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中央環境審議会第21回水質部会審議会議事録


1.日 時
  平成11年8月2日(月)14:00〜16:00

2.場 所 合同庁舎5号館共用第6会議室

3.出席者

4.議 題
(1)ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について(諮問)
(2)水質汚濁防止法の特定施設の追加について
(3)その他

5.配付資料
(1)中央環境審議会水質部会委員名簿
(2)ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について(諮問、付議)
(3)中央環境審議会水質部会の専門委員会の設置について
(4)ジクロロメタンを排出する施設の水質汚濁防止法の特定施設への追加について(排水規制等専門委員会報告)
(5)水質汚濁防止法の特定施設の追加に対する意見の募集について

(参考資料)
  1)ダイオキシン類対策特別措置法
  2)ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について
  3)ダイオキシン排出抑制対策検討会第二次報告
  4)平成9年度ダイオキシン類の総合パイロット調査結果について
  5)ダイオキシン類緊急全国一斉調査の開始について
  6)ダイオキシン類コアサンプリング調査(年代別ダイオキシン類測定)の実施について
  7)平成9年度食品中のダイオキシン類等汚染実態調査報告について
  8)特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律の概要
  9)水質汚濁防止法の特定施設の追加等について(諮問)
 10)ジクロロメタンを排出する施設について(関連資料)
 11)規制の設定及び改廃に係る意見提出手続(閣議決定)

6.議 事

【水質管理課長】それでは、定刻になりましたので、ただいまから第21回中央環境審議会水質部会を開催させていただきます。
  本日は、委員総数28名のうち21名の方のご出席が予定されております。ただいまのところ16名のご出席をいただいておりますので、既に部会開催の要件を満たしております。
それでは、初めに水質保全局長よりごあいさつ申し上げます。

【水質保全局長】本日は、ご多忙中にもかかわらず、本部会を開催に当たり、ご出席いただきまして大変ありがとうございます。
ご案内のとおり、今国会におきまして「ダイオキシン類対策特別措置法」が議員立法として成立いたしまして、7月16日に公布されたところであり、明年1月までに施行ということになります。この特別措置法がなぜ特別措置法かという所以ですが、これは、基本的に環境基準につきましては現在の環境基本法により、排水基準につきましては水質汚濁防止法により定められますけれども、ダイオキシン類についてはこのダイオキシン類対策特別措置法によりまして、設定していくべきものとされたということでございます。したがいまして、今後のダイオキシン対策といたしましては、水質関係では、水質環境基準の設定、排水規制のための特定施設の指定、あるいは水質排出基準の設定等を行う必要が出てまいったわけでございます。
このため本日、環境庁長官より本審議会に「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定、及び水質排出基準の設定等について」と題しまして諮問させていただきました。
スケジュールを考慮いたしますと、非常にきついものもございますけれども、事務局といたしましては、所要の調査等を進めることといたしておりますので、本部会でのご審議、よろしくお願い申し上げたいと思います。
もう一つ、「水質汚濁防止法の特定施設の追加」につきましては、平成9年に諮問申し上げたところでございますけれども、このたび、専門委員会報告を取りまとめていただきましたので、あわせて本件につきましてのご審議もよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【水質管理課長】それでは、議事に入らせていただきます。議事の進行は部会長、よろしくお願いいたします。

【部会長】それでは、早速議事次第に従いまして議事に入っていきたいと思います。 まず、議題の1ですが、環境庁長官から「ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について」の諮問があり、当部会に付議されております。
まず、事務局よりこの諮問文を朗読していただきまして、内容につきましてご説明いただきたいと思います。

【水質管理課長】それでは、資料の1−2をごらんいただきたいと思います。
本日付の環境庁長官から中央環境審議会会長あての諮問ですが、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について(諮問)「標記について、環境基本法第41条第2項第3号の規定に基づき、次のとおり諮問する。ダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁に係る環境基準の設定、特定施設の指定及び水質排出基準の設定等について、貴審議会の意見を求める。」というものでございます。
諮問理由は、「ダイオキシン類による環境の汚染の防止等をするため、ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準を定めること等により、国民の健康の保護を図ることを目的として、このたび、ダイオキシン類対策特別措置法が制定されたところである。このため、政府としては、法第7条に基づき、ダイオキシン類による水質の汚濁に係る環境上の条件について、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めるとともに、法第2条第2項に基づき、ダイオキシン類を含む汚水又は廃液を排出する施設を特定施設として定め、また、法第8条第1項に基づき、特定施設に係る排出水に係るダイオキシン類の排出基準等を定める必要がある。」以上が諮問文でございます。
なお、この諮問は本日付で行われまして、また、本日付で、中環審会長から当水質部会に対して付議がなされており、当部会においてご審議をいただくということになっております。
  この諮問につきまして、若干背景説明を含め参考資料の説明をさせていただきますが、参考資料の1−1をお開けいただきまして、ダイオキシン類対策特別措置法について、概略を説明させていただきます。

【事務局】参考資料1−1から1−8を説明。

【水質管理課長】ただいまは本日諮問がなされておりますダイオキシン対策特別措置法に基づく環境基準等設定についての諮問とあわせて、最近の状況についてご説明をしたものでございます。
それから、この件の審議につきまして、もう一つお諮りしておきたいことがあります。資料の1−3をお開けいただきたいと思いますが、この本件の諮問についてのご審議をいただくための専門委員会の設置についてお諮りをしておきたいと思います。
このダイオキシンの件は、極めて専門的な事項の調査、検討を要すると考えられますので、環境基準、排水規制、それぞれについて専門委員会を設置してはいかがかと考えております。1−3にお示ししておりますものは、当部会の専門委員会の設置についての規定でございますが、これまで5つの専門委員会が設けられておりますけれども、これに、ダイオキシンについての環境基準と排水規制の専門委員会を置き、それぞれこの特別措置法に基づきまして求められました環境基準あるいは特定施設の指定、排水規制の排出基準の設定等について専門的な調査をお願いすることといたしてはいかがかと考えています。あわせてご審議のほどお願いいたします。事務局からは、以上でございます。

【部会長】 どうもありがとうございました。
ただいまはダイオキシンに関する最近の状況と、これを法的に整備するために二つの専門委員会の設置の提案がございました。
これに関しまして、私の方から申し上げておきたいことがございます。先ほど来、事務局あるいは局長からもご紹介がありましたように、先般、国会におきまして全会派が一致して議員立法としてダイオキシン類対策特別措置法が成立したということでございます。そして、この法律を受けまして、政府はダイオキシンにかかわる水質環境基準と、それから、排水基準を定めて、これを整備して6カ月以内に施行するというふうなことになっておりまして、かなり時間的に厳しい中で、このダイオキシンに対するもろもろの作業を行っていかないといけないという、こういう背景にございます。このダイオキシンにつきましては、皆様ご承知のように、ここしばらくいろいろと大きな社会問題がございまして、これに関しましての国民の関心も非常に高いわけで、それを反映した形で今回の法整備が行われたというふうにも考えられるわけでございます。水質部会といたしましても、本日、この諮問を受けまして、環境基準、排水基準の審議を直ちに行う必要があるということで、私の方で受けとめております。
ところで、このダイオキシンでありますけれども、これを始めといたしまして、最近、水質汚濁等にかかわる有害物質が非常に多様化してまいりまして、水質汚濁を防止する面でどういうふうに扱うかということについて、従来からこの部会でも討議をいただいてきたわけであります。具体的に申しますと、水銀とか、シアンとか、そういったものは明らかに毒性が強いものとわかっておりますので、これに関しましては、環境基準を設定し、それが維持、達成できるように水質規制をかけ、違反する場合には直罰をかけるという、いわゆるその規制行政というような形で現在の仕組みが適用されてきまして、このおかげで、かなりの環境改善、あるいは環境保全に役に立ったということが言えるわけであります。
しかし、最近の有害物質に関しましては、場合によりましては、毒性はあるということはわかっていても総体的にその毒性が低かったり、その物質が自然界に自然の状態で相当量存在しておる物質であるというふうなこともございまして、こういった物質に関して従来型の管理方法が、果たして今後の水質の保全に対しまして適切かどうかという問題もいろいろとご議論いただいたということであります。すなわち、有害物質のリスクは大小いろいろあるわけですけれども、大きいものは大きいなりに、小さいものは小さいなりに管理していくという方法を何らかの手法として、管理手法として検討し、取り上げていくという必要があるのではないかということでございまして、先ほどご説明ありました今回のPRTR法もいわば新しい有害物質に対する管理方法の一つを述べたものではないかというふうに思います。
こういうふうに有害物質にかかわりまして、水質汚濁防止行政におきましては、これまでの環境基準と排水基準を中心とした体系、これがよいのかどうかということを委員の先生方からいただきました意見を拝聴いたしまして、水質部会でもこれから議論していくべき課題ではないかというふうに思っております。しかし、先ほど来ご説明がありましたように、今回、諮問をいただきましたダイオキシンの環境基準等の設定につきましては、非常に緊急性が高く、しかも、これを扱う期間が非常に短いと。いわば国民の声を受けたものでありますから、どうしてもこれをある程度先行させていくということはやむを得ないのではないかと思います。
二つの専門委員会の設置が提案されましたけれども、これが設置されることになりましても、扱う作業の中で、当然、ダイオキシンに関しましても、先ほど私が申し上げましたような新しいその管理の方法というふうなものも抱き合わせながら考えていただくという作業があるものと思っておりますが、今言ったような事情でダイオキシンに関する審議を先行させるということになるのではないかと私は判断をしておりますので、ひとつ委員の先生方にもその点ご理解をいただきたいと思います。
それでは、先ほど事務局からご説明いただきました最近のダイオキシンに関するもろもろの作業の内容及び二つの専門委員会の設置の提案に関しまして、委員の先生方からご意見があろうかと思いますが、いかがでしょうか。

【A委員】今、水質部会長のおっしゃられたこの二つの問題を専門委員会で審議していくことには全く異議がございません。特に大変専門的な知見を要する分野でございますので、どうぞそのように進めていただければと思います。
質問が1、2あります。このような物質というのは、先ほどからご説明がありますように、ごく微量で非常に生物の蓄積性があるということ、これはすなわち食物連鎖を通してどんどん濃縮をされていって、もしかしたら何万倍というふうな濃度に上がる可能性があると思われるのですが、従来のその水ということだけで見ればそんなに難しくないし、ここでデータを見せていただくと、今までそんなに大きな問題も当然ですがないので、その環境基準というものを従来型で決めていくことは、それほど難しくないような気がするのですが、生物濃縮を考慮した、いわゆる食物連鎖を考慮したような形で本来は決める必要があるのでしょうけれども、その辺の考え方をお聞きしたいことと、それから、この物質は、たしか人間よりも他の生き物の方に非常に有害性が高いと思うのですが、健康項目ですから人間だけの影響を考えるのか、その二つについて質問させていただきます。

【事務局】2点ご質問をいただきました。生物濃縮を考慮した環境基準を設定するのかということと、人の健康影響だけを考慮して決めるのかということでございますが、まず、1点目の生物濃縮を考慮した基準にするのかどうかということでございますが、過去の環境基準の設定に際しての考え方を調べてみますと、水銀あるいはPCBの場合には、生物濃縮を考慮した基準の設定となっておりました。 ダイオキシンは、水銀とかPCBと、同程度かどうかはわかりませんけれども、濃縮性の高い物質でございますから、生物濃縮を考慮する必要があろうかと思います。ただ、同時にダイオキシンがどの程度どういう機構で濃縮されていくのかというところを今後さらに調査をする必要があると思います。その上で、生物濃縮を考慮した基準が適切に定められるかどうかというご議論をいただくことになるかと思っております。
それから、人の健康だけを考えるのかという点につきましては、今回は、法律上も人の健康の保護の観点からの環境基準となっておりますので、人の健康の保護の観点からの基準を定めていきたいと考えています。ちなみに、そのほかの水銀だとかPCBであるとか、ほかの有害物質についても人の健康の保護の観点からの基準が定められています。もちろん今後の課題としては生物影響の観点からの基準も考えるべきではないかというご指摘をいただいていることは承知しているわけでございまして、そういった研究もしていきたいとは思いますけれども、今回に限って言えば、人の健康の保護の観点からの基準をつくってまいりたいと思います。

【B特別委員】ただいまの質疑に関連してお聞きしたいのですが、今回の環境基準あるいは排出基準というのは、従来の手法に加えて、特別措置法で特にこういうことの考慮をし、あるいはこういうプロセスを組み込んでという、今までと違う要素で念頭に置くべきことが出てきておるのでしょうか。

【水質管理課長】環境基準については、人の健康の保護のため望ましい基準で、水質に底質も含めて考えるということ。それから、排出基準につきましては、排出削減に係る技術水準を勘案して定めるということが特に法律で規定されていること。その辺が特徴かと思います。

【部会長】 地下水はどうなっているのですか。

【地下水・地盤環境室長】ダイオキシン類対策特別措置法では水質の汚濁に係る環境基準ということになっておりまして、特に公共用水域の環境基準というふうにはうたっておりません。ご存じのように環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準としては、公共用水域に関するものと、地下水に関するものの両方定められておりますので、もちろん、今から専門委員会でご審議いただくわけでありますけれども、地下水は排除しているものではないというふうに考えております。

【A委員】たしか水質の中に底質を含むと記載がされているのですが、たしか環境基準というのは、従来水質だけですよね。底質を含むというのは、底質だけ水とは別に基準値をつくるという意味なのでしょうか。そこを教えてください。

【事務局】ご指摘のとおり、環境基本法においては底質の環境基準はつくらないというふうに読めるわけでございますが、ダイオキシン類対策特別措置法においては、底質についての環境基準もつくるというふうに解されます。

【C委員】この法律を前提にして、部会長がおっしゃられましたように何はともあれ、これは早急に審議を進めなければならないと思うんです。それはもうよろしいのですが、ただ、この法律の特徴としてTDIが法律ではっきり書いてあるんです。これは、恐らく推察すれば、国民が非常に心配しているから法律できちんと決めて、施行に当たって、政府にそれを前提に法の施行をせよということで、一つ大きな枠をかけたと。それは、国民に安心を与えるためであるというようなことではないかと想像するのですけれども、そういうふうに考えていいのかどうか。
それから、もしそうであるとすれば、果たして水道の水質基準、あるいは食品衛生法上の取り扱い、こういうことについて厚生省はどういうふうに考えておられるのか。もし、環境庁として何か情報、他省庁のことですからここでお伺いしてもはっきりしたお答えはないかもしれませんけれども、多少情報交換があれば、それについてお教えいただきたいと思います。

【水質管理課長】法律自体でTDIを決めているのかとの点については、正確に言うと4pg以下で政令で決めることを法律が求めているということです。この点については、基本的にはご指摘のとおり国民の不安ということと、議員提案に当たっての関係政党間でのいろいろな話があった結果として、そのような規定になったということだと理解しています。
それから、水道とか食品関係につきましては、現時点で私どもが聞いているところでは特段の何か基準を決めるといったような動きはないように承知しております。

【D委員】第7条で環境基準を決め、第8条で排出基準を決めるとなっております。そうすると、第7条に基づく環境基準が決められれば、当然、モニタリングとかその常時監視が必要になる。これが26条に決められているわけです。ただ、問題はこの常時監視、大気などの場合に自動測定機器で測定できればいいわけですが、ダイオキシンは非常に時間もかかるとかいろいろあろうかと思いますが、この際、この辺のいわゆる都道府県知事にこれは責任が負わされて、都道府県知事は常時監視しなければならないとなっているわけですが、これは、従来の水質関係の環境基準で月1回、1日4回とかいろいろございますよね。それから、年何回かやればいいというのがあるのですが、その辺の常時監視の頻度というのでしょうか、少なくとも年平均値が出せるぐらいの測定回数は必要であるとか、何かその辺があろうかと思うのですが、それから、27条で調査測定というのは、これは常時監視とは別に、いわゆる排出基準などで決められますから、工場が排出基準に違反すればそれなりに改善命令というのも出されるわけですが、そういう意味での調査測定なのか、広い範囲で、いわゆる測定的な意味での調査測定ということなのか、その辺ちょっと何かわかりましたらお教えいただきたいです。

【水質規制課長】今のご質問でございますけれども、確かにご指摘のとおり年平均なり、地域の代表制というものを的確に反映できる、把握できる形でのその測定の方法、いわゆるネットワークの張り方というものを定めていかなければいけないと思います。ただ、一方でダイオキシンの測定は、ご承知のように一般的に申し上げてダイオキシンの測定というのは手間もかかりますし、コストもかかると。そういうさまざまな制約状況の中で、今申し上げたように、最大限この法律の趣旨あるいはダイオキシン汚染の防止という観点から適切なモニタリング体制というものを定めていきたいと、そういうふうに考えています。今後は、環境基準、排出基準を決める過程では、同時にその測定の体制のあり方ということも視野に入れて検討を進めていきたいと思っております。

【E委員】ダイオキシン類対策というのは、これは大変重要だということが、我々産業界はもう非常によくわかっているわけでございますが、それで、各社がISO14001をとるとか、そういう自主活動というのは昔と違って相当活発になってきていると。それは、どういうものが有害物質であるかどうかということもだんだん明らかになってきたということもあるわけであります。そういう中で、これから検討していただくわけでありますけれども、4点ぐらいの希望を箇条書きに並べさせていただきたいというふうに思います。
第1点は、今回の諮問というのは大気を含めた全体のリスクについて議論しようということであって、ダイオキシン類対策特別措置法の趣旨というのは、全体の排出について総合的にリスクを評価する。どの分野を重点的に対策を講ずるかということを検討した上で行うという認識を我々産業界は持っているわけです。したがって、先日、政府が発表しましたインベントリーでも、今日もご説明がありましたけれども、ダイオキシンの総排出量約3,000gという中で排水の占める割合というのは1gにも満たない状態にあると。こういう事実を踏まえますと、排水においてどのような対策をとるべきかということからではなくて、そもそもダイオキシン対策という中で排水対策は重点事項であるのかどうかという議論も、こういう専門委員会ができたらば、そこで何としてもそういう答えを出さなければいけないというのではなくて、やらなくてもいいのではないかというのも一つの答えだというように思いますので、そういう意味で、十分その点のご議論をいただきたいというふうに思っております。
特に、昨日の朝日新聞にも出ておりましたように、9月大きな緊急調査をやられると。これがとんでもない数値であれば、当然、今すぐに必要と思いますが、全体の中の占めるウエイトから考えると、そういう調査を行った後で、その結果で必要かどうかということを考えていくということも一つの手法であろうというふうに思います。
それから、2番目は、その科学的リスク評価に基づいた対策の実施をひとつ議論していただきたい。産業界では、もうダイオキシン対策というのは特に重点的に取り組む必要があるというふうに、もう全部そう思っているわけであります。かつ科学的に必要とされたものについては、当然、規制を受け入れ確実に遵守すると、そういう姿勢を産業界はもう既に持っているわけであります。ほかの例でたくさんあるわけでありますけれども、排水が汚染に対してどの程度寄与しているのかということについては、必ずしも科学的な知見が十分であるというふうには、我々産業界では思っておりません。そして、現行の技術水準に基づいて可能なレベルの規制を課すということは、リスクベネフィットの点からしても必ずしも適当であるということではないと思います。排水基準以上に事業者がみずから努力しようというインセンティブを現在持っているわけです。それは、単にこういう規制という問題だけではなくて、マーケットからの要求、あるいはこの国民感情、あるいはこういう我々の置かれている事業者の立場というものは、もう既にあらゆる面からそういう条件に置かれているわけでありますから、そういうインセンティブを我々は認めていただかないと、認めていただかないとと言うとちょっと問題がありますが、環境保全の観点からかえってその意欲を失うという逆効果も出てくる。それだったら数値を守ればいいのではないかと。こういう考え方は決して正しいことではありませんけれども、やはり何でも規制規制というのはどうかなと。やる気がないところはそうしなければいけないし、実際に実害があればそうであると思いますけれども、その点を特に配慮していただきたいと。したがって、排水基準の設定に当たっては現行の技術水準からだけではなくて、科学的なリスク評価によって設定された環境基準、対策による効果等を総合的に判断した上での議論としていただきたいというふうに思います。
3番目は、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、事業者の自主性を尊重した対策を、ぜひもうそろそろそういう時代にしていただきたいと。冒頭に申し上げたように、産業界というのは、ダイオキシン問題は非常に重要だと、会社の存立にかかわるとさえ思っている企業もあるわけであります。その際、これまで製紙業界、私も製紙業界の代表でありますけれども、自主的な取り組みというのは排出削減に非常に有効であったというふうに思います。したがって、産業界としては、今後ともダイオキシン対策に自主的に取り組んでいく用意があるわけでありますから、この産業界の自主的な取り組みを無為にするということがないように、産業界の意向を踏まえて検討していただきたいというふうに思っています。ちょっとお聞きになられたと思いますが、製紙業界においては、平成2年度以来、自主的に対策指針を策定いたしまして、ここで9割減らそうというお話が出ていますが、既に3年間で390億の投資を行って、既に目標を達成している。実際に排水へのダイオキシンの排出量は対策前に比べてもう既に9割削減しているわけであります。最近の調査でも年間0.1gというような状況になっておりますし、当社を含めまして各工場がISO14001という認証取得もしまして、自主行動をやっていると。教育でも同じでありますが、自主的な努力の成果を認めるという体制は、一方において、やはり必要ではないかと思います。万一、特定施設に指定されますと、これは工場の事業面に非常に大きな負担になります。私も工場長を随分やりましたけれども、実際に工場で一回特定施設ということになると、これは地域との関係も含めまして非常に複雑でありまして、特定施設に指定するということに対しては相当慎重にしていただきたいと。そうでなくても現在の経済状況下で存立をかけてみんなリストラをやっているわけで、日本の企業が生き残るかどうかというところに、とにかくかけておけばいいやということがないように、これはもう相当慎重にやっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
4番目は、行政と学への要望でありますけれども、お茶の問題等いろいろありました。ダイオキシンの問題というのもありましたが、その都度、不安を募らせてそれをあおるような格好になってしまっていると。正しいリスク評価ができるような基礎的な調査、研究をぜひ進めていただきたい。同様にその対応技術の研究開発、どうやったらいいのかということについても考えていただきたい。産学官一体となって進めるべきというのが私どもの基本的な考え方でありますが、「学」がどのような役割を果たすのか、そういうことをはっきりさせていただきたいと。数値で事業者の数値幾つ幾つということだけ、排水基準が環境基準がというだけではなくて、どうやってこれをよくしていくのか。それには、三者がそれぞれどういう役割を果たしていくのかと。法体制として、やはりもうそういう時代ではないかというふうに思いますので、ぜひその4点をお願いしたいというふうに思います。

【部会長】 非常に貴重なご意見をいただいたように思いますが、そういったほかの委員のご意見も含めまして、記録にとどめさせていただきますが、いずれにしましても、これから短い期間に今いただきましたような意見を反映した形で作業を進めるということになろうかと思います。
つきましては、先ほど二つの専門委員会、「ダイオキシン類環境基準専門委員会」というのと、「ダイオキシン類排水規制専門委員会」、この二つを設置いたしまして討議を進めていくということに関しましてご賛同の発言もございましたけれども、この二つの専門委員会を設置するということで、お認めいただけるでしょうか。

(「異議なし」という声あり)

次に、この専門委員会の委員の人選でございますが、中央環境審議会議事運営規則等により、専門委員会に属すべき委員及び委員長は、部会長が指名することになっております。そこで、専門委員会の委員長は、ダイオキシン類環境基準専門委員会につきましては私が、ダイオキシン類排水規制専門委員会の委員長には、松尾委員にお願いしたいと思います。
それでは、諮問事項につきましての検討は、この専門委員会の委員の方々によって進めていただきますが、おおむねことしの10月を目途に報告をお願いしたいと思います。大変厳しい期間でありますけれども、松尾先生、ひとつよろしくお願いします。
それから、情報公開法というのが、今年5月に公布されましたけれども、専門委員会は部会の審議ための調査を行う場であるという、そういう位置づけから、従来からこれを公開の対象としてきませんでした。しかしながら、この公開法の公布によりまして2年以内にこれが施行されるということになっておりますので、専門委員会におきましても、審議はできるだけ公開性を高めていきたいというふうに考えております。また、公開に関する総合部会の決定事項がございまして、それに基づきますと、「その他公開に関し必要な事項は部会長が定める」ということになっておりますので、部会長の私と専門委員会の委員長でその扱いを相談して決めていきたいと思いますので、よろしくご理解いただきたいと思います。
以上で、ダイオキシンにかかわります二つの専門委員会の設置に関する1番目の議事を終わりたいと思います。

引き続きまして、二つ目の議題でありますが、「水質汚濁防止法の特定施設の追加について」でございます。
本件につきましては、一昨年の5月14日といいますから、2年以上前のことでございますけれども、環境庁長官より本審議会に対しまして諮問がございまして、排水規制等専門委員会において検討していただくということになり、これまで検討をしていただいてきたところでございますが、本日、その専門委員会の報告を用意していただいております。専門委員長からこれまでの審議経過並びに報告の概要につきまして、まずご報告いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【排水規制等専門委員長】この専門委員会は、平成6年2月にジクロロメタン等13の有害物質の追加があって、それに対応して特定施設の方を決める専門委員会ということで発足しております。
先ほどもお話がありましたように、平成9年5月にこの諮問をいただいて検討しておりまして、実は平成10年3月9日に「PCBの処理施設」ということについては、緊急性もあるということで、それから、ある程度の資料が整ってきたということで、それを追加するという報告を第一次の答申ということで出させていただいたわけであります。
本日は、それに引き続く第二次の報告ということで申し上げたいと思いますが、これは、資料の2−1になりますが、本日、この資料に基づいて報告申し上げる次第であります。そういう意味で、改正規定の専門委員会で鋭意検討してきました結果、その新しい項目にかかわるものとして、この資料の一番最後のところに結論が書いてありますが、有害物質の製造・使用、公共用水域等における検出状況等を踏まえ、ジクロロメタンによる洗浄施設及びジクロロメタンの蒸留施設を水質汚濁防止法の特定施設に追加する必要があるというような結論に達したわけであります。そういう意味で、専門委員会としては、この結論をこの部会にご報告して、皆様方にご検討をしていただきたいと思うわけであります。以上、極めて簡単な経過の説明になりましたが、もう少し詳しい説明については事務局から資料に基づいてご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】(資料2−1、参考資料2−1、参考資料2−2を説明)

【部会長】 それでは、ただいまのご説明に関しまして何かご意見、ご質問等ございましたらお願いします。よろしゅうございますか。

(「なし」との声あり)
それでは、ただいまのご説明に基づきまして、専門委員会の報告をもとに答申(案)を取りまとめるということにしたいと思います。
事務局の方でこの答申(案)を準備していただいておりますので配付願います。

(答申(案)を配付)

【部会長】なお、本件につきまして、これを答申とする前に国民の意見を募集する手続、いわるゆパブリックコメントの手続を行う必要がございます。
それで、今お配りいただきましたこの答申(案)、もしこれでよろしければ、パブリックコメントのやり方につきまして事務局の方からご説明いただきたいと思います。

【事務局】(参考資料2−3、資料2−2を説明)

【部会長】ありがとうございました。
それでは、パブリックコメントの手続のことにつきまして、それから、それを行う上に当たっての募集の方法の説明をいただきましたけれども、それらに関しましてご意見あるでしょうか。

【A委員】ただいまの説明で結構なのですが、仮に今のジクロロメタンの特定施設にするのは非常に不適切だというような意見がかなりたくさんあった場合なのですが、そういうような場合に、これはもう答申をしてしまってからそれを伺うということになるんでしょうか。私は先ほどちょっと聞き漏らしたのですが、要するに、順番がどういうふうに反映されるのかというのがちょっとはっきりわからなかったことと、それから、もう一つは、ここで決めることはたしか政令と省令までとおっしゃっていたのですが、先ほどのダイオキシンなんかは、かなり専門的、技術的なところがあるので当然だと思うのですけれども、さっき11月までに決めろとおっしゃったんですよね。それは、これまでを含めて11月なのか、あるいは専門委員会の出たところでパブリックコメントを伺うのか。私も今まで廃棄物のものとか、それから瀬戸内海のものとか、幾つか参加してきているのですけれども、順番をどういうふうにしてどういうふうに反映させるのかがちょっとすっきりしないような気がするので、ちょっと教えてください。

【部会長】わかりました。ちょっと私の説明不足だったかもわかりませんが、今、問題にしておりますこのジクロロメタンの件ですけれども、これは、先ほど配付していただきましたものの答申(案)というのは、まず、このパブリックコメントに公表する案をお認めいただいたことになります。それをやることになりましたら、一カ月後を期限としまして意見を集めまして、それを次の水質部会で討議いたします。そこで改めてこの部会から審議会の会長に答申する案を固めるわけです。それが、このジクロロメタンのやり方ですが、同じようにダイオキシン等につきましても専門委員会の答申がありました後…。
【A委員】ここでやってから、答申の案をつくってからパブリックコメントをやるんですね。

【部会長】それで間違いございません。

【A委員】はい、わかりました。

【F委員】ただいまの論点にかかわらず、その先のもう少し細かな話になるのかもしれませんが、要するにタイミングの問題なんです。今、部会長からご説明がありましたように、今日のこの会議では答申(案)というものを一応定めて、それをパブリックコメントにさらすと。その上で、さらにその結果を見て、改めて水質部会において審議をし、最終的な答申をこっちですると、そういうことでございますね。筋は通っていると思うのですが、その場合に、例えば今もA委員からご指摘がありましたように、かなり問題とすべき意見が多数出たと。これは、特に専門技術的な事柄なものですから、どうするのがいいのかというのは、まだまだこれは試行錯誤の段階だと思うのですけれども、場合によっては、これは専門委員会でご審議いただいて、その部分が審議の重点部分になっているわけですので、出てきた意見によりましては、また専門委員会にご返答をいただくというようなこともあり得るのであろうと。しかし、必ずそうなるものでもないだろうとは思いますが、そういうような理解でよろしいのでしょうか。

【部会長】まず、事務局どうぞ。

【水質規制課長】端的に申し上げると、今、先生がおっしゃっていただいたとおりでございます。もちろん、先ほど参考資料の2−3でお配りしました閣議決定の中にも記載されてございますが、3ページ目の(6)、意見・情報の処理というところがございます。国民の方々からお寄せいただきました意見に対しまして、その案を公表した行政機関が提出された意見・情報を考慮して意思決定を行うということになってきますが、これが審議会での斟酌ということに差しかえられるわけでございます。これに対する考え方を取りまとめて、再度、国民の方々にもその提出された意見に関する考え方をお知らせすると。もしそこで、例えば極端な例として、全く新しい事実が存在していて、それを斟酌しなければならないという事情が生ずれば、それは謙虚に受けとめて、もう一度ご審議をいただくあるいは行政機関としても考え直すという手続になってまいります。

【C委員】法律的な理論としてはそのとおりなんですけれども、かつて行政をやった者として言えば、当然、そういうことは行政官が現場に行ってある程度の感覚を持つべきではないか。もちろんこういう手続をきちんとやることは結構なことです。ですから、それは悪いとは言いませんけれども、すべてそれにゆだねてしまうというのはいかがなものであろうか。つまり、現実に、先ほど製紙業界ご出身の委員からご発言がございましたけれども、ひとつ特定施設に指定されるということは大変なことであると、まさにそういうことであろうと思うんです。ですから、そういう痛み、特に中小企業なんかは、多い場合にはなかなかその従来の通産省の行政ルートにはのってこないかもしれないわけですから特に配慮して、行政自身としても当然そういう情報収集には努力するということをやっていただくべきだと思うんです。とても忙しくてそんな暇はないと、次から次へダイオキシン問題も扱わなければならないのでという、そういう実際にお仕事をされている立場から言えば、そういう反論もあろうかと思うのですけれども、やはり行政というと、本来、そのパブリックコメントをやらなくても、十分その現場の感覚を持った上で行政をやってもらわないと、いろいろ間違いが起きる可能性があるので、法律理論としては、我々も納得ができますけれども、その点、特に要望をしておきます。

【水質保存局長】一言だけ。当然、そういうプロセスを経て我々はチームをつくりまして、そして、この部会でご審議いただいて答申(案)をパブリックコメントに付すと。ただ、全く気づかない、全く視点の違う観点からの意見もあり得るということで、万全を期しているということでございます。C委員からご指摘があった点につきましては、審議の過程においては当然全力を尽くすという点はご理解を賜りたいと思います。ただ、何人も完全ではありませんのでということだけは、これは付言させていただきます。

【C委員】はい、よくわかりました。

【G委員】この件については賛成なわけなのですが、この意見の提出を求めるために公表する資料として、十分にその情報提供をした方がいいと思うんです。きょうの参考資料2−2でご説明をいただいたジクロロメタンを、この際、特に問題にすべき理由というので、私の認識より表現がマイルドだったと。私はもっと、例えばこのオゾン層を破壊するということで、1,1,1−トリクロロメタンが使えなくなっているということとか、あるいはフロン113が使えなくなっているということで、代替溶剤としてのこのジクロロメタンの使用量は非常に増加傾向にあるということが憂慮されているわけでございまして、この資料を見ますと、1995年までしか出ていないのですが、図がございますね、参考資料2−2に。4年前なわけですけれども、これは1年ごとのデータですから、もう少し近いところまで手に入れられないかなと。もっとこれははっきりとふえているものではないかというふうに私は思います。そういうようなことで、このジクロロメタンは、使用量が非常にふえつつあるということで、大気あるいは水質への拡散と申しますか、排出を最も注意して対処すべきものだと思っておりますので、その点をどうぞよろくお願いします。

【部会長】 ありがとうございます。95年以降の消費量の情報は何かございますか。

【事務局】ちょっと手元にこれくらいしかなったものですから。ちょっと早急に調べまして、もし可能であれば最新の情報まで入れて付したいと思っております。その辺はやってみないとわかりませんので、可能な限りちょっとやってみたいと思っております。

【B委員】資料2−2の2ページの上から5行目を見ますと、「その他の有害物質について、現時点で特定施設に追加すべき施設はないとされた。」と、こうされているのですが、これは部会に報告があって、私ども確認をしたのでしょうかというのが1点でございます。
今回、ジクロロメタンの洗浄及び蒸留施設についてのみ意見を聞くのでしたら、表題もジクロロメタンと明確にうたう方がよろしいのではなかろうかと。特定施設は今後ぞくぞくといいますか、いろいろ出てきますので、一般名称よりは表題で中身がわかるような工夫をされる必要があるのではないかと。以上、2点でございます。

【事務局】2ページ目につきましては、その他の有害物質についても製造・使用状況を専門委員会の方でご検討いただきまして、当面、今の段階では、もう一つチウラムという物質もあったわけなのですが、それは今のところ特定施設に追加するものではないということで、ジクロロメタンの洗浄施設、蒸留施設について追加する必要があるということでお答えいただいております。その他についても専門委員会の方で、すみません、ちょっと報告がジクロロメタンだけになってしまいましたけれども、そういった意味では、取りまとめは検討いただいております。
あと、表題の件は、要はこれはジクロロメタンに特化した方がいいというのか、あるいはもう少し全般的に検討したものをつけてという、すみません、どちらが…。

【水質規制課長】今、B委員ご指摘の趣旨は、一般の国民の方々に事柄の内容を端的にご理解いただけるようにと、そういう意味もあって、そのジクロロメタン云々と直接的に書いた方がよろしいのではないかというご趣旨だと思うのですが、確かにその辺、これはもちろん専門委員会にご検討いただいている内容はこの表題が示すとおりでございますが、今回のパブリックコメントを求めることにつきましては、さらに具体的に内容が特定されておりますので、それが一目瞭然、国民の方々にご理解いただけるように、ちょっと表題については工夫をさせていただきたいと思っております。

【H委員】特に専門家だけではなくて広くこの意見を求めるということなので、そのジクロロメタンとはどういうものであって、これまでの経過はどうだったかということが、ぱっと見て、余りたくさん読まないとわからないようなものではなくて、簡単に説明があればわかりやすいのではないかと思います。それと、もう一つ、意見を寄せる人に年齢や職業を聞く必要があるのかどうかちょっと疑問を感じるんですけれども、全く違う話で申しわけありません。今すぐお答えいただかなくても、ちょっと話が違いますので後からで結構です。

【水質規制課長】確かに今ご指摘の点もごもっともだと思いますので、私もその辺について、例えばジクロロメタンの製造、あるいは使途、そういった一般的な記述からさらにちょっと工夫をさせていただきたいと思います。
それから、住所、電話番号、年齢と、一応それを書いてございますが、届出と違いますので、それを完全にお書きいただかなければ採用しないとか、斟酌しないということではございませんので、その辺は、私どもの将来の行政の情報の参考としてむしろ表に出すわけではございませんけれども、あわせて掌握した方がよろしいのではないかという判断で書いたものでございますが、いずれにしてもご指摘の点に対して、再度できるだけいい形にしていきたいと思っております。

【H委員】こちら側で、データとして必要だというだけであれば、住所、電話番号及びファックスを除きすべて公開と書いてありすので、ここに年齢、職業も公開はしないというふうにあればいいのではないかと思います。

【部会長】そのように扱っていただきたいということでよろしいですか。
ほかに何かございますか。

【水質保全局長】瀬戸内の答申の経験からいいますと、どういう団体あるいはどういう職業の方かは、コメントが出された方が、例えば漁業者であるとか、そういう意見を出されるときにむしろ一つ重要な情報であったと、国民にとって。意見が出されますと、私どもは答申の一番最後にコメントの要旨を紹介いたします。そして、そのコメントに対する審議会ないしは委員会、この場合は部会のコメントを整理してまとめます。そして、どういう意見が出されたか自体が国民にわかるようなという対応をすると、こういうことになります。その際に、年齢はちょっと別でございますけれども、どういう団体であるかあるいはどういう職業であるかということは、一つの判断材料として国民が求める可能性、あるいはそういう要素が非常に高いというところをご考慮いただきたいと思います。したがいまして、要するに意見を出される方が、その職業、年齢等々プライバシーにかかわることを公開することを望むかどうかがわかるような点も含めて、検討して対応したいと。頭から職業を除けとか年齢を除けというのではなくて、そういう形の対応をちょっと工夫したいと思います。

【I委員】いつも同じ観点からの意見かなとも思うのですけれども、この審議会に出てみて、やはり非常に話が高度だなと思うんです。広く国民からということをおっしゃって、それはとてもすばらしいことであると思うのですけれども、前回もそうだったのですが、やはり非常に難しくて、そして意見がくるのもやはり専門的な方が非常に多かった。本当の意味での国民というか、本当の意味とはどういうことかちょっとわかりませんが、私なんかはお隣の奥さんと台所で話をしている環境も、そういう程度の話とか、そういうところがすごく大切なのかなと。私はこの審議会に出て、国はこんなに努力しているんだという新鮮さがあるし、そして、またいろいろな企業の方にもお話を伺うと、いろいろなものすごく厳しい規制の中で努力しているんだということも知りましたし、そういうことがすごく新鮮なんです。だから、そういう情報をできるだけ国民にじかに発信してほしいなと。いろいろなメディアがこれからデジタル時代に入りますし、あると思うし、奥様方が好んで見ているところに出すとか、そういうふうなことも今後考えていただきたいなと思っております。

【F委員】先ほどのご発言との関係ですけれども、そのお寄せいただいた意見等のうち、これこれは公開される可能性があることをご承知おきくださいという中に氏名が入っている。氏名を公開され得るような書き方なんですけれども、本当にそうなのでしょうか。少なくとも個人の氏名は除くべきではないでしょうか。しかし、逆に言えば団体の名前はそれとは別とした方がいいだろうと思うんですけれども。

【水質規制課長】今、その辺の慎重なご指摘をいただいておりますので。
それと、私どもも過去の例などを調べながら、先ほど局長からもご説明申し上げましたように、パブリックコメントを求めるということの趣旨が損なわれることのないようにしたいと。しかも、そのお寄せいただいた方々のプライバシーを侵害するということになる、あるいはそれをいとわれるということがあるならば、それもどう斟酌したらいいのか、その辺をちょっと事務局で検討させていただきたいと思います。
  もう一言申し上げますが、参考資料の2−3の閣議決定の中にも、3ページ目の(6)の下に考え方の(2)というのがございますが、上から4行目でございますが、提出された意見・情報で、公にすることにより、個人又は法人の権利、競争上の地位その他正当な利害を害するおそれのあるものについては、行政機関の判断により、その全部又は一部を公にしないことができるという規定もございます。この辺は非常に判断の難しいことだと思いますけれども、いずれにしても、そのパブリックコメントを求めるその筋合いの問題、それから、その意見のいわば背景にあるその辺を的確に判断できるように考慮しながら今の取り扱いを全うさせていただきたいと思います。

【部会長】私もちょっと頭がこんがらがってきましたけれども、そういう判断を事務局でなさるわけですけれども、その結果こういうふうにやりますよというのは、例えばこの部会に資料としてお出しになることになるのでしょうか。

【水質規制課長】今申し上げました方針は、ちょっと検討させていただきますが、私どもが得た結論につきましては、各先生方に別途後日ご照会をし、持ち回りでご了解いただけるようにさせていただきたいと思っております。

【D委員】今の規制課長がおっしゃった3ページの(2)ですか、その下のところで、案等の公表に際して、これらを公表又は公にすることが予定されていることを明示している場合に限るということは、そうすると、F先生がおっしゃったように、氏名が入っていないとすれば公表されてしまうのかということにもなりかねないわけですから、このパブリックコメントを求めるときに、そんな明記とか、団体名は出すけれども個人名は出しませんよとかというのは、やはり前にほかの部会でパブリックコメントを求めたときに、ある業界からものすごい数が出てきて、こんなに意見があるではないかというのでかなり紛糾した経緯がございます。ですから、現実にそういうことがあったわけであって、そういう場合は、そういうようなこともどう対応するか、適正に判断をするかということで、今回の場合には、4ページの上から5行目に該当するわけですね。この手続ですよね、あくまでも審議会としての手続でいいんですね。それについて審議会で判断して、最終的な報告、答申をまとめるということになるわけですね。ですから、これは、今回はどういう形で出るかということで、2−2のところでその辺を明確にしていただければよいのかなという感じがします。

【部会長】ただいまD委員のおっしゃったように、最終的にはこの部会で答申(案)を決定するということになろうかと思いますけれども、そのやり方、何か先ほどの事務局のご意見では、きょうこのパブリックコメントをやるということを認めていただいたら、明日にでもこれを出すとおっしゃいましたけれども、時間的に大丈夫ですか。いろいろ表題を考えるとかそういう時間のかからない問題はいいとしまして。

【水質規制課長】もちろん時間的に厳しいのはございますけれども、非常に重要な問題でございますので、しかも、まだこの手続が緒についたばかりでございますので、後々の例にもなると思いますので、少し慎重に検討させていただきたいと思います。

【B委員】答申(案)の表現なのですが、第一次の答申を出して、これが第二次の答申で、これで宿題は終わりと、第三次はありません。これで100%宿題は終わりですと、こういう答申というふうに理解をしたのですが、そういたしますと、ちょっとこの答申の表現がなかなかそういうふうに読みにくい。諮問に対してこれ一つだけ出てきますと、これが答申であるとこういうふうに受けとめられますので、ここは少し検討されたらというふうに思います。
それから、あり方、諮問に対して広く意見を求めるということでしたが、これ以外には該当しないよという資料を提供しないとフェアーでないという印象を受けます。

【部会長】なかなか難しい問題ですね。前の水循環のときには何かすんなりとこうやってうまくいったように思うのですが、何か今回は相当その反発の意見も…。

【水質規制課長】第一次答申でPCBをやったと。それから、一つ項目ごとに検討してなんていうことがありますので、これで終わりというふうにもならないと思うんです。ですから、その辺はこの記というのをどう書いておくかという点が、あるいはそのさっきの資料2−1ですか、この辺の文言をどうするかというのは、ちょっと私は実は余りかみ合っていなかったことですが、どうしておけばいいのでしょうか。

【事務局】正確に申し上げましたら、今回、専門委員会の方でご検討いただきましたのは、平成6年2月に追加されました13有害物質を排出する施設についてご検討をいただきまして、そのうちジクロロメタンを出す洗浄施設、蒸留施設については、当面、第二次報告として追加する必要があるということでございました。そういった意味では、専門委員会報告の中にありますように、有害物質を排出する施設のうち未規制の施設についてジクロロメタンの洗浄、蒸留施設を追加するということでございまして、例えばその他の水質汚濁の原因となるおそれのある施設については、特に生活環境項目系のものについては、引き続きご検討をお願いしているというところでございます。

【部会長】今思い出しましたが、それは、私もそういうふうに理解しておりました。
というのは、排水規制専門委員会でそのときに1件諮問されたものをすべてやるというのではなくて、今後も出てくるような諮問がございますので、永続的にやるということで専門委員会が設けられたはずでございます。今回、そのうちでジクロロメタンについての関することをまとめられたと。これをまずひとつ公開しようと、こういうことだと思いますので、そのように考えますと、今回のことにつきましては今まで上がっておりましたような手続きでいいのではないかと思いますが、そういう理解で。

【J委員】そうしますと、資料の2−2の2ページの上から5行目は、これは適当でないということにならないのでしょうか。資料2−2の2ページの上から5行目、なお、その他の有害物質について、現時点で特定施設に追加すべき施設はないというのは、もう答申に対しては全部答え終わったと、こういう表現になろうかと思います。

【部会長】今回の専門委員会で対象にしました中では、それしかないということだろうと思います。その辺ちょっと事務局の方から。

【水質規制課長】今ご指摘の5行目の文章は、その他の有害物質について現時点でという限定つきでございますので、これは、趣旨をご理解をいただきたいと思いますが、ただ、文言の書き方についてせっかくのご指摘でもございますので、できるだけ誤解のないようにもう一度改めさせていただきます。
それから、もしお許しいただけるのであれば、先生方のご指摘を踏まえて、答申(案)を、例えば括弧内に答申さらに案と書いてございますが、例えば第二次答申(案)というような形で明記させていただくことで、この場でご了承いただけるのであればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

【部会長】いろいろご意見をいただきましたが、そういったことを踏まえて、ひとつ事務局の方でこれの意見の募集について適切な扱いをしていただきたいと思います。
なお、やはり意見をいただくということですから、わかりやすく意見を求めやすい形で募集をされるということが基本かと思いますので、その点を一つ踏まえていただきたいと思います。ありがとうござました。
それでは、この件につきましては、後日、次回の水質部会におきまして、これはもう最終的なということになるかどうかわかりませんが、とりあえず意見を公募しまして、それに関する取りまとめを行いたいと。できましたら、これが最終答申(案)になるということも含めました扱いにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【部会長】三つ目の議題がその他でございますけれども、事務局で何かございますか。

【事務局】特に議題ということではございませんが、次回の予定については、ただいま部会長からお話がありましたように、ダイオキシンの専門委員会の動き、それから、今のパブリックコメントの件を含めまして、再度部会を開くということになりますので、10月ごろになろうかと思います。またそれに近づきましたときに、先生方のご都合を調整させていただいた上でお知らせをしたいと考えております。以上でございます。

【部会長】ありがとうございました。
これで、一応、議題が終わりましたけれども、せっかくの機会でございますので、委員の先生方から何か特別なご意見はございませんでしょうか。

【K委員】意見の公募というところでちょっと思ったのですけれども、企画政策部会の方から世論調査の結果についての資料をたくさんお送りいただいたんです。平成9年6月に総理府の方で調査をなさった地球温暖化の問題とか、それから、環境庁が10年1月になさった環境基本計画における国民の役割に沿った環境保全の取り組みの状況とか、それから、また地球環境とライフスタイルに関する国民の意識の調査とか、全国3,000人ほど無作為抽出でなさった結果を報告いただいたのですけれども、私は、今日の水質の問題で何かないかと思って一生懸命探したのだけれども、全然なかったものですから、やはりその水環境というか、そういう問題についてもこういう世論調査をなさっていらっしゃるのか。それは、自分の目にとまっていないのかわかりませんけれども、そういうものも大事ではないかと。私も、うちの県の婦人団体ですけれども、1万7,000人を対象にアンケート調査をやります。水質浄化の問題も少し入れようかなと思っておりますけれども、そういう意識の啓発とあわせて、やはりそういう調査も大事なのではないかなと。意見の公募も大事ですけれども、そういうものも少しおやりいただいて、私どもに情報交換させていただければ随分助かるなというように思います。以上です。

【部会長】ありがとうございました。事務局の方から何かよろしいでしょうか。

【水質保全局長】この間、企画政策部会でお配りしましたアンケート調査、どちらかというと調査設計が水環境に傾斜するのではない形でございましたので、今後、今ご指摘の点につきましてはこれを踏まえまして、国民の皆様方の水問題への関心につきまして、いろいろ意見を聴取していきたいと思います。

【部会長】それでは、一応、審議につきましてはこれで終わりたいと思いますので、あとの締めくくりは事務局の方にお任せをしたいと思います。

【水質管理課長】それでは、本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。