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中央環境審議会水質部会ダイオキシン類排水規制専門委員会(第4回)議事録




日   時 :平成11年11月1日(月) 14:00〜17:00
 
会   場 :環境庁第1会議室
 
出席委員 :松尾 委 員 長 (東京大学大学院工学系研究科教授)
 小林 特別委員((財)日本環境衛生センター専務理事)
 猿田 特別委員(神奈川大学名誉教授)
 上路 専門委員(農業環境技術研究所資材動態部農薬動態科長)
 田中 専門委員(国立公衆衛生院廃棄物工学部部長)
 土屋 専門委員(東京都環境科学研究所所長)
 冨永 専門委員(工業技術院資源環境技術総合研究所統括研究調査官)
 森田 専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
欠席委員 :なし
 
(事務局)水質保全局長、地下水・地盤環境室長、水質管理課長、水質規制課長
水質規制課 西嶋補佐、池田補佐
大気規制課 柳橋補佐



議事.1「資料1 第3回専門委員会議事録の確認」

 委員の先生方が持ち帰り検討し、意見がある場合には1週間以内に事務局に連絡することとなった。


議事.2「ダイオキシン類に係る最近の動向について」

(事務局)(参考資料1〜3について説明)


議事.3「排水等に係る調査結果について」

(事務局)(資料2〜4について説明)

(A委員)年度ごとの調査結果に差があったり、日間変動があったりするので、規制等を講ずるときには、そのような変動があることを前提に考える必要がある。また、溶存態比が他の検体と比較して高い場合は欠測値として扱ったということであるが、溶存態比についてのルールが見つからない状況で、どのような考え方に基づくものか。

(事務局)同業種のなかで溶存態比が高いものなどについて、再測定を行った。再測定の結果、再度、同様の濃度レベルとなったものについては、その値を採用している。最初の測定値と再測定値が大きく異なっているものについては欠測値とし、再度測定を行うこととしている。溶存態比が高いものをすべて欠測値としているわけではない。

(A委員)中間水の濃度が示されているが、それぞれどこで採取したものか、注を書いて明確にすべきではないか。

(事務局)今後、そのように対応する。

(A委員)資料4で4〜6塩化物のPCDD、PCDF濃度とダイオキシン類濃度の関係が示されているが、適用可能な濃度範囲を明確にする必要があるのでは。

(事務局)この式の算出には、濃度の高いものと低いものとを区別していない。先生のご指摘を踏まえ、再度整理したい。

(B委員)これは両対数グラフか。

(事務局)式自体は両対数ではないが、表示は見やすくするため両対数とした。

(C委員)紙パルプ工場で、32工場のうち16工場のみについて結果が得られ、残りは欠測値となっているが、この原因を分析しているのか。

(事務局)紙パルプ工場の測定結果については、共存物質の影響ではないかと考えている。廃棄物焼却施設等では、このような影響は見られなかった。

(C委員)今回の調査結果がどの程度の精度を持っているのか気になるところである。それについての検証は、行っているのか。

(事務局)直接、分析機関に出かけ、数百検体について個別のチャートを見るとともに、精度管理についてヒアリングを行った。具体的にはJIS K0312に規定されている精度管理項目について聞き取りを行い、JIS K0312の規定にあっていることを確認している。

(C委員)今回の調査は、これまでにない大規模な調査を短期間で行っており、測定に際してコンタミが生じていないか気になっている。

(事務局)GC/MSについては、デカンを溶媒として空試験を行い、前処理からの空試験を総検体数の1割程度実施し、また二重測定を行い、コンタミがないことを確認している。

(C委員)今回の調査ではすべて二重測定を行ったのか。

(事務局)JISの規定に基づき、10分の1程度の検体数について行った。今回は、53検体程度であった。

(D委員)平成10年度と11年度では同じ場所でサンプリングしているのか。

(事務局)基本的には同じ場所である。

(D委員)両年度で測定結果が異なるものの原因を、調査されているのか。

(事務局)施設の担当者に確認した結果、操業条件で大きく変わることはなかった。SS等についても、そんなに大きく変わっていることはなかった。

(D委員)操業条件を把握することは難しいという感想を持っている。

(B委員)ばらつきが大きいということになると何回かにわたって測定を行う必要があるのかなど難しいところである。実績をみながら、施設の運転管理を行っていくということであろう。


議事.4「ダイオキシン類排水規制専門委員会報告案について」

(事務局)(資料5について説明)

(A委員)ダイオキシン対策を実効あるものにするため、国等が支援できることがあるか。小型焼却炉等の測定には、財政的に支援していく必要がある。報告書中にそのような趣旨を盛り込めないか。

(E委員)施設整備を進めるには、融資制度、補助制度が必要である。本委員会の役割外であるが、補足的なコメントができないか。

(B委員)本専門委員会報告としては書きにくいであろう。

(事務局)法第38条に「国の援助」について規定されており、援助は必要であろう。現在ある融資制度等を引き続き、利用してもらえるようにしたいし、環境庁としても支援していきたい。また、自治体にも同様の制度があると認識している。本専門委員会報告としては、それ以外の技術的な支援等についてコメントしている。

(A委員)@報告書案のp.1のダイオキシン類の排出量について「6,330〜6,370g-TEQ/年」、「2,900〜2,940g-TEQ/年」とされており、インベントリーを整備した際には、小型焼却炉とたばこの煙の排出量として幅を持たせた。この記述では、ここまで精度のいい集計をしたのかと誤解を招くおそれがある。「約6,400g-TEQ/年」や「約2,900g-TEQ/年」のように数字を丸めた方がよいのでは。A政府作成のパンフレットではインベントリーにおける水としての排出量が十分に記載されていない。機会があれば直したほうがよいだろう。B小型焼却炉について、現状ではこの基準値は厳しいであろう。小型焼却炉は大規模のものに変わっていき、小型焼却炉は休止・廃止されることになる。今後は、小型焼却炉が担っていた廃棄物の受け皿を考えなければならない。C下水道終末処理施設は、この表ではすべての下水道終末処理施設が対象となるように見える。

(事務局)@インベントリーの数字は閣僚会議にも報告された数字でもあり慎重に扱う必要がある。A政府パンフレットについては、対処できる機会に対処することとしたい。B小型焼却炉に対する排水規制は、p.7に記載されているとおり、排出ガス規制を受けたもの。C下水道終末処理施設については、ご指摘のとおり書き直す。

(A委員)@他の専門委員会の報告書においても、「約6,400g-TEQ/年」や「約2,900g-TEQ/年」としているがどうか。また、p.20のコプラナーPCBの表には、ジオルトのものが入っているが、不要ではないか。

(事務局)ジオルトの二つは削除する。

(F委員)PCBの処理施設は、表で「その他」としているのか。そうであれば、「ダイオキシン類を分解、除去する機能をあわせ有している」と記述されていることから、PCBの処理施設はダイオキシン類を含む汚泥を分解させる施設を想定しているのか。

(事務局)昨年、新しいPCBの処理方法が認められたことから、将来的な稼働が見込まれるPCBの化学的な処理施設を規制対象としようとするもの。

(G委員)表がわかりにくい。表だけが一人歩きするので、きちんと記述すべき。

(C委員)@p.13の表−1において、原水と排水の調査対象事業場数が異なるのはなぜか。A下水道終末処理施設の調査は行ったのか。現状でダイオキシン類の排出があるのか。B仮に下水道終末処理施設に上乗せ規制がかかった場合、下水道として規制強化するのはダイオキシン類を排出する施設か、あるいは家庭雑排水にまで規制を適用するのか。

(事務局)A平成8年度に一部施設の調査を行ったが、すべて検出されなかった。現在、建設省にデータの提供をお願いしているが、十分にまとまっていない様子。B上乗せ規制は、水質環境基準の維持に必要かつ十分な程度として、地方のニーズに応じて設定されるものとしている。ただし、記載のとおり上乗せ規制の有効性を的確に判断することが重要であり、その旨、周知して参りたい。

(事務局)@調査対象事業場数について、本文中の注書(※)を表の下に移す。

(D委員)表では、「その他」とまとめてしまわないで、きちんと書いて欲しい。

(B委員)施設の種類が7種のように見えるが、途中から文章中に書き込まれているものを含めて、順に@、A・・・Gと書くべきではないか。

(事務局)全部で9種類の施設を対象としている。

(B委員)表については、これをみたらわかるという形で書いて欲しい。また、表中の廃棄物焼却施設についても、50kg/h以上を入れて欲しい。

(事務局)ご指摘の通り修文する。

(B委員)基準の数字についてはどうか。基準設定の根拠として10倍くらいしかないと思うがどうか。

(事務局)10倍の説明は確かに難しい面がある。しかし、ダイオキシン類の排出濃度として10pg-TEQ/lを達成することは相当困難である。それが、ようやく環境基準の10倍まで下げて設定することができ、従来の手法に合致したということでもある。

(B委員)10倍は一つの尺度である。暫定を設定することは、実態からやむを得ない。暫定の50pg-TEQ/lについて、廃棄物焼却施設は原水濃度が高く、それを落とすのが難しいということであり、3年間だけの数字である。

(D委員)3年間の暫定というのは、平成14年の排出ガス基準が厳しくなる時期と一致しているのか。

(事務局)ここでは、厳密には平成15年1月から暫定がはずれる。2ヶ月程度のギャップはあるが、整合性はとれていると考えている。

(B委員)自主測定、測定方法については、大気と整合がとれているのか。

(事務局)調整している。

(E委員)自主的な測定の結果、基準を超過したらどうなるのか。

(事務局)事業者の自主測定の結果をもって基準違反とはいいにくい。

(B委員)自主的な測定の義務づけの意味は何か。

(事務局)事業者の自主的な管理に資するためと理解している。

(E委員)罰則の対象とはならないであろうが、何回かにわたって測定している事業者が基準に適合しているかどうかを判断する目安は何か。

(事務局)従来の有害物質と同様、最大値で判断することになる。

(B委員)インベントリーの数字は、他の専門委員会報告にあわせ「約6,400g-TEQ/年」や「約2,900g-TEQ/年」のように記述する。また、焼却施設等で常時使用するわけではないが、時々使用する場合の扱いはどうか。

(事務局)全面的に操業をやめてしまえば、特定施設とはならないが、特定施設である限りは規制対象となる。


議事.5「その他」

(事務局)専門委員会報告は、明日の水質部会で松尾委員長から報告していただくこととする。また、今後のダイオキシン類の排水規制について、必要に応じて、本専門委員会に適宜ご相談させていただくこととしたい。