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中央環境審議会水質部会ダイオキシン類排水規制専門委員会(第1回)議事録



日   時 :平成11年8月31日(火) 10:00〜12:00
 
会   場 :法曹会館 高砂の間(2階)
 
出席委員 :松尾 委 員 長 (東京大学大学院工学系研究科教授)
 小林 特別委員((財)日本環境衛生センター専務理事)
 猿田 特別委員(神奈川大学名誉教授)
 上路 専門委員(農業環境技術研究所資材動態部農薬動態科長)
 田中 専門委員(国立公衆衛生院廃棄物工学部部長)
 土屋 専門委員(東京都環境科学研究所所長)
 冨永 専門委員(工業技術院資源環境技術総合研究所統括研究調査官)
 森田 専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
 
(事務局)水質保全局長、企画課長、地下水・地盤環境室長、水質管理課長、
水質規制課長、総量規制室長、土壌農薬課長、
水質規制課 西嶋補佐、池田補佐



議事.1「専門委員会の公開の取り扱いについて」

(事務局)(資料1について説明)

案の通り、会議は非公開、資料は原則公開することとされた。


議事.2「ダイオキシン類の排水に係る今後の検討について」

(事務局)(資料2〜5、参考資料1〜3について説明)

(A委員)法第7条の環境基準と環境基本法の環境基準との関係はどうなるのか。

(事務局)ダイオキシン類の水質環境基準は、国会の要請に基づきダイオキシン類特別措置法に基づいて定めるということで理解している。

(事務局)ダイオキシン類については、現行の水濁法、廃掃法、大防法等に基づき、それぞれ対策をとることは可能であるが、本法が制定された主旨にかんがみ、この法律によって、水も大気も土壌もひとつのスキームで効果的、効率的に、しかもわかりやすく対策がとれることになったと理解している。

(B委員)ダイオキシン法に基づく環境基準は、健康項目になるのか、生活環境項目になるのか。

(事務局)法に「人の健康を保護する上で・・・」と書かれていることから健康項目である。

(A委員)インベントリーによれば、水の排出量は非常に少ないが、表面的に数字が低いからといって排水規制を講じなくともよいと判断することは危険ではないか。

(C委員)人への主要な摂取は魚からであり、魚への蓄積は水に由来する。大気へ排出 されたものは大部分が土壌に落ちており、水に落ちる量は少ない。インベントリー上は排水由来の排出量は小さいものの、直接水にはいるという点で、排水中のダイオキシンの公共用水域への汚染影響は極めて大きいものと考えている。そういう意味で、ダイオキシンの排水規制をする意味はある。ダイオキシンについては、廃棄物を中心に徐々に研究が進められてきた。その他にも小規模な発生源は存在するだろうが、これまでに得られた知見のあるところから着実に対策を進めていくべきである。

(D委員)特定施設は、法律では「ダイオキシン類を含む汚水若しくは廃液を排出する施設」となっているが、「排出するおそれがある」ということで理解している。最終処分場や汚染土壌から出てくる水は、別途検討することとし、今回の検討は、工場・事業場からの排水によるものということでよいか。ダイオキシンは、非意図的に生成されるものであり、従来の手法では抑えきれない懸念がある。新しい知見が得られれば、速やかに、かつ柔軟に対応していく必要がある。また、大気排出基準とのリンク等、全体像を見据えて考えていく必要がある。

(事務局)ダイオキシン法に基づく廃棄物最終処分場の対応については、別途、議論いただくこととしている。また、汚染土壌についても別の枠組みで検討している。知見の集積については、今後もインベントリーを充実させていくこととしており、来年度予算も要求している。また、大気等の基準との関係は今後の調整の中で工夫していきたい。

(E委員)このたび取りまとめたインベントリーには、森林の火災等、不明で含めていないものもある。また、従来は、排ガスの排出抑制基準であったが、法律では健康影響が生じないよう「技術水準を勘案して」定める排出基準となっている。その決定のプロセスについて、住民に理解してもらうことが重要である。

(B委員)参考資料3、59頁の「埋め立て処分場からのガス」とは何か。

(事務局)62、64頁等に記述があるように、管理燃焼を対象としている。

(事務局)(資料6について説明)

(D委員)パブリックコメントを実施するということだが、ダイオキシンについては、特別の利害関係者がおり、そのような場合、これまでの専門委員会で意見を聞くなどを行ってきた。今回は、関係業界からのヒアリング等は考えているのか。

(事務局)関係業界から申し入れがあれば対応していきたい。その他の手段としても文書でもらったり、所管官庁から意見をもらうことなどが考えられる。

(B委員)どこまで「技術水準を勘案」できるのか非常に難しい面もある。事前に業界から意見を出してもらい感触をつかむような手続きはとれるのか。

(事務局)パブリックコメントとは別に業界の意見を聞くこともある。しかしながら、スケジュールが非常にタイトであるので、できる範囲で対応したい。


議事.3「排水等に係る調査について」

(事務局)(資料7〜9について説明)

(F委員)「技術水準を勘案して」ということを判断できる情報がどれくらい集まるのか。このたび行おうとしている11年度調査結果は今回の検討に間に合うのか。

(事務局)11年度調査については、既に採水に着手しており、概ね9月中に分析が終わる予定。データは取りまとめの上、提出することとしたい。

(B委員)(廃棄物焼却施設においては、)実際の処理量も調査していただきたい。

(事務局)試料採取の際に、聞き取ることとしたい。

(D委員)「技術水準」についておおまかな区分ができればと思う。

(G委員)削減に係る技術を確かめた上で排水基準を定めるのか。導入可能な技術水準を前提として基準を決めるのか。

(事務局)得られたデータがどの程度の処理技術かを判断し、現実的に対応可能かどうかを念頭においた上で、検討をお願いしたい。また、排水基準を守ることも重要だが、それだけが規制というわけではない。

(B委員)現状追認ではまずい。対応可能なレベルまでは頑張ってもらうのであろう。パルプは何年か前から対策を行った結果、排出濃度がずいぶん下がった。

(H委員)調査結果については、どういう方法で分析したのか示して欲しい。また、定量下限がわからないと比較できない。データの出し方を同じにして欲しい。

(事務局)11年度調査については、通産省と同じ方法、定量下限で調査している。比較できる形で提出させていただく。

(E委員)資料8で示されているデータをみると、通産省が調査したもののほうが高いデータがでている。年度が違うのか、削減対策をしたために落ちたのか。

(事務局)通産省のデータは10年度にとりまとめたもので、それ以前に調査を行ったもの。調査対象事業場は、塩ビは同じ10工場であり、アルミは多少異なっている。

(B委員)産業系の発生源については19業種となっているが、それが3業種に絞られたのか。

(事務局)19業種は排ガスとしての排出のある業種であり、排水として排出しているのは、3業種だけである。

(A委員)資料8で「火力発電所の放流水」というものがあるが、これは冷却水なのか、それともその他排ガスと接触した水なのか。

(事務局)早急に調べることとしたい。

(B委員)インベントリーについては、諸外国と比較しておかないといけない。抜けている業種はないのか。

(事務局)諸外国のインベントリーは、ほとんどが大気に由来するものである。その他の発生源についても文献等にあたるなどして、知見の充実に努めているが情報が少ないので、新たな知見等が得られれば、適宜対応してまいりたい。

(B委員)平均値、中央値等、基準値は何で定めるのか。

(事務局)法律で直罰を適用する制度となっており、水濁法と同様、最大値で評価することとなろう。その他、自主測定の回数等についても議論していただきたい。直罰については第45条第3項で位置付けられている通り、2回違反していれば罰則を適用する形となっている。

(D委員)簡易測定法の検討を進めていると聞くが、法の施行に間に合うのか。

(事務局)簡易測定法は大気主体である。水については、情報の向上を図りつつ従来の方法を使うことを考えている。


議事.4「その他」

(事務局)次回の専門委員会は9月29日(水)10:00〜12:00 環境庁第1会議室を予定している。委員の先生方には正式な開催通知を追って郵送する。