中央環境審議会水質部会排水規制等専門委員会(第1回)議事録




日    時平成11年6月10日(木)15:30〜17:30
  
会    場第5合同庁舎2階 共用第7会議室
  
出席委員松尾委員長(東京大学大学院教授)
 浅野特別委員(福岡大学法学部教授)
 佐竹特別委員((財)日本軽種馬登録協会理事長)
 須藤委員(東北大学大学院教授)
 伊藤専門委員(畜産試験場飼養環境部部長)
 田中専門委員(国立公衆衛生院廃棄物工学部部長)
 中村専門委員(日本下水道事業団技術開発部部長)
 増島専門委員(東京農業大学応用生物科学部教授)
 米澤専門委員(工業技術院資源環境技術総合研究所首席研究官)
欠席委員土屋専門委員(東京都環境科学研究所所長)
 森田専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
(事務局)遠藤水質保全局長、長尾企画課長、安藤地下水・地盤環境室長、畑野水質規制課長、望月総量規制室長
 企画課 笠井補佐、水質規制課 池田補佐、宮本、地下水・地盤環境室 森川補佐、益山、與古田


[議事概要]
(事務局)ただいまより第1回排水規制等専門委員会を開催する。
   (遠藤水質保全局長挨拶)
   (各委員紹介)
   (事務局紹介)
   (資料の確認)

(事務局)以後の進行を松尾委員長にお願いする。

(A委員)それでは議事にはいる。

(事務局)(特定施設の追加について 資料を用いて説明)
   (参考資料1−1,参考資料1−2,参考資料1−3,参考資料1−4)
   (資料1−1,参考資料1−5,参考資料1−6)
   (資料1−2,OHP)
   (資料1−3)

(A委員)特定施設として追加する施設について、ご指摘等があればお願いしたい。

(B委員)ジクロロメタン、チウラムについて特定施設の追加の考え方については理解できる。残りの11物質を排出する施設で抜けているものはないのか。

(事務局)使用実態等の観点から13物質に係る施設を点検した結果、問題ないと考えている。また、引き続き、水質の常時監視を行い、必要に応じて検討してまいりたい。

(C委員)(ジクロロメタンによる)洗浄施設を特定施設に追加することには異議はないが、排水処理の過程でばっ気して(有害物質を)吸着した活性炭についても、何らかの規制等によって対応しなければ、排水からは排出されなくなっても、例えば、大気中へ排出されるなど、結局環境中に排出されることになるのではないか。

(事務局)若干のロスはあるだろうが全体からはわずかであるし、それは廃棄物として処理される。また、施設はクローズ型になっており、回収されているものが多い。

(A委員)活性炭を再生するような工場は特定事業場となっているのか。

(D委員)活性炭で処理する場合は加熱してガスをトラップする。この場合気をつけなければならないのは洗浄槽で循環使用しているなかで沈殿物がでてくる。これは再生使用ではなく廃棄物として処理されるのだが、その処理が重要である。

(A委員)トリクロロエチレンの場合、特にクリーニング業界においては、クリーニングの薬剤を供給している業者が廃棄物の回収をし、処理もするというシステムがあると聞いているが。

(E委員)地下浸透規制がかかってくるだろうが、スラッジを放り出しただけというのはどうか。

(A委員)スラッジを集めた所は特定施設になっているのか。

(事務局)沈殿物は汚泥として廃棄物として取り扱われる。有害物質の含有が判定基準を超えるような汚泥は遮断型の処分場に入れられることになるが、判定基準より低ければ管理型処分場へ入れられる。管理型処分場で雨水等により水がたまってくれば集めて排水基準以下の濃度にして公共用水域へ排水している。

(A委員)水濁法と廃掃法で調整を取っていく必要がある。

(F委員)液状はだめだが焼却処理して管理型にも入る可能性はある。

(事務局)廃棄物になった場合の対応については手当済みであり、今回の追加は直接公共用水域に排出している施設で抜けているものがあったので追加するものである。

(A委員)排水規制の面からは今の規制で充分であろう。

(G委員)公共用水域のモニタリングでチェックするとのことだが、環境庁では魚介類などを体系的にチェックする体制はあるのか。

(事務局)水生生物は、水濁法の常時監視の対象になっていないが、環境保健部において問題のありそうな有害物質をピックアップし、底質も含め魚など水生生物は毎年調査しており、いわゆる「黒本」としてまとめている。黒本調査は有害性が疑われる物質についての第一次的なスクリーニングを行うという位置づけである。

(A委員)ジクロロメタンとチウラムを排出する施設の取扱については事務局案通りでよいか。

   (異議なし)

(A委員)それでは資料1−4に専門委員会報告案があるので、事務局から読み上げてもらう。

(事務局)(資料1−4を読み上げ)

(A委員)この案で部会に報告してよいか?

   (異議なし)

(A委員)今年からパブリックコメント手続きが必要である。事務局から説明する。

(事務局)(パブリックコメント説明)
   (資料1−5、参考資料1−7)

(E委員)募集した意見について技術的検討を必要とする場合についても、部会で処理するのか?

(事務局)部会で行う予定であるが、専門事項についてのフィードバックが必要であれば専門委員会で再検討しなければならないこともありうる。

(C委員)1つ1つの意見について個別に対応するのか?

(事務局)集まった意見をとりまとめて部会で対応する。

(A委員)それではジクロロメタンの件に関してはこの手順で行うことでよいか。
(異議なし)

(事務局)(生活環境項目系の特定施設の検討等についての説明)
(資料はなし(資料2−3,参考資料1−2))

(B委員) 面積によって規模要件を決めているが、排水量にかなり差があるように思える。また他にも有機汚濁の原因となっている未規制業種が多いと考えられるので、早急に対応すべきではないのか?

(事務局)面積要件を設定してからかなり時間が経っていることもあり、現状に見合うよう調査する必要がある。未規制の業種についても、既に調査に着手しているがしばらく時間をいただきたい。

(G委員)(50m3の裾切りを)全国一律的に行うのは如何なものか。自治体の事務量がかなり増大すると考えられる。今までの制度を機械的に適用するのではなく、一律に扱うことを見直す検討も重要と考える。

(事務局)まずは、環境基準超過状況と、それに対する未規制の業種・面積要件についての調査が必要。

(E委員)面積という指標で規模要件を設定するのは客観性があり、合理的な面もある。問題は、過去に調べた面積と排水量の関係が、現状にあっていない可能性が高いということであり、きちんと調べることが重要である。

(A委員)規制の仕方を工夫しなければならない。例えば、自主的な取り組み、ISOシリーズのようなものと組み合わせて規制していくような方法も考えられるのではないか。

(事務局)(2)排水規制等の項目追加等について

(A委員)この項目追加については、これからの重要な検討課題であるので、この段階で考えておくべき事等をご指摘願います。

(D委員)硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について、昨年までのデータを見ると地下水の汚染の数字で高い値が出ており、表流水よりそちらの方が問題である。これまでと同じような規制をやると、アンバランスな制度になりかねない。地下水に対するやり方と表流水に対するやり方を別々に考えて、具体的な施策を考えた方が効果的ではないか。また、ふっ素に関しては、最終的に現在の処理法では、どんな処理法をしても、廃棄物として結局、環境に出てくるわけだから、トータルとして環境に排出される有害物を減らすようなやり方を考えられないか。それは単に処理技術だけではなくて、後の廃棄物の循環まで考える必要がある。さらに、排煙脱硫とか硫酸カルシウム石膏としていろんな形で不純物としてフッ素やホウ素がかなりまざっている可能性がある。これも色々な形で再利用等されているが、その再利用及び廃棄のところまでかなり影響を及ぼす面がありそう。実際に単にリスクを転移しているに過ぎないような面があるので、トータルの処理を考えていただきたい。

(H委員)硝酸性窒素の場合は、圧倒的に面源汚染の寄与が大きく、排水規制・地下浸透規制だけでは環境基準が達成できない場合が多くなってくる。特に地下水の基準を達成できない可能性が非常に大きいということになると、表流水と地下水で分けるか、あるいは地域区分、ゾーンニングのようなことで分けていくか、少し対策を考える必要がある。

(B委員)従来のやり方でいけば、ほう素もふっ素も窒素も、環境基準が決まったから、これを10倍にすれば決まるということですむのだが、そうはいかないのが難しい。従来の項目と発生源も違うし、物質の性状も違うわけで、例えば、窒素であれば、どこまでの規制しなくてはいけないか、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素ではダメで、アンモニアやアミノ酸、あるいは、総窒素規制の仕組みをある程度想定しないと、調査の仕方が変わってくるのではないか。

(事務局) 公共用水域と地下水で、確かに汚染の程度が違うということは認識している。しかしながら、表流水に関しては、事業場からの排水に起因して、基準(指針値)を超えている事例もあった。また、今後の調査として硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素だけではなく、アンモニア性窒素、全窒素などを含めて実態を早急に把握したい。一方、規制のありかたについては、水濁法を初め、現在、与えられたツールのなかでどの程度できるか、もちろん法規制だけではなくて、行政として、あるいは、関係省庁、現場での連携によりどの程度対応できるかといったところについて検討をお願いしたい。いわば、水濁法の手法とそれに関係する施策を組み合わせて考えていきたい。

(G委員)基本的に水濁法が今起きている事態に果たしてフィットしてるかどうかという基本的な問題がある。目下、最も必要なことは何であるか、重点戦略目標を絞って、水濁法の体系を維持しながら、知恵を出していくことが必要ではないか。そういう点について、十分考えないと、形式的、機械的にやっていくと、問題が出てくるのではないか。要するに、今の水濁法は全部規制する仕組みとなっているが、人手と金がかかってしまい、対応できない事態になってくるのではないか。

(事務局)水濁法制定の歴史を踏まえると、法制定以前には、地域的な対応をしていたものを全国対応に切り替えたという経緯があり、その原則はいまも残っている。それによって全国基準をつくって対応しなければいけない。しかし、諸先生方がご指摘のように地域、物質によって極めて多様な対応も考えられるが、規制をしない限り、汚染が進んでしまう。そのような事態にどう対応するのかという問題がある。硝酸性窒素についていえば、現在、国会で審議中の農水省提出の法律と組み合わせた対応も考えている。それを踏まえ、地域実態に応じて対応することも考えている。また、自主的な対応もあるが、公正的な規制として必要最小限の規制をかける必要がある。

(C委員)硝酸性窒素亜硝酸性窒素の発生源として、一部の著しい汚染で一律規制がかかると、窒素除去をするために電力使用量があがる。地球環境と水質汚濁問題のバランスを考えて環境庁全体で検討してほしい。

(事務局)下水処理場からの排出の実態についても調査したい。

(F委員)新たな規制は、有害産業廃棄物の規定にも波及してくる。有害物質の毒性は物質によって異なることから、どういう考え方に基づいて決めたかを示すことが重要なのでは。

(G委員)問題の全体の構造を明らかに議論していくことが重要である。

(事務局)窒素処理について、地球温暖化にも負荷は小さく水質面も改善していく最も合理的な組み合わせを考えていかなければならない。また、マテリアルフォローは産業活動における直接的かつ間接的両面から押さえなければならない。生活の利便性と経済の成長追求の問題と環境負荷を折り合って考えなければならない。

(H委員)窒素問題は今までの規制とは異なる。専門委員会でパブリックコメント等の情報公開を行うべき。

(I委員)規制だけではなく、窒素の循環のコントロールも必要では。

(A委員)「その他」について事務局からありますか。

(事務局) (次回委員会の予定)

(A委員)今後とも貴重な意見をお願いしたい。本日は、これにて閉会する。