土壌農薬部会議事要旨

中央環境審議会土壌農薬部会
土壌専門委員会(第3回)議事録


  1. 日  時   平成11年10月25日(月)14:00〜17:00

  2. 場  所   通商産業省別館901号会議室

  3. 出 席 者
    (1)委員
    林 裕造 委員長
    櫻井 治彦 委員  山口 梅太郎 特別委員  上沢 正志 専門委員
    駒井 武 専門委員  武田 信生 専門委員  土屋 隆夫 専門委員
    中杉 修身 専門委員  松久 幸敬 専門委員  松本 聡 専門委員
    山本 出 専門委員
    (黒川専門委員、豊田専門委員、増島専門委員、森田専門委員欠席)

    (2)事務局
    遠藤 保雄 水質保全局長
    西尾 健 水質保全局土壌農薬課長
    岩田 元一 水質保全局地下水・地盤環境室長 他

  4. 議  題
    (1)前回議事録の確認
    (2)ダイオキシン類に係る土壌の汚染に係る環境基準等のあり方及び土壌汚染対策地域の指定の要件について
    (3)その他

  5. 配付資料
    資料3-1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会(第2回)議事要旨
    資料3-2 ダイオキシン類に係る土壌の汚染に係る環境基準等のあり方及び土壌汚染対策地域の指定の要件について
    資料3-3 土壌中のダイオキシン類の水への溶出について
    参考資料3-1 ダイオキシン類の環境基準に関する他委員会の検討状況

  6. 議  事

    【事務局】 定刻となったので、ただいまから第3回中央環境審議会土壌農薬部会土壌専門委員会を開催させていただく。まず、遠藤水質保全局長より御挨拶申し上げる。

    【水質保全局長】 (挨拶)

    【事務局】 (配付資料の確認)それでは、林委員長に議事進行をお願いする。

    (1)前回議事録の確認

    【林委員長】 それでは、議事次第に沿って議事を進める。まず前回の議事録の確認について、事務局から説明いただきたい。

    【事務局】 資料3-1の第2回議事要旨については、第1回専門委員会でご確認をいただいた公開取扱要領に従い、まず事務局で会議内容を議事要旨案として調製し、既に林委員長のご了解をいただいている。また、本日委員限りとしてお配りしている第2回議事録(案)については、現在出席委員の皆様の御確認をいただいている最中である。よって、本日のところは委員限りとさせていただき、皆様の御意見を反映した後に、後日公開とさせていただきたい。

    【林委員長】 では、今の事務局の説明どおりでよろしいか。(意見なし)それでは、そのようにさせていただく。

    (2)ダイオキシン類に係る土壌の汚染に係る環境基準等のあり方及び土壌汚染対策地域の指定の要件について

    【林委員長】 ダイオキシン類対策特別措置法に基づいて各種の基準を設定するため、現在、大気や水質の各専門委員会でも審議が行われており、ある程度の報告がまとまっていると聞いている。ダイオキシン類の各媒体間の移行がこの場合に非常に重要な問題になることから、まず事務局から簡単にこれらの状況について説明願いたい。

    【事務局】 (参考資料3-1について説明)

    【林委員長】 ただ今の水質と大気の検討状況について御質問はないか。
    なければ、この大気、水質の検討状況を参考にしながら、資料3-2として用意されている専門委員会報告(案)について、報告のとりまとめに向けて議論したい。
     まず、資料3-2の「1.はじめに」と「2.土壌汚染の状況」について事務局から説明されたい。

    【事務局】 (資料3-2の1.、2.について説明)

    【林委員長】 今の説明について、何かご質問、ご意見はないか。(意見等なし)
     なければ、次に「3.土壌環境基準等のあり方  (1)基本的考え方」の部分まで事務局から説明されたい。

    【事務局】  (資料3-2の3. (1) について説明) 

    【林委員長】 ただ今の部分についてご意見、ご質問はないか。

    【A委員】 3ページに「土壌を起点とするダイオキシン類の人体への暴露経路」という図があるが、ただ今の我が国におけるダイオキシン類の人体への経路について具体的なデータが非常に不足しているため、基準値を審議するのは非常に難しい状況にあるが、分かっている範囲で結構なので、なるべくこういうデータがあるといった情報を付加をしていただかないと、議論が抽象的なものになりはしないかと思う。

    【事務局】 「土壌中のダイオキシン類に関する検討会第一次報告」のとりまとめに当たり、収集した文献を見てきた中で、コンセンサスというか、学問的な位置づけがあると思われるものについて、事務局なりに申し上げると、まずは、土壌の直接の摂食というラインが上から3本目にあるが、この部分について、もちろん不足した部分はあるが、かなりの確度でもって推定できるようなデータがあるのではないかと感じている。皮膚接触についてもそれなりにデータはあるのではないかと感じている。
     非常に悩ましいのが、一番下のライン、農畜産物を経由して、当然これは加工すれば食品になるので、食品経由ということになるが、それが口に入っていく部分については、移行メカニズムを含めてまだ分からないところがある。ただし、推定されるデータを見ると、かなりのものが、特に野菜など農作物に関して言うと、大気の寄与を示唆するデータが多くなりつつあるという感じがしている。
     それから、底質、河川を経由し、水産物を経由した暴露経路の部分は、先ほどの水質の専門委員会の記述があったように、連鎖が長く、なかなか一貫しての説明はしづらい。さらに、水質の専門委員会では飲用のリスクから基準を作っていくという評価が進められているところである。

    【A委員】 了解した。特に修文は必要ない。

    【林委員長】 他になければ、次の「3. (2)環境基準等の内容」の「[1]人の健康を保護するために維持することが望ましい基準(環境基準)」の部分について説明されたい。

    【事務局】 (資料3-2の3.(2)[1]について説明)

    【林委員長】 ただいま説明のあった[1]についてご意見、ご質問はないか。

    【B委員】 基本的にはこのような形であろうと思うが、最初のところで、「(1)に示した3つの暴露経路のうち、現時点での科学的知見を持って環境基準を設定しうるのは、第1の土壌の直接摂取の経路についてのみと考えられる」という記述があるが、これを受けて、第2、第3の経路がどこへいったかという記述がない。正確にいうには、「第2の農畜産物を経由しての経路及び水域へ移行して水産物を経由して暴露される経路については、今回は知見が不足しているので、この観点からの基準の検討は行わない」と書くのが正しいのではないかと思う。

    【事務局】 今のご指摘については、その裏返しということで、分かるのはこれですよという記述をして、(1)基本的考え方の中で、なかなか難しいということを既に書いていることから、そこは分かっていただけるのではないかということでこのような記述にした。

    【B委員】 これだけだと、確かにそのように理解できるが、まだご説明がない[2]の方の基準のところに若干関連した記述があるが、観点が明らかに違うように思う。この議論に参加していない人たちが読むと、[2]のところでそのような考慮をしているのではないかという誤解を生むおそれがある。そういう意味では、[1]の方で、その観点からしていないということをはっきりさせておいた方が誤解を生じなくてよろしいのではないかと思う。

    【事務局】 了解した。文章は今すぐに整理できないので、何らかの形の記述を入れるということで、事務局の方で準備させていただき、また委員方のご意見をいただくことにしたい。

    【林委員長】 では早速その部分を修正していただき、委員にお配りいただきたい。
     他になければ、[1]とも関係があるので、[2]汚染の進行の防止等の観点から調査を行う基準(調査指標)の部分を事務局より説明願いたい。

    【事務局】 [2]の「汚染の進行の防止等の観点から調査を行う基準」については、資料は別添として用意した。第2回の専門委員会において、このような基準の設定も考慮するべきではないかというご意見があったが、その値をどのような考え方で設定するかについては、十分な時間がなく、まだ熟度が低いということで別紙とした。(資料3-2(別添)の3.(2) [2]について説明)

    【林委員長】 今説明のあった[2]についてご意見、ご質問はないか。

    【B委員】 いくつかある。[2]のところで「調査を行う基準」と書かれているのは、誤解を招くおそれがあるので、表現を他のものに変えた方がよろしいのではないか。例えば「目安」というような言葉は、「環境基準等の内容」という中で[2]として「……基準」で、「基準値」という言葉が出てくると誤解を招きやすいので、その辺を少し工夫をした方がよろしいのではないか。
     2つ目は、考え方自体はこういう考え方で結構だろうが、数字の決め方を少し考える必要があるだろうと思う。1つは、上位5%というのは、ある割り切りのもとでの数字であろうと思うので、他の尺度・根拠が必要であろうということで、2ページ目のところで、使われたEPAのモデルと水への溶出の話と両方から大体 200pg-TEQ/g前後の値が出てくるのだろうと思う。この調査指標の値という考え方自体は、非悪化を目的とするという性格のものであろうという説明があったが、非悪化であるとすると、かなり安全なサイドというか、逆にいうと、非悪化というのは、とらえ方によっては、そこまで汚してもいいというふうにとられかねない性格のものであろうと考えられるので、少し厳しめにみる必要があるだろう。
     そういう観点からいくと、例えば、一つの観点として、EPAのモデルでは、100%の汚染土壌での1pg-TEQ/Lに対するのが 230pg-TEQ/gという試算があるが、もう少しラフな考え方で、水の中のSSが仮に100%土壌由来であると考えて、それに対して、その懸濁粒子を含めて水の濃度が1pg-TEQ/Lという値になると考えたときにどのぐらいになるかという試算をしてみますと、SSの環境基準25mg/Lに対応して、40pg-TEQ/gという値になる。しかし、SSは100%土壌由来でないということを考えると、その何倍かであろうと思うけれども、大ざっぱな割り切りをしてしまうと、100pg-TEQ/gというのが一つの数字ではないだろうか。そういう観点から、非悪化という安全サイドをみるのだという考え方からいくと、そのぐらいの数字が適当ではないかと思う。
     もう一つ、95%タイル値を求めているもとのデータ自体は、環境庁の緊急全国一斉調査、農用地の土壌調査も恐らくそうだと思うが、これらは精度管理がしっかりなされているデータである。一方自治体のデータは、必ずしも精度管理が十分でないデータも含まれていると思う。このような考え方で解析をしようとすると、精度管理が十分なされているデータを使うべきではないかと思う。どのような点からも、調べてみないと分からないが、100pg-TEQ/gぐらいの値が出てくるのではないかと思う。その辺を勘案して少し数字を考えていただければと思う。

    【C委員】 今のB委員のご質問と非常に関連しておりますので、今申し上げさせていただく。1つは、今回、[1]で環境基準、[2]で調査指標とする案だが、前回の議論では、どちらも「環境基準」という位置づけであったと思うが、今のところこのように変える方向になっているのかどうか確認させていただきたい。
     それから、ただいまのご指摘で、第2、第3の経路については考えていないということを前の方で書くべきだとおっしゃっていたと思うが、[2]の議論の中では、水のことは1pg-TEQ/Lと入ってきているので、全く考えてないということでもなくて、それを一つの根拠にしようとしているという、その辺のところの整理をもう少ししておかなくてはいけないのではないかと思う。
     それから、1pg-TEQ/Lの水質の基準を土壌からみて守るということに関しては、ただいまのご意見ともかなり近いと思うのだが、一つは、EPAのモデルでやったものは、かなり流れてしまう大きな川でやったときぐらいの濃度でこのモデルは成り立っているのではないか。そうすると、汚染土壌が実際にあって、その近くへ土壌が浸食されて流れていくところも公共用水域であるとすれば、そこも1pg-TEQ/Lを守るという視点が必要ではないかと前回も申し上げた。さらに、土壌だけで1pg-TEQ/Lを占めてもいいというと、本文中にあったように、アスファルト舗装の上から流れてくるものもあるということを一方で言っているわけであるから、ちょっととりすぎではないかと思う。
     なお、ただいまのご意見では25mg/LのSSと言われたが、検討会では10mg/Lぐらいを想定した。それにしても、200pg-TEQ/gいくらではオーバーしてしまうのではないかと私も思っているところである。

    【事務局】 「基準」という言葉をめぐるご質問であるが、[2]でいっているものは、いわゆる環境基準という従来の定義と照らし合わせると、少し性格の違うものではないかと考えている。4ページに書いてあるように、「人の健康を保護するために維持することが望ましい基準」が一般にいわれている環境基準であり、ここはやはり分けた整理が必要ではないかと、このような仕分けをさせていただいている。論議は、しからばこれを「基準」と称するのかということかと思うが、この言葉は、一定の一つの数字を出すということからいうと、何かの基準であることには違いないだろうと思い、「基準」という言葉を使いつつ、ここは環境基準ではないということを明確にするために、括弧してこの中身を明確にいうということで、「調査指標」という言葉を出しているということである。以下、「基準」という言葉を使って説明あるいは一般の国民の皆様方に見ていただいた方がよりその点については分かりやすいのではないかという観点から、このような言葉を使っている。

    【事務局】 まず、一般的な公共用水域のSSの環境基準は、河川については水域の類型別に、一番少ないところで25mg/L、多いものでは100mg/Lという値である。さらに、私どもでいろいろ調べたところ、平成9年度の公共用水域の河川のSSの実測値の平均は約10mg/Lであるので、むしろ実際には25mg/Lは現実の河川では余りないのではないかと考えられる。
     ただし、EPAのモデルでは、それを基に、SSを10mg/Lと一回置いているが、一般的に、農薬の流出モデルなどいくつかの分野で使われている中では、例えば100pg-TEQ/gの汚染土壌があったときに、実際に河川に流れるのは、土壌の中でも粒径の小さい微細な部分が先に土壌の浸食を受けやすい。さらに、ダイオキシンは恐らく微細な粒子の方にたくさん吸着しているので、先に流れやすいような微細な部分はもっと濃度が高いだろう、そういう相殺されるような関係があるかと思う。参考5で使っているEPAのモデルは、先に水に流れやすいような微細な部分は、エンリッチメント比というのが中に出てくるが、3倍ぐらい濃度が高いだろう。その代わりそういう微細な粒子で河川にたどり着くのは全体の100%ではないだろうということで、流達率とエンリッチメント比などをその補正にかけているので、先生のご指摘も一つの非常に安全側に立った議論ではあるかと思うが、SSすべてが土壌ということで説明をしてよいかという点と、さらに考慮すべき点があるのではないかと思っているところ。
     精度管理の問題は、全くご指摘のとおりで、緊急全国一斉調査と農用地のデータについては、環境庁として責任をもって精度管理をしており、自治体のデータは、環境庁のマニュアルを参考に測定しているものがほとんどであるが、そのデータ間の精度管理というものが存在しているわけではない。つまり、一つ一つのデータがそれほど大きく違うとは思っていないが、少なくとも採取地点の選定はその自治体の必要に応じてなされたものであることは確かである。
     ただし、緊急全国一斉調査あるいは農用地の測定結果から換算すると、おそらく50pg-TEQ/gより下回る程度のところにほとんどおさまってしまっているが、50pg-TEQ/g以上すべて監視なり調査なりの対象にするのかということになる。しかし、実際に自治体などが測ると、発生源に着目すれば、もう少し高い値が出ているという点をどういうふうに勘案したらいいかという点で私どもも悩んでおり、緊急全国一斉調査、農用地だけのデータが逆にすべての全国の状況を表しているのだろうかというところで、ちょっと疑問を持った点がある。この点は、他の委員からもご意見をいただければありがたい。

    【A委員】 先ほどのエンリッチメント比については、EPAの値を参考にして3と決めたこと自体、若干問題が多いのではないかと思う。その理由は、日本の土壌は、地域的に土壌の種類が異なっており、関東ロームの状況でいうと、非常に軽鬆(けいそう)な土壌、いわゆる火山灰土壌であり、被表面積が非常に大きい。非常に細かい。これは恐らくEPAの対象としている土壌、恐らくモリソルとか非常に粘質な土壌と考えられるので、この参考値3をそのまま使うことはかなり危険があるのではないか。日本のこうした土壌の物理指数は、膨大なデータがあって、簡単に手に入るので、この点を計算し直して、補正値を少し考えてみた方がいいのではないかということが一番気になった。

    【D委員】 今問題にしているのは、調査を行う基準−−言葉は別として、それをどのくらいにするかということだと思うが、一番の目的は、1,000pg-TEQ/gを超さないようにということだろうと思う。ただし、抜き取り調査というか、少数例で調べるわけだから、いろいろとぶれがある。そういうことで一体どのレベル以上だったならば、もっと調査を細かくして、1,000pg-TEQ/gを超さないようなことが確保できるかということを問題にしているのだろうと思う。そうなると、難しい議論が先ほど出ているが、そういうことよりも、これは私の考えだが、もっと単純に、調べると100pg-TEQ/gというところも出るし、50pgというところも出るし、250pg-TEQ/gも500pg-TEQ/gもいろいろな数字が出てくるだろうと思う。そうした場合に、500pg-TEQ/gと100pg-TEQ/gが出たというのであれば、まず500pg-TEQ/gの周りを詳しくやって、その周辺で1,000pg-TEQ/gを超していないかどうかを調べるのが常識だろうと思う。それをどこまで下げていくかというのは、我々のもっているリソースマス、端的にいえば、お金とか時間の問題になるのだろうと思う。そういう観点でここで決めるということでいいのではないかというのが私の思いである。
     それでは、500pg-TEQ/gでいいのか、250pg-TEQ/gでいいのか、100pg-TEQ/gでいいのかというのは、なかなか難しい。ただし、100pg-TEQ/g以上のところは全部調べるというのと、250pg-TEQ/g以上のところは全部調べるというのは、お金のかけ方も随分違うのではないかと思う。私だったら、数字がいろいろ出てくれば、まず500pg-TEQ/gのところを重点的にやり、それが終わったらば、250pg-TEQ/g以上のところをやり、まだ金と時間があるのだったら、100pg-TEQ/gでやりなさいと、だんだん下げていけばいい。確度からいって、かなり高いところが一番危ないわけだから、高いところから順々に下げていくということをうまく表現するか、あるいは500pg-TEQ/gでもいいし、250pg-TEQ/gでもいいので、そこに決めてしまう。ただ、100pg-TEQ/gでも心配だというお考えもあるようであれば、高いところから始め、次の段階としてはもう少し少ないところもやるという段階的な表現でもいいのではないか。

    【E委員】 個人的な見解だが、250pg-TEQ/gは、環境基準が1,000pg-TEQ/gの1/4ということであり、単純に考えてみて、かなり開きがあるのではないかと思う。では、今のお話のように、どこで線を引けばいいのか、あるいは目安というか指標を作ったらいいのかということについて、現段階で持っているデータに基づくというのを基本的立場としてとりたいと思う。精度管理について若干問題があるということだが、それぞれ認められた機関でやっているデータだろうと思うので、しかも95%タイルのところでそれを超しているものという一応の根拠があって、今までの考え方に沿うものではないかと思う。私自身、250pg-TEQ/gという数字はやや低すぎるような気もするが、そういう考え方を進めてくると、事務局の案で当面よろしいのではないか。したがって、これでまた調査をしていって、あるいは経年変化も調査して、進行しないようにするとか、そういう科学的な知見が集まった時点でまた考えるということがよろしいのではないかと思う。

    【F委員】 今のご意見と非常に近いのだが、前回も申しあげたとおり、1,000pg-TEQ/gというのはかなりリスクベースの話なので、これは現時点での知見が集約されたということでよろしいかと思う。問題の下の方の基準だが、こういったリスク的あるいは数値的なことよりも、今の二名の委員のご発言のとおり、比較的統計的な話というか、ここでいうと対数正規分布、母集団がまだ不明だが、対数正規分布の中で、例えば上位5%、事務局から示されたものが現時点で妥当だとすれば、私自身も、この案に近い値とすることが現時点では妥当だと解釈する。

    【B委員】 最初にも申し上げたが、この調査を行う基準の性格をお考えいただきたい。非悪化というご説明が先ほど事務局からあった。非悪化ということは、そこまでは汚染する可能性があると考えたらいいと思う。そういう意味でいくと、現状でも実際に河川経由で汚染−魚のリスクという意味もあるが、それができるだけ起こらないところの安全サイドをみるべきだろう。これは当然の考え方だろうと思う。仮にSSが10mgという数字をとったとすると100pg-TEQ/gだが、100%というのは、少し安全サイドをみすぎているという議論になるかもしれない。では、SSを25mg/L、実際にそれまでは環境基準として許容されているところで、それも、たしかAA類型の一番きれいなところで25mg/Lだったと思う。だから、もう少し高い基準のところも当然あるわけである。そういうことを考えていくと、先ほど私が申し上げた数字は、この基準の性格からして、それほどおかしな数字ではないだろう。
     例えば、500pg-TEQ/gなり250pg-TEQ/gなりにしたときに、他媒体を通じて間接的な影響を増加させないという根拠はどこにあるのか。それがどうして上位5%のところで切れるのか。昨年度の水質の調査しかないが、1pg-TEQ/Lを超えるところが9%ある。現実に水質で9%が1pg-TEQ/Lを超えていて、上位5%の土壌で汚染を増加させない。それはどう考えても、両方比べてみると、おかしい論理になるだろう。今年度の調査結果がまだ出ていないので、そこら辺のところは何とも言えないけれども、その結果を考えていっても、例えば統計的なことをいっても、上位5%でいいというわけにはいかないだろう。私も全部土壌が原因というわけではない。先ほど言ったように、25mg/L全部をということになると、40pg-TEQ/gになるし、そこまでするのは少し問題が大きすぎるだろうと思うので、100pg-TEQ/gぐらいかと申し上げている。この基準の性格が、非悪化でないという議論、あるいは前回の委員会で出たように、この基準を超えたら、次に調査をして対策に結びつくというものであれば、もう少し慎重に議論する必要があると思うが、今回は監視をしていきましょうというための基準だとあるわけだから、さらにそれを緩めてしまってよいのだろうかと私は思う。

    【G委員】 私もどちらかというと100pg-TEQ/gぐらいが適当ではないかと思う。その理由は、もし数百という数値が出たとすると、それは当然、広域汚染というよりは局地汚染によるものと考えるのが妥当だと思う。そうすると、どこかに発生源がある、もっと高いところがあると必ず考えるわけで、その周辺の住民の居住地は、1,000pg-TEQ/gを超えているかもしれないという疑いも当然出てくる。だから、情報公開ということを前提に考えると、やや高い数値が出たときには、自治体はやはりその周辺を調べざるを得なくなると思う。そういうことから考えると、同じことなのであろう。先ほど一般環境では、例えば50pg-TEQ/g未満はほとんど出ないということだった。50pg-TEQ/gを超えるような数値が出たら、どこか局地的な汚染源があると考えたら、その周辺を調べて、その全体像を明らかにしてしまえばいいわけである。そのような立場でいくと、むしろ今までのデータの中で、その数値を超えると、一般環境だけでは考えにくい、広域汚染では考えにくいという数値を選んだらどうかと思う。
     今日は出ていない資料だが、自治体調査による超過率で、100pg-TEQ/gだと、一般環境はそれまでの超過率が0.85%ですから、一般環境では100pg-TEQ/gを超える数値は1%以下になってしまう。だから、100pg-TEQ/gぐらいが一つの線ではないか。
     もう一つは、オランダは0と1,000pg-TEQ/gの間の500pg-TEQ/gをとったという。しかし、この分布が対数正規であることを考えると、1/2というのはおかしいと思う。そうであれば、1が正常なレベルで、1,000pg-TEQ/gが汚染の問題のところだが、その中間に、1から対数で上がっていくと30いくつかになるし、もし10%だったら、100pg-TEQ/g、1,000pg-TEQ/gで100%になるというような点からいくと、やはり30pg-TEQ/gとか100pg-TEQ/gとか、そのあたりになるのがすっきりするのではないかと思う。

    【事務局】 調査指標の考え方が、ご議論いただいている非悪化、要するにこれ以上は汚さないというところがポイントであることに、先生方のご意見もほぼ一致しているのではないかと思う。しからば、何かおかしいところは一体どこなのかということになると思うが、今、ご指摘があったように、上位10%なのか、上位20%なのか、いってみれば80%タイルあるいは90%タイルかといったような話に恐らくなるのだろう。そこで事務局が考えたのは、何か有意な出来事が起ころうかというポイントとして、多くの統計学で採用されているのは、恐らく95%というところではないかと考えた。
     問題は、全体的なデータとして、本当に真のデータをつかんでいるのかというところにあろうかと思うが、この点については、今調べている数にも限りがある状況にあるのは否めない。ただ、私ども環境庁がやったデータと自治体のデータ、先ほど来、自治体のデータは十分な精度管理がなされていないというご議論もあろうかと思うが、現在私どもが使えるデータは、ここにあるおよそ1,000のデータと思われるが、その中から事務局として導き出し得た数字が、先ほどの95%、それをベースにした250pg-TEQ/gといった数字ではないかということである。

    【事務局】 先ほど、上位5%でみていると、水質の9%超過に対しては説明ができないというご指摘があったが、環境への負荷という観点で考えると、これは単純に全部のデータに例えば濃度を掛けていくと、実際の負荷量が大体分かる。その分布が、一つの測定点が代表する面積あるいは体積をもし同じだと考えれば、1,000pg-TEQ/g以上について対策をとるだけで、ダイオキシン類の負荷量としては50%近くに対して対策がとれるような計算もなしうるわけである。ただし、もちろん一つの測定点が代表する全国の面積は同一ではないし、例えば農地については、均一にダイオキシンを含んでいるおそれがあるので、市街地よりも深いところまで試算している。それで考えたとしても、上位5%、さらに1,000pg-TEQ/g以上というのは上位の0.2%にしかすぎないわけだが、それが持っているダイオキシン量で考えると、1,000pg-TEQ/g以上を対策をするだけでも実際には相当量の水への負荷の低減になっている。それをさらに250pg-TEQ/g以上についてチェックしていくような仕組みにすれば、単にデータの件数から5%だから水への負荷の9%削減につながらないという議論にはならないのではないかと思う。

    【H委員】 自治体のデータが精度管理されてないという話が出ているが、「そんなことはない」と言い切るつもりはないが、基本的にはそんなことはないと思う。たとえばらついたとしても、プラスにばかりばらつくわけでもないと思うと、データというのは、数を扱って統計処理をすれば、一定の範囲に入るものだと思う。

    【林委員長】 それはやはり十分に考えた方がいいのではないかと思う。

    【B委員】 自治体ということで申し上げたのは少々失礼な言い方だったかもしれないが、そういう意味合いで申し上げているのではなく、平均と分散を見てみると、明らかに2つの種類のデータで違いがあるだろうと見えるのではないか。これは検定をしてみないと分からないが、そういうものを一緒に併せて議論するのはどうかと一つ申し上げた。それはもうこれ以上議論しないが。
     事務局から先ほどご説明のあった話だが、日本全国平均でという議論は一つあると思う。これは水質環境基準のときに1pg-TEQ/Lを決めた話が、魚経由でも日本全国平均では4pg-TEQ/kg/dayを守れるという議論の流れになっている。ただ、水質環境基準は規制につながる数字である。繰り返しになるが、調査指標はそうではない。あくまでも規制をするための数字ではないはずである。環境基準ではないのだから、対策要件にも結びつかない。そういう意味で考えると、同じ議論をして、平均的な議論だけでいいのか。水質の方についても平均的な議論ですんではいけない、早急に見直しをするとを言っているわけであり、そういう意味でいくと、例えばSSの濃度にしても10mg/Lだと言われたけれども、当然ばらつきがあるはずだ。そういうものを踏まえて、安全サイドというものをとっていく方がよいだろう。そこら辺を勘案していくと、おおよそ100pg-TEQ/gではないかというのが私の相場観だと申し上げている。

    【I委員】 私自身は、 250pg-TEQ/gにするのか 100pg-TEQ/gにするのかというはっきりした意見はないが、いずれにしても、どういう名前にするかはともかくとして、環境基準とあわせて設定するものであるから、そう頻繁に変えるわけにはいかないだろうと思う。しかし、今ここで100pg-TEQ/gにするか 250pg-TEQ/gにするかをきちっと決めるよりも、先ほどD委員が言われたように、これはもともと調査を行う基準であるという意味からいって、まず250pg-TEQ/gで実施し、その中でいろいろなことが分かってくると思う。その上で、これをもう少し低くした方がいいと判断して低くするということもいいのではないか。最初から余り厳しいことをやって、調査で手がいっぱいになるとか、そういう面も、逆にいえば、あるかと思う。
     もう一つ、環境基準を1,000pg-TEQ/gに置いておいて、実際には危ないから100pg-TEQ/gをとるのだというふうに一般から見られかねないので、最初に余り低いのを置くのもどうかなという感じが私自身はしている。これは100pg-TEQ/gとするか250pg-TEQ/gとするか、数字的なきちっとした意味ではなくて感覚的なものだが、そんな感じがしている。

    【D委員】 いろいろ議論を承っていると、論点が少しずつ違うのではないかと思う。論点が違うもとは、[2]の調査指標のところに「汚染の進行の防止等の観点から調査を行う基準」の内容が少し多岐にわたっているため、変わってくるのではないか。私が申し上げたのは、1,000pg-TEQ/gを超さないようにするためには、調査の不備ということもあるだろうから、500pg-TEQ/gとか250pg-TEQ/gで引っかかったら、その周りをよく調べて、1,000pg-TEQ/gを超していないということをみなければいけないというつもりである。しかし、G委員のご意見を伺うと、バックグラウンドに近いというか、全国に低い値のところから飛び抜けていれば、何かあるから、それをずっと調べて、全般的にどこが悪いのかということをみていかなければならない。でも私は、どちらかといえば、1,000pg-TEQ/gを超さないようにと、そこのところを何とか探し出そうというところにあると思う。
     B委員のご意見は、むしろ、1pg-TEQ/Lという水質基準を守るためには、土壌の中にはどのくらいまでは許容されるかという観点のように承った。そうなると、話がまた少し違うところで大分検討しなければいけないのではないか。[2]で環境庁で考えているのは、どこに中心を置いて調査指標を決めようとしているのか、そこのところを明確にされると、議論が収れんするのではないかと思う。

    【B委員】 私もD委員、I委員が言われた話に反対なわけではない。ただここに書いてある基準の性格から考えると、また、説明の非悪化ということを考えると、今、水は1pg-TEQ/Lを超えているところがいくらかある。全体の平均としては0.4という話が先ほどあった。それをさらに悪化させないという観点であると。汚染をさらに進行させない、間接的な影響を増加させないという観点から、調査する基準を設けるのだというご説明がありますと、1pg-TEQ/Lが一番厳しいところだろうと思うので、そこから議論を始めなければいけない。D委員が言われたように、500pg-TEQ/gから始めて順番にいくのは別の観点からの考え方であれば、そういうふうな基準の決め方は私は反対しないけれども、こういう観点で考えるのであれば、非悪化というのは、どうしても1,000pg-TEQ/gまで汚れてもいいというふうにとられかねないものだから、できるだけ低いところ、少し安全サイドぐらにもっていっておいた方がいいだろうと思っている。

    【G委員】 私が一つ気になっているのは、ある地域で1,000pg-TEQ/gが既に分かっていたとして、その周辺にそれより低いところが当然ある。それらを調査する場合と、全然分かってなくて400pg-TEQ/gとか500pg-TEQ/gとかというのが見つかったときとではちょっと違うと思う。最初のスクリーニング的に、例えば100pg-TEQ/gとか200pg-TEQ/gが出たときには、その周辺に1,000pg-TEQ/gを超えるところもあるかもしれないから、その基準は250pg-TEQ/gにするか100pg-TEQ/gにするか、500pg-TEQ/gではちょっと近すぎるような気もするが、それで発見する。一方、その後である程度フォローする場合には、やはり100pg-TEQ/gでいくのか、あるいはもう少し近いところで少し丁寧にみていくのかで少し意味が違ってくるような気がする。ただ、そんなふうにすると余りにも複雑になるので、一つの数字で両方を満足させるというと、中間的なところにならざるを得ないかと思う。

    【水質保全局長】 非常に貴重なご議論大変感謝申し上げる。私ども内部で喧々諤々議論し、当委員会における今までの議論を集約・大成して、かつ実態的にも受け入れやすいような数値がないのかということを誠心誠意議論してきた。ただ、今ご指摘があったように、今までのご議論を踏まえて、多角的な要因を平板に並べたがゆえに、いろいろ議論の混乱を招いている側面があることは否定し得ないということを感じている。
     したがって、山口委員、D委員がご指摘になったた点を踏まえて、議論を再整理したい。端的に言うと、基本は、資料3-2別添のアの「設定理由」の冒頭に「[1]に示した環境基準と併せ、」というところに非常に意味がある。それに加えて何か付加的な、あるいはサブ的なファクターが何かということで整理したつもりであるが、問題は、環境基準を超えるものについて、それをきちんと把握できるような補完的な調査体制を整備する。これをベースに置き、それをやる過程において、副次的にこういう効果も期待できるというような考え方を整理し、数字については250pg-TEQ/gということで考え方を整理してみたいと思ったわけである。
     補完的に申し上げると、非悪化の原則はすべてのことに適用できることではないかと思う。今回、法律で常時監視のシステムが導入される。そうすると、バックグラウンドとしてこれくらいだというのが分かってくると思う。そこ以上に、1,000pg-TEQ/gまで、あるいは250pg-TEQ/gまでについての対応を法の施行に際して考え方を整理してまいりたいと思う。
     また、G委員がご指摘になったバックグラウンドより飛び抜けているものについては、250pg-TEQ/gを超えるケースと、それ以下のケースと2つあると思う。それについては、常時監視の際にデータの読み方の考え方を整理する。また、今回の250pg-TEQ/gについては、もっと踏み込んで考え方を整理する。そんなことをやってみたいと、委員方の非常に多角的かつ本質的なご議論をお伺いし、思った次第である。
     さらに、B委員のご指摘の水と土壌との関係は、端的に言うと、私ども非常に苦しんでいる。それは今後もっとデータを集めた上で議論できたらと思う。C委員のご指摘もその範疇に入るのではないかと考えている次第である。

    【B委員】 今の局長のご説明で結構だと思うが、そういう観点でいくとすると、この基準の性格をはっきりさせるために、後ろに書いてある水1pg-TEQ/Lとの関係で議論しているところは削除していただいた方が誤解がないのではないかと思う。ここにそういうのが入っていると、その観点を入れて考えているということになってしまいかねないと思うので。

    【事務局】 今までの論議の中で、水域経由について、ある種、補足的な説明を私どもがしてきたことは確かである。しかしながら、その中に、今のところ、数字がどこまでだと明確には言えないが、何らかの影響がありそうだということは今の段階である程度言えるだろうと思う。したがって、水に対する影響を完全に何も書かないで本当にいいのかと疑問に思うが。

    【B委員】 ここに水に関しての記述を入れると、これから1カ月間のパブリックコメントがあるわけだが、そのときに必ず私と同じような議論をする意見が出てくるだろうと思う。実際に他の大学の先生から同じような考え方をいただいており、私も同じ考え方で、水質の1pg-TEQ/Lと土壌との関係を、こういう考え方もあると並列して書かないと論理的におかしくなってしまう。もし両方併用してこんな考え方だ、なおかつ250pg-TEQ/gということで割り切りましたというのであれば、それはそれで結構だと思うが。

    【事務局】 様々な意見が、今、B委員が指摘されたような意見も含めてあって、しかも、ここに記載されているものと、現段階の科学的な水準、明らかさがもし同じであれば、ここに書いていただければよろしいのではないかと思う。

    【B委員】 それから、ウの「調査の内容」でなお書きのところ、この値から1,000pg-TEQ/gの範囲内にある土壌については、土壌の除去等の対策が必要なものと解してはならない。というのは、「これをもって」という修飾を加えていただければと思います。要するに、調査指標から1,000pg-TEQ/gの範囲内にあるから、そういうことをもって土壌の除去等の対策が必要なものと解してはならない。ひょっとすると、その間でも別な理由から土壌の除去等が必要な場合があるので、そのまま読んでしまうと、そこは対策ができなくなってしまうということになりかねないので、「これをもって」ということを入れていただきたい。

    【事務局】 この文章の意図はまさにそのようなところある。ただ、ここでこのような言葉を入れる必要があろうかという感じを持ったのは、現在、社会的にダイオキシンに対して非常に敏感な部分があって、一つの数字があれば、それでもって様々なアクションが連鎖的に起こることがあことからから、その部分は明確に言っておく必要があるのではないかということでこのような一文を入れた。この文章の修文については、後ほど考えさせていただきたい。

    【D委員】 資料3-2別添のイの「基準値」の4行目について、「土壌からの摂取を将来的にできる限り少なくしていく」と書くと、土壌からの直接摂取のことをいっているようにとれるが、これは土壌経由の摂取だろうと思うので、直していただきたい。
     それから、資料3-2の2ページの(3)に「過去に主に水田用除草剤として使用されていた農薬の一部に不純物としてダイオキシン類が含まれていたことが明らかになり、」とあるが、含まれているということは、PCBについてもその他についても20年前から分かっていることで、最近また調査を農水省がやったことは事実ですが、明らかになっていることは、新しく付け加えなくてもいいのではないかという気がする。
     もう一つは、ダイオキシン類という以上は、「コプラナーPCBを含む」という定義があるが、農薬にコプラナーPCBが入っていたことはないと思うので、ここのところはPCDDではなかろうかと思う。

    【C委員】 最初の環境基準の法律上の定義で、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めることになっているということは前々からあるわけだが、そのときの「人の健康を保護する上で」という範囲が、少なくとも1,000pg-TEQ/gということで議論しているところは、直接摂取でみてきた。法律になって、各媒体中の環境濃度はいかにあるべきかということになったときには、直接摂取だけでいいのかどうかということは当然入ってくるはずだと思う。そのときに暴露経路上、ダイオキシン類がどこを回ってどうきてということになると、当然、食品とか飲料水も含めて考えたときに維持されることが望ましい基準ということになってくるのだろう。前回の議論の中で、1,000pg-TEQ/gの根拠はそれはそれで認められるだろうと思うが、あの時点では、今日出てきた[2]の方も「環境基準」と呼ぶということにしていたので、今後も含めて積極的に維持されることが望ましいという意味で、つまり、それはかなりいろいろなことが含まれていると思う。例えば、TDIについても今は4pg-TEQ/kg/dayとされているが、1〜4pg-TEQ/kg/dayという範囲が既に示されているわけである。それから、1,000pg-TEQ/gの直接摂取にしても、例えば非常にたくさん土を食べる子供については、そういう問題の方から追求していくべきであって、環境濃度については標準的なものでとっているとか、いくつかそういうところがあることを考えると、[1]で示しているものだけが環境基準であって、それは1,000pg-TEQ/gですよというのは、ちょっとしんどいなという気がしている。将来的な展望も含めて、[2]の方も環境基準と呼ぶ、これはより積極的に、他の媒体もすべて現在よりかなり下がっていって、経口摂取というか、食品経由もどんとん下がっていくという見通しのもとにある数字だということになれば、少し気は安らぐのですが、1,000pg-TEQ/gで持ちこたえるのは結構しんどいなというのが正直なところである。

    【事務局】 ここは科学的なデータというか、知見の集積にかかっているのではないだろうかと思う。第一次報告でいただいているのは、3つの経路について考えること。1つは、今ご議論のあった直接摂取について、今のところ1,000pg-TEQ/gというのが蓋然性の高い数字として出せるのではないか。あとの2つについて更に知見の集積をしようということでご整理いただいたのではないかと思う。したがって、ここにいうところの「人の健康を保護するために維持することが望ましい基準」を、今我々が利用できる相当程度蓋然性の高い科学的知見に基づいて作るとすれば、現在の段階において、直接摂取を見たこの基準なのではないか。例えば農作物と農用地のデータも、これは農林水産省とも共同で今調査をしているが、こういったものが出てきて、仮に、明らかに農用地から吸収するような農作物があることが分かったとして、そういったことがあれば、それをベースにした環境基準というものを、水についても、先ほど来論議がありますところの底質とか魚とかを含めて、これで大体分かるという段階になった時点で、それは環境基準として扱っていくことが可能になるのではないかと考えるところである。

    【林委員長】 「人の健康を保護するために維持することが望ましい基準」と、調査指標としての目安あるいは基準、この2つを考えるということについては、ご同意を得られたと思う。
     そうすると、次の問題は、後の方の調査指標としての目安のテクニカルタームをどうするかということと、もう一つは、これからデータを集めるために、あるいは本当に実施できるかどうかという実施の可能性を踏まえた値を決めることだと思うが、この場合、非常に高い値にすると、B委員ご指摘のとおり、これまでの値は緩すぎるのではないかというふうに誤解を受けるし、余りに低いと、1,000pg-TEQ/g自身の信憑性を疑われるということもあるのではないかと思う。例えば40〜50pg-TEQ/gについてこういう調査をしなければいけないと言いながら、一方では、健康保護のためには1,000pg-TEQ/gとするというと、1,000pg-TEQ/gについての信憑性を疑われることにもなりかねないので、1,000pg-TEQ/gは科学的に決められたのだから、その次の値をどのくらいにするかということが問題。その場合に技術的な可能性と、誤解を招かない全体のバランスの問題を考えることが大事かと私は考えたのだが、それについて、250pg-TEQ/gがいいのか、200pg-TEQ/gがいいのか、100pg-TEQ/gにすべきかということだと思う。

    【H委員】 先ほど局長が言われたので、非常に明快になったと思うのだが、要するに常時監視はされるので、そうすると、100pg-TEQ/gだったら調査しないということではないと思う。結局、250pg-TEQ/gという線は何かといったら、1,000pg-TEQ/gにつながる汚染の有無を重点的に調べるポイントであって、100pg-TEQ/gのものはもう調べないのだということとは全く違うのではないかと思う。そういう意味で、先ほどD委員が言われたように、大きいところから重点的に詰めていくという意味では、決して100pg-TEQ/gとか50pg-TEQ/gを無視するということとは違うと私は感ている。

    【B委員】 今のような議論は確かにあると思うが、そのような観点で議論を呼ぶのであれば、[2]をあえて環境基準の中に入れる必要があるのかどうか、私も疑問を感じている。調査の単なる指針、マニュアルではないか。調査指針の中でどういうふうにするか。これを超えたら調査を始めますというものであれば、ここで散々議論が出ているように、この中に併せて載せる必要はないのではないか。むしろここに載っていることによっていろいろな議論を呼んでしまって、ひとり歩きをして大変になるのではないかと思う。

    【F委員】 今のB委員のご意見は、私自身、当初からそういう印象があり、その後、あえて2つの基準を設けるとすれば、こんなことだろうという議論で参加してきたが、今の時点で、「調査指標」という言葉にするのであれば、実態的に、今、B委員が言われたようなことになると思う。ということで、むしろこの「調査指標」は省いてしまった方がいいのか。もう一つの考えとして、2つの基準をあえて設け、その間をグレーゾーンとして重点的にモニタリングを行う。恐らくその2つのいずれかなのではないかという気がしている。

    【C委員】 私もB委員の意見に近い。前回はたしか下の値と1,000pg-TEQ/gの間は単に調査するということではなくて、その中で、例えば河川への流出が起こり得るのか、あるいはその近くに住んでいる人はどういうことになるのかということを調べるという話できていたと思う。今のご議論を聞いていると、1,000pg-TEQ/gになっていないかどうかということを調べるためという感じになっているので、そうであるとすれば、むしろこの環境基準の議論をやっているところからは別のものだとしておいた方が明快であるかもしれないと感じた。グレーゾーンとしてきっちりここは、前回の議論みたいなことをやるんだということであれば、下の基準も「環境基準」と呼んだ方がいいし、意味があると思う。

    【事務局】 前回私どもが示させていただいたものとは、その部分は明確にしたつもりである。ここにあるのは「環境基準等」、逆にいえば、非常に曖昧な使い方なのかもしれないが、考えていく数字が2つあってもいいのではないかという意味で、この「等」の中に2つの違う考え方が要るのではないかということをまず明確に述べた後、今のC委員のご懸念の部分だが、調査の内容については、前回ご議論いただいたものと大きく変わっていないと思う。例えば「調査の内容」というのが別添にあるが、ここでいっているのは、1点は、原因が何かよく調べること、2点目は、周辺の状況に応じて土壌の追加調査を行うこと、3点目は、場合によって・・「必要に応じて」という言葉で書いてあるが、他の媒体を含めた環境の調査を行うことが望ましいのではないか。4点目は、これも場合によるだろうが、継続的なモニタリング、例えば2年なのか3年なのか4年なのか、今のところ明確に決めているわけではないが、何年か後に見られるような継続的なモニタリングをやるという意味で、C委員ご懸念の部分については、前回から、実施する中身について特段考え方を変更しているといったものではないということである。

    【B委員】 私の個人的な解釈になるかもしれないが、前回、アメリカのEPAのモデルを出して議論したと思う。その流れからいくと、これを超えたら、汚染の周りの影響の状況、汚染源を調べて、もし問題があれば、対策をやるのだ、そのためのクライテリアだというふうな議論をしたと思うのだが、これは調査で止まってしまっている。もしそういう観点であれば、最後のところに、これから検討するというものがなければ、「もし問題があったらどうするのか」という質問が出てきたときに、この報告書は何も答えていない、答えられないということになるのだろうと思う。そういう意味で私は、前のとは明らかに違うのだろうと解釈して、1の方で、他の媒体への流出とかそういうものは今回知見がないから設定しないということをはっきり入れてもらいたいと先ほど申し上げた。

    【事務局】 今のB委員のご指摘は、先ほどの直接摂取以外作れないという部分であるが、そこは先ほどのご指摘を踏まえた修文をしたいと思う。
     それから、例えば農作物であれ、水域への移行であれ、そういったところについては「今後の課題」として明確に記述させていただいているので、後ほど説明させていただきたい。

    【G委員】 私も2つの基準というのに賛成であって、その考えは全然変わっていない。先ほど、数値を決める根拠として、何となく分かりやすいようにスクリーニングレベルということを言ったが、実際にはその後の調査が大事だと思っている。だから、調査の内容とか今後の課題が、これからご説明があると思うが、そこが重要だと思う。
     ただ、私は本当は、そこにもし住民が住んでいるのだったら、暴露状況を調べてしまうというのが一番正確な答えが出るわけだから、それを書いてしまえば一番はっきりするのだが、そこは書けないから書いていないのだろうと思う。
     実際には研究なり何なりのベースでそれをやるということではないかと思う。問題があったら、基準を変える。何しろ我々は不確かなことをやっているわけだから、多分、安全側で大丈夫だと思っているけれども、万が一ということがある。

    【事務局】 今までのご意見を踏まえていくつか確認させていただきたい。まず、この調査の指標だが、全体にご指摘をいただいたのは、非悪化を前面に出すと、250pg-TEQ/gまで汚していいという誤解を受けるので、それは250pg-TEQ/gまで汚していいというものではない。ただし、一つには、そこまで蓄積している、30pg-TEQ/gでも蓄積で、50pg-TEQ/gでも蓄積で、100pg-TEQ/gでも蓄積であるが、ある種の異常な蓄積に至っているものについては、一つの指標を置いて、その蓄積をしている値を踏まえて、まずは原因を探す。もちろん250pg-TEQ/g以下も蓄積はしているので、必要に応じて原因を探すのだが、特にそれを超えているものについて放っておいていいという意味ではなく、蓄積しているから、原因を探して、その原因との対比において、一つには、土壌の追加調査なりをして1,000pg-TEQ/gがないかどうか調べる。それから、今の原案では、今後の媒体間の移行に係る知見を集積するとか、いろいろ書いているが、もちろん土壌で、例えば250pg-TEQ/gを超えていれば、周りの水域に影響を与えるかもしれないし、今の発生源が何かということによっては、大気だってまだ濃いおそれがあるのだから、当然大気や水質についてその状況との照らし合わせで調査はする。さらに必要があれば、農作物、あるいは大気や水やその地域の食品への影響を踏まえて、暴露状況の推定みたいなこともやるのだろうが、今ここで土壌で具体的にどこまでをやるというのが非常に書きにくいものであるため、「他の媒体を含めた環境の調査」しているが、そういうことをやりたい。それから、ただ今の、調査で終わっているというご指摘だが、その点も、今なぜそこまで蓄積されたかという原因に着目して、もし本当に法にも違反するような何か非常にイリーガルな状態でその値が出てきているのであれば、例えば不法投棄とか法に違反する何らかの操業が行われているのであれば、その発生源に対して法に基づく措置というのは当然なされるべきであるので、そういう意味で、言うまでもなく、発生源に対して違法な行為が行われていれば、それに対してストップをかけるようなことは、ある意味で対策としてあり得る。今の部分について、そのような整理でよろしいかということ。
     それから、水域経由について、一つには、これは単にご意見を基に事務局の方でEPAのモデルだけを出しているが、もう一つ、B委員がおっしゃられた試算の過程を併せて、要するに一つの意見ではないし、一つの値が示唆されるものでもないのだが、その可能性としてはあるということで、逆に、もう少し書き込むというご意見も最初の頃にあったかと思うが、この点をどう扱うか。今の2点についてご確認いただきたい。

    【B委員】 前の点については、法に違反するところについて対策をやる、これは当たり前だろう。ただ、ダイオキシンの汚染にしろ、土壌の汚染というのは、法がないときに起こってしまったのが大部分。それに対してどうするかという話だろうと思う。しかし、今の案では、水域が汚染して魚が汚れていて、仮に土壌が原因だとしても、原因が法に違反してなければ、そこは公的な資金でも導入してきれいにしていくことが必要なのではないか。これは社会的な合意が必要だろうが。今のままのご説明だと、そういうふうに読めて読めないことはないと思う。それが一般の国民の読み方ではないかと思う。

    【事務局】 その点については、この報告書はかなり明確であり、現在の知見に基づいて、土を入れ替えるとか、その他土壌に対して対策をとらなければならないのは1,000pg-TEQ/gであるということは明確に述べており、それは今の段階においては最も国民に納得していただけるのではと考える。

    【B委員】 1,000pg-TEQ/g以上の話をしているのではない。100〜1,000pg-TEQ/gのグレーゾーンのところについて調査をやって、汚染源があって、こういう状況があったと明らかに法的な違反があれば発生源に対して対策をさせると言われた。では、それ以外で汚染の原因があったということは十分考えられるわけで、それについては、このまま読むと、先ほど私が申し上げたようなことになるのではないかということである。

    【D委員】 結局、日本人は人体にダイオキシンを7割ぐらいまでは魚からとっているわけだが、魚の中にどうして入るのか。全部推測だが、そう間違いのないシナリオは、直接ダイオキシンが焼却場などから大気を通じて水系にフォールアウトするか、あるいは土壌の中に入って、そこから出てくるか。土壌から出てくるのは、水に溶けて出てくるということはまずないだろう。実際、非常に高濃度の2,4,5-TとTCDDの混ざったものに乳化剤を混ぜたものを地面の中に入れて、林野庁が5年ごとに調査しているけれども、全然動いていない。ですから、ランオフというのは非常に大事だろうと思う。そういう意味では、私はB委員の言うことに賛成している。
     ただ、ランオフとか全部含めて土壌中の基準を考えようというのは、もしするのであれば、これだけの時間ではとてもできない。EPAのモデルだけが唯一ではないし、また、そういう適用ができる場所はどうだとか、あるいはA委員がおっしゃったように、日本の土壌の様子も違うとか、これは徹底的に議論しなければいけない。だから、今の調査指標は、1,000pg-TEQ/gというのを検討会で決めた、これを確保するためにはどうしたらいいかと、私はそう思ってきた。先ほど来言ったように、非常に狭い論点に立った話をしていたので、それを広げるとなると、もっとしっかりとした議論を詰めなければいけないのではないかと思うので、その辺を整理していただきたい。さっき事務局が言ったように、EPAのモデルもあるし、他の考え方もある、そういうのは余り書くとかえって具合が悪いのではないかという気がする。

    【林委員長】 [1]、[2]を書くとして、[2]を書くとすれば、当然、皆さん言われたとおり、もちろん調査指標としての目安は与えなければいけない。先ほど事務局が言われたのは、そうすると、調査内容を少し何か書く。調査の結果に基づく対策も少し書き込むかと言われたので、そういうことが実際にどの程度までこの時間内にできるかと思い、それが心配だった。私もD委員と一致した意見なのだが、少し整理して、ある程度のことを書き込まなければいけないのだが、誤解を招かないように注意しなければいけないのではないかと思う。
     まだ他にご意見があると思うが、最後にまた議論することとして、先に進みたい。資料3-2の「3.土壌環境基準の設定等」のうち、(3)環境基準の適用対象、(4)環境基準の達成期間等、(5)環境基準の評価のための調査の考え方について、事務局から説明されたい。

    【事務局】 (資料3-2の3. (3) 〜 (5) について説明)

    【林委員長】 今説明のあった部分についてご意見、ご質問はあるか。

    【F委員】 「環境基準の適用対象」のところで、「溶出基準と同様に、土地利用によらず、すべての土壌に適用する」ということが示されている。一方、第一次報告の方で1,000pg-TEQ/gを決めたときの適用対象は、「居住地等において対策をとるべき暫定ガイドライン値」ということになっているが、その辺についてご説明いただきたい。

    【事務局】 適用対象は、1,000pg-TEQ/gを導き出したシナリオでいくと、前のページにあるように、土壌の直接摂取による暴露リスクの防止という観点から導き出していることは事実である。もう一方で、先ほどご議論いただいた部分がここに大きく影響している。汚染の進行防止や他媒体、特に水域を通じた間接的な暴露リスクを増加させない観点からの配慮を行った場合には、従来の土壌環境基準と同様の考え方で、すべての土壌に適用するということで整理している。

    【F委員】 その説明でよろしいかと思うが、実際、「土地利用によらず」ということとすれば、影響がかなり大きいのではないかと思われる。例えば農用地、工業用地等も入ってくるのではないかと思うが、その辺はどのように解釈したらよろしいか。

    【事務局】 補足させていただく。まず、直接暴露の観点からみるとどうかという問題が一つと、もう一つは、公共用水域への影響を考えるかという2つの点があろうかと思う。
     第一次報告のときには居住地を対策の要件として想定していた。その理由は、先ほど説明した暴露アセスメントのシナリオにあったように、365日の暴露などを考えていたためである。それについては、資料3-2の7ページ「(2) 指定要件の内容」というところの第2段落目、対策要件のところに記載しているが、直接摂取の暴露リスクということを考えると、例えば山林原野等においては、そこに30年間居住・活動するというようなアセスメントをするというのは、非常に安全側によっているものになる。だから、そこについても一つの判断として、国民全体の暴露リスクを軽減するという観点から、不特定多数の国民が活動する場であるときには、対策要件とすることが適当ではなかろうか。勿論、環境基準についてもそういうことになると思う。これは具体的には、例えば環境庁が所管している多くの国立公園の、山の頂上などは、1人の人は一生涯の間に何回かしか訪れないかもしれないが、そこには多くの国民が訪れるという意味から、社会全体としての暴露リスクを下げるという観点があってもいいのではないかというのが一つ。
     もう一つは、これまでのご議論を踏まえるべきところなのだが、公共用水域への影響を考えた場合に、例えば水質1pg-TEQ/Lに対して、1,000pg-TEQ/gを含むそれ以下のどこかに真値があるとすれば、10,000pg-TEQ/gとか100,000pg-TEQ/gという汚染を公共用水域の観点から少なくとも放置しておいていいのかという意味で考え得るのではないか。この場合、この原案はもともと公共用水域への試算も行っていて、少なくとも1,000pg-TEQ/g以下程度のところに何らかの値があると考えられるのであれば、それは従来のカドミウムやシアン等の溶出量基準と同じように、土地がどう利用されているかということではなくて、そこに汚染土壌があるかどうかという観点からのすべての適用があり得るのではないか。だから、ここはもし水への影響を全部落とすということになると、逆に直接摂取だけを考えるのであれば、場所によっては10,000pg-TEQ/gとか100,000pg-TEQ/gは適用対象外ということもあり得るようなことになるかと思う。

    【林委員長】 他にあるか。なければ、先ほど事務局から、別添の最後に書いてある趣旨の文章を(4)環境基準の達成期間等の中に付け加えたらどうかと言われたが、それについて何かご意見はあるか。

    【B委員】 先ほどの話で、非悪化というのは、何もここに限った話ではないので、「……の範囲内にある土壌については、」というのは削除してもよろしいのではないか。基本的には、全ての土壌の汚染を進めてはいけない、そういう表現の方が適切なように思う。

    【林委員長】 事務局はいかがか。

    【B委員】 私は、削除しろと言っているのではなく、記述する必要はあるのだろうけれども、「……の範囲内にある土壌については、」という断りを入れる必要はなく、これは当たり前だが、必ず入れておく必要があるのだろう。1,000pg-TEQ/gを超えている土壌についてはもちろん対策をするのだろうが、「望ましい」ものだから、低い値でも、精神はこうだよということだ。

    【A委員】 特定の設定をするというのは、特別に限ったときに言うべきであって、ここの文章は、私はB委員と同じ意見である。

    【林委員長】 他にご意見はないか。なければ、次の「4. 土壌汚染対策地域の指定の要件」について事務局から説明されたい。

    【事務局】 (資料3-2の4. について説明)

    【林委員長】 何かご意見等あるか。(意見等なし)それでは、最後の「5.今後の課題」と「6.おわりに」について事務局から説明されたい。

    【事務局】 (専門委員会報告案の5.、6.について説明)
     さらに追加で、まだ途中の段階だが、土壌中のダイオキシン類に関する検討会第一次報告のときに課題とされた子供の遊び場に関する調査について、速報ということでご説明したい。
     環境庁では、子供の遊び場における土壌中ダイオキシン類濃度の実態、及び子供の利用状況等を把握するため、今年の9月から「子供の遊び場」の土壌中ダイオキシン類実態調査を実施している。今回、そのうち、土壌中濃度の一部について速報として紹介させていただく。
     まず、調査の対象とした子供の遊び場は、街区公園(児童公園)、児童遊園、保育所、幼稚園、農村公園の中で、通常概ね5人以上の0〜6歳児が土遊びをしている場所を対象としている。
     調査地点は、47都道府県+12政令指定都市の354地点を対象に調査を実施した。表にその区分が出ているが、354地点のうち、公園等が 156地点、保育園が 143地点、幼稚園が55地点で調査を実施している。
     調査方法については、「ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル」に則して調査を実施している。なお、試料の採取に当たっては、子供が実際に遊んでいる場所(砂場等)において5地点混合法に準じて行っている。
     調査結果であるが、現在まだ354地点中82地点しか調査結果が出てきていないが、発生源周辺地域は、調査地点が25地点、この25地点の算術平均値が0.88pg-TEQ/g、検出範囲が0.0015〜18 pg-TEQ/g、幾何平均値が0.034 pg-TEQ/g。大都市地域は、調査地点が27地点、算術平均値が0.46 pg-TEQ/g、検出範囲が0.00068〜5.4 pg-TEQ/g、幾何平均値が0.047pg-TEQ/g。中小都市地域は、調査地点が30地点、算術平均値が0.27pg-TEQ/g、検出範囲が 0.00097〜3.3 pg-TEQ/g、幾何平均値が0.049pg-TEQ/g。これらの地点数を合計して全地点でみると、82地点の算術平均値が0.52pg-TEQ/g、検出範囲が0.00068〜18 pg-TEQ/g、幾何平均値が0.043pg-TEQ/g。なお、これらの値については、速報ということで、まだデータの値自体も精査しておらず、残りの272地点については、現在分析中ということでもあるので、データの評価はここでは差し控えさせていただく。

    【林委員長】 それでは、ただ今の部分につきましてご質問、ご意見はあるか。

    【A委員】 これは当然といえば当然のことだろうが、この委員会から要望事項として、私は当然出してしかるべきものだと思うが、「今後の課題」の中に発生源対策に対する要望というのは盛り込んではいけないのか。

    【事務局】 まず、形式的には、「今後の課題」ということもあり、これとは別に付帯意見みたいな意味でお出しいただくことも可能かと思う。今日は大気の資料をお示ししているが、先週、今までの基準よりもさらに厳しい排出源対策案が大気の専門委員会報告でまとまっており、別途、水についても排出源対策が議論されているので、排出源対策については、一般論として、土壌に対する排出源について一層推進といった附帯的なご意見を、例えば、この後、林先生から部会の方にご報告いただくときにお伝えいただくことは可能かと思う。発生源対策を見てからご議論いただいた方がはよかったかもしれない。

    【B委員】 先ほどから議論になっていることに絡む話だが、調査をやるのを渋るのは、ダイオキシンの調査自体が非常にお金がかかるという話が大きなネックになっている。そういう意味でも、他のところは大体入っているが、モニタリング技術とか調査技術の改良というのはどうしても不可欠だろう。「今後の課題」の[4]のところに浄化対策技術の話が入っているが、それに関連しても、「今後の課題」として記述しておいた方がよろしいかなと思う。

    【事務局】 承った。先生のご指摘のように、私どもも非常に悩む部分は、1点測るのに数十万円かかるような調査法であるので、より安価に調査できれば、さらに対策が進むだろうと思う。記述させていただく。

    【B委員】 さらに、調査・測定技術だけでなくて、調査手法みたいなもの、土壌・地下水汚染に対する重金属と揮発系の有機化合物については、一応対策指針ができているが、ダイオキシンの場合はまだ非常に難しいと思う。どのように対策を進めていったらいいか、これはものすごく重要な課題であるので、それも併せて記述していただきたい。

    【事務局】 今の調査手法について、ここに書いている浄化手法と同時に、平成11年度から予算をいただき、どのような点数を、どのぐらいの頻度で調べるべきかということを、どこか汚染が分かっているような地域を探して調査していきたいと考えているところであり、そのような形で記述させていただきたい。

    【D委員】 ダイオキシンの土の中における挙動について基本的なデータが不足している。それを前から申し上げているのだが、ラジオアイソトープのダイオキシンを手に入れれば、いろいろなデータがどんどん取り出せる。それは全部のダイオキシンではなくて、一つの代表としてTCDDだけでもいいし、場合によってはTCDDではなくて、毒性の低いモデル化合物でもいい。それをやると、作物にどのくらい吸収されるかどうかというのは、膨大なデータが出て、それはもちろん代表だけやっているから全部を表すことはできないが、推定はできる。他にも不確定な要素がたくさんあることに比べれば、代表物でいろいろなデータをとるということはいくらでもやれる。ここを見ると、モデル実験のことが余り書いてないので、そういう観点も一つ入れていただく。そうすれば、TCDDだけであれば、ELISA法で非常に簡単にやることもできる。もっと基礎的なビヘイビアについての情報をとるということを並行してやっていただきたいと思う。

    【林委員長】 それを「今後の課題」の中に盛り込む。ここに「環境中の挙動モデルの構築」というのもあるが、具体性がないので、D委員の言われたことを入れていただくといい。

    【事務局】 今、原文でそのような記述に少し関連しそうな部分があり、資料3-2の8ページ「5.今後の課題」の[1]の部分で、事務局の思いとしては、今先生からご指摘のようなところがあると考え、簡単な言葉で記述している。この部分はまさに基礎的なデータの集積が必要だというような意味で書かせていただいているので、ここをもう少し具体性を持たせるような記述にさせていただければどうかと思う。

    【林委員長】 ただ、読んでみると、[1]というのは、1,000pg-TEQ/gというものの信憑性を判断するように見え、[2]、[3]の中に、今言われたような問題があると感じたが。

    【事務局】 了解した。ここをうまく分けるのか、あるいは項を起こすのかということで検討させていただきたい。

    【D委員】 恐らく[2]の方に入るのではないかと思う。

    【林委員長】 他にないか。
       他になければ、今のご意見を入れて少し改めていただきたい。
       全体を通じて何かあるか。

    【C委員】 D委員の先ほどのご発言は、要するに直接暴露以外のところで非常に分かりにくい、そこのところについてはもう少し時間をかけないと、というふうなご趣旨だったと思う。それについては私も全く賛成である。その上で、しからば、分からない部分について我々はどうするのかというところで、非悪化というか、前よりは汚染を進行させないという線が出てきているのだろうと思う。そのときに、先ほど少なくとも250pg-TEQ/gという数字と100pg-TEQ/gという数字が出てきていると思うのだが、実は私自身は、今日ここへ来るときには、50〜100pg-TEQ/gぐらいで決まらないかと思って来た。非悪化ということを考えるときに、5%の線はどうだという議論はもちろんあると思うが、例えばごみ焼却炉周辺で汚染しているような地域を私も何カ所か調べたことがあり、能勢などは例外的な事例なので別にしても、ほとんどの場合、250pg-TEQ/gでは全く引っかからないだろうと私は想像している。実際に調べてみると、結構その影響が出ているなというところでも、100pg-TEQ/gでも引っかからないようなところも結構あると思う。そういうことから考えると、250pg-TEQ/gというのはちょっと高いところに設定しすぎではないかと感じている。もしも全部の土地に問題があるとしても、例えば水田ならまた別の要因が考えられるわけだから、これはまた別の考え方をしてもいいかと思う。そういうところではなく、一般の人が普通に生活している居住地域といったところで250pg-TEQ/gというのは高すぎるのではないかというのが私の実感である。

    【事務局】 私どもが土壌中のダイオキシン類に関する検討会の中でお出しした全国の自治体のデータでは、非常にいろいろな場所を含んでいる。確かに施設の中のようなものもあるが、施設周辺についての自治体のデータもある。これがどういった場所なのか、その辺については、十分つかみきっておりませんが、これまでの自治体のデータと同様の場所もあるのではないかと考えまして、先ほどのような95%タイルを用いて算出した基準に行き着いたということである。
     検討会の中で私どももいろいろ考えてきた3つの経路それぞれについて、250pg-TEQ/gに対して、ここでいう環境基準というものと今の段階では少し違う考え方をとらざるを得ない。ここは、先ほど来ご議論いただいているような課題の中でもう少し詰めさせてもらえれば、もう少し科学的に分かって来たら、また別途の考えに立った環境基準というものを設けていけるのではないかと考える次第でございます。

    【林委員長】 C委員、いかがですか。別途考える機会がいつ頃あるか。

    【C委員】 よく分かるのだが、今我々が、例えば100pg-TEQ/gということをいっているが、250pg-TEQ/gを採用した場合、100pg-TEQ/gから250pg-TEQ/gまでは汚染される可能性が出てくる。これが非悪化ということからみたときに、非常に心配である。100pg-TEQ/gで引いておけば、そこの段階は調査されて、発生源に問題があるとすれば、そこは何とかされる。つまり非悪化がどの程度保証できるか、その1点だけであるが。

    【事務局】 その点は、それこそ調べてみないとどうしようもないところ。いずれにしても、今の予定が財政当局に認められれば、平成12年度の当初からかなり精力的に、相当程度大規模な常時監視をやることが可能になるので、そういった中でもう少し実態が明らかになってくるのではないか。さらにそのときに、先ほど来ご指摘いただいている課題も含めて、明らかになり、なお、何か別の考え方に立つ基準が考え得るのか、そういった検討ができるのではないかと思う。もう少し時間をいただきたい。

    【E委員】 資料3-2の3ページの図において、「直接摂取」のところが太い線になっている。これはどういう意味か。今回ここで議論したものはこれで、それ以外は知見がなくてできないという意味なのか。

    【事務局】 文字どおり、直接摂取の経路について、環境基準、ひいては対策要件を設定するということで、微妙に太くした。それが不適切であれば、同じ太さにする。逆に、今これで最低限の知見を作ったということであれば、もう少しはっきりしてもいいかと思っている。

    【E委員】 明確にしておいた方がいい。

    【林委員長】 同感である。他にないか。

    【事務局】 事務局から再確認をさせていただきたいが、先般来、別添の資料についての考え方の中で、水域への見込みについて、確定はできないのだけれども、どのぐらいの試算を、一つには示すのか示さないのか。示すとしたら、B委員のご指摘の部分をどうするか。
     もう1点、F先生ご指摘の適用対象と関係してくるが、先ほど4ページの[1]のところ、1,000pg-TEQ/gの環境基準のところで、第1の経路でとりあえず作るとしたときに、第2、第3は裏返しというか、なかなかできないということもご説明させていただいたが、少なくとも1,000pg-TEQ/gあった場合の水への影響をどう考えるか。その点について、修文をしていく上で再度確認できればと思う。特に1,000pg-TEQ/g以下程度に真値があって、1,000pg-TEQ/gあれば水への影響がありうると考えてよろしいのかどうかという点も含めて。

    【B委員】 私の個人的な意見を申し上げれば、[2]の調査指標の説明のところから入れていただいた方がいいのではないか。ただ、先ほどの適用対象のところでは、当然その議論は必要だと思うので、ここに文章の中で入れるのではなくて、資料的にこういうことだというのを付けてはいかがか。そうしないと、例えば100pg-TEQ/gの数字をこの中に入れて、250pg-TEQ/gという数字を仮にもってくるというのは、恐らく受け入れられないだろうと思うので、それはまた別だよとここは淡々と、95%タイル、それが何なのだというのはかなり難しいので、それで議論してしまった方がよろしいかと思う。

    【事務局】 B委員の意見の確認をさせていただくと、別添の部分では、少なくとも250pg-TEQ/gとか 100pg-TEQ/gとかいう試算は載せないこということだが、そのときに水への影響はあり得ると書くことについてはいかがか。

    【B委員】 そこはお任せする。ただ、具体的にこういうふうにしてしまうと、水への影響をかなり考慮して250pg-TEQ/gという数字を導き出しているという議論になる。それは恐らくいろいろまた同じような議論を呼ぶだろうと思うので、あえてそれでも載せておくべきだというご意見もあるかと思うけれども、変なふうに誤解を受けないために、ここで汚染の進行防止等の観点から調査を行うというのは、水も他媒体を通じた間接的な影響を増加させないということも頭の中にはあるけれども、それを念頭において250pg-TEQ/gという数字を出したのではないというふうに切り離した方がよろしいのではないかと思う。

    【事務局】 ここはかなり重要な部分だろうから、ぜひ先生方の合意とまではいかなくとも、主要な意見をいただければありがたいと思う。というのは、ここに書いているのは、確かに水に対する影響というのを確定することはできない。しかしながら、相当程度の確率で、例えば1,000pg-TEQ/g以上という土壌があれば、水に対する影響は何らないとは言えないのではないか。そういうふうな思いでここに書いているので、かなり重要なポイントではないかと思う。

    【E委員】 論議がすれ違っているのではないかと思う。B委員は、250pg-TEQ/gは実態調査から決めたのだという単純な論議でいいのではないか、水の影響も考えて250pg-TEQ/gという数字を決めたのではないと。今の答えは、1,000pg-TEQ/gは水に対する影響がかなりあるという話である。[2]は調査指標だから、調査指標にこれを書くのはおかしいのではないかと私も思う。
     先ほどD先生が指摘されたが、これを決めるには、もう少し専門的な知識を、他のところの論議もきちっと踏まえて、時間をかけてやらないととてもまとまらない。A委員のエンリッチメントの係数の話もある。

    【A委員】 現段階では水への影響は書けないのではないかと思う。

    【林委員長】 水への影響を除いても[2]は残せると思うが。

    【事務局】 B委員、A委員のご意見も踏まえると、恐らくこれは250pg-TEQ/gというか、[2]の基準の中でこれに触れるのは何となく違和感がある、そのような意見なのかと思う。それであれば、これは多少検討が必要かもしれないが、例えば5ページ(3)の「環境基準の適用対象」の2行目に「[2]に示した試算結果から考えれば、」とあるので、それが削除されるとすれば、ここに何か少し記述するか、あるいは先ほどB委員からご指摘があったように、別に切り離してどこかに書いておくか、そのような処理が可能なのかなと思う。事務局として書くに当たって、先生方の総意として確認させていただきたい部分は、1,000pg-TEQ/g以上について、水に対する影響は全く無視していいということなのか、そうではないのか、それによって少し書きぶりが変わるような気がするが、その辺についてはいかがか。

    【C委員】 [2]の 250pg-TEQ/g云々のところでは抜いた方がいいのではないか。5ページのところは、「[2]に示した試算結果から考えれば、」ということは抜くにしても、何もなしでこれをいっても別に構わないと私は思う。
     こんな計算がなくても、当然影響はあるのだと。だから、1,000pg-TEQ/gのところは居住地以外でも適用するのだというのは。そういう試算を示しておかないといえないのかどうかであるが、これは別にそんなに細かい根拠を示さなくてもいいのではないかと私は思う。

    【B委員】 私は、5ページのところにその文章を入れるのではなく、そこから引用して、別添の参考資料の中に、今のような試算がいくつかあるというのを入れて、いくつかの観点からみて、1,000pg-TEQ/g以下だろうというふうな整理をしておいた方がいいのではないか。ここで議論していると、それは当たり前だと常識的には思うが。だから、この文章の中に入れておく必要はないと思う。そこから外して、後ろの参考にでも入れておいたらいかがか。

    【事務局】 確認すると、5ページの適用対象になるが、直接摂取による暴露リスクの防止の観点だけであれば、理論上、一般国民が出入りするところだけを考えればいいが、そうでないところに、例えば100万pg-TEQ/g等の高濃度があれば、水への影響があり得るということをもって、少なくとも環境基準を適用するということは、監視とか調査の対象になるので、第2回までの議論は、そういうことをした方がいいかということで考えてきた。いずれにしても、水への影響はないとは言えないという先ほどのA委員のご意見もあったかと思うので、あり得るとする。そのときに、専門委員会として、どのぐらいのレベルにあるかということは、参考資料の方でいくつか試算を示す。その試算が、一つは、[2]に書いているようなことがあるかと思うし、一つは、B委員がご指摘のような点があるかと思うが、以上が皆さんの総意であれば、そのような処理をしたいと思う。

    【林委員長】 確かに水への影響はあると思うが、余り大きく取り上げると、それがすべてのように思われるように感じる。非常に微々たるものではないかと感じていたのだが、いかがか。

    【F委員】 単なる論理上の話だが、(3)のところで「溶出基準に係る適用の考え方と同様に」とうたっている以上は、この前に、水域への影響については、定性的な議論でもよろしいと思うが、若干の記述が必要なのではないかと思う。これは参考資料でも何でも結構だと思うが。

    【林委員長】 余り大きく取り上げない、ただし、載せなければならない、そういうことであろう。B委員、水質について何かあるか。

    【B委員】 水質は今回はやっていない、先送りしたということははっきりさせることは多分重要だと思う。それを踏まえた上で、こういう調査の基準とか環境基準ができてしまっているというふうに読まれないようにしないと、そこは批判を受けるもとになると思う。そういう意味でいろいろ意見を申し上げさせていただいたが、最後の部分の修文については、あとは事務局と委員長に一任したい。

    【林委員長】 一通りご議論いただいて非常に貴重なご意見をいただいたが、それを資料の中に表現しなければならない。今後のスケジュールを事務局から説明されたい。

    【事務局】 来週の11月2日に土壌農薬部会が予定されており、この場で林委員長から専門委員会報告を御報告いただくことになる。そこで答申の案を審議していただき、その後、パブリックコメントという、今度新しく導入されたシステムがあるが、国民の皆様からの意見募集を約1カ月間かけて行い、再び土壌農薬部会を12月上旬に開催して、最終答申を出していただくというスケジュールを予定している。

    【林委員長】 とにかく2日までに作らなければいけない。非常に差し迫っているので、ご意見は多彩なものだから、ご意見を踏まえて事務局で修正案を作っていただき、ご意見をいただいた委員にお送りしてご確認をいただき、最終的に私と事務局でもって修正する。それを土壌農薬部会に報告るということになると思うが、いかがか。〔「異議なし」との声あり〕

    【林委員長】 では早速、修正文を作り、委員にお送りいただきたい。よろしくお願いする。

    【事務局】 最後に、修文に当たっての最終的な心構えを確認したい。まず、1,000pg-TEQ/gというものを環境基準にする。環境基準以外に、名称は未確定だが、調査を開始するという「調査指針」を出す。その数字は今のところ250pg-TEQ/gである。1,000pg-TEQ/gについては、環境基準の適用対象ということと絡むが、1,000pg-TEQ/g以上の場合は水に対する影響はあるという考えのもとに、あらゆる土地に関して環境基準を適用する。対策基準は1,000pg-TEQ/gとする。そういったところでよろしいか。

    (3)その他

    【林委員長】 それでは、事務局より専門委員会の今後の進め方について説明願う。

    【事務局】 次回、第4回土壌専門委員会は、年明けの開催を考えている。委員には、改めてご都合をお伺いしたい。
     次回は、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素についてご審議いただきたい。

    【林委員長】 それでは最後に、本日の資料の公開についてだが、第1回の土壌専門委員会で決定した公開の取扱いでは、「会議資料は、原則として公開とする。ただし、非公開を前提として収集したデータが記載されている資料、関係者と調整中の資料など公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれのある資料は、専門委員長の座長の判断に基づき、『委員限り』である旨を明記して非公開とする。」とされている。本日の資料の中で、資料3-2については、修正がなければ公開、修正すれば、その部分を非公開、資料3-2の別添は基本的に非公開になると思う。また、議事録案及びとりまとめ中の調査結果については、いずれも非公開としたい。その他の資料については、特に非公開にあたるものはないと思われるため、いずれも公開とすることにしたいが、よろしいか。(異議なし)

    【事務局】 資料3-2について多くの修文のご意見をいただいたが、主に別添についてであるので、関心が高いため、資料3-2本体については、非常に多くの意見をいただいており、修文があることを前提の上で、こういう案をベースに検討がされたという形で公開させていただいてよろしいか。それから、別添については、大幅に修正することになると思われるので、非公開としてよろしいか。(異議なし)

    【林委員長】 それでは進行を事務局にお返しする。

    【事務局】 それでは、これをもって第3回土壌専門委員会を終了する。長時間にわたるご検討に感謝申し上げる。

    (以上)