過去の議事録

中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第13回自動車排出ガス総合対策小委員会


1.日  時   平成12年10月20日(金) 10:00〜12:00

2.場  所   KKRホテル東京「白鳥の間」(11F)

3 出席者

(委員長)岡 田 清
(委  員)浅 野 直 人伊 藤 桂 子
太 田 勝 敏香 川 順
猿 田 勝 美松 下 秀 鶴
横 山 長 之
(五十音順)
(事務局)自動車環境対策第一課長
自動車環境対策第二課長 他
 

4 議 事

(1)平成11年度大気汚染状況について
(2)現行総量削減計画における各種施策効果の算定方法について
(3)各種施策の効果等の試算結果について
(4)「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」意見募集について
(5)その他

5.配 付 資 料

資料1自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料2平成11年度大気汚染状況について
資料3現行総量削減計画における各種施策効果の算定方法
資料4各種施策の効果等の試算結果について
資料5「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」意見募集について
資料6自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)
資料7第9回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録
資料8第10回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録(案)
委員限り
(参考資料)今後の自動車排出ガス総合対策中間報告
 

【自動車一課補佐】 それでは定刻となりましたので、大気・交通公害合同部会、第13回の自動車排出ガス総合対策小委員会を開催させていただきたいと思います。本日は、小委員会の委員12名のうち、8名の出席が予定されておりますが、まだ、太田先生のみいらしておりませんけれども、既に会議の開催要件は満たしておりますので、始めさせていただきたいと思います。
 議事に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に続きまして資料一覧がございます。
 資料の1が、いつもお配りしております委員の名簿でございます。資料の2は、平成11年度の大気汚染状況についてでございまして、今日付で解禁になった資料でございます。資料3は、現行総量削減計画における各種施策効果の算定方法でございます。資料の4は、各種施策の効果等の試算結果についてでございます。資料の5は、この合同部会でおまとめいただきました中間報告につきまして、パブリックコメントにかけたわけですけれども、そのパブリックコメントでいただきました意見につきまして、概要を取りまとめた資料でございます。「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」意見募集についてでございます。この資料の5は、別刷の冊子もつけておりまして、こちらはいただいたコメントそのものをごらんいただければと思います。個人の方からいただいた意見につきましては、固有名詞等は除いておりますけれども、業界団体等はそのものを印刷しております。資料の6につきましては、審議スケジュールの案でございます。資料の7は、第9回のこの小委員会の議事録でございます。資料の8は、委員限りでお配りしておりますけれども、第10回の小委員会の議事録(案)でございまして、こちらにつきましては、10月30日ぐらいまでにごらんいただきまして、ご意見、修整点等をいただければと思っております。先生方の確認の後、この8月の時点までは、委員名等は伏せて公表という扱いにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事は岡田委員長にお願いいたします。

【岡田委員長】 大変お忙しいところをお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。
 早速、議事の1、平成11年度大気汚染状況について、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【大気規制課補佐】 それでは説明をさせていただきます。資料の2をごらんください。
 けさ閣議がございまして、閣議において、この大気汚染状況を報告をさせていただきました。8月に開催されております、この委員会の席上、私どもの方から特定地域における窒素酸化物及び浮遊粒子状物質の11年度の状況、速報ということで、とりあえず報告をさせていただいたところですけれども、今回、全国の状況がまとまりまして、その概要ということで報告をさせていただくものです。
 まず、一番上のページですけれども、全国で2,135の測定局におきまして実施された大気常時監視の結果ということですけれども、二つ目のパラグラフに要約してございますとおり、一酸化炭素、二酸化硫黄による汚染については、引き続き良好な状態が続いているということですけれども、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質についていは、改善が見られるものの、一時的な要因によるところが大きいものと考えられ、また大都市地域を中心に環境基準を達成していない状況が見られるということです。
 また、光化学オキシダントによる汚染については、基準の達成、局の割合、依然として低いといったところが報告の概要でございます。
 下に1番として、項目別に特徴を掲げてございますけれども、二酸化窒素におきましては、全体で98.9%、自排局で78.7%という達成率でございました。近年横ばいの傾向にありましたけれども、11年度は10年度に比べまして、この達成率は増加しました。年平均値について見ますと、やはり近年横ばいの傾向が続いていますけれども、11年度は前年に比べて減少しているという傾向です。これにつきましては、11年度の一時的な要因によるところが大きいと考えております。
 この一時的な要因としました点につきましては、資料の3ページをお開きいただきたいのですけれども、表の1、2、平成12年度までの特定地域におけるNO2年平均値の推移ということで表を出してございます。11年度の結果の中に12年度の速報値をこういう形で載せたということにつきましては、ごらんいただきますとおり、平成11年度におきまして、例えば一般局の特定地域全体、一番上のところですが、上の欄が年平均値、その下に括弧に入れてございますのが、4月から8月の平均値というものです。比べられるのは、12年度の値、括弧の中にあります4月から8月ということで見ますと、11年度は確かに少し下がっている。ところが、12年度の速報値を見ますと、またもとに戻る傾向というものがうかがわれます。この傾向は、下の自排局についても同じでして、やはり11年度におきましては0.035から0.032ぐらいに平均値は下がりましたが、再度また今年度になりますと、上がっている傾向がうかがわれるということで、これは環境基準の評価は年間を通じて行うものですし、全体、年平均値のレベルで見ていかないと、正確には評価できませんけれども、一つの傾向としてとらえるときに、11年度の特徴ということで見ていただけるかと思います。
 こういったことから、11年度というのは改善と見られますけれども、必ずしもこれが継続している様子というものではなく、一時的な要因によるところが大きいとさせていただいたのは、こういったデータに基づくものです。
 同じようなことで、浮遊粒子状物質につきましても、9ページをごらんいただきますと、浮遊粒子状物質の一般局、特定地域全体におきましても、0.045、0.042と推移してきた4月から8月の値が、11年度はかなり下がりまして、0.033となりました。
 ところが今年度に入りますと、また0.040くらいの値を示している。自動車排出ガス局につきましても同様の傾向が見られます。
 こうしたことから速報値でありますけれども、11年度の値というものにつきましては、先ほど申し上げたような評価をさせていただいているところです。一番上の紙に戻らせていただきますけれども、浮遊粒子状物質、2番につきましては、環境基準の達成率、一般局で90.1%、自排局で76.2%ということで、その割合が増加しました。年平均値の傾向では、近年横ばいから緩やかな減少傾向が見られていた中で、11年度はさらに例年以上に減少しているということですけれども、やはりこれについても、12年度の上半期の状況を見る限り、一時的な要因によるところが大きいと考えているところです。
 光化学オキシダントですけれども、ほとんどすべての測定局で環境基準が達成されていない状況で、依然として達成率は極めて低い水準となっています。それから、二酸化硫黄ですけれども、火山などの自然要因によるものを除きまして、すべての測定局で環境基準を達成しているということです。
 それから、一酸化炭素につきましても、すべての測定局で環境基準を達成しています。
 少しグラフを見ていただきたいと思いますけれども、1枚めくっていただきまして、1ページですが、二酸化窒素の環境基準の適合状況の推移ということです。11年度におきましては、一般局で98.9%ということになりました。達成しなかった局、この引き算で見ますと、10年度が57%になりますけれども、11年度では、それが11%ということで、達成しなかった局もかなり減っていると、そういう見方ができるかと思います。
 自動車排出ガス局では、達成率は78.7%ということでございました。
 2ページが、年平均値の推移をグラフにあらわしたものです。上が一般環境大気測定局、下が自動車排出ガス測定局です。おおむね横ばいから、11年度は少し下がった傾向がございますけれども、概要は先ほど説明をさせていただいたとおりです。
 5ページには、自動車NOx法の特定地域における二酸化窒素の環境基準達成状況。これは8月の会議で報告をさせていただいたとおり、11年度の傾向が達成率の高くなっている状況を見ていただけると思います。
 SPMの話では、8ページですけれども、ただいま申し上げた達成率が、図の2−1ですけれども、11年度では90.1%、自動車排出ガス局では76.2%ということで、かなりの達成率の上昇が見られます。
 10ページですけれども、これは浮遊粒子状物質におきます高濃度測定日数状況を月別に比較したもので、上の図が平成11年度、下の図2−3−2が、平成10年度の高濃度日の出現状況です。11年度の特徴としましては、10年度夏の山が、11年度の場合には見られない。そういう特徴がございます。
 12ページは、SPMにつきまして、自動車NOx法特定地域における達成状況をグラフで見たものでございます。概要で、前半のところは以上ですけれども、資料の後ろの方にページが重複してきますけれども、資料編ということで添付をしてございます。
 ただいま説明させていただいたもの、もう少し詳細に展開したものでございまして、全国の達成状況が、資料の三、4ページ、二酸化窒素ですけれども、それから、資料の5ページに、浮流粒子状物質の全国の達成状況、それから、6ページ以降、全国の上位10局ということで、それぞれの観点から、6ページの場合には、二酸化窒素の年間98%値、7ページにつきましては、二酸化窒素の年平均値といったことで、上位を比較してございます。浮遊粒子状物質の上位につきましては、資料の10ページ、11ページの方に掲げてございますので、参考にしてください。
 以上、雑駁でしたけれども、平成11年度の大気汚染状況について報告をさせていただきました。

【岡田委員長】 ただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見などをいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

【猿田委員】 ここの表現で、平成11年度の実質的な要因について、気象条件と置きかえて、その要因とは何かということ。

【大気規制課補佐】 大変難しい問題だと思っていますけれども、私どもの方としても、いろいろ今回この結果が出た中で、気象を含めて要因を探って見ましたけれども、なかなかこれをうまく説明できるいい指標がございません。
 さきの8月の小委員会のときにも、やはり同じ傾向を説明させていただいた中で、気象の話もさせていただきました。特に夏場の、関東地域では、風が平年に比べて、いつもよりかなり高い状況が見られたという特徴がございましたし、冬場にあっては、大気の安定度を指標として見た場合に、いつもよりも安定な日が少ない傾向が見られるといった特徴が、まま見られます。しかしながら、それらがすべて全国にそういった傾向で説明できるかというと、必ずしも言い切れる部分も、それで説明できるということはなかなか難しいということも一方でございまして、先ほど12年度の値をここで出して、11年度の位置づけをさせていただいたという背景には、そういった気象などの要因も一因としては考えられるけれども、いろいろわからない部分も多い。ただ、11年度につきましては、データを見る限り、何らかの一時的な要因が働く中で、こういう傾向が見られているのではないかと、そう考えているところです。

【猿田委員】 年間としまして、だいたい何月ぐらいからまた高くなる、従来ならば高くなっていく傾向があるのですね。
 12年度のは8月までだから、それでも結構上がってきてはいるけれどということですね、12年度。今後がどうなるかで。

【横山委員】 拡散ポテンシャルみたいなものは見ています。

【大気規制課補佐】 実はこれを詳細に解析していくというところまで十分解析が進んでおりませんけれども、全体の、今こういったデータとしてとらえているということの中で、この原因を究明していくということについては、相当時間がかかることかと思います。

【横山委員】 拡散現象と結びついているわけで、拡散現象というのは、こうした気象条件によって決まるわけですから、それがどんな推移を示しているのか、毎年統計をとればわかると思うのですけれどね。

【猿田委員】 逆に11年度が低かったから、大分よくなったかなということで割り切られると、逆に困るかなという感じもあるわけです。

【太田委員】 ちょっと確認させていただきたいのは、前に伺ったときには、各測定点で環境基準を達成しているかどうかというときの印象と、こちらの表現が違うのでは、随分印象が変わったのだとないう点があるのですが、と言いますのは、そのときに、やはり絶対的に達成しなかったときはどの位置にあるのかという、パーセントでこれは県レベルで例えば、11ページの表であるとか、図であるとか、4ページの、全部点の測定局数が幾つか。そのうち何%が達成したかという数字ですよね、これ。そのパーセントというのは、そういう意味でよろしいでしょうか。
 例えば11ページの図の、測定局レベルで、環境基準の何%ということではないですよね。環境基準は幾つあるか、何%ではなくて、局数としてということですよね。その差は、健康上の問題ということは、もちろんその場所で、非常に観測地点が限られている中で、1カ所でもそういうところがあれば、自動車とは最初は言いませんけれどね。その点が問題として書けば、やはりきちんとそういう分布は見た上で、しかし、特異点とか、また測定上の問題があるとすれば、パーセントということで相対的なものを見ましたという、やはり両方の状態ならばちょっとこれは環境ということかというと問題だなという、ちょっと位置が非常にずれましたので、前の全体の環境基準をオーバーした点と測定点の数で見ますと、例えば今度は100%達成といったところは、観測局数が非常に、三つか四つで、必ずしもそのレベルの話ということもございましたし。逆に、非達成のところを見ると、県庁所在地の多くはSPM関係で、1局くらいは達成していないところがございましたよね。だからその辺はやはりある種の老朽化というのは少し判断できるように情報としても残しておいた方が、平均値にしてしまうと、その辺の話が全部飛んでしまうというのは、私はちょっと誤解を与えるのではないかということですが、いかがでしょうか。
 だから資料の一行の中に、そういうものやはりそういう局が、拡大しているものは拡大しているし、地方にも及んでいると。だけどいろいろな対策をするときは、焦点としてはこちらということではいいと思うのですけれどね。

【浅野委員】 今の太田先生のご意見は、言ってみれば、これまでの「環境行政文化」にかかわる問題であろうと思われます。大気保全局は、このような形で全国の傾向をこれまで示してきたという連綿たる伝統があって、この形式が当然のスタイルと信じてぃているわけですから、今のようなことを言われても、直ちには対応ができないのではないかとも思われますが、後の資料の4ページ、5ページのところに、達成状況が全部県ごとに表としてパーセントで出ていますよね。
 今のご意見は、今までの局の伝統に安住しないで、せっかくこのような表をつくるなら、これをもっとビジュアルに、わかるものをつくるように努力せよという激励の言葉と思って、まじめにやっていただければよろしいのではないでしょうか。

【太田委員】 せっかく7ページのような図も出てきましたから、これを全国規模で出していけば、ひとついいということですので。

【岡田委員長】 確かに1次元の、1段階評価だけで、すべてを律してしまうことのリスクというのはあるのかもしれませんね。だから2段階、大変高いところと低いところのバランスの問題だとか、いろいろな問題が、2段階目の評価がほしいということですね。
 我々も、自排局、一般局、みんなパーセントで未達成、達成と、こう今まで頭がならされていますからね。

【浅野委員】 要するに温暖化のように、ナショナルレベルでどうなるかということがかなり重要な政策の場面と、大気汚染のように、局地性もなお問題にすべき場面とを、ちゃんと濃淡をつけて議論するようにしていかないといけない。国はともかく国レベルのことをやればいいのだから、全国は、こういう状況ですと言っておけば、それで責任が終わるというわけではないということだと思うのです。

【岡田委員長】 これは横山先生の言われた、拡散の問題、いろいろな問題が絡んできますからね。
 大変重要なご指摘をいただきました。資料関係はよろしゅうございますか。
 続きまして、議事の2の現行総量削減計画における各種施策効果の算定方法
 について、ご説明をお願いいたします。

【自動車一課補佐】 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。資料3は、現在の総量削減計画におきますところの各種対策の効果がどのように算定されたかというものを、過去の文書をひも解きまして、まとめさせていただいたものでございます。と申しますのは、これまでの検討会の中でも、例えば物流対策ですとか、人流対策などが、具体的に効果があったのかどうなのかというところが、なかなか評価ができていないというところが問題であるというご指摘をいろいろいただいておりまして、そういった意味でも、ここで現在の総量削減計画の策定時点でどのような考え方に基づいて、そうした対策効果が見込まれていたのかというところを再度見ておく必要があろうということで整理をさせていただいたものであります。
 3ページ以降に、それぞれの物流対策、人流対策等につきましては、表の形でそれぞれ各自治体がどういった資料をもとに、どういった手順でまとめたかというものを、これは過去の資料から抜粋させていただいたものですが、掲げさせていただいておりますが、それをまとめたのが、1ページ、2ページでございます。簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、物流対策ですが、例えば埼玉県、千葉県、神奈川県などでは、例えば自動車に対するアンケート調査、それから、モーダルシフトですとか、物流施設の再配置に関する調査研究などの結果をもとといたしまして、事業者における物流合理化ですとか、あるいは鉄道・海運の積極的活用等の効果を算定して、具体的な物流対策の効果を見込んでおります。
 もう一つ、東京都では、これに対しまして独自の調査、あるいは関東陸運局の調査結果をもとといたしまして、全般的な走行量の削減効果ですとか、自家用車から営業用車への転換の効果、あるいは一定規模以上の事業所の走行量が削減するという効果を見込んでいるところであります。
 続きまして、大阪府ですが、大阪府につきましては、今度は物資流動調査、それから道路交通センサスOD調査をもとにいたしまして、小口輸送の抑制、営業用車への転換等々の効果を算定しております。
 兵庫県も、基本的にはデータとしては、大阪府と同じものに、それに独自のアンケート調査結果を加えまして、全般的な走行量の削減効果、営業用車等への転換等の効果を見込んでおります。
 続きまして、人流対策ですが、まず、埼玉県、千葉県、神奈川県におきましては、住民アンケート調査というものを実施しておりまして、そういう点の中から、公共輸送機関への転換効率というものを見込んでおります。またそれから、それに伴いますマイカーの走行量の削減率というのを設定しております。
 東京都は、先ほどの物流調査と同じように、登録地の調査結果を用いまして、
 さらに公共交通機関の利便性の向上など効果を見込みまして、マイカー走行量の削減率の設定ということにつなげております。
 大阪府は、タクシー協会の資料をもとに、同じような値を設定しております。
 兵庫県はこれに対しまして、国税調査ですとか、事業者へのアンケート調査、
 パーソントリップ調査等々をもとといたしまして、マイカー自粛ですとか、鉄道整備の効果を見込んでおります。
 続きまして、低公害車の普及ですが、これにつきましては、基本的には各自治体の低公害車の普及計画に基づきまして、低公害車の普及による効果を見込んでおりますが、神奈川県ではこれに加えまして、低NOx乗用車の普及効果についても算定しているということであります。
 最後に交通流円滑化対策ですが、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県では、第11次道路整備五カ年計画をもとに、将来旅行速度の上昇率を設定しております。
 これに対しまして、東京都、神奈川県では、独自の調査結果に基づきまして、
 そうした速度の上昇率を設定しております。
 そういうことでございまして、以上見ていただきましたように、最後の考察のところにございますが、各自治体はそれぞれ独自の方法でいろいろな対策を多くは見込んでいるところが明らかとなっております。
 具体的には、例えば自治体は住民ですとか、事業者に対するアンケート調査などを実施いたしまして、そうした結果をもとに、例えば物流対策で約平均で10%程度、乗用車の走行量削減、人流対策でも約10%程度、それから旅行速度の1から5キロメートル程度の上昇等々の効果を見込んでいるというところであります。
 したがいまして、当時といたしましては、最善の努力をして、最も確度の高い値が見込まれていたのではないかと考えられますが、何分そういったアンケート調査等の1回限りのアンケート調査等に基づいて試算をしておりますので、現時点で、その効果をさか上って、どれだけ実際に効果があったのかということを評価することはなかなか困難な状況にあるというのが実態でございます。
 すなわち、低公害車につきましては、例えば実際の低公害車の数というものがわかりますから、そういったものから推定することはできますが、ほかの指標につきましては、例えば現在、追加的に交通等の状況等について調査を行ったといたしましても、そうした効果がなかなか読み取れないという状況にあろうかと思います。
 したがいまして、今後に向けてでございますが、今後、これらの対策効果を見積もる場合に当たりましては、例えば一定の事業者に対して、対策の実施状況等の定期的な報告を求めるということですとか、あらかじめ一定期間後に同様の調査を行うことを前提としてデザインされたアンケート調査を行うことですとか、さらに各対策の推計精度の向上に向けた調査方法の検討、さらには継続的なデータ収集ということを通じまして、対策効果が一度決めたらそれで終わりということではなくて、後からもしっかりと把握できる体制を整備していくということが、反省点として浮かび上がるのではないかなということであります。
 以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきましては、何かご質問などをいただければと思います。

【浅野委員】 前の計画をつくった当時の状況が何となくわかってきたわけです。多分これにも書いてあるように、当時としてはかなり努力をして、精度の高い予測をしようということでおやりになったのだろうと思います。
 この手のものは今でも、例えば環境関係の学会でもさまざま報告を聞きますけれども、なるほどなと思うものは余り出てこない。現在でもなおかつ難しい問題だと思いますから、当時の予測が悪かったといったことを幾ら言ってみてもしようがないだろうと思うわけです。
 むしろ予測した後、どうやってそれをきちんとフォローアップしていたかが問われるべきです。データに基づいて、この施策はここが効いたのだろうという推計を支援するような、そういう数字を把握できなかったということが問題であった。
 それぞれの省庁が省庁の施策ごとにデータを持ってはおられるのでしょうけれども、結局のところは、自治体に情報がうまく流れ込むという仕組みになっていませんでしたから、ばらばらにしかデータが存在しない状態におかれたのではないか。自治体にちゃんと情報が流れ込んで、適切な評価がなされるという仕組みができていなかった。そのためにもっとこういうデータがほしいのだけれどというフィードバックも働かない。そこに問題があったのではないかという気がするわけです。今後どうすべきかということについては、予測手法の精度をより高めるということはもちろん必要なのでしょうけれども、幾らここで予測手法の精度を高めてみても、その後の、例えば人間の行動様式とか、経済活動がどう変わるかということについては、予測の範囲を超える部分が十分にあるわけですね。例えば低公害車が普及したら、何台普及したかで、それで排出削減量が読めると言いますけれども、普及しただけではだめで、それが一体どのぐらい道路を走り回っているかというところを見なければいけないわけですね。ばかばかしい仮定ですが、もし、例えば低公害車を走らせるコストが物すごく高ければ、ばかばかしいから、買ったけれど、しまっておくということになると、それでは効果としては出てこないはずです。それから、道路によって旅行速度が1キロから5キロに上がるというのは、これは道路予算をとるために、そういうことを言っているだけであって、実際に、では旅行速度がどう上がったのか下がったのかということは、それそれを具体的に検討してしまうと、これだけの金をかけているのに何だと言われてしまうから、出したくないのではないかといいたくもなるのだけれども、もともと旅行速度改善を予測するときに、走りやすくなれば、車がどれぐらいふえるのだろうということを計算に入れていなければ、予測が合うはずがないだろうと思うのです。どのぐらい車がふえるだろうということは、経験的に考えてみても、ある程度は予測できることですから、こういう要素を入れておかなければ、しょせんは予測が狂うのは当たり前ではないかと思います。アセスメントの場合でも同じなのですが、社会経済的なは、後から次々にデータを集めていって、それで最初の予測を補正していくという方法をとらない限り、最初から完全に正確を期そうとしてどうにもならないのだろうと思うのですね。その点がちょっと今までは欠けていたと思うわけです。各省庁がそれぞれにデータをおとりになるのは、それはそれぞれの職責上当然のことだろうと思いますけれども、それが統合的に整理されて、自治体に必要なものはちゃんと流れ込むとか、評価のために必要な場合は、必要な情報を追加的に、さらに集めていただけるという仕組みをつくる必要があるわけです。そのために「中間取りまとめ」の中で、自治体を中心とする協議会をつくって、そこにイニシアチブをとってもらえるようにする必要があると言ったのは、まさにそういうことであったわけです。
 もし、どうしてもその仕組みがうまく動かないのであれば、これはやむを得ません。自治体が自前で情報をとるということに踏み切らざるを得ないわけで、そのために自治体に人材と資金を与えて、そこでしっかり情報をとれるようにしてもらうという以外ないだろうと思います。
 ですから、各省庁が所管事項について自らおやりになるというのであれば、データはもっと、政策目的に合うものがちゃんと出るようにしなければいけないと思います。これはこれから先、政策評価とか、うるさく言われますから、各省庁とも意識をしておられるだろうと思うのですけれども、従来の例で言うと、例えば道路をつくったら、音がどのぐらい下がったということにしてみても、道路をつくる前にちゃんと調べて、道路をつくった後、これぐらい下がりましたという程度の調査すら十分にはおこなわれていないのではないでしょうか。一つの政策が、単一的のある効果をもたらすだけということは、まず普通はあり得ませんから、だからこれをやったから、これだけの効果が上がりましたという証拠を出さないといけないという思いにとらわれ過ぎると、データを出したくなくなるわけです。
 しかし、自動車交通による環境影響の対策といった話は、様々な施策を総合して効果が効いてくるわけですから、だから自分のところで全部責任を背負いかぶらなければいけないと思い込まないで、客観的なデータは客観的なデータとして出しておいて、その中でいいとこ取りで、うちのやったことで、このぐらいの効果が上がったはずだと言って宣言すれば、いってみれば早い者勝ちなのであって、あとよその省庁が、いや、うちの施策の方が効果があったと言いたければ、反証を挙げる義務が出てくるはずでしょう。
 施策の総合的な効果を見るためには、客観的なデータをとにかくきちっと出してもらう必要がある。データが各省ではとれないなら、自治体にとらせるとということしかないと思います。

【香川委員】 調査の基本的なことですが、これは物流対策、人流対策で、各自治体がやっているのに、評価指標として共通点は幾つかあるのですけれども、やはり比較ということが非常に大事になってきますので、どこかで各自治体に最低限、例えば物流対策に関しては、これとこれとを調べなさいというガイドラインみたいなものをつくらないと、ここで見ますと、共通項目というのは少ないですね。

【猿田委員】 今、浅野先生がおっしゃっていたこと、本当にそのとおりだろうと思うわけですけれども。
 せっかく現行計画では、平成5年から始まったこのNOx法の中で、それぞれ削減計画を立てたわけですね。物流については、人流については。
 この措置法ができたときに、国の方がどういう削減目標を出したのかというのを、ちょっと思い出したのですが、単体規制で約10%、車種代替で10から20、低公害車の導入で、数%から10%、物流対策もそうなのですが、人流で数%とこういうのが当時出されて、全体で40%ぐらい削減できるだろうという目標、なぜこれを申し上げたか。ちょうど平成4年でしたか、5月に参議院の環境特別委員会で参考人で呼ばれて、これは実際に実行できるのでしょうかという質問があったのを思い出したものですから、「いや、それを我々は期待しているのです」と、私はそう答えたのですけれども。そのとき、こういうのを審議過程で出されたのを記憶しております。
 結局、先ほど浅野先生が、客観的データが出てくればというお話がございましたですね。そういういろいろな物流対策もまた。
 車種代替等については、特定地域内における車種代替については、年度内にはかなり目標に近いところまでいく。数値的にできたものはそれぐらいで、あと人流でどれだけ変わったのか、物流でどれだけ変わったのか全然わかっていないわけですよね。わかっていないというか、なかなか実態が把握できないというところに一つ問題があるわけで、その辺をこれからどうしていくかですね。平成5年に目標は設定したけれども、これはクリアできれば、環境基準を今年度おおむね達成するのだろうというので、こういうのを出したわけですけれども、これはあくまで根拠があったかは別として、やはりその中のこういう実態が把握できなかった点の問題、それから、なぜそれが目標に対して達成率が悪かったか、あるいは低公害車の普及など、30万台というのが全然低いわけですけれども、なぜなのか。その辺の反省というか、解析というか、そういうものを十分しておかないと、今後、今我々の検討しているNOx、今度はPMも含めて、自動車排ガス対策というものの中でいろいろな目標を設定したとしても、今までの過去のそういう実態から見て、今の浅野先生もご指摘があったように、実態を把握、どれだけの効果が出てきているのかということ、あるいはどれだけの対策がとられてきているのかということを数量的に把握できないと、何もその効果を判断することはできないわけです。その辺をどうしていくのか。今まではその辺に関しては、そういうのは、NOx法ができて、例えば物流などの関係では、営業用車などに対して、主管大臣から指導がいっている。これは通達が出されているのでしょうけれど。ではその後、どれだけそれはフォローされたのか、フォローアップしているのかどうか、きちんと把握して、どのようなことが行われたのかわかっているのかと。
 一方、自治体は自治体として、地元の環境が悪いのは困るという住民からの要求もあるでしょうし、いろいろ対策を講じて、少しでもきれいにしようと努力している。その辺の問題もあるわけですね。その辺は一体となってやっているかということになると、ちょっと疑問が、首をかしげざるを得ない状況もあるわけで、そういう実態を把握しながら今後やっていく。それでその中で今ほどの、いわゆる数量的に把握するのは難しいのであれば、ではどうすればいいのか。
 例えば交通量などに対しても、どういう車種構成に変わっているのか。大型車がふえたとよく言いますが、ではどうなのか。
 しかしそれもここにも書いてありますけれど、道路交通センサスの調査云々とありますけれども、これも数年に1回の話ですよね。その間に、我々が今期待している、10年の半分ぐらい過ぎてしまっているということにも、5年に1回とか、そういうことで、過ぎてしまうこともあり得るわけで。そうであれば、やはり毎年チェックというのもなかなか難しいのであれば、隔年ごととか、あるいは3年ごととか、できれば毎年チェックできればいいわけですけれども、何かそういうものを体制をどうしていくのかということも、あわせて今後のNOx法のさらなる整備の中で、やはりきちんと整理していただきたいなというのが一つ。今でも実態で、何も把握ができなかったではないが、その辺をどうするのか。やはり反省すべき点は反省して、施策上どういう施策がとれるのかをきちんと整備して、この次にはそういうものを積極的、縦割り行政を排した、横断的なのが必要だとしょっちゅう言われているわけですけれども、むしろその中で国レベルから地方におろしてやりやすいものは、地方におろしていって、地方でやって、そのデータを国が吸い上げて、全体的な、広域的な整備を解析をしていくとか、そういうことも必要なわけであって、その辺は一度また、検討をしていただきたいなと思いますけれど。

【岡田委員長】 かなり根本的な問題が、二人の先生から。

【浅野委員】 ちょっと申しわけありません。猿田先生の話を聞いていて、つい余計なことを言いたくなってしまったのですが。
 学生に、法律の制度を説明させても、よくわかっていない場合には、その制度がなかったら、どうなるかを考えるようにと指導することがあります。もしそれがなかったらどうなるかを考えれば、なぜかとか、どうしたらいいかという問いに対する答えが出てくるだろうと思うのです。だから、例えばペットボトルのリサイクル法がなければ、どのぐらい排出量がふえたかというシミュレーションが、この間、審議会の参考資料の中に出されました。そういうことというのはできるのですね。だから、最初から減らさなければいけないということだけを考えて、議論をし始めるものですから、なかなかつらいのですけれども、もしこの施策を導入しなかったらどうなったかということを検証してみて、それで少なくとも、それだけの効果があったのだということを考えていかなければいけないと思ういます。
 PRTRシステムとそれからポイントでの化学部物質の環境濃度のモニタリングとの関係とも多少似たような点があるような気がするのですが、自動車排出ガスの全体の動向は、例えばこういうさまざまな統計データのようなものから推計しつつも、しかし、ポイントで具体的に把握した数値とをつけ合わせて推計の精度を高めるという手法があるはずです。同じようなことをやるとすれば、例えば交通センサスのODのような大がかりなものではなくても、例えばモニタリングのポイントで断面調査をやってみて、それをずっと継続的にやっていって、それだけでもどういう車種が通っているのだとかということがわかれば、それを組み合わせることによって、推計の精度を高めるということはできるのではないのかと思います。何らかの工夫をしていくことが必要で、既存のデータだけに頼って考えるというのではなくて、太田先生のような専門家がいらっしゃるわけですから、大いにお知恵をお借りする必要があるのではないか。マクロでとらえることばかり考えないで、マクロとミクロの視点を両方合わせるという方法を今後、開発していく必要がありそうだし、それはやはり自治体の具体的な知恵を借りることが一番手っ取り早いのではないかと思うのです。

【太田委員】 やはりこういう対策は、それぞれの分野でノウハウがある程度あるわけですよね。問題はそれを計画なり、モニターをする主体のところに、それがアクセスブルかどうかと言いますか、使えるかどうかという話で、例えば環境庁とこういうことをやるところに、交通計画の専門家なり、交通公害の専門家が置けるような仕組み、そういう重要なポイントについて、ほかから出向した人だけではなく、内部でそれを検討する人、これは今後の課題ですけれども、ぜひ育てていくような、そういう体制は、絶対これは必要だと思いますね。だれが集めようと、やはりそれを全体として一つの立場で見るという、そういう体制が今後ぜひ必要かと思います。
 それから、データそのものを、これからだんだんそういう地域ごとの対策が必要になってくるということで、私ども、先ほど浅野先生からご紹介がございましたけれども、地域レベルでやはりきちんと見る必要があると。これは対策上も、ライフスタイル、ビジネススタイルとか、全部に関わっていますから、全体を見れるのは、やはりその場所におられる自治体の方ということになりますし、施策も単体対策だけではなくて、交通対策、道路、公共交通、それから、都市計画対策も必要な時代ということになりますと、それを継続的に見るのは、やはり地方がやると。その地方に対して、また中央がそれぞれの役割で見ているという仕組みで、やはりそれだけの資源と体制をつくるということをぜひ、今後の課題ということにすべきだろうということです。
 それから、浅野先生から、この10年余り勉強をしていないのではないかというおしかりをいただいたような感じがちょっと受けましたので、多少弁解しておきますと、交通計画と交通の分析の方では、実はこの10年、いろいろなデータがディスクローズされていることと、アプローチとして一番大きく変わってきたのは、今度はミクロの行動を追っていこうということで、一人一人が1週間の交通をどんなふうに車を使っているかとか、そういうことの勉強を始めてきていまして、ある程度シミュレーションができるようになっています。ただ、これは一人一人を追っかけますから、1,000万人を1,000万の計算機で、理論的にはできますけれど、それで意味があるのかとか、ちょっとそういう問題がありますから、少なくともそれを通して、行動をどうすれば変えられるかということがわかってきておりますから、そういうのが少しずつ出てきているわけですね。
 ですから、政策、特に私どもはいろいろの立場で言ってます、交通事業マネジメント的な価格でやったり、その他の方法でやる。きめ細かいものに対する個別的な効果はわかるようになってきたわけですね。ただ、実際には数年間にいろいろな施策が同時に起きますから、おっしゃるとおり、一つの施策の効果だけを特定することは非常に難しいという状況であろうかと思います。それにしても、データは蓄積、あるいはモデル理論ということもかなり進んでいるので、むしろそれを有効に生かすという方向で、そのノウハウ、その他を、やはりそれなりの資源を投じないとしようがないということですね。
 それからあと一つ、実際、いろいろな社会実験が行われております。その中で現在やられていない施策についても、局地的ですが、データが得られるという状況が上がっております。
 注意しなければいけないのは、イベント的に社会実験をとらえる場合のデータはもちろん使えませんので、それが定常的に行うパークアンドライドとか、そういうことで、イベントで1日だけ参加してみようというデータではどうしようもないかもしれませんけれども、定常的にやれる部分がだんだんふえておりますから、そんなものをぜひ活用してほしいということ。
 3番目ですが、これまでの対策の効果を見る場合に、ちょっと消さなければいけないのは、理論がちょっと混乱していると思いましたのは、対策そのものが実は当時内容を特定せずに、わけのわからないけれど、とにかく積載率を上げてくれよと、それを名目的に、お題目として、共同輸配送だということにしてたとか、そういうものがありますから、これは今後のお話なのですが、やはり施策、一応お題目のことを言って、中身についてできるだけ具体的なものを上げておいて、政策として、政策の導入がどの程度まで進んだのか。では具体的に共同輸配送は、では何カ所で何トンができたかということを測れるという、直接的な、例のインプット指標とアウトプット指標というレベルで、とにかく対策そのものがどの程度、お題目に挙げられたような項目がそこにある項目を施策として分解してみるとABCDというのがあって、それぞれ何カ所、どのくらい行われたかと、これはまず、必ず把握しなければまずいと思いますね。
 だけど、導入したけれども、それが効果があったかどうかはまた別の話ですから、これはアウトカム指標との関係ですよね。アウトカムとして、排出量としてどうなのかということであれば、それはまた別途、こういうことをやればこうなるという細かい数字を分析するモデル等はでき上がってきていると。そうすると、データがあるかというのが、今問題だと。その前に、まずその対策が本当に行われたかどうかをきちんと把握する、そういう仕組みがどうも、必ずしも環境庁サイドにないかもしれないという点ですね。
 ですから、やはり今後やるとすれば、やはりその辺の対策として挙げた中身をある程度具体的なイメージでできるだけおろしてみて、そのときにアウトプットとは何か。要するにその対策、積載率を上げるということでやって、では指標は何にするかと。きちんとした共通指標をそういう意味でつくっておいて、それを上げた結果、本当に排出量が減ったのかどうかというのは、また別の話ですから、これはアウトカムの話ですから、それはやはり区別して、分析する。そういうきちんとした仕組みをつくっていかないと、難しいのではないかということと思います。

【岡田委員長】 大変根本的な問題にご指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 今、太田先生が言われた、ディスアグリゲートモデルのようなものをやるというのは、これは大変なんですね。今までは太田先生は大変努力してこられましたけれども。
 とりあえずアグリゲートモデルでも、一応納得のいただける方向性が出せるのであれば、これは他省庁の交通センサスだとか、そういうものを活用して、ではどこまでものが言えるのかと。あるいはそれに対しては、ポリシー・プレゼンテイションとしては、どういうことが可能なのかと、こういう見極めをしっかりやることが大変重要なのではないか。つまり、ポリシーと結びついた調査のようなものが的確に行われることが重要だというのは、先生方のご指摘のとおりだと思いますね。だからその辺の見極めをこれから、スペシャル・サーベイが必要で、一般的な調査で、センサスだとか、何年か置きにやられるようなものと、それから、これでは足りないから、何が足りないのかと、そういうそこら辺の組み立てをどういう制度に乗せるのか。
 これは例えば環境計画をつくるためにはどういう調査とどういうものが必要でというポリシーサイエンスの要素がどうしても必要になってくるのですね。これは大変難しい問題といいますか、環境庁としては恐らく、今までNOx法の過程では、やはり発生源対策中心主義ですから、交通問題に今言われたようなことを踏み込んでやったという経験がやはりないのだろうと思うのです。それだけに、政策の問題になると、どうしても他省庁との関係をどうつけていくのかということがやはり重要になってくるかなと思いながら話を伺いました。
 時間の関係もありますので、大変恐縮ですが、この次との関係がありますので、議事の3、各種施策の効果等の試算結果について、ご説明をお願いいたします。

【自動車一課補佐】 それでは、資料4について説明させていただきます。資料4は、各種対策の効果等の試算結果についてでございます。
 これまで小委員会におきましては、それぞれの対策につきまして、対策効果についてご議論いただいてきたところですが、今回はそれらのものを全体としてまとめまして、端的に申しまして、それぞれの自治体におきまして、目標の達成の実現可能性があるのかどうなのかということを、非常にラフな試算ではございますが、まとめさせていただいたものでございます。
 この1ページを見ていただきますと書いてございますように、中間報告の中では、七つの報告が提言されておりまして、車種規制に始まりまして、低公害車ですとか、事業者レベルでの対策等々、七つの対策があったわけですが、このうち、幾つか定量化が可能なものについて取り上げまして、これを仮定を置きまして、その効果を見込んだということでございます。
 なお、試算を行うに当たりまして、前提条件として大きなところが二つございまして、一つは、将来の自動車NOx排出量が、それぞれ単体の排出量がどのように変化しているかということなのですが、これにつきましては、規制値の強化に合わせて、それに応じた削減率が見込めるという、名目削減率と前に申しましたが、そのケースと、それから実際にそこまで必ずしも落ちないかもしれないということで、実質削減率ということで、かなり低目に効果を見込んだ場合と、二つの場合をこれまでの計算でもお示ししたところですが、今回、これに加えまして走行量の法につきましても、これまでは過去の交通センサスの結果をもとに、過去の実績を踏まえて単純に、将来走行量の設定をしていたケースだけを見ていったわけですけれども、今回は各自治体のヒアリング等を実施いたしまして、より実現性の高い数字として環境庁の方で一部設定した。これは結果的には、全般といたしましては、単純なトレンドから推計した値よりも低目の値になっておりますが、そうした二つよりの数字で計算をしております。したがいまして、2掛ける2で4ケースでそれぞれ計算をしております。
 それぞれの対策の前提条件でございますが、これにつきましては、1ページの下のところにそれぞれ書いてございますように、まず、車種規制につきましては、原則として車種規制の施行時点での最新規制値を特定排出ガス基準をするということで、それにディーゼル自動車を加えるということで、仮定は置いております。
 低公害車につきましては、これまでフリート平均値抑制対策というところで、
 重量車以下の車両につきまして、低排出ガス車等が普及するという効果についての試算をお示ししたところですが、今回はこれに加えまして、低公害車の普及促進策によりまして、重量車につきましても、低排出ガス車等が開発され、それが普及するという仮定をメーカーヒアリング等をもとに設定しております。それから、物流、人流、交通流ですが、これにつきましては、1の注のところに書いてございますように、具体的な施策の積み上げとして推計することが、現時点でなかなか難しいということがございますので、感度解析の結果を用いて、それぞれの施策のポテンシャルを推計するという視点でやっておりまして、例えば物流ですと、走行量が10%削減するとしたらということで設定をしております。
 したがいまして、これはこれだけの削減量が着実に達成できるということを意味しているもものではなくて、ポテンシャルとしてそれぞれの対策効果がどの程度あるのかということを見たということであります。
 ちなみに物流対策、人流対策、交通流対策につきましては、それぞれ物流につきまして、まず、走行量が、普通貨物車が10%低減すると。物流対策につきましては、それに加えて普通貨物車から小型貨物車に10%転換するという、二つの効果を見込んでおります。それから、人流対策につきましては、乗用車の走行量が10%削減するという効果を見込んでおります。それから、交通流対策につきましては、一般道での旅行速度が20キロ以下、高速道路では40キロ以下のところの道路を対象に、旅行速度が10%程度上昇するという仮定を置いております。
 ちなみにこれらの仮定につきましては、先ほど資料3でごらんいただきました、過去の設定値と大体おおむね対応するレベルということで、そういったことも参考にしながら設定した数字であります。
 これらの計算結果は細かくなりますので、代表例だけご説明させていただきますが、8ページ以降に、それぞれの自治体ごとに目標量と、それからそれぞれの対策効果を並べた結果を示しております。8ページの上の図の1−1で説明をさせていただきますと、大きく平成17年度と平成22年度をそれぞれ棒グラフで10本ずつ棒が並んでおりますが、最初の3本が必要削減量でございまして、環境基準を100%達成する場合、それから、95%達成する場合、それから、90%達成する場合に、どれぐらいNOxを削減しなければいけないかという量を示しております。したがいまして、この量以上に対策効果が見込めれば環境基準の達成が見込めるということを示しております。
 その次からそれぞれの対策の効果を示したものでございまして、左から順番に、車種規制、低公害車普及、物流対策の貨物車低減、それから物流対策の普通貨物車から小型貨物車への転換、それから人流対策、それから、交通流対策ということでございまして、最後の真っ黒い棒が、それぞれの対策効果を積み上げたものでございます。
 一番最初に申し上げましたように、それぞれの対策効果につきましては、非常にラフな試算結果でございまして、細かいところにつきましては、なお検討が必要だと考えますが、おおむねの傾向を見るものとして、見ていただければと思います。
 例えば図1−1で見ていただきますと、平成17年度ですと、環境基準が90%達成のところには、ぎりぎりですが届かないということで、それ以上、例えば95%とか、100%のところには当然届かない状況になっていますが、一方で平成22年度になりますと、環境基準100%達成の必要削減量も超えるだけの効果が見込めるということで、平成22年度程度になれば、埼玉県の、この試算、四つある試算のうちの一つのケースに過ぎませんが、このケースですと100%達成できるのではないかということが見込まれているということでございます。
 これに対しまして、例えば9ページの上のところに東京都の例がございますが、東京都の例では、平成17年度では、非常に対策効果と必要削減量の乖離が大きくて、22年度になりますとだいぶ近づいてきますが、それでもまだ、90%達成というのは、このケースで見ますと難しいのではないかという試算結果になってございます。
 以上、それぞれ四つずつございますので、これを文章でまとめましたのが、2ページに書いてございます。
 まず、それぞれの自治体ごとにまとめておりますが、まず、埼玉県では、平成17年度で見ますと、一つのケースで環境基準達成率が95%以上、三つのケースで90%以下ということで、ケースごとに傾向が分かれております。また、平成22年度で見ますと、2ケースで100%達成、1ケースで95%以上、1ケースでは、依然として90%以下ということになっております。
 千葉県では、平成17年度自体におきまして、既にいずれのケースでも、環境基準達成率95%以上100%以下ということになるというふうに予測されております。平成22年度では、このうち2ケースで100%の達成が可能ということになっております。
 東京都では、反対に平成17年度、22年度ともにいずれのケースでも、環境基準の達成率が90%に届かないという結果になっております。
 神奈川県では、平成17年度では、1ケースで達成率が90%以上となりましたが、それ以外のケースでは、90%に届かないということになっております。平成22年度では、逆に90%以上になるのが3ケースにふえましたが、1ケースでは、依然として90%に届いておりません。
 大阪府では、平成17年度では、環境基準95%以上というのと、90%以下というものがそれぞれ二つずつということで分かれておりまして、平成22年度になりますと、2ケースが100%、残りの2ケースでも95%以上ということになっております。
 兵庫県では、平成17年度で既にいずれのケースでも、環境基準達成率95%以上100%以下になっておりまして、平成22年度では、このうち二つのケースで100%になっております。
 これらの結果をまとめますと、以下のようなことが言えるのではないかということが、2ページの下の二つの○でございます。一つ目は、すべてのケースで環境基準の達成率が、要するに四つケースで試算をしているわけですけれども、その四つのケースすべてで環境基準が100%になるという自治体はございませんでした。一方で、幾つかの自治体では、100%となるケースもあるという試算結果が出ております。
 したがいまして、想定した対策の強度というものは、過度あるいはの過小ではなかったのではないかということであります。
 このため特定地域全般にわたる対策といたしましては、想定し、ここで仮定しました相当する程度の強度で対策を実施するということは、おおむね必要なレベルではないかということが1点目でございます。
 それから、もう一点目は、先ほどご説明いたしましたように、地域によって環境基準達成率の予測結果というのが大きく異なるということが明らかになっております。したがいまして、地域に応じて、目標達成水準に違いを設ける必要があるのではないかということであります。
 例えば千葉県や兵庫県ですと、この試算結果を見る限りですが、環境基準達成率95%以上ということに目標を置くことが考えられる一方で、東京都の場合には、90%に満たない目標とすることも考慮する必要があるのではないかということであります。
 以上が全体的な試算結果の概要でございまして、3ページにつきましては、ちょっと順序が逆転しているところがございますが、必要削減量の分析の追加的なものでございます。これにつきましては、この結果も踏まえて1のところの結果を出しているのですが、これは以前、11回の小委員会におきまして、自動車排出NOx量の必要削減量の速報値をお示しいたしましたが、その後さらに精査をいたしましたので、その結果を示したものでございます。この結果は前回と比べてどこが違うかというところが、3ページの上の2点に書いてございますが、一つ目が、前回はモデルに全体的な再現性があるということで、それぞれの環境基準点で誤差がある場合にも、その誤差を全く補正しないで、そのままの値としてデータを評価していたわけですけれども、そうしたことをいたしますと、かなりその影響が大きいということがございまして、そうした誤差がある場合には、その誤差を補正をするということを今回行いまして、モデルの再現性を高めております。
 それから、先ほど申しましたように、自動車走行量に関しまして、さらに2ケースを追加して試算をしております。その結果を24ページ以降に掲げてございますが、全体的な傾向としては、当然前回と余り変わりがないのですが、前回と違いまして、まず、東京都、神奈川県では、100%以上削減をする必要があるというところは見られておりません。ただ、依然として最大で、例えば東京都で80%程度の削減が必要とされるという状況には違いがないということであります。
 それから、環境基準達成、95%のようなケースで見ていただきますと、名目削減率の場合と実測削減率の場合でかなり違いが浮き彫りになっておりまして、名目削減率の場合ですと、千葉県ですとか、兵庫県などでは、単純将来でも目標の達成が見込まれていますが、一方で実質削減率の方では、いずれの実際でも2割を超えるさらなる削減が必要という状況で試算結果が出ております。
 さらに環境基準が90%を達成するというケースでございますが、これにつきましては全般的な傾向といたしまては、前回とほぼ同様でございまして、特に東京都に求められる努力の大きさというものが浮き彫りになっております。
 これらをまとめたのが、3ページの下のところに書いて、3点と書いてございますが、先ほどと類似した内容でございますが、一つ目は、各自治体ごとに目標を設定する際に、一律の環境基準の達成率というものを求めることは必ずしも適切ではなく、地域の実情に応じた目標を設定する必要があるのではないかということは1点目であります。
 同時に、計画期間の中間段階で、進捗状況等を評価いたしまして、その後の対策のあり方に反映させていく必要があるのではないかということであります。と申しますのも、先ほど申しましたように、いろいろなケースの前提条件の置き方の違いによりまして、かなり試算結果に幅が出るということになっておりまして、将来の見通しを考えるに当たりましては、その不確実性を勘案して、安全側に立つ必要があるということがございます。
 実際に車種規制にせよ、そのほかの物流、人流、交通流対策せよ、交通量の伸びはどの程度になるのかという社会条件等によっていろいろ変わってくるということがございますので、あらかじめ確実な効果というものを予測するのがなかなか難しいということを留意しつつ、先ほどご議論いただきましたような点を踏まえて、中間段階での点検ということも含めて適切に対応する必要があるのではないかということであります。
 4ページの3のところでございますが、これも一度これに関するする資料をお示ししているところでございますが、各対策費用の検討でございます。まず、大きなものとして車種規制がございますので、車種規制につきまして、検討結果を示しております。これは第11回小委員会におきましても、社会的影響の大きさということで、強制代替車両数というものを、NOxの削減量と比較する形でお示しいたしましたが、これをさらにコストに、具体的な金銭に換算いたしまして、さらに分析を進めたものが、今回の資料でございます。前回と比べて、まずどこが違うかという点でございますが、前回、今申しましたように、車両数ではなくて金銭に換算しているということが1点目です。それからもう1点目は、前回は例えば17年度と22年度それぞれの段階での対策、効果、社会的影響を見るというときに、それぞれの年度までの累積強制代替車両数というものを指標にしておりましたが、社会的影響という観点から見ますと、それ以降にも、当然ながら強制代替される車両が出てくるということがございますので、強制代替が終わるまでの車両数の全部のコストを見込んで、社会的影響という意味から、それを金銭に換算したということでございます。
 その結果が28ページ以降に掲げてございます。28ページ、29ページが、
 前回お示ししたものに対応する形で、NOxの名目削減率、実質削減率で、それぞれ試算結果を示したものでございまして、特に下の二つの欄が変わっておりますが、一番下が、100万円当たり、何キロぐらいそのNOxが減らせるかということで、費用対効果の高さを示していると考えていただいてよろしいのではないかと思います。
 これを見ていただきますと、前回と少し傾向が違っておりまして、まず、一番対策効果が高いというのが、eのケースになります。eのケースというのは、使用過程車の規制値を最新規制値の直前の値ということで、1段弱めるということでございまして、当然のことながら、NOx削減量はやや減りますが、一番下の欄の費用対効果のところで見ますと、平成17年度でも、22年度でも一番高いという状況になってございます。
 その次に費用対効果が高いのがdのケースで、それにほぼ続く形でaのケースがございまして、17年度ではaのケースがよくて、22年度ではdのケースの方がいいということなのですが、dのケースが、使用過程車に対する猶予期間の延長をするということでございまして、これにつきましても若干のNOx削減量の低下が見られます。
 これに対しましてaというのが、先ほどからご説明させていただいております基本ケースでございまして、基本的に規制実施時の最新規制値にするということであります。したがいまして、順序が、eが一番、それに続いてa、dというものが続くということになっております。
 続きまして、PMですが、これにつきましても傾向が、特に一つポイントがあろうかと思いますが、bのところを見ていただきますと、これがディーゼル乗用車の追加分のみの効果でございますが、PMの削減という観点からの費用対効果につきましては、ディーゼル乗用車を追加するということが、比較的効果が高いということが示されております。
 平成17年度では、先ほどの一番効率が高かったeに続きまして、2番目に効率が高いということになっておりますし、平成22年度になりますと、一番ほかの全体的な対策のバリエーションに比べましても、一番効果が高いということになっておりまして、要するに単体の価格が少ないということが影響している部分があろうかと思いますけれども、非常に効果があるという、費用対効果が高いという結果が出ております。
 それから、最後のページは、これも参考ですが、これは事業者対策にかかるコストの試算ということで、低公害車の普及を重量車までを見込んだときに、どれだけコストがかかるかという試算をしたものでございまして、これにつきましては、重量車以外のものにつきましては現在のところ、低排出ガス車というものは、車両価格に差がないということで、また、インフラ整備も必要ないということですので、追加的なコストが必要ないということから、重量車だけにコストがかかるということで概算で試算をしたものでございますが、これは平成17年度までと22年度までの累積の費用ということで、前回の車種規制で出した形で試算をしたものでございますが、その一番下の効率で見ていただきますと、17年度で45キロ/100万円、平成22年度で、34キロ/100万円という数字で、比較的効率が高いということが、単純に前提条件が違いますので比較はできませんが、効率が高いという結果が出ております。
 資料4につきましては以上でございます。

【岡田委員長】 今の説明につきまして、何かご意見などをいただければと思います。
 ちょっと一言あれですが、ここの問題は、全体を鳥瞰するというか、俯瞰するというのか、計測モデルの、前にちょっといただいたようにも思うのですけれど、これは皆さんに理解していただくために、ストックとフローの関係が大変大きな意味を持ってくるのですね。
 例えば道路というのはストックですよね。それから、自動車保有台数もストックなのですね。これが走る出すとフローになるわけですね。フローになったところで排出量が出てくるわけ。フローというのはしょっちゅうフラクシェートするわけですね。だから寝息のような、常にあるフローと、それから社会経済条件によって変動するフローと、このフロー重点主義である程度計算をせざるを得ないのですが、フローというのは結果が不安定なのですね。そこら辺について計測し、これを仮に政策に結びつける場合に、先ほどの横山先生の話にもありましたように、天候によって左右されて、減ってしまったとか、そういう走行台数は変わらないけれども、減ってしまったとか、そこら辺の変換係数のようなものを、余り硬直化させると考えると問題が起こるなとか、あるいは変動させるとしましても、なかなか推計が難しいとか、この辺の推計過程とそれと政策との結びつきについての研究というのは、私はまだまだおくれている気がしております。太田先生もその辺はどうご理解なっているか知りませんけれども。
 環境というのは、非常にその意味で難しい問題、例えば低公害車が何万台の中で、せいぜい何百台、何千台のオーダーで低公害車がふえましても、割に効果が出ない。先生がこれは長期としては大変重要であると、じわりじわりともっていかなければいけないということでは重要かもしれませんが短期的にはなかなか効果が出ないとか、いろいろな背景がありますので、そこら辺の考え方をもうちょっと整理しておいた方がいいかなと、大変きれいに、以下のように考えることはできるというあたりは、私も賛成です。この一番下のところがちょっと気になりましたので、ちょっと申し上げたわけであります。

【横山委員】 非常に単純な質問なので、私は教えていただきたいのですけれども、環境基準達成率100%とか、95%とか、90%というのはNO2でやりますよね。それで排出量というのはNOxでやりますよね。そこの変換式はどうされているのでしょうか。それは現状の変換式を使うという仮定で。それは現状から変わってしまうわけですよね、実際には。響くような気が、わからないけれどそう思いますけれどね。減る方だから、いいのかな。ちょっとわからないところがあります。

【猿田委員】 減る方ですからね。

【横山委員】 減る方だから、いいのかもしれない。
 大きくは影響ないかなという感じがする。そこのところは配慮した方がいいと思いますけれど。

【浅野委員】 細かい数字がどうだこうだという議論になると、ちょっと私は正直言ってついていけない面もあるのですが、これはかなりざくっとした数字だろうとしか見えませんね。それでいいのだろうと勝手に考えますが。
 四つのケースを一応計算しておられますけれども、どうも直感的には、環境庁推計走行量で、実質削減というケースに着目していかなければだめなのだろうなと思ったのですけれども、それでいいということなのですね、単純な質問ですけれど。これは質問でありますが、必ずしも答えていただく必要はありません。それから、全体に苦労して数字を計算しておられろようですが、今回のデータは必ずしも目標を達成しなければならないということを前提にして資料を書かなくていいという気楽さがあって数字を書いておいて、それでは目標を達成できませんねということになっても一向に構わないので、前ほど数値を調整することはなかったのだろうと評価したいと思いますね。
 それにしても、さっきもちょっと私も言いましたし、太田先生もおっしゃったし、猿田先生もおっしゃったわけですけれど、政策の複合的な効果というところで、結構大きく効果がありそうなので、やはり施策別に仕分けをしてみて、どこまで本当にこれでいけるのかという疑問が残ってしまうのです。
 それから、今回のこのペーパーは、本文の3ページから4ページにかけて、きちっと言い訳が書いてあることは立派だと思うのですけれども、どのみち、確実に効果を予測することは難しいと正直に書いてありますから、答案としてはこれでいいのでしょうけれど、確かに難しいわけですね。こういうことで、これでかちっとはめてやっていきますと言ってみてもしようがないのではないか。ある程度積み上げで議論ができる部分と、積み上げで議論をするというよりは、総合的な効果を見ていかざるを得ないという部分とがあるはず。そして、総合的な効果を見なければいけない部分については、内部で検討するときに、一応の仕分けとしてはこれで理解をしましたけれども、むしろ全体を束ねて、これでこのぐらいの効果を期待するという言い方の方がはるかにフェアではないかという気がするのですね。それでやってもなおかつ足りないのだから、ではどこで努力をすればいいかという話が次の話だろうと思うのですが。結局のところは、単体の方で幾らやってみても、車種規制で幾らやってみもだめな部分というのは、やはりその他組の方にいかざるを得ないわけですよね。太田先生もたびたびおっしゃっているし、委員会でみんなが言っているように、今までのようなハードの対策だけく別の所に対策をシフトさせざるを得ないだろう。そのことをはっきり表に出していくことが必要なのではないかな。先の話ではないのですけれども、最初の計画を精度を高いものにするということがもともと無理ならば、やらなければいけないことがこれなのだということをはっきりさせておいて、そして、やったことがどこまで効果を上げたかということを丹念に見ていくというように発想を変えていかないといけないのではないかなという気がします。
 費用の問題についても書いてありますが、これはなるほどなと思う面があります。言ってみれば、直ちに一網打尽、厳しく車種規制をかけるというやり方が本当に合理的かどうかという議論はあり得ると思うのですね。
 それとちょっと難しい問題になると思うのですけれども、かつて固定発生源の硫黄酸化物規制や自動車でいえばCO規制をやったときには、結構厳しい規制基準を定めたために技術が開発されて目的が達成できたという実績があります。ところが自動車排出源のNOxや浮遊粒子状物質は、幾らメーカーが単体の排出削減に努力しても、実際にはユーザーが買って次々に車を走らせるということがあるので、固定発生源の規制のときと同じやり方ではうまくいかない。特に車種規制というやり方は、特定地域の中で基準に適合することしか登録させいないという形での規制です。もっとも特定地域というのは市場としては大きいので、そこで車種規制に合わさないと買ってもらえないから、メーカーを努力をしましょうということがあるかもしれないけれども、しかし、車種規制が直ちに技術開発のインセンティブになるかどうかですね。そこのところはちょっと疑問な面もあるわけで、そうすると、必ずしもインセンティブはそう形で働かないのに、車種規制だけやたらと厳しくするということは、結局はユーザーのところに一方的に負担を負わせるという結果になってしまうおそれがあります。だから何とかうまくメーカー側も技術開発を一生懸命やろうと、インセンティブがわくようなことを考えながら、一方、車種規制の場合には、全体としての傾向として下がっていくということをねらうことが目的で、それだけで一発で全部解決しようというわけではないわけですから、あまり厳格にこの手法だけをやり過ぎるとやり過ぎるという表現は悪いのですけれども、理想に走って、これだけのことをがちがちといつまでもやらなければいけないと言い切ってしまうと、ユーザーに何度も買い換えを要求されることになります。それで果たして本当にいいのか。廃車が山のように出てくるような、そんな政策が正しいのかねという、こう言われる恐れがあるわけですから、次の段階で確実に技術がここまで進むだろうという見通しが立つということと合わせてやっていかなければいけないのではないか。その意味では、最新の基準の一つ手前の基準が、一番全体としての排出量の削減の効率性が高いということはよくわかるのですね。
 かつては車種規制以外には、効果的な施策が何もないというの中で車種規制を考えていたので、これに全部頼ってしまったのだけれども、もっと総合的に対策をやるのであれば、車種規制ですべて目標を達成させてしまうという必要はないという気がします。

【猿田委員】 今、お話に出ているような、まさにそのとおりだと思うわけですが。
 3ページのところで、これらのことから以下のように考えることができるというまとめがございますね。確かに1ページにある車種規制、低公害車、物流、人流、交通流とかありますけれど、車種規制とか、低公害車はある程度実態も把握できる。定量的にも、先ほども申し上げましたけれども、特定地域内における車種規制というのはどれだけ展開したかとか、そういうのはある程度わかる。低公害車は最近は補助金等もついたり、助成なども行っている。あるいは今後、税制上の問題等も出てくれば、実態は把握できるだろうと思います。
 問題は、物流、人流、交通流、3ページに書いてあるように、まさに不確実性が高いわけでありますから、その辺との総合的な効果をどう考えていくのか。単体車種規制の効果は、交通量の伸び等に左右され云々とありますけれども、物流、人流、交通流というものは、これは本当に地域の事情によっていろいろ変化するわけで、その辺は不確実性が高い。それをどうするのかということになると、ある程度予測は必要ですけれども、事後的なフォローアップ、いわゆる環境改善をどう把握していくのか。先ほど資料2のとき、3のときにも申し上げましたけれども、やはりその辺が一番重要になってくるのではないか。
 予測とどれだけ乖離しているか。乖離しては困るのですけれど、それに合っているかどうかということを、やはりそういう事後的なフォローアップが非常に重要になってくるのではないかと思うわけで、その辺の体制というか、そういうものをどうのようにシステムというか、それを組み立てていけばよろしいのかということをやはりきちんと整理しておかないと、今、ご説明いただいたような、これだけ話せばこうですよという、こういうことはできるわけですけれども、これを実効性のあるものにするために、やはりチェック・システムが必要だろうと。
 2005年ですか。平成17年というのは、新長期などからいっても出てくるわけですね。新しく、前倒しになっていますから、平成19年が17年になってくる。そういうちょうど中間年にもなるわけですから、その時点で、全く基本的な見直しを行う。その間にいろいろなチェックを行っていくということも必要だろうと思うわけです。
 後でパブリックコメントの中で皆さんがどういうご意見を出しているか、また、ご説明があるだろうと思いますけれど、今までとにかく平成5年から今まできて、もう7年経過して、さらに10年、結果的には17年ではないかということにもなりかねないわけで、そうすると、今後の10年というのが長いのか短いのかというご意見も、場合によれば出てくる可能性があるわけですが。
 しかし、現実にここでとにかく基本的に見直して、今後10年以内には達成しましょうという目標を立てるのであれば、その中で中間年なり、そういう年次的なものに対応する施策を立てていくことが必要だろうと。
 だから、今後施策を行っていく中で、今日はPMについてもありましたけれども、NOxだけではなくて、PMについても重要な一つのテーマになってくるわけで、その辺の技術開発等の問題、DEPをどうするのかということもあるわけですから、メーカー側がそういう規制に対応する技術開発を積極的に行っていただくことも必要なわけでして、それで目標年次をもっと手前にもってくることができるのかということに関係してくるわけで、1日も早く達成することが必要なわけで。
 というのは、NOxにしても、結果的には環境基準はNO2ですけれども、それから、PMにしても、健康項目ですよね。生活環境項目ではないわけであって、そうすると、技術に合わせて、生活環境項目ですと、処理技術とか、そういうのに合わせてある程度排出基準などは勘案している面もありますよね。そういう点で、あくまでもこれは健康項目に対して我々は対応しなければいけないということになっているわけですから、できるだけそういう技術的対応を積極的に行っていただくような手法もこの中で考えると。
 そういうことで、フリート平均などもそうなのです。ここに書いてありますけれども、フリート平均対策というのが書いてありますけれども、これなどをどう適応するのか、難しい問題があるのかもしれないけれど、中間報告の中でもフリート平均の話が出ていますけれども、その辺のものも十分、積極的な対応の中で考えていただきたいということです。
 それからちょっと一つ質問ですが、3ページの、その結果、以下のことが示された前回との比較のため、基本的に前回との同様の自動車走行距離のケースで分析ということで、一つ目の・で、環境基準を100%達成するためにはというその下に、すなわち100%以上削減するまでの必要はないもののという、この100%というのは、ちょっと誤解されやすいというか、間違いやすい。というのは、100%を達成するので、例えば3,000トン削減しないといけない。それを3,000以上減らさなくても、必要はないもののという意味での100なのでは。

【自動車一課補佐】 自動車からの排出のNOx量を全部なくさなくていいということです。

【猿田委員】 全部、当たり前でしょう。全部なくすということはありえないのであって、全部が電気自動車か何かにしなければ。

【自動車一課補佐】 ですから、固定対策とかというところまで切り込まなくても、要するに自動車のところだけで、概念上で、当然そんな80%とか、かなり困難なところはありますが、そういうところまで切り込まなくても、可能性としては、あり得るところでとどまっているということであります。

【猿田委員】 ちょっと誤解されやすい表現かな。何かもっとわかりやすくしておいた方がいいのかなという気がいたします。一応とりあえず、そこまで。

【松下委員】 今、猿田先生がおっしゃったことにちょっと絡んでくるのですけれど、
 環境基準というのは、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で、維持されることが望ましいレベルですよね。
 だから、あるところは、環境基準の達成率を90%、ここは95%よいよ、というのはとても気になるのですよね。たしかに、現在の交通流をそのままにして、当面そこまで一所懸命、対策をやりなさいというのはわかりますか、交通流を変えてみたらどうなるかという発想が、将来あってもいいはずですよね。今のあり方を、全部是認をする必要があるのかというのがあるわけですから、そういう発想をちょっと入れた方がいいような気がしますね。

【香川委員】 私は専門外ですけれども、この図を見ますと、車種規制、低公害車普及の算定の過程で見ますと、ほぼ物流対策、人流対策、交通流対策を合わせた効果と、車種規制、低公害車の合わせた規制が約半々になっているわけですね。ということは、物流対策とか、人流対策、交通流対策をあわせますと、いわゆる単体規制と同じぐらいな効果を挙げるということが、この予測式でわかっているわけで、私は、この試算結果が単なる試算に終わらないように、もし、これがちゃんと正しいのかどうかということで、ここに掲げた普通貨物車が小型貨物車に10%転換するという施策をとったとしたら、毎年あるいは2年に1回ぐらい、それが各地域で普通貨物車が小型貨物車にどのぐらい転換されているのかという情報が、人流対策も、交通流対策もそうですけれども、集まるようなシステムをつくり上げるというのも必要なのではないかと思います。
 健康面ではご承知のように、サーベーランスシステムというのが構築されていまして、毎年情報が入ってきて、そしてそれに対して施策を転換していくというシステムができ上がっておりますので、そういったシステムがそれぞれのものに有効に働くようなシステムをぜひつくり上げていただきたいと思うのですけれど。

【太田委員】 私の方から3点ほど。常に先生方から出てくる問題がありますが、ちょっと先ほどの環境基準の性質からというのは、私も当然のことだと皆さんお思いだと思いますが、特に東京については90%というのは、これはむしろ実行が難しいからという判断をうかがったというニュアンスが出ていますが、当然これは東京だからこそおもしろい、150%逆に上げなければいけない、要するに人口密度とか、経済とか、そういうこちらのレベルの話だけで言っていますが、そこに掲げる社会的な被害人口というのと被害コストというのは全く入っておりませんので、そういうことが考慮されれば、当然、また別の判断が出てくるということで、この辺の表現は、少なくともきちんとまとめる前にはもう少し多面的な議論をしたら、実行可能性とか、そういう総合的な判断の中で一所懸命頑張ったけれども、やはり今の社会のやり方の中で、10年程度でやるのは難しいから、結果として100%いかなかったということではしようがないと思いますけれども、ある種の目標的な形で出ていると、非常にそういうのが気になるという、費用対効果の当面の何トンということが正しいとしての費用対効果の分析まではしてありますが、その後、濃度としてどういう影響が出るか、もちろん十分行われていないということですね。その辺はおわかりかと、当然おわかりだと思いますけれども、この辺の表現を注意してほしいということです。
 それから、3ページ目で、私はこの全体のこういった形で分析するということは大変いいことだと思っておりまして、ぜひとも進めてほしいと。
 ただ、ここでありますように、いろいろなもちろん前提の置き方、それから不確実性等がありますので、それをきちんと説明しておいてほしいことと、やはりクリティカルな点ですね。一つは、自動車走行量をどう推定するかと。自治体へのヒアリングということで、結果として何%、建設省の予測とずれてているのか、少ない点のがありましたら、その点の話と。逆にむしろ環境基準とか、そういう健康とか、リスクと考えるとき、逆に大き目のものでも、基準が達成しますという方が、環境論としては正当だろうと思うのですね。ですから、それをどういう根拠で、それより低目でいいと、ここでは考えたのか。余りにもほかの予測が現実離れしている。あるいは道路整備の方に抜いてしまってて、自然に高くなってしまっているということであれば、それはそれでいいのですけれどね。またその辺の話と、それを判断としてこちらで、ではこちらのヒアリングの方がいいですよというときの判断と、それがもたらす影響ですね。それがやはりきちんと、ちょっとこの段階では私は逆にとられるという可能性もありますので、少しもうちょっと検討してほしいと思います。
 それから、最終結果から見ますと、やはり従来どおりと言いますか、車種規制あるいは低公害車が非常に効果が大きいと。これはまた、もう一度確認したということと同時に、先ほどありました、物流、人流、交通量、こちらの方もやり方次第で効果がありそうだと。その辺がはっきり出てきたかと思いますが。
 一つは、最終の31ページの方ですね。非常に素案としてもまだ、いろいろ問題があるという感じでご紹介がありましたけれども、これはNOx、SPMも同じような傾向かと思うと、前の表と比べるとやはり10倍ぐらいの効果があるという、けたが違いますよね。ということはやはり、これをうまく環境庁として進める新たな対策はないかということですね。ですから、車種規制そのものを、先ほどの技術開発の方に、それではお金を持っていく事業者に対して、そういう政策につながるそういう規制のあり方は何かという議論がございますし、それから低公害車への、最後の31ページにあります、随分そういう公共的なインフラ整備をしながら、そちらにかえていってもらうと。大量普及、大量代替みたいなものをできるだけ進めたらと読んだのですが。
 総括すると、そちらへお金を回した方が、よほどほかでやるよりも効果的だということになりますから、この方法を環境庁としてさらに具体的にやれる方法はないか、財源を含めてということですね。そういう方法を検討する形で、もう少し見たらどうか。
 ということは逆に言いますと、前の方の車種規制、低公害車を、いろいろ車種規制のやり方もありますということで、たしか6ページでしょうか。aからgまでいろいろ上げていますよね。一応aをベースにした発表だけ、きょうはされたということなのですが。こういった中で、もう少し確実にチェックができそうで、今までの流れに乗っていると、この辺の幅をもう少しいろいろな形で分析されて、先ほどのような、重量車をうまく巻き込む形につなげるものはないかとか、ぜひそんな検討をされて、今後していただければ、政策上は非常にいいのではないかということで、やはり政策もかなり、先ほど一応前の構造もかなり確実に把握できる部分とそうでないということで、基本ベースとそれに追加される交通流関係がいろいろあると。だけど基本ベースについて、どうももう少し重量車なり、やり方について、さらに深める可能性が、この結果から見ても示唆されているのではないかということで、ぜひその辺をさらに検討していただければと思います。
 以上です。

【岡田委員長】 今、話を伺っていますと、明確にコストエフェクティブネスが全く計算されていないというご指摘と、太田先生の発言は同じことだと思うのですね。
 コストエフェクティブネスの問題はマージナルな効果もあれば、ディスクリートな効果があるのですね。その見極めもやはりこれから必要なのかもしれませんね。だから大型車を仮に半減できれば、これは大きな効果が出てくるのだと思います。
 しかしながら、5台、10台減らしても、これは大した効果がない。あんなのはポリシーの方が有効かもしれませんね。そういうことでいきますと、ポリシーのマージナルな効果、もちろんいろいろなポリシーがあって、トレード・オフの関係がありますから、ここら辺は恐らくこれからの課題だろうと思うのですね。
 ただ、ヨーロッパやアメリカあたりでは、かなりこれは研究しているのですね。ぜひこれからの方向として、そういう研究に取り組むべきかもしれません。貴重なご意見をいただきました。
 先に進んでよろしゅうございますか。
 それでは、議事の4のパブリックコメントについて今後の自動車排出ガス総合対策中間報告に対する意見募集、ご説明をお願いいたします。

【自動車一課補佐】 それでは、資料5について説明させていただきます。
 パブリックコメントの結果をまとめさせていただいたものでございまして、それに対しまして最終報告に向けてどのように対応すべきかという案を対照表のような形でまとめさせていただいております。
 まず、パブリックコメントの概要でございますが、意見は全体で77件ございました。これのうち、約半数が団体からのもので、残りが個人等ということになっております。
 その意見の内訳をまとめたのが、次の1枚めくっていただいたものでございまして、中間報告の全体にわたっていろいろな意見が出されてございますけれども、やはり特に各施策の充実強化の方向のところ、さらにその中でも車種規制のあり方について多くの意見が寄せられたということでございます。それを全体が先ほどお配りしてございます冊子でございますけれども、それをエッセンスにまとめましたものが、以下の一覧表でございまして、若干まとめるという都合上文章等をいただいた意見そのものというわけにはいきませんので、短くしておりますので、ニュアンス等が若干狂う可能性がございまして、本体と対照ができるようにということで、それぞれの意見の後に、例えば26−1とかという番号をつけておりまして、最初の番号がそれぞれの主体の通し番号でございまして、その次の番号が同じ主体の中での意見にそれぞれ順番をつけたものでございます。要するに26番目の方の一つ目の意見というのが、26−1ということを意味しております。
 ですからちょっとはしょったようなところがあろうかと思いますので、場合によってはこちらの本体の方を参考にいただければと思います。
 それからまた、まとめの段階で、全部を取り上げるわけにはいかないところがございますので、できる限りカバーをしようという努力をいたしておりますが、中には必ずしもこの中に入っていないものもあるかもしれませんので、そういったこともお含み置きいただければと思います。
 それでは、1ページから順番に説明をさせていただきたいと思います。まず、
 中間報告の大気汚染の状況等のところでございますが、ここにつきましては、NOxとSPM以外の物質については記述すべきというご意見と、それからいろいろなデータにつきまして、できるだけ算定合計ですとか、定量性を明確にすべきというご意見、さらには健康影響について、我が国のデータ等はないのかというご意見がございました。
 まず、そのうち物質についてでございますが、まず、最終報告の段階におきましては、やはり焦点を絞る必要があるということで、物質については引き続きNOxとSPMに絞って書かせていただきたいと考えております。
 それから、過去の対策効果等の定量的な評価ですとか、それから健康影響のご報告、委員会でのご報告などにつきましては、これまで中間報告以降に審議会でやりますので、そうした経過を踏まえて、最終報告にまとめさせていただきたいとは考えております。
 続きまして、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方というところでございますが、まず、対象物質につきましては、全般といたしまして、粒子状物質を対象に加えるべきというのが大半の方から賛成の意見をいただいております。したがいまして、最終報告でもその方向に沿って粒子状物質を追加すべきということにしたいと考えております。
 続きまして、特定地域でございますけれども、2ページでございます。特定地域につきましては、これは縮小を求める声はございませんで、むしろ必要に応じて拡大すべきという意見がかなり寄せられております。
 したがいまして、粒子状物質にかかわる地域選定の要件につきまして、これまでもご議論をいただいたわけでございますけれども、これまでのご議論と、それからこうしたご意見を踏まえまして、自動車保有密度、走行量密度、PM排出量密度の指標をもとといたしまして、原則として現行特定地域とその周辺及び名古屋市とその周辺を対象地域とすることといたしたいと考えております。
 なお、地域の性格を二つに分けて、例えば「関連地域」というものを設けたらどうかというご意見もございましたが、こうした考え方は、現在の法の枠組みの中にはなかなかおさまらないというところがございまして、直ちに具体化というのは困難ではないかと考えております。
 続きまして目標水準ですが、目標水準に関しましては、中間報告につきましてはおおむね達成という考え方以上の高いレベルの達成も必要であるという意見が多くございました。先ほどこの点についてご議論がありましたので、さらに検討をさせていただきたいと思っておりますが、地域によっては90%を超える環境基準の達成率を目指すことも可能という結果が出ておりますので、そうしたことを目指すことも含めまして、地域ごとに最善の努力をするとさせていただきたいと考えております。
 それから、粒子状物質につきましては、シミュレーションが一部あるということなどもございまして、環境基準達成を目指すべきだというご意見もございました。しかしながら、中間報告のときにもご議論をいただきましたように、十分な精度でシミュレーションを行うということは困難な状況等もございまして、今後、技術的なシミュレーション手法の精度の向上ですとか、DEPにかかる環境データの充実等々に努めまして、さらにより環境基準の達成につながるところまでつなげる努力をしていきたいと考えております。
 それから、次に達成期間でございますけれども、達成期間につきまして、
 10年では長過ぎるのではないかというご意見がございました。こうしたご意見につきましては、健康影響を未然に防ぐという観点からは十分に理解できるところではございますけれども、なかなか先ほどお示ししましたようなデータで見ていただきますと明らかのように、例えば5年というところで目標をすべて達成するということは困難を極めるということが実態としてございます。
 したがいまして、現段階では10年程度の目標期間とせざるを得ないのではないかと考えております。
 ただし、技術開発の促進などと相まって着実な成果の上がる政策上強化、拡充によって、できるだけの早期達成を図りたいと考えております。
 続きまして、精度の基本的な枠組みでございます。
 それから、一番最初に申し上げるべきでございましたが、ここでまとめた意見全部について対応という形で回答を必ずしも書いてございませんが、これはこちらの方で特にコメントすべきところ、今の段階でコメントすべきところを掲げさせていただいたということで、書いていないのが重要でないということはございませんので、特にご議論が必要だということであれば、この場で取り上げていただいて、議論をいただければと考えておりますが。
 ここで3ページの[4]のところに戻っていただきまして、知事が、総量削減計画を策定する際の内閣総理大臣の承認を不要とすべきというご意見もございましたが、総量削減計画には、国の施策も含めて掲げられるということで、いろいろな関係者が連携してやっていく必要があるということで、そういった整合性を確保する上でも、内閣総理大臣の承認というものは、引き続き維持することが必要ではないかということであります。
 ただし、本来の意見の趣旨にありました、各自治体の自主的な対策というものを、こういうことは妨げないということは当然ながら重要ではないかということであります。
 続きまして、4ページでございます。まず、計画の進行管理及び情報整備の充実でございますが進行管理等と関連いたしまして、現在も既に定められております総量削減計画の策定協議会の役割について、強化すべきということで中間報告に掲げたわけでございますけれども、これにつきましては、肯定的な意見と否定的な意見がございました。
 しかしながら、趣旨といたしましては、いずれも自治体の主体性を生かすべきだということからの意見ということでは一致しておりまして、そうした観点で見てみますと、やはり一つには、協議会の組織運営などをより開かれたものにしていくということが大事なのではないかと考えております。
 それから、もう一つ、中間時点での施策見直しをしっかりやるべきだという意見を幾つかいいただいておりまして、こうした点につきましては、しっかりやっていくとともに、情報公開というものにも努めていきたいということであります。
 それから、その4ページの下のところの、地方自治体の役割の強化でございますけれども、地方自治体の役割の強化の点に関しましては、ぜひ進めるべきだというご意見と、それから例えば事業者の立場からいたしますと、自治体と国から二重の指導等が来て、非常に困るということで、国レベルでの施策の一元化というものを求める声もございました。
 もとより国と自治体との施策の整合性というものは非常に重要な観点でございまして、国との連携を確保しながら、自治体の役割を強化するということが必要ではないかということであります。
 その具体的な内容につきましては、具体的な施策の検討と並行いたしまして、
 どういったあり方が必要なのかということを再度検討することとしたいと思います。
 また、ここでは特に自治体の役割を強調しておりまして、必ずしも国の役割がはっきり書かれていないのではないかというご指摘がございまして、これにつきましては、国にも重要な役割があるという点で、その点を追加できればと考えております。
 それから、その他、次は5ページでございますが、各施策の充実強化の方向でございます。ここにつきましても、いろいろなご意見をいただいておりまして、これは中から適切なものについては、最終報告に盛り込む方向で検討させていただきたいと考えております。
 6ページからしばらく車種規制のところが続きますが、車種規制のところにつきましては意見が多いので、幾つかこちらで分類をさせていただきまして、6ページの真ん中辺からですが、全搬論、それから、規制対象等々ということで分類させていただいております。それでまず、規制対象でございますが、これにつきましては、とりわけディーゼル乗用車を規制対象に追加することについての意見が多く寄せられております。具体的には大気保全の観点から、ディーゼル乗用車はぜひ規制対象に加えるべきだというご意見と、それから、過去の経緯ですが、財産権保護等の観点から、ディーゼル車を追加することは問題であるというご意見等が両方ございました。
 これまでの小委員会の検討を踏まえまして、先ほどの資料にもございましたように、ディーゼル乗用車を規制対象に追加するということは、PM対策の観点からは非常に費用対効果も高いということなので、やはり必要ではないかと考えております。
 一方で、もう一つ、ディーゼル乗用車は、将来的な技術としては非常に有効であるということで、すべての目を摘んでしまうのはよくないのではないかと。例えば地球温暖化の観点などからも、そうした有望性というものを未然に摘み取ってしまうというのは、規制ではないというご意見をいただいております。こうした観点から、こうした技術の今後の発展を阻害しないように、しかもPM対策として最大限の効果を得られるように、バランスのよい排出基準というものを定めることで対応していきたいと考えております。
 それから、そのほか7ページでございますが、そのほかいろいろな車種、例えば農耕機器ですとか、プレジャー・ボートですとか、そういった新たな車種の規制対象に追加という声もございました。これらにつきましては、現段階では検討というのはなかなか難しい点がございますが、中間点検における課題とさせていただきたいと思っております。
 それから、排出基準の規制の強度といいますか、特に使用過程車の取り扱いについて多く意見が寄せられております。規制強度につきまして、使用過程車につきまして段階的に強化をすべきという意見が幾つか寄せられております。この点につきましては、先ほどご議論をいただきましたように、やはり費用対効果なども踏まえながら検討する必要があるということで、それから、いろいろな対策間のバランス、公平論などもございますので、必ずしも一律に全部厳しくすればいいというものではないのではないかということでございます。
 一方で将来予測ということについては、なかなか不確定要素もあるということなので、中間点検というものをしながら、そういった規制の程度というものは適切なものなのかどうなのかというものをチェックしていくということが大事なのではないか考えております。
 続きまして、8ページ、猶予期間でございます。使用過程車につきまして、規制対象とするまでの猶予期間を短くすべきという意見と、慎重な検討が必要というご意見と両方がございました。この件に関しましては、大気汚染の状況等に鑑みますと、猶予期間は長くするということで、規制を緩和する方法というのは、非常に問題が大きいのではないかということでございます。
 一方で短縮につきましては、以前議論をいただきましたように、必ずしも削減量の増加につながらないということもあるということでございます。したがいまして、猶予期間につきましては、中間報告のように、現行制度と同等とすることにいたしたいということであります。
 それから、9ページでございます。その他、考慮すべき事項というところでございますが、先ほども少しご議論がございましたけれども、強制代替を二度にわたって行われるという場合について、そういったものについては非常に問題であるということが幾つか議論としてご意見が寄せられております。
 例えば一度強制代替させられたものを、もう一度強制代替させられるのは問題であるとかということでありますが、こういった点につきましては、やはり対策コストの公平な負担等の観点からは、どういったことができるのかということにつきまして、さらに検討をしてみたいと考えております。
 それから、懸案等ということでございますが、車種規制を強化すること自体については賛成ですけれども、それに十分に見合った助成制度などの整備が必要ではないかというご意見が幾つかいろいろ寄せられておりまして、こうしたものにつきましては、できるだけ充実する方向で努力していきたいと考えております。
 続きまして、10ページからは低公害車の普及、促進でございますが、低公害車につきましては、押しなべてぜひもっと努力すべきだというご意見が寄せられております。こうしたご意見も参考にしながら、今後引き続き、さらに今まで以上に積極的に、低公害車あるいは低排出ガス車の普及施策というものを講じていきたいということで考えております。その際、国におきましても、技術開発、助成認定制度の活用などを通じまして、実効ある各社の施策の積極的に講じていきたいということであります。
 続きまして、11ページでございますが、事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化でございます。一般につきましては、事業者に対して自動車利用管理計画の策定義務づけということにつきまして反対意見は寄せられておりませんで、むしろさらに計画の策定義務づけ以上に対策の内容を厳しいものにすべきだというご意見が寄せられております。
 こうしたご意見などを込めますと、さらにこれまで小委員会でもご議論いただいた結果を踏まえますと、事業者に対しまして、自動車利用管理計画の策定義務づけをするということにつきましては、制度化をする方向で努力をしたいと考えます。
 しかしながら、例えば事業者対策というものを、現段階で規制措置として導入することにつきましてはいろいろぜひすべきだという意見が寄せられたわけでございますけれども、例えば計画に限られた対策の着実な実施を担保するということが困難であるということ、さらには対策効果としてすそ切れを行った場合には、あまり大きなものは期待できないということ。それから、公平な削減目標量というのは、割り当てといったところで、公平性の観点で、問題がなきにしもあらずといったことなどがございまして、義務化というものは、計画の策定と、これに基づく対策の推進努力義務というものにとどめるべきではないかと考えております。
 一方で、事業者の取り組みを報告、指導する仕組みというものは、先ほどいろいろご議論をいただきました、物流効率化等の進捗状況の把握という意味でも、非常に意義が大きいということで努力をしていきたいということであります。さらにこうした取り組みを補完するための環境整備など、あるいは官庁における率先的な取り組みなどにつきましても、積極的に進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、13ページは、自動車メーカーにおける低排出ガス車の製造・販売を通じた自動車排出ガス抑制対策、いわゆるフリート対策でございますが、これにつきましては、事業者の対策とは対照的に、さらに厳しくすべきだという意見の反対に、効果は期待できないのではないかということで、両方の意見が寄せられております。
 実際にこれまで小委員会でご議論いただきました分析結果によりますと、まず、こうした対策を進める上での前提となります低排出ガス車というものが、中量車以下のものしかないということがございまして、対策効果が必ずしも大きなものが期待できないということが明らかになっております。
 したがいまして、現段階では、フリート平均値抑制策というものを規制措置として導入することは適切ではなく、ディーゼル車の、むしろディーゼル貨物車等においても、やはり排ガス性能のよい車両の開発というものを促していくということを優先していくべきではないかということであります。
 続きまして、14ページでございます。14ページは、まず、TDMの交通需要マネジメントなどでございますが、これにつきましては、いろいろな具体的なアイデアが寄せられております。大方が、ぜひ積極的に推進すべきというご意見でございました。TDMを実際に実施するに当たりましては、いろいろな関係者の連携、協力、参加というのが重要でございまして、こうした提案を参考にしながら中間報告の考え方に沿って、地域ごとにどういった対策が適切かというものは当然変わってくると考えられますので、地域の実情に応じて的確に施策が選定できる柔軟なシステムを構築していく必要があるのではないかということであります。
 次の15ページ、経済的措置でございます。経済的措置につきましても、かなり多くの方から、ぜひ積極的に使っていくべきだというご意見が寄せられております。中でも一つ多かったのが、ディーゼル車利用のインセンティブになっている軽油に対する優遇税制の早期見直しを求めるご意見でございました。
 それから、ロードプライシングにつきましては、賛否両論がございまして、また、地域によって導入の可能性というものについてもかなり違いがあるだろうということも考えますと、この件につきましては、中間報告に示されましたように、さらに検討を進めて、地域ごとに行って具体化を進めていくことが必要ではないかということであります。
 なお、もう一つ経済的措置に関しまして、従来の税制との関連の点でご意見があったところもございますが、例えば道路特定財源というものは、受益者負担の原則というものなので、これを維持すべきだというご意見もございました。この点に関しましては、ここで考えております経済的措置というものが、自動車利用に伴う環境コストの内部化を図ることで、道路交通の活動から生じる環境負荷を低減することを目的としているということで、受益者負担などの既存の税制の考え方とは別の観点から議論をされて、具体化がなされるべきではないかということであります。
 続きまして、16ページ、局地汚染対策でございます。局地汚染対策につきましては、中間報告では、局地汚染対策推進計画策定制度の導入ですとか、あるいは要請限度について記述をしていただいたところであります。
 これらにつきましては、例えば局地汚染対策推進計画の策定地域をどう設定するのか。さらには要請限度の場合ですと、その項目を変更するに当たって、具体的な健康リスクの評価をどのようにするのかという点で、なお検討を要する事項が多々あろうかと考えております。このため、こうした点につきましては、直ちに自動車NOx法の中に位置づけるということではなくて、引き続きの検討課題ということで、検討を継続させていただきたいと考えております。ただし、当然のことながら、総量削減結果の中で、局地汚染対策というものを位置づけて、各種施策を積極的に講じていくということは必要だろうと考えております。
 続きまして、17ページでございます。その他でございますが、まず、その他の中では特に意見が多かったのが、DPFについてでございます。DPFにつきましては、寄せられたご意見の多くが、DPFを積極的に評価して、装着の義務化を含めてその導入を進めるべきだということでございました。
 これに対しまして中間報告では、現段階での装着義務化は困難ということを、ディーゼル車対策技術評価検討会中間取りまとめを引用して書いてございます。
 その中間取りまとめにございますように、現段階では、すべての使用過程車に装着可能な状況にはないということですから、ただちに装着義務化を進めることは困難ということは、引き続きそうした結論は維持せざるを得ません。
 しかしながら、技術評価検討会の中間取りまとめというものは、DPFの現状を評価したものでございまして、有効な技術としての将来の可能性を否定したものではないと考えております。
 したがいまして、DPFの技術としての可能性を積極的に評価して、効果のすぐれたDPFの装着インセンティブの付与などに加えまして、DPF認定制度の創設を含めて技術開発の促進等に今後積極的に取り組むべきではないかと考えております。
 次に意見が寄せられましたのは、流入車対策についてでございまして、流入車対策についても積極的に取り組むべきだというご意見がいろいろ寄せられてございます。この点に関しましては、例えば荷主事業者に対する指導等も含めて積極的な対策を講じることによりまして、流入車も視野に入れた対策を推進する必要があるのではないかと考えております。
 続きまして18ページでございますが、点検・整備につきましても、整備不良車の取り締りをぜひ強化すべきだというご意見が多く寄せられております。点検・整備につきましては、中間報告でも書いたようなとこでございますが、その方向に沿いまして、さらに重要性というものを強調していきたいと考えております。
 それから、調査・研究につきましては、特に浮遊粒子状物質あるいはPMにつきまして、いろいろな調査・研究あるいはモニタリング等を実施すべきだというご意見が寄せられております。これにつきましても、できるだけ最終報告に盛り込んでいきたいと考えております。
 それから、燃料改良につきましては、まず、軽油中の硫黄分の低減ということにつきまして、もっと積極的に位置づけるべきだということ、中間報告でも書かれてございますが、それをもうちょっと浮き彫りにして、その重要性を明確にすべきだというご意見等々がございました。
 現在、燃料改良の点につきましては、中環審の大気部会で取りまとめ結果のパブリックコメント中でございまして、この中にございますように、2004年末までに現行の硫黄分、500ppmから50ppmにするということ等が提言されておりまして、今後この提言を踏まえて、規制強化等を行うこととしたいと考えております。
 それから、19ページでございます。単体規制等の全国対策でございます。単体規制につきましても、全国的な対策ということで、さらに積極的に進めるべきというご意見がございました。これにつきましても、先ほどと同様に、中環審の四次報告というもののパブリックコメントを現在実施しているところの中で、ディーゼル車新長期規制の前倒し、あるいは特殊自動車の規制前倒しということが提言されておりまして、今後この提言を踏まえて規制強化を行うこととしたいと考えております。
 そのほかいろいろご意見がございまして、そうしたご意見につきましても、今後の施策の具体化の中で参考にさせていただきたいと考えております。
 最後に、20ページの最終報告に向けての課題でございますが、この段階では定量的な分析等はまだ全く行っていなかったということもございまして、定量的な評価をすべきだということ、あるいはさらに定量的評価を踏まえた上でパブリックコメント等をもう一度すべきだというご意見もございました。
 先ほど申しましたように、中間報告以降、小委員会では各対策の定量的評価等も含めて検討をいただいてきたところでございます。今後はこれらの検討結果も含めて最終報告案をまとめまして、再度幅広くご意見を聞く機会を持ちたいと考えております。
 時間の関係もございまして、大変はしょって説明させていただいて恐縮ですが、以上で終わります。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。
 パブリックコメントの各間の意見をいただきました。この席を借りてお礼を申し上げておきたいと思います。
 問題は、これを最終報告の中でどう位置づけるかと、これは今お話がありましたように、この小委員会として、どういう態度でこのパブリックコメントを盛り込んでいくかということでございますので、先生方の中、ご検討、ご意見をいただければと思います。
 今の点について、時間がきてしまいましたけれども、何か。

【浅野委員】 時間はありませんから、細かいことについては議論ができないのですけれども、全体としては、これだけ一般からご意見をいただいた以上は、これからどこでどのように最終の報告に生かされたかということを明らかにする責任がありますから、従来のこのようなものの取り扱いの例に倣って、集まったご意見を紹介できるなら紹介して、それをどう取り扱ったとか、あるいは最低どこをどのぐらい意見に反映されているかということをはっきりさせる必要がある。事務局の対応案については、現段階でこれまで議論してきたことから言うと、こういう対応になるのかなという感じですね。
 例えば4ページで、国と自治体の関係について書かれている部分でちょっと気になるのは、少なくとも小委員会では、国の役割、地方自治体の役割の役割分担をはっきりさせろということを言ってきたわけで、連携をして取り組めと言ったきたわけではないのですね。連携はもちろん連携なのだけれども。その意味は、役割分担は、国がやるだけできないことは国がやる。地方がやる方がいいことは地方がやるのだと。そういう点をしてきたわけですから、この4ページの下のパラのところの説明は、少し書き振りが不十分かな。
 それから、4ページのパラグラフの上の方の、協議会の役割については否定的な意見の両方が見られたとあるのですけれども、ご意見の全文を見てみると、否定的な意見を出しておられる団体は、現行法を前提にして、それを固定的に考えて、否定的な意見を述べておられる。小委員会は、現行法そのものをもっと改めよと言っているわけですから、否定的な意見を出した団体は、我々の報告を読み間違えていると思うのです。あるいは読み間違えられるような報告の書き方をしたことに我々の責任があるとも思いますがね。
 同様のことは、事業用自動車は既に国の指導を受けているがと5ページの上から3番目の○にでてきますけれども、この点は確かに中間取りまとめで、きちっと書いていなかったような気もするのですが、ヒアリングをした限りでは、ほとんどの国の指導というのは出しっぱなしで、その後のフォローができていないということが明らかになったので、それではだめだと言っているわけですから、国が対策指導を受けてその上、自治体から口出されては困るという心配をしておられるようなご意見です。それは実態からいっておかしいというのが、小委員会のこれまでの判断だったと思うのですね。この辺は報告書、中間取りまとめの書き方が悪かったのだと思いますので、別に意見を出した人を非難するわけにはいきませんが、最終報告でにはしっかりそういうことを書いておく必要があるのではないか。少々気になったので、意見として申し上げておきたいと思います。

【猿田委員】 今、浅野先生からいろいろお話がありましたので、重複することはやめますけれども。
 調整・代替云々という、車種規制のところでそういう意見がありましたよね。
 ですからこれは新短期、新長期との関係も出てくるということだろうと思うのですけれども、猶予期間等を適正に配慮すれば、その辺の問題は解決することだろうと思うわけですね。その辺が十分ご理解いただいていないということだろうと思うのですけれど、決して二重の規制ではないという、その辺ははっきりさせなければ、そうしませんと、ご協力がなかなか得られないでしょうから。
 それから、自動車利用管理計画ですか。決してこれは規制ということではなく、もっと積極的に環境の改善に、環境の負荷の低減にご協力いただきたいということが重要な趣旨なのでしょうから、その辺をどうご理解いただくかは、これはまた、お互いに、国あるいは地方の行政の努力の問題だろうと思いますけれども。
 それから、15ページに経済的措置というのがありましたけれども、これも今後、今、いろいろ自動車税の中で機会があって、例えば重量税の20%が公害健康被害補償法にいっていますけれども、そのほかに、低公害車の普及、重量税云々となったわけではありませんけれども、いずれにしろ、関連諸税の中でどれだけ環境への、逆に低公害車をもっとふやしましょう。あるいはいろいろな規制措置の中で、あるいは優遇措置、そういうものがどう有効に生かされていくのかということを考えなくてはいけないのかなという気がしたわけですが。
 それから、17ページ、局地汚染対策というのは、これは確かに環境部局だけの問題ではなくて、道路の建設省の問題、あるいは公安委員会が動けば、ある程度交通規制という問題も、大型車の進入禁止とか、いろいろ局地的に行われているわけですけれども、そういう局地汚染対策ということになると、そういう総合的な施策ということになってくるわけで、関連省庁、地方自治体であれば関連部局、その辺で一体となって対応が必要かなと、決して環境部局だけで対応できるものではありませんから。その辺ははっきりさせておく必要があるだろうということ。

【岡田委員長】 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事のその他について、事務局の方でご説明をお願いします。

【自動車一課補佐】 その他、審議スケジュールについて簡単にご説明したいと思いますが、
 その前に今、ご説明しました資料の5の別冊でつけております、そのものをコピーしたもので、若干意見の番号等が合っていないものがありまして、チェックが十分できておりませんので、そこはご容赦いただきたいと思います。
 例えば一番最初の26−1と書いてありますのは、27−1だと思いますので、例えばそういうことでございましたので、おわび申し上げたいと思います。
 次回でございますが、次回小委員会は、11月6日午前10時からを予定しております。これまでの議論の総まとめということで、できましたらこの小委員会の報告案という形までご議論いただければありがたいと考えております。
 その次ですが、11月13日に、これは部会ということでお願いしたいと思っておりまして、この場でまとまるように事務局としては努力いたしたいと思いますけれども、まとまれば答申案ということで、再度パブリックコメントという形で意見を募集させていただきたいと考えております。
 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。