中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第10回自動車排出ガス総合対策小委員会


1.日  時   平成12年8月29日(火) 10:00〜12:00

2.場  所   通産省別館833会議室

3 出席者

(委員長)  岡 田   清
(委  員)  浅 野 直 人       伊 藤 桂 子
         太 田 勝 敏       猿 田 勝 美
         大 聖 泰 弘       永 田 勝 也
         松 下 秀 鶴       横 山 長 之
                          (五十音順)
(事務局)  企画課長          自動車環境対策第二課長 他
         自動車環境対策第二課長 他

4 議 事

(1)今後の自動車排出ガス総合対策中間報告(案)について
(2)その他

5.配 付 資 料

資料1  自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料2  今後の自動車排出ガス総合対策中間報告(案)
資料3  自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)
資料4  第6回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録
資料5  第7回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録(案)

【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会大気・交通公害合同部会、第10回の自動車排出ガス総合対策小委員会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、小委員会の委員12名中、9名の委員の出席が予定されておりまして、既に皆様ご出席になられております。
 まず、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第に続きまして、資料一覧、一枚物がございます。委員名簿はいつもお配りしているものでございます。資料の2が本日の中心的な議事でございます「今後の自動車排出ガス総合対策の中間報告案」ということでご用意したものでございます。これは、前回、8月11日の審議会におきまして、骨子でご議論いただいたものにこれまでの議論を踏まえまして肉づけしたものでございます。この資料2には、参考資料といたしまして図表編もついてございます。この図表編、前回も若干地図等に塗りミス等がございまして、それは修正させていただいておりますのでよろしくお願いいたします。それと資料の3、これは審議スケジュール(案)でございます。資料の4は、第6回の小委員会の議事録でございます。資料の7は、委員限りでお配りさせていただいております第7回の議事録の案でございます。これは、委員の先生方にごらんいただきまして、何かご意見等がございましたら9月5日までにご連絡をお願いできればと思っております。先生方の確認が得られましたら委員名は伏せて公表させていただきたいと思います。
 それでは、議事は岡田委員長にお願いいたします。

【委員長】 本日は、大変お忙しいところお集まりをいただきましてどうもありがとうございます。
 早速ですが、議事の1の今後の自動車排ガス総合対策中間報告(案)についてご検討をお願い申し上げたいということでございます。
 早速、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料2をはじめから読まさせていただきたいと思います。
 資料2今後の自動車排出ガス総合対策中間報告(案)
 はじめに
中央環境審議会は、平成12年4月21日環境庁長官から「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」諮問を受け、大気・交通公害合同部会に小委員会を設けて、関係の省庁、地方自治体、業界団体、環境NGOからのヒアリング含め、審議を行ってきたところである。
 このたび、小委員会として中間報告を取りまとめたので合同部会に報告するとともに、これを公表して広く意見を求めることとした。
 今後は、各方面からの幅広い意見などをいただき、これらを十分に考慮しながら、本年末に予定している最終報告に向けてさらに審議を進めることとしている。
 1 大気汚染の状況等
 1−1環境基準の達成状況等
大都市圏を中心に、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る大気汚染の状況は依然として厳しい。以下では、これらの物質による近年の大気汚染の状況を見る。
(1)二酸化窒素
 [1]全国における環境基準達成状況
平成10年度は、全国で1,858の測定局において、二酸化窒素の常時監視が行われた。長期的評価による環境基準達成局は、一般局で1,382局、自排局で267局となっている。
 環境基準の達成率について推移を見ると、近年ほぼ横ばい傾向が続いている。また、濃度の年平均値についても近年ほぼ横ばい傾向である。
 平成10年度の環境基準非達成局の分布について見ると、一般局については、自動車NOx法の特定地域に愛知県を加えた大都市地域に分布しており、自排局については、自動車NOx法の特定地域に加え、その他の8府県にも分布している。
 [2]特定地域における環境基準達成状況等
「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(以下「自動車NOx法」という)に基づいて定められた「自動車排出窒素酸化物の総量の削減に関する基本方針」(以下「総量削減基本方針」という)では、平成12年度における環境基準のおおむね達成を目標とし、局地的な高濃度の地区を除き、特定地域全体で環境基準を確保することとしているが、平成元年度から10年度までの特定地域全体における環境基準の達成率は、一般局では710〜888%、自排局では280〜461%で推移しており、平成12年度における環境基準のおおむね達成は極めて困難な状況にある。
 平成元年度から10年度までの年平均値の推移を継続測定局の測定結果で見ると、自排局では低下傾向を示している一方、一般局では横ばい傾向で推移している。また、特定地域内において、過去10年継続して測定を行っている399の測定局における二酸化窒素濃度の年平均値はほぼ横ばいであり、依然として厳しい状況が続いている。
 一方、環境基準非達成局の分布について見ると、高濃度が観測された測定局は、関東地域及び関西地域とも都心部に集中している。平成10年度の首都圏及び京阪神地域における環境基準非達成局の分布について、自動車NOx法の特定地域との位置関係を見ると、関東地域については特定地域内におさまっている一方、関西地域では特定地域周辺の京都府内にも分布が見られる。
 [3]特定地域のある6都府県以外の環境基準達成状況
特定地域のある6都府県以外の環境基準非達成局の分布について見ると、平成10年度は、一般局については愛知県、自排局については石川県、愛知県、京都府、岡山県、広島県、福岡県、長崎県及び沖縄県の8府県にも環境基準非達成局が見られた。地域の分布については年度によって変動が見られるが、平成元年度から10年度までの10年間において、すべての年度で環境基準非達成局が見られた地域は、愛知県、京都府及び福岡県の3府県であった。これらの府県の自排局の環境基準達成率は、それぞれ500〜929%、667〜778%、706〜941%で推移している。また、平成10年度の達成率は、それぞれ867%、667%、824%であった。
(2)浮遊粒子状物質
 平成10年度は、全国で1,798の測定局において測定が行われた。長期的評価による環境基準達成局は、一般局で1,030局、自排局で96局となっている。
 環境基準の達成率について推移を見ると、低い水準でほぼ横ばいで推移している。また、濃度の年平均値についても近年ほぼ横ばい傾向である。
 平成10年度の環境基準非達成局の分布について見ると、一般局については32都道府県、自排局については23都道府県(ただし、自排局については測定局が設置されていない地方自治体数が10ある。)と、ほぼ全国に分布しているが、特に大都市地域を中心に環境基準の達成状況が低くなっている。特に関東地域における達成率は芳しくなく、都心及びその周辺部ではほとんどの測定局が環境基準を達成していない。また、年平均値が高い値を示した測定局で見ても、その多くが関東地域に分布している。
 なお、参考として、自動車NOx法の特定地域について見ると、586の測定局において測定が行われたが、長期的評価による環境基準達成局は、一般局で109局、自排局で17局となっており、全国よりもさらに環境基準達成率が低い。
 1−2沿道での粒子状物質汚染と健康影響
(1)浮遊粒子状物質に占めるディーゼル車の寄与
 環境庁では、平成9年度及び平成10年度に交通量の多い都内の道路沿道の2地点において、浮遊粒子状物質を粒径別に採取し、成分濃度を分析し、主要発生源の寄与濃度を推定した。その結果、ディーゼル自動車の粒子状物質(一次粒子)の寄与率は20〜48%であった。一方、固定発生源から寄与率は4〜6%となっており、固定発生源に比べ、ディーゼル自動車からの寄与が数倍以上大きかった。また、浮遊粒子状物質中のディーゼル自動車の寄与率については、一部の地方自治体でも調査が行われているが、これらの結果でも同様の傾向が見られている。
 道路沿道の浮遊粒子状物質濃度に占める発生源の寄与については、データの蓄積は限られているものの、これまでに得られた調査結果からディーゼル車の粒子状物質が占める寄与が特に大きいと言える。
(2)ディーゼル排気粒子の健康影響等
 ディーゼル排気粒子については、発がん性、花粉症等の健康影響が懸念されている。このため環境庁では、平成12年3月、ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会を設置して検討を行っており、9月上旬には中間取りまとめが行われる予定である。
 発がん性等についての検討会の評価は、中間取りまとめ時点で行われることとなるが、これまで収集された文献によれば、ディーゼル排気の人に対する発がん性を示唆する調査研究が報告されている。
 国際的には、IARC(国際がん研究評価機関)の評価では、ディーゼル排気粒子は、2A(人に対して発がん性を示す可能性が高い物質)と位置づけられている。
 一方、健康影響の評価以前に、ディーゼル自動車が目に見える形で黒煙を排出しており、住民に不快感を生じさせていることそのものが深刻な問題であるとの指摘もある。
2自動車排出ガス対策の実施状況と評価
2−1自動車NOx法に基づく施策の実施状況と評価
(1)総量削減計画等の概要
 大都市地域における自動車排出窒素酸化物に起因する大気汚染の状況を踏まえ、平成4年6月に自動車NOx法が制定された。
 この法律に基づき、総量削減基本方針が定められ、総量削減に関する目標として、特定地域において二酸化窒素に係る大気環境基準を平成12年度までに概ね達成することが規定された。また、総量削減の施策に関する基本的事項として、[1]自動車単体対策の強化等、[2]車種規制の実施等、[3]低公害車の普及促進、[4]物流対策の推進、[5]人流対策の推進、[6]交通流対策の推進、[7]局地汚染対策の推進及び[8]普及啓発活動の推進の8項目が定められた。
 特定地域のある関係6都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府及び兵庫県)の知事は、総量削減基本方針に基づき、それぞれ「自動車排出窒素酸化物総量削減計画」を策定した。同計画には、自動車排出窒素酸化物の削減目標量と目標達成の期間及び方途が盛り込まれている。
(2)総量削減計画の削減目標量と目標達成の見通し
平成2年度時点の特定地域における窒素酸化物排出総量及び平成12年度に二酸化窒素に係る環境基準をおおむね確保するための窒素酸化物排出総量を表2−1に、また、平成9年度の特定地域における窒素酸化物排出量を表2−2に示す。
 6都府県の総量削減計画における自動車排出窒素酸化物削減量は、平成2年度から12年度で2,320トン(兵庫県)〜1万9,000トン(東京都)、削減率では11%〜37%となっている。これに対して、平成9年度における削減量は埼玉県、千葉県を除き、1,490トン〜1万600トンであり、削減率は11%〜20%となっている。これは削減目標量の4〜6割の達成率にとどまっている。
 今後、平成10年〜12年度の3年間にさらに830トン〜8,400トンの削減が必要な状況にあり、平成2年〜9年度の7年間の削減ペースを上回る削減が必要な大阪府、神奈川県、東京都、兵庫県は、平成12年度末までの削減目標量の達成は厳しい状況にある。埼玉県では、平成9年度の自動車窒素酸化物排出量は、平成2年度をわずかではあるが上回っている状況にある。また、千葉県では、削減目標量は達成しているものの環境濃度や環境基準の達成率は改善が進んでいない状況である。こうしたことから、総量削減基本方針に定められた目標である、平成12年度までに二酸化窒素に係る大気環境基準を概ね達成することは極めて困難な状況にある。
(3)各種施策の進捗状況と評価
総量削減計画に盛り込まれた各種施策については、それぞれ以下のように評価できる。
 [1]自動車単体対策の強化等
平成元年12月に中央公害対策審議会答申で示された長期目標に沿ったディーゼル自動車の排出ガス規制をできるだけ早期に実施することにより、車種規制とあわせて窒素酸化物削減量は、平成2年度から12年度末までに2万1,900トン/年を見込んだ。長期目標は、車種ごとに9年規制、10年規制及び11年規制として施行された。二輪車は、これまで未規制であったが、平成8年10月の中央環境審議会中間答申おいて、区分に応じて平成10年〜11年末を達成期限とする低減目標が示され、平成11年10月までにすべての区分で施行された。二輪車の特定地域での排出量は500トン/年と推計される。単体規制は着実に進展しているが、ディーゼル化及び大型化が進行しているため、その効果が減殺された状況となっている。
 [2]車種規制
車種規制については、単体規制とあわせて窒素酸化物削減量は、関係6都府県で2万1,900トン/年を見込んでいた。特定自動車排出基準適合車への代替は表2−3に示すとおり着実に進んでおり、平成12年度末までに954%と予測されるなど、一定の成果を上げている。しかしながら、総量削減計画では、車種代替は同一重量区分内を想定していたが、ディーゼル化及び大型化が進行しているため、車種規制の効果は減殺された状況となっている。
 [3]低公害車の普及促進
総量削減計画では、表2−4に示すとおり、6都府県で低公害車4車種の普及により、6都府県で窒素酸化物4,500トンの削減が見込まれていた。低公害車の技術の進歩によって実用性が高まるとともに、全国的に見ても自動車ユーザーの理解が得られつつあるものの、特定地域での低公害車の普及は、平成10年度末現在で1万台強にとどまっており、非常に厳しい状況にある。
 [4]物流対策の推進
物流効率化、モーダルシフト、施設の適正配置などにより、貨物系走行量を10〜20%削減し、これにより6都府県で窒素酸化物1万1,600トンの削減が見込まれていた。
 その後の物流の状況を見ると、輸送トン数は減少しているが、輸送トンキロは増加傾向にあり、輸送効率については、平成2年度以降、平成6年度ごろまで低下傾向、その後横ばいで推移している。また、物流に占める自動車輸送の割合もほとんど変化が見られない。小型貨物車数は減少し、貨物自動車数は全体としては減少しているが、普通貨物車数は増加し、その走行量も増加している。加えて貨物自動車全体では、大型化の傾向を示している。このように物流効率化への努力は行われているが、なお一層の大気環境の改善に向けた取り組みが必要である。
 なお、現行法においては、事業活動に関連する施策として、事業所管大臣が事業活動に係る自動車使用の合理化を図るための指針を定めることが規定されており、この規定に基づいて各事業所管大臣により指針が定められている。しかし、指針策定後のフォローアップ等が全般的には必ずしも十分に実施されていないことが明らかとなっており、現行の制度は必ずしも十分に機能しているとは言いがたい。
 [5]人流対策の推進
公共交通機関の整備及びその利用促進などにより、乗用車走行量19〜14%程度低減し、これにより6都府県で窒素酸化物が3,200トンの削減が見込まれていた。
 輸送機関別旅客輸送量の推移を見ると、全輸送量に占める乗用車輸送量の割合は、関東4都県では平成6年度から9年度にかけてほとんど変化しておらず、関西2府県では増加している。また、公共交通機関の整備などが行われているが、特定地域において乗用車の走行量は増加し、全自動車走行量の約6割を占めている。このようにさまざまな取り組みにもかかわらず、人流対策は十分な効果を上げていない。
 [6]交通流対策の推進
交通流の円滑化、分散を図り、都市内平均走行速度の約20〜45km/h上昇により、6都府県で窒素酸化物4,100トンの削減が見込まれていた。
 東京都内の平均走行速度の推移を見ると、平日の混雑時の速度は改善が進んでいない。また、都内の交通渋滞発生状況についても同様の傾向を示している。このようにさまざまな取り組みにもかかわらず、交通流対策は十分な効果を上げていない。
 [7]局地汚染対策の推進
交差点周辺部などの汚染メカニズムについての解析調査などを実施し、交差点の改良等の地域の実情に応じた効果的な施策の推進を計画していた。しかしながら、定量的な環境改善効果などは見込んでいなかった。現状においても、なお局地的に高濃度の地区が散見されており、局地汚染対策は十分に進展していない。
 2−2粒子状物質対策の実施状況と評価
ディーゼル車から排出される粒子状物質については、これまで大気汚染防止法に基づき自動車排出ガスの単体規制が実施されてきた。具体的には、昭和47年から黒煙規制が実施され、さらに平成元年の中央公害対策審議会答申に基づき、平成5年より車種及び重量区分などに応じた粒子状物質の規制が行われている。さらに、平成10年12月の中央環境審議会答申では、平成14年から16年にかけてディーゼル車から排出される粒状物質などを現行から約3割削減し、平成19年ごろを目途にさらに半減する(いわゆる新長期規制)ことが提言された。
 しかし、道路沿道における大気汚染の状況は依然深刻な状況にあり、従来からの対策のみでは十分な環境改善は期待できない状況にある。
 また、平成12年1月31日には、尼崎公害訴訟において、浮遊粒子状物質と健康被害との因果関係を初めて認定し、国等の損害賠償責任及び浮遊粒子状物質による大気汚染差しとめ請求を認める判決が神戸地方裁判所から出された。国としては、この判決による因果関係の認定についての科学的根拠等に問題があるとして控訴しているが、判決に示されたような沿道環境の厳しい地域について、その大気環境改善に向けた対策を講ずることとしている。このように、ディーゼル車の粒子状物質による健康影響について社会的な関心が高まり、対策の強化は急務となっている。
 こうした状況にかんがみて環境庁は、平成12年2月、新長期規制について、2年程度前倒しすること及び粒子状物質対策の強化に力を入れる方針を明らかにし、関連業界においても、これに応じて規制の前倒しへの対応及び規制実施に先駆けた自主的な粒子状物質対策に積極的に取り組むことを表明した。こうした動きを受けて、中央環境審議会においてその具体的実施時期や規制値について審議を進めている。
 一応ここら辺で一度切らせていただいた方がよろしいでしょうか。

【委員長】 今、2まで読み上げていただきましたけれども、ここら辺までで何かお気づきの点はございますでしょうか。

【委  員】 まず2ページのところですけれど、上から8行目、「平成元年度から10年度までの年平均値の推移を継続測定局の測定結果で見ると、自排局では低下傾向を示している」ということは、この参考資料の図の1−6がそうだとすると、私にはこの自排局における低下傾向というのは、ちょっと理解できません。
 それから、5ページの[2]のこの目標達成の見通し全体についてちょっと理解が難しいという気がいたします。ここのパーセンテージについては直していただきましたのでよかったわけですが、まず第一に6都府県の、各論に入る前に、全体的な特定地域の状況というものがせっかく表の2−1と2−2につけ加えられてきておりますので、この特定地域全体でどうであったかということを述べた上で各論に入るべきではないかと思います。そうしないと、「埼玉、千葉を除き」という理由がわかりません。全部見てみないと理由がわからない。要するに埼玉は目標量をまるっきりクリアできなくて、むしろ平成2年に比べ平成9年は増加してしまった。千葉県は一応クリアをしたと。そういう特殊なものを除きということが全体像が前に出てこないと、この文章はなかなか理解ができません。
 それから、2番目にこれからの削減ペースが830トン〜8,400トンの削減が必要だというふうに書いてありまして、過去7年間の削減ペースを上回る削減が必要だというのは大阪・神奈川だけで、東京・兵庫は5割以上クリアしておりますから、東京で言えば1万9,000に対して1万600ですから半分以上クリア、それから兵庫においても2,320〜1,490ですから、半分以上クリアしているということですから、この文章にあるものとしては、大阪と神奈川だけではないかというふうに思います。
 それから、もう一つ私としては疑問なのは、この平成2年は目標のべースなんですけれど、実際の自動車NOx法の実効期間というのは7年間ではないですね。施行されたのが平成6年ですか、それとも5年ですか。

【事務局】 4年に制定されて5年からです。

【委  員】 5年からですか。そうすると、この7年間であたかも7年やってきたような感じがするのですが、実質にはもっと少ないわけですね。というのが何か非常におかしいという気がします。
 それから、さっきも述べましたけれど、「埼玉県ではわずかであるが上回っている」、これがわずかであるが上回っているというのではなくて、わずかであるがむしろ上回ってしまったということが本当なのではないですか。わずかであるけれども、目標が達成できずにむしろ基準年を上回ってしまったということの方が問題であるというふうに思います。
 それから、千葉県のこの状況なのですが、この表の2−1をごらんいただきますと、総排出量に対する自動車排出量の割合を見ていけば、例えば東京都は7割以上が自動車、千葉県は4割未満、当然、自動車だけをクリアしても全体的な環境基準の達成にはむしろ改善がいかないのが普通ではないかなと私は思いますので、そういうことがやはり書き込まれる必要があるのではないかと。ただ単に自動車NOx法は確かにこれを目標としておりますけれど、これだけで環境基準が達成できるとはなかなかやはり思えないというのがここで明らかに出てきているのではないかというように思います。

【委員長】 今の点は何か事務局の方でご説明いただけますか。

【事務局】 まず年平均値の推移につきましては、まず事実関係を再度確認しまして適宜修正させていただきたいと思います。
 それから、総量削減計画の削減目標量と目標達成の見通しのところにつきましては、文章表記のわかりにくいところにつきましては再度整理をさせていただきたいと思いますが、1点、一つは7年間の総量全体とその後の10年から12年までの量を比較するような書き方はちょっと誤解を与える可能性があるわけですが、ここではあくまで年間ごとの削減ペースということで書かせていただいておりまして、年間ごとのペースがさらに前の7年間以上に早くならないとその達成量が満足できないということを書かせていただいているということでございます。
 それから、平成2年度を基準とするということがやや奇異なのではないかというご指摘でございますが、これにつきましては、総量削減計画自体の中で平成2年度を基準年として、基準ベースの排出量というふうなことで1号総量、2号総量を定めておりますので、これをもとに書かせていただいたということでございます。
 以上です。

【事務局】 今の先生のお話なんですけれども、この大阪・神奈川県・東京・兵庫と四つ並べるところなんですけれども、実は途中で考えていた総削減量、これまで3割とか、2割とかしか減っていない、7年間やったけれども。というのと、それから実は兵庫県かな、実質目標量の六十数%を自動車部分については削減したということがありますけれども、削減ペースというふうな表現にちょっと慎重に書きかえているのは、1年当たりの削減量ということを考えると、過去、法律が始まってからここまで来たペースよりはもっと加速してやらないと目標ぐらい減らないという意味では、量で比べるとおっしゃるとおりでありまして、五十数%、六十数%減ったということがあるので、ちょっと書き分けをしたのですけれど、若干まだわかりにくいところがあるかもしれません。

【委  員】 同じように現行計画の評価について、5ページからのそれぞれのどこが達成できて、どこができなかったかと。私は、このかなり定量的な数値が入って非常にいいと思いますが、一応最初の方で八つの項目を出して、それぞれについてやはりアウトプットといいますか、当初の計画がこうなっていてどれをどこまで減らす、どこを実施するというような、アウトプットとしての指標でどこまで。それから、アウトカウントといいますか、最終結果としてのNOx削減量でこれだというのをできるだけ平仄をそろえてやっていただいて、それで数値が入っているところと入っていないところ、入っていないというのは最初から決めていなくて、入っていないというのはそういうふうにちゃんと書いてある項目もありましたよね、7番の項目。それから、8番の項目はもう全然触れずに、普及啓発は効果があたかも無視されていますが、一応こういう項目については、一応、そのアウトプットとしてはこういう努力はしたと。だけど、定量的な評価がなくてわからないならわからないと、そういうことはやはりきちんと最終報告までにはしておいていただいて、そこからやはりいろいろな反省といいますか、それにつながっていくと思いますので、そういう意味では、それでは例えば低公害車の普及については何台を一応目標にしていたと。あるいは目標にしていなければ特に明確な目標をしなかったということで、それに対して何%目標があれば達成できたけれども、効果としてそれでは何トンぐらいの予測のものが何トンぐらいしかできなかったということは、やはり同じ平仄でできるだけやっておいていただくと、やはり次の政策につながるのではないかという評価の指標と、せっかくここまでやりましたから多少もう少しデータを整理すれば既にやってあるのではないかと思います。
 それに関連して物流の効率化について、やはり私はこの辺の積載率の問題が非常に大きいと思います。全車についての積載率が多少減っているというような図表がついていますけれども、もうちょっと車種別のコメントをぜひしていただいて、特に大型でやはり減りようがないのかとか、それから宅配便その他で軽、小型についてどうかとか、その辺が政策的にかなり意味を持つと思いますので、ぜひその辺のこともデータにしておけば後の政策に役立つのではないかという点です。
 以上です。

【委員長】 大変重要なご指摘をいただきましたけれども、何かよろしいですか。

【委  員】 8がないというのは確かにおっしゃるとおりですよね。これは調べれば自治体がどんなことをやってきたかというのは簡単に把握できるのではないですか。NOx法ということを意識してやった啓発普及と、もっと全体に自動車交通全般を考えてやった啓発普及というのがあるわけですよ。例えば兵庫県なんかは、条例でアイドリングストップを規制的な措置まで講じておられるわけですから、そういうことを一応取り上げてみて評価しておくという意味はあるかもしれませんから、幾らでも材料はあるのではないかと思いますが、多分、猿田先生……。

【委  員】 太田先生、浅野先生がおっしゃっていたその8番目のところも、各特定地域を抱える地方自治体、都府県レベルではそれなりに普及啓発というものをかなり重点を置いて、自動車公害対策としては力を入れてやっているわけですから、国として云々という問題ももちろんありますけれども、そういう特定地域を抱える地方自治体が今まではとにかく努力したけれども、残念ながら達成できない状況にあるわけなんであって、その辺も少し逆に評価してあげることも、整理しておくことも必要ではないかということです。

【委員長】 ここら辺はまた修正……。
ほかにいかがでございましょうか。

【委  員】 NOxと、それから粒子状物質、両方に言えることなんですけれども、先ほど伊藤委員の方からご指摘がありましたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、NOxと粒子状物質が大気全体に対して自動車の寄与がどれぐらいなのかということを、やはりどこかでちゃんと記述していただいた方がいいのではないかなと。それによって自動車としての総合対策の意味が明確になると思います。
 それから、後の方でまた出てくるのですけれども、粒子状物質は発生の原因とか、寄与度の算定にやはり少し定量性の点で問題があるというようなことがあるわけですけれども、それをとっても大体これまで環境庁の中でここに出てきました検討会で、大体関東地区で三十数%ぐらいの寄与ですよね、全体をマクロに見ますと。そういうような記述をどこでやはり入れる必要があるのではないでしょうか。つまり自動車対策だけでは環境基準の達成は無理でありまして、他の対策も背景として平行してやる必要があるんだというニュアンスがやはりどこかで必要だと思うんです。この対策を客観づけるためにも必要だと思います。

【委員長】 そうですね。今の見きわめといいますか、これをはっきりしておく必要があるかもしれませんね。

【委  員】 全体の寄与率といいますか、寄与率を出す場合に、SPMについては、やはりナチュラルソースといいますか、自然源からの寄与分というものは、これは対策の立てようもないわけですから、そのことにもやはり言及しておく必要があるのではないかと思います。NOxなんかについては、固定発生源というものがはっきりしていますから、それはそれで寄与率を出しておく必要がありますけれども、SPMについてはそういう注意が必要であると思います。

【委  員】 今、先生がおっしゃったSPMの場合の自然由来、これは各測定点で、モニタリングステーションでいろいろ解析はしておりますよね、各自治体がやっているのですが。問題は、とくかく環境基準の達成率が一般局と自排局では、特にSPMの場合、達成率が極端に違うという、自排局の方が悪いという事実はあるわけで、その辺でのそういう自然由来のものとの比較というのをさらにしておくことはかなり重要な問題になってくるだろうと思いますけれど。本来、成分分析等もどこまで行っておくかということが必要になって、自動車由来であるかどうかということ。やはりその辺をきちんと把握しておくこともこれからの対応の中では重要な問題だと思います。SPMの場合に、固定発生源からもかなり出ます。しかし、固定発生源の方が状況としては把握がしやすいわけです。どれぐらい出ているかモニタリング、排出等もかなり把握されていますからどれぐらい出るかというのはわかるわけですが、移動性の自動車の方の実態はなかなか把握、しかし事実として道路沿道の濃度は高いと。そういうものからどう今後対応していく、重点を置くかということになるのだろうと思います。

【委  員】 今の点についてはまだ読まれていないんだけれど、21ページ以下のところの調査研究の推進というところで触れられてはいるんです。ただ、確かに今、横山先生のご指摘のとおり、ここでは自然由来ということについては触れられていないので、もし修文すればこの部分で21ページのところぐらいにちょっとて入れておけばいいのかなと。むしろ9ページのところは、ここは全体としてはディーゼル車から排出されるという最初の押さえがありますから、ここであえて自然由来のことをそう言わなくてもいいのかなとは思います。ただ全体として、これは最初にディーゼル車から排出される粒子状物質という1行だけですべて説明しているつもりなんでしょうけれども、尼崎公害訴訟でSPM等と書いてあるのは、当然ずっと続けて読めばそれは前提がそうだというのはわかり切ってはいるのですけれども、ちょっと誤解を与えるおそれがないとは言えないので、何か沿道とかというようなことをちょっと入れておいた方がいいのかもしれませんが、その程度の注意はこの部分では払っておいた方がいいのではないかと。

【委  員】 自然界起源の浮遊粒子状物質の問題が出ましたけれども、それは都市部で見るのか、地球全体で見るかで全く違うんですね。地球全体で見ると、自然起源と人為起源とは10対1ぐらいで自然起源の方が大きくなると思うんです。というのは、海が大きいため、海塩粒子の寄与が非常に大きいものですから。ところが、都市部に対する自然界起源浮遊粒子状物質については、アスファルトを敷くとかいろいろなことをしますと、ぐっと粉じんが都市部では人為起源の影響がおおきくなります。森がなくなると二次発生粒子が減ります。そういう意味で、大気局の方ではもうそういうことはアセスしているはずで、大体、日本の大都市部でに自然界起源の寄与は、全体の30%ぐらいと書いてありますから、そういうことをどっかへちょっと入れられればいいのかと思います。。私が申し上げたいのは、自然起源の粒子状物質の影響はどうしようもないというのではなくて、都市化とともに減りつつあるんだということです。ただし、地球規模全体で見ると海とかいろいろなものがあるので、圧倒的に自然界起源の影響が大きくなるというふうにご理解いただければいいと思います。

【委員長】 よろしゅうございますか。

【委  員】 対策、先ほど八つの話が出てきていましたけれど、もう少しこの対策全体、後ほど今後の対策の話の中でそれぞれまた展開されることになるでしょうけれど、全体として見たときに効果的な方法というのはどういう対策であったのかといいますか、ここで見る限りにおいては、6ページから7ページ、8ページにかけては、[1]と[2]だけでは一応丸という話で、あとは全部計画どおりには進行しなかったということになっているわけですね。そういう意味で、[1]と[2]というのは、結局、車、単体全部の排出量の削減ということで、あとの交通流対策とか、人流対策とか、あるいは交通需要の方も含めて、走行量削減に結びつくような話というのは、ほとんど計画どおりにはいきませんでしたということだと思うんですよ。この辺のところをもう少しきちっと何か全体の流れとして対策について書いておく必要があるのではないかなという気がしていまして、そういう意味では少し書き方として原因を余りはっきり、なぜそれが実現できなかったかという理由、その辺のところもはっきり書いていないのですけれど、もう少し何かやっておく必要があるのではないかなという気がして読んでいたんですけれど。
 それから、あとディーゼル化の話と大型化の話が出てくるのですが、それが効果が相殺されてしまったような理由として、その中で大型化の話は確かに資料としてあれでしょうか、トラックの分については記載されているところがあるのですが、ディーゼル化の進展の話というのは何か資料として出されているところがあるのでしょうか。さらっと理由が書いてあるのですけれど、もう少し、これまでの流れの中でもといいますか、いろいろな検討の中でこのディーゼル化の話というのは、整理された資料はあるのではないかなと思うんですよ。その辺ちょっとちゃんとした形で生かされた方が説得力が出てくるのかと思いますのでお願いしておきます。

【事務局】 今の点につきましては追加させていただきます。

【委  員】 先ほどの5ページのところのことに関しましては、私がいただいていた資料だと7年間の削減量というふうに書いてありまして、きょういただいたのには削減ペースと書いてありますので理解をいたしました。直してありましたので理解いたしました。
 それから、この各施策のところなのですけれど、4万5,260トンを今後削減目標となさった、それが各施策にどういうふうに割り当てられているのかということは、これは決まっていることですよね。次の文章を読んで、もちろんその結果が2万1,470トンに削減できたその理由が何かと言われるとこれは定量的に大変難しいという問題が起こるのでしょうが、少なくとも目標としてこの施策がどれだけの削減を見込んだ、4万5,260トンの内訳を6ページの[3]の最初のところに書いていただくと後が非常にわかりやすいのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。

【事務局】 では、そのようにさせていただきたいと思います。

【委員長】 よろしゅうございますか。

【委  員】 さっき先生がおっしゃった[3]以下のところはほとんどアウトであったと、そういう書き方になっているわけですよね。そもそもだけど定量的に把握できていないということがもうもともとあるはずなので、全然だめだったということではないはずなんですよね。だから、こんな形で数字を割りつけたことに問題があったのであって、それはトータルで何らかの寄与をしているかもしれないわけです。だから、1と2の方で全部功績をひとり占めにして3以下は全くアウトであるというのは、これはやはりやった人は物すごく怒ると思うんです。本当は、だから総合的に効果を上げてこれは、それは下がったということなのではないのかしら。そこのところは定量的に分析できないものを無理やりに割りつけたところにもともと無理があったのだというのが正しい評価ではないかと思うのですが、どうですか。

【委  員】 おっしゃるようにそうだと思うんですけれど、そういう意味からするとこういう計画の精度といいますか、そこに問題があるのではないでしょうかと。きちっとそういうことをしないで……。

【委  員】 こんな形だと同じことを繰り返すと、こんなことをやっていたらね。

【委  員】 そういう点の反省も含めながら、やはりそれなりに割りつけ、足りない部分をここで間に合わせましょうという格好で割りつけたのかもしれませんけれど、これはそれぞれの地域での計画という形で示されたものなのですかね。それがやはり実現できなかったということは言えるわけで、こんなことを言うとあれかもしれませんけれど、計画の精度の問題と、それからもう一つは今のようなそういうものに対する実現の姿勢みたいなやつですね。こういうこところがやはり問われるべきだろうというふうに思うんですよ。

【委  員】 今の浅野先生、永田先生のお話はまさにそのとおりだろうと。しかし、単体規制なり、車種規制、そこまではそれなりの成果ができたわけですね。ですから、そのあとの交通流・物流・人流、いろいろなものの難しさというのですか、ですからそれが今後の、逆に今までのを反省して今後どう生かしていくかということにつながっていく、今のご指摘がまさにそうだろうと思うわけで、今後の施策の中でではそれがどのように、反省も含めていろいろな施策を組み合わせた形でどう実行していくのか。むしろその辺が重要になってくる、それの必要性をここでうたっているというか、それを理解していくということが重要なのではないかと思いますけれども。

【委員長】 今のご指摘いただいたようなことは、またご修正いただくということでよろしゅうございますか。
 それでは、次の方に移らさせていただきます。
 11ページ以下、またお願いします。

【事務局】 3 今後の自動車排出ガス総合対策のあり方
 上述したような状況にかんがみれば、国民の健康保護と生活環境保全のため、窒素酸化物対策を強化するとともに、自動車からの粒子状物質対策を重点的に推進することが不可欠であり、自動車NOx法の抜本的見直しを含め、自動車排出ガス総合対策を強力に推進していくことが必要である。
 自動車NOx法は、大都市地域における二酸化窒素による大気汚染を改善するため、自動車排出ガスによる大気汚染に有効な対策を総合的、計画的に推進することなどを規定している。したがって、大都市地域における自動車排出ガス総合対策を強力にするためには、今後とも自動車NOx法をその中心に位置づけるとともに、現在の大気汚染問題の特性に的確に対応すべく、次のような点について同法の抜本的な見直しを行うことが求められる。
 [1]対象物質
自動車NOx法は、窒素酸化物を対象物質として定め、その総量削減目標量の達成のため、各種の対策が実施されてきたところである。しかしながら、この目標達成が困難な状況にあることから、引き続きその対策に重点的に取り組む必要がある。
 浮遊粒子状物質についても、大都市地域を中心に環境基準の達成状況が低いレベルで推移してきているところである。こうしたことから、近年、地方自治体において自動車の排出ガス中の粒子状物質の対策強化を求める声が高まり、国に対しても対策強化が求められている。また、ディーゼル排気粒子は、近年、発がん性などの有害性に関する指摘が国際的にも強まっており、我が国においても現在リスク評価が行われている。このため、こうしたリスク評価の結果などを踏まえて、自動車の排出ガス中の粒子状物質についても、健康への悪影響を予防する観点から自動車NOx法の対象に加え、早急に削減のための対策を実施していく必要がある。
 [2]特定地域
自動車NOx法では、自動車の交通が集中している地域であって、大気汚染防止法による措置(固定発生源及び自動車単体による規制)のみによっては、二酸化窒素に係る大気環境基準の確保が困難であると認められる地域を特定地域とすると定めている。この規定に基づき、自動車交通に関する統計、大気汚染の将来予測などを基礎とする要件を勘案して、関東4都県、関西2府県内の計196市区町村が特定地域に指定されている。
 平成10年度において、二酸化窒素に係る環境基準を超過している地点を見ると、そのほとんどが特定地域内におさまっており、特定地域の隣接地域においては、環境基準を超過する地域はほとんど見られない。このように現行の特定地域設定の考え方は、対策の目標地域を明らかにする上で適切かつ有効であったことが示されている。
 自動車NOx法を改正する上で、特定地域の設定については、窒素酸化物に加えて粒子状物質についても考慮する必要がある。このため、現行の要件との整合性を確保しつつ、粒子状物質の要件を加えた地域選定の手法を示す必要がある。具体的な粒子状物質に関する要件については今後さらに検討を要するが、粒子状物質については濃度予測シミュレーションを行うことが技術的に困難なことから、現在の浮遊粒子状物質に係る大気汚染の状況、自動車交通に起因する粒子状物質排出量、ディーゼル車の走行量などを基礎とした要件を設定することが適当である。
 [3]目標達成水準
窒素酸化物に関して現行の総量削減基本方針は、二酸化窒素の環境基準を平成12年度までに概ね達成することを目標としている。しかしながら、環境基準の達成率は低く、ほぼ横ばいで改善は見られず、この目標の達成は困難と考えられる。このため新たな対策においても、引き続き環境基準の概ね達成を目標とする必要がある。
 一方、粒子状物質に関しては、国際的に発がん性などが懸念されているディーゼル排気粒子に主眼を置いて、予防原則の立場からその健康リスクを低減するため、可能な限りの粒状物質削減を目標とすべきである。
 こうした対策は、環境基準の達成率が依然として低い水準で推移している浮遊粒子状物質による大気汚染の改善につながるものである。しかしながら現在のところ、自動車の排出ガス中の粒子状物質に関する環境データの蓄積が十分でないことに加え、粒子状物質の排出総量、粒子状物質の排出削減による大気汚染の改善効果等を十分な精度で推計することが技術的に困難であることから、浮遊粒子状物質に係る大気環境基準の達成に必要な粒子状物質についての削減目標量を設定することが難しい状況にある。したがって、今後は自動車の排出ガス中の粒子状物質の監視測定体制の整備を進めることとあわせ、浮遊粒子状物質の環境基準の達成に向けた粒子状物質の必要削減量などを明らかにするための調査研究、ディーゼル排気粒子などの微小粒子に着目した大気汚染レベルの評価方法の検討などを早急に進めるべきである。
 達成期間。自動車NOx法の総量削減計画においては、平成12年度末までを達成期間としている。
 新たな目標の達成期間については、車種規制を初めとする施策の効果を考慮すると10年程度が妥当と考えられる。その場合、計画期間の中間の5年で別途目標を設け、その達成状況を点検することも必要である。
 国民の健康保護のためには、できる限り早期に上記の目標を達成することが求められており、新たな総量削減計画の策定に当たって、今後さらに各種施策の効果等を予測・評価し、その結果も踏まえて、適切な達成期間を設定すべきである。
 [4]基本的枠組み
(総量削減基本方針等の枠組みの維持)
自動車NOx法では、特定地域内の自動車排出窒素酸化物の総量を総合的、計画的に削減していくため、国が「総量削減基本方針」を定め、これに基づき都道府県知事が地域の実情に即した「総量削減計画」を作成し、各種の施策を総合的に実施してきた。今後も国と地方自治体の連携のもとに総合的な施策を進めるため、こうした現行法の基本的枠組みは維持すべきである。
(計画の進行管理の充実)
現行の総量削減計画のもとでの施策の進行管理に関しては、平成8年度末に中間点検が行われたものの、その後の対策実施に的確に反映されていなかった。こうしたことから、今後はより効果のある計画の進行管理の仕組みを構築し、毎年情報の収集整理に努めながら、可能な施策については毎年、それ以外の施策についても計画期間の中間時点で施策の進捗状況の点検・評価を行い、その後の施策の推進に反映させていく必要がある。
 そのためには、まず何よりも総量削減計画の策定実施主体である都道府県知事が中心となって、国などと連携しつつ、計画の進行管理を行う必要がある。また、現行法で総量削減計画について、調査審議をするために設けることとされている審議会の役割を充実させ、総量削減計画の進行管理を行う組織として位置づけることなども検討すべきである。
 同時に、計画の効果を適切かつ客観的に点検するためには、各種施策の進捗状況や大気環境の改善効果をできる限り定量的に評価していく必要がある。このため、計画に定量的な目標をできるだけ盛り込んでいくとともに、交通量の低減、物流の効率化、環境の改善効果などを調査・推計・測定するための手法の開発を進める必要がある。
(地方自治体の役割の強化等)
自動車排出ガスによる大気汚染は、地域的な環境問題であり、その改善のためには、地方自治体の役割を今後一層強化する必要がある。すなわち、各地域の実情について最も的確に把握でき、また地域の環境保全について住民に責任を有する地方自治体が、地域における具体的な施策の立案実施や各種施策の進捗状況や効果の横断的な把握、評価などにおいて、これまで以上に中心的役割を担っていくべきである。
 このため、地方自治体の役割を一層明確に位置づけるとともに、地方自治体が各施策の実施主体に対し、必要な情報の報告を求め、また必要な指導・助言等を行うことができるような仕組みを設けることを検討すべきである。
 4 各施策の充実強化の方向 
今後の自動車排出ガス総合対策として、今回の諮問の審議事項に示された施策を含む以下に掲げる施策は、いずれも有効な自動車排出ガス抑制対策となり得るものである。今後、これらに施策について、さらに詳細な検討を進め、自動車NOx法等に位置づけることを含め、適切なものについては早急にその具体化図るべぎある。その際、これらの施策が総合的な効果を挙げ、環境への負荷の少ない交通の実現につながるよう配慮することが必要である。
(1)車種規制
自動車NOx法に規定された車種規制は、自動車排出ガスに起因する大気汚染の改善のため、特定地域において、大気汚染物質排出量のより少ない車種の使用を義務づけようとするものである。すなわち、対象とする自動車(特定自動車)について、共通の用途が見込まれる車両総重量区分ごとに最も厳しい単位規制に適合する車両のみ使用できるよう、大気汚染物質の排出量に関する特別な排出ガス基準(特定自動車排出基準)を定めるものである。
 新しく特定地域で使用されることになる自動車のみならず、現に使用されている自動車(以下「使用過程車」という。)についても、一定の猶予期間後は規制が適用され、特定自動車排出基準を満たしていない特定自動車は、車検を通らず、運転することができなくなる。
 車種規制は、これまで窒素酸化物を対象物質として実施されてきたが、その後の単体規制の強化により、現在では一部の車種区分では実質的な規制効果を持たなくなっており、その強化が必要である。
 (規制対象車種の拡大)
 現行法では、窒素酸化物排出量が多く、環境への負荷が大きいと考えられる貨物車、バスなどが特定自動車と定められている。しかしながら、現状では目標の達成が困難なことから、削減効果を上げるため、規制対象車種の拡大について検討すべきである。
 具体的には、乗用車を新たに規制対象とすることについて検討する必要がある。平成5年の現行車種規制施行時には、ガソリン乗用車は厳しい排出ガス基準が適用され、当分の間、規制強化の見通しがなく、ディーゼル乗用車も貨物車やバスに比べて特定地域における排出寄与が小さいことなどから、当面、規制対象とされなかったものである。しかし、乗用車からの窒素酸化物等の排出量は少なくない状況にあることから、大気汚染状況の改善ははかばかしくない現状では、乗用車を規制対象とすることを検討すべきである。この検討に当たっては、規制による環境改善効果等について将来予測を含む詳細な検討を行うとともに、車両数が非常に多く、個人用が多くの割合を占める乗用車に買いかえを義務づけた場合の社会的影響や廃車の増加による環境負荷増大のおそれ等の問題も勘案し、規制対象車種追加の必要性・妥当性についての分析・評価を行うことが必要である。
(特定自動車排出基準の強化)
大気汚染防止法に基づく自動車排出ガス規制の強化により、現在では最新規制基準の方が特定自動車排出ガス基準より厳しくなっている車種区分もあり、現状の規制値では、今後、窒素酸化物の十分な削減効果が期待できないことから規制値を強化すべきである。また、新たな排出基準については、窒素酸化物のみならず粒子状物質についても考慮し、最大限の排出抑制を図る観点から、原則として車種規制施行時点における最新規制値を特定自動車排出ガス基準として設定する必要がある。
 また、ディーゼル自動車単体の新長期規制を前倒しして早期に実施するとともに、その規制が具体化した段階では、車種規制にその単体規制強化が速やかに反映できるよう配慮することを検討すべきである。
 (猶予期間の設定)
特定自動車排出基準適用開始の時点で、特定地域内の使用過程車に新基準を直ちに適用し、その使用を規制することは、基準非適合車を所有している者の権利の保護や基準適合車の供給の面で問題を生ずることとなる。このため現行法においては、一定期間の基準適合猶予が車種ごとに定められている。なお、車種ごとの猶予期間は、できるだけ早期に自動車を代替させる必要性と強制代替によって生ずる使用者の負担等を比較検討して、平均的な使用年数からおおむね1年を減じた年数を基本として設定されているところである。今後の規制強化に当たっても、猶予期間については現行規制と同等のものとすることを原則としつつ、さらに検討を進めることが必要である。
(2)低公害車の普及促進普及対象車両の拡大
従来は、電気自動車、メタノール自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車の4車種が低公害車と位置づけられ、その普及促進が図られてきたが、その普及は遅々として進んでいない。このため、今後とも低公害車の普及を一層促進していく必要がある。
 一方、近年、乗用車を中心にガソリン自動車等の排出ガス性能も大きく改善してきており、こうした低排出ガス車の認定制度も整備されている。こうした自動車には、従来、低公害車の普及の障害とされてきた車両価格差や燃料供給施設の整備などの問題がなく、比較的普及が容易と考えられる。このため今後は、従来の低公害車4車種に限定せず、これらの低排出ガス車を含めてその普及を図っていくことが必要である。
 自動車NOx法においても、低公害車の開発及び利用の促進に関する国の援助が規定されているが、そうした措置だけでは低公害車の普及促進には不十分であった実績を踏まえると、補助制度・税制優遇措置のさらなる充実・強化を検討することに加え、次に述べるような低排出ガス車の認定制度の活用、自動車メーカーや自動車を使用する事業者に対して一層の低排出ガス車の販売・使用を求める仕組みなどについても幅広く検討していく必要がある。
 低排出ガス車の認定制度の活用。低排出ガス車の認定制度に関しては、環境庁が策定した「低公害車等排出ガス技術指針」をもとに、運輸省において「低排出ガス車認定実施要領」を定め、平成12年4月1日より低排出ガス車の認定とその結果の公表具体的には、グリーン調達の取り組みなど環境への意識が高まる中、自主的に環境保全に積極的に取り組む事業者や、環境に配慮した製品を選ぶ消費者がふえてきている実情を踏まえ、事業者・消費者に対し、低排出ガス車に関する情報を一層積極的に提供していくことにより、市場における低排出ガス車の選択を促していくことが必要である。
 また、低排出ガス車認定要領により認定された低排出ガス車については、外観上、識別することができるステッカーが貼付されるので、これを用いて低排出ガス車の利用普及にインセンティブを与える施策について、各地方自治体などにおいて具体化していくべきである。具体的には、低排出ガス車優遇駐車場の設置、有料道路の利用料金減免などが考えられる。
 なお、これらの施策と相まって、低公害車用燃料等供給施設の計画的な整備、国や地方自治体における低公害車等の率先的導入などについても、今後とも一層推進していくことが不可欠である。
  (3)事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化
既に見たように、現行の事業者指導の仕組みが必ずしも十分機能しているとは言いがたいことに加え、現行の総量削減計画に基づいて行われたきた物流対策・人流対策をより一層推進するため、事業者における自動車排出ガス抑制対策を強化していくことが必要である。
 (自動車利用管理計画の策定)
事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化の方途としては、自動車を利用する事業者に対して自動車利用管理計画の策定を義務づけることが考えられる。すなわち、対象自動車を一定台数以上使用する事業者に対し、国が定めた基準等に則って、「自動車排出ガス抑制のための自動車利用管理計画」を策定し、同計画に基づいて各種対策を実施することを促すとともに、地方自治体などに対する実績の報告や一般への実績の公表を求めることが考えられる。この自動車管理計画の内容としては、[1]最新規制適合車への代替、[2]低公害車、低排出ガス車の導入、[3]環境への負荷の少ない自動車利用管理目標の推進など、事業者が実施することが適当とする環境保全対策を定めることが考えられる。
 なお、幾つかの地方自治体では、既に運輸省と協同して事業者の自主管理による総量削減指導の取り組みを開始しつつある。このためこれらの施策との整合性を図るとともに、地域の実情に応じたきめの細かな施策を講じていくため、事業者の自動車管理計画の指導等については、地方自治体が中心的な役割を担っていく必要がある。また、地方自治体による指導等の実施に当たっては、一方通行のものとならないよう、事業者と地方自治体との双方向のコミュニケーションを重視していくことが重要である。
 一方、国はこうした取り組みを促すため、低公害車の燃料供給施設等の必要なインフラ等の整備を行うとともに、優良事業者の表彰等の支援措置を検討していくことが必要である。
 この対象事業者としては、自動車を保有する事業者が考えられるが、荷主事業者についても、グリーン調達の考え方を参考に公平な役割分担と努力を求めることなどについて、今後さらに検討を進めることが必要である。
(4)自動車メーカーにおける低排出ガス車の製造・販売を通じた自動車排出 ガス抑制対策
自動車単体規制や車種規制及び事業者における自動車派出ガス抑制対策の強化に加えて、自動車メーカーにも一層の対策の実施を求めていくことが必要であり、その具体的方策を検討すべきである。
 米国カリフォルニア州では、大気汚染を改善するため、自動車メーカーが販売している自動車について、車種区分ごとの総車両(フリート)の平均排出量を規制するフリート平均値規制を導入しており、こうした例も参考としつつ、自動車メーカーに対してフリート平均自動車排出ガス量の抑制や、低排出ガス車の開発の一層の推進を求めることなどが考えられる。
 (フリート平均値抑制策の導入)
自動車メーカーに対してフリート平均自動車排出ガス量の抑制を求め、結果として販売車両の一定割合を低排出ガス車とすることを促していくことが考えられる。例えば各自動車メーカーに対して、全国で販売される車両の区分ごとに、製造・販売する自動車の平均排出ガス量の定期的に公表を求めることなど、自動車メーカー間の情報公開を通じて平均自動車排出ガス量の低減を図っていくことが考えられる。これは、市場への情報提供によってユーザーの選択を促すとともに、自動車メーカー側の健全な競争を通じて、社会全体の環境保全の取り組みをより前進させようとする方策である。こうした自動車メーカーにおける対策が事業者に対する対策とあわせて導入されれば、自動車の供給側と需要側の対策が実施されることとなり、相乗的な対策効果が期待される。国は、こうした取り組みを促すため、公平な車両区分や算定方法を明らかにするとともに、優良事業者を表彰するなどの支援措置を検討していく必要がある。なお、低排出ガス車が少ない車種の取り扱いなどについては、今後さらに検討を進める必要がある。
 (低排出ガス車の開発・普及の加速)
大都市地域における大気汚染の主要な原因は、特に大型のディーゼル車からの排出ガスにあり、しかもその代替となる低排出ガス車が極めて限られており、対策の進展を阻害していることなどにかんがみれば、大型車両等の排出ガス低減に向けた技術開発について、自動車メーカーの果たすべき役割は極めて大きい。平成12年3月、日本自動車工業会は、ディーゼル車の排出ガス低減を進める自主行動計画を策定・公表したところである。この方針に沿って、自動車メーカーは今後一層の自主努力を行うことが求められており、また国及び地方自治体は自動車メーカーにおける技術開発等を今後一層要請支援していくべきである。
(5)交通需要マネジメント(TDM)等
物流対策、人流対策や交通流対策については、その効果が十分に上がっていないことから、今後より実効ある施策を推進していく必要がある。大気汚染の原因となる交通渋滞等の防止策としては、交通の需要を喚起するおそれのある幹線道路ネットワークの整備、交差点立体化等ボトルネック対策や沿道への影響を緩和するための道路構造対策などのみでなく、今後は交通需要マネジメントを一層重視していく必要がある。TDMとは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、さまざまな方法で交通行動の変更を促すことにより、交通需要の時間的・空間的な集中を緩和することを目指す施策である。
(柔軟なTDM施策推進システムの確立)
TDM施策には多様なメニューがあり、また適用できる対象地域の特性も千差万別である。また、高度道路交通システム(ITS)など、TDMに活用可能な技術の進展も著しい。このためTDMについては、法律などに基づく一定の規制的措置や目標を設定するのではなく、各地域の実情に応じて的確に施策を選定でき、さらに施策の進捗に応じて計画の見直しも可能な柔軟なシステムを構築していくことが適当である。また、その推進に当たっては、関係行政機関、住民、関係業界、各種団体が広く参加する協議会を設置することなどにより、TDM施策の推進体制を確立することが不可欠である。その際、地方自治体は、地域環境の保全に責任を有すること、交通基盤を保有・管理する主体でもあり、交通流対策等に関して具体的施策をみずから推進できる余地が大きいことなどから、TDM施策の立案・推進における中心的役割を担っていくことが適当である。同時に、国においては、みずからITSなどの技術開発や社会実験等を積極的に行うとともに、各地域における取り組みも積極的に支援していく必要がある。
 (中長期的対策の着実な推進)
なお、TDM施策に限らず、物流対策、人流対策、交通流対策には、公共交通機関の整備、物流拠点の適正配置、道路網の再整理など、都市構造の変化を伴うものもある。これらの施策は、巨額な経費や多くの関係者の合意形成を必要とし、大気汚染対策の視点のみではその推進が困難な場合も少なくない。しかしながら、大都市地域における大気汚染問題を抜本的に解決していくには、こうした都市計画等にも踏み込んだ抜本的な対策の推進が不可欠である。したがって、こうした抜本的な対策については、中長期的視点に立って、都市内交通の円滑化、交通事故の低減対策など、他の政策目標とも積極的に連携しつつ進める必要がある。同時に、環境保全の観点からの施策の進捗を的確に評価する仕組みなどを盛り込みながら、着実に推進していくことが不可欠である。
(6)経済的措置
経済的措置には、規制措置と比べ、[1]価格シグナルを通じて多数の経済主体が環境負荷の少ない行動を自主的に選択するため、社会全体として最も少ないコストで環境負荷削減を実現できる、[2]汚染量の削減が経済的な利益に結びつくため、排出量を可能な限り減らそうというインセンティブが働く、[3]技術開発にも長期的にプラスの影響を与える、といった利点がある。
 一方、経済活動への影響、環境上の効果と経済的負荷とのバランス等を配慮する必要性も指摘されている。従来、税制に関しては、自動車NOx法の特定地域内において、特定自動車排出基準適合車に買いかえる場合や電気自動車などの低公害車を購入する場合などに自動車取得税が軽減されてきた。また、東京都においては、車齢10年を超える自動車の自動車税の税率を重くし、低公害車等の自動車税の税率を軽くするという超過不均一課税を行っている。また、補助や融資については、自動車NOx法における特定地域内の特定自動車排出基準適合車への買いかえ、低公害車の導入やその燃料供給設備の整備に対して行われてきた。
 しかしながら、従来の経済的措置は、より環境負荷の少ない自動車への代替を進めるという観点からの措置が中心であり、必ずしも十分にそのポテンシャルが活用されているとは言いがたい。このため今後は、汚染者負担の原則を基本としつつ、これまで以上に多様な局面で経済的措置を積極的に活用していくべきである。
 具体的には、自動車の利用に伴って生じる窒素酸化物や粒子状物質による大気汚染は、各自動車から排出される環境負荷(排出ガス性能)と自動車走行量に相関していることから、これらをそれぞれ低減させるように措置が求められる。
 排出ガス性能の観点からは、現在の単体規制による環境改善効果をさらに高める措置として、排出ガス性能に応じて自動車関係諸税を重軽課することにより、排出ガス性能の悪い自動車からよい自動車への代替を促進することを検討すべきである。
 また、自動車交通量を低減させる手法としては、特定の道路利用者に対し料金を徴収し、交通量を抑制するロードプライシングが注目されている。既にヨーロッパやアメリカの一部、シンガポールなどにおいては、朝夕のピーク時の都市の交通量を分散、抑制するため、変動料金制度が導入されており、我が国でも一部で導入に向けて検討が進められている。ロードプライシングはTDM施策の一つであり、地域の実情に応じて多様なTDM施策を的確に組み合わせていくに当たって、有力な施策オプションの一つとして視野に入れていく必要がある。
(7)局地汚染対策
現在、総量削減基本方針及び総量削減計画においては、地域の実情に応じて効果的な局地汚染対策を推進することを位置づけているが、具体的な施策の実行は十分でなく、このため大気環境が十分に改善されていない地域も少なくない。
 このため、大気汚染の著しい交差点周辺部のように、特定地域の大気環境を改善するための全般的な対策のみでは、大気環境の改善を図っていくことが困難な地区については、窒素酸化物対策と粒子状物質対策とをともに視野に入れつつ、これまで以上に局地汚染対策の積極的推進を図っていくことが必要である。その際、現に汚染が著しい地区に加え、予防的見地から、今後そのおそれのある地区も含めて局地汚染対策を検討するべきである。
 (局地汚染対策推進計画の制度導入)
 例えば国が局地汚染対策対象地区を選定する具体的基準を定め、その要件に該当する地区について都道府県知事が局地汚染対策推進計画を策定し、各地区に適した総合的な対策を関係各主体が協力しつつ推進するといった仕組みを構築することなども考えられる。その際には、計画の立案や情報公開を含めた進行管理について、関係者の積極的な関与を確保するため、関係行政機関や地区住民などを含んだ局地汚染対策推進協議会といった組織を設け、施策の立案・推進に当たっての地域レベルでのコンセンサス形成を促進することも考えられる。ただし、制度の具体化に当たっては、計画策定地区の範囲設定の考え方などについてなお一層の検討が必要である。
 (要請限度の制度の活用)
 現在、十分に機能していない大気汚染防止法第21条の要請限度の制度を見直すことも考えられる。要請限度の制度は、自動車排出ガスによる局地的な大気の汚染が一定の限度を超えている場合に、都道府県知事などが都道府県公安委員会に対して、道路交通法による措置をとるべきことを要請する制度である。この要請が行われると、都道府県公安委員会は、道路交通法に基づいて措置の必要性を判断し、必要と認めた場合には信号機の設置改善、車種制限その他の交通規制を実施することとなる。
 現行の要請限度の制度は、尺度とされている一酸化炭素による大気汚染の状況が改善されていることから要請の実績がなく、また都道府県知事が要請するだけの仕組みであり、現在は十分に機能を果たしていない。このため、地域における局地汚染対策推進のコンセンサスづくりと要請限度の制度とが有機的に結びつく仕組みを設けたり、二酸化窒素や浮遊粒子状物質による健康リスク評価を考慮して要請限度を設定することによって、本制度をより効果的なものとするよう見直すことについても検討すべきである。
 (中長期的対策の着実な推進)
 なお、局地汚染対策についても、その根本的な解決のためには、道路構造、さらにはより広域的な都市構造の見直し等の推進が不可欠である。こうしたことから、上述したような施策を推進していくと同時に、長期的視野に立って都市交通網の見直し等にも積極的に取り組んでいくことが不可欠である。
(8)その他
上述した対策に加え、以下のような課題にも積極的に取り組んでいくべきである。
 (自動車単体対策の強化)
自動車単体対策については、特殊自動車を新たに排出ガス規制対象に加えるとともに、ガソリン・LPG自動車、ディーゼル自動車の排出ガス規制を強化することが必要である。
 また、ディーゼル自動車の新長期規制について前倒し実施し、あわせて軽油中の硫黄分の低減を図るべきである。
 (ディーゼル微粒子除去装置の装着奨励)
 近年、ディーゼル排出ガス対策技術の一つとしてディーゼル微粒子除去装置が開発されつつあり、一定の効果が期待されることからその活用を検討をしていく必要がある。この点に関し、平成12年7月に取りまとめられた「ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめ」においては、ディーゼル微粒子除去装置はすべての使用過程ディーゼル車に装着可能な状況にはなく、また一定の粒子状物質低減効果は見られるものの、二酸化窒素低減効果はないことに留意すべきとしながらも、装着可能なもののうち、効果の優れたものの装着に対するインセンティブを付与することは有効であると評価している。
 (浮遊粒子状物質総合対策・調査研究の推進)
 浮遊粒子状物質の排出源としては、自動車とともに固定発生源もある。ディーゼル排気粒子については、発がん性などそれ自体の健康への悪影響は懸念されていることから、その可能な限りの低減対策を実施していくべきであるが、長期的には浮遊粒子状物質に係る大気環境基準の達成に向けて、自動車対策と固定発生源対策をあわせた総合的対策の策定・実施に向け検討を進めていくことも必要である。また、浮遊粒子状物質については、その生成、健康影響等について科学的に解明が十分でない部分も残されているため、汚染シミュレーションモデルの確立、各地域における発生源寄与分析、ディーゼル排気粒子のリスク定量評価、微小粒子による大気汚染レベルの評価方法の確立などについて、さらなる本格的な調査研究に早急に取り組むべきである。
 (全国的な自動車対策の強化)
先に見たとおり、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準非達成局は、自動車NOx法の特定地域だけでなく全国的にも点在している。とりわけ浮遊粒子状物質の環境基準達成率は低く、一般地域よりも沿道地域での環境濃度が高い状況にある。また、特定地域外から特定地域内に流入する自動車が、特定地域内での窒素酸化物等による大気汚染に寄与していることも考えられる。
 こうした状況を考慮すれば、特定地域として総合的な対策を講じるべき地域以外についても、全国的に自動車排出ガス抑制対策を強化することが必要である。具体的には、特定地域外においても排出ガス性能の悪い車から排出ガス性能のよい車への代替を促進することが適切であり、そのための施策についても検討すべきである。
 また、使用過程車などに対しては、点検・整備を励行することにより、排出ガス量を大きく削減することが可能であると考えられるため、点検・整備を一層推進すべきである。点検・整備を行っていない者に対する注意を喚起する仕組みを設けることが望まれる。
 (普及啓発の推進)
自動車排出ガスによる大気汚染問題の抜本的解決のためには、一人一人が自動車の持つ利便性を享受する一方で、みずから環境負荷を発生させているという事実に対する自覚を持ち、現在のライフスタイルそのものを見直していくことが不可欠である。そのためには、上述したような各施策の具体化を進めることとあわせて、普及啓発活動を今後とも積極的に展開していくことが重要である。このため、今後とも公共機関の利用促進、エコドライブ、アイドリングストップ、車両整備などの促進などについて、普及啓発を図っていく必要がある。
 5最終報告に向けての課題
以上見てきたように、大都市地域を中心として自動車交通に起因する二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る大気汚染は深刻な状況にあり、一層対策を強化する必要性は明らかである。
 これまで検討してきた車種規制強化、低公害車普及促進等の各種施策は、いずれも効果的な施策となり得るものであるが、いずれの施策をどのような形で導入するかはなお検討が必要である。
 特に、導入すべき各施策の強度や組み合わせ等を明らかにするため、各施策の実施を含めた将来予測シミュレーション等を行い、将来排出量や大気環境濃度の推定等の分析を行っていく必要がある。その上で目標の達成を確実なものとし、かつ効率的で実行可能性が高い施策を立案・実施する必要がある。また、自動車NOx法に盛り込むべきものと、それ以外の措置で対処すべきものを明らかにすることも必要である。
 本年末に予定している最終報告に向けて、各方面から幅広い意見等をいただき、それらを十分に考慮しつつ、さらなる検討を行うこととしたい。

【委員長】 どうもありがとうございました。非常に長い文章を読んでいただきました。
 非常に欲張った内容が随分書かれておりますけれども、要するに発生源対策では、環境基準に背が届かないと。それで、いろいろな制度を動員して何とか方向を見い出したいという趣旨かと思います。都市の計画、ライフスタイルぐらいまで踏み込んでいくと、これはもう非常に大きなテーマになります。しかしながら、短期的でやることと長期的にやることの区分、いろいろな問題がありますけれども、文字どおり総合的な観点から書かれているかと思います。先生方からご意見をいただければと思います。

【委  員】 全体的に言えば、今まで議論してきたことをよくまとめていただけているとなと思います。ですから、合格点ではないかと一応考えるわけですが、幾つか、もう既に何度も申し上げていることの繰り返しになりますけれども、ディーゼル排気粒子の対策をともかく真剣に取り組まなければいけないということについて、随所に書かれていますのでそれで結構かと思いますけれども、ともかくこれまでNOx法という名前のもとで窒素酸化物のことばかり議論をしてきていて、そのために諸外国の取り組みに比べても我が国では非常にこの粒子状物質についての取り組みがおくれているわけです。しかも、先ほどご指摘がありましたように、自然由来もあればさまざまな由来があって、なかなかそのメカニズムについてもはっきりはしない面もある。わからないからほったらかしておくという時代ではないわけですから、これを強調しているということは非常に重要な点ではないかと思うわけです。これは、ぜひ法改正の場合には取り上げておく必要があると思うわけですが、目標のところでは、極めて適切な表現だと思うのですけれども、12ページの達成水準というところで、健康リスクを削減するために、現在のところは必ずしもその数値目標を掲げることは直ちにはできないので、可能な限りの削減という言い方をしているのは、これはやむを得ないと思うわけです。ここで可能な限りのという言い方をするのであれば、やはり11ページのところでも早急に可能な限り削減のための対策を講じるべきだと言うべきで、どうしてこっちの方では可能な限りだけれど、こっちの方の前の方では何も書かないのかというのは論理矛盾ではないかという気がしますから、11ページでは、やはり「可能な限りの」ということをきちっと入れて書いておくべきだろうと思います。
 それから、先ほど既にご指摘があったとおりで、21ページ以下のところではもう少し固定発生源などもあるわけですから、それらも含めた対策が必要であるということについては先ほどの議論を踏まえた書き込みを少ししていただければと思います。
 それから、経済的措置についても、前回の小委員会でも発言をしておりまして、大体、経済的措置の必要性ということに関しては、かなり書き込んでいただけたのでよろしいかと思うわけです。少なくともその単体規制や車種規制のような規制ということだけで今日の問題が解決できないということははっきりているわけで、一人一人の行為を積極的に誘導していくためには経済的措置が必要であろうと思うわけです。ここでは、従来の経済的措置がどっちかと言うと助成というところだけに力が置かれていて、それには限界があるということは書かれている、そのとおりだと思うんです。この間、ある研究会で別の分野の話なのですけれども、助成措置を行うときの財源を完全に一般財源としての税負担に転化したら何%ぐらいになるかというシミュレーションの結果を見たことがあるのですが、実態はまさにそういうことなんですね。助成をするということはすごくいいことのようにだれも反対しないわけですが、その財源というのは結局一般財源になっているわけですから、どこかで税負担はあるはず。だったらその助成を受けるための費用は、その助成を受けて努力をしている人と努力をしない人の間で公平にシェアをする方が余程いいわけで、どうして一般財源に持っていかなければいけないかと。温暖化の話だったのですが、甘いシミュレーションですけれど、1%か2%の税負担の増になるというような話だったんです。だから、同じようなことをここだって言えるはずでありますから、ここのところはやはり負担の公平という観点からも経済的な措置というのは、助成だけではないということをはっきりしていく必要があるだろうと思います。ロードプライシングの話が出ているわけですが、ロードプライシングは多分局地対策的に効いてくる部分と、全般的に都市地域全体で効いてくる部分と二通りがあるのだろうと思いますが、ちょっとこれはばさっと書かれているような気がして、多分、岡田委員長もおっしゃるのではないかと思うのですが、もう少しここは丁寧な書き方ができるのかもしれないという気がします。
 それから、ちょっと細かいことで恐縮ではありますが、15ページのところで猶予期間の設定というのがあるわけですね。これはこれでずっと議論をしたことを踏まえて書いておられるわけですが、書き方がやや荒っぽいなと思うのは、2行目の「基準非適合車を所有している者の権利の保護」と書いてあるのですが、こういう書き方をすると素人には何か自動車を走らせることが既得権として、権利として保護されているようにとらえてしまうのですけれども、ここで言いたいことは財産権保護以外の何者でもないわけですから、はっきり財産権保護という書き方に直すべきだろうと思います。そして、その後の方で、「猶予期間については現行規制と同等のものとすることを原則としつつ、さらに検討を進めることが必要である」というのは、議論の文脈の中では、前の方の特定自動車排出基準の強化のところに書かれているように、むしろその排出ガス規制が強化されてしまったので、最新規制基準の方が特定自動車排出ガス基準より厳しくなっているものもあるから、そのことを考慮しろというのがこの文脈だったと思うんです。だからもしここをこういう書き方をするのであれば、経過を知らない者が読むとちょっとこれはわかりにくいので、「さらに」の後に「排出ガス実態等も踏まえて検討を進める」とか、何かちょっとこう書いておく方がいいのではないかと。これはやや細かい修文要求ですが、そういうことだと思います。
 あと、自治体の役割の強化というところも13ページのところでしっかりと書いていただいていると思いますので、おおむねこれでよろしいかと思います。ただ、私が繰り返し申し上げましたのは、やはり自治体が責任を持って対応できるために、国はむしろその邪魔をしないようにということが重要だということを申し上げたわけです。中でもこういう審議会のドキュメントにそういう表現は難しいのかもしれませんけれども、国がやるべきことというのは、むしろ自治体をサポートするということを中心に置くべきだということがここの趣旨だということを確認をしておきたいと思います。そして、その13ページの最後の2行目のところで、「必要な情報の報告を求め、また必要な指導・助言を行うことができるような仕組み」と割合穏やかな書き方がしてあるわけですけれども、このことと、それから17ページの上の2番目のパラのところ で、「事業者と自治体の双方向のコミュニケーションを重視」ということが、これがしっかり結びつくわけです。全体にここで言いたいのは、やはり仕組みを設けろということにウエートがあるわけで、ただ単なる責務であるとか、単なる努力であるとか、単なるお話し合いであること以上にきちっとした強制的に報告を聴取できる制度をとりたい、つくりたいということがこの審議会の意見だったと思います。だから、ややここのところの書き方はおとなし過ぎるのかなという気もするので、少なくともその発言をもう一回しておいて議事録にはとどめておいてほしいなと思います。

【委員長】 今、重要なご指摘をいただきまして、自治体と政府との関係で支援するというのと、それからこれは大変ロードプライシングとも絡んでくるのですけれども、首長さんが環境対策というのは原則的にやりたがらないですね。ですから、これを中央政府が背中をちょっと押してあげればやりやすくなるという側面があるんです。どうしても選挙で出る首長さんとしましては、嫌なことはやりたくないと、これはもう行動原理としてごく当たり前のことなんです。これを責めることはできないです。しかし、制度がそれをちょっとプッシュしておいてあげないと、ただ全部任せるよというだけではどうも環境対策にならない可能性があるということが一つは言える。
 それから、ロードプライシングについて、私はロードプライシングを邪魔している問題が三つあると思うんですね。今の点で要するに首長さんが政治的な判断でやるやらないという、ポリティカルチョイスという言葉を前に言いましたけれども、そこのところでどうしてもうまくいかない部分があります。オランダの場合もやろうとしてまた次の人が引っ込めてしまったとか、そういう出来事がありまして、首長さんがかわるごとに判断が違ってきてしまうというような可能性があるということが一つ。
 それからもう一つは、道路から税金を取ることは、これは日本の現在の行政法では原則できないんです。できないというのは、税金を取ることができないということではありませんが、ちょっとむしろ浅野先生またご注意いただきたいのですが、公的営造物ですから、公的営造物というのは管理を要するもの、これは取れるのは実費主義という長い日本の大陸法の、行政法の前提があるわけですよね。ですから、需要と供給に合わせて料金を取るということは、これは税を取ることは今の体制ではできません。ましてや一般道に入ってくる自動車に対してだれが徴税権があるのかという問題は、これは非常に大きな問題で、実はないはずなんですね。ただ、ガソリン税の場合は、これは特定財源ですから、昭和29年の臨時措置法でガソリン税という一般財源を特定化しているというだけのことなんですね。有料道路は、これはあくまでも今の法体系の上では暫定措置ですから、要するに償還が終わるまで有料制を導入するという制度になっているわけです。これについても議論がたくさんあります。そういうことでいきますと、今の道路法その他、需要が、つまり交通量がふえればこれは必ず道路を供給してそれに対処すべきであるというのがすべての公共事業の前提条件になっているわけです。ですから、需要がふえ過ぎるからこれを、道路供給はもはややめるべきであると。そこら辺になりますとちょっとややこしくなって大変恐縮なのですが、アメリカは判例法でこれをしていきます。それから、イギリスの場合は、政策で導入すればそれができてしまうんです。大陸法は、制定法でかなりはっきりさせておかないとそれが、はっきりさせてもいるのですが、日本は大陸法であるために、今、公共事業として道路をつくる、その道路を交通量がふえたからデマンドマネジメントをするということは、今のインフラの観点からは原則できないことになっているはずなんですよ。だから、その意味では、道路管理という視点を出して交通量のマネジメントをしますよと。こういうことをやるとすれば、これはいわゆる公的営造物関連とは話がちょっと違ってくるんです。法体系上はちょっと違ってくる。では、交通管理、警察の方でこれはできるかという問題になるわけです。警察の方でもこれは大変難しいわけで、余り言うとあれですから一言だけあれしますが、言いかえれば今の行政法の体系の中で、果たして交通需要管理というのはだれがどういう根拠法でもってやるのかということは、これははっきりさせておかなければいけないんですね。その点は法律を変えればいいんだというふうに言いますが、これはかなり大きな問題、公共事業問題は、今、大変大きな問題になっておりますように、それ自体が非常に大きな問題だということで、それが第2番目の問題だと。
 第3番目には、ではこの交通量が環境対策として減らすという場合にどれぐらいまで減らせばいいかと。減らす手だてというのは、つまり、技術的な手段というのは何かということですが、これは北欧の方では総収入の、ロードプライシングで上がっている収入が大体1割から2割だというんです。それぐらいのコストで、つまりこれは我々の方でこれはトランザクションコストというのですが、つまりマーケットメカニズムを有効に機能させるためには、どれぐらいのコストがかかるのかと。コストが余りにもかかるようであれば、これはやることの意義が社会にない。つまりコストイフェクティブが非常に弱くなってくるということで、ロードプライシングは、したがって三つのバリアーを、これをクリアすることが非常に大切だということをちょっと申し上げておきたいと思います。
 それから、ここで協議会という言葉が2カ所に出ていますけれども、これは国家行政組織法上の協議会でしょうか、これは。普通は、審議会・懇談会・協議会とありますね。

【事務局】 総量削減計画策定協議会というのが法律にあります。

【委  員】 現行法上、既に存在しています。

【委員長】 そうですか。それならいいのですが、協議会というのは非常に弱いものですから。

【委  員】 ただいまの委員長のご発言の中で、まずおっしゃるように現行法の枠組みの中で考える限り、では本当にロードプライシングができるのかということはもうご指摘のとおりであろうと思うんですよ。ですから、むしろそこを突破する何か論理を考えなければいけないわけですが、私は決して賛成はしていないのですけれども、神戸地裁判決ははるかにもう乱暴な判決を出してしまっているわけですね。これは、ひとえに被害があって被害者を救済しなければいけないという論理からだけスタートしているわけですけれども、環境行政というのは、ある意味ではそれに近いところがあって、環境行政の視点からの論理というのがなければいけないのですが、これまでこの種の問題に関しては、環境行政の論理が全部既存の大陸法的法体系の中に飲み込まれてしまって、これをやるときはこれでこれでこれでという形で仕分けをされてしまって、分断されるという仕掛けが問題だったんだということを明確に意識をして議論していかなければいけないだろう。その上で、もう岡田先生がおっしゃるとおりなので、最後は法律をつくればつくった側の勝ちなんですからそれでいけるはずなんですけれども、それを邪魔するものというのは、やはり既存の体系的秩序だと思うんですよ。もちろん体系的秩序を全く破壊することが許されるかどうかと言ったら、それはできないことはわかりきってはいるんだけれども、それにとらわれてしまってはどうにもならないということだろうと思います。ですから、その営造物としての道路の使用料を取ることができないのであれば、むしろそこで走る車の走行に関してある種の規制を考えて、その規制についてそれとうまくチャージを結びつけるという手法は、これは検討の余地があるし、十分に今までの秩序を乱さないやり方としては成り立ち得るだろうと思いますけれども、どちらかと言うと、私は正直言えば、ある地域全体でロードプライシングと称してお金をかけるやり方が合理的であるとは必ずしも考えていません。むしろある有料道路の料金を調整するというようなことでうまくコントロールができるならば、それはそれでいいだろうと。だから、総量規制に効いてくるような形でロードプライシングを考えるということは、そんなにうまくいくとは思えないですね。むしろアドミニストレーションコストが高くつき過ぎるかもしれない。余程技術的にブレークスルーできて、車にステッカーがあったって、それをきちっとキャッチできて、違反しているやつはすぐ捕まるとかいうようなことの技術開発ができればいいのですけれども、その辺はあわせて考えていかないと、何かも全部ロードプライシングというような言葉で表現することは、当面、適当ではないと思ったのでさっきあのような発言をしたわけです。

【委員長】 今の点は非常に重要で、恐らくロードプライシングをやろうと思うと、現行法の道路法なり何かを法体系の上でもう一段法律にのせる、アメリカで言うコンフォーミティールールですね、連動ルール。おしまいの方に連携とか書いてありますけれど、本当に連携をするということであれば、現行法で車を抑えることができるというのは、今の道路法ではできないですね。だから、なぜかと言うと、これは一種の公共財ですから、車がふえればそれに道路を供給して対処するというのが公的営造物の建前なんです。ですから、そういう建前がある以上は、今の公共事業を、だから極論をして大変恐縮なのですが、あしたからはもう環境の観点から道路をつくってはいけませんよということは、これは今の法体系では全くできないですね。これをイギリスの場合は、議会で法律が通れば、その法律を楯にとってある程度できるんです。アメリカは判例法でできる。大陸法では、もう日本の大陸法でも大体方向が決まっていますから、個別法で、また大変くどくて恐縮ですが、公的営造物法という一般法はないんですね、日本の場合は。だから個別法なんです、全部。個別のインフラ法で法律ができ上がっているわけですから、それに対してどういう手だてができるかというのは、別のコンフォーミティー、つまり連動システムで、例えばトラフィックリリダクションアクトというのはイギリスがやったのですが、1997年ですけれど。交通量を削減法という法律でこれをぶつけたわけです。だから、道路法の改正にいくとか何かしませんと、恐らく一般道については、そういうことは事実上不可能だと思うんです。その辺の整理を、しかもこれを首長さんが例えば国道、当然、地域の中に国道も走っているわけですから、その国道の交通量をだれがこれを抑制できるかということは、今の法体系上はできないはずなんですよ。首長さんは、幾らやりましても。法律でそれはできますよというふうにのせて果たしてできるかどうか私もそこら辺はよくわからないんですけれど。ですから、ロードプライシングというものの可能性とその辺のためのバリアーを一つ一つつぶしていかなければいけないという非常に大きな問題がありますので、ちょっとそれだけコメントしておきたいというふうに思います。それ以外いろいろな、つまりできることできないこと、ではだれがどういうふうなことをやるのかと。首長さんが全部やるよと、これについて国はどういう対応をしていくのかという位置づけが、これからの課題なのかもしれませんが、もう一つはっきり見えてこないなという感じがしておりますので、一言コメントを申し上げて……。

【委  員】 今のお二方の議論にも絡むんだと思いますけれど、この18ページ目の5の交通需要マネジメントの話なのですけれど、先ほど一番最初に前半の部分でちょっとコメントを述べさせていただきましたけれど、そういう意味では、走行量削減政策としての重要性というのはここが担うことになるんだと思うんですけれど、これに対する制度的なバックアップは必要ないんでしょうかと。これちょっと座って読んではいけないのかもしれませんけれど、これは今までどおりの扱いになっていますよね。それだったら今までどおりの結論しか出ないのではないかと。そういう流れからしますと、前半のときにコメントを述べさせていただいたように、もう結局突き当たりの施策なんですねということで終わりになってしまうかもしれない。その位置づけではないんだろうと思うんです、もうこの話は。そういう意味でちょっとここら辺の書きっぷりですね。内容的にはフレキシビリティを持たせるという話は、それはそれぞれの地域の実情にあるんですから当然だと思いますけれど、それを何かバックアップするような制度的なものをちゃんとしておかなければいけないのではないかということを申し上げておきたい。
 それから、先ほど浅野先生が言われた経済的な措置なんですけれど、これはよくアメリカあたりだともう大分前から使われていましたけれど、フィーベートという言葉があって、フィーとリベートですよね。リベートというのは、日本では悪い言葉にも使われますけれど、結局、課徴金等、補助金的なものですね。これをうまくやはり組み合わせていくということが経済的な措置の中では非常に重要な話になってくるんだろうというふうに思います。
 それから、ちょっと細かい話で恐縮なのですが、一つは17ページに前回ちょっと申し上げたんですけれど、私もはっきりした意味といいますか、どういう役割を担うということをきちっと書き込めるのかどうかというのはわかりませんが、ここで自動車メーカーによる製造・販売とここに書いてあるのですが、その販売している人たち、要するに特にこれからさっきの話にもありましたように、乗用車にまでいろいろな施策、車種規制など拡大していくということになるわけですね。使える車の制限みたいなやつが入り込んでくるということになるわけで、そんなときにやはり販売業者の役割というのもあるのではないかと思うんですよね。あるいは積極的にそういうところの人たちの能力を使うというか、活用していくような展開の仕方もあるのだろうと思います。それから、先ほどもちょっと出てきましたけれど、買いかえなんていう話になってくると中古車の問題というのが出てきますから、そしたらそのときにどうするんだという話も、廃車の問題ということで書かれていましたけれど、販売の中には含まれてくるのだろうと思うんです。そういう意味で、もう少し対象範囲が広がってくる中では、直接的に消費者と接触しているような人たちの役割というのも強調しておいていいのかなという気がします。と同時に、その上にグリーン調達の話が書いてあるのですが、実はこれから検討が始まるんだと思いますけれど、政府のグリーン調達、法律ができてその中身がこれから決まっていく話になってくるんですけれど、前からちょっと申し上げているのは、何も製品だけではないんですよと、グリーン調達の対象は。サービスというものに対してもグリーン調達として見なければいけない部分があるわけでして、そうした視点からすると、グリーン調達の考え方を参考にと書いてありますけれど、まさにグリーン調達なんだと思うんですよ。そういう話を展開することによって、例えば政府のグリーン調達の話をしたらそれも地方に展開していくような話になって、地方でも役立てていただくということになるんだと思いますけれど、そういうところに書き込めればまたこういう思想がどんどんどんどん広がっていくだろうというふうに思いますし、自動車対策にも有効になってくるのだろうというふうに思います。
 それから、16ページのところでステッカーの話が出てくるのですが、先ほどITSのお話に触れられていますけれど、あそこの中でも先ほどの浅野先生が言われていたようなナンバープレートがもうちょっとIC化されて、そういう意味ではスマートタイプというような言い方もできる。そういう話は、たしか運輸省の方で私もちょっと参加しておりましたけれど、かなりの程度近い時代に実現する話として書かれているんだと思うんですよね。そういう意味では、もう少しその辺の話も含めてもらえると、16ページの「ステッカーが貼付されているので云々」なんて書いてありますけれど、もう少し積極的にそうした情報化の流れの中でいろいろな施策の道具としてそれが使えますよという話として書き込めるのではないかなというふうに思っていまして、その辺のところも含めてもう少し幅広く周辺の制度だとか、あるいはシステムだとかというのが今世の中で動いている流れもつかまえて、こういう文章を書いていただけるとありがたいなというふうに思っています。

【委  員】 12ページにあります目標なんですけれども、この中で粒子状物質のやはり目標としては、環境基準の達成というのがやはりうたわれるべきではないかなというふうに思います。ここで可能な限り削減するんだというのが目標であるとちょっとあいまいだなという気がいたします。結局、それの達成度というのは濃度であり、それから測定局での達成割合という形で出ますので、これはやはり環境基準の達成というのは、やはりNOxとともに、NO2とともに目指すべきだというふうに思います。
 それからもう一つは、事業者に対する自動車利用管理計画の策定ということなんですけれども、これも自主的にやって報告を受ける、あるいは双方向的なコミュニケーションを重視するということがあるのですが、結局、それでどの程度まで踏み込んでコントロールできるかという姿勢によって、これが実効あるものになるか、あるいは報告だけに終わるのかというところがあると思うんです。それもいろいろこれまで、例えば車を何台持っている業者がどれぐらいの割合がいてというような統計的なデータがありましたけれども、結局、そういう一律に、例えば30台以上持っている業者はこういうふうにやるというようなことですと、実は捕捉率というのは非常に低いということがわかっていまして、やはり規模に応じたやはり柔軟な指導のあり方、あるいは強制力を持ったやり方というのが必要ではないかなと、そういう工夫をすべきではないかなというふうに思います。
 それから、こういう情報通信が発達してきていますので、そういう管理もそれほど行政の負担にならないで効率よくできる可能性があるのではないかなというふうに思います。さっきのロードプライシングとかそういうことと同じだというふうに思いました。
 それからもう一つは、このTDMの問題なんですけれども、このTDMの議論では、ちょっと音声があれですが、このやり方を推進することでどの程度改善ができるかという議論をどこかでしておかないとまずいと思うんですね。これは非常に難しいことはわかっていまして、定量的な議論をなかなかできないんですけれども、さっきの単体規制とか、車種規制というのは定量的な議論ができる中で、もう一つの柱であるこういった自動車の利用に関する議論の中で、やはり定量的な土俵に持ち込まないといけないなというふうに思いますので、ぜひその辺も改善効果として定量性のある評価のやり方を築く必要があるということを明記していただきたいと思います。
 それからもう一つは、前にも言いましたけれども、自動車の利用にかかわるやり方というのは、実は温暖化の抑制対策としても実は重要な柱になっているんですね。そういうことも一つ背景にあるということをぜひうたっていただきたいと思います。
 それから、22ページのところでありますけれども、全国的な自動車対策の強化の一番最後のところで、整備を行っていない者に対する注意を喚起する仕組みというのがあるんですけれど、これは、私はもっと強化していいのではないかと。注意を喚起なんて言わずに、やはり取り締まりの強化ということでこういったものをきっちり守らせるという仕組みがやはり必要であるというふうに思います。
 それからもう一つ、啓発の推進というところですけれども、これも前に申し上げたのですが、確かに渋滞が発生しているのは、実はトラックではなくて乗用車、商用車なんですね。もう7割、8割がそういう台数なんです。そこへ排ガスが悪い、特に車速が落ちるとディーゼル車の排ガスが悪くなりますから、大気を全体として悪化させるということになります。そうすると、やはりそういう排ガスを1台1台としてはよりクリーンであっても、やはりその中で利用されているのがほとんどが商ビジネスで使われている車なんですね。そういうビジネスのあり方というのが非常に車に大きく依存していますので、そういったところにメスをぜひ入れていただくことが必要だと思います。
 それからもう一つ、23ページのところの下から4行目ぐらいのところに、「自動車NOx法に盛り込むべきものとそれ以外の措置で対処すべきもの」とあるんですけれども、それ以外というよりもほかのやり方と複合的にねらってやるべきことというふうに私は位置づけるべきではないかなというふうに思います。これだけで全部欲張ってできっこないわけですから、例えば温暖化のやり方とか、それから低公害車の取り組みなんかは、石油代替といいますか、そういった方策もあるわけですから、そういったこととセットでやはりやるべきやり方というのも、やはりそういう広がりの中であるべきではないかなというふうに思います。
 以上です。

【委員長】 私も一言補足しておきますが、ロードプライシングで料金を取るということがここでうたわれているんですけれども、現行法では、電波の場合は、これは入札制で料金を取るということは恐らくできないはずなんですね。空港の発着料、スロット料金というか、入札制を導入しようと国際的に大分言われてきているんですけれども、同じように料金を取るというのは、現行法ではできないはずです、これは。入札制によって発着枠を配分するということで、あるいは電波を、プライシングによってその電波配分というのは、今の現行法ではできないということになっておりますので、そこら辺も踏まえてロードプライシングの可能性をやはり探っていかなければいけないわけで、これは何でも書いてあるかわりに、できることできないことみんな書いてあるよというだけではどうもうまくないなということがありますので、ちょっと一言ご注意しておきたいと思います。

【委  員】 きょうのこの中間報告(案)を拝見しまして、DEPの問題、いわゆるディーゼル微粒子がここにきちんと取り込まれたということは非常に今後の対応として評価できることだろうと思いますけれど。何点かちょっとお伺いしたいというか、要望なのですが、先ほども自治体の取り組みというようなお話、浅野先生からいろいろとお話がございましたけれども、今、自動車の管理計画等を行うに当たって、地方自治体がその地域の状況をよく把握しておりますからそれに対して指導する。現在、条例等でもう既にやっているところもあるわけですね。そういう特定地域を抱える自治体の中では、条例等で事業者の指導を行っているところもあるわけですから、今後そういう地方自治体の役割の強化というのが13ページに書いてありますけれども、やはりその辺で明確にこれを位置づけていくことが非常に重要な、今後、地方自治体として政策もやりやすくなるのと同時に、それなりの効果を上げていくのではないかということがうかがわれます。
 きょうのこの報告書の中で、例えば17ページ等に自動車メーカー、製造・販売を通じた抑制対策というのが出ておりますが、これについては低公害車の検討会の方でも検討を進めて今まとめつつあるところでございますけれども。販売上どれだけのユーザーの需要があるのか、それにもよるわけですが、それをいたずらにただ需要に応じて販売されたのではいつまでたってもNOxがなかなか下がらない、そういう中でフリート平均というような考え方が出てきているわけで、これも特定地域だけを対象にしたのではなかなか効果が上がらない。全国的な視点からの問題と、それから重量車等については、なかなか対象にするのは難しい問題もあるわけで、その辺をどうするのかということも一つの課題として考えていかなければいけない。しかし、いたずらにああいったことというのは取り消しますけれども、新長期規制等の基準もあるわけで、それをいかに前倒ししてそれの普及をいかに早くするかということが重要になるわけで、その辺との関連も含めて車種区分ごとのフリート平均を今後導入することは非常に成果をひとつ期待できるのではないかと。と同時に、これは地方自治体の政策とも関係するかと思いますけれども、事業者への導入・義務づけというような形で、どういう形でそれを義務づけていくのか。その辺が今後地方でそれを地方自治体もある程度指導できるようにするのか、中央においてそれをコントロールするようになるのか。むしろ地方自治体がそういう導入・義務づけに関して関与できるような形がとれればその方がより効果的なものではないかという気がするわけです。これは要望ですけれども。
 そういうことで、22ページに全国的な自動車対策の強化というのがございますけれども、その中での先ほどステッカーの話がございましたけれども、果たしてステッカーでそのわかりいいかというので前にも申し上げたことがあるのですが、ナンバープレート方式等の検討が、低公害車あるいはそういうある基準をクリアしているものについてのナンバープレート方式というようなものが考えられる、ステッカーでチェックすることが非常に難しいのではないかと。これはNOx法をつくるときにもそういう考え方が出されたわけですが、結局、ステッカーではなかなか判断できないだろうということで、しかし、今、既にもうステッカー方式が導入されておりますからそれはそれとして、将来どういう方向に、もっと低公害車というものに対して優遇措置をとるとすれば、例えば先ほどお話にありました駐車場などの料金を減免するとか、高速道路の使用料金の減免とか、いろいろ考えられるわけですけれども、そういう場合にどういうのが低公害、いわゆるそういう対象車種として判断できるのかと。迅速に判断できないとなかなか難しいわけで、その場合に今後どういうシステム、ナンバープレートがいいのか、ステッカーがいいのか、いろいろご意見はあろうかと思いますけれども、そういう中でひとつご検討をいただければということがございます。
 それから、先ほど大聖先生から前の方になるのですが、DEPの可能な限りというところでご意見がございましたけれども、何ページでしたか、12ページ、基準ですね。これはどのように考えていくかなのでして、一応SPMとしては環境基準が決められているわけですね、24時間平均値として決められている。この中で、またこのDEPに関しての基準を決めるとなるとなかなかこれは難しい問題があるわけですね。DEPだけの基準を決めるというのは非常に難しいわけで、コンマ1ミリグラムの中の何ぼがではDEPかということを判断するのは、これは今の自動計測ではちょっと不可能な状況になるわけで、その辺を踏まえて可能な限り減らしましょうというのが果たして目標なのかどうかという問題があるんですけれども。現状より減らしましょうだから、確かにそれは一つのマクロ的な、定性的な目標として設定しますよということは言えるわけですけれども、定量的な形での目標を設定するとすれば、その辺をどのように判断していくのか。科学的な測定法としてDEPに関する、いわゆる今の測定は連続測定を行っているわけで、常時監視ですから。その中でどのようにしていくのか。確かに大聖先生がおっしゃるように、定量的に言って数値が決められればそれにこしたことはないわけですけれども、その辺を一層またご検討いただきたいと思います。

【委  員】 ちょっといろいろありますが、今、最初の12ページのそのSPMの目標の関係、私もやはりこれは定量的にできるだけ設定すべきだろうと思います。当然、まだ定量的にできない部分があるとすれば、やはりその限界を言いながらということだと思いますが、一つはやはり環境基準の達成は当然前提で、それに向けたそれぞれの地域の寄与率、現在推定できる寄与率の中から削減量を定量的に決めると。ただ、それが後のいろいろなモニターでずれていればそれは決め直すというのは当たり前なのですが、やはり具体的なものがないと後の進行管理全体にかかわる話だろうと思います。そういう意味では、できるだけやはり車からの寄与分、それから特にこれがやはり人工的に政策で対象できる寄与分の中で何%、自然分が30%であって、残り70%の半分であればやはり50%減らすと、対策としてですね。そういう形でやらないとまずいと思うんですね。何かそういった、やはりできるだけ定量化を現在わかる既知の中で進めると、そういうことでやっていただくのが大事ではないかと思います。
 それから、ちょっと幾つかのところで都市構想との関係を言及していただいて、中長期に私、これは非常に大事だと思います。SPMのこういう問題もありますし、CO2のことを考えますと、やはり基本的に都市構造的な、これはライフスタイルのベースになるわけですね。あるいはビジネススタイルのベースにどこに企業が立地するかという意味で、そういうことから言いますと、ちょっと踏み込みの中で土地利用との関係というような、そういう言葉があまり入っていないのですが、要するにこういう問題のある地域でさらにSPMあるいはNOxをふやすような交通を通して、そういう施設の立地があるとすれば、それに対してきちんとそういうことを認めた場合には、やはり対策を立ててほしいとか、そういうことを言っていく必要があるわけです。ですから、少なくとも現在の都市計画の土地利用規制の中では、こういった環境関係からのものは沿道立地、騒音についてですかね、沿道立地に多少規制するということはありますが、大気汚染についても当然そういうことをそろそろ考えなければいけないのではないかということを含めて、都市計画との連携はそういった土地利用計画との連携というのもあるということです。特にこれは特定地域でそういう話が出てくるからだと思います。それと関連して、そういうものを含めてやはり新しい開発、再開発、あるいは公共事業が新たなそういう発生源にどの程度寄与するか。寄与するとすればそれに対する緩和措置をどうするか。戦略的、環境アセスメント的な思想を、こういったものをやはり環境庁としてはきちんと入れていく必要があるのではないかと思います。アメリカで先ほどコンフォーミティーの話がありましたが、アメリカでは連邦大気質基準を満たしていないというところでの道路整備その他、道路整備だけではないですけれど、土地開発すべてですね、それに対しましては、やはりそれ以上環境基準を悪化させないということで、道路をつくる場合には、その道路を使うのは例えば相乗りとかを公共交通でやって、総量としては減りますよと。これ以上ふやせませんよということをチェックさせているわけですね。そうしないと、連邦補助金を出さないということまでやっていますから、少なくともそういう連携についてはもう少しきちっと言っておく必要があろうかと思います。
 それから、経済的措置とTDMとの関係なのですが、経済的措置、私は、いろいろご意見がございましたが、やはりライフスタイル、ビジネススタイルを変えていく上でやはり一番だんだんと効果が上がってくる。そして、私どもの社会システムは経済メカニズムのもとに動いていますから、それをゆがみをなくすという意味で環境費用、外部費用を内部化するということを通して、だんだんとそれぞれの意思決定、交通を決めるときに考えていただくということは、やはり基本的に必要だと思うんです。ただ、そのやり方はいろいろあって、いろいろな税制でやったり、ロードプライシングというのもその一つだと思いますが、その辺の評価でたしかCO2の方は随分いろいろ検討されまして、ここで出ていないのはやはりその収入について、先ほどどなかとフィーベートというような話がございましたが、収入は経済用語から言えば、これは何に使ってもいいということだろうと思いますが、それをここで目標とする環境対策でやることで、例えば低公害車の大量普及に使うというようなことで、結局ほかの施策をもっと円滑に、余り痛みを伴わずに、ほかに痛みを大きくすることなくやるという、そういう意味があるわけですね。たしか西 先生の方のレポートにもその辺がかなり強調されたと思いますが、やはりその辺を含めて経済的措置を評価すべきだろうと思います。これを通してやはりそれぞれの意識を変えていくということで、私は非常に効果が大きいということですから、やはり環境庁としてはそういう視点をぜひ入れていただくということと。やはり環境政策の財源をどうするかという環境庁としての戦略の問題ですよね。そこへつながる問題ですから、やはりもう少し幅広い観点からこの辺はとらえておく必要があるのではないかと思います。
 それから、ロードプライシングを初め、TDMの表現が、ちょっとこれは細かいことかもしれませんけれども、18ページのところで交通需要マネジメント等ということでその説明がございますが、ちょっと不適切かなと思うのは、一番最後のところで「交通需要の時間的、空間的な集中を緩和する」と、これは建設省が渋滞対策でおっしゃっていることなんです。これは確かに渋滞対策ではこういうことが重要ですが、環境庁としては、むしろこれを含めて自動車交通そのものの総量をその場所場所の要請にあって抑制すると、あるいは場合によっては交通全体も抑制しないと自動車までいかないということもあるかと思いますが、もうちょっとこの辺ははっきり書き分けておいていただいて、環境庁としてのスタンスで書く必要があろうかと思います。
 それから、ロードプライシングについていろいろご意見が出ましたけれども、ちょっと否定的な意見があったので、私は必ずしもそうではないよということをちょっと補強しておきたいと思いますが、委員長のおっしゃられた三つの提案はまことにもっともなことで、最初の点は首長というお話だったのですが、首長といいますか、結局これは市民とか、国民の受け入れですよね。いろいろな問題に対して、それではこういうロードプライシングを使わないで、ではほかでどんなことが可能だろうかと。私はちょっとほかの対策、単体規制その他もこういったやはり経済施策を入れない限りは物すごい厳しいことをやらなければいけないので、それよりはむしろお金の方でやった方がいいという考えも十分出てくると思いますね。そういった世論との関係で合意形成がどうかと、これは非常に大きな課題です。いろいろなところでやはりうまくできていないのは、その第一段階で説得がうまくいっていないと。ただ、その説得するときの海外のいろいろな文献での一つの根拠が、やはりそれによって、実はその財源を使うことによって環境政策全体が前に進みますよと。ほかの対策をそんなに厳しくしなくていいですよと。ロードプライシングをやってお金が入ったらその分だけ自動車税を安くしますよと、全体を。シンガポールなんかだったらそういうことなんですね。その辺がありますから、その辺の組み合わせというのは、環境庁としては今後大きく考えていく必要があるのではないかと思います。
 それから、現在の行政法上で可能かどうか、これは私はその問題はよくわかりませんが、少なくとも都の方は都の条例の中で何とかいけるのではないかということを考えておりますし、当然、むしろ環境庁としては、現行法にとらわれず今後の10年、20年という中でどう考えるかということを議論した上で、当面は、すぐには難しいとしてもこの書き方がいろいろ出てくるのではないかと思います。
 それから、3番目のいろいろな本当にそういう手法があるんだろうかと、技術的なですね。あまり問題なくコストを安く確立したということですね。これはまだ開発段階だと思います。ただ、ITSの技術、特にETCの技術等を考えますと、日本は一番得意な分野なんですね。むしろこれは産業開発として実は世界に新しい産業をつくっていくそのリーダー産業になり得る、そういう技術の一部なんです。そういうことで言いますと、ちょっとそういうメリットを考えながら進めていくと。ご存じかと思いますが、ロードプライシング、シンガポールではエレクトロニックロードプライシングに移行しまして、その基本技術は、実は三菱重工の技術でいっているんですね。そんな技術がもう海外では使われていると。だけど、彼らはもうその先の、今度はGPSを使ってガントリーなしでのそういう徴収技術が可能であるということで、この間、香港でも実験しましたし、一応シンガポールでも第三世代と言っていましたけれど。第三世代のERPはそういう形で、これから5年というレベルでしたでしょうか、そのくらいで考えていると。ただ、そういう技術革新は一方で進んでいますから、こういうことを通して、さらに新しい環境を通した新しい産業も起こってきますし、そういうことも視野に入れて議論すべき話題かと思います。そういう意味ではかなり問題はありますが、それはその全体の中でどう考えるかということで、やはり次のステップとして非常に十分検討の余地があるし、可能性も出てきているものだろうと思います。ただ、この5年の中に入れてどうかというような議論をし出しますと、やはりかなり限定的かなという感じですね。その辺の取り扱いをぜひ考えていただきたいと思います。
 それから、全体としてやはり今後の作業との関係で、これは大聖先生からもございましたが、やはり定量的な部分、それぞれの政策についてやはりきちんとできるだけ定量的に我々はこういう考え方をしているんだということを12月まででしたか、できる範囲でやはりやるということと、それから首長さんといいますか、知事に実際のそれぞれの地域を整えていただくということになれば、知事の裁量でどこまでできそうかという点ですね。ですから、ロードプライシングもその一つの、場合によってはできるかもしれないということで、もちろんそういう可能性を残さなければいけないと思いますし、それからいろいろな自主的な事業者への要請とか、メーカーへの要請がございましたが、これについてもやはり、国で今考えているのはこのくらい可能性があると。ただ、それをさらに横出し、上乗せか知りませんけれども、自主的なレベルでできる話と、あとほかの方法で、今度は各地域にとってはそれぞれその全体のポリシーミックスといいますか、パッケージで本当に知事さんできますかということがありますから、それができそうかどうかというフィージビリティーなチェックはここでやるのがやはり筋だろうと思いますね。そのときにやはりいろいろな不確実性がありますから、やはりそこで裁量の余地といいますか、その判断はいろいろ組み合わせがまだ、ベースはこちら、全国レベルのものはやるにしても、それプラスのときにこういう組み合わせがありますよと。その中でやはり相当無理をしなければいけない地域もあるでしょうし、そうでなくてもできる地域があると。やはりその辺の感触といいますか、ある程度の姿はつくった上で言わないと、実は先ほど自主的な事業者の計画で済んでいたものが、それではとても間に合わないよということになったら、やはりその次の先を組み入れる余地を何らかの形で入れておかないとまずいという話ですね。どうもその辺の定量的な今できそうなことを並べていますが、ある意味ではそれでできそうなことをやって、本当にでは環境基準は達成されますかと、その部分ですね。その部分について、やはり複数の組み合わせ、地域に合った組み合わせ、パッケージで、一応できそうだというやはりフィージビリティーはここでチェックした上で提案しないと、何か全体の整合性がないのではないかと、そんなふうに思います。

【委  員】 13ページに計画の進行管理の充実というのがあるわけですが、ちょっと一つだけお願いというか、ここでは地方自治体という都道府県、「道」が入るかどうかわかりませんが、都府県の段階でそれぞれの行政区域内において云々という趣旨で書いてあるわけですけれども、前にも発言させていただいたことがあるわけですが、これはそれでよろしいのか、首都圏あるいは近畿圏というような、将来、中京等が入るかどうかは別としまして、そういうようなある程度広域的な中における自治体間の連携、それを国がいろいろとまた取りまとめ、あるいは指導・バックアップするというようなことが必要になってくるのではないかと。行政区域で区切られますけれども道路は連続しているわけで、連担して事業が行われているわけですから、ある程度広域的なものの対応ということも、ここにある協議会というのは、これは法律に基づく協議会で全然別個のものですけれども、何かそういう広域的な対応というものについても言及しておく必要があるのではなかろうかということです。

【委員長】 大分時間がオーバーしておりますので、では手短に。

【委  員】 大変広範囲な議論というか、意見を要領よく取りまとめていただきまして、大変ありがとうございました。ただ一つだけ、私は最後にお願いがあるのですが、この経済的措置というのは、この一つの大きな目玉だというふうに思います。ただ、この経過の中にはかなり議論もありましたし、意見・要望もありましたが、環境税というような問題がちょっとすり抜けているという気がいたします。もちろん経済活動への影響というようなことが多大であるということと、この小委員会に即、その自動車NOx法の検討ということからもう少し大きい範囲になるということかと思いますが、やはり21世紀をにらんだときにこれからの、さっきの制度的なバックアップみたいなものの一つに大きくなり得るという環境税についても第7回の小委員会で示されました経済的措置の活用についての資料にもありますように、この燃料課税を中心とした環境税みたいなものが将来につながるような形でここへ何か記述がないかなと私は思うのですが、できればそうしていただきたいと思います。

【委  員】 文章だけなのですが、12ページの一番上の段落のところにあります「粒子状物質については濃度予測シミュレーションを行うことが技術的には困難なことから」と書いてありますが、これは非常に誤解を招くのではないかと思うので、「二次生成粒子については」とか、そういう注釈をつけていただきたいと思います。DEPの拡散予測なんていうのは簡単にできますので、例えばアメリカのモデルなんかたくさんやっていますからそれを使えばいいだけの話ですので。ですから、DEPについての目標値、先ほど大聖先生がおっしゃった問題もそれに関連することだろうと思います。

【委  員】 もう時間を過ぎていてちょっと申しわけないけれど、本当に1分間だけ。皆さんがすばらしいいろいろな提案をされて、それらを盛り込まれるのはいいのですが、それを実行するのはみんな違った部局がやるわけです。そうすると、部局間の有機的な連携はうまくいかない可能性が強い。協議会だけでもうまくいかないので、ちゃんとした組織を、推進母体をつくるべきだということをこの最終報告に向けての課題のところにちょこっと1行だけ入れておいていただけるとありがたいと思います。
 それから2番目は、一番最初に先生もおっしゃったことだと思いますけれど、図の内容についての説明がかなりばらばらですので、その辺をちょっと直しておいてください。
 それから、図とか、表の入れ方を工夫して、もう少し読みやすくしてくださいますか。以上です。

【委員長】 先生方の微妙な違いもあったり、温度差もあるかと思います。この小委員会としてどれぐらいのタイムスパンの話をここにしっかりと書き込んで、実効性をどういうふうに担保していくのかということの詰めをもうちょっとやらなければいけないのかなという感じもいたします。先生がおっしゃることはもう全くすばらしい、そういう方向に動いているわけですから、これは正しいわけですが、しかし行政的にもう一歩そこまで届くかなという問題が常に残って、これが疑問になって、逆に言えば先ほどの先生の話の足を引っ張ることが本当はあってはいけないのですが、そういうことは起こりがちだということも、しっかりとご認識をいただきたいということなんですね。それで、今の先生からもお話のようにこれもばらばらで、例えば道路のところに一つのバス停をつくるとしましても、これを交通管理から、道路管理から、交通事業者からもう物すごい法律が突き刺さっているんですね。ましていわんや京都のように古都になりますと、古都法だとか、何とか法だとか、みんな法律が突き刺さっていまして、これをクリアするというのはもう並大抵のことではないんです。ということでいきますと、環境行政というのは非常に横割りの行政としてやる場合に、縦割りの行政との兼ね合いをどうやっていくのかということで、私は道路が税金を取れると、あるいは環境税的なものが取れるというふうにお考えだとしたらちょっと甘いのではないかと思ったり、いろいろなことを考えるのですけれど。そういうことで、この報告書が死なないためには、できることできないこと、あるいはだれがやるかということをぴしっとやはり書いておきませんと、どうしてもばかにされてしまうというのか、そんなことが書いてあったよ、知らんよと、こういうことでいなされてしまう危険もありますので、大変口幅ったいことを申し上げましたけれども、これからまだ中間報告段階ですから、一応大筋としては浅野先生のご指摘のように私も非常にいいレポートだと思っております。これだけに今後の課題もまず相当残ったかなというふうに思います。そこで時間を大変オーバーして申しわけなかったのですが、9月1日までになおご意見がおありになればご連絡をお願いしたいと。それから、大変僣越ですが、中間報告(案)の修正につきましては、委員長一任ということでさせていただければありがたいと思います。これは、9月5日の合同会に報告するという形になりますので、時間の関係もあり、お許しをいただければありがたいというふうに思います。
 次にでは議事の2、その他に移りたいと思いますが、では事務局の方で。

【事務局】 今後のスケジュールだけ簡単にご報告いたします。
 資料3でございますが、今、委員長からお話がありましたように、次回9月5日は合同部会という形で開催させていただきたいと思います。委員長とご相談の上、報告の内容については事務局でまた整理させていただきたいと思います。その後ですが、当初、部会ではパブリックコメントは答申の前段階で行うということにしておりましたが、できるだけ前広にまだ中間的な段階でありましても、各方面から幅広くご意見をいただきたいというふうに考えておりまして、これは部会でのご了承事項になってしまいますが、できればここの資料3にありますように部会、中間報告の後、パブリックコメントをまずやって、再度、答申案の検討段階でまたお願いというようなことにさせていただけないかなというふうに考えております。これは部会でのご承認事項になります。その後、それと平行いたしまして、小委員会は、次回は9月20日の10時から、その次、12回は10月2日の10時からということで、これは事前に調整させていただきまして、皆様方すべてというわけにはいかなかったかもしれませんが、予定をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上であります。

【委員長】 どうもありがとうございました。
 大分時間がオーバーいたしまして、不手際をお許しいただきたいと思いますが、本日の会議はこれで閉会にさせていただきます。
 どうもありがとうございました。