中央環境審議会第21回廃棄物部会議事要旨


1.日  時  平成10年11月13日(金)13:30〜15:30

2.場  所  中央合同庁舎5号館共用第6会議室

3.議  事
 ・総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の在り方に関する意見の募集の結果について
 ・総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方について(意見募集結果等を踏まえたフリーディスカッション)
 ・その他

 (事務局) (配付資料確認等)

 (林委員) (北海道・東北・関東ブロックヒアリングについて概要報告)

 (事務局) (北海道・東北・関東ブロックヒアリングについて報告)

 (浅野委員)(中部・近畿ブロックヒアリングについて概要報告)

 (事務局) (中部・近畿ブロックヒアリングについて報告)

 (小林委員)(中国・四国・九州・沖縄ブロックヒアリングについて概要報告)

 (事務局) (中国・四国・九州・沖縄ブロックヒアリングについて報告)

 (事務局) (参考資料(郵便、ファックス、電子メールで寄せられた一般意見)について概要次のとおり説明)
 ・応募総数は203件、うち郵便61、ファックス116、電子メール26。
 ・全般的な評価としては、「考え方は評価できる」という意見が多かった一方、表現について「よりわかりやすくすべき」といった意見も多かった。
 ・大量リサイクルとならないような循環の確保や、適正処理の必要性についての指摘が複数あった。
 ・発生抑制の重要性の指摘が多かったほか、サーマルリサイクルへの厳しい指摘などが複数あった。
 ・対象物の定義・分類については、現行制度の見直しに関する指摘が多数あった。
 ・役割分担については、汚染者負担原則の徹底のほか、排出者責任の徹底、特に消費者の排出者としての責任の明確化や、製品生産者の責任の徹底などに関する指摘が多数あった。
 ・発生抑制やリサイクル促進に資する優遇措置の拡充の必要性に関する指摘が多数あったほか、環境への負荷の高い製品等に対する税・課徴金制度の導入や、有害物質に対する生産規制などに関する指摘も多数あった。
 ・情報基盤の整備については、環境教育の重要性の指摘が複数あったほか、製品への表示や廃棄物交換情報の提供システムの必要性についての指摘が複数あった。
 ・その他、行政体制の一元化や横の連携の強化の必要性の指摘が多数あったほか、意見募集について、その周知期間をもっと長くするなど、より多くの声を集めるべき、という指摘が複数あった。

○ 寄せられた意見をみると、リサイクルが経済行為である、という認識が拡がっている、ということが分かる。処分場問題などについて、住民の本音としてどのような指摘があったのか。

(事務局)「循環」というテーマであったためか、リサイクルに関する前向きな意見が非常に多かった。ご質問のような意見についてはほとんどなかった。

○ デポジットの必要性について多くの意見があったようだが、デポジットをやらない(預り金を上乗せしない)小売店が消費者に選択されてしまうおそれがあるなどの問題点があり、うまくいかないのではないか、という議論が当部会でもあったと記憶している。

○ (中部・近畿ブロックヒアリングでは)デポジットの必要性についてはあまり指摘がなかったが、婦人団体などから意見が寄せられた。一般的には、デポジットについて、ごみのポイ捨てに対する罰金と同じようなもの、という誤解があるのではないか。デポジットを本格的に導入するのであれば製品類型ごとにしっかり検討し、答えを出さなくてはならない。

(事務局)郵便等による一般意見の中にはデポジットに関する意見も多数あった。

○ もっと広く国民の意見をきく機会を多く設けるべき、という意見はその通りだと思う。参考資料について、一般意見の職業別内訳のうち、「公務員」には地方自治体の職員も入っているのか。廃棄物行政の現場を担う地方自治体の職員の意見は重要。

(事務局)ここにある「公務員」のほとんどは自治体職員。教員は別立てにしているので、行政官等がここに分類されている。ブロック別ヒアリングでも自治体の職員の方からの意見発表を頂いている。

○ 中部・近畿ブロックヒアリングでは、小松市の助役から御意見を発表していただき、その中で、歳出の約3%がごみ処理関係費用で、今後増えていく傾向である、という報告を頂いた。ごみ処理については、自治体の財政力や人口によりレベルに差が出る。ダイオキシン対策で高温連続焼却が求められているが、これは人口の多い自治体でないと自前では難しい。人口の少ない自治体は共同で広域処理をすることになるが、輸送の問題や施設設置についての合意形成などの問題がある。
  全国市長会においても、廃棄物処理対策特別委員会を設置しており、年内には市長会としての意見をまとめ、発表していきたいと考えている。
  ブロック別ヒアリングについては、発表者が開催県からの出席がほとんどであり、ブロック全体としての色彩が出ていない。アンケート方式などにより今後意見集約していく必要があるのではないか。

○ (個人や団体のおかれている)立場によって意見は違ってくる。利益が相反するような立場の人たちの意見の違いを整理すると問題解決の方向性が見えてくるのでは。そのような観点から何か気づいた点はあるか。

(事務局)後ほど資料4に沿って御説明したい。

○ 中国・四国・九州・沖縄ブロックに参加した。部会ヒアリングでは大きな全国的団体からの大所高所からの意見が多かったように思うが、ブロック別ヒアリングでは地域性に根ざした意見が多かった。
  たたき台について、「具体性が少ない」という意見が多く見受けられるが、地域的な話も含めた各論に関する事項は、補足版のようなものを作ってもいいのでは。
  排出者の意識向上の重要性に関する指摘が多かったが、教育の中でこの問題をどう取り扱うか、ということが重要。

○ サーマルリサイクルに関して厳しい指摘が複数あった、とのことだが、どのような観点からの指摘なのか。

(事務局)マテリアルリサイクルを優先すべき、という観点と、燃焼に伴うダイオキシン発生を問題視する、という観点の二つが主。

(部会長)今後も議論していくべきだが、たたき台において、マテリアルリサイクルを基本とすること、サーマルリサイクルに当たっては環境保全対策に万全を期すべきことなどは既に盛り込まれている。

○ ブロック別ヒアリングに参加して、国民の期待の大きさを感じたが、現在のたたき台には具体性が欠ける、もっと踏み込んでほしい、というメッセージが多かった。

(事務局) (資料4に沿って説明)

○ 寄せられた意見に対して、現状の取組の実績をおさえた上で議論すべき。例えば、率先実行、建設廃棄物のリサイクル、ごみ処理の有料化などについて、実態をできる範囲で提供してほしい。

(事務局)次回までにできるだけ資料をそろえたい。

○ グリーン購入ネットワークには、率先実行計画を作っている自治体などはまとめられている。同ネットワークで提供されている資料を見ると、企業などの取組は思った以上に進んでいると感じる。
  基本的考え方のまとめ方としては、まず、「わかりやすくしてほしい」という要望には応えるべき。
  内容については、両論に分かれた意見など様々な指摘があるが、できるだけ議論して溝を埋めていくべき。サーマルリサイクルの扱いなど、具体的な議論をすれば一つの方向に収れんしていくのでは。廃棄物・リサイクルの問題や取組の現状については、本文ではなくコラムのような形で盛り込んでいけばいいのでは。
  たたき台の構造そのものに対する否定的意見はなかった、と理解している。

○ 汚染者負担原則(PPP)については、9月の(第20回廃棄物)部会で鮮明な対立があったので、もう少し議論を深めていく必要がある。

○ PPPについては、従来の公害汚染→事業者責任、という図式のみで理解されている側面があるが、廃棄物については、このたたき台において、排出者として消費者にも責任があること、間接的な汚染者という意味で製品生産者にも責任があること、を明確にしている。

(部会長)たたき台において、PPPについてはしっかり記述しているが、読みづらいのか。OECDにおけるEPR(拡大生産者責任)の議論は今どういう状況になっているのか。また、日本からは誰が(ワークショップ等に)出席しているのか。

(事務局)現在、検討は最終フェーズに入っている。ヨーロッパではEPRの考え方が一般的になりつつある。プロジェクトのスポンサーが日本で、厚生省の予算から拠出されているので、主として厚生省から出席している。

(部会長)拡大生産者責任と製造物責任など、用語として混同しやすい。明確に理解できるようにすべき。

○ 今回の意見募集に応募された方は、この問題に対する意識の高い人が多いように思うが、もっと一般的な人たちとのギャップがあるのでは。そのような一般的な方々の声も集め、また、当部会の審議の結果をフィードバックする、ということを進めて行くべきではないか。

(事務局)今回は、産業界、自ら活動している方、関心の高い方からの意見が中心になっている。その意見の中には、ご指摘のような一般的な人々を想定して環境教育の重要性を指摘する声が多数有った。

○ 無作為抽出によるアンケートを行ってもいいのでは。

○ 地球温暖化対策でもアンケートのようなものをやっており、そこから廃棄物・リサイクル問題にも使えそうなものをピックアップするなり、これからやろうとしているアンケート等と共同して進めていく、などのことをしてはどうか。

(事務局)環境庁の別の部局でもアンケート調査は行われているので、連携していきたい。

○ 日本人の意識は高いと思うので、アンケートをしても似たような答えが返ってくるだけだと思う。意識は十分高いが、行政からの具体策の提案の努力が不足しているのではないか。このため、総論は賛成だが各論となると話は別、というずれが生じ、理想論を言うと倫理に訴えるしかなくなるのではないか。
  このたたき台の想定するタイムレンジは不明だが、日本では一旦出すと10年位放っておくということが多い。3年ごとくらいに、そのときまでの成果を踏まえながら、考え方や目標を打ち出して行くべき。日本はドイツに比べて国民の意識が低いのではなく、行政の側が低いのではないか。
 「とぎれのない物質循環」という言葉で総論を賛成させているだけでは具体的に動かない。現在、不況で政府は無理にでもモノを買わせようとしているが、モノを買えばいずれ廃棄物になる。無理にモノを買わなくてもうまく経済が回っていく社会にするような提案を今こそすべきではないか。

(部会長)これまでの審議は、廃棄物処理法、再生資源利用促進法の隙間を埋める「日本版循環経済法」を目指している。たたき台について、具体性がない、という指摘が多かったが、今回のたたき台は、各論は敢えて捨象して基本的考え方をまとめたもの。次回の廃棄物部会にはこのたたき台の改訂案を出して審議したい。その改訂案をもとに中間的にとりまとめをし、3月頃には省庁再編なども踏まえて法としてのあるべき姿を部会として打ち出したい。
  これまでの廃棄物行政を根本的に見直す、ということでたたき台に示した基本理念は概ねご理解いただいたものと考えている。

○ 現状の姿と、それを将来このように変えていく、という姿を示して行くべき。

○ 様々な指摘に対して、現在の状況などを整理し、出していくことが情報提供につながるのではないか。

○ 消費者の立場からは、製品への表示が重要。この問題一つとっても大変な議論になる重要な課題。たたき台はどれくらい具体的に書くことをイメージすればよいのか。例えば、法として整備する、といったようなことまで書くのか。

(事務局)現段階ではそこまで一気に盛り込むのは難しいと考えている。これまでのご審議をとりまとめていただき、その御提言を受けて更に具体的な御議論をいただく、ということになるのでは。

○ 製品への表示については、既にたたき台において記述している。環境保全に係る情報基盤の整備をどこまで進めるか、という議論になると、廃棄物・リサイクル問題にとどまらない。何のための情報公開か、ということをしっかり考えていくべき。

○ 主婦連でもアンケート調査をするが、情報公開や表示に一番関心が集まる。今後、情報基盤整備に重点をおいていく、ということを明らかにすべき。

(部会長)次回以降、ヒアリング等で出された意見、更に、本日委員各位から頂いた御意見を踏まえ、総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策に関するとりまとめについて御議論を頂きたい。

(事務局)次回の日程は、12月25日(金)の午後を第一候補として仮押さえさせていただきたい。正式なお知らせは後日改めてしたい。

−−−−−−<閉 会>−−−−−−