中央環境審議会水質部会(第12回)議事録

中央環境審議会水質部会(第12回)議事録


1.日 時:平成8年12月26日10:30〜12:00

2.場 所:合同庁舎共用第七会議室

3.出席者: 村岡 浩爾 部会長  

加藤 郁子 委 員      恩田 怡彦 特別委員
加藤 壱将 委 員      清瀧昌三郎 特別委員
岸  ユキ 委 員      七野  護 特別委員
木原 啓吉 委 員      須藤 隆一 特別委員
小早川光郎 委 員      中島 哲生 特別委員
櫻井 治彦 委 員      林  裕造 特別委員
佐竹 五六 委 員      樋口 敬一 特別委員
猿田 勝美 委 員      福井 経一 特別委員
清水  誠 委 員      松尾 友矩 特別委員
隅山 克己 委 員      田中 克彦 専門委員
高橋さち子 委 員      東  軍三 専門委員
高橋  裕 委 員      三上 徹  専門委員
(浅野直人委員、新宮康男委員、藤野慎吾特別委員、出島茂専門委員欠席)
渡辺水質保全局長       西川土壌農薬課長      
柳下企画課長                  渡辺海洋汚染廃棄物対策室長
南川水質管理課長       田部瀬戸内環境保全室長
畑野水質規制課長              

4.議 題:
(1) 審議会の公開手続きの変更について
(2) 海域環境基準専門委員会の中間報告について
(3) 地下水環境基準専門委員会の中間報告について
(4) 水質保全行政の最近の動向について

5.配付資料

資 料  1:中央環境審議会水質部会の公開に関する決定(案)
    2:中央環境審議会の運営方針について
    3:海域環境基準専門委員会中間報告
    4:地下水環境基準専門委員会中間報告
    5:水質保全行政の最近の動向
    6:水質部会委員名簿

参考資料 1:水質部会の会議の公開の方法(説明資料)
    2-1:播磨灘北西部等の全窒素及び全燐に係る環境基準
      の水域類型の指定について(諮問)
    2-2:地下水の水質の汚濁に係る環境基準の設定について(諮問)
    3:水質汚濁に係る環境基準について
    4:要監視項目について

6.議 事

・今回の部会では、本年7月に諮問された、地下水の環境基準及び瀬戸内海における窒
素・燐の海域環境基準の類型指定について、専門委員会における議論の中間報告を行い、
それに基づき議論をしていただきたい。 
                                                                        
(議題1について説明)

議題2に進む。播磨灘北部等の海域環境基準の類型指定に関し、海域環境基準専門委員会
の委員長から報告お願いする。

・これに関連し、事務局から、平成7年度の公共用水域測定結果及び第四次総量規制につ
いて報告お願いする。

・それではこの海域環境基準に関して何か質問あるか。

・シミュレーションによる再現結果は観測値と比して余り良くない。窒素については基準
の達成が重要であるがその除去が困難である一面もある。

・湾全体としては、U類型でよいが、入り組んでいる湾においては現行でも高濃度の部分
がある。利水目的から判断して漁場、水浴場でないようなところは、そこだけ区切って、
適当な基準を当てる方が妥当ではないかと思う。その区切りについてはもう少し検討させ
ていただきたい。

・環境基準は行政上の目標であるから、達成の方策があれば問題ないと思う。ただ、現在
の水質の状況は環境基準の達成率があまり良くないので若干気になった。

・その点は十分踏まえて検討していきたい。

・公共用水域の測定結果については、環境基準の達成状況がほぼ横這いであり特に湖沼に
ついてはほとんど改善が見られない。湖沼法を制定して、各種の施策を講じているにも関
わらず、改善が見られないことについて水質保全局としての考えをううかがいたい。つま
り、発生負荷量が増えていて対策が追いつかないのか、対策のための予算がないために実
施できないのか、対策については公共事業所管省庁が相当のお金を投じてやっているが、
その方法論が間違っていたのか、ということについて環境庁の意見を聞きたい。

・湖沼については、産業系についてはかなり改善が進んでいるが、生活系については、ま
だ改善不十分なところがあるため建設省等と連携をとりながら対策を進めていきたい。ま
た汚染源が特定していない農地、森林等のノンポイント対策について、重点的に勉強を始
め、対策を検討していく予定である。湖沼法の改正を予定しており、この機会に様々な形
で策を進めていきたい。

・委員のおっしゃるとおりだが、各種の対策を講じているからそれほど水質が悪化してい
ないのだといえる。担当として大変責任を感じており、中長期的な観点から対策を検討
し、法改正も含めて抜本的な対策を講じていく予定である。

・行政の透明性が求められているが、行政の施策の成果がわかりやすい形で公開されてい
る点で、環境庁は他の省庁に比べて非常に進んでいると思う。その上で申し上げたいが、
負荷量の測定の仕方などのデータの把握の仕方等根本的なところから検討しなければいく
ら予算を使っても良くならないのではないかとの不信感を招きかねない。また方法論とし
て、富栄養化と経済構造との因果関係のようなマクロ的なアプローチが必要ではないか。
それから、トータルの負荷量を常に考えなくてはいけないのではないか。例えばゴミ処理
や下水処理もエネルギーがかかるわけだが、そのトータルな負荷量がどうなるのか検討し
ていただきたい。

・データの把握の仕方について、今検討しているところである。土地利用や経済関係等も
含めて考えていくべきだが、湖の問題はその地域固有の問題もあり必ずしも日本全体で考
えるのが常に適当であるとはいえない。

・非常に重要なご指摘もあったが公共用水域の話から海域環境基準の話に戻したいが何か
意見はないか

・類型指定における利用目的は将来のものが重要。今後の推移についてはどのように考え
るか。

・各府県からの報告に基づき、将来の状況を把握している。しかし、何十年先までの推移
については、行政でやっている以上、将来の推移を見たうえでなければ把握できないと思
う。

・環境基準は非常に限られた利用目的しか規定されていないのではないか。人々はよりよ
い水質を求めており、利用目的は特定されないが環境全体が良くなればよいという考え方
もあるのではないか。

・現在も水浴、自然環境保全といった利用目的がある。とはいえ、確かに人間の立場に
立った利用目的であるため、全体的環境全体が良くなればいいという考え方も重要だと思
う。瀬戸内海は、現状の水質の状況から見て、外洋に面した海とは状況が異なるので、U
類型が望ましいと考える。これは水産、水浴という利用目的も入っており、これでいくの
が望ましいと思う。もちろん将来的に水質が改善されれば、科学的根拠に基づき見直すこ
とになっている。

・本件については、専門委員会での議論を経て次回の部会で最終的な報告をいただきた
い。次の議題地下水環境基準専委員会における中間報告をお願いする。

・この件に関連し、事務局から、平成7年度地下水質の測定結果について報告お願いす
る。

・地下水環境基準の中間報告について何か質問等あるか。

・この地下水の環境基準は浅井戸の地下水に適用するのか。

・環境基準は、測定すべき場所を決めてその地点における地下水を対象にするため、浅井
戸に限らず深井戸も含む。

・河川の場合であれば低水位の時の水質でもって評価するが、地下水については、どうい
う水質値をもって環境基準とするのか。

・地下水については、河川のように低水位時の上から何センチの地点での測定というよう
にはできないため、常識的に考えるしかないと思う。

・河川では75%値を用いて評価しているが、地下水についても年間に何度か測って、そ
の内の何%が達成していればいいとするというように、他の環境基準の適用法と違った概
念をいれていく必要があると思う。

・75%値はBOD及びCODについて用いられている評価方法である。平成5年からは
健康項目については全公共用水域について基本的に年平均値を用いて評価を行っていると
ころである。評価の方法についても今後専門委員会においてさらに議論を進めていただき
たいと考えている。

・化学物質というのはややあいまいな表記である。全ての物質は化学物質である。

・最近、化学物質というと爆発物かサリンかというような非常に危険なものだと一般的に
取られがちである。化学物質の危険性について正しい認識を広めるよう努めるべきであ
る。

・水が良くなるためには環境全体が良くならなくてはいけない等大きな問題がある。現在
日本の国土の70%を占めている山林が荒れてきており、そこから流れてくる水が汚れて
いる状況にある。日本には多くの木があるのに外国から木材を輸入しているなど、流通の
あり方から考えていかないといけないのではないか。大きな視野から、また基本的なこと
から考えていかないと水はなかなかきれいにならないのではないか。

・その解決のためにはまず、各省庁との連携の問題と思う。今まで多少遅れていたと思う
が、長良川河口堰や中海干拓の問題をきっかけにして、環境庁と建設省との連絡会議の開
催や、農林水産省の大臣から、環境庁と連携して対策を講じていきたいと呼び掛けがあ
り、状況は変わりつつある。環境庁としてもその方向で取り組んで参りたい。また、これ
からは日本全国一体、流域全体で物事を捉えていく必要がある。環境庁としても山に降っ
た水の水環境への影響や流域における水田の果たす役割等、流域における土地利用のあり
方、施策等が水環境に対してどのような影響を与えているかを評価する流域の通信簿のよ
うなものを今後策定していく予定である。

・最近は森林の荒廃が深刻な問題になってきている。また、水質の悪化は、飲料用にミネ
ラルウオーターを購入するなど、市民の水道水に対する信頼が失われている。
従って、私としても、いろいろな運動を推進しているが、例えば、連合として、利根川の
上流から金町の浄水場まで、水源地から水が作られることころまで、流域を調査し、環境
問題としての運動を広める運動に取り組んでいるところである。

・今日の指摘を踏まえ、今後専門委員会で最終的な議論を行いたい。次に、最近の水質保
全行政の最近の動向について事務局から説明いただきたい。

・全般的に質問等はあるか。

・次回は来年の3月頃を予定している。

                 −終了−