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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
廃棄物・リサイクル制度専門委員会(第5回)議事録


1 開催日時 平成14年9月30日(月)10:02~12:04 

2 開催場所 環境省 第1会議室

3 議事次第
1.開会
2.議題
 (1)汚染土壌の取扱いについて
 (2)産業廃棄物行政に関する課題(流入抑制措置、施設設置に係る住民同意)について
 (3) 不法投棄対策について
 (4)その他
3.閉会

午前10時02分開会

○企画課長 おはようございます。ただいまから中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 廃棄物・リサイクル制度専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、お手元の配付資料を確認願いますが、議事次第の下に配付資料一覧がございます。ごらんください。不足がございましたら、お申し出ください。
 それでは、議事進行を小早川委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○小早川委員長 それでは、早速きょうの議事に入ります。
 前回は、排出者責任、拡大生産者責任の問題、それから、産業廃棄物行政の事務区分についてご議論いただきました。今回は、今お話がありました「議事次第」にありますとおり、「汚染土壌等の取扱いについて」、「産業廃棄物行政に関する課題について」、そして「不法投棄対策について」ご議論いただきます。
 それでは、早速ですが、「汚染土壌等の取扱いについて」ということで、事務局からご説明をお願いします。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 企画室長の田河でございます。資料2、3に沿いまして、土壌の関係についてご説明させていただきます。
 資料の2をお開きくださいませ。「汚染土壌の取扱いについて」と題しておりますが、土壌の取り扱いにつきましては、土壌・農薬部会での審議を待って、本部会でもご審議いただくこととなっておりましたが、この9月20日に、土壌・農薬部会で中間答申が出ておりますので、資料を用意させていただいております。
 資料2の確認でございますが、一番後ろのページ、4ページをおあけくださいませ。土壌汚染対策法の概要図がつけてございます。点線で仕組み等を書いておりますが、水濁法の有害物質の特定施設の使用の廃止時、あるいは土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると認めるときは調査を行うこととなり、そして、基準に適合しない場合は、指定区域として指定されることとなります。そして、その指定区域の管理ということにつきましては、汚染の除去等の措置、ここにつきましては、指定区域の土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると認めるときは、都道府県が汚染原因者に対し汚染の除去等の措置の実施を命令するというふうになります。本部会の中間取りまとめにおきましても、汚染土壌の処分のため除去されたものが問題というふうになっておりますが、特に処分のために除去される場合、例えば、この浄化のために除去される場合等の扱いが問題になります。
 また、右側でございますが、指定区域の管理につきまして、土地の形質の変更の制限もございます。指定区域において土地の形質変更をしようとする者は、都道府県に届け出、適切でない場合は都道府県が計画の変更を命令するというふうになっております。ここの汚染の除去等の措置が問題になるわけでございます。
 その答申の抜粋、ポインでトでございますが、1ページにお戻りくださいませ。
 「汚染の除去等の措置の実施に関する技術的基準」、特に覆土とか、そういうところは特に関係ないわけでございますが、土壌が持ち出される可能性がある[5]「指定区域外土壌入れ換え措置」、これにつきましての最初のところですが、「汚染土壌の範囲内において土壌を深さ50cm以上掘削除去し、その上面を砂利等の仕切により覆った上で、厚さが50cm以上の掘削した汚染土壌から特定有害物質を除去した土壌又は汚染されていない別の土壌の層により覆うこと。その際に、覆いの損壊を防止するために必要な措置を講ずること。」となっております。
 そして、次の項ですが、「掘削した汚染土壌を他の場所へ搬出してはならないこと。」。括弧書きですが、「当該土壌からの汚染の除去又は当該土壌の適正な処分(環境大臣が定める方法による。)のため当該土壌を他の場所へ搬出する場所を除く。」となっておりまして、こういう場合は搬出が許されるわけです。
 そして、「掘削した汚染土壌からの汚染の除去又は当該土壌の適正な処分のため当該土壌を他の場所へ搬出する場合には、搬出中に特定有害物質又は特定有害物質を含む汚染土壌が周辺に飛散等しないようにするとともに、汚染土壌の搬出先において、周辺環境に特定有害物質による汚染を拡散させることなく汚染土壌からの汚染の除去又は適正な処分が行われたことを環境大臣が定めるところにより確認すること。」というふうになっております。汚染土壌に関しては適正な処分が確保されるようにすべきであるという趣旨でございます。
 また、次の「掘削除去措置」、浄化、埋め戻しも含まれるわけでございますが、この措置が[10]、[17]に書いてありますが、「汚染土壌の範囲及び当該範囲内における汚染土壌の深さをボーリング調査等により確認し、汚染土壌を掘削除去し、掘削した汚染土壌から特定有害物質を除去した土壌又は汚染されていない別の土壌により埋め戻すこと。」となっております。
 そして、「土壌溶出基準を超える指定区域にあっては、埋め戻しの後に指定区域内の1か所以上に観測井を設け、環境大臣の定める方法により1年に定期的に4回以上測定し、浄化基準を超過しない状態が2年間継続することを確認すること。」となっております。
 そして、ここも先ほどと同じでございますが、「掘削した汚染土壌を他の場所へ搬出してはならないこと。」としておりますが、括弧書きで、「当該土壌からの汚染の除去又は当該土壌の適正な処分(環境大臣が定める方法による。)のため当該土壌を他の場所へ搬出する場合を除く。」としております。
 次のポツですが、「掘削した汚染土壌からの汚染の除去又は当該土壌の適正な処分のため当該土壌を他の場所へ搬出する場合には、搬出中に特定有害物質又は特定有害物質を含む汚染土壌が周辺に飛散等しないようにするとともに、汚染土壌の搬出先において、周辺環境に特定有害物質による汚染を拡散させることなく汚染土壌からの汚染の除去又は適正な処分が行われたことを環境大臣が定めるところにより確認すること。」というふうになっております。
 以上、汚染の除去等の措置でございますが、もう1つの「土地の形質の変更の施行方法に係る基準」、そこでも同様な基準が定められております。
 (1)「土地の形質の変更の際に遵守すべき事項」でございますが、「指定区域内の土地の形質の変更に際し、汚染土壌が露出して、当該指定区域の外に特定有害物質及び特定有害物質を含む汚染土壌が飛散等しないようにすること。」、「指定区域内の土地の形質の変更に際し、汚染土壌が当該指定区域内の帯水層に接するような状態にならないようにすること。」、「指定区域内の土地の形質の変更を行った後には、法第7条第4項の技術的基準に適合した状態とすること。」。先ほどのようなものでございます。
 そして、その(2)でございますが、「土地の形質の変更の際の土壌の搬出の方法」、これも先ほどご説明したものと同じように、きちんとした方法でなければならないということが定められているわけでございます。
 そして、この答申の「おわりに」というところでございますが、「今回の審議により、土壌汚染対策法の施行のために必要な土壌汚染対策法に係る技術的事項については概ね取りまとめられたものと考えられる。一方、現在、廃棄物・リサイクル制度の基本問題の一環として、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会において汚染土壌等について別途検討されているところであるが、汚染土壌の不適切な取扱いにより汚染が拡大することのないよう、土壌汚染対策法においても指定区域からの汚染土壌の搬出を規制する等その的確な施行を確保することが必要であろう。」というふうになっております。
 以上、汚染土壌に関してでございますが、もう1つ、資料3をおあけくださいませ。
 「建設工事に伴って発生する土砂について」でございます。
 まず、その「現状」でございますけれども、これについては、この資料3の参考資料3-1というところをおあけいただきたいと思います。これは建設発生土の搬出量に関する現状を図で取りまとめたものでございます。左側のところが建設工事に伴って発生する土砂の場外搬出量、2億8,000万立米でございます。これがどういう形になっておるのかということでございますが、その2億8,000万立米のうち、右側に、上の方でございますが、工事間利用とか再資源化施設等へ行くもの、これが約8,100万立米利用されているわけでございます。そして、下の方、斜めに流れていっておりますが、70%、1億9,936万立米、内陸受入地、これが低地の盛り土であるとか、農地のかさ上げ、あるいは砂利等を採取した跡地の埋め戻し、そういう形で搬出されております。
 そして、もともとどういうところから出ているかということで、もう1枚おめくりいただきますと、参考資料3-2、「建設発生土の搬出・利用状況(平成12年度)」と書いてありますが、これを見ていただくと、搬出量の89%、9割が公共機関、国とか、公団とか、都道府県、市町村が占めているというふうな状況でございます。
 もとの1ページにお戻りくださいませ。
 「1.現状」の3つ目の丸でございますけれども、「土砂が、搬出された後に、大量に堆積され苦情につながる事例が、首都圏を中心に一部見られ、地方公共団体においてこれに対応する条例が一部制定されている。」。ただ、これは汚染土壌も含めての条例などの内容にもなっております。
 また、産業廃棄物を土砂に混入させてわからないようにして不法投棄するといったような産業廃棄物不法投棄事案も起きている現状でございます。
 「2.土砂の適性管理について」でございますけれども、建設工事に伴って発生する土砂については、土砂が、通常、土地造成等に有効に利用されることなどから、廃処法の対象とはされておらず、これまで国交省等において対応がとられてきております。
 どういう対応かといいますと、次のところでございますが、国交省では、建設工事に伴って発生する土砂の約9割は公共工事に伴うものであることから、公共工事の発注者である国、地方公共団体の責務が重要であるということを基本として、次のような取り組みが必要とされております。
 まず、場外搬出量の削減及び土砂利用量の増加ということでございますが、切り土とか盛り土のバランスを事業単位で検討して、まず土砂の場外搬出量を少なくするという作業、あるいは、土砂の場外搬出が避けられない占有工事においても、搬出量を削減するための浅層化、掘削土を埋め戻しに使うといったような取り組みも必要とされている。これは国の直轄工事ではもうやっております。あるいは、発生した土砂を利用できるような新工法を開発するとか、そういうこともやられています。国交省の地方整備局を中心に地方ブロック単位に設置されている連絡協議会も活用することとされております。
 また、工事間利用の促進を一層進めようということ。これは、土砂の発生する時期と受け入れる時期がずれてしまうことが問題となっているということから、土砂の搬出入を伴う工事情報の把握という課題でございます。
 そのタイムラグを埋めるために、次の2ページでございますけれども、発生した土砂を工事利用されるまでの間ためておくストックヤードの整備、そういう取り組みがございます。
 また、土砂の搬出入を伴う工事情報を把握するような情報交換システム。JACICというのは、日本建設情報総合センターというところで、発生する土砂、あるいは必要とするような工事、そこをマッチングさせていく情報交換システムです。あるいは、UCR(ユーティリテーション・オブ・コンストラクション・リソーシブ・センター)というところがございますが、そういうところで情報交換して活用を行う。
 そして、(3)でございますが、不適正な放置の防止について、どういう対応がとられているのかといいますと、まず、発生した土砂の9割を占める公共工事の発注者側において、搬出先を特定・指定することにより、土砂の不適正な放置を根元から防止することも必要であろうとされております。このため、国が行う直轄工事では、契約図書に土砂の搬出先を指定することを義務化しており、地方公共団体でも指定処分の取り組みは浸透しつつあるが、より一層の徹底が必要とされております。
 また、不適正な放置に対しては、農地法であるとか、森林法であるとか、宅地造成法であるとか、そういうふうな法令による対応もされております。
 なお、最後の丸ですが、産業廃棄物を土砂に混入させて不法投棄するといったような不法投棄事案、これは不法投棄を隠蔽し、発見しにくくしようとするなど悪質性も高いわけですから、当然ながら廃掃法の厳格な対応を図ることが必要であろうと考えております。
 以上でございます。

○小早川委員長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関してご意見、ご質問がございましたら、どうぞよろしくお願いします。

○大塚委員 この問題は非常に大切な問題だと思いますが、私の結論としては、基本的には土壌の方でまず検討をしていただいて、その後で必要であればこちらの方で受けて検討する必要があるということだろうと思います。
 ただ、廃棄物として一部のものについては取り扱うという可能性は否定すべきではなくて、少なくとも指定区域から出てくる汚染土壌については廃棄物とするということは、多分不可能ではないと思いますので、その可能性は否定しない方がいいだろうというふうに思っています。
 具体的に特に必要なのは、やはり改善命令、措置命令と、それから、不法投棄の場合の処罰の規定は適用する必要があるというふうに思いますが、ただ、基本的には土壌の方の取り扱いを待ってこちらで検討すべきではないかと思っております。

○小早川委員長 何か関連してございますか。

○山田委員 土壌汚染対策法の条文が手元にないので、念のために、記憶を喚起するために伺うのですが、土壌汚染対策法の場合には、この9条4項の基準違反が行われた場合に、一定の措置命令をかけるとか、あるいは、それに違反した場合に罰を科すとか、そういったような規定はありましたか。何もなかったですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 罰則等、土壌汚染対策法の中にもございます。

○大塚委員 搬出土壌が汚染されていた場合についての罰則は、私も今ちょっと手元にないんですけれども、この計画、例えば、土地の形質変更のときに出している文書が誤りであったとかいうことで罰則の適用があり得るのかと思いますけれども、もう少し詳しくご説明いただけたらと思います。

○小早川委員長 さらには、きょうご説明のあった今度の技術的な基準、これは要するに処理基準なんでしょうけれども、これに違反した場合にどうなるのか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ここの土壌汚染対策法の中の罰則の規定だと思います。まず、措置命令、7条1項でございます。そこの中で措置命令がございますけれども、これに違反した場合、法38条の中で罰則の規定がございまして、7条第1項の規定により、命令に反した者は、1年以下の懲役または100万円の罰金に処するという規定がございます。処理基準に違反した場合も、この罰則が適用されることになります。

○小早川委員長 基準を守らなかったら、その措置命令ということになるんですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 はい。

○小早川委員長 その上で違反があれば、従わなければ罰則、そういうことでいいですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 そうです。

○大塚委員 7条4項か9条4項違反の罰則を見ていただいた方がよろしいかと思いますが。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 ですから、基準に合わないということで7条1項の違反という形で罰則がかかっていくということになります。措置命令をきちんと守っていないということになりますので。

○山田委員 平たくいうと、こういうことですか。要するに、除去しなさいという命令が出てきて、それは要するにこの基準に従って除去をせよという命令だから、例えばそれをどこかに放り捨てたということになると、それは除去命令に違反したということになって、したがって、先ほどの罰則がかかってくる、そういう理屈ですかね。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 そういうことでございます。

○小早川委員長 よろしいでしょうか。

○古市委員 これもちょっと確認なんですけれども、資料2で汚染土壌、資料3で建設土砂、お話が2つ出てきたんですが、これは当然別に議論されるわけですよね。
 それで、汚染した土壌、これは指定区域内での汚染しているものについての無害化の処理は、もちろん土壌汚染対策法で対応すべきだと思うんですね。ただ、そのときに、先ほどのホームサイトとかインサイトでやる以外、搬出する場合、それはどのようにしたらいいかというところが議論だと。その場合、無害化するための場合は、それは例外的に搬出してもいいですよということなんですが、そのときに、どこまで土壌汚染対策法でできるのか。廃棄物処理法がどういうかかわり方を持つのかというのが1点目の問題だろうと思うんですね。
 2点目の建設発生土のお話なんですけれども、これは70%が内陸受入地、また90%が公共から出てきますということで、ほぼ大丈夫なんでしょうが、こういうリサイクルできるものに対して、どう扱うかですね。ですから、要するに、リサイクルできて、再利用できるにもかかわらず、不法に混在されて処理されるとか、そういう環境へ負荷を与える場合にどう対応するかというところが、適正処理という観点から重要なポイントですね。
 ただ、今の1点目と2点目の問題をもう少し掘り下げた議論をしないと、2つ一緒にやってしまうと、何か話がわからないというような感じを持ちました。

○小早川委員長 おっしゃるとおりで、きょうのアジェンダも、「汚染土壌等の取扱いについて」というんですが、「等」というのが、要するに今の話ですね。だから、それはやっぱりはっきり区別した上で議論することは、おっしゃるとおり必要だろうと思います。
 今、古市委員から両方のお話がありましたけれども、前半の汚染土壌の方ですが、これはさっきの話の続きですけれども、不適正処理された場合の原状回復というか、そこまでちゃんとさっきの土壌汚染防止法でカバーできているという建前なんですね。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 中環審の9月20日に出た中では、きちんと適正な処分が行われたことを環境大臣が定めるところにより確認するという形になっておりますので、適正な処分が行われるよう施行が進められるものと考えております。

○廃棄物・リサイクル対策部長 今の委員長のご質問は、まさに先ほど来お話のある部分でありまして、土壌汚染対策法の方でこれだけの準備をしておりますので、土壌汚染対策法で措置できるところはそこでやっていくのがいいと思うんですが、そこで措置できない部分があれば、それは先ほど大塚先生からお話がありましたように、廃棄物処理法の対象とすることも考えられるのではないか。
 ただ、今の段階で、どこまで土壌汚染対策法で措置できるかというのは、委員長のご質問のように、規制はしてあるんだけれども、実際にそれに違反して罰金で全部終わるわけではないので、例えば、原状回復しなきゃいけないときに、そこの措置まで現在の土壌汚染対策法で措置されているかというと、まだであるということで、そういったものの準備が、土壌汚染対策法での措置が、どこまでいくかを見きわめながら、不十分な点については廃棄物処理法の適用というのも考える必要があるのではないかと思っております。

○小早川委員長 汚染土壌の方はよろしいですか。

○植田委員 今のような段取りといいますか、土壌汚染対策法でどれだけのことがカバーできていて、それとの関係で廃棄物処理法がどういうことをすべきかということがあるわけですが、その検討のスケジュールというのは、明確になっていると考えてよろしいんですか。
 つまり、土壌汚染対策法で、廃棄物処理法とのかかわりも含めて議論がどこかで確実にされるということになっているんだったら、それで結構かと思うんですけれども、そういう理解をしておいてよろしいかということだけです。

○小早川委員長 武田先生は、もし今のご意見に関連がありましたら、あわせて。

○武田委員 確かに少しは関連があるんですが、土壌汚染の方で、どこまで、いつごろまでに決まるかということと関係あると思うんですけれども、例えば、私などは、土壌を浄化する場合に、一たん廃棄物というふうにした方がしやすいのかもしれないという側面もあるような気がするんですね。ただ、一たん廃棄物になってしまうと、浄化してもまた廃棄物だというふうになってしまうと、これはやっていることがわからないので、その辺は土壌の方で、例えば浄化処理をこういうふうにして、こういう土壌に戻すということはきちっとされるのか。それとも、やっぱり廃棄物の方で受けていかなきゃいけないのかというあたりが、そこで出てくるのかなという気がします。

○小早川委員長 中身的、あるいは手順的に、両方どう絡むかということですが。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 まず、最初のスケジュール的なお話でございますけれども、土壌汚染対策法は平成15年1月の施行を目指しておるようでございますけれども、そのためには具体的な政省令とか通知というものが準備される必要がございます。その政省令、11月ごろ、あるいは、通知と告示等12月ぐらいには出されるのではないかというふうにも思っておりますが、そういう面では、やや同時並行、あるいは、こちらの方が先に議論もしなきゃならない不明確な点もあるわけでございますけれども、そういう前提でご審議をいただけばと思います。
 そういう面では、土壌汚染対策法でどこまでできるのか。そこを場合によってはカバーし切れない場合もある。そういう前提でご議論いただく必要もあろうかと思っております。
 また、土壌汚染対策法で汚染の除去が行われた場合でございますけれども、それは指定区域の指定が解除されて公示されるという形で卒業することになります。

○大塚委員 土壌の技術検討会の方にも出させていただいていますので補足させていただきますが、この搬出土壌についての関連で、あと1回、会議を開くということになっておりますので、多分そちらでの検討を踏まえて、またこちらで検討させていただくようなことになるのではないかと思います。
 それから、ついでに、本来的には問題になり得ることを1つだけ申し上げておきますが、指定区域になった後の汚染土壌については、廃棄物として扱うかどうかということが、割とはっきりし得るのではないかと思いますけれども、はっきりし得るというのは、指定区域から出てくる汚染土壌という形で特定できるという意味ですが、指定区域になる前の工場、事業場から出てきて搬出される汚染土壌の問題というのが、実は衆議院で、野党とか一部の参考人からかなり強く主張されていた点だということを、一応申し上げておきます。

○小早川委員長 今の後の方の点は、やっぱり土壌汚染対策法の網にかからないで、それ以前の部分で出てくるものは、ひょっとして廃棄物の方で入れていかなければいかぬかもしれないということですね。

○大塚委員 どうするかわからないですけれども、一応問題があるということだけ申し上げておきます。

○小早川委員長 その前の話は、事務局からご説明があったのは、指定区域がきれいになって解除される、それはそれでめでたしめでたしなんですが、その搬出された土壌が行った先がまた指定区域になるかもしれないし、そっちの処理がきちんとできるのかという話が、武田委員のご心配の点なんだろうと思うんですね。だから、そこがあっちの法体系であくまで面倒を見れるのか。どこかで、もうそっちはわからぬということになってしまえば、これは廃棄物の方でやっぱり面倒を見なきゃいかぬ、そういうことかなとも思いますが。
 あとは、汚染でない土壌の方はいかがですか。これは9割公共工事だから、発注者の方でまずきちんと考えろというのが、きょうのご説明の趣旨だと思いますが。

○武田委員 「現状」のところで4点書いてございまして、一番下が、例えば産業廃棄物と土砂を混ぜる、これは論外の話というか、これは廃棄物が混ざっているんですから、まさに廃棄物なので、これがためにどうこうということはないんじゃないかというのが私の意見です。
 それから、もう1つ上ですが、確かに私なんかも経験しておりますけれども、問題は、いわゆる放置しているのか、それとも時間的ずれがあるからストップしているのかという問題。
 もう1つは、ああいうのを特に住宅地なんかに山積みされますと、非常に景観も悪いし、何か危険性を感じるとか、そういった積み方の問題とか、そういうことから来ている部分もかなりあると思うんですね。ですから、それはそれで対応すべきであって、だから廃棄物にしなきゃいけないという議論には、ちょっとそぐわないことじゃないかなという気がしております。

○小早川委員長 では、今の点はいかがですか。
 確かにこういうものが積み上がるというのは、じゃ、これは廃棄物というか、一体どういう類の問題として位置づけるのかという話ですね。今おっしゃられたように、本来は工事をやる人が常識的にきちんと気をつけるべき範囲のことであって、いわゆる廃棄物問題とは違うかもしれないという気もするんですが。

○植田委員 現実にはこの3つ目のことはかなり問題になっているために、地方公共団体なんかで条例ができる、こういったことが起こっていると思いますが、そのことで、まず1点目は、こういう問題があるために、地方公共団体から廃棄物処理法上の改正だとか、そういうことを要望するようなことが出ているかどうかということですね。要するに、条例をつくらないと対処できないというようなことがあることは事実のようですから、その場合に、条例をつくって対処できるんだから、そういう必要を考えた地方公共団体が条例をつくれば、それでいいんだという考え方ももちろんあるかと思いますけれども、しかし、幾つものところから、条例をつくりつつも、法的な改正を要望するような意見が出ている場合は、それはやはり考える必要があると思うんですよ。そこはどこに論点があるかということですね。できたら、それを確認したいということです。
 それから、その下の話というのは大変問題なんだけれども、武田委員もおっしゃったように論外だと私も思うんですが、これもなかなかなくならないという問題も、事実としてあるかと思うんですね。だから、それに未然に対処できるような枠組みというのは、何か考えられないのか。抑止効果のようなことですね。そういうことを入れ込むことが何か考えられないのかという点、それも議論しないといけないんじゃないかというような気がいたします。
 もう1つ、この資料でちょっと気になりましたのは、確かに公共工事が9割という話が出ておりますから、当然発注者が率先して取り組むということが重要ですし、そのことが恐らくかなりの効果を上げるということは事実でしょうけれども、それで十分かどうか。しかも、土砂は総量が物すごく多いんですね。ですから、9割というだけでは、残りの1割がすごい量だという面も持っておりますし、それから、少し注意が必要なのは、発生するところと問題を起こすところというのは、地域的にかなりはっきりしているというところもあると思うんですね。そういうこともどういうふうに考えて対処すべきかという問題。地域的には特定の地域になるので、そうすると、地方公共団体で対処すべきだというふうになるのかどうか。それも含めまして、ここをもう少し議論する必要があるのではないかと思っております。

○小早川委員長 いかがでしょうか。私から1点つけ加えると、大規模工事であれば環境アセスメントがあるわけで、そこで残土の扱いというのも審査されているんじゃないかと思いますが、それも含めて。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 最初の地方の状況でございますけれども、土砂に関する条例は、やはり需給バランス等の問題もあるせいか、首都圏を中心に見られております。そういう面では、特に地域性というものもあるのではないかと思われます。そういうことで、逆に需給バランスを確保する、その対策として、資料3に示したような、いろいろな工事間利用の情報システム、あるいは、新たな技術開発、そういう取り組みが進められているところでございます。
 そして、地方公共団体がどのように考えているのかということについて、これはきちっと調べたわけではないので、何ともいいにくい面もございますけれども、むしろ廃棄物として扱われることに関しては、いろいろやりにくい面もあるような話も、正直聞いております。そういう状況でございます。
 確かに9割が公共主体で、残り1割がそれ以外なわけですから、不法投棄事案みたいな問題、いろいろな産廃等混入みたいな話がございますけれども、そういうものがすべて公共以外かというと、必ずしもいいがたい。いろんな構造がございますので、やはり末端段階では問題がないとはいい切れない面もあろうかというふうにも思っております。

○産業廃棄物課長 2点、つけ加えさせていただきます。1点目は、公共サイドが発注する工事に伴って発生する土砂が多いということに関連してのことでありますけれども、公共工事その他、国、都道府県、市町村が発注する工事に伴って発生するものについて、また、それを一方で利用していくというところは、実は私どもが思っていますのは、発注する側と、請け負う側と、施工する側と、その中で土砂の適正処理についてきちんと契約書などの中で定めていくというのが、1つの大きなやり方ではないであろうかと思います。
 同時に、土砂を発生する側というか、排出する側と、それを使いたいという側、サプライとユーズの間の情報を交換するという場をつくっていくのも、1つの公的なサイド、それから同時に、自主的に民間の建設業の方々が進められていく方向ではないかと思っています。これが1点目です。
 それから、2点目のアセスメントの件ですが、国の法律に基づくアセスメント、条例に基づくアセスメントの中の行政側の重要な審査項目の1つは、やはり工事に伴って発生する土砂でありまして、切り土と盛り土、道路の場合ですと、トンネル、そして高架部分というか、盛り土をして、盛土の上に道路をつくる、そこのバランスを図っていくことによって、いかにして工事区域内から実質的に発生する残土を減らすかということがあります。それは行政側も審査をしておりますし、最近は公共工事側も、できるだけ外に出さないという方針で行われつつありますが、環境省のアセスメントの審査においても、これは大変重要な項目になっているということを申し上げたいと思います。
 以上です。

○古市委員 今のご回答に対してのことではなしに、関連しましてですが、私も武田先生がおっしゃった3番目と4番目の丸のところが非常に重要だと思うんですね。3番目の、「景観」とかいうふうにおっしゃったんですけれども、要するに、やはり基本はリサイクルをどうするかということよりも、環境への負荷がないかどうかということが、まず必要条件としてあるんじゃないかと思うんですね。と申しますのは、景観という話に、においだとか、虫の発生だとか、こういうことで衛生面での問題の苦情というのが、工事の残土の保管場所と称しているところで起こっている問題であるわけですね。
 そうすると、そういうような広い意味での衛生面、景観等、それとまた、先ほど委員長がおっしゃったんですけれども、環境アセスメントとの関係ですね。そういう意味で、保管場所なのか放置場所なのかわかりませんけれども、それが実際に広い意味での環境への負荷があるのかないのかというのが一番大事じゃないか。だから、そういう視点で物を考えるのであって、リサイクル物だからいつまでも置いておいてもいいだとか、可能性があるんだという話じゃないと思うんです。とにかく、ある期間において環境へ負荷を与えるのか与えないのか、これが一番重要じゃないかなというふうに私は考えます。
 2点目は、4番目の混入の問題で、これは論外なんですけれども、論外なことがいっぱいありまして、不法投棄は全部論外なんですけれども、この論外をどううまくクリアするかというのが、廃棄物行政なり環境行政のポイントだと思うんですね。
 そうだとすると、もともとこういうものは、土砂であろうと、混合している。要するに、意識的に混入するしないにかかわらず、道路工事において混在している可能性があるわけですね。そうすると、そういうような混在している土砂等の中の土砂の質が、本当にリサイクル利用できるものであるのかどうかという評価は、リサイクル可能物のときに、何らかのチェック、これは廃棄物処理法の範囲内でやるのがいいのか、また、建設土砂の方の何らかの仕組みでやるのがいいのかわかりませんけれども、搬出して再利用する場合の質の問題というのは、やっぱり議論されるべきじゃないかなというふうに私は思います。
 この2点です。

○小早川委員長 もう大分時間をとっていますので、この辺で先に進めたいと思いますけれども、事務局から、今の点、いかがですか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 最初の環境への負荷の問題、そういう面でいいますと、汚染土壌、そういうものがやはり一番問題になってくるのかというふうにも思っております。また、あってはならないことではございますが、産廃が土砂に混入されるような不法投棄事案、これは、何が廃棄物なのか、しっかり見きわめた上で適正に対処する。これは後で不法投棄対策の議論もしていただく予定でございますから、自治体においても厳しく対応をしていただくべき問題であろうと思っております。

○小早川委員長 いろいろご意見ありましたが、汚染土壌の方は、これはいわば安全性、危険性という面から、環境負荷があることは間違いないというわけで、きょうのご議論でも、その意味で一般的、抽象的には廃棄物の方のカテゴリーに入れて、しかし、あちらの土壌汚染法で処理できる部分はそっちでやるけれども、最終的には廃棄物としての備えもすべきであるというようなご意見が強かったと思いますが、それと比べると、そうでない方の残土は、そういう質的な話というよりは、むしろ量として、あるいは物としてドカッと出現するのかどうかという話で、だから、それも環境負荷はあるんだけれども、しかし、そこはちょっと程度が違うので、これを廃棄物として直に取り上げるかどうかということについては、多少さっきの話とは度合いが違うのかなということのようにも思いました。
 それ以上の詰めは、きょうはちょっとできませんが、この辺で先へ進みたいと思います。

○小早川委員長 それでは、続きまして、「産業廃棄物行政に関する課題」として、都道府県で現在行われている流入抑制措置、施設設置に係る住民同意につきまして、事務局から資料の説明をお願いします。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 資料4、「廃棄物処理施設設置に係る住民同意及び産業廃棄物の流入抑制について」でございます。
 これは産廃懇でもご議論いただいておりますが、「1.課題及び実態」のところでございます。
 (1)「廃棄物処理施設設置に係る住民同意について」でございます。
 最初の丸でございますが、廃棄物に対する忌避感情に加えて、不適正な処理が行われがちという問題を抱えた中で、地方公共団体には、紛争防止のために、住民同意を得ることを、事実上、施設設置の許可の要件とする指導がされてきております。近年、特に環境問題としての懸念もあって、施設設置が困難となってきている状況もあります。
 2番目の丸ですが、また、住民同意の行政指導が行われた結果として、不透明な金銭授受をめぐる問題も発生して、地域のコミュニティーを破壊するような場合も生じてきております。
 3番目の丸ですが、平成9年の廃掃法改正で住民同意の行政指導にかわるものとして、許可手続に住民や関係市町村の生活環境保全上の観点からの意見を反映できるような制度も創設されたわけでございますけれども、やはり地域紛争防止のためには、計画段階での住民への周知、説明など、さらなる対応が必要であるというふうな指摘も多くございます。
 平成9年の法改正後も、住民同意を施設設置の許可の事実上の要件とするような自治体もあるほか、同意は撤廃して、説明会の開催を求めるなどとなってございます。
 参考資料は後でご説明します。
 必要な産廃処理施設が設置できなければ、これは当然適正な処理体制が困難になるということが懸念されます。
 (2)「産業廃棄物の流入抑制について」でございます。
 産業廃棄物は、排出事業者の責任により確実かつ適正な処理を確保することとしており、排出事業者がその責任により適正な処理を確保すれば、本来は都道府県の区域を越える移動がなされても、そのこと自体が問題となるものではございませんが、2番目の丸ですが、区域外から流入する産廃が不法投棄等不適正処理された場合は、不法投棄された場所の県が投棄者や排出事業者等の責任者に対し原状回復を十分に命ずることができなければ、最終的に不法投棄された県の負担で原状回復せざるを得ない。こういうふうな負担をあらかじめ回避する手段として流入抑制措置が考案されて、既に35都道府県が何らかの形で流入抑制措置をとっております。
 流入抑制措置の方法は、県外から産廃を搬入しようとする者に対し、事前届出、事前協議、事前承認を求めるなど、事前に廃棄物の性状、処理先等を把握し、不適正処理の防止を企図するためのさまざまな方法がとられております。
 また、大半の自治体が流入抑制を実施していることにより、産業廃棄物処理業者の扱う産業廃棄物の量は何らかの形で制約されることになる一方で、産業廃棄物は一定量確実に発生することから、産廃処理業者が扱うことができなくなった産廃が、結果として無許可業者の不適正な処理のルートに向かうことも考えられます。
 参考資料4-1に、行政指導の調査結果として、1番、産業廃棄物の処理施設の行政指導をやっているかどうか。そういう状況が(1)でございます。都道府県、政令市別に分けておりますが、住民同意を求める都道府県が9、政令市で16、説明を行うことを求めるが都道府県で13、政令市で12、両方求めるが都道府県で17、政令市で15というふうな形になっております。
 (2)は、いつからやっているのかということでございます。平成2年以前というのもございます。
 そして、実際に今トラブルが起きていますかというと、やはり起きているというところもございます。
 そして、参考資料4-2、流入抑制措置の実態調査結果でございます。現在、区域外で発生した産廃を搬入しようとする者に対し、搬入に際して承認とか協議とか、そういうことを求め、制限を行っていますかということですが、選択肢のうち「何も制限していない」というところも、都道府県で12、政令市で20ございますが、3番の事前協議を求めているところは、都道府県で16、政令市で14ございます。
 また、いつから開始しているのか。平成2年以前、あるいは平成3年から8年、そういうところが都道府県では多くございます。
 そして、逆に、自区域で発生する産廃の自区域外への流出について、何らかの措置を講じているか、あるいは講じようとしているかということでございますが、これは「検討していない」というところが多くございます。
 こういう状況でございますが、2ページに戻りまして、産廃懇の取りまとめでございます。住民同意(設置をめぐる紛争)や流入抑制の問題の根本にある産廃が不適正な処理が行われがちという点を解決し、排出事業者責任や処理業者に対する規制を撤廃し、悪質業者を淘汰し、優良業者が優位に立てるような方向へ持っていくことで民間の産廃処理体制の適正化、優良化を図っていこうとする廃掃法の改正が行われてきております。
 その上で、住民同意や流入抑制の課題について検討するため産廃懇が開催され、これらの課題について指摘されている事項が、[1]から[6]で非常に簡単にまとめさせていただいております。
 [1]でございますが、流入抑制の指導というのは、排出事業者責任のもと、市場の中で悪質業者が淘汰され、優良な業者が育つという方向にブレーキをかけている。
 [2]むしろ流入抑制を見直し、地域の産業として成立させれば、地元経済上もメリットとなり得る。
 [3]住民同意等の指導について、同意ではなく地元への説明といった情報開示の指導が有意義で、また透明で公正な経済的解決手段も検討に値する。
 [4]流入抑制などの発想を転換し、地域に根差した産業廃棄物処理事業を成立させる施策を展開するための財源確保の手段として産業廃棄物に対する課税を検討することは有意義である。
 これは参考資料4-4として、一番最後のページに都道府県の状況が資料として載っております。一番最初が三重県の産業廃棄物税でございます。14年4月施行。ただし、これは施行されておりますが、実際の徴収は来年からということでございます。そういう面では、その具体的な影響はこれからという形になります。ここに載せたように、三重県、鳥取県、岡山県、広島県、北九州市、そういうところが動いております。北九州市など、環境未来都市の建設を目指し、廃棄物の適正な処理の推進、リサイクル関連事業の支援等の環境施策に要する費用に充てるため課税をするというふうな目的で取り組みが進められております。
 また、前回ちょっとお話がありましたホストコミュニティー・フィー、アメリカの例でございますが、州際通商条項の関係でご質問がございました。私どもわかる範囲で調べましたところ、合衆国憲法には、州を越える通商に対する規制を禁止する州際通商条項がございますけれども、州外からの廃棄物の搬入を禁止することは憲法違反であるというふうに聞いております。また、州外から持ち込まれ、処分される廃棄物に関して割高な料金を課するようなアラバマ州法については、廃棄物の危険性は、それがどこから来たということと無関係であるとして、州際通商条項に違反するとした連邦最高裁の判例もございます。そういう意味では、ホストコミュニティー・フィーは、流入抑制という形ではなくて、むしろ表現ではコンペンセーション(補償)みたいな表現も使われておりますが、そういう性格だろうというふうに考えております。
 資料2ページ、産廃懇の取りまとめの[5]に戻りますが、産業廃棄物税については、全国的に一律、一斉の課税を検討する方がよいという考え方と、処分料金や処分場の逼迫度の状況、税収を充ててどのように産業廃棄物対策を充実させるのかについては地域によって実情が異なるために、地方公共団体それぞれで課税を検討する方がよいという考え方の両論があるとされています。この産廃課税、非常に有意義な論点でありますが、具体的なところ、いろいろ議論を詰めるべき点が残されているということかと思います。
 そして、[6]産廃行政は、国民的視点に立って都道府県及び国が一体となりながら協力していくべき行政分野であり、特に、構造改革が完全になし遂げられるまでは、このことが極めて重要であるというふうにまとめられております。
 時間が短くて省略しておりますが、特に産廃税の関係と、産廃懇の資料でいいますと、13ページから、詳しくいろいろな論点等が述べられているところでございます。
 引き続きまして、資料5でございますが、「産業廃棄物の規制事務に係る国・都道府県の役割分担について」でございます。資料5は、前回お出しした資料をコンパクトにまとめ直したものでございます。
 現在、国、都道府県の間で暫定的に法定受託事務というふうにされておりますが、この問題の背景が、最初の丸に書いてあります。処理される場所の都道府県でその区域外から搬入された産廃の不適正処理が多発してきた。このため産廃の処理に対する不信感が増大し、他人の不要物を自分の地域で処理することへの忌避感と相まって、紛争に至る事態が多発しております。
 次の丸で、このように不適正処理や施設設置などをめぐる紛争が多発してきたという状況と、産廃が処理される場所の地方公共団体が一方的にこうした状況に対処しなければならない、こういうことが、この国と都道府県の責任分担の明確化等の背景であるというふうに思います。
 そして、「2.これまでの考え方及び議論の整理」でございますが、このような根本的な問題を解決していく視点から、産廃は不適正な処理が行われがちという点を根本的に改めるため、排出事業者責任の徹底・強化を図るとともに、処理業者に対する規制を徹底することで、悪質業者を淘汰し、優良業者が優位に立てるような方向に持っていき、もって、民間の廃棄物処理体制の適正・優良化を図るということを主眼として、制度改正が行われてきております。
 2番目の丸ですが、悪質業者を淘汰し、優良業者が優位に立てるような方向を確立し、民間の産業廃棄物処理体制の適正化、優良化を図る、いわば産廃の構造改革を実現するためには、産廃懇の報告書に指摘されているように、発生場所と処理される場所の地方公共団体の立場の違いを乗り越えて、都道府県と一体となって取り組む必要があります。
 こうしたことを踏まえ、目指している民間の処理体制構築を基本とする構造改革を実現するという観点や、構造改革実現のために都道府県と国が一体となった取り組みを強化するという観点から、国の役割の明確化・強化について検討することが重要である。
 このように、役割分担については問題解決に役立てるという視点から検討されるべきであり、その上で、事務区分について事務の性質にかんがみて整理されるものであるというふうに考えております。
 そして、裏のページでございますが、「問題解決という視点から検討すべき事項」でございます。
 最初の丸は現状を説明したものでございますが、現在、産廃については、都道府県が規制事務を実施し、国は都道府県が規制事務を実施するために必要な事務処理基準の設定、助言等を行っているほか、都道府県が廃棄物処理計画の策定、あるいは公共関与による施設整備等を行い、国は基本方針を定めるとともに、公共関与による最終処分場の施設整備を行う都道府県に対する財政支援を行っております。
 さきの2.に示すとおり、発生する場所と処理される場所の地方公共団体の立場の違いを乗り越えて、悪質業者を淘汰し、優良業者が優位に立てるようにするため、民間による処理体制構築を基本とする構造改革を実現するという観点及びそのための都道府県と国の一体となった取り組みを強化するという観点から、国の役割を明確化・強化すべき事項を検討することが適切であろうというふうに考えております。
 これらの観点から、検討すべき事項としましては、広域的な不法投棄事案への対応について、もっと国が積極的に役割を果たすこと、あるいは、国の基本方針の策定事項、前回も県を越えたようなブロック問題、最終処分場確保が困難な地域での広域的な産廃の処理方針の問題等をお示ししましたが、そういう策定事項の充実を図る、あるいは、基本方針の策定に当たって都道府県の意見陳述の機会などの調整を図ることも考えられるわけでございます。
 そして、最後の丸ですが、また、国・都道府県の役割分担に限られるものではございませんが、構造改革を実現するという観点からは、民間の処理体制確保を促進するため、普及啓発、処理業者のさらなる優良化、優良な施設の設置促進といった方策や、不法投棄防止の強化策についても検討することが必要であるとしております。
 以上でございます。

○小早川委員長 どうもありがとうございました。
 では、ただいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見をお願いします。

○細田委員 済みません。私、業務でそろそろ退席しなければならないので、3点。
 1つは、やはり産廃の60%は、農業、建設、そして上下水道スラッジ。要するに、排出ではかなり生活に密着したものが多いわけですね。それにもかかわらず、産廃というと、何か危ないものが企業によって一方的に捨てられている、そういうイメージもある。私は、それに対して当然住民感情としてはそういうイメージがあるのは否定できなくて、必ずしもそれは不合理だとは思いません。ですから、その中で恐らく住民同意であるとか、廃掃法の要求を超えた切実な問題があると思うんですけれども、やはりこの問題は、公共関与も含めながら少し時間をかけて、信頼性を回復することをやる必要があるというのが、ちょっと抽象的ですが、第1点目です。
 第2点目ですが、そのための具体的な方法として、私は産業の上流と中流と下流、上流というのは、当然設計段階から含めた、いわゆるEPRですね。拡大生産者責任。これをがっちりとらえる必要がある。下流というのは、産業廃棄物を委託されて処理する業者の段階ですね。最下流。中流というのは、それが流れて、どこか、さっきの建設系でいうと、コントラクターが受けてから、ゼネラル・コントラクターというのは、契約を受けて下に流すわけですから、中流というのはいろいろあるわけですね。その上流、中流、下流のそれぞれにおいて、かなり責任を明確化しなければ、幾ら下流だけでいろいろと産廃税を課しても、私は非常に難しいと思います。
 表の部分だけはコントロールできたように見えても、実は、今度は途上国に行ってしまうとか、さまざまなことが出てくるので、やはり上流、中流、下流、すべてを押さえるようなことをやった上で、恐らく産廃税というのはかなり有効になってくるんだろうと思います。
 3番目、これはちょっといいにくいことなんですけれども、大都市問題。はっきりいってしまえば、東京問題といいますか、東京は、最終処分でいうと産廃の大体9割以上を他県に依存しているわけですね。ところが、東京というのは、いわゆる管理型処分場に匹敵する新海面処分場、これは450ヘクタールですか、容量でいっても数千立米という物すごいものを持っている。にもかかわらず、産廃は、一部のものを除いては、ほとんど処理が外に流れている段階ですよね。それが玉突きで出ていく。ですから、具体的にいうと、私は、東京問題を解決すると、さっきの残土もそうだと思いますけれども、かなりの問題が、クリアされるのではないかと思います。
 以上3点。

○小早川委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。

○武田委員 最初に、住民同意の点なんですけれども、経緯に書いていますように、最初は住民同意を許可の要件にするような指導がなされてきたが、それに代わるものとして生活環境影響調査というような形に変えてきたけれども、一部では合意を求められているということですが、その合意というのが、実は、非常に大事なことだと思うんですけれども、形式的、内容的にどういうものなのかということが、どうもはっきりしないんですね。そこのところで具体的にはどういうことが現在まで行われてきたかということを、もう少し教えていただけるとありがたいんですが。

○小早川委員長 それでは、手短に。

○事務局 資料にもございますけれども、住民同意と住民に対する説明と、私どもアンケート調査のときには、2つに大別しております。このときに同意ということで念頭に置いておりましたのは、もともとは浄化槽を設置するときに放流をする先の水を利用している方々の同意をとってきなさい、こういう行政指導が地方で始まって、それと同じような形で廃棄物処理施設についても、施設をつくって事業をやっていいかどうかということについての周辺の方々の同意をとってきてくださいと。
 一番よく行われている形式としては、私も見たことがございますが、地方公共団体の求めに応じて事業をしようとする場合に、その地域の自治会とか、あるいは地区の会長さんなり区長さん、そういった方々の「同意します」という判子をついている紙を事業計画につけて持ってくる。逆に、そういう紙がついていないと、後で反対運動などが起きて問題が起きるだろう。地元住民の十分な同意形成が終わっていないということで、申請を受け付けない。こういう形で典型的には指導が行われてきているというのが、これまで見られていることでございます。
 その過程で、そういった賛成か反対かを判子をついて示していただくという同意をとる範囲でございますね。施設の周辺500メートルなのか、1キロなのか、あるいは、施設が建つ地区だけなのか、そういった範囲の問題についても、地元では地方公共団体のところで悩みといいますか、実際に制度を運営していく、そういった指導をやっていく上でも問題が生じてきている。こういうことが今までよく見られている状況だろうと承知しております。

○小早川委員長 このあたりの問題につきましては、自治体の方でいろいろなことをやってきていて、それが今後どうなるかということは、必ずしも確実さを持っていえるわけではありませんが、ただ、私たちのここでのスタンスとしては、恐らく優良産廃事業者がきちんとした事業ができるような環境をぜひつくる必要がある。その意味では、各自治体が過度の流入抑制措置をとることは好ましくない。
 他面で、しかし、各地域ごとの立場の違いということを全国的に公正かつ円滑に調整していく必要があるわけで、その意味で、税という手法が考慮に値するであろう。それはいろいろ問題があるので、今後きちんと検討していく。そういう筋書きだろうと思います。
 もちろん、先ほど細田委員がいわれたように、最下流で税を取ろうといっても、正直者だけが税を払うことになって、そうすると、1つは日本の法律から離れたところへ流れていくということもあるだろうし、日本の中で法律違反が横行し、違反は減らないということも考えられるから、そこは上流、中流、バランスをとって、きちんとした政策体系をやっていかなければいけないというご指摘だったと思います。それもまさにそのとおりだろうと思いますが、いかがでしょうか。

○山田委員 当たり前のことといえば当たり前のことなんですが、流入規制、流入抑制、それも結構なのですが、やっぱり最終的に産業廃棄物が出る以上は、それが適正に処理されるべき処理施設というのを確保するということは当然必要なことであろうと思いますし、やはり廃棄物処理施設、特に大規模な廃棄物処理施設になりますと、どこにつくられてもいいというものではない。基準さえ満たしていればどこにつくってもいいということではないのと同時に、どこかにつくらなければならないということになれば、やはり一定の計画的な配置というようなことを考えざるを得ないだろう。
 さらにいえば、それが民間だけに任せると必ずしもうまくいかないということであれば、これは公共的関与ということも考えざるを得ないのではないか。この産廃懇の方では、これについては必ずしも積極的ではないようですけれども、排出者責任ということと、公的な関与で処理施設を確保するということは、必ずしも矛盾をしない。これはこの間、細田先生もご指摘になったし、先ほどもちょっと触れられたところでありますけれども、これはやはり考えなければいけない。もちろん、いわゆる民営化論みたいな流れで公共的に関与する、公的につくると、いわば市場をゆがめるとか、あるいは、多くの場合、効率が悪くなるとか、そういう観点からのそれを避けるための工夫は必要になるんだろうとは思いますけれども、少なくとも排出者責任ということからいって、廃棄物処理施設というものを適正に設置することに公的な関与がなされるということは、別に責められることでも何でもないのではないか、そんな気がいたします。

○小早川委員長 今の公共関与に産廃懇が冷たかったということではないので、それはちょっといいわけしておきます。ただ、将来のあるべき姿として、健全なマーケットが育つべきであろうということと、では、端的にそのために何をすべきかという中に、もちろん公共関与の問題というのも重要な位置づけにはなっていると思いますが、そこはいろいろお考えがあるかと思います。

○古市委員 これは住民同意と流入規制、2つ、課題になっていますので、それぞれ1つずつ考えたことを申し上げます。
 住民同意の点ですが、地域紛争防止のためには計画段階で説明して周知させるということですが、2ページ目のところで、懇談会のまとめの[3]ですが、「地元への説明といった情報開示の指導が有意義で、また透明で公正な経済的解決手段も検討に値する」ということなんですが、同意なんかに伴う裏金といいましょうか、そういうダーティーな部分じゃなく、もっとわかりやすい、ある意味でホストコミュニティー・フィーというのは、地域の処分場なり、それに還元するという意味では、そういうようなお話なのかもわかりませんけれども、これが果たしてどのような透明、公正な経済的解決手段につながるか、少し不明確な点があるんじゃないかと思います。
 というのは、住民同意が、いろんな問題、そういうダーティーな話につながるのであれば、情報公開なり住民説明を、じゃ、計画のどういう段階で位置づけるかという具体論が、まだ見えてないんじゃないか。都市計画とか、そういう段階のお話ですと、もうはっきり位置づけられていますよね。そこのところの制度的なもの、今回そういうことを変えるのであれば、その辺のところの議論が必要じゃないかというふうにちょっと思いました。これが住民同意の話です。
 もう1点、流入抑制で、これは1ページの下から2番目の丸ですけれども、「最終的に不法投棄等が行われた場所の県の負担で原状回復せざるを得ない」と。すると、最終的に捨てられたところが損するじゃないか。だから、入ってこないように流入抑制しましょうという単純な論理ということですけれども、基本的にはそうじゃなしに、これも前も何回も申し上げたんですけれども、廃棄物というのは、発生したところから最終処分まで、1つの流れとして管理、制御されるべきだと思うんですね。そうすると、流入県だけ、最後のおしりのところだけでコントロールされてはだめなのは当然ですよね。それはそれで流出県の対応の仕方。だから、今回の青森、岩手に関しましても、流入側県の管理のあり方、情報の報告聴取の義務の問題とか、その辺のところが不徹底であったがために、やはりもとに返らざるを得なかったという背景がございますね。
 そうだとすると、やはり1つの発生から処分までのトータルの流れ、マニフェストは当然あるんですけれども、それをきっちり実行させるような仕組みを、もう少し制度的にしっかりしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えました。この2点です。

○植田委員 先ほどの公共関与の問題、山田委員のおっしゃられた問題とかかわるんですが、産廃懇も含めて基本的なトーンは、やはり排出事業者及び処理業者、つまり廃棄物処理にかかわるさまざまな主体がかかわる市場で環境配慮が働いて、その市場自体がそういう配慮をしていくような方向を促す、そういうマーケットがつくられるべきである。そのための責任ルールだとか情報の開示だとか、こういうことをきちっとやる。基本的なトーンとしては私はそういう理解をしておりまして、それはそれで全くそのとおりだというふうに思っているわけです。
 一方で、山田委員もおっしゃったように、「計画的配置」というような言葉を使われましたけれども、そういうマーケットができれば、必要な施設は自動的につくられるのかという問題をどういうふうに考えるかという問題が、ちょっとあるように思います。
 その意味で公共関与というものも何らかの形で必要で、位置づけないといけないのかどうかということを考えていかないといけないと思うんですが、そのときにちょっとだけ、これは今後のことになるかと思うんですが、実は、公共関与というのは、これまでも処分場についてかなりいろいろやってきたという経緯があるわけですので、私が見ているところ、公共関与というのは、いろいろやったけれども、結構難しい、いろいろ問題がある。公共関与をやれば、そんなにさっとうまくいくというふうにはなっていないという面も、実際の現場では多々あるんじゃないかと思うんですね。
 そういう意味で、論理的に考えると、そういうことの必要性も私よくわかるんですけれども、同時にいろいろな難しさを抱えているので、やはりこれまでの公共関与のやり方の事後的な評価みたいなこともある程度やっていただいた方が、どういう公共関与をやっていくべきか、いかざるべきかということを考える場合にも、ちょっと必要かなと思います。例えば処分場ですと、料金をどういうふうに設定するかとか、いろいろ難しい問題があるかとも思うので、そういうことも含めまして、そういう事後的な評価みたいなことを一度きちっとできた方がいいんじゃないかというふうに思っております。

○大塚委員 簡単に申し上げておきます。ちょっと別の点でございますが、先ほどもホストコミュニティー・フィーの話を事務局の方からしていただきましたけれども、税のことが重要な問題としてあると思うんです。ここでも2ページの[5]のところで、全国的に一律、一斉の課税を検討する方がいいか、それとも地域によっては全然別でやっていっていいかという両論があるというふうに書いてありますが、この点は、多分今後重要な問題になってくるだろうと思います。放っておくと、今かなりの数の都道府県が産業廃棄物税をつくりつつありますので、全く別のものがどんどんできていく。むしろその方が自然でしょうし、放っておくとそういうことになると思いますが、少なくとも流入抑制の措置として産廃税が使われないように、十分注視しておく必要があるというふうに私は思っております。
 この産廃懇のペーパーにも、流入抑制の効果が懸念されるので、その点は留意する必要があるということが15ページあたりでも書かれていますけれども、最近、東北3県で計画されている産廃税については、流入抑制措置も入っても構わないという話もあるというふうに伺っておりますので、別に特に名指しをしてそこだけを問題にしているわけではないんですが、そういう問題が起きると、この産廃懇で懸念しているような問題が生ずるということなので、今後かなり検討しなければいけない問題ではないかと思っております。

○植田委員 今のに関連してですが、実は、産業廃棄物税というものが、もし政策的な目的と財源の調達の2面があるとしますと、どういう政策目的かということについて、いろんな内容が含まれているし、あるいはいろんな可能性があるので、もう少し厳密な検討が必要だと思うんですね。
 それから、ホストコミュニティー・フィーというのは、先ほどのご説明ですと、コンペンセーションという言い方をされておられたので、そうすると、コンペンセーションのためのお金が必要なので、それをどこかから取る、こういう発想なので、まずコンペンセーションが必要だということを、最初に位置づけないといけないという問題がありますので、これはまた独自の要素が入っていると思うので、その点も少し厳密な検討をしないと、産廃税一般では議論できないことがあって、大塚委員が今おっしゃったように、現実の産廃税はどんどん動いている面もあるので、それもあわせながら考えていく必要があると思います。

○小早川委員長 なかなか理論的、実際的に問題状況は複雑だと思いますが、事務局から、今までの議論全体について、何かいっておきたいということがございますか。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 まず、資料4のところでございます。産廃懇の税の問題は、この資料にもまとめておりますように、産廃行政の中でも、課税を検討することは非常に有意義な課題であろうと思っております。
 ただ、確かに今もいろいろご指摘が出たように、その目的、あるいは徴税の方法とか、さらによく調べて議論すべき点もあるので、そういう面では、また別途いろいろ検討をしていかなければいけないのかというふうにも考えております。

○小早川委員長 それでは、時間が大分回っていますので、今のテーマにつきましては、国の役割をどうとらえるかというところが、きょうは余り立ち入れませんでしたけれども、きょうの議論の中から詰めていけば、もちろんいろんなレベルがあるわけで、各都道府県がやりたいけれども、なかなかやれないというところをどうするかということもあるし、やりたがっていないところをどうするか。公共関与も、どこに、どういう公共関与をやらせるのかという問題がある。
 それと、たしか細田委員がいっておられたのは、東京都は自分のところでもっと何かやったらどうか。これはどうするか、それは問題でしょうけれども、問題としては、そういう場合に、各自治体にそれぞれの役割をどう割り当て、どうそれを実行させるか、してもらうか、そういう観点もあろうかと思います。
 そういったことで、国の役割をどうするかという問題を、きょうの議論を踏まえて、またさらに詰めていただきたいと思います。

○小早川委員長 では、続きまして、「不法投棄対策」につきましてご説明をお願いします。

○廃棄物・リサイクル制度企画室長 資料6に沿いましてご説明申し上げます。
 これは一度ご報告をさせていただいておりますけれども、不法投棄防止及び原状回復に関する懇談会のまとめを表形式でまとめ直したものでございます。「不法投棄防止対策」と「原状回復の促進」に大きく分けられます。
 まず最初に不法投棄防止対策ですが、それも監視体制などに分かれますが、「監視体制の強化」についてでございます。現在の状況と今後の取り組みの方向に欄が分かれておりますが、まず現在の状況、都道府県の不法投棄監視体制、だんだん強化されている状況もございます。また、2番目の丸ですが、組織、財政上の制約などもございますので、民間警備会社に委託、あるいは隣接県と連携などもされております。
 今後の取り組みの方向でございますけれども、産業廃棄物の監視・普及啓発の先駆的な事業を対象として国の支援を継続的に実施する。あるいは、広域的な不法投棄に関して、都道府県間の連携を促進するなどを示しております。
 また、2番目の欄でございますけれども、現在、都道府県の情報収集を補完するために、住民からの情報を受ける専用電話や地域住民への監視委託などを実施しております。また、環境省では、IT機器の活用も進めておりますが、今後の取り組みの方向として、IT機器を活用した監視手法について、地方環境対策調査官事務所に配備されたシステムをさらに拡大し、都道府県と連携がとれるよう、このシステムを導入する都道府県に対する支援を実施するとか、あるいは国における新たな監視手法に関する技術開発推進などが示されております。
 最後の欄ですが、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の全面施行によっていろいろなことが進むわけでございますが、建設系廃棄物の不法投棄を防止するために、建設リサイクル法による帳簿・書類検査とマニフェスト等との突き合わせによる廃棄物処理法と建設リサイクル法の連携を一層強化することにより、解体廃棄物の不適正処分の防止や自社処分と称する不適正な収集運搬、保管等への対応を徹底するとなっています。不法投棄の件、建設系だけでなく、自社処分、あるいは保管の問題、指摘もされているところでございます。
 裏のページでございますが、次の「排出事業者責任の徹底」というところでございます。現在の状況は、平成12年の法改正で強化がされたところでございますが、一部の排出事業者には十分理解されていないものもございます。また、業界の元請、下請の構造などの問題もございます。
 今後の取り組みとして、排出事業者に対する立入調査の実施であるとか、あるいは、法を遵守しない排出事業者に対する速やかな行政処分、あるいは、業界別適正処理ガイドラインの作成等による法の周知徹底、中小規模の事業者に対しては収運業者等処理業者を通じた啓発などが掲げられております。
 次の欄ですが、平成9年の廃掃法改正で導入された電子マニフェストについては、携帯電話を使用してやりとりするなどしておりますが、まだ普及は伸び悩んでおります。電子マニフェストに連動したGPS等により車両運行監視システムの開発、活用が行われ始めたところでございますが、今後の取り組みとしては、電子マニフェストの普及、あるいは、電子マニフェストと連動した廃棄物の収集運搬車両監視システムなどについて率先して導入するような動機づけがなされるよう普及方法の検討を進め、電子マニフェストの不法投棄防止機能をさらに向上させることなどが示されております。
 また、適正処理を心がける排出事業者からの優良、あるいは悪質な処理業者に関する情報の整備、提供を求める声を受けて、処理業者に対する格付手法についても検討中でございますが、今後の取り組みでは、措置命令の対象者について不法投棄行為者のみならず排出事業者等の氏名も積極的に公表するとか、あるいは、優良処理業者の情報を提供するために格付情報の提供について、早期実施に向けた検討を進めるとなっています。
 次の3ページ、「不法投棄の拡大防止」でございますが、平成12年の改正法の措置命令要件の拡充・強化を受けて、積極的な命令の発出がなされつつございます。しかし、措置命令が履行されない状態が継続しているような例、あるいは、都道府県の中には、措置命令が履行されない場合に都道府県みずからが代執行せざるを得なくなることを危惧して、行政指導でやるというところも見られます。
 今後の取り組みとしまして、不法投棄の早期発見、早期対応が基本であって、行政、警察と地元住民が一体となって、厳しい姿勢で臨む。あるいは、都道府県において措置命令の発出や命令違反の告発などが迅速に行えるようにレベルアップを図る、そういうことがございます。 次の欄でございますが、現在の状況としては、不法投棄に対し行政、警察と地元住民が一体となったような対応が進められており、自治体によっては、終日の巡回監視や障害物の設置により成功した例も見られます。
 今後の取り組みでございますが、不法投棄の行為者等に厳格な処分を行うとともに、その効果が確保されるように、今後とも行政と警察の緊密な連携、あるいは、その下の丸ですが、不法投棄現場への新たな搬入を停止するため、各地での成功事例の周知、普及をさせる。いろんな成功事例があるわけでございます。
 その下の欄ですが、実際の不法投棄事案に対する罰則の適用が軽いなどのため、罰則が不法投棄の抑止力として弱いとの意見もある。こうしたものについては不法投棄者の不法収益に対して課徴金を課すことの検討なども示されております。
 最後の欄でございますが、平成12年の法改正で廃棄物処理センター制度の拡充、産廃処理特定施設整備法の支援対象施設の拡充を行うなど、公的関与による施設整備の促進を図っているということも現状として示されています。
 次のページでございます。次は、起こってしまった問題の「原状回復の促進」ということでございますが、まず、「原状回復の実施」という論点につきまして、規模が大きい事案については、やはり対応が進みにくいというものもございます。また、依然として行政指導により原状回復を求める都道府県もある。
 今後の取り組みの方法の欄でございますが、不法投棄の防止、原状回復は、不法投棄の規模が小さな段階で措置命令を発出し、行為者が処理業者の場合には、業の許可取り消し等により新たな搬入を停止させ、原因者等の責任で撤去させることが必要だというふうにまとめております。
 下の欄でございますけれども、不法投棄の行為者が不明あるいは資力がない場合に、なかなか難しい問題もあって、住民の不安も招いている。あるいは、原状回復を行う都道府県から、経費負担が少なくて効果的な原状回復手法などの作成も求められているところでございますが、対応としまして、過去の不法投棄事案について、都道府県において原状回復を行う場所をリストアップし、優先順位を取りまとめて公表するなど、計画的な原状回復を進めるとともに、引き続き国の支援を実施するということを示しております。
 また、下の欄でございますが、行政処分を積極的に行おうとする都道府県から措置命令を発出するに当たって、土地所有者の関与の判断が難しく、また、関係する排出事業者が多い、あるいは広域にわたるなど、措置命令を行うための調査に相当な労力を有する場合が少なくない、排出事業者が適正な対価を支払っていたかどうかの判断が難しい等の意見も出されております。
 また、不法投棄に関与しない土地所有者に経費負担義務がなく、原状回復後の土地の転売に関する制約もないため、特に代執行による原状回復の場合には、公費で特定の土地の資産価値を増加させることを問題視する意見があります。
 そして、他の都道府県で排出された産業廃棄物が広域的に移動し、不法投棄された場合に、投棄された県がみずからの費用で代執行を行わざるを得ないことに対する不満があり、また、そのような支出に県民の理解が得られないなどのことから、産廃の流入県には、県外からの産業廃棄物の流入抑制に向かう傾向があるということが示されました。
 今後の取り組みの方向の欄でございますが、広域的な不法投棄事案について、都道府県の連携が必要である。あるいは、排出事業者に対する必要な調査や責任追及については、これらの者が所在する都道府県も積極的に調査に協力することが必要である。あるいは、広域的事案に対して、国も積極的に都道府県などの調整を行うことが必要である。まさに青森、岩手の方の事例など、国の調整なども議論されているところでございます。
 そして、4番目の丸ですが、不法投棄の行為者のみならず、不法投棄に関与した土地所有者やあっせんを行った者等の責任を徹底追及した上で、責任あるすべての者に原状回復の義務を負わせる。そして、原状回復の結果、土地の資産価値が向上する場合には、土地所有者の関与の度合いも踏まえつつ、資産価値の向上に見合う便益の供出、土地の利用制限などについて土地利用者と協議することも必要としております。実務の話などを聞いてみると、土地所有者の問題などもいろいろあるようでございます。
 5番目の丸ですが、代執行が避けられない場合には、代執行前に素早く民事保全法に基づく行為者の財産の仮差し押さえをするなど、関係法令を活用した代執行経費の負担軽減方法の検討であるとか、あるいは、個別事案についても必要に応じて都道府県における検討、作業を国が支援すべきではないかということが掲げられております。
 次のページ、2番目の原状回復の費用負担でございます。最初の丸は現在の基金制度を示したもので、平成9年の法改正で設立された産廃適正処理推進センター制度に、都道府県の原状回復に要する費用を支援するという形になっております。括弧書きで、現在の拠出の状況等を示しております。既に11件の支援実績がございます。行政代執行により原状回復を行わざるを得ない都道府県にとっては極めて重要な制度となっております。
 2番目の丸ですが、基金の出捐については、事業者には、平成12年の法改正により排出事業者責任が強化されたにもかかわらず、産廃を適正に処理されている企業が費用の出捐を求められることについての不満感や、あるいは不法投棄防止に対する権限と責任がある行政が、まず指導、規制を徹底的に行うべきである等の意見がある一方で、都道府県には、産業活動に伴って発生した産廃の不法投棄の原状回復について、事業者の役割の強化を求める意見や、平成10年6月以前の不法投棄に対する支援の充実の要望がございます。10年6月以前の不法投棄については、国の補助により都道府県の原状回復事業を支援しております。
 今後の取り組みの方法でございますが、不法投棄された産業廃棄物の原状回復は原因者の責任で行わせるべきであり、それに要する費用もすべて原因者に負担させることが原則であります。
 2番目の丸ですが、しかし、原因者等が不明または資力がない場合で、不法投棄による生活環境保全上の支障のおそれがある場合には、地域の環境保全に直接の責務を有する都道府県が、原因者等にかわって必要な措置を講じざるを得ないわけでございます。
 ここに関しては議論もございましたが、事業者としての社会貢献の観点から、事業者は、原状回復において一定の役割を果たすことが期待されている。そして、原状回復を速やかに行うために、当面必要な資金を手当てする社会的な制度が不可欠である。現在の基金制度は、事業者と行政が半々ずつ負担するという考え方で支援を行ってきたものであり、今後とも事業者の積極的な社会貢献として原状回復に対する協力が行われることが適切としております。
 また、12年改正法の規制による不法投棄量の変化なども踏まえ、基金への拠出のあり方についての見直しも書いております。
 そして、今後、基金に頼らざるを得ない事案が少なくなるよう、国、都道府県が一体となって不法投棄対策に万全を期すこと、あるいは、10年6月以前の不法投棄についても、緊急性のあるものについて国の技術的、財政的支援を引き続き実施となっております。
 参考資料を次のページに示しておりますが、不法投棄、あるいは原状回復関係の施策がどういうふうに充実してきたのかを表でお示ししたものでございます。
 以上でございます

○小早川委員長 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

○山田委員 4ページの原状回復のところですが、先ほど土地の所有者の責任という話が出てまいりまして、きょうの冒頭出てきました汚染土壌の話につきましては、状態責任というのか、土地所有者の責任が大変強調されるのに対して、廃棄物処理の話になりますと、土地所有者というのは、直接不法投棄に関与していればそうですけれども、そうでない限り、土地所有者であるということに基づいて責任は負わないということになっているわけですが、ここら辺の違いについては、何か理論的な説明というのがついているのでありましょうか。ひよっとすると、大塚先生に教えてもらった方がいいのかもしれません。

○大塚委員 理論的な説明がちゃんとついているかどうか、やや問題がありますが、1つは、廃掃法の方でも、平成12年の改正で、土地所有者で処理業者の不法投棄に何らかの幇助をしている人は、まず入るということがあって、そこはある程度似てくるという問題があるのと、これは小早川先生の方が詳しいかもしれませんけれども、土壌の方も、土地所有者の責任はかなり前面に出ているんですが、同時に、原因者に対しても求償できるということになっていて、原因者が明らかであれば原因者に行くということになっていますので、そんなに違いはない。
 確かに山田先生が気にしておられるように、多少の齟齬はあって、不法投棄の方はどうしても行為責任の方が中心になっていて、土壌の方は、もともと土地の支配ということを非常に強く考えているところがあるので、状態責任が非常に強く出ているという多少の違いは確かにあるので、その辺の整合性を図るべきだというご議論は、これから出てくる可能性はあると思っていますけれども、それほどは違わないともいえるということだと思います。

○小早川委員長 汚染土壌の方は都会地の土地が第1であって、不法投棄の方は山の中の土地だというふうに単純に割り切れば、土地の転々流通のシステムをどうするか、そういう観点が向こうでは強くありますけれども。余り理論的な説明になりませんね。

○大塚委員 ですから、山田委員がいわれていることを、もしもっと拡張していこうとすると、廃掃法の不法投棄についても土地所有者の責任をもっと強めろというご議論が出てくる可能性はあって、それは実際上の問題としてはかなり意味のある議論かと思いますが、まだ慎重な検討は必要だと私は思っていますけれども、実際的にその必要性があるという議論は、多分今後出てくるんじゃないかというふうに予想しております。

○適正処理推進室長 ただいまございましたように、土地の所有者については、現在、関与していたかどうかということで、措置命令の対象になるかどうかが決まるというふうになっているわけですけれども、実態問題として関与していたかどうかという判断がなかなか難しいケースが多くて、言い逃れをされてしまう。全く知らなかったとか、そういうケースもございますので、そういった面について、実際に対策をしておられる都道府県においても困っているという事例がございます。大塚先生の方から今話がございましたけれども、どういった形ができるかはありましょうけれども、何らかのことを考えていかなきゃいけないのかなという気はしているところでございます。

○小早川委員長 ほかの論点で、何か。

○古市委員 2ページのところですが、排出事業者責任の徹底ということが平成12年の法改正でやられたんですけれども、それをさらに進めたような、下のところの今後の取り組みの方向づけで、一番最後の右側ですが、「措置命令の対象者について、不法投棄行為者のみならず排出事業者等の氏名も積極的に公表」するとか、「優良な処理業者の情報を提供するための格付け情報の提供について」、これが非常に有効だろうと思うんですね。
 いろいろな法的な問題点が多分あるんだろうとは思うんですが、こういうものが制度的に担保されるようにならないと、本当のところ、やり得になってしまうんじゃないかと思いますので、これはぜひ強くやっていただきたいなという思いです。

○小早川委員長 法的な問題点といわれましたけれども、ここでいえば氏名の公表というのは、確かに法的にはいろいろ問題があるんですが、ただ、ここでの話は、あくまでも措置命令をきちんと積極的にやって、どういう措置命令をしたか、それについての情報を公表するという枠組みでしょうね。であれば、法的にはそれほど問題ないというか、むしろプラスに、ポジティブに評価できる話ではないかというふうに思います。ですから、基本はやっぱり行政指導ベースではなくて、きちんと法律上の権限をどんどん行使していく、あるいは、自治体にしてもらうように環境整備をしていく、それがまずベースなんだろうという気がいたします。

○大塚委員 1つお伺いしておきたいのですが、行政代執行とか排出事業者責任の徹底との関係で、現在、青森、岩手の県境の不法投棄の事件が出ていて、公共がどの程度お金を出すかというような話も一部出ていると思いますが、現在の状況について、事務局の方からご説明をいただけるとありがたいのですが。

○適正処理推進室長 非常に大きい話で、どこがかいつまんでということになるかわかりませんが、規模からいたしますと、82万立方メートルということで、豊島をしのぐ最大の規模でございます。そこに関係していると思われる排出事業者の数が2,600社余りということでございまして、その大多数が首都圏の都県市に立地している企業ということであります。
 そこで、まずこれらの2,600社の中でどの程度のところに対して責任を問えるかどうかということを調べなければいけないということがございますので、これに関して環境省の方で首都圏の都県市にも集まっていただきまして、協力をお願いして、いろいろな調査をしていくに当たって全面的に協力をいただくことにしたわけでございまして、今、その作業に取りかかっているところであります。年内には何とかその2,600社から、法律に基づく報告聴取ということで、どの程度の委託をしていたのかという事実を突きとめて、それに基づいて命令がかけられるかどうかの判断をしていこうという状態に今あるということでございます。

○大塚委員 現在、その汚染の除去の措置はもう始まっているんでしょうか。つまり、緊急代執行か何かをされているかどうかを、お伺いしておきたいんですが。

○適正処理推進室長 かつて、一部のドラム缶等に入った廃油等を緊急に処理したというのがございますけれども、それを除けば、今のところ処理には入っていませんが、現在のところ、不法に投棄された区域の外にまで汚染が広がっていないという状況ではございます。ただし、いつまでも放っておけるという状況ではございませんので、青森県、岩手県とも、来年度には具体の措置に入るということで、現在、その具体の実施内容についての検討が進められているところでございます。

○小早川委員長 この不法投棄対策、いろいろあるんですが、先ほどの国の役割と結びつけて考えると、お話を伺っていた感想としては、やはり全国的な健全な市場の成立が阻害されている。これは異常事態というのか、よくわかりませんが、それを政策的に強力に推進していく必要がある、今そういうタイミングなんだろう、そういう位置づけでもって、1つ1つの不法投棄対策なり、それについての費用負担なりの問題も意味づけていく必要があるのではないかという気が私はしています。
 1つずつ対策を見ていると、それぞれの都道府県がしっかりやってくださいねということに落ち着いてしまう可能性がありますけれども、それはやっぱり全国的な市場の整備のために必要なものであって、そういう意味もこれは持っているんじゃないか。ということもあるし、それから、排出事業者の費用負担というのは、これは処理費用として負担すればそれでいいんで、それ以上に何で負担しなきゃいかぬかというのももっともな話だけれども、しかし、全体としてそういうマーケットでもってきちんとお金がその対価として動いていくというだけでは済まない部分が現状ではあるわけなので、そこをだれが負担するのが、こういう過渡期において社会的に公平なのかという観点が必要なんじゃないかという気もするわけです。
 私の全体的な印象はそういうことであります。

○植田委員 ちょっと伺っていいでしょうか。これまでもう既に議論してきたことと多少は関係があるかもしれないですけど、今お話を伺った82万立米のことも含めまして、先ほど細田委員がいわれたこととも関係するんですけれども、この82万立米も、大半は首都圏の事業者が排出したものだという問題があって、いわば廃棄物の流れが一方通行的になっているということで、背景のところですごく難しい問題を抱えていると思うんですね。
 ですから、廃棄物処理法とかだけで何か解決できるかといわれると、それは物すごくしんどいところがあると思うんです。つまり、不法投棄とかの問題は、基本的に経済的要因で起こっている部分が圧倒的に大きいので、その経済のメカニズム全体の問題があるので、処理法だけで経済のメカニズムに適切な制約を全面的にかけられるかといわれると、そこがどこまでできるかというのがちょっと気になるところがあって、非常に漠然とした言い方なんですけれども、そういう問題があるということです。
 そのことと関連して、廃棄物は全国流通というふうに一般的に考えていいかというと、一方通行型という何か特殊な型を持った全国流通になるという側面、そういうことをどういうふうに適正な市場の中にうまく入れ込むか。そこに税の問題や、あるいは公共関与の問題や、いろいろな問題がかかわっていると思うので、できることが何なのかということを、考えないといけないんだというふうには理解するんですが、やはり首都圏とか大都市圏の地方公共団体なりが、何をもう少しやるべきなのかというのを、あわせて議論しておかないといけないんじゃないかと思います。
 これは学問論みたいなことになってしまうとよくないかもしれないので、また後で個別に大塚先生とか山田先生に教えてもらったらいいと思うんですけど、先ほど出ていた「責任」という考え方の問題で、状態責任と行為責任というのがありましたけれども、経済学は、余り「責任」ということを十分きちっと議論していないという弱さがあるというのはよくわかるんですけれども、逆にいえば、非常にシンプルで、汚染者が負担するのが原則だ、あるいは、受益者が負担する、としてきた面があったと思うんですね。
 その枠組みとの関連で、どういう責任をだれにというのを、どういうふうに整理したらいいか。これは山田委員が先ほどおっしゃったことと大変関係があると思うんですけれども、やはり統一的な理解が必要なような気がしました。これは全然ここで議論すべき問題ではないのですが、そういうことで。

○小早川委員長 次の機会に、ぜひ。ありがとうございました。
 私も、やや「市場版の処理」みたいな言い方をしてしまったのかもしれません。それで、そこをうまくバランスをとっていただいたということで、今の植田委員の前半のご指摘、全くそのとおりだろうと思います。
 最後に、古市委員。

○古市委員 今、植田委員におっしゃっていただいた、要するに、上流側としての大都市問題、市場経済の中で見直さないと、根源的な形での解決はない、これは私はそのとおりだと思っています。そうはいいながら、反面、不法投棄というのは非常に個別的に起こっている。それが悪貨が良貨を駆逐するようになっているわけですね。だとすると、現実論としまして、やはりできるところから、具体的な問題から不法投棄をなくしていくしかないのではないか。その辺のところをやっていこうとすると、やはり物流からとらえたときに、本当にそれがうまく流れているか。マニフェストはあるんだけれども、本当に具体的に積みかえの区間等の問題がうまくいってるのかどうかとか、処分場に受けられるにしても、委託したら、その処分場の容量はあるけれども、どこまで埋まっているかもわからないとなると、実際はできないことを委託しているわけですから、それはどこかはじかれるわけですね。
 そういう具体的な、現実問題としての可能性をというものを、しっかり個別論として議論すべきだろうと思うんです。多分、この不法投棄の問題というのは、定義とか区分なんかのような一般論で共通項としてやっていく部分じゃなしに、個別的に対応していかなきゃいけないのではないかというふうにちょっと感じました。

○小早川委員長 それでは、まだいろいろおありかと思いますけれども、予定の時間も過ぎましたので、議論はこの程度にさせていただきたいと思います。
 きょうのそれぞれの論点につきまして、お出しいただいたご指摘、これを十分踏まえて、専門委員会の取りまとめに反映するようにしたいと存じます。
 それでは、事務局から連絡事項ありますか。

○企画課長 次回でございますが、10月7日、月曜日、午後2時から4時まで、本日と同じく、この第1会議室を予定しております。議題といたしましては、本専門委員会として取りまとめていただく報告書の骨子案につきましてご議論いただければと思います。正式なご案内は、後で送らせていただきます。
 それから、前回の議事録の案を席上に配付しておりますので、お持ち帰りいただきまして、修正などございましたら、事務局までご連絡ください。

○小早川委員長 それでは、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後0時04分閉会