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中央環境審議会水質部会(第22回)議事録


1.日  時   平成11年11月2日(火)13:00〜15:00

2.場  所   通商産業省別館 共用第944会議室

3.出 席 者

4.議  題

5.配 付 資 料

6.議  事

<水質管理課長> ただ今から第22回中央環境審議会水質部会を開催させていただきます。本日は、委員総数28名のうち、23名の御出席が予定されております。現在21名の御出席をいただいておりますので、既に部会の開催要件を満たしております。
 はじめに配布資料の確認させていただきますが、御確認ください。
               (配付資料の確認)
それでは、議事に入らせていただきます。議事の進行は部会長にお願いいたします。

<部会長> 早速、議事次第に沿いまして議事を進めてまいりたいと思います。
 最初の議題は、「水質汚濁防止法の特定施設の追加等について」でございまして、ジクロロメタンの関係でございますが、これは8月2日の前回の部会におきまして、ジクロロメタン関係の2つの施設を水質汚濁防止法の特定施設として追加する旨の中間的な答申をまとめていただきました。その後、約1ヵ月間、パブリックコメントの手続によりまして、広く国民の意見を聴取したところでございます。それを踏まえまして、本日は最終的な答申案をとりまとめていただきたいと思います。
 それでは、パブリックコメントの手続の結果を含めまして、これまでの経過につきまして事務局から御説明いただきたいと思います。

<事務局> (資料2、参考資料3に基づき説明)

<部会長> それでは、ただ今の説明に対して何か御意見ございますか。

                 (意見なし) 
             
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、このパブリックコメントの結果は、基本的には大きな異論がなかったというふうに皆様に認めていただいたものとさせていただきます。
 それでは、この場におきまして、中央環境審議会会長に報告する答申案をまとめたいと思いますので、事務局に答申案を準備していただいておりますので、配付願います。

                〔答申案配付〕
             
<部会長> この答申案は、前回討議していただきました当初の案と全く同様の内容です。本案をもちまして近藤会長に報告したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

             〔「異議なし」との声あり〕

<部会長> ありがとうございます。それでは、本案のとおり近藤会長に報告させていただくことにいたします。
 引き続きまして議題の(2)に進みます。「総量規制専門委員会の中間報告について」でございます。これは本年2月22日に環境庁長官より「第5次水質総量規制の在り方について」の諮問がございました。これを受けまして、当部会では、総量規制専門委員会を設置いたしまして御検討いただいております。
 本日は、専門委員会の中間報告を用意していただいておりますので、専門委員会の委員長をお務めいただいております須藤委員から御報告いただきたいと思います。
 なお、本件につきましても、先ほどのジクロロメタン関係と同じで、国民からの意見の聴取、いわゆるパブリックコメントの手続等を必要といたしますので、そのことにつきましても御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。

<須藤委員長> (資料3−1に基づき説明)

<部会長> それでは、事務局からパブリックコメントの手続につきまして追加説明いただけるでしょうか。

<総量規制室長>(資料3−2に基づき説明)

<部会長> ありがとうございました。  それでは、先ほど須藤委員長から御報告のありました中間報告と、パブリックコメント、意見交換会についてまとめて御意見がございましたら、御発言願いたいと思います。いかがでしょうか。

                 (意見なし) 
             
 ございませんようでしたら、本件につきましても国民からの意見募集、いわゆるパブリックコメントの手続が必要と考えられます。それと、意見交換会を開くということで、中間報告の内容をこの水質部会でお認めいただいたということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

             〔「異議なし」との声あり〕

<部会長> どうもありがとうございました。それでは、先ほど事務局からも御説明がありましたように、パブリックコメントを行いました結果は、事務局の方で取りまとめていただきまして、年明けに答申案と併せてまた御審議いただくこととさせていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。議題(3)でございますが、「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について」でございます。
 本年の8月2日に環境庁長官より、ダイオキシン類特別措置法に基づく課題の諮問がございました。当部会におきましては、ダイオキシン類環境基準専門委員会及びダイオキシン類排水規制専門委員会の2つの専門委員会を設置いたしまして、これまで精力的に検討いただきました。本日は、この2つの専門委員会で取りまとめました専門委員会の報告を用意しておりますので、これをまず御紹介したいと思います。これを審議いただきまして、当部会といたしましては、先ほどと同じようにパブリックコメントに供していくという線で本日御討議いただきたいと思います。
 まず、ダイオキシン類環境基準専門委員会についてでございますが、この専門委員会の委員長は私が務めておりますので、私からまず報告をさせていただきたいと思います。
 (資料4−1に基づき説明)
 以上が専門委員会の審議の概要でございますので、報告の内容につきまして、やや詳細に事務局から資料に基づいて御説明いただきたいと思います。

<水質管理課長> (資料4−1に基づき補足)

<部会長> それでは、この環境基準の設定に関しての説明を行いましたけれども、これに関しまして何か御意見がございましたらお願いします。
<A委員> 1pg-TEQ/lという基準値を設けたことについては全く異議はございませんで、それでよろしいと思いますが、その中で2つほど質問があります。非常に水に溶けにくいからTDIの1%を配分するということではありますが、TDI、ADIの10%を水に配分するというのが、例えば農薬がありますが、普通なんですが、過去にそういうことがあったのかどうか。1%にするか10%にするか、あるいはそれ以上にするのかということの判断基準を教えてください。
 それから、先ほどの5000、10000の濃縮係数、多分常識的にはこんなものかなとも思うのですが、これだったらこういうふうになるのだけれども、仮に1桁上がったらまた1つオーダーを下げなくてはいけませんよね。BHCとかDDTあるいはPCBなんかですと、実際の測定値からすると1桁ぐらい上がっているのが多分あったのではなかったかなという気がします。その辺の根拠を伺いたい。
 3番目は、要望なのでお答えいただかなくてもよろしいのですが、ダイオキシンの底質の基準を作れない。これは当然だと思うのですが、底質の環境基準については、そもそもほかのことも含めて環境基準のあり方について検討しなくてはいけないのではないかという気がします。ダイオキシンだけやったって余り意味がないので、例えば有機物とか窒素とか燐とか、あるいは有機スズとか、ほかの重金属もあるかもしれません。結局、底質というのはそもそもどうあらねばならないかという中でダイオキシンを位置づけておかないといけないので、時間を少しかけていただいて、ここでダイオキシンは少し延ばしましょう、検討しましょうとなっているので、底質の環境基準値だけはもう少し時間をかけて、環境基準のあり方から含めて、それでダイオキシンの位置づけを決めたらいかがでしょうか。

<水質管理課長> まず、TDIの1%を使うということでありますが、今の報告書の20ページに参考7というのがございます。先ほど説明をしませんでしたが、WHOの「飲料水水質ガイドライン」では、TDIが定められている物質についてガイドラインを設定している例があります。A委員が言われましたように、普通、経路が不明または一般的な場合には10%を使って、多くの物質がそれでガイドラインを決められておりますが、他の媒体が主たる経路である場合については1%を用いておりまして、ここに物質の例として挙げられたようなものがそれに該当するということでございます。反対に水が主たる経路である場合には、2割とか5割とかを当てはめる、こういう例もあるようでございまして、今回の場合、この一番下の1%を使うのが適当ではないかということでございます。

<A委員> 今まで水質環境基準の健康項目は全部で26項目指定があったんですね。そうすると、これはWHOのガイドラインなので、過去に我が国では1%配分したというのはないんですね。これが初めてと考えてよろしいのですか。

<水質管理課長> はい、そのとおりです。
 それから、2つ目の濃縮率のことでございますが、これも科学的知見としてはまだ未熟な状態かと思いますが、報告書の6ページの下半分、※印で算出の根拠について解説をしております。ここで試算上の仮定として 10000を用いましたのは、これはかつて日本でPCBの水質環境基準を定めるときに用いられた濃縮率からです。このときの報告は、実際のPCBの濃縮率については5000〜8000ぐらいのデータがあった中で、安全を見込んで 10000というのが使われたということがありまして、ダイオキシン類とはぴったり一致はしませんが、類似の例ということで使われております。
5000につきましては、平成10年度も全国調査をやっておりますが、このときの水質の全国平均値と水生生物の全国平均値を割算しますと、これはたまたまかもしれませんが、5000となります。それから、米国のEPAが2,3,7,8-TCDDについて最近クライテリアを作っているのですが、そのときに5000という濃縮率を使ったという情報がございまして、そういうことで状況的に見て仮定したということです。この辺については、まさに専門委員会報告でもありますけれども、さらに各種の知見を求めて見ていかなければいけないことだろうと思います。
それから、底質の環境基準についてでありますけれども、「時間をかけて」というのは、そういう御意見があったということで承りたいと思いますが、確かに今回のは法律で求められている措置でありますので、できる限り速やかに対応する必要があると思います。恐らく、そういった議論をしていく中で底質の環境基準の一つのモデルケースといいますか考え方になってくるのではないかと思いますが、御指摘はよく心してまいりたいと思います。

<B委員> 質問ですが、5ページの下から6ページの1行目にかけてについてなんですが、平成10年度に調査をして全国平均で約 0.4pgであった。そして1pgを超えるところが改善されれば0.27になる。これは1pg以上がなくなればよくなるのは当たり前で、全国平均でいくつぐらいの地点で測ったか、つまり 0.4pgの意味が問題なんです。私はよく知らないのですが、非常にダイオキシン濃度が高そうなところを基準で選んで平均が 0.4になったと。そして1pgを超えたというなら意味があるのですが、測らないところで1pgを超えるところがないのならいいのですが、そうでないと、ここの文章だとちょっと説得力が弱いように思えるのです。ですから、全国平均、一斉調査を選ぶときには、例えばこういう基準で選んで、実態はよく知りませんが、特に高濃度の地点を選んで 0.4なのか、その辺がわからない。もしそうであれば、若干説明を加えないと、意地悪に読むと大変説得力がないように見えるのですが。

<水質管理課長> これも専門委員会報告の14ページをお開きいただきたいと思います。さっき飛ばしましたが、参考5で全国一斉調査の結果のサマリーを載せておりますが、上が公共用水域の水質でございます。このデータのヒストグラムになっている部分の白抜きのヒストグラムがコプラナーPCBを含めた、私どもが法律でいうダイオキシン類であります。調べた地点数は204地点でございます。この地点は、発生源や都市部などを中心としたということだったと思いますが、一部バックグラウンド地域についても測定しております。現在、残念ながら公共用水域について一つの体系的に測ったデータとしてはこれが最も大きいものですので、これを使っているというわけでございます。
 白抜きのヒストグラムを御覧いただきますと、1pgを超えているものが散在して存在している状態でありまして、多くの場合は 3.5pg前後ぐらいまでございます。そして一番高いのは、5pg以上のところが一つありまして、これは13pgでございましたが、これは非常に特異なケースかと思います。
先ほど申しました1pgを超しているものについて、仮に1pgまで下がったとすればというのは、このデータを超えているものを1pgにして平均をとったということでありますが、こうしませんと、もともと魚の濃度の方から求めてきたのは平均的な濃度でございます。それから水質の分野でも平均的な濃度を濃縮率から導くことができるわけですが、環境基準が、いってみれば上限的な基準として設定するときに、現在の公共用水域の実態から見て、基準値をどこに設定すればその濃度になるのかということを検証する手段としてこういう方法しかなかったということで、そういう方法も用いられたということでございます。

<部会長> B委員の御質問の部分は、生物濃縮から求めてきたものについて検証・評価を行うという一つの方法の中で、この文章の中にも書いてございますように、平成10年度のダイオキシンの調査に基づいて今のような試算をすればこのような値になって、まずまずではないかということを言っているわけです。もっともっとたくさんの資料があれば、先生のおっしゃるように、もっと詳しい観点から言えるかもわかりませんが、現在これが手元にある唯一のといいますか、一番新しい資料であるという点を御理解いただきたいと思います。

<C委員> 参考資料4−2の9ページにもっと詳しく出ています。204の地点うち、発生源に近い重点地域を含む発生源周辺で79、大都市で59、中小都市で59という数字が出ていますから、特に汚いところだけを測ったというわけではないけれども、全体の傾向をつかむための調査としてはまあ説得力があるのではないかと思います。それから、今 0.4がこれからどんどん悪くなっていくという、非常に今後の汚染が増えるという緊急の状況であれば、この論理はちょっとおかしいのですが、今一生懸命対策を講じようとしていて、 0.4というのはこれ以上上がるはずがないという前提の中で、しかし異常値が出ているところについては一生懸命対策を講じていけば下がるでしょうということで、それがこの数字を決めた根拠になっているわけではなくて、数字の合理性をいろんな形で論証しようとしているだけですから、少々無理があってもしょうがないのかなと思います。私は、素人の目から見ると、こういう説明で十分に理解できると思います。あとはパブリックコメントでどういう反応が出てくるか、私の方が余りにも非常識なのかもしれませんが、私の常識ではこれでわかると思います。

<部会長> そういうことで、B委員、御理解いただけますか。

<B委員>  はい。

部会長>  ほかにございますか。

<D委員>  分析についてお尋ねしたいのですが、これはpg/lやpg/kgで超微量分析で難しい分析だろうと思います。そのスタンダードが7ページに出ているわけですが、例えばサンプリングでちょっと懸濁すれば底質を巻き込むとか、あるいは異性体のパターンも同一であるかないかとか、そういったところで大変難しい分析をされていると思いまして、分析者によって相当有意差が出てくるのではないかと思います。この辺の、特に分析者の選定に対してどういうスタンダードがあるのか。私どもの経験によりますと、同じサンプルでも分析者によって10倍から 100倍違うようなケースもございますので、その辺を教えていただきたいと思います。

<事務局> 平成10年度の環境データの測定に当たって、どういう分析者を選ぶかということでございますが、基本的にまず分析能力があると思われる業者をいくつか選定してお願いするということをしております。さらに分析がきちんと行われるように、例えば実際に業者の体制を査察に行くというようなことで、データの管理体制がきちんと行われるようにしております。

<D委員> 分析能力がある業者というお話でございますが、例えば試験所認定を取った分析業者とか、何かクオリフィケーションがある方を選んでおられるということですか。

<事務局> 測定機関の体制とか設備の状況とか実績、そういったものを勘案しております。

<部会長> 今回の答申案は、この環境基準の設定と排水基準と2つ併せて答申するということになっておりまして、それとも関連するかと思いますので、時間の都合もございますので、排水基準の方の取りまとめにつきまして報告と御審議をいただきたいと思います。ダイオキシン類排水規制専門委員会の委員長は松尾委員でございますので、松尾委員から御報告願いたいと思います。

<松尾委員長> (資料4−2に基づき説明)
 以上、概要であります。詳細につきましては事務局の方から御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

<水質規制課長> (資料4−2に基づき補足)

<部会長> ありがとうございました。
 それでは、排出基準の報告につきまして御意見がございましたらお願いします。

<E委員> 私は、漁業者の立場で先ほどから伺わせていただきました。実は今日初めてこの会議に出席させていただきました。
 排出基準につきましては、私は専門家ではないのでわかりませんが、いずれにしても、これ以上沿岸域が汚染されないように厳しくやっていただかないことには、漁業者側からしますと、大変な事態が来ているということを実感しております。
 先ほどの関連ですが、当然のことながら魚介類の安全確保というのは、私ども自身も生産者の立場から安全なものを供給しなければならないということは十分わかっております。ただ、いったん基準が設定されますと、数値を若干超えますと、その周辺の魚が安全性に問題があるのではないかというようなことになりまして、魚が売れないという状況も既に生まれております。先だっての東海村のJ.C.O.の問題でも、全く汚染はされていませんけれども、現在まだ魚がなかなか売れないというような状況が続いております。そういうことですから、特に環境庁におかれましては、データの公表には十分な対応をお願いしないことには、即、漁業者の生活に関わるというような重大な問題でございます。特にこれ以上海が全ての物質によって汚染されないようによろしくお願いしたいと思います。

<部会長> ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。

<F委員> 専門委員会の先生方、環境庁の皆さん大変短期間に非常に厳しい作業をおやりになったことについて敬意を表したいと思います。とにかくこれだけ社会的に問題になったことでもございますし、それから、ダイオキシンというのは意図せざる生成物質で、全く世の中に効用をもたらさないものですから、当然こういう規制が加えられるのは当然と思いまして、この結論については、私、それだけの能力もございませんし、また、皆様方の御努力に何ら疑問を持つものではございません。ただ、環境庁の諸君も少し考えていただきたいのは、松尾委員長の御報告では特にその点は意識されておりましたけれども、日本の川の状況が随分昔と変わってきているわけですね。河川によっては、下水道排水の流量が大きい川が出てきているはずです。片方でピコグラムという非常に細かい議論をしていて、一方で排水基準が一律に10倍というのは、何かバランスがとれないような感じがするわけです。特に環境庁は「循環」ということを非常に強調されているのですが、循環で最大の問題はこの問題ではないかと思うのです。
 そこで、先般も基本計画の見直しのヒアリングの際に、水の質の問題と量の問題を統一的に議論しなければおかしいではないかという議論が民間の団体側からも出ていたと思うのですが、日本の川の特性をよく見て、その上でこういう議論を進めていく。そういう勉強を今後してほしいと思うのです。要するに、60年代の終わり頃の川の状況を前提にした、例の10倍の数値がそのまま全然動かないというのも、しかも、こういう細かい議論に適用されるというのも何かちょっとバランスがとれていない。松尾委員長の御報告ではその点は十分御意識になっていますし、私も異論をはさむわけではないのですが、そのことを望んでおきます。それが1点でございます。
それから、今、漁業者の方から御発言がありました。事実、生活がかかっているわけです。それはそういう風評を流す方がおかしいのだという議論では済まないわけです。したがって、これは一般論で、我々余り知見もないのですが、発がん物質とか、その危険性ということについての一種の環境教育といいますか、そういうことについて環境庁も努力してほしいと思うのです。
 というのは、一知半解でございますが、自然界に非常に発がん物質が多い。しかし、昔からあるものであるから特段の措置は講じられていない。そういう中で特定の物質を取り上げてこういう形で処理する。今度のダイオキシンについては私は全く異論はないのですが、そのことの意味とか、そういうことを一歩違った角度で、これはやらないでそんなことを言うのならいけないんです。とにかく環境庁は大変な努力をしてやられたわけですから、そういう角度から、今後さらにこういう微量汚染の問題は、環境ホルモンがあとに控えておりますし、一つ一つ規制値を決めて測定して規制するというやり方で果たして対応できるのかどうか、そういう観点も含めて少し勉強してほしいと思います。やらない理由にそういうことを使ってはいかんのですが、やったのですから、それは許していただけるだろうと思うので、そのことを、これからまだ施行がいろいろ控えていますから、そんなゆとりはないというのが実情ではないかと思うのですが、やはり考えていきませんと、行き詰まりがくるのではないかということも考えられないわけではないので、それからでは遅いですから、ひとつそういう点を希望したいと思います。

<水質規制課長> 御指摘をいただきました点、私ども十分承知しているつもりでございます。今回、松尾委員長から先ほど御紹介ございました10倍というのは、単純に10倍という考え方を持ったわけではございません。これまでの十分な技術的な評価を踏まえて、できるだけ抑えておかなければいかん。実は10pgというのは世界的にも例がないほどの厳しい基準でございまして、ここまでに落としこまなければ、それ以下でなければいかんのだというものの考え方の中で、今の技術の限界として到達したのが10pgであるというふうに御理解いただきたいと思います。
それから後段の、いわゆる化学物質の有害性についての理解というのは、私ども環境行政に携わる者にとっても国民に説明するのはとても難しいことです。というのは、実態がこうであるということを手にとるように御説明するということは難しいことでございます。先般成立しましたPRTR法の中でも、リスクの正しいコミュニケーションを図る必要があるということで、法律の規定に基づきまして、関係事業者も含め、国民、行政一体となって情報を共有化しながら正しいリスクの理解を深めていこうという枠組みができております。環境庁もそれに従って今後努力していきたいと思っております。

<G委員> 11ページにあります事業者の測定回数ですが、測定費用が非常に高価であるので年1回以上が適当であろうということですが、これは素人にはよくわかりませんけれども、多いのでしょうか、少ないのでしょうか。また、外国と比べてどうなんでしょうか。  もう一つは、紙パルプ製造工場が非常に進んだ対策で以前から努力していらっしゃるということ。これも環境庁から表彰されるとか、表彰されるだけではあれですが、広く国民に知られるとか、税金が安くなるとか、何かそういう特典があった方がいいなというふうにもちょっと感じております。知らなかったものですから、一般人がこういうことを知るというのはとても大切かなと思いました。

<松尾委員長> 測定回数が多いか少ないかという問題は、年1回以上というのでは、結局年1回ということになり、決して多くはならないことが心配されます。しかし、最低1回はやってもらいたいということではある訳で、これは大気の方ともあわせて同じような意味で排出者の責任として少なくとも1回はやってほしいということでありまして、決して多いとは言えないと思います。しかし、まあこのレベルだろうということです。
 2番目の方は私も非常に賛成でして、いわゆる自主的な取組をもう少し規制の大きな枠組みの中に取り込むことを今後考えていった方がいいと思うんです。ですから、ちゃんとやってくれるところには、やってくれましたということを、規制課長の表彰でも局長の表彰でもいいし、そんなにお金がかからないのではないかというようなことを私は雑談のときには申し上げているのですが、一生懸命やってくれるものをもう少しエンカレッジしてより良くしていくという、ある種の自主管理的なものをエンカレッジするような規制の枠組みを−ダイオキシンだけではないと思うのですが−今後考えていただけると、もう少し全体のレベルが上がっていくようなことにはなるなと思っています。

<C委員> 今の松尾委員長の御意見あるいは先ほどのF委員の御意見に共通することなんですが、こういう化学物質を扱うときにまず規制から始まってしまったら非常に不幸だと思うんです。下手すると、これだけやっておけば化学物質対策は終わったというふうになりかねない。せっかくPRTR法をつくって、化学物質の自主的取組を中心にしてトータルなマネージメントをやろうと思っている矢先にこんな法律ができたのは非常に私は残念に思っているのですが、法律がある以上しょうがないし、測定だって、測定しろと書いてあるからしょうがないからやらざるを得ない面があるわけなので、もっとトータルに考えていくときには、この方法が唯一の方法ではないということをちゃんと考えておかなければいけないわけです。しかし、これはこれで全く無意味だとは言う気はありませんし、これをやることは大事なんですが、これだけで全部終わるということではないというところをはっきりさせておかないと、環境行政が曲がっちゃうなという気がしてしょうがないので。

<H委員> 紙パを代表しておりますので、大変皆様のおほめのお言葉をいただき光栄に思いますが、何も実入りがないのが残念でございます。前回コメントさせていただきましたので、そのコメントのトレースをしてみたいと思います。
 今回の両専門委員会からの御報告は、時間的な制約の中でのこと、事務局をはじめとして関係者の努力を高く評価したいと思います。
 また、今大変御同情いただいたお声がありながら、この表の中に表れてこなかったのは残念でございますけれども、前回申し上げたところは、大気も含めた全体のリスクについて議論していただきたい。科学的リスク評価に基づいた対策の実施を議論していただきたい。3番目が、事業者の自主性を尊重した対策の考慮をお願いしたい、こう申し上げたはずであります。
 この報告書案のコメントをいたしますと、第1点は、産業界として全体のわずか0.02%を占める公共用水域への排出に関して、水質環境基準が確実に維持されるよう努力していくということは、私ども当然いたしますけれども、資料4−1の5ページに「1pgを超える水域が1pg以下に改善されれば……」というのがございます。全体が0.02%のウエートの水質を扱うことと、この表現との間では、科学的管理手法の間で矛盾しているわけです。こういうところも、今回はこれで致し方ないとしても、十分検討すべき問題であると考えます。
しかしながら、ダイオキシンの排出量のほとんどが大気だと。公共用水域に流れるダイオキシンの大半は直接水域に排出されるもの以外に起因するものだと考えておりますので、今後とも水質の環境基準のための対策の検討に当たりましては、このような観点からの調査をさらに進めるとともに、それに基づいた有効かつ適切な施策に取り組んでほしいということでございますが、E委員からお話がございました、特定施設に指定されたということだけで大問題になるのです。私どもの工場から問題となる数字なんか出ていないんです。しかも特定施設に指定されるわけです。これは地元の漁業組合の皆様あるいはその周辺の地域の皆様に大変御迷惑をかけてしまう。こういうところは、指定する側と受ける側との立場を相互に、あるいは周辺地域住民の立場も考慮したバランスのとれた規制にすべきではないか。それを痛切に今回の結果から感じているところであります。
2番目は、今回の特定施設の指定に当たりまして、その基準を明確化したことは高く評価したいと思いますが、その指定の根拠となるデータの測定精度に関しましては、先ほどD委員からもございましたように、測定機関によって大変大きな、桁違いの数値まで出ているわけです。その信頼性については既に委員の中で多く議論されたということでございますので、意を尽くしたとは思いますけれども、まだまだ私どもとしては納得いくレベルではないということでございます。
 本来、特定施設の選定に当たっては、科学的根拠によるリスク評価に基づいて議論すべきものでありますが、いずれにしても、産業界としては、特定施設となりました以上は、法を遵守するとともに、自らも測定結果を公表していきたいと思いますし、また、説明していきたいと思っています。
 しかしながら、精度の信頼性が不安定な段階で法の施行が進むということになりますと、地方の自治体は、今お話がございましたような、住民において不要な混乱を招きかねない。国においては事業者に過度な負担をかけないという意味で、精度管理を確保するよう、特に地方自治体に対して−大体工場は地方にございますので−強く指導していただきたい。また、その精度に関して国民に対して広く情報提供をしていただきたい。また、そのデータの扱いについて、この間の所沢の問題もありまして、私ども大変困っているのは、マスコミがどこからか仕入れてきては、その結果がどうであるかということに全く無関係に報道してしまうわけです。こういうことがないように、マスコミに規制を逆にかけられないか。私どもは大変迷惑しているわけですし、所沢の問題にしても、漁民の皆様にしてもそういう被害を受けているということでございますので、その点をどう今後しっかり抑えていくかということも非常に重要な運用上の問題だというふうにとらえております。
 それから、今回の3番目の報告においても触れられておりますように、ダイオキシン対策については、法成立以前から産業界は自主的に取り組んでいるということを申しておりました。その効果の有効性は今日は高く評価していただいたわけでございますが、産業界としては、法規制の有無にかかわらずに、今後とも自主的にダイオキシン対策に取り組んでいくということは決意しております。紙パ産業は、今、もう塩素を使わない方向で検討しております。私どもも比塩素化を進めることを新聞発表いたしました。これは日本製紙その他大手各社もどんどん発表しております。これでも規制が入るということになりますと、一般の国民の皆さんは、まだ何がほかにあるのというようなことになるわけでありまして、そういう意味では自主的な取組ということについて深く考慮していただきたい。
 したがって、従前と異なった技術の導入によってダイオキシンをほとんど発生しない特定施設の指定基準に該当しないような施設については、その評価が固まり次第、特定施設から除外していただく。これが大事なことではないかと思うのです。やはり飴とムチで、我々の免許証も、事故を起こさないと更新期間は5年になるんです。普通は3年ですけれども。それから熱管理なんかですと、表彰のプレートをいただきまして、工場の前に貼るとか、いろんなことを今までやってきているわけですが、環境庁からまだ一つもいただいていないので、ぜひとも何か考えていただきたいと思います。
 例えば製紙業界においては、ダイオキシンを発生しないECFというのを先ほど申し上げました。産学官連携の幅広い参加の下でダイオキシン削減に係るこの施設の効果等の調査、公表には積極的に私どもも参加していきたい。PR活動として重要だと考えておりますが、国においてもこのような事業者の努力を推進するような法の運用、インセンティブを与える法律というものをぜひお考えいただきたいと考えております。
 私どもの会社も、パルプから紙までの一連の一貫工場でISOの14001 を初めて取りました。全工場取ることになっています。ECFも来年の8月で八戸のメインプラントの一つは塩素フリーのパルプに変えるわけです。そういうときには特定施設からぜひ除外していただきたいと思っています。
 それから、ちょっと蛇足で冗談ということで、こんな席で申し訳ないのですが、今日、環境庁の封筒を5部持ってきて今事務局にお返ししました。こういうところの細かなことが非常なインセンティブとして社内とか一般国民に効くんです。一番困るのは、ここに宛先とか題目、シールを貼られたり、名前を貼られたり、あるいは印刷されますと、この封筒はもう返せないのです。我々ほかのいろんな会がありますけれども、そこには全部私はお返ししているわけです。それが結局パルプをつくる能力を落としていいわけでありますから、もっときめの細かな、一人一人が心を尽くした対応をぜひ中央環境審議会の皆さんにはやっていただくべきではないか。論議だけ立派にしても実際の行動が伴わないと何もならんというのが我々現場にいる人間の切なる願いであります。
 以上でございます。

<部会長> どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 専門委員会の方で討議いたしました内容に関わる御質問とか御意見につきましては、専門委員の先生方、大変努力をなさって御議論いただいたと思います。その結果、今回の2つの報告はかなり課題を残した形でまとめるということになりましたので、今後、調査をもう少し積極的にやる、あるいは科学的な知見を求めていくということも含めまして、皆さん方からいただきました貴重な御意見を反映しながらやっていくべき問題かと思います。いただきました御意見につきましては、しっかりと議事録に残させていただきたいと思います。
 それでは、ただ今の専門委員会の報告をこの水質部会におきましてもお認めいただいたということにいたしまして、これを基にして答申案を取りまとめたいと思います。事務局の方で文案を準備していただいております。これにつきまして事務局の方から御説明ありますか。
                〔答申案配付〕

<水質管理課長> 今お届けしております答申案は、環境基準と排水基準の関係それぞれについて取りまとめてございます。今後パブリックコメントをする関係などがございまして、それぞれ別冊になっております。環境基準の答申につきましては、専門委員会の報告に即しておりますし、排水基準の場合は、専門委員会報告が非常に専門的な事項のドキュメントとなっておりますので、頭書きを1枚、認識として示すことによって、当部会としても専門委員会の内容が適切なものであるとの結論を得たということで答申案を用意しております。これらを基にパブリックコメントを進めてまいりたいと考えております。

<部会長> それでは、この2つの答申案をお認めいただくかどうかお諮りしたいと思います。いかがでしょうか。

             〔「異議なし」との声あり〕

<部会長> ありがとうございました。
 それでは、本件につきましては答申として取りまとめの前に、国民の意見を聴取する手続、パブリックコメントの手続をとることになります。そのための資料をあらかじめ用意していただいておりますので、資料4−3に基づきまして事務局から御説明いただきたいと思います。
<事務局> (資料4−3に基づき説明)

<部会長> ただ今の御説明のように、この答申案をパブリックコメントの手続に付したいと思いますが、問題ございませんか。

             〔「異議なし」との声あり〕

<部会長> それでは、この答申案についてのパブリックコメントの手続で幅広く国民の意見を聴取することになります。それを事務局の方でまとめていただきまして、次回の水質部会におきましてそれを討議し、最終的な取りまとめとしたいと思います。
 それでは、最後の議題(4)は「その他」でございますが、事務局の方から何かございますでしょうか。

水質管理課長> ただ今話題にのぼりました次回以降の開催予定でありますが、あらかじめ先生方の御希望を伺いまして、次回の水質部会は12月10日午後1時30分からということで開催日を決めております。詳細については後日改めて御連絡したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

<部会長> それではちょうど時間になりましたので、本水質部会はこれで審議の方は終わりますので、あとの進行は事務局の方でよろしくお願いします。

<水質管理課長> 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

−了−