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中央環境審議会循環型社会計画部会(第9回)議事録


○平成14年6月28日(金) 13:32〜15:21

○於:弘済会館 会議室名:椿

<議事次第>

  1. 国立環境研究所からのヒアリング
  2. その他

午後 1時32分開会

○企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会循環型社会計画部会を開催いたします。
 委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
 本日は、13名の委員からご出席の連絡をいただいております。今先生がお見えになりましたが、若干遅れていらっしゃる先生もいるようでございます。定足数である過半数には達しております。
 次に、お手元の配布資料のご確認をお願いしたいと思います。
 循環型社会計画部会第9回ということで、資料1−1から1−4まで、それと、資料2が数値目標の考え方ということでお配りをしてございます。それと、本日はその後ろに、いわゆる循環型社会白書、「循環型社会の形成の状況に関する年次報告」、これは厚いものと薄いもの、講じた施策と講じようとする施策ということで2冊を置かせていただいております。
 なお、この白書につきましては既に委員の先生方には自宅の方に郵送させていただいております。恐縮でございますが、部数にも限りがございますので、部会終了後白書を回収させていただきたいと思います。お持ち帰りになりたいということであればお持ち帰りいただいても結構ですけれども、すでにお送りしておりますので回収をさせて頂きます。
 それから、資料につきましては、先ほど申しましたように1−1から1−4までと資料2、もし不備がございましたらば事務局の方にお申しつけいただければと思います。
 それから、議事の確認でございます。本日の議事につきましては、まず初めに、5月24日に公表されました平成14年度版循環型社会白書につきまして事務局より説明を申し上げます。続きまして、循環型社会形成推進基本計画に盛り込む数値目標の策定の参考とするために、独立行政法人国立環境研究所からのヒアリングというものを行いたいと考えております。
 本日は、そういう意味でご説明をいただく方としまして、独立行政法人国立環境研究所社会環境システム研究領域資源管理研究室長の森口祐一先生、同じく、社会環境システム研究領域統合評価モデル研究室の増井利彦先生、お2人の先生にご足労いただいております。森口先生からは我が国のマテリアルフローについて、増井先生からは循環型社会白書で示した3つのシナリのモデル分析などについてご説明をいただきたいと考えております。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

○中島部会長 前回の部会では、循環型社会の形成に関する各省庁の取組につきまして、農林水産省、経済産業省、国土交通省、警察庁よりヒアリングを行いました。本日は、ただいま事務局からご説明がありましたように、平成14年度版の循環型社会白書、それについてまず事務局よりご説明をお願いして、その循環型社会白書に非常に関係されたわけですが、これまたご紹介ありましたような独立行政法人国立環境研究所の森口、増井両先生からお話をいただき、質疑をさせていただきたいと思います。増井先生には20分ほど、森口先生には30分ほどのご説明をいただいて、その後に意見交換というふうに考えております。
 それでは、まず循環型社会白書のご説明を事務局の方から、これは江口課長よりお願いいたします。

○企画課長 それでは、早速でございますが、お手元の平成13年度版循環型社会の形成に関する年次報告の方をごらんいただきたいと思います。
 ちなみに、14年度において講じようとする施策の方は、国として14年度の今後の施策の予定を書いておりまして、そういう意味では本日のテーマにそれほど大きな関係はございません。とりあえず13年度版を中心にご説明申し上げます。
 13年度版の白書の目次をお開きください。
 白書といいますのは、ご承知のとおり行政の年次報告でございます。ただ、通例いわゆるテーマものを取り上げて国民の皆様方にメッセージをお伝えするというのも白書の重要な役割になっているわけでございます。そういった意味で目次をごらんいただきますとわかりますように、ことしは序章ということで「循環型社会におけるライフスタイル、ビジネススタイル−リデュース・リユース・リサイクルを推進するリ・スタイル−」と、これをテーマにしております。リ・スタイルというのは私どもの造語でございます。
 そのほか第1章以下では、いわば講じた施策ということで循環型社会の形成に関します施策状況として、第1章では循環資源の発生、循環的な利用、処分の状況、それから第2章では、制度の整備状況ということで、目次の2ページをごらんいただきたいわけでございますが、各種法制度ですね、第2節以下、循環型社会形成推進基本法、それから廃棄物処理法等々各法の施行状況、それから第3章で、廃棄物等の発生抑制及び循環資源の循環的な利用に関する取組の状況ということで、それぞれ国民、産業界、その他政府等も含めました取組の状況等を紹介しております。第4章で、廃棄物の適正処分の推進ということで、廃棄物処理の全般的な状況、その他大都市の問題、不法投棄の問題等々を書いております。それに第5章になりまして、基盤整備ということで財政措置、その他教育、調査、国際的な取組等を紹介しております。
 巻末資料と書いてございますが、巻末の資料2に当審議会でお出しいただきました具体的な指針をつけさせていただいております。
 以上が全体の構成でございます。次の本文に入らさせていただきます。序章を特に中心にご説明を申し上げます。本文の3ページをお開きいただきたいと思います。
 この白書では、先ほど申し上げましたように、いわゆるリ・スタイルというものをテーマにしております。まず3ページでございますが、「もはや『戦後』ではない。」という経済白書の文言を引きながら、この循環型社会の右側に書いてございますが、「もはや『経済対環境ではない。われわれは異なった関係を創造しようとしている。」とした上で、「今後の成長は循環によって支えられる」というフレーズを冒頭に出しております。
 その中で、その下に書いてございますように、ビジネスをリデュース・リユース・リサイクル、3つのリを推進するということで考えていこうというのが問題設定でございます。
 次の4ページから5ページでございます。
 まず4ページでございますが、利便性の追及と大量生産、大量消費、大量廃棄の始まりということで、我が国の昭和30年代からの歩みを振り返っております。
 右側に、サザエさんの絵がございますけれども、これはなるべく国民の皆様にもわかりやすくということで、その右側のサザエさんは昭和34年のものでございます。電気釜を買ってきた当時の、言ってみれば庶民の生活に与えた驚きといいますか、影響と、こういったものを漫画でもわかりやすく訴えようと、こういうことでございます。
 それから、次の6ページでございますが、これは高度経済成長とその代償の顕在化ということで、公害問題もあわせて取り上げながら高度経済成長の歩みを振り返っております。
 さらに、8ページから9ページは、重厚長大から軽薄短小への産業転換ということで50年代、さらに10ページになりますと、成熟・更新期を迎えた資本ストックということで昭和60年代以降ということで、特に資本ストックの推移等々もグラフで示しております。
 さらに12ページ以下でございますが、私たちの暮らしと廃棄物ということで、図に書いてございますように、廃棄物の排出量というものが増え続けてきている、ただ、単位GDP当たりの最終処分量は減ってきているといったような数字を示しながら私どもを取り巻く廃棄物の現状を説明しております。
 その上で、14ページ以下でございます。変わるライフスタイル、広がるビジネススタイルということで、辻先生というこれは明治学院大学の先生でございますが、ここで「スロー・イズ・ビューティフル」という言葉を引きながら、いわゆるスローな文化、スローな生き方というものを全体に取り上げております。具体的には、例えばリサイクルショップでありますとか、それから15ページになりますとフリーマーケットですね、それからグリーン購入、さらにはスローフードと地域内循環と、こういったような新しい動きを紹介しております。
 16ページでは、ゼロエミッションということで北九州博覧祭を取り上げております。
 次に18ページでございますが、広がるビジネススタイルということで、新しいビジネススタイルというものを紹介しております。今までのように単に物を売るということではなく、ソリューション・サービスとして、言ってみれば機能に着目し、さらには解決型のビジネスを行うと、こういった幾つかの動きを紹介しております。(1)がソリューション・ビジネス、それから(2)が、動脈産業と静脈産業のコラボレーション・ビジネス、(3)には、個人向けのリース・レンタルサービス提供ビジネスと、こういった新しい動きを紹介しております。
 さらに21ページをごらんいただきますと、循環型社会ビジネスの市場規模ということで、将来の市場規模の推計というものも出しております。
 さらに22ページ以下でございますが、これは昨年の夏に実施しました世論調査の紹介でございます。ポイントは、皆さんごみに関心がある。それから、23ページの頭に書いてございますように、その原因は大量生産、大量消費、大量廃棄の生活様式にあると、こんなような意識が見えるわけでございます。
 次の24ページでございますが、国がすべきことは、まずそのごみの排出を減らす取組だということでリユースへの取組を求めております。ただ、25ページにありますように、ご
み問題の関心は高くても実行はもう一息という姿も浮き彫りになっております。
 次の26ページでございますが、やはり女性の方が取組には熱心で、男性はごみの分別が苦手。それから26ページの(7)でございますが、いわゆる循環型社会についてでございますが、若い世代ほど生活水準を落とさず大量生産・大量消費しながらリサイクルをするというような意識も出ております。
 その上で、30ページでございますが、30ページ以下で循環型社会のイメージということで、冒頭でまず循環という考え方を紹介しております。
 さらに32ページでは、図に示しておりますような従来型の社会、それから循環型社会への姿というものはどうなるかということをわかりやすく紹介しております。
 その上で33ページ以下でございます。ここで3つのシナリオというものを紹介しております。
 ただ、33ページに書いてございますけれども、現実にはこの各シナリオが組み合わさった形になるんだろうと思われます。ただ、私どもは循環型社会という時に、本当にどういう社会をイメージして循環型社会というものを議論しているのかを明らかにするという意味で、その選択的なイメージを示すという目的のためにシナリオA、B、Cというものを提示したということをここで断っております。
 33ページにポイントが書いてございますが、シナリオAは、極めて高度な工業化社会というものを想定しております。シナリオBは、いわば生活自体を見直すという、生活自体全体をスローダウンすると、こういったような社会を描いているます。シナリオC、実はこの同じ日に環境白書も閣議決定をしているわけでございますが、この環境白書の中では環境効率性という考え方を具体的に提示しております。この循環白書でも、そういう意味でこのシナリオCではこういった環境効率性の高い社会で産業の高次化が進むと、こういうようなイメージを提示しているわけでございます。このシナリオにつきましては、国立環境研究所と京都大学で開発しました経済モデルというものを用いてシミュレーションを行っております。
 34ページ以下がそれぞれのシナリオでございます。なるべくわかりやすいようにということでそれぞれA、B、Cに絵を入れまして、例えばこういう社会になるだろうというようなことを目でもわかるようにしております。
 シナリオAの場合には、やはり従来の経済成長の重視と同じように、経済成長、生産性の向上を目的とした投資が行われるということでございます。当然、生産側の技術開発も進んでいくと、こういうことになっております。
 ですから、例えば廃棄物につきましても、これを全国に分散して排出されるものを、広域的に収集し、大規模なリサイクルプラントを作る。それから、もっと言えば、鉄道や船舶等による廃棄物輸送もどんどん行う。さらに、そういったサーマルリサイクルについても、こうしたエネルギー消費を踏まえて選択される。高効率の発電と、こういったようなものも行われていくと、こんなような社会が描かれております。
 それに対しましてシナリオBでございます。これは上の絵にありますように地産地消、それからコンポスト等、人々のライフスタイルが環境調和型にシフトしていく。こういった消費者側の変化が循環型社会への主要な推進力となると、こんなような基本コンセプトでございます。
 その上で、住宅については例えばリフォームでありますとか、それから食事も加工食品は余り多くないといったようなことですね。地産地消、それから交通機関も路面電車などの整備ということになります。
 それから、廃棄物についても発生抑制という意識は高いといったようなことになっております。雇用についてもワークシェアリング、それから余暇時間の地域への参加と、こういったようなもの、それから消費についても長寿命化とか、それからリペア、修理というようなものも盛んになると、こういう社会でございます。
 これに対しましてシナリオC、環境産業発展型シナリオでございます。ここでは、ITや環境分野での技術革新、ものの提供から機能の提供へといったビジネススタイルの変革等によって脱物質化経済が進展をすると、こういうシナリオにしております。
 したがいまして、住居につきましても、割合にレンタル等が盛んになるということからシンプルな住居、それからフレキシブルなオフィスが進むだろうということでございます。それから、ITの発達による在宅勤務とかサテライト・スクールですね、インターネット・ショッピングなども進んでいく。それから、車もカーシェアリング、それから大型車から小型車へと、こんなような社会でございます。
 廃棄物につきましても、ものを所有するのでないということから発生が抑制される。市民の側も、所有や新品に対する欲求が希薄ということでレンタル、リース等が進むというようなことでございます。投資は環境保全を目的にそういうものが優先されております。
 この3つのシナリオを37ページにまとめております。37ページの下に表がございますが、これは10年毎に刻んでございます。
 例えば2020年から30年、これはまた後でいろいろご説明があるかもしれませんが、それぞれシナリオA、B、Cを見ますと、まずGDPの成長率、これは当然Aが一番高いわけです。Bが、これはライフスタイルを見直すというパターンでございますが一番低い。Cがその中間ということになっております。
 CO2 の排出量もAが一番高くて、それからCが次、Bは最も少ない。
 廃棄物の最終処分量ですが、これはそれぞれ一廃、産廃と書いてございます。一廃を見ますと、Cがマイナス3.91ということで一番最終処分量の伸びが低いといいますか、最終処分量が減っていくということになっております。実は、Bがマイナス3.03、Aがマイナス3.31ということで、Bが一番ごみが減らないということになっております。これは、Bの社会というのは、当初は排出抑制の努力によってある程度減るわけでございますけれども、技術革新が進まないということでこういうような結果になっております。産業廃棄物を見てみましてもやはりCが一番減りが多くて、それからA、Bと、こういうような順番になっているわけでございます。
 これにつきましては、38ページにこういった3つのシナリオをお示ししまして、市販版の循環型社会白書には返信用のはがきを同封しております。読者の方々からこのA、B、Cの3つのシナリオについて、どれが循環型社会として望ましいかといったようなご意見をお寄せいただくことを考えております。さらに、インターネット上でウェブマガジンを私ども開設をしておりますが、そこでもこういったシナリオを紹介してそのご意見をお聞きする。そういったご意見もこの部会の方にご報告をさせていただきまして、今後循環型社会基本計画をつくる際のご参考に供させていただきたいと、このように考えているわけでございます。
 この3つのシナリオ自身、これは循環計画の具体的指針の際にも、循環型社会の姿を具体的にわかりやすく国民に示すべきだと、こんなようなご意見もちょうだいしたわけでございます。そういったようなご意見も踏まえながら、この白書を利用してというのは変でございますが、白書の場をかりましてこういった3つのシナリオをお示しし、先ほど申し上げたようなさまざまなルートを通じて国民のご意見をお聞きしようと、こういう試みでございます。
 以上が循環型社会白書についての説明でございます。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いてまず増井先生から、これは資料1−1に基づきまして物質循環についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○増井先生 国立環境研究所の増井利彦でございます。本日は、お手元の資料の1−1を参考にしながらご説明していきたいと思います。
 先ほど環境省の江口課長の方からご説明がございましたけれども、循環型社会に向けた3つのシナリオを具体的に定量化しております。どういうふうに定量化したのかというモデルの内容をご説明するとともに、将来的にこの目標を考える時に、こういったモデルがどういうふうに役に立つのか、このあたりは私が何らかの答えを出すというよりかは皆さんに議論をしていただくという、その議論の材料を提供するというように理解していただければと思います。
 資料1−1の一番最後のところを見ていただきたいんですけれども、参考資料として3編ほど論文を書いてございます。その3編の論文がそれぞれ資料1−2、1−3、1−4になっておりますので、多少学術的なところ等もございますけれどもご参考にしていただればというふうに思います。
 ただ、それぞれの論文におきましてモデルの前提ですとか、あるいは構造が若干変わってきており、答えといいますか、出てくる値そのものは若干変わっておりますので、そのあたりはちょっとご注意していただければと思います。

○中島部会長 済みません、先ほど私間違えてマテリアルフローと申し上げましたが、それは、増井先生にはシナリオのモデルということのご説明、マテリアルフローは森口先生と、大変失礼いたしました。

○増井先生 それでは、このモデルと白書につきまして簡単にご説明させていただきます。
 この白書に書かれております将来の姿を具体的に定量的に表現するというのは、実は温暖化問題におけますIPCCという「気候変動に関する政府間パネル」という機関がございまして、そこで2000年に特別報告書という形で、将来二酸化炭素の排出量がどう変わっていくのかというのを推計した、そういうワーキンググループがございます。それにのっとった形で、今回、日本の廃棄物行政に適用しているとご理解していただければと思います。
 そのIPCCでの活動なんですけれども、1997年から約3年間ほどかけまして、将来我々が取り得る社会というのはどういうものなのか、確かに実現される社会というのは1つなんですけれども、例えば2050年、2100年の社会というのは、現在の我々の行動あるいは考え方、そういったものによってかなり大きく変わってくるのではないかと。そう変わってきた時に温暖化対策も非常に変わってくるのではないか、という発想でこういうワーキングがスタートしたというふうに聞いております。そういう将来の、だれにでもわかるといいましょうか、非常に理解しやすい、そういう定性的な叙述的なストーリと、それを補完するような定量的な、具体的な数値というふうなものを両方とも提示していこうということで始まっております。
 実際は、2000年にSRESという排出シナリオという形で出版もされているんですけれども、そういった多様な将来の可能性とその帰結、その結果がどうなっていくのかと、世の中で具体的にどうなっていくのかということを示す1つの手立としてこういったモデルと呼ばれる道具が使われております。
 この白書の方のモデルなんですけれども、我々国立環境研究所と京都大学が中心となって開発しておりますAIMモデルと呼ばれるモデル、これを用いて白書の方には定量的な評価を提供しております。このAIMモデルというのは、もともとは温暖化問題からスタートしたんですけれども、昨今のいろんな環境問題の広がりを受けまして、温暖化以外にもいろいろな問題があり、そういうさまざまな問題に対応できるようにいろんなモデルを開発しております。そのモデルのうちの一つとして廃棄物問題等でも取り扱えるようなそういうモデルが必要なのではないかということで3年ほど前から開発してきております。
 このモデルそのものにつきましては、この審議会の委員でもあります永田先生ですとか庄子先生が委員をされていますミレニアムプロジェクトの方でも予算を使わせていただきまして、モデルの更新、あるいは改良作業といったことを行っております。モデルの具体的といいましょうか、細かいところにつきましては、恐らく皆様方の興味の関心等も違いますので、細かいところにつきましてはまた後ほど個別にご質問していただければそれに答えるようにいたします。きょうは、大体どういうふうなことをやっているのかと、このシナリオに合わせるためにどういうふうなことをやっているのかということをご説明いたします。
 ここで用いておりますモデルは、応用一般均衡モデルと呼ばれるモデルです。資料1−1ページ目のところに、モデルの概要というところなんですけれども、そこの1行目のところに書いてございますように応用一般均衡モデルという、ちょっと聞き慣れない名前かもしれませんけれども、応用というのは要は計算することができる、何らかの定量化することができるというような意味でとらえていただければいいかと思います。
 次の一般というのは、世の中に出回っているすべての財、遍く財を取り扱っているという意味です。均衡というのは、字のとおり、ここでは需要と供給、それがバランスしている、均衡しているというような意味でございます。
 ですから応用一般均衡モデルというのは、世の中に出回っているすべての財を取り扱って、その財の需要と供給が均衡するように、一致するような計算、答えを導くというようなモデルであるというふうに理解していただければと思います。その需要と供給が均衡するように、一致するために価格、物の値段が変化して、物の値段が上がれば供給量が増える、安くなれば需要側、消費者の購買意欲が増えるというような、そういう価格調整を盛り込んだそういうモデルであるということです。
 先ほどすべての財というふうに申し上げましたけれども、ここにありますようなマイクですとか机とか、そういうすべての財を取り上げることは不可能ですので、このモデルでは表1にございますように世の中の活動を41の活動と49の財に分けております。こういうふうな形で部門あるいは財の分割を行いましてデータベースを構築し、モデルをつくり、計算を行っているというようなことになっております。実際にはこのモデル、データベースはさらに詳しい60部門近くのものをつくっているんですけれども、計算機の容量といいますか性能上、余り大きな部門になりますとなかなか解が見つからないということでこういうふうな41部門49財のモデルにしております。
 モデルの全体構成なんですけれども、1ページめくっていただきまして図1というところをごらんいただけるでしょうか。
 このモデルでは、主に生産者と消費者、これが主体として存在しております。まず生産者の方なんですけれども、生産者は何らかの生産活動を行っております。生産活動におきましては、資本ですとか労働、エネルギー、それ以外の中間財、原材料ですね、それとあと汚染と呼ばれるものを投入しております。こういったものを使って財ですとかサービス、これを生み出しています。
 汚染を投入しているとはどういうことかというふうに疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますけれども、生産活動ではどうしても汚染というものが発生してまいります。例えば、石油を燃やす時にも硫黄酸化物等が出てくるというように汚染というのが必ず出てくる。そういった汚染をそのまま環境中に垂れ流すのではなくて、何らかの形で処理をする。処理するのにもただで処理することはできませんので、その処理にかかった投入、どれだけ設備を投入したのか、あるいは労働力を投入したのか、エネルギーを投入したのかというふうなことをこの汚染処理の投入という形で表現いたしております。今回、その廃棄物関連ということで生産活動から何らかの形で廃棄物が出てきます。
 また一方、家計、消費者の方なんですけれども、消費者は、まず資本とか労働、設備であるとか労働力、こういったものを保有しているというふうに考えます。そういったものを企業に提供することで賃金等の所得を得る。そういった所得をもとにさまざまな財を最終消費という形で購入する。一部は貯蓄という形で翌年以降のためにとっておくという形で物が動いております。
 家計の方からも当然のことながら廃棄物、ごみが出てきます。そういった生産部門から出てくるごみ、あるいは家計部門から出てくるごみ、こういったごみが廃棄物処理部門で処理されます。
 廃棄物の処理につきましては、3ページ目の表2というところに書いてございますけれども、産業廃棄物は全部で18種類、一般廃棄物の方は8種類、これだけの種類を想定いたしております。それぞれの廃棄物ごとに直接再利用されるものと何らかの形で中間処理されるものと、直接最終処分されるものというこの3つの処理パターンを設けまして、中間処理後に再利用できるものと直接再利用できるもの、これが市場に再生品として投入されていきます。中間処理後の残渣ですとか直接最終処分されるものは最終処理される形で廃棄物が動いております。ただ、現状では、廃棄物からのリサイクルというのは非常に特定の部門の投入という形で限定しておりまして、その点を示しておりますのが表3のところでございます。
 この表3はちょっと見にくいグラフなんですけれども、上半分、横に廃棄物と書いてございますけれども、それが廃棄物の種類をあらわしております。上から10行目ぐらいですかね、SCMという文字がごらんいただけるかと思いますけれども、そのSCMという行を横にずっと見ていただきますとSTLとNSMという、そういう記号のところに丸がついてございます。これは、SCMというのは上の廃棄物の種類のところを見ていただきますと金属くずという形で定義しております。金属くずがSTL、これは鉄鋼部門をあらわしているんですけれども−−鉄鋼部門というか鉄鋼とか、あとNSMというのは非鉄金属、そういう金属系の財として再利用可能であると、この丸印はそういう意味をあらわしています。
 STLとNSMのところをずっと下にいっていただきますと、今度はSTLという行とNSMという行にもまた同じように丸がついてございます。これは、例えば鉄くずとして利用可能なものは、鉄鋼部門、すなわち廃棄物を受け入れる部門として鉄鋼部門において、中間財として利用することができると、非常に限定した形になっています。
 ですから、廃棄物、再生利用するために中間処理ですとか、あるいは直接再利用を幾ら増やしても需要側ですね、受け入れ側が活動を増やさない限り廃棄物は結局ごみになってしまうということを表現できるようになっております。こういったモデルを1995年をスタートとしまして2030年まで、もともと開発しているモデルは2010年までなんですけれども、今回の白書用に2030年まで拡張しております。
 白書に具体的にどういうふうな形で表現したのかということにつきまして資料の4ページ目のところなんですけれども、まずこういったモデルを動かす際に、当然何らかの形で入力条件の整理というのが必要になってきます。入力条件のうち特にこういったモデルで重要になってきますのは、4ページ目の3つ目のパラグラフのところにありますように、技術進歩率ですとか消費者の選好、技術進歩率の1種類なんですけれども廃棄物処理効率ですとか、各部門におけるリサイクル品の投入比率、こういった技術的なものをあらかじめ条件として与えてやる必要があります。こういった条件をその3つのシナリオに合うように変更いたしまして、いろんな値を入れて調整をしましてシミュレーション、計算を行っています。その結果が白書に記載されておりますような形になっております。
 白書の方はシナリオの相違ということを成長率という形で表現しておりますけれども、具体的な数値としてあらわしておりますのが3ページ目から5ページ目の図2のところです。
 GDPにつきましては、2010年までにつきましては、国の経済成長の目標として2%というのがございますのでそれに合うような形で表現をしたり、あと、二酸化炭素等につきましてもいろんな目標値といいますか、推計値等がございますので、そういったものに合わせてエネルギー効率等の技術進歩率が変化させています。それがこの3つのシナリオによってさらに変化するという形で計算をいたしております。
 こういうモデル分析におきましては、インプットのデータとこのアウトプット、これらがどのような関係になるのかということが非常に重要になってくるわけなんですけれども、今回白書に示したという性質上、学術的というよりは市民への一般啓発であるという立場をとりまして、入力条件につきましてはさほど細かく提示してはおりません。そのあたりは今後何らかの形で、ホームページ等を通じまして紹介していきたいと思っております。
 こういったモデルを循環基本計画、あるいは目標といったものにどう結びつけていくのかといったことにつきまして幾つか論点があるかと思いますので、そのあたりを整理してみました。
 5ページ目のところなんですけれども、まず、モデルといいますのはわかっていることを積み上げている、わかっていることを数式といいましょうか、方程式であらわして表現したに過ぎないということで、わからないことについてはあくまでわからないんだということをまずご理解していただければと思います。ですから、まず実際の社会とこのモデルで描く、モデルから出てくる結果ですね、この間にはかなりのギャップがあるということをご理解していただければと思います。
 例えて言いますと、そこにも書いているんですけれども、モデル上であらわされている主体というのは非常に合理的な行動をします。出てきた廃棄物というのは不法投棄せずに何らかの形で適切に処理するということで、不法投棄はあらわすことができない。また、41部門、世の中の遍く財を41の部門、あるいは49の財に分けているということで、非常に細かい分析、例えば、アルミ缶のリサイクル率を何%に上げましょうとかというような非常に細かい分析を、モデルで表現するということは難しいということをまずご理解していただければと思います。
 それと、そういうことをご理解していただいた上で、そのインプットデータに対して何らかのアウトプットデータというのが出てきます。インとアウトの関係、これを表現する、これがモデルであります。
 モデルといいますのは、どちらかといいますと、さまざまな学問領域、いろんな理論ですとか定理を使って、実際政策を行うとどう変わっていくのか、世の中の動きがどう変わっていくのかという、政策の場をつなぐ道具、ツールであり、そういう前提条件が提示されて初めて計算することができるものであります。今回、白書はどちらかといいますと将来のイメージをいただきまして、後の入力条件というのはこちらの方で適宜修正といいますか、変更させてもらったところはあるんですけれども、もしこういうモデルを目標というようなものに反映させる、つまり、目標設定において使うという場合には、このインプット条件、どういった入力条件を入れるのかということもかなり慎重に議論していかないと非常に問題が多いのではないかと思います。
 あと、ちょっとIPCCのところでは、温暖化のところでは言い忘れましたけれども、温暖化の方では、1つのモデルではなくて複数のモデルを取り扱って3年近く議論を重ねてきました。それは、モデルそのものがさまざまな不確実性を持つためです。モデルそのものも1つのモデルだけを使うと非常に危ういというところがありますので、そのあたりを考慮して複数のモデルを使ったという経緯があります。ただ、もし仮にこのモデルを使うということになりますと、そういうモデルの持つ不確実性というふうなものも十分考慮していかないといけませんし、ストーリーそのものについてもちゃんと整合的なストーリーなのか、そのあたりはモデルを動かす上で確認していくことができるのかもしれませんけれども、そういったストーリそのものについてもきちんと評価していく必要があるのではないかと思っています。
 次に、何をアウトプットとするのかということと、その4番目の目標が示す意義というところにつきましては同じようなことを書いているんですけれども、この後恐らく森口から説明していただきますような、その目標というふうなものをどういった段階の目標をとらえるのかということでインプットにもアウトプットにもなり得るということです。インプットになり得るような目標、例えばセメント業界におけます廃棄物の利用率、これを何%に上げるとかというようなことは、どちらかというとその手段といいましょうか、結果の目標にするというよりかは実施の方の目標になるわけで、そういったものをきちんと切り分けておいていかないと何を評価したのかわからないということになりますので、どういったものが操作可能な目標になるのか、あるいは、それとも操作は不可能だけれども循環型社会の進展度合いを見る上での一つの目標値になる、そういったものというのをきちんと切り分けておく必要があるのではないかということです。
 特に、この目標としてモデル上で操作不可能なものにつきまして、強引に操作していきますと、これはもう何をやっているのかさっぱりわからないというふうなことになりかねませんので、そのあたり、どういった目標を実施の手段と見るのか、あるいはそういった実施の結果の指標として見るのかというふうなことをできれば議論していただきたいと思います。
 あと、BaUか対策シナリオかということで、循環白書に示されておりますシナリオというのはすべて成り行きシナリオ、特に何らかの対策をとらないというシナリオなんですけれども、こういうここで循環基本計画で描くような社会というのは、BaUなのか対策シナリオなのかということで、多少モデルとしても取り扱いが変わってまいります。ですから、それぞれのここにおられます各委員の方々の認識として、循環基本計画というのは何ら対策をとらない場合でも描ける社会なのか、あるいは何らかの対策をとる、そういった社会なのかということをできれば議論していただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、こういった目標設定においてこういったモデルが貢献できるために幾つか条件といいましょうか、要件がございます。
 まず1つ目が、その前提条件、先ほど来申しておりますようにインプットデータをきちっと議論していただくということと、その際の目標というのは何かと。さらに、その目標の位置づけ、行動指針としての目標と結果を評価するための目標、これをきちっと分離していかないとだめではないのかと考えております。この点は恐らく後で森口が説明してくれるかと思います。
 最後になりますけれども、この基本計画の策定等につきましては日程的にかなり苦しいというふうなことを聞いておりますのでどこまで貢献できるのかとわからないんですけれども、もし仮に、本気でという言い方は変ですけれども、今も本気なんでしょうけれども、本気でやる上におきましては、こういうトップダウン型のモデルではなくて、トップダウン型のモデルとともにボトムアップ型、個別の技術を取り扱った、そういったモデルがどうしても必要になってきます。
これは先ほども申しましたように、アルミ缶のリサイクル率を何%に変えるというふうなことをこのモデルで表現するというのは非常に難しい、困難なことですので、そういう一つ一つの行動、一つ一つの対策、一つ一つの技術、そういったものを取り扱えるようなモデルの開発というのがぜひとも必要になってまいります。できましたら、そういったことにつきましても、どこまでできそうなのかというふうなことをご議論していただきますと我々としましても貢献しやすいのではないかなというふうに思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 応用一般均衡モデルにつきまして、その基本的な考え方とか仕組み、それから取り扱い上の留意点、それから効用と限界といったようなことまで言及していただきました。
 それでは、いろいろご質問などをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

○加藤委員 大変おもしろいといいますか、大事な話を聞かせていただきましてありがとうございました。私のような素人でもよくわかったような気がいたしますけれども、本当にわかっているかどうかはわかりません。
 ただ、1つだけとりあえずご質問しておきたいのは、この41部門の中に当然ながら電力も入っていますよね。1ページの表を見ますと、水力、火力、原子力と、こうなっていますね。当然原子力から原子力の廃棄物が出るわけですね。ただし、原子力から出る廃棄物は、いわゆる従来ずっと、過去ずっと何十年もいわゆる廃棄物の範疇から外して、意図的に外してあるわけですね、意図的というか制度的に。しかし、原子力からも当然廃棄物が出るわけで、その処分に相当なコストがかかっているわけです。将来、もし地球温暖化との絡みで原子力をもっと増やそうということになると、出てくる廃棄物の量が増えてその処理が非常に大きくなると。それは当然ながらいろんなGDPとかそういったモデルに影響を与えるということなんですが、ここではそれはどういう扱いになっているかということなんです。多分入れていないのかなというふうに思うんですが……

○増井先生 そうです、入っておりません。

○加藤委員 入れていない、完全に入っていないということですね。
 ということは、原子力発電所から出る廃棄物は通常出てくる廃棄物と、通常廃棄物処理法でいう廃棄物の範囲にとどまっているというふうに理解していいですか。

○増井委員 そうですね。ですから、原子力等から出てくる放射性廃棄物につきましては取り扱いはしておりません。

○加藤委員 ない。ただ、恐らくこの金額が小さい場合はいいんですが、恐らく相当な金額になると思うんですね、ちゃんとまともにやれば、もしかすると一般廃棄物の処理コストを上回るぐらいのことになるかもしれない。ということだとすると、日本の経済全体について、役所で縦割り行政の中で廃棄物はとりあえず−−縦割り行政といいますか、今までの法律の中で廃棄物は外しましょうねという約束でずっとやってきていますから、別の部分でやりましょうねということになっているからいいんですが、日本経済全体のことを考える場合に、もしかするとそういうものを取り入れていく必要があるかもしれないということだけちょっと指摘をしておきたいなと思います。

○増井先生 どうもありがとうございます。

○中島部会長 ほかにいかがでしょうか。
 細かいことですけれども、最後のこのご説明でBaUシナリオか対策シナリオかとありましたね。このBaUというのはどういう意味でしたでしょうか。

○増井先生 BaUといいますのは、現状推移シナリオというふうに呼んでおりまして、何らかの対策をとらないというような意味です。ですから、廃棄物関連につきましても今のままとりあえずいくというようなことを意味しております。

○中島部会長 ここでいう対策というのはどういうような、具体的には配慮ですか。

○増井先生 モデルでは幾つか表現しておるんですけれども、例えば、ここに出てくる産業廃棄物の量を平成22年に半分にするというような目標がございますけれども、そういう
ような条件を入れてみるということが対策シナリオになると思います。

○中島部会長 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 1つは、大変この白書は博覧強記といいますか、いろんなところから引用して大変読みやすく書けていると思うんですが、冒頭に昭和31年の経済白書から引用されていますね。もちろん引用の仕方が間違っているとかというような意味ではなくて、私はこういうことをよく知っている人間ですし一言コメントさせていただくと、「もはや『戦後』ではない」という言葉は何を意味するかということになると、実はこの執筆者の後藤誉之助さんというのは大変悲観論者でして、これまでは、つまり昭和30年までの日本経済というのは、戦後復興というばね仕掛けで成長してきたと。ところが「もはや『戦後』ではない」ということは、戦後復興期は終わったんだということなんですね。だから新たなばね仕掛けを仕掛けなくちゃいけない。ということで、後藤誉之助は2つのばね仕掛けを提案したんですね。その1つが、ここに近代化によって支えられたと言われるトランスフォーメーションという英語の翻訳としての近代化であって、もう一つがイノベーション、つまり技術革新だったんですね。技術革新と近代化ということを言ったわけです。ですから、技術革新と近代化という言葉は、実は後藤誉之助の造語だったわけですね。
 それで、翻って、今度は3ページの右の欄の真ん中あたりにある「もはや『経済対環境』ではない。われわれは異なった関係を創造しようとしている。資源の浪費を通じての成長は終わった。今後の成長は循環によって支えられる。」、私が今申し上げたこととそんなにはずれはないというふうに、つまりこれまでは資源の浪費を通じて成長してきたんだけれども、それがばね仕掛けだったといったら言い過ぎかもしれませんが、そういう成長からやはり循環も、ですからそういう成長がもはや限界に達したと、そういう認識を語っているのかということで大変結構だと思います。
 それは余計なことですが、これはむしろ国立環境研究所の方にお伺いすべきことなのかもしれませんが、37ページにA、B、Cのシナリオがありまして幾つか疑問があるわけです。
 一つは、なぜ、2000年から2010年の経済成長率がいずれのケースも1%代の後半であるというのが、突然2010年から2020年にかけて成長率が平均年率で 2.5%にまでどのケース
も上がるというのは、これは一体モデルにどういう仕掛けがあるのかということですね。
 それから一般廃棄物が、このBという一番環境保全に熱心な、ライフスタイルを変革するというケースが一般廃棄物が一番多いというわけですね。これは、先ほど事務局の説明では技術革新が余りないからだというふうにおっしゃいましたけれども、それだけではどうも説明になっていないような気がするんですけれども、ちょっとこれはモデルをおやりになった方にご説明いただきたいと思います。

○中島部会長 どうぞお願いいたします。

○増井先生 まず、経済成長の方からなんですけれども、このモデル、こういう応用一般均衡モデル等の本来的な使われ方といいましょうか、意義といいますのは、これは私自身の考え方なのかもしれませんけれども、基準となるような政策をベースにしましてある政策をとる、例えば廃棄物対策等ですね、そういった対策、政策をとった時に世の中がどう変わるのかというのを見るというのが本来といいましょうか、このモデルの一つの特徴であると考えております。
 そういったことを考えますと、一つそのベースになるようなシナリオというのが実はありまして、そのベースをどう設定するのかというふうなことをまず考えて計算をいたしてございます。特に、その経済成長というふうなことに関しましては、2000年以降2010年まで平均経済成長率を2%/年にするというような大命題を最低限確保してくれという要請が実はございまして、もともとの我々が開発しているモデルでは1%/年程度なんですけれども、国のこういう白書に載せる場合には2%/年程度必要であるということで、まずこのあたり貯蓄の比率を変えてみたりとか、あるいは技術進歩の進歩率ですね、そういったものを変えることで何とか2010年までに、ちょっと足りないんですけれども2%程度確保するというような形をとっております。
 それ以降につきましては、国の目標等につきましても特に指針等はございません。そこで参考にさせていただいたのが先ほど申しましたIPCCのシナリオ、ここでは4つほど提示されておるんですけれども、そのうち高成長のシナリオ、これを参考に掲示させて、それを参考にそれを再現できるような形で表現しております。その結果、経済成長率がそういうような形になったというふうにご理解していただければと思います。

○佐和委員 ちょっと待ってください。僕が聞いているのはそういうことではなくて、なぜ10年から20年の10年が、ディケードがこんなに経済成長率が高くなるんですかということですね。つまり、最初のファーストディケードに比べてセカンドディケードがなぜこんなに成長率が高くなるんですかということを聞いているんです。
 つまり、2000年から2010年に 1.7、8%ですね。それが次の2つ目のディケードには 2.5%、2.6%になっていますね。何が理由でこんなに成長率が高くなるんですかという。

○増井先生 それは先ほど申しましたように、その技術の進歩率ですとか、あるいは貯蓄の比率、投資の比率ですね、それをかなり高めに設定していると。むしろ逆に言いますとその 2.5%ですとか……

○佐和委員 いや、おっしゃったのは、2000年から2010年の経済成長率が比較的高いのはということでおっしゃったわけでしょう。

○増井先生 いや、それ以降そうです。

○佐和委員 以降もそうですけれども、何でこれだけぴょんと上がって、じゃあそれ以降は技術進歩はとまるということなんですか、20年以降は。

○増井先生 とまるというわけではないんですけれども……

○佐和委員 20年以降まだ下がっているでしょう。

○増井先生 この計算は毎年毎年ずっと行っておりまして、95年から始まりましてそれからずっと以降毎年行っておるんですけれども、特にその技術進歩率なんかを見ていきますと、世の中の技術がすべてころっと変わるというのではなくて新しいその投資ですね、新規の投資分だけ技術進歩がどんどんどんどん蓄積していくというような形をとっているというか、そういった形をモデルに反映させております。

○佐和委員 これだとモデルが増額的なモデルで、周期20年ぐらいのサイクルを内臓しているのかなという感じがしますよね。つまり、そうでしょう。

○増井先生 そうですね。

○佐和委員 だけどそんなことはないでしょう。20年の周期がそのモデルにビルトインされているということは。

○増井先生、ただ、消費減耗率等も加味しますと……、そうですね。

○佐和委員 つまり、あなたがおっしゃっているのはすべて連続的な変化ですよね、技術進歩というと。ところがこれはとにかく最初の10年は比較的低い、それが一気に次のディケードで高くなって、また3番目のディケードではがくんと下がるというような……

○増井先生 これは毎年毎年計算しておりまして、そのうちの10年、20年というようなものだけを取り出しておりますので。

○佐和委員 だから平均年率でしょう、その10年の。だから、少なくともその平均ですけれども10年単位で見ると山形になっているというのは、やはりモデルの仕組みがどうなっているのか。まあいいです、それは。一般廃棄物はいかがですか。

○増井先生 一般廃棄物の方なんですけれども、先ほどちょっと一般廃棄物にそのBの方が一番高いということなんですけれども、実際その廃棄物の方の量を見ていただきますと、資料の5ページ目の方の図と書いてあるところで、これをごらんいただきますと実はそれほどどれも違いはないんですね、一般廃棄物につきましては。成長率で書きますとそのようにかなり違うような形で見えてしまうんですけれども、実際の量で見ますとそれほど変わりはないということで、佐和先生のご指摘のように言われますとちょっとどう答えていいのかということもありますし、ちょっと困るところもありますし、その表現の仕方が悪かったのかなというふうに思うところもあるんですけれども、量的に見ればこういうふうな形になっているということです。(より正確には、廃棄物の発生量は最も低いのですが、廃棄物の処理効率が低いためにこうした結果となっています。これが意味するところは、廃棄物対策として家計の対策だけでは限界があり、技術的な対応も少なからず必要ということです。)

○中島部会長 しかし、質的に最も何かつましい生活になるにもかかわらず、全体としては低いかもしれないですけれども……

○増井先生 その点につきましては、ここというのはライフスタイルの変革型ということで……

○中島部会長 それで、絶対的な量が余り変わらないで、それで技術革新がないからということになるんですか。

○増井先生 むしろその消費のパターンを変えるというようなことをこのシナリオBというのでは表現しております。ですから、その技術的な廃棄物処理の形態ですとか、そういったものについてはそれほどしないと、それ以外のシナリオを提示するとか、C、その他と比べますと……

○佐和委員 それはやはり調整がおかしいんではないですか。つまり、むしろそういう技術開発を用いるはずですよね。

○増井先生 ですから、むしろ私が言いたいのは、そういうふうなことを前提条件で議論をしていただきたいと。前提条件の中でその齟齬があるかもしれませんので、今回白書につきましては、そういうレジュメの方の表4というところの3つのシナリオのイメージというところで書いておりますけれども、処理効率、エネルギー需要をこういった形で表現しております。ですから、これが果たして本当にそれぞれのシナリオのイメージと合致しているのかどうか、そういったところも含めましてできれば議論していただきたいというふうに考えております。

○浅野委員 議論はこちらがすることですからそちらから指示されるものではない。それから、このシナリオA、B、Cと言っても我々審議会がこのシナリオA、B、Cを前提に考える必要はないのであって、佐和先生のおっしゃるとおり、私もこれを答えろと言われてもA、B、Cどれか一つを選ぶなどということは不可能だと思っています。
 このA、B、Cは、要するに白書に書いてあるというだけのことであって、これをたたき台にしてどれかを選ぶというような話になるかどうか、それはこれから先の議論の中で決めるべきだと思うし、もともと答えはA、B、C中間あたりのところにあるんだろうという見当はついているわけです。いずれにしてもモデルというものはどういう意味があって、モデルがどう使えるかということはよくわかりましたので、あとは我々の方で考えさせていただきます。

○中島部会長 ありがとうございます。
 それでは、まだご質問、お考えの方があるかもしれませけれども、時間の都合で、次に森口先生のご説明に移らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○森口先生 それでは、資料2を用いまして説明をさせていただきます。
 先ほどご紹介いただきましたように、主にマテリアルフローについて今日はご紹介をさせていただくわけでございますけれども、それとあわせまして、あるいはそれを前提といたしまして、ここで今回の目的であります数値目標、あるいはその数値目標の1つ手前としましてどういう指標、どういう数字、どういう項目でもってその数値目標を設定していくのか、そういった考え方の参考になりそうな資料を一部持ってまいりました。
 先ほど増井の方からは、具体的な研究成果、研究論文の発表に近いような形でご説明を申し上げましたけれども、私の方は、この間行政の方のお手伝いを含めましていろいろかかわってまいりました資料等の記録ということで、必ずしもその最新の研究成果という形のものではございませんけれどもご説明をさせていただきます。
 1枚めくっていただきまして、繰り返しになりますけれども説明の要点といたしましては、環境に関する諸計画におきまして指標あるいは数値目標といったものが、どういう議論がこれまでされてきたことがあったかということを前半お話をさせていただきまして、その後、マテリアルフロー分析というものに基づく指標の現状、あるいは可能性、限界といったものについてお話をさせていただきたいと思います。
 3枚目で3ページ、右下の方にページ番号が打ってございますけれども、3ということで、これは改めて言うまでもないかと思いますが、ここで数値目標というものを議論する根拠になっている部分を幾つかリファーしておりまして、新しい環境基本計画の中で循環型社会基本計画の中に施策の具体的目標として数値目標を盛り込み、その効果を客観的に、その効果というのは施策の効果と思いますが、それを客観的に把握できるようにすることが必要であるということが書かれております。
 したがいまして、数値目標をどういう数字にするかということについてはいろいろなご判断があろうかと思いますが、客観的に把握するためにはどういう数字を追いかけていったらいいのか、それを決めるのが、それを選ぶのが指標というものの仕事であるというふうに考えております。
 それで、次にこの裏の4ページでございますけれども、循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針についてということで、審議会の1月の意見具申の中に書かれておりましたものを抜粋させていただいておりますけれども、この目標量ということにつきましては、ここでは循環資源の発生、循環的な利用及び処分等の目標量についてということで、ある種マテリアルフローの量というようなものをイメージしたような目標量を盛り込んでいくのかなというような方針が示されておるわけでございまして、そこで今日私がご説明に上がったのもこういったことを受けてのことかというふうに考えております。
 それで、2番目のパラグラフでございますが、具体的な指標のイメージとして、マテリアルフローを踏まえた物質の投入量、再使用量、再生利用量、廃棄物量といった量を総量としてとらえていくような考え方、あるいは、これらの比率であらわされるような率といったもので考えてることがあり得るということが書かれております。ただ、そのマテリアルフローだけですべてが把握できるわけではございませんので、費用やエネルギーの面、あるいはLCA、 Life Cycle Assessmentといった考え方も盛り込んでいく必要があるんではないかというようなことがここの中でご意見が出ているというふうに承っております。
 それで、5ページ目でございますけれども、この種の計画における指標と数値目標ということを再度整理をさせていただきたいと思いますが、指標の仕事といいますのは、指標を決めるという仕事は目標そのもの、その数字をどのレベルに決めるということではございませんでどういう数字であらわすかということ、その物差しを決めるという仕事でございます。
 よく指標の研究をやっておりました時の一つのアナロジーとしては、例えば体の健康状態を知るために体温計というものを使いましょうと、体温というものを測りましょうと。37度というところに赤い文字を入れるというのが、それはある種の目標決めの仕事でありまして指標そのものの仕事ではない、そのようなことで議論しておったわけですけれども、その指標ということ、我々としてはその数値目標を、少なくとも私の今日の説明の中では、考え方は少し示させていただきますけれども、数値目標というものが指標を決めたからといって決まってくるわけではありませんので、数値目標を決めるためのその項目をどのようにするかということのご提案を幾つかさせていただきたいと思います。
 例えば、この種の国レベルでの環境における計画における指標、あるいは数値目標につきましては、オランダの国家環境計画、NEPPと呼ばれるもので指標と数値目標が設定された例がございまして、これは日本の環境白書でもかつて紹介されたことがございますし、OECD等におきましても一つのひな形として紹介をされているところでございます。
 6ページには、目標の階層構造というようなことを書かせていただいております。
 これは基本法でございますけれども、循環基本計画、循環基本法に基づくところでございますけれども、上下関係はなかなか十分に割り切れない部分もあるかと思いますが、環境基本計画というより上位の、より包括的な計画の中の一つの重点的な分野の計画というふうに私は理解しております。そういった中でこの循環基本計画としては、理念としてはこういう現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することでありまして、当面やっていく具体的なことは発生抑制、再使用、再生利用、適正処分、こういったことを適切に行っていくということでございますけれども、これをもって循環型の社会の形成に資する、これはどういうことが起きるかといいますと、天然資源の消費抑制と環境負荷の低減、こういったことを目指していく、こういう上位目標に向かって具体的にはこのようなここで4つ書いておりますけれども、中位の働きかけをしていくということかと思います。
 右上に少しポンチ絵を書いておりますけれども、いわゆる循環、リサイクルという言葉で代表されますように、そのままの流れを回すということはやはり私は手段だというふうに考えておりまして、その結果、出入り口のフロー、つまり経済へのものの入り口、資源の消費とそれから再び環境へ出ていく部分、環境への負荷と、こういったものを少なくしていく、これがより上位の目標であろうかなというふうに考えております。
 7ページ目には、環境問題にはその原因があり結果があるわけですけれども、どういう断面で指標あるいは目標を設定していくのかということの考え方を示しております。
  Driving forceという言葉は、先ほどの増井の説明の中にも出てまいりましたけれども、従来環境行政におきましては、その[3] Stateと呼ばれている部分、いわゆる環境基準が設定されるような大気の汚れでありますとか水の汚れでありますとか、そういったところに主眼が置かれてきたかと思いますが、環境基本法時代になりましてからそれよりより上流側といいますか、発生原因側にあります環境への負荷、あるいはその環境への負荷を与える活動、こういったところに着目したような取組が進んできたというふうに理解しております。
 一方、こういった環境への変化が起き、それが人間あるいは生活環境への影響が懸念されるということになりますと、環境への負荷を低減するための何らかのアクション、取組というものがなされます。このフレームワークの中ではResponse、Rというふうに呼んでおりますけれども、例えばある種のその施策の投入量でありますとか、経済的措置をどのぐらい講じるか、こういったResponseというもの自身をその指標目標に選んでいく、こういったことも考えられるのではないかなと考えております。
 従来の環境基準と呼ばれるような部分はこの[3]という部分に相当いたしますし、あるいは、例えばいろんな環境負荷の総量削減計画、あるいはCO2 の削減目標といったものになりますと、[2]というPressureの部分をどれだけ減らしていくかという目標になります。ですから、どのレベルでその指標、目標を設定していくのかというのが一つの論点になろうかなと思います。
 8ページ目には、旧環境基本計画における総合的環境指標においてどのような議論がなされたかということをごく簡単に書いております。
 これは、詳しく述べますと長くなりますけれども、旧環境基本計画におきましても、いわゆる指標というものの検討をしなさいということが、これは9ページ目の方にも書いておりますけれども、指標開発そのものを基本計画の方から求められてきたわけでありますけれども、そういった中の循環という分野の中で物質のフロー量、あるいはエネルギーのフロー量に着目した指標群としまして、物質の投入量、廃棄物の発生量、こういったものの指標が提案をされておりまして、また、廃棄物の発生量のうち再使用、再生利用に回るものの割合ですとか、主要な素材のいわゆるリサイクル率、こういったものも指標として挙げられていたことがございます。
 ここでの検討というのはこういったものとかなり類似性があるのかなと思いますけれども、9ページ目に書いてありますが、環境基本計画における指標と今回の数値目標ということを私なりに比較をさせていただきますと、旧基本計画の場合には数値目標には踏み込まない、指標開発をすることによりまして目標を具体化していく、そういったような検討が主体であったかなと思います。
 循環基本計画の場合には、その施策の効果の客観的評価のための数値目標の設定ということが明記されております。それはもちろんそのとおりでありますけれども、一方でその指標、あるいは数値目標の設定を通じて循環型社会、先ほど循環型社会とはどのようなものをイメージするのかというお話がありましたけれども、どういう数字がよくなっていくということが循環型社会が達成されたのかというようなことを指標、あるいは数値目標を通じて示すことによって循環型社会への具体像の共通理解を伝えるというふうに考えております。
 10ページ目には、指標(目標)の設定の切り口の例といたまして、これは国の計画でありますので、基本的には国全体をマクロにとらえた目標が設定されるのかなということを想像しておりますけれども、国、地方公共団体、事業者、国民といった主体ごとの切り口でありますとか、どういう政策によってどれだけ良くしていくのかといったその政策(措置)ごとの目標、あるいは発生抑制、再使用等のいわゆる技術的な循環の仕組みごとの、方法ごとの目標、こういったこともあり得るのではないかなということをまとめさせていただいております。
 それから、11ページ目には、その指標とか数値目標というのは一体どのぐらいの数つくるんだろうかと、こういった議論もどこかであるんではないかなと思います。
 単一の指標、いわゆる Indexと呼ばれるようなもので、これが循環型社会に向かって進んでいる循環型社会指数と呼ばれる一つの数字にできれば非常にわかりやすいわけでありますけれども、やはり細部もろもろのことを捨象してしまう懸念があるのではないかなと思います。
 一方で、例えば持続可能な開発委員会の方では、百数十個の指標を挙げまして持続可能な発展を図ろうというような提案がございますが、百数十個、細部まで表現できるわけですけれども、全体像がどうなっているのかということが見えなくなってしまう。そこで、ある種の指標体系、その部分的な指標をずっと足し上げていくと全体がわかるような階層構造を持った指標体系というのが一つの理想像に見えるわけですけれども、なかなかこういったものは方法論、あるいはデータのアベイラビリティーという意味で困難な面がございます。
 こういったものの一つの妥協の産物かもしれませんけれども、階層構造は持たないけれども幾つかの代表的な指標、OECD等ではHeadline指標というふうに呼んでおりますけれども、こういった主要な指標群を設定していくというのが一つの考え方になっているかなというふうに思います。
 12ページには、OECDにおいてどのような検討が進んでいるかということをごく簡単に紹介をさせていただいております。
 ここでは2つ挙げておりまして、1つはリオ+10、ヨハネスブルグサミットに向けてのOECDの活動でありますけれども、いわゆるデ・カップリング指標、経済成長とその環境負荷の増大というものがデ・カップル、つまり経済成長すると環境負荷が増えると、そういう関係ではなくてちゃんとそれが切り離されているかどうかということを点検するための指標、こういうものが検討されておりまして、これは経済指標あたりの環境負荷指標、例えばこの分野ですと家計消費支出額あたりの一般廃棄物最終処分量、こういった指標で表現するというようなものが出ております。
 一方、その廃棄物の専門家のグループでは、廃棄物発生抑制指標、発生抑制に焦点を絞った指標の検討が進んでおりまして、ここではマテリアルフローに着目した指標、あるいは先ほどのResponse、対応策に関する指標も重要であるというようなことに言及をされております。
 13ページ以降が、いわば本題でありますマテリアルフローに着目した指標ということでございます。
 マテリアルフローの分析という手法の原則は、いわゆる質量保存則、モノはなくならない、消えてなくなることはないという、これでございます。一方で、カネの勘定、経済の方とのアナロジーで申しますと、その収支をきちんと合わせる、出たものと入ったものがきっちり合ってなければいけない。使途不明、どこかへいってしまっているということはあり得ないはずであるという、こういったことがもとの考え方になっておりまして、これに基づいてやることによりまして、先ほど増井の方から説明のありました経済モデル、あるいは経済統計、経済勘定といったものともこういう物量的な統計指標というものが整合性を持って構築することができるというところに特徴がございます。
 14ページ目には、概念的にマテリアルフロー分析というのはどのようなことをやろうとしているのかということをごく簡単にまとめております。
 ここであえて1点だけ強調しておきますのは、従来の考え方ですと、右側に出ております産物・副産物というものと、それから下に出ております汚染物質・廃棄物、こういったものはそれなりに区分されて、産物・副産物というのはいわば有価物、汚染物質・廃棄物は無価物と、こういったようなくくりであったかと思いますが、ここで議論されております循環資源というものはこの2つの境目、産物・副産物と汚染物質・廃棄物というものの境目が極めてあいまいになってくると。したがいまして、すべてのプロダクトというのは産物か副産物、汚染物質・廃棄物含めましてある種のby-productであるという、こういう考え方が必要ではないかなというふうに思います。
 15ページ以降には、国レベルのマテリアルフローに関する国際共同研究ということで数枚資料をつけております。こういった報告書を何名かの先生方には直接お手にとって見ていただく機会もあったかもしれませんけれども、この報告の幾つかの指標をかいつまんで載せております。
 ちょっと時間の関係ですべてはご説明できませんけれども、16ページをごらんいただきますと、ここのマテリアルフローの国際比較でどのような枠組みでとらえたかというようなことを書いておりまして、輸入される資源、あるいは一部製品として輸入されるものはありますけれどもそういったものと、それから国内で採掘された資源がその入りの側が入ってくると。それからストック、いわゆる資本財として蓄積されるもの、あるいはそこから出てくるものといったもののフローの調整しながら輸出されるもの、それから国内に廃棄物としてたまるもの、あるいはCO2 等として大気中に出ていくもの、こういったものを体系的に入りと出を合わせていく、こういったことをやるわけであります。
 これは、先ほどの循環白書の39ページ、これは以前から環境白書の方に載っている図がございますけれども、日本の物質収支ということで出と入りの合計が合うようにとらえていく、こういう仕事と基本的には同じ考え方でございます。
 そのあと数枚指標のグラフがございますが、これはちょっと時間の関係で割愛をさせていただきまして、ちょっとページ番号が抜けておりますが20ページ、21ページにマテリアルフローの総量と内訳というものがございますが、それの1つ手前に日本のマテリアルバランスと書いてある図がございますのでこれをごらんいただきたいと思います。
 これは、昨年度の循環型社会白書、初めての循環型社会白書に掲載いただいた図でございまして、これまで環境白書に掲載されてきた図をより細かく、少し内訳を細かく書いたものでございます。内訳が書いてあって非常によかったという評価と、細かくてぐじゃぐじゃしてわかりにくいというおしかりと両方いただいておりまして、どうもその後者が支配的であったのかなと、それはちょっと反省材料でございますが、やはり21ページに書いておりますように、総量をとらえるのみではなかなかわからないことというのがございまして、やはり内訳はしっかり見ていく必要があるだろうと思います。
 例えば、この図の中で1つだけ象徴的なことを申し上げますと、右側にCO2 というのが右上の方にございます。これは単位が 100万トンでございますので12億 8,000万トンという数字でありますが、CO2 は気体ですのでこれを重さでほかのものと比べようということは余り発想としてないわけですけれども、その下の方にあります廃棄物の最終処分量が 8,100万トン、81という数字がございますのでこの十数倍という、CO2 というのは大変重いごみを大気中に捨てているということでございます。それは、化石燃料というものがマテリアルフロー全体のやはり5分の1ぐらいのスケールになっている、これが空気中の酸素と結びついてCO2 になりますと大変な重さになるということはおわかりいただけるかと思います。
 マテリアルフローを支配しておりますというか、全体に非常に大きな影響を与えておりますのは建設用の鉱物、これはいろんな土木構造物ですとか建築物の材料になるわけですが、これが約半分ぐらいございまして、こういったものが鉄でありますとかその他プラスチックもろもろのものとくっつきますとストックへ追加されていくということであります。ですから、基本的には約20億トンの投入のうち12億トン、ここでは半分強でありますけれども、これがストックに追加されていくわけでありまして、フローとして出てくるのはこれのいわば一部と言えば一部でございます。
 後ほど時間がありましたら少し詳しく事例でご説明したいと思いますが、何と言いましても日本の場合には輸入量が非常に多いということであります。輸入をここでは約7億 5,000万トンというような数字、3分の1を超える数字になっておりますけれども、これはその製品として輸入されるものもございますので、ライフサイクル的に考えてその製品をつくるためにどれだけの資源を使ったということになりますと、輸入のこの7億 5,000万トンという実の数字よりもかなり大きな量を日本としては輸入しておりますし、それを生産するために輸入相手国におきましては廃棄物も生じている、あるいは環境への負荷も生じている、こういったことにも日本としては思いをはせる必要があるのではないかなというふうに思います。
 21ページは既にご説明を申し上げましたけれども、総量をとらえるだけではなく、少しやはり内訳をかみ砕いていかないと問題が見えにくい可能性がある。ただ、こういう重さで測った指標を使いますと、ダイオキシンや水銀とその砂利や砂が同じわけはないだろうというおしかりを受けることがございます。それは全くそのとおりでありまして、何もその水銀やダイオキシンの問題をこういったもので測ろうとしているわけではない。有害性が非常に問題になるような質の観点というのは、やはり全く別の手法でとらえていく必要があろうと思います。ただ、CO2 を初め幾つかの問題は、やはりこういうものを大量に使う、動かす、こういったものに起因しているというふうに考えられますので、マテリアルフローに注目した指標というものが一つ有用ではないかと思うわけであります。
 22ページには、その物質ごとにマテリアルフローをとらえるものの例として鉄鋼の例を示させていただいております。
 これも、こうしたそのもののフローを完全に完結するための統計が完備しているわけではございませんで、私どもの方でかなり推計を入れましてこういったフロー図を書いております。
 ここの中で一つ、後ほども出てまいりますが注目をしていただきたいのは、下の方で回っておりますいわゆるリサイクルのフローでございます。左から2番目ぐらいの列に鉄屑という分量がございまして、銑鉄、いわゆる鉄鉱石からつくられる鉄に対して6対4、あるいは3分の2と3分の1ぐらい、こういった割合で鉄屑から鋼がつくられるわけでありますけれども、これは、いわゆるその使用済みの製品から回収されてくる、あるいは建物等を解体した方から、右側の方から流れてくるその市中回収老廃屑と呼ばれるもの以外に、鉄鋼業の中自身から出てくるもの、あるいは自動車産業でプレス屑として出てくるような加工屑と呼ばれるもの、こういったものもかなりの比率になっております。
 あるいは、よく知られている家計部門、一般家庭での缶の回収、分別収集あるいは回収といったことがこの一番右側の方に書いてありますけれども、これは正確な太さにはなっておりませんが、オーダーとしましてはこの鉄全体のフロー量の1%とか2%、そういった量でございまして、マテリアルフロー全体をとらえていく中でもろもろのリサイクル活動がどれだけの効果があるのかということを見る上ではこういう俯瞰的なとらえ方というのが必要であろうというふうに考えております。
 23ページ以降には、国立環境研究所における取組を紹介させていただいております。表紙の方にも書いてありますが、冒頭江口課長からのご紹介では、社会環境システム研究領域ということでご紹介いただきまして、一応そこが本部なんですが、省庁改編で廃棄物行政が環境省に移りましたのとともに、廃棄物の研究部門が国立環境研究所の中に新しいセンターができまして私もそこを併任という形で仕事をさせていただいております。そこの部署で現在マテリアルフローの体系的な把握、それから循環指標の開発という研究をしております。
 当然、この循環指標の開発という研究はこの場での数値目標の検討と非常に密接にかかわりがあるわけでございますけれども、また、そういったところにも貢献をしていかなければいけないと当然思っておるわけですが、一応これは研究として我々はニュートラルに考えるとこんな提案ができるのではないかということでございまして、この提案というのは広く一般に向けられているものでございますが、その中でこちらの審議会でもこういう提案について耳を傾けていただければなと、そういうようなことで考えております。
 ここでの問題意識としましては、23ページに書いてありますように、現在用いられているリサイクル率というのが対象によってかなり定義が異なっております。一方でその必要性としましては、ここでの循環型社会基本計画、それから、先ほども認定いたしましたOECDにおける指標開発、こういったところでいわゆる循環をあらわすための指標というものに対するニーズが非常に高まっているということでありまして、ここで考えていることは、そのマテリアルフローを体系的に把握して、その循環の性質の違いを反映させながら一貫性、整合性のある指標群の提案を目指していこう、先ほどHeadline指標というようなことで、1つではなく、かつ膨大な数にもならないようなある程度いい数の指標群というものが提案できないかなというようなことを考えております。
 24ページには、現在の主要物品、現在使われております既存のリサイクル率の計算式を書かせていただいております。
 生産量に対してどれだけ廃棄後分別で収集されたとか、あるいは生産量に対してどれだけ再生の材料を使っているかとか、その入り口側、出口側、どこで測っているか、あるいはその分母、分子をどういうふうにとっているかということにつきましてかなり物によりまして違いがございます。当然、その指標としましては生産消費量を分母にとって回収量、あるいは再資源化量というものに着目したものが多いわけでありますけれども、その入り口側で新たに生産する時にどれだけその再生利用量というものが使われているかというものを見たものは比較的少ない。しかもこれらはその製造工程で出てきたものを含んだ数値でありまして、使用済みの物品だけに着目したものではない、こういったことが言えるかと思います。
 そのことを次の、これもちょっとページが抜けておりますが、既存の「循環の指標」はライフサイクルの特定の断面のみを見ているというような書き方になっている図がございまして、左側にありますその古紙、カレットの利用率ですとか、あるいは右の方にありますアルミ缶リサイクル率という指標がございますけれども、それぞれのその指標によりましてどの断面、その資源採取から廃棄に至るまでのどこの断面を切り取って見ているかということにつきましてかなり違いがございます。やはり同じ断面で比べないことには相互比較ができないということがあろうかと思います。
 そのあたりの問題をまとめたのが26ページ目、「循環の指標について」検討すべき主な課題というところでございまして、対象となる物質の種類の区別ということで、先ほど来申し上げておりますように、副産物と使用済みの物品というものはやはり分けた方がいいのではないかと。
 ただ、副産物というのは、先ほど申し上げましたように何が副産物かといったことの判断をすることが非常に困難でありまして、例えば過去から広く行われてきた副産物、高炉ガスですとか転炉ガス、コークス炉ガス、こういったものは従来から副産物がエネルギーに対して使われているわけですけれども、これはここの循環に含めるのかといった問題ですとかもろもろの問題が出てまいります。
 私どもの一つの提案としましては、副産物の利用というのは、その使用済みのもののリサイクルとは別に、資源をどれだけ有効に使ったかといったようなとらえ方ができるんではないかなというふうなことを考えております。ただ、利用の方法、これはいわゆるマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、リユースというようなことがあるわけですけれども、リユースにつきましては何が使用済みかといったことの判断が困難であると。
 例えば、これはちょっと私どもとしても概念がまだ十分に整理しきれないところがあるんですけれども、物品が利用される時間に着目してはどうかというようなことも今考えております。先ほど、スロー・イズ・ビューティフルというようなことが白書の紹介の中でございましたけれども、少しこういう時間といった観点も盛り込めないのかなというようなことで研究を進めているところであります。
 次のページに、その資源のライフサイクルの要所要所を表現する6つの指標の提案ということで、入り口側、出口側、あるいはその間にありますもろもろの主要な断面をとりまして、6つの指標でもってそのマテリアルフローの状況をとらえていく、そんな提案ができないかなというようなことで少し概念の整理をしているところでございます。
 28ページには、これはいろんなことができそうだということでお示ししたわけですが、余り過大な期待を抱かせてはいけないというようなご注意もちょっと実はいただいておりまして、非常に短い時間の中でやるにはいろんな限界がございます。統計調査が不足していてなかなかそのデータが得られないとことか、あるいはどこまでを循環資源とするのかといったその境界がなかなか見えにくいですとか、あるいは、統計上使用済みと製造段階での発生が区分されていないですとかもろもろの問題がございます。それからもう1点、これは使用算定上の問題というよりは、その指標の定義上の注意かと思いますけれども、輸出入の扱いに多くの課題が残されているというふうに考えております。
 29ページには、ライフサイクルアセスメントについて意見具申の中で触れられておりましたので、少しその概念図をつけさせていただいておりますけれども、ライフサイクル的な視点からリサイクルがどういうケースで優位になるのか、リサイクルすることによりましてこれまで焼却、埋立ということで環境に大変負荷をかけていた、あるいはコストがかかっていた部分、あるいはいわゆるバージン材料をつくるために必要なコスト、あるいは負荷、こういったものが削減される一方で、分別回収でありますとか前処理、あるいは再生材料生産、こういった部分につきまして新たな負荷が発生する、あるいはコストが発生するわけでありまして、ここに示しましたような高低の関係がないとなかなかリサイクルが、コスト面だけではなくて環境面でも優位にならない、こういったことを反映させていく必要があるのかなというふうに思います。
 30ページには、例えばLCAのような考え方にのっとりまして、究極的に1つの指標、単一の指標としてイメージするとすればこんな指標があり得るかなと。循環を促進することによってどれだけ天然資源の消費量あるいは環境負荷の発生量というものが回避されるのか、それを影響の大きさ、要するに環境に対するダメージの大きさとして集計可能な量にして示してやる、こういったものを大きくしていくということが一つの目標になり得るのかなということで概念的な定義式が書いてありますけれども、こういったものを算定するのは非常に難しかろうというふうに思います。
 最後あと2枚でございますけれども、途中でも述べましたがいわゆるResponse、対応に関する指標あるいは数値目標というのは必要なのでしょうかということについての問題提起をさせていただいておりまして、先ほどご紹介しました環境基本計画における検討作業においてもR指標、どれだけその政策を投入するか、こういった指標が必要だというふうにされながら具体的な提案はなされておりません。こういった指標を設定していくのかどうかということもご議論いただく事項の1つかなというふうに思います。
 最後、32ページにはその数値目標レベルの設定、これは先ほど申し上げましたように、私どもの方からこれについてまとめて研究しているわけではございませんのでこれはややつけ足しの部分かもしれませんけれども、どういう方法で数値目標のレベルを決めていくのかということの例を示させていただいておりまして、先ほど増井から説明のありました例えばBaU、 Business as usualという成り行きに対してある種の技術的、社会的な実現可能性から目標を設定していく、こういった考え方が1つございますし、その他幾つかの考え方があろうかと思いますが、時間が来ておりますのでこれにて説明の方は終了させていただきます。ありがとうございました。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 マテリアルフローを中心としまして循環型社会における数値目標設定のための指標の考え方や、その設定における留意点、解釈の仕方においても留意点等大変詳細にお話いただきましてありがとうございました。
 それでは、ご質問を。

○浅野委員 大変詳細なご説明をいただいてありがとうございました。
 指標と目標の関係をっきり区別しなければいけないということも言われたとおりだと思います。ご指摘いただいた中で特に大事だと思いますのは6ページの階層構造というこの点ですね。それから、また各論的な部分でもいろいろ重要なご指摘をいただいているわけですが、例えば、24ページのところでリサイクル率の計算式がものによってあるけれども1つずつ違うということですね。この点は、実は産業構造審議会で同じような問題意識を持っていて、今までのところで横に並べては比較できないんですね、それをどうしたらよいかという議論をやっていますので、全くその点は同じ指摘だと思います。そして、25ページのところで従来の指標の限界を言っておられますが、そのとおりだろうと思います。
 そのほか重要な指摘をしておられると思ってお聞きしたのは、31ページのR指標を考えてはどうかというような点も重要だと思いますし、それから、指標をつくる上での課題があるという28ページのあたりのご指摘も全くそのとおりだと思います。
 我々も循環基本計画で目標を定める、それも数値目標を掲げたいということを一応宣言しているわけです。その時に、そのためには何を指標として目標を掲げたらいいのかが一番大きな課題になるわけですが、その前に循環基本計画の中で掲げる目標というのは一体どういうレベルのどういうことを考えるのかが非常に大事な点だと思います。
 先ほどのお話は、せっかく6ページのところでこういうような分類があるよというお話をしていただいて、指標、目標を書かれる時も階層構造をつくる必要があるんだと言われているわけですが、後の方になりますとちょっとその辺のところが随分テクニカルな話に走ってしまって、全体としては細かい話と大きい話がごちゃごちゃになっちゃっているんですね。これは我々の方が、受け取る側の方で考えればいいことですから森口さんを批判してもしょうがいなんですけれども、私が考えるところ、やはり個別法の個別の部門での指針だの計画だのというのは既に先行して存在するわけですね。そういうものがある中で、循環基本計画の方で目標を掲げ指標で何かものを言わなきゃいけないという時にはどうしたらいいかという点が一番問題だと思うんです。私は、この場合、全体を通じての大きな理念を明らかにしていく、そのためにどういうものが理念を明らかにできる指標になり、それを使った目標であるのかということが大事な点ではないかと思います。
 それからもう一つは、個別法がどういう目標を掲げているか、これはちょっと精査しなきゃいけませんし、目標をはっきり数字であらわしているものとあらわしていないものもあるだろうし、資源有効利用促進法などは個々のものごとに随分多くのものを抱え込んでしまっていますからなかなかうまく整理がついていない面もあるわけですね。しかし、やはりどこかで全体を比較する、比較の可能性を確保していかなきゃいけない。つまり、我々の循環基本計画では大きな理念を明らかにするとともに、比較の可能性のためにこういうことをやってほしいというお願いをするというのか、あるいはこういうことをできるだけ情報としてきちっとそろえていただくという、それができればちゃんとその比較ができるので、それで全体が把握できるようになるからこういうことをやったらいいんだという、その辺のメッセージを発信することが極めて大事な点ではないかと思うわけです。
 そこで、きょうのお話の中で、さまざまなものがいろいろあるんだけれども、横に並べて比較する時には何がポイントだと森口報告ではおっしゃりたかったのか、そこをぜひワンポイントで聞かせていただければと思うわけです。

○中島部会長 では、お願いします、ワンポイントで。

○森口先生 短く答えるというのが不得意でございましていつも回答が長くなっておしかりを受けるんですが、11ページ、これはちょっとやや消極的な表現をし過ぎたかもしれませんが、私どもは、理想像としてやはり階層構造を持った指標体系で部分と全体の両方が見えるもの、つまりここでやることは全体の指標をやりますと、そこの考え方が部分、いわゆる個別法の世界にもちゃんと反映されていて、今は個別法の目標はそうはなっていないかもしれないけれども、行く行くは全体のこの指標に合わせて個別法の目標もこのようにしてくださいというふうにこの中位目標の側から言えるような、そういうものを示すのではないかと。ただ、個別法で今入り込んでいるような細かな目標はやはりここで議論するというのは、多分その役割分担からして違うんではないかなという気がいたします。
 そのワンポイントで答えるべきものは、ある種の率を議論するんだと思うんですけれども、その分母分子に何をとるかということの整理、これに尽きると思います。要は、何が総量であって、そのうち循環している量は何なのかという、その分母と分子をあらゆるものに、その共通のものにできればそれが一番いいんではないかなと思っておりまして、ただ、これはなかなか一概に決められません。入り口側、出口側、どっちがいいということは言えませんので、私の感覚としては、あえて1つにどうしてもしろと言われれば入り口、出口を両方足し込んだような指標、こうするのが一つの姿かなというようなおぼろげなイメージは持っておりますが、きょうはまだ結論を急ぐよりは、少しその考える材料をご提供するぐらいにとどめておく方がいいかなということで余りそこは見込んでおりませんが、そんなことでお答えになっておりますでしょうか。

○中島部会長 ありがとうございました。
 それでは、江口委員お願いします。

○江口委員 すばらしいというか、私などから考えても、非常に政策資料としては明快になるようなモデルをおつくりになったと、その努力には非常に我々としては敬意を表したいんです。
 それで、2点ございまして、まずこれは15ページに載っているんですけれども、国レベルのマテリアルフローに関する国際共同研究、これは日本の周辺の国というオーストラリアを加えた5カ国がやっておられるんですけれども、私はもともともうちょっとこの2030年の世界というのは、やはり地域の持っている文化社会的な構造の違いですよね。例えばヨーロッパとかアジアとか、あるいは米州大陸とか、そういうことを考えると、もうちょっとアジアにおけるマテリアルフローに関する研究というダイナミックな視点が必要ではないだろうかなと思いますね、これから。
 それから2点として、私はこの期間でかなり日本も政策転換が起こるだろうと。恐らくお立場上余りそういうことは言いにくいんでしょうけれども、多分公共事業を大幅に縮小するか構造を変えますからマテリアルフローが変わってくるだろうと。それは、むしろ国立環境研究所というのは独立法人ですから、おしかりを受けてもおもしろいシナリオがもっとできたんではないかというのがちょっと私の印象です。
 以上です。

○森口先生 ありがとうございます。
 時間がございましたら2点ともご説明をぜひしたかったところでございまして、1点目のアジアの問題は非常に重要だと思っております。輸出入のことはどこかで触れておりますけれども、アジア、実は、済みません、15ページは「オーストリア」でございまして「オーストラリア」でないのが残念なんですけれども、オーストラリアでもマテリアルフローの研究が進んでおりまして、かなり今これは広がりを見せておりますが、先進国についてはかなりこれは比較も既にございます。ただアジアということになりますとなかなか、中国でももちろん研究が今進んでおりますけれども貿易を含めて完全な形でやるということはまだできておりません。ただ、アジアとのかかわりは非常に重要だと思いますので、今後指標の仕事とは別途私どもとしてもその仕事を計画しておりますので、そういったこともおいおいは反映させられればと思っております。
 2点目、これは申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、公共事業というようなお話がございました。
 それで、こういうことをちょっとお考えいただきたいんですが、例えば、いわゆる循環の率、トータルのマテリアルに対してどれだけ再生の材料が使われているかという、こういう指標を使いますと、分母が現在のところ建設原材料でかなり効いてくるわけですね。ですから、リサイクルが進まなくても実はどんどん石や砂を切り出して公共事業が行われているという状態が少し変わることによって実は指標が割に敏感に反応いたします。ただ、それが循環型社会なのかというと、ちょっとそれはまた違うというご批判が当然出てくるのでないかなと思っておりまして、今ご指摘のございましたこととその指標がどういうふうに反応するかということについて、例としてはそんなことを我々としてはちょっと意識をしておるところでございます。

○中島部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、加藤委員、お願いします。

○加藤委員 私も大変、森口さん達のかねてからの仕事はすばらしいなと、特にマテリアルフローを出したというのは、これはもうものすごく重要なことだと思っていますが、先ほどの浅野先生のご質問と、先ほど前に佐和先生からのお話等をあわせ考えますと、例えば、先ほど佐和先生のお触れになった循環白書の37ページのところなんですがGDPの成長率、残念ながらといいますか、当然ながらといいますか、とにかく一応政府としては2%成長することになっているからそれを前提にやってくれ、こういう話になるわけですね。独立行政法人はそれを拒否できるかどうかは別として、多分できないでしょうけれども、そういう前提にあるとするとかくかくしかじかということになるんですが、CO2 のところを見ますと、もう既にどう考えたって年率 0.8%から1%で増えるわけですね。これは増えちゃうわけですね。
 そうすると、京都議定書が発行された時に一体どういうことになるのか、そこまでは、多分その整合性まではここの段階ではできていないと思うんですがそういう問題が発生してしまうわけですね。京都議定書上の問題を2012年までにどうするこうするという問題と、そうすると、先ほど佐和先生のお述べになった廃棄物の方はそれでも年率マイナス3%で減るということですから、これはとにかくそんなに、そんなにではなくて多分減っていくでしょう。こういうふうに減っていくんならこれはこれでいいんですがCO2 は増えちゃうわけですね。これを京都議定書やら政府の経済成長率を2%にしたりとか、そういうものとの整合性をとろうとすると多分とれない、相当な手品か何かしないととれなくなってしまうという可能性があって、案外この数値目標を我々がつくるというのは、実はこれは大変な話だなという感じがいたします。その政府の経済政策のどこかで、上といいますか、どこかで決められる2%の成長は維持してほしいという、そういうものとあわせようとすると大変だなという予感がちょっといたします。

○中島部会長 特にお答えいただく必要はないですか。
 ほかにございませんでしょうか。もしよろしいようでしたら……、佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 一言コメント、今の先生の関連でコメントさせていただくと、今は2002年ですね、今2010年もさることながら、2020年ぐらいになれば間違いなく産業構造は変わってきますね。だから、そのGDPを 100万円生産するのにどれだけエネルギーを使うか、どれだけCO2 を排出するかというと明らかに減るんですね。ですから、そういう意味で成長してもCO2 は増えないということは十分あり得るということなんですね。

○中島部会長 ありがとうございました。
 それでは……、どうぞ、森口先生。

○森口先生 1点だけ、答えを求められていないのに発言するのは僣越でございますが、今佐和委員からご指摘がございましたような、産業によって例えばGDPあたりのマテリアルのフローの量ですとか、産業によってCO2 の排出量、エネルギーの消費はこれは全部違います。きょうはご紹介しておりませんが、そういった部分の研究も私どもはやっておりますし、当然増井のモデルの中にもそういった構造が含まれております。
 これは、ですからある種の産業のシェアが変わってくるという姿を書けば、ある種GDPを保持しつつマテリアルフローの量を減らしていく、CO2 を減らしていくというような議論になってくるのかと思いますけれども、そういう意味では私どもはそういったところに向けての、少なくとも過去からの基礎データの蓄積はやっておりますので、ちょっとそのことだけご紹介させいただきます。

○中島部会長 ありがとうございました。
 それでは、森口、増井両先生には、ご多用中のところヒアリングにご参加いただきまして、貴重なご意見、また、内容をお示しいただきまして大変ありがとうございました。
 そのほかの議題、何か用意されているものはございましょうか。特別にはございませんか。
 それでは、次回以降のことにつきましてお願いいたします。

○企画課長 次回は、7月下旬ごろを予定しております。内容につきましては、循環基本計画についてのご検討というものを引き続きお願いしたいと思っております。

○中島部会長 それでは、以上をもちましてお開きにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後 3時21分閉会