中央環境審議会第24回廃棄物部会議事要旨


1.日時 平成11年8月31日(火)14:00~15:00

2.場所 通産省別館共用第939会議室

3.議事

(1)ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物の最終処分場の維持管理基準の設定等について(諮問)
(2)今後の検討の進め方について

4.議事要旨

(事務局) (配布資料確認)

(水質保全局長) (あいさつ) 

○議題1 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物の最終処分場の維持管理基準の設定等について(諮問)

(事務局) (資料1-1~1-3に沿って説明)

(特に質問なし。)

○議題2 今後の検討の進め方について

(事務局) (資料2に沿って説明)

(委員) 今後の審議の進め方には異存ない。今度のダイオキシンについては、ごく微量であるとか、水にほとんど溶けにくいとか、非常に特殊な状況であることを踏まえ、環境庁としてどのような維持管理基準設定の方針で考えているのか。

(事務局) 法律上も大気や公共用水域、地下水、土壌が汚染されることのないような維持管理基準ということになっているので、それぞれに影響がないような、環境保全上の支障が生じないような基準を作らなければならないだろうと考えている。基準の設定には、多くの知見を集めなければならないが、既に環境庁及び自治体等がこれまで測ってきたデータを収集するとともに、今年度の予備費で、最終処分場の周辺土壌への飛散の影響あるいは排水の実態等の調査を実施している。それらの知見を基に、十分な対策がとれるような維持管理基準を御検討いただきたいと考えている。

(委員) 今事務局が言われたように、地方自治体で、これまでもダイオキシンに対する実績あるいはその具体的な資料等も持っている。全国知事会、市長会、町村長会が合同で、これからの事務処理あるいは技術的、財政的な援助の仕方について、厚生省、環境庁に要望をしているところでもあり、専門委員会で今後議論する途中の経過で、環境庁が窓口になって、意見聴取あるいは資料提供等を含めて、地方自治体の意向も十分伺っていただきたい。

(事務局) 審議の過程でも自治体の意見が反映されるようにしていきたいと考えている。

(部会長) 今後の進め方そのものについては、特段の異議がないようなので、本諮問
については、最終処分基準等専門委員会において検討を進めさせていただくこととする。なお、専門委員会は、部会での審議のための調査を行う場であることから、従来は公開の対象としてこなかったが、情報公開法が今年5月に公布され2年以内に施行されることとなっていることを踏まえて、専門委員会の審議についてもできるだけ公開性を高めていきたいと思っている。公開に関する総合部会の決定に基づけば、「その他公開に関し必要な事項は、部会長が定める」ということになっているので、部会長と専門委員会の委員長でその取扱いを相談することとしたいのでよろしくお願いしたい。

○議題3 その他

(事務局) (参考資料に沿って説明)

(委員) 参考資料6の14ページに、「遮水工等を有さない処分場の一部の処分場で、……周辺へのダイオキシン類の拡散を示唆するような結果も見受けられた」とあるが、これは何を意味するのか、先ほどの総括的な説明とはちょっと違うと思うのでお聞きしたい。

(事務局) 13ページの一覧表でボーリング孔採取水の濃度を御覧いただくと、いくつかの処分場において、通常、一般の公共用水域で見られるような濃度に比べて高い濃度が見られた。その処分場について、もう少し離れたところの影響を見るため、さらに数十m離れて測定したところ、濃度はかなり下がっていた。そういう意味では、影響は見られたものの、近傍に限られていたのではないかというような結論が導かれた。

(委員) 参考資料6を見ると、現在、法律的に認められている最終処分場でも、かなりレベルの違いがあるということが分かる。今後、維持管理基準を作成するに当たり、最低限満たすべきレベルの基準と、望ましく高いレベルの基準のような、多少幅を持たせる、あるいはレベルを分けたような考え方というのは可能か。

(事務局) 法律上、維持管理基準を定める場合は、基本的には最低限守ってもらわなければならない基準を定めることが最低限必要かと思っている。

(委員) 特別措置法の趣旨は、なるべくダイオキシン量をゼロに近づけようということと思う。法律で要求されている基準にプラスして、今後努めるべき維持管理の部分があれば、それはそれでまとめて、実務に反映するような工夫もできないだろうか。

(委員) この維持管理基準というのは、最終的に公共用水域に入る基準と考えてよいか。

(事務局) 放流水の基準ばかりではなくて、飛散をどう防ぐか、そちらの方の影響もあると思うので、単に放流水だけでいいかどうかというのは十分御議論いただきたい。

(委員) 「周囲に影響がないように考える基準だ」ということだが、周囲に影響がないということは、通常の排水基準のような環境基準の10倍のような形にはならないということもありうるのか。

(事務局) 特定施設の排水の基準の考え方をどうするのかということも関係するので、そちらの検討状況も見ながら、本部会でも御議論いただきたい。

(委員) 当然、公共用水域の水質基準と合わせて考えないといけない問題がある。本部会での審議と水質部会の審議とは、ある意味で一体であるという理解でよいか。

(事務局) 整合性をとったものにしないといけないだろうと事務局は考えいる。

(部会長) 委員の先ほどの質問にあった、遮水工とか浸出液処理設備を有しない昭和52年の基準以前の処分場も対象になるとすると、決め方がなかなか難しい気がする。

(事務局) 管理しているときに新しい基準をかけるのは難しいかと思っている。

(委員) この部会では埋立処分の基準を決めるということも審議事項の一つだということだが、これは厚生省が決める焼却灰のダイオキシン濃度とも無関係ではない。灰がよりきれいになれば、より管理もしやすくなる。今、例えばTDIが4ピコグラムに設定されたという説明があったが、WHOの基準からいくと、1~4の間の一番高い4で決まった。一般の市民の立場からすると、4にしたからこれでオーケーというシナリオよりも、「今は当面4ですけれども、何年後には日本は1を目指します」というようなシナリオがどこかで欲しい。今度の埋立処分基準の設定に当たっては、「今はこれでも、段階的に」という、世界の最先端の水準を目指すような、そのぐらいの心構えで作っていただきたい。

(事務局) いろいろな基準を考える際には、当然、国民が安心できるような基準を考えていくべきだろうと事務局としても考えているで、そこは専門委員会の場でもいろいろ御議論賜ればと思っている。

(部会長) 専門委員会の検討結果がこの部会に出されるので、そのときにはそのような視点で御意見をいただくということでお願いしたい。

(委員) この部会以外にも大気、水質、土壌、それぞれ部会で検討されるわけだが、横断的な考え方とか、レベルとか、そういうものが調整されていないと、最後の結果にかなりばらつきが出てくるのではないかと思う。その辺の調整はどう図られるのか。

(事務局) それぞれの部会において、ダイオキシンの排出自体を低減させる方向での論議を並行して進めるということになるが、その辺の調整の関係については、事務局である環境庁内部できちんと調整していきたい。

(委員) 最終的にはゼロに近づけるのだというような意思で作られる部会と、まずは4ピコグラムを達成してからやっていくという部会と、それぞれ考え方がある程度統一されていないと、アンバランスな基準ができる気がする。調整は事務局でされるということだが、十分にやっていただきたいと思う。

(部会長) ダイオキシン類対策特別措置法ということで、対策を一本化した法律が出たが、それぞれの部会で従来通りの仕切りで議論されるということになってしまった。

(委員) 地方自治体でも更に厳しい基準を作ることができるとなっており、場合により差が出ることも考えられるので、国民から見たときに、納得、理解できるよう、その辺の考え方の整理をよくお願いしたい。

(事務局) もう少し具体的に申し上げると、総排出量を9割削減するということが政府の方針であるが、例えば大気については、インベントリーに占める割合が非常に大きいので、全国的に統一的な基準で、それに即した対応ができるような措置を考えていくというベースラインがある。それに対し、水については、インベントリーの中で非常に割合が小さいのに、なぜ規制をやる必要があるのか、と先日の水質部会で委員から御指摘があったが、水の場合は、地域によって、排出源に近いところでは非常に高い濃度が出る可能性があるため、そこにきちんと対応していく必要がある、という前提に立って対応していく。現状の1人当たりのダイオキシン摂取は上限4pgに対し2.6pgであるが、大気、水、土壌、廃棄物経由の一般環境への影響を極力減らしていくということを、政府内においてベースとなる考え方として持って対応していく。

(委員) 4年以内に9割削減するということを閣僚会議で決定したということだが、この目標をどうやって具体的に達成しようとするか、そのプログラムは何かあるのか。

(事務局) インベントリーの中での寄与率を見ていただくと、燃焼系由来が非常に大きいので、そこの削減をいかに強力に進めていくかというのがベースになると思う。しかし、水、廃棄物処分場からの排出自体を例外とするということではなくて、それらからの排出についてもその原則を適用しつつ、いかに現実的な対応でもって非悪化の対応を図っていくかということになると思う。

(委員) 皆が「9割、頑張りましょう」という感じで考えるべきなのか。

(委員) 要するに、トータルでということである。

(事務局) 原則はトータルであるが、あの人がきちんとやってくれるから俺のところはいい、ということにならないように、みんなで技術水準を勘案しながら、きちんと対応していくということではなかろうかと思う。

(部会長) インベントリーでは、一廃・産廃で、小型焼却炉がかなり大きな割合を占めているというのは今までなかった。この辺はかなり努力をしないといけないだろうが、だからといって、ほかのものは何もしなくていいということではないだろう。しかし、9割という目標はかなり厳しい。

(委員) 9割削減は非常に重要なことだが、平成9年よりも9割削減した状態を何年間ぐらい続ければ、環境中の濃度が半減するというような予想があれば、教えていただきたい。
(事務局) 今まで保健部でも基礎的な調査をして、光が照射する以外の、物理化学的なあるいは生物学的な分解は可能性が低いと言われており、一旦排出されたものについて、それをリメディエートするというのは非常に難しいことだろうと思う。ただ、そういう観点からも、これからダイオキシン対策を総合的に進める過程で勉強していくというのが、今の環境庁のポジションである。

(委員) この話は、あくまで政策目標としてこういう決定が行われたと理解すべきで、これから外へ出ていくものは少なくなります、ということだと思う。しかし、数字ではっきりと政策の目標を提示するということは今まであまりやられていないから画期的だとは思う。しかし気になるのは、これはクロスメディアで動いていくわけだから、それぞれのセクトだけでやってもしようがない面があるし、最終的には多分水の中にいくのか、食物の中にいくのかという形になっていくのだろうと思う。その辺の全体の流れが必ずしも十分に把握できていない状況の中でこの政策が進められるのだから、もっといろいろ検討すべきことは積極的に検討していかないと、非常に偏った結果になっていくのではないかという気がするし、9割減ったからそれでもう大丈夫だというのは困る。今までも、有名なものが出てくるとそれを下げる努力だけして、ほかのことは何にもしないという対策をしており、今回もダイオキシンの対策だけやったら、化学物質対策が終わったとされるのは怖い。化学物質全体を問題にしなければならないので、こういう形で突出して一つのものだけを大きな声で騒ぎまくるという政策の進め方には疑問がある。「たくさん出ているから」と言うけれども、そこから次にどういくのかというところをよく見ていかないと、どこをたたくのが一番効率的なのかということが分からなくなってしまう気がする。やはり調整が必要で、しっかり調整をしてやっていただきたい。

*次の部会は、10月末あるいは11月初旬の予定。

--了--