPに対してプラスの効果がある。しかし、200年住宅とか100年住宅ということになれば、建設業界にとってみればあまりありがたいことではない。循環型社会の形成は、産業をウィナーとルーザーが分かちますし、マクロのGDPはどうなのかについて、それほど細かな議論をする必要はありませんが、多少は何か触れておかないと、物足りないのではないでしょうか。皆がリユース・リデュースをやり出して、10年、20年と物を長持ちさせるようになれば、当然、経済成長率は低下します。そのことが決して悪いことではない。GDPを相対化すべきである。つまり、GDPは一つの経済指標にすぎない。利便性に富む快適な社会をつくることが目的であって、そうした利便性・快適性をGDPという一元的な物差しで測れないことを明確に打ち出すべきではないでしょうか。

○武内部会長 ありがとうございます。
 では進藤委員、お願いします。

○進藤委員 今、佐和先生が指摘した点ですが、私もこの計画を推し進めていったときに全体の経済活動の水準なりGDPというのはどのようになってくるのか、成長との関係はどうなるかな、と思いました。これは一つの問題ではあると思います。ただ、それはこの部会の守備範囲を越えていますので、この部会としては、循環型社会としてどういう方向を目指すのかということを議論していると、私は理解しています。これが一つ。
 それから、7ページ以降、「循環型社会づくり」、「低炭素社会づくり」、「自然共生社会づくり」、この3つを一体としてやるべきだということがいろいろなところで出てきます。この結果、地域循環圏の中でこの3つを一緒にやっていくということになるのですが、そうなると、ここに書いてあるように、バイオマスを利用しようというようなところに行き着いてしまうのです。そうではなくて、例えばもっと広い意味で考えられないかと思います。これはここで何回も言わせてもらっているのですが、廃プラスチックのリサイクルの方法でも、ケミカルリサイクルであれば、この循環とCO2の削減に相当貢献できる。しかし、マテリアルリサイクルでいきますと、半分が燃やされるので、循環には役立つけれども、低炭素社会というものにはやや役立ち方が少ない。リサイクルの「質」と言うか、リサイクルの方法で3つのうちの2つを両立させるとか、あるいは3つの全てを叶えるとか、そういう方法の議論もあると思います。そのような視点がもう一つあっていいのではないかと思います。これが二つ目。
 三つ目ですが、これは来週やると言っているので先取りする形になりますが、14ページのところで、「国際貢献(ペンディング)」という項目があります。原稿を一読しますと、あくまでも日本のリサイクル技術、リサイクルシステムをトランスファーすることによって新興国あるいは発展途上国のリサイクルに協力・貢献するというように、技術のトランスファーが中心になっているのですが、例えば、鉄鋼スラグについて言えば、今、いろいろ環境省とも相談させていただき、関係の先生たちのご協力で一歩一歩進んでいるのですが、循環資源としての鉄鋼スラグの輸出で国際貢献するということもあると思うのです。発展段階の違う国、例えば新興国であれば、まだセメントの需要は多いわけで、若干輸送費を引きますと、日本から出るときはFOBのマイナスとなるのですが、これが新興国ではきちんとしたセメントの原料・製品として利用されるわけです。日本では公共事業がないのでセメント需要が少なく活用できない。これを国際貢献と言うのかどうかという議論はありますけれども、そういう循環資源の外国・新興国での活用といった視点も、グローバルに見たときの視点としてあり得るのではないかと思います。

○武内部会長 ありがとうございます。
 武田委員、お願いします。

○武田委員 一つは、エネルギーについての記述が若干少ないといいますか、例えば資源制約とかという言葉が「はじめに」のところに出てくる、あるいは現状のところに出てきているのですが、資源の中に含まれると言えば含まれると言えないことはないと思うのですけれども、やはり昨年のこと以来、非常に重要な位置を占めるので、明示的に書いていただいたほうがいいのではないかと思います。
 それから、できれば、エネルギーに視点を置いた指標というのが、直ちに出せるかどうかは別にして、そういうことについても若干触れていただいたほうがいいのではないかと、私は意見として申し上げたいと思います。
 それから、言葉の問題なのですが、字のこととか、幾つかの点がありますが、それはまた事務局にお送りさせていただくとして、一つだけ、「デカップリング」という言葉が2、3カ所に出てくるのですが、私もよくわからないので調べているのですが、少々納得いかない使い方のような気がするので、もう一度検討していただきたいなと。どうしてもこれを使わなければいけないのかどうか。私だけがわからないのか、あるいは一般の人がこれを読まれたときにどういう受け止め方をされるのか、疑問に思います。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 見山委員、お願いします。

○見山委員 ありがとうございます。18ページの事業者の中に金融機関・投資家を入れていただいたこと、これはとてもいいことだと思います。金融機関というのは、資金循環の仕組みをつくるということで、実はこの循環型社会をつくるという意味で親和性がとてもあると思っています。資金循環という文脈の中で循環型社会づくりに貢献するということで、金融機関を入れていただいたことは、今後金融機関に対して一つの大きな指標を与えたことにもなると思っています。
 特に、先ほどもご指摘があったと思いますが、現状の金融機関のビヘイビアを見ていると、CSR的な形での環境的課題への取組というのは多いですが、この文言が入ったことによって、本業で環境的課題にどうコミットしていくかということを今後、検討していただく第一歩になると思います。
 もう一つ申し上げますと、地域循環圏という文脈の中でも、地域金融機関が地域内での資金循環の仕組みをつくるということで、非常に貢献できるチャンスはあると思います。こういったことも地域循環圏の具体的な文言の中に入れていただくといいかもしれません。
 あともう一つ、政策との連携に関しては、政策的な資金投入と金融機関との連携のようなことも、新しい仕組みとしてつくることができると思います。この辺につきましては、個別で何か意見交換ができればなと思っております。
 以上です。

○武内部会長 森口委員、お願いします。

○森口委員 遅れて参りまして申し訳ございません。ご説明を伺えなかったのですが、事前にいただいておりましたので、それに基づいて幾つか意見を申し上げたいと思います。
 まず8ページ、先ほど武田先生から「デカップリング」という言葉について、これが適切なのかどうかというご指摘のあったところなのですけれども、事前に資料1ということで、次期循環基本計画に盛り込むべき事項として個別意見を出させていただいたことの1番目でございます。資源生産性なり物質の効率的利用について明示的に取り上げていただきたいということを踏まえて、ここに書き込んでいただいているのかなと思います。先ほど佐和委員と進藤委員との間であったやりとりとも関係するのですけれども、この計画自身の中には、やはり政策手段としては3Rを中心とすることしか書けない。デカップリングはもっと経済全体あるいは産業構造全体に関わることなので、このあたりの書きぶりは非常に難しいところかとは思うのですけれども、この計画の中で3Rを中心とする循環型社会政策自身がとり得る手段は限定があるとしても、私としてはもう少し動脈なり産業なりあるいは国の経済社会をどういう方向へ持っていくのかということのコンセプトがわかるような書き方をしていただいたほうがいいのかなと思います。そうだとすれば、ますますもって「デカップリング」という言葉ではわからないというご意見も出てくるのではないかなと思っておりますので、これは英語では今UNEPの資源パネルを初め、この言葉を使っておりまして、これのいい日本語訳というのはずっと考えているのですが、いわば「乖離」という言葉のネガティブなイメージではなく、あの言葉にもっとポジティブな意味を持たせたような、積極的に2つのものを分離させるというニュアンスのいい日本語があれば、ぜひここで定着させればいいのではないかなと思っていますので、お知恵をおかりできればなと思っております。
 それからもう一つ、これはややマイナーな点なのですけれども、次の9ページの(3)安全・安心の確保の最後に「リスクコミュニケーションの充実」という言葉が出てまいります。これは今非常に重要なことかと思いますが、国が決めたことを一方的に丁寧に説明するということを指しているのではない。もっと、より対話といいますか、双方向でよく物事を理解し合えるようにするということが安全・安心につながるかと思いますので、この「リスクコミュニケーション」という片仮名言葉でよろしいかどうかということも含めて、ご検討いただければと思います。
 それからもう1カ所は、12ページ、2章の中長期的なイメージのほうですけれども、ここは浅野先生が正におっしゃったとおりで、文体が全体としては、何かそうなっていてほしいとか、そうなっているはずということが書かれていて、誰がどうやってそれを実現するのかということがあまり書かれていないわけです。これは、あえてそう書かないから書けるという部分もあると思うのですけれども、ここをこういうトーンで書くとしても、後ろのところに、それぞれの主体がどうやってそれを実現していくのかということについては、できる限り漏らさず書いていただきたいなと思います。
 そういう点において、例えば安全・安心の確保の2段落目に「地方公共団体間の広域的連携等により」と書かれているわけです。これも今回、広域処理にはいろいろ賛否があると思いますし、またそれが安全・安心につながっているのかということについてもいろいろな議論があると思いますので、ここにそれを明示的に書くのがいいのかどうか。また、これも何かやや受け身で書かれているので、国はどう考えているかわからないけれども、地方公共団体が何となく勝手に連携してくれてみたいにやや無責任に書かれているようにもとられかねないので、これは非常に象徴的な例だと思いますので、ここのところは少し丁寧に言葉を選んでいただければなと思います。
 ちなみに、これは申し上げるつもりではなかったのですけれども、先ほど進藤委員からリサイクルの手法の話がございました。ケミカル・マテリアル、これは別途容器包装のほうで私自身もかなり関わっておりますけれども、マテリアルリサイクルに関しても、燃やされているとおっしゃった部分については、熱回収等が行われている部分もある。ですから、何をもって再商品化率と定義するかというところにおいて、リサイクル手法間で低炭素社会への貢献分をカウントしている場合とカウントしていない場合が現実に今ございます。ですから、より建設的に捉えるならば、リサイクル手法にかかわらず循環と低炭素の両方に貢献できるような、そういう評価の仕方をそろえていくということが大事ではないかと思いますので、そのあたりもご配慮いただければと思います。
 以上です。

○武内部会長 横山委員、お願いします。

○横山委員 第1期とか第2期に比べてみると、いろいろ新しいところも盛り込まれて、大変よくなりつつあるのではないかと思います。
 一方で、少しダブりが気になります。まず、これまではなかった1章に「中長期的目標と課題」というのが出て、そのすぐ後に「中長期的なイメージ」と入ってきて、内容的には精査しているわけではないのですけれども、かなりダブってくるのではないか。その辺を工夫する必要があると思います。
 そういう意味で言うと、例えば9ページと12ページに「安全・安心の確保」というのが全く同じ表現で出てくるとか、それから「地域循環圏の高度化」、これも13ページと27ページに、中身は少しずつ違っていますけれども、同じ表現で出てきて、それから災害廃棄物についても、これもダブるのはある面でやむを得ないのですが、25ページと36ページに出てくる。というように、少し整理するとよりよいものになっていくのではないかなという印象を受けました。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 吉川委員、お願いします。

○吉川委員 4章以降の全体に関わることなので、この場で一括してそこは申し上げたいと思うのですが、経団連でこの内容についていろいろ今検討を始めているところです。まだ十分に内容を理解できている状況ではございませんけれども、望ましい方向として、全体的にこれは理解、了解しております。
先ほど文書で申し上げました内容につきまして、以下はお願いなのですが、産業界といっても、ご存じのとおり、多種多様でいろいろな諸事情があって、一括して言えないところがありますので、大変恐縮なのですが、是非、経団連の事務局と個別に時間をとっていただいて、打ち合わせをしていただきたい。よろしくお願いします。これが第1点です。
 あと、これは経団連の中でまだ議論されているとは思わないのですが、私が今これを読んでいて気になったことは、「拡大生産者責任」という言葉が14ページに出てきて、その後ずっとこれは非常に気軽に出てくるのです。それで、14ページの定義を読みますと、最後のところで、「廃棄物等となった後まで一定の責任を負うという考え方」です。括弧の中です。この「一定の責任を負う」という、この「責任」というのを軽く使われますと、「はい」と言うわけにいかないのです。ですから、これは法的な責任というところを産業界というのはすぐ受け止めますので、ここは「責任」という言葉は避けていただきたい。「拡大生産者責任」という言葉はもう一般化されているからこれでよろしいのですが、例えば「廃棄物等となった後まで一定の努力義務を負う」とか、そういうことにしていただかないと、例えばこれは「責任」というと、法的な責任を伴うということになりますと、そう簡単にはいきませんよということになりますので、ここは私の個人的な意見ですから、事務局にも言っておきますので、是非調整していただきたい。もしどうしても使われるのでしたら、この責任の内容を、法的にどういう責任まで追及されるのかということを明らかにしないと、経団連の各社はなかなか「はい」と言えない大問題になりますので、慎重な扱いをお願いしたいと思います。

○浅野委員 今の点に関しては、もともと「責務」でいいわけです、Rですから。それが日本では「責任」という言葉になってしまっていることは、とかく誤解を生じやすいことはそのとおりだと思います。しかし、せめて「責務」ぐらいに言わせてもらわないと困ります、レスポンシビリティーですから。

○吉川委員 いやいや、それは経団連の中で議論させてください。私がここでオーケーと言うわけにはいきませんので。

○浅野委員 「責任」という言葉が適当でないという指摘は、私は前から思っていますので、それはそれでいいのでしょうけれども、表現ぶりはきちんと考える必要があるのでしょう。

○吉川委員 失礼しました。
 もう一つ、先ほど浅野先生からありました、誤解のないように、ここで「見える化」ということについて、産業界から出た言葉かどうかは知らないのですが、産業界で使っている「見える化」というのは、差別的な言葉で使っておりませんで、例えば抽象的な言葉で言うことではなくて、それを表とか数値化するとかということを言っているのです。ですから、それは点字であってもいいし、音声であってもいいということですので、どうか、産業界でそれを差別的に使っているということではございませんので、名誉にかけて申し上げたいと思います。

○浅野委員 私が言いたいのは、むやみやたらと使う必要がないときには使わなくていいということです。

○吉川委員 ただ、産業界では、ごく普通にそういう意味で使われているということをご理解いただきたいということです。以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 時間が大分押していますので、事務局からのレスポンスはとりあえず省略させていただいて、最後に、もし時間があればそのようにしたいと思いますけれども、とりあえず第5章以降でもう一度皆さんからご意見、ご質問を承りたいと思います。
 では、浅野委員、お願いします。

○浅野委員 第5章以下では、まず19ページの[3]ですが、先ほどアスベストの話を申し上げたので、その延長線ということでお聞きいただければいいのですが、「有害物質の適正な処理」となっていますけれども、やはり有害物質などの混入防止とか、それからさらに有害物質の適正な処理、この2つが問題なのだろうと思います。
 次に、20ページの[7]です。前から申し上げているように、個々の法律に基づいてちゃんとやっていただきたいというだけでなくて、制度間の連携の強化が必要だということは度々申し上げています。20ページの最後のところにはそれも入れる必要があるという指摘をしたいと思います。
 それから、24ページです。ここで先ほど「リスクコミュニケーション」という片仮名がいいかどうかと森口委員が言われました。それも含めてですけれども、前のほうの総論にはそれが出てくるのですが、こちらの具体の施策のところにはそれがないのです。先ほどこの点は崎田委員がおっしゃったことですが、リスクについて正確な情報が発信されるということはこの文脈の中でも極めて重要だと思いますから、丸の中の項目として格上げして入れてもいいくらいだと思います。
 それから、しつこいようですが、「アスベスト、PCB等の有害廃棄物を含む」という部分ですけれども、これは廃棄物になってしまってからのことしか意識されていないわけです。しかし、PCBに関しては、現に使用されているものが、使用が終わった瞬間に廃棄物になるわけです。それが一体どうなのだという問題がありますし、それからアスベストについても、建物の中に入っている限りはまだ廃棄物ではないのですけれども、それが一旦解体されて出てくると廃棄物になるわけですから、そこら辺のつなぎ目のところも意識しておかなければいけない。文章はまた後で考えればいいことですけれども、例えば建物・施設・機器などが適正に管理されるということがまず大前提で、その上でさらにそれが廃棄物になったときには適正処理が確保される。この2つのことを同時に触れておかないといけないと思います。
 先ほどの9ページのところでも、いきなり廃棄物になってからのことだけしか出てきていない。これはよくないと思います。少なくとも環境省全体でこれをつくるということからいうと、他の局が関心を持ってやっていることが中に反映されるべきだろうと思いますので、お願いしたいと思います。
 あとは、「不適正処理」というのを入れるべきだと申し上げたので、これは32ページの部分ですが、もう一々申しませんけれども、「不法投棄等」となってみたり、「対策等」となってみたり、いろいろごちゃごちゃになっていますけれども、ここで不適正処理の問題を入れるということが必要だろうと思います。
 33ページの[4]です。ここで「財政支援を実施するとともに」と淡々と書いてありますけれども、結構、今これをごちゃごちゃやっている最中なので、やっている者の立場からいうと、「支援制度を維持・整備する」というぐらいのことは言っておかないと、自明のことだなどと思われたら、そんなに簡単な話ではございませんので、ここはお願いしたいということです。
 多分あとは森口委員が言われるだろうと思いますので、黙っていてもいいのですけれども、先ほど森口委員から出されたペーパーが紹介されましたが、その趣旨からいうと、「放射性物質に汚染された」云々という最後のところに、一般論としての話としても、廃棄物等への放射性物質の混入の防止を徹底して、リサイクルや廃棄物処理に対する信頼を損なわない、そのための施策が大事だということを一般論として入れていいと思いますので、この最後に2行ぐらいつけ加えるということがいいのではないかと思います。

○武内部会長 酒井委員、お願いします。

○酒井委員 恐らく24ページの有害物質を含む廃棄物等の適正処理のところに入れていただけたらと思って発言しますが、有害物質に係る情報蓄積とモニタリングの推進という1項を立てていただくのがいいのではないかと思います。理由は、今回の小型家電リサイクルあるいは有用金属の回収という点を今後推進されるわけですが、まだまだ有害性情報の少ない資源性物質というのは非常に多くございます。そういった意味で、こういった物質の有害性検証を推進するということは今後非常に大事ではないかと思っています。それにあわせて、あえてモニタリングと申し上げますのは、地方のこういったモニタリング対策は非常に弱っていると認識しておりまして、地方の体制の再構築を図っていただきたいということを含めて、お願いしたいと思います。24ページの部分か、あるいは有用金属のところで触れていただいても、どちらでも結構かと思います。
 もう1点は、この第5章全体が国の取組となって全部書かれていくわけですが、地域というものの重要性を考えますと、これすべてが国の取組で書かれるというのは、何か違和感を感じるということがあります。第3節が国際的取組ということで書いていくのであれば、第5章は第3期の取組とか、何か少し、逆に国があまり前面に出ないほうがいいような感じも、全体を見て感じております。その点は、最後の6章のところの計画の効果的実施、38ページのところでも、関係府省間の連携ということは非常に強く出てくるわけですけれども、やはりこれは地域との連携という点も、これは同じぐらいの重みで書いていくべき点かと思いますので、全体の立て方ということと地域ということの重視という点は、全体を通じて考えていただきたいと思います。

○武内部会長 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。この今日の素案ですけれども、2Rを徹底させながら資源を大事にすることを徹底することと、それとともにリサイクルの高度化プラス最終的なものの熱回収をしっかりするとか、全体の大きな方向性を明示する大事な計画だと思っているのですが、そういう意味では、かなり大事なところを強く押さえていただいていて、しっかり書き込んでいただいているという印象を持っています。ただし、地域循環圏について、いろいろなところに書き分けてあるので、私も全部読みながら感じるのですが、環境省の皆さんが地域循環圏を説明されるときによくパワーポイントをお使いになります。そこでは4つのパターンを例示されて、いわゆる里地・里山・里海のタイプと、都市型と、それの連携したタイプと、リサイクルタウンに近くて連携しているところとか、かなり明確にお話しされて、あのほうがわかりやすい感じがしています。ああいう全体像を一回どこかに書き込んでいただいた上でそれぞれのところの個性を書いていただくと、地域性に応じた、その地域らしい循環をつくっていく大切さがより強く伝わるのではないかという感じがいたしました。
 なお、先ほどのリスコミの話は、私が申し上げたところには言葉としては入っていたのですが、後半のところには、安全・安心のところにはほとんどそういうところが入っていないのです。そういう意味で、もう少しその視点を入れていくことを、浅野先生がおっしゃってくださいましたが、そういうところを大事にしたいと思います。
 なお、もう一つだけ、リサイクル法について。21、22ページあたりに使用済小型家電の回収のことなど、いろいろ読みながら思うのですが、今リサイクル法全体に関してはこの次の委員会に出てくるということなのですが、リサイクル法の回収の仕方とか、リサイクルコストの払い方とか、今微妙に制度が違っている。その違っているということをこれからどういう方向に持っていくのか、そういう合意形成はとても大変なので、そういうことも課題にあるということを入れていただければありがたいです。そういうところから見ると、この22ページのあたりは、本当はその辺りがうまく伝わってこないと、と言うと変なのですが、変化する経済状況に対応した方向性だと思います。認定事業者の制度づくりをしているのですけれども、そこに渡すために自治体が今、回収率を上げる工夫をしようとしています。そういう認定事業者の取組と自治体の回収率アップと連携してこの制度をうまくしていくような、そういうニュアンスをもう少し出たほうがいいのではないかなという感じもしています。拡大生産者責任という言葉がきついというご印象が産業界の方にはあるようですが、厳しさだけでなく事業者の取組と社会全体でリサイクルの、よりよくしていくのだという方向性が明確に伝わるということはとても大事なのではないかと感じています。よろしくお願いします。

○武内部会長 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。31ページの[1]のところに、施設整備に関して「交付金制度を活用し」という記載がございますが、自治体から見て、この交付金制度というのはいろいろな意見がありまして、ただ先行きについては相当懸念しているといいますか、本当にいつまで持つのですかという感じなので、こう書いてくれたほうがいいのですけれども、本当に大丈夫かなみたいなところがありますので、その辺をしっかり維持してもらいたい。活用するという以上は、きちんと制度を維持していただきたいという、これは要望でございます。
 それから、38ページ、関係府省間の連携ということで、これもいろいろなものをやっていくときに、それぞれのメニューが、特にバイオマスなどは、国交省、農水、環境省、いわゆるバイオガスという意味でいくと、それがいろいろなメニューがあって、どれに乗るかというと、なかなか、それぞれメニューの考え方がある。その辺を統合してフレキシブルに対応できるような協議というのを、情報交換だけではなくて、メニューごとにつくっていただきたい。これも要望でございます。今後本当に連携を密にしていただいて、事業の効果があるような制度にしていただければと思います。
 以上です。

○武内部会長 佐和委員、お願いします。

○佐和委員 率直に言って、全体的に文章がわかりにくい感じがいたします。例えば、27ページの一番下から3行目のところに「経済・文化等の特性」という言葉があります。「経済・文化」などという表現は今まで見たことがないのですけれども、経済的特性及び文化的特性ということを意味されているのだとすれば、例えば大阪と東京では文化が違うとよく言われます。そうした文化的差異が循環システムづくりにどういう影響を及ぼすのでしょうか。文化というのが何を意味するのかを明らかにしていただきたい。
 それからもう1点。8ページの真ん中あたりに「グリーン・イノベーションを推進し」云々という文章がございます。ここに「デカップリング」という言葉が出てきますが、これに関しても「グリーン・イノベーションを推進し、環境改善を達成しつつ景気変動に影響されにくい競争力のある循環分野の環境産業を育成していく」と述べられていますが、この文章の意味もわかりにくいですね、何で「景気変動」という言葉がこの文脈に登場するのか、「景気変動に影響されにくい競争力のある循環分野の環境産業」の育成が「デカップリング」につながるというのが、私には理解できません。

○武内部会長 では、進藤委員、お願いします。

○進藤委員 細かなこと1点ですが、先ほど浅野先生が言及された33ページの2行目、[4]であります。ここの「個別の産業廃棄物の不法投棄等の事案」というのは、既に不法投棄されて、それを原状回復するためのいろいろな事案だと思うのですが、これに対しては財政支援だけではなくて、我々産業界も基金に対して、産業界全体としては一定の責任があるという理解でずっと出捐を続けてきているわけです。しかし、資金がたまっているにも関わらず個々の事業がそれほど進んでいないという実態があります。必ずしも十分なスピードで進んでいない。したがって、いつまでにやるのか、期限を厳格に決めて、各事業を実行していかないと、資金と案件ばかりが積み上がっていくという感じではないかと思います。この2行は、さらっとこれだけではなく、もう1行ぐらい何か加えてほしいという気がします。

○武内部会長 では、藤井委員、お願いします。

○藤井委員 本当は横山委員がもう少し踏み込んで発言してくださると思ったのですが、この循環計画はまさに大震災と原発事故に向き合う循環計画ということで、第一次、第二次とは全く違うという位相をどのように表現したらいいかなと思いながらずっと見てきました。そんな中で、東日本については、「はじめに」から今の第4節の1の対応を含めてさまざまなところに散見されるのですが、第一次、第二次までの順調に推移しているというところとは違うということをどこかで書き込まなければいけないのではないか。例えば36ページにいろいろ、あらまほしも含めて、このように活用するなどとありますが、発生から1年7カ月、そしてこの計画は26年3月で、ちょうどその中に立っていて、あの南相馬の海岸に立って、小高の海岸に立って見る限り、このあらまほしがこのように動くというのはとても思えなくて、だから、第一次、第二次までは順調に来ているけれども、今回の循環計画は、この非常に大きな3.11を含めて、もう少し違う向き合い方をするということを、どこにどう表現するかというのは「はじめに」なのかなと思いながら、できれば横山委員に、あちこちに出てくる東日本大震災に関わるところをこのように表現したらどうかということで少し議論を一緒にできたらいいなと思うのですが、そこを、特に後半章ということではなくて、循環計画全体の表現の中で少し考えたらどうかと思います。意見です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 森口委員、お願いします。

○森口委員 私のほうからは、大きく分けて3カ所ぐらいですが、いずれも今まさに藤井委員からもご指摘のあった東日本大震災あるいは原発に関係したところでございます。事前に資料1の書面で提出している意見の2番目については、先ほど浅野先生に触れていただきましたので改めて申し上げませんが、ここで言わんとしたことは、今、藤井委員がおっしゃったこととも関係しておりまして、これまで順調に推移していた循環ということがいいことだということでせっかく進めてきたことが、この状況の中で不適切なこと、あるいは十分に適切とは言い切れないことをやることによって循環そのものが崩壊してしまわないような、そういう危機意識が必要ではないかということを私はここに書かせていただきました。
 その点で具体的には3カ所ございまして、まず25ページの災害時の廃棄物処理システムの強化というところで、[1]、[2]というところがございます。[1]に「反省点を含め」と明確に書いていただいたことは大変結構かと思います。想定外でなかなか大変であったということもあると思いますので、しっかりと分析していきたいと思いますけれども、その中で特にここで「被害規模の段階(ステージ)」ということがあります。段階という意味では、被害規模ということだけではなくて、時間の経過、つまり発災直後にわかっていたことと、時間がかかる中、時間が経過する中でわかってくることがいろいろあるわけです。国に限らず、行政施策というのは、一回決めるとなかなか方向転換ができないということはよくわかるのですけれども、今回はそこの問題が非常に大きかったと私は感じております。常に柔軟に状況把握をしていって、必要に応じた見直しができるような、そういうことをぜひ明確に、できればここに書き込んでいただきたいなと思っております。
 [2]に「広域的な協力も含め」と書いてあります。こだわるように思えるのですけれども、「反省点を含め」と書かれているなら、あまりここは決め打ちで書かないほうがいいのではないかなと思いますし、「地方公共団体間の連携」、これは先ほども出てきましたが、それを促すという行き方も何となく国がやれやれと言っているだけにも見える。特に今回は国と地方公共団体との間の連携ということにおいても随分反省点があるのではないかと思いますので、その点については文言をよく選んでいただきたいなと思います。
 ただ、この話を循環基本計画の中に書くのがいいのかどうかというところは、これは前回も申し上げたとおりで、あるいは循環型社会計画部会だけでこの議論をしているということでいいのかどうかというのは、前回の部会でもまさに大変気になったところでありまして、ここに書くのであれば、循環型社会計画部会にとどまらず、災害時の廃棄物処理システムに関しては、多分環境省だけではおさまらない話がいっぱいあると思うのです。だから、そういうことをちゃんと計画的にやっていくのだということを計画の中に書くということはあり得ると思うのですけれども、計画の中にあまり各論まで書き過ぎないほうがいいのではないかと思います。
 例えば、36ページに、これは2点目ですけれども、第4節の災害廃棄物の処理の中に「原則として平成26年3月末までを」と書いてあるわけです。だから、これは正直、私は細か過ぎると思っておりまして、ここに書くのであったら、平成26年3月に本当にきちんとやるということが本当に循環型社会の形成にとって望ましいのかどうか。例えば、災害廃棄物の現地での復興利用をするのだったら、これにこだわり過ぎないほうが復興に活用できるという状況もあり得るわけです。ですから、今決まっているものを書き込み過ぎているのではないかなというのが気になった点でございます。
 最後、37ページの放射性物質に汚染された廃棄物の処理ということで、これは文言上の問題なのですけれども、最後から2行目のところに「特別措置法等に基づき」云々「検討を行う」と書いてあるのですが、この「特別措置法等に基づき」というのは「現在行っている」というのにかかっているのであって、「検討を行う」にかかっているのではないということを明確にしていただきたいですね。特措法はあくまで特別措置としてやっているのであって、検討はちゃんと一からやらなければいけない。これは日本語の問題だけなので、そういう意図はないと思うのですけれども、「特別措置法等に基づいて現在行われている」云々というような表現にして、検討自身は特措法に基づいて行うのではないと、ここは明確に書き分けていただきたいと思います。
 以上です。

○武内部会長 横山委員、お願いします。

○横山委員 盛り込むべき事項の中で、大震災と原発事故に向き合う循環基本計画にするといったことを指摘して、私は、これはこれでそういうことが盛り込まれていたと最初は感じていましたが、藤井さんから厳しい指摘を受けて、少し反省しています。もう少しその趣旨を生かした形でやっていただきたいと思います。
 これに関連して2点指摘したいと思います。1点目は、これまでも出てきましたが、37ページの放射性物質に汚染された廃棄物の処理。実は私もあまりよくわかっていないので、変な言い方になるかわからないのですが、焼却灰や汚泥と、それから除染に伴う汚染土壌などの廃棄物、それから放射能に汚染されたがれきがあるわけです。その辺の区別がこれを見ても全然わからないわけです。確かに、ここでそこまで書く必要があるかどうかということは、私もそのとおりだと思うのですが、少なくとも今言った3つぐらいはわかるような感じで書いていただきたいなと。循環基本計画は、今はそういうところまで責任を持つのだといったところが出てきてもいいのではないかと思います。
 それに関連して、最後の4行です。これは、事故由来以外の放射性物質というのは、研究用・医療用廃棄物などを言っているのでしょうか。違いますか。ごめんなさい。ここもよくわからないので、その辺も書いていただきたいと思います。
 それから、放射性廃棄物に至っては、肝心の高レベル放射性廃棄物と使用済み核燃料があるわけで、それはもちろんこの計画で指摘する必要はないのだと思いますけれども、いろいろなものが本当にわからない、一般の人にはほとんどわからないような状況になっているので、せっかくここでこういう項目を立てているのなら、その辺のところがわかるような書き方にしていただきたいと思います。
 それから2点目は、これまでも出てきましたが、廃棄物焼却に伴う熱回収とか熱利用に関して、27ページの上のほうに廃棄物発電のことが出てきて、その後に「焼却施設や産業工程から発生する中低温熱の業務施設等での利用を進める」ということですけれども、これはもう少し、現状がどうなっているか、せっかく低炭素社会に貢献するということだと、この辺をクローズアップすることができないかと思います。盛り込むべき事項にも書きましたけれども、廃棄物発電の取組状況を新たに取組指標に加えることになったわけですけれども、熱利用のほうがどうなっているのか。私は、それも取組指標にできないのかと考えています。それは無理なのかわかりませんが、もう少し方向性を打ち出していただきたいなと思います。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 吉川委員、お願いします。

○吉川委員 時間がないので、1点だけ申し上げたいと思います。これは問題提起として申し上げたいのですが、私自身が迷っていて、よくわからないのですが、25ページの低炭素社会からずっと続きまして、26、27ページぐらいにかかるのですが、特に26ページのところで、低炭素社会づくりに関連してエネルギーについて触れているわけです。ここで、疑問といいますか、原子力発電とCO2の関係について、これは触れなくていいのかなという大変難しい問題で、こういう政治状況の中で触れられるのかどうか、環境省の皆さんは非常に苦悩されて、多分抜いているのだと思うのですが、ただ、本当に重要なことを除いてしまっていいのかなと。それで、これは産業界の立場で言いますと、原発をやめるということは火力依存になりますので、CO2の負荷が産業界に非常に大きく関わってくるわけです。それで、CO2に対する技術的な解決策はまだ産業界では持っていないわけです。ですから、そういう中でこういう大事なことを触れずにいていいのかという、問題提起です。ご返事はなくても結構です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。いろいろと貴重な意見をありがとうございました。時間がもうありませんので、今日の大体のご意見は、皆さんそれぞれ、かなり合意できるという形のご意見だったと思いますので、それを踏まえて、次回、これを更新したものを出していただく中で、どのように皆さんのご意見が反映されたかということを説明していただくということで、今回はそれで終わらせていただきたいと思います。
 私もいろいろと申し上げたいことがあるのですが、一つは、最近「生物多様性国家戦略」をまとめましたけれども、その中でも、従来の自然共生社会がどちらかというと自然の恵みたいなものに依拠してつくられていたのに対して、自然は脅威でもあるという観点をきちんと捉えなければいけないといったことを言っていますので、少しそれも見て、書きぶりについて調整していただきたいと思います。
 それから、今の吉川委員の話も含めて、やや総政部会がちゃんとしていないために、こういうところであまりクリアになっていないという話が多いのです。つまり、3社会像の統合というのは、本来総政部会できちんと骨が出るはずなのですが、あそこは今ホチキスを閉じるだけの役割になってしまっているのです。ですから、今度の環境計画課長も文科省から来られたフレッシュな方ですから、少し違う目で、そこらともつないでいただいて、まず骨が何かということを、それはバイオマスではだめですよ。バイオマスもいいけれども、バイオマスだけで3社会像の統合だというのは、それは全然だめです。ですから、我々としては、この部会で取り上げにくい類いの議論も含めて、少しそういうところでどのように議論すべきかということを、きちんと立ち位置を定めていただいた上で、我々がそれを受けてここで議論するのだということにしないと、避けているという格好になって、困ってしまうと思うのです。ですから、そういう点もあわせて少し周りを見ながら、次回に出していただくということにさせていただければと思います。
 はい、どうぞ。

○浅野委員 一言だけ、言われっ放しでも困るので。基本計画ではペンディングにしているわけです、その部分を。政府がはっきり方針をお決めになったら、その方針に基づいてちゃんとリバイズしますと宣言しているわけですから、肝心の政府が何も決まらない。

○武内部会長 原子力。

○浅野委員 要するにエネルギー・環境政策です。ただ、これは早晩総政部会も環境基本計画の点検をしなければいけませんし、それから地球環境部会でも同じ議論をやらなければいけませんから、その辺は鈴木会長にもしっかり意見を申し上げて、どの部会でこれをどうやるのだということはちゃんと決めてもらう必要があるでしょう。

○武内部会長 それでは事務局にお返しします。

○循環型社会推進室長 非常にたくさんの意見をありがとうございました。できるだけ消化できるように頑張りたいと思います。
 次回の循環型社会部会ですけれども、11月7日、13時から全国都市会館において開催いたしたいと思っております。詳細については、追って事務局よりご連絡させていただきます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。

午後3時02分 閉会