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中央環境審議会第25回水質部会議事録


1.日 時   平成12年9月6日(水)10:00〜12:00

2.場 所   ホテルフロラシオン青山 はごろもの間

3.出席者

村岡 浩爾
岸   ユキ
櫻井 治彦
須藤 隆一
高橋 さち子
恩田 怡彦
坂井 順行
田代 直弘
西山 紀彦
福井 経一
委員長
委  員
  〃
  〃
  〃
特別委員
  〃
  〃
  〃
  〃
浅野 直人
木原 啓吉
佐竹 五六
高岩 権治
池田 駿介
小林 康彦
猿田 勝美
谷山 重孝
林   裕造
松尾 友矩
委  員
  〃
  〃
  〃
特別委員
  〃
  〃
  〃
  〃
  〃
遠藤 水質保全局長
小沢 水質管理課長
浅野 瀬戸内海環境保全室長
長尾 企画課長
吉田 水質規制課長
齊藤 総量規制室長

4.議 題

(1)水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について
(2)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて
(3)その他

5.配付資料

中央環境審議会水質部会の公開に関する決定(案)
「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」(総量規制基準等専門委員会報告)
「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」中央環境審議会答申案に対する意見の募集について
水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて(陸域環境基準専門委員会第二次報告)
(参考資料)
水質総量規制制度の概要
化学的酸素要求量の総量規制基準に係る範囲を改定した業種その他の区分及びその範囲
窒素及び燐の汚濁負荷量の測定における自動計測器の適用について
化学的酸素要求量の汚濁負荷量の測定方法等の概要
水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について(平成12年2月8日付け諮問及び付議)
水質総量規制に係る総量規制基準の設定方法の改定について(平成8年1月26日付答申)
河川及び湖沼における類型見直し(案)について(概要)
見直し対象水域の水質状況及び予測結果について

6.議  事

【水質管理課長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境境審議会第25回水質部会を開催させていただきます。
 当部会は委員総数27名でございますが、ただいま20名の委員のご出席をいただいておりますので定足数を満たしております。
 議事に先立ちまして配付資料の確認をさせていただきます。
 不足がありましたら事務局にお申し出をお願いしたいと思います。
 それでは初めに、水質保全局長の遠藤よりごあいさつを申し上げます。

【水質保全局長】 おはようございます。水質保全局長の遠藤でございます。
 いつも水質部会の各委員の先生方には各般にわたる御示唆、御鞭撻、大変ありがとうございます。また本日はご多忙中のところご出席いただきまして大変ありがとうございました。
 昨年来を振り返ってみますと、昨年前半におきましては、この水質問題に関しての論議に影響することといたしましては、水循環につきまして非常に多角的な御議論を賜りました。また、昨年の後半におきましては、微量汚染物質としてのダイオキシン類対策特別措置法についての論議、あるいは化学物質の情報管理、自主管理、自主削減ということを念頭においたPRTR法についての御議論をいただきました。そして今年前半に至りましては、循環型社会をどう形成していくかということにつきまして関連法案についての論議が多角的に行われたわけでございます。
 そしてこれらの成果をもとに現在、環境基本計画の見直しを進めるということで、水への負荷に関連する問題といたしまして、循環ということをキーワードに、自然の物質循環でございます窒素、炭素、あるいは水について、その循環の確保をいかに図っていくかという基本的考え方を整理しようではないかということ、またそれに影響を与える社会の物質循環、いわゆる循環型社会の形成というものについて本腰を入れるためにはどういう着眼点を有しつつアプローチすべきかという論議を今、最終の詰めを行っているところでございます。
 いずれにしましても、この循環の論議は環境基本計画の一つの戦略プログラムとして折り込まれる予定になっております。
 そういう問題に関連しての水問題でございますけれども、やはり一番大きい問題は戦後いろいろ努力をしてまいりましたけれども、依然水質の改善の点で大きな問題を抱えている閉鎖性海域の問題、あるいは湖沼の問題を中心に今後きちんとした対応をとっていかなければいけないと、こう考えている次第でございます。
 それに関連しまして、本日、水質総量規制につきましてでございますけれども、本年2月に第5次水質総量規制の在り方について答申をいただきまして、新たに窒素・燐を規制項目として追加することとなりました。
 これを受けまして、従来のCODを含めまして新たな総量規制基準の設定などにつきまして専門委員会で検討が行われてきたところでございます。今般、その報告がとりまとめられましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しにつきましても、平成9年5月に本審議会に諮問されまして、平成 10年3月に那珂川下流ほか2水系につきまして一次答申をいただいております。引き続き二次答申におきまして多摩川中流ほか8水域、湖沼につきましての検討を進め、専門委員会での報告がとりまとめられたところでございます。
 本日は以上の2件につきまして、中央環境審議会答申に向けて御審議をいただけたらと考えております。いずれも重要な事項でございますので、よろしくお願い申し上げます。

【水質管理課長】 それでは議事に入らせていただきます。
 以降の進行は、村岡部会長よろしくお願い申し上げます。

【村岡部会長】 皆さん、おはようございます。委員の先生方にはお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは早速、議事次第に従いまして議事を進めたいと思いますが、議事に入ります前に水質部会の議事録の公開に関する部会長決定の改正がございます。まず、これにつきまして事務局から御説明いただきたいと思います。

【水質管理課長】 資料1に基づき説明。

【村岡部会長】 改正のポイントは会議録の取り扱いの部分で名前を伏せるというところから、発言者の名前を記載するというところの変更がポイントかと思われます。
 ただいまの御説明で何か御意見あるでしょうか。

【恩田委員】 氏名を記載することについて、懸念が一つございます。特定の方がここに傍聴されているということはわかるわけでございますけれども、事業側の立場からするとなかなか発言が自由にしにくくなるとということは、やはり各事業特定の団体、特定の個人である場合があるのです。
 そういう意味ではここでの発言が、非公開の場合はよろしいのですけれども、公開の場でもかなりいろいろな意見を出さなければいけない、そういうものが完全にオープンになってしまった場合に、やはりなかなかしゃべりにくくなるという問題がどうしても残るのではないかなということをちょっと懸念していますので、一応御配慮いただきたいと思います。

【村岡部会長】 ただいまの御意見につきましては、そういう懸念があるということで受け止めますが、一応会議そのものの公開が部会長の判断によりまして非公開というケースもあるわけで、公開になった場合でも部分的に差し支えのある部分については部会長の決定でその取扱いを考えさせていただくということも含みがあると思いますので、ご了承いただきたいと思います。
 ほかに御意見ございますか。

【浅野委員】 国会の場合は議事録は修正ができなくてしゃべったとおり書かれてしまって、修正をしようと思うと委員の許可を受けなければいけないというややこしさがあるのですが、少なくとも審議会の場合には発言の趣旨が正確に記録に残ることが重要ですから、言い回しが悪かったとか分かりにくい表現であったという場合には、発言者が修正をすることを今までも許してきたと思いますので、そういう取扱いの中で今の問題の御懸念についても処理をされてはいかがかと思います。

【村岡部会長】 ほかに御意見ございますか。
 それでは、この扱いで今後やらせていただくということにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは早速第1の議題ですけれども、議題の1は、水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定についてでございます。
 これは平成12年2月8日に環境庁長官より諮問がございまして、これまで総量規制基準等専門委員会の席におきまして検討を行ってまいりました。本日はその専門委員会の報告が用意されております。これを御審議いただき、当部会としての答申案を取りまとめていただきたいと思います。
 まず、これまでの審議経過並びに報告の概要につきまして、専門委員会の委員長をお務めいただいております須藤委員よりご報告いただきたいと思います。
 須藤委員、よろしくお願いします。

【須藤委員】 かしこまりました。総量規制基準等専門委員会の委員長をお預かりしております須藤でございます。私の方から報告をさせていただきます。使います資料は資料2でございます。
 先ほど局長からもお話がございましたが、環境庁長官から平成12年2月8日付で諮問のありました「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」については、同日の第24回水質部会において総量規制基準等専門委員会において調査・検討することとされました。
 これを受けまして、専門家で構成されております専門委員会において5回にわたり精力的に調査・検討を行い、その結果を、ただいまお示しいたしました資料2でございますが、これに取りまとめることができましたので、これに基づいて報告をさせていただきます。
 水質総量規制における総量規制基準は、指定地域内事業場から排出される排水の汚濁負荷量について環境庁長官の定める範囲内において、都道府県知事が定める許容限度であり、下水道等の生活排水処理施設の整備の促進、それと総量規制基準が適用されない小規模特定事業場及び未規制事業場における汚濁負荷量の削減対策の推進等とともに、指定水域に係る汚濁負荷量の削減目標量を達成するための主要な方途でございます。
 総量規制基準を定めるに当たりましては2月8日付け答申、これもこの部会で報告をさせていただきましたが、「第5次水質総量規制の在り方について」においても指摘のありますとおり、指定地域内事業場に係る業種等の実態、排水処理技術水準の動向等を勘案し、現実的に対応可能な範囲において定めることが肝要であり、総量規制基準等専門委員会においては以下の考え方を基本として検討を進めてまいりました。
 まず、化学的酸素要求量については、これまでの4次にわたる総量規制の結果、総量規制基準を定める算式における化学的酸素要求量が比較的良好なレベルとなっている業種、そのほかの区分がある一方、依然としてその強化が課題となっているものもあることから、総量規制基準の見直しが必要であります。また引き続き、新増設の工場・事業場においては、できるだけ負荷量の抑制を図るための措置を講じることが必要であります。
 また、窒素及び燐につきましては、総量規制の対象項目として新たに指定することが適当とされたところでありますが、これまでに実施されてきた各水域における削減指導、水質汚濁防止法に基づく一律排水基準、暫定排水基準及び都道府県における上乗せ排水基準等の実施状況等を踏まえまして、総量規制基準を適切に設定することが必要であります。
 新増設の工場・事業場についても、化学的酸素要求量と同様の考え方に立ちまして、一層の汚濁負荷量の削減を図ることが必要であります。
 続きまして、窒素及び燐の汚濁負荷量の測定方法につきましては、事業者による適正な汚濁負荷量の測定及び記録が、総量規制制度の的確な運営を担保する上で根幹をなしていることから、従来の化学的酸素要求量と同様、それらの汚濁負荷量が的確かつ効率的に把握できるよう、以下の考え方により検討を進めてまいりました。
 水質汚濁防止法においては、既に化学的酸素要求量の汚濁負荷量の測定方法について定められておりますが、窒素及び燐の汚濁負荷量は化学的酸素要求量と同様、総量規制基準が適用される特定排出水の量と、窒素または燐に関する濃度との積として得られるものであり、測定対象となる特定排出水も基本的に化学的酸素要求量に係るものと同一であります。
 このため、新たに窒素及び燐の測定方法等を定めるに当たっても、濃度の計測方法を除き化学的酸素要求量と同一とすることが適当と考えられます。また、その窒素及び燐に関する汚染状態の計測方法については、自動計測器についてその現場における適用性等を踏まえ、化学的酸素要求量と同様に位置づけるとともに、窒素含有量及び燐含有量の排水基準に係る検定方法を参考することが適当と考えられます。
 今回の総量規制基準等専門委員会の報告は以上でございますが、何分にも膨大な資料でございますので詳細につきましては事務局から報告をいただき、御確認をいただきたいと思います。
 最後に一言申し上げますと、要するに窒素・燐の総量規制につきましては、今までのCODの考え方・やり方、もちろん濃度の測定などは別ですが、大体同一でございますので、その辺のことをお考えいただきますと御理解が容易かと思います。
 それでは、詳細については事務局から報告をさせたいと思います。
 以上でございます。

【村岡部会長】 それでは事務局の方、お願いします。

【総量規制室長】 資料2、参考資料1〜参考資料4に基づき説明。

【村岡部会長】 それでは、ただいままでの御説明の内容につきまして、委員の先生方から何か意見がございましたらお申し出ください。

【西山委員】 大変詳細、かつ膨大なご検討をなされました専門委員会の先生方と、それから環境庁の皆様の御努力に敬意を表したいと思います。
 今、説明を伺いまして事業者の立場から、やや技術的で細かくて恐縮なんですが、2点ほど確認をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、窒素及び燐の汚濁負荷量の計測でございますけれども、須藤先生から御説明がございました基本的な考え方が6ページに出ておりまして、具体的な方法が7ページにございますが、この6ページの終わりから4行目ぐらいのところの読み方と言いますか解釈でございまして、自動計測器についてはその現場における適用性等を踏まえ、化学的酸素要求量と同様に位置づけるということになっておりまして、事務局からも御説明があったわけでございます。
 CODの場合は、たしか昭和54年だったと思いますけれども、環境庁の告示で400立米以上の排水についてはほとんど自動計測に限定をされているわけでございまして、例外的にその他の方法というのが認められているということがございますが、窒素及び燐につきましては専門の先生方が自動計測器についても精査されたところでございますけれども、いずれにしましてもまだ開発して時間がたっていないということと、それから屋外型のものに対するいささかの懸念もございます。また、この自動測定器自身が高価なものであるということを考えまして、事業者側といたしましては、7ページにございますようにどの方法を使ってもいいと、必ずしも自動計測に限定されないということでこの6ページを解釈したいというふうに考えておりますが、そういう考え方でよろしいかどうかの御確認をいただきたいというのが1点でございます。
 それから2点目は、これも細かくて恐縮でございますけれども、別表にいろいろと業種の分類がございまして、化学業界は非常に多くの業種をカバーしているわけでございますけれども、中には石油化学と非石油化学という分類がございますが、その一方のプロセスは同一のものが重複のような形で入っておりまして、そこの中に少し整合性のとれていないものがあるやに見かけますが、その整合性についてご検討いただけるかどうかの御確認と、この2点をお願いしたいというふうに思います。

【村岡部会長】 事務局の方からお願いします。

【総量規制室長】 まず、測定に関することでございますが、ご指摘のとおりCODに関してましては今実態として400トン以上の工場・事業場につきまして、おおむね全体の89%が自動計測器を用い、残りがコンポジットサンプラー等による方法という実態でございます。
 汚濁負荷量を、特に変動の多い工程でその汚濁負荷量を的確に把握しつつ、かつ工程も管理していくという観点からは自動計測器というのは非常に有力な方法であると思っておりますが、今回CODにN・Pを追加するということで、例えば負荷量の多い工程というものが必ずしもCODと同一でない場合ですとか、それに伴いまして測定全体のシステムというものも相当見直す必要がある、そういったケースもいろいろ考えられるところでございます。
 基本的には、窒素・燐は、先ほど申し上げたように物質定量の概念で、今回(1)から(3)という方法で手段を列記しておるわけでございますので、窒素・燐の汚濁負荷量が的確に把握できるという限りにおいては、基本的には例えば400トン以上の区分では(1)、(2)いずれの方法でもよいというふうに考えております。また、そのように通知等でも述べていきたいと考えております。
 さらに、別表の分類についてご指摘がございましたけれども、現時点で申し上げられるとすれば、この分類につきましては所管の省とも十分調整をいたしまして、技術的観点も含めて実態に即したものとして、事務局といたしましてはこの形で問題がないということで専門委員会でご審議いただいたところでございます。
 以上でございます。

【須藤委員】 事務局のおっしゃるとおりで、私としてもそれで結構でございます。

【村岡部会長】 ほかにございますか。

【谷山委員】 測定方法なんですけれども、この中で資料2の2のところの400立方以上は毎日、それから200〜400につきましては7日に1回、100〜200については14日に1回ということになっておりますが、一方別表1の方につきましてはこの別表1の中の項目のし尿浄化槽、221番、222番につきましては、人数によってこの基準値が決まっております。そこで基準値は人数できめて測定方法は排水量できめるという差があるということは何故なのかということが1点。
 それからもう1点質問したいのですけれども、この規制は、400立方以上の場合、その総量とは1日の排出量が窒素・燐については基準値を超えれば、問題であるというふうに判断するのか、それとも年間平均で何トンということで判断するのか、そのどちらかということをお聞きしたいのですが。

【村岡部会長】 それでは事務局からまず御説明をお願いします。

【総量規制室長】 まずし尿浄化槽につきましては、御指摘のとおり業種その他の区分というところは201人から500人と501人以上ということで、これは普通排水規制がかかる浄化槽は501人であるところを総量規制に限りまして 201人まで裾下げをしているという実態に基づいた業種区分になっており、人数区分でございます。
 それから、御指摘のとおり測定に関しましては、汚濁負荷量を的確にトータルとして把握するという観点から排水量の多寡によって区分をしているということで、この両方の区分の根拠は違うということでございまして、ただしそれによって特段の問題はないものというふうに考えております。浄化槽につきましては人槽でございますので、必ずしもそれが排水量とリニアにリンクしていない部分もございますので、同じ人槽の浄化槽であっても、例えば500トン超えるものがあったり下回るものがある、そういう実態も別途ございます。
 それから基準値のオーバー等の取り扱いについてでございますが、これは1日当たりの許容の汚濁負荷量ということでございますので、1日当たりの負荷量が超えていれば基準値は、違反と言いますかオーバーしているという仕組みになっておりますけれども、濃度規制と違いまして直ちにそれをもって直罰ということではなくて、必要な改善措置等の命令を行うという仕組みになっております。あくまでも日量の判断でございます。

【谷山委員】 こういう質問をしたのは、今回CODで富栄養化の問題が規制できないから窒素・燐も今回総量で規制をするということでありますが、この意味は瞬間の水質を問題にしても、トータルとして年間でどれぐらい窒素・燐が流域に排出されているかということを考えねばならないということだと思います。
 そこで、私ども農業集落排水事業の関係の仕事をやっておりますが、この事業では流量の変動が大きいのですね。例えば盆とか暮れには人口が増えます。そういうときには濃度は、この規制値が守られたとしても流量は3倍、4倍になるわけですからトータルの負荷量として大きくなるのではないかと。それを1日なり、例えば盆とか暮れの期間の負荷量が増大することによって、これは規制値オーバーだということになると、いささか問題ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

【総量規制室長】 まず、汚濁負荷量を年間トータルで評価すべきではないかという点については、これは総量規制を今後さらに続けていくべきかどうか、あるいはそれに伴って基準値を見直すかどうか、そういった観点からこれは環境庁の方で定期的に、現実5年に1回ずつ見直しをしているわけですが、そういった観点から評価をさせていただきます。
 それと、総量規制の規制という手段においては日量で評価なりをしていくということは、それはそういう規制の仕組みであるということで御理解をいただきたいと思うのですけれども、総量規制はやはり汚濁負荷量を計画的に削減していくという趣旨でもございますので、規制の運用に当たりましても通常の平均的な、工場で言いますと操業状態といったものをベースに考えておりますので、必ずしも特殊事情で一時的に超えたことをもって厳しい措置を講ずるというものではなくて、その前後の推移等を勘案して行政指導が行われているというのが実態でございます。

【須藤委員】 ただいまの基本的な問題でございますので、私の方からも一言コメントさせていただきます。
 内容的には総量規制室長がおっしゃったとおりではございますが、総量規制でございますからどれだけの時間で総量規制をするかというのは、谷山先生がおっしゃるように重要な問題でございます。ただ、それが1年間でいいのか、あるいは1カ月でいいのか、あるいは1週間でいいのかというのは、これはまた論議をしなければいけないわけでございますが、富栄養化の問題でございますから藻類が増えるということが一つ大きな問題ですね。
 ですから、その藻類が増える時間というのは、それは実験室でやれば12時間とかあるいは24時間で2倍とか4倍になるわけですけれども、必ずしも1日でいいのかあるいはもうちょっと、でも1年だとそれはちょっと長過ぎると。それは1カ月かあるいは10日かもしれませんね。これは今までの制度が1日単位ということでやられてきたので、まだちょっと議論不足でございますから、その制度を改めて時間をどれだけにするかというのはもう少し勉強させていただいて、今回はとりあえず窒素と燐をCODと同じようにやはり問題だから入れさせていただくと。そうなると3日にするか10日にするかということについてちょっと議論不足でございますので、とりあえずまず1日で始めさせていただいたというのが現状でございますが、十分にその辺の考え方も今後の、今度は窒素・燐でいうと第二次、第三次になると思いますので勉強させていただきたいと思います。

【佐竹委員】 直接今回の改正措置についての質問ではないのですが、関連するのでちょっと伺いたいのですが、窒素・燐に総量規制を始めるとなると、ノンポイントが非常に大きな問題になるのだろうと思うのです。特にフラッシュ効果ですね、洪水時の。これが非常に水質に影響を与えていると、一体洪水時に測定しているのかという議論が、ある先生方からそういうご指摘もございますね。そういう点について水質保全局としてはどういうふうにお考えになっているのか。それは大した問題ではないというふうにお考えになっているのか、それとも確かに問題だからこういうふうにいろいろ検討しようというふうに考えていくというようなお考えを持っているのか、その点についての御見解があれば伺いたいと思います。

【村岡部会長】 事務局はどう考えているかという、まず事務局の方から。

【総量規制室長】 今、御指摘の点につきましては、2月に答申をいただく過程におきましても種々御指摘があったところでございます。特に、窒素・燐につきましては、水域によっては3分の1以上をノンポイントが占めているという実態もございまして、確かに原単位を用いた推定をしているという段階ではございますけれども、相当なウエイトを占めていることは明らかでございます。
 したがいまして、まず直近に取り組むことといたしましては、削減目標量というものを含みました総量削減基本方針というのを内閣総理大臣が定めていくことになるわけですが、その中でもノンポイント対策として例えば適正施肥の推進、あるいは畜産廃棄物、家畜糞尿の適正管理、並びに養殖漁場の保全に係る適性給餌といったような部分がかなり具体的に動いてきておりますので、そういったあたりをまず行政、政策としていかに目標を持って積み上げていくかという作業をまずきっちりやらせていただきたいということでございます。
 それからノンポイントの話は、この総量規制に限った話ではなくて、特に内陸の湖沼においても相当大きな問題でございまして、これにはまだまだ、従前も調査研究を続けてきておりますけれども、今後も引き続きより精度の高い実態把握なりができるような取り組みをしていこうということで予算要求の中でも今検討をしているところでございます。

【村岡部会長】 河川の出水時にどの程度のフラッシュアウトがあって、それによって負荷が見積もりよりも大きくなるのかということについては、河川工学の分野の先生方もいらっしゃるので、もし何か参考になるようなコメントがございましたら、ありませんか。

【池田委員】 私、窒素・燐を河川で測っておりますけれども、洪水時には特に燐が非常に増えて、流量と言いますか、いわゆるSSと非常に深い関係にありまして、リニアに増えます。それから流量が非常に増えますので、洪水時には相当な量がフラッシュされるというふうに考えております。窒素につきましては、それほど深い相関はございませんが、それでもやはり若干の相関はございます。

【村岡部会長】 この問題はまだ解決されていない現象という面もございますので、今後そういった知見を集めてまた次の機会に反映していただきたいと思いますが、佐竹委員、よろしいですか。

【佐竹委員】 ただ現実問題として、実際に降雨時に都道府県の職員にそういうものを測定しろというのは非常に無理がかかると思うのです。それから一方、もしそういう実態があるとすれば、湖沼法制定当時いろいろモデル計算をしてやっていた先生方にお願いしたけれども、インプットする数字自体に問題があるとすれば、負荷量が違うとすれば、これはモデルによって出てきた数値が変わってくるのも無理はないと思うのです。
 特にこれは企業に対しては負担を課するわけですから、一方で設備投資なり何なり当然必要になる。とすれば、それは成果がわからなければやはり行政に対する建前だけで我々はこういうことをやらされているのかということにもなりかねないわけで、大変難しい話だとは思うし、また目立たない話ですけれども、やはり環境庁は真剣に取り組んでほしいと、こういうふうに思うわけです。
 私は非常に無理な注文をしているのはわかるのですけれども、しかしやはりそれをやらなければ真実には近づけないわけで、何らかの方法を工夫してほしいと、こういうことをお願いしておきたいと思います。

【谷山委員】 再び負荷量の変動の問題でありますけれども、県の方でこういうことをやっておられる部局は環境部局だと思うのですね。環境部局も県によってとり方がどうもいろいろなような感じがします。例えば1日なりともオーバーしてはいけないというふうに厳しく対応されているところもあるやにも聞いております。負荷量は相当変動するようなものだ、問題がいろいろあるということを環境庁の方から各県の方に、巾をもった指導をしていただきたいと考えます。

【村岡部会長】 いろいろ貴重な意見いただきました。何かございますか。

【恩田委員】 最後に二つほど、具体的な数値で例を申し上げながらちょっとお願いをしたいことがございます。
 二つございますが、業種によっては窒素・燐とも下限値がかなり低濃度に設定されているところがこの表でもございます。事業場で取水する用水中の負荷が相当なウエイトを占めている場合が想定されるわけです。今、いろいろお話が出ました。このような場合の事業場の負荷というのは、排水と用水との差がその事業場の負荷というのを考えるのが本来妥当だというふうに思っておるわけですが、こういうものが何らかの形で運用面で考える必要、配慮する必要があるのではないかなというふうに思っております。後で具体的な数値を申し上げます。
 2番目が、窒素・燐の汚濁負荷量の測定方法等の測定期間が400‰/日以上毎日測定ということになっていますけれども、今回の窒素・燐において最も低い下限値、窒素で10、燐で1、いずれも新設でございますが、これが設定されている業種では窒素・燐の除去設備を設置している、あるいは設置する必要がないと、あるいは設置し管理している事業場というのはほとんどない、非常に少ないのだと思うのですね。窒素・燐の排出濃度も安定しておるのに毎日測る意味があるのかどうかと。現に窒素・燐の規制を行っている自治体、東京都の場合は測定頻度は1カ月に1回でよいということになっているわけでございますね。
 ちょっと具体的に例を申し上げますと、当社のある兵庫県高砂市、これは瀬戸内が関係するわけでございますけれども、加古川の平成5年から平成12年までの平均が2.03ppmです、これは窒素ですけれども。工場からの排水は 1.44なのです。加古川の水をきれいにして瀬戸内に出しているわけですね。カット率30%で瀬戸内の浄化に寄与しているわけです。
 では燐はどうなのだと。加古川の平均値が0.33です。出しているのは0.005です。これはNDのときもあります。これはカット率98.5%です。こういう事業所も400‰以上だから毎日測るのかと。これは非常に矛盾しているというふうにも思いますし、大体企業というのは今大変な競争で、人員を削減しようといって人員を削減する場合に作業を一つ一つ減らしているわけです。作業内容から必要ないものをどんどんカットして人員の削減をして、作業者に負荷がかからないように減らしているわけです。こういう余計な項目が入ってくると、毎日測るということはまた費用もかかるわけですね。人員の合理化をしながら、しかも金をかけることをやる。それがしかも必要であれば当然CODみたいにやりますけれども、こういう状況でやるのかどうか、何か政策的に矛盾があるのではないかなというふうに思います。
 それから2番目のもう一つの例を。これは窒素・燐ではないのですが、違う川で御説明します。当社の青森県の八戸工場の平均濁度が92年から99年までが大体18から20で、この辺ですと大体ppmと合いますけれども、最近急速に上がってきまして今27であります、5割上がっています。原因を調べてみると、なんと新幹線工事であります。あの大量の水です、川全体ですから、大量の水の中でこれだけ濃度が上がったら相当のSSなのですね。これを我々がもらって浄化すると廃棄物が山ほど出てしまうのです。産業廃棄物の捨て場がなくなってしまうわけですね。これはだれが責任を持つかといっても、どこへ持っていっても受けてもらえないわけですね。
 しかも今度は台風のことがありました。洪水のときの最大の濁度は2,900度です。これは濃度に直しますと、この場合は10倍になりますから29,000ppmぐらいですか、相当な濁度になります。真茶色の水ですね。これをもらっても当社はこんな水は使えませんから、工業用水からもらっても当社は全部きれいにして、排水もきれいにして出すわけです。これを全部、企業が負担しているわけです。廃棄物処分場もなくなってしまうわけです、大変な土地を買ったりして、あるいは廃棄物処分施設を許可していただいたりして。
 こういう状態でいいのかなと、これは事業者はたまったものではないなということで、ぜひここにいらっしゃる、マスコミの皆さんもいらっしゃるのでしょうけれども、企業が何でも、事業所は規制の対象になって当然という認識であったとしたら、こういうふうに環境に寄与している企業というか、項目もあると。しかも、そういうところも規制の対象でだんだん厳しくなっていくということは、ちょっとマクロに分析していただいて詳細なデータに基づいて運用面であるとか、法律の規制の面で配慮いただくのか、何らかの形がないと、これは従業員に納得させられません。こういうような問題は大きな事業所がショックアブソーバーになっていたり、あるいはむしろ環境に対して優しくなるような企業、我々は植林も相当な量、5万ヘクタールぐらいやっておるのですけれども、こういうふうな具体的な数値がございますので、ぜひ考慮していただきたいというふうに思います。

【村岡部会長】 非常に興味ある御指摘だったかと思います。何か事務局ありますか。

【総量規制室長】 まず、用水中の汚濁負荷分についての取り扱いでございますが、これは制度上も排出水の汚染状態でチェックをするという仕組み上、なかなか難しい問題でございますけれども、先ほど参考資料1の都府県が今後当てはめを行っていく場合の留意点という中に、取水中の汚濁負荷も考慮するということが書いてございますが、これはCODのときも同じような議論があって、そのような点も十分配慮した上でC値というものを決定してくださいと、そのような通達も出しておりますので同じようにやっていきたいと考えています。
 ただ、総量規制基準を決めるベースになった実態の水質の中には、そういった仮に取水中の汚濁負荷があったとしても、その濃度は結果として排出水の濃度として入っておりますので、実態上、この案で特に問題はないというふうに考えております。
 それから、測定の頻度等に関する取り扱いでございますけれども、これはCODのときも指導はしておりますけれども、例えば特定排出水の汚染状態が常に一定である場合ですとか、あるいは非常に負荷が少ない特定排出水の場合ですとか、これは一つの工場で幾つか持っているとかそういう状況の事情も考慮して、そういう場合には必ずしもこの分類別の方式ではなく、例えば400トン以上であってもその部分については頻度なり、あるいは手分析でもよいといったことを適性に運用するよう通達も出しておりますので、同様の趣旨で窒素・燐についても取り扱いたいと思っております。

【水質規制課長】 御指摘をいただきましたSSについては、工業用水の水源の汚濁の問題と公共用水の汚濁の問題と若干違う面があるかと思いますけれども、御指摘は御指摘で私ども今後の行政を進める上で参考にさせていただきたいと思ってはおります。
 類似の議論で例えば電力会社でボイラーをたくと大気中のメタンの1.5ppmがほとんどゼロになって出ていくと。これは温暖化対策ではないかという議論も確かにございました。いずれにしても、工業用水の今のお話しの趣旨は工業用水の原水とそれからお使いになった後との問題でございますので、まず工業用水の管理者との関係も整理をさせていただく必要があろうかと思っております。

【村岡部会長】 他にもいろいろと御意見があろうかと思いますけれども、これまでかなり興味ある貴重な御意見をいただきましたので、これらの意見につきましては議事録にちゃんと記載させていただきたいと思います。
 それでは、本日いただきました専門委員会の報告を、この水質部会においてもお認めいただくということでよろしゅうございますか。
 (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは、ただいま審議いただきました専門委員会の報告をもとに答申案を取りまとめたいと思います。事務局の方で答申案を準備していただいておりますので配付願います。
 (資料配付)

【村岡部会長】 御覧のように表紙がございまして、その裏が委員の名簿になっております。その次が答申の趣旨でございます。その後が、ただいまお認めいただきました部会答申案というのが付加される予定でございます。
 こういうことで、本案につきまして答申案とさせていただいてよろしゅうございますか。
 (異議なし)

【村岡部会長】 御異議がないようでございますので、これを答申案として取りまとめます。
 その前に、これを国民の意見を募集する手続、いわゆるパブリックコメントを行う必要がございます。このパブリックコメントにつきましての扱い方につきまして、事務局の方から御説明いただきたいと思います。

【総量規制室長】 資料3に基づき説明。

【村岡部会長】 ただいまの御説明で何か御意見ございますか。

【須藤委員】 この件は私も専門委員会でも申し上げたのですが、今のこの答申につきましては非常にわかりにくいと言うか、非常に理解しにくいですね、どちらかというとAとB、要するに上限値があって下限値があって、その間をとらなければいけないとか、これが企業に属しているこの方面の専門家でしたらすぐわかるのですけれども、一般的には極めて理解しにくい制度だと私は思いますので、前段になる部分は、もちろん先ほどの答申案とか別表1、2、3、全部載せるのですよね、そこはいいのだけれども、前段になる部分に少し易しくと言うか何と言うか、わかりやすい解説をつけていただいた方がよろしいのではないかと、こういうふうに思いますがいかがでございましょうか。それは専門委員会でも申し上げました。

【村岡部会長】 ごもっともな意見だと思いますが、事務局の方でそういう対処は可能ですか。

【総量規制室長】 そこのところを反映するために、先ほどの参考資料を添付して実施したいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

【村岡部会長】 つまり参考資料でそれをやるだけと。

【総量規制室長】 本日の会議の参考資料1から4というものを…。

【村岡部会長】 初めの説明の部分ではこれ以上易しくならないと、こういうことですか。

【水質保全局長】 わかりました。一般の方にもおわかりになるような資料を用意いたします。まず、これは東京湾と伊勢湾と瀬戸内海を対象にしているのだよと。そして、CODについてはいついつからやってきました。しかし、これで必ずしも効果は上がっておりません。内部生産という問題がございます。それで窒素・燐を今回対象にいたします。その場合の対象は個別事業場について規制になるのです。その規制のところが非常に難しいのですけれども、うまく書きまして、それだけではなくて生活系もあります、あるいはノンポイントもございますので、その全体で御努力をいただきたい。それで今回はここに焦点を当てて皆様の意見を聞くのでございますというようなわかりやすい解説の文章を考えまして、それを添付しながらパブリックコメントに付したいと、こう考えております。

【岸委員】 できるだけ優しい解説をお願いしたいと思うのです。もう一つ、私なんかも数字を見ていても、一般的に見ていてこれが厳しいのかな、緩いのかなとちょっと数字の意味がよくわからないという。そういう場合に、例えば世界と比較するというのはいろいろな状態が違うのでしなくてもいい部分もあるのかもしれないけれども、例えば環境の意識の高いドイツなんかではどれぐらいの数字だとか、そういうのも知りたいなと思うのですけれども、いかがでしょうか。外国との違いとか、日本としては非常に厳しい数字なんだとか、程度がよくわからないのです。

【村岡部会長】 ご趣旨はわかります。そういった対処につきまして、まず委員長どうですか。

【浅野委員】 どういう根拠でこういう数字が出てきたかという手の内みたいなものを、はっきりさせないといけないというのが専門委員会で議論したところです。つまり、実際に事業場から出ているものがどの程度のものであるのか、それから技術的にどのぐらい改善の可能性があるのかというようなことをいろいろと業種ごとに調べていますから、今、岸委員がおっしゃるように、外国と比べて高いか低いかという言い方ではなかなか説明がしにくいと思いますけれども、この数字を決めるに当たっては現実に今、どういう状態であるかを全国にわたって調べたり、それから現在の技術的な可能性についても調べました。その結果、ある業種にとってはかなり厳しい数字になっていますし、どんなに現在の技術で努力してもどうにもならないという業種については、当分の間は少し高い数字でもしようがないということで基準が決まっていますと。これが多分一番わかりやすい説明だろうと思うのですが、それも含めてさっきの解説文の中に入れることは難しいかもしれませんが、多少何か今のようなことがわかるような工夫をしていただければいいのではないかと思います。

【村岡部会長】 それでは、ぜひ事務局の方でわかりやすい説明、もくしは解説を加えていただいて、それはまた須藤委員長が御覧になって検討していただくということにしたいと思います。
 それでは、最終的な答申案につきましては、このパブリックコメントが終わりまして、国民の皆さんから得られた意見をもとにして次回の水質部会でまた審議していただき、それをもって最終答申案として森嶌会長に報告すると、こういう手順になるかと思いますのでご了承いただきたいと思います。
 それでは、議題の2に移ります。水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについてでございます。
 これは、平成9年5月14日に環境庁長官より諮問がございまして、平成10年3月9日に第一次答案というのを行っております。それに引き続きまして今回は次の見直し水域について検討するということで、陸域環境基準専門委員会で検討を進めていただいております。本日は、その委員会の第二次報告を用意しておりますので、これについて御討議いただき当部会としての答申案を取りまとめたいと思っております。
 これまでの審議経過並びに報告の概要につきまして、専門委員会の委員長をお務めいただいております猿田委員よりまず御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【猿田委員】 陸域環境基準専門委員会の委員長を仰せつかっております猿田でございます。私からこれまでの経緯と、本日提出されております第二次報告の基本的な部分につきまして御説明をさせていただきます。資料の4でございます。
 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しにつきましては、平成9年5月に環境庁長官から中央環境審議会に諮問が行われたわけでございます。
 この諮問は、水質環境基準の生活環境項目については主に昭和40年代の水域類型の指定が行われているわけでございまして、その後水域の利用や水質の状況等が変化している水域も多いわけでございまして、国の水域について見直しを求めるものであったわけでございます。この見直しにつきましては、私ども陸域環境基準専門委員会におきまして審議を行うこととされ、専門委員会が設置されたわけでございます。
 当専門委員会におきましては、中川下流、荒川下流、小河内ダム貯水池の2河川1湖沼を第一次の見直し対象として審議を行ってまいりまして、平成10年3月に水質部会に報告申し上げたところでございます。その結果、水域類型見直しに関する第一次答申がまとめられまして、環境庁において類型指定の改定が行われました。
 今回の第二次報告にかかわる審議経過でございますが、当専門委員会といたしましては多摩川中・下流あるいは猪名川下流、神崎川の3河川とそれから深山ダム、川治ダム、土師ダム、弥栄ダム、小瀬川ダムの5つの湖沼を第二次の見直し対象といたしまして審議を行ってまいりました。その結果、お手元の資料4にありますように第二次報告として取りまとめまして、ここにご報告申し上げるものでございます。
 この第二次の見直しに係る専門委員会の審議は、平成11年3月以降、3回開いて検討してまいりました。まず、11年3月の専門委員会は、専門委員会が設置されましてから4回目でございますが、対象水域の概況及び検討の進め方について確認を行いまして、本年3月の第5回専門委員会におきまして各対象水域の現況水質及び将来水質のシミュレーションと、それをともに類型の見直し方針について検討を行いました。さらに、本年6月の第6回専門委員会におきまして、各対象水域の類型見直しの考え方を整理いたしまして、本日ご報告申し上げております水域類型の見直し案を取りまとめたところでございます。
 報告の概要について御説明申し上げたいと思いますが、資料4の専門委員会の第二次報告の1ページに対象水域の類型見直し案を一覧表でお示ししてございます。
 河川につきましては、多摩川中・下流などの3水系の河川を見直し対象といたしました。これらの水域はいずれも昭和45年に類型指定が行われたわけでございますが、当時は水質状況がかなり悪かったことなどもございまして、改められた類型はCからEという非常に現状からみれば緩いものであったわけでございます。しかしその後、各般の対策がとられました結果、現在の水質はおおむね改善傾向にありまして、その状況と現在の利水状況等を再整理いたしましてBないしDの類型に改めることが適当であるとの結論に達したわけでございます。
 また湖沼につきましては、那珂川水系の深山ダム貯水池など5つのダム湖を見直しの対象としたわけでございますが、これらの水域はいずれも昭和48年に類型指定が行われておりますが、ダム湖を区分とすることなく河川としての類型当てはめが行われたままの状態であったわけでございます。これらにつきましては、湖沼としての水質管理、水質保全を図る見地から現在の利水状況及び水質の現状と将来予測等の結果に基づきまして、それぞれ湖沼の水域類型に改めることが適当であるとの結論になりまして、そのような当てはめを行ったわけでございます。
 以上が第二次報告のポイントでございますが、報告の細分につきましては事務局から補足説明をしていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。

【水質管理課長】 資料4及び参考資料7に基づいて説明。

【村岡部会長】 それでは何か御意見とか御指摘いただくことがありましたら伺いたいと思います。

【須藤委員】 専門委員会の方で鋭意、十分合理的な検討をいただきましてどうもありがとうございました。二つほどお伺いをしたいのですが、一つは環境基準というのは当然利用目的があるのですが、従来低いというか悪い方の基準を当てはめていたのは、利用目的に合わない水を使っていたと、こういうふうに理解するのでしょうか。利用目的が変わったのではなくて、利用目的は前からあったということなのでしょうか、そこが一つ。
 それからもう一つは、河川から湖沼に移る、これは大変私も結構だと思うのですが、大部分は窒素と燐の両方を当てはめているのだけれども、深山ダムと小瀬川ダムについては窒素を入れていないのですよね。非常に窒素の汚染というのは特に湖沼については懸念されているのにかかわらず、燐だけにこの二つはとどまっているという理由は何なのでしょうか。できれば窒素を入れていただきたいというのはお願いでございます。よろしくどうぞ。

【水質管理課長】 水域の利用目的は、今回調査をして最新の利用目的で考慮したわけですが、恐らく対象となった河川について基本的な利水は変わっていないのではないかと思います。専門委員会の方々からもいろいろ伺いましたが、40年代は利用目的というよりは実態を重視した形で現実的な環境基準を定めるという取り扱いがかなり行われていたということがあったようです。その後、各方面の努力によって水質もよくなってきたのでここで見直して、ある意味では利用目的からして望ましい姿にするということが河川については行われているというふうに御理解いただければと思います。
 それから、湖沼の窒素・燐の当てはめでございますが、これは環境基準の類型が設定されました当時、あるいは排水規制を導入した当時に、いわゆる窒素・燐の比に応じて差が大きいケースでは燐だけの当てはめをするという原則的な取り扱いがございまして、それに従っているということでございます。
 実はこの点については、審議会以外の場で須藤先生から御指摘をいただいておりまして、その点は考えなければいけないとは思っておりますが、ただ専門委員会で現に今までのルールでこの見直しをしておりますので、今回は従来ルールでやらせていただきたいと思います。
 それで今後、御指摘のあった点については、いろいろな科学的な知見の状況であるとか、あるいは従来のルールでは個別的な判断の余地というのもあったと思いますが、そういったものが使える余地があるのかどうかという点についてもまたいろいろ教えていただきながら、また陸水専門委員会の方でもご相談しながら、今後の取り扱いについてはまた検討してまいりたいというふうに思います。

【須藤委員】 たびたびの発言失礼いたします。今のお話で、従来どおりに踏襲すればこれでよろしいのですが、N・P比が高くなればなるほど燐だけ規制すればよくて、窒素は幾ら入ってもいいということになるのですよね。そうするとそういうことを、国がやっていることであるから、自治体が全く同じことを踏襲しているのです。そうすると、例えば畜産などで窒素がどんどん流れてても窒素規制をやらないと、こういうことになるので、規制をやらないというのは環境基準がないからやらないのです。どこかで早めにこの辺は改めていただかないと、先ほどから佐竹先生がよく面源負荷のことをおっしゃっているのだけれども、面源負荷なんかの対応も何もしなくてもいいことになってしまうのです。
 ですからぜひ、窒素・燐の問題はあの当時つくったときは最小率ということで、一端の責任は私にもそこはあるのですが、やはりなるべく早くこの辺の御検討は水質部会としてお願いをしたいと、こういうふうに思います。要するに、N・P比が高ければPだけでよろしいということについてはやはり私は正しくないと思いますので、ぜひ御検討のほど早めにお願いしたいと思います。今回についてはこれで結構でございます。

【村岡部会長】 それでは、非常に重要な御指摘でありましたので、私の方でもしっかりと受けとめまして今後の水質部会に反映させていくというふうにしたいと思います。
 ほかにございますか。

【佐竹委員】 類型指定の変更は大変結構なことだと思うのですが、ただたまたま多摩川は私の住んでいるところから近いものでよく見る機会があるのであえて申し上げたいのですが、環境庁ももう少し水の量的側面について関心を持ってもらいたいということなんです。
 多摩川中流・下流というのですけれども、調布堰の上と下では全く川が違ってしまっているのですね。上の方はほとんどちょろちょろしか流れていない、小田急線とか鉄橋渡るときに見ればわかるのですけれども、奥多摩ダムがほとんど放流しませんから。普通は、流量は非常に少ない。調布堰のところで恐らく、堰があるものですから、あれから下流は比較的水量は豊富になるわけですね。
 言いたいことは、要は例えば非常に細かいデータがいろいろ出ているのですけれども、渇水量とか平水量とか放水量がどのくらいになっているかということについてのデータもあわせて載せるぐらいの神経は使っていただきたい。つまり、ヨーロッパの川ならこれでもいいのですけれども、年間そんなに流量変動はありませんから。日本の川は非常に大きく変化するわけです。ですから、多摩川の調布堰から上ですと下水道の放流量のウエイトがかなり高くなるのではないかと。それでも恐らく、東京都は当然気をつかって水質浄化に気をつけていただいているから、こういう結果が出てくると思うのですけれども、やはり川の量的な側面が水質に非常に大きく影響を及ぼすわけですから、特に最近のように水循環というようなことを取り上げていけば、当然量を無視した質はそもそもあり得ないのですし、特に水循環ということになれば量的な側面も当然考えていかなければいけないわけですから、その点を特に希望しておきます。別にお答えはいりませんけれども。

【村岡部会長】 何かお答えになりますか。

【水質管理課長】 御指摘は全くごもっともだと思います。説明しませんでしたが、もう一つ参考資料8というので水質状況予測結果の細かいデータがありますが、この中では水量もとらえてあります。それから、先ほど猪名川でしたか、分岐したところではまさにその水量絡みで汚濁の状況というのは大分違いまして、そのことを踏まえた議論も行われたということを申し上げておきます。もちろん、今後の水循環の問題を考えますと、全く御指摘のとおりだと思いますので、今後さらに注意を払ってまいりたいというふうに考えております。

【村岡部会長】 今の佐竹委員の御意見の中には水質の状況、我々環境庁のサイドだと水質ということになりますけれども、量的管理しているのは建設省ですけれども、要するにこういった資料を出すときに並行して水量のデータもわかるように記述して、その辺も興味を持ちながら検討していただくということも必要ではないかという御意見の内容でもあったと思うのです。ということでひとつよろしくお願いしたいと思います。

【谷山委員】 深山ダム貯水池についてなのですが、全燐が平成11年度の速報値が0.007mg/lということになっています。これについては見直し類型Iということで、Iというのは0.005mg/lだと思いますが、それをオーバーしているということで、5年後において達成が困難なため段階的に暫定目標をきめ環境基準の可及的速やかな達成に努めるということなのですが、深山ダムは上流側は全部国有林です。それで、どういう具体的達成方法を考えていらっしゃるのか、林野というのは当然窒素・燐を少しは放出するわけですが、それに対する具体的対策というのは大変難しい。降雨の中にも当然ながら窒素・燐が含まれているわけですから、現在ある0.007mg/lというのはかなり限界に近い値ではないかというように私は考えるのですが、その点はいかがなのでしょうか。

【村岡部会長】 では事務局の方でひとつお答えいただきたいと思います。

【水質管理課長】 専門委員会では河川の場合と全く異なる様相の御指摘のような問題がかなり議論になりました。いずれにしてもダム湖ですので、人工系の土地利用がある部分もあるのですが、かなり山があります。それで、今の我々の面源のとらえ方からするといわゆる自然系の負荷とでもいうようなものになってしまうわけでありますが、大分その議論がありました。
 ただ結果としては、それぞれ水利用がある場所ですので、それをもとに見直しをやろうと。それから、これらのダム湖の場合は必ずしも、深山ダムで10年度、 11年度の濃度を書いておりますが、この10年度、11年度の濃度を見てもかなり差がございますが、これはまだ正式には湖沼の当てはめをしていないものですから、いわゆる実際に常時監視によるモニタリングも非常に知見が乏しいところがございます。したがって、ひょっとすると濃度というのはもっと低いのかもしれない。ただ、今はよくわからないのでルールとしては10年度に調べた結果というのを現況と置いて、それをもとに若干のシミュレーションをしました。ただ、おっしゃるような地域特性から大幅に変わるということは難しいのではないかということで、結局暫定目標も全燐0.011mg/lにせざるを得なかったわけであります。
 申し上げたかったことは、河川当てはめの場合でも実態についてまだよくわからないところが実はございますので、暫定目標を置いたという意味は、今後、5年間をかけて実態とか対策手法についてもう少し考えて、その上でまた5年後にその後の姿を考え直すということが現実的ではないかというようなことで専門委員会で御議論の結果、こういうようなことになっておりますので、そのことだけ紹介させていただきます。

【村岡部会長】 ほかに特段の御意見がなければ、いただきました御意見は議事にとどめさせていただくことにしたいと思います。
 それでは、本日いただきました専門委員会からの報告をもって、水質部会においてもそれを認めていただくということでよろしゅうございますか。
 (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。それでは、御審議いただきました専門委員会の報告をもとに答申案を取りまとめたいと思います。
 事務局の方で答申案を準備していただいておりますので配付願います。
 (答申案配付)

【村岡部会長】 御覧のように表紙がございまして、2枚目以降、先ほどの専門委員会の報告案が記載されております。
 この答申案で森嶌部会長に報告したいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。これは第二次でありますので、今後また数次ぐらい続くということですが、ひとつ今後の検討も含めましてよろしくお願いしたいと思います。
 それではいろいろとどうもありがとうございました。
 それでは最後の議題3、その他に進みますが、事務局の方から何かございますか。

【総量規制室長】 それでは私の方から次回の日程の関連でお話しをいたしたいと思います。次回の水質部会の日程につきましては、総量規制に関する事項といたしましてはパブリックコメント後の10月中旬以降ということでございますけれども、また他の案件との関係もございますので後日調整をさせていただきたいと思います。
 なお、お手元に10月10日から11月10日までの日程調整表というものをお配りしておりますので、後日でも結構ですので事務局あてご返送願えればありがたいと思います。
 以上でございます。

【村岡部会長】 それでは、その他はほかにないようでございましたら、これをもちまして本日の水質部会を閉じたいと思います。
 どうもありがとうございました。

−了−