中央環境審議会廃棄物部会
第7回最終処分基準等専門委員会議事要旨


1.日時 平成11年6月17日(木)10時~13時

2.場所 通産省別館933会議室

3.議事

(1)廃棄物の最終処分に関する基準の一部改正等に関する諮問について
(2)今後の検討の進め方について
(3)その他

4.議事要旨

(委員) これら3物質に関する一般環境中のデータ等様々なデータを充実できないか。 

(事務局) 環境水については、自治体の行う測定に関しては、本年2月に環境基準が設定されたばかりであるので、ほう素等新たな基準項目については、本年度の水質測定計画には間に合わず、含められていない例が多い。排水基準の検討のため、海域等で調査を行うことを検討している。調査の結果はこの専門委員会の検討にも共通して活用できると思われるため、報告する。なお、ふっ素(弗素含有量)及び窒素(窒素含有量)は既に排水基準項目であるので、ある程度の既存の知見はある。

(事務局) 最終処分場についても、排水基準の項目となっているため、ふっ素、窒素の知見はある程度あるが、ほう素についてはあまり知見がない。自治体に対し、調査の協力を図ることも可能である。また、関連団体などの自主的な調査の結果を得ることも可能と考えられる。

(委員)調査結果をまとめるにあたり、ふっ素、ほう素等は、陸域、海域の処分場にわけてデータを整理していただきたい。結果としては同じとなるとしても検討はわけて行うことも必要と思う。

(事務局) データについては、分けて整理したい。
 海洋投入については、資料2-2-6、7頁に記載されている廃棄物のみが現在捨てられている。資料2-2-9頁のとおり、ロンドン条約は1996年に条約議定書が採択されているが、現時点では批准が少なく発効にいたっていない。この議定書は具体的には海洋投棄を原則禁止とし、投棄が考慮される廃棄物を列挙しているリバースリストと個別の廃棄物ごとにアセスを行い許可書を発給することを求めるWAFとを含むものである。なお、洋上焼却については禁止とされている。現在は、産業廃棄物については2-2-10表の物質は海洋投棄禁止から除外されており、これについては2-2-6表にある物質が合致するとされており、この表による処分がなされている。現在発効に備え、個別の物質について検討をしているところ。

(委員) 今回の検討にあたっては、陸と海をわけること、バックグラウンド、つまり自然起源に関する知見を充実させること、一般廃棄物と産業廃棄物の仕分けを配慮することが必要。ほう素等これらの物質は自然界に多く存在するものばかりである。参考資料4の要監視項目の検出状況によると、湖沼ではあまり指針値を超過していないようで不思議だが、溜まった水では超過するものもあるであろう。資料3でふっ素等を使用する業種でまとめられているが、海水をくんでソーダをつくるという業種もある。これも排水については問題が生じるのではないか。資料にある業種以外にも、排ガスの処理工程で生ずる排煙脱硫石膏、鉄鋼業で生ずるスラグからもある程度溶出すると聞いている。また、海水を使用する業種の排水、海水の淡水化の際の排水等これらを含有するものを活用する業種についても調査が必要と思われる。

(委員) 資料4の3頁において処理技術について触れられているが、ほう素、ふっ素等は、排水の処理過程で通常の凝集沈殿ではなかなか落ちないと聞いている。専門家の協力を得て、きちんと資料としてまとめて報告してほしい。

(委員) 資料4で海洋投入にはふれられなかったが、検討の対象となっているということでよいのか確認したい。また、資料3の廃棄物の溶出試験結果であるが、範囲で示してあるものと値が単独で示してあるものがあるが、範囲で示されるべき性格のものではないか。

(事務局) 資料4に海洋投入が含められていないのは、不十分であった。海洋投入についても同様に考えていきたい。ただし、海洋については単純にこれまでの考え方の延長で基準を設定すること自体についても検討が必要とは思う。
 溶出試験に関するデータは、実際過去に調査を行ったもののみとなっている。今後文献調査、実測等によりデータを拡充していきたい。委員からご指摘のあった石膏等も現在はデータがないが、これから知見を充実していきたい。検討すべき廃棄物についてはぜひご指摘を賜りたい。

(委員) 基準の設定にあたっての考え方、調査の進め方に関してだが、今回の検討対象物質はこれまでとは扱いが違う物質ばかりである。例えば、窒素についていえば、し尿や生ごみ等もこれまでの考え方では遮断型最終処分場にいれる必要が出てきてしまう。また、対象とする廃棄物であるが、ほう素については瓦などの釉薬から溶出するらしい。これまで安定型廃棄物とされてきた物にも試験をする必要があるかもしれない。これまで通り廃棄物を管理型・遮断型とわけるか、それとも安定型・遮断型、安定型・管理型とわけるか検討が必要かもしれない。 調査についてお願いしたいのだが、ほう素・ふっ素等を含む鉱さいはリサイクルとして路盤材に用いられたり、セメントの骨材に使用されている。これらを含むセメントは大丈夫か。建設廃材に該当するのかもしれないがチェックが必要である。また、バックグラウンドが重要だ。地下水における検出率がそもそも高いところをどうするのか。例えば既存の排水基準では砒素は温泉排水は適用除外となっている例もある。検討が必要である。個人的にはこれからは自然起源で高いところにはこれ以上負荷を与えないため、そのような場所には排出源を作らないという考え方もあるとは思う。従来と違うところを整理して調査し、考え方のたたき台を用意してほしい。海面埋め立て、海洋投入については、沖合の海洋投入はさておき、埋立については海域の調査を水質規制課でやるとのことだが、海面埋め立て処分地の近傍でも調査を行い、周辺のデータを集積してほしい。


(委員) 今回の検討対象は、あくまで汚泥、燃え殻等これまでの判定基準の対象廃棄物だけなのか。ガラス・陶磁器くず等は対象にしないということでよいのか。

(事務局) 従来の考え方についてお示ししたが、必ずしもこの考え方だけとは限らないと考えている。

(委員) 廃止基準についてはどのように検討するのか。

(事務局) 維持管理基準等と連動する部分が多いため、あわせて共同の調査を実施したい。

(委員) 窒素の循環はどの程度の知見が集まるのか。また、処分場についてはどの程度の排出がなされているのか知りたい。
海域に多く存在する物質を取り扱うこととなるが、海域の処分場と陸域の処分場は分けて考えるべきではないか。

(事務局) 海域の窒素循環については別途知見を集積しているところ。また、処分場の排水については、現在調査を行っているところ。現時点ではご回答はできないが、今後の課題とさせていただき、次回にも結果をご報告したい。

(委員長) これら物質を含むものは土木材料として過去大量に使用されているが、これらについても調べられるのか。

(事務局) 処分場に入るものなのであれば、管理ができるが、製品として使用されているものは対応ができない。別途リサイクルガイドラインについて検討しているところであるが、これらの物質は最近環境基準となったこともあり、まだ検討を行っていない。リサイクルされているものにもこれら検討対象物質が含まれているというご指摘は多方面からいただいているところ。

(事務局) 排水規制の委員会においても関連する事項である。例えば3つの検討対象物質のうちの一つである窒素は、循環する一方で人間にとって必須な元素でもある。一定の濃度を超えて存在するということをどのように取り扱うかを議論する必要がある。
 排水の処理技術については、調査・評価を行い、適切な対策をとって参りたい。発生源の実体の解明については、放流先への影響等も含め明らかにしていきたい。
 窒素対策については、これまでの水質汚濁防止法の規制体系を離れる議論も必要となっていく。各省庁の施策とも絡めて検討を進めさせていただきたい。

(事務局) ご指摘を踏まえ、調査等必要な作業を行い、次回専門委員会において資料を提示させていただきたい。調査を行うため、次回までには多少の時間をいただき、秋頃に委員会を開催したい。今回のご指摘以外に必要な事項があれば適宜ご指示をいただければ対応させていただく。
なお、場合によっては、今回のほう素等に係る検討のための専門委員会の前にダイオキシン類に関するご審議をお願いするかもしれない。

--了--