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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
廃棄物・リサイクル制度専門委員会(第6回)議事録


1 開催日時 平成14年10月7日(月)14:00~15:48

2 開催場所 環境省 第1会議室

3 議事次第
1.開会
2.議題
 (1)廃棄物・リサイクル制度専門委員会報告書(骨子素案)について
 (2)その他
3.閉会

午後2時 開会

○企画課長 定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会、廃棄物・リサイクル制度専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様方には、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、お手元の配布資料をご確認願います。
 資料1は名簿でございますが、今回、資料2といたしまして、これまでのご議論を踏まえ、委員長とも十分ご相談させていただきまして、「骨子素案」を同封いたしました。それが資料2でございます。また、いつものように、参考資料といたしまして、「中間取りまとめ」を用意しております。
 不足がございましたら、お申しつけください。
 それでは、これ以降の議事進行を小早川委員にお願いいたします。

○小早川委員長 それでは、皆さん、なかなかのハードスケジュールですが、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入ります。
 報告書につきましては、「中間取りまとめ」にもあります現状や課題に関する記述も行うというふうに考えていますが、今回は、この議事次第にありますとおり、「報告書(骨子素案)」と題するものについてご議論をお伺いしたいと思います。
 なお、この中の構成ですが、「中間取りまとめ」の段階では、定義とか区分といった論点を立てて、それで整理をしておりましたが、これまでの検討結果に従いまして、今回の「骨子素案」では、もう少し具体的な取り組みの方向に即したものに構成を改めております。
 それでは、まず「報告書(骨子素案)」につきまして、事務局から説明をお願いします。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 資料2、「骨子素案」をおあけくださいませ。
 本日、「骨子素案」を用意しておりますが、これは先ほどの委員長の説明にもございますけれども、委員会の報告書としては、これに背景あるいは現状に関する記述を盛り込もうかと思っておりますが、「骨子素案」に従いましてご説明します。
 
一 基本的視点
 廃棄物・リサイクル制度の基本問題については、天然資源の消費抑制及び環境負荷の低減が図られる循環型社会を形成していくため、次のような視点に立って見直しを行うことが適当である。
と、3つ立てております。

(1)合理的な制度の確立による効率的な廃棄物処理・リサイクルの推進

○「不適正処理を防止するための規制は厳しく、手続は合理的に」という考え方のもと、廃棄物処理・リサイクルに関して手続の合理化を図る。


(2)不適正処理の防止・適正処理の確保

○平成12年改正による廃棄物処理法の厳格、確実な施行とあわせ、廃棄物の定義に起因する不適正処理の防止を図るとともに、不法投棄防止対策の一層の強化等を図る。


(3)適切な役割分担による廃棄物の排出抑制等

○排出者責任の徹底や拡大生産者責任の強化など、各主体の役割を適正化し、廃棄物の排出抑制等を図る。また、産業廃棄物行政に関し、国の役割強化を行うことにより、国と都道府県が一体となった廃棄物の適正処理確保のための体制を整える。


二としまして、「制度見直しの主な論点」でございます。ここは「中間取りまとめ」から構成を借りておりますが、

1.合理的な制度の確立による効率的な廃棄物処理・リサイクルの推進

 これは、「中間取りまとめ」で、廃棄物処理の施設に対する規制というところで扱っていた内容を主に取り扱っております。

○現行の許可制度は、適正な廃棄物処理・リサイクルを担保する観点から置かれている規制であり、今後とも現行と同様に厳格なものとすることが必要であるが、広域的・効率的な廃棄物処理・リサイクルを促進することは循環型社会の形成を図る上で必要であり、適正処理確保の観点からの規制は厳格なものとしつつ、その手続は合理的に、という視点が重要。

○リサイクルなどを行うために広域的に廃棄物が移動する場合の廃棄物処理業の許可については、事業者が共同して取組むことにも配慮し、広域再生利用指定制度の積極的な拡充を図るとともに、指定基準の明確化を図るべきである。すなわち、不適正処理が起きた場合の責任の所在や処理基準の適用などの内容を盛り込んだ制度としつつ、その対象を従来の広域指定制度以上に拡大することにより積極的に活用していくことが必要。なお、その積極的活用を図るための事務処理能力の強化もあわせて求められる。

○さらに、廃棄物の再生利用の促進のため、業・施設両方の許可を不要とする仕組みである再生利用認定制度については、認定対象範囲の拡大を検討するとともに認定基準の明確化を図り、可能なものから順次指定していくことが必要。

○一方、一都道府県における許可取得でもって他の都道府県における許可手続を合理化すること(運搬における積み卸しの一方を合理化することを含む)については、改正廃掃法に基づき都道府県知事の行政処分権限を積極的に行使することで進めている産業廃棄物処理業の構造改革が緒についたばかりであり、未だ住民の廃棄物処理に対する不信感、不安感が払拭されていない状況にかんがみれば、当面、上記の新たな広域指定制度の活用により広域的・効率的なリサイクルなどを促進しつつ、構造改革の進展状況等に応じて引き続き検討すべき。

○廃棄物処理施設については、一般廃棄物、産業廃棄物の区分に関わらず、物の性状に応じた効率的なリサイクル・処理を促進する観点から、同様の性状を有する一定の廃棄物の処理施設の設置の許可取得は、一般廃棄物又は産業廃棄物いずれか一方のみで足りることとする許可手続の合理化を行うことが適当。

 また、一般廃棄物処理施設については一定以上の処理規模の場合、一律に許可が必要となるが、生活環境上の影響を考慮して許可対象施設を見直すことが必要。

○あわせて、現在、全ての保健所設置市が産業廃棄物行政を担当しているところ、市の規模や能力等に応じて一部の市のみとするよう改めることを含め、都道府県・市の合理的な許可事務の在り方や許可権者の範囲の適正化について、都道府県・市の意見を踏まえて検討することが必要。


次の○は、リサイクル区分の新設の議論を「中間取りまとめ」で起こしておりますので、記述しております。

○リサイクルされる廃棄物と廃棄物の区分との関係については、規制の合理化を図ることによるリサイクルの促進の観点や、分別・リサイクルを求める観点からその取扱いを検討すべきであるが、排出時点ではリサイクルされるかどうかは明らかではなく、リサイクルする者、リサイクルの方法などを個別に確認することが必要である。従って、排出時点での区分を設けるのではなく、リサイクルする者とその方法とセットでリサイクルされる物を指定し、上記の広域再生利用指定制度等の特例制度や拡大生産者責任制度などで対応することが適当。

 
3ページでございます。「2.不適正処理の防止・適正処理の確保」。これは従来「中間取りまとめ」で定義で扱っていた内容、あるいは不法投棄懇で扱っていた内容を、ここで記述しております。

(1)不適正処理防止のための廃棄物の定義の在り方

○廃棄物について、その移動や保管その他の取扱いそのものを管理する必要性があるのは、取引価値がないこと等により不要であるために放置されるなどぞんざいに扱われ、それが原因で環境保全上の支障を生じる可能性を常にもっているためであり、不適正処理が後を絶たない現状、それに伴う住民の不信感が払拭されていない現状にかんがみ、環境保全の観点を重視し、不要物であるリサイクル可能物を含め、不要物全体を廃棄物として捉えることが必要。

○この際、占有者の意思や取引価値の不明確さにより不要物であるか否かの判断が困難な事例が多いことにかんがみ、これらの事例に関し、環境の保全の観点から、物の性状や排出の状況等の客観面の判断要素を優先させる場合もあり得ることも含め、判断基準を明確に示すことが必要である。

○また、現実に定義を巡って起きている不適正処理の事例の多くは、豊島事件や青森・岩手不法投棄事件などに象徴されるように、「不要物でないリサイクル可能物」であると称して不適正処理を行う、即ち、占有者の意思・主張などにより不要物の処理について法の規制を逃れようとする事例である。

  このような現実にかんがみ、法の網をくぐる悪質な行為を明らかにするに当たり、地方公共団体の行政調査をより行いやすくし、適切・適時に行政処分につなげることができるようにするため、その行政調査権限を強化することが必要である。

○さらに、ごく一部の部品等が有価値であるために総体として取引価値が生じているような使用済物品などの中には、逆にほとんどの部分が不要なものであること等により、その保管などの取扱いに際しぞんざいに扱われ、環境保全上の支障が生じるおそれがある事例も一部にある。このような物については、取引価値が実際に生じていることなどにかんがみ、保管などに関する必要最小限の処理基準の適用や不適正な取扱いがなされた場合の行政調査・命令といった事後対応を軸とした管理が必要となろう。この際、使用済自動車についてはこのような考え方も踏まえ自動車リサイクル法が制定されたこと、また、中古品や二次原料として適正な管理がなされる有償取引の市場が確立しているものまで対象とすべきではないことに留意することが必要。

○これらの見直しに当たっては、全て環境保全の観点を重視すべきであり、EU指令等における「廃棄・処理すべきもの」という概念も、環境保全の観点から必要な管理をすべきものを対象として捉えていこうという考え方の表れであると考えられる。即ち、不要物の判断に際し環境の保全の観点を重視するとともに、不要物以外の物についても環境保全の観点から行政調査等の対象とすることにより、環境保全上適切に管理すべきものを対象として捉えるという視点が重要である。

○一方、廃棄物としての規制がリサイクルを阻害するという観点からリサイクル可能物を廃棄物から除外すべきとの指摘については、中古品や二次原料として適正な管理がなされている有償取引の市場が確立しているものを除けば、リサイクル可能物であっても何らかの環境保全上の管理が必要なものであり、リサイクル名目での不適正処理事例が多発していることや、バーゼル条約や欧州における立法例等にかんがみれば適切ではなく、むしろ、リサイクルに係る規制について、1.で記述したような合理化について検討することが必要である。

○気体状のものについては、それ自体に管理可能性がなく、廃容器等に含まれる気体については、必要に応じて当該廃容器等の処理に当たり問題となる気体が放出しないような処理基準を設定すること等により対処可能。

○汚染土壌については、土壌汚染対策法に係るものは同法において的確な対応が必要。また、直接同法の対象となっていない汚染土壌についても、同法の考え方に即した取扱いが望ましい。まず、これらの措置を講じ、それで対応できない場合には廃棄物処理法により環境汚染の防止を図ることが必要である。

  また、現在、建設発生土の約9割が公共事業に伴い生ずるものであり、汚染土壌以外の、利用されずに処分される土砂については、まず、その発注者である公共主体が発生土の適正な利用や処分を明確にする取組が必要である。民間事業についても同様の取組を促進していくことが必要。これらにより、発生土の適正な利用及び処分を実態的に確保していくことが適当。

 「(2)不法投棄対策の充実」、これは不法投棄懇の内容でございます。

○産業廃棄物の不法投棄対策については、産業廃棄物分野の構造改革と監視の強化による未然防止対策が第一であり、いったん不法投棄がなされた場合には、早期に行政処分を行うなどにより、拡大の防止を図ることが必要である。また、不法投棄された産業廃棄物の原状回復は、排出事業者を含めた関係者の責任で実施されることが原則である。これらの基本的な考え方を反映した平成12年改正法の厳格な運用により、不法投棄対策を進めることが重要である。

 注書きで、定義、言葉を使っておりますが、

(注)「産業廃棄物分野の構造改革」
国と地方公共団体が連携を取りながら、悪質な廃棄物処理業者が優良な廃棄物処理業者を駆逐する構造を打開し、優良な業者が市場において優位となるようにする改革。

としております。

○都道府県が地域の環境保全のために原因者等に代わって原状回復を行わざるを得ない場合の資金手当については、公平性等の確保や実施のコスト、モラルハザードを起こさないこと等について配慮しつつ、行政と事業者が協力しつつ原状回復を進めるという趣旨で事業者の積極的な社会貢献が求められるところである。これまで事業者の拠出による基金制度により都道府県に対する支援が行われてきたが、今後とも関係者の意見を十分に踏まえた基金制度の運用が必要である。

○以上の対策を基本とした上で、不法投棄対策のさらなる充実が求められており、例えば、土地所有者の責任の強化、自社処分と称する無許可処理業行為及び積み替え保管行為に対する取締強化、優良処理業者や行政処分に関する情報提供の検討など、都道府県、排出事業者等からの要請も踏まえた対応を図っていく必要がある。

○さらに、不法投棄が大規模、広域的に行われている場合には、投棄された地域の都道府県のみの対応では、排出事業者責任の追及等が十分に行えない事態も予想されることから、この場合には都道府県に対する調整・助言等を国が行うことが適切と考えられる。


 「(3)有害な廃棄物の適正処理の確保」でございますが、これは「中間取りまとめ」で有害性がある廃棄物についての独立した区分を設けた部分、そういう論点も組み合わせたところに対する部分です。

○爆発性、毒性、感染性等有害性がある廃棄物については、管理の徹底を図る観点から、一般廃棄物及び産業廃棄物それぞれの区分に応じて特別管理廃棄物制度がある。これについて、国際的に有害廃棄物として扱われているものとの整合性も踏まえ、特別管理廃棄物への追加を計画的に進めることなど、必要な見直しを行っていくべきである。

○特別管理廃棄物であってもその処理責任は通常の廃棄物と同様に排出者によって異なることから、特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物をそれぞれ区分して処理責任や処理方法等を定めている現行の制度を活用していくことが適切。また、同一の性状を有するものについては、適正処理推進の観点から、施設の許可についていずれか一方のみで足りることとするといった許可手続の合理化を行うことが適当。


 「3.役割分担の適正化と、それによる排出抑制等の推進」でございますが、これは分かれております。(1)の「処理責任に着目した廃棄物の区分の在り方」は、「中間取りまとめ」の区分としていた内容でございます。

○排出事業者責任の徹底による排出抑制の促進を図る観点から、事業活動に伴い排出される廃棄物は排出事業者の責任の下処理すべきもの(事業系廃棄物)として区分し、日常生活に伴って排出される廃棄物は市町村の責任の下処理すべきもの(生活系廃棄物)として区分することが方向性としては考えられる。

○しかしながら、産業廃棄物について、処理施設の不足、不法投棄の多発等の状況がみられること、排出事業者責任の徹底を軸として、排出事業者の選択等による産業廃棄物分野の構造改革を進めているところであるが、それがまだ緒についたばかりであることに加え、そのような排出事業者責任について、現在事業系一般廃棄物として整理されている廃棄物の排出事業者全てが負担しきれるかという問題がある。一方、一般廃棄物については、市町村や民間業者により適正に処理されている状況や、事業系一般廃棄物が日常生活に伴って排出される通常の一般廃棄物と同様の性状を有する場合もあることなどにかんがみれば、ダムの流木、道路管理に伴い生じる剪定枝、廃火薬など、性状、排出量、処理困難性等を考慮して市町村での処理がうまく行われていないものについて個々に産業廃棄物へ振り分けた上で、それ以外のものについては、当面、市町村の処理責任の下、排出抑制の推進の観点から、適正な費用負担を求めるとともに、一定以上の量を排出する者に対する減量計画の策定などの取組を求める制度を強化することも考えられる。

○また、同一性状の廃棄物で排出源の違いにより別の区分となるようなものについては、処理責任も同一になるわけではないことから、処理責任に着目した区分は維持しつつ、効率的な処理の推進の観点から、例えば処理施設の設置許可について手続の合理化を進めることが必要。あわせて、市町村の枠を超えて広域的なリサイクルを推進すべきものについては、広域指定制度などの特例制度や拡大生産者責任の拡充・活用によりリサイクルを促進していくことも重要。


 「(2)排出者責任・拡大生産者責任による適正な処理・リサイクルの推進」でございます。これは「中間取りまとめ」で、こういう副題がついているかと思います。

ア 排出者責任

○改正廃掃法の厳格な施行による産業廃棄物の廃棄物責任の徹底を軸として、優良な産業廃棄物処理体制の確立に向けた構造改革を引き続き進めることが必要。

○一般廃棄物については、(1)で述べた事業活動に伴い排出されるものに関する排出事業者責任の強化のほか、国民も排出者として、ごみ有料化や分別排出等の取組に協力するとともに、集団回収・リサイクル活動の実施・参加に努めることが必要。

  この際、このような排出者としての責任の強化とあわせ、市町村の処理事業の収支透明化・効率化、住民の自主的取組の促進のための環境整備等もあわせて推進することが必要。

  また、市町村の処理残さなどの廃棄物に関する責任について、処理を委託した場合にあっても最終処分までの適正処理の確保のための責任があることを明確にすべきである。

イ 拡大生産者責任

○拡大生産者責任の趣旨は、製品が使用済みとなった場合における環境負荷の管理・削減に最も支配力を有する生産者に一定の責任を求めることにより、使用済製品に係る環境負荷低減のメカニズムを市場に組み込み、環境コストを正しく市場に反映させることにある。

○これまでも、拡大生産者責任の趣旨については、廃掃法の適正処理困難物制度や個別リサイクル法に活かされてきたところである。特に一般廃棄物の処理責任を有する市町村が有害性、危険性などの点から処理困難な物について、その適正処理を確保するため、生産者による製品設計・素材選択の工夫や、引取り・処理などの取組を求める拡大生産者責任制度の一層の拡充が必要。このような観点から、制度の対象となる要件を明確にした上で、必要に応じて柔軟に対応するため、生産者にこれらの取組を求める基本的な枠組みを設けることが必要。

○また、生産者に引取り・処理を求める場合、又は、適正な引取り・処理と認められる取組を生産者が自主的に行う場合においては、必要に応じ、廃棄物処理法上の業の許可の特例を設けることにより、これらの取組を促進する手法も組み合わせることが適当。

○拡大生産者責任の導入の趣旨にかんがみ、従来の廃棄物処理法上の処理責任者としての市町村や排出事業者と並び、上流に置ける取組の責任主体として生産者を位置づけていく必要がある。

○なお、拡大生産者責任制度の対象となる一般廃棄物の不法投棄の処理については、投棄を行った者の違法行為であり、行為者に一義的責任があるが、拡大生産者責任制度を進める中で、適正なリサイクル・処理ルートを構築するなどの役割を生産者が果たし、より実効性を高めて、不適正処理を未然になくすようにしていくことが必要。そのうえで、拡大生産者責任の対象となるものの不法投棄の処理について生産者に一定の役割を求めるという考え方については、引き続き検討が必要である。


 「(3)産業廃棄物行政の円滑な執行」、これは産廃懇で議論した内容でございます。

ア 住民同意・流入規制対応

○不法投棄等不適正処理が生じてきた現実、悪質な廃棄物処理業者が優良な廃棄物処理業者を駆逐する構造、他人にとって不要なものを自分の地域で処理することに対する忌避観念を背景としてトラブルが生じ、住民同意や流入規制を行わざるを得なくさせている。改正廃掃法の厳格な施行によりこうした状況を打開するとともに、地方公共団体における流入抑制措置や住民同意を求める行政指導等の考え方を転換し、むしろ産業廃棄物を受け入れ産業廃棄物処理業を地域のビジネスとして成立・成長させていくことが必要である。また、地域が施設を受け入れることに対して不透明な金銭授受を伴いかねない住民同意を求める行政指導には限界があると考えられることから、透明・公正な経済的解決手段が必要である。

○こうした構造改革を強力に進めていく中で、その一つの手段として、産業廃棄物行政に税という手法を位置づけていくことについて、リサイクル等の技術開発支援、適正な処理施設の立地促進のための周辺環境の整備などの手段として検討することは有意義であると考えられるため、税という手法については、さらに詳細に検討する場を別途設けることが必要。


イ 産業廃棄物行政の事務区分

○産業廃棄物は広域的に処理されることから、発生場所と処理される場所の地方公共団体の立場の違いを調整していくことが必要である。現在の産業廃棄物を巡る状況にかんがみれば、産業廃棄物分野の構造改革を進めるため、国と都道府県で協力して法を施行する必要がある。このため、産業廃棄物分野の構造改革を進めるための当面の間、業・施設の許可等を引き続き法定受託事務としておく必要がある。

○また、地方分権改革推進会議の指摘も踏まえ、不法投棄防止、民間による適正処理体制の確保のため、構造改革を国と都道府県で一体となって進める上で、広域的な不法投棄対策や最終処分場の確保を含め広域行政の調整という観点、優良な処理業者の育成や適正な処理体制の確保という観点などから、必要な国の役割の強化・明確化を図ることが適当。

 参考までに、「中間取りまとめ」をおあけくださいませ。
 「中間取りまとめ」に論点ごとに合わせております。3ページのところは定義でございましたが、「骨子素案」の3ページの「不適正処理の防止・適正処理の確保」という事項で取り上げております。
 「中間取りまとめ」の7ページから始まる「廃棄物の区分」も、「骨子素案」の主に5ページでございますが、「役割分担の適正化」の中で取り上げております。
 10ページから始まります「廃棄物処理業・施設に対する規制」は、「骨子素案」の1ページの「合理的な制度の確立による効率的な廃棄物処理・リサイクル」の推進で主に取り扱っております。
 「中間取りまとめ」の13ページから始まります「排出者責任及び拡大生産者責任等」は、「骨子素案」の「適切な役割分担による廃棄物の排出抑制等」というところで取り扱っております。これは主に6ページぐらいでございます。
 「中間取りまとめ」ですと、17ページ、「その他」として取り扱っておりましたが、産廃懇あるいは不法投棄懇の中で取り扱った事項を、またこの「骨子素案」の中に盛り込んでおります。
 以上でございます。

○小早川委員長 それでは、この後、この「骨子素案」の内容についてご議論いただくわけですが、「骨子素案」は「一 基本的視点」、「二 制度見直しの主な論点」が主たる内容になります。まず最初は、全体の構成と「基本的視点」の内容についてご議論をいただきまして、その後で、「制度見直しの主な論点」が中が3つに分かれていますので、各論点ごとについて議論を進めていきたいと考えます。
 そういうわけで、まず最初は、「骨子素案」全体の構成、「基本的視点」の内容につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、どうぞご発言をお願いします。

○古市委員 これから全体のトーンをそろえていかれるのだろうと思うのですけれども、基本的な視点と論点というポイントの部分だけを、今回はまとめていただいたのだろうと思うのです。「中間取りまとめ」の体裁との関係でいいますと、「背景と経緯」とか、そういうものも枕にあった方がいいのではないかなということと、前回、「中間取りまとめ」では、特に全般的なご議論していただいたんですけれども、今回は、その中でも特に困っていることを重点的に取り上げて、こういうことをやることによってこういう効果が期待されますよというようなことが、各章立てにあるとわかりやすいかなという感じを持ちました。

○小早川委員長 今の最初の点は、「中間取りまとめ」でいうと「背景と経緯」とか、そういったものに相当するものは、これからつけ加わるのですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 まさにそういう考えでございます。また、これは「骨子素案」でございますので、内容について効果等をもっとわかりやすくということであれば、また努力をしていきたいと思っています。

○小早川委員長 後半の部分は、古市委員がおっしゃったとおりではないかと思います。こういう視点が重要であるとか、こういう考え方が重要であるというのは、例えばこれから法律案をつくろうというときの覚えとしては大事なのですが、なぜそうするのか、何を狙ってそうするのか。最初はやはりわかりやすくまとめるのがいいと思います。
 ほかにどうですか。
 私から。「中間取りまとめ」の基本的視点(1)(2)(3)と、今回の基本的視点(1)(2)(3)というのは、よく見ると対応していないんですね。ここは何かご説明を。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 具体的にどういう課題があるのか、そういう問題意識に基づいて、これまで「中間取りまとめ」で挙げてきたような課題をもう一度再整理してみました。特にリサイクルの議論は、今までも定義であるとか、区分であるとか、いろんな分野にも「中間取りまとめ」の問題は散らばっておりました。そういうものを再構成したつもりでございます。また、その一方で、やはり青森、岩手みたいな問題が起き、不適正処理に対するニーズも非常に高まっております。それを2番目にきちんと掲げております。そして、いろんなその他の課題があるわけでございますが、いろいろまとめ直して考えてみますと、適切な役割分担、そういう循環社会、この方にも書いてございますが、そういう視点からとらえ直していくことができるのではないか。そういう観点で基本的視点を整理させていただいております。

○小早川委員長 不適正処理から始まるのではなくて、将来をポジティブに見て、それを第1にするというのは、大変結構だと思います。
 ほかいいかがでしょうか。全体について、まだあるかもしれませんが、具体的なところに入ってから、また必要に応じて戻っていただければと思います。
 それでは、次に、「骨子素案」の各論点の議論に入りますが、最初に、「骨子素案」、「制度見直しの主な論点」の「1.合理的な制度の確立による効率的な廃棄物処理・リサイクルの推進」、1ページから2ページにかけてですが、その部分につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、ご発言をお願いします。

○古市委員 2番でなくて、1番の「基本的視点」の部分からでもよろしいですか。

○小早川委員長 どうぞ。

○古市委員 (2)の「不適正処理の防止・適正処理の確保」のことなんですけれども、1つ目の○で、「廃棄物の定義に起因する不適正処理の防止を図るとともに」と書かれています。これをパッと読むと、廃棄物の定義がまずいから不適正処理という印象を受けますので、書き方をちょっと工夫されたらいかがかなと思いました。

○小早川委員長 では、そこはちょっとテークノートしてください。二のところでまた問題になるかもしれません。一についてはいかがでしょうか。
 2ページの下から2番目の○の「全ての保健所設置市」ではなくて、そのうちの一部のみにするというのは、地方分権の方向からいくと逆行しているようにも見えますが、それはいいですが、具体的にどういうメルクマールでその仕分けを進めていくのか、その辺は従来議論しましたでしょうか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 具体的なメルクマールというところまではないと思いますが、ほかの公害諸法の例などをとりますと、現在、廃掃法では、保健所、市が産廃行政を、都道府県と同様に分担をするという形になっておりますが、ほかの公害諸法ではそうなっておりません。むしろ、それぞれの市の能力等を踏まえて、具体的に事務をやっていただくという形になっております。そういう状況でございまして、また、自治体の方にも、ご指摘がございましたので、聞いてみましたところ、やはり現在の産廃事務を行うのは負担に思う自治体もあるということも伺っております。そういう観点から、市の規模や能力に応じて、一部の市のみとするように改めることも含め、都道府県、市の意見も踏まえる必要があろうかと思いまして、このような整理をさせていただいております。

○小早川委員長 市の規模、能力のサイドの問題もありますし、他方では、産廃行政の仕事の中身ですね。どういうことは地域基礎自治体がやるのがふさわしいか。どういう部分は、もっと強力、かつ、高度な技術、能力を持っていないとやりにくいか、その仕分けもあると思うのです。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 そうした点を踏まえて検討してまいりたいと思います。

○大塚委員 言葉の問題で恐縮ですが、2ページの一番下の○ですけれども、「リサイクルされる廃棄物と廃棄物の区分との関係については」、ここは今まで議論してきた人間にはよくわかるんですが、この書き方は、パッと見た人はよくわからない。例えば「リサイクルされる廃棄物を廃棄物の独自の区分とすべきか否かについては」とか、そういうことだと思いますので、書き方の表現をちょっと変えていただいた方がよろしいのではないかということでございます。
 あと、これもつまらないことで恐縮ですが、1ページのところで、最初に広域再生利用指定制度というのが出てきて、あと何もいわず、突然広域指定制度になって、幾つか広域指定制度という言葉が出てきて、2ページの最後のところに、また広域再生利用指定制度と出ていますので、これは適切に扱っていただければと思います。

○山田委員 それとの関係でちょっと気になったのですが、1ページの最初の方で、広域指定制度というのが出てきて、再生利用認定制度というのが出ていますね。それとの見合いでいって、2ページの最後のところの「リサイクルする者とその方法とセットでリサイクルされる物を指定」するというのは、一体どういう制度か。この再生利用認定制度でもなさそうな気がするし、何か新しい制度をつくるということか。私はむしろそういう新しい制度を考えていく必要があるような気はしているわけですけれども、従来の広域指定制度あるいは再生利用認定制度で、こういったことが本当にできるのかどうか。

○小早川委員長 文章上のご注意は事務局で検討していただきたいと思いますが、今の点はどうですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 日本語の書き方がちょっとわかりにくいのかなと思うのですけれども、結局、リサイクル区分を設けたらどうだというのが、「中間取りまとめ」の1つの案として出ておりました。まず、それに対する記述でございますけれども、排出時点で、結局、リサイクルされるかどうかというのは一般的には明らかではございません。そういう面で、リサイクルする者、あるいはリサイクルの方法などをきちっと確認することが必要である。したがって、区分を設けるのではなくて、そういうふうにリサイクルする者とその方法をきちっと把握できるような方法で対応するべきだということで、具体的には、広域再生利用指定制度とか、あるいは拡大生産者責任制度があるということを書いた内容でございます。拡大生産者責任制度については、後ろの方でまたそのあり方を議論しているところでございます。

○古市委員 私も2ページの最後の○が気になっているのです。大塚委員、山田委員からいただいた質問に対する回答がちょっとわからないものですから、質問を差し上げます。
 「排出時点ではリサイクルされるかどうかは明らかではなく」というのは、意思を確認できないのか、それとも結果を確認できないのか、その辺のところが少し不透明なんですね。リサイクル可能物を事前に定義するということではないという意味合いは十分わかるんですけれども、ここで意思を確認してやろうとするのか、事後として、そういうふうになった場合やるという意味なのか。多分事前の意思を確認して、セットでやろうというお話だろうとは思うのですね。その辺を少しクリアに書き分けていただけたらと思うのですが。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 そこら辺、全体に表現がわかりにくいというご指摘もあるので、工夫してみたいと思っております。

○小早川委員長 ちょっと確認ですけれども、最後の○の「従って、排出時点での区分を設けるのではなく」、この区分というのは、廃棄物とリサイクル物の区分という意味ですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 これはまさに「中間取りまとめ」ではさまざまな論点等を掲げております。その中の1つの提案としまして、リサイクルされるものについて、例えば一般廃棄物、産業廃棄物それぞれに独立した区分を設ける、あるいは共通して1つの区分を設ける、そういう論点も掲げておりましたので、それに対応する答えとして、こういう記述の項目を起こしているということでございます。

○小早川委員長 それから、今古市委員がいわれたように、何を否定して、何を推奨しているのかということが、いま一つはっきりしないので、客観的な性状、リサイクルしようとする人の状況とその主観的な意思、リサイクルの方法といったいろんなものを、排出時点でとらえて評価することで、上記の特例制度や拡大生産者責任制度などできめ細かく対応していく、そういう趣旨ですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 そうです。ある意味でいくと、まさにそういう制度自身が1つのくくりであるわけで、それを離れた全然別の区分というような制度を設けるのは、なかなか難しいのではないかということでございます。

○廃棄物・リサイクル対策部長 もっと端的にいいますと、古市先生の質問で、「排出時点ではリサイクルされるかどうかは明らかではなく」というのは、意思の問題か、結果の問題かというのに対する答えは、意思はあったとしても本当にリサイクルされるかどうかはわからない、単純にそういう意味です。ですから、単純に排出時点でリサイクル物という区分をするのではなくて、意思がある場合には、下にあるような再生利用指定制度とか拡大生産者責任制度のもとで、リサイクルする者とその方法をしっかり吟味してやっていくべきである。委員長のご発言は多分そういう趣旨だと思いますけれども、そういうことでございます。

○古市委員 余計なことかもわかりませんけれども、そのときに、これは廃棄物の中でリサイクル可能なものという扱い方にするのか、それとも廃棄物外のところでの議論とされているのか、その辺はどちらなんでしょうか。この辺が、委員長も質問された内容かなと思うんですけれども。

○廃棄物・リサイクル対策部長 それは廃棄物の中でリサイクルされる物という区分をつくるかどうかという議論ですから、廃棄物の中でということです。

○小早川委員長 廃棄物についての、既に既存のものとしてあるこの特例制度や拡大生産者責任制度として一緒にマークするとか、そういうものをうまく活用していく。広い枠としては廃棄物法制の中で、そういうことですね。
 そういうことだとしますと、これも言葉の問題ですが、このページの上から2つ目の「一方」とある段落の下から2~3行目、「当面、上記の新たな広域指定制度の活用により」とありますが、先ほどから山田委員も大塚委員もいっておられるように、この「広域指定制度」はどれを指すのかということと、「新たな」というのは、法律改正をここで抜本的に考えておられるわけではないですね。「新たな」というのは、どういう意味なんですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 現在も広域再生利用指定制度がございますけれども、省令において定めている。そういう面では、審議会の中でもいろいろ資料を出しましたけれども、不適正処理をした場合に、責任の所在がはっきりしていない、あるいは処理基準等がかかっていない、そういう問題でもあります。また、そのために、しっかり使っていこうとする場合、問題点も出てきている。そういう面では、この広域指定制度のあり方をもう少し考え直して、使いやすい、しっかりした制度として組み直していくことも考えられるのではないかと思います。そういう意味で、新たな広域指定制度という表現も出ているということでございます。
 場所としましては、まさに1ページの下にそういう内容が、○の2つ目でございますけれども、ここで書いておる内容でございます。

○小早川委員長 「新たな」ということは、私が思っていたよりも前向きだということがわかりましたが、広域指定制度というのは何を指すということでしょうか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ここでいっている2ページの広域指定制度と、1ページの広域再生利用指定制度でございます。日本語がちょっとばらついているというだけでございますけれども。

○小早川委員長 再生利用認定制度は。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 再生利用認定制度自身は、2ページの○の2つ目でございます。これは最初の広域指定制度とは若干違った制度でございまして、ここにも2ページの一番上の○でございますけれども、「廃棄物の再生利用の促進のため、業・施設両方の許可を不要とする仕組みである再生利用認定制度」、まさに広域再生の方は業の許可でございます。具体的に再生利用認定の方法は、生産設備などを使って再生利用するような事例がイメージとして考えられます。ここら辺、必要があれば、両方の制度の説明みたいな資料等を考える必要があろうかと思っています。

○山田委員 多分小早川先生がおっしゃっているのも同じことだと思うのですけれども、書き方がいかにもただ対象物件をなるべく拡大しましょうというふうに読めてしまうのです。おっしゃっていることは多分もうちょっと大きくて、制度そのものをもうちょっと使いやすいものに変えて、リサイクル物に対する制度がやりやすいように、制度そのものを少し変えていこうということをおっしゃっているようなので、そういうニュアンスを持たせた方が、むしろ上の方ですか、1ページの終わりの方から2ページの最初のあたりで、そういうイメージを少し持たせた表現にしておいた方がよろしいのではないかという気がいたします。

○小早川委員長 内容について特に問題になっているわけではなくて、いいたいことが本当にうまく表現できているかということだと思いますので、ちょっとご検討願います。
 それでは、一応次へ進ませていただきます。
 次の2、「不適正処理の防止・適正処理の確保」、3ページから5ページの下の方までですが、これについて議論をいただきたいと思います。ご質問、ご意見がありましたら、どうぞ。

○大塚委員 これも言葉の問題で恐縮ですが、3ページの3つ目の○の3行目のところで、「占有者の意思・主張」と書いてあるのですけれども、占有者の意思はよくいうのですが、主張がここについているのは多少違和感があります。ご説明いただけますでしょうか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 これはむしろ現実的な問題として、これは不要物でないとか、そういう実際の現場の雰囲気をあらわすために書いたような記述でございます。

○大塚委員 従来の通知との関係でいうと、ここに主張というのが出てくるのは非常に違和感がありまして、ちょっと表現を変えていただいた方がいいのではないかという気がします。

○小早川委員長 法律用語で「主張」というのと大分ニュアンスが違う。本心はともかく、何かいって頑張っている、そういう意味ですね。何か適切な表現があるかどうか、検討してください。

○大塚委員 占有者に放棄の意思がなかったと主張することによりとか、例えばそういう言い方をするとかだと思いますが。ちなみに、通知のイシは「意思」でなくて「意志」の方ですので、どっちでもいいですけれども、一応申し上げておきます。「中間取りまとめ」も間違っていました。失礼しました。

○小早川委員長 通知が間違っていた。

○大塚委員 そうともいえますね。それだったらそれでいいですけれども。

○古市委員 4ページの1つ目の○の4行目ですが、「リサイクル可能物であっても何らかの環境保全上の管理が必要なものであり」というのがございますね。私は、基本的には、前のページにも書いてあるように、「見直しに当たっては、全て環境保全の観点を重視すべきであり」ということで、リサイクル物であろうと、そうでなくても、環境へのインパクトを与えないかどうかというのをチェックするのが必要条件であると考えています。
 ただ、ここでの書かれ方は、「何らかの環境保全上の管理が必要なもの」とした場合、何らかの基準的なものを想定されているのかどうか、その辺のお考えはいかがなのでしょうか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ここの問題でございますけれども、不要物について、生活環境上、問題が生じる理由を3ページの最初の○で書いてございます。こういうもので、「取引価値がないこと等により不要であるために放置されるなどぞんざいに扱われ、それが原因で環境保全上の支障を生じる」おそれがある、そういう問題が基本的にございます。ただ、やはりごく一部ではございますけれども、「一部の部品等が有価地であるために総体として取引価値が生じているような使用済物品などの中には」、経済的にぞんざいに扱われるものも一部にはあろうと思っています。
 ただ、そういうものも、やはり「中古品や二次原料として適正な管理がなされる有償取引の市場が確立している」ようなものは、それほど問題が生じないのではないかと思っております。
 そういう前のところの考え方を受けた整理で、「環境保全上の管理が必要なもの」を考えていくということべきかと思っております。

○古市委員 リサイクルが可能であっても、何らかの環境へのインパクトを与える可能性があるとするならば、それはどういう、要するに、逆にいいますと、リサイクル可能物でも環境へインパクトを与えると、これは適正に処理しないといけないよということをいおうとされていると思うのです。その辺の判断をどうされるかという意味合いなんですけれども。

○廃棄物・リサイクル対策部長 ここでいっているのは、廃棄物の中のリサイクル物ですから、廃棄物としての管理基準が必要ということをいっているだけなのですが。

○小早川委員長 なかなか微妙な問題なんですが、法律上は、廃棄物の定義は、現行法上も、リサイクルが可能かどうかということは関係がない。不要物という、むしろそっちの方ですね。ここの文、今問題になっている4ページの最初の文も、そういう廃棄物の広い定義は維持する。では、なぜそこにリサイクル可能物まで含まれていてもいいんですかということに対する答えが書いてある。そういう理解でいいですね。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ここの4ページの○を見ていただくとわかりますように、「廃棄物としての規制がリサイクルを阻害するという観点からリサイクル可能物を廃棄物から除外すべき」という視点、こういう「中間取りまとめ」でも取り上げた論点でございます。まさに廃棄物からリサイクル可能物を除くべきであるという問題に関して、そうすると、問題がありますということを説明しただけの文章でございますので。

○古市委員 おっしゃるとおりなんですけれども、要するに、「廃棄物から除外すべきとの指摘について」の答えになっているかどうかというのをお聞きしたかったのです。

○小早川委員長 文章構成上は、先ほど「1」の最後で議論した2ページの下の○と重なり合っていますね。2カ所で廃棄物は議論する。リサイクル可能であるかどうかは、その枠の中で考えますよということを頑張っていっているのですが、2カ所でいっているから説得力が増したのか、それとも逆なのかということじゃないかと思います。

○大塚委員 あるいは、こういうことになるのかと、的が外れていたら申しわけないですけれども、4ページの1つ目の○の4行目でいっていることは、管理が必要なのかどうかというのはむしろ結論であって、「リサイクル名目での不適正処理事例が多発していることや、バーゼル条約や欧州における立法例等にかんがみれば適切でなく」という、こちらの方が理由になるんじゃないかという気もしないでもないんです。これは、あるいは順序を変えた方が説明としてはいいような気もしないでもないですけれども、いかがでしょう。

○小早川委員長 かもしれませんね。「管理が必要な」というのが確かに結論というか一般論であって、それを具体的にいえば、次のようなことがあるんじゃないか。

○大塚委員 むしろ理由になっているんじゃないかなと思いますね。

○山田委員 ただ、だとすると、ここにバーゼル条約なんぞが出てくるのがやや違和感があるわけで、バーゼル条約は有償無償関係なしにみんなガバッと押さえちゃって、その中でリサイクルか処分かバーッと分けるというシステムですから、ここでいっていることとは全然別なシステムなんですね。確かに当然のことながら、リサイクル可能物は入ってくる。バーゼル条約あるいは欧州の立法例、例えばドイツなんかでいえば、これは当然のことなわけで、ここでバーゼル条約やら欧州の立法例などが出てくるのは、私にはやや違和感があるのですが。

○リサイクル推進室長 先ほどの1のところとも関係するのですが、リサイクルの対象物が、廃棄物処理法のあり方との関係で問題になった背景は、今の廃棄物処理法では、廃棄物が、産業廃棄物と一般廃棄物という2つの大きな区分がありまして、同一性状のものでリサイクルされるものが、その2つの区分で扱いが、2つの規制を受けるとか、あるいは、かなり細分化された行政単位で許可の体系があるということで、なかなか広域的な移動が難しいとか、そうした観点から、リサイクルの対象になるものと、廃棄物処理法のあり方の議論が問題提起されたと思うのです。
 その場合の議論として、大きく2段階ある。1つはそもそも廃棄物という概念の中に入れるかどうかという話があって、廃棄物の中に入れるかどうかの議論をするときに、とらえようによっては、リサイクル名目での不適正処理につながるような事例があるから、やはり廃棄物の定義から除外するのは難しいのではないか。これは「中間取りまとめ」のときも、そうした方向性が出ていたかと思うのですが、そういう議論が1つあろうかと思います。その議論が、ここの2のところでされている話かと思います。
 その関連で、ちなみにその廃棄物の定義を広くとらえて、リサイクル可能物を含めているものの例として、諸外国のバーゼル条約とか欧州の立法例が、ここでは若干言及してあるのかと思います。
 そうした第1段階の議論を踏まえた上で、では、仮に廃棄物の中で、リサイクルをいかに円滑に進めていくかということを議論しようとすると、冒頭申し上げました2つの廃棄物の区分という問題があって、それへの対応として、1のところで述べてあった規制のあり方の問題があるのではないか。だから、リサイクル物を定義の中に含めるかどうかという議論の次の段階として、仮に定義の中に含めたとしても、規制のあり方の問題として、それが円滑に実施できるような形に持っていけるのではないか。そうした議論があったのではないかと思います。
 今の廃棄物の処理法の規制は、大きくいって3つの規制の流れがあるかと思います。1つは、処理基準というか廃棄物の取扱いの基準を設けて、不適正な処分を行った場合には原状回復を求める、そうした流れが1つと、第三者の廃棄物を取り扱う者に対して、業の許可をかけて、これで規制をする流れと、一定量以上、一定性状の廃棄物を扱う場所ということで、施設について許可制度を設けて規制を行う流れと、大きくはこの3つから、今の廃棄物処理法はできているかと思います。
 そうした観点で見たときに、現行法の廃棄物処理法の中にも、先ほど言葉がややあいまいだというご指摘がございましたが、いわゆる広域指定制度という業の許可を不要とする制度と、再生利用認定という、業の許可と施設許可の、両方を不要にする制度があり、さらには、拡大生産者責任に基づいて個別リサイクル法ができておりますが、その中には、そうした処理責任の転換を踏まえて、例えば大臣が認定という別の行為を行うことで、業の許可を不要にするような特例を設けている仕組みと、実は現行法でも3つ仕組みがあるということは、以前もご説明させていただいたかと思います。
 そうした中で、ただ、個々の制度について見ました場合に、特に広域指定制度と再生利用認定制度については、これまでの議論の中でも、何点か改善すべき点があるのではないかというご指摘がありました。それを踏まえて、今回の「骨子素案」の1のところに書かれていたかと思うのですが、広域指定制度については、業の許可について、産業廃棄物、一般廃棄物のそれぞれについて不要とする制度にはなっているのですが、一方で、現行の制度は必ずしも法文上、まだ明確な位置づけがされているとはいい難い面がございますし、処理基準の適用がされていないという問題点もございます。そのことがこうした制度の運用がうまく進まない原因ではないかというご指摘が、過去にもあったのではないかと思います。そういうことを踏まえて、先ほどのような新たな指定制度の可能性のようなことは、この中で言及されているかと受けとめております。
 再生利用認定制度については、業の許可と施設許可と、ある意味では、両方の規制が外れるので、リサイクルを進める上では、非常に円滑に実施しやすい条件が整うのですが、やっぱり一定の条件といいますか、対象が今までのところですと、かなり限定的にしか認められてきていませんので、そういう意味での対象拡大の議論が出ているのかと思います。こうした流れの中で、この1と2のそれぞれの記述が出てきているのではないかと受けとめております。

○大塚委員 今、事務局がおっしゃったとおりだと思いますけれども、それとは別に、先ほどの山田委員のご発言は、4ページの4行目のところで、有償のものを除いているのに、バーゼルは有償のものは除いていないから、ここで書くのはおかしいというご趣旨だったと思います。それはそれでお考えはわからなくはないんですけれども、多分ここでいいたいのは、リサイクル可能物を除くなどというのはとんでもないということで、バーゼル条約の趣旨は本当はもっと先に行っているのだけれども、そこまでは行かないですが、どっちかというとバーゼル条約の趣旨を一応受けとめて、少しでもリサイクル可能物も廃棄物に入れるのだという方向に持っていくということをいっているのだと思いますので、「かんがみれば」というところで、そういうふうに読めるかなと私は思っておりましたが、もしそれが余り正確でないということであれば、趣旨とかいう言葉を入れるとか、そういう感じかなと私は受けとめております。

○山田委員 そこまで、私はいうつもりはないわけだけれども、要するに、全体のニュアンスとして、2の(1)の「不適正処理防止のための廃棄物の定義の在り方」という書き方の中で、2つのことがごっちゃに出てきているような気がするのです。1つは、要するに、不適正処理の問題。どういう問題かというと、現在でいう不要物でないリサイクル可能物との区別をどうするか。そこのところの問題の話と、そうじゃなくて、もっとドラスティックに、リサイクル可能物そのものを乗せろという話に対する問題と、その話が何となく入り組んで出てきていて、例えば(1)のところで「不要物であるリサイクル可能物を含め、不要物全体を廃棄物として捉える」といい、その次は不要物でないリサイクル可能物の不法投棄の問題が出てきという形で、全体の整理ができていないので、全体として何がいいたいのか。よく読めばわかるといえばわかるのでしょうが、全体に2つの話をごっちゃにしがちなところがあって、そこを表現として少し整理をなさった方がいいのではないか。
 だから、終わりの方で突然バーゼル条約なんていうのが出てくると、また前の方とどう関係するのかというのでびっくりしてしまう。そういうことがあるのではないかという気がいたします。
 大塚先生みたいに、厳密にちゃんと読んでいけば、それはわかるではないかといわれれば、全くそのとおりでありまして、そういうことであります。

○小早川委員長 今いわれた「不要物でないリサイクル可能物」というのは、何の話でしたっけ。

○山田委員 いわゆる有価物。今現在、廃棄物に入っていないもの。

○小早川委員長 それは、ここでは触れていないんですね。

○山田委員 触れていないのではなくて、○の2つ目、3つ目、4つ目あたりは、どうもその話をしているんですね。そこら辺との区別の問題をしているわけで、特に○4は明らかにその話なんですね。

○大塚委員 そうなんですよ。事務局の話でちょっと申しわけないですが、多分一番いいたいところは、3ページの○4ですね。だから、使用済物品であっても廃棄物に入れるという趣旨を3ページの○4でいっていますので、まさに有価物かどうかよくわからないようなものも、ぎりぎりのところで有価物になっているようなものも廃棄物に入れるということが、ここで出ていて、4ページの一番上のところは、リサイクル可能物の話と、今、山田委員がまさにおっしゃった有価物にぎりぎり入っているものも含めて、議論しているわけです。

○山田委員 のかどうか。

○大塚委員 そういうことだと思います。4ページの4行目の「有償取引の市場が確立しているものを除けば」というのがまさにそういうことで、一応有価物にぎりぎりなっているものは入る。それ以外に、リサイクル可能物も入るという整理がなされているんじゃないかと思いますけれども、ちょっと深読みし過ぎでしょうか。

○山田委員 よく読めばそうです。

○小早川委員長 どうなんですかね。その辺が、現行法上の曖昧模糊とした部分が、この報告書の中で、そのまま、また再生産されている。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 なかなか読みづらい面もあろうかと思いますけれども、まず3ページの方でございますが、最初の○とか、2番目の○とか、あるいは3つ目の○は、有価物ですと占有者等が主張していても、これはよくよく調べてみれば有価物なんかじゃない。そういうようなものを化けの皮をはがすというか、きちっとやっていくためには、行政調査権限を強化すべきである。これはまさに無価物の話であろうと思います。
 そして、4番目の○が、ごく一部の部品等が、例えば被覆電線など、あるいは使用済自動車、エンジンとか価値があっても、周り自身はガラみたいなもの、そういうものが例としてございましたけれども、「総体として取引価値が生じているような使用済物品などの中には、逆にほとんどの部分が不要なものであること等により、その保管などの取扱に際しぞんざいに扱われ」る場合もある。ぎりぎりの線だろうと思いますけれども、そういう事例も一部にある。そういうものも廃掃法の事後対応を軸としたような管理が必要になるのではないか。処理基準とか、あるいは行政調査命令という記述にしております。
 ただ、ここで書いてありますように、例えば使用済自動車については、そうした考え方もあって、自動車リサイクル法が制定されたとも思いますが、有価のリサイクル可能物だから何でもかんでも入るようにすぐ思われがちなのですが、そうでもないと思うのです。やはり、「中古品や二次原料として適正な管理がなされる有償取引の市場が確立しているものまで対象とすべきでない」という考えでございます。

○大塚委員 1つだけ、簡単なことで恐縮ですが、今の3ページの4つ目の○については、使用済物品などの場合というので具体的な例がよくわからないので、多分お読みになった方が、必ずしもよくわからないんじゃないかという気がしますので、今被覆電線とおっしゃったんですけれども、例えばそういう例をここに挙げた方がいいのではないかというのは、私の提案として申し上げておきたいと思います。

○小早川委員長 追いかけるみたいですが、被覆電線の場合は、それ自体が物として当然に廃棄物なんですか。それとも、そうじゃない、これは本当に言い張っているだけではなくて、有価物として扱うつもりなんだけれども、ぞんざいになって、いつの間にか廃棄物扱いすべきものに変質している場合があるということなのか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 自治体などの話を聞きますと、使った後の被覆電線、それ自身、中の銅線など有価値であるわけですけれども、それが例えば野焼きされてしまう。それで住民から苦情が出る。しかし、それは有価値ですので廃掃法の規制がかからない、そういうふうな苦情も聞こえてくるということでございます。

○廃棄物・リサイクル対策部長 被覆電線の例なのですが、使用済自動車を例にとるとわかりやすいと思います。使用済自動車の場合は、総体として有価のものと逆有償のものと混在しているわけでございまして、最近は、逆有償のものがふえてきている。こういったものをどうするかというときに、取引価値があれば、それはきちんと市場で回るので、ぞんざいに扱われることはないということで、これまで廃棄物処理法の対象にしていませんでした。
 今の状況は、不要物である使用済自動車と有価物である使用済自動車が混在しているので、それを昔の有償の状態で回るように手当てをしようということで自動車リサイクル法をつくって、生産者が一定部分の責任を持って、昔のように回るようにしようという制度です。
 この場合には、一応規制的には廃棄物扱いとして規制をしましょうということも、自動車リサイクル法の中で書いてあるのです。そういう考え方もあるわけですね。
 被覆電線の場合は、地方公共団体で野焼きの話がありまして、被覆電線そのものは取引価値があるのです。ですから、廃棄物処理法の対象として取り締まりできないのですが、実際に野焼きをされちゃいますと、これは環境汚染だ。その環境汚染を規制するために、何も廃棄物処理法だけでなくて、いろんな関係法で取り締まりができないかと思うのですが、今のところ、ないのです。それをどうしたらいいかというのが1つの課題なのです。
 ここでは、4番目の○と5番目の○だけ異質なのですが、そういった従来は有価物であり、有償取引されていて、廃棄物扱いしていなかったものについても、廃棄物処理法で何らかの手当てができないかという発想で書き始めたのです。ただし、入り口から廃棄物というのは、今のように無理がある。それで事後的な措置が何かとれないか。それは別に廃棄物処理法でなくて、ほかの法律、ほかの制度でやってもいいのかもしれませんが、そういう問題提起になっております。

○小早川委員長 もうそろそろいいですか。(1)の表題の「不適正処理防止のための廃棄物の定義の在り方」とあるのですけれども、そこでいう不適正処理防止というのは、今の部長のご説明を踏まえていえば、廃棄物の不適正処理防止ではなくて、およそ物が環境保全上問題がある形で扱われることの防止なんですね。そういう意味で、監視が必要なものは、廃棄物としての規制を要しましょう、そういうのが(1)の全体のトーンなんですか。
 この表題自身も、「廃棄物の定義の在り方」というのがいいのかな、要するに、今の環境保全上必要な規定で、現行法上、環境保全・公害防止法体系で穴があいているところは、可能な範囲で、廃棄物処理法で引き受けましょう、そういうことですね。

○廃棄物・リサイクル対策部長 必ずしもそれほど積極的に。もともとは、廃棄物の中でも不適正処理防止を書いているのですが、「中間取りまとめ」のような議論がありましたように、あるいは先ほどから出ているバーゼル条約とかEUの関係がありますように、こういったものも廃棄物として概念していくところがあるので、これも廃棄物に準じるものとしての廃棄物処理法の規制を考えられないかと思っているわけですが、実際には、入り口から廃棄物としてとらえてやっていくのは無理があるのではないかというのが、ここの気持ちでありまして、それで事後的な対応が何とかないだろうか。大変難しいところだと思います。

○小早川委員長 これを法律で書くとなるとなかなか大変ですね。行政調査という面に重点を置いてやるのかなという気もしますけれども。

○山田委員 しつこいですが、確認ですが、1つ目の○がいわば総論部分で、2つ目、3つ目が、有価物と無価物との灰色の部分というか、本当は無価物なんだけれども、有価物だと言い張られているものをどうするかという話で、4つ目、5つ目になると、本来有価物なんだけれども、何らかの形で規制をすべきものがあるという場合に、考えなきゃいけないのじゃないかというのが、4つ目、5つ目の○で、6つ目の話になると、前の1のところで書いてあった話を受けて、無価物ではあるけれどもリサイクル物というのがある。不要物であるリサイクル物というのがあるわけで、それを外せという話は前にも出てきたけれども、やっぱりだめなんだよということを念を押した。そういうことですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 大体そういうことです。わかりにくい感じかもしれませんけれども。

○山田委員 何となくわかります。

○小早川委員長 こういう委員会をつくって検討して、報告書を出すからには、実際にされている議論に対して答えるものでないといけない。だから、廃棄物から除外せよという主張に対して、それを否定するにしても、どういうふうに否定するのかというのが筋としてはっきり読めないといけないわけですね。だから、いろんなところにその話が出てくるのですが、どこで決定的にそれを否定するのか。作文の仕方の問題だと思いますけれども、もうちょっとお考えいただけないか。
 まだ気体の話、土壌の話、ちょっと筋の違う不法投棄の話、有害廃棄物の話がありますが、これについてはいかがでしょうか。今のところで大分時間をとったのですが。
 次の3と絡むのですが、ここら辺で、全体として、国の役割がどういうふうに書き込まれているか、全部調べればわかるのですが、ここらでそれがきっちりと書かれていると、後につながりやすいと思うのですが、その点は大丈夫ですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 国の役割、不法投棄の中でも、例えば5ページにございますように、不法投棄が大規模、広域的に取り扱われている場合の国の役割の話など、特に記述しております。明記はしておりませんけれども、不法投棄をなくしていくようないろんな対策を制度的に充実していく。これも国の果たすべき役割もあろうかと思います。ただ、国の役割は、特に8ページの、後で出てきます「産業廃棄物行政の事務区分」のところで、最後の○にまとめて書いたところもございます。

○小早川委員長 だから、書き方としては、どんな施策が必要かという、ある意味で実態的な部分を扱っている2のところで、それがきちっと書かれていれば、それを受けて3が書きやすいのだと思うのですが、3で突然でもないですけれども、最後に、実はこういうことがありますというのは、ちょっととってつけた感じです。

○古市委員 不法投棄対策の部分については、懇談会等で議論した部分を、国の役割等を明確にして、非常によくまとめていただいていますので、非常にいいと思うのですけれども、基本的には、不法投棄はやり得になっては困るわけで、やはりイリーガルなものですから、特殊なものですね。だから、特殊な人が出ないようにする、徹底的にそういうイリーガルな人に対して責任をとらせるというのが基本だろうと思うのです。
 不法投棄した人に対して、個人の財産までも押さえるとか、氏名の公表とか、そういうものも議論したように思うのです。そういう国とか県とか、関係者の役割みたいなものがあるのですが、その当事者に対する規制といいますか、罰則を少し強化できないかなというような感じなんですね。ですから、その辺を制度的にやるのがいいのか、どこまでできるのかというのは、私はわかりませんけれども、もう少しご検討いただけたらなと思います。
 それと、多分これからは豊島とか青森、岩手のような大規模な不法投棄は出ないとは思うのですけれども、過去にたくさんのそういう不法投棄現場がございますので、そういうものについても、やはり環境保全上、修復することが必要だと思います。そういうものに対して国でリストアップして、優先順位をつけて対策を講じる。この辺についても議論したと思うのです。こういうことも何かここで書いていただけたらいいのかどうかわかりませんけれども、ちょっとお願いできたらという気がいたします。

○適正処理推進室長 ただいま古市先生からお話がありましたように、不法投棄の懇談会では、非常にさまざまな分野について具体的な対策を取りまとめていただいたところでありまして、予算で対応するようなところは、現実にもう予算要求等に反映していますし、各都道府県あるいは国が気合でやっていくような施策に力を入れるというところは、まさしくそういう方向でやろうということで動いているところだと思います。
 ここに出ておりますのは、その中でもむしろ制度を変えるような部分について、特にどうしたらいいかという観点で出したものでありまして、今先生からお話がありましたように、いろんな対策を総合的にやっていかなきゃいけないというのは、まさしくそのとおりだと思っておりまして、事務局としてもそういう対応をしているところでございます。

○小早川委員長 違反行為者それ自体に対する対応の、現行制度の厳格な運用、適用という話と、必要があれば、さらに制度的な何らかの新しいことを考えるという趣旨は、もうちょっと出ますか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ここの5ページのところでございますけれども、上から4行目に、「以上の対策を基本とした上で、不法投棄対策のさらなる充実が求められており」、ここが今までどおりでなくてというふうな感じが少しは出ているかと思いますが、これは「骨子素案」でございますので、さらに文章を膨らませるという工夫等もしてみたいと思います。

○大塚委員 今の点については、たしか課徴金等を制度に入れたらどうかということは、不法投棄の検討会では出ていたのではないかと思いますが、例えばそういうことが考えられますので、もしここに入れていただけるなら大変ありがたいと思います。

○小早川委員長 全体のバランスも考えて、ご検討をお願いします。
 それでは、一応次へ進みたいと思います。「骨子素案」の3、「役割分担の適正化と、それによる排出抑制等の推進」という部分で、5ページから最後の8ページまでなんですが、これにつきまして、ご質問、ご意見がありましたら、どうぞお願いします。
 また細かいことですが、7ページ(3)アのところで、「住民同意・流入規制」という言葉と、「流入抑制」というのが両方出てきますが、これは使い分けているのですか。でなければ、どちらかにそろえてください。どっちでなきゃいけないということもないと思います。抑制というと、いや、抑制していませんという自治体さんが多いから、規制の方がいいかもしれません。いや、こだわりませんが。

○古市委員 これも言葉じりで恐縮なんですけれども、7ページの一番下の○の部分ですが、下から4行目、「忌避観念を背景としてトラブルが生じ、住民同意や流入規制を行わざるを得なくさせている」、要するに、トラブルが生じるから、仕方なく流入規制を行わざるを得ないんだ。トラブルがあるから仕方ないんだということなのか。本当にそうなのか。本当は、住民同意や流入規制で対応している例もあるぐらいの意味合いですね。だから、ここの表現が、住民同意や流入規制を前提条件として認めているような書きぶりになっていますので、ちょっとここは表現を注意していただければと思います。

○小早川委員長 この点は、前の懇談会のときから、何となく自治体側の強い主張に押されて、ややはっきりしなかったところですね。ご注意ありがとうございます。
 あとの方になりますが、事務区分のところで、1つは、「当面の間」とあるのは、構造改革を進める間という意味ですね。それがいつ改革が完了したと将来認定されるのか、それはよくわかりませんが、とにかくある意味での過渡期というか、転換期であって、パーマネントな話ではないという趣旨ですね。それを前提とした上で、その段階でも、さっきの保健所設置市の話ともちょっとつながりますけれども、産廃について、現行では自治事務とされている部分は全くないんでしたっけ。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 措置命令については、産廃に関しても自治事務となっております。

○事務局 産業廃棄物行政は基本的には法定受託事務ですが、都道府県ごとに廃棄物処理計画をつくることになっております。それと、不法投棄等が起きた場合の代執行につきましては、自治事務でございます。

○小早川委員長 措置命令は法定受託事務ですね。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 失礼しました。それは法定受託事務ということです。

○山田委員 今の点で、この間も同じようなことを申し上げたんですけれども、「国と都道府県で協力して法を施行する必要がある」、これはだれも文句のないところなのでありますが、突然「このため、……法定受託事務としておく必要がある」ということに本当になるのかどうか。それで説得力があるのかということについては、長い議論の経緯があるだけに、もうちょっと説明が要るのではないかという気がいたします。

○小早川委員長 今の点は、多分この事務区分の議論も長い経緯がありますが、廃棄物処理法の歴史はもっと長いわけで、これが市町村の一般廃棄物の方から始まったということもあるのか、現行の4条の規定も、ほかの法律だと、国、都道府県、市町村という順番に責務を書いたりする法律が多いけれども、ここはむしろ市町村、都道府県、国となっていて、見るからに国は正面に出ませんよというスタンスになっているように見えるわけですね。その辺、そのままで、しかし、少なくとも構造改革の間は国も頑張りますということで、説明が果たして十分なのかどうかという問題もあるように思いますね。

○山田委員 もうちょっと揚げ足をとると、一般廃棄物の方は自治事務になっているわけですけれども、では、一般廃棄物の自治事務については、国と都道府県、市町村は協力して法を施行する必要がないのかという話になりかねないわけで、もちろんそんなことはないわけでありまして、それはそれとして、国の果たすべき役割は一般廃棄物についてもあるはずですね。ですから、ここら辺のところで突然ボンと事務区分の話に飛躍をするというのは、いささかいかがなものかという気がいたします。別に法定受託事務でなくて、自治事務にしろというようなことを、ここで私は主張するつもりはないわけでありますけれども、こういう書き方でボンと結論が出てしまうことについては、いささか説明不足のような気もしております。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 もう少し工夫できないか考えます。

○大塚委員 別の点ですが、7ページの拡大生産者責任のところで、例えば2つ目の○で、適正処理困難物制度との関係でのEPRについて、私もここで主張させていただいたことですので、これは基本的に全く異存ないのですけれども、拡大生産者責任のところの議論が適正処理困難物とか有害性、危険性のあるものにかなり限定されて、矮小化しているような雰囲気が見られないでもないように思いまして、4つ目の○は、むしろ2つ目ぐらいに格上げしていただいて、順序を変えていただいた方がいいのではないかという気もします。
 拡大生産者責任は、必ずしも純粋な廃棄物だけに限定して問題になるわけではないということは、確かにあるのですけれども、廃掃法の中でも、拡大生産者責任一般についての位置づけができないかどうかということも、もう少し検討してみるべきではないかということを申し上げておきたいと思います。抽象的で恐縮ですが。

○小早川委員長 文章を直す程度で対応できる部分は、よろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。

○大塚委員 ちょっと学問的な議論になってしまうかもしれないので恐縮なんですが、「排出者責任」という言葉が出ているのですが、ここでいっている責任は、実施の責任だけではなくて、費用負担の責任も入っているという趣旨でよろしいわけですね。つまり、「責任」という言葉に2種類のものが入っているという理解でよろしいんですね。そこは「中間取りまとめ」も同じ問題があるので、今ここで申し上げるのが適当がどうかわかりませんが、一応注意を喚起しておきたいと思います。「国民の排出者責任」というときに、ほとんど費用負担のことしか意味していないと思います。廃掃法で「処理責任」というときには、「責任」についてそういう使い方をしていないはずなので、やや違和感はありますけれども、そういう趣旨だということを、費用負担だけのことも含むんだということを、ここで確認しておきたいと思います。

○小早川委員長 国民の責任というのは、いわば一般の場合には、市町村が国民の長屋の大家さんみたいなことでまとめてやってくれるというものも含んでいるわけですね。

○大塚委員 国民は、本当は責務じゃないかという気もするんですけれども。

○小早川委員長 そうですね。国民が地域社会の構成員として、市町村に吸収されちゃっている部分と、市町村の業務に対して、1人1人が自立した個人としてやるべきことはやるという部分と、両方あるんでしょうね。何か表現で、具体的な直しのご提案がありますか。

○大塚委員 いや、「中間取りまとめ」もこの言葉を使っているので、どうしようもないかなとは思っているのです。本当は排出事業者責任だけれども、排出者については責任といっていいのかどうか、やや疑問があると私は思っていますが、これを責務にしてしまうのは、今からなかなか難しいのかなと。本当はした方がいいと思っているんですけれども、そういう問題があるということだけ指摘しておきます。

○山田委員 ちょっとそれとも関係する、先ほど小早川先生も触れられたような気もするのですが、「基本的視点」の(3)のところで、「適切な役割分担による廃棄物の排出抑制等」と麗々しく書いてあって、最後の3のところも、「それによる排出抑制等の推進」ということが書いてあって、これは大変結構なことなんですが、実際問題として、排出抑制という話が出てくるかというと、具体的にはほとんど出てこない。拡大生産者責任のところで、先ほど大塚先生がおっしゃったように、後ろの方にちょろっと出てくるだけなのです。
 そういう意味からいうと、余りここで議論をしなかったということもあるわけで、何となく適正処理の話に傾いたということはあるわけですけれども、「基本的視点」やら大きな見出しやらに出てくる以上は、書き方の問題としても、やっぱり排出抑制とか排出者責任などのところで、排出抑制の話を少し強調して書いておくべきではないかという気がいたします。

○小早川委員長 今のところは、排出事業者、排出住民、上流の生産者、その辺の役割ということになれば、適正処理よりは排出抑制ということになる。重点が置かれるはずなので、全体の書き方として、もう少しそういう言葉をちりばめれば、少しはご希望に沿うような。
 ほかにいかがですか。一応第3のところのご意見をいただきましたが、最初から全部含めていただいて結構ですけれども、ほかに何かございましたら。
 それでは、いろいろご意見をいただきまして、私もいろいろいってしまいまして、座長の意見も踏まえてと最初にいわれましたが、今さらいろいろ申し上げて大変恐縮です。
 次回は、本日の議論、ご意見を踏まえまして、現状や課題についての記述もつけ加えて、報告書の形を整えた報告書案を準備してご議論いただきたいと考えております。
 きょういろいろご意見ございましたが、骨格がこれではまずいということでは必ずしもなくて、いうべきことをきちんと表現するという方向でのご発言が基調だったと思いますので、できましたら次回に報告書の大筋をまとめていくということにしたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
 では、本日の議論はそういうことでまとめさせていただいて、事務局から何か連絡事項がありましたら。
 
(2)その他

○企画課長 次回でございますが、10月18日(金曜日)午後2時から4時まで、場所は航空会館を予定しております。議題といたしましては、今委員長からお話がございましたように、専門委員会としての取りまとめを行う、報告書案につきましてご議論いただきたいと考えております。正式なご案内は、追ってお送りさせていただきます。
 以上でございます。

○小早川委員長 それでは、よろしゅうございましょうか。
 では、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

午後3時48分 閉会