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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 第1回浄化槽専門委員会議事録


  平成17年5月25日

午前10時01分 開会

○鎌田浄化槽推進室長 おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまから第1回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 委員会の開始に先立ちまして、南川廃棄物・リサイクル対策部長よりごあいさつ申し上げます。

○南川廃棄物・リサイクル対策部長 どうも皆さん、おはようございます。廃棄物・リサイクル対策部長、南川でございます。よろしくお願いいたします。
 最初からワイシャツで失礼いたします。実は私どもは6月からネクタイもとることになっておるところでございます。6月5日には、我々も全部出向きまして、新夏の常識クールビズということで、ネクタイも上着もなしでどうやって温暖化対策を含めて新しいライフスタイルを確立するかということにチャレンジするということで省議で決定し、なおかつ閣議でも了解を求めたということでございます。したがいまして、今日はネクタイをしておりますけれども、次回からはネクタイもなしで、できればワイシャツでなくてもう少し違うシャツで我々全員が参加させていただきたいと思っております。したがいまして、先生方もぜひ上着は早い段階でおとりをいただければ大変幸いでございます。
 それで、今日から浄化槽の専門委員会が始まるわけでございます。おかげさまで改正浄化槽法は無事国会で成立をいたしました。議員立法ということでやらせていただきました。これは従来から議員立法できていたという経緯がございます。ただ、内容的には公共用水域などの水質保全を目的として浄化槽が活用されるということが明記されたわけでございますし、それに向けて環境省として必要な基準などをつくるということになったわけでございます。したがって、非常にその性格が明確になったということでございます。
 そういうこともあって、今日ここで専門委員会が立ち上がるわけでございます。大変そういう意味で記念すべき日だと思いますし、ぜひ実りあるご議論をお願いしたいと思っておるところでございます。
 私ども、浄化槽をいろいろ扱うにつきまして、いろんな自治体の方のお話も伺いました。何人かお伺いした中で特に印象に残っておりますのは、もともとが市町村財政が厳しくなって、経済的にお金のかかる下水道などができなくなったということで、やむなく浄化槽に変えたと。ところが、浄化槽に変えた結果として地域の水量も増えた、蛍の里も復活したということも随分聞いております。従来であれば、遠いところの上水道から水が流れてきて、また遠いところの下水に流れていくということで、要はその水は家庭を通るだけということだったわけでございますけれども、浄化槽であれば、どこから来るかは別にしましても、少なくとも家の地先に出るということで、地域の水になるということであります。そういう意味で、自然浄化の問題も含めて、非常に多くの方が水問題に関心を持つ契機になったということもお伺いしておるところでございます。
 ただ、幾つかぜひ今回ご議論をいただくについてお願いしたい点がございます。若干しつこくなるかもしれませんが、少し私なりの問題意識をお話しさせていただきたいと思います。
 合併浄化槽自身は、水質保全の武器としてこれから使えると思っておりますけれども、現実は決して甘いものではないということがございます。全国に約870万台ほどの浄化槽がございますけれども、合併浄化槽は約200万台弱でございます。合併浄化槽だけについては、敷設についての補助金も出してあるわけでございますけれども、必ずしも順調に転換が進んでいないということがございます。お金の問題もございますけれども、下水道などとの二重投資を避けるという観点からの制度的な制約もあるわけでございます。こういった現実の中で、どうやって合併浄化槽を普及させていくかという視点を常に持っていきたいと考えておるところでございます。
 2点目でございますけれども、浄化槽は非常に多くの関係者がおります。実際にそれを使っていただく使用者の方、家庭でございますけれども、それから保守点検、清掃などをする中小の事業者の方、それからそれを管理しまた監督する市町村と、そういった多くの主体があるわけでございます。とりわけ、その中での使用者にどうやって合併浄化槽を使うことを喜んでいただけるかという視点が非常に大事かと思っております。お金の問題もございます。手間の問題もございます。それから、逆に目の前に自分の使った水が出るということについて、それがきれいになれば、そういう喜びもあるということだと思います。そういったお客さんにいかに喜んでいただくかという視点を常に持ち続けたいと考えておるところでございます。
 3点目でございますけれども、浄化槽については日本独自の技術だというふうに承知をしておるところでございます。これからも当然、技術開発、革新が必要な分野でございます。例えば、最近でございますが、ダイオキシン対策のように一気にやったということもございます。これは着手が遅れたとかがあるかもしれませんけれども、世界に冠たる燃焼技術であったわけでございますが、一気に技術も進み、なおかつ投資も進んだわけでございます。ただ、その反面といたしまして、その後ばったり炉の投資がやんでしまいまして、会社によっては炉の関係の部署を閉めると。したがって、その関係の技術開発もとまるというようなこともあるわけでございます。
 やはり技術というのは、ステップ・バイ・ステップでその技術開発が進むことが望ましいと考えてございまして、できるならば合併浄化槽、単独浄化槽あるいはくみ取りからの合併浄化槽の転換についても現在よりはピッチを上げながらも一定のペースで転換が進み、将来的には耐用年数を過ぎた古い合併浄化槽がまたより高度なものに変わっていくということが技術開発を進める上では望ましいかというふうに思っているところでございます。ぜひ長い目での視点もお願いしたいと思っているところでございます。
 いろいろと申しましたけれども、当座ぜひこうしたいということで制度的に縛りをかけた上で行うべきこと、それから中長期的な観点からこうあるべきだということ、いろいろあると思います。そのあたりについて、当初はいろんな議論が当然あると思いますけれども、ぜひ議論を収束するときには、当面の話とそれから中長期的な問題ということを整理した上で、私どもに助言をいただければというふうに考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 続きまして、事務局である環境省の職員をご紹介申し上げます。
 ただいまごあいさつ申し上げました廃棄物・リサイクル対策部長、南川でございます。

○南川廃棄物・リサイクル対策部長 どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 同じく企画課長、谷津でございます。

○谷津企画課長 谷津でございます。

○鎌田浄化槽推進室長 廃棄物対策課長、由田でございます。

○由田廃棄物対策課長 由田でございます。よろしくお願いします。

○鎌田浄化槽推進室長 浄化槽推進室の鎌田でございます。よろしくお願いします。
 次に議事に入ります前に、お手元の配付資料をご確認願います。
 議事次第の裏に配付資料一覧がございます。また、配付している資料の右肩に資料の番号を振っております。参考資料は3つほどございます。不足がございましたら、適宜我々にお申しつけくださいますようよろしくお願い申し上げます。
 それから、委員の紹介をさせていただきます。席順で私の方からご説明申し上げます。
 お手元の資料1に委員の名簿がございますが、まず株式会社環境文明研究所代表取締役所長、加藤三郎委員でございます。

○加藤委員 加藤でございます。どうもよろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 それから、順に申し上げます。
 埼玉県環境科学国際センター研究所長、河村清史委員でございます。

○河村委員 河村です。よろしくお願いします。

○鎌田浄化槽推進室長 次に豊橋技術科学大学名誉教授、北尾高嶺委員でございます。

○北尾委員 おはようございます。よろしくお願いします。

○鎌田浄化槽推進室長 それから、続きまして豊橋技術科学大学エコロジー工学系教授、木曽祥秋委員でございます。

○木曽委員 木曽でございます。よろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 次に、財団法人日本環境整備教育センター調査研究部部長、国安克彦委員でございます。

○国安委員 国安です。よろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 埼玉県環境科学国際センター総長、須藤隆一委員でございます。

○須藤委員 須藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 明治大学法学部専任教授、新美育文委員でございます。

○新美委員 新美でございます。よろしくお願いします。

○鎌田浄化槽推進室長 それから、本日ご欠席でございますが、生活環境評論家、松田美夜子委員にもご了承いただいているところでございます。
 続きまして、東京大学環境安全研究センター・センター長・教授、山本和夫委員でございます。

○山本委員 山本でございます。よろしくお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 北海道大学大学院経済学研究科教授、吉田文和委員でございます。

○吉田委員 吉田です。よろしくお願いします。

○鎌田浄化槽推進室長 それでは、議事に入らせていただきます。
 それではまず、本専門委員会の委員長につきまして、廃棄物・リサイクル部会の部会長である田中部会長からご指名がございまして、ただいまご紹介申し上げました加藤三郎委員にお願いすることとなっております。今後の進行につきましては加藤委員長の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○加藤委員長 どうも改めまして、皆さんこんにちは。おはようございます。
 今、ご紹介のありましたような経緯で田中部会長さんからのご指名ということで、大変僣越ながら当専門委員会の委員長を務めさせていただきます。ひとつよろしくお願いいたします。
 私自身は今ご紹介にありましたように、株式会社環境文明研究所というところの代表ということになっております。それから、気分的には一番力を入れているのがNPO法人環境文明21という、そういうNPOを実質的に12年間ほどやっておるわけでございます。そういう人間がなぜこの委員長かということについて、一言だけ私のプロフィールの紹介をかねて、ちょっと一言だけ申し上げておきますと、今から20年ほど前に、当時この廃棄物行政ないしは浄化槽行政というのは厚生省で担当しておりました。これは皆様ほとんどの方がご高承のことだと存じます。私は実は、20年前に現在で言う廃棄物対策課、当時環境整備課というところの課長を拝命しまして、初めて浄化槽というものにぶつかりました。当初は、浄化槽というのは確かに水洗便所にはつながるけれども、し尿のようなあんな濃い廃液を小さなタンクで処理ができるはずがないと実は思い込んでおりまして、したがって、浄化槽などというものは安かろうが悪かろうの代表的なものではないかというふうに実は就任直後は思っておったわけです。その前からの私のなにがしかの知識がそういうふうに思わせたというわけです。
 ところが、実際就任していろんな人から説明を聞き、また実際勉強してみますと、私の知らない間に合併処理浄化槽というものが日本の民間の努力によって開発されて、しかも、それは従来私が若いときに浄化槽というものに持ったイメージと全く違うものが、似て非なるものができてきたということと、非常に性能のいいものができてきたということに非常に驚きまして、それ以来、こんないい生活排水処理施設があるんだったら浄化槽をもっと進める努力をすべきではないかということで、当時の担当の職員としてはそれなりに頑張ったつもりです。国庫補助金の導入でありますとか、それから現在、今隣に座っている鎌田さんのポスト、当時は浄化槽対策室と申しましたが、そういう部屋をつくって浄化槽というものを本腰を入れて進めると、そういう仕事の一端をさせていただきました。3年足らずの非常に短い時間でありましたけれども、その浄化槽との出会いが私にとって非常に印象的でありまして、それ以来、役所も離れ、全く違った世界のNPO活動をしておりますけれども、相変わらず浄化槽に関心を持ち続けて、自称浄化槽の私設応援団と、自分ではそういうふうに思っております。
 最近は、日本で非常に有効に使われている生活排水処理システムとしての浄化槽というものが日本でこれだけ使われているんだったら、世界で使われないはずがないというふうに思いまして、世界で使われるための条件というのは一体どんなものか、世界でもっともっと使ってもらうためにはどうしたらいいのかというようなことをNGOの立場でここ数年、少しばかり努力をしていると、そういうわけでございます。そういう多分ご縁があって、この大事な専門委員会の委員長を仰せつかったというふうに理解をいたしております。
 先ほど南川部長から大変重要なごあいさつもいただきましたけれども、とりあえず浄化槽法の改正に伴う諸課題をまずこの専門委員会として諸課題に対する回答を出すというのが1つと、それからさらに浄化槽のあるべき姿、先ほど南川部長のおっしゃる中長期的な浄化槽のあるべき姿、そういったものも少し皆さんでご議論できればいいなというふうに思っております。そういうわけで、この当専門委員会、当たり前ですけれども、どうぞご忌憚なく自由にご発言のほどをお願いいたします。
 それでは、早速本専門委員会の運営につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○鎌田浄化槽推進室長 資料2及び資料3をごらんいただきたいと思います。
 資料2が先月4月26日に中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会の方で決めていただきました本専門委員会設置についてというものでございます。
 内容は、中央環境審議会議事運営規則に基づきまして、専門委員会について決定するということでございまして、1.廃棄物・リサイクル部会のもとに浄化槽専門委員会を置くこと。2.専門委員会におきましては、浄化槽の整備、維持管理など浄化槽による生活排水の処理に関する専門の事項を調査することなどを定めているところでございます。
 それから、資料3でございますが、その運営の方針につきまして、1、会議の公開及び出席者ということで、会議は原則として公開するものとし、委員長は会議を非公開とすることができるということが定められております。また、出席につきましての代理出席は認めないというふうになってございます。
 2といたしまして、会議録でございますが、会議録は発言の内容を正確に記載するものといたしまして、その調整に際しましては、出席した委員の皆様方のご了承を得るということとしております。また、その会議録につきましては、委員の方に配付するとする一方で、その会議録をも公開するということとしておるところでございます。それが本専門委員会の設置及び運営に関する事項でございます。
 簡単ですが、以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまのことにつきまして、鎌田室長の方からご説明あったことにつきまして、何かご質問はありますか。ちょっとわからなかったとか。そこはよろしゅうございますか。
 それでは、次に進みましょう。

○鎌田浄化槽推進室長 それでは、資料4をごらんいただきたいんですが、浄化槽専門委員会の設置の趣旨及び検討項目につきましてご説明申し上げます。
 冒頭の南川部長のあいさつにございましたが、当面の解決すべき諸課題と中長期的な議論をしていただくというようなお願いが我々にございますけれども、そもそも、ではなぜこの専門委員会を設置するに至ったかということにつきまして、この資料4に書いているところでございます。
 (1)設置の趣旨でございますが、浄化槽は使用開始後の維持管理が適切に行われなければ、その本来の機能が十分に発揮されず、生活環境や公共用水域の水質に悪影響を及ぼすこととなる。このため、浄化槽におきまして、浄化槽の維持管理にかかる一連の規定ということが定められているところでございます。
 この浄化槽法は昭和58年に制定されたところでございますけれども、これは昭和40年代から50年代にかけまして、急速に普及した単独処理浄化槽の適正な管理ということを目的として制定されたわけでございますが、その後、加藤委員長からもお話がありましたが、合併処理浄化槽というものが普及いたしまして、それにどう対処するのか、また合併処理浄化槽の特性を考え、どうするのかということで、合併処理浄化槽のみを浄化槽として単独処理浄化槽は原則設置を禁止しましょうという改正が平成12年になされました。さらに、今回の改正はその12年改正の延長に立ちまして、法律の目的に公共用水域等の水質の保全との観点からし尿及び雑排水を適正に処理するということを明記いたしましたし、それを踏まえて放流水の水質にかかる基準を設けるということで、合併処理浄化槽にふさわしい法体系を整えることができたという状況にございます。
 したがいまして、今回の改正法におきまして、新たに創設される放流水の水質にかかる基準、あるいは設置後の水質検査である第7条検査の時期など、維持管理にかかる技術的事項というものが省令において規定するようゆだねられましたものでございますので、こうした省令に関する事項を検討していただくために中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会のもとに浄化槽の技術にかかる専門的知見を有する方々にご検討いただくという意味で、この専門委員会を設置したというところでございます。
 また、一方でそうした法律改正を受けての検討ということに加えまして、そもそも浄化槽というものについては、公共用水域の水質の保全に資する浄化槽とするためには適正な維持管理の実施ということが求められているわけでございますけれども、この維持管理に関する業務の詳細につきましては、省令あるいは通知といった下位法令に規定されております。したがいまして、今回放流水の水質の基準とかいうことにつきましては省令で定めるわけでございますが、そうしたこととどのような関係があるのかを含めまして、維持管理業務のあり方も含め、本専門委員会において検討していただければと考えているところでございます。
 その際には、先ほど部長の方から申し上げましたが、専門的、技術的な観点に加えまして、維持管理にかかる業務の関係、業務の実態はどうなっているか、あるいは各業務の内容について設置者の方々、使用者の方々からわかりにくいという声もあるわけでございますので、これが浄化槽に対する不信感となっていることも否定できないということで、設置者の不信感を払拭し、浄化槽の信頼を確保する視点というのも必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
 また、さらに今回の法律改正の過程におきまして、幾つかの浄化槽の抱える課題ということも指摘されましたので、それについてもご意見賜ればというふうに考えてございます。さらに、こうした事項につきましては、関係する業の方々からきちんと現場の声を聞いて実情の把握を進めるということも専門委員会の運営に際して考えていただければと考えているところでございます。
 その裏をごらんいただきたいのでございますが、こうした設置の趣旨を踏まえまして、検討していただきたい事項ということをここに記載しているわけでございますが、まずは1番目といたしまして、平成17年、今回の法律改正に伴う省令事項の検討ということで、浄化槽からの放流水の水質の基準、それから第7条検査の検査時期、指定検査機関から都道府県への報告事項、廃止届に関する事項、それから、それに伴う事項などを考えているところでございます。
 大きな2番目といたしましては、浄化槽の維持管理にかかる業務のあり方としまして、1としまして、現状の分析、検討、例えば維持管理業務にかかる現行の規定の考え方、その内容、保守点検、清掃、法定検査の現状、業務の実態はどうなっているのか、それに伴う費用は一体どうなっているのかということ。それから、業者の業態、検査機関の体制といったことを分析、検討していただければと考えているところでございます。
 さらに、今後のあり方といたしましては、浄化槽の性能の向上、例えば処理方式の違いなどをどう対応していくのか。国民の浄化槽の信頼性の要求レベルの向上にどう対応していったらいいのか。そして、維持管理業務にかかる規定をどう考えていったらいいのかということを検討していただければと考えているところでございます。
 その他といたしましては、単独処理浄化槽の対策、そしていろいろ後でご説明しますが、もろもろのことをご検討いただければと考えております。
 3番目といたしまして、スケジュールでございますが、まず法律の施行は2月1日でございますが、その準備等を考えますと、本専門委員会では8月末をめどにとりあえずの中間的な取りまとめをしていただければということでございまして、さらに、ここに掲げている事項につきましては、最終的な取りまとめも年内に行っていただければということで考えておるところでございます。
 これが全般的、総合的なことでございますが、以上でございます。詳細はまた追ってご説明いたします。

○加藤委員長 早速、この資料4に絡めて先生方からご質問なりコメントなりいただきたいと思うんですが、そのためにもやっぱりこの資料の5と6だけはあらかじめ先にご説明いただいた方がいいかなと思います。その方が先生方からご自由にいろんな意見が出てくると思いますので、5と6だけとりあえずやってください。

○鎌田浄化槽推進室長 わかりました。
 それでは、資料5、それを踏まえての論点ということで資料6をご説明申し上げます。
 資料5は平成17年浄化槽法改正の概要でございまして、大きくこの4つの事項からなっております。あと、法律改正の参考資料として浄化槽の一部を改正する法律要綱、それから条文、新旧対照表というものを参考資料でご用意してございます。
 まず、目的の明確化、第1条関係でございますが、ここに書いていますように、近年浄化槽の置かれている位置づけの変化、つまり浄化槽というものは平成12年改正におきまして合併処理浄化槽だけということにしまして、公共用水域の生活排水対策をしていくんだということでございますので、そうした位置づけの変化を踏まえまして、浄化槽法の目的に公共用水域等の水質保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図るということを明示したわけでございます。浄化槽がきちんと公共用水域の水質保全に資するものだということを明らかにした上で、2.でございますけれども、浄化槽からの放流水にかかる水質基準を創設したところでございます。これは浄化槽からの放流水の水質を担保するために、環境大臣が浄化槽から公共用水域等に放流される水の水質につきまして、環境省令で技術上の基準を定めるというふうにしたわけでございます。
 そして、あわせまして、現在浄化槽の構造基準については建築基準法令の中で定められておるわけでございますが、浄化槽法に浄化槽の構造基準はこの環境大臣が定める基準が確保されるものとして定めなければならない旨規定されたわけでございます。
 それから、3.でございますが、浄化槽設置後の水質検査の検査時期の適正化ということでございまして、浄化槽は実際に一定期間使用した後でなければ微生物が安定せず、所期の処理性能が発揮できませんので、浄化槽法制定当時の技術基準と現在の技術基準を照らし合わせまして、使用開始後6月を経過した日から2カ月間に7条検査を受けるとされていることにつきまして、環境省令で定める期間内に受けなければならないというような形に改正いたしました。
 4番目でございますが、浄化槽の維持管理等に対する監督の強化ということでございまして、[1]法定検査の実施の確保ということでございまして、ご案内のとおり法定検査、特に11条の定期検査の実施というのがあるわけでございますが、法定検査が確実に行われて、その結果に基づいて都道府県が適切に指導監督を行うように、法定検査を受検しないものに対する指導・助言、あるいは勧告、命令といった指導監督にかかる規定を設けたというところでございます。これにつきましては、最終的な命令に従わなければ罰則ということにもなっているわけでございます。
 それから[2]でございますけれども、きちんと検査をしたら、それが県へ行って指導につながるよう指定検査機関から都道府県への検査結果の報告という規定を設けました。都道府県の指導監督の強化を図るため、指定検査機関が水質に関する検査を実施したときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく環境省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならないというふうにしたわけでございます。
 裏をめくっていただきたいと思います。
 浄化槽の使用廃止の届け出の義務づけでございまして、浄化槽法には現在、設置届というものがございますけれども、設置の状況を確実に把握するためには、浄化槽の使用の廃止についても把握する必要があるということでございまして、それを法令上きちんと定めて、省令で定めるところによりまして、廃止した日から30日以内にその旨を都道府県知事に届けなければならないということにいたしました。
 そのほか維持管理の強化を図る観点から、今まで報告徴収・立入検査の対象に保守点検の業者が入っていなかったというところで保守点検の業者を入れたり、それから、検査機関にかかる環境大臣の指定、これは行政改革の観点からですが、そうした一連の規定を整備したするなどの所要の規定を図ったところでございます。それから、施行期日は2月1日となっているわけでございます。
 そうして、今こうした平成17年の法改正を受けまして、幾つか環境省令というふうに申し上げたわけでございますけれども、その環境省令に定める事項ということはどんなものがあるのか、どういった論点なのかというものが資料6でございます。一つは、先ほど申し上げた浄化槽からの放流水にかかる水質基準ということでございまして、これを定めていただきたいと考えておりますが、これにつきましては、まず浄化槽からの放流水にかかる水質基準は、浄化槽の開発・普及状況に照らしてBAT(現時点で適用可能な最善の技術)あるいはBATNEEC(過大なコスト負担なく利用可能な最善の技術)の観点から定められるべきではないかということが考えられますし、そうしますと、合併処理浄化槽につきましては、国庫補助の対象としております合併処理浄化槽の処理性能であるBOD20ppmなどを参考にしたらどうかというふうに考えているわけでございます。
 それから、単独処理浄化槽については、その放流水にかかる水質基準はどのような値にするべきかという議論があろうかと思っておりますし、また、BOD以外にもどのようなものが水質基準として項目で定めるべきか否かということについてご検討いただければと思っているわけでございます。
 それから、2番目でございますけれども、浄化槽設置後の水質検査の時期でございますけれども、浄化槽の技術が進歩した結果を受けまして、浄化槽の機能が安定化するまでの期間が短縮しておるという状況を踏まえまして、今、6カ月から8カ月というような検査時期でありますが、それがどの程度検査時期が前倒しできるのかどうか。それから検査期間につきましても、今2月間となってございますが、検査機関の検査員のやりくりなども考えると、どの程度幅を持たせた方がいいのかどうかといったことについてご意見を賜ればというふうに考えております。
 それから、3番目、4番目は多分に技術的、事務的なことでございますが、3番目は指定検査機関から都道府県への検査結果の報告内容をどのようなものにすべきか。浄化槽の維持管理に対して、適正かつ効率的な指導監督が自治体で行える必要最低限というのはどんなものがあるのかどうかということでございます。
 それから、4番目といたしましては使用廃止の届出、これは様式でございますけれども、これも同じように適正、効率的な観点から最低限のものはどんなものがあるのかということでございます。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 少し役所からの説明が長くなりましたけれども、この専門委員会というのは何をするためにできたのか、要するに我々何をすれば答えを出したことになるのかというのを明確にするため、第1回ですのでご理解をいただきたいと思って、あえて一括して4、5、6という資料を説明していただきました。
 先生方お聞きのとおり、要は我々としてなすべきことというのは、法律が改正されたばかりの改正浄化槽法の要請にこたえると。では、要請とは何ですかというのが資料5に書かれているわけですが、むしろ端的には資料6に書かれているわけですけれども、浄化槽からの放流水にかかわる水質基準を決めてくださいと。もちろん最終的には役所が決めるわけですが、審議会として適切な意見を申し述べると、こういうことだと思います。
 そうすると、あれ、浄化槽に今まで水質基準なんてなかったの、よくBOD20とか90とか何とかよく言うじゃないの、あれ何だったのと、こういうことになる。もちろん浄化槽について精通していらっしゃる方はよくわかっていらっしゃるわけですが、必ずしも精通していない方にしてみれば、浄化槽はよく20ppmと言うが、あれは何だったの、今回何か新たに創設したなんて言うけれども、どういうことなのと、そういうようなことももちろん理解をしていかなければいけないし、それから、水質検査の検査時期だとか、そういった適切な検査時期を設定するにはどうしたらいいかとか、そういうようなことが、要は浄化槽法の改正に伴って、新たに発生する省令とかそういったものの適正、的確を期するために審議会としての意見を申し述べたいと、こういうことが一つだと思います。
 それで、冒頭にもありましたように、8月ごろに中間的なお答えをいただいて、最終的には年内をめどにと、こういうことなんですが、なぜ8月かというのは、これは予算に絡めることだと思うんですが、その辺は室長ちょっと、なぜ8月にお答えをまず中間的に出してくれと言うのかというのをちょっとご説明いただけますか。

○鎌田浄化槽推進室長 役所サイド、事務方の都合を申し上げると非常に口幅ったいわけでございますが、2つございまして、1つは今先生からご指摘があったように、予算の方でございまして、先ほど申し上げました資料4の裏にある検討項目の中にその他とございまして、単独処理浄化槽の対策がございますし、後でご説明申し上げますが、高度処理浄化槽の問題などさまざまなことがございます。役所の事務の仕方で夏ごろに予算なり、または来年のことを考えていくということになりますので、そのころに一定程度皆様からの方向性を示していただければ、我々としてもその方向性を踏まえて仕事ができると、あるいは心強く仕事ができるというところがございます。
 それからもう一点、省令の関係で申し上げますと、2月1日の施行というわけでございまして、そこから逆算いたしますと、当然周知の期間というものが必要です。また、今回放流水の水質の基準を決めていただくわけでございますけれども、それを踏まえまして、今回の法律改正では建築基準法令を改正すると、それに伴う認定の見直しというものがございますので、そうした一定の事務を考えますと、夏ぐらいまでに内容を固めて対外的にきちんと役所としての方針を示すということが必要となります。この2点についてからはとりあえず夏の段階と。また一方で、さらに詰めるべき点があるでしょうから、そういったものは年内というようなことを考えているところでございます。
 いずれにしても、お時間のない先生方に対して精力的に特に検討していただくことになりますので、大変申しわけなく思っておりますが、ご理解いただければと思っているところでございます。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 こちら側からの一方的な説明で随分時間をとってしまいました。さぞかし先生方、なるほど、この委員会というのはこの答えを出すのが求められているのかというのに腑に落ちられたと思うんですが、どうぞご遠慮なく、ここから先は毎回ぜひそうお願いしたいと思うんですが、ごくフランクに、インフォーマルではないわけですけれども、気分的にはどうぞご遠慮なく。浄化槽について、例えば国安さんみたいに朝から晩まで浄化槽のことをやっている人もいるし、そうでない先生もたくさんいらっしゃるわけで、いろんな意味で浄化槽に対する理解なり思いはさまざまあると思います。それがこの専門委員会のねらいでもありますので、どうぞご遠慮なく、どなたからでも。
 須藤さん。

○須藤委員 このまま座ってよろしいですか。

○加藤委員長 どうぞ。もう座ったままでお願いします。

○須藤委員 それでは、まずはこの廃リ部、それから中環審の廃リ部会からこのような専門委員会を設置して、しかも、こういう公開の場で初めて浄化槽というものをやっていただけることになったということに大変敬意を表したいと思います。本来ですと、もっと早めにこういうものはあってしかるべきであったかなというふうに思います。というのは、水環境保全の中で、環境省の中でみずから対策を立てられるものというのはこれしかないんです。そういうものがこれほど遅くなってしまったということは、やらないよりいいんですが、取り上げていただいたということに敬意を表したい。
 それで、実はそういうことなので、日ごろから考えることはいっぱいありますが、まず順番に大きいことだけ先に2つだけ、特に条文に関するところだけ先に申し上げたいと思います。細かいところは追ってまた発言する機会があればさせていただくということで2つ申し上げます。
 1つは第1条の公共用水域等の水質保全の観点から。公共用水域等の水質の保全というのは、「等」というのは例えば地下水を含むのか、あるいはそのほかの池なり公園の池か何かわかりませんけれども、公共用水域でない、例えば農業用排水路でも公共用水域でないものがありますよね。どういう部分が入るのかということをまず伺いたいとことと、それで水質保全にあまり資することにならないようなことではないということが前提であるということでよろしいですね。要するに公共用水域の汚染を防ぐんだ、いわゆる汚濁を防ぐんだということが、これがまず第1番目で、そういうことの「等」のところの部分が第1点目。
 それから、第2点目は技術上の基準ということでございますが、これは世間では排水基準と誤解をされているんです。先ほど加藤委員長もBOD20というのがあったんですが、要するに水濁法の排水基準等と、あるいは上乗せ基準等と誤解されていて、浄化槽でそんな厳しい基準をつくるのかということで、技術上の基準というものの意味、それから、私は下水道の方の技術上の基準というのは理解をしているんですが、ある意味では技術の性能を評価する基準であって、決して排水基準ではないんだよということであると、こういう理解をしているんですが、それでよろしいでしょうかということで、これは事務局にお伺いしたい。それがまず最初です。

○加藤委員長 それでは早速、今の須藤委員からのご質問に鎌田さんですか、お答えいただきたいと思います。まず、「等」とは何かというのがまず第1点ですね。公共用水域等の「等」は何が入っているのか。

○鎌田浄化槽推進室長 両方とも先生のおっしゃるとおりというのが一番簡単なお答えでございまして、「等」と申しますのは、ご指摘のとおり地下水がメーンでございまして、そして、あとご指摘のあった公共用水域なら池なども含むものでございまして、浄化槽はまさに設置された家庭ないし設置された施設がそのまま近くのところに流しますので、そこに流れ出るものについてきちんと水質をきれいにするんだと、し尿及び雑排水を処理するものだということを明確にしたということでございます。
 それから、よく役人は「等」だと言われるんですけれども、公共用水域等というふうに、そういった先生のご指摘のところを含めてきちんとやるんだという意味がございます。
 それから、技術上の基準につきましても、まさに先生のご指摘のとおりでございます。浄化槽からの放流水による水質汚濁を防止するということで、浄化槽に構造基準があるわけでございますけれども、そうした構造基準における基本原則として水質基準を設けて性能を担保するものとして規定されているという考えから、今回、水質基準を設けたということになっているところでございます。

○須藤委員 というわけで、ちょっともう一回繰り返しますと、そうすると、構造基準はこの判定基準を踏まえて決めるわけですね。そういうことになりますね。

○鎌田浄化槽推進室長 お手元の参考資料の浄化槽法の一部を改正する法律要綱という縦書きの文書がございますけれども、この新旧対照表が載っております14ページをごらんいただきたいと思います。第4条というところをごらんいただきたいと思います。

○加藤委員長 もう一回、どの資料ですか。

○鎌田浄化槽推進室長 右肩に参考資料と書いてあって、法律ということで、それの14ページ。

○加藤委員長 皆様おわかりでしょうか。この右肩に参考資料とありますものの14ページだそうであります。

○鎌田浄化槽推進室長 新旧対照表で、下に古い条文、上に新しい条文がございますけれども、今回第4条第1項に、「環境大臣は、浄化槽から公共用水域等に放流される水の水質について、環境省令で、技術上の基準を定めなければならない」となってございます。第2項が従来からあった第1項で、「浄化槽の構造基準に関しては、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例で定めるところによる」となってございます。第3項に前項の構造基準、つまり第2項で言っている建築基準法で定める構造基準につきましては、第1項の環境大臣が定める技術上の基準が確保されるものとして定めなければならないとして、環境大臣の方から浄化槽の技術上の基準、性能について一定の考えを示して、それを踏まえて構造基準を定めるというような法律の関係になったというところでございます。

○須藤委員 今の例が悪いかもしれません。そうしたら、技術上の基準が極めて厳しい基準であったら、それに対応して構造基準は変えなくてはいけないと、こういう理解でよろしいですね。今、例でありますけれども、それでよろしいですね。

○鎌田浄化槽推進室長 考え方としてはそういうことです。

○須藤委員 そういうことですね。わかりました。結構です。

○南川廃棄物・リサイクル対策部長 前者の関係だけ加えますと、まさしく水濁法の1条を受けておりまして、水濁法の1条の目的が公共用水域及び地下水の水質汚濁の防止を図り、もって国民の健康とともに生活環境を保全するということで、まさしくこういった水濁法と目的を同じにしたということでございます。

○須藤委員 わかりました。

○加藤委員長 それでは、須藤先生、恐らくそのほかにたくさんあるでしょうが、それは追々と。当専門委員会が何を求められているのかということに関連して。
 どうぞ、河村さん。

○河村委員 資料5の3つ目の水質検査等のことなんですけれども、現状において何か問題があるからということでこういうご提案があるのか、あるいはその他の理由なのか、その辺を少し教えていただけたらと思います。

○鎌田浄化槽推進室長 第7条の検査時期を見直す理由でございますけれども、問題という意味で明らかな問題というわけではございませんけれども、ご案内のとおり、第7条検査につきましては、高い実施率がされているわけでございます。
 それで、今回の改正は議員立法でございますけれども、その議員立法の立案の中で環境省にもどういったことについて見直す必要があるのかどうかということをいろいろ相談を受けたわけでございますが、そのとき、より今後の浄化槽行政あるいは関係業界が円滑で負担を軽減して仕事ができるという観点から、問題の解決というよりは、さらによりよくするためという観点からこの第7条の検査時期も見直したらどうかというようなお願いをしたわけでございます。
 具体的にどういうことかと申しますと、使用開始後6月から2カ月間になってございます。具体的に条文はどうなっているかということでございますけれども、先ほどごらんいただいた参考資料の同じく新旧対照表の15ページでございます。その下に現在、第7条というところがありますけれども、今はその使用開始後6月を経過した日から2カ月間に検査をするとなっているところ、上の第7条の新しい条文にございますように、「環境省令で定める期間内に」というふうに変えたわけでございます。これで技術的、制度的に非常に柔軟に環境省が期間を定めることができるようになったわけですが、そのねらいは今、2カ月に限られるということでございまして、まずなぜ6月なのかという議論、これは法制定当時、単独処理浄化槽が中心であった時代ですとか、その当時の検査機関の体制などございます。そういうものであったわけでございますが、そういう技術的なことは技術の進歩なりでいろいろ変わるわけでございますから、そういったものに柔軟に対応できるようにした方がよかろうと。特に、ここに書いてございましたが、従前に比べて微生物が安定する時期が早まっていれば、その分早い時期に検査をすれば環境への影響が防げるということで、できるだけ前倒しできるような仕組みにした方がいいだろうということ。
 さらに、もう一つ、幾つか声が聞かれたわけでございますが、今、2月の間に検査をすると限られていることによりまして、検査期間の方でもそれに従って業務の運営を考えているわけでございますけれども、例えば、雪のある時期をどうするのかといった問題もあるでしょうし、2カ月といってもいろいろあって、なかなかやりくりがつかない場合もあるだろうと。したがって、一方、今回の改正のねらいが11条検査の向上でございまして、同じく検査員の方にやっていただくわけでございますので、それについていろんな問題、解決すべき課題があるわけでございますが、一方で検査機関のそうした運営というんでしょうか、業務に幅を持たせる、余裕を持たせるためにももう少し融通のできるような仕組みとしたらどうかと考えておりまして、このようにしたと。つまり法制定当時に考えられていた技術の水準、それから今抱えている問題を解決するためには現行の法律の条文よりももっと融通の高い仕組みにして、そして、その現実の技術水準あるいは業務の要請に応じた検査時期にしてはどうかという考えからこのようにしたわけでございます。

○加藤委員長 そのほかどうぞ。今日は第1回ということでもありますので、ぜひどなたからでも。
 吉田さん。

○吉田委員 吉田です、ちょっと遅れて来て。
 私は毎日、浄化槽のことを考えているわけではないんですが、毎日使っていまして、今から17年前に拙宅をつくるときに下水道処理区域外に住んでいたものですから、浄化槽ということで……

○加藤委員長 札幌。

○吉田委員 札幌の隣の江別というところでして、それで最近やっと下水道処理区域に入ったんですけれども、いまだにまだ合併浄化槽を使っていまして、17年前に補助金がつくというので問い合わせたら、私の住んでいるところは対象外だというので出なかったのです。それで、ユーザーとしての立場というものもあって、一つは今の検査の件でいろいろ資料をいただいて見ていたら、私の場合は業者と契約していて、年に3回か4回検査してあるんですけれども、11条検査というのを受けた覚えがあまりなくて、この表を見ると、やっぱり受検率が30何%だと、それがあるのかなと思ったわけです。ですから、かなり地域によっても違うのかなというのと、それから、結局業者がやったデータが本当にどうなのかということについては、やっぱり第三者機関とか行政のチェックが入っていないというのは確かにユーザーから見ると一つ問題ではないかというふうに思っています。
 それから、もう一つは1条に関連して、公共用水域等に地下水が入るかということで、これは私の知り合いや昔の経験からいって、浄化槽は強化プラスチック製なんです。それで、実はかなりひび割れで漏れている可能性があって、それが地下水汚染の原因にもなっている部分があるんです。そういうことはこの法令ではあまり想定されていないかと思うんですけれども、タンクのひび割れによる地下水汚染というのはそういう問題もあるということで、今回は検討していただかなくてもいいんですけれども、私はかなり事例も聞いていますので、それはあるのではないかというのがあります。
 それから、最後にさっきの基準の問題でベストアベイラブルテクノロジーの話があったんですけれども、結局その水質基準というのは一つの環境基準で、ベストアベイラブルテクノロジーというのは、それに対処する技術について具体的に指定してこれを使えとかそういうことをどこまでやるのかということで、環境政策でも非常に論点が多いところになるんです。だから、今回どこを定めてどうしようかというあたりを、やっぱりいろいろ利害関係者もいるし、そこが一番微妙な問題になってくるのではないかと。
 それと、資料をいただいて一番問題なのは、新規に単独槽は認めないというんですけれども、結局まだ25%程度しか合併浄化槽になっていなくて、75%の、つまり旧来型のものからの負荷が依然としてあるわけです。そうすると、単独槽を代替して合併浄化槽に移行させるような促進措置をとるのかとらないのかとか、その辺がかなり大きな判断の問題になるのではないかと。多くなります、このぐらいにしておきます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 吉田さんはもちろん法律の専門家というわけでありますが、多分ここでは数少ないユーザーでもいらっしゃるので、そういうお立場からもご遠慮なく、使っているお立場でいろいろとおっしゃっていただければと思います。
 言うまでもなく、浄化槽というのはステークホルダーはたくさんいますよね。建設する人、あえてもっと前に言えばつくる人、建設設置する人、それから維持管理や清掃をする人、広い意味の維持管理をする人、保守点検をする人、もちろん行政。だけれども、最も重要なステークホルダーというのは間違いなくユーザーだと思うんです。ですから、ユーザーの声も適切に反映されなくてはいけないというふうに私はかねがね思っていますので、吉田さんひとつ、そういう立場からも、別にそれだけではありませんけれども、そういうお立場からもぜひご遠慮なく忌憚のないご意見をいただければと存じます。
 国安さん。

○国安委員 先ほどの吉田先生の話の中でちょっと気になるのが、漏水に関する部分で、環境省が出されている法定検査の判定ガイドラインでは、漏水が認められれば、即、不適正と判定することとなっています。公衆衛生上の観点から、そういう判定をすることとなっていて、過去の統計値を見ますと、全国で、7条検査では検査基数の0.1%に相当する数百基、11条検査では検査基数の0.3%に相当する数千基で、漏水が認められるという状況です。ですから、しっかりと検査をしていれば、漏水に対して適切な対応がとられると思っています。
 それと、個人的な意見として、先ほどの7条検査の実施時期のことなのですが、現在よりもできるだけ早くすることの方が設置者にとってメリットがいろいろあると思っております。まず、はじめに、7条検査の主な目的が施工の状態の確認であること。そうしたとき、問題だと思うのが、例えば5人槽とか10人槽と家の大きさに合わせ浄化槽の規模を人槽表示しているのだけれども、水の使い方が、以前とだいぶん変わってきているのではないかということです。建築基準法の範疇でやっている限りは、家の大きさにあった人槽でよくても、実際の水の使われ方、例えば極端な事例、戸建て住宅だと共稼ぎの家庭と奥さんが常に家庭にいる場合では、洗濯ものの量が同じであっても洗濯の回数が変わってくることから、月当たりの水の使用量が同じであっても、土日と平日の水の使用量が極端に異なっています。そういったものを含めて、維持管理で全て対応するべきであるというものではないと思うのですが。処理制度の安定化を含めて議論していくのであれば、できるだけ早い時期に、そういった建物と水の使われ方に浄化槽が合っているのか、確認する必要があると思います。
 その他、使い始めた後、問題がある場合、例えば、雨水管を接続してしまったという問題があった時に、相当期間使ってから改善工事をしなければならなく、非常に手間がかかるし、設置者の費用負担も大きくなってしまいます。もっと大きな問題となるのが、単独処理浄化槽の違法設置で、設置者としては所定の手続きを行い、合併処理浄化槽を設置し、何も問題がないと思っていたのが、使用開始6ヶ月以降に検査を受けたとき、実は単独処理浄化槽で違法であると指摘されるようなことです。このような設置者自身によらない施工上の問題をできるだけ少なくするためにも、できるだけ早い時期の方がよいのではないでしょうか。
 それと、できるだけ早い時期に維持管理の必要性を設置者に理解していただく。本来、それは地方行政期間、あるいは施工業者の役割かもしれませんけれども、先ほど話題となった11条検査の受検の必要性を含めて、できるだけ早い時期に使用者に伝える手段として7条検査も活用できればと。
このようなことからも、7条検査は、できるだけ早い方がよいと思っています。以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 早速もう具体的な問題についてのご提言がありましたけれども、今回のまず第1回ということで、特にまだご発言のない先生で、この設置の趣旨なり、何がこの委員会に求められているのかということについて、役所側から説明がいろいろとなされておるわけですけれども、まだ疑問だとか、あるいはこの際、浄化槽全般についてちょっとお考えを述べておきたいとか、そういうご意見がございましたら、どうぞ。
 北尾さん。

○北尾委員 個々の問題については、いずれまた追って個々に掘り下げたような議論がされると思いますので、その都度お伺いしたいと思うんですが、全体にかかわる問題として1つお尋ねしたいのは、数年前に当時の浄化槽推進室よりの要望で、財団法人日本環境整備教育センター内に浄化槽維持管理性の向上に関する検討会だったか、何かそういうような委員会が持たれまして、その際、私委員長を務めさせていただいたんですが、その中で浄化槽というのは、これまで原則は浄化槽管理者の責任において維持管理等を行うという建前になっていたわけですが、浄化槽というのは非常に公共性の強いものだから、管理者責任を問うだけでは、もはや今後浄化槽というのは十分でないだろうと。ですから、もっと公共関与ということが非常に大事なのではないかと。具体的に言えば、都道府県とか市町村ですね。
 それで、今回の法改正に際して、いろいろな個々の問題については項目としてはどういうものが盛り込まれているかということは私自身は理解しているつもりですけれども、そういう公共関与というか個人の責任だけでは限界があるというようなことについて、何かそういうような含みを持たせたような内容があるのかないのか、その辺のところをお伺いしたいと思うんですが。

○加藤委員長 今、基本的な問題だと思うんですが、室長、まずいかがですか。

○鎌田浄化槽推進室長 公共関与かどうかということなんですけれども、まず結論から言うと、そういう色彩を帯びた改正内容を含んでおります。そういうことを言う前に多少申し上げますと、先生ご指摘のとおり、浄化槽の原則は管理者になっていると。浄化槽法も使用者が検査を受けねばならないとか自分でまず清掃をしなさいとか保守点検をしなさい、できなければ委託しなさいという体系になっているわけでございますけれども、そうした大きな考え方というものは今回の改正では書いてはおりません。やはり加入者原則という法律体系になっておりますが、まさに先ほどの資料5で申し上げました4.の浄化槽の維持管理等に対する監督の強化というところで、むしろ我々が今回の改正で考えておりましたのは、管理者原則という法体系であるけれども、さはさりながら今の浄化槽法においても一定の公共的な関与というものは求められているが、実際にはそこがうまく機能していない、あるいは公共の関与が現実的には乏しいがゆえにうまく当初の浄化槽がねらっていた仕組みが動いていないのではないかという問題意識から手を加えたのが4.でございます。
 具体的にはここに書いてございますように、法定検査実施に際して、指導・助言、命令といったことを設けたんですが、お手元の参考資料集の3ページをごらんいただきたいなと思います。3ページにはこのように上下でポンチ絵が書いてございまして、改正前と改正後のことでございます。
 これは都道府県の指導監督にかかる仕組みでございまして、改正前の上の図で申し上げますと、今は指定検査機関、まさに検査機関が11条検査をすれば適合しているか不適合か、あるいは受検しないというようなことがわかるわけでございますけれども、左わきに指定検査機関から都道府県に点々の矢印があって、バツが書かれております。これは指定検査機関による検査結果を都道府県に報告する規定がないということ。今、実は事務的なレベルにおきまして、これを要請しているわけでございますけれども、本当にこれが行っているのか、またそうした事務的なレベルの要請であるがゆえに、仮に報告を受けた都道府県も、言葉はちょっと悪いんですけれども、受けとめ方に差があるのではないかというようなことでございます。また、右の方を見ていただきたいんですが、適合という矢印があれば、下に行きますように問題なし、問題解決とあるんですけれども、不適合ということになれば、矢印があって、助言、指導、勧告して指導等をされて、それについて遵守する、遵守しないは改善命令に対してもなるわけでございますけれども、実は命令違反というのも一般的なものでございますけれども、実は受検していない場合に対しては指導監督の対象にならなかったというわけでございます。
 それで、今回はどのような形にしたかというと、下の図でございますけれども、指定検査機関から都道府県にきちんと検査結果を報告してくださいと。まさに何を報告するかということを、先ほど申し上げましたようにこれからご検討いただくわけでございますが、原則としてはきちんと適合しているかどうかということがございます。不適合であればその不適合の内容と。受検していない場合にはちゃんと受検しなかったということをきちんと報告してもらうことになります。そうすると、それを受けた都道府県の方でもきちんと、例えば今、特に受検率が低いわけでございますから、受検しなかった者を指導監督の対象にということを新規に設けまして、それで新しく受検しなかった者に対しまして助言、指導、勧告ということを明記いたしましたし、それに従わない場合の改善命令ということでございます。そうすると命令違反もあって過料もあるというわけでございますから、流れとして県がきちんと都道府県の検査機関から報告を受けて、それに基づいてきちんと対応すると。不適合の場合も、きちんと今制度的に措置されているわけでございますから、それもきちんと思い起こしていただいて、問題の解決を図っていただきたいというのが今回の改正でございます。
 なお、細かいことですけれども、下の図で横に矢印が一本太いのができていますけれども、設置届だけであったのを廃止の届けをきちんと出してもらうことについて、今調べたところによりますと、都道府県、自治体においては事務的な台帳というものを整備してございますけれども、本当にそれがどこまでやっているかどうかということについて多少疑問の声もあったわけでございますが、きちんとこういうふうにすれば、県の方でも改めてそういう台帳事務についても調整についてもされるだろうということで、まさに北尾先生がおっしゃったところの公共の関与ということが実態上強まるような仕組みの改正をしたというのが今回の改正のねらいでございます。
 あと、制度面以外にも公共的関与というのはさまざまあると思いますので、それはそれで適宜考えていきたいと思っているところでございます。

○加藤委員長 おそらく北尾先生のご質問はもうちょっと広いんだろうと思うんです。指導監督だけでなくて、おそらく。

○北尾委員 詳しくご説明いただきまして、どうもありがとうございます。
 ただ、私が申し上げた公共関与というのはそういう意味でなくて、浄化槽管理者の負担を減らすような公共関与というのをお尋ねしたつもりなんです。例えば、市町村設置型を増やすとか、あるいは個人の浄化槽であっても市町村に寄附してしまって、維持管理を市町村にゆだねるとか、どうも仕組みが複雑であるということが皆さん共通した認識としてお持ちなわけで、それで、その仕組みが複雑であるために管理者がわかりにくいと。そういうところも精神的な負担といいますか、そういうことになっているので、むしろ私には今ご説明いただいたような内容というのは、指導監督というのは、むしろ非常に義務を厳しく追及するというふうに字面からは見えたものですから、それで質問させていただいたんですけれども、さはさりながら、これは運用上の問題というようなこともありますので、多分その辺についてもご配慮いただいているというふうに理解させていただきたいと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 いずれにしましても、私どもの検討項目の中に、具体的に言えば資料4の裏側ですけれども、浄化槽の維持管理にかかる業務のあり方ということで、今後のあり方という中で恐らく北尾先生がおっしゃったような問題も含めて検討することになるかなというふうに思います。
 なかなか難しい問題がありますよね。公共関与にすれば、役所に人がそれだけいないといけない。一方で、世の中の流れ全般が例えば水道は民営化していこうとか、民営化という流れと、どういうふうにやっていくかというような、もちろん公共関与というのは何も直接役所の方が全部一軒一軒訪ねて歩くとか、そして管理しなくてはいけないとかと、そういうことでなくて、そのこと自体も民間に委託するとかそういういろんな方式があり得ると思います。こういう公共関与と一口で言ってもですね。いろんな複雑な問題があろうかと思いますが、この問題は非常に浄化槽というものの性格をある程度変えるという問題でもありますので、後で慎重に検討していきたいなというふうに思っております。
 どうぞ、ほかに。
 山本さん。

○山本委員 最初の会議ですので、具体的なところでどういう意見というのは、まだ私それほど固まったものを持っているわけではございませんので、この専門委員会の中で議論していきたいと思っております。
 ただ、全体の方針としましては、やはり私の理解しているポイントは、いかに広く薄く分散している現在の浄化槽を改善しつつ、維持管理を担保するか、そういうところの仕掛けをどうするかということなんだろうと理解しております。その意味では、11条検査の方の中身をどうするのか、あるいはコストを安く、どうその仕組みをつくっていくのかということが大切なポイントなんだろうなというふうに理解はしております。
 それと関連するんですが、今改正の中で短期的になすべき事柄と中長期のことを分けるというのは、私もそうだと思いますけれども、水質項目そのものに関しても本当にBODでいいのかとかそういう部分もあるのではないかと思っております。それは今すぐできることとは違うと思いますが、そういう部分も検討課題として中長期の方ではお考えいただきたいなと。中長期の検討の中に入れていただきたいなと思います。
 もう一つは、やはり使用者、水質検査の中で本当の意味で使用する者が簡単にできる検査のようなものも入ってくると随分違ってくるのではないかなと。そういうことも考えながら、いかに維持管理を担保するかというところを考えていくべきだろうと私は思っております。

○加藤委員長 大変ありがとうございました。
 新美さん。

○新美委員 新美でございます。
 いろいろご議論を聞いていて、私は法律家なものですから、監督をしたときにだれが監督の対象になるのかということを見たわけですが、この浄化槽法を見てみますと、管理者というのはだれなのかというのがきちんと把握できていないんです。これは建築基準法の方でなっているのかどうか。先ほど吉田委員がおっしゃられたように、合併浄化槽というのはいろんなタイプの使われ方あるいは所有のされ方があるように思うんです。そういう場合に占有者、所有者、管理者というんですけれども、どうやって把握しているのかちょっとよく私には理解できなかったものですから、その辺を教えていただければと思います。

○加藤委員長 室長。

○鎌田浄化槽推進室長 まず、ご指摘の浄化槽の法体系について多少申し上げますと、もう既に私などよりもご案内ですので、同じ参考資料集の1ページに浄化槽法の概要を使って、ちょっと多少広い観点からご説明します。
 浄化槽法というのは、まずその当時単独処理浄化槽があったときにいい加減な浄化槽がつくられていたと。それから設置工事もいい加減であったという場合もあったと。さらに、設置された後の維持管理とか保守点検や清掃もなおざりにされていたような面があったということなので、それをきちんとしなければ浄化槽がちゃんと公衆衛生なり生活環境保全に寄与しないので、そういった観点からつくりましょうということで、まず浄化槽の製造の段階で建築基準法に定める構造基準、建物の一部という考え方から構造を定めて、それに適合していることについて国土交通大臣の認定を受けてから製造してくださいという体系、それに設置の工事に際しましても、きちんと技術上の基準、ちゃんと下に石をひいてくださいとか、壁をつくってくださいというような基準をつくって、それで、工事に当たるに際しても、例えば駐車場の下に置かれる場合もありますので、そういった重量のことをきちんと考えた設計、工事をしてくださいという必要がありますので、工事においても登録士、設備士という一定の資格を設けるという形になってございます。
 それから、浄化槽についてはそこに保守点検、清掃、検査とございますが、設置された後につきまして、きちんと年3回以上保守点検してください。これはきちんと空気ブロアが作動しているかどうかとかいろんな観点から見るわけでございますけれども、そして、そうした業について登録する一方で、そういった専門的な関係の人の浄化槽管理士という資格を設けたこと。さらに、浄化槽については生物学的に処理しますので、汚泥がたまりますから、それをちゃんと年1回引き抜いていただきたいと。それで、技術上の基準を定めると。また、そうした場合にもきちんと業としての許可を市町村からとっていただくと。それをチェックする形での浄化槽の検査という形をとるということをとってございます。
 先ほど吉田先生の方から、自分のところは検査を3回受けたけれども11条検査がないという話がございましたが、おそらくその3回という検査は保守点検の方でございまして、11条検査は別でございます。そういった体系になっておりまして、浄化槽の管理者というものの概念は、実は設置されて初めて法律で出てくる概念がございまして、ご案内のように、製造や設置の場合には製造する社、メーカーでございますし、工事の場合は工事者でございます。先ほどごらんいただいた参考資料の浄化槽の一部を改正する法律の新旧対照表の15ページに第7条というところがございます。つまり浄化槽法は第1条に目的、第2条に定義とあって、それで第4条でさっき言った構造基準という観点を定めて、それで第5条関係で浄化槽の設置というのを述べて、第7条以降で、浄化槽の使用後の維持管理に行くわけでございますけれども、第7条に設置後の水質検査でございます。この5行目に浄化槽管理者ということが略する言葉として書いてございまして、その前がありますように、新たに設置された浄化槽について、当該浄化槽の所有者、占有者、その他の者で当該浄化槽の管理について権原を有するものを浄化槽管理者という形で定めているところでございます。わかりやすく言えば、浄化槽について所有権を持っている人が管理者ということになってございます。また、アパートなどあるいはマンションなどにも浄化槽がついているわけでございますが、管理について権原を有するのはアパートの経営者になりますし、ここに住んでいる世帯の方は使用者という形になっているわけでございますので、管理というのは浄化槽を所有しているアパートの経営者というのが通常であると聞いております。

○新美委員 今の理屈はだいたいわかるんですけれども、現実に監督するときにきちんと捕まえられるかどうかというのが非常に疑問なんです。例えばマンション1つにしても管理組合がきちんと機能しているところ、それからマンションの販売会社が管理権を持っているところ、いろんなタイプがあるわけですが、そういうものを今言ったような説明で、理屈ではわかるんですけれども、きちんと押さえられるかどうか、その辺がちょっと疑問だったものですから。

○加藤委員長 その点は先生のご専門というものですが、何かコメントありますか、室長の立場で。

○鎌田浄化槽推進室長 そういうことがうまくいくかどうかというのは現実にあろうかと思います、正直申し上げて。したがって、その辺はきちんと、例えばまさに設置の届けというものを出してもらうので、それが本当に個別の住宅に設置された浄化槽なのか、あるいはマンションと集合住宅に設置された浄化槽なのかによって、そうした権原をきちんと把握していただいて、現実に合わせるというような工夫というものを現場でお願いしていくところでございますし、現実にそれに追いつかない部分はまた具体的な何か解決策があればとっていきたいと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、木曽さん。

○木曽委員 今日お話を伺いまして、喫緊の課題というのはやはり水質基準の問題かなと、こういうふうに理解をさせていただいたんですけれども、資料6の2点目にBODのことがお示しになられていまして、さらに4点目にBOD以外に水質基準の項目として設けるかというようなご説明がございましたけれども、このあたりの背景を少しご紹介いただいておければと、こういうふうに思っているんですけれども。BOD以外のものを設けるか否かを含めて検討課題とするところの背景と申しますか。

○須藤委員 すみません、それと関連して同じような質問なんですけれども、いいですか。その方がお答えいただくのにいいと思いますので。

○加藤委員長 そうですね。どうぞ、須藤さん。

○須藤委員 まず、水質の基準のところは先ほど伺ったように、規制基準ではないと。要するに技術上の評価基準であると、こういうふうに理解をするということですね。その基準値を例えば今のBOD20でいいんですが、これがどういう意味の20であるか。例えば最高値なのか平均値なのか75%の値か。いろいろ値一つとったってどういう評価かによって違うんです。一般的にはこういうところの基準値は平均値であろうなという理解は一応しておりますが、ただ平均値というのは難しいですよね。たまたま40だったと。いや、違う日は10出すと言われればそれっきりですから、非常に難しいんですが、そういうことの理解でまずはよろしいのかということです。ですから、今の木曽先生のところのご質問に対しては、そういういろんな水質項目が出ると思うんだけれども、その位置づけ。
 例えば、水濁法でしたら、これは生活環境項目ですから、大体1.5倍になっていますね。窒素だったら120を60にするとか16が8とか、要するに最高値がこうで、それから平均値がこうであると、こう決まっているので、だからどういう取り扱いをするのかもあわせて質問させてください。

○加藤委員長 なかなか難しい質問で、個別の今後議論すべきことも含んでいると思いますが、その予告として、とりあえず現時点で室長のお考えを。

○鎌田浄化槽推進室長 まず、須藤先生のおっしゃったのは項目一般に通ずることと思いますので申しますと、まずずるい答弁をすれば、それをまずここでご議論いただきたいことなんですけれども、私としては基本的には須藤先生と同じ考えを持っておりまして、やはり浄化槽というものは個別の家庭に設置されてもございますし、先ほど国安委員からご紹介がありましたように、浄化槽そのものだけでなくて設置されている世帯、それとか水の使い方、世帯数などによって流れというものが変わるわけでございます。
 また、検査というものを年に1回というわけでございまして、四六時中測るわけではございませんし、それがまた、朝、昼、晩で水量も違うというわけでございますから、浄化槽の放流水の水質を測るに際しては、まさにそうした浄化槽の特性というものを考えるべきではないかと思います。事務局的にはそういった議論を誘導する立場になるわけでございますけれども、あえてご下問でございますので、私は須藤先生と同じような考えを持っておりますので、それについては先生方にご議論いただければと思っておるところでございます。
 そういうところを前提に、ではBOD以外についてなぜこういった議論があるのかと申し上げますと、正直申し上げまして、今こういう水質についてはBODを中心に評価されているところでございますから、おそらくBODについては、設定項目についてはご議論がなかろうという、これは我々の考えでございます。また一方で、それこそまさに浄化槽が公共用水域の水質保全に資するということをうたうわけでございますので、そういった観点からほかにBODだけでよいのかと。特に今回、湖沼法も改正したわけでございますけれども、窒素やリンといった問題はどうなのかといったこともございますでしょう。そういったことはきちんとこの水質基準を設ける際でございますので、今回設けるか否か、仮に設けない場合でも本当に浄化槽とか窒素、リン対策をどうすべきかどうか。現状どうなっているということはご議論していただきたいという考えから、このようにあえてきちんと検討の論点として提示したというところでございます。

○加藤委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、今日ご出席の委員の先生方から少なくとも1回ご発言をいただいて、大体の先生方のとりあえず第1回としての、もちろん先ほど冒頭に須藤先生がおっしゃったように言いたいことはたくさんあるんだということなんでしょうけれども、第1回目としての基本的なご意見のご表明があったというふうに理解します。
 私の理解では、当専門委員会に対するマンデートといいましょうか、要するに何を答えを出すことなんですかということについては、基本的に委員の先生方、今日ご出席いただいた先生方に基本的なご疑問とか、もちろん一つ一つの項目についてはいろんなご意見があろうかと思いますが、このこと自体おかしいとかそういうことはなかったかなと。一応あらかじめ役所で用意された中に大体入るかなと。資料4の中の後ろ側に検討項目という中の大きく3つになっていますけれども、その中で大体カバーできるかなというふうに思います。これに対する基本的な何か異議とか疑義とか、そういうことはなかったかなというふうに理解します。
 それで、かつ先生方のご協力で非常にスムーズに議論が第1回としては進むことができたと思うんですが、まだ時間があと30分ほど予定時間が残っておりますし、それから、先ほど来、鎌田室長もいろいろといろんな資料についてもう既にリファーされてはいらっしゃいますが、資料の7とか8とか、そのほか参考資料として出しているものの中で、あなたがまだお触れにならなくて、特にこれは知っておいていただきたいということがあったら、この際言っていただいて、繰り返しで恐縮ですが、例えば資料の7とか8とかというのは浄化槽をやっている人にとっては全く自明といいますか、当たり前の資料なんですが、必ずしも浄化槽の専門家でない方にとっては新しい情報とかそういうものもあると思いますので、大事だと思う点をちょっと補足的にご説明ください。

○鎌田浄化槽推進室長 それでは、委員長のお話にありましたように、ご用意した資料なりをご説明して、用意した趣旨ですとか、あるいは今後の検討にどう関係するのかということを申し上げますと、まずちょっと事務方としての浅はかな知恵とか準備不足もあってうまくいかなかったんですけれども、この検討項目、資料4の維持管理にかかる業務のあり方に関するものとして資料7があり、またその他の項目に関するものとして資料8があるわけでございますが、委員長からご指摘されたように、相互に関係しているのをクリアカットに申し上げることだと思うんですが、あえて申し上げますと、資料7は浄化槽の維持管理における業務の流れというわけでございまして、先ほど新美先生のご質問に対して浄化槽法の概要をご説明して、浄化槽は設置前には製造をきちんとしてください、工事をきちんとしてください、そして設置後は保守点検、清掃検査という流れがありますということは申し上げたんですけれども、それを細かく書いたのがこの資料7の1ページ目でございまして、まずよく言われる第7条検査というものが使用開始後6カ月から8カ月までとなってございますが、これはこの角のとれた四角にありますけれども、きちんと設置の工事が適正に行われて、浄化槽が本来の機能を発揮しているか否かを確認するというものでございます。すなわちきちんとした浄化槽がきちんと設置されているかどうか、もともと故障なり欠陥のある浄化槽が設置されていなかったのかどうか、あるいは浄化槽の工事をする際にどこか傷つけなかったかどうか、その結果として漏水も含め、あるいは問題がなかったかどうかを調べていただくというものを7条検査していただくと。そして、もし問題があればきちんと直していただくということでございまして、それをやっているのが指定検査機関という、後でご説明申し上げますけれども、各都道府県ごとに知事が指定した公益法人が実施しているというわけでございます。
 これが設置後直ちに1年目でやるものでございまして、右の3つが例年、その後毎年行われるものでございますけれども、まず保守点検をしていただくと。これは省令に一定回数以上に行うとなっておりまして、大体年3回以上になっているところでございます。これは何をするかといいますと、浄化槽の機能を維持させるという観点から行うわけでございまして、ご案内のとおり浄化槽は微生物の活動によって汚水を処理するものでございますので、その結果として汚泥がどのくらい堆積しているかどうかと見ていくことになりますし、微生物の中には空気の必要な好気性微生物というのがあるわけでございますけれども、それに空気を送るためのブロアという機械がありますので、そういった機器の点検をしていただくことになります。さらに、最後処理水を消毒して大腸菌などを殺すということもその機能の一つにございますので、きちんと消毒剤というものが補充されているか否かということを見ていただく、そういうものをきちんと一定期間にしていただきたいということになっているわけでございます。
 これをやるために浄化槽の管理士という国家資格を持っている方がやっていただくことになっていますし、今届けごとに保守点検、登録業者という方がいらっしゃいますので、そうした方と個別に契約するということになってございます。
 そうしますと、次に清掃、これは毎年1回行ってくださいと法律に書いてございます。具体的な行為としては汚泥の引き出しをするわけでございますが、これは浄化槽の機能を回復させるというものでございます。浄化槽の設計の一つとして一定の前提のもとに使用すれば、先ほど申し上げたように、微生物の活動によって汚泥がたまる、それを年に1回引き出すことによって、もう一度浄化槽の機能を元に戻すというものでございます。そういったねらいで行われるものでございまして、具体的に汚泥の引き出しをしますし、あわせてその際に附属機、中にあるいろんなものを洗ったりするし、さらにその際、内部で目に見える破損あるいはひびがあればそのときに見るという意味でも必要なわけでございます。これは市町村の許可を受けた清掃業者の方が実施しているというわけでございます。
 それから毎年1回で11条検査をしていただくというわけでございまして、これは保守点検、それからここに書いてある清掃が実施されているかどうかを見ていただくことになりますし、さらに、その結果として浄化槽が正常に維持されているか否かを確認するわけでございます。
 これは外観検査といいまして、外から見て汚れていないかどうかというのを見ますし、水質を見てきちんと機能が保たれているかどうかを見ますし、書類というのは、保守点検や清掃をされた方がその結果を設置された家庭に置いておきますが、それを見てチェックするというわけでございます。
 先ほど吉田先生の方からひび割れがあるのではないかというわけでございますけれども、例えば一連の過程で漏水が、目に見える形で漏水し、水位が下がっていれば、この保守点検、清掃の段階でわかりまして、まず11条検査でわかるというわけでございます。先ほど第三者機関のチェックが必要でないかというのは、まさに11条検査というのは公益法人でございますけれども、きちんと清掃、保守点検がされて、きちんと浄化槽の機能を維持する作業がされているかどうかを確認するという意味では11条検査というものがあると、第三者機関がチェックしてあるという体系になっているわけでございます。
 それで、次の2ページをごらんいただきたいんでございますけれども、11条検査を含めた法定検査の受検率の推移でございますが、実はこれが一つの課題であるということでございまして、まずグラフが3つございますが、一番上は7条検査、つまり設置後1年目にやる検査は84%ほどで随分かなり高い率でやっている。大体年間、今20万基強の新規に浄化槽が設置されているわけでございますが、その8割強はされているという状況にございます。問題なのはその11条検査でございまして、一番下、これは11条検査全体がございまして、後でご説明しますけれども、浄化槽は今870万基ございますが、全部でその16.5%しかなされていないと。その25%である200万基強が合併処理浄化槽ですが、合併処理浄化槽に限っても39.1%しかされていない。そうすると、実は我々、今手元で調べた数字では保守点検なり清掃というのはそれなりにされておりまして、サンプル調査いたしましても、処理水については一定の水質基準が確保されているわけでございますが、まさに先生からご指摘のあった本当に漏水がないのかわかっているのかどうか、あるいはそういったものを第三者機関でチェックしなければいけない、そういったことをすることが浄化槽の信頼につながるものでございますので、この11条検査をきちんとしていただく必要があるのではないかと思っております。
 ちなみに、これは全国の平均でございますけれども、吉田委員がお住まいの北海道について申し上げますと、7条検査については94.5%とほぼやっていらっしゃいます。11条検査については全数、つまり単独処理浄化槽を含めてですと約54%、合併処理浄化槽に限って言いますと85%やってございまして、非常に高い率なので、先生の家庭は残りの15%に入ったのかなと思わないでもないんですけれども、そういうところでございまして、実はこれは先ほど来、地域によって違うのかとありましたけれども、たまたま北海道は高いのでございますが、非常に低い地域もございます。そういった問題もあわせて考えていかなければいけないのではないかなと思っているところでございます。
 それで、3ページは先ほど申し上げた保守点検、清掃など、あるいは設置工事など携わっている業者の数を書いてございまして、保守点検でいきますと登録されている方が一番下にございます1万3,000ございますし、浄化槽清掃業の方は6,000ございます。工事業者の方が3万3,000あるとかということになってございます。いずれこういったことが維持管理の業態とかの関連で議論になってくると思いますので、だんだんその詳細の資料があればお示ししたいと思います。
 それから4ページ、5ページ目でございますが、先ほど検査機関ということで指定検査機関というふうに申し上げましたけれども、今どうなっているかというと、都道府県が7条検査あるいは11条検査をする検査機関を指定することになってございます。そして、指定は今、公益法人というふうになってございまして、北海道でいえば北海道浄化槽協会という社団法人がございまして、35人の検査員の方がその地域内の浄化槽の検査をして回っているというわけでございます。これが資料7でございます。
 次に、資料8を申し上げますと、単独処理浄化槽とか浄化槽法の改正の審議なりその過程で議論になった事項でございまして、先ほど先生方からご意見がありまして、まさに単独浄化槽の転換をすべきではないかということは大きな課題でございます。その辺を中心に申し上げますと、まず浄化槽の設置基数でございまして、まさにここに加藤委員長がいらしたころに浄化槽設置の補助をつくっていただいた時期というのはほとんど単独処理浄化槽の時代でございました。平成12年に単独浄化槽の設置を禁止されたときにもこのぐらいの数でございますけれども、今は総数として870万基ほどの浄化槽が設置されておりますが、うち合併処理浄化槽は25%、今原則というか設置されているのは合併処理浄化槽だけでございますけれども、まだ75%の単独処理槽が使われている状態でありますと。これをやはり何とかしなければいけない。新たに増えないけれども、何とか転換しなければいけないという課題がございます。
 それで、どうしてそうしたことが必要かということを数字で申し上げますと、次の2ページをごらんいただきたいわけでございますけれども、これは処理形態における公共用水域のBODを見た場合の排出量の違いでございまして、3つございまして、浄化槽とくみ取りの家庭の方と、それから単独処理浄化槽の家庭を考えますと、まず真ん中の汚泥、汚濁物質の排出量、BOD量g/人・日とございますけれども、今一般家庭からは、し尿から13、それから雑排水からは27、合計40というBODが出るというふうになってございます。合併処理浄化槽ですと、それを合わせて処理してBOD除去率90%ですから、40のうちの残り10%、4が公共用水域に出るというふうになっているわけでございます。
 真ん中のくみ取りはし尿から出る13のBODはきちんと収集されてし尿処理場に行きますので問題ないんですけれども、雑排水27はそのまま出ていくという問題があると。単独処理浄化槽の問題は、結局これまでも水洗化という個人の利便というものが優先されて整備されたんですが、生活雑排水の27がそのまま出るだけではなくて、し尿の13も処理技術の除去率も65%と悪いものですから、5出て合計32出ると。つまり合併処理浄化槽に比べて8倍負荷が高いというわけでございまして、先ほど合併処理浄化槽は全体の25%、他の処理が75となると。そうすると、掛けると相当高い倍率で環境全体には他の処理浄化槽の存在が与えている。これを何とか転換しなければいけないという課題がございます。
 それで、3ページ目ですね。これは非常に大胆な前提のもとに思い切った試算でございますので、真剣に考えると多少恥ずかしいところでございますけれども、単独浄化槽と合併浄化槽の設置基数の割合が4対1で、まさに1日当たりの負荷が発生すると、環境全体から見ると単独処理槽、合併処理浄化槽の総汚濁負荷がまさに32対1という割合でございます。それから、平成12年の改正で単独処理浄化槽を使っている方は合併処理浄化槽に転換してくださいという努力義務を課して、啓発普及、お願いということでやっているわけでございますけれども、実は平成15年3月末に650万基の単独処理浄化槽があるわけでございますが、平成12年の法律改正で単独浄化槽の転換義務、努力義務が課されて、13年、14年、15年とたったわけですけれども、その1年間の平均の廃止基数が23万8,000基、24万基です。それを単純にやるとあと27年かかるというわけでございまして、それをどう評価するかとあるわけでございますけれども、本当にそれでいいのかどうかというものをどうプロモーションしていくのかどうかとあります。
 それから、4ページ目でございますけれども、一方で、実は原則というか禁止でありまして、実際には製造されていない単独処理浄化槽が違法に設置されているという事実がございます。したがって、それについては、先ほど法体系の中でも申し上げましたように、浄化槽をつくるには国土交通大臣の認定があり、そして資格を持っている工事業者でやるわけでございますから、関係する部署とあわせてそれはだめですよという通知で対策の強化をとっているというわけでございます。
 具体的に読んでわかりますけれども、国土交通省の建設業課というのは建設業を許可するところでございまして、単独処理浄化槽で認定されたものはございませんので設置できないわけでございますが、実際に設置した建設業の方が建設業の許可を取り消しされたというわけでございます。そうした強い態度で望むと。さらに、建築指導課というところはまさに構造基準を担当しているところでございますし、建築確認をするところですから、きちんと設置に際しては、その設置を見てくださいと。つまり7条検査をする意味というのは、きちんとしたものがつくられているかどうか、きちんとした工事ができるだけではなくて、違法に設置された浄化槽の検査について、問題があれば注意するだけでなくて設置をさせ直すとか、また建設業担当部局に言って、そういった業者を取り締まるといった流れの規定になってございます。また、我々浄化槽についても同じやり方で、そういうところも連携して違法単独の浄化槽に対しては厳しい対応で望むというわけでございまして、これからもこういった今後、せっかく合併処理浄化槽を普及するんだと。そして、水質基準をつくるんだと。単独処理浄化槽も転換をプロモーションするのであれば、そういった違法にやる人たちについてはきちんと取り締まっていきたいという態度を示しておるというわけでございます。
 それからもう一つ、単に浄化槽を設置するだけでなくて、昨今の公共用水域の水質保全の方も要請にこたえるように、高度処理浄化槽というものも設置されているわけでございますが、今、浄化槽については補助金もございまして、基本的に設置される費用、基本的には90万円、工事費用と浄化槽代で90万円かかるわけでございますが、その3分の1ほどを補助するというのが体系になってございます。
 一方で、メーカーの努力によりまして、窒素やリンを除去するような高度処理の浄化槽も開発されておりますけれども、いわゆる国の仕組みとして補助単価として90万円では賄い切れない値段、120万円とかというのもございます。それをどうするんだということがございましたので、高度処理浄化槽に限っていえば、一定の地域、高度処理浄化槽をした方が望ましいような地域を指定して、その地域で設置する高度処理浄化槽についての90万円という単価を、120万円とか110万円とか高い単価にして3分の1を出すという仕組みをつくって、今プロモーションをしているんですが、そうした浄化槽がどのくらいあるかということでございますけれども、高度処理浄化槽全体では、全体の6.2%程度でございますし、最近窒素だけではなくてリンを除去するようなものが出てきているわけでございますが、それが高度処理型のうちその真ん中でございますけれども、まだ0.1%に過ぎないと、そういった状況もかんがみて浄化槽による窒素、リン対策をどう進めるのかということもあわせて、制度面あるいは予算面からも対策というものも一つの課題になるのではないかなと思っているところでございます。そのときの国庫補助の性能基準はどうなっているかというと、窒素でいえば20ppm以下、リンでは1ppm以下となっているところでございます。
 最後、6ページでございますけれども、加藤委員の方から浄化槽を世界でも使われないことはないのではないかということで、特にこれからインフラとして汚水処理をつくるような国においては、設置費用の安い浄化槽などは有効であると思いますので、環境省としての移転事業を継続的に実施して、予算事業としては終了しているんですが、技術移転のためのマニュアルをつくって、これからどうそれを普及していくかという段階でございます。
 それから、民間企業というのを個別にそれこそ中国や東南アジアに進出しております。しかし、残念ながら今は撤退しているというようなところでございます。また、民間についても社団法人ですが、海外環境協力センターOECCというところもございまして、そこがメーカーと一緒になって、どう海外展開していくかというような検討を行っているところでございます。
 さらに、浄化槽というのはもともと民間企業が中心になって、こういった制度なり予算を獲得した経緯がございますけれども、海外展開についても民間企業などが民間の分野で活発でございまして、水フォーラムというのが2003年に京都で開かれましたけれども、そこで水行動集の中できちんとした短期間、低コストなどの汚水処理施設の技術移転も有効であるということを行動集に入れているわけでございますし、現環境大臣である小池環境大臣はアラブに行って、環境の造詣も関係が深いということで、まさにああいうところで有効だろうということで紹介させていただきました。さらに、水パートナーシップという形でご紹介しているわけでございまして、さらに日本環境教育センターの柴山大五郎さん、浄化槽法の制定に深くかかわった方でございますけれども、その記念すべき基金があるわけでございますけれども、国際シンポジウムを続けて開くなど、それに加藤先生なども行かれているわけですけれども、そういう形で広めているところでございます。
 それから、1点事前に加藤先生の方から予算制度も大きく変わったので、予算制度を説明してほしいというふうにあったので、最後、参考資料として予算について、ここに参考資料集(予算)とございます。簡単に申し上げますと、1ページ目、予算の対象となる補助の仕組み、先ほど申し上げた浄化槽の設置費用に対して3分の1を出すという仕組みは変わりませんけれども、3つの財布ができたというふうにお考えいただきたいと思います。総額では264億円、つまり浄化槽設置費用の3分の1を出すというのが総額で264億円ですけれども、補助金という形で159億円、それから循環型社会形成推進交付金という形で30億円、汚水処理施設整備交付金という形で75億円、つまり従来型の補助金については三位一体の改革の中で、そのあり方について議論がありまして、国の関与とか本当にそういった形をとるべきかどうかという議論で、それはまた機会があればご説明申し上げますけれども、それで議論を経て、従来補助金だけであったものを3つの財布、補助金1つ、交付金2つ、そのうちの交付金の1つは内閣府計上になったということ。特に内閣府計上のものは下水と農業集落排水、それから浄化槽、3つの施設の中で一番効率的なものを選んで使っていただくような仕組みに使ったというものでございます。
 ただ、浄化槽に対しては非常に効率的で非常にすぐれた仕組みであるということで、財政当局に理解をいただいておりますので、総額としては公共事業が見直される中で、前年度256億円から264億円と3%でございますけれども、増えたという異例の扱いを受けているというところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。すみません、長々と。

○加藤委員長 いえいえ、どうもありがとうございました。丁寧なご説明、ありがとうございました。
 私も冒頭申し上げましたように、20年前に浄化槽行政というのを担当していたわけですが、その20年間のギャップのようなものが今、鎌田教授の説明によって大変よくわかったという思いを私個人的にはしております。
 先生方、何かご質問。
 どうぞ。

○須藤委員 時間がございませんので、意見を言うよりも次の回のときにできれば資料をつくっていただきたい、あるいは資料を説明いただきたいということを2点申し上げたいと思いますが、よろしいですか。

○加藤委員長 どうぞ。

○須藤委員 2ページに生活排水の処理形態でBODのことを書いてもらっているんですが、大変これもよくできているんですが、あわせて窒素とリンの問題を入れていただけますでしょうか。こういうような資料をつくってください。これが1つ。
 それからもう一つは、つい最近ですが、先週第6次水質総量規制のあり方についてというのを中環審で答申をしております。その中に浄化槽の窒素、リンの除去の浄化槽がいかに必要であるかということというか、それが普及しなくてはいけないということが述べてあります。それからその前、17年1月に湖沼環境保全制度のあり方について、これもリン除去浄化槽を普及しないとよろしくないということが書いてあります。水質保全を目的にするこの第1条、それを踏まえれば当然そのことが示されるべきなので、私が言うとぐあいが悪いので、水環境部のどなたかに来ていただいて、5分でも10分でも両方についてご説明をいただければ大変ありがたい。もし、水環境部が都合が悪いと言えば私がやるのは差し支えございませんが、できれば水環境部の担当の方にお願いしたいです。ここに資料を両方持ってきてありますので、今日置いてまいりますから、それから、事前に委員に配っていただいて、多分こんな資料を皆さん読んでいないと思うんです。ですから、ぜひこれは環境保全をやるんだというふうに目的は書いてあるんだから、ぜひそこは見ていただきたいと思いますので、ぜひ資料の準備とそれから説明を次回にお願いしたい、こう思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。今の須藤委員からのご要請は問題なく可能ではないかなというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○鎌田浄化槽推進室長 わかりました。対応いたします。

○加藤委員長 ほかに何か。次回に対するご注文でも結構です。何かご質問でも。
 どうぞ。

○国安委員 要望なんですけれども、今回の審議項目に法定検査が挙がっていますが、指定検査機関というものを地方行政の中でどのように位置付けていくのか。今回は、監督の関係で都道府県との関係が出ていますけれども、今、どんどん都道府県の権限が市町村に権限移譲されています。この流れの中で、情報と技術について、県と市町村の間に指定検査機関をどう位置づけていくのか。この点をしっかり今回、御議論願えたらと思っております。特に、個人情報保護法の問題もあるので、それに関連した情報が相当行政と検査機関との情報の流れの中にもあると思うので明確にしていただければ、現在、指定検査機関で悩んでいると聞いておりますので、よろしくお願いしたいと思っています。以上です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに。新美さん。

○新美委員 これも検査の後の報告のことですが、この報告書というものをきちんと電子ファイル化してファイリングシステムを構築することを考えたらどうかというふうに思います。単発的ではなくてですね。そうすると浄化槽についてきちんとしたヒストリーが把握できるようになると思いますので、ファイルを使えば容易だろうと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 ほかに。河村さん。

○河村委員 浄化槽にはもともと公衆衛生の向上ということがあって、それにまた公共用水域の保全ということなんですけれども、公衆衛生という観点からの微生物的な安全性というものを基準として位置づけをするのかどうか、性能基準ということであるのかないのかということもわかりませんけれども、そういうものをどう取り扱うかということについてお考えを少し整理したものをお聞かせいただければと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 ほかに。よろしいでしょうか。
 吉田先生、またいろいろとユーザーの立場からも改めて問題点なりそういったものを率直にお聞かせいただければ大変参考に存じます。
 諸先生方のご協力と、それから事務局の非常に用意周到な資料と説明によって、第1回としては大体ほぼ終わりつつあるわけですが、部長さんに最後にごあいさつというよりはあれをいただく前に、次回の日程等について、これはもう次回以降の日程についてはかなり先生方もご連絡が行っていると思いますが、次回は6月15日、2時から4時ということで、次回等について何かもし今言えることがあったらどうぞ。

○鎌田浄化槽推進室長 次回以降、具体的に次回のご議論までなんですけれども、できれば次回で省令等にどんな基準かということを具体的に決めていただいて、さらに、そのときに関係する業の方に制度の趣旨、また特にこういった論点についてもご意見を伺わなければいけないので、適宜業界の方の関係者のヒアリング等もつけ加えていきたいと思いますので、それについてちょっと今先生方の日程調整をさせていただきますので、次回までに皆さんと調整してお知らせしたいと思います。

○加藤委員長 というわけで、次回は6月15日、先ほど申しました2時からということでございます。そして私の方から、今日も非常に活発な意見をいただきましたけれども、先生方にも具体的な意見をいただけるように、事務局の方も遠慮なくこういうふうに考えているんだという案を、本当は審議会というのはあまり事務局が前に出てはいけないのかもしれませんが、議論を効率にするためには、やっぱり責任を持って事務局がどう考えているのか。それに対して先生方から率直な意見をいただいて、事務局の意見にみんな従う先生ばかりでは全然ないと思いますので、遠慮なく事務局に対しても問題があれば、どんどん言っていただける、すべての先生がそういう先生だと私は思っておりますので、逆に言えば事務局の方も遠慮なく事務方としてはこう考えているんだと。こういう事情でこう考えているんだというのを次回にもう早速出してもらっていいのではないかなというふうに思っております。

○南川廃棄物・リサイクル対策部長 どうもありがとうございます。大変熱心なご議論、ありがとうございました。
 審議の中身の話は最初に私も個人的な希望を述べましたので、ちょっと避けますけれども、1つはいずれにしましても、人の問題も非常に大事だと思います。何でもそうですけれども、特に浄化槽の場合は検査の問題もそうですし、それから、設置の問題も含めて、極めて人の問題が大事でございます。そういう意味では、私どもタウンミーティングとかトップセミナーということを昨年度から開いておりまして、全国でできるだけ多くの方に浄化槽のよさを知ってもらおうと、また注文も聞こうということで、そもそも首長さんが集まるようなトップセミナーを含めて幅広くやっているところでございます。また、そういったことについては、いつか機会を見つけて鎌田の方から状況の報告をいたしますけれども、例えばもっとこんなところでこういう売り込みもしたらどうかとかいうお知恵も貸していただければ幸いだと思っております。
 それから、よく浄化槽の議論をするときに出ますのが、浄化槽はほかの水質浄化施設と違いまして、海へ一気に放流するということよりは目の前の川に出すわけでございます。そういう意味で水量も増えるんですけれども、その過程でいろいろ自然浄化もあるだろうと思います。ただ、それについて、我々も今回、実は資料を集めたんですが、ほとんどなくて、自然浄化機能、浄化槽に限らず別に一般論としてなんですけれども、いわゆる自然の中での浄化機能というのはどんなものかなかなか知見が少ないというのが実感でございます。また、こういった知見もあれば、ぜひいろいろ教えていただければ大変幸いでございます。
 いずれにしましても、須藤先生もおっしゃられましたけれども、環境行政の中で非常に従来から欠けておったものが水質保全関係の具体的な実技だったわけでございます。そういう意味では、1つハードルを越えて動けるようになったということでございますので、ぜひこれを活発にして議論いただいて、我々としても新しい分野を開きたいと思っています。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは皆さん、6月15日にお目にかかります。
 どうも今日はご協力ありがとうございました。

午後0時01分閉会