中央環境審議会第22回廃棄物部会議事要旨


1.日  時  平成11年1月20日(水)10:00〜12:00

2.場  所  法曹会館 高砂の間

3.議  事  ・総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方に関するとりまとめについて
・その他

(水質保全局長) (あいさつ)

(事務局) (配付資料確認)

(事務局) (資料2,参考資料1〜3に沿って説明)

(部会長)市町村の人口規模別の処理費用のデータはないのか。自治体の行政費用については,人口15万〜30万程度の規模が一番効率的になる,という論文もあったが,ごみ処理についてはどのような規模が一番効率的になるのか,ということがわかればいいのだが。

○ 都市規模別に調査したことはないが,全体として,以前と比べると,一般会計に占める一般廃棄物費用は増えているという印象がある。以前は4%前後ではなかったか。し尿処理費用は減っているにも拘わらず全体では増えているので,ごみ処理費用はその分も含めて増えている。

(事務局)本日は手元にないが,参考資料の出典となっている資料には載っていると思う。

○ 自治省の資料には清掃関係の資料も全てあるのではないか。

○ 参考資料2の3ページに,政令指定都市で粗大ごみ以外の家庭ごみを無料で処理している市が4市であるにも拘わらず,粗大ごみを無料で処理しているのが6市ある,ということに違和感を覚える。

(事務局)後ほど確認させていただく。

○ 参考資料1に最終処分場の残余年数があり,一般廃棄物は8.5年とあるが,実際はもっと長く使えそうな印象がある。残余年数の算定はどのようにしているのか。計画処分量のようなものがあるのか。

(事務局)現在の処分場の残余容量を現在の最終処分量で割っており,今後新規に設置される処分場まで考慮に入れて算定はしていない。

○ 参考資料2にごみ処理の歳入・歳出があるが,ごみ発電によって得られた電力を売電したときの収益はどのようになっているのか。このような観点は,今後に向けて重要な分析になる。
  また,処理施設設置に伴う周辺地域振興のために支出される費用はどのようになっているのか。

○ ごみ処理費用の歳入に「その他」があるが,これに売電収益が含まれているか,歳出に「工事費」があるが,これに地域振興も含まれるのか,を確認すればいい。

(事務局)後ほど確認させていただく。

○ 一人当たりごみ処理費用が18,000円弱(/人年)となっており,これが高いか安いか,はわからないが,これは,昨年行ったヒアリングにおいて消費者代表の方が現在よりも多く負担してもいい,といっていたこととも関連する。一方,産業界からは負担増に対して反対する声が強く出ていたが,産業界での廃棄物処理の費用のデータはないのか。

(事務局)一般廃棄物については市町村等が処理を実施しているので,その経費もとりまとめられているが,産業廃棄物については個々の事業者間の経済活動なので,申し訳ないがデータは持ち合わせていない。後ほど確認させていただく。

(部会長)色々御指摘を頂いたので,事務局でできるだけ資料を集めておいてほしい。

(事務局) (資料3,4に沿って説明)

○ このとりまとめでは「隙間のない」は施策の形容詞として使われており,物質循環は「とぎれのない」という言葉で形容しているが,2ページの3行目だけ「隙間のない」物質循環という表現があり,他と平仄がとれていないので,表現を検討してほしい。
  資料3で議論してほしい,というポイントがあるが,その中でリユース・リサイクルの順位はLCAに基づいて評価すべき,というコメントがある。これへの対応について,確かに原則として第二にリユース,第三にリサイクル,という原則を位置づけることは重要だが,「原則」といった途端に強い規範性を持ってしまうおそれもある。例えば,古い型式の自動車は環境負荷が高いので新型に乗り換えるべき,という議論もあり,この場合,長く製品を使用していこう,といっていることと矛盾する。このような問題に対しては,資料4の7ページの最後のパラグラフにある「環境負荷が大きいものについてはこの例外とする」という考え方で対処するのであろうが,現在の文案ではこれはリサイクルにしか適用されていない。全体としてLCA的な視点をきちんと入れて,優先順位はあくまで原則であり,環境負荷を全体として考慮すべき,ということをもっと上位に位置づけるべきではないか。
  同じページに「焼却・埋立等はリユース・リサイクルが環境負荷の程度や技術的な観点等から不可能なものに限る」という表現があるが,この「不可能なものに限る」というのも強すぎるという印象があり,「不合理なものに限る」くらいに幅を持たせてはどうか。ただ,幅を持たせると例外がたくさんでてきてしまう,というおそれもあり,これは全体を通じてバランスをどのようにとるか,という検討が必要ではないか。
  エネルギーの観点についても記述すべき,というコメントに対して,事務局の考え方では「温室効果ガスの排出等も考慮」ということで対応できている,となっている。しかし,ヒアリングで得られたコメントのみならず,委員からもエネルギーの観点は必要,という意見はこれまでも出てきており,これは単に温室効果ガスの排出抑制のみならずエネルギーフローのようなものも考え方として組み込むべき,という議論ではなかったか。私としてはどのように組み込めばよいかはわからないが,検討すべきではないか。
  10ページの役割分担のところで,「責任」という言葉を使っているが,この言葉をどのような意味で使うかについては認識を共有しておくべき。費用負担の責任,行為の責任など様々あるが,法的に「責任」といった場合,かなり強い用語になる。役割分担の章の最初のパラグラフでは「排出者の責任」といったようにやわらかく書いており,これはいいのだが,次のパラグラフになると「排出者責任」といったように強い表現となってしまっている。これは平仄を合わせるべき。また,排出者の役割の部分で国民は費用負担の責任と言っている一方,事業者は行為の責任を負っている。また,行政には役割だけで責任という言葉を使っていない。さらに,自治体の役割は具体的に書いてあるが国の役割はあまり書いていない。全体として表現を整理すべき。

(事務局)「排出者の責任」の「の」が欠落しているのは単なるミス。
  中央環境審議会において御議論頂く中で,環境負荷の低減と物質循環という切り口で御議論頂いており,環境行政の主要な課題となると考えている。
  これをコスト面から見ると,(環境負荷低減を経済に適切に織り込まないことは)短期的にはコストは安くなるが,長期的にはコスト増を招く,ということになる。これに対処することにより,持続可能な経済社会を構築する,という考え方を整理させていただいた。
  これを進めるに当たって重要なのは社会を構成する主体の主体的な取組であり,そのためには各主体の責任の明確化。これについては汚染者負担原則が基本であり,これを踏まえればまず排出者の責任を明確にし,さらに製品生産者の責任を明確にする,ということで整理させていただいている。これにより,コスト削減と効率化ということをシステムとして整備するにあたっての基盤となると考えている。さらに,このように責任を担う者が静脈産業に適切にコストを支払うことにより健全な物質循環を確保していく。また,排出者等の責任を明確化する中で,公共関与は極力小さいものとしていく。ただ,公共関与が必要な部分もあり,どのように対応していくかは今後の課題。

○ 6ページの「隙間のないシステムの構築」の部分に関連して,リサイクル素材と新規素材との隙間という議論がある。具体的には,リサイクル素材が有害物質に関して厳しい基準が要求される一方で,新規素材はそのような基準がない,ということで,この新規素材の部分に隙間がある,という問題意識は織り込む必要があるのではないか。
  廃棄物処理は負のイメージがあるが,長期的に見れば廃棄物処理も環境にプラスになる,という方向性も必要ではないか。例えば,土地の形状の変更によって環境の質の向上に資する,ということも考えられる。
  物質循環確保のための手法が例示されているが,単なる羅列にとどまらず,部会として方向性や評価を示すべきかどうか,というのは今後の検討課題となろう。

(部会長)手法の例示にとどまっていればよいか,という問題意識は持っており,部会として具体的な方向性が提示できれば,と考えている。

○ 18ページの「再生原料の使用義務づけ」とあるが,これと関連して,リサイクル(再生処理)はしても,それによって得られたものの利用が進まなければ循環は回らない。原料を大量に使っているメーカー,使えるメーカーが使うように義務づけをしなければ,マーケットだけに任せてもうまく回っていかないのではないか。例えば容器包装リサイクル法では義務づけが規定されており,再生原料の再利用ももっと強く打ち出していくべきではないか。

(事務局)御指摘の点については,「義務づけ」という強い措置を手法の一つとしてあげさせていただいているが,具体的にどのようなものを誰に使ってもらうか,ということは今後の検討課題。

(部会長)食品残さについて農水省において,建築廃材について建設省において,それぞれ個別のリサイクル法が検討されているようであり,順次進んできているという印象を持っている。

○ 「リサイクル」という言葉は,広い意味で使われたり狭い意味で使われたりする。「廃棄物・リサイクル」といった場合は「リサイクル」には「リユース」も含んでいるが,他の部分では「リユース・リサイクル」と分けて記述しているところもある,という理解でいいのか。
  1ページの4行目に「リユース・リサイクルの停滞」とあるが,リユースは停滞しているが,リサイクルは缶やびんも相当進んでおり,古紙も世界的にみれば進んでいるといえる。

(事務局)タイトルとして「廃棄物・リサイクル」と使った場合はリユースも含めてリサイクルと言っている。他の部分についてはリユースとリサイクルを使い分けているが,整理不十分のところは改めてチェックさせていただきたい。また,リユースとリサイクルの進捗状況の違いについては御指摘を踏まえ整理させていただきたい。

(部会長)タイトルではリユースも含めて「リサイクル」と言っておいていいと思うが,LCAを行う場合でもリユースとリサイクルは分けて考えているので,本文では整理すべき。

○ 意見募集で得られたコメントの中で,サーマルリサイクルについての議論があるが,単なる焼却では区別して考えるべきことをとりまとめに盛り込むべき。 わかりやすくしよう,という工夫はわかるが,まだわかりづらいところがあり,これは一つの文章が長すぎるからではないか。もう少し文章を切った方がよいのではないか。
  「大量生産・大量消費・大量廃棄」という言葉は使い古されたものであり,これが冒頭にこの言葉があると文章全体の印象が目新しいものと感じられなくなってしまうので,表現を工夫してほしい。

○ (排出時点とリサイクルをする時点に)時間差がある,という場合もあり,この場合,この間ストックしておく,ということになる。例えば,リンは今はリサイクルできないが,将来的には可能になる,ということは以前も指摘しており,このような観点も盛り込めないか。
  用語の問題として,「廃棄物処理『業者』」「流通『業者』」といった言葉は「事業者」とした方がよい,という感じを受ける。

○ 「業者」という用語は検討すべき。
  静脈産業をしっかり位置づけたのは評価できる。
 役割分担の話で,先ほどの事務局の話では「官はひっこむ」ということを言っていたが,消費者や事業者に対する教育は公の重要な責任ではないか。

(事務局)環境教育の必要性については記述してあるが,更なる記述をすべきか検討させていただきたい。

○ 目標の設定と関連して,参考資料1に一般廃棄物のリサイクル率の推移があり,増加傾向にあるが,この現状のトレンドがどこかで行き詰まったときに,その上で更なる向上のために国が容器包装リサイクル法のような施策の効果を上乗せしていくことでこれだけ向上する,といった,数字を説明する要素がわかるとよい。
  産業廃棄物について,近年最終処分量が減少し,減量化率が向上しているが,これが技術的な改善効果なのか,単なる統計上の誤差なのか,数字の変化の要因の説明があるとわかりやすい。

(事務局)御指摘のとおり,数字のトレンドの要因を解析すべきだが,現状はなかなか難しい。しかしながら,目標の設定を行うに当たっては,そういった分析は必要であり,今後の課題として勉強させていただきたい。

○ 手法の例示に様々な直接的手法があげられているが,参考資料1のA3の表にあるように,自主的取組が進んでいる。産業界としては,有害物を含むものやデザインが良くないものなど,マーケットに受け入れられないものは自然と消えていかざるをえない,という認識であり,これに上乗せして法的に規制や義務づけをするよりも,事業者の発意を活かすような方向性とすべきではないか。

(事務局)御指摘の点については,誘導的手法をメインとしてまとめさせていただいており,また,全体として各主体の創意工夫が活かされ,柔軟性のある仕組みとする,という考え方でまとめさせていただいている。なお,直接的手法の例示の中には,既に法的措置のとられているものもある。また,むしろ自主的な取組の隙間をうめるために補完的に直接的手法を導入する,という考え方も盛り込んでいる。しかしながら,まだ記述が足りない,ということであれば御指摘を頂いたうえで検討させていただきたい。

○ 「責任」という言葉の意味について,日本人は責任感は強いが忘れやすい,とよく言われている。このとりまとめ案では「責任」という言葉は慎重に書かれているが,業者の責任能力を明確にするための審査に厳格性を持たせるということも必要ではないか。
  国の役割については,数字を示すのはなかなか難しいかもしれないが,(循環型社会として)目標とする姿と道筋を明確にするという役割がある。

○ このとりまとめの取扱,とりまとめの後の対応について,あまり固定的な考え方を持たない方が適切ではないか。中環審では,具体的に法令の改正について諮問されれば答申するが,政策提言的な諮問の場合,考え方を示して,後の対応についてどのように対応するかは行政の役割,というスタンスをとってきた。
  手法の例示について,(単なる例示の羅列ではなく)プログラム化して示すべき,という御意見もあったが,むしろ現段階はこのような形でいいのではないか。ただ,ここで述べられている「直接的手法」は直ちに「法的規制」という意味ではない。例えば,ガイドラインを示す,というのも一種の直接的手法。分野やものによって様々な手法の適用がありうる。
  目標を示す,ということについては,具体的に数値目標を示す,ということは,「基本的考え方」を示すというこのとりまとめの性格上,とりまとめに盛り込むのはなじまない。むしろ,とりまとめに示された基本的考え方に沿って,例えば環境基本計画の見直しの中で目標を具体的に考える,という作業が必要になろう。このとりまとめの性格は基本的考え方の整理であって,各論はその次の段階。

○ 東京商工会議所から提案をし,それが盛り込まれていることは評価できる。 LCAとの関連で,第二にリユース,第三にリサイクル,ということはLCA的に考えてもそのとおり,というのはわかるが,サーマルリサイクルやマテリアルリサイクルといったリサイクルの中身まで順位付けするのは疑問。ものによってはサーマルリサイクルの方が環境保全上優位になる場合がある。
  また,18ページに「製造段階でのライフサイクルアセスメント」とあるが,廃棄物処理の段階でもLCA評価は行われるものであり,このような表現は誤解を招くのではないか。
  19ページに環境管理・監査の普及の記述で,企業に限定して推進するという書きぶりになっているが,自治体でもISO14001の取得がかなり進んでいる。役割分担の部分では行政の役割もきちんと書いているので,この部分でことさらに企業に限定するのはいかがなものか。

(部会長)次回の部会では,本日の御議論等も踏まえ,文章を適宜修正し,とりまとめの形として改めてお諮りしたい。
  次回の部会でとりまとめたいと考えているので,事務局と相談して改定案を早期に作成し,事前に委員各位に御送付するので,コメント等があれば事務局までお寄せいただきたい。

(事務局)次回のスケジュールについて,3月10日午前,3月12日,3月19日午前を候補として,事務局から改めて調整させていただきたい。





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