瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第5回)会議録


1.日 時 平成12年6月7日(水)13:00〜15:06

2.場 所 キャッスル(イイノビル 9階)

3.出席者

(1)委 員
   安 部   彪       大 西   淳
   川 野 田實夫     白 木 江都子
   須 藤 隆 一      谷 野   陽
   中 西   弘       西 村 美代子
   藤 原 知 明     松 井 大 悟
   村 岡 浩 爾     森   仁 美
   梁 瀬 度 子     渡 邊   直

(2)環境庁
   遠藤水質保全局長
   長尾企画課長
   浅野瀬戸内海環境保全室長
   齊藤総量規制室長
   小野寺自然保護局計画課長

4.議 事

(1)一般からの現地意見聴取及び意見の募集結果について
(2)基本計画の変更についての審議
(3)その他

5.配付資料

  瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第5回)議事次第
  瀬戸内海環境保全審議会計画部会委員名簿
資料1 一般からの現地意見聴取
資料2 提出された一般意見
資料3 瀬戸内海環境保全審議会計画部会の今後の審議の進め方(案)
資料4 計画部会等におけるこれまでの主な審議等について
参考資料1 瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について
  −瀬戸内海環境保全審議会答申−
参考資料2 関係法令等

議 事

事務局:定刻になりましたので、ただいまから瀬戸内海環境保全審議会の第5回計画部会を開催させていただきたいと思います。
 (部会成立の報告)
 また、これまでどおり本日の会議は公開で行われておりまして、一般の方10名のほか、マスコミ関係の方々にも傍聴いただいているところでございます。
 また、本日は会場の方は多少延長は可能ではございますけれども、一応3時までということで審議会のご案内をしておりますので、ご協力方、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは初めに、遠藤水質保全局長よりごごあいさつ申し上げます。
 遠藤水質保全局長:どうも本日はお忙しい中、第5回のこの計画部会の開催にご出席になりまして大変ありがとうございました。
 私、過去かなり詳細な論議をしていただいている間でございましたけれども、 国会開会でございましたのでなかなか議論に参加できないことがございました。
 しかし、この国会におきまして非常に画期的な法案が成立したということをまずご報告申し上げたいと思います。
 それはやはり今、大きい問題といたしましてごみ問題があるわけでございますけれども、それにつきましてごみは出さない、出たごみは資源として利用する、そして資源として利用できないどうしようもないものについてのみ適性処分するという考え方をベースといたしまして施策の優先順位とか、あるいは排出先によってきちんと強化するとか、あるいは製造段階からいろいろごみ問題について生産者も責任を持っていく拡大生産者責任という考え方を導入するとか、あるいは廃棄物とリサイクルを一体的に推進するための計画制度を導入するとかといいました循環型社会形成推進基本法というものの成立を図ることができました。
 これと一体的に廃棄物処理法の改正を行いまして、排出抑制を進めるために大量の廃棄物を出す方には計画を義務づけて抑制をしていただくとか、あるいは不適性処理、不法投棄につきまして現状回復のための要件を厳しくしていくとか等々の中身の措置を講じております。
 さらに、再生資源利用促進法といういわゆるリサイクル法のベースになるものでございますけれども、これにつきましても単なるリサイクルだけではなくて発生抑制、さらには再使用、いわゆるリデュース、リユースも含めましてリサイクルという1Rから3Rに転換すると、こういうことの内容の法律も改正成立させていただいております。そして、その中でいろいろと拡大生産者責任の具体化を図っております。
 それに加えまして不法投棄等、あるいは廃棄物の大量埋め立ての大きな要因となっております建設廃棄物につきましては、今後、昭和30年代、40年代にできた建物がどんどん更新期を迎えるという時期にありまして、これを分別解体していただきましてアスファルト・コンクリート・木材にそれぞれ分けて解体していただきまして資源利用を進める。
 あるいは食品廃棄を、これは年間2,000万トン出ておりますけれども、そのうち業務用で出ておりますのが1,000万トン弱でございます。それも肥料とか飼料に再資源化しようと、こういうふうな法案化も図られました。
 さらに、再生品につきまして、これを積極的に公的セクターが購入していこうというグリーン購入法というものも需要拡大という点で整理させていただきました。そういう形で環境法制の整備、そしてそれを政府一丸となって対応していくという一つのステップがここで大きく踏み出されたということをご報告申し上げておきたいと思います。
 本日でございますけれども、今まで一般の方々から現地で意見を伺った点、あるいは今までこの計画部会においていろいろご審議いただいた点を踏まえまして、今後どういうふうなスケジュールで、どういうふうに論議していっていただくか等を中心に、いよいよ大詰めの論議を賜れればと考えておる次第でございます。非常に時間は限られておりますけれども、本日もよろしくお願い申し上げます。

事務局:ありがとうございました。
 (配付資料の確認後、議事に移る)
 議事進行は中西部会長の方にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

部会長:それでは、議事に移らせていただきます。よろしくお願いします。

 本日は、4月18日に岡山市で開かれました一般から現地意見聴取とあわせて行いました郵便やファックス等によって提出されました一般意見について、事務局から報告をしていただいた後に、これまで本計画部会で行われました審議、関係機関からの意見聴取も踏まえて、瀬戸内海環境保全基本計画の変更について審議をしていきたいと思います。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事1の一般からの現地意見聴取及び意見募集の結果について事務局から説明をお願いいたします。

事務局:それでは、座ったまま失礼させていただきます。まず、資料1をごらんになっていただきたいと思いますが、これは4月18日に岡山市で行われました一般からの現地意見聴取の結果につきまして簡単にまとめたものでございます。こちらの方には多くの委員にご出席いただきましたし、また資料等も事前に送ってございますので、ごく簡単にご説明申し上げたいと思います。
 まず意見発表者は、13名の一般公募からの応募がございましたけれども、11名の方に実際に発表していただいております。ここに事務局の方でその発表の内容、また主な質疑応答等を簡単にまとめたものでございますのでご説明いたしたいと思います。
 まず、1ページから3ページにかけまして4名の方につきましては、主に埋立て関連ということでご意見発表がございました。最初のお二方は玉島商工会議所環境問題委員長と海運会社の方でございますが、これは埋立ての推進も環境の保全を図りつつお願いしたいと、このようなご意見だと思います。
 2ページにまいりまして、香川大学の門谷先生からは浅い海は生物生産性が非常に高く、この生態学的な価値を認識することが必要と。自然海岸の保全について、これを重点的に取り組む必要があると、こういったお話がございました。
 また3ページにまいりまして、環瀬戸内海会議代表の阿部悦子さんの方からはいろいろな点がございましたけれども、埋立ては鳥類に影響を与えるですとか、残された貴重な自然を守る実効性のある規定を設けてほしい、こういったようなお話がございました。
 続きまして次の4名の方々は、海砂利採取関係につきましてご発言が主にございました。3ページ下の日本砂利協会会長の井上さんと、4ページ目にございます愛媛県の組合の菊川さんの方からは、この海砂利については大阪以西では海砂利に骨材というものを依存している中で、業者としてもこの環境と共存する採取を心掛けていると。また愛媛県の調査では海の環境にはほとんど影響を与えていず、数年たてば復元が図られると。またイカナゴ等の減少の原因は必ずしも砂利採取だけではないと、こういったお話がございました。
 また5ページにまいりまして、広島大学の松田先生からは、海砂採取の広島県が行った調査等につきまして紹介がございまして、広島県の調査では海砂採取を続けることは問題があると結論されたと、こういったようなお話がございました。
 また下の兵庫県の漁協の戸田さんからは、漁業の立場からはぜひとも海砂採取については禁止してほしいと、こういったようなお話しがございました。
 続きまして6ページにまいりまして、日本福祉大学の磯部先生からは幅広く、現港湾施設についてはリニューアルをすべきである、また今後破壊された地域をどう再生していくのがいいのか、いくべきであると、そういったものを盛り込むべきであると等々の多角的な意見をいただきました。
 また岡山県の福島さんからは王子アルカディア計画等についてご意見をいただきました。  また7ページにまいりまして、最後の瀬戸内海研究会議企画委員の上島先生からは、環境教育につきまして一つの地域を大事にしていくと、また指導者の育成や研究者の活用、国立公園の活用等が重要であると、こういったようなご意見をいただいたところでございます。  以上が、非常に簡単でございますけれども、4月18日に行われました現地意見聴取の内容を取りまとめたものでございます。
 その後に参考といたしまして、その会場で提出されました発表者からの意見の要旨ということでお配りしてございますので、お目通しいただければと思います。
 続きまして資料2をお願いしたいと思います。こちらの方が現地の意見聴取と同時期に、それにあわせまして一般の方々からも広く基本計画の変更につきまして意見を募集するということで、3月15日から4月21日までの期間に郵送・ファックス等によります意見聴取を受けておりまして、23件、23名の方々からご意見の提出があったところでございます。
 それを事務局の方で、非常にボリュームがございまして、その具体的な意見につきましてはこの資料2の後半の部分の方にコピーをまとめて添付してございますので、またお目通しいただきたいと思いますが、一応そちらの方は個人名は伏せた形でお出ししておりますが、団体名をお書きの方々につきましては団体名の方は残してといいますか、記入してお出ししているところでございます。その内容が大変ボリュームがございますので、その意見の概要につきまして事務局の方で意見の項目ごとにこの資料にということで取りまとめたものでございます。特に意見提出者の方々は事務局の方で個人・学識経験者、NGO・経済関係ということで、意見の最後の括弧書きの方に提出者の方を一応便宜的に分類しましてまとめたものでございます。
 以下、3の@の計画全般でございますが、まず全般にわたる意見といたしまして3点ほど意見がございまして、環境創造よりも保全型施策、規制の充実こそが大前提であると。また目標年次を明記すべきではないかと。また思想的な次元での考えを明らかにした上で現実的なプログラムを提示することが必要ではないかと、こういったようなご意見がございました。
 続きましてAの埋立てでございますけれども、初めの方はどちらかといいますと埋立てを抑制すべきというような意見でございますけれども、現在の計画及び基本方針の規定が甘くて埋立てに対する実効力が弱いのではないかと。それから、この埋立てについては全面禁止とすべきではないかという意見がございます。
 また2ページの方にまいりまして、特に藻場干潟の消滅を伴うような埋立ては禁止すべきではないかという意見がございました。また、岩国基地に関する意見もございます。また同様な意見でございますけれども、瀬戸内海沿岸では例外なくこれ以上の埋立ては厳に禁止すると、こういったものを基本計画で書くべきではないかという意見がございました。
 一方、最後のものでございますけれども、港湾整備につきましては地域産業の活性化等の観点から積極的に進めていただきたいと。港湾整備の必要性についても配慮いただきたいと、このような意見がございました。
 続きましてBでございますが、これは海砂利の採取関係でございますが、初めの2ページから3ページの途中までの7項目でございますけれども、これは経済関係、特に海砂利採取業者の方や建築関係の方もあったかと思いますけれども、特に愛媛県等を中心といたしましてほとんどの地区で建設用の資材として、骨材として海砂利に依存しており、この採取を禁止した場合には建設工事のコストアップにつながるものであると。また一方で代替材の確保のためにはやはりいろいろな問題があり、そのことが環境悪化にもつながる恐れがあると。またこの愛媛県等の地域については社会資本の整備が著しく現在でも遅れており、その整備に海砂利は欠かせないものであるといったような意見がございました。
 また3ページの方にまいりまして二つ目の意見でございますけれども、海砂の採取の影響についてはそれほどの大きな影響は余りないと。それよりも生活排水の影響の方が大きいのではないかと。また海砂採取に伴います濁りの問題がございますけれども、これが漁業に悪影響を及ぼすことはないと、こういったようなお話がございました。また、この海砂採取の適地は瀬戸内海の海底の3%程度であり、その採取によって瀬戸内海全体の環境が左右されるようなことはないのではないかと、こういったような意見がございました。
 続きまして、下の○でいきますと五つの○でございますが、こちらの方は採取を禁止の方向でというような意見でございまして、一度破壊された自然はもとに戻らないので禁止措置に取り組んでもらいたいと。またもっと厳しく規制すべき。また全面禁止にすべき、そういったような意見がございました。また、4ページにかけてでございますけれども、同じように海底の砂利採取は禁止すべき、こういったような意見をいただいたところでございます。
 続きまして4ページ目のCでございますが、ごみ・廃棄物関係についてですが、これは4点ほどございまして廃棄物の海面処分については基本計画から削除すべきではないかというような意見、また島嶼部などに最終処分場を導入しないという意見がございました。また、ごみ等の問題につきましては、回収したごみの処分について行政側の積極的な関与と、こういったような意見でございます。
 Dの水質等につきましては4点ほどございまして、溶存酸素についての言及がないというご意見、また透明度についても目標を定めるべきというご意見でございます。また、内湾性海域であるがゆえの留意点、また本来自然界には存在しない物質についての規制についてという意見がございました。
 つづきましてEでございますけれども、生態系の保全に関する意見ということで2点ほどございましたが、計画の範囲に生態系の保全と復元を定めるべきではないかという意見でございます。また、5ページにまいりまして、これも同様に計画の目標に生態系の保全と復元を追加したらどうかという意見でございます。
 それからFでございますが、漁業資源に関する意見ということが4点ほどございまして、漁業資源の視点からも沿岸地域における森林生態系の保全と回復、これは陸域の保全も重要だという意見だと思いますが、そういう意見がございました。また、有害な薬品の使用の禁止、底引き網漁の禁止というのもございました。
 それからGといたしまして、水辺のふれあいという観点から自然海浜の保全という点に限らず、親水性の向上を目標とした人工海浜の自然海浜への再生施策の推進というご意見がございました。
 それからHでございますが、体制や環境教育・情報提供等の意見につきまして、これは5点ほどご意見がございましたが、まず時代の変化とともに新しいコンセプトが必要ではないかと。それから事業を国等が実施する際には、都道府県の環境保全施策を所管する部局との調整を必要とすべきと。また情報につきましては、可能な限り公開すべきであると、こういう意見でございます。また6ページにかけましては、広報紙をもっと積極的に活用すべきだと。
 6ページの方にまいりまして、瀬戸内海の国立公園としての意義の認識とPRが必要であるという意見でございます。
 またIその他の意見としまして、これは直接、基本計画の変更の中身ということではございませんけれども、4点ほどございまして、財特法の活用ができるようにしたらどうかと。また、原子力発電所は瀬戸内海には無理であると。また、玉野市で公害問題が起きている。それからこれは「住民が見た瀬戸内海」という冊子をつくられている団体でございますけれども、それを委員の方にもぜひ見ていただきたいということで、ここでは目次を掲げてございますけれども、大変ボリュームがございまして、この目次の中身の冊子をご提出いただいております。ただ、こちらにつきましては、その後正式なものをご提出いただくということになっておったのですが、まだ校正前のものをいただいておりますので、これは後ほど参考までに皆さんに供覧してお目通しいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 また、意見の際に添付されておりました資料につきましても、あわせて供覧させていただきたいと思いますのでお目通しいただきたいと思います。
 資料1及び2につきましては以上でございます。

部会長:どうもありがとうございました。ただいまの資料1及び2の説明に対してご意見・ご質問がありましたらお願いいたします。
 一般からの現地意見と、それからメール、郵便、その他から提出された意見でございますか、何かご質問ございませんでしょうか。

委 員:これは私の意見というよりは事務局、あるいはほかの委員の先生方にちょっと教えていただきたいのですが、海砂利の問題なんですが、今の段階では代替品はいろいろと難しい問題があるんだということを、この前の岡山でも言われていたのですけれども、その見通しです。
 実は、私は昔から川の生物の研究をやっていまして、これは何十年も前のうろ覚えの話で申しわけないのですけれども、川で調査をやっているときに川の砂利をとるための濁りが物すごくて、これは何とかできないかというのを、県の人だったと思うんですが、そういう話をしたところ、なかなか無理なんだと、当時は私は海砂利についての認識が非常に甘かったものですから、砂利だったら川でとらなくても海にいっぱいあるじゃないかという話をしたのですが、たしかそのときに海砂利というのは塩分を完全にとるのは非常に難しくてなかなか使えないんだというような話を聞いた覚えがあるんですよね。
 現在では西日本では海砂利をほとんど使っていると、それで代替品は難しいということを今言われているのですけれども、本当にそうなんだろうかと、もっと集中して、もう海砂利はとれないということになったらば一生懸命、真剣になって代替品の開発というのをやるでしょうから、何とかなるのではないかと、比較的短い間に。そんな気もちょっとするわけですが、それについて何か、余りはっきりしたデータに基づいたものではなくてもいいですけれども、何か見通しなんかを持っておられる方がおられたらお聞きしたいのですが。

部会長:今のは一般意見ですね、資料1、2の一般意見についてのご質問として承っておりますので、先生のご意見は、次に基本計画の内容に入りますので、そのときにまた、ご意見を述べてもらいたいと思います。どうもありがとうございます。
 では、議事2の基本計画の変更についての審議に移ります。今後はこの答申に向けて計画部会委員の考え方を集約し、審議会総会への計画部会報告として取りまとめていく必要がございます。ご承知のように、これまで4回の計画部会と、ただいま報告がありました資料1、2に基づく一般からの現地意見聴取及び郵送などによる意見を募集して、その結果を報告していただいたわけでございます。これらを踏まえまして、これより海砂利採取、埋立てなど、基本計画の変更の主な事項について取りまとめていきたいと思いますが、まずその前に今後の審議のスケジュールを考慮しながらこれを取りまとめていきたいと思いますので、今後の審議の進め方についてお手元の資料3について事務局の説明お願いいたします。

事務局:それでは資料3をご覧なっていただきたいと思いますが、今後の審議の進め方ということで事務局の方で用意させていただきました資料でございます。
 まず初めに、当部会の方でスケジュールをお示ししておりまして、そのときは大体夏ぐらいまでに答申をいただければということで事務局としての考えをご説明申し上げておりましたが、多少作業が今もちょっと遅れぎみでございまして、現在では秋の初めぐらいまでに答申をいただければというスケジュールでお願いできればということでございます。
 具体的には今回6月7日の第5回でございますけれども、7月上旬、中旬に2回程度、具体的な計画案の変更をご審議いただきまして、7回目の計画部会で部会報告案をおまとめいただきまして、その後、また一般意見の募集等の手続がございまして、それを受けまして9月下旬の第8回の計画部会、ここで出されました一般意見に対する対応等を行いまして計画部会の報告をまとめていただきまして、10月上旬の総会をもって審議会としての答申をいただければと。また、その上で年内に正式にこの基本計画につきまして閣議決定までできればと、事務局としてはこのように考えておりますので、ご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

部会長:どうもありがとうございます。今後のスケジュールでございますが、今お示ししたようなところで今日の計画部会と、それから次回で大体素案というようなものをつくりまして、その次の7回目になりますが、このあたりで部会報告案を7月中旬にまとめたいというのが希望でございます。何かこれに関してご意見ございますか、スケジュールについて。  一応、スケジュールどおり行けないかもしれませんが、できるだけこのスケジュールに沿って努力したいと思いますが。よろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございます。
 では、次に基本計画の変更についての議論をいたします。それで、ちょっと順序を変えさせてもらいまして、資料4ですが、これは今までずっといろいろなところでしていただいた議論についての資料4を準備していただいておりますので、まずそれについての説明をお願いしたいと思います。

事務局:それでは資料4をお願いいたします。これは、これまでの主な審議等につきましてということで審議内容ですとか関係機関、一般からの意見聴取等につきまして、その主なものということで事務局で、非常に簡単ではございますけれども、まとめさせていただいたものでございます。
 大きくわけまして海砂利、それから埋立て、環境教育、それから最後の環境回復させる施策の展開ということで4点ほど大きな討議をいただくポイントではないかということでまとめさせていただいたものでございます。
 まず初めの海砂採取でございますけれども、これまでの議論のことでございますが、まず海砂利用の現況につきましては、主としてコンクリート用骨材に大量に使用されておりまして、特に西日本では地質的に海砂に依存せざるを得ず、また代替品はコストや安定供給などの問題がありまして海砂以外への移行は簡単ではないと、こういったような説明が関係機関等からございました。
 また、海砂の海域に与えます影響調査でございますけれども、環境庁の調査では推進の著しい増大等が確認されておりますが、生態系へ具体的にどのような影響があるかと、こういったところについては引き続き調査が必要だという形になっております。
 また、広島県等の調査におきましては、水深の増加や海底の礫化に加えまして、漁業資源への影響が懸念されると、こういったような報告が出ているということでございます。
 採取の規制に係る関係機関や一般の方々からの意見を簡単にまとめたものでございますけれども、まず早期に海砂利採取の全面禁止を目指し、暫定措置としても大幅な削減を目指すべきであると。また、漁業資源の保全の上からも採取を禁止すべきであると、こういったような意見がございます。また、この海砂採取の影響は県域を越えてあらわれるものであるので、府県レベルで対応が違うようなことは見直したらどうなのかという意見がございました。
 一方、愛媛県や砂利関係の業者の方々からの意見が主でございますけれども、愛媛県での採取海域での調査結果では海の環境にはほとんど影響を与えていないと。また、海砂利は重要な建設骨材であり、社会資本の整備にも役立っているんだと。また代替材がないことから採取禁止は業界等に限らず、地域の社会経済にも大きな影響を与えると、こういったようなご意見がございました。
 続きまして2ページをお願いしたいと思いますが、2といたしまして埋立てについてのこれまでの議論を簡単にまとめてございます。まず、埋立ての現状につきましては、これは前回の答申の際にもまとめられたものでございますけれども、瀬戸法の施行以降、年間の埋立ての免許件数は減少はしたものの、現在でも平均400〜500ヘクタールで推移してきていると。また累積する埋立て等により藻場、干潟等の減少を初めとして、瀬戸内海の環境は劣化する方向にあるということでございます。
 また現行の基本計画での記述でございますが、現行の計画では埋立てに関する基本方針が別途ございますが、これに沿って引き続き環境保全に十分配慮するということが現在の基本計画では書かれているわけでございますけれども、前回の答申にもございましたように埋立ての抑制ということで埋立てを抑制するための方策を幅広く検討することが必要であると、こういったことが答申にも盛り込まれておりますので、これは一番初めに申し上げたことでございますが、当初事務局の方では、現在はこのような基本計画の記述にはなっておりますけれども、今回の基本計画の見直しの中では答申も踏まえて埋立てに関してもう少し幅広い記述ができないかということでご説明した経緯がございますけれども、埋立ての現状も見た上で議論しましょうということになっているかと思います。
 また、埋立ての基本方針についてでございますが、この基本方針の方につきましてはまだ当審議会の方には諮問されていないわけでございますけれども、あわせてこの埋立てについての議論の中でいろいろご意見をいただいておりますが、現在の基本方針が策定された昭和49年当時は工場用地の造成のための埋立てがほとんどであって、現在とは埋立ての目的が違ってきていると。また、当時問題であった工場の排水、これにつきましてはその処理技術が当時と比べて現在は格段に向上してきていると、こういったような状況の変化があることを踏まえることが重要ではないかと。また、現在は浅海域の生態系の保全など、今後の埋立ての影響の評価の考え方が変わってきているのではないかといったようなご意見がございました。
 また、関係機関及び一般からの意見等につきましては、藻場、干潟など浅海域は生物生産性が非常に高いなど、その保全が図られることが必要であるという意見がございました。また、廃棄物につきまして特に意見がございまして、まず徹底的な減量化を陸域で行うものであって、最終処分場を安易に海域に持ってくるべきではないのではないかという意見がございました。
 また、今後とも産業や地域の発展、生活確保の上で港湾の整備、また最終処分場の確保からも埋立てはやはり必要であると。ただ、もちろんこの埋立てに当たっては環境保全に十分配慮は当然すべきことであると、こういったような意見にまとめられるのではないかと思います。
 続きまして3ページでございますが、これもご議論いただいた点でございますけれども、環境教育、環境学習でございまして、これは前回の答申の中でも触れられている事項でございまして、これを推進するということでは皆様は特にそのこと自体はご異議はないかと思いますけれども、中でも特にその際に留意する事項といたしましてどういったことがあるかということでご意見をいただいておりますが、地方の取り組みが画一化してきているので、地域独自の取り組みを展開をすることが必要ではないかと。そのためには活動の拠点と行政の支援が重要であると。また、環境の「健康」という意味での言葉が環境教育のキーワードにもなっていくのではないかという意見がございました。
 また4番目といたしまして、失われた良好な環境を回復させる施策の展開ということで、これはこの項目につきましては当部会の方では余り議論はいただいていないところでございますけれども、これも基本計画の変更に当たりましては重要な事項かと思いましたので、この機会にご意見をいただければと考えた次第でございます。
 特に、前回の答申の中でのこの施策に当たっての記述につきましては、ここに掲げてございますけれども、環境回復させる施策の展開につきましては、開発等に伴いかつての良好な環境が消失した地域を対象とすべきであると。また技術の選定に当たってはかつて存在した自然環境への配慮、自然の回復能力の活用、適切な維持管理等に留意することが必要であると。また、この具体的な施策を展開するためには行動計画といったものの導入を検討することが必要ではないかと。こういった点が前回の答申に盛り込まれている主な点でございます。
 以上が資料4でございます。よろしくお願いいたします。

部会長:どうもありがとうございます。計画部会等におけるこういう場合の審議経過についてまとめていただいておりますが、埋立て、海砂利、それから環境教育、それから失われた良好な環境の回復施策の展開ですね。こういう四つの項目になろうかと思いますが。
 これから基本計画の変更についての議論を始めたいと思いますが、まず私の方で少し議論のご参考になるのではないかと思って、事務局と相談して項目についてのメモをつくってもらいましたので、それをまず配付していただけますか。よろしゅうございますか。
 論点を考える項目も指定しましたが、一つは海砂利採取の課題ということで、これは基本計画に打ち出すべき基本的な方向について。それから経済活動、社会基盤整備と環境保全との関係について。3番として、採取規制を検討するに当たって特に留意すべき事項。それから、埋立てについてはやはり基本計画と埋立て基本方針との関係。埋立て基本方針の見直し方針について。それから、埋立てを抑制する方策について特に盛り込むべき事項。それから、環境教育、環境学習では、環境教育の場の確保。それから、住民の自発的な取り組みと行政の支援について。4番、失われた良好な環境の回復施策の展開と前提条件について。
 こういうふうにちょっとメモをさせていただきましたが、何かこれについて、あるいはもう少しここを追加したらどうかというようなご意見はございましょうか。別に今ご発言なくても議論の中でどんどん出していただければいいと思いますが。ちょっとこういうことを参考にしていただいて、これからの議論をしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、まず最初の項目、海砂利採取についてのご意見をいただきたいと思います。先ほど、委員の方からこれについて、もしかやめた場合の方向として何か手当てがあるのかというようなご質問だと思いますが、何かお答えいただける人ございましょうか。

事務局:それでは、先生方から特にご発言はないようでございますので事務局の方から。これまで関係機関からの意見聴取ですとか意見発表がございましたので、そこの中でそういった観点での発表なりご質問もございましたので、事務局の方でそれをかわってお答えしたいと思いますが。
 特に関係機関からの意見発表等でございましたのは、愛媛県等を中心に瀬戸内海沿岸におきましては地質的な要因から他の海砂利にかわる再骨材の資源がなかなか存在していないというご説明がございまして、当然代替材を開発なりする際には一つはコストアップの問題があると、そこをどこまでコストアップを地域として許容できるかという問題があるのではないかと。それがひいては建築の単価にもはね返る問題であって、非常に社会経済的な影響が大きいのではないかというお話がございました。
 また一方で、山の方に資源を求めるとすれば、やはりそこでも採石という形で山を崩すことになりますので、海以上に環境の破壊につながるのではないかと、こういったようなご発言がございました。
 また、海砂も含めて砂につきましては非常にローカルな資源ということで、ほかから持ってくるとすれば輸送コストが非常にかさむと。特に愛媛県の場合には県内でそういったほかに代替できるような地域もないのが実情であると、こういったようなご説明があったかというふうに記憶しております。
 以上でございます。

部会長:どうもありがとうございます。今のところ、そういう状況でございますか。

委 員:今おっしゃったことはいろいろなところで今まで聞いていたことなんですけれども、代替品を使うと確かにコストがかかると。現状ではそうでしょうけれども、それは過渡的な状況なのか、しっかりした技術が開発されて確立された段階ではもっとコストはぐっと下がって使えるようになるのではないかと、そういう見通しは何かないのだろうかということをお聞きしたいのですけれども。

部会長:そういうご質問ですが、これに明快にお答えできる情報がありましょうかね。ちょっとそれはいろいろやってみて、結果としてどうだということはあり得るかと思うんですが、今の時点でちょっと難しいでのはないかと思うんです。

委 員:ちょっと質問の方向を変えて。そういう開発の研究はもっぱら業者任せなんでしょうか。大学も含めていろいろなところでかなり集中的にそういうことはやっておられるのでしょうか。その辺ちょっとご存じの方がおられたらお聞きしたいのですが。

事務局:通産省の関係でございまして、そちらの方で代替材の開発、例えば鉄鋼スラグをそういった骨材等に利用できないかとか、また建設省の方も使う方の立場からということでいろいろな意味で技術開発は現在進めておるというふうにお聞きしております。具体的には通産省と建設省の方でそういった調査、研究等を進めておるという状況はお聞きしておるところでございます。

部会長:関係機関のヒアリングのときにもそういうご意見は聞かせていただいたかと思いますが。
 海砂利について、ほかの方からもいろいろご意見をいただきたいと思いますが。

委 員:この委員会は基本的には僕は、生産性の瀬戸内海の海砂利ですね。ですから、これはやはり基本的な方向とすれば採取をやめるという方向ですね。余りここの委員会の中でいろいろなことに斟酌し過ぎますと、要するに閉鎖性水域の中でやはりリスクを伴うものについては禁止していくという方向は僕は打ち出した方がはっきりしていいと思うんですが。

部会長:ありがとうございます。そういうご意見でございます。ほかにいろいろ。

委 員:この海砂利の問題についていろいろお話を聞いていきますと、一番気になりますのが瀬戸内海の沿岸各県の対応の違いだと思います。既に禁止をされたところもありますし、あるいは禁止の方向で検討してらっしゃるところもあると。しかし、禁止する必要がないということを打ち出していらっしゃる県もあるわけですね。
 これは一体どういうことであるかということを考えなければいけないのではないかと思います。つまり物の考え方、つまり資源として大事だ、あるいは社会資本の整備のために必要だということで、そこでご意見が違うのか、あるいは調査の結果がどうも同じ調査の方法で行われたのかどうかということがわからないこともありまして、調査結果がもしも正しいとすれば、それは地域によって非常に状況が違うということも全く考えられないわけではないと思うんですね。環境とか資源というのは非常にローカルなものですから、瀬戸内海の中といえども全く同じであるという保証はないということも言えないわけではないわけです。
 そういうことからいきますと、この資料4の1ページの一番下のところに、愛媛県の海砂利採取海域での調査の結果ではという言葉が出てきますけれども、そこの点についての調査結果を専門のお立場の方々からどう評価をされるかというのが大変、この問題についての判断の重要なポイントではないだろうかというふうに考えておりますので、その点を一つ審議のベースとして何らか方法で整理をしていただけないものだろうかというふうに思います。

部会長:ありがとうございます。愛媛県の方では海砂利は回復するというご報告ですし、ほかのところではいやそうではないというようなところだと思いますが、そのあたりは何が正しいのかと非常に難しいところですが、やはり海砂利は同じ海砂利といっても地域によってやはり多少違うのではないかというような感じもしないことはない。愛媛県の場合はある程度回復力がある。回復の程度がどうかというのはこの業者の発表された、そのまま信用できるかどうかは別としまして、多少の回復があるのかもしれない。また、あるところではほとんど回復しないというところだから、そういう目でもって、地域性をもって見なければならないということもあるかもしれませんが、そうであるということを今、我々は断定しにくいので、ほかにいろいろご意見をいただければと思いますが。

委 員:この資料の17ページを見ますと、砂利の採取量というのは平成9年度で、ちょっと古いのですけれども、岡山県、山口県、香川県、愛媛県というこういうところは相当量を海砂利採取でやっておりまして、それから広島県、徳島県等は海砂利以外にその他も非常に、その他というのは山とか川とか陸その他ということで、これ自体も非常に少ないのですけれども、公共事業は同じように各県でやられていると思うんですけれども、こういう広島県とか徳島県とかというのはどういう形の砂利とかそういう骨材を使用しているのか、その辺はどういう状況なんでしょうか。

事務局:事務局の方でお答えいたしますけれども、これは各都道府県ごとの産出量ということだと思いますので、この数字が、全体的にどのぐらい使っているかの資料はございませんけれども、少ないところにつきましてはほかの県からの移入というのでしょうか、ほかの県域でとった砂を購入等をして使っていると、そういった状況だというふうに理解されます。

委 員:そういうほかの県からのいろいろな採取によって移送費とか何とかがかかるということですけれども、実際、広島県なんかはほかの県から採取して、それを活用してということでやっていっているのでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。

事務局:この前も第3回目の関係機関からの意見聴取のときに広島県さんの方からご説明があったかと思いますけれども、広島県は実際に海砂の全面採取禁止をとりまして、その後、海砂の需要量に対してどのように対応しているかというようなお話もあったかと思いますけれども、そこではほかの県からの移入、特に九州方面からも大分砂を入れているという話がございましたし、また広島県の場合には火力発電所の燃え殻だったかと思いますけれども、スラグですか、ちょっと正確ではございませんけれども、産業廃棄物をうまく骨材に使える技術が開発されて、そちらの方を使っていると、そういったような説明があったというふうに記憶しております。

委 員:今論議しておるのは瀬戸内海の砂利なんですから、砂利を資源として考えますと、その瀬戸内海の中でこの資源がどれだけあって、どれだけ供給されて、どれだけ使用されているかというのは、これは基本的な資料としてまずそろえてもらわないといけないと思います。
 今のご質問のように、どこでどれだけ使っているかということも、どこの県からどっちへ移してどうのこうのという、そのあたりもはっきりわからないのに、瀬戸内海の砂利をどうしたらいいかというのはなかなか結論が出ないように思うんですよね。つまりは、そういう資料の整理をもっと進めないといけないということと、それから砂利の供給とか生産とかにかかわっては、かなり物理性の高い現象でもありますので、これは中西部会長が言われたように、もう少し専門的に瀬戸内海の海域でどこからどういうふうに砂が流れてきて、どこにたまって、ここなら若干の採取の余裕があるとか、あるいはここはほとんど供給されないとかといった、そういう学術的な地検をもう少しまとめる必要があるのではないかというふうに思うんですね。
 それからもう一つは漁業関係で、これは前からもお話が出ていますけれども、イカナゴの産卵といったことで確かに砂利がなければイカナゴの産卵にはいい結果を与えないのでしょうけれども、それもこの間の愛媛県の人の話を聞いておると深さの問題でもあるから、とっておる砂利層が現実にはイカナゴの産卵場でもないし余り影響はないとか、そういう話も出てきますので、それももう少し学術的に考えて整理しないといけないのではないかと思うんですよね。
 それから代替品のことも、これもこれまでいろいろそういう鉱宰スラグとかそういうもので骨材の代替品として使うと、これはかなりリサイクルができておるようにも聞いておりますけれども、量的にどれぐらいの製造量かあって供給量があるのか、あるいは瀬戸内海を対象とした場合には瀬戸内海にどれだけそれを持ってくることができるかとか、その辺のことをちょっと整理しないと、いろいろな問題点を一つ一つ洗っていますと、さっきどなたかがおっしゃったようになかなかまとまりがつかないで総合的に判断するということはできないのではないかなと思います。そのように感じております。

委 員:遅刻しまして大変申しわけありません。私も委員のおっしゃるとおりだと思うんですが、当然、砂が生産されるとか蓄積されるとかという学術調査、あるいは代替品がどれぐらい開発しているかというのは、当然そういう利用面からの問題は非常に大切なんだけれども、環境保全という立場で見た場合には明らかに影響があるということがわかっているのであるならば、この計画部会の結論としては、先ほど委員がおっしゃっているように原則として全面禁止をするという前提に立って、それ上で今後そういうことの需要が必要であることは当然なので、もう少しそういうことを進めた上で、緩和というのはあれでしょうけれども、考慮していくというふうにとっていかないと、それは待っていると多分、委員がおっしゃったとおりなんだけれども、私はよくこの辺わかりませんけれども、時間もかかるし、例えば学術ということになると調査も数年を要するとかということになるので、何か環境保全という基本方針というだけは立っておいていただきたいと、こういうふうに思います。
部会長:ありがとうございます。ほかに意見ございませんですか。
環境サイドから見れば基本的にはとらないことにこしたことはないと、またとらないでほしいということですね。そういうご意見がございますし、情報不足でまだ十分つかみ切れないのではないかというご意見もございます。

委 員:生活をなさっている方が大変多ございますから、この沿岸は、砂利で。だから余り全面禁止ということになりますとちょっと無理かなと、こういうように思うんです。ですから、愛媛県から意見が出ておりますように、これも見逃すことはできないところでございますので、やはり保全イコール経済ということも考えていかないと、今度この答申を出しまして、また見直しが何年後にあるかということも加味していかなければ、この不景気の時代に金で買えない保全をやっていきますのに、それでもめるようではもうひとつだと思いますので、ちょっとやはり経済面も考えてあげてほしいなというような気がいたします。

部会長:まだご発言されていない方で、ぜひご発言いただきたいと思いますが。

委 員:今、委員がおっしゃったように愛媛県も海の環境にも影響がないのでとらせてほしいと、いう意見を出しております。確かにその調査の精度がどうであるかというのは少しよくわからないのですけれども、瀬戸内海と一口に申しましても愛媛県の豊後水道側に開けたところは非常に海は広うございますし、香川県や瀬戸内海の奥の方、大阪寄りの方と比べると環境的には随分と違うというふうに思います。
 私どもが発電所をつくる場合にも、現に伊予灘の海砂を利用して完全に脱塩をして使ったという経緯もございますから、そういう面でおっしゃられておりますように全面的に禁止という一方的な方法だけではなかなかうまくいかないのではないかと。しかも、海砂利採取について、瀬戸内海環境保全審議会の計画部会で検討はいたしておりますけれども、環境上問題ないというその知見がどういうような精度であるかということを今即断できませんので、そこはやはりもう少し掘り下げて考えてみる必要があると思います。その上で、環境的にもその程度は差し支えないとか、相当の深度の深いところで採取するのであれば環境的に問題ないとか、こういうことであれば、経済のことも考えて、海砂をとることも容認すべきではないかというふうに思います。

委 員:私は委員が先ほど言われたことに全面的に賛成でして、私は特に生物屋ですのであれだけ砂利をとって影響がないわけはないので、これは影響があるということははっきりしていると思うんですよね。だから、基本的には全面禁止の方向に進むべきだと。ただし、今すぐに全面禁止にするというのはいろいろ混乱を招く恐れがあるので、その過渡期の問題をちょっと考えなければいけないなということで、先ほど代替材の話もちょっと出したわけですが。
 だから、基本的な方向としては全面禁止の方向というのを打ち出したらいいのではないかと思うんですが。

委 員:資料4の採取の規制に係る関係機関及び一般意見の一番初めにありますのが、私の考えは、それに近いです。でも、いつも申しておりますように、コストとか安定供給とかというのを一番先に、という考え方はやめていかなければいけないのではないかと、私は言いたい。

部会長:ありがとうございます。まだご発言いただいていない方で。

委 員:いろいろなご意見が出まして、私もそのたびにいろいろ揺れ動きまして、はっきりとした明確な考えというのはちょっと難しいと思うんですが、やはりいろいろな方がおっしゃっています全面禁止ということに持っていくにしても、その正当なる理由をはっきりと明確にするということも必要だと思いますし、それからやはり生活者の立場ということも重要な問題ですから、委員がおっしゃったように代替品というものを早急に考えるという、そういう手だてをしたそういう条件を持って禁止ということでやっていただけるならばいいのではないかと思います。

委 員:海砂については多分、愛媛県はとった分の回復能力があるというふうな言われ方をしたのですが、瀬戸内海全体から見れば多分無尽蔵ではないんだろうという気がするわけです。とった分についてはやはりどんどん減っていく傾向にあると、つまり非常に限られた資源であるということがやはり基本的に瀬戸内海の海砂にはあると思うわけです。
 広島県も海砂を使わなくて済んだということは、要は公共事業、あるいはいろいろな建設事業が景気の停滞によって少なくなったということがあるわけでして、結局いかに総需要を抑制していくかという、そこの方向をまずきっちり打ち出していく必要がある。つまり、海砂というのは限られた資源であるということを認識する必要があるような気がします。
 それから、それぞれの県に確かにいろいろな意見があって、いろいろな取り組みが現実になされているわけですから、全面禁止から積極的にとりたいというところまであるわけですから。これを何とか瀬戸内海は一つであるという意識で、いわゆる調整機能をどうやって持たせるかという、ここはきっちりうたう必要があるという気がするわけです。
 それから代替品についても、これは海がだめだから山へ向かっていくというのでいいのか悪いのかという、そこはやはり問題があるわけなんです。それからよその県から買い取るということが、これが許されるかどうかということもあるわけなんです。そういうことで一種のごまかし政策でやっていくということは、基本的には海だけ守ればいいという発想になってくるわけですから、これはやはり環境問題すべての面からいえば問題が出てくるだろうと。つまり、要はいかに総需要を抑制していくかという、その限られた資源であることをまずきちっとうたい上げていく。それから代替品は、いわゆる海も山も環境を傷めない代替品の開発に、いかに取り組んでいくか。それからもう一つは、瀬戸内海は一つであるという認識をきっちり持って、それをいわゆる需要を抑制していく方向で調整をどういう機関で機能でそれをしていくかという、この3点は打ち出す必要があるような気がしているわけです。

部会長:ありがとうございます。最後にまとめをひとつ委員にお願いして。

委 員:委員と全く同意見でございますが、私は瀬戸内海の資源を、魚とか海砂とか風景とか木材とか利用して瀬戸内海をバックにして生活している人のことをどの程度配慮しながらやるかということには、ある程度何となく科学的に説明しないと難しいのではないかということで委員と同意見でございます。

部会長:どうもありがとうございます。委員に一通りご意見を承りましたので、いろいろな視点からご意見をいただいております。それを踏まえまして変更案をまとめたいと思いますが、次回までに私と部会長代理と、それから事務局と相談して、次回にひとつ基本計画の変更案、海砂利についての、ひとつ提出したいと思いますので、それについて次回、ご議論をさせていただければと思いますが、そういう格好でよろしゅうございましょうか。
 では、海砂利のことにつきましては、一応そういう方向で次回に進めさせていただきたいと思います。
 次に埋立てについてでございますが、これについてはまず基本計画と基本方針の関係、それから基本方針の見直し等いろいろございますので、またこれはご自由にご発言いただきたいと思います。

委 員:これは、全面禁止の方向に進んでいただきたいと思います。

部会長:ありがとうございます。いろいろご意見いただきたいと思いますが。

委 員:二つ申し上げておきたいと思うんですけれども、第一は2ページの三つ目の見出し、埋立ての基本方針というところで、現在とは状況が違うことを踏まえることが重要と、この言葉は読み方によって大変違った結論になってくるということを感じております。確かに工場は減ってきたのですけれども、工場が減ってきて、工場が悪いんだから工場以外になっているんだからいいんだというふうに読むんだとすると大変困ると、こういうことであります。
 それから第二は一番最後の、関係機関及び一般意見の一番したのところに絡むのですけれども、今後とも以下のやつをずっと読んでいきますと、何でもいいというふうに読めるのではないでしょうか。この線で行くということで書かれたのではなくて、こういうご意見があったんだということで書かれたんだと思いますから、そうするということではないというふうに考えても、これを認めれば等までつければとにかく全部いいということになる。これはちょっとこの論旨は困るというふうに私は思います。
 そこでちょっと、前の議論にもあったのですけれども、生活者の立場というのが、ここに生活確保のための港湾整備という言葉で出てきますけれども、どうも生活者の立場というのが、前は大変環境を守って何でも抑制的にというようなことで過度な経済活動に対立する概念として生活者の立場というのが使われていたわけですけれども、どうも生活者の立場というのは気をつけませんと非常に危険な内容を持っておりまして、自動車にたくさん乗りたいとか、水をじゃーじゃー流してあとは全部下水で処理してもらいたいとか、水は使いたいだけ使えるように断水がないようにしたいとか。それでいてきれいな環境を維持したいと。こういうのが生活者の立場だとすると、これはちょっと現段階では具合が悪いのではないだろうかと。
 やはりここまで来ますと、水質の場合などでも生活排水が問題になっているように、生活者が我慢をするということを入れないと、環境問題に対する対策というのは成り立たなくなっているんだということをご理解いただくというのが大変重要なのではないだろうかというふうに思っております。ですから、そういうことでひとつこの全体のトーンを変えていただきたいというふうに私は考えます。

部会長:ありがとうございます。昭和49年当時と埋立ての状況が変わっているというのは私はこれは、工場用地のための埋立てというのがほとんどであったのは事実であって、それで公害、いわゆる汚濁物排出型埋立てという概念が非常に強くて私もそういうことでとらえておったのですが、今は生態系とか、その当時は生態系というのは余り言わなかったんですね。今は生態系の価値ということで埋立ての地域が破壊されるという観点で変わってきているという意味だから、より厳しい見方になったのではないかと、そのようにちょっと考えておりますが。これは私の意見でございます。

委 員:私は九州の大分なんですが、今の埋立てはどういう形で行われているかと申しますと、漁村、漁港整備だとか、あるいは重要港湾整備とか、そういう形でシンボルゾーンがどうのこうのとか、そんな形で埋立ては行われているんですね。それと小さな町おこしといいますか、観光客を誘致するため、それは環境保全事業とかという名前がつくんですね、環境整備事業という形で。そして、自然海岸を埋立てている。この辺について何らかの、これはやはり九州の、私は大分市しか見えませんが、やはり過疎に苦しみながら、そういう自治体が何とか大分空港の周辺に海水浴に来てもらうという形で、瀬戸内海の中でやはり自然海浜が残されている部分がぽつぽつと埋立て計画が上がっている。それは名前を見るととても名前はいいんですね、重要港湾整備だったり環境整備事業、この辺を我々がどう見るのかと、その辺の議論も僕は必要ではないかと思いますが、これは意見といいますか、その辺の点も考慮、ここで議論していただきたいと思います。
 以上です。

部会長:どうもありがとうございます。確かに環境の名のついた、そういうことでいろいろな事業が進んでいるのも事実だと思いますし、今、そういうご意見がございましたが、何かこれに関連してご意見ございますか。

委 員:私も今、委員が言われたことと同じ感じを持っているのですが、いろいろな事業がありまして運輸省がやる事業の中にも環境があり、浚渫事業も環境保全事業だと、それはいいとして、いろいろな呼び方がありまして、府県によってもまた違うし、その辺は一体どういうふうに環境保全ということをそれぞれの事業の中でうたっておるのか、それはちょっとつかめないですね。その辺、私は非常に疎いものですからあれなんですけれども、その辺ひとつ何かの事務的に整理していただくというか、どういう事業があるのか、環境関連で、ひとつまとめていただきたいと思いますが。

部会長:ありがとうございます。環境の名を借りたというと語弊がありますが、環境あやかり型といいますか、そういうようなものもなきにしもあらずだから、そういう事業の環境サイドからシビアというか、見た評価がいるのではないかというようなご意見かと思いますが。

委 員:環境喪失とか環境改善とかそういうようなことが一方あって、そのかわりにではなくて、本当は私が見ると埋立てかわりにそれをやるというようなことは結構多いですよね。そういうことをやってしまうんですね。ですけれども、面は環境保全事業に見えるような感じ、ですけれども実際は見たら埋立てをするということが前提になっているんですね。だから、埋立てをしない限りは環境保全もしないというふうにもとれる、また逆にとれるんですね。ちょっとその辺がぐあいが悪いんですが、やはりこの今の時代に埋立てをして面積を、目的が何であっても、さっきの海砂利よりもっと基本方針というのははっきり出されるべきだと思うし、私も前に申し上げたように規模で許可とか何とかございましたよね、これ。ですけれども、規模の大小に問わずこの辺はきちっとやるべきであって、ある規模以下だったらチェックなしというようなことがあると小さなものを少しずつ、例えば港湾の小さなものをつくるとか、そういうのがどんどんできていって結果としては面積が非常に多くなってしまうというので、規模要件というところも私はきちっとやるべきではないかなというふうに思います。それが第1点。
 それから第2点は、先ほどの海砂利とも関係するのですが、地方公共団体の幾つかのそういうものにいろいろ変わってきて、その府県からすればそこにとっては非常に便利だし大事だから、環境に影響がないからやるというふうにみんな決めてしまうわけですよね。だけども、よそからみたら、あれはおかしいのではないのということが結構あるので、やはり府県がいいと言っても違う立場で第三者がそれを評価できるような制度にしておかないと、その県で評価して、自分で評価して自分でいいんだよと、こう言われてもそれはやはり余りよろしくないのではないかなと。それから制度上の問題も多分あると思います。

委 員:岡山で磯部先生がおっしゃったたくさんの意見は、すごくいいなと思って聞いていました。ここにも書かれていますように、現港湾のリニューアルをすべきであり、新たな埋立ては必要ないとおっしゃいました。そういう考え方が私はいいと思うんです。そして、産業振興や仕事が必要であるのなら、今まで失ってきた環境を回復するための、そういう仕事というのをたくさんつくってほしいと私は思います。

委 員:埋立ての基本計画と埋立て基本方針という、この条文があるのですけれども、これは欠陥がいっぱいあると思っているんです。それは何かといいますと、厳に抑制するという非常に厳しい文言が入っているのですけれども、現実にこの厳に抑制するという文言は、その次にある、例えばこれが軽微である、軽微である、軽微であるという言葉、例えば厳に抑制するということをクリアしてしまえば、あとはどこもとまるところはない。
 それで例えば特定海域を、これも考えの中に入っているのですが、その中で留意事項で公害防止とか環境保全に期するものは認めましょうとかというような格好で、それがすべて抜け道に使われてしまったというところがあるわけです。実際に、埋立てをとめたいと思ったときに、これまでの基本計画と基本方針では全くとまらなかったということが現実にあったと思う。それは織田が浜の裁判でもそうなんですけれども、これはとめるべきだという意見が出たときに全く機能が果たせない法律というのはやはり欠陥であろうという気がするわけです。何とかそこで実効性のある、実効力を持たせたものをつくっていくというのは今回の審議会としての非常に大きな使命であるというふうに思っているわけです。

委 員:埋立て面積を見ますと、平成10年までに全体としては1.9%ですけれども、ここにありますように藻場、干潟の減少とか浅海域の生態系とか生物生産性という点から見まして、藻場とか干潟などの中でどの程度埋め立てられているかという、そういう数字はあるのでしょうか。残されているのがどの程度で、どの程度が藻場干潟などの中で埋め立てられているという、その割合というのはある程度わかるのでしょうか。

事務局:ただいまのご質問でございますけれども、ちょっと手元に当時の資料はございませんけれども、第1回目の委員会のときだったかと思いますけれども、藻場と干潟の減少の状況と、その要因の資料をお出ししたかと思いますけれども、特に藻場、干潟については、データはそれほどありませんけれども、この赤い本の中にもたしかあったかと思いますけれども、当時の半分近くまで藻場、干潟が減少していると。ただ、その中で特に原因が不明な点は多々ございますけれども、非常に大ざっぱですけれども、半分程度が明らかに埋立てによって直接消滅していると、このようなことかと思います。
 ちょっと今、数字が出てまいりましたけれども、瀬戸法施行以降、瀬戸内海地域では藻場の4割、干潟の7割が埋立てや浚渫等の人工改変が消失の原因となっていると。4割と7割と、こういった数字が出ております。ちょっと訂正させていただきます。

部会長:よろしゅうございますか。ではほかの方のご発言をお願いしたいと思いますが。

委 員:この問題で全面禁止したときに、本当に瀬戸内の人が我慢してくれるんだろうか心配です。人口もふやすな、産業も活発化させるな、都市施設は一切新設するなということが現実にできることがないわけです。現実に、既存の下水道処理施設は埋立て地に多く選定されています。これから都市施設はどうしてもある程度拡充していかなければいけないというときに、海がいいか山がいいかという選択はもちろんあるかと思いますけれども、現実にやはりどうしても海の方に都市施設の要望というのはふえていくと思います。いろいろな都市生活をしたいという中で禁止したときに、果たして本当にそれが守られるのかどうかということを私は心配しております。できるならば非常に厳しい制限のもとに緩和はしようがないのではないかというのが私の意見でございます。

委 員:私も、委員が先ほどおっしゃいましたような感じを持っておりまして、従来から埋立ては厳に規制するということでしたが、現実には、随分と埋立てはやられてきたわけですね。ただ現在は、造成された工業用地等は経済の疲弊もあって結構未利用で随分残っておるというような実態がございますから、新たに埋立てをするというのは従来よりもやはりもう少し閉めたというか、規制のかかった形にせざるを得ないであろうというふうに考えるわけです。
 ただ、一昨年でしたか施行されました環境アセス法によって、その埋立てがどういうような価値を持って、それでそこに生活する皆さん方がどうあるべきかという点につきましては、こうこうこういうような観点でやるんだということをアセス法の方法書で前もって公表して、それについての皆さんのご意見を出す、戦わす、それでゴーになるかやめるか代替にするかと、結論を見い出すということでございましょう。そして、干潟の問題、それから藻場の問題については、どうしても埋立てをやるとなれば、代償処理としてミチゲーションで別に何かをつくり上げなければならないということになっておりまして、そういう法の考え方も出ておるわけでございますから、一方的に禁止というわけにはまいるまいと。従来よりは時代環境を踏まえて少しシビア目な運用をせざるを得まいというふうには思いますが。
委 員:この埋立てにはいろいろな目的があって行われているわけですが、やはりその中で、例えば廃棄物の処理というようなために埋立てということになりますと、これは根本的にもっと廃棄物の減量化というのを徹底的にやる。なおかつそれで、最終的なものとしてどうしても埋立てなければならないもの、そういうようなものとか、それから今おっしゃったような地域の産業の発展のために、そこで生活している人たちの生活のためということもいろいろ考えなければいけないと思います。もっとそういう根本的な行政の立場に立った生活者への指導とか、あるいは生活者がそれぞれそういうことを、例えばごみの減量とかを本当に真剣に行うことによって最小限どこまでで埋立てが抑制できるかというようなことも考えた上での規制をやるという方向がいいのではないかと思います。

部会長:ありがとうございます。大体ご意見いただきましたですか。
 では、埋立ての方も全面禁止というご意見から、それからシビアな方向には行くがある程度そのあたりの全面というわけにはいかないと、現実的に。そういう意見までいただいております。これを踏まえてまた変更案をつくらなければ、次回にお出しをしたいと思いますが、大分頭の痛いところでございます。
 また、先ほどの砂利等のように部会長、部会長代理、それから事務局と相談しまして、次回に埋立てに関する基本計画のたたき台を出させていただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
 それで、今回、こういう諮問をされているのは、基本計画なんですね。それで基本計画とそれから今まで出ています埋立ての基本方針というのがありますが、これは現在の審議会には諮問されていないので、まず基本計画を我々の責任でつくるということでございます。また、それができた後で体制も変わるかもしれませんが、その後にそういう場が出てくると、この場ではないかと思いますが、そういうことでご理解いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 では埋立てについて、これは頭の痛い宿題をいただきましたが、そういう方向でさせていただきます。
 次にあと二つの課題がございますが、環境教育・環境学習と失われた良好な環境を回復させる施策の展開についてご意見をいただきたいと思います。

事務局:部会長、ちょっとよろしゅうございますか。委員のご意見をいただいておりましたので、ちょっとご紹介いただければと思いますが。

部会長:私の手元に来て、つい忘れてしまって。委員が今日はお休みで、あらかじめメモをいただいております。どうも失礼しました。  委員の方は、特に昨年からの答申案において浅海域の生態系の配慮というものが強く打ち出されると、これは非常に結構なことだということでございますが、その生態系の配慮の具体的、定量的なものがなかなかはっきりしていないと。影響ある価値が高いということは定説的に言われても定量的にはなっていないと、そのことでいろいろな議論が、意見が、賛成あるいはそうでもないというようなことではっきりしないということでご提案でございますが、特にそれを定量化したいということで生態系の豊かさのポテンシャルを、水深(潮間帯を含む)それから底質などをパラメーターとする指標として表示する、そういうする定量的な評価がいるのではないかと。そのための早急に研究組織というのか研究パネルをつくって活動してほしいと。それで、そういう尺度が得られるならば、こういう砂利採取の問題でも、あるいは埋立ての問題も、そういう尺度でもって環境サイドから物を申せるということでございますので、ぜひそういう研究パネル等の組織をやって活動していただきたいというところでございます。それで2〜3人の先生の名前も挙げておられますが、そういうご専門の方を集めてそういう研究組織を動かしてほしいと、こういうご要望でございます。
 ではそれも踏まえまして、先ほどの方向で変更案を考えさせていただきます。
 では、どうぞ。

委 員:環境教育と環境学習でよろしいんですね。大体、環境教育、環境学習というと水の問題でいうと主としてどうしても川が取り上げられがちで、全国的に見たら川を中心とした環境教育、環境学習がなされてきたのではないかなと思います。それで、もちろんこれは瀬戸内海ですから海へつなげた問題として森林から川、瀬戸内海というか、その流域としての環境教育、環境学習の組み立てといいましょうか、それが私は当然なされるべきだというふうに思いますし、それぞれ独自の背景があるならば、それは当然独自の取り組みがなされるべきだろうと思うんですが。
 ちょっと、今までの環境教育、環境学習に、私も瀬戸内海にそういう行っているわけではないのですけれども、ちょっと海の問題だけが離れている感じがしてならないのですが、その辺のところが問題ではないかと。
 それで例えば、環境庁で最近、水質保全局で、間違っていたら許してください、川の生物を調べようという小冊子を、大変いい小冊子なんですが、それが水環境学会で販売をするということで私も見せていただいたのですが、そのときに水質管理課の課長補佐の方と、例えば海辺の鳥と生物を調べようとか、やはり川がどうしても、環境庁自身でも何となく川が中心なのかなと、こういうふうに思ったものですから、やはり同じように海のそういうものを取り上げてあわせていかないと、総量規制もしようと言っているのに、何となく私は海の方が疎かではなかろうかと常々思っていますので、その辺のところのご配慮をお願いします。
部会長:ありがとうございます。海の環境教育が足りないのではないかと、川は相当ポテンシャルを挙げてやっているそうですね。

委 員:それが海はないんです。

委 員:これは瀬戸内海環境保全審議会で言う問題かなとちょっと悩むところはあるのですが、環境教育という場合に、きょう配られたメモでも環境教育の場の確保というふうに書いてあるんですね。何か殊さらに学習する、啓蒙するというのが環境教育だというとらえ方がされているようなんですね。
 廃棄物とかリサイクルの問題とか、あるいはいわゆる地球環境問題とかというのは、そういう殊さらの教育、啓蒙というものが必要だと思うんですけれども、いわゆる自然教育みたいな分野では、自然観察会なんかを開いて自然の残ったところへ大勢で連れていって指導者がいろいろ説明する、これも必要かもしれませんけれども、それだけではなくてもっと子供のときからもっと身近な自然に自由に触れることができるような、そういう体験というのは非常に重要だと思うんですけれども。
 今、私が言っている身近な自然というのは、自然に触れるなんていうと例えば都会に住んでいる人は遠くまで車で行ってというふうにイメージされるかもしれませんけれども、私の考えているのは都会でもちょっと郊外へ出ると神社の裏山の林とか、あるいは近ごろ建設省は川の中の木をむやみに切らないようにしているようなので、河川敷に生えているブッシュとか、それから私は去年の夏にこの審議会へ来る途中でモノレールから見ていたら、田舎に住んでいる私から見ると真っ黒な水の中にコンクリート護岸のところにちょっと海岸があって、そこのところに、これも真っ黒な砂がちょっと露出しているところがある。子供がそこで潜ったりしてみんな遊んでいるんですね。
 やはり子供というのはそういうちょっとした、自然と言えるかどうか知らないのですが、自然的なところがあると喜んで遊ぶわけです。そういうのは人工的なものにないような新しい発見というのがいつもあるし、私自身が子供と遊んだ経験からしても、そういうところというのは子供が非常に創造性が豊になる、次々に新しい遊びを発見する、周りに幾らでもそういう材料は転がっている、そういう経験というのは必要ではないかなと。余りこれははっきり自信を持って言うわけではないのですけれども、人間の情操教育にとってそういうものは必要なのではないだろうかと思うわけですね。
 ところが現実には、つい最近も私、香川のローカルなテレビで見たのですが、香川県警や警察官が幼稚園へ行って幼稚園の子供を集めて水の恐ろしさをわからせると。それで、水辺では遊ばないように、水辺には絶対行かないようにという教育をしているわけですね。現実に小学校なんかでも川へ行かないように、ため池の近くで遊ばないようにという教育をしているわけですね。そういうことを小さいころからずっとやっていて、一方であるときにぽかっと年に1回ぐらい指導者が子供へ連れて川の中に行って、川にはこんなにいろいろな生物がいるんだよと、だから川を汚してはいけないよなんてことを言っても余り効果はないのではないかと思うんですね。
 だから、もっと子供が、自然的なものとあえて申し上げますが、そういうところで自由に遊べるように親ももうちょっと太っ腹にならないければいけないし、学校教育の場でもそういうことを許容するような、ある程度の危険性を許容するような、もうちょっと大人が太っ腹にならなければいけないと思うんですね。
 こういうことを言うと少々危なくてもいいのではないかという言い方をいろいろなところですると、ちょっとまずいわけですけれども、現実に自然と対局にある車という便利な道具があるわけですけれども、子供に車は危ないから車が走るところに近寄ってはいけいなよという教育はしていないわけですね。非常にきめの細かい交通安全教育というのはやっているわけですね、一生懸命。それと同じように、自然に近づくなではなくて、自然ともっと触れ合うことをさせて、しかも一方では非常にきめの細かい自然安全教育みたいなものをやっていく必要があると思うんですね。
 例えば、水辺でもこういうところは危ないから近寄ってはいけないとか、それから雨の降ったこういう時期には川へは余り行かない方がいいとか、そういう非常にきめの細かい環境教育というものを一方でやっていくと。それで一方ではもっと自由にその周りの身近な自然と子供が触れ合うようなことをどんどんむしろ推進をしていくと、そういうことが自然教育にとっては重要だと思うんですけれども。ちょっと長くなりました、すみません。

委 員:私の立場からいたしますと、環境と申しますと、これは瀬戸内海の環境保全ということですから、自然環境ということが中心になっているように考えますが、もう少し環境教育ということになりますと、その理念としては広い立場、生活環境全般に関する環境の教育というものが根底にあって、その上でやはりきめの細かな自然環境に対する指導とか教育とかということになるのではないかと思いまして、余り自然ばかりにこだわるということよりも、まず全般的な環境というものに対する基本的な教育が非常に必要ではないかというように思います。

部会長:ありがとうございます。瀬戸内海地域に限らず幅広い環境教育が必要ということでございますね。

委 員:先ほど、委員がおっしゃいましたけれども、確かに海の環境教育というのは足らないとおもいます。広過ぎるからと海を持たないところが多いからだと思うんですが、それに比べて本当に建設省を中心にしました川の方の環境教育というのはすごく進んでいます。
 それで、さっき委員がおっしゃいましたように、危険と隣り合わせだということをこれからはもう少し子供のところに取り入れていかなければいけないということから、例の2002年の総合学習に向けてどこの学校も川で遊ばすということをすごく真剣に考えていると思うんです。
 私の勤務しているところでは川も海も、町の中ですけれども、ありますので、その両方をやり始めているのですが、とにかく以前も道浦先生ともお話ししたのですが、今、子供たちは海へ行くとか川へ行くとかといったら、例えば車で川原を走るとか、あるいはセーリングをするとか、そういう何か道具を持って行くということしか考えていないようですが、もっと昔のように何も目的はないけれども海へ行く、川へ行く。そこで何となくいいなと思っているうちにいろいろな遊びをするというふうな、そういう原点に帰ったような海や川というのを子供たちの環境学習に、環境教育に取り戻したいというふうに思うんです。
 環境庁が指導者の養成みたいなことをされて、ライセンスを与えたりするみたいなことをなさっていますが、こんなことも申しては何ですが、国の方がそういうふうに動き出して、そういうライセンスを与えられて、その人が動き出した状態は、それぞれの人の個性とは無関係という風に感じてしまうんですね。そういう指導者みたいなのは勝手に出てくる方がいいと思うんです。今までにちょっとお会いした2〜3の方の、私は環境指導員ですと言ってらっしゃる方のお話を伺っていると、何か形にはまった感じです。この前岡山で伺ったケナフを植えて子供たちを呼んでいますというふうな、そういうふうになりがちだと思うですね。
 それで、もっと普通のところで普通にやっていくみたいなことを取り入れていかなければいけないと思うので、例えば海なんかでも、さっき渡邊先生がおっしゃったように子供たちは汚い川でもしばらく放っておくといろいろなことをして遊び出すものですから、そういうところがあるんだよとか、昔そこでこんなことをして遊んでいたんだよ、ということを今、子供たちに伝えないとダメだと思います。そしてそういうのを伝えるのは何とかの指導者ではなくていいと思うので、お父さんやおじいさんやおばあさんとか地域の人たちがみんなで、そういうところに子供たちをなるべく連れて行ってやるというふうな。だから先ほどおっしゃったような警察署の方が海へ行ったらいかんとか川へ行ったらいかんというようなことは、現に今のことですから警察も巻き込んでそういうことを言っているときではないんだというふうに持っていかなければいけないと思うんです。
 私どもの地方は、そんなに都会でも田舎でもないですけれども、やはり学校の先生方が今までのようなことでは総合学習に向けて何もできないというので、地域の人たちの、例えば鳥にちょっと詳しい人、ちょっと魚に詳しい人とかをどんどん入れていって、子供たちを外に連れていくというのをやり始めていますから、それは多分総合学習へ向けてどこの学校もどこの幼稚園もやり出していることだと思うんです。
 確かに、子供を連れて外へ行くというのは、見ていたらすごく先生方もエネルギーがいるのですが、でもそれをやらないと今の、団塊の世代のお父さんやお母さんたちは自分たちが子供のときに海や川で遊んでいませんから、そのお父さんやお母さんに今の子供を任せておくと、いろいろな歪みが起こり、子供たちの教育の問題とつながってくると思うんです。だから、そのお父さんやお母さんが海や川に連れていくほど知らないのだったら、おじいさんやおばあさんや私ぐらいの人がかわって連れ出すということをしなければいけないと私は思っています。

委 員:四つ目の問題でいいですか。良好な環境を回復させるという点ですけれども、これまでも環境の回復ということでいろいろ論議もされましたし、考えてもきましたけれども、この時点で良好な環境を、海の面で、どういうふうに回復させるかということを新たな考え方、もしくはその視点で考えるということは非常に重要だと思っております。
 それで一つ、この問題を取り上げるのに制度の問題と技術的な問題、これが絡んでくるように思います。これが随分とこれまでと違った視点がそこから生まれてくるのではないかということですね。
 例えば大阪湾を考えてみましても、現在は自然の海岸、海浜というのはほとんどないわけで、これは東京湾以上にないわけですね。これを新たに良好な環境に戻すということは一体どういうことをするべきかという点については、やはり従来と違った観点が必要だろうと。おもしろいことに、ご承知の関西新国際空港ができましたけれども、あれで400ヘクタールほどの土地を埋めたわけですよね。それで、それだけの海域は失ったわけだけれども、例の緩傾斜護岸である程度生態系を回復させたという実績がある。これは10年間のモニタリングもありまして、それが学問的に正しければ大阪湾に持っている藻場の5%に当たる面積が回復したということになるわけですね。
 そういうことで現在も既に埋め立てられて、前面がそうい人工海浜であるような場所で、それをもう1回つぶして自然の海浜にするということはまず100%不可能なことですから、そういう意味でそういうところが非常に多い瀬戸内海の沿岸でいかに良好な環境を持つかということについてどう考えるかということが非常に大事だろうと。だから、それは制度の問題もあるし、そういう前面の人工的な海浜でいかにすれば、真の自然の海浜ではなくても藻場を回復させたり、あるいは多少の生態系を呼び込んだりするということがもし好ましいとされれば、それをどうするかということが今後の問題だろうというふうに思いますので、この点もひとつ重要な課題だというふうに認識しております。

委 員:失われた良好な環境の回復と、これは難しいことかもしれませんけれども、私は視野が狭くて大分のことしか考えられないのですが、先ほどの環境教育の問題もありますが、水産庁との関係ですね。例えば豊後水道の中でいいますとリアス式海岸のほとんどが養殖漁業で、そして餌の過剰投与でそこにある小さな学校も全部プールで子供たちは泳ぐ。失われた良好環境の回復というのは、その辺の養殖漁業も踏み込んでその辺もちょっと、失われている部分というのは随分あるような気がするんです、特に地方の場合は。余りはっきり言い過ぎるといけないかもしれませんけれども、こういうミチゲーションの問題もありますけれども、野放図な海面、沿岸利用、この辺について我々は言えないでしょうか。何か一言、文章の中に入れていただけないだろうかという気がいたしますが。

部会長:ありがとうございます。海はだれのものかというタイトルがありますけれども、今おっしゃったようなそういう問題を提起されているのではないかと思いますね。そのあたりは、これは海はみなのものだから、やはりそういう原点に返って、ひとつそういう視点で考えていくべきでしょうね。わかりました。貴重なご意見をありがとうございます。

委 員:4については基本的には委員がおっしゃったのに私も賛成なんですが、それプラス、これには適切な維持管理と書いてあるんですけれども、結局新しくつくった自然というはやはり二次自然なので、要するに排水処理装置の管のようにイメージをとってはいけないのですけれども、要するにやはり人が何らかの管理をする、例えば間引きをするとか、蓄積した土砂をとるとか、そういう管理があって初めて可能だと思うんですね。そういう面のところはやはり私は当然留意すべきだと。やはり二次自然だということは常に意識をしてければいけないのだろうと、こういうふうに思います。それが1点目。
 それから2点目は、こういうことをやりますと、例えば非常に吸収態の高い水性植物を使おうとか微生物を使おうとか、そういう話というのはよく出てくる話ですね。今、ご承知かもしれませんが、地中海ではイチイヅタの一種が何百何千ヘクタールでそこを、要するに外来種が占有してしまっている場もあるんですね。ですから、これからこういうことをやるときに外来種をどういうふうに、私は原則的に外来種をこれに使わない方がいいと思うので、土着種とか固有種とかそういうものですべて生き物がここで再生していくということを基本線に出していただきたい、こう思います。

部会長:ありがとうございます。ほかに教育と修復、この関連でご意見、ご発言はございませんでしょうか。

委 員:修復と教育で一つずつ意見を言いたいと思うんですが、まず教育の方は今まで大変自然の良さを子供たちに教えると、そういうようなことを中心にいろいろご意見があったのですけれども、やはり先ほども生活者の立場というのは気をつけなければいけないということを申し上げたのですが、汚さないようにするということについての教育というのは、これは瀬戸内自身だけの話ではないのですけれども、極めて重要だろうというふうに思います。
 これは私ども自身もそうなんですけれども、例えば昔はみんなくみ取り便所でごみは自分の家で処理をしておりますからわかっているわけですが、今のように下水道になって終末処理場は遠くの方につくってもらうということになりますと、それは大変日常は便利なんですけれども、自分たちが汚いものを出しているという認識は全くないわけです。子供たちが山小屋のくみ取り便所というのでしょうか、要するに素掘りの便所へ行くと怖くなって出るものが出なくなってしまうというようなこともあるわけです。
 ですから、環境教育というのはきれいな風景、美しい水、蝶々、トンボ、鳥というふうにどうもずっと流れてきているような気がするのですが、その方がやる方もやりやすいということがあるわけで、汚いものだとか嫌なものを見せるというのは大変やりにくい話なんですが、やりにくい話をするからこそ教育であると、これはなかなか教育以外ではやれないというふうに思いますので、人間というのは大変困ったものであるということを認識させるようにしてもらいたいと、それをぜひ教育でやってもらいたいというふうに私は思います。
 それから、失われた環境を回復云々という話なんですが、これについては2点ありまして、第1点は意見を募集したのですが、全くといっていいぐらいこの分野についてのご意見というのは出てこないということであります。これを一体、私たちはどう考えたらいいのかと。
 それで、一番最初に創造というのを打ち出して大変ネガティブな反響がありまして、前のときには大分議論をして、ああいう格好で整理をしたわけですね。ですから、そういういきさつからいえばネガティブな反応に対して、その方向で対応したことで静かになったのであるということであれば、これはそういう方向で処理をするべきなのであって、ご意見が出てこないことをもう1回蒸し返すようなことがあってはならないと私は思います。
 これは非常に埋立てとか何とかというときにも気をつけなければいけないことなのでありまして、先ほど緩傾斜護岸の話が出ましたけれども、あれはなかなかすばらしいアイディアだと思います。埋立て、廃棄物を例としてゼロにはなかなかできないのではないかというお話があるわけですが、緩傾斜に、どうしても廃棄物を海に入れなければいけないというときには、まず漏れ出ないようにしっかりやって緩傾斜護岸にして、その上を木を植えて、決して建物などは建てないと、こういうふうにすれば、創造とは言えないかもしれませんが、方向としてはだれも反対について少し和らいだ表現になるのではないだろうかというふうに思います。
 現在やられているのは、どうも何か廃棄物を前面に立てて都市利用のための埋立地をつくってしまうのではないかというようなプロジェクトが多いために大変ネガティブな反応があるわけですから、その辺についてはやはり、この失われた良好な環境を回復させるというのですが、回復ということの表裏として回復する必要が余りないようなものにこれからやるときにはやるということがあって、それから過去において何らかの格好でそうでなかったものについて、そういう新しい基準というのでしょうか、やり方に合うようなものに直していくということが基本的な線であってほしいというふうに私は思っております。

委 員:この4番目の失われた良好な環境の回復という、ここの前提なんですけれども、失われた良好な環境というのは、これまで開発されて失われたというふうに私は重きを置いているわけです。つまり、新たな開発に伴う修復という意識は、これはやはりそこは押さえておかないと、基本的にはとにかくこれまで余りにも開発して傷めつけたではないかと、それを少なくとも徐々に回復させていこうではないかという意識がここに出ているような気がするわけです。
 つまり、新しい開発をする、それを今度は多少ミチゲーションみたいなことをすれば許されるという発想ではなかろうという気がするわけです。そこはきっちり押さえておかないと、どんどんその意識ばかりが高まっていけば、これは開発の免罪符になってしまうという非常に大きなテーマになってくるわけですから、あくまでもこれまで余りにも傷めつけた自然を何とかして回復させていこうというところへやはり重点は置いておく必要があるというふうな気がするわけです。
 それから3番に戻りますけれども、環境教育の場の確保。実は私は場は必要だと思うと。それは環境教育とは何ぞやというのがまだまだ実はよくわかっていない。いろいろな人によっていろいろな意識があるわけですから、例えばリーダーも自分の善意のもとに環境教育をしていくことが結果的に環境破壊につながっていくということもあるわけでしょうから、何とか環境教育のプログラムをしっかりつくっていく、あるいはしっかりしたリーダーをつくっていく、そのための環境学習の場にしていく。
 それから、要は住民がいかに環境にかかわっていくかというのは、つまり放置をすれば環境が守れるということではないのでしょうから、いかに環境と保全に住民がかかわっていくということは、つまり住民が汗をかくということ、実はこれが一番難しいと思うんですけれども、どうやって一人一人が汗をかいていくか、そのためにやはり仕掛けが必要であろうという気がするわけです。ですから、そのためにも環境教育のリーダーをしっかり養う。そこにいわゆる住民に汗をかいてもらうように仕掛けをその人たちを中心に考えていくということをしないと、どうも環境は放置しておけば何となく守れるようなところではやはりこれからの環境保全にはつながっていかないという気がするわけです。

部会長:ありがとうございます。セットになった修復ではなしに独立した修復であるというご意見と、リーダーが必要だというお話でございました。
 大体ご意見は終わりましたですか。予定の時間もまいっておりますが、よろしゅうございましょうか。
 では、本日の議論はこの程度とさせていただきます。それで、先ほどお約束しましたように、基本計画の変更案について次回にたたき台を出させていただきますので、よろしくお願いします。
 前のこの創造施策のときには起草委員会をつくりまして、その作文をやったわけですが、あのときは膨大な量の報告書でございますし、今回はそれほどないので今のような形で事務局と相談しましてまとめさせていただきたいと思います。
 それでは最後にその他というのがありますが、これは事務局の方から何かございますか。

事務局:次回の日程でございますけれども、先ほどご説明させていただきましたスケジュールに従いまして、次は7月上旬ということで開催を検討させていただきたいと思っております。現在、スケジュールの照会票をお配りしてございますので、恐縮ですけれどもお帰りの際にご記入いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

部会長:よろしゅうございますか。大体7月3日から14日の間で入れたいということでございますので、ひとつ今おわかりの方は出していただければ結構ですし、また一応6月16日までの連絡ということになっております。よろしくお願いします。では、予定の時刻を5分ばかり過ぎましたが、これで本日の部会を終了させていただきます。
 本日は活発なご意見を賜りましてどうもありがとうございます。