中央環境審議会第25回廃棄物部会議事要旨


1.日時 平成11年11月2日(火)15時10分~17時10分

2.場所 通産省別館共用第939会議室

3.議事

(1)ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物の最終処分場の維持管理基準等の設定について
(2)今後の検討の進め方について

4.議事要旨

(事務局) (配付資料確認)

(水質保全局長) (あいさつ)

(事務局) (他部会での審議状況について資料1に沿って説明)

(専門委員長) (専門委員会報告について説明)

(事務局) 資料3に沿って説明

(委員) 大変よくできていると思うのでこれで異存はないが、一、二伺いたいことがあるので教えていただきたい。一つは、浸出水の処理について、最近の廃棄物の最終処分場というのは、ユニットプロセスが並んでいて、凝集沈殿や活性炭も入っており、先程のように原水で数百pgになったとしても、ほとんどが放流水の水質の排水基準(10pg-TEQ/l)は十分満たされるだろうと思う。その場合、ダイオキシン類が汚泥や活性炭に移ることは当然あり得るが、その処分についても3ngの基準がかかるのかということについて。もう一つは、土壌農薬部会で土壌の環境基準が1,000pgと決まったが、廃棄物埋立処分場の周辺、埋立地では基準がかからない。先程の説明で周辺と言っていたと思うが、土壌の基準がかかる所と廃棄物の処分されている所の距離というか、法的にどこまで規制がかかるのか、以上2点について教えていただきたい。

(事務局) 前半部分について御説明します。事務局で水処理汚泥中に含まれるダイオキシンの濃度がどの程度かということについても昨年度調査してきたが、通常、搬入されているばいじんや燃え殻に含まれるダイオキシン濃度より低いのが現状です。実際には物質収支をとってみると、ほとんど処分場の中から外に出てはいないが、水処理施設で一部落ちるものがある。それを実際に埋め立てる際には、通常は脱水した上で埋め戻している。ただ、万が一高い濃度があった場合には、溶融をかけるなり、3ngを越えるようなものがあれば、法律的にはきちんと下げた上で埋めることが必要かと思われる。

(事務局) 土壌の環境基準との関係だが、工事や作業員はともかく、通常の人が行かないような場所については、土壌の環境基準の適用外となると聞いている。処分場は汚染物質をその中に封じ込めると言うことなので、埋立地の中は土壌の環境基準の対象外になる。それ以外の所は、土壌の環境基準の対象になる。

(委員) 周辺は入るのか。

(事務局) 入る。

(委員) 専門委員会の報告は大変わかりやすく、大変心強いと思う。ただ、主として基準は濃度ということでとらえられており、現段階においては濃度で行くのであろうと思うが、単なる濃度の問題ではなく、量の問題であると思う。その点で、6の「今後の課題」の中の、「適正な物質循環を図る」というところで、汚染物質の量ということが読めるのかとも思うが、そのあたりはどうか。もう一つは、「今後の課題」の中で、技術開発の重要性ということが(3)として触れられているのは大変結構であると思う。

(事務局) 今回、ダイオキシン類対策特別措置法の中で、ばいじん等については、溶出基準ではなく含有量の基準が決められたというのは、総量自身を何とかしなくてはならないという発想が一部あったと思う。いずれにしても、最終処分場は、まず処分場から一般環境に出る汚染をくい止めることが大前提であることは当然だが、広く出来るだけ環境保全上の観点から、あらゆる段階で環境への負荷を小さくしていくと言うことでは、正に御指摘の6の中の循環型社会の構築といった点で、今後重要な検討課題になっていくのではないかと考える。

(委員) 先程話のあった11頁の循環型社会の件で、これを入れていただき非常にありがたいと思うが、書き方としては、循環型というのは、上流側にさかのぼった対策の必要性が重要だと思う。ここに書いてあるような、投入資源の効率的利用という話と同時に、最後に有害物質となる原因になるようなものの使用の削減という視点がもう一つ重要な柱だと思っている。今回はダイオキシンの話なので、あるいはそちらの方が強調されるべきであると思っていた。もう一つは、1頁目にWHOのTEFの件が出てくるが、1988年と書いてある。間違いなので直していただきたい。それから、法律でダイオキシン類では、コプラナPCBも含めることになっており、また今後はWHOのTEFを使うことになっている。添付の資料がそういう意味でばらばらなので、インターナショナルなTEFを使用しているのか、新しいWHOのものを使ったのか、ダイオキシン類なのか、PCDD+PCDFの話なのか、それをはっきりさせておいた方が後々のためになるので、資料の中で訂正できる範囲内で対応していただきたい。

(事務局) 御趣旨のとおり直したい。

(部会長) 全ての資料には、WHO-TEF(1998)とインターナショナルなTEFのどちらを使用したのかを書いてきたのであるから、その方がよいと思う。
(委員) 諮問から答申に対する要望だが、最終処分場の維持管理においても、搬入前のダイオキシン対策との連携、その後の土壌との連携が重要だということは、この専門委員会でも議論してまとめたところである。特別措置法の趣旨からいくと、ダイオキシンが発生すると疑われた箇所から、それ以降連続してフォローすることが重要なことだと思う。諮問そのものが、水、大気、土壌と細切れなので、答申もどちらかというと細切れになるが、全体を通して、総合性、連続性を確保する非常に重要な点があるので、全体を通した審議会としての意見を述べる必要があるのではないかと思う。全体の答申に当たって、会長がその点についてコメントするなど、部会長会議等もあるようなので、そういう点についても御検討いただきたい。

(部会長) 御指摘のとおり、同時並行的に審議されているので、13日にそれぞれの部会長、専門委員会の委員長に集まっていただき議論したところである。

(事務局) ダイオキシン法というのは、一つの法律であり、これを一体的に運用しなくてはならない。具体的には、大気保全局と水質保全局と厚生省生活衛生局の3局にまたがる問題であるので、その点については、いろいろな形で意を用いていきたいと考えている。

(部会長) 御指摘に沿って局長の方で調整していただくことになると思うが、この部会としてやることはあまりないのではないか。

(委員) 会長から大臣に答申するに当たって、特に総合的な取り組みを要望するとか、そういう形で審議会としての意向を表明することくらいは必要ではないかと思っている。

(部会長) 各部会皆そういうことになるのか。

(事務局) 私どもが答申案を作成する際の事務局になるので、今の御指摘について、そういう趣旨が反映されるような答申案の表書き、なお書きというところで工夫するのがよいのかと思う。いずれにしても、御趣旨を体して対応を考えたいと思う。

(部会長) ダイオキシン類対策特別措置法でダイオキシンを表に出したのに、それぞれの部会に分割して議論するというのは、個人的におかしいと前に申し上げたことがある。たとえば、環境庁の中にダイオキシン特別部会なるものを設けて、そこで一括して議論するのが適当ではないかという気がした。ダイオキシン類対策特別措置法の中にそういうことを書いてあればよかったと思う。皆さん感じておられるようなので、委員の御指摘の趣旨に沿ったような表書きを用意していただくということでどうか。

(事務局) 2001年から環境省に移行すると、廃棄物行政が環境省に移ることになり、ダイオキシン類対策特別措置法の施行については、環境管理局が一元的に対応していくという形での体制を、現在考えている。

(委員) 意見を2点ほど申し上げたい。1点目は、先程話があったように、ダイオキシンの発生という点では、いろいろな側面があるかもしれませんし、この部会は維持管理基準を決めるところなので、他部会の問題なのかもしれないが、発生したダイオキシンを調査し、結果が情報として得られるというだけでなく、防止という点で何らかの措置をしなくてはならないのではないかと考えている。正にこれは循環型という形になると思う。大変難しい問題ではあるが、御検討いただきたい。もう一つは、3の環境保全措置というところで、非常に細かく説明されており、これでよいと思われるが、ただ、このような事を記載する場合、廃棄物の管理行動計画というような面と、実績報告ということも加味したような管理基準ということが入れば、より実効性、有効性につながるのではないかという感想を持っている。

(事務局) 未然防止という観点から取り組んでいかなければならないというのは、御指摘のとおりだと思う。様々なモニタリングがダイオキシン類対策特別措置法で義務づけられるので、それも活用しながら、汚染が広がる前に適切な措置をとるということに出来るだけ意を用いていきたいと考えている。

(委員) 内容については特に問題はない。大変よく書けていると思う。特に「今後の課題」については非常に印象深く拝見させていただいた。そういう意味で、コメントではなく、三つ程教えていただきたいことがある。一つは、今後の課題と現状との関係について。まず最初に「埋立地内におけるダイオキシン類の長期的挙動の把握」、これは非常に重要なことなので、それと関係して、8頁の「地下水の汚染防止措置」というところで、処分場の周縁地下水で現在の測定では不検出~0.024pg-TEQ/lという、非常に小さな値だが、これは処分を開始してから測定するまでにどのくらいの年月がたっているのか。もう一つは「今後の課題」の(2)に書いてある「埋立廃棄物のダイオキシン類含有量と溶出量の関係の把握」ということで、これは環境の汚染防止という面からも非常に重要だと思われるが、現在までどの程度分かっているのか。3番目は、先程の「ダイオキシン類の分解・安定化技術の開発及び普及促進」、これも非常に大事なことだと思うけれども、現時点で分解技術と安定化技術とはどちらが現実的なのか、知見があったら教えていただきたい。

(事務局) まず1番目の周縁地下水の調査については、本年7月に発表させていただいた平成10年度の調査結果である。埋立期間については、埋立開始直後のものから、5年、10年、20年経ったものもある。その結果低いということになっている。具体的な数値については、参考資料の15頁に「最終処分場におけるダイオキシン類濃度の概要」ということで、これまで測定した濃度を範囲で示させていただいている。溶出量と含有量の関係については、生活環境審議会の方でも資料等を出されていたが、一つは本文中にも書かれているような、フミン質や油分等の共存下の問題が、国立環境研究所、京都大学等いろいろなところで学問的に進められている状況であると理解している。最後の長期的な安定について、分解か安定化かという点だが、非常に難しい問題であり、入り口で処理するものと、処分場の中に入ってしまったものを分解するか安定化するか、その2点に分けて考えられると思う。前者の方でいえば、なるべく紫外線分解や熱をかけて分解するといった分解処理を新たに進めていく必要がある。従来、固めるようなセメント固化や薬剤処理であったが、分解の方向へ向かっている。ただ、いったん処分場の中に入ってしまったものについて、バイオレメディエーション等で行うといったものは、まだ途上であり、どうしたら出てこなくなるか、長期的な影響について、いろいろ研究が進められているので、事務局でもその周辺をフォローしていきたい。

(部会長) それでは、続いて本部会の答申案について御議論いただきたい。部会長としては、今、専門委員長及び事務局から御説明いただいた専門委員会報告の内容に、必要な措置は十分に盛り込まれていると思うので、本専門委員会報告書の内容を本部会の答申案とすることでよろしいのではないかと思っている。いろいろ御意見もいただいたが、そのように解釈している。それでは、専門委員会報告の内容を答申案とすることについて、御意見等があったらお願いしたい。先程の委員の御意見は、ここのところでの意見になると思われるので、採用させていただきたい。この専門委員会報告の内容を答申案とすることで御了承いただけるか。

【 異議無し 】

(部会長) 委員長をはじめ専門委員の方々は短い間に大変御苦労様でした。本部会としては、専門委員会報告の内容を答申案とするということで、皆さんの御了承が得られました。どうもありがとうございました。

(事務局) 今後の段取りについて御報告申し上げたい。今日まとめられたものを答申案として、資料4を御覧いただきたい。これはパブリック・コメントということで、いろいろな基準を設定する場合には、各界各層の意見を聞くということが閣議決定されており、それにのっとり本答申案についてもパブリックコメントを行いたいと考えている。具体的には資料4のような様式で公表し、募集要項に従って11月4日から1ヶ月間かけ、郵送、ファクシミリ、電子メールで御意見を賜りたいと考えている。このパブリックコメントを受け、さらに当部会を開催させていただき、最終答申をいただきたい。

(部会長) 今の説明のとおり、本答申案は、パブリックコメントということで、国民の方々に公表され、広く意見を募った後に、再度それらの対応について本部会における審議を経て、正式に答申としてとりまとめることとしたい。

(委員) 公表する範囲について、先程室長の方から、資料3の図表は除くという説明があったが、確認したい。

(事務局) 資料3は全体を公表したいと思っている。それから、参考資料2も、これは本報告書の付属品ではないが、環境庁のスタンスなので、当審議会で公表した資料としていただきたいと思っている。

(部会長) 本日、専門委員会報告をこの部会の答申案として認めていただいたが、パブリックコメントの手続きがあるので、これがまとまったら、もう一度審議していただくことになるが、事務局の方から説明願いたい。

(事務局) 次回部会はパブリックコメントを踏まえてということで、12月10日の午後3時40分からの予定です。本日はどうもありがとうございました。

(部会長) 最後にもう一回ありますが、12月10日にパブリックコメントの結果を報告していただき、最終的な審議をさせていただきたいと思っている。
 それでは、これで閉会します。長時間御審議ありがとうございました。

---了---