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中央環境審議会第26回水質部会議事録


1.日 時   平成12年10月19日(金) 10:00〜12:00

2.場 所   ホテルフロラシオン青山 はごろもの間(1F)

3.出席者

村岡  浩爾部会長足立  則安委  員
岸    ユキ委  員木原  啓吉委  員
小早川光郎  〃櫻井  治彦  〃
佐竹  五六  〃清水  誠  〃
須藤  隆一  〃高岩  権治  〃
高橋 さち子  〃中野  璋代  〃
池田  駿介特別委員大澤  進特別委員
恩田  怡彦  〃小林  康彦  〃
坂井  順行  〃猿田  勝美  〃
田代  直弘  〃西山  紀彦  〃
林    裕造  〃松尾  友矩  〃
遠藤 水質保全局長
吉田 水質規制課長
齊藤 総量規制室長
長尾 企画課長
岩田地下水・地盤環境室長
浅野瀬戸内海環境保全室長

4.議 題

(1)水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について
(2)水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について
(3)その他

5.配付資料

化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定等に関する意見の募集結果について(案)
「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」中央環境審議会答申案
「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」(排水規制等専門委員会報告)
「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」中央環境審議会答申案に対する意見の募集について

(参考資料)
化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定等に関する意見の募集について
水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について(平成12年2月8日付け諮問及び付議)
水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(平成11年2月22日付け諮問及び付議)
硝酸性窒素等に係る関連施策

6.議  事

【水質規制課長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会の第26回水質部会を開催させていただきます。
 本日、委員総数27名中、22名の委員の御出席が予定されておりますが、既に21名の委員の方々の御出席をいただいております。
 なお、小早川委員におかれましては、若干遅れて御到着という連絡をいただいております。したがって、既に部会開催の要件を満たしております。
 (配付資料の確認)
 何か過不足がございましたらお申し出いただきたいと思います。
 それでは、初めに遠藤水質保全局長よりごあいさつを申し上げます。

【水質保全局長】 水質保全局長の遠藤でございます。
 本日は御多用のところ、水質部会の開催に当たりまして、各委員の御出席、大変ありがとうございます。
 2000年1月6日の環境省の昇格に向けまして、今、環境庁総力を挙げて施策の拡充に努めております。
 第1は、さきの国会で各種法制が追加しましたけれども、循環型社会の実現に向けて、ハード面、これは具体的に言いますと、大都市圏を中心といたしました廃棄物リサイクル施設の体系的な整備でございますけれども、それにソフト面、それは循環基本法を始め、廃棄物処理法の改正あるいはリサイクル関連法の制定、整備の実行化に向けて全力を挙げているところでございます。それが第1でございます。
 第2は、いよいよ先に決められました京都議定書を2008年からきちんと適用するというような方向での、地球温暖化に向けてのCOP6の交渉が11月下旬に大きな山場を迎えるということでございます。このために大臣もたびたび海外出張をしておりますし、11月の中・下旬に向けて現地に赴きまして交渉の指揮をとると、こういう形にしております。
 三つ目は環境基本計画の改定でございます。あす20日に、地方ヒアリングあるいはパブリック・コメントを踏まえまして、いろいろ最終的な詰めの論議が行われるということになっております。その中で、戦略的プログラムの一つといたしまして、健全な水循環の確保を通じた、水質汚染のみならず水環境の保全という観点からのアプローチが一つの大きな柱になっているということでございます。
 さて、本日の当部会でございますけれども、二つの大きな事項について御審議を賜ればと思います。
 第1は水質総量規制についてでございますが、前回の本部会で答申案をおまとめいただきました。1カ月間、パブリック・コメントの手続を実施いたしましたので、本日はそれを踏まえまして種々御議論を賜ればと思います。
 第2は、平成11年2月に諮問いたしました、ふっ素・ほう素・硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の排水規制等の項目追加でございます。この件につきましては、松尾委員長のもとで、第9回にわたりまして排水規制等専門委員会で調査・検討を重ねていただきました。本日はその取りまとめの結果を報告させていただきたいと思います。
 この2点につきまして、本日、忌憚のない御議論を賜ればと思います。よろしくお願い申し上げます。

【水質規制課長】 それでは、これから議事に入りたいと思います。議事の進行は村岡部会長にお願いいたします。

【村岡部会長】 委員の先生方には、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。それでは、早速、議事に沿いまして審議を進めてまいりたいと思います。
 最初の議題は、水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定についてでございます。
 この件につきましては、前回の9月6日に本部会におきまして答申案を御承認いただきました。その後、約1カ月間、パブリック・コメントの手続に付しまして、広く国民の意見を募集したところでございます。
 それでは、事務局より、このパブリック・コメントの手続の結果について御説明いただきたいと思います。

【総量規制室長】 参考資料1、資料1に基づき説明。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 51件もの意見をいただいたということですが、意見の概要と、その意見に対する考え方をまとめて説明いただきました。
 ただいまの説明に関しまして、何か委員の先生方から御意見はあるでしょうか。

【佐竹委員】 内容についての意見ということではないんですが、ちょっと感想がございますので。
 3ページ、真ん中の部分の「資源循環型の社会構築は持続的発展に不可欠であり」云々ですね。これはどなたも抱く意見であり、ここに書いてある回答も本当にもっともです。この回答は恐らく20年前から繰り返されているのではないかと。つまり、この回答のような考え方というのは、当然とられてしかるべきであり、実現されなければならないと思っているにもかかわらず、20年間も実現していない。私どもが実務をやり始めた、水質保全行政をやり始めた当時から、もうこれは言われていることです。それはそれなりの理由があるだろうと思うんです。そこに是非切り込んでいってほしい。これは2省、3省にまたがる仕事です。しかも、何よりもユーザーにも関係してくるわけです。そこには問題があるわけで、循環型社会の観念を打ち上げる、そういう理念的なアプローチももちろん必要ですけれども、こういう、現実にだれが見ても実現されなければならないことを少しずつでも実現していくことが、環境行政に対する国民の信頼をつなぐ所以ではないかと、こういうふうに思うわけです。
 特に、私も多少関係した農水省の集落排水等については非常にやりやすい条件があるんですが、それですら循環利用が増えているとは言えないわけです。流域下水道になると非常に難しい問題もいろいろ出ると思うんですけれども、集落排水の場合にはまさに由緒正しい発生汚泥ですから比較的やりやすいんですけれども、それですら進んでいない。それはそれなりの理由があるわけで、せめてその理由だけでもきちんと解析して、こういう理由でなかなか進んでいないけれどもこういう努力をしていくというようなことをきちんと説明できるように、せめてその第一歩としてそのぐらいの段階には行ってほしいと思うんです。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 コメントということですが、何か事務局の方から特別にございますか。

【佐竹委員】 別に回答は求めませんので。

【村岡部会長】 わかりました。それでは、貴重な御意見として承ったことにしておきます。他に御質問はございますか。

【恩田委員】 たくさんの質問あるいは御意見がありましたが、まとめていただいて本当に御苦労さまでございました。ちょっと2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 一つは、せっかく、各企業の専門家あるいは団体など、実務の経験者達からこれだけのいろいろな貴重な意見が出てきているんだけれども、結果として何ら答申に反映されていない。その答弁は、答申を正当化するようなもので、意見の提出者の納得は恐らく得られないだろうと。そういう意味で、意見を出しても無意味だし、形式的に決められるというような受け止め方をされるということは免れないというのが第1点です。
 第2点は、その文章の意見の中にはいろいろ書いてある。「都府県知事が当該都府県における排水水質の実態等を勘案し、技術的水準等の評価について専門的立場からの意見を十分踏まえて検討を加えた上で設定することになっている」と。しかし、地方行政の科学的知見や技術的レベルというもので果たしてこれができるか。これはよくいろいろな場で私も申し上げておりますが、運用上の配慮がなされていない。従来の基本的な答弁と変わっていない。これは、今、佐竹委員からもお話がありましたけれども、こういうところがどういうふうに手が加えられ、どう進んでいるのか。実務を行う企業にとっては大変なことになるんです。これがこの文章だけですっと行かれてしまうということは、恐らくこれも納得されないであろうと思います。
 以上です。

【村岡部会長】 ありがとうございました。これは、おまとめになりました事務局の方に何か御意見を伺いたいと思いますが。

【総量規制室長】 まず第1点の、答申を正当化するような考え方に終始しているということでございますけれども、基本的には、御意見を踏まえて、それに沿った形であるというものがほとんどでございましたので、そのように書かせていただいたわけですが、先ほど説明しましたとおり、今回いただいた意見については、御意見を踏まえて再度検討し、見直した部分もございます。そうした形で反映できる部分は反映してきているということでございます。
 それから、都府県知事に対しての周知徹底でございますが、当然、総量規制の制度改正に伴いまして施行通知というものを出しますので、その段階で今までの審議の経緯、あるいはこういったパブリック・コメントをいただいているという事実も踏まえて、十分都道府県にその情報を流し、通知をするという措置を考えておりますので、反映はされるかと考えております。

【村岡部会長】 他に御意見はありますか。

【須藤委員】 総量規制基準等専門委員会の委員長をお預かりしております須藤でございます。
 ただいまの恩田委員の御意見に直接お答えできるかどうかは疑問ですが、当然、私も委員長という立場で、この作文を書く上ではディスカッションをいたしましたし、専門委員会の委員長としての意見も入れていただいております。細かいことを、どこをどう書いたかということは申し上げる必要はないと思いますが、それが十分専門委員会としての意見を反映させていただいていると思います。
 例を挙げれば、9ページの燐のところなんかは、これはやはり改めた方がいいだろうという御意見でよろしいですね、総量規制室長。そういう形で、ここはやはり別途取り上げた方がいいだろうとか、それぞれ勉強はさせていただきました。しかしながら、制度を具体的に解説することによって説明ができるということが大部分でございました。ただ、私も今でも気になっておりますのは、5ページの一番上の意見でございます。普通の処理と高度処理とあって、二つ並んだときに高度処理の方が厳しいから高度処理の方が敬遠されるのではないかというのは、一見そういう感じがしなくはないと、私自身もそう思いました。高度処理施設も敬遠されるものではないと考えていますということで、そうなのかなという気もいたしましたが、これは制度をスタートする時点で、十分各自治体に徹底をするということを総量規制室では考えておりますので、多分このようになるんだろうと思います。
 それから、東京湾については、高度施設でないと、これからは厳しくなりますので、東京湾についてはもう既に高度処理施設でやらなければいけない、こうなっておりますので、そこは問題ないと思います。あとのところは大体これでよろしいと考えました。

【村岡部会長】 ありがとうございます。事務局、ございますか。

【総量規制室長】 先ほどの恩田委員の御発言に対しての回答ですが、都府県における技術的水準等の評価について、専門的立場からの意見を十分踏まえつつ検討を加えた上で設定することとなっているという部分でございますけれども、これは、都府県において総量規制基準を具体的に決める際には、都府県の環境審議会等の議を経て通常は行われるということで、おおむね環境審議会の場の中には、産業界あるいは市民等、いろいろな立場の方が含まれているということを一応踏まえまして、このような表現をさせていただいたということでございます。

【村岡部会長】 他に御意見はございますか。

 (なし)

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 それでは、このパブリック・コメントで得られた意見に対しての考え方、委員の先生方の間では大きな異論がなかったと判断させていただきます。
 それでは、この資料2の答申をもって森嶌会長に報告したいと思いますが、よろしゅうございますか。

 (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは、本案のとおり森嶌会長に報告させていただくことにいたします。どうも御審議ありがとうございました。
 それでは、議題の2にまいります。
 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等についてでございます。
 それではまず、資料に沿って事務局の方から説明いただきたいと思います。

【事務局】 委員会の委員長でございます松尾先生の方から先にお願いいたします。

【村岡部会長】 わかりました。それでは、松尾委員長、よろしくお願いします。

【松尾特別委員】 それでは。この専門委員会の委員長をしております松尾でございます。御説明申し上げたいと思います。資料3が関連している資料になります。
 ちょっと前になりますが、平成11年2月に、水質環境基準健康項目として、ふっ素、ほう素、硝酸・亜硝酸性窒素が環境基準に追加されております。これに伴って、同月、環境庁長官より中央環境審議会に排水規制をどうするかという諮問がありました。それがこの排水規制等専門委員会の方へ回ってきておりまして、我々の方で検討を進めてきています。ちょっと非常に難しい点もあったりして、9回にわたっていろいろ関係業界等からも現状をお聞きするとか、海外の状況も調査しながら、慎重に検討を続けてきたところであります。
 先ほどの難しい面があったということは改めて申し上げますが、まず最初に、硝酸・亜硝酸の問題について御説明をしたいと思います。
 硝酸・亜硝酸というのは、メトヘモグロビン症の原因になるものであって、健康項目として追加すべきであるということがあります。それに対してどういう排水基準を決めるかということになります。しかし、硝酸・亜硝酸の場合は、実は窒素の循環の過程の中で、有機性の窒素、大体たんぱく質なんかに入っているのが多いわけです。
 それがアンモニアになって、それが自然界に出て硝酸・亜硝酸になって、また脱窒という過程を経て窒素ガスに戻るという、窒素のサイクルがあるわけです。今、硝酸・亜硝酸というのは、そのある1点のところの濃度をとらえて環境基準を決めているというような状況がありまして、どの窒素までを考えながら決めなければいけないかと、そこが一つのポイントであります。
 それからもう一つは、従来の排水規制のシステムからいいますと、特定施設とか特定事業場というのが決められていて、そこからの排水が規制の対象になるのが今までの方式であります。けれども、窒素の場合には、例えば、肥料として大量のものが入ります。それで、現実に地下水の硝酸・亜硝酸が高くなっているというのが、現象的には今危惧されているわけですが、そういう意味では面源的な窒素の負荷も入ってくることになります。
 それから、具体的に言いますと、畜産の排せつ物の処分場というのも、これも従来の排水規制の枠には入っていないものであるわけです。そういうふうなことから、どういうレベルで、その窒素の問題を扱っていくべきかが考えどころとなります。これもある意味では非常に悩ましい問題でありまして、面源的なもの。それから、窒素が形を変えてしまうということで、どういうものまで含めて規制の対象とすべきかが問題となりました。それでいろいろ考えながら、やはり健康項目ということですから、有害なものというのをイメージしながら、それをどう規制するか。そのときに、硝酸・亜硝酸が直接ではないんだけれども、アンモニアで出る場合、もう一つ前の有機性窒素で出る場合と、いろいろなケースを一つずつ検討しながらやっていかなければいけないということが問題でありました。
 しかし、結論をまず申し上げますと、硝酸・亜硝酸に一番近いところで変化のもとになるのがアンモニア性窒素であるので、まずそこまでを含めて規制対象としてはどうかというのが、1番目の論点であります。
 しかし、アンモニアが全量硝酸になるかというと、部分的には光合成で直接有機物にまた変わってしまう可能性があります。それから、硝酸になったものも、また脱窒過程を経て窒素ガスに戻って、水から抜けていく部分もあります。いろいろなことを総合的な判断を通して、40%ぐらいが硝酸に変わると考えたらどうかということを想定しました。これはある程度のモデル計算もしておりますけれども、結論としては、硝酸・亜硝酸プラスアンモニア性窒素の40%を合計したものが100rを超えないというのを、数値として設定してはどうかというのが専門委員会での結論であります。
 数値的にはそういうことで決めましたが、先ほど申し上げたような家畜の排せつ物の処分場の問題とか、それから、必要な肥料は当然やらなくてはいけないわけですが、農用地での過剰な施肥についてはコントロールしていく必要があるのではないかといったところまで考えているんですが、この水質汚濁防止法の方からはそこまで入っていけないということもあって、それぞれの分野で適切な法律をつくったり、整備してくださっていることもありますので、それに基づいて、長期的に必要な措置がとられていくということを併せて考えていくということを考えました。
 現在、現実的には幾つかの地下水で既に汚染が進んでいる部分もありますから、やはりそれを全国的な立場で軽減させていくという措置、あるいは汚染を解消していくということを続けていく必要があるだろうということから、そういう複合的なことも考えながら規制を進めるようにということを、趣旨としてこの中で述べさせていただいているわけです。重ねて申し上げれば数値的にいいますと、環境基準の10倍を目途としますが、その中にはアンモニア性窒素分の40%を含めるということで、合わせて100r/lを排水基準としてはどうかと、こういう提案になります。
 ふっ素・ほう素につきましても、レベルは違うんですが、幾つかの問題点があります。
 ふっ素は、環境基準では0.8r/lというのが数値になりますし、ほう素については1r/lというのがその環境基準になります。通常、それを何倍するかという、これが時々議論を呼ぶわけですが、慣例的にというか、おおよその理解として、これの10倍をもって排水基準とするというのがこの間とられてきています。それを大きく変えなければいけないという事情もないということで、今回も基本的には環境基準の10倍をもって排水基準とするというふうにしてきております。
 しかし、ふっ素・ほう素の問題で特に我々が苦心したというか、困った事柄は、海域についてはこの環境基準が決められていないということです。それは自然の海の水には、ふっ素・ほう素が既に環境基準よりも高濃度に含まれているということがありまして、そこには環境基準は適用しないということになっております。ですから、環境基準のないところに排水基準を決めるという、従来の排水基準を決める仕事からいうと、異質というか、新しい問題を含んだテーマでありました。
 しかし、環境基準がないのだから排水基準を決めないでいいかというと、陸域の方に対しては排水基準が決められることになりますし、やはり全体的に必要以上に高濃度のものを出すことはよくない。未然防止といいますか、環境悪化をなるべく抑えていくという観点からいえば、ある種の排水基準を適用することが適切であろうと考えられます。そうすると、環境基準のないところに、より悪化を防ぐような排水基準をどう設定するかというのは、これはなかなか考え方も少し議論が必要になる部分があります。それをこの間の専門委員会では随分精力的に議論させていただいたところであります。
 その環境基準のないところにどう排水基準を決めるかということなんですが、ふっ素とほう素では若干事情が違っておりました。ふっ素については、既に生活環境項目の方に規定があって、それは15r/lというのが入っていました。ところが、健康項目というのは少し厳しいものになるんですが、それは生活環境項目なものですから、有害性というよりはもう少し一般的なレベルでその水質基準が決められていたわけです。ところが、今度は有害物質ということになってきますと、さっきも出てまいりましたが、従来は生活環境項目の場合は50t/日で、健康項目の場合はそれ以上の事業場がその対象になります。しかし、有害物質になりますと、これが全国レベルで小規模な事業場までこの規制の対象になってきます。そういう意味で、非常に小規模な事業場でふっ素を出している可能性のある産業にとっては、かなり厳しい負担になる可能性が出てくるということになります。
 それから、もう一つのほう素は、やはり除去の技術がなかなか難しいということで、これも思い切ってお金さえかければできるわけですが、そうすると、汚泥がふえてしまう。汚泥を処分する場所がないのではないかとか、なかなかどのレベルの技術でその基準を決めるかという案外難しい要素が入ってきます。
 そうなると、いろいろ考えている中で結論を申し上げますと、ふっ素については、陸域については0.8の10倍の8r/lを従来どおりの考え方で排水基準とすべきであるとなります。しかし、海域に出す水については、現在の生活環境保全の観点から決められている15r/lをもって、排水基準とするというのが適当ではないかということになりました。
 それから、ほう素については、そういう意味で、今までの中に考える基準になるものがないということもあって、かなり新たに議論をしなければいけない部分になりました。一番大きな発生源と思われるのが火力発電所であります。余り特定のものを議論する場ではないかもしれませんが、それはその石炭の産地によって、非常にほう素を含んでいる石炭が入ってきてしまう。それを焼いたときのガスを、大気汚染を防止するために排気を洗うとその水の中にほう素が入ってしまうというような状況で、大気汚染の防止をきちんとやろうとすると、水の方へほう素が移ってくる。しかも、そのほう素は産地によっても非常にばらつくというようなことがあって、実際に幾つかデータで出てきておりますけれども、2r/lというようなものから300r/lを超えるようなレベルまで、かなり幅のある排水が実際に出ているようであります。
 そういうような中で、現状の、ある種の燃やし方とかその煙を洗う方法とか、それから、原料を幾つか混ぜてほう素の少ないようにして焼いてもらうとか、いろいろ対策技術はありそうなんですが、必ずしもその見通しが、ここまで行けるというのがなかなか難しい決め方になってきます。しかし、おおよそある種のレベルまで行っているというところを一応の基準としながら、また一方で、その技術的なレベルだけで決めるということになると、これはお金さえかければとか、汚泥がどんなにできてもというようなことを言い出すと、かなり低いところまで抑えることができるかもしれない。しかし、必ずしもそれは全体的なバランスからいうと適切な方法でもないというようなことを考えますと、何かもうちょっと別の尺度で基準になる数値がないかということも併せて考えてみました。
 それが、ほう素については、必ずしもデータがそう豊富ではないといいながら、海産物に一番たまりそうだということもあって、それを人間がどれだけ摂るか。今、環境基準の方は、飲料水として一日に2?を毎日飲んだときに影響のないレベルということで水の方の環境基準は決まっていますが、海の水は飲むわけではないということもあって、海から入ってくるのは海産物を通して入ってくる。そうすると、海産物にどの程度たまっている可能性があるかというようなことを考えて、一日にどのぐらい摂るかを基にして考えることにしました。これはダイオキシンの基準を決めるときにもこういう方法をとらせていただきましたけれども、そういう
 意味で、ちょっと従来の水質基準を決めるときには余り考えてこられなかった、一日にどれだけそれを摂取するかという要素も少し加味をさせていただきながら、ラウンドナンバーの数字を整理していったわけです。結果としては、230r/lという数値を提案させていただいています。詳しいところは事務局から後で資料3に基づいて説明があると思いますが、数値だけを申し上げれば、現在の対策技術、それからある種の一日摂取量の両方を勘案した数字として230r/lという数値を出させていただきました。
 それから、この問題は、有害物質になると地下水の浸透規制というのがかかってまいります。これは有害なものを含んではいけないというのが原則ですので、それに則った分析方法から決められる数値をここでは採用して、それを地下水規制の基準としています。
 それから、健康項目については、人の健康に直接かかわりますから、暫定基準というのは従来は余りなかったようでありますが、先ほど申し上げましたように、小規模なものがすごくいっぱいあるとか、アンモニア性窒素についてもかなり高濃度のものを出している可能性もあるというようなことから、全国一律に基準を設定するというよりは、レベルに応じて、工場とか事業場、それから、技術のレベル等を考えながら暫定排水基準というのを設けることが適切だろうと考えました。暫定排水基準を併せて設けておくのがいいのではないかということで、それを設けるということは決めました。しかし、具体的な数値は、ちょっと後で事務局から説明があると思いますが、もうちょっとその調査をする必要があるというか、若干調整が残っているということで、本日は、この健康項目について、ふっ素・ほう素については暫定排水基準を設けるということをお決めいただければありがたいと思っておりますし、その具体的な、あとの手順については事務局から御説明があると思います。
 以上、非常に概括的な、あるいは問題点を先に申し上げるということで、私の方からの説明とさせていただきますが、一応、硝酸・亜硝酸に対する考え方、ふっ素・ほう素に対する考え方を報告させていただきました。詳しくは事務局からお願いいたします。

【村岡部会長】 それでは、事務局からご説明願います。

【事務局】 資料3に基づき説明。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 昨日には第9回が開かれたということで、この内容につきましては非常にご苦労のあったこととお察し申し上げます。このようにまとめていただきまして、説明がありましたけれども、いかがでしょうか。ただいまの説明に対しまして、委員の先生方、御意見はあるでしょうか。

【西山特別委員】 1件確認と、もう1件はお願いでございますけれども。
 まず、ほう素の海域に対する230r/lという暫定基準が出たわけでございますけれども、これは松尾先生からも詳しい御説明がございましたし、ここにもいろいろと縷々書いてございますけれども、事業者としてこれが達成可能なレベルなのかどうかという確認がなされているかどうかということでございます。
 まさに大防法と水濁法の綱引きでございまして、それが両方だめなら、今度は産業廃棄物が増えるという八方ふさがりに近いような状態になっているわけでございますけれども、事業者のある程度の努力によって達成可能かどうかというのは、これは特にライフラインに対する影響でございますから、その辺の確認がなされてしかるべきであろうと。恐らく事務局がヒアリングをされていると思いますけれども、その辺の確認がどうなっているかをちょっと教えていただきたいというのが1点目です。
 それから、19ページの真ん中ぐらいに「これらの排水処理技術をすべての工場に」云々と書いてありまして、「特に小規模かつ零細な」というところがございますけれども、私はこの「特に」から「零細」までを削除していただきたいと思います。大規模事業場においては、大は大なりに膨大な投資をする必要がございます。当然ながら、企業は環境対応が競争力ということで必死で取り組んでいるわけでございますけれども、これをこのまま見ますと、大規模事業者にはコストインパクトがないんだという誤解を与えるのではないかと思いますので、この部分については是非削除していただきたいと、こういうことでご
 ざいます。
 以上です。

【村岡部会長】 それでは、専門委員長の松尾先生か事務局の方で、ちょっとただいまの御質問等につきまして。

【松尾特別委員】 最初の、いわゆる技術的に可能かどうかというようなすり合わせは一応済んでいると思っていますけれども、よろしいですか。ちょっと補足してください。

【水質規制課長】 現在、石炭火力発電所の脱硫排水からの排水実態、私どもも把握しております。そこにも書いてございますが、最高で330r/lぐらいのものが出ておりますし、250r/l〜260r/lというものも幾つか散見されています。事業者側との情報交換も行いましたが、その結果、現在の石炭火力発電所の運転から脱硫排水装置の稼働の工夫すべてを含めまして、ここにお示ししている230r/l程度であれば最大限の努力をして達成が可能であるという判断をいただいておりまして、私どももそのプロセスを点検させていただきましたけれども、230r/lの達成は可能であると判断をいたしました。

【西山特別委員】 わかりました。ありがとうございました。

【松尾特別委員】 もっとできるのではないかという感じもあったようでありますけれども、とりあえずというのはおかしいんですが、とりあえず230r/lでいいのではないかと私は思っております。

【事務局】 小規模、零細な事業所への配慮ですか。一般的には大企業であれ小企業であれ、やはりそれは確かに直ちに対応するのは非常にコスト負担があるだろうと。そういった意味では、大企業のことも、当然、頭の中に入っております。ただ、「特に」という意味を御理解いただければと。特にやはり小規模というのはそれだけ非常に厳しいということは言えるのではないかなと思ってこういうふうに書かせていただきましたので、事務局の方としましては、原案どおりとさせていただければと思っております。

【西山特別委員】 見解の相違かもしれませんけれども、おしなべてコストインパクトが非常に強いわけでございます。ですから、何も小規模、零細だけではないということを私はクリアにしていただきたいと。どうしてもだめだというのなら、これはこのまま出るかもしれませんけれども、私はそう思います。

【村岡部会長】 事務局がこのように書かれた意図は、やはり小規模な、零細な事業者にとっては負担がかかるというところを、実態を書かれたのであろうかと思われますが、もしこの表現で誤解を生むということがなければ、このままでいってはどうかということです。そういうふうに御理解いただけますか。
 他にどうぞ。

【恩田委員】 大変短期間におまとめいただいて、大変だったと思いますが、6点ほど箇条書きに申し上げたいと思います。
 第1点は、松尾先生からも既に御説明がありましたので、細かなことは省略いたしますけれども、科学的・技術的根拠がまだ不十分ではないかと。そのシミュレーションの結果も十分に我々に開示されていない。こういうところはもう少し…。例えば、今の石炭火力の問題でありますけれども、長年にわたって運転していて現在の状況にあると。現状のまま推移したときにどうなるのか、10年後、20年後はどうなるのかと、こういうふうなことも、あるいは、さっきのほう素の海域の問題がありました。これは今後どういうふうにシミュレートされていくのかというようなことも、もっとやってからでないといけないというのが第1点。
 第2点は、国家予算を組んで、産・学・官一体でやるべきなんです。こういう中央環境審議会の場では非常に厳しくいろいろ御意見が出るんですが、調査・研究をおこなった科学的究明の段階がここの中にどこにも盛られていないで、抽象的であると。いつまでに、何を、どこでやるんだというようなことをやはりきちんとやっていかないと、日本の国の環境というのはよくならないのではないかと思います。そういう意味で、法律では、事業者が事業者がと書いてありますが、主体が事業者であるのではなくて、国であるべきである。そういう意味で、そういった関連団体の専門家を入れた研究会とか、あるいは、こういう問題をいつまでに、こういうふうにはっきりさせるんだとか、そういうことをはっきりさせないで、このままこのテーブルの上で議論して進めるということについては大反対であります。
 それから、3番目の問題でありますが、現実的な、あるいは具体的なリスクを考慮した法規制の対象の必要性を検討していく。例えば、ほう素、ふっ素、アンモニア性窒素、確かに問題ではありますけれども、PCBやダイオキシンと違うわけなんです。こういうものを考慮しながら、ある程度時間をかけてもやむを得ないのではないかと。こういうものを決めて、規制していくスピードは考えなければいかんのではないかと思っております。
 それから4番目は、今、ちょっと御意見がありましたように、下水道対策などは、特に普及率が低い状況にあります。我々が地方の工場で何かをやるとき、行政の皆さんは、いや、そんなことを言ったって予算がないんだからだめですよ、できませんよと。だけど、企業は予算がないと言えないんですね。そういう意味で、国家予算を全部集中しても答えを出してほしい。これは何回かいろいろな場で申し上げましたけれども、全く前へ進んでいない。農道だとか公会堂だとか都庁をつくったり、博物館や美術館は、それは必要だと思いますけれども、優先順位をつけたら、土木建築関係の、やめてしまおうかなんていう公共工事もたくさんあるぐらいな状態でありますから、これだけ地球を大事にして、環境を大事にしようというのであれば、我々もそう思っているんですが、アンバランスではないかと。それから、他行政の部分に対しての目標も、あるいは期限も、もっと厳しく出すべきではないかなと思います。
 それから、5番目でありますけれども、環境基準ができたからといって、排出基準をすぐに決めなければいけないという必然性はないんだと思うんです。これは、ダイオキシンだとかPCBと、ほう素の海域の問題、こういうのを比べて、こういう問題については不明な点の科学的分析が先行すべきだと思います。ですから、何か起こると、殿様御用は急御用で、年内中に結論を出してというような問題は先見性のなさを表現しているわけでありまして、今回の答申で、いつまでに、何を、だれが、どういう調査を、あるいは研究を、科学的根拠を明らかにするのかと。これを国民全体が納得できる状態にした後で、排水基準というのは決めるべきではないかと。12月末が期限だからといって、現況でこういうふうに排水基準なり排出基準を決める必要はないのではないかと思っております。
 6番目の問題でありますけれども、環境対策がまことにアンバランスになってきたと。これは、事業場は、事業場はといって、水濁法などで罰則規定があるわけですね。ところが、施肥とか生活排水、下水道の普及率、そういうものについては全くペナルティーなしである。これは水濁法の外にあるわけです。
 やはりここまで大変な問題になってきたわけですし、みんなが関心を寄せている問題でありますから、聖域を設けるべきではないと。先ほどもちょっと小企業の話がありましたけれども、環境庁がやっている今の領域の中で物事を決めていこうとするところに無理がある。もう既に国家レベルでやるべきであると考えています。
 いろいろ申し上げましたけれども、私の意見として、今回これを読ませていただいた感想でございます。
 以上でございます。

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 6点おっしゃったように思いますけれども、一応、事務局あるいは委員長の方でお答えいただけることがありましたら。

【松尾特別委員】 何でしょうか、使い分けるのもあれですから、委員長としてというのと、個人的にというのでは若干違う部分があるんですが、今、言われたことのかなりの部分は、私は個人的に理解ができるつもりでおりますし、かなりそれを考えながら、今回の基準をつくるときの議論はやったように思っております。現状がなぜ悪いかというのは、確かにほう素なんかはまだ差し迫ってどこかでも被害が起きていないのではないかとか、そういう事実がないのではないかとか、ずっと長いことやってきたのに、今、何で急に決めなければいけないんだと、こういう議論が一つあると思うんですが、ダイオキシンとか何とかとは別だと言われると、そこは、私は実はちょっと危険な要素を感じていまして、一応やはりこれは有害物質だということで認定されている以上、ダイオキシンは厳しくやってもいいけれども、ほう素は少し緩めてもいいのではないかという、甘くてもいいのではないかという考え方は、これはやはり当たらないのではないかと思うんです。ある種の未然防止というか、全般的に日本全体の国のある種の方針として、これは有害物質であるということを確認して、そこから何とか対策をとらなければいけないということで始まっているわけです。そういう意味では、今の時点である種の対策を打ち出すことは、ある意味では我々の責任であろうと思って、決めるということから考え始めました。そういう意味では、多少オーバーリアクションだと思われる方もおられるかもしれませんが、やはりこれはダイオキシンと同じようなレベルで有害なものだということで議論を始めていただかないと、問題が拡散してしまってまずいのではないかと私は思います。ですから、それを、有害物質に対する規制をどうするかというレベルで考えていく。これを現状以上に、必要以上に汚染が進むことは避けようと。それを確認するというのが今回の大きな作業だったと思っていまして、そういう意味で、その230r/lという数値も、場合によってはちょっと緩いのではないかというような御批判もあろうかと思うんでありますが、これはある意味の、現状の技術レベルでもまあまあクリアーできるのではないかというところを聞いた上でというか、そういう感じの中で決めさせていただいていますので、それほど特別に何か過大に規制を厳しくしようというのではないというふうに思っています。
 それから、国がもっと責任を持つべきだという点は私は大賛成でありまして、科学的な研究を国の責任ですすめるというご意見には、私も全く賛成であります。それで、もっと言えば、環境立国というか、環境に関わるところでお金を使うということが、私は日本の産業競争力をつける上でも必要だろうと思うんです。やはりこれからの日本の社会がもしやるとすれば、企業は逆に環境にどれだけきれいな水を出すか、きれいな製品をつくるかということで多分勝負されるだろうし、やはりそれを支援するような国の施策が基本的に大事だろうと思います。実は最終的にこの検討が終わった段階で、規制の専門委員会でも似たような感じのことが議論されていましたが、それは後ほどご紹介したいと思います。
 それから、具体的なリスクがどの程度かという問題については、このリスクがなければ、では何もしないでいいかという逆の意味での疑問が生じて、非常に難しい評価になると思っています。そのリスクの評価というのは、人によっても随分リアクションが違うレベルになってきますので、それを科学的にと言われながら、しかし、リスクというのは極めて心情的なものというか、感覚的なリアクションもあるものでありますから、非常に難しいレベルの判断が必要であると思います。そういう意味で、これは専門委員会の委員長という立場をちょっと超えますが、環境基準を決めるレベルから、もう一度、場合によっては、この物質の何が問題だからどういう環境基準の決め方をするんだという議論がなされているのが望ましいと思います。例えば、今までは従来の水ですと、直接飲むということを対象にして基準を決めていきますけれども、今回のように海に出てしまったものに対しては、やはり海産物を通して入ってくるということもある程度は考えないといけないのではないか。そんなことを考えてくると、もうちょっとそのリスクの中身とかを研究あるいは調査していく必要があるだろうと思います。今回について言えば、やはりダイオキシンは危険だから規制する必要があり、ほう素は規制しなくてもいいというふうになるのは、その枠組みというか、考え方からして、とるべきではないと私は考えています。
 それから、最後の罰則の問題は、これは、あるいはそのレベルの調整の問題は確かにあって、面源的なものとか、非常に特殊な排出物をどうするかと、これは、今後そのバランスをとりながらやる。それぞれ法律が一応整備され始めたということになると思いますけれども、その枠内で見ていっていただくと。それはフォローアップが必要になるだろうと思います。
 では、あと個別にもう少し、事務局でお願いします。

【村岡部会長】 どうぞ。

【水質保全局長】 私の方から基本的な点につきまして考え方を述べまして、あとは水質規制課長から補足説明いたします。
 まず、今、松尾先生が包括的にいろいろお答えを出されておりますので、国としての責務という点から申し上げたいと思います。
 まず、研究・開発の点でございますけれども、今回のこの報告の20ページにもございますように、今後の対応の中で、新しい処理技術の開発・実用化に向けた研究が一層推進されるよう技術的支援ということが明示されております。この点を私どもは非常に重く受けとめまして、今後、関係各省とも連携しながら取り組んでいきたいと思っております。
 次に、必要なところに必要な公共投資を投ずるべきではないか、特に下水道対策ということでございます。この件につきましても、環境政策の観点から、各省の公共投資のあり方について、要するにどうあるべきかということについて、今までも発言しておりますし、これからも声を大にして発言していきたいと思います。
 ちなみに、今、公共投資の問題につきましては、廃棄物対策とか、これは生活関連の方に非常に大きな力を入れようという流れでいろいろ働きかけをしております。
 次に、各種の施策について、今回の規制についてのバランスの問題について、御指摘がございました。この点も、私ども、今回、施策を展開するに当たりまして、非常に頭を悩まし、かつ非常に重要な要素と考えておりました。今回の措置は急に出てきたものではございません。ここに至るまでに、先ほど参考資料4でご説明申し上げましたように、この窒素面の対策では面源対策が非常に重要だと。しかし、水濁法ではカバーし切れない。したがって、各省に働きかけまして法の整備を要請してまいりました。それが、具体的に言いますと、家畜排せつ物の管理適正化法でございますし、あるいは施肥の適正化をお願いするところの、持続性農業生産方式導入法でございます。その論議の過程において、環境庁も深く関与いたしまして今日に至っていると。その延長線上に面源対策を、今回、農村の共同体規制をベースとして、自主的にやってもらうという形で組み入れましたけれども、そういう形でペナルティーはございませんが、今までの法制度の整備、そして今回のスキームというものをここまで整備しまして、そして、点源に対しては規制方式と、こういう形で整備してきたと、こういう歴史があるということについては、御理解を賜ればと思います。
 次に、松尾先生が最後に言っておりました健康リスクの問題、あと、知見が十分にあるかないかという問題でございますけれども、今回、これは有害物質である、そして健康リスクがあるということでございますので、私どもは予防原則に立って法を整備する。ただ、その際に、やはりそれによっていろいろ産業界等に影響が出てくるということは十分承知しておりまして、その件につきましては、水質規制課長をはじめ各業界の方とかなりの論議をさせていただきました。それで、現段階における処理技術につきましても、かなりの論議をさせていただきまして、そして、その点も十分考慮に入れながら、当然、その際に松尾先生に十二分な御相談を申し上げながら今回のこの段階に至ったと、こういう経緯を御理解を賜ればと思います。
 補足をお願いします。

【水質規制課長】 産・官・学共同で技術開発を進めるべきだと、こういう御指摘がございましたので、それについて一つ加えさせていただきます。
 これまでも中央環境審議会からさまざまな局面、場面で御提言いただいて、私ども行政の宿題とさせていただいたことにつきましては、予算要求の段階でも、あるいは重点施策の取りまとめにおいても、常に優先順位を高めて配慮をしてきたつもりでございます。今回のほう素・ふっ素の処理技術も含めまして、さまざまな技術開発がまだまだ必要であるということは私どもも認識しておりますので、それは進めてまいりますが、その際に、特に今、恩田委員から御指摘のあった点で重要だと思われますのは、産・官・学の共同体制というものをもっと強化すべきではないかという御指摘、これは重要だと思います。私ども環境庁でも、環境ホルモン問題が非常に重要視されてまいっておりましたが、そのときに産・官・学の共同体制でその科学的真理を明らかにしていこうという方針も打ち出してまいりました。水分野においても同様でございますので、今後、引き続き産業界からの御協力をいただく体制というもののあり方を検討していきたい、非常に前向きに考えてまいりたいと考えております。
 それから、リスクを考慮した規制のスピードを考えていくべきだと、こういうことについては、いわばリスクアセスメントとリスクマネージメントの議論かと思います。これにつきましては、後ほどまた松尾委員長からも発言があろうかと思いますけれども、今回の議論を通じて、リスクの評価、リスクキャラクタリゼーションをどう進めていくかということも含めて、水行政の今後の新たな課題と受けとめ、宿題にさせていただきたいと考えております。
 それから、私ども事務局としては、環境基準が設定されたから何が何でも排出基準をという単純な物の考え方で専門委員会に御検討をお願いしてきたつもりはございません。さればこそ、1年半かけて9回の検討会を通じて、さまざまなサイドからの御議論を賜り、提出するべき資料を提出し、関係業界からのヒアリングを受けて、その上で昨日の夕方、最終の専門委員会報告が取りまとめられたわけでございますので、この辺のプロセスについても十分御理解を賜りたいと、かように考えております。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見を伺ったかと思います。
 何かございますか。

【恩田委員】 松尾先生からの御指摘はちょっと誤解をされているように思います。決してほう素・ふっ素、アンモニア性窒素を甘く見ているということではなくて、これは非常に重要であると我々は認識しております。ただ、ここで環境基準が決まって排水基準を決めるに当たって、さらに知見がまだ不十分なところについては、時間をずらして、そして、さっき申し上げた、いつまでに、何を、だれが調査・研究して、科学的根拠を明らかにして、国民全体が納得できるような状態で排水基準を決めていけばいいのではないかと。これをやらなくていいとは全然思っていませんし、ただ、現在までのところの進捗状況から、我々がいただいている情報やいただいている資料からは、今はまだ決めるのは時期尚早ではないかということであって、重要度については、むしろ我々の方が企業を運営していくときにはもっともっと深刻でありますから、決してそんなに甘く見ているというふうにとられるのは大変心外というか、説明の仕方が悪かったかもしれませんので、誤解を解くようにさせていただきたいと思います。

【村岡部会長】 わかりました。

【松尾特別委員】 それはちょっと私もオーバーリアクションをしたかもしれませんので修正しますが、そのとおりだと思います。しかし、今は決めないでいいかということに関しましては、やはり専門委員会としてはかなり時間をかけながら、いろいろな状況を見ながら決めたつもりでおりまして、この段階ではまだよくわからないからもう少し延ばせということは、ある意味で、我々専門委員会としては一応の結論は出しているとは思っております。そこは御理解いただきたいと思います。

【村岡部会長】 では、池田委員が先に手を挙げられましたので、どうぞ。

【池田特別委員】 窒素に関しまして2点ございますが、一つは、これはなかなか悩ましいところであると思うんですが、無機態の窒素で規制をしようということだと思いますが、9ページの上のパラグラフのところに、汚染源の態様によっては全窒素を考えなさいというのがあるんですが、最終的な排水基準では、全窒素ではなくて亜硝酸性窒素、それからアンモニア性窒素で決めているわけですが、汚染源の態様によってはというのはどういうものであるのか、ちょっと教えていただきたい。
 それからあと、やはり窒素ということでは、農業に対する対策というのが非常に重要ではないかと私は思うんですが、ここでは施肥対策ということで取りまとめられて提案されておられるんですが、実際に河川等ではかってみますと、放水のときに浮遊物質に吸着されて出てくる窒素というのが非常に多くて、それをどういうふうにするかというのが非常に重要な問題ではないかと思うんです。
 日本では、従来、水田が非常に多かったものですから、余り土壌浸食ということを重要視してこなかったんですが、畑の土壌浸食の対策というのを少し考えておかないと、施肥対策と並んで別の対策ももう少し必要ではないかなという気が、私はいたします。ここでは施肥だけを挙げているんですが、土壌の浸食をどうするかということもなかなか非常に難しくて、私自身も前から考えたり、いろいろやっているんですが、どうやってやったらいいかということはよくわからないんですけれども、少なくともアメリカ等では土壌浸食について非常に注意をしておりますし、日本ももう少し対策として考えた方がいいのでは
 ないかという気がしております。

【村岡部会長】 それでは、地下水・地盤環境室長、どうぞ。

【地下水・地盤環境室長】 1点目ですが、例えば、肥料の中で、主に化学肥料は無機態が多いかとは思いますけれども、有機性の肥料も、場合によっては、もちろん過剰に施肥をしますと問題になってきますので、そういったことも含めて対策の範囲に含める必要があるという意味で書かれております。
 それから、2点目ですが、畑などの土壌浸食というお話がありました。地域でいろいろな原因を究明して対策を実施するという枠組みを、この専門委員会の報告で出していただいていますけれども、地域で対策を検討する際にそういった問題があれば、それに応じた対応が検討されるものであろうと期待しております。
 以上でございます。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 時間もそろそろ来ておりますので、もうひと方だけに絞らせていただきます。

【田代特別委員】 今、十分御説明いただきましたので、多少重複するかと思いますが、要望、お願いを一言だけ申し上げたいと思います。
 全般的な印象といたしましては、非常に厳しいという感じがいたしました。一つは排水基準の問題でございまして、実測の結果という紹介がございましたけれども、この環境基準を必ずしも上回っていない分野に対しましての排水基準を設定しようというお考えだと。この辺のところを通して見ますと、かなり厳しいなという一般的な印象を受けたわけでございます。
 これはこれといたしまして、委員長からも、あるいはその他の委員からも御指摘がありましたように、この環境基準設定の問題と、それから排水基準設定の問題、ほう素・ふっ素、この辺のところについては十分御説明がございましたので了解できましたけれども、もう一つ、これも委員長が触れられました前駆体の問題、アンモニア性窒素の前駆体という、この辺の考慮がなされたという点もございました。それから、さらには事業場の排水、これは法の適用があるわけでございまして、一方、異なる汚染源の取り扱い、例えば肥料その他の取り扱いは、これは一方では行政指導に任せざるを得ないという点で非常に難しい実態があるという、この辺の点までも含めまして、従来と違った取り扱いというのが今回は何点か取り上げられておりますし、そういう点を私どもの立場から考えますと、非常に判断が難しいなというような、こういう要素も感じたわけでございます。
 それで、最終的に局長の方から明快なご説明がございましたので安心いたしましたけれども、法規制の対象になります事業場という立場から申しますと、この処理技術の水準の問題、あるいはその設備投資の問題、ひいては、それから波及しますコストの問題、こういう諸々の点を十分織り込んで今回は検討したという御説明がございましたので安心はいたしましたけれども、くどいようでございますけれども、こういう観点もさらに盛り込みながら、今後の実際の行政にこの点を反映していただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 それからもう1点、事務的なお願いでございますけれども、汚染の実態調査でその超過件数の御説明がこの本文の中でございましたけれども、せっかくここまで出していただいているその実態をより正確に把握するために、その汚染の原因別、これは事業場からの排水によるものか、あるいは海水の影響か、あるいは自然源によるものか、この辺のところを典型的に幾つかにまとめて、その件数を具体的に御説明をお願いできればと。といいますのも、この辺の実態というのがあって、やはり正確に把握した上で、今後の的確な対策というのが非常に大事かと思いますので、そう詳細にわたる必要はございませんから、幾つかの典型的なパターン別に、その辺の実態をわかりやすいように大ざっぱに表示していただければと、こういうお願いでございます。

【村岡部会長】 わかりました。貴重な御意見だったと思いますが。
 最後に言われました、その汚染の実態の種類別といいますか、これは整理できますね。

【水質規制課長】 今まで、要監視項目である段階で、今日お示ししてございましたように相当の調査をしておりますが、環境基準が設定されまして、平成11年度から本格的な常時監視モニタリングも出てきました。その結果がもう間もなく全国から上がってまいりますので、それを踏まえて、適切なタイミングでできるだけ早く先生方にお示しをしたいと思っておりますが。方法については、また別途、部会長と御相談させていただきたいと思います。

【村岡部会長】 よろしくお願いいたします。
 それでは、私の方から、この報告書の終わりのところに書いてありますように、今回設定された暫定排水基準については云々と、こう書かれておりますが、この暫定排水基準についてはどういうふうに進んでいるんでしょうか。

【水質規制課長】 先ほどから御紹介申し上げましたように、昨夜の専門委員会の会合で、本日御覧いただいたような排水基準の案がまとまりました。これを受けて、私ども、暫定基準の考え方について御了解いただけたということでございますので、これに基づきまして、早急に追加的な調査を実施し、11月の初旬をめどに、各業態に照らして暫定基準値をどのぐらいにするべきかという案を策定いたしたいと思います。その日取りについては残念ながら確たることは今申し上げられませんが、11月の初旬にはまとめさせていただきたい。
 そこで、お諮りを申し上げたいことは、その暫定排水基準の事務局の作業がまとまりました段階で、部会長の御指示を得ながら、各部会委員の方々にその暫定基準の案をお示しをし、意見調整をさせていただきたいと思っております。その上で、各先生方の御了解が得られましたら、本日御審議をいただきましたこの専門委員会報告の最後にその暫定基準の表をつけまして、それをセットとして答申案の骨格としていただき、11月の初旬ないし中旬から、速やかにパブリック・コメントの手続に入らせていただきたいと思っております。
 こうした個々の暫定基準値の部会での確定の方法について、まず御了解を賜れればと思っておりますが、いかがでございましょうか。

【村岡部会長】 そのような事務的な問題があるということですが、その点は御了承いただけますか。どうぞ。

【西山特別委員】 どのぐらいの時間をいただけるんですか、このヒアリングは…。部会の委員に対してヒアリングがあるわけですよね。

【水質規制課長】 ヒアリングというか、持ち回りで御相談させていただくということなんですが、それは先生方の合意がとれるまで、特に何日以内ということを申し上げるつもりはございません。もちろん、鋭意作業を進めたいとは思っておりますけれども。

【西山特別委員】 わかりました。

【村岡部会長】 それでは、暫定基準値につきましては、11月の初旬ぐらいにおまとめになって、各委員個別に意見を聴取されるということで御了解が得られたとしたいと思います。

【水質規制課長】 それでは、申し訳ございません。今、御了解いただいたことをベースにいたしまして、このパブリック・コメントの手続等についてお話ししなければいけないんですが、恐縮でございますが、その一環として答申案文を先に御覧いただきたいと思います。もちろんそれに暫定基準値が加わって最終的な答申案になるわけでございますが、今日はあらかじめ答申案文について、詰められるところだけ、御検討、御審議をいただきたいと思います。

【村岡部会長】 それでは、多少後に残す点がありますけれども、この答申案の報告書の内容につきまして、御審議したいと思います。
 (答申案配付)

【村岡部会長】 今、お配りいただきましたものでございますが、これが答申案でございます。表紙がございまして、裏に委員の名簿がございます。次のページが頭の部分。この後に、今日御議論いただきました報告書の案が、決まればつくということになりまして、その最後に暫定基準値の表がつくというふうな構成になります。こういう構成で、この報告書(案)につきまして御了解いただけるでしょうか。

 (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは、これをもとにいたしまして、パブリック・コメントに入る手続があるかと思うんですが、それにつきましてご説明いただきたいと思います。

【水質規制課長】 資料の4に基づき説明。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 このような手続でパブリック・コメントをするということで、御異議ございませんか。何かございますか。

【恩田委員】 添付資料の6に、公共用水域の超過件数というのが12件、47件、125件とありますが、これの内訳を教えていただきたい。要するに、自然源、あるいは事業場の排水、あるいは海水、これの数値を出していただかないと、やはりこの表をつける意味はないかもしれない。

【村岡部会長】 いかがですか。超過件数の内訳ということですね。

【恩田委員】 はい。

【事務局】 硝酸性窒素であれば12件が超えておりまして、例えば工場、事業場由来、これはちょっとなかなか名前を出しにくいということもございまして、それが6件でございます。半分が工場や事業場になります。その他の5件につきましては、いろいろな生活排水だとか、そういった複合汚染ではないかということです。あと1件が茶畑ではないかということでございます。

【村岡部会長】 その内訳をここで言ってくださるのではなくて、パブリック・コメントにそういう内訳をつけて出したらどうかという御意見だったと思うんですが。

【恩田委員】 できればお答えいただきたいですね。

【村岡部会長】 今ですか。

【恩田委員】 ええ、差し支えなければ。

【村岡部会長】 では、窒素についてはそのようなことですが、ふっ素、ほう素についてもわかりますか。

【事務局】 ふっ素につきましては、超過が47件でございますが、そのうち16件が海水の影響、汽水域等の海水の影響でございます。22件が自然由来でございます。7件が事業場排水に由来していると。2件が不明ということになっております。
 ほう素でございますが、125件超過しておりますが、うち海水の影響が122件、自然由来が3件、事業場排水は、先ほどもご報告申し上げましたが、幸いゼロ件となっております。
 以上でございます。

【村岡部会長】 そんなことでよろしゅうございますか。

【恩田委員】 このまま出されると、こういう水質汚濁の問題は大体が事業場が原因と思われてしまいます。ここにもマスコミの皆さんがたくさんいらっしゃるけれども。こういう実態をやはりはっきり出していただかないと、また再び事業場が誤解されてしまいますね。こういうところもやはりバランスよくやっていただきたいと思います。したがって、この超過件数の明細を正確に載せていただいた上でパブリック・コメントを求めていただきたいと思います。

【村岡部会長】 その点はいかがですか、パブリック・コメントのやり方といたしまして。

【水質規制課長】 先ほども御紹介をしましたように、もう間もなく11年度の全国のモニタリングデータがまとまりますので、せっかくの御指摘でございますから、至急そのまとめの作業をいたしまして、パブリック・コメントにそういう事情がわかるように説明をつけ加えて出したいと思います。また、改めて先生方にはその暫定の基準値案とともにご相談を持ち回りでさせていただきますので、ご了解いただきたいと思います。

【村岡部会長】 そういうことをつけ加えましてパブリック・コメントを実施するということにしたいと思いますが、先ほどの暫定基準値の検討もございますけれども、その検討が終わった段階で、このパブリック・コメントの手続に速やかに入っていただくということでお願いしたいと思います。
 それでは、議題の3に進みます。
 その他ですが、何か事務局の方からございますか。

【松尾特別委員】 先ほどは答申案をお認めいただきまして、どうもありがとうございました。
 一つそれに関連して、専門委員会の方で、この全体の委員会で皆さんに専門委員会のときの議論をご紹介すると約束をしてきましたので、ちょっとそれを簡単に、余り時間をとらないようにやりますが、御紹介させていただきたいと思います。
 今回の項目というのは、皆さん既に御了解のとおり従来のものと少し違うという性質があるわけですね。そんなことを考えながら、今後、いろいろな意味での水質汚濁防止を考えていくときの幾つかの論点があって、それを基本的に検討を始めていただきたいというのがこの専門委員会での議論でありました。
 それはどういうことかといいますと、本来、汚染の特性が、従来の水質汚濁防止法で想定していた特定施設の範囲を超えて、幅広い発生源が対象になるような問題が出てきている。やはりそれに対しては、総合的で計画的な負荷削減を実施するような枠組みを検討していくことが必要であろうというようなことでございます。それから、その場合に、排水規制のみならず、より幅広い対策手法を導入する仕組みや、地域特性を反映するような柔軟な施策の導入を検討する必要がある。より具体的には、PRTRとか自主的な管理とか、そういうものとも組み合わせながら、水質だけでもって規制をやるという時代ではなくなってきているかもしれないと、そういうようなことであります。地域特性というのは海と陸ということですが、場合によってはもう少し細かい地域特性を考えてもいいのかもしれません。
 それから、併せて、今後の対策を考えるときの一つの問題に、今までは人間の健康、人の健康というのを中心に考えてきていますが、場合によっては、生態系というか、もう少し幅広い影響をも考える必要があるかもしれないといえます。今度も、どっちかというと、魚に対してはアンモニアの方がよほど毒だという指摘がありました。そうなると、アンモニアを直接規制するようなことも、場合によっては必要になるかもしれないと。これはちょっとまたオーバーリアクションだといわれると困るのですが、そういう生態系の問題も多少考える必要があるのではないかということであります。
 それからもう一つは、対策の実施、運用に当たっては、国と地方との役割分担、あるいは行政的な効率ということを勘案する必要があると。規制項目はどんどん増える一方ですし、そのモニタリングだけでも、結構人員的にも金額的にも大きな問題が出てくる。今後の地方分権というようなことを考えたときに、そういう問題をどう国と地方が分担していくかということも課題であろうと思われます。
 このような4点について議論がありまして、それをこの部会に御紹介して、今後のいろいろなレベルで考えるときの参考にしていただければということで、ちょっと御紹介させていただきました。ありがとうございました。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見をいだきまして、その点につきましては、記録にとどめさせていただき、かつ今後の水質保全のための行政に反映させていきたいと感じます。
 他にございませんでしょうか、事務局の方。

【水質規制課長】 ありません。

【村岡部会長】 それでは、今日はちょっと時間が超過いたしまして申し訳ございませんが、なければ、これで第26回水質部会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

−了−