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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第24回浄化槽専門委員会議事録


平成19年1月15日

午前10時04分 開会

○浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第24回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配布資料を御確認願います。「今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」について(案)」及び参考資料をお配りしてございます。資料の不足がございましたら、お申し付けください。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、これまでどおり加藤先生にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 どうもおはようございます。
 1月15日、もう正月気分はとっくに抜けていらっしゃるのではないかと思いますが、間違いなく新年最初のミーティングでございますので、改めて本年もよろしくと、私の方から申し上げておきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
 さて、いよいよ浄化槽ビジョンについての、多分今日で最終的な、このビジョンそのものについては最終的な御議論ということになるのではないかなというふうに思っております。前回この素案を提示しましたところ、先生方から貴重な意見を多々頂きましたが、大筋においては大体こういう形でよろしいという御了解を得たというふうに私も理解いたしております。その後、事務局で先生方がおっしゃられた御意見を取り入れて、修正案をつくりました。今、お手元にありますものが修正案であり、これを改めて、もう一度御審議いただきまして、浄化槽ビジョンそのものは本日でもって採択ということになればうれしいなというふうに思っております。
 ただ、もちろんビジョンをつくればこれで終わりというわけじゃもちろん全然なくて、むしろこれから先が非常に重要になるわけですが、そのことはさておきまして、まずはビジョンにつきまして、主なといいますか変更部分を中心に、事務局の方から御説明を願いたいと思います。

○浄化槽推進室長 失礼いたします。主な変更部分を中心に御説明申し上げます。
 まず表紙及び目次を付してございます。
 次に、1ページの「はじめに」の第3段落について、単独処理浄化槽の新設に関して「事実上禁止された」という表現に改めてございます。
 次に、2ページについて、(注2)として、浄化槽には、大型のものもあるが、本報告においては、主としていわゆる小型浄化槽を検討の対象とした旨を加えております。
 次に、5ページの第2の2(1)アの最初の3段落について、3Rとの関係に関して表現の適正化を図ってございます。
 次に、6ページの第1段落について、自然の浄化作用に関して表現の適正化を図っております。
 次に、7ページについて、洪水に関しても言及することとしてございます。
 次に、8ページの第3の1(1)の第2段落について、既存の汚水処理施設に関する計画についても、人口の減少及び高齢化、既存の汚水処理施設の状況を始めとする汚水処理の現況等地域の実情に応じた効率的かつ適正な施設の組合せが選定されているか留意し、施設の更新時等必要に応じ、見直し等の措置を講ずるべきである旨を加えております。
 次に、同ページの次の段落について、未処理で生活雑排水が排出される単独処理浄化槽について環境への負荷が高い旨を加えております。
 次に、9ページの「したがって」で始まる段落から2段落については、文の順序を入れ替えるなど表現の適正化を図ってございます。
 次に、同ページの「また」で始まる段落について、単独処理浄化槽の改造に関して表現の適正化を図ってございます。
 次に、10ページの「なお」で始まる段落について、市町村地自身が浄化槽に関する適切な知見を有することが重要である旨等を加えてございます。
 次に、12ページ(イ)の前の段落について、「炭化物」という語を用いる表現の適正化を図ってございます。
 次に、14ページの第1段落について、窒素及び燐に関する課題に目標値の在り方を加えてございます。
 次に、15ページの第1行について、汚水処理にもエネルギーを必要とする旨を加えてございます。
 次に、次の段落について、IT技術の活用に関して監視という側面がある旨を加えてございます。
 次に、同ページの「このほか」で始まる段落について、維持管理及び環境学習に関する研究が行われることが重要である旨を加えてございます。
 次に、同ページの4の第1段落について、浄化槽の役割に関して表現の適正化を図ってございます。
 次に、16ページの「このため」で始まる段落について、浄化槽の普及に関して先進国・地域も考えることが望ましい旨を加えてございます。
 最後に、同ページの最後の段落について、国際的な浄化槽システムの標準化に向けた動きが期待される旨を加えてございます。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうも御苦労様でした。
 前回の会議が暮れでしたので、年末ぎりぎりでしたので、短い時間で事務局で精力的に修正作業をしていただきまして、大変ありがとうございました。
 先生方、いかがでしょうか、どうぞ御自由に―よく読み返してみたら、ちょっと修正漏れがあったとか、あるいはこの前特に申し上げなかったけれども、後から気がついたとか、何かございますれば、どうぞ。
 いかがでしょうか。
 いつも御活発に御議論いただくこの専門委員会ですが、先生方サイレントでいらっしゃるとうことは、まあまあこれでいいのかなというのか、あるいはもうちょっと、ちょっと時間を要するのか。どうぞ、別にそんなに慌てておりませんので、もうしばらくお時間をおとりいただいて一向構いませんので、御検討願います。
 先生方も事前にお目通しいただく時間も短い時間であったようでございますが、大体よろしいでしょうか。別に。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。はい、須藤先生。

○須藤委員 もう、1回読みまして、事務局の方にも更に意見を申し上げまして、それも訂正をされて、特に私は、8ページの1についての「積極的設定」のところの若干の加筆修正もお願いをしたのですが、それもそうなっているので問題ありません。
 一つだけちょっと私、気になったのは、前にも申し上げたのですが、これを実行していくために推進体制の構築が必要であるというようなことを申し上げたと思うのですが、その部分はどこでいきているのでしょうか。ちょっと私は、その辺が十分じゃなかったかと思ったのですが、よろしゅうございましょうか。

○加藤委員長 はい、室長、今、須藤先生がお触れになられたのは、まず8ページの。

○須藤委員 ええ、それはもうよろしいのですが、これを推進していく体制は。

○加藤委員長 体制のことですね。

○須藤委員 ええ。1行でも2行でも、一言でもいいのですが、そのことはどういうふうに読めますでしょうかということの確認です。もうここで修文をとか、そういう意味ではございませんので、その御指摘さえ頂ければよろしいかと思います。

○浄化槽推進室長 失礼いたします。御指摘については、10ページのなお書で触れているつもりございますけれども。

○須藤委員 この「積極的な情報の提供を行っていくべきである」というのは、これは国ですか。

○浄化槽推進室長 国、都道府県、関係団体等です。

○加藤委員長 おいては、市町村に対してですね。

○須藤委員 市町村に対してですね。

○加藤委員長 いずれにしても、当専門委員会の、また仕事ではあるとは思うのですね。そういうことをきちっと、何といいますか、後で皆さんから御承認いただいた後の御意見を頂きたいと思っているのですが、このビジョンを額縁に入れて飾ったってしようがないわけですね。仮にこれがどんなに立派なビジョンであったとしても、そうであることを願っているわけですが、額縁に飾っておいてもしようがないと。これをいかしていかなくちゃしようがないわけですね。それは、一方で、このビジョンを作成するに当たって、私ども専門委員会としてのまた責務でもあるのだろうと思うのです、これはフォローアップを見ていくということ自体もですね。そういう意味で、須藤委員が前からおっしゃっているのは、自治体のいろいろな。

○須藤委員 相談窓口。

○加藤委員長 相談窓口をやっていくというのをあれしてくれということですね。それに対しては、ここはここに聞けばいいですよというシングルの相談窓口は、ここには書かれてはいませんけれども、国とか民間団体、県、そういうところが情報提供などをしていけと、相談窓口になれと、そういう言い方じゃないですが。

○須藤委員 ビジョンですから、ただ、今後のところではもう少しその辺を具体化していく議論が必要なのかなという気がしておりますが、今の段階ですから、ここをどうしろということではないのですが、その辺の確認をちゃんとしておいていただきたいということで、これがこれからの推進していく上で非常に重要な問題で、委員長いつもおっしゃっているように、額縁ではないので、実行していくための効率的に推進していただけるような体制づくりを、やはり我々も提案をし、やっていかなければいけないのではないでしょうかということを申し上げておきたいので、修文してくださいという意味ではございません。

○加藤委員長 はい、わかりました。ありがとうございます。
 議事録にとどめて、また事務局も今の須藤先生の意に対して頑張ってもらうとともに、また私ども専門委員会の役割でもあると思うのですね、それを突っつくといいますかね。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、遠慮なく。

○新美委員 よろしいですか。

○加藤委員長 はい、新美先生。

○新美委員 これも中身ではないのですけれども、現状認識の4ページの(4)のところの、人口の減少及び高齢化の進展というのはいいんですが、もうちょっとアージェントであるというか、もう少し切羽詰まった状況にあるのではないかと私は考えているものですから、今後取り組むべきというよりも、正に人口減少とか高齢人口の急速な増加ということ、そういう認識があってもいいんじゃないかということと、それから「今後では」というような言い方ではなくて、できるだけ早くとか後れることなく、こういった状況に対応すべきだというような、少し、もう少し差し迫った事情がありますよということを書いた方がいいのではないかと思います。

○加藤委員長 なるほどね。すると、「今後」というよりも、むしろ早急に。

○新美委員 ええ、早急にとか。

○加藤委員長 このような状況に対応するというぐらいがいいのだという意味ですかね。
 実際、東京にいると余り感じないのですけれども、地方へ行くと、もう非常に大変な状況ですよね。早急にといっても、もう遅すぎるぐらいの状況ですよね、地方に行くとですね。
 ほかの委員の先生方、いかがでございましょうか。大体よろしいでしょうか、そのビジョンそのものとしては。
 河村先生、北尾先生、山本先生、ビジョンそのものの文言としては、大体これでよろしいというふうに理解してよろしいでしょうか。よろしいでしょうか。
 北尾先生、何か御発言ありますか。

○北尾委員 ごくささいな語句の程度のことは一、二あるのですけれども、それは書いたものは事務局の方へ渡しておきましたので、もうここでは申し上げないでおこうと思っておりますので。

○加藤委員長 はい。
 それでは、お休みの先生も含めて事務局の方から事前に送付し、意見も頂いておりますので、それでは少し時間が早いですが、ビジョンそのものについては、まずはこれでよろしいということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○加藤委員長 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどの「今後」という、4ページの「今後、このような状況に対応することが求められる」の「今後」というのが、「早急に」という字にかえると。事務局がちょいと面倒かもしれませんが、別に大した問題じゃないですから、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、こうやって、まずはビジョンとしては取りまとまったということで、何かこの段階で、部長さんの方からごあいさつなどありますか。あるいはその後でもいいですが。
 この後の予定としては、このビジョンをどうやっていかしていくか。それとあとこの2年余、委員の先生方、非常に真摯に、この浄化槽問題に取り組まれて、浄化槽の今後について何か一言ずつでも所見なり、このビジョンに即してでもいいし、ビジョンを離れてでもいいのですが、特にこのビジョンの使い方が、私は非常に重要だと思うのですね。繰り返し繰り返し申し上げていますように、いいビジョンはできましたと。額縁に入れて、床の間に飾りましたけれども、床の間をよく見たら足元はごみだらけとか、家の中はめちゃめちゃというのでは、これは意味を成さないわけで、私どもとしては専門委員会として、このビジョンをつくるのに当たって、専門的な立場で関与した人間として、このビジョンがやはり中央省庁、環境省はもとよりですけれども、関係する省庁ないしは地方公共団体それから関係諸団体、もちろんNPOなども含めて、ぜひこういう精神が隅々まで行きわたるといいなと。
 それには、更なる努力が必要だと思うんですが、そういったことを含めて、皆様方から何なりと御発言いただければと思いますが、順番で河村先生からテーブルを回っていっていただけますか。

○河村委員 こういうふうにビジョンはできたわけで、今後更に浄化槽の設置等を積極的にという片方の方向性というのは出たと思うのですけれども、実は私、建築センターの浄化槽の審査とか全浄協の審査等にもかかわっておるのですけれども、最近非常に審査案件というのが減っているわけですね。いろいろな理由があるかと思うのですけれども、やはりそういうことを見てみますと、少し研究開発というものが滞っているような気がしなくもないんですけれども、ここのビジョンの技術的な展開というところを見ると、恐らく従来のような感覚でのやり方でなく、もう少しこのビジョン等を踏まえたような、少しジャンプアップするような発想でのことが必要なのかと、そういう意味での引き金になればいいかなとは思っております。一つ感想です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、北尾先生。

○北尾委員 浄化槽というのは、かなり以前に、既に恒久的な社会資本という位置づけがなされているわけですが、恒久的とはいいながら、その地域に下水道ができると、それを撤去してつなぎ直さなきゃならないというジレンマがあるわけですね。その問題をどういうふうに今後解決を図っていくかということがなければ、やはり二重投資になるという不安というのがいつまでもつきまとうわけで、それでその問題は、今回のビジョンの中にはいろいろな関係があるので、所管の問題もあるので、そのまま盛り込むことはできなかったわけですけれども、やはりそれは今後に残された大きな課題ではないかというふうに思っております。
 よく引き合いに出されるのが、静岡県の製紙工場でちゃんとした排水の処理をしているのに、下水道ができて接続するかしないかということが訴訟問題になって、被告側が勝訴したというような実例もあるわけですから、やはり。

○加藤委員長 被告側というのは、この際はあれですか。

○北尾委員 工場側です。

○加藤委員長 工場側ですね。工場側が被告側で。

○北尾委員 はい。そういう実例もあるので、それは一朝一夕ではなかなか解決しない問題ではあると思いますが、やはり残された重い課題であるというふうに考えております。

○加藤委員長 なるほど。はい、ありがとうございます。
 須藤先生。

○須藤委員 この浄化槽ビジョンを策定するときには、年数は20年ぐらい考えたんですか。

○加藤委員長 大体そんな部長のお話で、15年から20年、2020年ぐらい、大体そんな感じですね。

○須藤委員 そうですよね。私、これから来年から、いつも同じことを申し上げていますが、京都議定書の第一約束期間に来年から入るわけですよね、2008年からね。この前の浄化槽の専門委員会以後も地球環境部会も開いて、いろいろなところの業界やら団体からのヒアリングをやってみますと、とても京都議定書の6%じゃなくて、それ以後の8%増えているものすら、どうも行けそうもないような、私がそんなことを言っちゃいけないのですけれども、行けそうもない雰囲気ですよね。そうなってきたときに、やはりCOの削減というのが非常に大きな課題になって、この浄化槽のビジョンとうまく組み合わせていただけないと、片方じゃ水はきれいになったけれども、またCO増えちゃったということがあってはいけないので、先ほど河村先生も言われていたのだけれども、やはり例えばバイオマスエナジーとか風力だとか、新エネルギーを浄化槽にどう導入するかというような、そういう分散型の地産地消のエネルギー問題をどう導入するかとか、新たな課題がやはりいっぱい出てくると思うのですね、そのために。ですから、私は、水はきれいにしなくちゃいけないし、川も取り戻さなきゃいけないのだけれども、一方では、温暖化の問題が非常に大きくのしかかってきているので、そういう意味で、CO問題とこの浄化槽のビジョンをうまく合体させて、両方がうまくいくようなところを、そのためにはやはり技術革新とか技術開発とかというのは必要だと思うのですね。そういう意味での叱咤激励も必要だし、この前、部長もおっしゃっていた浄化槽の方の研究が余り出てこないというようなお話もあったので、今から間に合うのかどうか知りませんけれども、浄化槽の研究がそういう方面から、水質の改善だけじゃなくて、そういう面からの改善というか努力が必要かなと思うのが1点です。
 それから2点目は、ほかの雑誌でもちょっと、お隣にいる北尾先生とも御一緒に、これからの浄化槽の在り方みたいな座談会に参加させていただいたのですが、そのときにも話題になったのですが、やはり浄化槽分野の若手の人材が育っていないのではなかろうかと。もっと人材の育成を、ここには少し書いてありますけれども、具体的にやっていかないと、浄化槽専門委員がずっと我々が続くようではいけないので、もうぐっと若手に専門家を養成していかないといけないので、それはもう意識的にそれはやらないといけない時代ではなかろうかなと思うのです。私は浄化槽の技術というのは、全部が100%の生活排水処理が普及すれば終わったわけではなくて、更新の問題もあるし商業排水との総合処理みたいな問題もありますし、まあ、うん十年は続くのではないでしょうか。
 そういう意味では、まだまだこの分野には技術者がどんどん、あるいは研究者がどんどん育っていってもいいのではなかろうかなというふうに思いますので、ぜひそういう技術開発あるいは研究開発の部分での育成を、環境省も含めて意識的にやっていただかないと、例えば次、浄化槽専門委員会を開いたら、また同じメンバーだったということがないような状況をつくっていただきたいと、こういうふうに思います。

○加藤委員長 なるほど。どうもありがとうございました。
 正に温暖化の問題、温暖化との関連ですね。これは浄化槽に限らず廃棄物もそうですよね。

○須藤委員 そうです、同じです。

○加藤委員長 実は、国の行政機構も、地方も大体そうなのですが、温暖化を担当している部局と、それから廃棄物なり浄化槽なり担当している部局がまた違うものですので、例えば県なんかに行くと同じ環境部の中にあっても、片や温暖化対策課であり、片や廃棄物対策課であって違って、なかなかそこは温暖化対策とごみなり浄化槽なり、この連携がなかなかつきにくいんですが、御存じのとおり、私自身も温暖化に重大な関心を寄せ続けておるわけですが、たまたま須藤先生、中央環境審議会の温暖化の方の部会長さんもしていらっしゃるということで、この問題を今つなげてくださったのは非常に今といいますか、この中でも須藤先生が相当強調されて、このビジョンの中にもそのことを触れられましたけれども、その点は非常に大事な点だと思いますね、確かに。
 8%、プラス8になっているのを下げるのすら大変だというような状況では、これは大変なことですよね。京都議定書というのは法的拘束力がありますので、単なる目標じゃありませんので、2012年の段階になって、なお達成していないとすれば、これはもうロシアから買ってくるかどこかから買ってくるか知りませんけれども、買ってきて埋めなくちゃいかんわけですよね。それだけの責務あることですので、今年、来年あたりから本気になって取り組まざるを得なくなってくると思いますから、正におっしゃったようなことになるだろうと思います。
 それから、若手の問題も、これもまた非常に重要ですね。私は、大学で浄化槽教育がどういうふうになされているのか、率直に言って、私自身は全く知らないのですけれども、正に須藤先生おっしゃるように、若手が育っていかなくちゃいけない。これは全くそのとおりですね。是非、そういうことを関係者全員でもって、意識して正にやらなくちゃいけないかなというふうに思いました。どうも貴重な意見ありがとうございました。
 新美先生、いかがでしょうか。

○新美委員 私は今、須藤先生を始め技術的なことをおっしゃったのは全く同感なのですが、今度は受け入れる側ですね。浄化槽というのは、やはり個々の人が設置するかどうかという決心をしないとできないという仕組みですので、そういった受け入れる側に対する単なる情報提供ではなくて、もう少しシステム的に浄化槽というものの特質が伝わるような仕組みを考えていいのではないかと思います。
 いろいろな人と話しますと、浄化槽というと、ほとんどの人が単独浄化槽ぐらいしか頭に浮かべない。合併処理ができるということについて十分な知識を持っていない人が、どうも多いような気がするわけです。ですから、そういう中で浄化槽の利点がありますよということだけですと、これは単独浄化槽でいいじゃないかということにもなりそうなので、もう少し市民の一般の人に対して浄化槽というものが何なのか、従来の単独浄化槽とは違いますよということをまず認識してもらう。そして、どんな利点があるかということを伝えることが必要だろうと思います。
 それから、もう一つは、これはちょっと違った次元になりますが、市民の皆さんが、浄化槽について、環境についての認識を高めるというためには、可視化しなければ、なかなか認識が高まるということはないと思うのですね。これはもう随分古いのですが、例えば四日市の大気汚染のときに、四日市の市民の皆さんがどういうことで大気汚染について危機感を抱いたかというと、SOの簡易測定器、軒下にぶら下げておけば色が変わるというような、本当に簡単な測定器を各戸に配って、大気汚染の状況が可視化できたということで、急速に環境意識が高まったという経験があるわけです。ですから、浄化槽についても水処理がどの程度水がきれいになるかということをきちんと可視化できるといいのかなと思います。
 それから、もう一つは、同じような可視化ということになりますと、これは必ずしも全体でうまくいくかどうかわかりませんが、須藤先生おっしゃったように浄化槽というものを考えたときに、やはりエネルギーを使うということもきちんと可視化させる必要があるし、そういうこともメッセージとしてきちんと伝わるようなことも考えていった方がいいのではないかと思います。これはどちらかというと、浄化槽の性能を高めるという技術よりも、一般の人が使ってわかりやすくするための技術開発だということにもなるかと思いますが、ぜひその辺も今後、検討課題に挙げていったらいいのかなと思います。ビジョンそのものが、浄化槽の利点をクリアにしただけに、どこまで市民の人にそれを理解してもらえるようにするかということが大事だろうと思います。
 以上です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 正に新美先生おっしゃるように、ユーザーによく理解してもらえて、そのためにはユーザーが理解しやすいような、例えば可視化することとか、そういうことが非常に重要だというのは全くそのとおりだと思います。
 このビジョンの中にもかなりそういう視点が入れられたんじゃないかなというふうに思っておりますが、今の新美先生の御発言、正に受けて、しっかり頑張ってもらいたいなというふうに思っております。ありがとうございました。
 山本先生、いかがでしょうか。

○山本委員 それぞれの委員の先生方の御意見、私もそうだろうと思って聴いておりました。最後に今後のこのビジョンについて、これは浄化槽のビジョンですね。前にも一度申し上げたかもしれませんが、ビジョンという中で、例えば水循環ならばあると思うのですね。関係省庁が合わさって、ある程度そういうものを議論していく。大きなものはある。それから、こういう浄化槽ビジョンという個別的なものもあると。何が抜けているかなと思うと、例えば下水道、浄化槽とか、いろいろそういう社会資本系のもののビジョンとして、まとまったものがないのだと思うのですよね。ですから、その辺のところを、これは浄化槽の在り方に関する浄化槽ビジョンですが、今後の水システムの在り方に関する水システムビジョンのようなものを、関係省庁が集まって、社会資本ですので、今後やはりこの既存の社会資本をどう有効活用するかとしても非常に重要だと思いますので、この整備と、更新を迎えた社会資本の活用の仕方、無駄をなくす、そういうことも含めて水システムのビジョンという中程度のビジョンでしょうか、小規模なビジョンと大きなビジョンとの中を取り持つビジョンといいますか、それが具体的には非常に重要なビジョンになると思うんですね。その辺のところを作りましょうというところを呼びかけていただければ大変ありがたいなと、そういうふうに思います。

○加藤委員長 なるほど。ありがとうございました。
 確かに水は、水処理というのは、よく言われる話ですが、言い古されている話でありますけれども、役所の縦割りとの系統の中でなされていますよね。一口で言えば公共下水道は国土交通省系統、農業集落排水は農林水産省系と、そしてこの浄化槽は、かつて厚生省、そして今、環境省と、こういう具合になってきていて、本来ならシステムそのものは、水処理システムそのものは大体、おおむね生物処理といいますか、システムの原理そのものは何ら変わらないのですが、行政の仕組み、そして特に、なかんずく補助金の制度との絡みで分割されてきていたと。
 経済がどんどん右肩上がりで上がっていて、人口も増えている段階なら、そういったものも支えることができたんだけれども、日本全体としても人口が下降傾向に入ってきて、特に地方はもうはるかに以前からそういう状況になってきているということで、今、山本先生おっしゃったように水関係の社会資本、インフラをどう整備していくかというのは非常に重要な問題で、これは北尾先生がお触れになった、下水道区域の中に合併処理浄化槽があったときに、その問題をどうするか、接続を強制させられるのかどうなのかという問題が大きな問題として残っているというふうにおっしゃいましたけれども、正にそれとも絡む非常に重要な問題だろうと思いますね。
 私がかつて役所にいたころは、結構、縦割り行政が非常に厳しくて、最近になって厳しいとは思うのですが、最近はさすがに、少し合同委員会みたいなものが開かれるようになりましたね。例えば須藤さんがやっていらっしゃる温暖化なんかも、経済産業省と一緒に合同委員会を開いてやるというようなこともやる。そういう意味でいくと、この水処理のシステムをめぐる合同委員会みたいなものもつくってやっていくというのも一つかもしれませんね。それはどういうふうな力学がどういうふうに働くかは別として、私はそれは存じませんけれども、そういう知恵があってもいいのではないか。そうじゃないと、なかなかそれぞれの役所がそれぞれの主張だけしていたのでは、正に山本先生おっしゃるように、二重投資、三重投資になりかねないし、第一、維持管理ができなくなっちゃう。そういう問題がありますので、大事な御意見だったと思います。ありがとうございました。

○須藤委員 すみません。よろしいですか。

○加藤委員長 はい。

○須藤委員 今の山本先生の御意見も私も普段から考えていることで、大変よろしいので、できれば本当はこういう中に入ってほしかったのだけれども、推進体制ぐらいのところに若干その文章はいきているから、私はそれで、浄化槽ビジョンではこれでしようがないかなと思ったんだけれども、何か今の先生もおっしゃったことをいかせる方策、この文章でなくていいのですよ。方策、附帯意見なのか、あるいは何とか、省庁協議なのか知りませんけれども、これは中央環境審議会の廃・リ部会の専門委員会ですよね。この文章、後で手続のことはお伺いしますが、これが中央環境審議会、これは諮問されているわけじゃないから答申ではないですよね。

○加藤委員長 ええ。

○須藤委員 これを反映させることと、それから今の山本先生のような御意見を、ここで非常に大事な御意見なので、どういうふうに、例えば中央環境審議会でよその審議会に言うというわけにもなかなか、温暖化だったら言えるのだけれども、ちょっと浄化槽の話からは言えないと思うんだけれども、今のような話がどういうふうに進めばできるのかだけ教えてください。この意見とは全然、これを変えてくださいという意味ではございません。

○加藤委員長 はい。

○浄化槽推進室長 前回までの専門委員会でも御紹介いたしましたが、汚水処理人口普及率に関する目標等については、協議して共通の数値を用いているところでございます。また、汚水処理施設の整備等に係る関係省連絡会議を開催して、都道府県構想の策定に関する助言等を行っているところでございます。

○加藤委員長 須藤先生の御意見というのは、もうちょっと中環審レベルとか、そういったところでということ、それは手続的にはどうなるのかとかですね。

○須藤委員 そうです。

○加藤委員長 私も手続の問題は全く、今もってどうなっているのかわかりません。後で部長さんのごあいさつが予定されていますので、そのときにでも少し触れていただければと思いますけれども。
 確かに、このビジョンは諮問を受けてビジョンをつくったということではないわけですよね。私どもとして、この専門委員会として、この浄化槽の世界といいますか、浄化槽がこれまでも営々として発展をしてきたことは間違いなくて、しかも質も非常によくなってきて、日本でも使われるし、専門家レベルだけで言えば世界でも少し注目されてきていると。私なんか、こんないいものが日本だけで終わるはずがないと。これはもう当然、どこでも、どこの国でも使える技術であると。技術といいますか、システムであるというふうに思っておりますけれども、そういうことも含めて、こういうものが出てきたわけですが、それはそうは言いながら、もっと先生がお触れになられて、また今、須藤先生がレクをしてくだったように、確かに現実の世界を見ると、やはり下水道だ、やれ農業集落排水だ、浄化槽だといって、なかなか普及が難しいと。普及にいろいろな問題を抱えていると。しかも、繰り返しで恐縮ですが、維持管理が非常に厳しくなってきたときに、財政的に非常に厳しくなってきたときに、その問題というのは避けて通れない問題になりつつあるということで、今、室長の方から御説明のあった事務的な、そういった調整努力はさることながら、多分、須藤先生の言いたいのは、もうちょっと高いレベルで検討もすべきじゃないかということだと思うんですね。私も、多分それが必要な時期に来つつあるなというふうに思っております。
 ほかに何か、委員の先生方から何か。どうぞ、北尾先生。

○北尾委員 先ほど浄化槽においても温暖化対策だけではないかもしれません。当然ランニングコストの問題もあると思うので、省エネルギーというのは非常に大事だという御指摘があって、私はもう全く賛成なのですけれども、ところがこういう布石でだったら、そういう話はすっと通るんですけれども、地方の行政の末端へ行くと、放流水のBODが20なら20というものが金科玉条でして、これのためなら、これを守るためなら幾らエネルギーが多量に消費されても、もうとにかくBOD20を超えるものが5%でも10%でもあったら、もうけしからんというような雰囲気が強いわけなのですね。
 ですから、だからといって20を超えていいというようなことはもちろん言えないでしょうけれども、当然エネルギーの問題というものは、ある程度考えると、そちらに幾分かの影響は出てくるということは当然考えられるわけですから、その辺をやはり中央行政の方で何か通達なりそういうものが出せないというのはわかるんですけれども、何かそういう雰囲気づくりをしていただかないと、まして今回20というのが法律的にもオーソライズされたわけですから、余計それが金科玉条になる危険性があるというふうに私には思われてならないので。

○加藤委員長 現実にそういう懸念するようなことがあるのですか。

○北尾委員 ええ。要するに水質の調査をやって、それを達成している率が低いとか高いとかいうだけで、いろいろな議論がされているし、あるいは地方のレベルでそれに関していろいろな指導が行われているというようなこともあるわけですね。その当たり、何しろ浄化槽というのは、いろいろな使われ方をする性質のものですから、100%というのはあり得ないわけですね。どうしたって人間のやることですから、その辺とそういう浄化槽が具備すべき他の要件とどういうふうにマッチングさせるかというのは、非常に難しい問題だというふうに思いますので、ただ単に省エネルギーが大事だと言っているだけでは、全く進まないのではないかというふうに懸念しています。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 北尾先生の御発言の中にももちろんございましたけれども、須藤先生がおっしゃるのは、もちろん省エネルギーさえやればいいということを言っているわけじゃ、もちろんさらさらないと。それは、もちろん北尾先生も十分御存じの点で、確かにその点は気をつけなくちゃいかんかなとは思いますね。
 ほかに委員の先生方で、何かちょっと言い落としたとか、この際、別に専門委員会がこれで終了するという意味じゃございません。ビジョンの審議は一たん終了しますけれども、専門委員会自体は今後とも続くということですので、それはメンバーがそのうちしかるべき、須藤先生おっしゃるように若手、若手に変わっていかなくちゃいけない、それはもう全くそのとおりでありますけれども、専門委員会自体は続きますので、専門委員会の終了という意味ではございませんが、よろしいでしょうか。
 そうしたら、委員の先生方から大体、このビジョンも少し離れて自由な御意見も頂きましたところで、大体終了に近くなってきたんですが、部長さん、今までの委員の先生方の御発言も関連して、ごあいさつでも頂ければと思います。

○廃棄物・リサイクル対策部長 どうもありがとうございました。
 今日第24回目という専門委員会で、18年度で第10回目ということであります。浄化槽ビジョンにつきまして、今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」ということで取りまとめていただきまして、ありがとうございました。委員長を始め、委員の皆様方には大変な御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
 この浄化槽専門委員会に関しましては、浄化槽法の改正を受けまして、政省令事項をつくるということ等から始まりまして、一たんその作業、役割を果たしていただきました上で、今回の新しい時代の浄化槽ビジョンをということで、ここに関しましては、私の方から特に3省の汚水処理交付金というものができたということを申し上げましたが、その中で浄化槽の予算も、下水道予算も、集落排水事業の予算も1か所に内閣府に拠出いたしまして、これは自由に選択をして、一緒の予算になりますから、その中で自治体の皆さんがどれを選択してもよいということで、当然つくりましたときには浄化槽が相当有利になるのではなかろうかと、専らの観測もありましたし、私ども関係者も大いに期待したわけでありますが、もう既にお話ししましたとおりの状況でありまして、相当私どももショックを受けたわけであります。
 浄化槽の一つの流れとしまして、いわゆる浄化槽法が昭和58年に制定をされたわけであります。これは従来の、主として浄化槽が単独処理浄化槽の時代に、一定の統一的な規制をかける取扱いをするというふうなことからでき上がった議員立法でできた法律でありますが、それと併せまして、この浄化槽法の施行と合わせるかのごとき、この浄化槽設置整備事業ということで、合併処理浄化槽というものを世の中に普及させようではないかという事業が試みられました。
 それから、もう随分になるわけでありますが、予算額にしましても1億円で始まったものが、現在規模的には260億円程度の規模でありますから、大いなる進展をしております。その間、平成12年には、合併処理浄化槽のことを浄化槽というふうに浄化槽法も変わり、先般の浄化槽法改正では、法の目的に公共水域の保全というふうなことも目的に入れまして、法律全体を合併処理浄化槽時代に合わせたと、こういう進展を見たわけでありまして、ある意味では自信を持って汚水処理の下水道、浄化槽、それから農業集落排水でも、自治体の皆さんに自由に選択してもらおうと、こういうことで当然、今後整備の中心になりますのは中山間地ということでありますから、普通、下水道側の人が見る以上に浄化槽が有利なのではないかというふうに多くの人間が考えるのもおかしくない事態でありますが、実はなかなかそこのところがうまくいっていないのではないかというのが私の思いでありました。
 そこで、ちょうどこの一連の施策を制度改正から展開する中で、特に今回専門委員会の委員の先生方には、かつてから浄化槽に対する知見を持っていただいて、したがいまして、何だ昔から集まったメンバーと似たようなメンバーが集まっておるではないかという御批判がありまして、若手を育てているのかということでありましたが、特に、その先生を中心としまして、ほかに制度づくり、あるいはさまざまな分野の専門家の先生にお入りいただきまして御議論をいただいたということであります。浄化槽に関して若手の研究者がどこにいるのだと、私は実は省内の中でちょっと言っていまして、探してこいと言ったのですが、なかなかだれも育成してくれていないぞという、大学はどうなっているのだとか、そんなふうな議論も中でしておったようなことがございます。
 今回、大変、おい、これはどうすればいいんだというふうなことで、実は私どもの方が大変この問題は危機感を持っておるようなぐらいのところであります。それはどういうことであろうかといいますと、実は浄化槽に関しては、知るべき人に関しては、この浄化槽というものが大変小型で処理性能がよくて威力を発揮してと、こういうことはもう専門家の方々あるいは専門のお仕事をしていらっしゃる方々は、もう百も承知ということで、改めて私もそこは大丈夫なのでしょうかと先生方に、念には念をとお尋ねするような場面もあったんですが、そういうグループの中では百も承知と。ところが、その一般の人たちが、果たしてそれほどいいものがあるのだったら、おお、浄化槽もっと活用しようではないかというような、ある種のうねりというものがだれか感じたことがあるんだろうかというと、どうもそこがそうではないのではないかというようなことを私も感じたわけでありまして、しからばということで、この議論を進めてきていただきました。
 今回、NGOの方々もたくさん、このヒアリングに参加していただいておりますし、それから市町村の方からも聴く機会もあったわけであります。その上で、やるべきことはたくさんあると思いますが、まずいわゆる足場がしっかりしているのだろうかということであります。問題は、いわゆる下水道、浄化槽、集排という、この三つの手法に関して、三つの役所でさまざまな場面で議論をしながら、こういう将来の整備の在り方のようなものもたくさん議論をしてきております。今後とも、中央環境審議会にも水の部会、須藤先生も御関係の深い分野でありますが、部会もございます。当然、水質汚濁防止法の中にも「生活排水対策」という1章もございますし、さてどう進めていくのだということの根っこもあるので、そちらの方に申し入れることもやぶさかではございません。ただ、今のままやりますと、浄化槽というものが果たして根っこからこれで将来も絶対大丈夫と、こういうことでやっていけるというようなことが、果たして自信を持って展開できるのだろうかという、そこがない以上、そのような議論をしてずっこけやしないかと、こういう心配も随分あったわけでございますが、今回さまざまな関係者からのお話の上で、皆さんのいろいろな御判断をまとめていただきました。
 一つは、まずはその各中山間地、今後中心になるわけですが、そういうところで私はよくお話を聞いた町長さんあたりに、もう全部、自分の町は合併浄化槽でいくのだと、はっきりそう決めていらっしゃる町長さん、何人かいらっしゃいます。お話も聴きました。非常にすっきり言われております。ただ、残るのは最後に、確かにもう既に設置してある単独浄化槽があるよなと。あれは、ちょっとあと残るけれども後回しだというようなことをおっしゃられた町長さんもいらっしゃいました。ただ、下水道との組合せをしているというようなところは、なかなか悩ましい状態の方が多うございまして、まずは下水道を造るところを縮小してでも確定して、あとのところを農集排にして、その他のところを浄化槽で、これは出てくる人だけを対象にして補助金を出しておったらいいかなと、ここはそういうものでいいよねというようなことをおっしゃられた方もいらっしゃいました。
 そういう意味では、いわゆる合併処理浄化槽というものが、ある地域に整備することがより適切で、どの観点から見てもそのはずではないか、維持管理という観点から見ても、さまざまな観点から見ても、少子高齢化ということも言われておりますし、当然ではないかというところですら選択されないということは、一体全体どうなのだろうか。我々の方に何か欠陥があるのではなかろうかということも思いまして、いろいろまとめていただきまして、特に一番大きな問題は、やはり単独処理浄化槽があるということが、なかなかここにも書かれておりますが、地域の人たちの公平の問題として、なかなか普通の水処理という観点からのみ見るのではなくして、特に市町村とかいうふうな、自治体という、いわゆる公平性を重んずる立場の行政体からはかなり重い事項だということも、何となくヒアリングあるいはその他の関係で聴いている間に私も承知をしてまいりました。
 今回、これに対する答も少し出していただきながら、私どももその要請を受けて予算要求にも取り組んでまいりました。予算要求の中で、このビジョンと関連しておりますのは、当然この審議をやりながら予算要求をさせていただきました。単独処理浄化槽の撤去に関する整備というのを20年、ここさかのぼること20年以内に造ったようなものに関しては、ここを撤去費に対して支援をしていこうということも概算要求といいますか、今回の政府原案の中に含まれております。
 それから、一つは、じゃあこういうふうな人たちに対して、適切な助言を与えるというふうなことで、環境省のホームページをしっかりとしていくとか、あるいは今日国安さん来られておりませんが、教育センターの方のホームページをしっかりしていただくとか、あるいはその他の関係の皆さんのところのホームページなどをしっかりして、インターネット時代に呼応して情報発信して、「浄化槽」と検索すれば、あるいは「合併浄化槽」でもいいのですが、いろいろなものがわかると、こういうことも整備をすることも当然のことながら、非常に重要なのは、マン・ツー・マンで地域の人に語りかけていくというシステムが、実は浄化槽のシステムの中には関係業界もございますが、それ以外に指定検査機関というものがあるわけであります。検査員の方が既にたくさんいらっしゃるわけでありまして、浄化槽のプロとしての知識を持っていらっしゃいます。当然この人たちを再度教育することによりまして、地球温暖化のことも当然念頭に置くことができるのでありましょうし、ブロアだって大きすぎるものを付ける必要はないわけであります。そんなふうなこともかんがみれば、浄化槽を通じて少しでも温暖化に貢献をしていくということも、先生方おっしゃるとおり当然のことでありますし、いわゆる足元から行動しながら地球的に考えるということは、よく加藤委員長が昔かな、おっしゃられたことでもありますし、そのようなことにしていけるのではないかと。
 この適切な助言を地域できっちりと、マン・ツー・マン、フェース・ツー・フェースでやっていきながら、いろいろな情報を整備していくと、こういうことが重要なことではないかと思っておりますし、一方で、そこは実際に、お一人お一人が考えていただくための場面ということでありますが、そういうものを盛り上げていく一つの地域の盛り上がりというものが、実はこの水の分野でかつて以上に若干残念ながら欠けておるのではないかと。かつてはいろいろな運動で、湖沼も中心にそうでありますが、河川でも随分田舎の方に行きましても、三角コーナーの中にちゃんと雑排水もそういうことをやっていこうと、ろ過してやっていこうというような運動もたくさんありましたし、石けんを使おうという運動もありまして、今は廃油なんぞは集めまして、油はバイオディーゼルに使うとか、こういう時代になっておりますが、昔は大体石けんに使って洗剤を少しでも減らそうと、こんなこともあったわけでありますが、盛り上がりが今もう一つという感じもしなくはございません。それが本当にそれでいいのであればいいのでありますが、役所としても何か、そういうことをお手伝いしながら、そういうところのバックアップを少しでもできて、本来そのような運動が起こるべきところが、何かの原因で低下しているのであれば、少しバックアップすると、このような予算措置も少しNGOに対する、本当にわずかでありますが、刺激を与えさせていただくような予算も今回盛り込ませていただきました。
 したがいまして、新しい予算を通じまして、我が国の浄化槽、中核になるような地域から、だんだんそういう浄化槽の区域を拡大していくと、こういうふうなことも戦略の一つとして、我が国の浄化槽をしっかりしたものとして位置づけられたらと思っておりますし、これからは受け取ります私どもの役回りということになりますが、この専門委員会の報告に関しましては、今後、親の方の廃棄物・リサイクル部会の方で浄化槽専門委員会報告ということで報告をしていただきまして、これをお役所として参考とするといいますか、これを指針に致しまして、今申し上げたような予算と連動いたしましてさまざまなことを進めていくと、こんなふうになるのではないかと思っております。
 それから、こういうことを通じまして、浄化槽の問題が国民的な関心が高まれば、おのずとこれはだれがどうやっていくのかわかりませんが、若手の研究者もそれなりに登場してくるのでないかというような気も致しますし、それから特に外国に対しまして、この浄化槽というものはこんなにすばらしいんだよということを言っていこうと思えば、日本の国の足元がしっかりとしていない限り、なかなか主張しても浄化槽、特に、3Rイニシアチブの3月のG8を中心とする20か国の会議でも、先般10月のアジアの会議でも、浄化槽のモデルを並べまして少し解説をしていただく人を置いてやってみたんですが、これは大変な人気でした。皆さん、もう何だこれはということで大変人気だったのですが、その人気の割には、なかなか外国で売ろうとしているメーカーの人もなかなかうまく行かないというようなことであります。これは、システム全体として、我が国としてしっかりとした形で、だれからつつかれても、なるほどこうだというようなシステムとして、我が国で定着させることも基本的には重要だと思っておりまして、それと併せて海外への展開というふうなことができるのではないかと思っております。
 さらに、そういう定着と併せまして、この浄化槽汚泥というのは、正にバイオマスということであります。これらをコンポストというふうなことにしていくのか、あるいはまたバイオマスということで、カーボンニュートラルのようなものとして今後考えていくというふうなことになるのか、この辺も視野に入れながら、これらの汚泥のリサイクルということもございます。こういうもので完結しながら、浄化槽というものはこんなにすばらしいのだというものを、試行錯誤をやりながら、今後展開していければと思っております。
 この取りまとめていただきまして、新しい来年度予算と、この浄化槽ビジョンと併せまして、さまざまなことが今後浄化槽には求められていると思いますし、進めていかねばならぬと思っております。また、先生方にもそれぞれのお立場で、ぜひとも御尽力、御協力を頂ければと思っております。
 どうも大変、いろいろと取りまとめをありがとうございました。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 諸先生方、そして今の由田部長さんのお話にもありました。もう繰り返す必要はないと思います。浄化槽について、私、委員長としての立場から見ても、浄化槽が現時点で抱えている問題の整理、そして今後発展すべき方向性といいますか、そういったものはきちっと出たかなというふうに思っております。
 今、部長さんのお話にもありましたように、浄化槽は非常に優れた生活排水処理施設として、いわゆる下水道などに決して遜色のない立派なシステム。これは、まだまだそういう認識が、残念ながら十分に共有されてはいないわけですが、そういった努力をすべきだということを、繰り返しこの専門委員会でも指摘をされまして、役所自身も、私も幾つか参加していますけれども、あちこちでタウンミーティングだとか首長さんに対するレクチャー、あるいは市会議員さんとか町会議員さんとか、そういった市町村の予算を決めたりする方々に対するいろいろな啓蒙活動も一生懸命やっていらっしゃるようですが、今度はこのビジョンができましたので、このビジョンに基づいて、更に強力に説得活動みたいなことを続けてもらいたいなと思います。
 それから、私自身も非常に個人的に関心を持っていますけれども、こんないい浄化槽が海外で使われないはずがないと。繰り返して恐縮ですけれども、カラオケにしても、それこそインスタントラーメンにしても回転ずしにしても、よければみんなが海外の人が当然使うと。ただ、残念ながら、カラオケとかインスタントラーメンの場合にはだれでもすぐにわかるのですが、浄化槽というのはだれでもすぐにわかるようになっていないものですから、なかなか普及はしていませんけれども、これだってもうちょっと時間をかければ当然ながら進んでいくと。日本でやっているような、そのままのやり方で進むとは私も思いませんけれども、またそうであってもいけないとは思いますが、いずれにしても分散型の仕組みとして、非常に分散型の処理システムであり、かつ同時に再利用できるシステム、きれいな水をつくる能力のある浄水機能といいますか、そういったものを十分に有したシステムとして、これから地球温暖化時代で雨の降り方、降らなさ方が非常に顕著になっていく世界で大いに活用できるというふうに思っておりまして、そういうことももちろん、このビジョンがきちっと触れておりますので、いいのかなというふうに思っております。
 このビジョンの検討に入って、今回が11回目だそうでありますけれども、長いこと本当にありがとうございました。それから、特に私はオーディエンスと言いますか、オブザーバーとして御出席の皆様に対しても、心より感謝と敬意を表したいと思います。私がさっと見ただけでも、毎回御出席の方々が何人も少なからずいらっしゃいます。非常に委員の先生同様あるいはそれ以上に熱い思いで、この専門委員会の議論を聞いていただいた皆様に対しても、心から敬意を表したいと思います。
 この専門委員会の先生方それから役所の方、業界の方、NGOの方、みんなが浄化槽というものをかついでいければいいなと。そういうかついでいく一つのベースとして、このビジョンが使われればいいなと。また、是非そういうふうに使っていただきたい。先ほど部長さんが、このビジョンができるに先立って、もう既に予算措置、できることは予算措置である程度しておると。ある程度といいますか、頑張ってしてくださったということですが、このビジョンが出た暁では、更にやっていただきたいと思いますし、山本先生や須藤先生からも出ましたように、少し高い段階でも、汚水処理の社会インフラとしての整合性のある推進、そういったものにもまた活用していただければと存じます。
 それでは、予定時間よりも今日は少し、少しといいますか、かなり早いですけれども、これでもって終えたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうも長いことありがとうございました。

午前11時15分 閉会