■議事録一覧■

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 (懇談会)
産業構造審議会 環境部会
廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWG (第13回)
合同会合(第6回)議事録



1.日時:平成16年12月2日(木)14:00~16:00


2.場所: 経済産業省 講堂(地下2階)
      

3.議題
(1) 容器包装リサイクル法関係者からのヒアリング
  FoEJapan
    ( 説明者;瀬口くらしとまちづくりプログラムディレクター)
  全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 (説明者:平井代表)
    全国生活学校連絡協議会 (説明者:間瀬可児市生活学校代表)
  びん再使用ネットワーク (説明者:山本事務局)


配布資料一覧
資料1   産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWG、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会容器包装リサイクル精度に関する拡大審議、合同会合 委員名簿
資料2   FoEJapan 資料
資料3   全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 資料
資料4   全国生活学校連絡協議会 資料
資料5   びん再使用ネットワーク 資料



委員名簿

産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWG 委員名簿(敬称略、50音順)

座長

郡嶌  孝  同志社大学経済学部教授

委員  
池田 政寛  社団法人日本印刷産業連合会専務理事
石井 和男  社団法人全国都市清掃会議専務理事
市川  駿  社団法人日本アパレル産業協会専務理事(※)
岩倉捷之助  プラスチック容器包装リサイクル推進協議会会長(※)
岩崎 充利  財団法人食品産業センター理事長
大池 弘一  日本石鹸洗剤工業会理事
岡田 元也  日本チェーンストア協会環境委員会委員長
小川  昇  日本ガラスびん協会会長
織  朱實  関東学院大学法学部助教授
角田 禮子  主婦連合会副会長
神尾  章  日本プラスチック工業連盟副会長
久保 惠一  監査法人トーマツ代表役員
小山 利夫  東京都環境局廃棄物対策部長(※)
佐々木春夫  社団法人日本包装技術協会専務理事(※)
佐髙  嵩  スチール缶リサイクル協会副理事長
佐藤 芳明  財団法人家電製品協会 環境担当役員会議委員長(※)
篠原  徹  日本商工会議所常務理事
辰巳 菊子  社団法人日本消費生活アドバイザー・ コンサルタント協会理事
筑紫 勝麿  日本洋酒酒造組合理事
恒田 良明  紙製容器包装リサイクル推進協議会会長(※)
豊田  保  PETボトル協議会会長
鳥居 圭一  社団法人日本化学工業協会常務理事(※)
永田 勝也  早稲田大学理工学部教授
永松 惠一  社団法人日本経済団体連合会常務理事
新宮  昭  財団法人日本容器包装リサイクル協会専務理事
西出 徹雄  塩ビ工業・環境協会専務理事
野副 明邑  社団法人日本アルミニウム協会会長
長谷川博英  全日本紙器段ボール箱工業組合連合会事務局長
浜口 正己  日本化粧品工業連合会 容器包装に関する委員会委員長
平賀 和彦  日本百貨店協会環境委員会委員長
桝井 成夫  読売新聞社論説委員
松尾 正洋  日本放送協会解説委員
松田美夜子  生活環境評論家
三輪 正明  日本製紙連合会パルプ・古紙部会長
吉田 靖男  社団法人日本貿易会常務理事
寄本 勝美  早稲田大学政治経済学部教授

(※)はオブザーバー



中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会容器包装リサイクル制度に関する拡大審議 委員名簿(敬称略、50音順)

部会長
花嶋 正孝  (財)福岡県環境保全公社 リサイクル総合研究センター長

副部会長  
武田 信生  京都大学大学院工学研究科教授

委員  
赤星たみこ  漫画家
石井 和男  (社)全国都市清掃会議専務理事
石井  節  日本石鹸洗剤工業会容器・廃棄物専門委員会委員長
石川 良一  全国市長会稲城市長
岩倉捷之助  全国牛乳容器環境協議会会長
植田 和弘  京都大学大学院経済学研究科教授
大澤 總弘  日本製薬団体連合会PTP等 包装検討部会部会長
大塚  直  早稲田大学法学部教授
岡田 元也  日本チェーンストア協会環境委員会委員長
岡部 謙治  全日本自治団体労働組合中央本部 副中央執行委員長
柿本 善也  全国知事会奈良県知事
木野 正則  ビール酒造組合容器環境問題担当部会委員
黒氏 博実  全国市長会恵庭市長
小早川光郎  東京大学大学院法学政治学研究科教授
酒井 伸一  独立行政法人国立環境研究所
   循環型社会形成推進・廃棄物研究センター長
崎田 裕子  ジャーナリスト・環境カウンセラー
佐々木 元  (社)経済同友会地球環境・エネルギー 委員会委員長
庄子 幹雄  (社)日本経済団体連合会環境安全委員会
   廃棄物・リサイクル部会長
園田真見子  埼玉エコ・リサイクル連絡会事務局長
高濱 正博  (財)食品産業センター専務理事
田中  勝  岡山大学大学院自然科学研究科教授
筑紫みずえ  (株)グッドバンカー代表取締役
永田 勝也  早稲田大学理工学部教授
永利 新一  日本商工会議所環境・エネルギー委員会委員長代理
中西 準子  独立行政法人産業技術総合研究所
   化学物質リスク管理研究センター長
新宮  昭  (財)日本容器包装リサイクル協会 専務理事
萩原なつ子  武蔵工業大学環境情報学部助教授
長谷川 浩  大日本印刷(株)包装総合開発センター環境包材対策室長
服部美佐子  容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク事務局
古市  徹  北海道大学大学院工学研究科教授
細田 衛士  慶應義塾大学経済学部長
松田美夜子  生活環境評論家
森  章次  東洋製罐(株)資材・環境本部環境部長
山本 文男  全国町村会福岡県添田町長
横山 裕道  淑徳大学国際コミュニケーション学部人間環境学科教授
  

【井内リサイクル推進課長】まだ遅れて来られる委員の方もおられますが、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会、容器包装リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会・廃棄物リサイクル部会合同会合を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、お手元の配布資料をご確認願います。資料一覧がついていますので、資料の不足があればお申しつけください。資料の1から5までです。また、本日ご発表の皆様からのパンフレット類が配布されています。なお、委員の方に事前に送付させていただきました資料から若干修正されている部分もございますので、その点はご了承ください。
 8月31日の合同会合においてお知らせいたしましたとおり、年末まで6回にわたって産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループと、中央環境審議会廃棄物リサイクル会の合同会合という形で、容器包装リサイクル法関係者等からのヒアリングを実施させていただいています。本日は、最終回の第6回目ということです。なお、本日はこの合同会合によるヒアリングを行いました後、産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループの委員の方にお残りいただき、小休止の後、容器包装リサイクル法の指定法人である財団法人日本容器包装リサイクル協会の平成17年度事業計画等について、また、ただ乗り事業者対策等について審議していただくことを予定しています。
 合同会合につきましては、事務局及び議事進行は持ち回りとさせていただいています。本日は、産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループの郡嶌座長に、議事進行をお願いしています。
 なお、産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループにつきましては、18名の委員からご出席の連絡をいただいており、定足数である過半数に達していることをお伝えいたします。
 続いて、中央環境審議会廃棄物リサイクル部会について、担当者よりお願いします。

【藤井リサイクル推進室長】中央環境審議会廃棄物リサイクル部会につきましては、本日は17名の委員からご出席の連絡をいただいていて、定足数である過半数には達していませんので、中央環境審議会令第7条第3項の規定によりまして、懇談会として開催をさせていただきます。本日は、日本チェーンストア協会環境委員会委員長の岡田委員の代理として、上山様にご出席をいただいていることを申し添えたいと思います。

【井内リサイクル推進課長】本合同会合の資料につきましては、原則すべて公開とさせていただきたいと思います。また、会議終了後に発言者名を示した議事録を作成し、ヒアリング対象者及び委員に配布し確認していただき、各委員のご了解をいただいた上で公開いたします。
 それでは、これ以降の議事進行を、産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループの郡嶌座長にお願いいたします。

【郡嶌座長(同志社大学経済学部教授)】本日の合同会合の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。私のお隣におかけいただいていますのは、中央環境審議会廃棄物リサイクル部会の花嶋部会長です。
 先ほど、事務局からお話しになりましたように、本日の議題はお手元の議事次第にありますとおり、容器包装リサイクル法関係者等からのヒアリングということで、FoE Japan、それから全国牛乳パックの再利用を考える連絡会、全国生活学校連絡協議会、びん再使用ネットワークの4団体からお話を伺うことにしています。
 また、先ほど事務局からご説明がありましたが、本日は合同会合終了後に、別に産業構造審議会の容器包装リサイクルワーキンググループを開催することになっていますので、説明者におかれましては15分程度で説明を終わられるよう、ご協力を切によろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速ですが、まずはFoE Japanよりお話をいただきたいと思います。くらしとまちづくりプログラムディレクターの瀬口様、よろしくお願いしたいと思います。

【瀬口(くらしとまちづくりプログラムディレクター)】本日は意見陳述の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、国際環境NGOFoE Japanにつきまして、簡単にご紹介させていただきたいと思います。
 FoEというのは、世界70か国に100万人のサポーターを有する環境団体のネットワーク、Friends of the Earth Internationalの略です。そして、FoE Japanは日本のメンバーとして1980年に設立しました。当初は「地球の友ジャパン」と名乗っていましたので、その名前でご存じの方も多いかと思いますが、NPO法人化を機に、2002年からFoE Japanに改称しました。
 活動内容としましては、気候変動、エネルギー、森林、開発金融、廃棄物等の環境問題に、グローバルな視野と草の根からの行動で、持続可能な社会を目指して活動を展開しています。

 この中で、廃棄物に関する活動は、FoEの中では比較的新しい活動になります。FoE Japanの廃棄物に関する活動は「脱・使い捨て社会プロジェクト」と名乗っています。これは、いろいろな角度から廃棄物問題に取り組んでいる団体がいらっしゃいますが、私どもは廃棄物の削減に関して、特に発生抑制の観点から、消費者とともに行動しています。
 中でも、参加してくださる方には10歳代や20歳代の若い世代が多くなっています。彼らは物心ついたころから使い捨てに慣れているわけですが、一方では「こうした生活がいつまでも続けられるわけではないのではないか」と、将来に対して不安を抱いている世代です。
 こうした世代とともに取り組んでいるメインの活動が、ファストフード、コーヒーショップチェーンの店内における容器につきまして、使い捨てからリユースに転換するように企業に働きかけを行うということです。それは、一般の人にいちばんわかりやすい使い捨てで、むだだなと感じられるものであるということが、これを取り上げたきっかけです。
 2年前の私どもの活動を機に、まずドトールコーヒーさんの経営しているエクセルシオールカフェというチェーンは、それまで使い捨て容器を店内で使用していたのですが、原則として店内ではリユース容器に転換してくださいました。現在は、スターバックスコーヒーさんをターゲットにキャンペーンを展開しています。スターバックスさんに対して、愛用者の立場から「リユースに転換してください」とお願いするキャンペーンを展開していまして、スターバックスさんとは継続的に話し合いを続けており、近日中にはアメリカ本社の環境担当者とも話をする予定になっています。
 また、ドイツや韓国における脱・使い捨ての政策についても調査・研究をしています。ドイツについては、廃棄物だけではなく、いろいろな環境政策を研究しているわけですが、韓国につきましては、先にも出ましたファストフード、コーヒーショップチェーンにおける取り組みとして非常に興味深いものがあるので、調査をしてきました。
 そして、このような活動を通して、企業や消費者への働きかけだけではなく、やはりこういった使い捨てというものをなくしていくためには制度が必要なのではないかということを感じてきまして、今回の容器包装リサイクル法改正に関しましては、問題に取り組むNGOや生協さんなどによって「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」ができましたので、これに参加してきました。

 このような活動を通して、FoE Japanが考えているリサイクルの本質的な目的というのは、次のようなことになります。
 地球から取り出す資源を最小限に抑え、将来世代ができる限り長くその資源を現世代と分かち合っていくために、一度取り出した資源は最大限に有効に活用するということであると考えています。もちろん、このためには発生抑制というものがまず大切なのですけれども、しかしやはりリサイクルも必要です。なぜなら、石油資源はあと40年とか半世紀内にほぼなくなるだろうと言われていますし、また残っていたとしても、価格は確実に上昇してきます。そうすると、いまのように100円ショップで手軽に便利なものを買ったりする生活、そしてどんどん使い捨てていくという生活は、そう長くは続かないのではないかと、私どもの世代では感じています。
 それゆえ、こうした廃棄物リサイクルの政策というものに関しても、これまでの政策が何年後を見据えてつくられたものなのかわからないのですが、私どもとしましては50年、100年といった将来を見据えて政策をつくっていくべきであると考えています。

 そういったことから、容器包装リサイクル法というのは非常に重要なものであると考えています。それにつきまして、皆様も認識されていると思いますが、こちらに書いてみました。容器包装というのは、すべての国民が日常的に使用、排出するものなので、そのリサイクル法は国民の日常生活、リサイクル意識に最も影響します。それゆえ、その国の環境政策のビジョンが如実に表れているものだと考えられます。
 日本においては、この容器包装リサイクル法というのは、各種リサイクル法の先頭を切って導入されました。そして、国と、業者と、市民と、自治体とが一体になってのリサイクルということでは、その幕をあけた役割を果たしたと思います。
 しかしながら、そのあとで循環型社会形成促進基本法ができまして、その中ではリデュース、リユース、リサイクルの3Rの優先順位が明記されました。そして、そのあとに各種リサイクル法、例えば家電リサイクル法では回収も事業者の責任になり、またその費用も消費者が負担することになりました。また、今度の自動車リサイクル法では、製品価格にリサイクル費用が含まれるというように進化してきました。この容器包装リサイクル法は、こうした進化をどう受けていくかということがその進化の集大成ということで、注目されると考えています。

 容器包装リサイクル法につきまして、評価できる点をまず申しあげたいと思います。
 まず、一般廃棄物の容積比の6割を占める容器包装の資源化により、最終処分場の延命という制定当時の最大の目的には一定の効果を上げてきたと考えられます。なぜそういうことができたかといえば、事業者が再商品化の義務を負うことになり、自治体が集めたものは引き取ってもらえるということになりましたので、自治体の分別収集が進んで、市民の意識も向上し、リサイクル率が向上したということが大変評価できると思います。
 そして、リサイクル費用の一部である再商品化の部分を事業者が負担したことによって、多くの事業者が容器を薄くしたり、軽くしたりという努力をされました。
 そうしたリサイクルというものが、ビジネスとして立派に成長してきて、また技術も大変進歩してきました。特に、PETボトルからPETボトルへという形のbottle to bottleというのは、劣化しないリサイクルとして、大変すばらしい日本の技術であると思っています。

 次に、容器包装リサイクル法の問題点を挙げていきたいと思います。基本的には、ごみが減っていないということが最大の問題点であると思います。こちらは環境省さんのデータですけれども、容器包装リサイクル法ができたあとも、リサイクル率は確かにに上がっているのですが、ごみの総排出量は減っていなくて、むしろ増えています。
 なぜそうなってきたかということですけれども、まずはリデュース、リユースの対策が不十分であるということ、リサイクルだけが優先されてきたということが挙げられると思います。これが容器包装リサイクル法の中では、第2章第4条の事業者及び消費者の責務として、「繰り返し使える容器を使うことや、過剰な包装を避けることで、なるべく発生を抑制した上で、再商品化についてやりましょう」といったことが明記されているわけですが、そのリデュース、リユースの具体的な仕組みができていないということが問題だと思います。
 そして、容器包装リサイクル法の施行後に、小型PETボトルが急増したこと、そしてリユースびんが減少して絶滅の危機にあるといったことが挙げられると思います。
 もう1つの大きな問題は、費用の相当部分を占める収集費用が自治体の負担となっている。つまり、事業者負担が不十分であると言えます。そして、これは消費者負担ではなくて、税負担となっているということで、排出する人としない人の間の不公平が生じています。これは経済的なインセンティブが働かないということで、そういった容器などをいちばん気軽に排出している学生さんなどは税金も払っていないといったことも、考えてみたほうがよいのではないかと思います。
 そして、その他プラスチックや紙については、回収率が上がっていないというか、取り組む自治体がなかなか増えません。それは、特にその他プラなどに関しましては、識別が困難で、私なども毎日非常に悩むのですけれども、自治体としてのコストがかかるといったことが挙げられると思います。そして、リサイクルの方法も、まだいろいろと困難な面があるということが挙げられると思います。
 そして、ただ乗り事業者の存在と、それに対する対応が挙げられると思います。ただ乗り事業者はどういった事業者があるのかということも、私もつい最近までわからなかったのですが、たまたま今回私どもがターゲットにしているファストフードチェーン等について調べていったところ、コーヒーショップチェーンでスターバックスに次ぐアメリカ系の大手のチェーンが、実はこれまで払っていなかったということがわかりました。
 私どもの質問をきっかけに、来年度から払う準備をしているということなのですが、このような大きな企業であっても、払っていないということにだれも気がつかないとか、それに対して特に何をするわけでもないということは、やはり仕組みに問題があって、きちんと払っている事業者さんにとっては非常に不公平なことではないかと思います。
 また、その対象となる容器ですけれども、自治体が一生懸命集めたものだけについて事業者は責任を負うということになっていますので、これは例えば同じ容器でも、ファストフードのお店の中で使って、そのお店の中で捨てたものは対象にならないとか、同じコンビニで買った飲み物でも、それを例えば駅の構内に捨てたら、JRさんなりが産業廃棄物として処理するということで、容リ法の対象にはなりません。これは一般的に消費者として納得のいかないもので、基本的には販売したすべてのものを対象にすべきではないかと考えます。

 次に、容器包装リサイクル法の改正の要点について申しあげたいと思います。基本的には、環境負荷を小さくするということを最優先にするべきであると考えます。発生抑制の対策も、同時並行でまず行うということ、これはこのあとで申しあげます。そして、収集も事業者の責任として、製品価格に上乗せすることが必要だろうと思います。つまり、事業者は一義的にコストを負担して、循環コストの低減の努力をして、その上で出た部分については消費者が循環コストを含む商品購入というのを知って、それを通じてライフスタイルの見直しをする。そして「うちは安いのがとりえだから、そういったことはなかなかしにくい。お客さんにも迷惑をかけられない」というような業者さんがいらっしゃると思うのですけれども、そういった市民を教育するのも国の責任であると考えます。これは、ほかのリサイクル法等の進化を考えても、妥当な考え方であると思いますし、またOECDのEPRの考え方からしても、普通のことではないかと思います。
 また、環境負荷の低減ということに関しては、例えばLCAの評価を活用していくとか、温暖化防止の観点を入れていくことが必要であると思います。つまり、どういった容器が環境負荷が高く、低いのかといったことを国民にインフォームしていくこと。それから、来年2月に京都議定書が発効するわけですけれども、日本は6%という当初の枠組みに加えて、これまで増えてしまった8%分も合わせて14%以上削減しなければならないわけで、これをどうやって減らすかということに関しては、容器包装をどう使っていくか、どのようにリサイクルしていくかということも十分観点に入れていく必要があると思います。
 そして、数値目標を設定して、そのために必要な情報を公開していくこと。数値目標、例えばびんとかアルミ缶とか、素材ごとのリサイクル率を設定していく。また、それを徐々に上げていくといったようなことが必要ではないかと思います。
 そして、何よりもリサイクル率を上げていくためには、市民にわかりやすい仕組みが必要です。例えば、ドイツでなぜあれだけリサイクル率が高いかといえば、ドイツの国民のほうが日本人よりまじめだということではなくて、グリュネ・プンクトがついているものに関しては黄色い袋に入れればよいという、非常に簡単な仕組みだからであって、こういった仕組みであれば、環境に関心のない人でも、また外国人や子供でも簡単に分けられますので、こういった全国統一の仕組みが必要ではないかと思います。

 発生抑制に関してですが、リデュース、リユースの具体的な仕組みづくりが必要。つまり、リターナブル容器への支援とか、使い捨て容器の規制、デポジット、有料化等が考えられます。こういった形で、経済的なインセンティブを導入していくことが必要と思います。例えば、いま環境省さんがやっていらっしゃる、サッカースタジアムにおけるリユースカップの導入というのは、一般の人が集まるところでこういったものを知るきっかけになるということで、非常にすばらしいと思います。
 また、いろいろな自治体や大手のスーパーさんで、ノーレジ袋デーなどというものをやっていますけれども、これを毎日ノーレジ袋デーにするような形に、日常生活の中にこういった仕組みをどんどんつくっていくのがよいのではないかと思います。
 そして、容リ法だけではなくて、そのほかのいろいろな法律とか、法律以外の自主協定のような形も併せて進めていったらよいのではないかと思います。例えば、グリーン購入法に基づいて各自治体でいろいろな調達方針などを定めていると思いますけれども、そういった中に、例えば学校給食についてはリユースびんの牛乳を優先的に入札させるとか、そういったことが考えられるのではないかと思います。

 時間がだいぶなくなってきましたので、発生抑制の事例として、韓国についてご紹介させていただきたいと思います。
 先進事例としては、ドイツや北欧はよく挙げられるのですけれども、日本にもっと近い国という形で、注目できるのではないかと思います。
 韓国は、日本同様に大量消費、大量廃棄という形で、さらに焼却よりも埋め立てが基本でしたので、ごみの処理には非常に困っていて、それで根本的な発生抑制が必要ではないかということでできたのが、資源の節約と再活用に関する法律というものです。この中で、使い捨て容器に関する規制も法律で定められています。

 これは、業種ごとに無料で提供してはいけないとか、使ってはいけないというようなものを定めているもので、レストランであれば使い捨てのお皿とかコップとか、ホテルであれば1回だけの歯ブラシとか、デパートやスーパーであればレジ袋は無料で提供してはいけなくて、20ウォンで販売すると定められています。
 しかしながら、そういったことでなかなか効果が上がらないことに関しては、企業が自主協定を結んで、環境省との間に約束を交わして、削減の努力をしています。これにつきましては、お手元に別の資料として、宣言文の本文が配布されていると思います。内容については、そちらに細かく書いてあります。

 まず、ファストフード、コーヒーショップチェーンにつきましては、例えばお店の中ではリユースの容器を使って、テイクアウトの使い捨て容器に関してはデポジット制にするというもので、これはマクドナルドとか、ケンタッキーとか、スターバックスとか、そういった大手のチェーンが入っています。また、デパートやスーパーのレジ袋に関しては、法律では20ウォンと定めているのですけれども、なかなか効果が上がらないということで、これが50ウォンで、しかもデポジット制にするという形をとって、さらにそれに加えてマイバッグを奨励するためのインテンティブ、マイババッグ持ってきたら割引とか、そういった形のことを併せて行うというものです。
 こういったことは、韓国のごみ問題に取り組んでいるNGOが積極的にこういった企業に働きかけて、環境省との間を仲立ちをして進められたものです。

 こちらはスターバックスの写真なのですけれども、昨年アイスコーヒーをオーダーしたら、このようにマグカップに入れて出てきて、そのときは「アイスドリンク用のグラスは、これからつくろうとしているところだ」という話でした。今年になってそれが本当にできたということで、韓国のスターバックスが送ってくれたのが、このグラスの写真です。
 このような形で、国際的な大企業も韓国において世界に先駆けた脱・使い捨て対策を実施しているということで、日本は先を越されてしまったわけですが、日本もぜひこれに続くようなことをやっていきたいと思います。

 最後になりますが、容器包装リサイクル法についてポイントをもう1度申しあげたいと思います。
 ごみを減らして、環境負荷を最小限にしていくために、リデュース、リユースの具体的な手法を盛り込み、また収集費用も事業者が一義的に負担して、製品価格に含め、税負担から消費者負担に変えていくことが必要だと考えています。
 将来世代のリスクというのは、私たちの手にかかっているということを考えながら、新しい法律をつくっていただきたいと思います。以上で終わります。

【郡嶌座長】どうもありがとうございました。ちょっと時間がオーバーしましたので、ご質問等の時間が少なくなっていますけれども、委員の皆さん方の質問を2、3受けさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【服部委員】いまのFoE Japanの、ファストフード店の使い捨て容器削減に向けた活動に基づいた容リ法の問題的及び容リ法改正のポイントにつきましては、全く同感いたします。せっかくのFoE Japanの持ち時間なのですが、発言のチャンスがなかなかありませんので、環境省と経済産業省の方に1つだけ質問させていただきます。
 今回で6回の合同ヒアリングが終わるということなのですが、どのような基準で団体を選考されているのかということをお聞きしたいと思います。公募した今回の市民団体のヒアリングに関しては、私たち全国ネットワークも応募しました。ご存じだと思いますが、全国ネットワークでは、約100万名の署名を先の通常国会に提出いたしました。また、参加された215団体及び個人の皆様と一緒に、容リ法改正市民案を作成してきました。
 本日、びん再使用ネットワークが参考資料として改正市民案を添付しています。審議会の場で多くの市民の意見、多数の民意を反映した市民案について、ぜひ発表の機会を与えていただきたかったと思っています。両委員長に一任されているということですけれども、きょうは市民の方も傍聴されていますので、ぜひ選考の基準について教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤井リサイクル推進室長】では、私からお答えさせていただきます。
 基本的には、挙がってきた団体の中でどこを選ぶかというのは、大変難しいところがあります。一言で申しあげれば、それぞれの団体のこれまでの実績とか、活動の内容とか、そういったところを総合的に判断をして、きょうお越しいただいた団体を選ばせていただいたということです。
 ただ、中環審の会長、それから産構審の座長お2人と相談させていただいたところによりますと、お2人とも、できるだけこれまで現場での活動が長く続けられていたり、あるいはそれぞれの団体なりの独自の、固有の特徴を持った活動をされているところを優先的に選択をしたとお聞きしているところです。

【郡嶌座長】ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、全国牛乳パックの再利用を考える連絡会よりお話をいただきたいと思います。平井代表、よろしくお願いいたします。

【平井(全国牛乳パックの再利用を考える連絡会代表)】きょうはこのような場で意見を陳述させていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 私どもは名称が長いので「全国パック連」と言わせていただきますが、最初に当会の発足の経緯をご紹介させていただきます。
 当会の発足は1985年ですが、1984年に「ものの命の大切さを子供たちに伝えよう」ということで、山梨県の主婦グループが牛乳パック再利用運動を始めました。
 ご承知のように、牛乳パックは両面にポリエチレンフィルムが貼られていますので、古紙の対象から外れていた禁忌品でした。しかしながら、上質のパルプを使用しているので、ワンウェイで捨ててはもったいないということから、独自で市民が回収を始め、そして独自で回収ルートを切り開きました。
 このニュースが全国的に飛びまして、とにかくゼロからのスタートですから、やはり横のつながりを深めていこうということで、全国パック連を発足しました。
 会の目的は、牛乳パックの再利用を通して使い捨て社会を見直し、自然と人間との共存、人と人の共生社会の実現を目指すことにあります。牛乳パックリサイクルの回収率を上げていくこと自体が私どもの目的ではなくて、あくまでも牛乳パックの再利用を通して見えてきた、さまざまな社会の問題を自分自身に引き寄せて、そして解決のために具体的に行動する。あるいは、そういった行動をする大人の姿を子供たちに見せていくという、非常に教育的要素の強い運動でもありますので、会の目的もそれが基本になっています。
 全国パック連には、いろいろな環境の問題や食べ物の問題に関わっている人とか、福祉作業所の方々、教育関係者など、さまざまなジャンルの団体が参加していまして、この豊かなネットワークを生かして、命、暮らし、自然をテーマに、いろいろな活動をしてきました。

 細かくて恐縮ですが、ご参考までに発足から昨年度までの主な活動概要について、年表にさせていただきました。1990年前までが、主に全国的に市民が主体で、ほとんどボランティアで回収をしているという初期の時期です。1990年以降、生協さんがまず共同ルートで回収を始めていただき、それを追ってスーパーでの店頭回収が広まりました。私ども全国パック連の活動としては、非常に広範囲な内容の活動をしています。

 主な活動として、牛乳パックの再利用を考える全国大会を年に1度行っています。タイトルは「牛乳パック」とついていますが、パックのリサイクルのことだけではなくて、さまざまなテーマを挙げてディスカッションする場を提供しています。この大会で新たなネットワークを開拓して、さらに広範な活動につなげていこうということで、私どもの活動の柱になっています。

 もう1つの柱が、牛乳パックの再利用マークの普及と再生品の促進ということなのですけれども、回収が進む中、1992年に純パルプ製品の需要が非常に伸びまして、再生製品が売れなかった時代がありました。受け皿になってくれている中小の再生メーカーさんから「このままでは牛乳パックの受け入れは難しい」という声が上がりまして、そこで牛乳パック再生品の利用拡大委員会というものを立ち上げました。さらには、その年の全国大会で「回収された牛乳パックを使っています」という目印として、商品にこのマークをつけていこうということで、牛乳パック再利用マークというものを決めました。
 こちらのほうに書かれていますように、いま約340の商品アイテムにマークが表示されていまして、年間に40~50件の広報誌への掲載依頼が寄せられています。

 そのほかの活動としては、広報・啓発活動、調査活動。

 それから研究会セミナー、情報交流会などを開催しています。
 そしてもう1つ大きいのが、牛乳パックの回収とか紙漉きという事業で仕事づくりを目指している福祉作業所さんが全国各地におられますが、その方々の仕事づくりの支援ということで、私たちの活動の1つの柱になっています。
 また、紙パックリサイクルを媒体に、国際交流を開いています。

 私どもはずっと以前から活動しているわけですけれども、容リ法というのは1つ牛乳パックが単独で分別品目に挙がったということで、社会的な認知を受けたわけですけれども、容リ法施行以後、自治体さんの取り組みも依然まだまだ遅い取り組み状況でしたし、いまでこそ取り組み市町村数は上がっていますが、量が上がっていないということもありまして、やはり自ら新しい回収拠点を増やすことで、新しい回収協力者を開拓していこうということで、牛乳パックの回収ボックスの配布を行っています。
 この回収ボックスは、やはり集めたら使うということで、100%牛乳パックとか酒パックの再生段ボールを成型してつくっています。この1万箇所回収拠点拡大運動は、2000年から始めています。

 配布状況ですけれども、2000年から2004年10月現在までに4,505個ということで、2002年から業界団体である全国牛乳容器環境協議会さんのご協力もいただきまして、各地の配布を行っています。

 やはり、リサイクル率の低さということをよく指摘されるのですけれども、まだまだ各地の自治体さん、あるいはそこに住んでいらっしゃる方、あるいは事業者の方の、牛乳パックリサイクルへの理解を深めていただいていないということもありまして、やはりこれは自ら赴いて地域の課題,あるいは現状把握をするために、地域会議というものを開催しています。2004年度を終わりまして、そこにも書かれていますが、5か所で行いました。
 伊勢崎市では、過去始まって以来の100名の参加を得まして、こういった地域会議を開くことで、牛乳パックリサイクルについて会議を通して関心を持っていただく機会となっています。
 中では「うちは牛乳パックの回収をしていないのですが、地域会議をやっていいのですか」とも言われるのですが、やはり理解していただくチャンスにつながっていると思っています。

 その会議と併せて、できればせっかくですからということで、いろいろなリサイクルプラザとかセンターの視察をさせていただいています。
 写真にありますのは、ある市のリサイクルプラザの模様です。ここの市では、牛乳パックの回収などもしていまして、各家庭で古紙、牛乳パック、チラシと分けて排出しています。
 ところが、収集は混合収集ですので、このプラザでは混合した状態で山積みになっているのです。そこから人の手で、右にありますようにかごに分けて、そして牛乳パックは牛乳パックの山に分けていました。それから、左下のビニール袋に入っているのはその他紙用のビニール袋で、こういう中にも非常にきれいな状態で、ヨーグルトのカップと一緒に牛乳パックが出されていました。
 ここでは一応手選別で、こういったものも牛乳パックという中に分けて、そして最終的にベーラーにかけて出荷しています。ですから、かなりよい価格で売れているということでした。

 容リ法では「飲料用紙製容器」というような言い方をさせていますが、私たちはあくまで「牛乳パック」という言葉であえて言わせていただきますけれども、現在容リ法でも決められている回収ルールというのは、当初から市民自身でつくり上げたものです。「資源ごみ」というような言い方を各地でよく聞くのですけれども、「資源」と「ごみ」というのは全く違うと思います。あくでもきれいな状態で、資源として消費者が出すということを基本にして、初めてそういった資源物は回っていくと考えていますので、そういったルールも市民自身で決めたというのは、1つ特殊的な要素があると思っています。

 その特殊性も、この回収の流れに表れていると思いますけれども、回収拠点は自治体だけではなくて、容リ法以前から拠点になっている学校とか町内会、それから、最近では郵便局、金融機関、そういったいろいろなところの機関の協力を得て回収拠点がありまして、そして問屋レベルまで行くと、ここからが市場ということになります。
 もう1つ特徴的なのは、福祉作業所さんが拠点になったり、あるいは回収のところを担っているというのも、この容器の特殊性だと思います。

 これは、容環協で新しい中間報告が出たということで、ご参考までに入れさせていただきました。
 2003年度の紙パックマテリアルフローの結果ですが、前年に比べて約3%アップの34%という数字を、容環協さんでは出されています。

 牛乳パックの受け入れ製紙メーカーの分布図ですけれども、一応北は北海道から沖縄までというところで製紙メーカーが分布していて、20年近く前はたった1社からの開始でしたが、現在ではこのように受け皿が広がっています。商品も、トイレットペーパー、ティッシュペーパーとか家庭紙以外に、板紙関係にもなっています。

 私どものほうで製紙メーカーさんに、牛乳パックを原料としてどのように今後利用していくかというようなことも含めて、いまアンケート調査をしていまして、これは中間的なデータなのですけれども、その中で、受け皿メーカーさんがなぜ牛乳パックを使用したいかということでは「やはり製紙原料として優れている」という理由が最も多いわけです。その細かい理由は「古紙繊維に強度とか柔さを加えたり、白色度とか品質を上げるのに最適だ」ということでした。

 受け入れメーカーさんの考え方はいまのようなことと、あと引き取り価格は末端でも0~十数円、そして製紙メーカーさんのほうに入っていくのが大体20円前後です。ですから、ほとんどの場合は有償で取引されていますし、古紙の中でも価格は高いということです。しかしながら、再生紙トイレットペーパーの消費量、いわゆる純パルプ商品のものより再生紙の消費量を増やしていかないと、受け入れは非常に厳しい。
 例えば、いま中国産の純パルプトイレットペーパーとかティッシュが、大手の量販店さんを通して大量に輸入されていまして、安い価格で売られています。日本では中小の製紙メーカーさんがほとんどですので、非常に大きな打撃を受けているということです。ですから、やはりリサイクルというのは、出口をきっちりつくっていくということが最も重要だと思っています。
 先ほど、容環協さんの34%という数字が出たのですが、やはりこういったデータに入ってこない、上がってこない取り組みが各地にあります。特に福祉作業所さんがそうなのですけれども、こちらの回収事例に紹介している「みんなの労働分化センター」は、年間180tを回収しているのです。資料では「130か所の回収拠点を展開している」と言っていますが、昨日確認しましたら、180か所の回収拠点、小中学校とか、スーパーさんとか、公共施設等をローラーして回収しているそうです。
 この活動も平成2年からですから、容リ法以前から取り組んできたもので、このような事例も漏れているというか、そういうことも事例としてご紹介したいと思って載せました。

 もう1つは、紙漉き事業というところで牛乳パックはかなり原料になっています。町田市シルバー人材センターも、十数年そういった活動をしていますが、推計7tぐらい使っている模様です。それから、大阪でも年10tぐらいが紙漉きの原料になっているということで、ここにユニセフのハガキの受注を受けたとありますが、その数は30万枚で、30万枚を牛乳パックに換算すると、約1tが紙漉きの原料になっているということです。

 一方、学校給食用の牛乳パックのリサイクル、これも環境教育の最たるものということで、だんだん理解が増えてきていますが、こういったやる気のある学校について、具体的サポートが必要のように思います。

 最後に、これまで地道な私たちの活動を続けていまして、そしていろいろな現場を踏まえて、容器包装リサイクル法の見直しの際に要望したいことがいくつかあります。
 まず1つは、牛乳パックというのは顔の見える関係を築きながら、市民が各地において地道に回収システムをつくり上げてきました。先ほどの回収事例のように、福祉作業所の仕事づくりということで、牛乳パックというのは重要な要素になっています。ですから、こういった既存の回収システムにぜひ配慮していただきたい。これがちょっとした経済的なところで動いてしまうと、例えば原料が得にくくなるとか、回収量が上がらなくなるというようなことも懸念されますので、そういった配慮をぜひお願いしたいと思います。
 それから、効率のよい回収ルートの構築のためには、自治体への細かな情報提供、それから各地域で関係者が協議を行う場を具体的につくるなど、いろいろなサポートが必要なように感じます。ですから、国もこれに積極的に取り組んでいただけたらと思います。
 それから、容器包装リサイクル法は市民、行政、事業者の役割分担を基本に置いています。リサイクルが進んでいる中で、一方ではごみが減っていないという事実もあります。やはり、各家庭の消費者の意識の底上げというところが、まだまだ足りないように思います。ですから、消費者意識の底上げを目指すような具体的な対応策を、ぜひ検討していただきたいと思います。
 最後に、商品を供給している事業者の方々の役割をきっちり認識していただきたいと思います。現在の牛乳パックのシステムというのは、市民といわゆる再生紙メーカーさんが連携して築いてきたもので、それは20年近くかかっています。ですから、特に中身のメーカーさんに関しますと、非常に取り組みが遅いように思えます。表示の問題にしましても、十数年かかってやっと表示になったというような実態ですので、こういった取り組みの遅れについてぜひ認識していただきまして、事業者責任の中で、費用負担だけではなくて、具体的に何ができるのかということをぜひ業界全体で考えていただき、進めていっていただきたいと思っています。
 発表は以上ですけれども、お手元の資料に「紙容器リサイクルの意義と効果を考える」という、神戸大学大学院教授の石川先生がお書きになったもののコピーがあります。牛乳パックリサイクルの特殊性とか、抱える課題とか、容器包装リサイクル法に照らし合わせてどう考えるかなど、明快に書かれていますので、ぜひお読みいただいて、検討の際にご参考にしていただきたいと思います。ご静聴、ありがとうございました。

【郡嶌座長】平井代表、どうもありがとうございました。ただいまのお話に対しまして、ご質問、ご意見等はありますか。

【服部委員】学校給食用の牛乳パックについてお話がありましたが、環境教育、環境学習の視点から言いますと、まずリユースびんを優先すべきではないでしょうか。牛乳はリユースびんで宅配でも使われています。学校の場合も小さい牛乳びんがまだ使われているところもたくさんあります。容リ法をどのように改正していこうかということも含めまして、リユースびんを進めていこうという視点が重要かと思いますけれども、その点についてご意見をお聞かせいただきたいと思います。

【平井】学校給食用の牛乳パックは、容リ法という枠から外れるものですから、事業系ということなので、どういった照らし合わせができるかということはありますが、現実、紙パックを使っている学校に対して、きっちりリサイクルをお願いしているという状況です。全国で2/3は紙パックになっていますので、いまは焼却処分がほとんどで、あとは事業系の、要するに乳業メーカーさんが引き取ってリサイクルしていると。そういった現状を踏まえて、もうちょっと学校でのリサイクルを促進していただくようなお願いをしています。

【服部委員】取り組みについてはわかっています。こうしたヒアリングは容リ法を改正していくために、皆さんで話し合って合意形成をしていこうという方向で行われていると思います。学校給食にはむしろリユースびんを残そうという点のほうが、環境教育の視点から言いましても、今後の資源を大事にしていこうといった観点からも重要かと思われますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

【平井】現在、リユースびんが残っているところについては、そのシステムのままきっちり頑張ってやってくださいというようなことです。私たちは、牛乳パックのリサイクルということで活動していますので、あくまでも牛乳パックリサイクルで困っている学校のサポートに入っているということです。

【郡嶌座長】ほかにありますか。よろしいでしょうか。平井代表、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、全国生活学校連絡協議会よりお話をいただきたいと思います。お話されるのは、可児市生活学校の間瀬代表です。よろしくお願いしたいと思います。

【間瀬(可児市生活学校代表)】全国生活学校連絡協議会を代表いたしまして説明させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 生活学校の概要について、お話しさせていただきます。生活学校は、財団法人「あしたの日本を創る協会」に所属していて、生活会議等他の団体と連携して、住みよい地域社会をつくるために活動しています。現在、全国で約1,100の生活学校、そして約5万人のメンバーが活躍しています。

 生活学校の主な取り組みです。ごみ減量、そして高齢社会の問題、子育て支援等でして、休日当番医制度や、健康増進法の先駆けとなる禁煙車両が実現しました。

 本日は、次のよう項目で意見を述べさせていただきます。1.私たち・消費者の責任。2.自治体負担の軽減。3.リターナブルびんの使用事業者の負担軽減。4.レジ袋の有料化。5.リユース社会の実現を、です。

 まず1の項目「私たち・消費者の責任」です。消費者は、毎日の生活の中で何ができているのでしょうか。ごみ減量をテーマに活動して30年あまりですが、ごみはなかなか減ってきません。消費者の一人ひとりが意識を持って努力していくよう、全国のメンバーはいろいろな活動を試みています。その中で、可児市生活学校の実践例を発表させていただきます。

 可児市は、日本のほぼ中央に位置していまして、現在約9万9,000人、約3万5,000世帯です。

 次に、市民リサイクルステーションについて、次のような項目でご説明します。
 まず最初に、回収ステーションの設置です。可児市では、平成10年6月より、容器包装リサイクル法によって回収事業を開始しました。自治会単位に、市内の360か所の回収ステーションが設置されました。そこで1年を経過して、リサイクル事業についてのアンケートを実施しました。

 そのアンケートの結果ですが、次のとおりの要望があるということを知りました。要望は「日曜日に資源回収をする場所が欲しい」「リサイクル品目を一括して全部出したい」「古紙類を回収してほしい」「アパートの人や自治会未加入者の出せる場所が欲しい」でした。可児市の場合も、自治会未加入者が年々増えてきている関係で、出せる場所が欲しいという要望がありました。
 そして、最も多かった要望は「資源回収日以外にも出せるリサイクルステーションを設けてほしい」でした。

 次に、市民リサイクルステーションの開設です。私たち生活学校は、ごみ問題は行政に任せるのだけではなく、いまや住民も共同で取り組みが必要と考えました。そして、市民一人ひとりが資源回収の必要性を感じ、協力してほしいと、住民が参加しやすい方法で、リサイクル品目を一括して回収するステーションを、平成11年4月25日より開設しました。

 次に、回収システムです。毎月第4日曜日と決めました。午前9時から11時までです。
 以下が回収品目ですが、容器包装関係のもの、紙類の新聞、チラシ、段ボール、本などを含めて、16品目を一括して回収しています。

 当初は古着をやっていましたが、現在は古着の回収はしていません。そして、レジ袋は再利用できるきれいなものだけを回収しています。
 場所としては、可児市にある総合会館分室駐車場をお借りして行っています。
 紙類は山春商店に、そして市回収のリサイクル品は(株)橋本に現地で直接引き渡しています。
 回収ボックスや回収ネットは、市のものをお借りしています。

 これは回収車の様子ですが、新聞、チラシ、雑誌類で2セット、6台並んでいます。現在は、これに紙容器も回収するものが加わりました。

 次に、段ボールはパッカー車で回収しています。紙類はコンテナです。びん類は、組み立て式のボックスを使用しています。スチール缶、アルミ缶、PETボトル、トレーは、パイプを組み立ててネットで回収しています。

 次に、広報活動として、何分会場まで自分の来るまで持ち込んでいただくものですから、当初PRに力を入れまして、チラシを2,000枚つくって市内全域の連絡所を通じて配布していただきました。それから、メンバーが独身さんのアパートを重点的に回って入れていきましたし、自治会にお願いしてチラシを回覧していただきました。そして、スーパーにもチラシの提示をお願いに上がりました。新聞にも、関連記事を載せていただきました。可児市の広報紙・広報課にも記事を載せていただきました。そして、いまでは「広報可児」に毎月の開催日を掲載していただいています。

 次に、資源回収の様子です。新聞等はコンテナに、自分で紐を切っていただいて、市民の方に投入していただいています。子供さんが本当に一生懸命に持ってきて、お手伝いしてくれています。男性の方や若い人の参加が、本当に多く見受けられます。このステーションが環境教育の場であり、意識啓発の場となっていると感じています。

 次に、工夫した点です。毎回500台から、多いときで800台ぐらいの車が来ます。駐車場がちょっと狭いものですから、車をスムーズに運行させるために工夫して、駐車場での一方通行とか、車の誘導係ということで、私どものメンバーが赤白の旗を持って誘導しています。台車も10台ほど購入しました。
 そして、男性のサポーターの方にも加入していただいて、車の誘導や、びんがちょっと重いものですから、びん回収場所についていただいています。
 ユニホームの統一ということで、前掛けやジャンバーなどを統一しました。これは、見てくださる方が「とても感じがいい」といって褒めてくださっています。
 それから、リサイクル指導員という肩書きももらっていますので、年1回、市の環境課と意見交換会を開催して、技術の向上を図っています。

 次に、年度別の資源回収量です。見ていただいているとおりですが、平成14年度はちょうどこの会場が選挙の投票所になりましたので、1回中止しました。15年度は、総量で290tです。びんが38t、プラが11tですが、びんのほうは切り上げてありまして、総量が切り捨ててあるものですから、およその数字です。

 次に、今後の課題です。平成12年にアンケートを実施したところ、圧倒的に常設の場所が欲しいというご意見があって、市のほうにも陳情して、来年度常設のステーションの建設が計画されています。
 次に、その他のプラスチック類の回収です。これは本当にまだ予定なのですが、種類がたくさんあるものですから、とても困難が予想されています。
 次にもう1つ、紙容器類のことですが、紙容器類は回収に出せるものと出してはいけないものがありまして、例えば金紙、銀紙、アルミ箔がコーティングされたパック類、それから洗剤の箱は出してはいけないものなのですが、いずれも容器にはリサイクルの識別マークがついていて、市民は大変混乱してしまいます。事例として、洗剤の箱が混入して、洗剤の香料が強いものですから、たまたま食品関係の製品をつくっている製紙会社に持ち込まれて、そのとき持っていった窯のものが全部においがついてしまって廃棄ということを、先日業者がこぼしていました。
 ですから、リサイクルの方法としては、製紙原料の選別と燃料化ということでリサイクルになるのですが、やはり市民にわかりやすい識別表示をお考えいただいて、改善していただけたらと思っています。これについては、生活学校としてももうちょっと詳しく調べていきたいと思っています。

 これは、可児市生活学校のメンバー59名です。常時二十数名が参加して行っています。容器包装リサイクル法で、分別して出すのは消費者の責務ということになっていますが、今後も住民が参加しやすく、住民のニーズに合った方法を提案して、改善して取り組んでいきたいと思っています。

 次に、項目II「自治体負担の軽減」です。リサイクル法が施行されて、確かにリサイクルは進みましたが、費用の7割が自治体負担と聞いています。増え続ける使い捨てごみのリサイクルに本当にまじめに取り組んでいる自治体は、大変苦しいと聞いています。そこで、リサイクル法の中で見直せる制度を考えていただけたらと思います。

 次に、項目III「リターナブルびんの使用事業者の負担軽減」です。ビールびんは販売店に返せば5円が戻ってくるというデポジットシステムがあります。私ども可児市の場合でも「生きびん」として回収していて、業者がビールびんは5円、一升びんは2円で引き取ってくれています。年間で、ビールびんは約1,000本、一升びんは約2,000本の回収があります。リターナブルびんは、ごみの減量や資源・エネルギーの節約に非常に役立つ容器だと思います。ぜひ、使用している企業に対して税金の軽減等の負担を軽くする制度をお考えいただけたらと思います。

 次に、IV「レジ袋の有料化」です。各地の生活学校では、レジ袋の削減に向けて消費者、小売業者への意識調査、実態調査、さらにはこの結果を元に対話集会を重ねてきました。この中で、ノーレジ袋デーの実施など、成果を上げました。しかし、スーパーなどと話し合いを持っても、なかなか支店段階ではらちが明かないという意見が出てきました。

 そこで、全国生活学校連絡協議会は、レジ袋を削減するにはレジ袋の有料化が最も有効な方法であるとの考えのもと、企業の本社を対象としたレジ袋削減についての調査を行いました。調査期間は、平成15年8月15日から9月25日に行いました。
 アンケート14問中の抜粋ですが、次のような項目について簡単にご説明させていただきます。

 初めに、調査対象企業の業種です。スーパーマーケットが57.2%。百貨店が14.4%。薬局が13.4%。コンビニエンスストアが7%。ホームセンターが5.9%でした。アンケートの配布数は305、回収数は187でした。

 次に、調査対象企業の店舗数です。50店以下が64.7%。51~100店が18.2%。101~1,000店が12.8%。1,000店以上は3.7%でした。

 次に、レジ袋の削減を図る上でネックになっている点は何ですかという問いですが、「消費者が要求」が59.9%でした。次に「足並みがそろわない」というのが19.8%。「売り上げが減る」は2.1%でした。
 他の設問で「レジ袋の有料化に反対する理由は」で多かったのは、「サービス低下につながる」というのが30.5%。「トラブルの原因になる」というのが26.9%ありました。企業は「消費者が求めるから」とお考えのようですが、いまや消費者は無料配布は必ずしも望んでいないと考えます。

 次に「容器包装リサイクル施行前と後のレジ袋1枚当たりの重量の変化」です。「軽くなった」が67.9%。「重くなった」は0%でした。「変わらない」は24.1%でした。これも、消費者の気持ちと相反していて、私たちは便利なレジ袋を何度でも再利用したいと思っているので、丈夫なほうがよいのですが、やはり「このごろ軽くなったな」と思っていたら、こういう結果が出てきました。

 次に「財団法人日本容器包装リサイクル協会に支払う委託料は」という問いですが、「高い」は57.8%。「安い」は0%でした。「適正である」は7.5%でして、企業もリサイクルに対する負担が大きいとお考えのようです。リサイクルは、すればするほど企業も自治体も負担が高くなるということでしょうか。

 そこで、最後になりますが「V.リユース優先社会の実現を」です。これまで、私どもの大量消費、大量廃棄の生活を見直し、少しでも地球に優しい暮らしを送るため、行政、企業、消費者の三者が力を合わせ、ごみの発生抑制を基本に、リユース優先の社会にしていくための仕組みを、ぜひ容器包装リサイクル法に組み入れていただきたいと存じます。以上です。

【郡嶌座長】はい、どうもありがとうございました。早速ですが、ただいまのお話に対してご意見あるいはご質問等がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【石井(節)委員(日本石鹸洗剤工業会容器・廃棄物専門委員会委員長)】2点ほどお伺いしたいのですが、まず1点目、その他プラスチックがいま回収されていないということですが、実際に市民の方々は、いまその他プラスチックをどのように処理されているのでしょうか。
 2点目ですが、洗剤の箱という話が出てきまして、私どももまさに石鹸洗剤工業会ですから、全くあれなんですけれども、私どもでも実はいくつかの自治体に「洗剤の箱を実際に集めておられるところは、どうしていますか」という調査をしているのです。確かに、ほとんどの自治体は製紙原料に回しているというところが多いのですが、一部の自治体では、そのあとまたさらに分別して、洗剤の箱は製紙原料に回さないで固形燃料に回しているというところもあります。
 先ほどのお話ですと、マークに何か工夫をということだったのですが、例えば洗剤の箱については全くいまの紙マークをつけないほうがよいのか、あるいはいまの紙マークとは別のマークを何か考えるほうがよいとお考えなのか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【間瀬】初めのご質問のその他プラは、可児市の場合はいまは燃えるごみに出しています。やろうやろうと言いながら、なかなか難しそうということで、規模の大きい焼却炉ができたばかりなものですから、そこでクリアーできるのではないかと、行政は言っています。
 それから、洗剤の箱の件、私もきょう持ってこようと思ったのですが、洗剤の箱に「取手等を取って、分別しやすくしました」と書いてあって、箱をあけると「このように折り畳んで、燃えるごみの中に出してください」と書いてあります。ですので、燃えるごみとして出せば、可児市の場合は「資源回収に出してはいけないもの」になっているのですが、どうしても消費者は外箱のリサイクルマークで「ああ、リサイクルできるんだ」と解釈して、先ほどの金紙もですけれども、クッキーの個包装に金紙があります。そこにもちゃんとリサイクルマークがありまして、これで「リサイクルできるんじゃないか」と言われると、また困ってしまいますし、現場で私どもも目を光らせているのですが、本当にたくさん持ち込まれるものですから、専門の人が2人ずつついているのですが、見残しがあったりします。そして洗剤も、どうしても底にいくらか残ったり使いかけがまだあったかもしれませんが、その香料が本当に取れなかったということがあります。ですので、マークはやはりリサイクルマークプラス「燃えるごみに出してください」とか何か、わかりやすい方法を考えていただきたいと思います。
 容器包装リサイクル法の中に「リサイクルは製紙原料プラス燃料化」と書いてありますので、燃料化されても間違いではないと解釈されると、本当に私どもは混乱してしまいます。ですので、ぜひ何かよい方法を考えていただきたいと思います。

【郡嶌座長】ありがとうございました。ほかに何かありますか。それでは、崎田委員どうぞ。手短にお願いしたいと思います。

【崎田委員(ジャーナリスト・環境カウンセラー)】別の点ですけれども、いまの長いご活動の中でのお話を伺いまして、最後のレジ袋のアンケートについてですけれども、やはりリサイクルすればするほど企業も自治体も大変ということで、もっとすべてがWIN・WINの関係になるように、消費者自身も発生抑制の生活のライフスタイルを調える、というようなご提案だと受け止めました。
 実は先日、8都県市自治体の清掃ご担当者と、消費者の代表委員何名かと、産廃業者の方と、半年ぐらい、何か容器包装の発生抑制に関して具体的な動きができないかという話し合いを随分しまして、最近やはりレジ袋の有料化ということをきちんとご提案していって、実現するというのも1つ大事なことではないかという報告をまとめたばかりなのです。ぜひそういうことをきちんと、いろいろなところで発信していって、ぜひリサイクルをきちんとしていただきたいと思います。それだけではなく、市民も、事業者も、販売店の皆さんも、発生抑制を実現するような社会を、こういうときをきっかけに広げていけたらと思いますので、同じ消費者として頑張っていきたいと思いますので、一応発言させていただきました。よろしくお願いいたします。

【間瀬】ありがとうございました。

【郡嶌座長】森委員、最後に。

【森委員(東洋製罐(株)資材・環境本部環境部長)】先ほどご説明いただいた、資料でいうと5.のところに、いろいろと年度別の資源回収量ということで表が載っていて、この分類が紙・プラ・びんと3分類になっています。あと、例えばPETボトルだ、缶だということも随分頑張って集めていただいているようなのですが、数字的にはどこへ行ってしまったのでしょうか。
 あと、ここで集められたものは基本的に全部有価で販売されているものかどうかということ、その2つをお願いいたします。

【間瀬】すみません、データ的にはずっとたくさん持っているものですから、細かく載せたいのですが、PETボトル等はプラに入れています。びんはこれで全部入っています。290,465tが15年度の回収量でしたので、入れています。
 それから、新聞等について、この回収量に対して市のほうから7円/kgの奨励金をいただいています。それで運営しています。それから、容器包装関係のものは市のネットとかボックスをお借りしているものですから、その分についてはいただいていません。紙類のみの量に7円をかけたものです。

【森委員】ほかのものは売れていないということですか。紙だけの補助金で運営されているということですか。

【間瀬】はい、これはその場で持っていくのが山春商店が、前は逆有償という形で、それも市のほうから負担していただいていましたが、いまはそちらからも売上金をいただき、それプラス奨励金です。

【森委員】はい、わかりました。

【郡嶌座長】生活学校からのお話、間瀬委員、どうもありがとうございました。
 それでは最後になりましたけれども、びん再使用ネットワークよりお話をいただきたいと思います。事務局の山本様、よろしくお願いいたします。

【山本(びん再使用ネットワーク)】本日は大変貴重な機会を賜りまして、ありがとうございます。

 きょうは私たちの実践している、リユースの実践の報告が1つ目、2つ目は廃棄物会計という市民発案の調査手法の提案。最後に、容器包装リサイクル法の見直しに向けた意見という形で、提案をさせていただきたいと思います。

 私たちは、1994年にごみ問題を解決しよう、リターナブル、リユースを積極的に採用しようという生協が集まって発足しました。仕組みとしては、配達時に空になったリターナブルびんを回収するという、逆流通のシステムを採用しています。さらには、複数のびんをできるだけ少なくなるように規格を統一する、形を統一するという形で、可能な限り効率化を追及してきました。現在「Rびん」を、1,000mlから200mlまで、おおむね7~8種類程度使用しています。
 びん回収ネットワークの会員生協全体では、年間1,500万本使用し、回収本数は約1,000万本、重量の回収率でおおむね76%の回収をしています。
 これにより、年間約2億円の自治体の収集費用を節約し、地球を温暖化するCO2を約3,130t削減してきました。これは毎年削減しているわけですが、リサイクルするガラスびんと比べた場合の比較のデータです。
 さらには、そういう形を統一したRびんではありませんが、会員生協が独自にリユースをしている牛乳びんについては、年間で約4,000万本供給し、ほぼ99%を回収しています。

 会員生協は生活クラブ連合会、東都生協、首都圏コープ事業連合が東日本中心で、西日本ではグリーンコープ連合、さらに生協連合会きらりが関西のほうで参加し、新たに新潟県総合生協が参加して、北海道から九州まで、現在150万人の組合員がこのリユースの活動に参加しています。
 リユースするびんは、日本ガラスびん協会さんのほうで認定されたRマークの刻印されたびんを基本にしています。

 次が実績ですけれども、びん再使用ネットワークができた1994年当時は、なかなか回収率のほうも厳しい数字ではありましたが、これは切り替える段階でしたので、徐々に伸びまして、3年から5年ぐらい経ってくるとおおむね高い回収率まで到達してきています。
 現行法でも「自主回収認定」という規定がありますけれども、やはりリターナブルびんを最初に導入したときは大変です。消費者や組合員へのPRも必要ですし、あるいは回収用のコンテナを独自に購入したり、費用もかかります。ですから、自主回収認定の運用についても、やはり導入初期については回収率60%程度から認めるといったような、段階的な運用をぜひしていただきたいと考えています。

 リユースを実践する中での課題として、審議委員の皆さんもそうだと思いますが、かつてのリターナブルびんというのは、やはりガラスは重くて割れやすいといったイメージがあったと思います。この課題を、私たちは何とか解決したいということで、ガラスびんメーカーさんの協力をいただきまして、軽量強化したリターナブルびんというものを開発しました。

 それが、きょうお手元でごらんいただいている500mlのRびんになります。約40%軽量化できているのですが、男性の方はぜひ左手で持っていただきたいと思います。やはり握力があるものですから、あまり軽さを感じられない。女性の方には、とりわけ軽くなったということが実感していただけるのではないかと思います。
 このびんは、ガラスびんの表面をウレタンというプラスチックでコーティングすることによって、これまでのびんとは違う、画期的なびんとすることができました。これまでのびんは、1本320g。新しく軽量強化したびんは、195gです。ライフサイクルアセスメント、ガラスびんのLCAプログラムで評価していただいた数字では、CO2についても25%削減できるという結果が出ております。
 私たちはこのびんを2001年度から実際に供給して使い始めたのですけれども、実際に使ってみると、びんを洗ったあとにびん商さんがきちんと検びんして、欠けたり、ひびが入ったりしたものを排除するのですが、そのときのロス率が2.6%から0.25%まで、約1/10まで低減していることがわかりました。これは、びんを使う側にとってはかなり大きな歩留まりの向上ではないかと考えています。
 こういったこれまでの重いびんではなくて、軽くて使いやすい、新しいリターナブルびん、進化したリターナブルびんが登場しておりますので、お荷物になって恐縮ですが、もしよろしければ本日このびんをお持ち帰りいただいて、周りの関心のある方にぜひ説明して、お知らせしていただければ大変幸いです。

 続きまして、私たちは廃棄物会計という調査手法を発案して、調査を進めてきました。廃棄物会計というのは、2000年12月にごみ問題の解決を目指す市民が「容器包装リサイクル法の改正を求めるごみ研究会」という任意団体をつくりまして、いろいろな学習会や検討会を進めてきました。この中で発案した手法なのですが、そもそもはリサイクルをしている容器包装について、実際に自治体が集めている費用がどのぐらいかかっているのだろうかと。なかなかそれが明らかになっていない。それを市民発案で明らかにしようということで始めたのですが、現在では単に容器包装のリサイクルだけではなくて、やはり地域住民がまちのごみ問題をどうやって解決していこうか、ごみゼロ社会をどうやってつくるのか、そういったことを行政、市民、自治体議員が協同して一緒に話し合うための共通ツールになるということを目指しております。
 調査については、2002年3月から始めましたが、2003年度からはびん再使用ネットワークがとりまとめを引き継ぐという形で進めています。

 こちらは昨年1月に総務省の「容器包装のリサイクルの促進に関する政策評価書」の資料として添付されているものですが、リターナブルびん使用の場合のリユースのコスト、生協の場合には1本30円のリユースコストがかかっています。この費用は、びん利用メーカーが最初に負担して、製品の価格に上乗せされて、最終的に消費者が負担するという、受益者負担のシステムを構築しています。

 一方、ワンウェイで使い捨てされるガラスびんの場合には、本当は消費者が自治体のごみステーションに出して、リサイクルセンターで処理されて、等々の大きな循環の輪を描いて処理されるのですが、びんを利用しているメーカーさんはリターナブルよりも安い、1本25円程度の費用でびんを買うことができています。ところが、この輪が成り立つためには、この赤枠の部分が本当にいくらかかっているのか、これはたまたま名古屋市さんの平成12年度の単価で計算した数値ですけれども、この費用を加えれば、リサイクルされている容器は25円+15.6円、約40円のコストがかかっているわけです。ところが、リユースの場合には自己負担で1本30円の費用を負担している。これはどう考えても、やはりリユースを冷遇している、リサイクルを優先しているとしか思えません。廃棄物会計調査のそもそもの出発点は、このような名古屋市さんだけではなく日本全体の、現在およそ3,300あると言われている自治体の収集費用を明らかにしようということでスタートしたわけです。

 私たちのワークシートのトップページには3つの項目があって、1つは「資源化率は何%ですか」、2番目は「自治体の収集している資源化のための単価はいくらですか」、もう1つは「容器包装リサイクル法の対象容器の自治体の負担割合は何%になりますか」。この3つの数字を明らかにすることが目的だったのですが、実際にこれまでなかったものを市民発案で進めたものですから、始めてみてようやくわかった、スタートしてみて初めてわかったいろいろな課題がありました。
 例えば、管理職員の人件費とか、広報費といった間接費をどうやって案分するか。範囲をどこで区切るのか。あるいは、施設や車両の減価償却といった考え方が、これまでの自治体会計の中にはないこと。さらには、混合収集している場合には、単純に重量案分すると実際にかかっている費用を表していないのではないか。とりわけ、比重の重いもの、軽いものを一緒に集めている場合には、やはり比重の重いものがどちらかというと割増の単価になって数字が出てくる。そういったいろいろな課題を、3年間継続する中で少しずつ解決して、本年はワークシートを標準化するということを実現することができました。

 こちらの図が、今年のワークシートの特徴ですけれども、1番目の「物流構造」というのが、これまで多くの自治体で管理されていた重さ、重量での管理の仕方です。続いて2番目の「行政の体制」ということで、どういう主体で集めているのかということを記入していただいて、ここに新しく車両体制という考え方を1つ取り入れています。さらに3番目として「ごみ&資源化費用の計算」、ここで最初にお金の計算というのが出てくるのですが、ここの計算でも実際に自治体がいま使われている決算書の数値に基づいて、順次記入をしていただくといった記入しやすいワークシートに改善しています。
 こういった数字を順番に記入していって、最後にトップページの資源化率、単価、負担割合といったものが自動で計算されるようになっています。

 まだまだ分析途中なのですが、今年の速報数値としては、都道府県ごとで出ていますけれども、関東地方を中心に、北海道から兵庫まで144の自治体から協力をいただいています。中心になっているのは、人口10~50万人、いわゆる中核都市の自治体の方が多くなっています。ですから、大規模自治体や小規模自治体の数字に特に大きく引っ張られるといったことは回避されているのではないかと考えています。

 これら協力いただいた自治体のデータから、トップ3の最初の項目を分析したところ、資源化率は21.7%。資源化単価が4万9296円。自治体の負担割合が82.4%。事業者の負担割合が17.6%という数字になっています。
 特徴としては、これまでは自治体の負担割合は7対3と言われることが多かったのですけれども、私たちの今回の調査では8対2という数字になっています。これは、必要な計算を容易化し、方法を統一したことなどによって、精度が上がってきているということも要因として考えられるのではないかと思っています。
 次に、処理費の総額に占める容器包装のリサイクル費用ですけれども、これは105の自治体で試算したものです。全人口で約2,000万人、ここの自治体のごみや資源の総処理費用が約3,000億円になっています。ただし、設備投資については減価償却の扱いを済ませたものですので、実際にその年に支出した数字とは若干異なっています。
 同じように、減価償却を踏まえた容器包装リサイクル法対象品目の収集費用は、約300億円となっています。
 この105自治体から見ると、ごみ処理費用3,000億円のうち、容器包装のリサイクルのためにはその1/10、10%程度がリサイクルの収集費用としてかかっていることがわかりました。これは、過去これまでの調査結果とおおむね同じような傾向になっています。ですから、こういった数値で自治体の、例えばごみ処理費用の総額の中から、実際のリサイクル費用がいくらかかっているのか、自治体のほうでなかなか計算できないような場合に、市民が判断するには処理費用総額の10%程度が容器包装のリサイクルのためにかかっている。そんな試算のために使うこともできるのではないかと思っています。
 最後に、市民1人当たりに換算した場合ですけれども、この場合は1人1600円程度が1年間にかかっているという数字になっています。

 続きまして、速報[3]ですけれども、品目別の資源化単価について、それぞれガラスびんの無色から、その他プラ、その他紙まで、平均を出してみました。ただ、平均値ではイレギュラーな数値に引っ張られることが多いですので、環境省さんの分析手法を参考にさせていただいて、上下25%ずつをカットして、その間の中央にある値で試算したものを中央値として、本日の資料で使わせていただいています。
 これを見ると、単純な平均よりもおおむね低減していて、傾向としても環境省さんのほうで発表されているものと似たような傾向の数値となっています。

 この中央値を使って、やはりトン当たり単価ではなかなか市民にはわかりにくいものですから、容器1本当たりでいくらになるかということを計算したのが、速報[4]になっています。
 容器別の1本当たりの収集費用を計算して、さらに2002年度の再商品化の委託単価を計算して、1本当たりの総リサイクル費用といったものを計算してみたのですが、中央値を採用した場合でも、これまでの容器包装別の1本当たりの費用と、若干低減はしていますが、傾向としては同じような数値となっています。

 こういった調査を、私たちは市民発案で、自治体のご担当者の協力をいただきながら進めてきたわけですけれども、「今後の容リ法見直しに向けて」ということですが、自治体の収集費用を明らかにするといったことも、1つの大きなポイントになっていますが、その場合に単に容器包装にとどまらないで、やはりごみの問題というのは地域、まちの問題ですので、ごみや資源に関するこういった自治体の貨幣、非貨幣の情報に基づいて、市民、行政(自治体)、議員が一緒になって話し合うことができる、そういう共通のデータになるような廃棄物会計の標準化を、ぜひ国のほうでしていただきたいと思います。
 その場合に、私たちがこれまで3年かかって廃棄物会計の手法を統一してきましたので、ぜひ廃棄物会計という手法もそのときの検討の1つに入れていただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後に「容器包装リサイクル法の見直しに向けた意見」ということで、6点ほど提案をさせていただきたいと思います。1つは、容器包装リサイクル法の上位法である循環型社会形成推進基本法に則って、やはりリサイクルよりもリデュース、リユースを優先するといったことを明確にしていただきたいと思います。この優先順位に則り、同時にリサイクルされている容器だけが得をするのではなくて、容器間の不公平を解消するためにも、リサイクルする容器についても事業者が収集費用を負担して、製品価格に含める。事業者と消費者の受益者負担という仕組みに転換していただきたい。
 そして、リターナブル容器がこれだけ衰退してしまった現状から鑑みれば、やはり国がリターナブル容器が望ましい品目を特定していって、みんなで目指す目標数値を定めていただきたい。
 さらには、消費者が優先してリターナブル容器に入った製品を買うように、消費者の環境マインドに変化が起こるような環境メッセージの表示といったものも制度化していただきたい。例えば、リターナブル容器に入ったものは、エコミシュランでいえば星が3つついていたり、リサイクルする容器には星が2つついていたり、リサイクルできないものには星がないとか、そういった消費者が商品を買うときにわかりやすい表示制度にしていただきたい。
 さらに、学校でも環境教育ということで、リサイクルだけを子供たちに伝えていくのではなくて、3R、リデュース、リユース、リサイクルの優先順位に則った環境教育をぜひしていただきたい。
 最後に、やはり中身メーカーさん、ボトラーさんが「環境によいからリターナブルびんを使いたい」と思ったとしても、残念ながら流通事業者、販売事業者の方が取り扱っていただけなければ、普及することができません。ですから、やはり回収には手間暇がかかりますから、この販売事業者の方に対して直接支援する、ここには「回収支援金」と書いてありますけれども、販売事業者の方が回収した本数に応じて、1本当たり何円といったような直接的な経済的手法によって、リターナブル容器を普及するような、そういうインセンティブを導入することを提案させていただきたいと思います。
 以上で、びん再使用ネットワークとして、私からの報告と提案はお終いにさせていただきますが、ここでぜひ審議員の皆さんにお願いがあります。
 それは、本日の参考資料としてつけさせていただいた、私どもの3枚の添付資料についてですが、びん再使用ネットワークも一団体として参加をして、容器包装リサイクル法を市民がどうやって本当にいい制度に改正したらよいのか。そういったことを考えてきました。その概要につきまして、資料としてつけさせていただいています。この参考資料につきましても、説明させていただく時間をいただきたいということを、ぜひお願いしたいと思います。

【郡嶌座長】はい、ありがとうございます。はい、松田さん。

【松田委員(生活環境評論家)】3年間かけて、廃棄物会計というもの、新しいものの考え方を、市民グループがよく頑張ってつくってくださったと思って、いまお話を聞きながら感動していました。そして、そのデータの正確な数値の出し方にも感動していまして、心から感謝申しあげたいと思います。
 山本さんは、このびん再使用ネットワークの事務局でもいらっしゃいますけれども、びんの容器包装を改正する全国ネットワーク事務局のメンバーでもあると伺っています。皆さんが生協としてご提案なさっていることと、100万人の方たちが熱い思いを込めて、きょうも会場にいらっしゃっていると思うのですが、その方たちがとりまとめた「案」というものの中に、差があるかどうかを含めまして、私もぜひ100万人の方たちのメッセージをここで聞かせていただきたいと思いますので、事務局の方、よろしいでしょうか。

【郡嶌座長】まず意見をいただいて、そのあと5分ほどご説明をいただくという形にさせていただきたいと思いますので。ほかにご意見はありませんか。はい、木野委員。

【木野委員(ビール酒造組合容器環境問題担当部会委員)】10年以上にわたるリターナブルに対するさまざまなお取り組み、本当に感心してお伺いしました。私どもビール業界でも、長年リターナブルをやっているのですけれども、残念ながらリターナブルびんがいま全体の18%なのです。業務用市場で大体3割、その半分がびんと考えると、家庭用でいま3%ぐらいがリターナブルびんで動いている。残念ながら、いわゆる長年のライフスタイルの変化の中で、ここまで来てしまったと。
 リターナブルをどう優遇していくかというときに、いわゆるLCAで言う20回転というようなもの、世の中のものがすべて20回転するとはなかなか考えづらくて、どういう領域のものがリターナブルにいちばんふさわしいのか。そういう領域をどう見つけていくかということが大切ではないかと思います。
 そういった中で、いろいろ商品でも、いわゆる消費のときのサイクルがありますね。その場で飲んでしまうもの、ある程度の期間をかけて使用するものといったときに、びん再使用ネットワークさんで、いま生協で展開されている7~8種類、どういう領域のものであればそういうことが比較的可能なのかなという、その辺の考え方をお伺いできたらと思います。

【山本】これまでの経過から言いますと、日本では醤油とか酢とか、昔からメーカーさんが自前で繰り返しリユースをされていましたので、そもそもは醤油とか酢とか、メーカーさんが前から持っていた仕組みを生かすという形で始まっています。
 そのあとは、ジュースとかソース、みりん、家庭の調味料にも広げてきていますし、現在では料理酒とか、お酒関係でも増やしてきています。さらには、生協独自で最も消費の早い牛乳についても、紙パックからびんへという取り組みをしています。ただ、紙パックから牛乳びんへというのは、設備投資のほうがなかなか大変ですので、これについてはやはり大きな取り組みが必要になりますので、それぞれの生協での判断となっています。
 今後は、私たちの中で進んでいないのはお酒関係で、Rびんの利用がまだまだ少ない分野ですので、今後はお酒とかワイン、料理酒とか、そういったところにもどんどん広げていきたいと考えています。

【郡嶌座長】崎田委員、どうぞ。

【崎田委員】私もこういうリターナブルびんが、もっときちんと定着していったほうがよいと普段から思っていますので、この取り組みは大変すばらしいと思って伺っていました。
 いまの発表では、例えば回収率の導入初期の90%を60%程度にということと、実際に回収の支援金制度というようなご提案がありまして、こういう具体的なことが出てきて、大変よかったなと感じています。
 もう1点、いまのご質問では、リターナブルに適した商品の領域があるのではないかというお話だったのですが、もう1つ、そちらは宅配システム、いわゆる生協はみんなそうですが、例えばもっと一般のスーパーやコンビニさんなども、いまは高齢の方への宅配サービスなどもできていますので、そういう社会全体にもう1回、流通に関しての宅配とか、そういうことを戻しながら、お店から買って、もう1回お店に戻していくというようなことが再定着していけばよいのではないかという感じもしますが、そのような、少し場を広げるということに関してはどのようにお考えか、伺いたいと思います。

【山本】ぜひそういう取り組みが広がっていただきたいと思います。
 最初の、リターナブル容器にふさわしいものとそうでないものがあるというのは、確かにあるのではないかと思います。先ほど木野さんからありましたとおり、ライフサイクルアセスメントの評価でも、あまり長距離だと環境負荷の低減効果が薄れていくということがありますので、国連大学副学長の安井先生が調査されたときには、大体700km程度と報告されています。
 そうすると、日本全体で見ても2つか3つぐらいのエリアで考えて、日本に1つしか製造工場がないのに、そこの生産されているものを日本全体で無理やりリユースするのはちょっとどうなのか、ということはあります。ただ,私たちの生協は地産地消という形で、できるだけ地域に密着した生産・消費を進めていますので、そういったものはやはり繰り返し使える容器にどんどん転換をしていって、進めていきたいと思います。
 さらには、それを社会に広めていくための仕組みとして、先ほどの回収支援金というのは、やはりお店で販売をして、消費者にびんを返してもらう、そのインセンティブをどうしても与えなければいけませんので、その場合にはやはりデポジットが有効です。ですから、1本当たり30円とか、デポジットをかけて店頭販売をして、お店に返してもらう。
 しかし、そうするとリターナブルの容器だけが割高になってしまう。ワンウェイの容器は変わらないのに、リターナブルだけデポジットがかかって割高になってしまう。それは経済的に不利ですから、デポジットをかけても割高にならないように、1本当たり30円程度の回収支援金を直接支援していただければ、リユースが普及するのではないか。同時に、回収も促進するのではないかと考えています。

【郡嶌座長】最後に。どうぞ。

【新宮委員((財)日本容器包装リサイクル協会専務理事)】6生協のリターナブルびんに対するご努力について、まず賛意を表したいと思います。
 これまで、リターナブルびんはライフスタイルの変化とか、生活基盤の変更等で、ジリ貧傾向に陥っていましたが、こうしてリユースを6生協できっちり取り組まれているということを聞いて、感激しています。そうした中で、2点ほど教えていただきたいことがあります。
 まず1点目は、先ほども若干触れられていましたけれども、リターナブルのびんシステム、いわゆるリユースシステムの存立する基盤条件としては、どういったものがあるのか。これについて、わかっている範囲で教えてください。
 2番目に、先ほどの資料によりますと、回収率が76%ということになっていますけれども、これは年間トータルなのか、1回当たりなのか、ちょっとつかめないのですけれども、もしも1回当たりで76%の回収ですと、2回使えば57%に回収が落ちますし、5回リユースすれば25%ぐらいに落ちてしまうわけですね。いずれにしろ、回収率を上げていかなければこのシステムは存続しないと思うのですが、回収率アップについて、現状までで6生協さんでどのような取り組みをされたのか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山本】最初のほうの成立システムとしては、かつては日本ではリターナブル容器が当たり前にありましたので、いろいろな条件で成立するんだと思います。ただし現在では、容器包装リサイクル法のもとでは、リサイクルする容器は税金で収集されていますので、リターナブルは逆優遇されています。これを受益者負担に改正しないと、リターナブル普及にはなかなか難しいのではないかと思っています。
 その上で、さらにこれだけ減ってしまった中から増やしていくためには、経済的な手法を導入して、インセンティブを与える。消費者の環境意識も変えていく。その出発点としては、やはり私たち生協のような宅配型流通の中では、配達のときに必ず空きビンを回収することが十分可能ですので、まずはそこから増やしていく。そういったところから、まず初めに取り組みができるのではないかと思います。
 次に年間の回収実績ですけれども、これは年間の供給本数に対して年間の回収本数を割ったものですので、年間実績になっています。ですから、大体80%前後ですので、容器としては5回程度使い回していると、全体では考えられると思います。

【郡嶌座長】ありがとうございます。ここで5分ほど延長させていただいて、先ほどお申し出がありました参考資料について、ご説明を手短に、よろしくお願いしたいと思います。

【山本】お忙しいところを、大変貴重な時間をいただきありがとうございます。この参考資料につきましては、私たちびん再使用ネットワークの会員生協である生活クラブ連合会の中村から、ぜひ説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【中村(生活クラブ連合会)】お時間をいただき、どうもありがとうございました。
 全国ネットワークの改正市民案ということで、今週まとまったばかりで、概要という形で、時間は短いのですが、ご報告をさせていただきます。
 まず、いちばんポイントとなる点です。[1]リサイクル収集も事業者が行いましょうということで、先ほど報告がありましたように、全体のリサイクル費用の8割がいわゆる自治体負担、税金負担という形になっています。このような形ですと、どうしても使い捨てという構造が変わらないのではないかというのが、市民のいちばん大きな思いです。ですから、収集も事業者が行うということにしましょうと。
 では事業者はと言いますと、それは現在の法律にある特定事業者が該当しています。それは、やはり商品を設計する人がこういったところを分担するのがいちばんふさわしい、3Rのメッセージがいちばん伝わると考えています。
 2つ目、ではどれだけ収集すればよいのかということについてですが、これは国が販売量に対して収集義務率を定めましょうということです。収集義務率は、最初はいまの収集量を基準にして、将来徐々に上げていきましょうということです。
 次に、では収集するにはいくらで委託すればよいのかについてですが、やはり国がある程度目安を出す必要があるのではないかということで、先ほど報告にありましたように、廃棄物会計ですね。リサイクル収集にいくらかかっているのかという標準的な費用を国が精査して、出していくということが必要になろうかと思います。
 次に2ページですが、[2]これまでの自治体の収集はどうなりますかということですが、今度は指定法人からの委託事業に変わっていこうという形になります。指定法人は、自治体か民間業者に収集を委託するという形になりますが、いきなりそういった仕組みに変わるのは非常に困難と予想されますので、まずはいま自治体がやっているものを受託事業にするというところから出発して、将来的に民間に移行することにしていきましょうと。それはなぜかと言いますと、収集を効率的に、低コストでやっていきたいのだということです。現在、大きな自治体、小さな自治体がありますけれども、小さな自治体の中では、自治体の小さな枠の中で効率よく収集できない。ないしは選別施設、ないしは保管施設、こういったものを自治体単位で用意しなければいけないということになりますと、効率がどうしても図れないということになります。それと、収集と再商品化を一貫して事業者が請け負うことによって、効率を上げられる、ないしは委託単価を下げられるだろうということが想定されます。ですから、自治体は指定法人と協力をして、効率的な収集体制をつくっていく形にしていきましょうということです。
 それと[4]ですけれども、排出区分を統一しましょうということです。排出区分は,自治体によって非常にまちまちです。職場と自宅では違います。電車に乗って少し移動しただけで、排出区分が全く違って、どうやってリサイクル収集に出してよいかわからないということがあります。これでは、いったい市民がどのように協力したら環境によいのかわからないわけです。先ほど、生活学校の方からも報告がありましたけれども、わかりやすいと同時に、どこへ行っても大体統一されている排出区分を国が定めていくことが必要ではないかと思います。
 それとプラスチックですが、いまプラスチックとその他プラスチックという形で、同じ識別表示をしていますけれども、プラスチックの中でもきちんとよい品質でリサイクルできるもの、ないしは、そうではなくて、ケミカルリサイクル等といったものがあります。そこは区分をして、品質よくリサイクルできるマテリアルリサイクルとそうではないものを区分することがよいのではないでしょうか。
 それと、市民感覚に合った排出区分にしましょう。先ほどの有料レジ袋、有料ならば対象外ということは、市民には非常にわかりづらいということ。それとクリーニングの袋、こういったものを含めて、市民感覚に合った排出区分にしましょうと。
 そして、識別表示です。消費者がパッケージの識別表示を見て、どうやってリサイクルの排出区分で出したらよいのかということがわかるようにしましょうということも、国が指導してやっていく必要があるのではないかということです。
 それと、環境表示です。消費者がどういう容器を選ぶこと、選択することが環境によいのかということが、パッケージを見てわかること。これが非常に大切だと思います。ですから「リターナブル容器は環境に非常にいいんですよ」ということを表示する、ないしは、リサイクルにあまり適していない容器、例えば緑色のガラスとか複合素材といったものはリサイクルに不向きなのですから、もう少しリサイクルのよいものにしましょうということが、パッケージに書いてあるということが必要になろうかと思います。
 それと、環境のメッセージです。「消費者の方がこの容器をリサイクルに出せば環境にいいんですよ」ということをパッケージに書いていただく。こういったことを制度化することが、よいのではないかということです。
 3ページの[5]、リターナブル普及は、やはり販売事業者がいちばんポイントになろうかと思います。特に販売事業者の方は、リターナブル容器を扱う場合に、デポジットをかけて販売するという形になります。そうすると、どうしても商品価格が上がる。「だから難しいんだよね」という声が聞かれます。ですから、そういったことについては直接的な回収支援金を出して、デポジットをかけても値上がりしないような仕組みが、非常にポイントになってくるだろうと考えています。
 それと、先ほどのリターナブル容器は望ましいものを国が指定をして、目標率を定めることが必要かなと思います。
 [6]に、発生抑制のための3R負担金ということで、リユースの目標率が達成できないものについては、やはり少し負担をしていただきましょう。そして、リターナブルを普及させるためにお金を使いましょうということ。
 それと、リサイクルに不向きな容器は、やはり負担を高くしていただくことが必要になろうかと思います。ないしは、いまは全くリサイクルできないもので、再商品化の義務からも免除されている容器があります。これについては、やはりきちんと負担金を出していただいて、そういった3Rに協力いただくことが必要ではないかと。そういった負担金は、リターナブル容器の普及に充てましょう。
 最後ですけれども、[7]3Rの基本的理念、情報開示といったことをきちんとしていくということで、事業者、自治体、国がそれぞれ役割分担をして、消費者にわかりやすい、どのように努力すればよいのかということがわかりやすい、メッセージが伝わる。こういった情報開示をしていきましょうというのが内容になります。
 お時間をいただき、どうもありがとうございました。

【郡嶌座長】どうもありがとうございました。以上でヒアリングを終わりたいと思います。いま一度、発表者の皆様方のご協力に対しまして、拍手をしていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 それでは次に、事務局から今後の進め方についてのご説明をお願いしたいと思います。

【井内リサイクルに推進課長】今回まで、合計6回のヒアリングということで、関係者の皆様方におかれましては多大なご協力をいただきまして、まことにありがとうございました。
 郡嶌座長、花嶋部会長及び両事務局で相談した結果、今後は来年1月下旬を目途に日程調整をしまして、合同で論点整理を行い、その後、それぞれの審議会で精力的に数回のご審議をいただきまして、またその結果を持ち寄って、再度合同でご審議いただくということを、当面考えていきたいと思っています。
 なお、正式な通知につきましては、認定調節をさせていただいた上で、改めて事務局から連絡させていただきます。一応、来年の1月下旬頃ということで、日程調整をしたいと思っています。

【郡嶌座長】ありがとうございます。その他、事務局から何かありますか。
 なければ、本日の合同の会合をこれで終了したいと思います。続いて、第2部として産業構造審議会の容器包装ワーキンググループを始めたいと思いますけれども、時間がちょっと遅れました関係で、14時30分から開催したいと思いますので、産業構造審議会の委員の方は、時間になりましたらまたお席に戻られますよう、よろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。これにて合同の会合を終了させていただきたいと思います。


--終了--