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中央環境審議会水質部会 ダイオキシン類環境基準専門委員会(第1回)議事録


1.日 時
  平成11年8月9日(火)10:00〜11:30

2.場 所 環境庁第1会議室

3.出席者

4.議 題
1 専門委員会の公開の取り扱いについて
2 ダイオキシン類の水質環境基準に関する調査検討の進め方について
・ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について(諮問)
・平成11年度ダイオキシン実態調査計画(案)について

配付資料
議  事

(事務局)それではただいまから第1回中央環境審議会水質部会ダイオキシン類環境基準専門委員会を開催させていただきます。それでは議事に入らせていただきます。議事の進行は委員長にお願いいたします。

(委員長)この専門委員会はダイオキシン類環境基準の設定につきまして、調査・検討を進めるという目的で、本年の8月2日の環境庁長官の諮問を受け、中央環境審議会水質部会においてこの委員会の設置が決定したわけです。本日はその第1回でございまして、今後どのようにこのダイオキシン類の水質環境基準に関する調査・検討を進めていくかを本日のメインの議題として先生方からご意見をいただくということになっております。
それでは議題の1ですが、まず具体的に審議に入る前に、本委員会の公開の取り扱いについて決定したいと思います。
  公開に関しましては、8月2日の水質部会におきまして、部会長と専門委員長の相談の上で決定することになりました。この専門委員会の委員長は私、部会長も私ということで重なっておりますけれども、この公開の決定につきまして、お手元の資料2をご覧下さい。簡単に申しますと、会議は非公開にするが、会議資料は原則として公開するということ。それから会議録、議事要旨は公開とするということでございまして、従来から専門委員会は非公開でやっておりますが、公開性を高めるということから、今回、会議録はもちろんですけれども、会議資料につきましても公開の方向で考えていきたいと思っております。
  部会長かつ専門委員長といたしましては、特段の意見がなければこの決定の案で進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

  (異議なしとの声有り)

(委員長)それでは次の議題2に入りたいと思います。議題2は、ダイオキシン類の水質環境基準に関する調査検討の進め方についてですが、まずダイオキシン類をめぐる状況、並びに本委員会の設置の目的、背景等につきまして、事務局からご説明いただきたいと思います。

(事務局)(参考資料1〜7、資料3〜5について説明)

(委員長)どうもありがとうございました。時間がないということでございまして、これもダイオキシン類に対しまして、国民の関心が非常に高いということの結果かと思います。そういうことをご賢察いただきまして、忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

(A委員)この委員会は環境基準の委員会ですけれど、先ほどのご説明では来年の1月くらいまでに排水の基準もつくらなければいけないんですね。そうしますと環境基準が出て、従来ですと、環境基準が決まって排水基準が決まると思うんですけれど、今回の場合も例えば環境基準が決まったところで排水基準というふうな進め方をやっていかれるのかどうか教えていただけますか。

(水質管理課長)スケジュール的には、この環境基準の専門委員会と排出規制の専門委員会を同時並行で運営するということになってまいります。事務局としては、結論をいただく時期は、法施行までに間に合わせたいとお願いしています。
  それから今ご指摘の、従来ですと環境基準が決まってから排出規制を定めるということですが、ダイオキシンの場合は1点ちょっと事情が違うのは、排出基準につきましては、現在の技術水準を勘案して国の排出基準を決めろということが、法律の中にございます。したがって、従来のように目標値を決めて排出基準を決めるということのほかに、もう一つ技術的な検討というのがございます。もちろんその排水基準と環境基準との考え方、どこかでリンクすることにはなると思いますが、排出規制は排出規制として考慮すべきことがございますし、時間的なこともございますので、事実上並行しながら検討し、水質部会で調整がとられるということになろうかと思います。

(委員長)今の時間的なスケジュールで、この間水質部会があったときに、次の水質部会が10月ごろということだったと思うんですが、そのときにこの専門委員会の第一段階の報告をするということになるんですね。それでいきますと、大体、重要な審議は今回と次回の第2回でもって終わると。その報告事項みたいなものをとりまとめる第3回があるかないかということでしょうか。

(水質管理課長)スケジュール的に言うと、まだ審議は始まったばかりですので、必ずこれでいかなければいけないということはございませんが、今日お話を申し上げて、全体的なことをご理解をいただくのと同時に、現在とにかく知見が非常に不足しておりますので、今年度緊急に必要なデータを集めるための調査というのを予定してまして、その進め方についてご審議いただきたいと思います。次回は、それらの新しい情報、あるいは昨年度行った調査のデータも間もなく集まってくると思いますので、そういった新しい知見をもとに、環境基準に向けてどうアプローチしていくかというご議論をいただきたいと思います。その上で、進みぐあいによるとは思いますが、事務局としては、恐らく10月の下旬くらいには、またある程度の方向づけをいただき、水質部会に報告していきたいと思います。10月にどういう展開になるかというのは、またいろいろなデータを見ながら考えていただくということになろうかと思います。

(B委員)ダイオキシンの基準を決めるに当たって、一つ問題になるのは、ダイオキシンの場合は非常に特殊性があって、定量下限値以下の値等をどのように足し合わせるかによっては大きく変わってくるんだろうと思います。JISで一つの方法にしぼられなかったということもありますし、具体的に環境基準を決められるときには、どの方法を使うのかというのを定めないといけないと思いますけれど、その辺はどういうふうにお考えですか。

(事務局)検出下限値以下、あるいは定量下限値以下の値をどのように処理するかというお話でございますが、JISの原案では三つの方法、定量下限値以下をゼロとするというのと、検出限界以下の場合に検出限界値とする、そして検出限界の2分の1とすると、この三つの方法が併記をされているかと思います。私どもも10年度の調査結果をまとめるに当たっては、従来とってきた定量下限値以下はゼロとするという方法をとるのではなくて、検出下限値の2分の1とするというような方法も併記するか、あるいはそちらの方を採用するかというようなことで検討しておるところでございます。環境基準をどうするかというときにも、その議論が必要になってこようかと思いますけれども、今までのその定量下限値以下はゼロとするという方法だけで決めるということにはならないと思っています。

(C委員)ダイオキシンのリスク評価のところで、実は一番悩んでおりましたのが、コプラナーPCBをどう扱うかというところでございました。何を心配しているかというと、環境水については、PCBの基準そのものと、ダイオキシン類の扱いが、両立しない可能性がちょっとありますので、それをどういうふうに考えておくかというのは、少し課題になってくるかなという感じがいたします。   それからもう一つ、非常に短い期間にもし作業をするとするならば、多分、PCBが一つのモデルになるかなという感じがいたします。というのは、物質の性質が、生物濃縮を含めてきわめて類似しているということと、それからコプラナーPCBを含めて、PCBそのものがある種このダイオキシンリスク評価の中に入ってきているということからですが、PCBの前例みたいなものを考えながらというのが比較的効率のいいやり方かと思います。実際、PCBの対策というのは、それなりにうまくいったかと思いますので。

(委員長)ただいまのご意見で、何か関連するご意見ございますでしょうか。PCB調査を前例としてその関連性を見るというのはおもしろいかなと思うんですが、そういうご検討は事務局ではなさいましたですか。

(事務局)まず最初の1点目でございますけれども、コプラナーPCBとPCBの環境基準との関係でございますけれども、コプラナーPCBについては、今回はダイオキシン類として基準をつくっていくということでございますから、直ちにPCBの環境基準を改定する必要があるかというと、そうではないのかなというふうに思っております。
  それから、2点目でPCBのときの設定方法を一つのモデルとできないかというお話でございますが、PCBのときには既に幾つか水産研究所などからPCBの濃縮率が出されておりまして、そういったものから濃縮率を1万といたしまして基準を決めたという経緯があるわけでございます。さらに魚の暫定規制値というものが厚生省から発表されておりました。その魚の暫定規制値を満足できるように水質の基準を、濃縮率を勘案して決めたということでございます。今回の場合は、魚の暫定規制値というのは示されておりません。厚生省の方ではトータルダイエット調査で食品の安全性を説明していくいうことでございます。さらに濃縮率についても、先ほどアメリカのデータをご紹介いたしましたけれども、TCDDについてはそれなりのデータが集まっておりますが、PCDFあるいはコプラナーPCBになるとデータが極めて少ないようでございます。そういう中で、PCBと同じように基準が設定できるかどうかというと、なかなか難しい問題もあるかと思っております。

(D委員)検討する中に、底質の基準ということも一応含まれてますけれども、実は先ほど魚への蓄積といったことがちょっと話題になっていますが、底質の中にたまっているダイオキシンがどう魚介類に移行するかというところは、これはもうほとんど知見がない状態でして、そうしますと、やはり魚介類、生物濃縮基準という明確な決め方以外に、もう少し何か全体を総合的に見ていくような、そういったアプローチも同時並行的にとるべきじゃないかと思います。

(委員長)確かにそれができれば非常にいいんですけれども、短期間でそういう調査計画を立ててやるという、そういう点は事務局の見通しとしてはどうですか。

(事務局)それでは11年度の調査計画のご説明をさせていただき、あわせてまた後でいろいろご質問をいただくということでいかがでしょう。

(委員長)それでは、調査計画の案を事務局で用意していただいておりますので、それをご説明していただいて、また皆様方からご意見をいただくということにしたいと思います。

(事務局)(資料6について説明)

(委員長)ありがとうございました。かなり具体的にどういうことをやるかということがおわかりいただけたかと思います。先ほどのD委員のご質問でいきますと、相互関係を解析できるような調査をするというあたりが、その回答になるかと思いますが、それぞれのご専門 の立場から意見がございましたらお願いしたいと思います。

(E委員)一言お願いなんですが、ダイオキシンについての水の環境基準をつくるということになりますと、これは飲み水、つまり水道にとって非常にインパクトが大きいと思うんです。私も厚生省といろいろ話をしておりますんですが、厚生省としてもいろいろ調査計画はありますし、今年度も水道水源について実態調査をするという話になっております。そういったこともありますので、ぜひ厚生省の水道担当の方とも緊密な連絡をとっていただければありがたいと思います。

(事務局)そのようにさせていただきます。

(F委員)資料6の最初のページで、水質濃度経時変動調査で、全国数地点ということですが、地点をセレクトするときのクライテリアは何ですか。
それからもう一つ、2番目の飲用利用を主体として井戸の選定は、どういうふうに選定するのか教えていただきたいと思います。

(事務局)最初の点、全国数地点での測定のクライテリアでございますけれども、河川それから海域について、平成10年度の調査結果をみて、濃度の割と高いところを選定をしたいと考えております。

(地下水・地盤環境室長)地下水でございますけれども、井戸ということで、基本的には個人のお宅にある井戸を利用させていただくということにもなり、具体的な選定についてはこれから自治体を通じてお願いに行くということではありますが、やはり10年度、昨年度の全国一斉調査の状況を見ながら、高いところを中心に、選んでいきたいというふうに考えております。

(F委員)細かいことなんですけれども、ダイオキシンのTDIについてというこの資料に書かれてある「ダイオキシン類」の範囲と、それからダイオキシン類対策特別措置法の第2条に書かれている「ダイオキシン類」の範囲が違うのですが、どちらを今回の場合には採用なさるんでしょうか。

(事務局)法律ができましたので、私どもとしては法律に従っていきたいというふうに思います。

(C委員)ダイオキシンの汚染のルートは、基本的に今は大気経由だというふうに考えています。実はダイオキシンの汚染というのは、ずっと戦後から広げていきますと、1970年ぐらいまでは、主に化学産業の問題であって、農薬を初めとして、そこの部分は基本的には水質汚濁の問題だったんです。80年代以降にごみ焼却の問題がだんだんクローズアップされ、また日本が非常にごみ焼却量が多いということと関連して、ダイオキシンの発生源のインベントリーを大気経由からずっと算定しているところがありました。一方水の方はというと、今まで実は詳細な調査もやられてこなかったし、よくわかっておらんという状況がずっと続いています。そういう意味で、どこの排水口を閉じたらいいかという情報も余りないし、かつまたどこを調査していいかという、調査計画そのものもきちんと今まで実行されてこなかった。1980年代の半ばにアメリカがEPAがダイオキシン戦略を立てて、そしてそのプライオリティの高いものから順番に調査するという、アプローチをとったのに対しまして、日本はそこの部分が全然抜けたまま大気汚染の方を中心に展開しているんですが、そういう意味で、どこかの時点で水質汚濁は本当にどういう意味なのかということを見直した調査というのが必要にはなってきているんだろうと思うんです。それがないと排水対策の部分が少し弱い部分を抱えたまま進行してしまうという感じがします。
 もうちょっと具体的に例えば申し上げますと、1980年代にアメリカがとった戦略というのは、塩素を使うような化学産業群、そこからの排水をある程度きちんとウォッチするというのをプライオリティのトップに挙げて調査をされてきたという経過がありますので、少しいろいろな調査をし、お金の問題もあるかと思いますが、水系を汚濁していると考えられるルートというのを、パルプ以外にも広げて、調べられるチャンスがあると、もう少し具体的な部分が出てくるかなという感じがしますが。

(事務局)発生源が大気以外に、水を直接出している工場であるとか、あるいは過去の農薬であるとか、いろいろ考えられるわけでございますが、排水については別途排水基準の専門委員会がございまして、そちらの方でも調査を行っていくということになろうかと思います。私どもといたしましても、10年度の調査結果の解析、あるいは11年度の調査結果の解析の際には、異性体について詳細に見まして、水質の濃度の高いところの原因の究明を行っていきたいというふうに考えておりますし、さらに今回の法律で常時監視が都道府県知事に義務づけられましたので、大々的な全国を網羅した調査が行われていくと、モニタリングが行われていくということになりますので、そういったことを通じて、発生源の絞り込みを行っていくことになるのではないかと考えております。

(B委員)多分ダイオキシンの環境基準を決めるのに、時間的な制約というのはものすごく大きいことになると思います。もう一つ、先ほど事務局の方からご説明があったように、ダイオキシンについての魚の、あるいは飲料水の基準が決められていない状況の中で、水の環境基準を決めなければいけないというようなことが非常に大きな制約になるだろうと思うんです。そうすると従来モニタリングをやるためにPCBのときのように淡々と論理立てて基準をつくるというのはなかなか難しく、そのままいくと今の汚染の状況全体を見て、D委員が言われたように総合的に何かと関係を見出して割り切りで基準を決めていかざるを得ない部分が出てくるだろうと思います。将来的には見直すということも含めて、当面はそういうことになるのではないかと思います。そういう意味でいくと、このダイオキシンの実態調査というのは、できるだけ日本の現状を平均的に見られるような形の工夫が必要であろうというのが一つでございます。
  それからもう一つ別な観点ですけれども、ダイオキシンがPCBのときともう一つ違うのは、暴露経路、PCBの場合は専ら魚、あるいは飲料水まで入れたのかどうかわかりませんが、魚経由というようなことで考えて、そちらだけで焦点を絞ってやってくればよかったんですけれども、今回は特別措置法にもありますように、大気、土壌、合わせて基準をつくらなければいけないわけです。そうすると、同時に三つの媒体、あるいは四つの媒体について基準がつくられるというのは初めての例だと思います。それらの間の整合をいかにとるかということが非常に重要です。TDI自体は4ピコグラムですけれども、それをどうするかという、あるいは基準の設定の仕方の論理づけと言いますか、そういうところに矛盾があると非常におかしなものになる。そういう意味では、水関係だけで事が足りるという話ではないので、大気あるいは土壌との連携をしっかりとっていただく必要があるだろうというふうに思います。

(委員長)大気、土壌などと整合をとるということは、当然、大事なことでありますけれども、そういったことで事務的に、何か特別に考えておられるようなことありますか。

(事務局)今、基準の設定方法について、これでいきたいというものはまだ持っておりません、幾つか候補はありますけれども。大気保全局の方でも同じ状況でございまして、したがって、それぞれの専門委員会に事務局同士相互乗り入れをしておりまして、今日も大気保全局から来ている方もいますし、大気保全局の専門委員会には私どもが出向くということで、事務的には連携はとっております。ですが、だからといって大気、水、土壌、全部うまく説明できるような基準の設定方法として何か案がもうできているのかというと、それはまだないという段階です。

(委員長)そうしましたら、今日は第1回ですけれども、2回目のときにはほかの大気とか土壌の委員会で、水に関係することでいいかと思いますけれども、どういう議論があったかとか、どういう点がこの委員会でも反映させなければいけないかということを、まとめた報告をしていただけたらと思います。その了解の上でこの場で議論していただいた方がいいと思います。

(G委員)今の事務局の連携ということの関係の話なんですが、いわゆるTDIの割り付けと言いますか、アロケーションという作業をどの立場で、どのような議論のもとになされるのかということが、こういう基準を考えていく上での最大のポイントかというように理解していますが、その辺の見通しに関しては何か現段階でお話しいただけることはございますでしょうか。

(事務局)基準の決め方といたしまして、TDIをアロケーションして決めるという決め方もあれば、それ以外の決め方もあるわけでございます。例えばダイオキシンとは問題が違いますけれども、硝酸性窒素であるとか、フッ素のように疫学調査の結果をもとに決めているものもございまして、環境基準というのはTDIのアロケーションをしなければ決められないというものでは、必ずしもないので、そういったほかの決め方も視野に入れながら、どんな方法がベストかをこれから検討し、お示しし、またご審議をいただきたいというふうに思っております。

(H委員)そういう意味で多分、次回あたりに事務局で考えられるシナリオというんでしょうか、基準を設定するにあたって、PCB方式だとか、幾つかもう既に挙がっておりますけれども、それのたたき台というか、原案みたいなものをとりあえず出していただいて、その際に、本当にこの期間の中にどの作業が本当に必要なのかというのも、もう一度見直しも含めて新たに加えていくという作業が必要になるかもしれないと思うんです。いまさら、例えば疫学的な調査をやれといってもなかなか難しい話ですし、考えられるシナリオに対してどういう調査があり得るかという対比づけをやらないといけないと思います。
  それと私の知識不足だと思うんですが、ダイオキシンの排出インベントリーによる平成10年度1年間の排出量3,000グラムという値というのは、大気経由のものだというふうに理解しているんです。例えばそうすると、灰等は含まれているのか含まれていないのか。環境中への排出を考え、例えば今回の底質だとか水系への排出を考えたときに、そういう灰経由で環境中に土壌を通じて入っていくということは考えなくていいのか。排出インベントリーで3,000グラムというのは、水の場合には水と表の中に明らかにうたってあるんですが、 例えばそういう固形物、粉塵といったものへの排出量というものはいかがでしょうか。

(事務局)今のダイオキシン排出インベントリーは、いわばフローの排出インベントリーでございまして、ストックの発生源については入ってないということでございます。それは正直なところ、なかなか難しいということがあろうかと思いますが、それについても10年 度の調査結果、あるいは11年の調査結果を詳細に異性体ごとに見ていくことによって、何が原因になっているかというのを把握して、その上でストックの発生源がどの程度あるのかと、二次的な発生源がどの程度あるのかということを調べていくということになるのではないか と思います。

(I委員)先ほどC委員からPCB方式でという一つの例を言っていただきましたが、PCBとダイオキシンは非常によく類似しておるわけでございますけれども、非常に技術的な観点からすれば、シナリオの書き方によっては、それが違って見えるようなことが起こる程度には物性値は違うという側面もあると思います。例えばPCB方式をTEQでやるようなことをすると、ある場合には安全側に評価したことになるかもしれないし、別なシナリオでやれば結果的に危険性が広がったりするようなことも起こる可能性があると思いますので、そのあたりを技術的には勘案することが必要かと思います。

(F委員)公共水域における水質、底質、水生生物調査で、濃度実態と相互関係の解明調査、非常に重要なことをもくろんでおられるわけですけれども、今までの調査結果、特に平成9年度の総合パイロット調査結果に基づいて、例えば相互関係解明ということについて、何らかの目処がある程度はついているわけですか。こういうところをやらなければいけないというような目標とか、あるいは多分こうであろうという目処が少しは見えられているのかどうかということをお聞きしたい。

(水質管理課長)その点は、あるいは専門の先生方の方がお詳しいかと思いますが、現時点で得られているのは先ほどインベントリーの調査の中に少し紹介がありましたが、9年度のデータは20カ所とかそこらのデータですから、これでは何もまだわからないという状況だと思います。正確にもう少しわかりやすいデータは、10年度に少しまとめてやっていますので、本当はこれをお示しするとよろしいのですが、今はそれは解析の途中です。したがって、この11年度の調査についても、こういってはちょっと乱暴かもしれませんが、わかるかどうかはよくわかりません。とにかく、少なくとも全国的な濃度分布というのは把握しないといけないと思います。あと相関についても、とれるような調査をしたいと考えています。ただ、結果として相関はとれるどうかは現段階ではよくわからないということを申し上げなければいけません。

(委員長)それでは特段のご意見がもうこれ以上ないように思いますので、この資料6の11年度の水環境中ダイオキシン実態調査計画でお認めいただくということでよろしゅうございますか。

 (異議なしとの声有り)

(委員長)ありがとうございます。そういうことで、今日はこの内容につきまして、幾つかの重要なご指摘、ご意見が出たと思います。何しろ時間もなく、また初めて行うということもありまして、先ほどB委員から出ました、今後見直しということもあり得るかということも含めた慎重な対応が必要かと思います。ということで、この計画に沿いまして調査を実施し、今後の委員会で反映するということにさせていただきたいと思います。 それでは3番目の議題「その他」ですが、これは事務局から何かございますか。

(水質管理課長)既にご案内しておりますが、次回第2回の専門委員会は9月28日木曜日ということで予定しております。ここでは、10年度に行っております調査の結果、それから今年度、今お認めいただいた調査、これは恐らく全てではないと思いますが、わかる範囲のものをデータとして提供してご審議いただきます。それから先ほど来言われておりますような、基準設定の幾つか考え方のようなこととか、他の専門委員会、部会における状況などについてご報告しながら、環境基準設定の方向づけに関するご審議をいただくことになると思います。
  それからその後、恐らくまた10月に開催するということが必要になると思いますが、その辺はまた次回の専門委員会の様子を見ながら、順次決めていっていただきたいと思います。当面、そのような予定にしておりますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。以上です。

(委員長)ほかに委員の先生方から、ご意見ございますか。

(H委員)諸外国の資料を説明していただいた折に、魚類への濃縮を考慮したら0.014ピコグムだという説明があったかと思いますけれども、そのとき具体的にどの濃縮率を、数値を使ってアメリカではやられたのでしょうか。

(事務局)0.014と13の違いでございますが、13の方が魚介類による濃縮と飲料水経由と両方含めたものでございまして、14の方が魚介類だけで飲料水の方は含めずに決められているクライテリアでございます。そのときに、濃縮率を幾つにしておるかということでございますが、私どもが入手した資料ですと、2,3,7,8−TCDDについて5,000という数字を使っておるようでございます。

(委員長)よろしいでしょうか。本日の専門委員会、これで終了いたします。どうもありがとうございました。