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中央環境審議会水質部会(第15回)議事録



1.日  時 : 平成10年3月9日(月) 10:30〜12:00

2.場  所 : 環境庁第1会議室

3.出席者

村岡 浩爾 部会長 
浅野 直人 委 員 小林 康彦 特別委員
鎌倉 利夫 委 員 坂井 順行 特別委員
岸  ユキ 委 員 猿田 勝美 特別委員
木原 敬吉 委 員 七尾  護 特別委員
小早川光郎 委 員 谷山 重孝 特別委員
櫻井 治彦 委 員 林  裕造 特別委員
佐竹 五六 委 員 樋口 敬一 特別委員
清水  誠 委 員 檜山 博昭 特別委員
須藤 隆一 委 員 福井 経一 特別委員
隅山 克己 委 員 松尾 友矩 特別委員
高橋さち子 委 員 
中川昭一郎 委 員 
三好 俊吉 委 員 
 
(加藤(壱)委員、桜井委員、清水委員、高橋(裕)委員、
宮西委員、恩田特別委 員欠席)
 
水質保全局長土壌農薬課長
企画課長海洋環境・廃棄物対策室長室長
水質管理課長地下水・地盤環境室長
水質規制課長 総量規制室長
 瀬戸内海環境保全室長

4.議 題

(1) 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて(第1次答申)
(2) 水質汚濁防止法に係る特定施設の追加等について(第1次答申)
(3) その他

5.配付資料

資料1 水質部会委員名簿
資料2 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の見直しについて(一次報告)
資料3 PCB処理施設の水質汚濁防止法の特定施設への追加について(報告)
参考資料1−1 河川における環境基準の水域類型の指定の見直しについて
参考資料1−2 小河内ダムにおける環境基準(湖沼)の水域類型の指定について
参考資料1−3 今後の審議予定について
参考資料2−1 PCB処理施設の水濁法の特定施設への追加について
参考資料2−2 PCB等の保管・使用状況
参考資料2−3 PCB処理の方法一覧
参考資料2−4 PCB処理の推進について(中間報告)(平成9年10月:PCB混入機器等処理推進調査検討委員会)
参考資料2−5 これまでの検討状況と今後の予定について
参考資料3 地下水を中心とした健全な水循環の確保等について
参考資料4 瀬戸内海環境保全審議会における諮問について
参考資料5 平成10年度水質保全局予算(案)の概要
参考資料6 平成8年度公共用水域測定結果
参考資料7 平成8年度地下水質測定結果について(概要)
参考資料8 平成8年度水質汚濁に係る要監視項目の調査結果について
参考資料9 水質汚濁防止法等の施行状況について
参考資料10−1 釜房ダム貯水池に係る湖沼水質保全計画
参考資料10−2 諏訪湖に係る湖沼水質保全計画

6.議事

【企画課長】定刻となったので、ただいまから第15回中央環境審議会水質部会を開催する。本日は委員総数28名中22名の委員の出席が予定されており、ただいまのところ20名の方々が出席されている。すでに部会の開催要件を満たしている。
 なお、本日の審議は公開となっている。それでは、まず、本日の配付資料の確認をする。

【事務局】(添付の資料一覧に基づき配付資料の確認を行う)

【企画課長】(企画課長が新任委員及び異動してきた課長の紹介を行う)

【部会長】それでは議事に入らせていただく。本日の会議は先ほど事務局より説明があったように公開で行う。また、何人かの新しい委員が加わっているが、審議のほどよろしくお願いする。
 議題1の審議を始める。議題1は「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の見直しについて(第一次答申)」である。本件については昨年5月14日に環境庁長官より本審議会に対して諮問があり、本水質部会の扱いとなり、当部会の中にある陸域環境基準専門委員会に審議を願っている。本日はこの委員会の報告が用意されている。それについて専門委員会の猿田委員長からこれまでの審議経過ならびに報告の概要について説明がある。

<議題1>

【猿田特別委員】専門委員会の審議内容及び報告の基本的な部分について説明する。
 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の見直しについては、先ほど部会長から説明があったように、昨年5月14日に環境庁長官の諮問を受け、陸域環境基準専門委員会におきて、昨年9月30日、本年1月16日及び2月17日の合計3回の審議を重ね結論を得たので、本日ここに報告する。
 まず審議経過について説明する。昨年9月30日に開催した第1回専門委員会では、環境基準類型指定の見直しの諮問を受けた、荒川下流(2)、中川下流及び多摩川下流の3河川と、小河内ダムの1湖沼について事務局からの概要報告に基づき類型指定の見直しに当たっての基本的考え方について検討を行った。また、本年1月16日に開催した第2回専門委員会では、各河川や各湖沼における将来水質の見通しに基づき環境基準類型の指定に当たっての考慮事項について検討した。現況及び将来の利水状況、上流との整合性及び関係自治体の意向等が重要なことから、これらを再整理し案を取りまとめた。2月17日に開催された第3回専門委員会では、それまでの検討結果を踏まえ、本日報告している環境基準の水域類型の指定(案)を取りまとめた。
 では、報告の概要を資料2に基づいて説明する。1ページの表に今回1次報告する水域、中川下流、荒川下流(2)及び小河内ダム貯水池を示している。水域及び該当類型を説明する。中川下流、荒川下流(2)については水産利水を鑑み類型Cを当てはめた。小河内ダム貯水池はCOD等は水道利水から類型Aが基本となるが、自然探勝の拠点となっていること及び現状水質が良好なことから湖沼類型AAを当てはめた。また、窒素、燐については現状水質から燐のみ指定とし、水質が良好なことから類型Tを当てはめた。  環境基準の達成期間は現状水質及び現段階で見込まれる対策を前提とした将来水質の見通しを考慮して「直ちに達成」あるいは「5年以内で可及的速やかに達成」としている。
 なお、同時に審議していた多摩川下流は、第1回専門委員会では審議の対象としていたが、中流と下流にまたがる水産利水があることから継続審議とし、来年度多摩川中流と一体的に見直すこととした。
 最後に本件の審議の過程で委員の方々から大腸菌群等の項目についても指標としての考え方や対策についての検討が必要だという指摘があった。また、環境基準の達成に当たっては点源だけでなく面源も含めた、すなわち周辺も含めた幅広い対策の検討が必要であるとの指摘があった。
 内容の詳細につきましては事務局から補足説明するのでよろしく審議、承認のほどお願いする。
 なお、本答申は1次答申であり、陸域環境基準専門委員会においては来年度も継続的に環境基準の見直しについて審議する。来年度の見直し箇所は現状の利用目的と類型が整合していない河川、あるいは水道利水がある人工湖沼のうち継続審議としている多摩川下流など3河川、5湖沼を予定している。
 これで報告を終わるが、取りまとめにあたりご尽力された専門委員会の方々に委員長として厚く御礼申し上げる。

【部会長】それでは事務局の方から専門委員会報告を朗読してもらい、その後、少しばかり事務局から詳細な説明を加えてもらうこととする。

【事務局】(資料2の一次報告を朗読)

【水質管理課長】(参考資料1−1から1−3に基づき補足説明)

【部会長】いよいよ環境基準の水域指定の見直しが始まった。本日は第1次報告である。今後は、第2次、第3次報告と進んでゆくことと思うが、今日はこの第1次報告で扱った2つの河川、1つの湖沼につきまして詳細な報告をいただいた。ただいまの報告について何かご意見、ご指摘があるか。

【A委員】専門委員会で慎重に審議した結果でもあり、ただいまの報告を聞いて、中川、荒川、小河内ダムについて原則的にこの案でよろしい。
 1つ質問がある。小河内ダムを湖沼AAに当てはめたことは結構なことである。参考資料1−2p15を見てほしい。湖沼の環境基準は先ほど説明があったようにT類型では、確か、燐の基準値は0.005、窒素が0.1である。それに対して小河内ダムの窒素の値は0.4か0.5であるから、V類型に相当する。比較的富栄養化が進んでいない湖沼では従来から燐は指定するが、窒素は指定しない習慣というか、そういう考え方で進んできているのは承知している。窒素汚染というのは拡大し、いろいろと問題となってきており、有害プランクトン等の発生もどうも窒素に依存しているといわれている。その中で窒素がT類型の基準値を大幅に超えている状況で窒素をあえて外した理由を聞きたい。

【部会長】それでは事務局の方からお答え願う。

【水質管理課長】ただいまのご質問の窒素と燐の関係についてですが、環境基準について設定する場合の考え方はとりあえず環境庁の方でまとめている。先ほどあったように窒素と燐の比率である。一般的に窒素の方が多い場合が多い。窒素と燐の比率が20以上になった場合は、燐の方が生物が生息していく時の制限要因となって、窒素がある程度あっても、燐の多寡によって最終的な生産量が決まるという考え方に一応環境基準の方は依拠している。その比率について今回の小河内ダム貯水池についてはその値が20以上あることをもって、とりあえず今までの考え方の整理にしたがって燐制限の湖沼であるとした。決して、窒素がいくらあってもいいというわけではないことは、ご指摘のとおりだが、燐がきちんと押さえられていれば、水質という観点からは問題はないと考えている。

【部会長】それでよろしいか。ほかにないか。

【A委員】私の記憶が確かならば、窒素と燐の比率の問題については、当初昭和57年に決めた。その当時は、いろいろ世の中の情勢があり、窒素や燐を規制するのはよろしくないという産業界からの強い要望もあり、妥協の産物とし今のリービッヒの最小率等を考慮して、非常に富栄養化が進んでいる湖沼を対象にしてきた。それ以降の技術にしても湖沼等の陸水学の成果をふまえても、15年位前の考え方をそのままやってしまうこと自身、私としては問題があると考えている。窒素の濃度が高くなる、今、水質管理課長が申したような1対20ではなくて、1対30、1対40、1対50になってくると、例えば、燐が少なくてもカビ臭の発生の原因となる生物が特に出てくるとか、ピコプランクトンのような有害生物が出てくるとかいうことで、比率が逆に、窒素の燐との比が大きい方が問題であるという指摘もだいぶされている。その様な中で、窒素と燐の比率だけの問題だけで窒素は入れないとし、しかも、水質の現状を見ると既に類型Vの基準でもクリヤできるかどうかという現状にある。また、ここで1回見直すと20か30年位は見直さないということになる。来年見直すというわけにはいけないだろうから。私としてはせっかく審議したことなのでよろしいが、その辺を十分ふまえて窒素対策をして欲しい。結局こうなってくると、もしなにか窒素の問題が起きても窒素対策が出来ないということはないんであろうが、やらないということが普通に起こってくる。ですから環境基準がないから行政の達成目標がない。だからやらなくても良い。ということになりかねないことから是非慎重に今後のことについてはご審議して欲しい。
 
【水質管理課長】本年度、湖沼計画を策定する湖沼で釜房ダムがあるが、あそこではカビ臭が問題となっている。今申しあげた窒素、燐の比や濃度の観点では通常発生しないカビ臭が出ている。そのあたりのメカニズムについてこれから研究しなければいけないという問題意識は持っている。各委員のご指導を得て、今後、事務局として研究・勉強していきたいと思う。

【部会長】このN/P比が大きい場合カビ臭その他のいろいろな障害が起こっていることは事実だと思うが、学術的な知見としてはっきり分かっているというレベルに達しているのか。

【A委員】国立環境研究所などの仕事などを含めると、例えば、リービッヒの最小率の様に多くの人が認めているというようなものはないけれども、第一線にいる研究者はそれを指摘しているということである。数年ぐらい後にまた見直すとすれば私はそれで良いが、また20年経ってしまったら、要するに、あまりにもかかり過ぎではなかろうかということで指摘をした。

【部会長】他に何かあるか。
【B委員】2点ある。最初は荒川下流(2)について、参考資料1-1のp.23によると、当該水域の利水を考慮するとC類型は妥当だと思う。さらに下流の方はB類型の基準も既に達成している。東京湾の水質保全を考えると当該水域だけでなく、せっかく良好な状態になってきているのであるから、ここは区間を分けて下流の方はBとする考え方もそろそろあってもいいではなかろうかと思う。これは今後のための意見である。
 2点目は質問である。小河内ダムを今回湖沼として環境基準を設定するが、今までの議論の中で湖沼法の指定湖沼として対策を強化するのは私自身は適当だと思っているが、その議論はどんな状況になっているのか質問する。

【水質管理課長】ただいまの湖沼法に基づく指定湖沼にすることに関する点については、湖沼法上のメカニズムの上ではこれは各都道府県の計画であって、各都道府県の申し出によって国がそれを認めるという形になっている。将来、東京都がここをぜひ指定湖沼にという話が出てくれば、国の方でも積極的に検討していきたい。

【部会長】他にご意見あるか。それでは、今、お二人の方々から貴重なご意見をいただいた。確かにすぐに見直しということはないにせよ、早い機会にそういったことがどのように見直されるか、資料等の収集等も考えてもらい事務局の方で対処してもらいたい。

【D委員】科学的知見が変わったら環境基準も見直すということは、法律にも明記されていることだし、今のお話にもあったように5、6年後には科学的知見が確立するとなれば、法律の建前としてはその時見直すということになる。追加の分についてはもし必要ならば前向きに取り組むという発言をぜひ記録に残してほしい。

【部会長】ただいまの発言の意見はしっかりと記録に残す。部会長としても心に留める。

【C委員】これは事務局に対する希望である。荒川なり中川の水質というのは河川管理、流量がどうなるかということと周辺の土地利用がどうなるかということと非常に密接な関係にある。環境庁、私自身そのような行政をあまり行わなかったことについての反省の意味も込めてるが、もう少し周辺の土地利用の在り方とか河川管理、流量の在り方などにも積極的にも関心を持って、俺の守備範囲がこれだからという、それはそれで良いのであるが、守備範囲以外のことにも目配りをこれからしてほしい。役所の仕事の範囲で自然が従って動いているわけではないので、役所には都合が悪くともそのような目配りを常に各省ともやってゆく必要がある。そのことを1つ要望する。

【水質保全局長】ご指摘のとおり、これからの仕事の進め方としては、ごく一部分だけを所管するということでなく、これからの特に河川なり湖沼の場合は流域全体として水質、水量それから水生生物を含めて全部を見てゆくというふうに、考え方がだんだんそちらの方に踏みだしつつある。それから、先般の河川法の改正の中で建設省でずいぶん議論いたした。現在でも課長レベルの連絡検討会議があるが、局長レベルでもお互い守備範囲をそれぞれ重複しあって意見を述べてゆこうというふうに変わりつつある。これからももう少し努力してゆきたいと考えている。

【部会長】いろいろ貴重なご意見どうもありがとう。それでは、専門委員会の報告をもって当水質部会において認めていただくことでよろしいか。

(各委員より異議なしの声)

 それでは、ただいま審議した専門委員会報告をもとに答申案として取りまとめることとする。

【事務局】(事務局、環境審議会長への報告文および別添の答申文の表紙を配布)

【部会長】手元に環境審議会長への報告文と別添の表紙がある別添の内容は先ほど審議した資料2の委員会報告と全く同じなので省いている。
 それでは、事務局からこの報告文を朗読してもらう。

【事務局】(環境審議会長への報告文を朗読)

【部会長】この答申案につきまして何かあるか。無いようであったらこの答申案をもって会長への報告とする。よろしいか。

(各委員より異議なしの声)

 ただいま認めていただいた答申案のとおり、部会後、私の方から近藤会長に報告する。

<議題2>

【部会長】それでは、議題2に入る。議題2は水質汚濁防止法に係る特定施設の追加について、第一次答申である。本件についても昨年の5月14日に環境庁長官より本審議会に対して諮問があって、排水規制専門委員会において御審議いただいたところだが、本日はその専門委員会の報告を用意していただいている。これまでの審議経過ならびに報告の概要につきまして、専門委員会の委員長をお努めいただいた松尾委員よりまず御報告頂きたいと思う。どうぞ。

【松尾委員】この排水規制の専門委員会というのは排水規制をかけるべき施設を特定していく、どういう施設に排水規制をかけるべきか、時間の経過のなかで世の中のいろんな状況が変わってきているので、どういう種類の施設を新たにリストアップすべきかということを幅広く検討している専門委員会である。そのなかで現在、後から資料2−5に今後の検討状況等、説明が事務局からあるが、とりあえずは13有害物質の追加に係る検討を進めている。その過程で実は急いでいくつかのものを先に進めるべきであるという状況が出てて、本日はそれの第一次報告ということで報告する。報告の中身は資料3に示しており、PCB処理施設の水質汚濁防止法の特定施設への追加についてです。このPCBの問題は、既にみなさんよく承知だと思うが、昭和49年以降、基本的に製造、輸入が禁止され、あるいは事業者により保管されており、現在、環境中に出ないような措置がとられている。このPCBの問題が、現在少し動き出したということで、安全に処理する方法が開発されれば、その処理する施設を特定施設として加えておくべきではないかということから、専門委員会で検討を進めてきたわけである。環境庁等に設置されたPCB混入機器等処理推進調査検討会というのがあり、どういう技術的可能性があるのか、あるいはどの程度に安全に処理できるのかということを検討しているが、そこでは最近の技術の進歩等を考えると、ただ保管を長期的にしても結果として紛失してしまったりとか、漏出してしまったりとか、事故等によって環境へ出てしまうリスクが大きいんではないか、また今貯めておいても、将来世代に処理の具体的なものは押しつける形になってしまうのではないかというような事を考えると、ある程度の安全を確保しながら、現在の処理技術の水準でできるところをやっていくとことがよりいいのではないかという考え方が提起されてきている。そういう考え方や技術の発達、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正等においても、ある種のPCBに対して処理を推進するというような機運が高まってきたという状況にあり、我々としてはそういう状況を踏まえた上で、処理をするならばしかるべき排水規制を守らなければいけない特定施設として、処理施設が位置づけられることが、重要であろうと考えたわけである。そういうことでPCBの処理施設を水質汚濁防止法の特定施設へ追加すべきであるということが専門委員会の結論であって、これを皆様方に報告申し上げたいと思うわけである。いくつかこれからやらなければいけないのがあるが、とりあえず一次報告ということでPCBの処理が、早期にしかも安全に進むべく、我々としても協力する方向で進めたいと思っており、追加についての検討を報告したいと思う。専門委員会の委員には非常に技術的なレベルから、検討を進めてくださって、この線でいってはどうかという結論になった。以上、簡単な私からの説明だが、後ほど事務局等から少し具体的な処理の技術の問題や資料に基づいて説明いただけるとありがたいと思う。よろしくお願いする。

【部会長】それでは、事務局の方から補足説明をしていただく。

【規制課長】今の松尾専門委員長のお話に少し背景となる資料をちょっと御報告させて頂く。まず、参考資料2−2以降を参照いただきたいと思う。参考資料2−2。松尾委員長のお話にもあったように、PCB、既に環境汚染問題が発生したのが昭和46、7年ということである。49年以降は、法律に基づいて製造、輸入というものを中止しているが、参考資料2−2にPCB等の保管、使用の状況というものを、一部環境庁調べも入っているけれど、まとめている。PCBの主な利用等だけれども、1番目に挙げられるのが、すぐれた耐熱性、絶縁性で、トランスコンデンサーの絶縁油という形でかつて大量に使用されていた。それが表2−2のトランスコンデンサーというところにある、一番左側のカラムないし、その次のカラムに、発電所あるいは変電所といったところの電気の施設に使っていた変圧器ないしコンデンサーの中に使われていたということであって、一番下の使用事業場における保管使用量というのが書いてるけれども、まだ、いわゆる電路に接続したまま使用中のものもある。それから、電路からはずすと保管を義務づけられるという形になり、トランスコンデンサーについては、そこにあるような台数というものが保管ないし、現在使用中ということだ。それからもうひとつのカテゴリーが紙に使っていたPCBということであって、これは非常に量はわずかなものだが、ノーカーボン紙にPCBを溶剤として使っていたということである。それからもう一つのカテゴリーが廃PCB等と液状のPCBというように俗称しているが、耐熱性を生かしてPCBを熱媒体として主に使っていたものである。これは、47年から49年にかけて、回収をして製造メーカーが保管をしていると、現状でもそこに記したような数字が保管をされている。右から2番目の柱状トランスというところがあるが、これは、市街地にある電柱の上に乗っているトランスだが、原因はよくわからないが、おそらくその電柱用のトランスの絶縁油を再生する過程で一番左側あたりからのものが混入してきたのではないかと言われてる。濃度についても一番左側のトランスコンデサー、主に高圧、低圧と書いてるが、参考の@に記しているに、だいたいPCBの濃度というものが絶縁油の中の6〜7割、それから場合によっては、100パーセントというものも使われているようである。それに比して、柱状トランスというものは、絶縁油中のPCBの濃度は、数十ppmであると、おそらく何らかの混入があったものということである。また、かつて処理をした廃PCB等と書いたものの内の5500トン分、これを昭和62年から何年かかけて、高熱分解法によって既に処理が完了してる。さきほど専門委員長の報告の中で新しい処理方式というものがいろいろと開発されてきたということを申したが、それについて参考資料2−3で簡単にその概要を説明したいと思う。

(参考資料2−3により説明)

【部会長】それでは、ただいまの説明等につきまして何か御意見、御指摘いただくようなことがあったら、お受けしたいと思う。

【樋口委員】PCBの処理についていくつかのプロセスを準備していただくというのは非常に結構なことだと思うが、現在、なお、検討中のプロセスといったようなものも存在をしているわけなので、今後とも、新しくできてくる技術というのは既存の技術の弱点を補うというのが通常であるので、その技術的な完成度等を客観的に確認できれば、すばやくこういうものに追加をできるような配慮をいただければ良いのではないかと思うのでよろしくお願いする。


【部会長】何か専門委員長、あるいは事務局の方でコメントあるか。どうぞ、それでは事務局の方から。

【松尾委員】わたしは当然だと思うが、ちょっと事務局の方からも追加してもらう。

【規制課長】今、指摘があったように、参考資料2−3で説明申した方式、在来型、それから現在開発がされていろいろ実証なされたものあるが、私ども今回の話で答申いただければ、水質汚濁防止法の政令に特定施設追加するという形にはいるわけだが、私ども基本的には、あまりその特定の方式のみを作るのではなくて、基本的にはPCBの処理施設の全体というものを幅広く押さえる形で工夫をしてみたいと思っているので、何らかの形でPCBの分離や分解というものが推進されるものがあれば当然のことながら追加されるというように考える。

【C委員】今回の措置は大変結構だと思うが、伺っとかなきゃいけないと思うのは、一般の方もそういう感じを持つと思うが、参考資料2−2で、その他家電メーカー、官公庁保管分については聞き取り調査をしておらず含まれていないとなっているが、これは量的に無視できるといいきれるものであるのかどうか、また、必ずしも無視できるものでないならば、やはり、民間に任せるというだけでは、ちょっと、処理方法が開発されてそれに基づいて排水基準を決めただけでも、ちょっとどうかなと感じがするので、その辺についてどう考えるか、さらに言えば、おそらく直接、これが流出して、例のカネミみたいな事件がおきるとは到底思えないが、環境中に拡散してまた生物濃縮なんていう話だろうと思うが、そういうことについての見解も、こういう措置をされるならば、用意されとくべきではないかと。このような感じが行政的な感覚からするが、どのようにお考えになっているのか。

【早水補佐】環境保健部の環境安全課の課長補佐の早水です。PCBの処理の関係は、環境保健部の方でいろいろとりまとめているので、若干説明させていただく。PCBの処理につきまして私どもの方でも、PCBが化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第一種特定化学物質であり非常に問題になる物質であり、早くそれを処理しなければならないということで、参考資料2−4としてお配りしている、検討会報告書を先生方にまとめていただいたところである。その中で処理の必要性に加えて、処理技術の評価もしており、先ほど樋口委員から指摘があったが、今後も新しい技術が出てきたら、順次評価をしていきたいと考えている。これは、環境庁だけではなく、通産省、厚生省と足並みをそろえて進めている。
また、保管の状況については、今回の報告書にまとめる段階では、環境庁の方で大手のところだけを聞き取り調査をしたが、その他にもいろいろと保管の状況を把握しなければいけないという必要性については認識している。保管の状況の調査は厚生省で今までやられてるので、3省庁の打ち合わせにおいて、厚生省に、これから処理が進むので、調査について、何年か前に一度調べているが、その後のフォーローアップをして欲しいということで申し入れている。ですから、そういう意味で、これは環境庁だけの問題ではなく、廃掃法を所管している厚生省、それから、実際に保管事業者をかかえている通産省、この3省庁で調整をしながら進めているので、ご指摘の点についてはこれからも気を付けていきたいと思っている。

【D委員】今の説明で引用された参考資料の2−4だが、それの36頁でPCBの紛失量の推定のデータ、報告が出ているわけだが、素人なのでこういう数字を見せられてもよくわからないが、1平方キロメートルあたり0.4kgであるということだが、これが環境基準等で表している数字とどう対応するのかというのがでると非常にわかりやすいんだが、たぶん、これぐらいだから、問題ないが、しかし、今後増えていくと問題だということなのかなと勝手に読み込むが、それでよろしいのかどうか。あるいは、こういうものはとても対応させられる話じゃないなら話じゃないとおっしゃっていただけるならば、それで引き下がる。

【早水補佐】指摘の箇所だが、これについては、これは平成4年度の厚生省の調査においては、紛失不明に関しては、紛失と不明と両方あるので、全部が環境中に出たということは多分想定はされないということであるが、そうであったとしたら、このぐらいになってしまうというレベルで、これは、あくまで仮定して計算しているので、環境基準との細かい比較というところまでは実はしていない。しかし、この場合は、我々の法で一番心配しておりますのは、もしこれがなくなった場合の排出に比べて、処理をしたときに出る量がゼロではないから、やっぱり保管をするべきだ、保管をしたらゼロで、外に出ないが、処理をしたら必ず出るから、処理をしたらいかんというような指摘があった場合に、それはそうじゃないよと、いろんな要素を考えれば処理をした方が保管をするよりもむしろリスクが低いよということを説明するために仮の数字を出したということで、細かいところまで、今のところ把握、計算といったことまではしていないということである。

【B委員】今回、廃棄物として処理をするというところの規制のようだが、参考資料2−2に示していただいているように、PCB含有の機器というのは現在も多量に使われているわけで、この使用中のものに対して、環境上からリスクを減らすための対策っていうのは残念ながらまだ充分でないだろうと思う。それから、もうひとつ、その使用中のものが使用が終わったとき、確実に廃棄物の流れに入ってくるという保証がない。廃棄物になる前に別のルートで環境に放出されるリスクというのは現在、道を閉ざしていないだろうと思う。従って、使用中のPCB含有機器について環境上からの取組というのは今後是非御検討いただきたい、これは要望である。

【部会長】貴重な意見を頂いてるが、他に御意見あるか。無いようなので、ただいま頂いた意見等につきましては、記録としてちゃんと残させていただきたいと思う。それでは、本日頂いた専門委員会の報告をこの水質部会においてもお認め頂くということでよろしいか。

(各委員より異議なしの声)

【部会長】それでは、ただいま審議いただいた専門委員会の報告を基に答申案をとりまとめることとする。議題1と手続きは同じだが、みなさまのお手元に今、配布されている答申案としての中央環境審議会会長への報告文がある。それとこの内容につきましては、先ほど御審議いただいた資料2の専門委員会の報告と全く同じであるので添付を省かせていただいている。それでは、まず、事務局の方からこの報告文を朗読願いたいと思う。

【事務局】それでは、報告文を朗読させて頂く。中央環境審議会の近藤会長宛に部会長である村岡先生からの報告である。

(答申案朗読)

【部会長】それでは、この答申案につきまして、答申案としてよろしいかどうか、御意見あるか。

(各委員より異議なしの声)

【部会長】それでは、お認め頂いた答申案の通りとして、答申案のとおり、私の方から部会終了後、近藤会長に報告させて頂くこととする。最後に参考資料2−5に基づいて、今後の予定について、事務局からお願いする。

【規制課長】昨年の10月20日の第1回の専門委員会では、論点の整理等々をさせていただいた。本年の1月16日の第2回の専門委員会においては、諮問の時にもご報告したように、数年前に新たに13の有害物質の排水規制が行われるようになって、それらに関連する施設に関して御議論いただいて、PCB関連施設を含めて水質汚濁防止法にどのように位置づけていくべきか、ご議論をいただいたところである。
 第3回目以降は、資料がまとまったものからご議論いただこうと思っている。4月を目途に第3回を開きたいと思っている。13の有害物質の関係の特定施設について、専門委員会の報告に近いものを作っていただくべく、準備をしたいと思っている。
 また、諮問いたしたときに申しあげたとおり、規制対象排水量の見直しについても、検討していただきたいと思っている。今、生活環境項目の規制対象が、日平均排水量が50立米以上となっている。この「日平均排水量」という扱いと「50」という数字の2つの観点からご議論いただきたいと思っておって、現在事務局で論点を整理しているところである。第4回の専門委員会では、報告書をまとめるところまで行ければ幸いだと思っている。
 また、諮問の時にご報告申しあげた自治体からの要望に関しても、順次検討いただきたいと思っている。

<議題3>

【部会長】それでは議題3、その他に進む。
これは事務局から水質保全行政の最近の動向につきまして幾つか報告がある。
それでは順番に地下水室長からお願いする。

【地下水・地盤環境室長】 参考資料3「地下水を中心とした健全な水循環の確保等について」に基づき説明

【部会長】それでは一連の報告を聞いていきたい。それでは次に瀬戸内室長よろしくお願いする。

【瀬戸内海環境保全室長】 参考資料4「瀬戸内海環境保全審議会における諮問について」に基づき説明

【部会長】それでは企画課長お願いする。

【企画課長】 参考資料5「平成10年度水質保全局予算(案)の概要」に基づき説明

【部会長】それでは管理課長お願いする。

【管理課長】配付資料なしで報告させていただく。現在、水質部会に4本の諮問を行っている。今回はそのうち2本の答申案をまとめていただいた。その他2つの諮問についての審議状況を報告する。
 1つは健康項目の関係である。現在ある要監視項目のうち幾つかを環境基準そのものに昇格させてはどうかということで、村岡委員長のもと環境基準健康項目専門員会で審議を行っている。昨年1回に専門委員会を開いて、今は各物質ごとに詳細なデータを取りまとめている最中である。
 もう1つは有明海の窒素・燐の海域の類型指定である。こちらの方はA委員に委員会の委員長をお願いし、海域環境基準専門委員会で審議を行っている。こちらの方も昨年10月に第1回を開催し、シミュレーションの構築等の検討ならびにデータの収集等をいたしている。  健康項目の方は夏をめどに、有明海の方は秋頃をめどに現在鋭意作業を進めている。
それから参考資料の残りの6、7、8、9、10があるが、こちらの方は昨年の12月以降発表した資料である。時間の関係上説明は省かせていただく。

【部会長】事務局の方から他にあるか。

【事務局】特にない。

【部会長】短時間の説明であったが水質行政、かなり広範囲に展開されていることが分かった。せっかくの機会なので委員の方々から何か意見等あるか。

【A委員】釜房ダム貯水池の件である。この水質保全計画は、宮城県で私が座長を努め作ったものである。これは先ほどの小河内ダム貯水池と同じで環境基準のAAがあてはめられており、やはり燐しか規制されていない。現地調査やいろいろな調査をすると、どうしても窒素対策が必要になるにも関わらず、制度上窒素対策が出来ないという現状にある。県もやりたい。委員の方々もやりたいと云っている。それが出来ないということ自身が、やはり問題である。もちろん、行政指導ではなんとか出来るのかもしれないが、やはり法制上それが出来ていないとまずい。何か大きな問題かというと畜舎である。釜房ダム周辺で5千頭の豚と牛がいる。それが割と水の近くに畜舎がある。そこが大きな問題である。この第3期計画では我慢することとした。しかし、第4期では必ず窒素を入れるように環境庁に相談してくれと云っているが、先ほどの話を聞いていると、見直しがないとなかなか出来ないと思われる。要するに、このような現状もあるということも知ってほしい。やはり自治体がやり易いような行政をやっていただきたい。これはお願いである。

【部会長】ただいまの御意見は事務局の方も、部会長もしっかりと心に留めておきたいと思う。他に何かあるか。

【猿田特別委員】3月6日に一般廃棄物の処分場の現況調査を厚生省が発表いたした。先ほど説明いただいたように、来年度予算案でもダイオキシン、土壌・地下水に関しては取り組んでいくということであったが、厚生省の発表に関連して、環境庁の当面の対応をお聞かせ下さい。

【海洋環境・廃棄物対策室長】
 厚生省の発表によって、現在の最終処分場の構造基準に違反している、若しくは違反ではないが、不適切な形で処分が行われている廃棄物の最終処分場が多数あることが明らかになった。
 これにつきまして、厚生省では汚染のおそれのある廃棄物の搬入を停止する、とか、基準に適合した処分場を確保してそこに廃棄物を移すとか、周辺の環境調査を行うといった対策を都道府県に行うように既に指示をしている。
 私どもといたしても、都道府県、政令市の環境保全部局に対して、周辺環境の状況を把握するための通知を出す予定にしている。さらに、汚染が発見されれば対策を適切に行うようにという指導もしている。
 また、このような不適切な処分場があることについて、何らかの対策を講じていかなければならないということに関して、専門家から構成される検討会を緊急に設置する。汚染の具体的拡散状況や機構について調査を行った上で、適切な対策を検討していただくことになっている。
 厚生省に対しても、我々が設定した基準を施行してもらってるので、基準が適切に施行されるよう要請を行っている。また、廃棄物処理法に若干不備があって、昭和46年の廃棄物処理法の施行以前に作られた処分場につきましては、適用猶予という形で、処分基準が適用されていなかったのだが、これについても昨年12月の廃棄物処理法の施行令の改正の時に後1年ぐらいの猶予期間があるが、平成11年6月以降は適用がされるということになった。これに関して、環境庁の方でもいろいろと対応をしている。

【C委員】有害物質に関しては、次々と環境基準を設定して、排水規制をかけるという伝統的手法だけでは、今のところは、測定地点のやりくりなどで対応しているようだが、人も金も増えていない都道府県、政令市で対応ができなくなる。その中でも、環境基準を作ろうというときに、農薬とか医薬品に関してはメーカーに負担を求めることもできるのだが、ダイオキシンのような非意図的生成物に関しては、WHOやアメリカの基準を借りてくるという形で対応しているものだが、本来なら生物実験を自らやって規制基準を決めていくということをやっていかなければいけない。これは大変なことである。伝統的手法である環境基準を設定して、排水規制をかけるというのは世間的に受け入れられやすいことではあるが、その実態がどうなっているかということに、注意を払っていただきたい。新しい行政手法も考えなければいけないと思う。進め、進めもいいんだが、人や金の制約にも行政的配慮を払っていただきたい。
 また、地下水に関しては、質的な側面や地盤沈下が今まで問題だったが、量の側面も見て欲しい。建設省や農水省で量のコントロールが30年前ぐらいから問題となっていて、それに関しては地下水も水管理の射程に入れていかなければ適切な河川管理、農業用水管理ができないというのが定説になっている。この分野に関しては、研究者の方は地道にコツコツと努力をなさってきたと思うが、行政としては力を注いできたとはいえないと思う。細かに予算をとってきたとは思うが、現在の要請に応えるための情報を行政がどの程度持っているのか、それを明らかにするにはどれぐらい金がかかるのか、全体の展望が欲しい。例えば、湧水が涸れてきているというのは一般市民が日常で気付いている問題だが、突き詰めていくと、各種開発行政をどうするか、市街化区域、調整区域の開発用量をどうするかという問題に突き当たる。あるいは、どういう地点は保護しなければいけないかという土地利用規制の行政の運用にも反映してこなければいけない。農地法、都市計画法、森林法みんな関係してくる。このような、要請に応えられなければあまり格好いいことを言うのはおかしいと思う。少なくとも環境庁や統合されてしまうが国土庁が横断的に見て、いって欲しいと思う。そういうところにこそ存在理由があると思うし。何が分かっていて、何が分からなくて、どれぐらいお金をかければ分かるのか。ということを行政の側で勉強して欲しい。これは要望だけど。

【部会長】要望として聞いておく。他に全般的なことで何かあるか。

【E特別委員】C委員の発言に若干便乗して言うのだが、化学物質に関して項目や地点がこれだけが増えたので、自主規制と言うか、企業の自主的な努力を行政的に評価するような仕掛けも併せて検討していただきたい。官側だけが監督するというのは限界にきていると思う。ISO14001とか、自主管理的なものをどのように組み込んでいくかというソフトの面での対応を考えて欲しい。

【部会長】議事も終了したので進行の方を事務局の方にお返しする。

【企画課長】閉会にあたり水質保全局長から部会の皆様方に一言御挨拶申し上げる。

【水質保全局長】(挨拶)

【企画課長】本日はこれで終了する。