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中央環境審議会水質部会ダイオキシン類排水規制専門委員会(第2回)議事録




日   時 :平成11年9月29日(水) 10:00〜12:30
 
会   場 :環境庁第1会議室
 
出席委員 :松尾 委 員 長 (東京大学大学院工学系研究科教授)
 小林 特別委員((財)日本環境衛生センター専務理事)
 猿田 特別委員(神奈川大学名誉教授)
 上路 専門委員(農業環境技術研究所資材動態部農薬動態科長)
 田中 専門委員(国立公衆衛生院廃棄物工学部部長)
 土屋 専門委員(東京都環境科学研究所所長)
 冨永 専門委員(工業技術院資源環境技術総合研究所統括研究調査官)
 
欠席委員 :森田 専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
 
(事務局)水質保全局長、企画課長、地下水・地盤環境室長、水質管理課長、水質規制課長
水質規制課 西嶋補佐、池田補佐
水質管理課 内藤補佐
大気規制課 柳橋補佐



議事.1「資料1 第2回専門委員会議事録の確認」

 委員の先生方が持ち帰り検討し、意見がある場合には1週間以内に事務局に連絡することとなった。


議事.2「ダイオキシン類に係る最近の動向について」

(事務局)(参考資料1〜8について説明)

(A委員)水質環境基準の場合、飲用水のみに着目して基準を設定すると海域などの飲用に供しない地域が抜けてしまうことになるのではないか。

(事務局)基準値の設定については飲用水に着目しているが、魚介類等からの暴露の面からも検証し、全水域に適用するものとしたい。
(A委員)大気の上乗せ基準について、水質汚濁防止法と同様に後から自治体が決めることになるのか、それとも最初から地域によって上乗せ基準が決まるのか。

(事務局)全国的な基準は一律に決め、上乗せ基準は後から自治体が条例で定めることになる。


議事.3「排水等に係る調査について」

(事務局)(資料2〜4について説明)

(A委員)このたびJISとして定められた方法で分析をしたのか。

(事務局)10年度調査については、ダイオキシン類の測定方法がJISとして定められていなかったため、環境庁で作成した水質調査マニュアルに基づいて測定を行った。今回定められたJISは環境庁のマニュアルを踏まえて作成されており、それほど大きな違いはない。

(A委員)異性体のパターンが発生源の違いにより変わっているか。

(事務局)廃棄物焼却施設と他の工場系施設は濃度レベルがかなり違っており、廃棄物焼却施設は全て異性体が出ており、比較的異性体パターンがわかりやすいが、他の施設については濃度的に出ていないところもあり明確にはでてこない。全体的には塩化物の多いものが濃度は高い。

(A委員)異性体のパターンが発生源ごとに異なっていれば、ある程度発生源を特定することが可能であると考えるが。

(B委員)河川に排水している場合、異性体パターンが下流で崩れるような傾向は見られなかったのか。発生源からの距離との相関関係があるようなデータは出ていないのか。

(事務局)資料3−2のP24、25に異性体のパターンで発生源からの距離が近いものと遠いものを示しているが、河川等の場合、流量の関係もあるので、距離と関係があるかは明確ではない。

(C委員)資料2の膜分離法の維持費が高くなっているがどういうことか。

(事務局)詳細は確認するが、浸透させるのであれば、電気代等がかかるということも考えられる。

(A委員)膜の交換等で維持費がかかるということであろう。

(D委員)処理技術を評価していく上で、ダイオキシン類を分解する方法はいいが、除去の場合は汚泥や使用した活性炭の処理等の確実性を確認しながら評価しなければいけないので、そういう点も念頭に置いていただきたい。

(E委員)SSとの関係を見ると必ずしも相関関係はないが、このSSの種類や性質までは検討してないのか。

(事務局)SSがどういう性状かということまでは調べていない。

(A委員)有機物系のSSが多ければ、そこへ濃縮しているとか、生物系のものに対してより吸着されやすいとかが解ればと思うが。

(F委員)資料3−2 P25 施設13の結果について、同じような異性体パターンを示しているのは理解できるが、環境水濃度が排水濃度より高くなっているというのは他に汚染源があることなどによるものか。

(事務局)排水量と比べると河川の流量が少ないことや、環境水では過去の蓄積の影響もあることなどが推測されるものの、底質について調べていないのではっきりとしたことはわからない。

(事務局)10年度調査では排水と環境水の直接的な因果関係や距離との相関について、必ずしも明確になっていない面がある。引き続き行う調査によって、データの蓄積に努めたい。


議事.4「排水に含まれるダイオキシン類の排出抑制技術の動向等について」

 関係業種からのヒアリングを行った。

1:日本アルミニウム協会からの説明

(G委員)有機系フラックスの使用の中止とは一時的なものなのか、また量を減らしたという程度のものか。

(説明者)完全に中止したということである。現在は使用していない。

(G委員)ダイオキシン類の発生の可能性というのはどこにあるのか。インラインの脱ガス装置か。

(説明者)脱ガスをするために無機系の塩素ガスあるいは無機系の塩化物を使用しているところで何らかの化学反応がおきているのではないかと認識している。

(G委員)排水処理については、凝集沈殿や排水経路の清掃等が効果があったということか。排水処理のプロセスを変えたりはしていないのか。

(説明者)模索しながら、様々な削減方法を試みた結果、8割程度減ったということであり、各方法にどれだけ効果があるかといったことまでは把握できていない。

(E委員)高い濃度の排水を出している工場は常に同じ工場なのか。

(説明者)高濃度で排出していた工場からの排水濃度が急に低くなるというのではなく、いろいろな対策を取った結果、徐々に高濃度のものが下がってきたということである。製造プロセスや排水処理プロセスを変えない限り、相対的に高い値を出している工場は同じということになると思う。

(D委員)排水処理施設に入ってくる原水のダイオキシン類濃度を把握し、排水処理の効果を把握しているのか。

(説明者)費用と時間がかかるということもあり、把握している工場もあるとは思うが、すべてを把握している訳ではない。

(A委員)工場内の他の事業排水とダイオキシンが発生すると推測される施設からの排水量の比はどの程度か。

(説明者)今日はデータがない。平成11年度調査では測定していると思われる。

2:塩ビ工業・環境協会からの説明

(G委員)@業界として削減に取り組んだという排出物は何か、A排水を廃液焼却炉に入れているがこれは全ての事業場でそうか。Bダイオキシン類の削減ということで、排水処理でどういう努力をされたのか。

(説明者)@主としてVCMの環境中への排出の削減に取り組んだ。Aすべての事業場が排水を廃液焼却炉に入れているわけではない。B排水中のダイオキシン削減については過去未経験であり、全ての可能性の検討を含めこれからの問題と考えている。今後の規制の動向、技術の動向等を見つつ計画的に進めていきたい。

(A委員)総合排水の段階で活性汚泥処理、凝集沈殿処理を行うと汚泥等の量が増える。ダイオキシン類が特定のプロセスだけから排出されるのであれば、その段階で処理することが効果的である。反応系統から排水がでるのか。

(説明者)オキシ反応工程で排水がでる。また、EDCの洗浄工程でも排水がでる。対策としては現在手探りの状態ではあるが、原理的にはダイオキシン類の濃厚なところを捕まえて、固液分離を行う方向かと考えている。

3:日本製紙連合会からの説明

(G委員)使用している河川水や凝集沈殿前の原水のダイオキシン類は測定しているのか。また、排水処理施設でのダイオキシンの除去率は把握しているのか。

(説明者)過去の公表されているデータにはばらつきがあるが、クラリファイヤー入口の濃度が高い場合は、処理効果が高いというデータが出ている。ただし河川水のろ過等でどの程度除かれるのかはよくわからないが、今年度の一連の調査で原水等の分析も行っているので、その結果を待ちたいと思っている。

(F委員)排水口周辺の底質等の調査をしたことはあるのか。

(説明者)調査したことはない。官庁から報告されるデータを利用している。こちらで測るものは工程中の水である。

(B委員)消泡剤を変更したというが。

(説明者)パルプ製造の様々な工程で泡がでてくる。消泡材を使わないわけにはいかないが、ダイオキシン類の前駆物質が入っていない消泡剤に切り替えた。

(B委員)ダイオキシン類が生成要因として、昔はリグニンと言われていたが、他のものが要因との指摘もある。それに関する調査は何か行ったことはあるのか。

(説明者)調査を行ったことはない。しかし、環境への出口である総合排水口において、pH、COD、SS等をモニタリングしており排水処理施設が安定して運転されていることを監視しており、今までの回数のダイオキシン排出調査で低い濃度レベルであることを確認している。

4:大阪市及び全国都市清掃会議からの説明

(G委員)放流先は公共用水域に放流する場合と下水道に放流する場合があるが、全国的にはどうなのか。また、埋め立て処分場からの放流先を教えて欲しい。

(説明者)立地によると思うが、市街化されている地域では下水道が主であろうが、地方により山間部など市街地から離れたところに立地している場合は公共用水域に放流していることも考えられる。また、最終処分場は下水道放流地域内には作れないと思う。大阪市では海域に放流している。全国的には公共用水域に放流していると思う。

(G委員)公共用水域と下水道で放流先による処理方法の違い、取り組みの違いがあれば教えていただきたい。

(説明者)下水道への放流では下水処理場の中で活性汚泥に吸着される等の除去効果が期待でき、河川と下水では環境への負荷が違うと思う。環境への負荷を減らすという意味で、排ガスの負荷をいかに減らすかといった排ガス対策を主として行っている。排水については基準が決まったらそれに応じて対策をとっていかなければならない。排ガスについては対策技術がある程度わかっているが、排水についてはどの技術を用いたらどの程度落とせるか不明な点が多い。

(A委員)排ガスが最大の関心事だとしても、排水についても対策をとる必要がある。新しい施設の方がそれだけ対応ができると考えられるのか。

(説明者)新しい施設の方がシステムが高度化しており、濃度は低くなっているが、データにばらつきがあるので安定性の面で不安がある。

5:全国産業廃棄物連合会からの説明

(G委員)産業廃棄物焼却施設からの排水のデータの集め方を教えてほしい。

(説明者)当連合会の会員に水質に関するダイオキシン類のデータを持っているところは全て出してもらった。

(A委員)処理の方法が中和と凝集沈殿ということであったがどこも同じか。

(説明者)概ね同じである。

(A委員)環境庁では今年は実態調査を行っているのか。

(事務局)産業廃棄物施設については11施設行っている。処理方法は凝集沈殿が多い。

(A委員)規模はどのくらいか。調査した施設の規模に差があるのか。

(説明者)最大規模のものは200t/日、一昨年の当連合会の調査では、中央値が、4.8t/日であった。全体の60パーセントが(概ね)4.8t/日以下の施設であった。4.8t/日であれば、平成9年当時の大防法および廃掃法の規則の対象外であった。

(A委員)連合会にはどの程度の数の業者が所属しているのか。

(説明者)処分業者の50%程度、収集運搬業者については30%程度が当連合会のメンバーである。


議事.5「ダイオキシン類の排水規制に係る今後の検討課題」

(事務局)(資料5、参考資料8について説明)

(D委員)項目3について、処理技術について濃度にばらつきがあり非常に気がかりである。将来詰めていく必要がある。水質の環境基準については今回のものは暫定的なものと理解しているが、水質排出基準ではこのことをどう受け止めていくかを考える必要がある。総合排水について、希釈することで基準をクリアするという手法が残るがこれをどう考えるか意識しておかなければならない。 

(A委員)産業廃棄物焼却施設等で特定施設の規模をどうするのか。設置者による測定の頻度は一律ではなく事業者の努力も評価するような方法は考えられないか。

(G委員)海域に放流する場合とそうでない場合、飲用に供している場合など、放流先はどう考えるのか。

(A委員)ほとんど排水しか流れない川もあるものの、規則はすべての公共用水域に適用されるのか。生活環境項目は類型化しているがそういうことはないのか。 (事務局)ダイオキシン類については有害物質と考えられるため、全公共用水域に一律の基準を適用することになる。 (F委員)下水道法の受け入れ基準との関連はどうなるのか。 (事務局)大変重要な問題と認識している。従来は下水道への放流は下水道法で、公共用水域に放流する分については水濁法で対応してきた。ダイオキシン類対策特別措置法についても同様の考え方で対策を進めていきたい。建設省でも検討が進められていると思う。事務局としても建設省と調整を進めていく。

(A委員)下水道法では上乗せできるのか。

(事務局)上乗せが適用される区域についてはそれに従って受け入れ基準が厳しくなる。


議事.6「その他」

(事務局)次回の専門委員会は10月15日(金)10:00〜12:00 通産省別館会議室902号室を予定している。委員の先生方には正式な開催通知を追って郵送する。