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中央環境審議会土壌農薬部会(第20回)議事録


1.日  時   平成11年11月2日(火)10:00〜12:00

2.場  所   環境庁第1会議室

3.出席委員

4.委員以外の出席者

 環境庁:
   水質保全局長、土壌農薬課長、水質管理課長、地下水・地盤環境室長 等
 オブザーバー:
   厚 生 省(水道環境部環境整備課1名)
   農林水産省(農産園芸局農産課1名)
   通商産業省(環境立地局環境対策室1名)
   労 働 省(安全衛生部化学物質調整課1名)
   建 設 省(建設経済局環境調整室1名)
 一般傍聴者 計16名

5.議  題

6.配付資料

7.議  事


 土壌農薬部会委員の出欠、水質保全局長の挨拶、配付資料の確認後議事に入った。

【部会長】
 本日の部会は、7月に諮問された「ダイオキシン類による土壌汚染に係る環境基準の設定等について」と、9月に諮問された「ダイオキシン類土壌汚染対策地域の指定要件について」、7月に設置した土壌専門委員会からの報告がとりまとめられており、この件について審議を行う。
 それでは、議事次第に従い、議事を進める。
 まず、議題「ダイオキシン類による土壌の汚染に係る環境基準の設定等及びダイオキシン類による土壌汚染対策地域の指定要件について」であるが、「ダイオキシン類による土壌の汚染に係る環境基準の設定等について」の諮問は、既に7月の部会で紹介されているが、さらにダイオキシン類対策特別措置法の公布を受け、「ダイオキシン類による土壌汚染対策地域の指定要件について」という諮問も行われている。事務局から諮問書を紹介願いたい。

【事務局】
<資料2により諮問書紹介>
            
【部会長】
 本件は、さきの7月のダイオキシン類に係る土壌環境基準の設定等についての諮問と同様に当部会に付議されたのち、部会の開催に先立ち、まず土壌専門委員会においてさきの諮問と併せて審議いただき、その結果を資料3に報告書としてとりまとめていただいている。
 それではまず、専門委員会からの報告に先立ち、ダイオキシン類については中央環境審議会の各部会で同時に審議がなされているので、法律の概要や各部会の審議状況など、前回の部会以降の動きについて、事務局から説明願いたい。

【事務局】
<参考資料1、2、5、6について説明>

【部会長】
 ただ今の説明について質問等あればお願いする。
 特にないようなので、土壌専門委員会からの報告を林専門委員会委員長にお願いしたい。

【土壌専門委員会委員長】
 それでは、土壌専門委員会における審議の経過及び内容について報告させていただく。
 土壌専門委員会は、7月14日の当部会において設置が承認された後、新たに任命された専門委員の手続きを待って、9月7日に第1回を開催し、次いで10月6日に第2回、10月25日に第3回の会議において、審議を行ってきた。
 この間、専門委員会では、土壌のもつ特性からみて、環境基準の位置づけはいかにあるべきか、環境基準と対策地域の指定要件の関係、曝露経路別の知見の集積状況と基準の設定の可能性、対策地域の指定要件の考え方について検討を進めてきた次第であり、その結果、本日報告申し上げる専門委員会報告が取りまとめられた。
 報告の概要について、まず、土壌の環境基準を設定する際の基本的な考え方について説明させていただく。土壌のダイオキシン類の人への主な曝露経路には、土壌をなめる、さわるなどによる直接の摂取、農畜産物を経由し、人が農畜産物を食べることによる間接的な摂取、土壌が水域に対する二次的な汚染源になり得ることから、さらに飲料水や水産物を経由する間接的な摂取の3つの経路がある。本来は、これらの3つの経路全体についての曝露状況、あるいは土壌、水系、大気系の相互移行についての現状での科学的知見を踏まえて環境基準を設定するわけだが、現在のところ、環境基準を設定しうる知見があるのは土壌の直接摂取の経路についてのみであり、農畜産物経由及び水域への影響については、現時点で十分な科学的な裏付けの下に、その影響の大きさを定量化して環境基準を設定することは困難な状況だと考えられた。
 そこで、環境基準としては、土壌の直接摂取の経路に着目することとして、「土壌中のダイオキシン類に関する検討会第一次報告」における暫定ガイドライン値の設定手法について検討を行ったところ、一般環境中の土壌の上に居住・活動することによる曝露リスクに着目した、人の健康を保護するために維持することが望ましい環境基準を設定する観点からも、妥当であると認められることから、環境基準は「1,000pg-TEQ/g以下」とすることが適当であるという結論を得た。
なお、水系への影響については確定的なことはいえないが、幾つか試算を行うと、少なくとも 1,000pg-TEQ/gを超えるような汚染がある場合には、水域への移行についても配慮しておくことが適当と考えられる。
 次に、汚染の進行の防止等の観点から調査を行う基準(調査指標)について説明させていただく。ダイオキシン類についてのTDIの報告書にも明示されているが、ダイオキシン類は生物にとって有害で無益なものであり、当然のことながら将来的には摂取量をできる限り少なくしていくことが望ましい。特に土壌は一度汚染されると長期間ダイオキシン類を蓄積することから、環境基準に適合している場合であっても、汚染の進行を防止するよう努めることが望ましいと考えた次第である。そこで、先ほどの人の健康を保護するために維持することが望ましい環境基準と併せて、汚染の進行の防止等の観点から、ある程度ダイオキシン類の蓄積が進んでいると考えられる地域について、必要なモニタリングや調査を行う指標値として250pg-TEQ/gを併せて設定することが適当であると考えた。
 次に、対策地域の指定要件についてだが、都道府県が指定することができるとされている土壌汚染対策地域の指定の要件については、土壌の直接摂取を考慮して、一般の人の生活又は活動の場であって、 1,000pg-TEQ/gを超える地域とすることとした。
 以上、現在得られている科学的知見に基づいて土壌環境基準や対策地域の指定要件を取りまとめたが、ダイオキシン類の土壌での存在状態あるいは挙動については未解明な部分が多く、人が土壌を1日何mg摂食するかというような基本的な諸定数についてもさらに知見の集積が必要であると考えている。
 また、農畜産物経由や水域経由の健康影響についても今後の課題として取り上げている。

【部会長】
 非常に短期間のうちに専門委員会報告をまとめていただき、土壌専門委員会の方々に厚くお礼申し上げる。
 それでは、土壌専門委員会報告をもとに、部会として答申案をまとめるための審議に入る。
 まず、土壌専門委員会報告の頭から2「土壌汚染の状況」まで、事務局から説明願う。

【事務局】
<資料3、参考資料3、4について説明>

【部会長】
 委員長以外の土壌専門委員会の委員から、事務局の説明について何か補足事項はあるか。

【A委員、B特別委員】
 今までのところ特段ない。

【部会長】
 ただ今の説明に関し、何か質問はあるか。

【部会長】
 それでは、この部分についてはこの専門委員会報告のとおりでよろしいか。

             〔「異議なし」との声あり〕
          
【部会長】
 それでは次に、専門委員会報告の3「土壌環境基準の設定等」について、事務局から説明願う。

【事務局】
<資料3について説明> 

【部会長】
 土壌専門委員会の委員から補足事項はあるか。
なお、報告6ページの上から2行目、「I-TEQ」は「I-TEF」、15ページの参考4の(2)イ@「皮膚摂食量」は「皮膚接触量」の誤りであるので、その2ヵ所は訂正願う。

【A委員】  1番のポイントは、環境基準のほかに調査指標を設けたことで、この数値をどの程度にするかということについて、いろいろと議論され、その結果250pg-TEQ/gという数字になった。この 250pg-TEQ/gという数字は、既存の測定データの上位5%に相当するあたりを出している。個人的には、今後調査が進められると、5%以上の範囲のデータが増えるということではないと思っている。
 さらに、250pg-TEQ/gという数値は、土壌中濃度と水中濃度との相関からみても妥当性がありそうだという数字でもある。ただし、それらの相関については、まだ不確定な要素も大きいので、環境基準とはしないというような合意だった。

【B特別委員】
 これ以上付け加えることはないが、土壌については、直接摂取の問題は勿論あるが、ダイオキシン類の最終的なたまり場になってしまうため、その際にどのような動きをして、どのような影響があるか、というのも一つの議論の対象である。水中にどれだけ溶出するかという試算もその辺のところからきている。
 しかし一方で、大気へ出たものがそのまま水へ流れてしまうということではなく、一度土の中にたまってその後徐々に溶けていく、というように一種のバッファーにもなる。そうすれば、大気と水質の基準が定められるとすると、それらはこれ以上悪くはならず、逆にバッファーの効果が効いてきて、土壌中でも徐々ではあるが減少していくだろう。そういう意味で、土壌がシンクになって何でもため込んで、後で汚染源になるということではなくて、一方では、これからよくなっていくための一つのバッファーとしての役も担っている、という面もあると思う。

【部会長】
 何か質問等あるか。

【C委員】
 1,000pg-TEQ/gと250pg-TEQ/gの値については専門家が決めたことなので全く異議はないのだが、専門委員会報告において、1,000pg-TEQ/gの根拠は、初めは居住地の対策をとるべき暫定ガイドライン、要するに対策のための指針として出た値として書かれているのだが、その後、人の健康を保護するために維持することが望ましい環境基準となっている。データ不足や科学的知見の制約の中でとにかく短期間に環境基準を設定しなければならないのだから、ある部分で思い切りで決めなければならないのはよくわかるが、環境基準というのは望ましい基準であるべきである。そのようなときに一番大切なのは論理の組み立てで、この専門委員会報告を読むところでは、対策基準イコール環境基準と判断される。
250pg-TEQ/gの方は、土壌はストックがあるから調査をする、それも5%ぐらいだから調査指標としていい、というものだが、例えば250pg-TEQ/gが環境基準、1,000pg-TEQ/gが対策基準で、間のものを調査をするということなら、論理が非常にすっきりする。法令で位置づけられている「環境基準」というものを、対策基準とイコールとしてこのままでよろしいのか。その辺のところをもう一度伺いたい。

【事務局】
 ただ今のご指摘については、専門委員会でも論議があり、専門委員会の先生方と事務局との間でいろいろと考えてきたところである。今の考え方としては、土壌という媒体の特殊性を考えると、大気や水といった他の媒体については、環境基準を維持するために空気や水そのものを取り替えるということは普通考え得ないことだが、土壌について何か改善をしようとした場合には、土そのものを取り替える、あるいは土そのものに何かをする、ということしかない。それしか、環境基準を達成する手段がない。このような媒体の特殊性から考えると、環境基準と対策のための基準をイコールで運用する以外に方法がないのではないか。従来の農用地の土壌汚染防止法や市街地の対策における環境基準の運用を見ても、環境基準を超えた場合に対策を実施してきているということで、今の枠組みで考えていくならば、このようなやり方が唯一ではないかという結論をいただいている。

【水質保全局長】  ただ今のご指摘において、ガイドライン値について、健康リスクの論議があったわけだが、それは専門委員会において再度検討いただいている。その結果、専門委員会報告5ページにおいて、これを変えるだけの知見は今のところない、したがって妥当であると記述されており、単にガイドラインを何も考えず環境基準としたのではなくて、健康の保護という観点からの議論がきちんとなされているということだけはご留意いただきたい。

【C委員】
 環境基準というのは、望ましい基準、要するにある程度理想的な基準だと思う。よって、環境基準を超えたからといって必ず対策を行う必要はないのではないか。もちろん、曝露リスクが大きければ実施しなければならず、その際に、今度は許容基準のようなものが必要なのかもしれないが、あくまで環境基準というのは理想的な基準である。今事務局から、環境基準を超えたら対策を行わなければならない、だからイコールとする必要がある、との説明があったが、望ましい値を超過しても対策しなくてよいという、少し望ましくなくてもまあまあ許される基準というのがあるのではないか。

【部会長】  それについては、大気や水質、土壌の環境基準では常に付きまとっている問題である。先ほど事務局の説明にもあったように、土壌については、土壌環境基準が後から設定されたという難しい事情もあるが、農用地土壌汚染防止法において3種類の特定有害物質について対策をとるべき値があって、同じ値を環境基準として設定している。他の媒体については、望ましい基準に対して、排出源対策を行うとか色々あるわけだが、土壌が望ましい環境基準を超えている場合には、その土壌に対して何らかの対策を行うべきであるという点はもうわかっているわけである。しかし、そういった意味での望ましい、これ以下であるべきという基準を設定すること、その精神は水質も土壌も同じだろうと思う。
 そういうことで、既に説明にもあったが、暫定ガイドライン値の設定の経過を読ませていただくと、まさに土壌環境基準の設定の手順をずっと踏んでいる。当時は急いでいたということ、また諸般の調査が現状ほど進行してなかったということがあり、ともかく暫定ということになったが、そこで考えられている手順は、論理を踏んでいると思う。よって、ガイドライン値をそのまま環境基準に当てはめたということではなくて、TDIが5pg-TEQ/kg/dayから4pg-TEQ/kg/dayになっても大丈夫だったというように再検討いただいたと思う。

【事務局】
 1,000pg-TEQ/gを超えたら直ちに健康に対する影響が起こるかという観点からみると、ある程度余裕の幅を持っていると思う。現状では、汚染というのは局地的であるが、このシナリオではそういった汚染が全面的に広がっているという状態の中で住んでいる人を想定しているので、安全幅があり直ちに危険というレベルではない、とこの報告書では書かれているので、ご紹介申し上げる。

【水質保全局長】
 さらに、ダイオキシン類対策特別措置法における対策地域の指定の際、必要条件として「土壌の汚染に関する基準を満たさない地域」と定められており、環境基準がリンクしている。そして地域指定がなされ、対策事業を実施した際に、事業に必要な資金手当については、汚染原因者に強制徴収を伴う負担徴求をすることができるとされている。そうすると、この必要条件はかなりリジッドに設定しておかないと、費用負担について様々な問題を提起された際に法的にもつかどうか、というところも厳格に考えなければいけないと事務局では考え、かつまた、専門委員会委員の方々にも問題提起してご検討いただいた。
 補完すると、専門委員会のご議論の中で、望ましい基準というふうに環境基準は書いており、その点をどう反映させるかということで非常に多角的なご議論をいただき、調査を実施する基準として「調査指標」というアイディアが生まれたということを併せて付言させていただく。

【B特別委員】
 確かに環境基準としないで調査指標とすることについて、専門委員会でも大変議論があった。なぜ基準としないのか、基準が2つあってはどうだ、などという議論も色々出てきた。一方、250pg-TEQ/gが環境基準となると実質的に何らかの対策を行わなければならなくなるのではないか、そうするとそれを基準と書くことについて問題がある。専門委員会報告6ページの「調査の内容」のところに、「250pg-TEQ/g から1,000pg-TEQ/g の範囲内にある土壌については、これを以て土壌の除去等の対策が必要なものと解してはならない」というなお書きのような記述がされているのも、そのような意味の表れである。

【部会長】
 他に何かないか。
土壌から水域等の媒体に移行するところが非常に重要だが、知見がない。水質の方に出ていくのは、懸濁物質が主体になることも含めて確定的にいえない。そういう点からも、この専門委員会報告は現段階では合理的ではないかと思う。一方、農作物への移行については、調査数が少なく同様に知見がないというのだが、参考資料4の表1において、例えば水稲は20点測定している。この結果では土壌の濃度と植物の中の濃度というのは相関関係などは見られないのか。

【事務局】
 確かに水稲は他のものに比べ測定点数が多く、この結果を事務局として統計処理を行い、専門委員会に提出した。その結果としては、現段階では相関はないという結果になっている。よって、この問題については、同じ植物でももう少し多くの調査事例を集める必要があろうかと思う。また、農作物でも種類が沢山あり、今回の調査でもできるだけ幅広い種類を調査するということで、例えば葉っぱものとか馬鈴薯、甘藷、大根等の土壌中で育つ農作物、同じ葉っぱものでも大きなものと小さなものについて調査したのだが、先生方から、この辺についてはもう少し調べないと、はっきりしたことがまだ言えないのではないかというご意見をいただいた。

【D特別委員】  そのことに関連して、間接的にというか、二次的なルートの問題などを含めて、アイソトープでのラベリングによるトレースという研究は行われていないのか。これはむしろ専門委員会の方で色々なデータを集めて様々な検討をされたのだろうと思うが、その辺の知見がうまく使えるものなのかどうか。因果関係があった、なかっただけでは科学的根拠について乏しい気もするので、何かあれば教えていただきたい。

【事務局】
 今現在、事務局において今ご指摘のあったような試験を計画している。参考資料4の表の中では、実際の栽培圃場での植物と土壌との関係を調査している。また一方で、ポット試験を実施しており、アイソトープラベルしていない高濃度のダイオキシン類を含む土壌の上に、人工的にいろいろな種類の植物を生育させ、ダイオキシン類が吸収されるか、根菜類中に取り込まれるかどうか試験している。  さらに、今年度後半からアイソトープラベルしたダイオキシン類を使って植物中に入っていくのかどうかという試験も計画している。ただ、ダイオキシンの種類が非常に多く、余り色々な種類はやれないので、PCDD、四塩化のダイオキシンにアイソトープラベルしたものを使いたいと思っている。
 ちなみに、諸外国でもそのような試験がなされた例があるが、比較的古い時代の試験でもあり、また、日本の土壌で調べる必要があるため、今のような試験を計画しているところである。

【B特別委員】
 専門委員会でも、冒頭において一体環境基準を決められるのかどうかというところから議論があり、どうしても決めなければならないという形で決めている。これから先もずっとこの値でいくかどうかということについては、答申において、いろいろな研究結果によっては変わり得ると言わなければならないのではないか。250pg-TEQ/gという調査指標を設けたのも、250pg-TEQ/g以上のものを色々調査していく段階で、その辺のところもわかってくるのではないか。それを踏まえてきちっとしたものにしていくということで、暫定基準というわけにはいかないのだろうが、変わり得るものだと考えていただいた方がいいと思う。

【部会長】
 これはまだ研究が不十分なところもあるので、余りにも固定して考える必要はないということである。

【E特別委員】
 ただ今のアイソトープを使う試験研究については、そのデータは、土壌のためだけではなくて、結局は環境中全体でのダイオキシン類の動態を推定するための必須の試験研究データであるということで、実は専門委員会でも事務局にこれをぜひ推進してほしいという同じ要望を出している。

【部会長】
 他にないか。
 報告7ページ(4)の「環境基準の達成期間等」のなお書きのところで、「土壌中のダイオキシン類については、現状程度の水準を維持し、又はこれを大きく上回ることとならないよう努めることが望ましい」とあるが、「現状程度の水準を維持し」というのが印象として気になる。ダイオキシン類というのは、もともと自然にないものであるためゼロが望ましいが、土壌にはいろいろ沈着しており、かつてのPCB関係のものだとか、ダイオキシン類そのものが農薬などに入っている場合がある。しかし、シナリオでは一応減らないということを前提としていろいろ安全面でみているわけだが、土壌中の半減期は25年とか50年とか言われているわけで、次第に減少していくことが望ましい。そういう意味で、ある程度の低いレベルに調査指標を設定して、本来なら減るはずなのだが、モニタリングの結果増えていたりしたときには、発生源についていろいろ考えることにしよう、というようなストーリーになると思う。よって、「維持」というのはどうだろうか。

【事務局】
 先生方のご意見があればいただきたいのだが、一つは、二酸化窒素に係る環境基準の中にこのような言葉があり、同じ言葉をここでは使っている。
 また、「現状程度の水準の維持」という言葉だが、非常に高い濃度レベルを維持するというより、むしろ現状はかなり低い濃度レベルであり、それを維持すればという考えである。このようなニュアンスでこのフレーズが専門委員会報告に記載されたわけだが、何かいい言葉等があればご指示、ご教示いただければと思う。

【部会長】
 ほかにはご意見ないか。
 今の点については、個人的にこの報告を読んだ印象を申しただけで、固執するわけではない。

【事務局】
 この部分は修文を要するか確認したい。

【部会長】
 皆の印象はいかがか。

【B特別委員】
 私も表現については、例えば専門委員会報告の1,000pg-TEQ/gのところでも、5ページの「人の健康を保護するために維持することが望ましい環境基準」のところで、「望ましい」という書き方について意見を申し上げたが、「環境基準そのものがこういう表現になっている。」という話であった。だからといって、なかなかいい言葉が見つからなかったようだが。

【部会長】
 生物多様性を維持するとか、明らかに好ましいというものと、これはない方がいいものと明らかに皆が共通して認識できるものが同じような表現となってしまうところがなかなか難しいのだろう。

【事務局】  それでは、報告7ページのなお書きの部分は、下げていくという努力も印象として含まれるよう、「維持し、又はこれを」を削除して、「現状程度の水準を大きく上回ることとならないよう努めることが望ましい。」という書き方にしてはいかがか。

【部会長】
 その修文でいかがか。

             〔「異議なし」との声あり〕

 それでは、そのように訂正していただきたい。
 ほかにないか。

【F委員】 
 報告2ページ(3)の「 2,900〜2,940g」という部分は、ピコグラムの「p 」が抜けているのか。

【事務局】
 ご指摘の排出インベントリーは、日本全国で年間排出されるものなのでグラムで正しい。

【部会長】
 他に特にないようなら、先ほどの訂正部分を入れて、その他の部分については報告のとおりでよろしいか。

             〔「異議なし」との声あり〕
          
【部会長】
 では、次に、土壌専門委員会報告4の「土壌汚染対策地域の指定の要件」から6の「おわりに」まで事務局から説明願う。

【事務局】
<資料3について説明>

【部会長】
 土壌専門委員会の委員から、事務局の説明について何か補足事項はあるか。

【A委員、B特別委員】
 特段ない。

【部会長】
 ただ今の説明に関し、何か質問はあるか。
 特にないようだが、この部分は報告のとおりでよろしいか。

             〔「異議なし」との声あり〕  
            
【部会長】
 それでは、これまでの審議を踏まえ、この専門委員会報告を原案として、若干の修正を行った上で答申案としたい。
       〔答申案の表紙、答申案の概要(パブコメ用)を配付〕
    
【部会長】
 次に、本件は、部会として答申をまとめていくのに当たり、パブリックコメント、すなわち国民の意見を募集する手続を行うことになっている。
 パブリックコメントに付するために、パブリックコメントの求め方の資料について、事務局が案文を用意しているので、事務局から説明願う。

【事務局】
<資料4について説明>

【部会長】 それでは、今のような形で答申案をパブリックコメントに付したいと思うがいかがか。

【C委員】
 内容についてはこれでいいが、同時に出る大気、水質、廃棄物を考えると、1,000pg -TEQ/gというのが印象として非常に高い数値にとれる。ベースが違うのだから別にそれでいいのだが、数値が1,000なので、単位はナノグラムを使ってもいいのではないか。又は両方書いてもいい気がするのだが、この辺はいかがか。

【部会長】
 今の点についてはいかがか。

【事務局】
 環境中で測定した場合にピコ単位がよく使われており、できるだけ比較しやすいようにということで、この1,000pg-TEQ/gという数字を使ってきた経緯がある。しかし、確かに今のご指摘のように、通常1,000になると、単位が変わるというのはあろうかと思われるので、「(1ng-TEQ/g)」という形で併記させていただければと思うのだが、いかがか。

【G特別委員】
 併記するか、あるいは1兆分の1などと説明してはいかがか。そうすれば、大体どういう数字かわかるのではないか。

【事務局】
 それでは、今のご指摘のように、併記しながら、どこかにその単位の意味を書くということで修文する。

【部会長】
 他にないか。
 それでは、以上のようなことで、それについてパブリックコメントに付することにしたい。
 次に議題の(2)「その他」に入るが、事務局から報告事項が用意されているようなので、説明願う。

【事務局】
 農薬に関して、特に環境ホルモンの疑いがあるといわれているものがあるわけだが、それに関する実態調査を実施し、その結果を取りまとめて公表した。ダイオキシンとも多少絡む部分もあるかもしれないが、その概略について報告する。

【事務局】
<参考資料7について説明>

【部会長】
 ただ今の報告についてご質問等あればお願いする。
 大変膨大な調査だが、今の報告のように進められたということである。特にご質問等ないようなので、次に進ませていただく。
 この他事務局から何かあるか。

【事務局】
 まず、先ほどの答申案について、一部語句の修正があった分については、事務局で直したものを部会長に最終的にご確認いただき、最終版としたいということでご確認いただきたい。

【部会長】
 今の事務局の提案でよろしいか。

             〔「結構です」との声あり〕 
             
【部会長】
 では、そのようにしたい。

【事務局】
 もう1点は、次回の開催だが、農薬の関連の審議を11月26日にお願いしたい。

【部会長】
 では、次回は農薬関係で11月26日ということでよろしくお願いする。
 それでは、最後に本日の資料の取扱いについて説明する。
 土壌農薬部会の公開に関する決定では、検討中の答申など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料等は、部会長の判断に基づき、非公開とすることとされているが、本日配付された資料のうち、資料3については、専門委員会報告としてはこのままで結構だが、答申案とするのに際しては、先ほど配付された表紙により、必要な若干の修正を行った上で答申案としたい。同様に先ほど配布した答申案の概要の一枚紙については、私に一任いただければ、事務局と修正したものを公開資料としたい。
 また、参考資料については、いずれも公開資料とする。
 なお、今回の議事録については、事務局で調整した後、出席委員の確認を得て氏名を伏せて公開されることとなる。
 以上であるが、何かご質問等あるか。
 なければ、進行を事務局にお返しする。

【事務局】
 最後に、局長から挨拶申し上げる。
【水質保全局長】
 本日は答申案をまとめていただき心よりお礼申し上げる。
 先ほど専門委員会委員から、専門委員会が開催された当初、本当にまとまるのかという印象を持ったということだが、事務局においても、率直に言って、全く同じ気持ちで本問題の検討を開始した。ここまで至ることができたのは、この前身である土壌中のダイオキシン類に関する検討会での、ガイドラインについての極めて緻密かつ多角的な議論があったこと、かつ、法が成立した後、土壌専門委員会において、この法律にどう魂を入れるかという観点からの多角的な議論があったこと、また、本日その専門委員会報告を踏まえて、先生方からいろいろなご示唆を賜ったことではなかったかと思う。
 今後、知見を充実してさらに良きものにしていくことを事務局としてもお誓いして、今後ともご指導をお願い申し上げ、御礼の挨拶に代えさせていただく。

【事務局】
 それでは、本日の土壌農薬部会を終わらせていただく。


−−了−−