中央環境審議会水質部会排水規制等専門委員会(第8回)議事録




日    時 :平成12年10月4日(水)14:00〜17:30
 
会    場 :合同庁舎5号館環境庁第一会議室(22階)
 
出席委員 :松尾委員長(東洋大学工学部教授)
佐竹特別委員((財)日本軽種馬登録協会理事長)
須藤特別委員(東北工業大学土木工学科客員教授)
伊藤専門委員((財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所研究開発部部長)
田中特別委員(岡山大学環境理工学部教授)
土屋専門委員(東京都環境科学研究所所長)
中村専門委員(建設省土木研究所下水道部部長)
増島専門委員(東京農業大学応用生物科学部教授)
森田専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
米澤特別委員(工業技術院資源環境技術総合研究所首席研究官)
 
欠席委員 :浅野特別委員(福岡大学法学部教授)
 
(事務局)水質保全局長、企画課長、水質管理課長、水質規制課長、土壌農薬課長、地下水・地盤環境室長、総量規制室長

 

議事 1「前回議事録(案)の確認について」

委員の先生方が持ち帰り検討し、意見がある場合には1週間以内に事務局に連絡することとなった。

議事 2「排水規制等の項目追加等について」

(資料2について説明)

(A委員)専門委員会報告のうち、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に係る部分について質疑ありますか。

(B委員)現在の汚染の中で、一番大きな問題が何かということ、そしてその対策の手段、法規制、水濁法による規制を含めていろいろな手段が取られるが、施策の効率性と結果に対して、それが受ける側からの負担等の公平性のバランスを考えた議論が必要ではないか。この委員会でもそういう意見が出されていたと思うのです。この点は対策を考える中で一番重要と思います。水濁法の枠での対策自体の意味合いについての議論を少し整理したものを、この報告書に書くかどうかは別にして、この委員会で議論したことを、全体の環境政策に反映してもらうために、何かの形で残していただければと思います。
 それに絡んだ私の意見ですが、発生源が多様であるということで対策の公平性と法的な規制の問題、また単純に10倍に決めるということが余りよくないのではないかということ。

(A委員)今の趣旨は、主要な窒素の発生源を十分に押さえてないのではないかとの指摘である。ここでは、一応全部入っているように思います。具体的に対策を取るレベルがどうかという、負担の公平性という意味では若干産業間とか業種間とか、いろいろなレベルで少しばらつきがあるかもしれないが、前段からいうと従来水質汚濁防止法で議論されていなかった面源の言及はされている、あるいは畜産も押さえている、そういう意味でかなり幅広く窒素発生源に対する目配りはできていて、その対策をしなければいけないとされている。そこはいいですね。そこはそれでよければ、最終的な対策を立てる上でのある種の公平性がどうか、こういう議論と考えていいですか。

(C委員)2ページの窒素の形態変化では、アンモニアが硝酸・亜硝酸にいく話ばかり書いてありますが、窒素の形態変化で一番特長的なのは脱窒で減ってゆくことだと思います。従って、前駆物質まで考慮するのであれば、硝酸・亜硝酸の次の形態である脱窒まで考慮しないといけないのではないか。カドミウムなどのような、たまる一方の有害物質でないのが窒素の特徴と思うのです。その辺の記述が弱いという気がする。
 それから、小規模な工場等には排出規制が適用されていないというのは、いずれ小規模までもカバーするのか。となると、小規模汚染源の寄与率みたいなのはどのように押さえているのか、その辺がはっきりしない。つまり物の生産量に応じて汚染物質を出すことから、小規模なところの生産量というのはそんなに大きくないのではないか。そうすると汚染源としてもっと大きなところをきっちり抑えるというスタンスを明確にする必要がある。

(事務局)アンモニアが硝酸性窒素を生じること、またその硝酸が脱窒して最終的に窒素ガスになっていくこと、これは既に本文で盛り込んでおりますし、また土壌でも同様に起こり得る。脱窒をどう評価するかはまさに今回の論点ではないかと思っております。
 もう1点、小規模事業場ですが、現在のところ、多種多様な発生源がありまして、小規模事業場が原因となって汚染が生じているかどうかまではわかっておりません。ただ、地域によっては生活排水が集中的に流入するようなところ、あるいは面積や排水量の規模要件未満のものが集中しているようなところ、そういったところであればやはり汚染が懸念されます。その意味では、従来の特定施設でカバーできる範囲でとりあえず対策を考えていきたい、ただ地域的には小規模まで目を向けなければならない事態もあり得て、それは記載されている。

(B委員)脱窒だけではなく、窒素の特性として生物体に同化・固定されることもプロセスとしては非常に重要。特に閉鎖性水域などではかなり大きいのではないかと思いますので、それを入れておくべきではないかと思っています。

(C委員)むしろ水環境の方がプランクトンとかに変わっていくと思う。窒素は土壌中では確かにサイクルしている。農業はこのサイクルを使って植物生産をしている。

(事務局)生物に取り込まれることについても記載している。

(D委員)窒素化合物の形態変化というのは、ある生態系に限って、ある場を限って、例えば非常に硝化が卓越している、アンモニア化が卓越しているとか、脱窒が卓越しているとか、生物の取り込みが卓越しているとか、全然違う。例えば閉鎖性水域にアンモニアが入ったら、かなりプランクトンに入る。だけどそうでなかったら、みんな硝酸になる。例えば土壌だったらどうか。ということで、どこかだけを取り出すといろいろ出てくるのだろうと思うのですが、一般論として言えばこれで十分ではないでしょうか。

(A委員)脱窒が起きるためには有機物がなくてはいけなくて、必ずしも同時にいろいろなものが起きるというものでもないようには思います。場所によっても違うし、よどみがあれば脱窒が先行し、よどみがなければ硝化が先行しますから、一律にバランスがとれているものでもない。そういうことを総合的にどう発展させるかということですが、ポイントはアンモニアまでを含めて対象物質とするかが第1点の確認事項ですが、そこはどうでしょうか。

(D委員)私は当初はすべて有機態窒素まで含めてと考えてきたのですが、規制の仕組み等を考えてくると、そこまでは結構大変なのかなということで、アンモニア性窒素の割合が高いというので、少なくともアンモニア性窒素まで入れればよろしいのではないか。ただし有機態窒素も、水産加工とか畜産とか屠場など結構あるんじゃないかと思うので、そういうのが抜けてしまうのは余りよろしくない。またアンモニア化しないで有機態窒素で流せば得となるのも問題ですが、これも一般論ではこのようにやらないとまずいのかなと思うので、最終的にはアンモニアまで入れば妥協したいと思うのですが、ちょっと有機態窒素が引っかかるということだけ申し上げておきます。

(A委員)事務局として有機態窒素の取り扱いはどうでしょうか。

(水質規制課長)有機物であれば有機汚濁の観点から一定の歯どめがあります。また今まで調べた範囲では、有機態窒素が卓越している排水の周辺で、硝酸の環境基準が超えている事例はまだ見つかっておりませんので、総合判断すると、実態としてアンモニア性窒素までの施策が有効ではないかと思っております。

(A委員)そういう意味でアンモニアを含めステップ・バイ・ステップでいこうと思いますが、よろしいでしょうか。アンモニアを含めるということで確認させていただきます。

(E委員)水質環境基準値の10倍というのがありますよね。水質環境基準値の整合性を考えておかなくてはならないという気がするのです。水質環境基準にはアンモニア性窒素は入っていないので、その10倍というのが引っかかります。

(A委員)硝酸・亜硝酸しか決めてないのにもかかわらず、アンモニアまで含めることに法制的な問題があるという話がありましたが、それはどうですか。

(事務局)規制項目である総水銀は、有機水銀と無機水銀に区別される。有機水銀は健康影響の観点から注意すべきもので、環境中に排出された無機水銀は有機化するので規制対象となっている。つまり、水濁法の枠組みからいえば前駆物質を取り扱ってきたという実態があります。そういった意味ではアンモニア性窒素も取り扱うことは法制的には問題ないことを確認しております。

(E委員)法制度上の問題ではなくて、何となしに前駆体を入れて、何となしにしっくり前駆体がしばらく時間たつと増えるということにはならないような気がして、危ないものを規制対象にすればいいかどうかという問題ですが。

(C委員)無機水銀も有機水銀に変わるので、無機水銀は有機水銀の前駆物質という位置づけで総水銀を規制対象とする理由は理解できる。しかし、水銀は生物蓄積などでそのままでとどまっているのいたいして、窒素では脱窒や植物の吸収なりで消滅するので、この過程も考慮した規制にしておかないといけないのではないか。

(A委員)それは窒素換算にして、全量が硝酸になるという部分は確かにオーバーエスティメイトだと思う。それを何%に見込むかは次の議論と思いますが、しかしアンモニアは硝酸になり得るということは問題で、そのなったものが環境基準を超える原因になるかもしれないという意味ではそのとおりである。ですから定常状態を考えると、とにかく出すときの形だけで議論していいかというと、私はやはり出てからどうなるかということも合わせて検討すべきだと思います。そういう意味で前駆物質が、全て1対1で硝酸になるとは限らないですが、ある部分は必ず硝酸になる、これは確実になると思います。そういう意味で硝酸になる可能性があるものは押さえておきたい。もう一つ前に有機態窒素というのがある、これも確かなんですけれども、そこまでいきなりやろうというのは、ちょっとのぼり過ぎという感じがして、その場合アンモニアにはどれだけなるのか、特に川の中ではどうかとかなると、ちょっとわからない部分があるから、今はっきりしているのはアンモニアからは確実に硝酸が、しかも川の中で、出てしまった後でも硝酸に変化するものであれば、やはり出るものを規制すべきではないか。これは私は比較的理解しやすいと思います。そのときに全量であるかどうかと、これはいろいろな状況が出てくる。法制的にオーケーであれば、やはりアンモニアまで含めて規制すべき、これは了解いただけるのではないでしょうか。
 次に対策のあり方についてですが、具体的な基準値の設定だと思います。この辺はいかがでしょうか。
 今までの議論で、アンモニア性窒素が1出ても、それが全部硝酸・亜硝酸になるわけではない。その過程として脱窒もあるし、生物同化もあるのではないか。それをどの程度に見積もるかという問題ですが、どのぐらい硝酸になるのだろうかということについてはモデル計算があります。

(試算例を事務局より紹介)

(A委員)さっきも申し上げたように、硝化等の割合は川の状況で全然違ってくる。それによって変換率も随分変わるだろう、そう言いつつ全国レベルの目安を決めていただきたいということですので、非常に難しいですが、しかしこれはこの委員会の重要な意思決定と思いますが、ご意見ございますか。

(B委員)試算について、時間経過の中で最大値が出てくる時間は、大体2週間から3週間ぐらい後、そんな理解でよろしいでしょうか。

(水質規制課長)硝化・脱窒速度によりますが、10日以上という場合もあります。河川で議論する場合は、それだけの硝化時間がたちますと、最大点まで達しないということになります。しかしそれが海へ入って閉鎖性水域ではどうなるのかと考えればより大きな値が適当ということになりますが、同時に生物への取り込みの効果というのが、より大きくなって出てくるということからしますと、実際の解である初期濃度25〜64%よりは、何割か下げた数字を持ってくる方が合理的ではないかと考えます。

(F委員)私も今ご説明になったのと全く同じ計算をやったことがありますけれども、一番早い硝化速度で、かつ一番遅い脱窒速度で計算しますと、ピークになるのが大体12〜13日で、ほぼ60%ぐらい。そのとき5日間でちょうど50%、0.5になります。硝化が遅くて脱窒がおきないと、ピークの出現はもうちょっと手前にきますけれども、そのときはせいぜい25%ぐらいですね。
 それから生物への取り込みですけれども、生物への取り込みを考慮するとなれば、生物遺体からの回帰も入れなければならないので、これはやはりちょっとここでは、そこまで入れると非常に複雑になりますので、生物の取り込みは一応考えないという方式でいいのではないか、そういう気がしております。

(A委員)沈殿して、場所が違ったり時間がずれて出てくるという問題が出てくるから、収支をとるような瞬間的な数値が出てくるとなかなか考え方が難しくなりそうに思いますね。非常に厳しい極端な議論が1.0。その半分ぐらいが0.5という感じでしょうか。小さい方で見ると0.3とかが出てくる。その状況をどう勘案するか、どの辺がリーズナブルか。

(B委員)硝化と脱窒の速度について、硝化速度が大きいのですが、以前の資料でヨーロッパの調査では硝化と脱窒の速度範囲が河川の一定面積当たりでほぼ重なっていると理解したのです。ですから硝化と脱窒は、ほぼ同じ程度と見るのが一般的ではないか。場所によっても確かに変動しますが、ほぼ同じぐらいだということで計算して、その上に最終的にたまる最大値が出る可能性のある閉鎖性水域での補正として植物の取り込みを入れる計算ができるのであれば、その方が合理的。その数字が50になるか、それより上なのか下なのかというのはちょっとやっていただかないとわからないのですけれども。

(A委員)下水処理場だとどんな感じですか。

(G委員)全国一律に適用できる数字というのは非常に難しい。このロンドンのテムズ川の0.1は、そんなにおかしな値ではない。ただ、下水処理場の場合、生物への取り込みは大体30〜35%の流入水中の窒素が生物に取り込まれる。これは硝化を起こそうが起こすまいが、BODをとるとそのくらいは常に生物に取り込まれることは事実としてあります。その部分は割り引いてカウントしないと、100%硝化、あるいは脱窒というのはちょっと自然界では考えづらいんですけれど。

(D委員)硝化速度、脱窒速度は実際の水域でどうとるかというのは、確かにきちっとデータで示している方もいるのだが、それで代表させるというのは非常に疑問だと思う。ヨーロッパの河川はどちらかというと、硝化速度は遅いと思う。日本の河川は斜路が多く、硝化が進んで脱窒が悪いというのが特徴。これはよく酸素が入って河床との硝化菌との接触がいいので、嫌気状態になりにくいから、当然卓越するのは硝化だと思います。ただし、例えば手賀沼とか霞ヶ浦とか、そういう特殊な非常に嫌気になりやすいとか、有機物が豊富だとかであれば、また逆のことが起きるかもしれない。同僚なり、硝化、脱窒をやっている研究者が多いので、いろいろディスカッションしてみましたが、全国一律にというと、霞ヶ浦ではこう、多摩川ではこうということは言えるのです。
 それからもう一つ気になるのは、多摩川のデータが意外に多い。これは東京の人が多摩川へ調査に行くのが多いからでしょうが、多摩川は特殊な河川。しかも硝化が非常に卓越する河川だと思う。そういうデータで、しかも多分脱窒も卓越しているという気もしますが、要するに物質変化の激しい河川だと言えるのではないか。そういうデータで全国を評価するのは非常によろしくない。では何に頼ったらいいかというと、もし極端なことを言えばゼロから1.0の範囲だろうと。当然、全部が硝化してしまうのが1.0というのは仮に硝化しても、全部脱窒してしまう。このように両極端があるので、ちょうど真ん中というのは、議論としてはいろいろなことを考えたときにどこからも遠くはない。科学的根拠というよりもいろいろな可能性のある中では、そういうとらえ方もしておかないと。例えば0.35ではないか、0.45はどうか、私は0.6ぐらいかなと思っていたのですが、言いだしたら切りがないので、そのように思いました。

(A委員)この問題は今言われたようにゼロか1か真ん中ということで、それは一つの落としどころと感じます。しかし考えなければいけないのが、数字を決めたときのコスト、現実的な対応可能性をある程度考慮しながら決めていくこともあると思うのですが、どうでしょうか。

(B委員)水域では生物への同化は大きいことはご承知だと思います。さらに、短い河川ではやはり多分1週間もたたないうちに外に出てしまいますので、一番高い濃度まではいくことはないだろうと思います。天然ガス協会の調査などでも、これは河口に近いところですけれども、海に流れた後の挙動を見るとプランクトンによる取り込みを入れないと濃度を評価し切れないという結果だった。ですから流が滞留する場所では、そうい生物の取り込みの効果を考慮する必要があると思う。
 もう一つは、閉鎖性水域で硝酸性窒素汚染が現実的にないことから、これが蓄積するというのはそう大きく取り上げなくてもいいのではないかと思う。この理由はやはり生物の取り込みがきいているのだと思いますので、アンモニアの換算係数は0.5に、さらに生物取り込みを加えて評価することが必要。

(C委員)これまでの議論は、窒素の形態がいろいろな条件で大きく変わるということが予想される中で、ナショナルミニマムを作るという作業に伴うもので、大変苦しい議論と思う。アンモニアから硝酸・亜硝酸になり脱窒する系だけではなく、生物に取り込まれてさらにその死骸からアンモニアなどが出てくるという系も存在する。そうすると環境基準の10倍という値は主に希釈を想定していると思えるが、窒素の場合にはこのような窒素循環を考えれば10倍でなくてもよいのではないか。

(A委員)そこまで動かし始めるとかえってわかりにくくなる。10倍を変える根拠を考えても難しい。しかもこれが有害物質であると非常に大きな意味を持っており、厳しくするのも難しいし、緩くするのも難しい。ですからこれはどうも議論の余地なく10倍というのがあって、そこから始める。その絡みでアンモニアをどうするか、そのうち何%を硝酸に振り分けるかというと、試算結果もあり、増島委員が言ったように50%はいい線かと。しかし生物同化をもう少し考えられないかと、こういう議論だと思うのです。

(H委員)このあたりになると専門家の相場間みたいなところで、ある種のコンセンサスに落ちついていくという感じがする。私の感じでは、初期濃度25%から64%と計算されたのであれば、その中間ぐらいとすると45%。有機態窒素を見逃しているといえば50%に振った方がいいかもしれないし、生物の取り込みを考えるとすると40%、そのあたりで数%の取り合いかなと思います。

(G委員)生物の取り込みというのは浮遊化している場合は植物プランクトン。東京湾の底泥とか霞ヶ浦のようなところは底泥中の窒素の量を測ると確実にマスとしては増えている。ということは、取り込みが海流よりも卓越していると思う。そうするとこの25%から64%をどう解釈するかですが、これはどちらかというと高めの試算ではないかと思う。中間をとるのは日本的コンセンサスの出し方ではないかと思いますが、数字で十分に決めきれない場合は、そう感じます。

(C委員)例えば、家畜の尿汚水処理に活性汚泥法を使うと汚泥ができる。現在が汚泥がおおくなりすぎて引き抜いて堆肥化処理などをしなければならない。これは汚泥に窒素を取り込ませようと操作しているためともいえるが、やはり生物同化はかなり大きいように思う。もうひとつはアンモニアから硝酸に代わるピークが10かとか2週間であれば、日本の河川では大体流れてしまう。そのため、閉鎖性水域を念頭に生物の取り込みを入れたパラメーターで良いのではないか。

(F委員)比較的硝化し脱窒が遅い条件で、硝化と脱窒はかなり温度に依存しますから、その依存の仕方も硝化と脱窒では両方とも非線形でそれぞれ違いますから、これまた複雑になってしまう。えいやっということで不確定係数みたいなものを入れれば0.4くらいかなという気はしているんですけれども。

(A委員)事務局としてその辺の計算をされたり、いろいろ数値を検討してきて、ここでは何となくゼロ、1の議論が先行したのですが、どんな感触ですか。

(水質規制課長)どこに移動しようとも一度排出されたものが環境中から消滅するまでは追っていかなければいけないという考え方でやってみましたが、例えば最も蓋然性の高い値や条件、パラメーターをご指示いただくのも一つの手かなと思っております。あるいは先生方のご意見を整理した上で、場合によっては次回の会合でもう一度。もしパラメーター設定であれば、今すぐ計算をいたしますが。

(A委員)生物同化をどう加味するかということと、大体こんな条件なんだということを明示する必要はあると思う。ですから生物同化はどのくらい考えればこうなるし、この範囲というのはどういう状況を想定したということは、どこかで説明する必要が出てくると思う。

(B委員)例えば脱窒が遅くて硝化が早いという、1対0.5ぐらいにして、それが日本の標準的な河川で1週間ぐらいで出てしまう濃度レベルで河川は説明する。その数字になるように閉鎖性水域の生物値を合わせるというのはどうでしょうか。

(A委員)目標の水質が決まっていないとなかなか合わせられないでしょう。パラメーター自体が決められないのですから。

(B委員)硝化を1、脱窒を0.5にすると、最大値がたしか0.5に近かったのではないか。ただ1週間だとすると6割だとちょっと切り過ぎ、2、3割は下がるはず。

(A委員)5日間分の硝化率ということですね。

(B委員)0.35とか0.4とか思っていたのですが、減らす方がちょっと大き過ぎるかもしれません。

(I委員)率直にいって大体そんなところに落ちつくのではないかなと考えておりまして、やはりアンモニアを入れておかないと後々困るのではないか。ただ、硝化がどのくらいのスピードでいくか、これは議論があると思っております。
 私は多摩川でいろいろやっているのですが、多摩川はかなり硝化するという印象は持っており、それが全国的に展開できるものでもないという気がしております。いずれにしても硝酸・亜硝酸の環境基準を守ろうというときに、アンモニアを外してしまうと後々非常に問題がある。だからアンモニアも入れておかなくてはいけないというのは基本的にはそうだろうと思います。

(J委員)行政的な感覚からは、ある程度行政にお任せいただいてもいい部分があるのではないか。もちろん今の議論を全く無視したことをやって適当に決めては困りますが、50%なり40%を基準に、裁量の幅は行政に認めていただいても許されるのかなということが1点。もう一つ、太平洋に流して黒潮で持っていってしまう、そういうものにも水濁法を適用すれば、これは規制しなければならないと思う。これは大前提でそこは動かさないことにしたのですから、それはやむを得ないのですが、行政はそういうことも考えるべき。民間が納得ずくでやっていかないといろいろなところに矛盾が出てきますので、そういうことも考慮してある程度行政にお任せいただく、それも無制限ではなくて、こういう考え方で、こういうことも考慮せよということをきちんと示せば許されるのでは。

(水質規制課長)単なる試算としてご紹介しますと、例えば硝化速度を10%くらい、さらに脱窒速度を4%くらい、生物の同化を4%ぐらいで計算するとどのくらい下がるのかというと、0.4か0.4を下回るくらいになる。米澤委員がおっしゃっておられる定量的な効果をはじき出そうとすれば、0.5に対して10%くらい下がる。

(D委員)放流先が川なのか、湖沼あるいは内湾なのかによって違う。0.5というのは日本の放流先は川が多いだろうから、川を中心に考えておりました。もし手賀沼や霞ヶ浦に流すということになれば、10%ぐらいプランクトンにとられるでしょうから、そっちの方が妥当かなと思います。放流先が閉鎖性水域だったら0.4、川だったら0.5ぐらいが妥当なんだけれども、そんなに0.5にこだわる理由というのはない。ないのですが、一応環境科学的に見るとそうじゃなかろうかということを申し上げて、あと委員長の判断にお任せします。

(E委員)これは行政的に判断かと思いますが、どうしても委員会で決めるとすれば今までの話から0.5かなという気がしています。

(G委員)0.4という数値はそんなにおかしな数値ではないかなという気がします。

(A委員)何となく0.5、0.4で、最終的には行政的というか、事務局に若干の調整も含めて任せるという案がありますが、よろしいですか。0.45というのもあれですから、0.4か0.5、こういう二者択一の議論じゃないかと思いますが、委員会としては決めきれない部分が残りますが、今の議論を踏まえて、もう少しモデルの妥当性も考えて、生物同化も加える。硝化と脱窒と同化という3つの要素を含めたモデルで検討して、しかし余りそれが小さくなり過ぎてもいけないし、大きくなり過ぎてもバランスを欠くと思うので、全体的なバランスを考えてもらう、そういうことでよろしいか。

(水質規制課長)もう一度精査したいと思っております。

(B委員)9ページで、地下浸透規制があるのですけれども、この規制自体がどういう影響があるのか。どこに問題があって、どういう影響があるのかは余り検討していなかったと思うので、単純に決めてしまっていいのかと思いますが。

(A委員)もう一つ非常に重要なのが基準値ですが、先ほど硝酸と亜硝酸プラスアンモニアのα倍を足したものが100mg/lでよろしいですか。ではそういうことで決めさせていただきます。地下水の問題は、有害物質があってはいけないというのは、いわゆる地下水の法律的な枠組みの問題もあるようですが。

(資料2について説明)

(A委員)有害性について確認するだけの作業ということですね。有害なものを含んでいれば一切地下浸透させてはいけないという原則ですね。

(B委員)窒素化合物がそうなることによって、これは特定事業場が対象になりますから、かなり限定するのでしょうけれど、例えば農地などとのバランスがどうなっているのか。たまたま農地を囲って事業場にしたとか、いろいろややこしい問題が現実に出てくるのではないか。窒素もそうですし、ほう素も肥料的な使い方もありますし、そう考えますと右から左に単純に決めてしまうのが、何かおかしなことになりかねないのかなというふうに気になるんですが。

(A委員)もう一つ浄化措置命令を出す基準を10mg/l、これは環境基準で決まっているということですね。

(地下水・地盤環境室長)浄化措置命令は必要な限度において浄化をさせるということで、必要な限度として環境基準までと決めておりまして、これもほかの有害物質と同様とすることが適当であろうということであります。また、地下浸透規制について法律で何でもかんでもだめというのではなく、有害物質を製造、使用、処理する特定施設から出る水に限って規制をするものであり、そういった人為的に有害物質を地下に浸透させることは禁止するということが水質汚濁防止法でうたわれております。この物質はよくてこれはだめと、同じ有害物質でそういう区分けは想定しておりませんので、地下水保全のためにも引き続きこういう規制が必要で、他の有害物質と同じ措置を講じることが必要と考えております。

(G委員)下水処理水を例えば渇水時に街路樹なような植裁に散布するときがある。あるいは処理場の近くの農家が渇水して水が取れないと、処理水を散布させてくれと、そういう処理水の散布は地下浸透に当たるのかどうか。

(地下水・地盤環境室長)特定事業場の有害物質にかかる特定地下浸透水であれば、地下浸透してはいけないとなっている。

(C委員)農業では硝酸とかアンモニアを作ってはいない。しかし、硝酸とかアンモニアを含んだ水を場合によって散水などに使用することがある。散水も地下浸透に含めるということ、ちょっと整理が必要ではないか。

(地下水・地盤環境室長)例えば川の水をくんで、硝酸なりアンモニアが含まれているではないか、それをくんできてまいてはいけないのかというと、そうではなく、特定事業場の中のそういった特別の有害物質を製造するような施設から出る水を地下に浸透させてはいけないということです。

(A委員)処理場はそういうのをつくっているところではないと。

(C委員)汚水処理は窒素を硝化して脱窒させようとしている作業といえなくも無い。

(G委員)タンクローリーで運んでもだめか。

(B委員)天然ガスの業界で一部使用していた水を、地盤対策もあり地下に圧入している。この委員会でも地盤対策を考えて地下に戻すよう話もあったが。

(地下水・地盤環境室長)タンクローリーについては、有害物質使用特定施設を持っている事業場から水を排出しようとする人が、水を排出してはならないということで、基本的にはその事業場で地下浸透させてはならないと解釈できます。

(B委員)そういう事業場の行為に該当するかどうかというのは、個別の事業場ごとに常に機械的に決まるのではなくて1件1件該当するかどうかは、これから具体的に検討するのか。それとも機械的に決まってしまうのか。

(A委員)今後の日程の段階でもうちょっとご議論しなくてはいけないのですが、考え方を整理していただくことでどうでしょうか。

(企画課長)庁内で整理をしまして、ご説明させていただきます。

(A委員)それではほう素・ふっ素の方へ入らせていただきます。

(資料2について説明)

(B委員)汽水域をどう取り扱うかという問題。海域の性状を理由に水質環境基準を設定しないということになっているのですが、汽水域も同じ議論からすればその性状としてそうなってはいない。そうするとそこへの排出は淡水域と同等に考えていいかどうかという問題はあると思うのです。

(事務局)海域と陸域の区別について前例がありまして、昭和46年当時から生活環境基準のpHが陸域と海域で異なる基準を設定しております。1級河川はちゃんと線が引かれておりまして、そうでない場合は左岸と右岸の出っ張りを結んだところ、そういった扱いをしております。では汽水域をどう考えるかというと、確かに海水の影響を受けるところではありますが、影響を受けない場合もあって、そういった意味で整理がされたのではないかと思っております。

(A委員)川と陸とで線が引かれれてて、川側か海側か決めている。汽水域ではふっ素やほう素が海の影響で川の水よりも高くなっている可能性があります。汽水域でも環境基準は守らなければならないということか。

(水質管理課長)今までの取り扱いですと、排水基準の一部で海域と内水域で分けているものがある。環境基準でいえば湖沼があり、典型的な例として中海。あれは湖沼扱いで、従来の整理では海域ではないという取り扱いになっております。

(A委員)排水基準を決める場合はどこへ出すか、この際割り切って考えませんか。

(水質管理課長)ふっ素・ほう素の環境基準を設定したときの答申には、海域のふっ素については先ほどの理由で海域には環境基準は適用しないこと、また海域以外においても汽水域において明らかに海水の影響による基準値を超過した場合、その他明らかに自然的原因により環境基準値を超えて検出されたと判断される場合には、測定結果の評価及び対策の検討に当たってこのことを十分考慮する必要がある。つまり適用はするが、ただその評価とか対策については考慮する必要があると、こういうことが明確に書かれておりました。

(A委員)よろしいですか。それでは、海域の排水基準ですが、これはいかがでしょうか。原案としては、ふっ素について陸域では8mg/l、海域については、現在ある生活項目の排水基準を準用すべきと。これより緩める理由はないということで15mg/lが提案されている。今まで50トン未満で適用除外されていた小規模が規制の対象に入ってくるということ、いきなりこれでやられたら難しいかもしれない。もう一つ、ほう素については今まで基準がありませんから特別に考える、ちょっと従来とは違う枠組みで決める。

(I委員)中小でも陸域ではやはり有害物質になるとかかってくる。そこはやはり配慮しなくてはいけないのではないかと思います。

(A委員)それが次の論点として暫定の部分にかかわってくる。これはまた次の項でご検討いただくことになりますが、ほかには特にございますか。
 原案では、ほう素の数値が230から240と幅を持たせてあって、この辺の考え方。事務局でこの数値を出した考え方があれば、説明して下さい。。

(事務局)(TDIからは海域濃度上昇分として、23.5mg/l以下が求められるとの試算を紹介)

(H委員)多分そのような計算と技術的にできるところを考えて数値を触っていると思う。海産物の影響が水産用水基準を持っていないのだが、それが本当に上昇分プラスバックラウンド、その数字で本当に魚は大丈夫なのかというのは少し気にはなる。だからそのあたりが少し水産の方に聞いてみなければいけないかなという部分が残っています。

(水質規制課長)人の健康を守るため23.5mg/lが、例えば瀬戸内海あるいは東京湾全域で広がることを認める、という意味ではない。排水規制というのは個別の発生源の周辺で、できるだけ環境基準あるいは望ましいレベルというものを達成するために、その望ましいレベルの10倍で排水規制を打ってきた。それは排水口から出て、ある程度合理的な希釈域を経て速やかに10分の1に希釈される。したがって大方の水域では望ましいレベルを十分達成できるよう、局地汚染の目玉つぶしをするという考え方をとってきています。したがって、この23.5mg/lが海域どこでも許されるとご理解をいただきたくないわけで、これは一つの排水規制の考え方で検討したときに、局地汚染はどうするべきかということへの結論です。

(A委員)海の環境基準が23.5、という話ではないというわけですね。全然違う概念であると。

(D委員)TDIから算定すれば多分こうなるのでしょうけれども、この議論は環境基準を決めるときにしてないですよね。

(水質管理課長)委員長がおっしゃったように、これは環境基準ではありません。基礎となるデータが弱い中で、ただ排水基準を決めるのに何らか目安がないと議論できないという状況で、少しは割り切りもありますが、目安という意味で試算したもの。そういう意味で議論の過程での一つの試算とお考えいただいた方がよろしいのではと思います。

(D委員)環境基準の専門委員会で海にかけないことに随分議論がありまして、やはり食物として戻るのではないかという議論があった。だけどそれは大した量ではないからというような細かい議論をしてない。本来だったらそこですべきだったのだけれども、それ以後出たデータであればやむを得ないのですが、こういうデータが出たのなら、例えば200とか、丸めた数字でやるのが妥当ではないか。当然ふっ素についてもバランスを考えていただきたいと思います。

(J委員)今、日本の周辺海域で人為的理由によりふっ素濃度が上昇ししているという明らかな事実が認められるのでしょうか。制度がこうなっているから規制するのではなくて、実質的に規制された方はきちっと守らなければならないわけですから、法律がこうなっているからこうするのだという理由だけでは説得仕切れないと思う。そういう非常に危機的な兆候があるかどうかということ。

(事務局)たかだか5年、10年のデータでそういった顕著な兆候、上昇傾向があるとかは、残念ながらまだわかりません。逆にもしそんなことがあれば、それはかなり大変な状況であると思うのです。ただ、環境基準を決める際にそういったことも考えて結論が得られたと考えております。そのためには膨大なバックグラウンドレベルに対して、少量だからよいのではないかという意見もあるのかもしれませんが、実際そういう顕著な影響が出た場合には、もはや手遅れという事態も予想されるところから、やはり対策が必要と考えております。

(A委員)有害物質ということが決まったわけですから、陸域については従来の手法でいくべきでしょう。しかし海については改めて決め方から検討していく。TDIから計算したのが230から240、須藤委員は200、私は23.5だったらやはりこれを超えて24とするのはちょっと見識を問われるので、どちらかといえば23と読みたい。そうすると230か200か、このような議論になるのですが、どうでしょうか。

(J委員)ここには水産の研究者が一人もおられない。その場合に生物濃縮とか数値を出すとちょっと苦しい立場になるのではないか。

(水質規制課長)これは現状の対策技術レベルというものも総合的に勘案して、数値として提案したもの。なお、リスク論から見た試算は、ダイオキシンのときにも同様の計算をしており、また環境基準専門委員会の専門家にも計算方法に誤謬がないか確認したところです。

(B委員)ふっ素の15mg/lについて、現行の基準は人への影響ではなくて、水産生物影響。健康項目として人の影響の議論の中に生物影響を持ち込むのは話を混乱させるもと。生活項目の場合、水産基準を引用するのもやむを得ないのですが。私の考えとしては生活項目の数字をそのまま健康項目に持ってくるというのは論理的におかしいのではないか。むしろほう素についてやられたようなやり方をベースに考える方が合理的だと思っています。ただ現実としてふっ素は海にも規制が適用されていますし、それを緩めるとまた混乱するでしょうから、結果的に同じ数字が使われてくるというのもやむを得ないと思っているのですが。

(D委員)私がバランスをとってほしいというのは、15とバランスをとってほしいのではなくて、50トン未満に配慮するというところでバランスをとってほしいという意味。要するにふっ素が非常に厳しく、ほう素が余り厳しくないと、海域に対してそういう見方にとれるようなやり方はよくないので、そういう見方に対してバランスをとってほしいという意味です。

(A委員)小規模なものにはどう配慮するかですが、建前からいうと有害物質ですから、配慮しながら決めるというのはどうか。やはり15という従来の枠を緩くして50トン未満のものはいいとか、しかもそれは海だけではなくて陸の方も問題。陸までとなると恐らく体系からもたないと思う。

(D委員)やはり陸水には一律の基準をつくるべきだと思います。それで業種とか規模によって暫定で対応すべきであって、濃度は事務局から提案してもらう。

(A委員)そうすると50トン未満の小規模のもので、海へ出しているものについては少し考慮できないか。

(D委員)ほう素と同じような。

(A委員)ほう素と同じ決め方ですか。ふっ素はこういう計算ができるのですか。

(D委員)TDIがない。

(A委員)そういう意味で排出先で基準を変えるというのは、ほう素はそうならざるを得ないのですが、しかも50トン未満に限りますよね。その構造的な複雑さが耐えられるか。テクニカルな面、法的な可能性は。

(D委員)ふっ素の15は今でも規制されている。50トン未満はこれから。

(A委員)そのとき50トン以上と50トン未満で数値を変える理由ですよね。その理由は排水対策が非常に難しいということでしょう。

(D委員)では暫定で対応するというのも一つの考え方。すべてそうしておいて。

(A委員)恐らくすべての項目について暫定を設定しないといけない分野があると思う。そこで処理をするのが一番適切だと思う。だから陸域についても恐らく50トン未満のものについては暫定を決めざるを得ない。それで海域に出すところだけ別の基準を決めるかと、しかも規模が小さいものについてと、そこがちょっとわかりにくいんですけれど、どうでしょうか。

(水質規制課長)有害物質はできるだけ一律的な、人の命には区別がないわけですし、事業者の公平性という観点から見ることもできますが、あわせて陸域の話とバランス、実務的な話と思いますので、検討させていただきたいと思います。

(A委員)ちょっと確認作業に入らせていただたいと思います。17ページ、まだペンディングの排水基準の設定等について、これは15mg/lということを確認するということ。要するに15というのは、現在の生活環境項目として決められている数値で、50トン以上のものについては既に守られてきているし、海域についてもそれを引用するのがよいということで、それは特に問題ない。最大の問題は50トン未満のものに適用されればかなり負担がふえるかもしれない。しかし陸域についてはやむを得ないのですが、海域についてそういう特例みたいなものを考えるかどうか、それについては具体的な手法があるのかどうか。しかし全国一律基準という従来の考え方からいうと、特例中の特例をつくる形になるので、整合性が悪いという印象は受けますけれども。
 それ以外の問題について、海域などふっ素については少なくとも50トン以上を想定して15というのはどうでしょうか。よろしいですか。
 次にほう素ですが、TDIから海域に関する決め方が合理的かということと、具体的な数値として230から240とありますが、やはり200ぐらいまですべきじゃないかと、こういうご意見も出てきております。私も23.5だったら23と読んでほしい、240よりは230という感じですが、200か230か、これはどうでしょう。

(H委員)この議論は基本的には石炭火力だと思う。排出量が多く、それが事実上どこまで技術的に下げられるか。そこがかぎで、そういう意味である種200から250ぐらいの間に多分無理のない線があると思う。そういう意味での着地点というのは日本全体を考えたときに悪くない着地だろうと感じます。
 18ページの2行目ですが、排出濃度が石炭火力で2〜330ppm、こんなに幅があって200を超えて、例えば230とか240のところにどうしても超えられない壁が本当にあるのか。それとも実際は簡単に200ぐらいならできるのか、このあたりの感触をつかんでもらって、そのあたりはお任せかなという感じがします。

(A委員)そうですね、200から230の間で。実態として既に十分議論されているのではないかと思うのですが。200というのはあり得ましょうか。

(水質規制課長)今にわかにお答えしかねますので、もう少し検討します。

(A委員)もう一つの決め方は2〜330までであったら、8割ぐらいが守れるとか、そういうのも一つの目安。いろいろな分野でやってて、一生懸命やっているところと、そうじゃないところがあれば、8割ぐらいは守っている線というのもあるんですが、それはまた健康項目を決める上では技術レベルの検討ということもあって、そのバランスは非常に微妙な部分があると思うのですが、とりあえずはTDIからくるのが一つの根拠としながら、あとは技術レベルからもう少しいくのかという期待もある。それも含めて200から230ということで調整してほしいと思います。

(B委員)230から240はぎりぎりの線ではないかと思います。実際の上の方とか低いところ、いろいろあるんですが、やはり石炭の性質で大分違う。しかも同じ地域から輸入したものでも、どの炭層から取ってきたかによってもミネラル分が違うわけですから。ほう素はミネラル分の含有量率で決まってきますので、そこが必ずしもうまくコントロールし切れない面がありまして、なかなかうまくいかないだろうと思います。私も330があるのに230とか240でうまくいくのか気にはなります。

(A委員)よろしいでしょうか。それでは次の暫定排水基準について。地下浸透については、次回。

(資料2について説明)

(A委員)要するに健康項目については速やかに対応すべきで暫定は異例、こういう建前だと思うのですが、そうはいってもある程度業種等を限って暫定基準をつくるのが現実的、こういう考え方と思います。

(B委員)暫定基準は設けるべきという意見に賛成。特にふっ素・ほう素に関して現実的な汚染が増加傾向にないというのが一つあります。これが一番大きい理由。さらに窒素に関しても総量規制で閉鎖性水域について効率的な対策をとられているので、急にこれを積極的に推進しなければならないという大きな理由はないように思っておりまして、その面からもこの措置で負担がかかるところへの配慮という意味で暫定排水基準はぜひとるべきと考えています。

(A委員)暫定排水基準をつくる方向で結論を出していただく。この場はとにかく非悪化というか、今よりは悪くならない、目標値としての排水基準になるべく早くみんなが努力してやってもらう、その精神的なことは理解していただいて、当面の措置として暫定基準はしようがないと思いますし、具体的には事務局に折衝していただくということでどうでしょうか。よろしいでしょうか。
 おわりにというところで、米澤委員から基本的なレベルで問題提起があり、そこをどうまとめるかということもあって、私は口頭で水質部会に報告するということもあるのですが、ここへ記入するということもあるのかもしれない。これはまた非常に書き方が難しいと思うのですが、規制のあり方についてPRTRとかとどう組み合わせるべきか、総量規制の面で少量出して濃くなっているものを希釈して出すことなどの問題が今後の課題と思います。それを書くのがいいのか別紙がいいのか、少なくとも口頭で伝えることはしたいと思っていますけれども、私なりにまとめさせていただくということは考えたいと思っていますので、ご意見があれば言っていただいていいと思っています。しかし、時間が限られているので、近日中にぜひお願いしたいと思うのですが。

議事 3「その他」

(事務局)次回の委員会は10月18日(水)17時30分から。委員の先生方には開催通知を追って郵送する。