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中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会(第6回)議事録


  1. 日  時  平成12年9月6日(水)14:00~17:00

  2. 場  所  通商産業省別館833号会議室

  3. 出席者

    (1)委員
    林 裕造
    上沢 正志
    土屋 隆夫
    松本 聡
     委員長
     専門委員
     専門委員
     専門委員

      駒井 武
      中杉 修身
      山口梅太郎

     専門委員
     専門委員
     特別委員

      櫻井 治彦
      増島 博
      山本 出

     委員
     専門委員
     専門委員
      (黒川 雄二 専門委員、武田 信生 専門委員、豊田 正武 専門委員、松久 幸敬 専門委員、森田 昌敏 専門委員は欠席)
    (2)事務局
    伊藤 洋 水質保全局土壌農薬課長 他

  4. 議  題

    (1)前回議事録の確認
    (2)土壌中のふっ素及びほう素に係る関係業界からのヒアリング
    (3)土壌中のふっ素及びほう素について(自由討議)
    (4)土壌中の硝酸性窒素及亜硝酸性窒素について
    (5)その他

  5. 配付資料

    資料6-1中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会(第5回)議事要旨
    資料6-2中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会(第5回)議事録(案)
    資料6-3土壌中のふっ素及びほう素に係る関連業界からのヒアリング資料
    資料6-4硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の評価に係る技術的検討課題(その2)
    -気象的条件、地形的条件、土地利用条件について-
    参考資料6-1土壌の中のふっ素及びほう素について
    (第4及び5回の配付資料関連部分及びその概要)
    参考資料6-2硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の評価に係る技術的検討課題
    -土壌中の硝酸性窒素の挙動の把握について-(第5回配付資料)
    参考資料6-3中央環境審議会水質部会排水規制等専門委員会
    (第5、6及び7回配付資料)

  6. 議  事

    【事務局】 ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会の第6回を開催する。冒頭、土壌農薬課長より御挨拶申し上げる。

    【土壌農薬課長】 (挨拶)

    【事務局】 本日の資料について確認する。(資料の確認)
     なお、本日は、黒川委員、武田委員、豊田委員、松久委員、森田委員からは、あらかじめ御欠席の御連絡をいただいている。
     それでは、林委員長に議事進行をお願いする。

    (1)議事録の確認

    【林委員長】 では早速、議事次第に従い、議事を進める。まず前回の議事録について、事務局から御説明をお願いする。

    【事務局】 資料6-1の議事要旨については、公開取扱要領に従い、まず事務局で会議の内容を議事要旨案として整理し、既に林委員長の御了解をいただいている。
     また、資料6-2の議事録案について、出席委員の皆様の御確認をいただいているところであるが、まだ最終的に確認をいただいていない部分があるので、後日確認をいただいた後に、氏名を伏せて公開資料とさせていただきたい。

    【林委員長】 資料6-2について、もし本日御確認が可能であれば、後ほど事務局の方に御連絡いただきたい。

    (2)土壌中のふっ素及びほう素に係る関係業界からのヒアリング

    【林委員長】 前回の委員会では松久委員及び駒井委員より、土壌中のふっ素及びほう素にかかる文献調査及び人為的なふっ素及びほう素の土壌環境への投入状況について、中間報告があった。事務局から土壌中のふっ素及びほう素に係る追加調査結果の報告があり、それに基づいて御議論いただいたところである。
     本日は、関連業界からの要望もあり、製鋼スラグ等の路盤材への利用に関する現状等について御説明をいただくこととした。
     本日は5つの団体を予定している。時間は、各団体とも質問等を含めて15分程度と考えている。また、説明内容は、利用、廃棄処理等の状況、再利用されるスラグ等の周辺環境への影響、再利用されるスラグ等の周辺環境への影響を防止するための技術などを予定している。そのあと関連業界の方々には御退席いただき、本日のヒアリング結果も踏まえて、議論していただきたい。
     時間的には、ヒアリングと議論を合わせて、全体で2時間程度を考えている。
     まず、ヒアリングの前に、参考資料6-1に基づき、事務局からこれまでの状況を御説明いただきたい。

    【事務局】 (参考資料6-1について説明)

    【林委員長】 では、関連業界の方からのヒアリングを行う。まず、日本鉱業協会にお願いする。

    【日本鉱業協会】 (資料6-3[1]について説明)

    【林委員長】 ただいまの日本鉱業協会の御説明について、御質問等あるか。

    【A委員】 副産物中のふっ素の含有量を削減するための技術開発が必要となると言われたが、見通しのようなものはあるのか。

    【日本鉱業協会】 はっきり言って見通しについてはわからない。しかし、例えば、ふっ素の低い原料を選択して使うといったことも1つの手かと思う。個別にはいろいろ細かい対応ができる点もあるのではないか。

    【B委員】 2ページの4.(1)、セメント・石膏ボード原料としての利用についてだが、この感じでは、土壌環境基準というよりはむしろ廃棄物としての基準としてふっ素の基準ができると困るということではないか。実際のところ、ここで書かれているのはコンクリート廃材等の話で、ふっ素が実際に溶出するということではなく、むしろ最後に処分する際のことを、懸念している問題だと思うが、これも廃棄物の話と絡むのではないかと思うが、そうではないのか。

    【日本鉱業協会】 通常の構造物用のセメントは約3%程度の石膏を混合させるらしいが、この他に、土壌の固化材としてのセメント用での利用があると聞いている。その土壌の固化材用には、石膏の混合率が10~15%ぐらいあると聞いている。特に、土壌の固化材としてのセメントについては、石膏の他に、セメントそのものにもふっ素が300ppm、400ppmというレベルで入っているとのことであり、そのような溶出の問題もやはりあるのではないかと思う。

    【B委員】 それに関連して、4(1)やその中の[1]にも関連するが、リサイクル材としての利用について、土壌資材・土壌改良材という形で利用する際に何か考えるというのは確かにあるが、利用後の土壌をどう考えるかというのもまた難しい。つまり、その土壌改良材を入れたところは土壌ではないのか、他とどのように区別するのだという話が出てくる。そのような話をどのように整理するか。資材を使用する際に区別しても、1回入れてしまった土壌をほかの土壌とどう区別するのかということである。確かに埋立処分地は、普通の場所とは別で、シートを敷き、周辺の土壌とは区別されている。そこから物質が漏れる漏れないの議論はあるが、そのような形で一応整理すると、リサイクル材としての利用についてそのあたりをどのように考えているか。

    【日本鉱業協会】 土壌改良材、例えばサンドコンパクション材という形で、スラグが使われることがあるが、スラグからふっ素が出てくるため使用できなくなれば、スラグの用途がかなり制限されてしまうことになる。そのような意味から業界の存続にかかわる問題も出てくると考えている。

    【B委員】 リサイクル材を土壌の改良材として使っていいとする。土壌と混ざるから、濃度は少し薄くなるかもしれない。すると溶出量としても濃度が下がるかもしれない。そこで、1回使った後で、通常の土壌と同様の形で試験をし、基準値を超えた場合に、改めてこの土壌は通常の土壌ではない、別であるとするのは、なかなか難しいのではないかという意味合いで、私は申し上げたのだが。

    【日本鉱業協会】 土壌改良材そのものの受け入れ基準としても、ふっ素の溶出が0.8mg/l未満と決められてしまうと、土壌改良材には使えなくなってしまう。用途の受け入れ基準といったものができてしまうと、スラグを使えなくなるという心配はしている。

    【C委員】 それでは、2点お訊きする。1つは、1ページの最初の方に、スラグと石膏の一部が、ふっ素の環境基準を超えているという実態を把握したとあるが、実際は大まかに何%ぐらいなのか。ほんの一部分だけが、環境基準を超えているということか。

    【日本鉱業協会】 スラグの発生量は266万トンほどあるが、そのうちの51万トンほどが、ふっ素0.8mg/l以上のものがあった。
     それから、石膏については、109万トンのうち、26万トンが超過しているということである。

    【C委員】 かなりの量だ。
     それから2番目の質問。溶出の問題とは違うが、副産物発生量が375万トンで、リサイクル85%いう数字は大変結構だと思うが、年々この数字が重なってくるならば、このような産業の10年後、50年後について、一体どのような見通しをされているか。建設業界は、常に拡大して港湾か何かをつくってやって行かねばならないのだろうか。少々本編から外れるかもしれないが、基本的な問題であり、一体どうなるのかと思う。

    【日本鉱業協会】 大変難しい質問である。私たちも、このようにトータルで300、400万トン近いものであるから、これからどうなるのだと大変不安を持っている。一方では、最近は、建設廃棄物も出ており、そのような中でどのように利用を伸ばしていくか、これが非常に難しい。

    【C委員】 現状ではまだまだサチュレートしていない(上限には達していない)と。

    【日本鉱業協会】 一応そういうふうに理解しているが、だんだん販路は厳しくはなってきている。

    【林委員長】 次に日本鉄鋼連盟から御説明いただく。

    【日本鉄鋼連盟】 (資料6-3[2]について説明)

    【林委員長】 今の説明について、何か質問はあるか。

    【C委員】 そちらでは、どのような試験方法を考えていらっしゃるのか。要するに、粒にして水で溶出すると、環境基準を超える可能性があるが、御説明によれば、土壌を介しては土壌への吸着によりそれ以上先にはほとんど溶出しないという面もある。そのような点も含め、どのような試験方法ということを考えていらっしゃるのか。

    【日本鉄鋼連盟】 我々が行ったシミュレーション試験の内容ではなく、実際にはどういう方法が妥当かという御質問であるか。我々が行った試験は、代表的な土壌を用いた通常のカラム試験という形である。確かに、もっと確実性をとるために、公的機関での試験も必要かと思うが、どのような方法が最も理想的で、現実に近いかという点については、残念ながら私自身が答えられない。むしろ、試験方法も含めて、専門家にも入っていただいて、もっと正確な評価をしていただくことになれば、我々は当然御協力というか、対応をとりたい。

    【D委員】 土壌に対する吸着については、まだ今まで規制値がなかったため、それほど深く研究されていると思わないが、塩素を考えた場合でも、一般にハロゲン元素は土壌への吸着が非常に弱い。そのような場合に、例えば、700mmつまり70cmの土層があれば溶出しないとの説明があったが、これはあくまでもその土壌が、どれだけほかのイオンを吸着しているかという問題もあるので、これからの溶出試験については、相当突っ込んだ詳しいデータの蓄積がないと、これだけでは大丈夫だとは言えないような気がするが、どうか。

    【日本鉄鋼連盟】 御指摘のとおりだと思う。すべての条件をどうすればいいかということであり、共存イオンの関係もあり、どういう形で付着しているのか、化合物をつくっているのか考えねばならない。
     ただ、先ほど、乱暴な言い方をして、理論では20cmに対して、70cmの土層があればいいと言ったが、これは黒ボク土の話で、黄色土はまた違う。
     ただ、現実問題、もっと乱暴な言い方だが、通常は、土層の下から地下水位までに土壌が5メートルや10メートルある。このことは、我々の気持ちの上での安心材料1つにはなっている。しかし、委員御指摘のとおり、正確に評価する際の方法は、ぜひ、吸着に関しての実際的なデータが少し不足しているかもしれないので、逆に御指導いただければありがたい。

    【D委員】 同時に、このように非常に動きやすいものは、土壌の物理性、透水性に極めて大きく影響されるので、当然、透水性も加味した上で、吸着反応というのは綿密に調査すべきだ。

    【B委員】 今のD委員の質問にも少々関係するが、ふっ素は非常に動きやすい。鉛やカドミウムといった、他に規制されている物質と比較すると、動きやすいものだと考えている。それで、日本鉄鋼連盟で実験されて、ある条件における結果が出た。地下水は大体5メートルとのことであるが、どこでもそういうわけではない。1メートルも掘れば、地下水が出てくるところは幾らでもある。そういう意味で、今のお話を伺っていると、全面的に基準といったものをつくるという観点か、あるいは条件を設定して、こういう条件であればいいだろうという観点で主張をしておられるか、その辺はどちらなのか。

    【日本鉄鋼連盟】 できれば土壌環境基準の設定はやめていただきたいというのが本音である。ただし、そうは言っても、いろいろな考え方等もあるだろうから、どのような設定方法ならばよいかという点については、何も意見がないわけではない。今、実際に地下水に影響を及ぼしてなくても、土壌環境基準を超えるという土地であるということで、いわゆる環境負荷物質に対する世の中の評価がいろいろな意味で別の悪影響を及ぼすという点をクリアさせていただける設定の仕方であれば構わない。

    【B委員】 もう1つ言わせていただければ、逆に、今そうおっしゃったように、カドミウムや鉛等は既にこのような考え方で、最後の影響の部分をどう考えているかという議論はあとでもお話あるようだが、現実にそういう規制はあるわけである。それに対して、「ふっ素だけは」という話が、逆の意味での公平性を欠くという側面はあると思う。それをどう見ていくかという話がもう1つある。実際にはどうかというのは、様々な条件のところがあるため、全面的に規制するという話になると、条件が悪いところはがまんしなさいといった話になりかねない。そうすると、やっかいなことだと思う。

    【林委員長】 次に日本フルオロカーボン協会から説明していただきたい。

    【日本フルオロカーボン協会】 (資料6-3[3]について説明)

    【林委員長】 ただいまの御説明に対し、御質問はあるか。

    【E委員】 土壌環境基準に関しては、余り御説明なかったが、最後ページにあるように、人の暴露をもとにした評価が恐らくかなり重要になると私自身も思う。例えばオランダ等で含有量で規定がされている。私も調べたことはないが、これは、溶出というより、恐らく暴露によるリスクから設定した値ではないか。そのような観点で何かお考えがあれば、お聞かせ願いたい。

    【日本フルオロカーボン協会】  正直なところ、環境、水への影響を考えた場合、日本の溶出基準が、やはり非常に有効な決め方であると考えている。やはり幾ら少量であっても、溶けてしまえば、当然地下水に入ってくることになるため、健康影響を考えた場合には、固形分としての評価よりも、溶出によるの評価の方が適切であると思う。

    【F委員】 フルオロカーボンの用途と生産量についてお訊きしたい。

    【日本フルオロカーボン協会】 フルオロカーボンとして主なものはR22と呼ばれており、冷凍機の冷媒である。それをまた用いて、ふっ素樹脂をつくっている。大きな用途としては、ふっ素樹脂、冷媒である。
     量については、大体ここで取り上げた路盤材の発生量という意味では、たかだか年間1、2万トンぐらいのオーダーである。鉄鋼等と比べると、影響はけた違いに少ないと言えるかもしれない。ただし、ふっ素の利用という形では、このほかに石膏の方への影響が多い。前にもお話があったが、そちらの方が、路盤材よりも、廃棄物の問題の方に非常に絡んでくるというのが現状である。やはり、ちょっと問題となるのは、排水規制があるために、排水処理をした路盤材の原料、この処理がちょっと問題となる。水もだめ、路盤材もだめ、廃棄物になるかという話になると、やはり産業としては成り立ちにくくなってくるかと思う。

    【林委員長】 次に日本化成肥料協会から御説明をお願いする。

    【日本化成肥料協会】 資料6-3[4]について説明

    【林委員長】 ただ今の説明について、何か御質問はあるか。(質問等なし)
     では、電気事業連合会から御説明をお願いする。

    【電気事業連合会】 資料6-4[5]について説明

    【林委員長】 では、ただいまの御説明について、何か御質問はあるか。

    【D委員】 年間約400万トンが排出され、そのうち約300万トンが色々な形で再利用されているが、残りの約100万トンが結局はストックヤードで野積みにされるということか。

    【電気事業連合会】 400万トンのうち、300万トンがセメント等の原料に利用されるなど、リサイクルされている。残りの100万トンについては、海に埋め立てたり、最終処分をしているので、蓄積されていく訳ではなく、いわゆる最終処分として管理型の処分場に処分されている。

    【D委員】 常に、動いているというか、何らかの形で戻されたり、埋め立てに利用されているということか。

    【電気事業連合会】 そのとおり。埋め立てを土地造成と解釈すれば、新たな形で利用されていることになるが、法律上は産業廃棄物として処分されているということである。

    【D委員】 御承知のように、ほう素は微量元素でも、植物にとっては、特に砂丘地ではほう素がないと正常に生長しないほど重要だが、ほう素の過剰障害で何か問題になったことはあるか。

    【電気事業連合会】 先ほど畑の話があったが、石炭灰の埋立地跡を畑で使用したが、そこではだいこん等のほう素に強い作物を栽培しているので、影響が出たことはない。ただし、陸上の排水場からの、いわゆる余水を使ったために若干過剰障害を起こしたという例はあると聞いている。

    【D委員】 水稲や水田で障害が発生したということか。

    【電気事業連合会】 水が原因と聞いている。

    【B委員】 試験法で製品有姿という形も1つの考え方だろう。粉砕についてもう1つの考え方は、どういったものでも、鉱物であってもいずれ崩壊していくため、将来的には、路盤材に使ったものはある程度細かくなるだろうということだが、今、石炭灰を路盤材に使う際、そういった状況は、どのぐらいまで把握されているか。

    【電気事業連合会】 正直なところ、どの程度まで粉砕されるかについては、繰り返し調べたことはない。基本的には、路盤材に用いる際、路盤材として必要な強度を満たしたものを使っているので、細かく崩壊するものはごく少ないと御理解いただきたい。実際に調べたことはない。

    【林委員長】 では、これで関連業界からのヒアリングを終了する。

    【関係業界説明者退席】

    (3)土壌中のふっ素及びほう素について(自由討議)

    【林委員長】 では、討議に移る。まず、討議に先立って、事務局から何かあるか。

    【事務局】 次回委員会において、ふっ素及びほう素についての全体的な討議の時間をとることを考えている。そこで、本日は、今の話の中で、事務局からこういう視点で資料を用意して欲しい、特に再利用される投入物等の周辺環境への影響という観点から、今紹介されたものをどのように取り扱えばよいか、あるいは土壌環境基準との関係でどのように考えればよいかという点を中心に、御議論いただいて、ある種の方向性をお示しいただければ、次回にそれを踏まえた全体的な事務局の考えをお示しできると思う。

    【A委員】 結局、この土壌環境基準の必要性は、地下水に対する影響の有無で決まるため、その辺がもう少し明らかにならないかという印象を受けた。できれば、その辺を明らかにする資料があればお願いしたい。

    【C委員】 ふっ素やほう素がどういった形態で存在するのか、形態によって溶解度や健康への影響が違うのかについて、今までいただいた資料からは、ほとんど読み取れないと思う。
     それから、土壌中からの溶出についても、最初かなり出て、そのあとの溶出は非常にゆっくりであることを考えると、やはり形態によって土壌中の挙動も違うのではないかと思われるので、形態によって、どこがどう違うのかという資料があればいただきたい。あるいは、形態に関わらずふっ素だ、ほう素だとして、一括してよろしいのか、その点についてもわかればお調べいただきたい。

    【林委員長】 ふっ素について、形態と土壌中の挙動や、影響や生物作用といったデータは、あるのか。

    【B委員】 多分ふっ素の方は、動くとならばすればふっ素イオンの形だけだろう。これは化学形態をもう失っている。少しずつ減ってくるのは、表面の溶けうるものは全て溶け出してしまっても、供給するものがなくなってきて下がってくるというたぐいである。あるいは、先ほどの話のように、ふっ素を含むものが崩壊をしてくると、新しい面ができ、おそらくそこから溶け出すのだろう。ただ、ほう素の方は、恐らくはほう酸イオンだろうと思うが、その点は少しまた形態が違ったイオンで存在するかもしれないが、恐らくほう酸でもうほとんど決まりではないのかと私は思うが、D委員、いかがか。

    【D委員】 私もそう思う。ふっ素については、全くB委員の御指摘のとおりだと思う。イオンとして、土にほとんど吸着されず、徐々に溶出してくるということである。蛍石は、難溶性だが、相手側と交換するアニオンがあると、長期にわたって溶出し、最後まで出しきってしまうという可能性がある。
     ほう素については、植物、特にだいこん、ながいも、さつまいも等の根菜類は非常に必要とする。根菜類の圃場では、かなりほう素肥料をやっても、地下水にはほとんどでてこない。ほう素の場合は、土壌の種類や作物によって、特に肥料として施用する場合には、動態が著しく異なる。
     先ほど電気事業連合会に質問したが、唯一問題になったのは、水稲でほう素過剰症が出て、非常に石炭灰が問題だということで、電気事業連合会が神経質になった時期がある。そのため、現在は、ストックヤードで野積みをするのは、溶出の点から問題があるということで、極力それは避けて海上、埋立地等で、作物への害が出ないようにやっていくことではないかと思う。

    【F委員】 今、業界の方からのお話によると、ふっ素やほう素を含んだ廃棄物というか、あるいは有用物というか、実態はともかく、大量に出ると。今は有効利用しているが、土壌環境基準を水質の環境基準に合わせると、その有効利用ができなくなるではないかという議論があると。その中で、水質の基準値は果たして高いのか低いのかという問題が出てくる。
     それで、前回の委員会でもお話したが、ふっ素もほう素も、ある面では必須な元素でもあり、自然界にも非常に多く存在するものである。ふっ素もほう素も(特にふっ素は)土壌中にかなり大量に存在する。そのような物質に対して、水質の基準値が果たして妥当なのかという問題があると思う。その辺の議論ができるかについてだが、水質で決まったから、そのまま土壌に当てはめ、溶出してはいけないとするかという点については議論の余地があると思うが。水質の基準は飲料水としての基準になっているので、いわゆる土地改良するような場所の水に、基準値を超えるものが出たら何か影響があるのかといった、今度はその次の段階の議論になってくるだろう。だから、その辺の議論を今後どのように進めていくかということが問題なのだと思う。
     関係業界からも、ふっ素の基準値の0.8mg/lを、もう少し上げれば、路盤材などを従来どおりに使えるという話が議論がかなりあったと思う。その点について、数値をどういじくるかという問題があると思うが、いかがか。

    【G委員】 今の問題については、水質汚濁の環境基準で健康項目として既に決まっているので、それをさかのぼって、この場で議論ができるかについて、非常に難しい問題がある。関係業界は、土壌環境基準の測定法で、粉砕して溶出させることにより、実際に想定される以上に水中の濃度が高まるという指摘をしていたが、これは水に対する影響のポテンシャルを見るという意味だろうと思う。
     ひとつ、肥料業界がよく使っている分析方法で、有姿(現物のまま。肥料であれば、袋詰めで販売されているが、その袋から出したそのままの状態。)で、どれだけのものが溶出するかという検定方法も一部にある。分析の際のサンプルの形態を考慮することによって、関係業界が心配をしているリサイクルの問題をどこまでクリアできるかはわからないが、そのような検討も必要ではないかと思う。

    【E委員】 もう一つの問題として、先ほども関係業界が指摘していた点だと思うが、利用形態というか、存在形態というか、ある形で存在していても、それが溶出しない、あるいは移動しなければ、地下水に移行せずに人への暴露経路がないという観点も、恐らくこの中で取り入れる必要があるのではないかと思う。
     例えば利用形態としてスラグを路盤材として使う場合、対策として、その下に例えば粘土質のようなものを入れる等何らかの対策を行った場合は、一般土壌とはみなさない等の利用形態に関する検討が必要かと思う。

    【H委員】 水質基準までさかのぼらないとしても、水質基準と溶出試験との関係は考え直す余地があると思う。それは、全面が汚染されていて、そこから地下水に移行する場合には直接関連するが、恐らく多くの場合は、入水面積と言うか、地下水に接する全体の面積に比べて、比較的限定された部分が高い濃度で溶出するのだろうと思う。もちろんその溶出試験がすべての土壌に成り立つということは望ましいとしても、それは随分と安全側によった考え方であって、もう少し現実的に溶出試験と水との関係は考えられないかと思う。

    【B委員】 本日、関係業界から話を聞いて、少し論点整理ができるかと思い、考えていたが、関係業界の主張の中には、土壌環境基準が全面的に反対という主張から条件つき容認という形のものがあった。条件つきには2種類あり、利用経路と土地の属性といったところから分けようという話と、それから基準自体を少しそのまま適用するのか、水環境基準はおかしいという議論は、ここではできないとは思うので、水環境基準をそのまま土壌環境基準に適応するかという議論が、考えられると思う。そのときに、先ほど申し上げた中で幾つかクリアしなければならない問題があると思う。1つは、公平性についての問題。今回、ふっ素及びほう素について、何らかの考え方を適用した場合、従前の基準との公平性といった問題が当然出てくる。そこをどう考えるかというのは、行政的に非常に難しい話になってくるだろう。
     もう1つは、土地の属性といった話を考えた際、それをうまく適合すればいいが、それを一律に存在するところを切り捨ててやってしまうと、条件の悪いところは捨ててしまうという話になる。それをどこまで考えるか。そういう意味で、情報があるかどうか分からないが、地下水と地盤で両方あればいいということなので、日本では地下水の深度はどのぐらいに分布しているのか、表層の土壌はどういうものが多いのかといったことが、次回の委員会までに分かれば少し調べて欲しい。
     先ほど日本鉄鋼連盟が、地下水位までは、5メートルまでであると言っていたが、必ずしも全てがそのような状態ではない。そういったことを少し情報として集めていただきたい。
     それからもう1つ難しいのは、リサイクルと土壌環境基準をどう考えるかという話である。この2つが結びついているから困る、そこをなんとか区分して欲しいという話があるが、土壌にそのまま路盤材を入れた場合はまだしも、土壌改良材として使った際、そのあとに残るのは確実に土壌ではないか。そこだけを特別扱いができるかどうか。これも、そのように任意的に改良した土壌は、普通のもともとあった自然の土壌とは違うという区別をしなければならないといういやらしさが出てくる。そのような問題をどう考えるかという意味での公平さ、これも一種の公平性での話だと思う。
     それから溶出試験の方法についても、長期的な視点で考えるとどうなるのかという話である。それは1つの逃げとしては、現状ではこうだ、現状で試験をやって問題ないという証明だ、将来も有姿のままでやると。土壌関係には有姿のままでやるという考え方で整理をしてしまい、時間が経過して崩壊して細かくなれば、その時に細かくなった状態で測ればよいとする。だから、現在は基準値以下でも、特に何もしなければ将来に渡ってずっと基準値を超えないのだということではなく、ある程度の時間が経てば(具体的にどの程度の時間という話もあるが)、変わってきてしまうという考え方も1つあるのかと思う。
     それから、もう一つ非常に重要な提案が電気事業連合会からあったかと思うが、そうは言いながら、不確定な部分がいろいろな意味でわからない。それに対しては、それをなんとかしていくという意味では、モニタリングをしていく、それで担保していくという考え方があるかと思うので、その辺の論点を少し整理をして議論をしていけばよろしいのではないか。

    【I委員】 暴論かもしれないが、今まで出なかった観点で、除去する技術にはどの程度のコストがかかるかについて、もう少し詳しい資料がないと、なかなか納得できないのではないか。例えば、自動車業界の排ガス規制などもできないと言われていたが、クリアできる企業が出てきて、世界に雄飛することもあった。だから、もしかしたら、日本のどこの連合会でも企業連合でもいいが、除去技術ができ、世界にその技術を売って、収益を上げるといったこともあるかもしれない。もしそれができないということならば、コストはこの程度、現状でこうだ、だから原理的になかなかできないのだという説明がなければ、公に納得してもらえないのではないか。全面的に土壌基準を設定するのはよくないという話だけでは、それこそ公平性を欠くのではないか。
     もう1点つけ加えると、地下水への影響の観点ということで、今モニタリングの話が出たが、そのような具体的なことに関する過去のデータできちんと整理していくことが必要だと思う。

    【C委員】 1つのアプローチを提案したい。一種の段階システムというか、ティアシステムを取るということもあるのではないか。現行の細かく粉にして水で溶出するやり方で基準以下であれば、これはどこに使用しても良い。しかし、基準を超えた場合は、こういう場所では使ってはいけないとか、あるいはその使用形態に応じて溶出試験をして、使用の可否を判断するシステムをつくり上げていくといったことでも良いのではないか。

    【F委員】 先ほどから少し議論があったが、本当に水質の基準値に対して、土壌の方からこれをもう一度考え直してくれということは言えないのかという点が1つ。というのは、私もかねがねカドミウム問題等でも、色々な議論があり、カドミウムの基準が決められた時にも、色々と議論があった後に決められたが、その後、多くの知見も得られている。例えば上乗せ基準などというのも、はっきりした根拠のないままに決められてしまっている。そういったものをもう一度見直すことというのは、必要な気もする。それから、私の知っている砒素の例だが、基準が5分の1になったら、ある日突然、今まで飲んでいた水が飲用禁止であるということになった。こうしたことはあまりにひどいのではないのかと思うところもあり、そういったものを見直すことも必要なような気もする。ただ、基準値は、どうしても厳しくしてしまうので、少々厳しくなり過ぎている部分があるのではないかという気もするというのが1つ。そういう意味で、基準値の見直しもあっても良いと思う。
     それからもう一つは、先ほどからの議論もあったが、水質基準は、飲料水の基準ということで、果たして日本中のあらゆる水を水道水にすることを前提とすることは妥当なのかどうかという気もすることである。その点について、国としてどのように指導というか、行政的にもっていくかということについても考えていただきたい。

    【林委員長】 これについて、事務局から何か意見はあるか。

    【事務局】 今、委員御指摘の点についてだが、少なくとも今、この場で御議論いただいている基準の考え方は、溶出基準と考えている。これは最終的には、水道水、すなわち人が飲むことを考えている数字であるので、仮に溶出基準という形で土壌環境基準を決めていただく場合には、少なくともこの場だけではなく、やはり地下水の水質環境基準や、水質の、いわゆる公共用水域の環境基準を原則にする必要があるだろうと考えている。
     ただし、土壌の場合は、例えばカドミウムのように作物を経由して米に入って、そこから暴露するものであれば、当然この場で作物経由によるリスクを考えていただく場合もあるし、将来の課題になるが、ダイオキシン類のように直接土壌から摂取する、いわゆる直接暴露する場合の考え方もある。これについては、根底にADIやTDIといったものがあるため、そこを本委員会で議論するという話はないが、土壌からの摂取というものの土地利用の形態、土壌の性質といった観点から、どういった場面を想定して摂取を考えればよいかという議論については、当然この場でしていただくものと考えている。ただ、今回はあくまでも地下水、あるいは公共水域を経由した基準というものを念頭に置いて、土壌のあり様といったものを御議論いただいているので、やはり今既に決まっているというところから始めざるを得ないというのが、今の事務局の立場である。ただし、地下水を引用するかしないかという場面であったり、あるいはそこに実際に地下水がないのに、例えば土壌の基準をそのまま運用を適用するのかという場合には、例えば今の土壌環境基準にも3倍基準という形で、地下水との関係で考慮すべき部分もあるので、やはり運用という場面が非常に重要になってくると思う。例えば、こういうものにどう環境基準を適用するのか、あるいはこういう場合にはどのように考えておけばいいのかという場面である。私どもは、今、仮に地下水経由あるいは公共水経由による影響がなければ、この基準で直ちに対策をしろということには多分ならないだろうとも思っているので、やはりその運用というあたりを中心にこの場で御議論いただけると、今の関係業界からの御意見等も踏まえ、次の段階へ進めるのではないかと事務局では考えているところである。

    【B委員】 F委員の御意見のとおり、ほう素・ふっ素に限らず、環境基準そのもののあり方を少し見直す時期にきているのだろうと、個人的には思っている。ただし、この段階では、今までの基準にのっとってやらざるを得ないのだろうと考えている。ただそうは言いながら、今回のほう素・ふっ素の場合、従来と違って、海域には適応しないことになっている。この点をうまく使うことによって、リサイクルを止めない方策が考えられないだろうかというのが1点ある。
     もう1つ別の視点で言うと、水の方では、飲用水については浄化の措置命令があるが、飲用していない地下水はその必要はないという話になっている。ただ、これは難しい話で、現在は飲用でなくても、誰かが飲みたいといったときにどうなるのだという話が必ず出てきてしまう。誰かがこの水を飲用に使いたいと言ったとき、多分使わせないわけにはいかないのだろうという点が、またいやらしい話かと思う。
     個人的にはF委員の御意見同様、そろそろ環境基準そのもののあり方全体を見直していく時期にきているのだろうと思うが、それを今この場でやる時ではないと考えている。

    【F委員】 口腔用の薬品としてのふっ素といったようなもので、矛盾ができているような部分がある。そういったものについて、ここは少しおかしいのではないかといった言い方ができないか。だから、ふっ素だけに限定すれば、0.8mg/lはなくて、1.5mg/lに上げてはどうかという言い方が、できないのだろうか。

    【C委員】 水田から流出する農薬の場合、公共用水の中での水質の基準というのは、人への健康影響ということで見ている。結局その排出源と実際にとり込まれるところの間の希釈を考えている。実際はさらに何百倍も希釈されているかもしれないが、色々考えて一応10倍という数字で規制している。
     今回の場合は、特にふっ素は、全て土壌を経由した水への影響を見ている。もちろんこの場合に、どのくらい土を経由した場合に希釈されるかどうか、これは随分幅があるだろうが、水田から流出した水が我々の口の中に入るときでも、10倍という数字を決めているがごとく、ある程度のファクターを入れれば、粉砕した試料を水で溶出させた値に10をかけてやれば、ほとんどの問題をクリアしてしまう。そういったアプローチもあるのではないかと思う。もちろん、希釈ファクターといったものを考えるため、もう少し科学的な議論をしなければならないと思う。

    【林委員長】 環境基準も見直す時期にきているのではないか、あるいは運用を少し工夫してはどうかという話が先ほどあったが、ふっ素の有害性の面から、0.8mg/lを1.5mg/lにしてもいいのではないかという御発言については、私も同意見である。実際に、昭和30年頃の斑状歯が問題になった時期に行われた会議で、ふっ素の基準が0.8mg/lに決まった。そのときには、現在の考えからすると安全性を極端に重視した評価が行われ、昭和57年の再評価においても、前回の考え方に大きな欠陥があるかどうかという確認を主体としていたと理解している。しかし、リスク評価について、当時と今では基本的な違いがある。先ほどの日本フルオロカーボン協会の説明のように、当時の評価では、障害を起こさない量、無作用量を使って、ADIを設定しているということである。無作用量のかわりに現在リスク評価に繁用されている無毒性量を使ってADIを算定すると、その値は現在の2倍程度になる。勿論、基準値の変更は難しいだろうが、当時行われたリスクアセスメントの基本的な考え方と今の考え方は違うことを参考にしていただきたい。
     その他意見がなければ、このあたりで土壌中のふっ素及びほう素についての議論は一応終了し、次に土壌中の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素についての議論に移らせていただく。

    (4)土壌中の硝酸性窒素及亜硝酸性窒素について

    【林委員長】 硝酸性窒素については、前回の委員会で、評価に係る技術的問題について御議論いただいた。今回は残された課題について検討を行う。
     では、事務局に資料の6-4の説明をお願いする。

    【事務局】 (資料6-4について説明)

    【林委員長】 では、資料6-4の技術的検討課題ごとに御質問・御意見をいただきたい。
     まず、資料6-4の1ページの課題の10について、御意見・御質問はあるか。

    【D委員】 課題10に関してという訳ではないが、御承知のように、肥料として土壌に施用する場合、窒素の形態にはアンモニア態窒素と硝酸態窒素がある。アンモニア態窒素を土壌に使用すると、最初は確かにカチオンなので土壌に吸着されるが、継続して使用すると、硝酸菌の活動によりアンモニア態窒素が硝酸態窒素になる。アンモニア態窒素を使用する期間が長いほど、土壌中の硝酸菌が増えていく。専門的には集積土壌と言うが、硝化菌が集積した土壌では、アンモニア態で施用しているにもかかわらず、極端な場合、投入後すぐに硝酸態に変わっていく。そのようなことが、畑ではしばしば起こっている。このことが、アンモニア態窒素を施用しているから、あるいは堆肥で施用しているからという理由で、硝酸態窒素の流亡や溶出はそれほど起こらないと実態を非常に過小に評価するもとになる。この土壌微生物、特に硝化菌の作用はかなり大きく、特に、アンモニア態窒素を連続施用している場合は、大きな問題があるということを、頭に入れておいていただきたい。

    【G委員】 この課題10について、硝酸性窒素のソースとして有機態窒素を把握するためにとあるが、有機態窒素を本当に硝酸態窒素のソースとして把握しようとすると、温度だけではなく、有機態窒素そのものも様々な形態があるため、かなり面倒で、そこまでやる必要性をもう一度考えた方がいいのではないか。

    【C委員】 様々なファクターが非常に多い。我々がいろいろ考えているとき、必ずどこかに安全マージンを入れる。この場合も第一近似で一番大きなファクターをとりこめば、あとはマージンの中に入ってしまうのではないかと思う。この間から話を聞いていれば、硝酸態窒素だけ押さえてもいいのではないかという気がするが、どうだろうか。それで大体カバーできれば、それで良いのではないか。

    【D委員】 良いと思う。あるいは全窒素でもいい。

    【林委員長】 では、課題11について、御意見、御質問はあるか。では、課題12はどうか。。硝酸性窒素の挙動を把握する際の、水田やその他の問題であり、これは課題4に関係してくるということだが、御意見等あるか。

    【D委員】 課題11は、土壌物理を専門にする人が非常に得意というか、土壌物理に関与することが多い課題である。田淵先生は地下水の挙動を一つのモデルの数式として、ダルシーの法則を当てはめて説明されようとしているが、これはある程度成功しているので、大体地下水モデルはダルシー法則に従うということで良いと思う。

    【G委員】 これは課題11から課題13くらいに関連するが、ほう素のところでも話があったように、地下水はかなり変動するもので、今までのモデルは余り地下水の変動しないところで組み立てられたという経験がある。私の経験では、埼玉県の扇状地で、年間の地下水の変動量が10メートルくらい変動するところがかなりあった。しかも、そこは異常に窒素肥料を施用しているため、地下水位が上がってきて、肥料をやっている層に地下水が近づいてくると、地下水中の硝酸濃度が非常に高くなる。そういうところはなかなかモデル化できず、少々困っている。

    【E委員】 私自身も地下水の流動シミュレーションをしているので、非常に難しい問題だと思う。ただ今の御指摘のとおり、地下水位の変動が時系列的だというのが一つの要因である。移動自体は先ほどの御指摘のとおり、ダルシーの法則で非常にきれいに整理できると思う。よって、定性的な移動については、恐らくシミュレーションが可能だろう。ただし、地下水の変動を考慮したような解析は、なかなか現状では難しいということで、実際には恐らくモニタリングの方が中心になると思う。

    【林委員長】 課題10~13をやその関連の議題を通して、何か御意見などはあるか。

    【D委員】 課題13にあるライシメータを使っての水の挙動の調査についてだが、垂直方向の挙動だけが非常に強調される。円筒を入れるわけなので、挙動を見るのはいいが、横浸透が全く起こらないので、その速度で落ちてくると解釈すると、大きな問題になる。

    【林委員長】 では、本日いただいた御意見、それから前回の御議論も合わせ、事務局で整理をお願いする。

    (5)その他

    【林委員長】 その他として、事務局から説明をお願いする。

    【事務局】 まず、次回第7回、次々回第8回の委員会の日程については、現在委員の皆様に日程の確認をお願いをしているところである。ただし、まだ御返答いただいていない委員もいらっしゃるので、調整の上、早急に御連絡をしたい。事務局としては、次回の第7回については10月中旬ごろ、第8回については11月上旬に開催したいと考えているが、いずれにしても改めて御連絡を差し上げる。
     次回の内容については、引き続き硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素及びほう素について、御審議をいただくことを考えている。次回は、今までの議論、あるいは排水規制等専門委員会の議論も踏まえて、論点の整理、それから具体的な対応案について、御審議をいただきたいと考えている。

    【林委員長】 では、最後に本日の資料の公開について。第1回目の土壌専門委員会で決定した取り扱いでは、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがある場合は、または特定の者に不当な利益もしくは不当な不利益をもたらす恐れのある資料については専門委員会の座長の判断に基づき、委員限りであることを明記して非公開とするとなっている。
     本日の資料の中では、資料の6-2の議事録案は、出席委員の確認がとれるまでは非公開とする。その他の資料については、特に非公開に当たるものはないと思われるため、いずれも公開にすることとしたいが、よろしいか。
    (意見等なし)
     では、進行を事務局にお返しする。

    【事務局】 それでは、第6回の土壌専門委員会を閉会する。

    -以上