中央環境審議会水質部会排水規制等専門委員会(第6回)議事録




日    時 :平成12年7月17日(月)14:00〜17:00
会    場 :合同庁舎5号館別館共用第12会議室(7階)
出席委員 :松尾委員長(東洋大学工学部教授)
     佐竹特別委員((財)日本軽種馬登録協会理事長)
     須藤特別委員(東北工業大学土木工学科客員教授)
     伊藤専門委員((財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所研究開発部部長)
     土屋専門委員(東京都環境科学研究所所長)
     増島専門委員(東京農業大学応用生物科学部教授)
     米澤特別委員(工業技術院資源環境技術総合研究所首席研究官)
欠席委員 :浅野特別委員(福岡大学法学部教授)
     田中専門委員(岡山大学環境理工学部教授)
     中村専門委員(建設省土木研究所下水道部部長)
     森田専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
(事務局)水質保全局長、企画課長、土壌農薬課長、地下水・地盤環境室長、水質規制課長、総量規制室長、地下水・地盤環境室 森川補佐、水質規制課 池田補佐

議事 1「前回議事録(案)の確認」

  委員の先生方が持ち帰り検討し、意見がある場合には1週間以内に事務局に連絡することとなった。

議事 2「ふっ素・ほう素関係団体からの聞き取り調査について」

(事務局)(資料2について説明)

(A委員)環境基準の設定に当たって、環境基準の専門委員会や部会での議論がどうだったかという確認をしたい。ふっ素、ほう素について、海域には適用しないという結論が出たということは、文面上はないが海域は人の健康に対して影響のない環境媒体であるといったことが暗黙の了解となっていたのか。

(事務局)環境基準の専門委員会の答申の中でふっ素、ほう素については、海域の特例として整理されている。具体的には自然状態で環境基準値を超える海域での特例ということだが、少なくとも全公共用水域や地下水で環境基準を設定することは適当という基本方針があるが、それでも全公共用水域に環境基準を適用しようとした際、海域において自然由来で存在する物質が適用しようとする環境基準値を自然状態での濃度で既に超えている場合がある。この場合、物質の存在がもともと海そのものの性状であることから、当該物質を環境基準健康項目とする場合には海域に適用しないことが適当であるという整理がされている。すなわち海域では、その物質がもともとの性状であったとされている。

(A委員)現実に海域では超えているが、人は影響を受けていないと判断したことか。

(事務局)自然状態で超えているので、影響を受けているかという評価ができない。

(B委員)従来からあったかもしれないが、それは自然のものだからやむを得ないということだと思う。だから健康項目ではあるが、海域についてはこの2つの物質には当てはめないということだと思う。

(水質規制課長)環境基準の専門委員会の議事録があれば、より鮮明になると思うので、それについては次回提出したい。

(B委員)海域の水産基準が1.4mg/lになっている。しかし備考に書いてあるのは1.5mg/lで、1.5mg/lが1.4mg/lになったという。0.1mg/lだけだが、これは理由があって1.4mg/lになったのか。

(事務局)海の性状の濃度として昔は1.5mg/l、見直したら1.4mg/lだったということ。

(C委員)正確に言うと1.4mg/lぐらいで、それが妥当だとしたのだろう。

(水質規制課長)4ページの参考資料の水産用水基準をピックアップしており天然海水中には1.4mg/l含まれているとあるので、広域の調査のデータを集めて、この数値が一番近い値だと思う。

(A委員)6ページの要監視項目としての調査結果のデータがあるが、海水の影響があると思うが、そういう形で整理してもらうとこれからの議論にかなり便利だと思うので、できればお願いしたい。

(全国鍍金工業組合連合会)(資料4−1(1)について説明)

(C委員)8mg/lということで、いろいろ議論されたが、ふっ素について15mg/lというのは現在も生活環境項目にある。これについて、現状としてクリアしていないのが結構あるという認識でいいのか。

(全国鍍金工業組合連合会)50m3/日未満の事業所はクリアしていない。

(C委員)50m3/日以上の事業所はクリアしているのか。

(全国鍍金工業組合連合会)50m3/日以上でクリアしていない事業所もあることはあるが、企業規模もあり、ある程度の指導をすれば、何とかおさまりがつくと思う。

(C委員)15mg/lならいけるということか。

(全国鍍金工業組合連合会)そうだ。

(C委員)50m3/日未満についてもか。

(全国鍍金工業組合連合会)50m3/日未満についても、当然15mg/lになれば、それを測らない訳には行かない。ただ、やはり小規模の特に4〜5人の企業の数が非常に多い。それが都市部のスペースのないところでやっているので、その辺の理解をいただきたい。

(B委員)節水や再利用をすると、排水濃度が少し高くなるとあったが。

(全国鍍金工業組合連合会)一番厳しいところは東京の京浜島であるが、100uに1m3/日の水しか使わない約束で引っ越してきた。実際に100uに1m3/日ということになるとほとんど 50m3/日以下でやっているわけで、従業員数で割れば200 l/人になる。例えば富山県等になると、大体会社の規模も大きいが、1日6t/人位使っている。それに対して200 l/人ということは、処理できない。できなかったものについては、そのまま濃くなる。だから、3桁オーダーの数字が出てきている。だから、総量規制なら、ある程度会社の規模に応じて対応できる面もあると思うが、あくまでも濃度規制であるので対応が難しい。

(B委員)そのとおりだと思う。これは議論なんだが総量規制にしなければいけないものは、総量規制でやった方がいい場合もある。しかし、濃度規制になっていて、かえってバランスが悪いところがあるかもしれない。

(全国鍍金工業組合連合会)最近ではめっき業は、都市型の産業ではなくなったのではないかという意見も出ている。水の豊かなところに行って仕事をするということだろうが、やはり総量で汚している。だから環境の体制を考えた場合、総量で持っていけば自然界である程度処理はできる。例えば窒素や、今のように自然界にも多少あるものについては、ある意味では配慮をもらえればと思う。

(B委員)他の重金属は注意するが、ほう素、ふっ素は別と言うのは一般の人たちに対して説明がしにくい感じがある。再利用することは非常に難しいことか。

(全国鍍金工業組合連合会)可能な薬品についてはほとんどやっている。少なくとも3段並びに4段の多段水洗やスプレー水洗を行っており、初段の水洗水は一番濃くなる。加温して使用する薬品ではかなり水分が蒸発するのでその分だけ初段の水洗水を薬品槽に戻すという理論でやっていけばできる。多段水洗をし完璧に洗えば、1桁位ずつ濃度が落ちていく。そうすると、大体5段も洗えば、実際問題そのまま流してもいいぐらいの濃度になる。ところが亜鉛めっきや他のめっきにも多いが温度をかけない、むしろ冷やして使っている光沢剤関係の液がかなりあり、これらは水分がほとんど蒸発しないため、薬品槽に戻せる水洗水は僅かである。それはもう一つ何か別に濃縮の措置をしなければならない。

(日本鉱業協会)(資料4−1(2)について説明)

(C委員)ふっ素については、キレート樹脂法にしても、それからジェラニック法にしても、結構コストは高いような印象を受けるが、他の処理をみんなそれぞれやっている。重金属等について、ここに書いてあるコストと比較して、今までの排水処理費とどのぐらいの差になるのか。

(日本鉱業協会)幾つかある方法の中ではこれは有力だと思うものもあり、技術的にはそうなんだが、まだ実験室レベルなので、やはり操業テストで確認していく必要があるかと思う。

(C委員)ここに記されている、6千万円は維持管理費等今までかかっていた水処理の費用とは別か。

(日本鉱業協会)今までの排水処理コストの上にかかる。

(C委員)今までの費用とはどのぐらいか。例でいくと6千万円と書いてあるが。

(日本鉱業協会)やはりこの程度ぐらいだ。

(C委員)倍になるということか。

(日本鉱業協会)そういうことだ。

(B委員)今の処理フローで鉄やアルミ等で固めたり、いろいろな凝集沈澱でとっているが、ふっ素は大分違う方法になるのか。凝集剤の量を増やせば変わるとか、そういうことにはならないのか。汚泥が出たり、いろいろ次の段階の問題があるのかと思うが、それはどうなのか。

(日本鉱業協会)やはりすずの場合だと沈澱物量が数倍に跳ね上がる。その沈澱物の処理がまた問題になってくる。やはりふっ化カルシウムには限度があって、10mg/l以下に下げることは難しい。

(B委員)溶解度の問題か。

(日本鉱業協会)そうだ。

(A委員)ここのコストの中では沈澱物の処理費は入っていないのか。

(日本鉱業協会)入っていない。例えばB製錬所の場合だと、出てくるふっ化カルシウムの量は少ないが、これは最初の工程の焼結を繰り返し行い最終的にはカルシウムが大部分固定されているという状況だ。

(B委員)これはふっ素が入っているから有害廃棄物になるのか。今度は土壌の方でもひっかかってくるのか。

(日本鉱業協会)そうだ。

(A委員)B鉱山の排水フローがあるが、これを見ると最後の取水口、多分水道の取水口だと思うがふっ素の寄与は鉱山からの寄与というよりは、それ以外の寄与が大きいように読めるのだが、そういう理解でいいか。

(日本鉱業協会)B鉱山は河川に放流し、河川のところどころでほう素濃度を調べた結果、一番左上にあるのが放流直前のほう素濃度が9〜10mg/l、これは10q先ではどうなっているかというと、薄まってND〜0.02mg/lとなっている。25q先の取水口では、ほう素濃度を見ると0.3mg/lと上がっている。これは温泉排水が混ざり高くなっている。

(B委員)技術開発の期間的な見通しは何か持っているのか。

(日本鉱業協会)難しいと思うが、3年や5年とだと思う。

(日本鉄鋼連盟)(資料4−2(1)ならびに資料4−2(2)について説明)

(C委員)後半の部分は、値をどこまでにするかはいろいろ議論があるところだし、虫歯と斑状歯の問題については十分理解をしているつもり。
  それで前半のところで、石灰処理だけの話をしているが、要するに他の処理法、例えばキレート樹脂でもいいが、いろいろ組み合わせれば、もちろん10mg/l以下でも8mg/l以下でもできることはできる。そういう認識でいいのか。石灰処理であれば多分溶解度の点から10mg/lが限界であるという理解でいいのか。

(日本鉄鋼連盟)石灰処理以上に高度な処理技術が開発されつつあるということは承知しているが、鉄鋼業の場合、非常に排水量が多いということ。それともう一つ、新しい技術についてまだ経験がないので、採用するにしても、少し時間をかけて検討しないといけない。すぐには難しいと思っている。

(D委員)資料4−2(1)の一番上の表だが、工程排水がこれだけあるということか。排水口排水量と書いてあるから、酸洗工程からはこれほどではないが、排水口ではこれだけあるという意味か。

(日本鉄鋼連盟)そうだ。

(D委員)しかし、ふっ素工程の排水はこれだけではないのでは。

(日本鉄鋼連盟)そうだ。

(B委員)どういう割合になるのか。

(日本鉄鋼連盟)高炉による製鉄業は他にいろいろな工程があるので、合計してこれだけの量になっている。例えば電気炉による特殊鋼製造業や圧延業になると、他にあまり排水がないので、今すぐにこれがどうとは言えない。

(B委員)4のところで鉄鋼業界の排出実態等について、4つ目のポツの中に、要するに問題があるところがあれば個別対応で十分であると書いてある。具体的には個別対応というのは、どんなことが想定されるのか。

(日本鉄鋼連盟)1ポツのところにもあるように、非常に多数の測定点を調べ、環境基準を超えたのは非常に少ないと言われている。その原因を調査し、個別につぶす方が全国一律の基準をつくるよりは効率的ではないかと言うことだ。

(B委員)技術的な可能性として、15mg/lが限界という話と、個別的に対応できるかというのが、見通しがいま一つ持てないように思う。逆に個別にできるならば、もう少しできないかという話にもなると思うが。

(日本鉄鋼連盟)今超えているところの実態、あるいはその原因が余り明らかにされていないので究明すること、それが一つ。我々自身もそういったところを若干聞いて思ったが、実態調査をし、例えば上流に温泉がある所もあるので、その辺をもう少し詳しく調べていただきたいと思う。

(B委員)ユーザーの要求する表面処理の性状について、これはやはりユーザーが余りぴかぴかしたものを要求しないようにするとか、ある種の消費者教育というか、消費者に対する理解を得て、製造プロセスまで変えるようなことも本来は考えるべきではないかと思う。品質としては別にぴかぴかさせなくてもステンレスとして利点は保っていけるのでは。

(日本鉄鋼連盟)やはりステンレスが半永久的に錆びないというのは、最初にふっ酸できれいに洗浄し、その上に不働態皮膜をつけているから。確かに指摘のように、そういう価値観も変えないといけないかもしれない。ただ、鉄の製品というのは、ビルや見えないところで使われている普通鋼は別として、我々身の回りで使っているものは、ほとんどステンレスで非常にきれいな形で使われているものだから、それを一挙に変えるというのは難しいと思う。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)(資料4−2(2)について説明)

(C委員)石灰処理で10mg/lぐらいと認識するが、今言っていた新たな原理のユニットプロセスを入れられれば、例えば樹脂にしても、ジェラニック法にしても、それと組み合わせる、これは単独でこれだけの濃度の高いものをやっているから、あまり効かないのかもしれないが、組み合わせるとかすればもちろんコストの問題や汚泥の問題等も増えるのは当然なんだが、その辺の研究や見通しということでの技術開発は今までも検討されているのか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)実際にジェラニック法等を検討しているが、現状ではなかなか10mg/lを切るのは苦しい。

(C委員)組み合わせてもか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)組み合わせでも難しい。

(C委員)例えば石灰処理の後に組み合わせでもだめか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)現実に、石灰処理をやってジェラニック処理をやっている。

(B委員)それは工程排水というか、薄めない前の濃い段階でもそうなのか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)A排水、B排水とあるがそれぞれ高い原水202ppm、989ppm、これを中和して石灰処理をする。その後、ここに書いてあるような形で酸やアルカリに持っていきながらジェラニック処理をしていく。結論としては、もともと処理しない凝集剤だけの場合よりも数ppmは下がることは確実で、しかし8mg/lを切るにはそれよりさらに数ppm下げないと、安定的に使用できないと思っている。

(B委員)例えば中和処理後水が14mg/lや17mg/lはふっ化カルシウムの限界で、その処理水をもう一遍かけてもあと数ppmしか落ちないということか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)ジェラニック法は、主としてりん酸系のもので、他の硫酸バンドとは異なり、ある程度処理の上限があると思っている。

(B委員)ふっ素自体は、ある意味では重要な原料だから、海水に流すのはもったいない。その辺はもう少し効率的に前の段階で戻すとか、再利用するとかの可能性は考えているのか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)やはり商品価値の問題もあるので、できるだけ回収はする。ただ、2,000ppmのオーダーのもので、大量な水の中に溶け込んでいるものを濃縮してというのは非常に難しい。1点、HFCの破壊のプラントをテスト的に動かしているが、そこではFしか入ってこないので、それをまず回収して、CaF2の形で再利用という検討は始めている。ただ、現実にはそういう排水は希れで、いろんなものが入っているのでそう単純にはいかないと思っている。特に半導体のように非常に純度の高いもので処理したものは薄くてもまた戻すということは可能であり既にやっている。

(A委員)4ページ目の表で、B社とE社で原水と処理中和後の濃度はそんなに違いはない。汚泥のスラッジの生成量がかなり違っているがどういう違いがあるのか。この業界の標準的なものとしては、どちらを見るべきか。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)どちらかというとE社の方が近いのではないかと思う。B社は多分他のものが一緒に混ざっているのだろう。

(D委員)一つ聞くが、大気放散する場合のスクラバーは何段ぐらいで洗うのか。第1と第2と書いてあるが。

(日本無機薬品・日本フルオロカーボン協会)ここはけいふっ化物を回収していて2段やる。その後に、排水に流れる方の洗浄スクラバーが2段つく。

(電気事業連合会)(資料4−3(1)について説明)

(C委員)排水の濃度が随分違うのだが、これは原料の違いによるのかというのが1点目。2点目は、いわゆる水処理をやれば汚泥は出る、そのことは承知しているのだが海域に適用する、しないのは別として、今のプロセスに付加すればどの程度まで濃度を下げられるか。大変技術力のあるグループなので、いろいろ研究していると思うが。

(電気事業連合会)1点目の濃度の違いがどこから起こるかということだが、1つは石炭中の濃度の違いによるものと考えている。もう一つは主に排煙脱硫装置の設計条件によるものであり、これは石灰石のスラリーを循環して使用するため。その設計条件が各社、あるいは各メーカーで異なっている。大きくはその入り口の濃度と脱硫装置の設計条件と考えており、特に最近は水を節約するために、なるべく水を出さないよう循環をかけている。余りかけ過ぎると今度は材料の方に悪影響が出るが材料もいいものを使ってなるべく排水を出さないように設計をしている。逆に言えばそういった塩が濃縮して濃度が高くなったというのが最近の傾向かと思う。

 2つ目の排水中の濃度をどのぐらいまで抑えられるかという質問は、今行っている試験によると、汚泥等の心配を全くしない場合、金銭を幾らかけてもいいのであれば、5ppm程度にはできる。

(B委員)排水中ほう素濃度の一覧表があるが、これがばらつくのは脱硫装置のところと思うが、そうすると、排水量と負荷量と考えた方が考えやすいのか。それとも濃度自体で考える方が考えやすいのか。一生懸命節水型でやっていると濃度が高くなる。トータルの量として石炭は何か余り変わらないというようなことも言われたように思ったのだが。

(電気事業連合会)いわゆるバッチ式の入ったものが出てくるという、先ほど説明したようなシステムになっていないので、とにかく大量の石炭を炊いて、それをまた大量の石灰石で洗っていくというシステムをずっと繰り返しているので、入り口の差はないといいながら、やっはりある程度分布している。ガスの温度の条件も違ったりすると、石炭灰と一緒にどのぐらい落ちるかは、その時々で違う。そういった要素が重なって、結果としてこういう濃度になっているということだ。どの要素が一番効くか、あるいはどこで考えれば抑えられるかというのは、極めて難しいである。

(B委員)例えば 10mg/l未満というのと300mg/lぐらいまでの間でこれだけばらつく。10mg/lにしているのは、特別な対応をしているのか。

(電気事業連合会)どちらかというと、設計的には古い発電所で、いわゆるブロー量が非常に多い、薄まっているものが大体このようになる。ただ、そこの発電所で常に10mg/lを守れるかというとそうではない。条件によっては50〜60mg/lまでいくこともある。

(B委員)10mg/l未満は非常に優等生だが、かえって古い方がという話になると、いろいろ考えなければいけないものがある。

(水質規制課長)ほう素の含有量と相関を持っている他の元素、すなわち石炭中の含有量の中でほう素の含有量とパラレルに変動する元素はあるのか。

(電気事業連合会)ほう素濃度について、そういった相関をとったことはない。

(B委員)他の重金属は当然排水基準が決まっているから、常に測っていると思うがそのばらつきの程度と、このほう素のばらつきの程度は、大分違うものか。

(電気事業連合会)他の重金属は、ほう素に比べて含有量が極めて低い。したがって、排水中にもほとんど出てこないし、仮に出てきたとしても排水処理装置で全部トラップできるからばらつきまで問題になることはない。

(B委員)ほう素がやっはり特異的に難しいか。

(電気事業連合会)特異的にたくさん入っていて、処理も難しい。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)(資料4−3(2)について説明)

(C委員)硝酸性窒素、亜硝酸性窒素はどうなるかわからないが、排水中にはかなり高濃度のアンモニア性窒素を含んでる。もし仮に入ったとすれば、これはもっと濃度が高いので大変だ。要するにほう素とともに新たな排水処理技術の導入を図らなくてはと思うのだが、とにかく今の説明では、ほう素については、新たな操作を入れても無理ではという説明だった。いろいろな研究をしていると思うので、今はイオン交換樹脂の話しかなかったが、窒素のことも含めて、新たな技術開発はどの程度されているのか。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)当業界でも、アンモニア性窒素が非常に問題になっていて、処理方法では生物処理法とアンモニアのほう酸処理法があると思う。それについて業界では新たに処理工場を建てたときにどうなるかという検討も行っている。ただ、現時点では余りにもコストがかかり過ぎてしまうので、もっといい方法がないかと模索している段階だ。直ちに処理できるという状況には至ってはいない。ほう素についても、キレート樹脂を使った処理というのは現実的に可能である。ただ、これについても工業的な技術は確認していないのが現状。ほう素に関しては実験室規模なので処理工程を考えた上でプラントがどうなるかという検討までには至っていない。

(D委員)5ページの資料3で、かん水がヨードの製造設備を通って公共用水域に排出するラインと地下還元井へ戻るラインがあるが、どのぐらいの割合か。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)千葉県で地下に還元するのは約12.3%。新潟市内ではほぼ全量を還元している。新潟市以外は還元ゼロ。

(D委員)それは地層か何かの関係なのか。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)それが1つある。新潟の南側の鉱区では、礫層というか石が多い。そういう地層なので比較的入りやすい。それに対して千葉県の場合は、砂や泥という地層なのでなかなか入りにくいという点が一つ。それから新潟県の北の方では鉱区が比較的狭いので、よう素をとったあとに還元すると直ちに薄まってしまうという問題があり、これは鉱床を破壊してしまうので還元はゼロということだ。

(水質規制課長)今の話は新潟市内は地盤沈下問題が昔からあり、地盤沈下防止の観点からも通産省の指導で昭和40年代から還元の努力をして今日に至っている。

(B委員)礫層でなければないほど地盤沈下は起きやすい。どんどんくみ上げたら、千葉の方も地盤沈下問題が起きるのではとの心配はある。

(E委員)5ページの資料3について、ヨード設備から公共用水域に流れているラインの水は、普通の海水と同じぐらいまでヨードは減っているのか。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)減ってはいない。

(E委員)地下還元のラインはどの部分か。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)千葉の場合、生産基地から直接還元している場合は濃度変化なしでヨードをとらない方法で1つとっている。それが1つの方法。もう一つはヨードをとった後に入れるということ、それが約5ppmから 10ppmぐらいのよう素の漏れがある。それを地下に還元している。

(E委員)放流するのは。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)5〜10ppmで放流している。

(E委員)そのときのほう素濃度は。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)ほう素濃度は変わらない。

(B委員)ほう素というのは、利用価値がないのか。ヨードが非常に有用だというのはよくわかるが、併せてほう素も回収するとか原料化する可能性はないのか。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)ほう素はほう砂からの濃度が高く、原料としては薄い、薄い状態から濃縮するというのはかなり難しいと思うし、今、宮崎の方では一部温泉として利用してもらっている。温泉なので少し種類が違うがかん水をそのまま温泉に利用してもらっている。

(B委員)やはり地下へ戻すというのは、非常に難しいのか。全体的に天然ガスは600年から800年と言われるが、地盤沈下がどんどん起きたら、今度は地盤沈下の方でくみ上げできなくなるかもしれない。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)地盤沈下の関係で一部戻すというのを先ほども言ったが、行政で対応している。よう素を取った後に戻していくということになると、どのぐらい現状のよう素濃度が薄まるかという問題はあるが、どんどん薄まってきて、そこの井戸の周りでは使えなくなるという問題が出てくるので、その辺の兼ね合いが業界の中では検討すべき問題だと認識している。

(B委員)排水基準も当然だが、地盤沈下の地下水くみ上げ規制の方がかかってきて、この方での問題も合わせて考えて行かないと、片一方だけで資源だ資源だといっても地盤沈下が出てくると問題だ。

(天然ガス鉱業会・日本ヨード工業会)今、還元を含めた処理方法を検討しているが、これも右から左にいかないというのが現状だ。この辺については、やはり業界でも水質環境の専門委員会をつくって検討している。直ちにできるかと言われれば、まだそこまでの段階ではない。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)(資料4−3(3)について説明)

(C委員)この釉薬排水以外で、瓦を作る部分では水は出ないのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)排水としては、釉薬排水だけだ。

(C委員)排水のすべてと考えていいか。100mg/lから200mg/lというのはかなり高濃度だが、いろいろ研究されているし、キレート樹脂を使う方法もあるだろうしイオン交換もある、新たな操作というのは当然考えていてここに書いてあるわけか。これについての技術開発は進められているのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)メーカーと協力して進めている。

(C委員)メーカーと言うと、各社か。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)数社あるが、各メーカーとは話し合いをして進めてはいるが、実験の段階だ。

(D委員)4ページで、釉薬排水を原料の粉砕工程に循環するとは考えられないか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)当然排水量が多いと処理がしにくいので、企業努力として排水を減らす方向で検討している。

(D委員)今はまだ、やっていないということか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)一部でやっているメーカーもあるが、企業全体としてはほとんどやっていないのが現状だ。

(A委員)その場合、この製品の品質に対して影響を及ぼすということは特にないか。大体、同水準のものを使っている印象を受けたが。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)鉛とほう素は釉薬原料として必要不可欠なもので、磁器釉みたいに非常に高温で焼成するものに対しては使われない場合もあるが、愛知県の場合、焼成温度の関係からこの2つは絶対必要。

(A委員)そうすると、リサイクルでかなり減らせる可能性は高いと見ていいか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)排水はリサイクルで一部やれるが、実際にやろうとすると、硫酸バンドやいろいろなものが入っているので非常にやりにくい。一部しかやっていない。

(D委員)一番最後の排水ではなくて、ミルの洗浄水はどうか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)それについては、一部やっている。

(B委員)業界にとっては、ほう素自体は非常に貴重な資源でこれだけ高濃度で出るというのは損というか、もう少し回収や利用がプロセスの中でされるべきではないかと考えるがどうか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)一部のメーカーでは、回収の試験もやっているようだ。

(B委員)まだその方が安いのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)逆に、相当に高い。

(E委員)6ページから考えられるフローシートだが、これは最後の出口がミル等の洗浄水に回っている。だからここまでやらないで、ショートカットして、釉薬の洗い水を洗浄水等に再利用できないか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)なるべく排水を減らす方向で考えている。

(B委員)排水も減らせるし、ほう素の再利用等もできるような話になればよいと思うが。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)企業では、やるように努力している。

(B委員)釉薬を作る方と、使う方があると聞いたが、使う方でどうして排水が出るのか。瓦に塗る場合、実際焼いて固めるのであれば排水はどこから出るのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)釉薬が付着しているものは焼けば問題はないが、当然塗るときの機械で釉薬の色を変えるときにある程度洗浄しなくてはいけない。

(B委員)バッチ的に出てくるのか。連続的に出てくるのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)連続的なケースもあるが、どちらかというとバッチが多い。

(B委員)それを溜めて、もう一遍使えるか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)それもやっているが、しかし、処理量が多いので放流せざるを得ない。それと色の問題がある。大体常時20色ぐらいの色をつくっているから、それが混合したときにまともな商品にならない。

(B委員)鉛の方は一生懸命やっているのはよくわかるが、ほう素は鉛に比べて平気だと言うといろいろ問題が出てこないか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)業界としては、鉛は一生懸命やっていたが、ほう素については、代替品がなく正直少しとまどっている。

(B委員)鉛をほう素に変えてできないかと思ったら、ほう素もだめになったということか。他に代替のものはないのか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)地域性があり、愛知県の場合、焼き物の焼成温度は生地の焼成化度が決まっていて、耐火度がSK19から20番になっているので、焼成温度が1,120度と決まっている。1,150度以下だと、どうしても鉛とほう素がないと釉薬は溶けない。だから、この原料がないと釉薬が製造できなくなる。

(B委員)島根県は。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合) 島根県は1,200度の温度なので、ごく一部は扱っているがほとんど影響はないと思われる。これは土の問題があるので、逆に島根の場合は1,200度で焼かないと形にならない。三州は1,200度で焼くと溶けるというか形にならない。だから、ただ温度を高く上げればいいという問題ではないから、非常に苦慮している状況だ。

(B委員)非常に地域性が高いということか。

(三州釉薬原料協会・愛知県陶器瓦工業組合)愛知県が主要な産地でもあり困っている。

議事 3「排水規制等の項目追加について」

(事務局)冒頭各委員からの提案や環境基準専門委員会議事録の整理等々があるが、先ほどのヒアリングを踏まえて、今後検討を進めるに当たり、さらに事前に詰めておくべき点があれば指摘をいただきたい。

(C委員)我々は今聞いたことから、これはとても追加は無理じゃないかとか、しなければいけないだろうか、そういうことを言えばいいのか。

(B委員)逆に幾つかあるのだが、特に海域の問題が環境基準を決めなかったこと、そこに対する排水に対してどうするかが一番理論武装をしなければならないと個人的には思っている。陸域の方と同じにすべきかというと、これも少し問題があるのではないかと思う。しかし緩めるとなると、また幾ら緩めたらいいかという問題につながっていくような感じがする。

(C委員)環境基準のときに、なぜ海域を除くのかの議論は結構あった。別に健康影響がないからということではない。だから、あのときなぜ海域を除いたかというところだけは確認すべきだ。それが受け入れられるかどうかは別でその内容を一度踏まえた上でいかないと、つながりがつかなくなるのではないか。だから、次の議題のときにその議事録を踏まえて、なぜ海を外したかということについて、もう一回勉強した方がいいのではないか。

(水質規制課長)次回検討したい。

(A委員)もう1点、ふっ素の問題に関して今日業界の説明の中にあったが、虫歯予防の観点からの議論が一つあると思う。これは実際にどういう議論になっているのか、国内や国外について少し現状を整理した形で教えてもらいたいと思う。この問題は必ず出てくるので、それに対して一定の考え方を整理しておかないと、同じようにほう酸の議論を進める中でもとても大事な話だと思う。

(B委員)濃度規制でやる部分と負荷量規制の問題、これもどこかで整理する必要があって、濃度規制でやると薄めたらいいということになる。これはまた工業用水で薄めるのか、地下水で薄めるのか。地下水は地盤沈下の方で多分規制ができるかもしれないが、工業用水道を買って薄めた方が安いというような話も出てくると問題になる。やはり節水をやってもらった上でどうするかということだ。その辺の負荷量規制というのは、これはまた全然違う概念が入ってきそうな気がする。

(C委員)健康項目には全然その概念はない。

(B委員)健康項目にはないはずだ。濃度でいいわけだから。
  それと、窒素関係で思っているのは、TNかアンモニアかという話があったときに、現在の放流水のいろんなレベルでTNとアンモニアの相対的な関係、TNが出ていてアンモニアが出ないことはないと思ったり、ほとんどアンモニアになっているんじゃないかと考えたり、いわゆる有機性窒素やCODとTNの関係をどの手法で最終的にやるかということだ。
  今、有機性窒素だけで出ているのとアンモニアまではいかない部分で出ているのがどのぐらいあるのだろうか。

(F委員)法律的にも非常に問題だと思う。この前も言ったが、やはり直罰をかけるというのは、やはり相当重いと考えないといけないと思う。だから、法制要件がきちっとしていないのに、解釈で広げられるか。

(水質保全局長)その点、法律的によく詰めたいと思う。

(G委員)鉄鋼連盟の説明で製鋼スラグを土壌改良材として農業でも使っているのではという話があったりして、また路盤材にも使っているわけでそこに雨が降れば当然ふっ素が出てくるし、それからほう素は意図的に肥料に混ぜて農業で使っている。それが面源として出た場合に、環境基準の10倍が出てくるかどうかわからない。逆に負荷量ということになれば、かなりの量になる。窒素と同じように農業関係者からも意見を聞いた方がいいのではないか。

(F委員)水濁法の発想ではもう限界に来ている。全国一律10倍なんていうのは日本の川の特性からいっても非常に疑問だ。だから、その矛盾がいろいろなところに出てきている。やはりそれは水質保全局が従来の枠組みだけで、どんどん対象物質をふやしていく方法ではなくて、少し行政の方で考えてもらわないと。

(事務局)今回のヒアリングに当たって肥料関係にも声をかけたが、参加しないことで回答を頂いた。

(水質規制課長)今の指摘に関しては、事務局の中で論議したいと思う。

 議事 4「その他」

(事務局)次回については、8月下旬から9月中で日程調整して別途連絡させていただきたい。