中央環境審議会第18回廃棄物部会議事要旨

1.日 時 平成10年7月31日(金)14:00〜16:00

2.場 所 通商産業省別館944会議室

3.議 事
総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方(たたき台)について
・ヒアリング等の実施について
・その他

(事務局) (新任委員の御紹介)
(夏季の軽装についての提案)
(配付資料確認)

(部会長)政府において温暖化対策推進大綱に基づき,夏季は軽装で執務を行うことになったようなので,当部会においても今後は,夏季の審議は軽装で行うという事でお願いする。

(各委員異議なし)

【総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方について】

(事務局) (資料3に沿って,前回からの変更部分を中心として説明)
(参考1,2について説明)

○ モノに応じて(生産,消費等の)形態が千差万別であり,類型化するなりして,各事業の実態等に着目して具体的にこのようなモノはこのように循環させる,というように考えることが必要ではないか。
対象物の範囲についても,各事業で実態は様々であり,個別具体的に考えていかないと絵に描いた餅になりかねず,混乱をきたしかねない。このたたき台では,有償で取り引きされるものであっても適切な保管等が行われる必要のあるものも対象物としてとらえていくべき,という考え方が示されているが,事業ごとにその事情は異なる。役割分担とも関わる話であり,この考え方を具体化するに当たって,そのような個別具体的な検証を行わないと混乱をきたすのではないか。

○ 前回の資料の参考2のような具体的な作業は進めており,個別の対象によって異なる対応が必要であることを無視して議論は進められないということは御指摘の通り。一方で,このたたき台をまとめた趣旨は,いきなり各論に入っていくのではなく,現行の制度にとらわれることなく幅広く議論をしていこう,ということ。具体的な枠組みを構築して行くに当たっては,ワーキンググループの中でも,まず一般原則をうちたててから各論に入る,という考え方と,できるところから手をつけていって,最終的に一般原則にたどり着く,という考え方があったが,これは「議論のたたき台」なので,その間をとった,という感がある。最終的な成果物にしていくに当たってはつめていくべき。

(部会長)具体的な肉付けはこれから。まずはたたき台にあるような基本的な考え方を示し,今後ヒアリングを行って色々と御意見を集約していきたい。

○ 発生抑制の具体的な記述で,「有害物の使用抑制や再生可能性の向上等」に「配慮」するとあるが,具体的にどのように配慮していくのか。また,適正処理についてもどのように具体的に進めていくのか。

(部会長)適正処理については,清掃法時代に公衆衛生の面から,生活環境に支障を及ぼさないように適正処理を進めてきた。我が国は,欧米が数百年かけてきた経済発展を戦後50年でかけのぼってきた,という歴史的背景により,適正処理よりも発生抑制をまず第一に,という考え方になった,と理解している。

○ 適正処理,という言葉は,一般的には法的な基準に合致した処理,と受け取られているが,コストが割高であってもより高い水準を目指すべきであると考えている。現在は,そのような高い水準での適正処理に対する誘導策はまだ弱い。

○ 例えば,独循環経済法においては,適正処理という一言ではなく,リサイクルされない廃棄物はやむを得ず処分をし,その際には公共の福祉を侵害しないような処分が必要として,公共の福祉を侵害する場合を列挙している。基本原則において,適正処理の内容をこのように具体的に書くのか,一言で適正処理と言うのか,については今後の議論。

○ 補強された部分はわかりやすくなった。3ページの部分で,発生抑制はしっかり書かれている。一方,「リユース・リサイクルと処理」の記述では,「処理はリユース・リサイクルが不可能なものに限る」とあるが,この不可能という言葉について,リユース・リサイクルに当たって多大なエネルギーを要してしまうといったように,環境保全の視点から具体的に書き込む必要があるのではないか。

(部会長)この部分は,これまでは焼却が主たる処理方法であったものを,循環型社会を目指してリユース・リサイクルを優先させようという優先順位の原則を示したもの。有害・危険なものは適正に処分した方がよいものもある。

(事務局)この優先順位の部分は,基本的に環境基本計画を引用したもの。発生抑制はあまり施策がないので,特に記述を充実させている。必ずしもうまくいっているものばかりではないが,リサイクルに関する施策はある程度あるので,記述量としては発生抑制よりも少なくなっているが,リユース・リサイクルの重要性が薄いというわけではない。

(部会長)具体的な記述については,今後ヒアリングなどを行い,充実していきたい。

○ 「不可能」という言葉には,経済的,社会的,物理的に「不可能」という概念が全部入りうる。一番広く読めば経済的にペイしないことをもって「不可能」としてしまいうるが,経済社会システムそのものを変えていこう,という議論をしている中で,コスト要因を前面に押し出すつもりはない。ここでは,LCAの観点から,リユース・リサイクルを行った方が環境負荷がかえって高まる場合を想定している。

○ 電源立地における経験から言うと,国民意識の高揚が重要。例えば,電力に関していえば,生産地と消費地の対話がなく,こういった立場の違う人たちの相互理解や意見交換がうまく進まない。そのような意味では,ヒアリングを行うことは大変いいことだが,このような対話の場をもっと恒久的に設けていくべき。
また,廃棄物の発生抑制については,費用負担がそのインセンティブを生み出す。国民や生産者など,応分の役割分担という観点が必要。例えば,電源立地に当たっての地域振興事業は税金でまかなわれているが,一般国民にはその費用負担の意識がない。費用負担の意識があれば,電気の使用などに対する考え方も変わってくる。ゴミについても,費用負担の意識を国民が持つことが必要。

(部会長)役割分担については,排出者としての国民を含めてしっかり書き込んである。

(事務局)役割分担については,御指摘のような考え方に基づいて記述している。

○ 国民意識の啓発という指摘があったが,リユースやリサイクルといったことはライフスタイルに関わる問題。我々の世代はものを大事にするというしつけがされており,このような意識の啓発が廃棄物問題の解決には必要なのではないか。その意味で,7.の情報に関する記述の部分において,環境教育に関する記述が必要ではないか。

(部会長)環境教育については,企画政策部会に環境教育小委員会が設けられ,そこで審議が始まっている。

(事務局)環境教育の重要性については御指摘の通り。このたたき台にどのように織り込むべきか,という問題はある。

○ 廃棄物の問題において環境教育は重要であり,入れ込むべき。

○ 「発生抑制」や「リサイクル」という言葉を見たとき,大量消費や大量消費といった行動の在り方を問うてはいても,「大量生産」の問題をどうするべきか,という部分に触れていない,という印象を受ける。大量生産について,廃棄物・リサイクルの観点からの問題意識を掲げるべきではないか。

(事務局)2ページに「大量生産・大量消費・大量リサイクル」とならないような配慮が必要,という記述がある。また,3ページの発生抑制の記述においても生産段階からの長期使用等の配慮が書かれており,この結果として過度な大量生産を抑制する方向に行くのではないか。

○ 耐久消費財だけではなく,包装材などの廃棄物の問題もある。

○ 耐久性の向上の前に,便利であっても環境負荷の大きい製品が出回るということそのものも問題ではないか。このような問題は,作る側と買う側の双方の問題。

○ 先ほど国民の意識の啓発についての指摘があったが,消費者が,多少の不便を被っても環境のことを考えて生活するという自覚につながる教育が必要。また,5ページの役割分担のところで,消費者と書くべきところを「国民」と書いている部分がある。

(部会長)活発なご議論があったが,このたたき台について,大筋では御了解いただけるか。

(異議なし)

(部会長)本日のご議論を踏まえた若干の修正等を含め,後の扱いについては私にご一任いただけるか。

(異議なし)

【ヒアリング等の実施について】

(事務局) (資料4に沿って説明)

○ ブロック別ヒアリングの実施について,地方公共団体の広報ネットワークや地方メディアで取り上げてもらうようなことも必要。また,ヒアリングにおける意見発表者の旅費は自己負担なのか事務局が負担するのかについても知らせる必要があるのではないか。

(事務局)ヒアリング実施に関する周知については,関係自治体にはお願いしているとともに,活発に活動を行っている団体の推薦も行っていただく予定。旅費については,予算の関係で確認する必要がある。

○ 短い発表時間の中で,私としては質問事項の(2) や(3) を主眼として聞いていきたいが,発表する立場からは(1) にある自分たちの取組状況を発表したい,という思いもあるだろう。ヒアリングの主眼はどこにおくのか。

(事務局)審議会においては御指摘のとおり,循環型社会の形成に当たって今後必要なことやたたき台に対する意見をいただくことが主眼となるであろうが,現場で活動されている方は自分たちの取組を発表したいと考えていると思うので,ここでは両方質問事項として載せている。仮に,応募者が多数にわたる場合には,今後の循環型社会の形成について積極的に意見を出している方に特に発表していただくなど,今後考えてまいりたい。

○ なるべく多くの方の御意見をきく,というのはいいが,どこかで割り切りも必要で,これまでの経験から,発表者が多すぎると時間の管理が大変に困難。
たたき台等はとっつきにくい面もあるので,うまく前向きなコメントを引き出すような工夫が必要。また,部会長の呼びかけ文の記述の中で,「最終処分の在り方を基点として,総合的かつ体系的な廃棄物・リサイクル対策について〜」という表現があるが,難解すぎる。

○ 瀬戸内審議会の経験でいうと,時間はのびてしまうものなので,議事運営における時間管理は余裕を持って行うべき。

(部会長)環境基本法や環境基本計画のときのノウハウを活かしてしっかり運営して欲しい。ヒアリング等の実施については,この資料のような形で行うことについて御了承いただけるか。

(異議なし)

(部会長)ブロック別ヒアリングは3ヶ所で開催することとなったので,各委員の積極的な参加をお願いする。各ブロックの座長については,各委員の参加状況も勘案しつつ,後日私が指名するということでよろしいか。

(異議なし)

(部会長)部会におけるヒアリングについて,対象となる全国的な活動を行う団体については,後日でも事務局の方にご希望があればお寄せいただき,それも踏まえた上で私にご一任いただくという事でよろしいか。

(異議なし)

(事務局)現在,部会ヒアリングについては,産業界,自治体,処理業者,消費者といった分野の代表的な団体に接触をしているが,対象団体のご希望があれば事務局までお寄せいただきたい。その他,公募もする予定なので,部会長ともご相談しつつヒアリング対象団体を決定したい。

【その他(連絡事項等)】

(事務局)次々回の部会の日程については,9月29日(火)の午後が最も多くの委員の皆様に御出席いただけるようなので,日程の仮押さえをお願いする。

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