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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第22回浄化槽専門委員会議事録

平成18年12月14日

午前 9時59分 開会

○浄化槽推進室長 失礼いたします。
 定刻になりましたので、ただ今から第22回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。
 「浄化槽ビジョンに関する基本的考え方について」という資料が1種類、「浄化槽ビジョンに盛り込むことが考えられる事項について」という資料が2種類及び参考資料がございます。資料の不足がございましたら、お申し付けください。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 どうもおはようございます。
 環境省は暖房をしていないと新聞で見ましたので、寒いかなと思ってセーターを着込んできましたら、あったかいと。聞いてみたら、ここは下の方に厚生労働省などがあって、多分厚生労働省が大家さんなのだそうですけれども、そちらの方は普通どおり暖房しているから、やはり余計でもってあったかいのだそうであります。非常に心配するほどのことはなくて、むしろ私などもう、上着を脱がなくちゃいかんなというふうに思っているところです。
 さて、今日は浄化槽ビジョン、今後の浄化槽の在り方について御検討いただきます。もし可能ならば年内もう1回予定していますけれども、そして、もし、もちろん拙速はよくないですから、必要ならば1月に及んでも、そのくらいの期間には是非上げたいというふうに思っております。その辺のところは、別に拙速で行くのは決していいことではありませんので、あえてこだわりませんけれども、大体そのくらいのタイムフレームで、今回を入れて2回ないし3回ぐらいでというふうに思っております。
 それでは、早速事務局の方から、その材料、ビジョンにほぼ近いものの材料が出てきたようですので、事務局の方から御説明願います。

○浄化槽推進室長 失礼いたします。
 まず「浄化槽ビジョンに関する基本的考え方について」でございます。
 これまで御議論いただいたとおり、浄化槽行政が相当の前進を見ている一方、環境行政全般の動向や社会状況の変化を考えますと、浄化槽については更なる可能性があると考えられますが、浄化槽の普及は十分に進んでいるとはいえないことから、この普及が最も重要な課題であると考えられます。
 また、浄化槽の普及については、浄化槽整備区域を積極的に設定いただくこと及び住民参画が十分に行われることが必要であると考えられます。
 さらに、浄化槽の普及を軸として、環境保全上健全な水循環の構築並びに循環型社会及び脱温暖化社会の形成という持続的発展が可能な社会の構築、技術開発、海外展開を考えてはどうかと整理することができるのではないかと思います。
 次に、「浄化槽ビジョンに盛り込むことが考えられる事項について」のうち図によるものについては、前回の委員会においてこれまでの主な意見をまとめて配布いたしましたところ、整理がわかりにくいという御発言がございましたことから、これらを類似のものごとに大くくりいたしましたものでございます。
 最後に、「「浄化槽ビジョン」に盛り込むことが考えられる事項について」のうち文によるものについは、前回配布した資料について前述の整理と対応するように順序を変更するなどの修正を施したものでございます。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。大変御苦労様でした。
 当委員会も今日で22回、随分やってきたなという、短い時間でやってきたなというふうに思います。振り返ってみると、最初の段階では、とにかく法律が変わりましたと。法律が変わって、環境、公共水域の水質の保全というのが浄化槽の目的に入りましたと。それに関連して排水基準、水を確保する基準をどうやって設定したらいいかと。そういうことで、まず専門委員会が始まりまして、BODの基準とかそういったものを出したりしてきました。
 そして、その後、浄化槽の維持管理の問題が今いろいろとありますので、これは古くからずっとあるわけですが、それについての一応の考え方を取りまとめで出したと。そして、その後、この半年ぐらい、浄化槽を取り巻く社会状況の変化、そしてそういう中で浄化槽というのは今後どういう方向で力を出していくべきかと。それを由田部長さんの言う浄化槽ビジョンというものをつくってくれないかと、こういうことで私どもやってまいりまして、今、松原室長から御説明がありましたような大体の見取り図ができました。
 見取り図だけじゃなくて文章もあるのですけれども、この文章は、前回諸先生方の御意見、それから私どもがこの専門委員会として伺ったヒアリングから出てきたお考え、お言葉、そういったものをこの中に取り入れていますので、これはこれでまたきちっと見なくちゃいけませんが、取りあえず先生方に、今日、今、室長の方から御説明のあったこの1、2枚の紙について、大体先生方のイメージがカバーされているかどうか、あるいはカバーされていたとしても濃淡が大丈夫かとか、そのほか、「あれ、これがビジョンなの」とか何でも、「いや、これは結構ですね」とか、どういう御意見でも結構ですが、まず総括的な、余り細部に入る前に御議論いただければと思います。
 では、須藤先生、どうぞ。

○須藤委員 どうも最初の質問というか、意見で申しわけございません。
 それでは、最初に意見を申し上げる失礼を、どうぞお許しください。

○加藤委員長 いえ、どうぞ、どうぞ。

○須藤委員 いつも同じようなことばかり言うこともあるかもしれませんけれども、まずは全体として、ここの議論を踏まえてどう整理されたということであるならば、私は十分に盛り込まれているということで、これでよろしいのだろうと思うのです、ただここに出すキーワードとか並び方というのも私は大事だと思うのですよね。
 やはり今、社会とか環境を取り巻く一番重要な、循環型というか「脱温暖化・循環型社会」だと思うのですね。そういうことを踏まえると、例えばそれを踏まえて健全な水循環になりますよね。ですから、この基本的考え方についてだったら最初にそっちが来るとか、それから次の今後の課題のところも―浄化槽を取り巻く状況も、恐らくこれはどういうふうに並べたかよくわかりませんけれども、真ん中ぐらいのところが浄化槽のことに直接的なことがあるのがいいのかなと思って、その周囲に大きな環境問題あるいは人口減少社会問題とかは右に来ているのはいいのですが、この並べ方をもう少し論理的にまとめた方がいいのではないかなという印象を持ちましたということ。
 それから、循環型社会というのと、それから脱温暖化社会というのは、部分的に似ているのだけれども結構違うのですよね。ですから、やはりもし書くならば「脱温暖化・循環型社会」とか、その方が、今のこの時期に至っては適切ではないかということを申し上げたいと思います。
 というのは、もう御承知のとおり、2008年に第1約束期間、京都議定書の約束期間を迎えるわけで、環境省も全部局とは言わないけれども、それを踏まえて、今温室効果ガスがマイナス6%と言われているのに8.1%上がっちゃったので、14.1%削減しなくちゃいけないので、1年ちょっとで14.1%行けるかどうかなんて、これはとても天文学的数字ですよね、総体から見れば。そういう中で、こういう一つ一つの事業を考えるとき、いつもそれを念頭に置かなくていけないだろうと私は思いますし、強化策、追加対策というのを先月の末から始めて、今、地球環境部会は経産省の産業構造審議会と併せて共同でやっているのです。1週間に2回の日もあるし、1週間に1回の日もあるのですが、そのぐらいの頻度で会議を開いているのですが、会議を開けば達成できるというものじゃありませんが、とにかく緊急に迫られている状況であって、どのような環境保全対策であっても、この辺の問題がきちっと位置づけされて整合性がとれていないと、本当に行けるかどうか私は疑問に思っているのです。

○加藤委員長 ありがとうございます。

○須藤委員 繰り返しますが、是非「脱温暖化」というところの部分をキーワードの中に入れていただきたいことと、それからそのことを踏まえて、例えばバイオマスを活用するというのは、それはいいのですが、例えば今度浄化槽にも新エネルギーを利用するとか、これは将来のビジョンですから、ほとんどもうプラスできなくなったようなときに、風力を使うのがいいのかバイオマスを使うのがいいのか、これからの問題ですが、浄化槽で新エネルギーを使っていくということも、私は非常に大事だと思うのですね。そういう中で、あのとき私は言わなかったかもしれませんが、技術開発の中を見てみるとその辺が抜けているので、やはり全体的な動きからすると非常にこれから急速にいろいろなことが変わるので、そのことを踏まえて浄化槽の分野は先取りしておいた方がいいだろうと。ほかのことはいいですよ、水循環のところは。ほかのところはいいのだけれども、今の脱温暖化社会のところについて少し念頭に置いた技術開発等をこの中に、循環は入っているのですけれども、入れていただいた方がいいのかなと思って、並べ方の問題と今のエネルギーの問題、この二つだけ是非お願いをしたくて、今日は他の会議を欠席して出てまいりました。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。大事な会議よりもこちらを選んでいただいて、ありがとうございます。しかも、今の御発言も、非常に、極めて重要な御発言だと思います。
 私が理解する限り、一応要素はこれでいいと。

○須藤委員 そうです、そういうことです。

○加藤委員長 要素はいいけれども、めり張りといいますか、簡単に言うと……

○須藤委員 それと、キーワードですよね。

○加藤委員長 キーワードをしっかりとしてほしいと。それと技術開発の中に、やはり新エネルギー、要は風力、浄化槽で風力を使ったり、あるいは発生する汚泥から再生エネルギーを取り出したりとか、そういうことだって考えられるじゃないかと、そういうことを書いておいてほしいと、そういうことですかね。大変どうもありがとうございました。
 河村さん。

○河村委員 私の方も、まとめ方は十分まとめていただいたと思うのですけれども、こういうビジョンにそういうのを付けるかどうかわからないのですけれども、何か目標値といいますか、目に見えるようなもの、つまりビジョンを進めるとしたときに、どういう状況のものが生まれてくるのかとか、あるいは生活スタイル、生活がどう変わるのかとか、そういうそちらのイメージがないような気がするのですけれども。それをつくるのは非常に難しいかもしれませんけれども、例えばよくある話で蛍が戻ってきたとかいうようなこととか、川で水遊びができるとかいうふうなことも、そういう目に見えるような形のものがあるのではないかというような気がします。そういう意見です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 前回に、一体このビジョンのタイムフレームはどのくらいのタイムフレームで考えるのかという話が、確か吉田委員かから出て、それで部長さんが大体10年から15年、簡単に言うと2020年というところですか、今2006年ですから。大体2020年ぐらいの社会といいますか、そういったものを念頭に置くと。それはタイムフレームで、今、河村委員の方から出たのは、そういうタイムフレームの中で、何か目標があってもしかるべきではないかと。目標値とおっしゃったのですが、必ずしも数字でなくたっていいわけですね。蛍が戻ってくるとか、あるいは子供が水辺で遊べるとか、そういう必ずしも数値目標にこだわらないで目標が示されてもいいのではないか。そうすると、先ほど言ったようなタイムフレームの中で、比較的長くかかるかもしれないものと、比較的短期でできるものぐらいの感じかなというのを、河村先生のお話を聴きながら考えておったのですけれども、そういうものができるかどうか、ちょっと後で事務局の方と相談し、あるいは事務局でちょっとコメントがあったらコメントしていただきたいと思いますが、それよりも先に各先生方から全体的な、総体的なコメントを頂ければというふうに思いますが、どなたでも。
 木曽先生。

○木曽委員 基本的にはよくまとめていただいておりますので、あとはやはり、むしろ上の浄化槽を取り巻く状況というものを、下の今後の課題の方にどのようにリンクさせて、それを方向づけていくか。例えば上の地方財政の悪化とか人口減少の問題については、今後の課題の中に、今のところ、この細目では余り入っておりませんし、ただそういうものが浄化槽の特徴の中に入り込むのかどうかということもあろうかと思いますけれども、今の浄化槽を取り巻く状況というものと浄化槽の特徴とか今後の課題が、もう少しリンクするような方向が望ましいかなと思っています。
 それともう一つ、今、河村先生が言われましたように、この浄化槽ビジョンの下に浄化槽を普及することによって、利用する住民、使用者の方がどういうメリットといいますか、利益を受けるのか。一つは、この前のヒアリングにもありましたけれども、家庭の中でのバリアフリー化といいますか、そういうことにもつながっていきますし、それが生活の利便性、これはもう浄化槽も下水道も、その点では変わらない部分がありますけれども、浄化槽が同じようにそれを担えること、それから地域にとってはどういうことというような、そういう利用者にもう少しわかりやすい姿といいますか、そういうのがやはりイメージできるようなことの方がよろしいかと思っております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 確かに先生おっしゃるように、浄化槽を取り巻く状況、先ほど須藤先生の方から並列的ではなくて、もうちょっと一種のハイアルキといいますか、先生の御意見だと脱温暖化と循環型社会の形成というのを大きな、そういう社会の必要性といったものを少し上に上げて、そしてそれに関連して、もちろん循環型社会の形成というのと水循環の構築というのはもちろん重なるわけですし、それからもちろん循環型社会をつくっていこうと思うと、汚水処理施設の整備ももちろんきちっとやらなくちゃいけないしと。それから、そもそもこういうものを支える、そういう目標を支える国民の意識ないしは、私の言葉であえて追加すれば意識だけじゃなくて、政治的なアクションまで含めて、そういったものをしなくちゃいけない、そういうことなのです。
 それと下とのつながりですね。特に今、木曽先生が御指摘になったのは、財政の悪化とか人口の減少というものと下の課題とがどうつながるのかが必ずしも見えてこない。これは、ここにいらっしゃる先生方の間では、もうある種、自明の理になっちゃっているのですけれどもね。もう説明するまでもなく財政が悪化して、設備投資にしても維持管理にしても、例えば下水道と比べて浄化槽はかなり有利ですよと。特に地方都市とかそういったところにおいては、そういうことはもう非常に明確になってきているし、それから国安先生から、御指摘ありますように、人口が減少していくと、そういった非常に巨大な都市インフラ、下水道だけじゃないですけれども下水道などのような、かなり高価な都市インフラを維持管理していく費用というのは、相当重いものになっていきますよと。非常に極端な姿が夕張みたいなことになっていくのでしょうね。人がいなくなっていったら、一人一人が担ぐ維持管理費が猛烈にかさんでいくと。そういうようなことと、浄化槽の整備とが本来結び付いているはずなのですが、私たちの間では、それは説明しなくとも当たり前じゃないかというような感じですけれども、木曽先生がおっしゃるように、その結び付きが必ずしも明確じゃないという、なぜ地方財政が悪化していくと浄化槽がいいのかというのが、普通の人にはなかなかわかりにくいということは、それはあるかもしれませんね。下水道だっていいのではないのと、そういうふうに多分なると思いますから、確かにおっしゃるとおり、その辺の結び付きを何か付ける必要があると思います。
 新美先生。

○新美委員 今の議論とも絡むのですけれども、どうもここに書かれているところでは、この浄化槽というテクノロジーを導入した結果どうなるかという議論と、浄化槽というテクノロジーあるいはシステムでどういうことができるのか、あるいはどういう特徴を備えるべきかということの議論が、必ずしも区別されずに議論されてきていると思うのです。
 須藤先生のおっしゃられているような、脱温暖化ということは、これはある意味で浄化槽のテクノロジーとして備えることが可能であるし、べきであるという議論だと思うのです。それから、蛍とか、あるいは今言った財政難の問題というのは、導入したらこういうことを解決できますということだろうと思うのですね。その辺をもう少しクリアにしていった方が、ビジョンとしては書きやすいのではないかと、そういうふうに思います。

○加藤委員長 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思いますね。
 浄化槽というテクノロジー、正に浄化槽というシステム、それを導入すると一体、今我々が抱えている、社会が抱えている問題にどう貢献できるのか、寄与できるのか、また寄与すべきなのか。そういったことをもうちょっと明確に書くとビジョンらしいのではないかということですね。大変ありがとうございます。
 今日はもう、是非各先生方から総括的なコメントを頂きたいと思います。松田先生。

○松田委員 私は、これを拝見させていただいて、「ああ、わかりやすい、すごい」というのが第一印象で、すごい浄化槽のことについて人々が、私も含めてですけれども、初心者が見てわかりやすいというふうに、ありがたいなというふうに思いました。諸先生方のお話を伺っていると、ああそうか、じゃあこのたたき台をさらにそういうふうにしていけば、もっとよくなるのだと思って、実はうきうきしております。
 その中でも、私がこれから御提案したいということは、実現可能なところを優先的に実行していくというような、優先順位みたいなものがつけられたらいいなというふうに思います。緊急に私たち国民として、市民として実行していくことが、すぐできるところと、それからこれは国の予算に含めて、モデルケースとしてやってみていくと、国民のために非常に効果が堅実に見えてきて、見せ場として大事なプログラムとして組んでいくような施策だとか、そういうふうなところに少し重点を絞っていただけるとありがたいなと思います。
 というのは、足立さんと一緒に、富士市の方のヒアリングをしてみて思ったのですが、本当に単独浄化槽を使っている方たちは、自分がいいことをしていると思って使っているんだけれども、単独浄化槽だったと知って驚いているというレベルですので、社会システムの普及啓発のところも重点施策の一つだろうと思います。
 もう一つは、たまたまスウェーデンに視察に行ったときに、バイオガスプラントの視察で入っていったのですけれども、それは浄化槽だけで解決する部分ではないのですけれども、ストックホルムの郊外の2万人が住む5,300世帯、2万人が住むという振興住宅地をそこだけでクローズした社会システムにしているのです。下水道もつながないで、そこの町だけで完成した社会システムになっていて、そこにも、し尿のバイオガス、それから生ゴミ、堆肥化のバイオガス、堆肥化の方は堆肥化をしながらバイオガスというセットが、町の中心の中に位置づけられていまして、焼却工場もきちんとありまして、余熱利用が完璧にされております。そして、うんちやおしっこでできたバイオガスを使った調理器具も開発されていて、既に1,000世帯それで生活している。もう夢物語ではないのだということを体験してまいりまして、新しい住宅地であれば、そこにいろいろな方たちが投資してモデル実験をつくって、日本ではよく焼却システムはエネルギー、電気だけをとる仕組みなのですけれども、熱利用を十分にかけた、そういうプロジェクトというのをやってみると、国民はすごい元気が出てくるのではないかなと。そういう実際の町がもう既にある。ストックホルムの市内で動いているとうことで、ぜひ現場に行ってみていただければいいなということも思っております。
 以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 これまた非常に大事な御指摘ですが、まず事務局の皆様、松田先生からこれを見てうきうきしてくださったということですから、皆さん方の御苦労も報われるのではないかなと思いますけれども、うきうき、まずは合格点だということですね。だけれども、よりもっともっと優先順位をきちっとつけるとか、先ほど河村先生の目標なんかもそうだと思いますし、恐らく余り微に入り細に入りタイムテーブルに乗せる必要は全くないと思いますけれども、ただ短期的にやるべきこと、今、松田先生は、緊急にやるべきことというのは優先的にまずやるべきこととおっしゃいましたけれども、そういう幾つかの、少しどういう順番でここに載せられている課題をこなしていくのかといったところも、少しインディケーションがあった方がいいかなと、こういうことですね。
 それで、今のスウェーデンの例なんかは大変おもしろいと思うのですね。それこそ冒頭に須藤先生の方から出てきた脱温暖化社会づくりにも非常に関係のある、非常におもしろいプロジェクトだなと、いかにもスウェーデンらしいプロジェクトだと思いますけれども、ありがとうございました。材料はいろいろと出そろって、これをもうちょっと優先順位とか、ある種の目標だとか、ある種のタイムフレームの中に乗せていくとか、それから何のためにこういうことをやるのかということと、それと浄化槽というテクノロジー、浄化槽というシステムとのリンクを明確にすると、今まで先生方から出てきた御意見はこういうあたりですかね。
 はい、どうぞ。北尾先生。

○北尾委員 私は結論的に申し上げますと、事務局で御用意いただいた程度の盛り込み方でいいのではないかと思います。
 というのは、例えば浄化槽を広い視野でとらえるということをすれば、それだけ浄化槽の客観的な位置づけとか、あるいは相対的な位置づけというようなものがクリアになり、より広い視野で浄化槽というものをとらえることができるとは思いますが、その反面、やはり例えば物を遠くから見るのと近くから見るのでは、細部はそれだけ近くから見た方がクリアになってくるわけで、それで今回のビジョンでは、余り広く視野を広げるよりは、やはり浄化槽固有の問題というものに絞った方が焦点がはっきりするということとか個々の問題点というものも、明確に見えるという意味で、私はむしろ絞るべきだというぐらいに思っているのですけれども、いろいろ今までの議論の過程を踏まえると、総合してこのあたりが落としどころなのかなという意味で事務局案でいいのではないかと、こういう意見でございます。

○加藤委員長 ありがとうございます。国安先生。

○国安委員 私からは、ビジョンに関する基本的な考え方について、1枚の絵が示されていますが、この絵が少し分かりにくいのではないでしょうか。前回までの議論では、この「浄化槽普及を軸に各種政策を展開」について、浄化槽整備の区域の積極的な設定を市町村がなかなか実施しない現状に対し、市町村を具体的に動かすためには何が必要なのかということが、確か議論の対象になっていたと思います。
 その一つの方策として、住民参画の促進があげられていたのでは。基本的には整備区域の設定というのは市町村の役割ですが、これまでの施設整備に関する考え方、そのものの見直しを促す意味で住民参画の促進が必要。さらに、施設整備に個人負担がある限り、市町村が実施しようと思っても個人が理解し、賛同してくれない限りは汚水処理施設、下水道であろうが整備や運営ができないので、生活排水処理への理解を深めるためにも住民参画の促進が必要なのではないでしょうか。このように、住民参画には二つの側面があり、矢印の方向を含め、「浄化槽整備区域の積極的設定」という部分に関する説明がないと、この絵は非常に理解しがたいものだと思います。
 それと、もう1点、具体的な中身に関して、先ほどの北尾先生、新美先生、松田先生のお話を聴いていて、浄化槽特有の問題としてはやはり600万基もある単独処理浄化槽をどうするのか、前回もお話ししたと思うのですが、汚水処理普及率を上げるためには単独処理浄化槽をターゲットに事業を実施していかない限りは伸びていかないと思っています。社会状況等の変化を背景に、これまでのような集合処理ではなくて浄化槽で対応する、新設だと宅地の状態やどの地域に家が建つかなど計画策定が難しいのですが、既設の単独処理浄化槽であればエリアがハッキリしているので、例えば水濁法の総量規制や湖沼法絡みの地域など、エリアを決めて浄化槽で既設単独を面的に切り替えていく、そういった事業が実施できれば望ましいと思います。このような事業をモデル事業としてビジョンの中に書き込めれば、北尾先生から御指摘があった浄化槽特有の課題、それに対する具体的な提言になろうかと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。

○北尾委員 今のに関連して。

○加藤委員長 はい、どうぞ。北尾先生。

○北尾委員 細かいことですけれども、この絵を見ますと、左側と右側に2個の目標というのか課題というのかが書いてありますね。それが破線の中の二つから伸びているように見えでしまうのですよね。ですから、少なくとも破線のところから矢印を伸ばすとか何かしないと、この二つの、要するに「浄化槽整備区域の積極的設定」というものから健全な水循環とか循環型社会が生まれるというような見方をしてしまうので、少し図の表し方も工夫していただいたらと思うのですけれども、いかがでしょう。

○加藤委員長 はい、わかりました。
 吉田先生、どんなものでしょう。

○吉田委員 どうも遅れましてすみません。
 基本的なことは大体出ていると思うのですけれども、それぞれの位置づけの関係が、もう一度さっきから出ている議論でもありますように、わかりやすく書いた方がいいんじゃないかということで、それとターゲットは今も御発言がありましたように、やはり普及という点でも、それから課題という点でも、単独浄化槽の転換の問題のところに一つは焦点があるというのは、そのとおりだと思います。
 それから、前提のところで、なぜ浄化槽かというところで、やはりこの間、中国に何度か行って感じたのですけれども、向こうも循環経済ということを言って新しい法律もつくって、そのときのキーワードが「小循環、中循環、大循環」ということを言っているわけですね。小循環というのは、いわば家庭内や工場内のリサイクルをやるということで、なぜそれをやるかというと、これはもう日本でももうやっていることですけれども、一つは適正規模と適正コストと。それから、そういうのをまず基本的なところでやると。やはりなぜ浄化槽かというところでの適正規模でコストを抑えて持続可能にして水循環を基礎で支えるという、やはり理念のところが非常に大事だと思うのですね。だから、その点は、やはり前面に出していただいた上で、実際にはやはり今課題になっているのは単独浄化槽の問題と、それからここに書いてある大きな柱が実際上は施策の上では大事だという、そういうふうな感じで私は受け止めているのですけれども。
 ちょっと感想になって恐縮ですが。

○加藤委員長 今、吉田先生が御指摘になった点、非常に重要な点だと思いますね。確かに、なぜ浄化槽なのかと。新美先生が先ほど来お問いかけになっていることにも、もちろん深く関係していると思いますけれども、それはこういう浄化槽を取り巻く社会状況はいろいろと変化して、温暖化の問題もある、財政の問題もある、人口も減りつつある、循環型社会、3Rもやらねばいかんと、国民の意識も高まっている。こういう中でなぜ浄化槽かと言えば、確かに適正処理、適正規模、適正コストそして健全な水循環を支える、そういうシステムをつくり上げていくというのは、非常に正に浄化槽にぴったりなことで、確かにそういう理念を明確にしておくという必要はあるかなというふうに思いますね。
 皆様お気づきだと思うのですが、本文といいますか、この文章の方のものの最初の「策定の趣旨」というところが、今現時点では空欄になっています。こういうところに明確に諸先生方がるる今まで述べて来られたような、そういうことをきちっと、取り巻く状況の分析前にそういうものを置くと、より明確になるかなという印象を受けました。どうもありがとうございました。
 そのほか、委員の先生方、何でも第1回の御発言でちょっと言い残したこと、あるいはほかの先生方の御発言に関連して、ちょっと気がついた点とか、そういったことがあればこの際お聴かせいただいて、そして少し本文、本文というと何が本文かは別として、この文章の方の説明もちょっと後でいきたいと思います。
 松田さん。

○松田委員 委員会の中で勉強させていただいて、これはすごくわかりやすいと思ったのですけれども、先生方の話を聞いて「あっそうか」と、また思いました。それはこの一つ前に、もう一つ、図が一つあればいいんですよね、つくっていただければ。「策定の趣旨」というところに温暖化の話だとか、そういうのが出てくると、そしてこの基本的な考え方に入ってくるとわかりやすくなるだろうなと思ったので、事務局またもう1回つくって、そうすると完璧という感じなのかしらね。

○加藤委員長 なるほど。事務局はそういうのは得意ですから、多分すばらしいものをつくってくれるのではないかなと思っていますけれども。
 部長さん。

○廃棄物・リサイクル対策部長 どうもいろいろな御意見ありがとうございます。
 実は、先ほど吉田委員の方がおっしゃられたところというのは大変重要な、そもそものところでありまして、実は以前この委員会でも御紹介しました、かつての別の役所にこの行政がありました時代にやりまして、15、6年前の審議会の報告書の中に、実はそこは書き込んでおりまして、それをもう1回ブラッシュアップする必要があるのかもしれませんが、いわゆるそもそも浄化槽ってどういうものなのだというところだと思います。
 大変重要なところでありまして、私はビジョンをつくっていただきたいというときに、この場で申し上げました一つの前提になることが、浄化槽というのは本当に技術的に大丈夫なのかということを、自分に対してももう1回問い直すということから実は始めさせていただきまして、先生方は基本的には全く問題ないのではないかという御意見だったと思います。そうしますと、そこのところは今の吉田委員の御発言にあったような格好で、しっかりとした現在―それは17、8年前の話ですから、もう1度今の時代に合わせてそれを位置づけ直すという、これはこういう全面的な資料にするのがいいのかどうかということはありますけれども、書き方は別にしまして、そこは一つ書き込んでおくことが大変重要になるのではないかと、こう思っています。そのあらゆる議論は、それが前提になってまいるだろうと思います。
 その上で、恐らく脱温暖化社会、循環型社会の形成というのは環境政策の2大柱と言っておる以上、それはあらゆる政策をそのような目で見るということは、正に必要なことでありまして、環境省として二つ柱の、正に循環型社会の方にやや近いのかもしれませんが、当然、脱温暖化社会ということを目指す、あるいはこれらも場合によれば統合した施策ということにもなり得る分野もありますので、その目から検証していくことは、それは必要なことであろうと思っております。これは多くが逆に目標の部分になろうかと思います。
 そういうことを前提に、先ほどからの御議論をお聴きしておりまして、私が次に申し上げました部分というのは、なぜ浄化槽が選択されないのだろうかということを申し上げたと思います。これは、実は浄化槽の問題に関しては、私が申し上げるのもなんですが、2度ほど大きな革命的な転換の時期が浄化槽にはあったと思っております。最初は浄化槽法ができて、合併処理浄化槽が最初にモデル事業でありましたが、事業が開始されたときではないかと思っています。2度目は、やはり平成12年に、浄化槽と言えば合併処理浄化槽を言う、これは前回のときに水濁法との関係でいろいろ御議論がありましたが、当然先生方は相当無茶をやっていると、逆にお感じになった先生方もいらっしゃったかもしれませんが、水質汚濁防止法との間で1トン、片一方では50トン以上を規制しているのに、何でこんなことが、1トン未満ができるのだということをお気づきになった方がいらっしゃると思います。そのように、浄化槽という立場で、では浄化槽と言えば何でもできるのかと、そんなことはないのでありまして、そこはそこで浄化槽の関係者というところで、ひっくり返ったり逆立ちして走ったりするようなことをやっている結果、そのようなことが生まれたわけでございます。
 そうしますと、この浄化槽というものも合併処理浄化槽、相当人の目にもたくさんついておりますし経験者も増えてきております。さすれば、今回いわゆる例えば支援の制度にしましても、下水道と農業集落排水事業と浄化槽というのは共同して、どれでも地域の人が選択できるということが始まったわけでありますが、私は「あれっ」と思いましたのは、なかなか浄化槽を選択していただけないということであります。支援の制度の中身を見てみますと、補助率が低いのではないかという御意見、御批判もありますが、ただ下水道などは、いわゆる公的な道路に埋設するとか公的な部分に対して助成を行っているので、住宅の中まで入ってそこに支援をするというのは下水道ではやっておりません。そういう意味では、浄化槽はかなり手厚い支援の制度が実は備わっていると。にもかかわらず、何だろうかということであります。よくよく考えてみますと、この点これまで随分御議論の中に出ておりますが、三つぐらいあるのかなと。
 一つは、経済的な問題であります。いわゆる皆さんだれでも経済的に行動いたしますので、経済的な側面があろうかと思います。この点におきましては、既に関係省庁ともお話をして、大都市部の人口密集では下水道の効率がいいということは既に明らかになっておりますし、それから中山間地に行きますと、浄化槽は圧倒的に効率がいいということも既に言われている。これは政府、関係省庁全体のものとして、ここでも書かせてもらっております。そうしますと、当然に現在こういう生活排水に関連する施設が整備される場合には浄化槽が選択されておかしくないはずなのに、いやなぜなのだろうかと、こういうことになるわけであります。
 それから、もう一つそれらの地域住民が、やはりそのように思っていないから、望んでいないから、結局そのようにできないのであろうかという視点に目を向けてみますと、これは先般から市民団体の方々に随分参加をしていただいております。伺っておりますと、そこは関心を持たれている方々は持たれているのだろうと。持たれていないところは、誤解されている方々もいらっしゃる。例えば仙台市の市民の方々は大変いいお話をしていただきましたが、この場合は下水道に替えて、下水道と同じ仕掛けでやっていくということに特徴があったやに思います。したがって、実質的には自分で設置して自分でやっているのだという意識から少し離れまして、公的にやってもらっているという方にシフトしております。浄化槽は、果たして、市町村の設置整備という下水道に似たシステムも、実はシステムとしては持っているのですが、果たしてそれが本質的なものであろかということも、実はあるわけであります。市町村が下水道と同じように整備をして、いわゆる効率性を求めるために競争入札をやって、いろいろな体系をつくっているという市町村、いわゆる税を通じたコントロールというふうなものが、果たして浄化槽にぴったり合っているのかどうかということも検討しなくちゃいけない問題だろうと思っています。
 それから、この浄化槽は今の時代になってみますと、かつては、これは松田美夜子委員が随分おっしゃられているようですが、ごみを出すときに分別して出すなどと言えば、そういうかじ取りをする市長さんは選挙に落ちるというのですね。昔の状況が今やがらっと変わっておりまして、まとめてとにかくじゃんじゃん出すのだ、いいのだと言ったその市長さんは、町長さんでも、これが選挙に通るだろうかというと、もう松田さんの顔を伺うまでもなく、今の時代、市民の環境の関心が非常に高くなったというところであります。
 そういう意味では、地域住民の方々が、実際には自らが本当に浄化槽を通じて満足して、環境に対して自分たちできちっとコントロールしているのだという意識がかなり出てくるような施設じゃないけれども、冒頭の浄化槽の位置づけと関連するわけですが、こういうふうなところをどう進めていくのかというところが、大きなキーになるような気が致します。
 それから、今度は最後に、ではそういうふうなことをすれば、市町村はさっき国安さんがどうすればいいのかというのも答がなかったのですが、もっと積極的に整備させるような方向に持っていくべきだというようなことをおっしゃっておりましたが、恐らく私もこの浄化槽専門委員会を先生方に御議論していただいている間、何人かの関係者、市長さんとかお会いしてみました。それで伺ってみますと、これは全部ということではありませんが、やはり単独処理浄化槽全体をあえて今何百万基あるからどうだという話をしますと、なかなか難しい議論になりますが、そもそもなぜ浄化槽区域として設定されないのかということに関しましては、市町村の中に自分の町はすべて浄化槽でいくと決めていらっしゃる市がございます。これは割合はっきりしていまして、そこはそれで行くのだと。ただ、このときはお困りになっているのは、最後に残る単独浄化槽が困るのだということはおっしゃっていました。
 それから、そのほかの市は下水道とか浄化槽を一緒に区域として抱えていらっしゃるのですが、下水道の区域あるいは農集排の区域と設定した残りを浄化槽だとおっしゃっている、消極的な設定の仕方をされているところが多いわけですね。そうしますと、そこは積極的なアプローチをしていませんから、あっという間に大体下水道、農集排の方が終われば、予算的にちょっと難しいけれども、もうちょっといこうかと思ったら浄化槽の区域というのはあっという間に、また下水道とかの区域になってしまう。だから、積極的に設定されていないということなのです。
 では、何でだろうかと聞いてみますと、やはりそういう区域を設定して値段も安いのもわかっているけれども、単独浄化槽が残っているところが、どうやってそれがちゃんと完備されるかわからない。下水道の場合にはパイプを整備しておけば、もうそれで、あといつつないでもらおうと、いずれ必ずやってくれるのだから、役所としては市町村の立場では責任を果たしたと、このようになったというような話も何人かからお伺いをしております。そうしますと、やはり積極的に浄化槽の区域を設定して、例えば単独処理浄化槽を持っている方々に対して、どういうふうにアプローチをして、どういう支援をやっていくのかというようなことを、もう少しきめ細かにやるということができれば、この浄化槽区域を積極的に設定をするということが実現できるのではなかろうかと。
 さらに、市民の方々のいろいろな意識の問題ですが、例えば今インターネットを見ましても、環境省のホームページはまだ足りません。正直言いまして、浄化槽推進室に例えば日本環境整備教育センターなどもリンクさせまして、教育センターの方のホームページもまだまだ足りないと思います。今や国民は上から下へいく時代じゃなしに、いろいろなネットワークで理解する時代になっております。そんなことを充実しながら、いろいろな地域住民の方々の大きな盛り上がりというようなもの、それがリンクしていきますと、浄化槽区域の設定しているものがどんどん輪が広がっていくと、こういうふうなことが起こっていくのではないかと思いまして、ちょっと書き方ではありますが、この1枚の紙を少し試みていまして、今日先生方の御意見をお伺いしていると、こういう趣旨でございます。思いはそういうところにあります。もう1度、先生方の御意見を頂いた上で、もう1度書き直すということを試みてみたいと思っております。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 由田さんの浄化槽に捧げる思いといいますか、若いときからずっと浄化槽に携わってきた、由田部長ならではの熱い言葉だったと思います。ありがとうございました。
 須藤さん。

○須藤委員 ただ今の由田部長の思いは理解をしているつもりでございますが、一つ今のお話とも関係するんですが、技術開発のところに、ここに書いてあることというのは浄化槽本体とか汚泥の問題の技術開発であって、今、由田部長のおっしゃっているようなことは法制度、経済それから法律、それからあと研究という部分がかなり抜けて、これは技術開発なので、これはメーカーでやるような点が主なんですが、私はこの周囲を見て浄化槽、大学にしても、それから研究所にしても研究者が非常に少ないという印象を今も受けているんですね。ですから、研究する人材を育成していかないと、今、由田部長のおっしゃっているようなこともなかなか実現できないので、これは技術上とか要するに自然科学上の研究だけではなくて、こちらの先生にいらっしゃるような行財政制度のことも含めて研究していただかないといけないのではnないかなと思っているのですが。
 なかなかいろいろなことを伺うと、また私どもにいろいろな質問が来るのですけれども、浄化槽の研究者はすごく少ないような気がしているのですね。ここにいらっしゃる専門の先生はいらっしゃるのだけれども、若手で例えば浄化槽の研究している人は、すごく少ないような気がしているんですね。これは将来に対してのビジョンなので、もっと教育センターで予算を出してくれるのがいいのか、環境省で予算を出してくれるのがいいのか知りませんが、予算が出れば研究もするのかもしれませんけれども、非常に小規模分散、例えばさっきの小規模のところとどういうふうに一緒に合わせるかとか、例えば技術用の研究だっていっぱいありますよね、まだ残されている。それから、よく聞かれるのが、浄化槽から出てきた水が川に行くまでに、どのぐらいきれいになっているのかとか、自浄作用の速度はどのぐらいあるか、だれもそんなことは調べていませんよね。ですから、そういうこともきちっと研究で押さえていく必要があるので、要するに私は今の研究、研究の促進というのは、自然科学だけじゃなくて行財政の制度も含めて、今きちっとやっておく必要があるのかなというふうに、ちょっとその部分が技術開発のところで、技術開発あるいは研究の促進とか、そんなようなものも入れておいた方がいいのではないでしょうか。すみません。

○加藤委員長 はい。

○廃棄物・リサイクル対策部長 先生、実は研究費は、かつてほぼゼロだったものを、まだ省庁再編の前にある程度まで増やしまして環境省に持っていきまして、更に増やして今全体で10億以上の研究費が毎年……。

○須藤委員 浄化槽でですか。

○廃棄物・リサイクル対策部長 浄化槽と、廃棄物全体で。

○須藤委員 廃棄物ね。

○廃棄物・リサイクル対策部長 その中に、浄化槽が申請してこないのです。

○須藤委員 私もそのことを申し上げようと思ったのですよ。

○廃棄物・リサイクル対策部長 ゼロじゃないですよ。ゼロではないですけれども、委員のここにいらっしゃる先生方もほとんど申請してこられませんし、研究費をもっと出せと言った先生もいらっしゃるけれども。

○須藤委員 というのは、若手の中にそういうことを対象に研究している人が非常に少ないというのを私は印象を受けているので、残念なのだけれども、今一生懸命努力していますから、もう私も卒業だから、若手にそういうことができるように人材を増やしていきたいと、こういうふうに思っています。ですから、今度の公募には出るかもしれません。来年度の廃棄物には申請があるかもしれません。

○加藤委員長 申請があったら落とさないようにしてもらわないと。

○須藤委員 そうです。是非お願いします。

○廃棄物・リサイクル対策部長 一定のレベルがあれば……。

○加藤委員長 一定のレベル。私も申請してみますかね。

○廃棄物・リサイクル対策部長 是非とも若手の方でもいいと思いますし、どうも役所が研究者、大学の助教授の人に、あなたはこれをテーマにしろなんということはできませんもので、是非とも逆に先生方のお力添え、ここに参画されているような先生方が核になっていただいて、浄化槽の立派な研究を是非とも声をかけていただけたらと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 まずお手が新美先生、その後、吉田先生お願いします。

○新美委員 松田委員がおっしゃっておりますように、住民参画のための手順をということなのですが、そのためにはやはり由田部長もおっしゃいました住民がチョイスしないのはなぜかということについて述べます。チョイスの対象について、比較広告じゃありませんけれども、何と何とを比べたらどういうメリット、デメリットがあるのかというのは、まだきちんと伝わっていないのではないかと思うのです。例えば、排水あるいは下水処理というシステムをめぐる状況ということでいくと、巨大システムである公共下水道だったらどういうふうになるのか。それから、分散処理型の浄化槽ならばどうなるのか。先ほどあったように大都市部だったら公共下水処理システムの方がプラスだろうし、中山間部というのはそうではないというようなことを提示するようなビジョンであったら、もう少し住民参画を促しやすいのではないかと思います。
 それから、いろいろな議論があるのですが、須藤先生がおっしゃったように、技術開発とか研究というのはハードといいますか、サイエンスとしての問題と、あとソーシャルサイエンスの問題としてどうするのかという議論もあると思うんですね。吉田委員がおっしゃったような議論もあるし、それから先ほど水濁法と浄化槽法との問題のギャップもあるのですが、そういうのを例えば法律的にどう考えるのか。特に、水濁法における、いわばすそ切りの部分ですね。それを一体どういう位置付けをするのかということなんかも議論した上で、浄化槽をどうするのかという方向に持っていった方がいいのではないかと思います。ですから、研究ももう少し社会科学みたいなものも参画できるような、あるいは共同で総合的な研究というのがやれるような場所を用意してもいいんじゃないかと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。吉田先生。

○吉田委員 由田部長がおっしゃった、なぜ選択されないのかと、これはもう社会科学の非常に重要なテーマになると思うのですね。環境経済学のトピックスになると私は思っていまして、それで非常に難しい問題だと思うんですけれども、一つはやはり根本的には、国の財政の仕組みとか、今の抱えている問題というのが十分よくわからないというかわかっていないというか、それがやはりあって、それでやはり大事なことは、浄化槽は単なるつなぎではないということ。つまり、下水道に向けてのつなぎではないということをやはり明確にして、適正規模の適正技術であるということをもっとアピールする必要がある。その際に新美先生がおっしゃったように可視化する、要するに見えるように、住民にも見えるように、わかるようにする。そして、ほかと比べると。つまり下水道の問題なのですけれども、その際に、結局データがどの程度まで入るかというのは、ただこれまで明らかになっているデータがあるわけですから、その限りでは、やはり住民にわかりやすく見えるようにして、それから水循環という点では、水循環がやはり住民にわかるようにできれば一番いいわけですけれども、その問題がやはりあるのではないかと。
 それから、経済学的に言うと、特に私は北海道に住んでいまして夕張の例が出ていますが、非常に深刻なのは、単に少子高齢化じゃなくて過疎化が進んでいるわけですね。北海道でも全体として人口が減って、札幌に集まってきているわけです。だから、維持できない町村がいっぱい出てきているわけです。そういうところで夕張の場合だったら、もう80%下水道化していて、20億円の負債があるとかというのは出ていますけれども、結局それを造っても維持できない、人がいなくなっちゃうというようなことがもう起きている、起きかけているわけなのですね。だから、単に少子高齢化じゃなくて過疎化が進んで、人がもういなくなる地域が出てくる。そういうところにあえてもう下水道なんか造れないわけですね。だけれども、そういう兆しがあるところはいっぱいあるわけですよ。だから、そういう問題は、つまり下水道、だから下水道も含めた水環境全体の循環ということを考えた場合、大所高所から本当は考えなきゃいけないわけですよ。
 それで、私は経済的な面で言うと、札幌の場合でも上下水道の負債がものすごいわけです。しかも焼却炉を造っていますから、その負債だけでも相当あって、かつ流入人口が起きてほとんど年寄りだから税収がないと。それで、放っておいても例えば来年200億赤字だとか、人が集まっているのだけれども、どんどん赤字になっていくわけですね。そういう中で一体どういう選択をしたらいいかといいますと、そのことは北海道の事例を見ると過疎の深刻さというのはすごいですけれども、全国を見てもそういうところはいっぱいあるわけですね。だから、そういうことを考えたら、やはりここで下水道を選択するということもできないし、できない時期がいっぱいあるわけです。それがもっとわかるようなデータを出して議論すべきだと私は思うのですね。それは単に、浄化槽のところだけの話ではもう済まないわけです。というのが率直な印象です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 大変重要な御指摘だと思いますね。その問題は、ただ一つは、一つ目を間違えると何か浄化槽族と下水道族との戦いみたいなことになって、何か次元が途端に下がってしまう、そういうこともあって、抑制的に浄化槽を取り巻く状況というのは、事務局としてはつくらざるを得ないという、こういうことだと思うのですね。声高に下水道よりはこっちの方がいいのですよみたいな話に、何か我田引水みたいなふうにとられても困る。ただし、そうは言っても、現実に非常に深刻な問題があるわけですね。今正に夕張なんかの場合は非常に極端な例かもしれませんけれども、やがて20年後これはそれこそ国安さんのこうなっていくのですよと、夕張は20年後、日本の多くの自治体で合併していきますので、形の上だけでは大きくなりますけれども、だけれども合併しても小集落はあちこちに残っていて、その小集落は過疎化して、あるいは人がいなくなってしまうと。そこに下水道だけ虚しく残っていると、こういうことになりかねないわけですね。ですから、そういうことは、多くの人は、専門家は知りつつあるのだけれども、ただ一般の市会議員さんとか、そういう市長さんとか町長さんとか、そういう方々がきちっと理解していただけるような情報をちゃんと提供しているかというと、必ずしもそうじゃないかもしれませんので、このビジョンでそういうことを伝えるというのは、かなり大きな仕事の一つかもしれませんね。
 松田さん、どうぞ。

○松田委員 由田部長のお話を伺いながら何か腑に落ちたというか、ああ納得というふうに思ったのですが、この浄化槽の基本的な考え方の中の「住民参加の促進」と「浄化槽整備区域の積極的設定」というのは、先ほど私が冒頭申し上げました優先順位をつけるという話であれば、この二つを優先順位としては挙げられていて、それをでは具体的に成果の上がるものにしていくためには、どういうふうなことを盛り込んでいけばいいのかというふうに言えばいいんだなというふうに理解したんですけれども、それでいいのですよね。直感的にわかりやすいと思ったのは、私はやはり部長の話を聞いて、ああやはりそうだったのだと、すごいビジョンと基本的な考え方を伺って、また更に元気をもらったというふうに思いました。
 諸先生方の話を聴きながら、私はやはり市民として、しかも効果的な外部施策や税金でやっていただきたいと思っているものですから、やはりなぜわかりにくかったんだろうというところへと話が来るのです。住民参加の促進をできないだろうかというときに、やはりデータできちっと伝わってこなかったのだろうなと思います。加藤委員長がおっしゃったように、他省庁とのあれはあると思いますけれども、時代が変わってきたということと、循環型社会の中で浄化槽はいいのだということを、私たち委員が自信を持っている限り、もっと他省庁に気兼ねのない書き方で国民に訴えかけるビジョンをつくることが、私たち委員会の役割だと思いますので、是非データの公平な開示というのをお願いしていきたい。そして、その「浄化槽整備区域の積極的設定」というところで、是非モデル地域をつくっていただいて、そしてそのモデル地域の中で住む方たちが、住民の方も行政も一緒になって形として何か見せていって、更に輪を広げていくような政策を進めていただきたいなと、つくづく思いました。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 松田先生にちょっと私の方からお伺いしたいのですが、「住民参画の促進」という中に「NPO等との連携の推進、NPO等間の交流の場の創設」と書いてありまして、ごみの中では市民団体、これは松田さんがもう20年以上前、30年近く前から、ごみはいろいろな市民団体を糾合して、非常にごみ問題を正に盛り上げていったということなんですが、浄化槽については余りそういうのが今まではなかったんですが、松田さんあたりはこの可能性とか、あるいは私なんかはもう一回、松田さんに「ごみの松田」から「浄化槽の松田」と、こう言ってもらいたいなという具合に個人的には思っているのですが、今の松田さんの話はちょっとおいても、そういうNPO間の交流の場をつくっていくと、そういうことは可能なのでしょうか。

○松田委員 可能です。大丈夫です。というのは、私たちはごみの問題を個人の問題、個人のライフスタイルの反省というところからスタートして、ごみの分別が今うまくなぜいっているかというと、行政と仲よくなっちゃっているのですよ。行政とのコミュニケーションができ国とコミュニケーションできているから、今のこの循環型社会があるわけで、浄化槽はみんなが使っているのですね、ごみの分別をしながら。その方たちが知って驚いているのですよ。
 ですから、浄化槽はごみ問題の応用問題です。だから、全国のごみ仲間に呼びかけて、あなたのところで使っているのは単独なのか合併なのか、あなたのまちづくりをごみの出し方も含めて、浄化槽の仕組みも一緒に考えていきましょうといえば、物すごくインパクトは大きくなると思います。そういう情報が出なかっただけの話だと思っています。

○加藤委員長 なるほど。
 先ほど松田さんが御披露になった富士に行ったときに、浄化槽を、非常にいいことをやっているつもりで使っていたら、実は単独だったと知って愕然としたという話がありましたよね。

○松田委員 そうなのです。

○加藤委員長 それは20年、30年前の話じゃなくて今の話ですからね。ということは……。

○松田委員 その方たちが、今、行政と一緒に廃棄物基本計画の各委員に入っていたり、それから環境教育で学校に出かけていったりしている方たちなのですよね。

○加藤委員長 なるほど。
 松田さんから可能だという非常に力強いコメントを聞くと、こういうことをやったらいいなと思いますが、先ほど由田部長のなぜ選択されないのかと。私自身は、由田さんは非常にショックを受けられたようですが、ショックといいますか非常にがっかりされたようですが、恐らく時間が、まだ始まったばかりですよね、二つの中から選ぶというのは、まだ1年か2年。

○廃棄物・リサイクル対策部長 2年たちます。

○加藤委員長 2年たって。それとあと、今地方のいろいろな経済状況というのを考えると、やはり建設事業に頼るという面がかなり、それはいいか悪いかは別として麻薬みたいなものかもしれませんけれども、取りあえず建設事業に絡むと。すると建設事業というと、やはり下水道とかそういったものだと、ゼネコン的な建設事業が伴うというか、そういう選択もあるいはあり得るのかなと。そういうのも一つの力学の中に地方行政ないしは地方の経済状況の中の力学として働いているのかなと。別に浄化槽は本質的に悪いということで選択されなかったということでは、もちろんないと思うのですけれどもね。ただ、それはもちろん、由田部長も百も承知の上で、なぜこんないいものが選択されないのかというのは、これはそういう背景はあるにしても、きちっと我々としても答を出していく努力はしなくちゃいけないかなと思います。そういう疑問にも答えられるようなビジョンにしていかなくちゃいけないということだと思います。
 新美先生。

○新美委員 選ばれないのは、やはり公共事業が絡んでいると委員長がおっしゃったとおりだと思いますので、その辺も配慮する必要はあると思います。
 それからもう一つは、松田さんがNPOの連携は非常に可能性があるということで、ちょっと思い付いたのですけれども、ごみ処理あるいはごみの分別をする際に、やはりいろいろなものを、廃プラなんかを使うときに洗って出せというわけですね。そのときの生活雑排水がどうなるのかということの説得というか情報の材料として提供すれば、単独浄化槽ではなくて合併浄化槽の方にドライブをかけることにはなるのではないかと思います。そういう意味では、松田さんの持っているチャンネルを十分に活用するというのも今後の視野の中に入れていいのではないかと思います。

○加藤委員長 大変結構な御指摘ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。もし当面、今現時点でないということならば、別に要約する必要は全然ないと思いますが、基本的な材料は大体出そろっていると。今まで半年以上にわたって、諸先生方が御議論されたものが、整理としては、皆様方のお言葉を借りればよくまとまっているというふうに言っていいかと思います。
 ただ、今までるる御意見がありましたような、一口で言えばめり張りというようなことなのですが、要は少し目標を立てるとか、あるいは今の社会の取り巻く状況ということが、たくさんここに書いてあるように思うわけですけれども、もうちょっと脱温暖化とか循環型社会といったようなものにウエートを置くということ。あるいは逆に、北尾先生のように、余り広げないで浄化槽特有の問題に絞ったらいいのではないかというような御意見も一方ではもちろんありましたけれども、その辺はまた次の段階でもう1回議論をしたいと思いますし、それから余り全体の水、汚水処理をどうしていくかということで、例えば下水道に遠慮するとか何とかではなくて、あるいは逆に下水道に不公平なステートメントを述べるというのではなくて、客観的にこの委員会として、専門家としての責任においてちゃんと明確にすべきじゃないかとか、そういうようなことが、もちろんまだほかにもありますけれども出たと思います。
 そういう先生方の全体的な御評価の下で、ちょっと室長、せっかくこれもありますので、ちょっとこの内容を変わった点とか、あるいはもしあったら、更に追加的に。

○浄化槽推進室長 失礼いたします。
 まず浄化槽を取り巻く状況のうち持続的発展が可能な社会の構築については、持続的発展が可能な社会の構築という理念の下で環境基本計画の策定、各種の法令の整備等が行われてきたところでございます。
 そのうち環境保全上健全な水循環の構築については、第三次環境基本計画においては、それぞれの地点で水環境の質を判断し汚染・汚濁負荷の低減を図ろうとする「場の視点」からの取組だけでなく、水量の確保等を視野に入れた流域全体での「流れの視点」からの取組を推進することが重要とされております。
 また、循環型社会及び脱温暖化社会の形成については、循環型社会形成推進基本法の制定に見るように、循環型社会の形成が課題となっていること、京都議定書に基づく施策が進められていることが掲げられてございます。
 次に社会状況の変化のうち環境に対する住民の意識については、環境保全全般に対するものは向上している一方、汚水処理世説の整備に伴い水環境について考える機会が減ってきているのではないかという意見がございました。
 また、汚水処理施設の整備状況については、今後は人口が少ない地域を中心に生活排水対策を進める必要があるとされています。
 さらに、国及び地方公共団体の財政については、厳しい状況が続いていくと考えられております。
 加えて、人口の減少等については、現在は人口密度の高い地域であっても、将来は人口密度が低い条項になり得ること等が掲げられてございます。
 4ページの浄化槽の特徴のうち浄化槽の機能については、他の汚水処理施設と比べて遜色のない性能にまで進歩を遂げているとともに、制度的な改善も図られていること等が掲げられてございます。
 5ページの浄化槽を取り巻く状況を踏まえた浄化槽の特徴のうち環境保全上健全な水循環の構築を踏まえた浄化槽の特徴については、浄化槽は水循環を良好な状態にする機能が期待できること等が掲げられてございます。
 また、循環型社会の形成を踏まえた浄化槽の特徴については、浄化槽は、搬出を必要とする物質の減量化ができること、処理水が散水等に利用できること、重金属等が含まれにくいこと等が掲げてございます。
 さらに、環境に対する住民の意識を踏まえた浄化槽の特徴については、浄化槽は、いわゆる生活・環境実感型施設であること等が掲げられてございます。
 加えて、汚水処理施設の整備の状況を踏まえた浄化槽の特徴については、人口が少ない地域に適合しているとともに、地形や地質による影響を受けにくいこと等が掲げられてございます。 
 このほか、人口の減少等を踏まえた浄化槽の特徴については、浄化槽は、人口の減少、地震等に容易に対応できること等が掲げられてございます。
 7ページの浄化槽に関する課題のうち浄化槽整備区域の積極的設定については、浄化槽への転換が推進されるよう単独処理浄化槽の撤去に対する支援を行うべきであること、単独処理浄化槽の設置者が浄化槽に転換する際に単独処理浄化槽の撤去以外に様々な方法を選択できるようにすることが必要であること、浄化槽と単独処理浄化槽との違い等を理解していただく努力が重要であること、浄化槽の整備区域を積極的に選定するべきであること、汚水処理施設の整備については将来の負担も視野に入れて検討すべきであること、市町村が相談を行うことが可能である体制が整備されることが望ましいこと、市町村は各戸に適した総合的な助言を行うことが望ましいこと等が掲げられてございます。
 9ページの住民参画の促進については、浄化槽に関し更なる周知が必要であること、使用者等の視点に留意する必要があること、環境保全上の必要性等を明確にする必要があること、モデルケースを示すことも考えられること、設置や維持管理の状況に応じメリットやデメリットを感じるような仕組みを研究する必要があること、維持管理の一部について使用者等が容易に行うことができるようにすることが考えられること、環境保全団体等との連携を強化することが重要であること、これらの団体によるネットワークを形成することが重要であること、使用者等の負担が少ない維持管理体制を構築すべきであること等が掲げられてございます。
 11ページの持続的発展が可能な社会の構築のための浄化槽システムの構築のうち小規模事業場への浄化槽技術の導入については、浄化槽による汚水の処理が可能である事業に係る事業場における手引を作成すべきであること等が掲げられてございます。
 また、窒素及び燐に対する対策については、窒素・燐除去型の浄化槽を普及させるべきであること、技術開発の状況等を把握すべきであること、維持管理の手法について検討を続けるべきであること等が掲げられてございます。
 さらに、浄化槽による効果の把握については、浄化槽の水環境全般に対する貢献度合いを把握する方法を研究することが望ましいこと等が掲げられてございます。
 13ページの循環型社会及び脱温暖化社会の形成のための浄化槽システムの形成のうち処理水に係る課題については、公的な施設から処理水の再使用を検討していくことが考えられます。
 また、汚泥に係る課題については、汚泥の有効活用を考慮した体制を構築すべきであること、堆肥化については需給見込みを把握した上で判断することが必要であること、堆肥化以外の方法も考慮することが重要であること、浄化槽汚泥のみの系統を設けることを検討する必要があること、濃縮車・脱水車等の導入などを検討する必要があること、汚泥処理施設の整備についてはPFI事業の利用等も検討する必要があること、汚泥発生抑制技術の導入や維持管理方法の向上による汚泥の減量が重要であること等が掲げられてございます。
 16ページの浄化槽の技術開発については、IT技術の活用やそれに応じた維持管理の検討が必要であること、水域や排出源の特性に対応できる浄化槽の開発を行うべきであること、製造等から廃止までの各段階において循環型社会及び脱温暖化社会の形成を考慮した浄化槽の開発を行うべきであること、使用者等が理解しやすい表示の開発を行うべきであること、単独処理浄化槽から浄化槽への転換が図られるような研究が行われるべきであること等が掲げられてございます。
 17ページの浄化槽の海外展開については、発展途上国以外の地域についても検討することが望ましいこと、国際会議等において環境保全上健全な水循環の構築に貢献できること等の情報の発信を行うべきであること、国際的な学会の開催や標準化も考えられること等が掲げられてございます。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうも御苦労さまでした。
 先ほど来の1時間半ぐらいの諸先生方の御意見を聴いて、今改めて室長から今まで議論したもの、ここに書かれたものを見ますと、大体先生方がおっしゃっていたことはどこかには書いてあるのですね、必ず書いてある。例えば冒頭に出てきました温暖化の必要性とか、それも一応は書いてあるということなのですが、先生方の御意見というのは、やはり順番を付けるとかめり張りをつけるとか、全体的なストーリーをもうちょっと、どこかを見れば書いてあるというのではなくて、もっとわかりやすく、そういうふうにしてくれ、こういうことだろうと思いますけれども。材料は随分出そろったかなと思います。
 まず北尾さん、それから須藤さん。

○北尾委員 余り時間がないので、一つだけ。
 最初のこの図を見ますと、この図ですね。そうすると「浄化槽整備区域の積極的設定」というのは、かなりの大項目として扱っていただいているので、実は私は非常に満足していたのです。ところが、その次の図になるのですが、少しレベルが落ちているような気がするんですよ。さらに、この今の資料を見ますと、7ページなのですが、何かかなりトーンが落ちているというような扱いになっているのです。項目の大項目、中項目、小項目というふうな分け方で考えますと、それが非常に不満であるということが第一。
 それから、その中に書いてあることで、例えば「汚水処理施設の整備区域を設定した上で、残った区域を消極的に浄化槽の整備区域とする計画をしている市町村が見受けられる」というようなこと、これは事実でしょうけれども、こんなのは私の意見ではもう論外で、むしろ現状のすみ分けより、もっと積極的に浄化槽を活用すべきだというような書きっぷりが欲しいと思うのですよ。つまり「社会的、経済的、技術的な将来の変化を見据えた先見性のある整備区域の設定」ということを書いていただきたいと思います。社会的、経済的というのは、もう私が申し上げるまでもなく大体御存知だと思いますが、技術的に言っても下水道というのは、もうずっと長い歴史があって、技術的な進歩というのは、もう遅々たるものしかないわけですね。それに比べれば、まだ浄化槽というのはこういうものが出だしてから、20年ちょっとしかたたないわけで、まだまだ技術的な発展の余地は大きいわけです。それに対して、こういう汚水処理施設の整備というのは10年、20年、長い場合はそれ以上かけて行われるものですから、現在集合施設の方が有利な地域でも、将来的には逆転するということは、社会的、経済的あるいは技術的、どの面から見てもあるわけですよね。そこまで踏み込んだ書き方を、私は是非していただきたいです。

○加藤委員長 大変重要な、かつパワフルなステートメント、ありがとうございました。
 須藤先生。

○須藤委員 先ほど申し上げたことは多分入れてくださるのだろうと思うので、これは前回までですよね。

○加藤委員長 はい。

○須藤委員 特にさっき申し上げましたように、社会、経済的あるいは自然科学的、様々な技術的な研究の促進とか、人材の確保ということは是非入れていきたいのと、それから先ほども先生方がおっしゃった意識啓発だって研究しなきゃだめですよね、意識啓発の手段とか。そういうのは、社会経済に入るのかもしれませんけれども、そんなことはやはり入れていただかないといけないかなと思うことですよね。特に人材育成。
 それからもう一つ、前回私申し上げたと思うのだけれども、推進体制というんですか、いっぱいこうやって、これを実行するのだけれども、浄化槽の分野というのは核になる部分というのは比較的少ないですよね。例えば市町村の技術者が相談に行こうといったって、教育センターに行くのか、環境省に来るのか、県に行くのかというようなことがあると思うのですけれども、例えばさっきの面整備とかいろいろなことをやるにしてもですね。そういう機関の推進体制。例えば今、環境教育、国安さんの前で失礼だけれども、教育センターはその役割をまだ演じていませんよね、あんまりね。ですから、そういう機関を新しくつくるのか、あるいは教育センターのある部門をもっと強化するのかとか、そういうことをやっていかないとそれぞれのところで、これからさっきのようにどんどん促進するのでしょう、積極的に設定したりしてやるのでしょう。そのときに窓口というのですか、そのコンサル、そういうこともできるような機関もつくらないと、今の場合だと、やはりだれに言っていいかわからないということになるような気がしてならないのですね。そういう意味なので、前回申し上げたとおり、その辺はちょっとどこかに、後書きなのかもしれませんけれども、これを推進するためには何とかかんとかというようなことになるのかもしれないけれども、そういうことも必要ではないかなというふうに思いました。

○加藤委員長 なるほど。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それから、先ほど松田さんの方から、この2枚紙と、もう一枚あると非常によくわかって完璧だと、こうおっしゃったのですが、それにこの文章があるわけですね。そのビジョンで何だということになると、この文章がビジョンなのか、この絵がビジョンなのかという、こういうことになるのですけれども、あるいはその両方くっつけたものが、両方全部そろったものがビジョンであると。
 先生方のビジョン、私はよく事務局の方に申し上げるのですけれども、最近皆さんいずれも忙しくなってきて、余り長い文章を読んで、長い文章を16ページの文章を読んだら、やっとビジョンがわかったというのではなくて、やはり端的にさっとわからなくちゃいけないと。そうかといって、我々は別にイラストレーターじゃないから、一応曲がりなりにも中央環境審議会の専門委員会であるから、単にイラストだけぽんと出しゃいいと、幾らわかりやすくても出しゃいいというものではない。やはりこういう、せっかく何十時間もかけて議論をしたわけですから、こういうものもなくちゃいかんと、こういうことなのですけれども、事務局も優秀なお役所の皆さんですから、やはりこの文章を作るということには非常にエネルギーを注ぐんですが、どういうのが皆さん方の、ビジョンができたという暁は何がビジョンなのかというのは、松田さんなんかはどんなふうに考えますか。

○松田委員 国民のわかりやすさということは、やはりビジョンを、目標設定みたいなものなのですけれども、もう1枚あってほしい。脱温暖化というキーワードで循環型社会という目標に向かって浄化槽はどう動いていくのだという、こういうビジョンがあって、ではこのビジョンに対する実現可能な社会、基本的な考え方というところで、二つの柱が住民参加とプログラム、重点地域での推進というのがあって、なぜそういうことをするのかというのがここに書かれていて、三つあれば勉強するときに非常にありがたい。
 私、もう一つ提案なのですけれども、私たち市民は割と行動するのが好きなのですよ。ですから、これを読むのはなかなか難しいのですけれども、ではどういう行動をすればいいかというときに、須藤先生がおっしゃった国レベルの推進体制のほかに、市民が動きやすい活動プログラムというのをつくる必要があると思うんです、住民参加のための。そのときには、環境省のリサイクル推進室が既にごみ問題をやってきたツールが使えると思うのです。それは、各地域の市町村に廃棄物減量審議会というのがあるのですけれども、あそこが結構コミュニケーションになっているのです。そこに「浄化槽」というものを一つ加えて勉強させていくというのがあります。
 それから今度はごみ減量推進員というのを環境省はおつくりになったのですけれども、あれがごみの仲間を広げるすごいツールになっているのです。あの方たちというのは、地域の中の活動的で、しかも地域で信用される方たちを行政は取り入れてくるわけですけれども、彼らが行政と一緒に自分の地域を考えていくと、プログラムを自分たちでつくっていくのですね。ですから、この浄化槽ビジョンというのは、私は一番、由田さんがおつくりになった今から20年くらい前の廃棄物処理法の改正みたいな時期に来ているかなと思っていまして、この浄化槽ビジョンというのが出ることによって、世の中が更に明るく転換するということであれば、是非ひこれを法律改正とか何かになるのかなと思うんですが、住民参加をしていくことがしやすいツールを、是非盛り込んでいただきたい。
 以上です。

○加藤委員長 実施体制という、前回も正に須藤先生がおっしゃられて、実施というか推進体制ですね。どなたに聞いたら、いろいろな技術的な問題とか、いろいろなことをぱっと答えられて、恐らく今教育センターに皆さん随分出かけていっていると思うのですが、教育センターはそのためにあるというよりは副次的にやっていらっしゃるということでしょうね。恐らく、そもそも字義どおり、技術者を教育するというのが目的でありますから、コンサル業が目的というわけじゃないと思うのです。そういうものも、現実は随分やっていらっしゃるのではないかなと思うんですが、そういうものをつくっていくという中で、今、行政の人が出かけていくにはそういうところがあっても、市民がどこに出かけていったらいいかですね。そしてまた市民の中で、松田先生がおっしゃったのは市民のいろいろな自治体の中で、例えば環境審議会とか、ごみ審議会とか、廃棄物審議会とかある中に、もう一つ浄化槽専門委員会みたいなものをつくってもらうと、それは自治体が決めることではありますけれども、各自治体の審議会が決めることでありますけれども、そういうことも一ついいのではないかということですか。

○松田委員 はい。新しくつくることではなくて、廃棄物ごみ減量推進会議、推進委員会というのは、いろいろなNPOの方がこのごろ参加しているのです。そこにセットで「浄化槽」というのをごみと一緒に入れてしまえば、新しくつくらなくて項目を組み合わすだけで随分変わってくるだろうと。その審議会に入れない方たちは、みんなごみ減量推進委員という形でその下部に入っていますので、そこへつなげていけば、ごみとし尿とセットで考えようという、浄化槽とセットで考えようという話が効率的に広がると思うのですね。

○加藤委員長 なるほど。はい、ありがとうございます。
 そのほかに、はい、どうぞ。

○新美委員 ビジョンとしてどういう報告書を書くか、私はやはり文章でしっかり書き込むことが出発点だろうと思いますので、是非これを文章で書いたものを整えていただくという作業がまず基盤にあると思うのです。
 あとは松田委員がおっしゃったように、それをいかに可視化するかという作業です。こういうペーパーでいくか図を書くというやり方は、従来からありました。加えて、このごろアップロードしているわけですので、これをオンラインで結ぶかはどうかはともかくとして、eラーニングなんかの、あるいはeコマースなんかの手法を使って、例えば浄化槽をめぐる幾つかの主要なターゲットができたら、そこをクリックしたら、それをややブレークダウンしたようなものが、またビジュアル化された形で説明できるというようなものができれば最適ではないかと思うのですね。それも同時にできるかどうかはともかくとして、この報告書を書いた後に関係当事者、NPOとか、あるいは自治体の議員さんなんかも10分か15分でさっと中がわかるような、そういうプログラムをつくってもいいのではないかと思います。紙でやるというと同時に、今言ったデジタル化したものをうまく考えると。

○加藤委員長 こういうものもあれですし、それからそもそもウェブの上でいろいろと見る。それはもう先ほど由田部長が、ホームページとかそういったものの充実みたいなことをおっしゃいましたけれども、インターネット時代にふさわしいと。
 ただ、新美先生のあれは、一応これを基本にする。

○新美委員 やはり原点がないとまずいですね。

○加藤委員長 ちゃんと書いておくと。書き込んだ上で、そしてその上でこういう説明資料としてあれすると、こういうことですかね。
 ほかに。

○木曽委員 今のこのペーパーのタイトルが「浄化槽ビジョンに盛り込むことが考えられる事項」ということで、「事項」ということですね。

○加藤委員長 現時点ではですね。

○木曽委員 という点で整理されておりまして、そういうふうに読めば非常にいい教科書ではあるのですけれども、そのビジョンとして何なのかということが、やはりこの段階では明確になっていないと思いますので、その辺は多分きょう出てまいりました1枚目という方が、よっぽどビジョンとしては見えてくる状況だと思いますので、このビジョンというべき、ここの今までの取りまとめた事項とこれの位置付けといいますか、その辺がまだまだちょっと不明確に思っております。

○加藤委員長 わかりました。
 私の理解では、もし間違っていたら室長にでも訂正いただきたいのですが、今まではこれは先生方から出てきた、つまりビジョンの中に盛り込むべき、正に事項が書いてあると。ビジョンそのものが書いてあるわけじゃないわけですね。しかし、今、先ほど新美先生のお話ではありませんが、一応文章としてはビジョンとして、今度は盛り込む事項じゃなくて、ビジョンそのものが文章化されると。余り長々しい、何十ページの大論文じゃなくて、というのは現在16ページですが16ページ程度の、あるいはそれよりも少なくてもいいと思うのですが、しっかりとビジョンそのものも書き込むと。しかし、これだけではなかなか住民や何かに説明、あるいは忙しい市会議員さんとか首長さんとかに見てもらって、浄化槽というのはなるほどこういうことなのかと、ぱっとわかるのには、やはりこういうものが要るということで、こういうものも同時に準備をすると。ビジョンに不可欠なものとして準備をしておくと。それとはまたちょっと離れて新美先生のおっしゃったように、そのビジョンができた後でいいと思うのですが、ウェブで自由に浄化槽について検索をしたり、情報をもらったりということができるようにしておくということが、そういう3段構えみたいなあれかなというふうに思うんですが、大体そんなことでいいんでしょうか。
 なかなか大変な宿題で、松原室長や課長さんも、また年末に予算時期で忙しい中なかなか大変だと思うのですが、私も若干お手伝いは、もし必要ならば致しますけれども、大したお手伝いはできませんが、先生方の御意向を最大限入れて次回にそのビジョン、今度は盛り込むべき事項じゃなくてビジョンそのものを次回には出して、先生方の御批判を、御批判じゃないですね、御意見を頂いて、更によくしていくと。もちろん必要ならば冒頭に申し上げましたように、もう1回1月15日だったと思いますけれども、それで仕上げるというぐらいでいきたいなというふうに思っております。
 何も1月まで頑張りますという意味じゃありませんが、もしいいものができて、先生方これでよろしいということになれば次回ぐらいで大体終わってしまうと、ビジョンづくりそのものはですね。もちろんそこから先がまたあるのですが、そういうことでございます。
 というわけで、次回は。

○浄化槽推進室長 12月25日午前に本日と同じ環境省第一会議室で開催する予定でございます。

○加藤委員長 よろしいでしょうか。クリスマスの日、クリスマスは余り関係ないですが、私なんかは全く関係ありませんが、たまたま12月25日、暮れも暮れ、大つごもりというのですか、それは古く言うとですね、また25日にお目にかかります。
 どうも今日はありがとうございました。

午後 0時03分 閉会