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中央環境審議会水質部会(第23回)議事録


1.日  時   平成11年12月10日(金)13:30~15:30

2.場  所   中央合同庁舎5号館 共用第6会議室

3.出 席 者   村岡 浩爾 部会長     池田 駿介 特別委員
         足立 則安 委 員     大澤  進  〃
         江本 寛治  〃      小林 康彦  〃
         木原 啓吉  〃      猿田 勝美  〃
         櫻井 治彦  〃      谷山 重孝  〃
         佐竹 五六  〃      西山 紀彦  〃
         清水  誠  〃      林  裕造  〃
         須藤 隆一  〃      福井 経一  〃
         高橋さち子  〃      松尾 友矩  〃
         遠 藤 水質保全局長
         長 尾 水質保全局企画課長
         小 沢 水質保全局水質管理課長
         吉 田 水質保全局水質規制課長
         西 尾 水質保全局土壌農薬課長
         岩 田 水質保全局企画課地下水・地盤環境室長
         浅 野 水質保全局瀬戸内海環境保全室長
         齊 藤 水質保全局水質規制課総量規制室長
4.議  題
(1) ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について
(2) その他
 (公共用水域水質測定結果等の報告、その他)

5.配 付 資 料

資料1 中央環境審議会水質部会委員名簿
資料2 「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について」中央環境審議会答申案に対する意見の募集について
資料3 「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について」に対する意見の募集結果について
参考資料1-1 平成10年度公共用水域水質測定結果について
参考資料1-2 平成10年度地下水質測定結果について
参考資料2 総理府「水環境に関する世論調査」について
参考資料3 中央環境審議会大気部会報告
参考資料4 中央環境審議会土壌農薬部会報告

6.議  事

【水質管理課長】 定刻となりましたので、ただ今から中央環境審議会水質部会を開催させていただきます。
 本日は委員総数27名のうち18名の御出席が予定されております。現時点で16名の御出席をいただいておりますので、既に部会の開催要件を満たしております。
 はじめに、配付資料について御確認いただきたいと思います。
 不足しているものがございましたら、お申し出いただきたいと思います。
 それでは議事に先立ちまして、11月30日付けで当審議会の委員の交代がございました。新たに水質部会に所属されました方々がいらっしゃいますので御紹介申し上げます。
 まず最初に川崎製鉄代表取締役社長の江本委員でいらっしゃいます。
 特別委員ですが、東京工業大学教授の池田委員でいらっしゃいます。
 社会福祉医療事業団理事の大澤委員でいらっしゃいます。
 そのほか、今日は御欠席ですが、全国地域婦人団体連絡協議会の中野委員、金属鉱業事業団の田代委員、北海道大学の眞柄委員が御新任になっております。
 それでは議事に入らせていただきます。議事の進行は村岡部会長にお願いいたします。
【村岡部会長】議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。
 議題の1でございますが、「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について」でございます。これは、前回の11月2日の部会におきまして部会の案としておまとめいただき、それをパブリックコメントの手続に従いまして国民に付し、約1ヵ月間、広く国民の意見を募集したところでございます。それを踏まえまして、本日は、最終的な答申案をここでおまとめいただくということになります。
 それでは、パブリックコメントの手続の結果を含めまして、これまでの経過について事務局より説明していただきますが、水質環境基準と排出基準の2つございます。まず、最初の水質環境基準の件につきまして御説明いただきたいと思います。
【水質管理課長】(資料2、資料3に基づき説明)
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。国民の意見を事務局の方で仕分けをしていただきまして、意見の数が37件あるということでございます。それぞれの意見に対して、この部会でこれまで討議してきました内容を踏まえて、意見に対する考え方の案を含めてただ今御説明いただいたところでございます。この御説明に関しまして、何か御意見ございますでしょうか。
(意見等なし)
【村岡部会長】 それでは、このパブリックコメントの結果につきましては、大方の御同意が得られたものといたしまして、認めていただきたいと思います。
 これは最終的にはどういう形で質問者に答えることになるのでしょうか。
【水質管理課長】 本日会議が終わりましたら、その結果を公表いたします。そして、個別にということではございませんが、ホームページなどで御覧いただけるように、つまりパブリックコメントの最初のときと同じ扱いの公表をいたします。
【村岡部会長】 そういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。
 それでは、次に排水規制の方も同様に御説明いただきたいと思います。
【水質規制課長】 (資料2、資料3に基づき説明)
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。こちらの方は29件の意見があったということで、その概要とそれに対する部会の対応の考え方について御説明いただきました。ただ今の御説明で御意見とかお気づきになった点はあるでしょうか。
【A委員】 II-5ページの(9)、 (10)のお答えのところで、「なお、今後の法の施行に伴い、水質等のダイオキシン類による汚染の状況について常時監視を行い、……」とございます。これは水濁法の水質測定計画も含めての常時監視ですか、それともダイオキシン類対策特別措置法に基づく別個の常時監視という意味でしょうか。
【水質規制課長】 事務局として認識しておりますのは、ダイオキシン類対策特別措置法の26条に基づく常時監視でございまして、一般的な水濁法上のものとは区別して書いたつもりでございます。
【B委員】 同じページの最後の(4)のところで、「法律に基づき最低必要な回数として年1回以上」と書いているのですが。御指摘は、これが変動するのではないかとか、そういうことを述べておられるのですが、年1回というのは、測定方法とか、例えば採水の方法などは指定してあるのでしょうか、あるいは年1回ということだけを記載されているのでしょうか。
【水質規制課長】 測定法につきましては、具体的には政令もしくは総理府令で規定されることになります。さらに、ダイオキシン類の測定法に伴う精度管理を徹底するという観点からは、私ども環境庁からの通知などによりまして、より正確な測定が得られるように関係方面に周知徹底していきたいと思っております。そういう様々な法令的なもの、あるいは行政的な措置を通じまして、具体的な測定方法が確定することになります。
【C委員】 2つあるのですが、1つは、II-1の(1)の意見ですが、私も、一次発生源からの発生を防止することがより大切なことではないかと思うのですが、意見に対する考え方のところで、方法論として発生源対策と排水処理施設による処理方法の改善による削減方法とがある。これを両方同列に並べて書いているようですが、むしろ重きを発生源対策に置くべきであるという趣旨を生かすべきではないか。原則的に目指す方向としては、指摘されている方向で努力をしていくというような表現が好ましいのではないかと思いますので、考え方があれば聞かせていただきたい。
 それから、内容上の問題ではないのですが、ダイオキシンの問題が社会的にも大変大きな課題になって取り上げられてきたわけですが、今回の意見募集に当たって、いずれも人数としては8通という単位での意見しか寄せられていない。私も何度かこういう委員会に参加して意見募集等も見たことがあるのですが、相当数来る場合もあるのです。事柄が非常に難しいという側面があって意見が出しづらいということもあるのかもしれませんが、意見の募集の方法について、先ほどその他の事項で触れられておりましたが、さらに検討すべき要素を含んでいるのではないかという感じを持ったわけです。記者レクなどをしてやっていますと言うだけではなくて、行政サイドの方から積極的な働きかけができないものかどうか、その辺の考え方も何かありましたら聞かせていただきたいと思います。
【水質規制課長】 2点御指摘いただきまして、第1番目の御意見につきまして、これは委員の先生方の御判断だと思いますが、私ども事務方としてはこの文章を書きましたときに、発生源対策よりも、排水処理対策の方が重要だと申し上げるつもりもございません。先生方の御意見に従って、発生源対策を目指すことが重要という趣旨を付け加えることも必要かと思っておりますが、御議論いただきたいと思います。
 後段の、いわゆるパブリックコメントを求める際に、求めているということをどのようにして知らしめるかということにつきましては、御指摘もございまして、今回、回答案を書かせていただきながら、私ども事務方の問題として感じておりますので、今後、今回の経験を踏まえながらよりよい方法を模索していきたいと思っております。
【村岡部会長】 それでは、まず第1の問題ですけれども、この案をお作りいただきました事務局はそういうお答えでございましたが、私も委員の先生にお聞きして、発生源対策は大事であるということも入れるべきだということであれば、その方向で考えたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、C委員の御趣旨を反映するように、ここのところは多少の文字を加えていただくだけでいいのではないかと思いますので、修正していただきたいと思います。そういうことでよろしゅうございますか。
 第2の問題、パブリックコメントのあり方と意見の聴取の仕方につきましては、前からいろいろと議論をいただいておりまして、今回ダイオキシンの問題がかなり急であったということで、精一杯のスケジュールの中で従来のやり方を踏まえながらやってきたのではないかと私は思っておりますけれども、ただ、今後もっと正確に広く国民の意見を聴取していくということでは、規制課長の御意見のとおり、今後の考え方を検討してみたいというお話でございましたが、それでよろしゅうございますか。
 それでは、貴重な御意見を幾つかいただきましたが、最終的には排出規制の方につきまして、「発生源も重視する」という文言を付け加えるという形で、事務局案の文面で、国民の意見に対する部会の考え方を公開するというふうに考えたいと思います。
 そういうことで、これで、中央環境審議会会長に報告する答申案をまとめる準備ができたのではないかと判断いたします。つきましては、事務局の方で準備いただいております答申案をお配りします。
〔事務局より答申案を配布〕
【村岡部会長】 お配りいただきました資料の後に、これまで討議いただき、まとめていただきました答申案をそのまま付ける予定でございます。この第1ページは、部会長、私から近藤次郎会長に答申する旨の文章でございます。
 その裏に別添1、環境基準の設定についての資料がここに付きます。別添2は排出基準の設定等についての文面が入ります。さらに、それを締めくくる形でその裏に、最後の2行、「政府においては、これを踏まえ、今後適切なダイオキシン類に係る対策を進められたい」という文章で結ぶわけでございます。
 一番最後の別添の部会と専門委員会、これは何が付くのでしょうか。
【水質管理課長】資源の節約のために、環境基準につきましては表紙だけ付けてありますが、今日パブコメで公表しましたのと同じものがこの後に付きます。ですから、本文が略ということでございます。別添2は排水規制の関係ですが、排水規制の場合は、ここに文章である部会の言葉と専門委員会の報告が一体になって答申という格好になっておりますので、この後ろに専門委員会の報告が付きますということで、その中身は略しております。
【村岡部会長】 省略で申し訳ありませんが、資源節約ということですので。新任の先生もいらっしゃいますが、大方はこれまで論議していただいて内容については御理解いただいているものと思います。
 それでは、こういうスタイルで私の方から近藤会長に報告させていただくということにしたいと思いますが、御異議ございますか。
             〔「異議なし」との声あり〕
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。それでは、そのようにいたします。
 これまでこの答申をまとめるに当たりまして、いろいろと活発な御意見をいただきましてありがとうございました。
 それでは、議題の2「その他」に進みたいと思います。本日は事務局の方から幾つか報告事項ということで資料を準備していただいているようですが、これに入ります前に、今までのところで委員の先生方から御指摘、御意見等がありましたら伺いたいと思います。
【D委員】 本部会に与えられました諮問に関しては、先ほどの答申案は大変適切なものだと考えております。ただ、他の部会の報告案も併せて拝見いたしますと、ダイオキシン問題に総合的に取り組むことを特に強調しておく必要があるのではないかという必要性を感じております。
 特別措置法の趣旨からいたしますと、必要な規制を課して、ダイオキシン類の発生する段階以降を注意深く見守り、環境への排出が許容できるレベルになるよう適切に対応することが基本姿勢だろうと思います。
 特に大気部会が提案しております特定施設(廃棄物焼却炉等)、当部会が提案いたします特定施設(廃棄物焼却施設の廃ガス洗浄炉等)、これらは施設が一体として整備されている場合あるいは連続してプロセスとして組まれている場合が多いわけでありまして、これらを別々の施設として取り扱うのではなくて、総体として取り扱う総合的な視点が不可欠ではないかと考えております。これらダイオキシン対策を全体として総合的に取り扱うことが重要だという点を審議会としても何らかのコメントとして提出することが適当ではないかと思いますので、意見として提出いたします。
【村岡部会長】 ただ今のD委員の御発言は、ダイオキシン法の特殊性あるいはその趣旨に則って考えておかねばならない重要な御指摘であったと私は認識いたしました。
しかし、それぞれの部会で討議すべき課題につきましては、本部会におきましても、先ほどまとめていただいたような答申案が出来上がっておりますし、それと御指摘のありました他部会と関連するような、あるいは連携して考えないといけないような相対的な問題につきましては、この後、行政の問題といいますか、行政措置の中で運用面を対応していただくということではないかと判断いたします。
 私の判断といたしましては、もし委員の先生方の御異議がないようでございましたら、ただ今のD委員の御発言の趣旨にたがわないように、答申案を近藤会長にお持ちするときに口頭で報告したいと考えますが、そういうやり方でよろしゅうございますか。
〔「異議なし」との声あり〕
【村岡部会長】 ありがとうございます。それでは、D委員の発言につきましては、そのように口頭で会長に申し伝えるということにしたいと思います。
 それにしましても、報告すればそれで私の責任は済んだということではちょっと軽いようでございますので、もしこれがそのように近藤会長が受け止めていただきまして、長官の方に答申いただくということになった後、この問題について行政措置としてどういうふうな対応があるか、その可能性について、水質規制課長か局長に御答弁いただきたいと思います。
【水質保全局長】 法の施行に際しましても本部会の種々の御指導、御鞭撻を賜りたいと思っております。
 それに関連いたしまして、ただ今のD委員の発言につきまして、私どもも総合的なダイオキシン類対策の必要性は常々痛感しているところでございます。したがいまして、今後の法の施行に当たりまして、水質保全局のみならず、関係部局と緊密な連携を図りまして、ダイオキシン類の排出が着実に削減されますよう努めてまいりたいと思っております。
 なお、これにつきましては、単に中央政府だけではなくて、地方公共団体も周知して万全を期してまいりたいと思っております。
【E委員】 今の局長の御答弁は非常にごもっともです。問題提起も非常にごもっともだと思います。ただ、総合的というのは極めてしばしば使われるのですが、その中身は何であるかということについて具体的なイメージがきちっとあるかどうか、つまり、恐らく数値間の整合性その他は事務当局でよく考えられて設定されたのだと思うのです。それから、次に総合的にということになると、極めて常識的に考えれば、通産省とよく連携をとって、そもそもそういう物質が出ないような製造工程に切り替えていくことを検討するというのは、一つの考え方としてはあろうかと思うのですが、学識経験者がお集まりになった当部会としては、総合的に検討しろというのではなくて、こういう点に問題点がありそうだから、こういうところを行政的にもよく詰めろとか、予算をとって調査研究について詰めろと、そういう具体性のある案を提言いたしませんと、水質保全局長としては今の御答弁はまことにごもっともな御答弁で異論はないのですが、具体的に何をやるのだということになったときに、行政の方に必ずしも知見があるわけでもないので、むしろ部会の方からいろいろ具体的な問題点を指摘した上で、こういうことを行政的に詰めたらどうかということを言うべきではないかという感じがいたします。これは御答弁も要りませんし、全くの感想でございますけれども、一言申し上げておきます。
【D委員】 非常に分かりやすい具体例を一つお示ししたいと思います。大気の特定施設、水の特定施設それぞれ特定施設という扱いをいたしますと、今日は大気を測定する日だからというのでどんどんダイオキシンを水の方に回す。しばらくして、今度は水の測定日だからというので水の方にはなるべく回らないようにプロセスを制御して水をパスする。これで合法的にクリアするわけであります。したがいまして、制度そのものを一体として扱って、水も大気も同じ日に測り、そのプロセスがきっちり押さえられるようにというのを押さえて指導していく必要があるわけであります。具体的な一体・総合という一つの例でございます。
【水質保全局長】 今の問題につきましては、この報告書をまとめるに際しましても、大気の排出の抑制に関連いたしまして、水の方にいろいろ負荷がかかってくるということにつきまして御議論いただきました。したがいまして、水に負荷がかかってまいりましたときもきちんと対応していくという御報告をいただいております。そういう点をも頭に入れながら、大気、水、土壌等々について連携いたしまして、最終的に汚染負荷が減少していくような対策あるいは法の施行に努めてまいるということで私は「総合的」と使ったわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
【村岡部会長】 具体例ということではD委員の例が非常に顕著な例でございますが、E委員のおっしゃるのは、必ずしもそのことだけではなくて、もっとダイオキシン問題について総合的に考える課題が、専門家の方にもいろいろ考えるべき立場があるのではないかということをおっしゃっているように私は感じましたので、その点は委員の先生方も御理解を賜り、かつ行政の方も、今後そういったことを論議する必要性がある場合にはぜひとも対処していただきたいとお願いしておきたいと思います。
 それでは、D委員の発言の問題につきましてはこれぐらいにさせていただきまして、議題の2の「その他」でございますが、事務局の方から平成10年度の公共用水域・地下水水質測定結果、水環境に関する世論調査の結果等についての御報告があるということでございますので、よろしくお願いいたします。
【水質規制課長】 (参考資料1-1に基づき報告)
【地下水・地盤環境室長】(参考資料1-2及び参考資料2に基づき報告)
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。これまでの報告の内容につきましてこれから御討議いただきたいと思いますが、3時半に会議を終わりたいと思いますので、特に御発言を希望される方に限るかもわかりませんが、何かございましたらどうぞ。
【F委員】 時間がないということですから、お答えは後で結構ですが、公共用水域の水質測定結果について感想を述べさせていただきます。
 特に海域の達成率が昨年、今年と非常に落ちている。しかも、数値を見ていただけば分かるように、この20年間測って一番低い数値です。先ほど規制課長は、河口域で悪い点もあったからというようなことをおっしゃったのですが、600地点ぐらい測っているわけでありまして、海の水質、水環境行政というのが3湾を中心にやられているのが主で、そのほかのところに、これは環境庁の仕事ではないのかもしれませんが、余り力が注がれてないということもあって、川は、先ほどおっしゃったように長く上がっている。川が上がって海が落ちているというのは本来おかしいわけです。もちろんそれはCODとBODの違いがある。多分これは富栄養化と密接に関係しているのでしょうが、このままでいくと、海がどんどん落ちていくのではないかということを私日頃から懸念しておりますので、3湾以外も含めて海の水質規制、特に内湾、内海が多いわけですから、そこの水質規制について、どうしてこういうふうになるのかということをよく解析していただきたいと思います。
【村岡部会長】 特別お答えいただくことがありますか。
【水質規制課長】 非常に的確な御指摘をありがとうございました。私どもも今解析を進めておりますが、必ずしもまだ明確ではございません。今後も引き続き努力をして明らかにしていきたいと思っております。
【村岡部会長】 ほかに御意見ございますか。
【E委員】 もう随分長くこういうデータが積み上げられているわけです。特に都道府県を指導していただきたいのですが、ほとんど悪いところは恒常的に悪いままで放置され-放置するという言い方は余りよくないかもしれませんけれども、従来は下水道整備だによる水質改善をその対応策としていたわけですが、下水道も予算は使っても、例えば土地の利用のあり方いかんでは、予算のついたわりに整備率は上がらないという状況もあると思うのです。そういうことを分析して、いまF委員がおっしゃったことと同じなんですが、要するに現状の解析を徹底して進めるように、これは実際問題として都道府県の場合には非常に事務量が多くなっておりますし、そういう企画的な仕事、調査的な仕事はなかなか手が回らないという状況ではないかと思うのです。そういう場合には、環境庁の指導で、環境庁自身も大変お忙しいと思いますけれども、それこそ委託費等を使って解析を進めるとか、そういう御努力をしていただきたいと思います。要は、ほとんど毎年同じような報告が、その時々の気象条件で多少上がったり下がったりしているけれども、実際問題として、湖沼法はできたけれども、さっぱり対策は進まない。それはなぜかということについて、徹底した現状分析を進めていただきたいと思います。そして問題を広く世の中に訴えていくということを行政としてはやるべきではないか、こういう感じがいたすわけです。もちろん生活のあり方を見直していくことも大切だと思いますけれども、見直しだけでは片づかない問題が恐らくあるのではないかと思うわけで、そういう面での御検討を、ダイオキシン問題等が飛び込んでこられると、ほとんどそれに全精力とられて、ましてパブリックコメント等が入れば、我々がやっていた時代とは比較にならないほど事務量が増えて大変だとは思うのですが、そういう地味な仕事もぜひお願いしたいと思います。
【村岡部会長】 この公共用水域、地下水も含めて、報告が出るたびに大体似たような結果と似たような意見が出るなと私も感じておりまして、水質部会で抜本的に討議する方法は何だろうかということをいよいよ考えていかなければならないだろうという気がいたします。ぜひ今後の水質部会で、この問題についてどういう形で討議を進めていくかということから始めて、抱えている問題の解決に向けての討議を展開していきたいと思います。
 ほかに御意見ございますか。
【G委員】 私は滋賀県で琵琶湖の近くにいるのですが、先ほど海のことについて、改善されていないという指摘がありましたけれども、湖沼についても同じ傾向が指摘できると思います。何でかということを追求していこうという今お話でしたけれども、大変思いつき的なことで、こういう場所で言うのは変かもしれませんが、私は琵琶湖の周辺の流入河川で長年調査活動をしてきているのですが、地表を流れている水、川の値が仮によくなっていても、湖の水というのはそれだけでできているわけではなくて、地面の下を浸透して入っている水というのがかなり過去にはあったと思うのです。ところが最近、これは琵琶湖だけについての私の感じ方ですが、地下を浸透して入っていった水の過去におけるイフェクトというのが恐らくかなり大きかったのではないか。現在は、周辺のいろんな改変に伴ってそういうものが遮断されてしまっているのではないかということを常々感じているのです。これは何のデータもない話で、今から調査しても過去のことは分からないわけですし、発言するのもどうかと思うのですが、そういうことをずっと実感として感じてきているので、そういう点からの検討もあってもいいのではないかと思って、思いつきですが、発言させていただきました。
【村岡部会長】 湖の問題も、個々の湖によってそれぞれ特徴があって、いまG委員のおっしゃったような琵琶湖の問題、特に琵琶湖というのは重要な湖でもあるわけですが、それだけではなくて、他の湖もそうだし、考えてみれば、河川もいろいろと抱えている問題も個々にあろうかと思います。これをどういうふうに審議するかということにつきまして、委員の先生方の御意見を拝聴しながら、部会長なりに今後の審議課題へともっていく努力をしたいと思っております。
【A委員】 参考資料1-2の9ページから10ページにかけてですが、揮発性有機化合物の超過事例がかなり多いわけですが、いろいろと恒久対策などを実施して、揚水浄化とか土壌ガスの吸引浄化とかおやりになっておられる。かなりの数やっておられるわけですが、これで環境基準内におさまったというか、改善されたというのはかなりあるのでしょうか。実際に大変なことだろうと思うんです。恒久対策などを実施してもなかなか難しいのではないかと思うのですが、それによって浄化されたという数がどれぐらいあるのか、もしお分かりになれば伺いたい。
 それから、表12で、揮発性有機化合物の超過事例が144ございまして、その状況というところでは、自然由来と対策実施困難とあるのですが、揮発性有機化合物は自然由来というのは余り考えられないのではないかと思うのですが。むしろ実施困難ということでの区分けだろうと思います。重金属、先ほど砒素のお話などがございましたけれども、これは自然由来というのも十分考えられますが、揮発性のところは、むしろ括弧して実施困難とか、明確にしていただいた方がいいのかなという感じもいたしますが、もしそれに対しての御意見がございましたら伺いたいのですが。
【地下水・地盤環境室長】 今の表12でございますが、御指摘のとおり自然由来というのは、重金属、砒素を中心とした自然由来というのが多いかと思います。実施困難ということで書かせていただいておりますのは-
【A委員】 重金属も実施困難ということですね。
【地下水・地盤環境室長】 はい。自然由来という意味で実施困難となります。また、有機塩素系化合物の場合、複数の物質が関係するなど、複雑な要因を含んでいるために、簡単には対策がとりにくいというものをここに書いております。
 最初の御質問、どれくらいきれいになったのかということでありますけれども、同じ報告書でいいますと、3ページに表1として、これまで判明した汚染事例は1,800件あるのですが、内訳の中の真ん中の現在環境基準超過井戸がなくなったというのが、基本的には対策を行った結果きれいになったというものであります。先ほどの後ろの方の表に載っていたのは、現在もなお環境基準を超過しているものの対策の状況をお示ししているものでありまして、今後対策を実施していって、だんだん環境基準の達成ということが多くなってくるというふうに理解しております。
【A委員】 先ほどの説明で、毎年新しい井戸を掘ってやっている、そこで発見されたということですね。
【地下水・地盤環境室長】 新しい汚染が発見されたところについては、適宜汚染原因を調査して対策に進むという流れになっております。
【村岡部会長】 いろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。
それでは、審議を終了させていただきます。長時間にわたりありがとうございました。
                                --了--