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中央環境審議会第24回水質部会議事録


1.日 時   平成12年2月8日(火)14:00〜16:00

2.場 所   中央合同庁舎第5号館 共用第6会議室

3.出席者

   
村岡 浩爾 部会長    恩田 怡彦 特別委員
足立 則安 委  員    小林 康彦  〃
岸   ユキ  〃      坂井 順行  〃
木原 啓吉  〃      猿田 勝美  〃
佐竹 五六  〃      田代 直弘  〃
清水   誠  〃      谷山 重孝  〃
須藤 隆一  〃      西山 紀彦  〃
高橋 さち子 〃      福井 経一  〃
中野 璋代  〃      眞柄 泰基  〃
池田 駿介 特別委員   松尾 友矩  〃
大澤   進  〃

遠 藤 水質保全局長
小 沢 水質保全局水質管理課長
吉 田 水質保全局水質規制課長
浅 野 水質保全局瀬戸内海環境保全室長
齊 藤 水質保全局水質規制課総量規制室長 他

4.議 題

(1)有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について(答申)
(2)第5次水質総量規制の在り方に対する意見の募集結果等について
(3)第5次水質総量規制の在り方について(答申)
(4)水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について(諮問)
(5)中央環境審議会水質部会の専門委員会の設置について(改正案)
(6)その他

5.配付資料

資料1中央環境審議会水質部会委員名簿
資料2有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について(海域環境基準専門委員会報告)
資料3第5次水質総量規制の在り方に対する意見の募集結果等について(案)
資料4第5次水質総量規制の在り方について(総量規制専門委員会報告)
  
参考資料1有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定にあたっての参考資料
参考資料2有明海における窒素・燐の水質予測
参考資料3海域の全窒素及び全燐に係る環境基準
参考資料4有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について(諮問)
参考資料5海域環境基準専門委員会名簿
参考資料6第5次水質総量規制の在り方に対する意見の募集について
参考資料7第5次水質総量規制に係る意見交換会の概要
参考資料8第5次水質総量規制の在り方について(諮問)
参考資料9平成12年度水質保全局予算案
参考資料10平成12年度環境省機構・定員(案)

6.議  事

【水質管理課長】 定刻となりましたので、ただ今から中央環境審議会第24回水質部会を開催させていただきます。
 本日は委員総数27名のうち21名の御出席が予定されております。ただ今のところ20名の御出席をいただいておりますので、既に部会の開催要件を満たしております。
 最初に、配付資料について確認していただきます。不足のものがございましたら、お申し出願います。

(配布資料の確認)

 それでは、議事に入らせていただきます。議事の進行は村岡部会長にお願いいたします。

【村岡部会長】 それでは、議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。 議題の1でございますが、「有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について」でございます。これは、平成9年5月14日に環境庁長官より諮問がございまして、これまで海域環境基準専門委員会におきまして検討をお願いしてまいりました。本日は、その専門委員会の報告を用意していただきました。これをこの席で審議しまして、当部会としての答申案を取りまとめるということをさせていただきたいと思います。
 これまでの審議経過並びに報告の概要につきましては、専門委員会の須藤委員長より御報告いただきたいと思います。

【須藤委員長】 海域環境基準専門委員会における審議経過、報告の基本的な部分について説明させていただきます。
 使います資料は、資料2と参考資料3の環境基準の一覧表、参考資料1の1ページ目の有明海の区分をしてある図でございます。
 有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定につきましては、先ほどお話がございましたように、平成9年5月の環境庁長官の諮問を受けまして、海域環境基準専門委員会におきまして、平成9年10月以降、2年余にわたりまして5回審議を重ね、結論を得ましたので、ここに報告をさせていただきます。
 まず、審議の経過について説明いたしますと、第1回の専門委員会では、有明海の概況及び水質予測シミュレーションの考え方の検討を行い、第2回では、現地において地元関係自治体からのヒアリング及び有明海の現地調査を行ったところでございますが、有明海につきましては、既存の水質調査地点が沿岸域に偏っており、窒素・燐の環境基準を設定するために必要とする水域の全体像を知るための水質データが極めて不足していたことから、平成10年度におきまして、有明海の沖合部を中心に補足的な水質調査を実施することといたしました。その結果得られた平成10年度の水質データをもとに、本年度に3回の専門委員会を開催いたしまして、水質予測結果の確認、詳細な海域区分及びあてはめ類型の検討、さらには水質予測結果に基づく暫定目標等を検討し、本日報告しております水域類型指定の案を取りまとめたところでございます。
 それでは、報告の要旨について御説明いたします。有明海につきましては、これまで国が類型あてはめを行ってきた東京湾等3海域に比べまして、海域の特性、利水状況、流域の状況等が異なる様相にありますが、現状におきまして豊富な水産資源等を有している一方で、赤潮の発生による水産被害がみられること等からも、今後、富栄養化による水質悪化を進行させないことが肝要であり、全窒素及び全燐の環境基準の類型指定を行うことで、環境基準の維持・達成のために流域一体となった取組を推進することが重要であると考えております。
 報告の内容につきましては、資料2の専門委員会報告の1ページに有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準を載せてありますから、どうぞ御覧になって下さい。また、参考資料1の1ページ目、先ほど水域区分の話をいたしましたが、そこに水域区分と環境基準地点を併せて示してございますので、御覧になって下さい。
 まず、水域区分及び該当類型について説明いたします。水域区分につきましては、海底地形や流況に基づく水質特性、利水状況等を考慮し、有明海を(イ)〜(ホ)の5つの水域に分割しております。該当類型につきましては、水域利用の状況について、主にノリの養殖の状況、水産の状況、水浴場の分布状況などを考慮し、また、水質につきましては、全窒素及び全燐の水質濃度の分布状況を考慮して類型をあてはめております。
 具体的には、有明海(イ)、(ロ)の水域については、ノリ養殖を主たる利水とすること等から考慮してV類型。V類型というのは、参考資料3に示してありますように、窒素が0.6mg/l、燐が0.05mg/lでございます。その他の水域につきましては、水産1種に該当するタイ、カニ、貝類の水産利用が主なものであること等を考慮してU類型、すなわち窒素0.3mg/l、燐0.03mg/lにそれぞれあてはめております。
 次に、環境基準の達成期間及び暫定目標について説明いたします。本水域は、生活系の負荷を中心に、全体として負荷がやや増加する傾向にございます。現段階では、平成15年度までに各自治体ではこれらに対処するために予定されている最大限の対策を見込んで水質の予測を計算した結果、該当する全窒素・全燐に係る環境基準を超えることが予想される水域がございます。これらの水域につきましては、将来水質予測結果に基づき暫定目標を設定し、「段階的に暫定目標を達成しつつ、環境基準の可及的速やかな達成に努める」としてございます。今回、暫定目標を設定した水域は、有明海(イ)、(ハ)、(ニ)の3水域でございます。そのうち、有明海の(イ)及び(ハ)については全燐について、有明海の(ニ)については全窒素及び全燐について暫定目標を設定しております。 また、それ以外の水域は、現時点で環境基準を達成しているため、達成期間は「直ちに達成」としております。
 なお、暫定目標につきましては、目標年度における水質の改善状況、施策の進捗状況を踏まえて適宜見直しを行うことといたしました。  以上、審議の経過、報告の要旨につきまして簡単に説明いたしました。
 なお、報告書の詳細な内容につきましては、事務局から補足説明をしてもらいますので、よろしく御審議、御承認のほどお願い申し上げます。それでは、あとのところは事務局にお願いしたいと思います。

【村岡部会長】 ありがとうございました。それでは、事務局の方から補足説明をお願いします。

【水質管理課長】 委員長からほとんど必要なことは御説明いただいておりますが、若干補足させていただきます。
 まず、参考資料3に海域の全窒素・全燐の環境基準がございますが、この環境基準は、富栄養化防止を目的として平成5年に設定された環境基準の枠組みでございまして、TからWまでの4つの類型がありますが、水域の利用目的に応じて類型指定を行うことで基準値が決まってくるという仕組みになっております。
 2ページ目に類型の指定状況について書いてありますが、この環境基準の類型指定は、大きな海域については国があてはめ、それ以外のものについては都道府県があてはめることになっております。国の類型指定は、これまで東京湾、伊勢湾及び大阪湾をはじめとする瀬戸内海について順次やってきておりまして、有明海が国として窒素・燐の環境基準をあてはめるべき最後に残された海域ということになります。
 次に、参考資料1で、水域をどう分けているかというのは、1ページに書いてあるようなことでございまして、佐賀県から熊本県の岸に近い部分と長崎県寄りの部分、湾の中央と出口に近い部分、こういう5水域に区分にしております。
 この辺の考え方につきましては、この資料の4ページをめくっていただきますと、海底地形の図が載っておりますけれども、佐賀県、福岡県、熊本県の沿岸部の浅いところでノリの養殖が盛んであるということがありますが、大体これが水深にして10mぐらいのところであることから、水深10mを目安にして一つの水域の区分を行っております。
 そして、5ページに潮流が載っておりますけれども、湾奥部から湾口部にかけて、外流との関係の深い部分と内陸部からの汚濁負荷の影響を受けやすい部分に分けようということで、宇土市と島原市の間ぐらいのところにもう一つ区分を設けるということで、5つの水域に分けられているものでございます。
 次に、水域の利用目的に応じて環境基準をあてはめていくわけでありますが、同じ資料の18ページから水産関係の利用状況の資料が載っております。18ページは貝類で、例えばタイラギという貝が長崎県から湾奥部にかけてとられている。また、カニが湾奥部を中心にとられている。20ページのエビも湾奥部から湾口部にかけて。21ページのタイ類も同じような分布をしていまして、この辺が典型的な水産1種の行われている水域を示しております。一方、23ページを御覧いただきますと、先ほど水深にして10m以内のところと申しましたが、この部分にノリ養殖がはりついている。こういったような水域の利用条件から、先ほど分けたような5水域について、それぞれU類型、V類型という類型があてはめられているということでございます。
 それから、水質の予測結果につきましては、別の冊子に載っておりますが、概要は参考資料1の35ページにまとめておりまして、全窒素・全燐について、それぞれ5つの水域の現在の濃度、平成15年度の予測濃度が掲げられております。この中で、全窒素については有明海(ニ)、全燐については有明海(イ)、(ハ)、(ニ)が環境基準を現状においても、将来予測においても超えているということで、こういった予測値から暫定目標値が求められてきているということでございます。
 簡単でありますが、補足説明とさせていただきます。

【村岡部会長】 ありがとうございました。それでは、有明海の類型指定についての専門委員会報告と事務局からの御説明に対しまして、委員の先生方から何か御意見があるでしょうか。

【A委員】 この基準の暫定目標ですが、全燐が有明海(イ)と(ハ)、全窒素と全燐については有明海(ニ)で、平成15年度というと、今から4年くらいでしょうか、この期間にこの数値が達成できるのかどうか、その見通しはどうか。あるいは、もし5年過ぎて達成できなかったら、また暫定基準というのもあるかもしれませんが、その辺の見通しについてお伺いしたいのです。

【B委員】 参考資料1の34ページにある負荷量のグラフで、全燐の関係が、15年度の予測で「対策なし」は6.04t/日、「対策あり」が6.06t/日ということで、対策をした方が数値が高くなっているというのは、どういうことを意味するのか分かったら教えてほしい。

【水質管理課長】 まず、A委員の御質問でありますが、参考資料1の35ページを御覧いただきたいと思います。ここで現状濃度と平成15年度予測を行っておりまして、基準値を超えるものについては、この中の数値から選んでおります。平成15年度の予測値というのは、各県からヒアリング・情報提供などを受けまして、見込みうる対策の効果を見込んで予測した結果ということで出ておりますので、その対策が予定どおり進めば達成できるということであります。
 ただ、その中に、例えば全燐の有明海(イ)ですが、若干この地域の特性でございまして、将来予測で負荷量が増えるという部分がございます。これは例えば、今、し尿を外洋へ海洋投棄をしているものとか、農地還元処理しているものが、今後、下水道や合併浄化槽で処理していかなければいけないという状況がありまして、そういう特殊要因で増える部分がありますが、専門委員会におきましては、こういう将来予測が現状濃度よりも高くなる場合も環境基準の暫定目標としては厳しい方で決めるという現状非悪化という考え方がございます。ですから、この目標については達成できるかどうかというと、今見込まれているものよりもさらに一段の対策が必要だということになると思います。
 それから、これは平成15年度の目標でございますので、それから先、おそらく直ちに環境基準を達成することはなかなか難しいのではないかと思われますので、それは暫定をまたつなげていくことが必要かと思います。
 次に、B委員の御質問でありますが、34ページのグラフを御覧になってでありますが、その辺は33ページの脚注に書いてありまして、この地域は特に生活系の負荷で、農地還元とか海洋投棄をやっている部分がございます。実は、10年度から「対策なし」、「対策あり」と書いていますが、「対策なし」というのは、正確にいうと、このままの成り行きでいった場合という数値でありまして、「対策あり」というのは、海洋投棄をやめて陸上で処理することを見込んだものということであります。つまり、下水道や合併浄化槽の普及といった対策であり、窒素・燐対策という意味での「対策なし」、「あり」というのと意味が違うのですが、この地域の特殊な事情からそういう結果になってしまいます。結果としては、「対策あり」の平成15年度の予測値をもとに暫定の検討が行われているということでございます。

【須藤委員長】 今の「対策をやってなぜ上がるのか」というのは、委員の皆さんが御疑問に思われるのも当然かと思います。御承知のように、窒素は生活系から出るうちの80%がし尿に含まれております。燐は70%含まれております。そうしますと、前は、し尿処理場、海洋投棄あるいは農地還元していたものを水洗便所にするということは、水に戻ってくるということです。それを対策と考えているわけで、ここでは窒素・燐の対策ではなくて、下水道とか浄化槽という意味での対策なんです。ですから、誤解をしないで下さい。「対策あり」というのは、窒素・燐の対策ではなくて、要するに生活排水、一般の水質汚濁対策をやったという意味で、その辺は非常に矛盾がございます。
 そういう意味で、先ほどA委員から御質問があったのですが、これから窒素・燐対策をさらに強化していかないと、もしかしたら先ほどの暫定基準も達成できないかもしれないということで、結局、し尿を水の中に入れるか入れなかったかということが問題だということです。これは別に有明海に限ったことではなくて、日本中、同じような問題があると思います。

【C委員】 予測モデルについてお伺いします。これはおそらく多層モデルを使って計算されていると思いますが、この海域は浅いので、成層がどうなっているかよく分からないのですけれども、どれぐらいの多層モデルをお使いになったのか、あるいは底泥からの溶出はどのように取り扱われたのか、そのあたりがお分かりになったら教えていただきたいのです。

【事務局】 参考資料2の14ページ、15ページを見ていただきますと、1層:0〜3m、2層:3〜10m、3層:10m〜海底、こういった3層に分けた予測を行っております。それから、当然底泥からの溶出を組み込んだ予測を行っております。

【C委員】 それは3層モデルで十分なのでしょうか。

【事務局】 本海域は、上下の混合の状況が比較的よい海域でございますので、とりあえず3層あれば十分であろうと専門委員会では御判断いただいているところでございます。

【村岡部会長】 科学的に考えますと、多層モデルはどんどん進歩しておりますけれども、果たして行政的に対応できるかどうかという点で、従来の経験を考えれば、混合の非常に激しい有明海では3層モデルぐらいが妥当かと個人的にも思っております。
 他に意見はございませんでしょうか。
 それでは、貴重な意見を2、3いただきましたけれども、これは議事録の方に残させていただくということで、先ほどいただきました専門委員会の報告を水質部会においてもお認めいただけるかどうかお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。

             (「異議なし」との声あり)

【村岡部会長】 ありがとうございます。それでは、審議いただきました専門委員会報告を基に答申案を取りまとめるということをさせていただきます。
 答申案を事務局から配っていただきます。

(答申案を配布)

【村岡部会長】 1枚目が、答申としまして、中央環境審議会会長・近藤次郎会長あてに部会長の私から届けるものでございます。「有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について(報告)」「平成9年5月4日付け諮問第50号により中央環境審議会に対しなされた『有明海の全窒素及び全燐に係る環境基準の水域類型の指定について(諮問)』については、別添のとおり答申案を取りまとめたので報告する。」とありまして、2ページから別添が始まります。その後で下にページが打ってある1〜3というのが先ほど専門委員会から報告いただいた報告文と同じものでございます。
 それでは、本案をもちまして、近藤会長に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

             (「異議なし」との声あり)

【村岡部会長】 ありがとうございました。それでは、このとおり近藤会長に報告させていただきます。
 この審議に当たりまして、専門委員会の委員長はじめ専門委員の方々並びにこれに関わってこの席でいろいろ御議論いただきましたことにつきましてお礼申し上げます。
 それでは、議題の2に入ります。「第5次水質総量規制の在り方に対する意見の募集結果等について」でございます。
 昨年2月に諮問のありました「第5次水質総量規制の在り方について」は、11月2日の部会において総量規制専門委員会から中間報告がございました。その後約1ヶ月半かけて、同中間報告をパブリックコメントの手続に付し、広く国民の意見を募集したところでございます。また、このパブリックコメントと並行して、総量規制の関係地域内の4会場で意見交換会を開催いたしました。
 それでは、事務局の方から、パブリックコメントの手続の結果を含めて、これまでの経過につきまして御説明いただきたいと思います。

【総量規制室長】 資料3に基づき説明。

【村岡部会長】 ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に関しまして、委員の先生方から御意見があるでしょうか。

(質問等なし)

 先ほどの御説明を聞いておりましても、パブリックコメント及び意見交換会におけるいろいろな意見は、総じて総量規制専門委員会の中間報告に挙げられた内容に賛同を示すという立場であったかにお聞きしました。この席で委員の先生方から特に御発言がないようでしたら、ただ今の説明につきましては、委員の先生方にも大きな異論はなかったというふうにお認めいただいたものとさせていただきます。
 それでは、議題の3「第5次水質総量規制の在り方について(答申)」に移りたいと思います。まず、総量規制専門委員会の須藤委員長から御報告をお願いしたいと思います。

【須藤委員長】 第5次水質総量規制の在り方につきましては、昨年11月2日の水質部会におきまして総量規制専門委員会の中間報告を御報告させていただいたところでございますが、1月18日に開催された総量規制専門委員会において最終的に報告を取りまとめましたので、改めて御報告申し上げます。
 報告の内容につきましては、概ね中間報告と同様であり、その基本的な考え方に変更はございませんが、パブリックコメント及び意見交換会において得られた意見等を踏まえ、若干の修正を加えてございます。
 なお、今、御説明があった、関係地域内の4会場で開催された意見交換会には、総量規制専門委員会の委員の方にも御協力をいただき、いずれの会場におきましても各地域の関係者の方から多くの意見が発表されるとともに、活発な意見が交わされたところでございます。私も東京と名古屋の2会場に出席いたしました。こうした意見交換会の開催は大変有意義な試みであったと考えております。ただし、中間報告の内容を大幅に変えなくてはならないというような内容は全くございませんでした。どちらかというと、やや応援演説という部分が多かったと思います。
 それでは、中間報告からの修正点を含め、若干の修正がございますので、総量規制専門委員会報告の趣旨について事務局から説明がございますので、御確認下さい。

【総量規制室長】 資料4に基づき説明。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 ただ今の御説明について御意見をいただくわけですが、1月27日に瀬戸内海環境保全審議会がございまして、私もその委員でございますので参加させていただきました。その席でも、瀬戸内海は今回の指定水域の重要な一つでありますし、総量規制専門委員会の方から審議の経過について御説明がございまして、それに対して幾つかの意見がございました。
 中でも重要なのは、燐・窒素を今回の規制対象に加えることについて、その必要性、それを規制の対象とした場合に、CODの水質改善に対して効果があるのかどうかということに関する御意見がございました。全体としましては、「窒素・燐を対象に加えることが第5次総量規制の在り方として適切である」というふうな判断になったように思います。出席しておりましたので報告しておきます。
 また、本日出席できないということで、D委員から第5次総量規制に対しての意見を頂戴しておりまして、皆様方のお手許に2月8日付けのD委員の意見書が届いておりますので、御一読いただければ幸いでございます。
 それでは、先ほど説明がございました第5次総量規制の在り方について、委員の方から何か意見がございましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【E委員】 特にCODで見ている場合に、海域とか湖沼の環境基準がなかなかよくならないというのが今問題になっていると思うんです。これはいろいろなところで問題になるのですが、今回の第5次総量規制をやるとどのぐらいまでよくなりそうかとか、ある種の環境改善の目標みたいなものが合わさって示されているのか、単なる方向を示そうということなのかは問題なのだと思います。これまでに何次にもわたってやってきた経過の積み上げみたいなものがどういうふうになって、これをやればどこまでいきそうか、その辺の見通しは議論されているのでしょうか。

【須藤委員長】 もし私の考え方が事務局と違ったら訂正して下さい。
 今のE委員のお話につきましては、随分議論がございました。具体的に何%やれば水質がどれぐらい改善されるかということは、たぶん次の議題になると思うのですが、具体的にどのぐらいできるのだろうかということは、後ほどの審議になるわけです。今の在り方については、それが必要だというところにとどめております。しかしながら、外部負荷の半分ぐらいまでやれば、CODについても、窒素・燐についても、すべての環境基準が満たせるというところは、シミュレーション等をつくって出しております。ただ、いっぺんに50%陸域からの負荷を下げるということは、当然5年間では無理ですから、たぶん何回かに分けてということになると思うのですが、下げれば低くなる、当然環境基準も達成できるということはもちろん分かっております。では、今後どのぐらいやらなくてはいけないかというのは、次の議題で審議させていただくことになると思います。もし不足でございましたから、事務局の方からどうぞ。

【総量規制室長】 今、須藤委員長より御説明があったとおりでございますが、具体的には、総量規制専門委員会を5回にわたって行いましたが、主として第2回、第3回の場で、シミュレーション結果ということで、いろいろな仮定は置いておりますが、例えばCODだけを10%、30%、50%減らしてみた場合、あるいはそれと併せて窒素・燐を減らしてみた場合、いろいろなケースについてのシミュレーション結果を、例えば色でコンター図にした図面などを示しながらお出ししております。
 須藤委員長がおっしゃるとおり、その予測では、陸域負荷をCOD、N・Pとも今より50%減らせば、概ね環境基準達成という域に達するという予測は出ておりますものの、それが確実かどうかというのが1点と、現実的に現状より50%減らすことが、特に発生源が多岐にわたる窒素・燐で今後どういった具体的方策をとっていけば、たとえ時間がかかろうと数%ずつでも下げていけるのか、その辺の見通しは、今後具体的に検討を始めてみないと分からないということがございましたので、一応シミュレーション予測は、傾向といいますか、明らかに減らしても今のままで推移するということではないということを御確認いただいたにとどまっております。

【F委員】 この場が適当であるかどうか分かりませんけれども、関係もございますので…。既に環境庁の皆さんは大変御努力いただいていることでございますが、個々のアイテムということより、全体の環境対策について、国としての進め方もちょっと問題にした方がいいかなと思っています。
 環境問題は地球規模の大変大きな問題で、国の最重要課題の一つであるということになっておりますので、優先的に国家予算を割り当てられないかということでございます。企業というのは、環境対策あるいは植林で15年ぐらい資金が寝てしまうわけですが、こういうところは社長決裁というか、会社の方針として、投資の優先順位をつけて投資をしてきているわけです。企業は技術的に非常に困難な問題あるいは資金が非常に必要で収益に大きな負担になるような問題に対しても、相当のプレッシャーをかけながら投資しているわけです。紙パ産業も植林へ大変な投資をしています。私どもの会社でもチリで10,000ha、今回東京電力さんに御参加いただきましたので、タスマニアで22,500haの植林を今進めているわけです。さらに試験植林をやっている。こういう投資に企業は全力を挙げているわけです。
 そういう意味で、国としても、生活排水対策云々とか、あるいはごみ焼却炉の問題、廃棄物処分場の問題など、環境問題をたくさん議論しておられますが、それを受け皿として受けて立つところがどこなのかというのは大変重要な問題だと思っています。技術的ということよりも、生活排水問題は資金的な問題だけであって、省庁間の壁を破って、公共投資に相当いろいろなところで使われていますけれども、国として最優先順位は何なのかという観点から、国家予算を集中的に、優先的に環境対策に投資していけば、早期に結果が出て、今御議論いただいているような結果はおのずと出てくるはずです。そういうような進め方を、環境庁の皆さんも大変御努力なさっていらっしゃるので、我々もそういう御努力に対してバックアップしていきたいし、是非そうなってほしい。それがここでいろいろ議論されていること以上にもっと重要な問題なのかなと思いますので、余計なことですが、一言付け加えさせていただきました。

【A委員】 私もここに書いてあることや、今、おっしゃったことは全く同感なんです。特に11ページあたりに施策の基本的な考え方が書いてあります。これを読みますと、いろいろ書いてあるのですが、書いてあることが多少緩いような感じもするのですが、こんなとこかなと思います。
 それから、12ページに、生活排水対策とか産業系排水対策、その他いろいろ書いてあるのですが、この辺はできるものはもう少し強力に、例えば生活系の中でも「下水道等」と書いてあって、「処理の高度化の促進」。処理の高度化の促進には違いないのですが、何をやるかということまで含めて、できるものについて、特に公共事業を中心に、もっとしっかりと書いていただければ、それなりにしっかりとした対策が講じられるのではないかと思います。これは私の要望としておきます。

【水質保全局長】 F委員、A委員の御提案、御示唆、非常に貴重な御意見をありがとうございます。
 先ほどE委員から、「どういうシミュレーション、どういう形で削減していく見通しを持っているのか」という議論に関連しまして、「それを担保するものは何なのか」という御指摘であろうと思います。そこは、私ども行政をやる人間といたしまして、これから非常に苦心していかなければいけない。その総括的な考え方が、今、A委員が御指摘になりました11ページ及び12ページに包括的に記載してあるということでございます。問題は、この仏にいかに魂を入れるかということでございます。
 その件でございますけれども、私どもが窒素・燐対策の中で非常に重視しているのは、下水道の中での高度処理です。これは非常にコストもかかります。また、これをやることによって汚泥対策も併せて考えなければいかんという大きな問題が出てくる。それを今後投資面でバックアップするために、いかに下水道部局とタイアップして対応していくか、それを非常に重視しているところでございます。
 もう一つは、単独浄化槽に投資したところをどう合併浄化槽に切り替えていくか、これが非常に大きな問題であると思います。かつ、合併浄化槽においても、窒素・燐を除去していくという対応をどうとっていくか。
 もう一つ、産業系についていろいろ御努力をお願いすると同時に、一番重要なのはその他系でございます。それですと、非特定汚染源からの対応でございますので、農業集落排水面での対応も必要でしょうし、農業の展開自体を環境保全型に切り替えていく。あるいは家畜ふん尿対策についても、さきの通常国会で成立したふん尿対策の法律をどう効果的に対応していくか。そういう面をもきちんとやっていかないといかんと考えております。
 問題は、F委員が御指摘になりました、国の限られた資金をどう優先順位をつけて投資していくかということでございますが、私どもは、今日御審議いただきまして、具体的に規制基準をどう決めていくかという議論の段階に入ってまいりまして、それをどういう形で加工していくかということになりますと、建設省、厚生省、通商産業省、農林水産省の関係部局と連携して、いかに優先順位を高くして投資を行っていただくかというところにこれから力を入れていかなければいかんと思っております。
 なお、環境庁だけでいいますと、平成12年度予算は、政府原案は全体で2.6%ぐらいの伸びでございますが、我々の予算は14%伸ばしていただきました。したがいまして、国全体としては姿勢があらわれておりますけれども、我々の場合はソフト中心で、規模も小さいものですから、ハード面の投資につきましては、これからいろいろ関係各省への働きかけを強めていきたいと思っております。

【G委員】 私は皆さんの御意見に反論ということではございませんけれども、ちょっと違った視点からの検討も環境庁はやっていただきたいと思います。と申しますのは、ハード系の下水道整備、農村集落排水でもいいのですが、これは確かに有力な方法ではございますけれども、もう少しソフトの方にも目を注いでいただきたい。
 と申しますのは、一つモデル的に申しますと、日本の人口が三大都市圏と地方でも50万都市圏に集まりつつある。このことが水環境にとってどういう意味を持つかというと、確かに人間が生活する限りは発生する窒素・燐あるいはCODの量は何処に住んでいようともそう変わらないかもしれない。しかし、人口が特定のところに集中してくると、そのことが自然浄化機能にとって持つ意味をよく考えてみる必要がある。つまり、従来の自然系の土水路あるいは小河川という環境の中を経由してきた水というのは、負荷量がわりに小さい場合には、自然浄化、つまり、植物に吸収されるとか、動物に食べられることによって、「3尺流れれば水清し」といわれているように、自然浄化が期待できるのです。ところが、特定の場所に人間が集まり、負荷が大きくなると、その種の自然浄化機能は全く期待できなくなるわけです。このことの意味をよく考えてみる必要がある。
 私はA委員のおっしゃったことに反対しているわけではないので、ハードな公共事業が中心となることはいいのですが、同時に、日本の人口配置の変化−農山村から三大都市圏ないし50万都市への人口集中が環境に対して持つ意味をよく考えてほしい。環境庁は特に「循環」ということを言っているわけですから、そういう点についても日本の人口の動向に目を注いでほしいと思います。しかも、人口の集中の在り方が、人口密度を非常に低くする方向で進んでいます。つまりDID地区内の人口密度はどんどん下がっているわけです。これは公共投資をするには大変効率の悪いことになるわけです。そのことを考えてほしい。
 農林水産省でも、維持管理労働を省略するために、どんどん水路のパイプ化を進めています。こういうことは、農業生産面からいえばしようがないんですね。まさに用排水管理労働の省力化が必要なわけですから。しかし、これによって従来の農業用排水路が持っていた自然浄化機能は間違いなく喪われます。それであれば、今、農山村にいる高齢者の労働力を水路の清掃等、従来、村仕事としてやっていた仕事に使うようなことを考えるべきではないか。もう少し多面的に施策を工夫してほしいと思うのです。昔、救農土木があったのですから、新しい意味で、農村の高齢者を中心に山とか水路の管理労働に対して投資が向けられることは決して政策的に考えられないことではないと思います。
 繰り返し申しますけれども、本来の公共投資が中心であることは間違いありません。これはどうしてもやらなければいけないことですが、同時に、そういうソフトの対策の在り方にももう少し目が向けられてもいいのではないかという感じがいたします。

【村岡部会長】 他にございませんか。
 いろいろと貴重な御意見をいただきました。これから総量規制を実施するにあたって、技術のほかに予算の問題、あるいはどういうふうに総合的に取り組んでいくかという観点から貴重な御意見をいただきました。これにつきましては、当然議事録の方に残させていただきます。
 専門委員会の報告の中身につきましては、特段の御意見がなかったように思いますが、改めて御確認いたしますが、この専門委員会の報告をこの場で御承認いただくということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」との声あり)

【村岡部会長】 ありがとうございます。それでは、先ほどと同じように、中央環境審議会会長に報告する答申案をこの場でまとめたいと思います。事務局の方から答申案を配っていただきます。

(答申案を配布)

【村岡部会長】 一番上が近藤会長に出す表書きでございまして、「平成11年2月22日付け諮問第71号により中央環境審議会に対してなされた『第5次水質総量規制の在り方について(諮問)』については、別添のとおり答申を取りまとめたので報告する。」とございまして、その裏に別添が付けてあります。
 次に若干の説明がございまして、これも読ませていただきます。

(答申案を朗読)

 最後の裏面になりますが、先ほどお認めいただきました専門委員会報告と同じ文書がここに付くということでございます。
 それでは、本案をもちまして、近藤会長に報告したいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

             (「異議なし」との声あり)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 では、本案のとおり、近藤会長に私の方から報告させていただくことといたします。これに関しまして活発な御審議どうもありがとうございました。
 それでは、議題の4に入ります。
 ただ今、第5次水質総量規制の在り方について、近藤会長へ報告する答申が了承されましたが、近藤会長から、「環境庁長官から新たな諮問事項を受理しており、水質部会に付議した『第5次水質総量規制の在り方について』が同部会において了承された場合、本諮問事項についても同部会に付議することとしたい。」という連絡がございました。
 それでは、先ほどのように了承いただきましたので、近藤会長からお預かりしている資料をお配りいただきたいと思います。

        (事務局より諮問文及び専門委員会改正案を配布)

【村岡部会長】 綴じたものが2つございますが、はじめの方の「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等について(諮問)」の文書につきまして、事務局の方からその趣旨について御説明いただきたいと思います。

【総量規制室長】 今、部会長の方から読み上げていただいた諮問について御説明させていただきます。
 本諮問につきましては、繰り返しになりますが、「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について、貴審議会の意見を求める。」としたものでございます。
 諮問理由のところにつきましては、閉鎖性海域をめぐる現状認識について記述させていただいているところですが、そのページの一番下のところで、「今般、貴審議会から答申をいただいたところである」という前提のもとに、最後にごく簡単に書いてございますが、「今回の諮問については、このような観点から貴審議会の意見を求めるものである。」とされたところでございます。
 この諮問の趣旨につきましては、従来とも総量規制基準の設定あるいは測定方法の設定については、CODについては昭和54年当時に測定方法を設定いたし、基準を設定いたし、並びに2次、3次、4次にわたりまして、審議会の意見をききながら基準を改定してまいったところでございます。今回、CODの基準につきましては、今一度現時点で見直しを行い、必要に応じて改定を行いたい。また、窒素・燐につきましては、従来のCOD同様、業種を細分化し、業種ごとに国が決める総量規制基準の幅というものを設定方法として定めるとともに、汚濁負荷量の測定方法について新たに設定する必要がありますことから、「審議会の御意見をお聴きしたい」としたところでございます。

【村岡部会長】 ただ今の御説明に関しまして、委員の先生方から御意見がございますでしょうか。

【E委員】 今の説明とは直接には関係ないのですが、私は前から何度も言っているのですが、CODの測定方法あるいは設定方法で、化学的酸素要求量というのはいいのですが、その中身が過マンガン酸のCODをいつまでも使うというのは非常に問題があると思うんです。総量規制みたいなものであればあるほど、収支のとれるCODを考えていかないと、なかなか近づかないのではないかと私はかねて思っていまして、これは新しくできる専門委員会、あるいはこのテーマでやるのがいいのかどうかよく分からないのですが、少なくともCODであれば重クロム酸に変えるとか、重クロム酸が問題があれば、TOCとアンモニアに変えるとか、基準の見直しをしていかないと、ワンパターンでは、さっきの湖沼の問題とか、海洋から全部合わせたときの収支がとれない議論を続けるのはそろそろ見直すべきではないかと思うんです。
 ですから、諮問自体はこれでいいと思うのですが、専門委員会等ができれば、そこでは今私が申し上げているような趣旨で、CODは「化学的酸素要求量」と書くのはいいのですが、必ずしも日本で今使っている測定方法ではうまくないのではないかと思うのです。併せて、どこまで戻るのがいいか、あるいはどこまで進むのがいいのか分かりませんが、いっぺん本気で考え始める時期にきているのではないかと思うわけです。参考ということでお考えいただれればありがたいと思います。

【村岡部会長】 今度は第5次ですが、4次までの段階で、化学的酸素要求量の規制基準の設定方法という点では諮問が出たように思いますが、その回答のときにCODの測定方法についても出ましたね。だから、その辺がいいのか悪いのかもう一回検討しろ、という御趣旨かと思いますが、いかがいたしましょうか。

【H委員】 今の諮問とは別な話で、E委員が御質問されたから、こういう仕事をいろいろやってきた立場での話として聞いて下さい。
 私も当初E委員と同じような意見を持っていたのですが、いろいろ調べさせていただきました。今、E委員がおっしゃるように、TOCも重クロム酸を比較して、特に海域の問題は前々からあるので、たぶん今の環境庁の幹部の方々が来られるちょっと前にやっているのです。その報告書では、海外のデータと比較するとかは別として、日本の今の有機汚濁を行政が進めていく上ではそれほど差し障りがないという結論になっています。これは別に私の意見ではなくて、私が座長をやった検討会なんですが、多くの方々に参加いただきました。それはもう一度この中でできるかどうかは別ですが、そういう報告書あるいは検討も結構進んでおりますので、一応ここで報告させていただきます。検討会で、先生がおっしゃったような議論を一応やってあります。

【総量規制室長】 総論ではございませんで、総量規制という立場から一言申し上げますと、総量規制という制度自体は、生活環境項目たるCODを指定することによってスタートしております。従いまして、その中で見直しということは難しいとは思うのですが、測定方法につきましては、CODは生活環境項目の指定測定法だけではなくて、特に大きな事業場では、TOC計、TOD計あるいはUV計を業種の特性に合わせて使うことによって、できるだけ負荷量としてきっちり押さえられるような工夫はいたしておるところです。
 今回、その点についても現状でのレビューはお願いしたいと思いますけれども、新たに決める窒素・燐につきましては、むしろCODと違いまして、きっちりその物質を測るという測定が主体となりますので、CODと同じような測定上の問題は生じないと考えております。

【E委員】 H委員と私とここで議論してもしようがないのですが、ぜひその報告書を一度見せていただきたいと思うのですが、それをやっている限り、日本のデータは国際的に全然通用しませんよね。日本の国内の行政上の目標は達成するかもしれないけれども、例えば「環境基準の日本の達成率が何%です」ということを言ってみても、それは国際的な発信能力は全然ないですよね。これだけ一生懸命やっている日本の環境行政が外から見えないし、外に対して影響を全く持てないのです。だから、同じだったら今までと同じでいいというわけではなくて、変えた方がいいと私は思うのです。
 そこは考え方の違いかもしれないけれども、これから先の何十年かを考えますと、今までのを続けることが何十年先にとって意味があるかというと、逆だと思います。同じだったら、変えた方が何十年後にはもっと役に立つ。これはまさに考え方の違いですが、役に立つレベルは同じぐらいだったらば国際的に通用する方へ変えるべきである。それが日本の環境行政をリードする上で重要だし、国際的な立場でも日本がリードすべき役柄を担うことになるから、どこかで国際化しない限り、日本の中ではみんな理解して進んでいるかもしれないけれども、そのデータは何の使いようもない、外から見たとき全く評価できない、これは損だと思います。もし同じだったら、変えるなら早い方がいいと思います。

【C委員】 今、E委員がおっしゃったことですが、こういう測定方法はISOの基準では決まっているのでしょうか。私も別のところでISOの測定方法、流量の測定ですが、これは日本の国益に関わる問題なので、日本の測定方法を国際的に認めてもらう努力をしているのですが、私は専門ではないのでよく分からないのですが、こういうものに関しては国際的な基準があるのでしょうか。もしあれば教えていただきたいのです。

【I委員】 今のことに関すれば、あるということになるのですが、地球温暖化のことで代表されるように、炭酸ガスの排出権の問題のように、日本は排水に関して負荷料金というのはありませんが、アメリカ、ヨーロッパはすべからく、自動車排ガス等については排ガス負荷制度があるわけです。E委員がおっしゃったように、日本の環境行政の在り方、情報ということではなくて、要するに、環境にいろいろなものを排出するときの負荷、それに対してある種の権利なり経済的なインセンディブを働かそう、というのが世界的な流れであります。そういう意味では、総量規制でCODにするかどうかは別にしても、そろそろ国際的に使われている物差しで、我々水の分野で、CODと称せられるものが我が国はどうであるか、という観点から環境庁もそろそろお仕事を始めていただけると、制度を変える変えないは別にしても、何かあったときにはそういう情報を持っていないと対応できませんから、そういう意味ではぜひ今後御検討いただきたいと思っております。

【水質規制課長】 ただ今測定方法のお話を承りました。実は環境行政においては、あるいは環境科学の世界と申しますか、測定法に関しては従来、水だけではございませんで、大気汚染物質の測定法についても様々な議論がなされてまいりました。それは日進月歩の問題でございますし、だんだんインターナショナライズ、国際的な統一の測定方法を作ろうという努力も進められております。
 ただ、その際に、我が国の環境行政の歴史の中で一つ重要になってまいりますのが、データの継続性という問題でございます。例えば硫黄酸化物につきましては、昔、PbO2法を使っていたものを伝導率法に変えました。世界的に見れば、湿式の測定方法を使っている国はわずかでございます。ただ、我が国が国内の中で環境基準を設定する根拠になっている疫学データ等との突合の問題、あるいは我が国の測定値がこの15年、20年の間にどうなってきたのかという推移を見るためには、真値を求めるという考え方とは別に、継続性を大事にしなければいけないという問題もこれありでございます。
 今の御指摘は、私ども毎日行政を進めている中で、専門の先生方からしばしばお伺いする問題ではございます。迷っているところもございますが、今申し上げたような行政上の意味合いといいますか、行政上の課題も併せて先生方に御理解賜りながら、私どもも今先生方から御指摘いただいた国際統一性、国際比較性を持ち得るデータをどう作っていけばいいかということについては、もうしばらくお時間を頂戴して検討させていただければと思っております。

【村岡部会長】 ただ今から審議する内容としましては、いったん今の測定方法につきましては横に置いていただきまして、とにかく大臣からいただいた諮問が会長に届きまして、会長から私どもに付議されている、この課題を片付けないといけないわけです。ということで、その方に戻りまして審議を続けたいと思います。議題の5に入るわけでございます。「中央環境審議会水質部会の専門委員会の設置について(改正案)」でございます。
 先ほどの議題4にありました本日の諮問につきましては、具体的な基準や測定方法に関する事項でございますので、新たに専門委員会を設置し、専門的な分野の方々に詳しく検討いただくのが適当と考えます。
 これに伴いまして、これまで第5次水質総量規制の在り方について御検討いただいた総量規制専門委員会を廃止することにもなるわけでございます。
 そのようなことで、総量規制基準等専門委員会を新たに設置するとともに、総量規制専門委員会を廃止することにしたいと考えますが、御異議ございますでしょうか。

(「異議なし」との声あり)

【村岡部会長】 それでは、総量規制基準等専門委員会を新たに設置することといたします。したがって、総量規制専門委員会を廃止することになりましたが、これにつきましては、これまで須藤委員長はじめ委員の先生方、非常に精力的に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。お礼申し上げます。
 同専門委員会の委員の方々は、資料として、「中央環境審議会水質部会の専門委員会の設置について(改正案)」というのが配られておりますので、これに従いまして、その専門委員会の委員長には、大変御苦労をかけますけれども、続きといえば続きで、須藤委員にぜひ委員長をお引き受けいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

             (「異議なし」との声あり)

【須藤委員長】 それでは、御指名でございますので、引き続き総量規制基準等専門委員会の進行役といいましょうか、まとめ役を務めさせていただきます。
 ただ今の諮問を踏まえまして、先ほど報告させていただいた第5次水質総量規制の在り方に基づき鋭意審議を重ね、可能な限り早い時期に所期の目的を達成するよう努力したいと考えております。
 先ほどE委員からお話のあったCODの測定の問題は、結局、測定法が変われば、もちろんすべての値が変わるわけでありまして、5次ではそこまで間に合わないというか、そこは当然頭の隅に置きながら議論はさせていただきますが、第5次ですので、この場合は継続性を重んじなければいけないということがありますので、当然そうさせていただくと思いますが、私自身も測定法の問題は、いろいろな先生方からも言われておりますので、よく承知はしているものの、なかなか具体的な問題にいきませんので、これは環境庁とよく相談いたしまして、国際的な比較ができるような形で何らかの連携はとらなければならないと考えております。ただ、この仕事の中ですぐにできるかどうかはお約束しかねますが、努力はさせていただきます、ということを申し上げさせていただきます。
 水質部会の先生方には、今度の窒素と燐の規制基準というのは初めての試みでございます。どうぞ一層の御支援、御指導を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

【村岡部会長】 須藤委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 そういうことで、先ほどE委員から出ましたCODの測定方法について、今後どういうふうに考えていくかということにつきましては、今、H委員からの御発言もありましたし、先ほど水質規制課長からも「少し時間をいただきたい」という御回答がございました。しかし、非常に大事なことであるということはこの席上で皆様お認めいただいたかと思いますので、この点は議事録にとどめ、今後の検討事項にさせていただきたいと思います。
 それでは、議題名が挙がっている議事につきましては終わりました。6番目に「その他」とございますが、これにつきまして事務局の方から何かございましたらお願いします。

【水質管理課長】 特に用意はございません。

【J委員】 意見の募集についてですが、資料3及び参考資料6を見ますと、意見の募集の主体は、当部会及び当部会から受けた専門委員会が実施主体だろうというふうにこの段階では理解します。そうしますと、部会として寄せられた意見を整理して、「その意見について環境庁はどう考えますか」と投げかけて、環境庁がまとめられたのが「意見に対する考え方」であろうと思います。その環境庁の考え方を部会として了とした、こういう流れだろうと思いますが、このままの資料ですと、部会としての考え方になってしまうところがありますので、今後、同じような手順をとると思いますので、環境庁と審議会をきっちり区別しながら整理していただきたいというふうに要望いたします。

【村岡部会長】 ありがとうございます。大変重要なことかと思いますが、先ほどの該当する資料につきまして、その内容については御理解いただいたということで、それはこの部会として了解した事項ということで取り扱わせていただきます。したがって、事務局の方はそれに対しまして、部会了解事項という形でお受けとめいただくことにしていただきたいと思います。  他に何かございますでしょうか。
 それでは、長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。第24回水質部会はこれにて閉じさせていただきます。


−了−